JP2012056971A - 光学用接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ化合物及びカチオン硬化触媒を必須成分とする光学用接着剤組成物であって、該エポキシ化合物は、特定の脂環式エポキシ化合物からなる成分(A)と、特定の多官能水添エポキシ化合物及び/又は多官能脂環式エポキシ化合物からなる成分(B)とを含み、該エポキシ化合物における成分(A)と成分(B)との質量比は、60/40〜95/5である光学用接着剤組成物。
【選択図】 なし
Description
上記のように、従来の技術には、光学用接着剤用途において求められる種々の特性を有する硬化物を与える樹脂組成物を得るための工夫の余地があった。
本発明はまた、上記光学用接着剤組成物を硬化して得られる光学用接着層でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の光学用接着剤組成物は、脂環式エポキシ化合物からなる成分(A)を含むものである。そして、該成分(A)は、上記一般式(1)で表され、かつ、重量平均分子量が500未満である。
上記成分(A)(脂環式エポキシ化合物)が一般式(1)で表されるものであると、硬化物(接着層)が接着力に優れたものとなる。これは、硬化物中にエーテル結合(例えば、エポキシシクロヘキサン基に由来するもの)とエステル結合との両方が存在することや、シクロヘキサン環が含まれることに起因すると推測される。また、硬化物の主鎖骨格中に、エステル結合と比較してより多くのエーテル結合を含むようにすることができ、硬化物の耐湿性や耐光性等の耐久性を向上させることができる。
また上記成分(A)の重量平均分子量が500未満であると、上記光学用接着剤組成物の粘度が高くなりすぎることを防止でき、薄膜状に形成することが容易になる。成分(A)の重量平均分子量として好ましくは、50以上、450未満であり、より好ましくは、80以上、400未満である。
なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−N 4.6*150を2本、溶離液:テトラヒドロフラン、標準サンプル:TSKポリスチレンスタンダード)により測定することができる。
上記エポキシシクロヘキサン基中のエポキシ基の位置は限定されず、任意の位置に設けることができる。また、上記エポキシシクロヘキサン基が置換基を有する形態における、該置換基の位置も限定されない。
上記有機基として好ましくは、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である。
本発明の光学用接着剤組成物はまた、多官能水添エポキシ化合物及び/又は多官能脂環式エポキシ化合物からなる成分(B)を含むものである。そして、該成分(B)は、重量平均分子量が1000以上である。上記接着剤組成物がこのような成分を含有することで、得られる硬化物(接着層)が適度に軟質なものとなり、硬化物を薄膜状に形成して用いた場合であっても、耐振・耐衝撃性に優れたものとなる。成分(B)の重量平均分子量として好ましくは、1500以上、8000未満であり、より好ましくは、2000以上、6000未満である。
一般式(3−1)、(3−2)においては、シクロヘキシル環やメチレン鎖などの炭化水素の一部の水素原子が置換されたものであってもよい。置換基としては、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、置換基があってもよい炭化水素基などが好ましい。炭化水素基の中ではアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
上記水添ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、具体的には、ビスフェノールF型エポキシ化合物を水添することにより得られるものを使用することができる。
なお、本明細書中、製造又は販売会社名が示された化合物等は、商品名を表すものとする。
上記成分(A)と成分(B)との配合比は、質量比(成分(A)/成分(B))で60/40〜95/5である。配合比をこのような範囲に調整することにより、得られる硬化物(接着層)が、薄膜化した場合にも膜厚均一性に優れ、高い薄膜形成性、耐久性及び接着層強度を発揮するものとなる。上記質量比として好ましくは、65/35以上であり、より好ましくは71/29以上である。これにより、硬化物が耐湿熱性、膜厚均一性に一層優れたものとなる。上記質量比はまた、90/10以下であることが好ましく、85/15以下であることがより好ましい。これにより、硬化物が耐衝撃性に一層優れたものとなる。
本発明の光学用接着剤組成物はまた、カチオン硬化触媒を含むものである。カチオン硬化触媒としては、光励起や熱等によって、重合を開始させるカチオン種を発生し得る化合物であれば特に限定されないが、光カチオン硬化触媒や熱カチオン硬化触媒であることが好適である。光カチオン硬化触媒を用いることにより、光によりカチオン種を含む化合物が励起されて光分解反応が起こり、光硬化が進むこととなる。また、熱カチオン硬化触媒を用いることにより、加熱によりカチオン種を含む化合物が励起されて熱分解反応が起こり、熱硬化が進むこととなる。中でも、以下に示す理由により、光カチオン硬化触媒を用いることがより好ましい。すなわち、熱硬化では、硬化後の冷却過程において、接着層(硬化物)と被着体との熱膨張係数の違いによる収縮率の差異に起因して応力が生じ、被着体の反りや、材質によっては割れの原因となる場合がある。このような問題は、接着層が比較的厚い場合や、被着体が大型であるか又は薄い場合に特に顕著になる。具体的には、表示部の大型化、薄膜化が進むディスプレイ用の大型保護ガラスや薄膜ガラス等が被着体である場合に上記問題が特に顕著になる。これに対して、加熱・冷却を必要としない光硬化ではこのような問題は生じない。また、熱硬化では、接着剤組成物の塗布膜と比較して、硬化膜の膜面積が広がったり、膜厚が低下したりするという問題が生じ易いが、光硬化ではそのような問題の発生が抑制される。特に、被着体が大型ガラスである場合にはその差が顕著になる。
このように、上記カチオン硬化触媒が、光カチオン硬化触媒である形態は、本発明の好適な形態の1つである。
上記光カチオン硬化触媒としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が好適である。
上記熱カチオン硬化触媒としては、例えば、下記一般式(5):
(R3 aR4 bR5 cR6 dZ)+s(AXt)−s (5)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、有機基を表す。a、b、c及びdは、0又は正数であり、a、b、c及びdの合計はZの価数に等しい。カチオン(R3 aR4 bR5 cR6 dZ)+sはオニウム塩を表す。Aは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属元素又は半金属元素(metalloid)を表し、B、P、As、Sb、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。sは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。tは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表される化合物が好適である。
更に一般式AXt(OH)−で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3 −)、フルオロスルホン酸イオン(FSO3 −)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
本発明の光学用接着剤組成物は、成分(A)、成分(B)及びカチオン硬化触媒を必須成分とする限り、その他の成分を含んでいてもよく、該その他の成分は1種又は2種以上を用いることができる。その他の成分としては、例えば、溶媒成分、他の重合成分(エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ビニルモノマー等)あるいはポリマー成分、各種添加剤等を挙げることができる。
溶媒は、接着剤組成物を硬化して接着層とする際に接着層中の気泡の原因となって、接着力の低下や、光伝送性、透過性の低下を招くおそれがある。また、多量に用いると、組成物の粘性が低くなりすぎて成形体の膜厚や形状の制御性が低下する原因ともなる。したがって、溶媒を用いる場合、上記接着剤組成物の総量100質量%に対して30質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下、一層好ましくは1質量%以下である。特に好ましくは0.1質量%以下であり、最も好ましくは0質量%、すなわち、溶媒を使用しないことである。
特に光硬化の場合は、溶媒を使用しないか、たとえ使用しても微量とすることが好ましい。
本発明の光学用接着剤組成物は、25℃における粘度が100〜100000mPa・sであることが好ましい。粘度がこのような範囲にあると、接着剤組成物を薄膜状に塗布し易くなる。より好ましくは、500〜50000mPa・sである。
上記接着剤組成物の粘度は、温度25℃の条件下で、R/Sレオメーター(ブルックフィールド社製)を用いて測定することができる。
本発明の光学用接着剤組成物を硬化することにより、接着層(硬化物)を得ることができる。硬化方法としては、上述したように、光硬化や熱硬化を採用することが好ましい。中でも、硬化物と被着体との収縮率の違いに起因する被着体の反りや割れを防止するとともに、硬化反応の前後での膜面積及び膜厚の変化を抑制することができる点で、光硬化を採用することがより好ましい。
透過率は、UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)により、厚み500μmのサンプルを用いて測定することができる。
なお、接合材料とは、少なくとも一方の表面が本発明の接着層からなる材料を意味し、たとえば、本発明の接着層のみから構成される形態(1)、透明基材の両面に接着層を有し、少なくとも一方の接着層が本発明の接着層からなる形態(2)が例示される。形態(2)の場合は、両面が本発明の接着層からなる形態が好ましい。透明基材としては、たとえば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂などの樹脂シート(フィルム状、板状、テープ状などを含む)やガラスシートが好ましく使用される。光伝送媒体用接合材料として用いる場合の透明基材としては、耐振動性、耐衝撃性に優れる点から樹脂シートが好ましい。
調製例1
セロキサイド2021P(ダイセル化学工業社製)62部及びYX−8040(三菱化学社製)38部を攪拌機を備えたセパラブルフラスコに量り取り、窒素雰囲気下140℃に加熱して1時間混合した。室温に冷却後、CPI−101A(サンアプロ社製)1部を加え、遮光して1時間混合し、接着剤組成物(1)を得た。
成分(A)、成分(B)、硬化剤、及び、必要に応じて硬化促進剤を表1に示す割合で混合する点以外は調製例1と同様にして、夫々接着剤組成物(2)〜(10)、接着剤組成物(比較1)〜(比較4)を得た。
実施例1〜10及び比較例1〜4
調製例1〜10及び比較調製例1〜4で得た接着剤組成物(1)〜(10)及び接着剤組成物(比較1)〜(比較4)を用いて、以下に示す試料作成法により夫々接着層を形成した試料(接着層試料)を作成した。得られた接着層試料について、接着層膜厚、接着性、耐湿熱性、耐衝撃性及び膜厚均一性を後述する方法によって測定し、評価した。結果を表1に示す。
接着剤組成物をガラス板(A)に塗布した後、他のガラス板(B)で挟み、以下に示す条件下で硬化した。なお、光硬化においては、UVはガラス板(B)側から照射した。
(硬化条件)
光硬化(実施例1〜7、9、10、比較例1〜3):UV照射(高圧水銀ランプ、ウシオ電機社製、ピーク波長365nm、照射量500mJ/cm2)にて硬化。
熱硬化(実施例8、比較例4):実施例8においては、120℃で15分加熱することにより硬化した。比較例4においては、150℃で2時間加熱することにより硬化した。
接着剤組成物をガラス板(A)にアプリケーターを用いて塗布し、上述した硬化条件にて硬化した。
試料作成法1により作成した接着層試料について評価した。該接着層を挟むガラス板(A)とガラス板(B)との間のギャップを膜厚とした。すなわち、接着層試料の全体の厚みと、ガラス板(A)および(B)の厚みとを測定し、全体の厚みからガラス板(A)および(B)の厚みを差し引いた値を接着層膜厚とした。膜厚測定はマイクロメーター(Digimatic Micrometer MDC−25MJ 株式会社ミツトヨ製)により行った。
試料作成法1により作成した接着層試料について評価した。接着層試料のガラス板間にカッター刃を押し入れたときの試料の状態を、以下の基準で評価した。また、接着層試料における接着層の膜厚が10μmの場合と40μmの場合とについて評価した。
A:ガラスが破断するまで接着層が剥がれない。
B:試料の端に刃を入れても剥がれないが、ガラスが破断する前に剥がれる。
C:試料の端に刃を入れただけで容易に接着層が剥がれる。
試料作成法2により作成した接着層試料について評価した。接着層試料を、温度85℃、相対湿度85%の恒温恒湿雰囲気で1000時間放置する耐湿熱性試験を行い、試験後の着色の有無や程度について評価した。具体的には、試験前後の400nm光に対する透過率の変化率(ΔT)を測定し、以下の基準で評価した。なお、透過率は、UV−VIS分光光度計(Agilent 8453、アジレント・テクノロジー社製)により測定した。また、接着層試料における接着層の膜厚は100μmとした。
A:ΔT<5%
B:5%≦ΔT<10%
C:ΔT≧10%
試料作成法1により作成した接着層試料について評価した。接着層の脆さの尺度として、曲げ強さを評価した。具体的には、(厚さ)1mm×(幅)5mm×(長さ)30mmの樹脂板を作製し、動的粘弾性測定装置(RSA−III、ティー・エイ・インスツルメント社製)にて曲げ試験を行った。25mm間隔の支持冶具上にサンプルをのせ、3点曲げモードで1秒間に0.1mmの速度で変位させて割れるまでの変位を測定し、以下の基準で評価した。
○:5mm押し曲げても割れない
△:3mm以上、5mm未満で割れる
×:3mm未満で割れる
試料作成法2により作成した接着層試料について、試料上の5点において膜厚を測定した。膜厚の測定値のばらつき(最大値と最小値との差)を算出し、以下の基準で評価した。なお、接着層試料における接着層の膜厚は100μmとした。膜厚測定は、マイクロメーター(Digimatic Micrometer MDC−25MJ 株式会社ミツトヨ製)により行った。
○:ばらつきが10μm未満(接着層表面が平滑で膜厚が均一であるもの)
×:ばらつきが10μm以上(膜厚にばらつきが認められるもの)
ST−4000D:新日鐵化学社製、固形水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂
EHPE3150:ダイセル化学工業社製、固形多官能脂環式エポキシ樹脂
なお、熱硬化を採用した実施例8においては、上記膜厚均一性試験と同様の条件で硬化させた際に、接着剤組成物の塗布時より硬化後の膜面積が大きくなったり、膜厚が低下したりする現象が確認された。
Claims (5)
- エポキシ化合物及びカチオン硬化触媒を必須成分とする光学用接着剤組成物であって、
該エポキシ化合物は、脂環式エポキシ化合物からなる成分(A)と、多官能水添エポキシ化合物及び/又は多官能脂環式エポキシ化合物からなる成分(B)とを含み、
該成分(A)は、下記一般式(1):
該成分(B)は、重量平均分子量が1000以上であり、
該エポキシ化合物における成分(A)と成分(B)との質量比は、60/40〜95/5であることを特徴とする光学用接着剤組成物。 - 前記成分(B)は、更に、エポキシ当量が500以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学用接着剤組成物。
- 前記成分(B)は、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物及び/又は水添ビスフェノールF型エポキシ化合物であり、その水素化率は95%より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学用接着剤組成物。
- 前記カチオン硬化触媒は、光カチオン硬化触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学用接着剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学用接着剤組成物を硬化して得られる光学用接着層。
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