JP2019182964A - カチオン硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、低温においても優れた反応性を有するカチオン硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)分子内にエポキシ基を少なくとも1以上有する環状シロキサン化合物、(B)4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとアンチモンアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとホスフェートアニオンからなる塩からなる群から1以上選択される4級アンモニウム塩からなるカチオン開始剤とを含むカチオン硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、低温においても優れた反応性を有するカチオン硬化性樹脂組成物に関する。
従来より、エポキシ樹脂等を含有するカチオン重合性樹脂組成物は、接着力、封止性、高強度、耐熱性、電気特性、耐薬品性に優れることから、接着剤、封止剤、ポッティング剤、コーティング剤、導電性ペーストなどの様々な用途で用いられてきた。また、その対象は多岐にわたり、特に電子機器においては、半導体、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、タッチパネル等のフラットパネルディスプレイ、ハードディスク装置、モバイル端末装置、カメラモジュール等に用いられている。
特許文献1には、エポキシ樹脂成分、熱カチオン開始剤、および充填剤を含有するカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物が開示されている。
特開昭59−204676号公報 WO2005/059002号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたカチオン硬化型エポキシ樹脂組成物は、低温のみで加熱硬化させようとした場合、反応率が低いことに起因して接着力に劣るものであった。
本発明の目的は、上述の問題点を解決すること、即ち、低温においても優れた反応性を有するカチオン硬化性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、上述した従来の問題点を克服するものである。すなわち、本発明は以下の要旨を有するものである。
[1](A)分子内にエポキシ基を少なくとも1以上有する環状シロキサン化合物、(B)4級アンモニウム塩からなるカチオン開始剤とを含むカチオン硬化性樹脂組成物。
[2]前記(B)成分が、4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとアンチモンアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとホスフェートアニオンからなる塩からなる群から1以上選択されることを特徴とする[1]に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
[3]前記(B)成分が、4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとアンチモンアニオンからなる塩からなる群から1以上選択されることを特徴とする[1]または[2]のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
[4]更に、(C)テトラヒドロインデン骨格を有する化合物((A)成分を除く)を含む[1]〜[3]のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
[5]前記(A)成分と(C)成分の合計量100質量部に対して、(C)成分が5〜70質量部を含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
[6]加熱硬化性カチオン硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
本発明は、低温においても優れた反応性を有するカチオン硬化性樹脂組成物を提供するものである。
以下本発明を詳細に説明する。
<(A)成分>
本発明の(A)成分は分子内にエポキシ基を少なくとも1以上有する環状シロキサン化合物であれば特に限定されないが、例えば分子内にエポキシ基を少なくとも1以上有する環状ジメチルシロキサン化合物などがあげられる。本願発明の(B)成分と組み合わせることにより、低温においても優れた反応性を有することができる。前記エポキシ基としてはグリシジル基、エポキシシクロヘキシルエチル基などがあげられる。さらに前記グリシジル基としてはグリシドキシプロピル基が好ましく、さらに好ましくは3―グリシドキシプロピル基があげられる。前記エポキシシクロヘキシルエチル基としては2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基が好ましい。
前記環状シロキサン骨格とは例えば、3〜10量体の環状ジメチルシロキサン構造などがあげられる。(A)成分の市販品としては株式会社ADEKA社製アデカレジンEP−3400L、信越化学工業株式会社製X−40−2670などが挙げられる。
(A)成分としては例えば以下の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2019182964
(式中、RまたはRは、グリシジル基またはエポキシシクロヘキシルエチル基を含有する有機基または炭素数1〜6の炭化水素基を、nは3〜10の整数をそれぞれ表す。式中に複数存在するR、Rはそれぞれ同一であっても異なっていても構わない。ただし、複数存在するRまたはR中、少なくとも2つはグリシジル基またはエポキシシクロヘキシルエチル基を含有する有機基である。)
本発明の(A)成分は25℃での粘度が0.001〜10Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5Pa・sの範囲である。(A)成分が上記の範囲内であることで、インクジェットなどの塗布装置で塗布することが可能なカチオン硬化性樹脂組成物を得ることができる。
<(B)成分>
本発明の(B)成分としては、4級アンモニウムを含む熱カチオン重合開始剤であり、加熱によりカチオン種を発生する化合物である。本願発明の(A)成分と組み合わせることにより低温においても優れた反応性を有することができる。(B)成分としては、例えば、4級アンモニウムカチオンを有する塩を含む熱カチオン重合開始剤等が挙げられる。より具体的な(B)成分としては、4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとアンチモンアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとホスフェートアニオンからなる塩などが挙げられ、中でも、低温硬化性に優れることから4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとアンチモンアニオンからなる塩が好ましい。
前記のボレートアニオンとしては、テトラフルオロボレートアニオン、テトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートアニオンなどが挙げられる。前記のアンチモンアニオンとしては、テトラフルオロアンチモンアニオン、テトラキス(パーフルオロフェニル)アンチモンアニオンなどが挙げられる。前記のホスフェートアニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、トリフルオロ[トリス(パーフルオロエチル)]などが挙げられる。(B)成分の市販品としては例えば、CXC−1612、CXC−1821(King Industries社製)などが挙げられる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物における(B)成分の配合量は、特に制限されないが、前記(A)成分100質量部に対し0.1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部である。0.1質量部を超えるとより一層の低温硬化性が得られ、また30質量部未満であると貯蔵安定性が良好である。
<(C)成分>
さらに、本発明のカチオン硬化性樹脂組成物に対して、(C)成分として、テトラヒドロインデン骨格を有する化合物を含有させることで、より一層低温においても優れた反応性を示すことができる。(C)成分としては特に限定されないが、例えば、テトラヒドロインデンジエポキシドなどが挙げられる。(C)成分の市販品としてはJXTGエネルギー株式会社製THI−DE、三洋化成工業株式会社製THIDEなどがあげられる。但し(C)成分から(A)成分は除かれるものとする。
本発明の(C)成分は25℃での粘度が0.0001〜5Pa.sの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.0005〜1Pa.sの範囲である。(C)成分が上記の範囲内であることで、インクジェットなどの塗布装置で塗布することが可能なカチオン硬化性樹脂組成物を得ることができる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物における(C)成分の配合量は、特に制限されないが、前記(A)成分と(C)成分の合計量100質量部に対して、(C)成分が5〜70質量部の範囲であり、より好ましくは6〜50質量部であり、特に好ましくは、7〜35質量部である。
<任意成分>
さらに本発明のカチオン硬化性樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において、(A)成分と(C)成分以外のエポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物、光カチオン重合開始剤、顔料、染料、増感剤、シランカップリング剤、ポリオール化合物、過酸化物、チオール化合物、保存安定剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、水酸化マグネシウム、タルク、シリカ、アルミナ、ガラス、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び酸化マグネシウム等の平均粒径が0.001〜100μmの無機充填剤、銀等の導電性粒子、難燃剤、アクリルゴム、シリコンゴム、可塑剤、有機溶剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤、発泡剤、離型剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、粘着付与剤、硬化遅延剤、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂類、シアネートエステル類、ポリ(メタ)アクリレート樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリウレア樹脂、ポリエステル樹脂類、ポリビニルブチラール樹脂、SBS、SEBSなどのポリマーや熱可塑性エラストマー等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より樹脂強度・接着強さ・難燃性・熱伝導性、作業性等に優れたカチオン硬化性樹脂組成物およびその硬化物が得られる。
前記オキセタン化合物としては、例えば3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレングリコースビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等を挙げることができる。前記オキセタン化合物の市販品としては、例えば、OXT−212、OXT−221,OXT−213、OXT−101(東亜合成株式会社製)などが挙げられる。
前記ビニルエーテル化合物としては、例えば1,4−ブタンジオールジビニエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ノルマルプロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ノルマルブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル,ジエチレングリコールモノビニルエーテル,4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。NPVE、IPVE、NBVE、IBVE、EHVECHVE(日本カーバイド工業株式会社製)、HEVE、DEGV、HBVE(丸善石油化学株式会社)、VEEA、VEEM(株式会社日本触媒製)などが挙げられる。
前記光カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩を挙げることができる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記増感剤としては、9−フルオレノン、アントロン、ジベンゾスベロン、フルオレン、2−ブロモフルオレン、9−ブロモフルオレン、9,9−ジメチルフルオレン、2−フルオロフルオレン、2−ヨードフルオレン、2−フルオレンアミン、9−フルオレノール、2,7−ジブロモフルオレン、9−アミノフルオレン塩酸塩、2,7−ジアミノフルオレン、9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]、2−フルオレンカルボキシアルデヒド、9−フルオレニルメタノール、2−アセチルフルオレン、ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー、ニトロ化合物、色素等が挙げられる。添加量は、特に限定されるものではないが、吸収波長及びモル吸光係数を参考にする必要がある。
前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシジル基含有シランカップリング剤、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、その他γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でもグリシジル基含有シランカップリング剤が好ましく用いられ、グリシジル基含有シランカップリング剤の中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記ポリオール化合物としては、硬化速度の調整や接着力をより高める為に添加してもよい。前記ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメチロール、トリメチロールプロパン、グリセリン、水添ポリブタジエンポリオール、水添ダイマージオール等の脂肪族ポリオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパンポリエトキシトリオール、グリセリンポリプロポキシトリオール、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ビスフェノールFポリエトキシジオール、ジトリメチロールプロパン等のエーテル結合を1つもしくは2つ以上有する(ポリ)エーテルポリオール、ポリエステルポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物、フェノール性水酸基を有するポリオール化合物、ポリカーボネートジオール等のポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
<塗布方法>
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物を被着体への塗布する方法としては、公知のシール剤や接着剤の方法が用いられる。例えば、自動塗布機を用いたディスペンシング、スプレー、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、ディッピング、スピンコートなどの方法を用いることができる。
<硬化方法および硬化物>
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は低温(100℃未満)により硬化することができる(低温硬化性)。本発明のカチオン硬化性樹脂組成物の硬化方法の加熱条件は、特に限定されないが、例えば、45℃以上100℃未満の温度が好ましく、より好ましくは、50℃以上95℃未満である。硬化時間は特に限定されないが、45℃以上100℃未満の温度の場合には3分以上5時間未満が好ましく、10分以上3時間以内がさらに好ましい。本発明のカチオン硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物もまた本発明の実施形態の一部である。
<用途>
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物の用途としては、接着剤、封止剤、ポッティング剤、コーティング剤、導電ペースト、シート状接着剤などがあげられる。また、接着剤、封止剤、ポッティング剤、コーティング剤、導電ペースト、シート状接着剤の具体的な用途としては、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク等の自動車分野;液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、タッチパネル、プラズマディスプレイ、発光ダイオード表示装置等のフラットパネルディスプレイ分野;ビデオディスク、CD、DVD、MD、ピックアップレンズ、ハードディスク周辺部材、ブルーレイディスク等の記録分野;電子部品、電気回路、継電器、電気接点あるいは半導体素子等の封止材料、ダイボンド剤、導電性接着剤、異方性導電性接着剤、ビルドアップ基板を含む多層基板の層間接着剤等の電子材料分野;CMOSイメージセンサー等などのカメラモジュール;Li電池、マンガン電池、アルカリ電池、ニッケル系電池、燃料電池、シリコン系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機太陽電池等の電池分野;光通信システムでの光スイッチ周辺、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、光受動部品、光回路部品、光電子集積回路周辺の等の光部品分野;モバイル端末装置;建築分野;航空分野等が挙げられる。特に好ましい用途としては、本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は、ニッケルに対する引張せん断接着強さが優れるので、CMOSイメージセンサー、筐体とレンズ等の組立用接着剤等が挙げられる。
以下に実施例によって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制約されるものではない。
<カチオン硬化性樹脂組成物の調製>
・実施例1
(A)成分として、25℃での粘度が0.1Pa.sである、分子内に3―グリシドキシプロピル基を4つ有し、一般式(1)で表される化合物においてnは4である環状ジメチルシロキサン化合物(株式会社ADEKA社製アデカレジンEP−3400L)(a1)100質量部と、(B)成分として、4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩を含有する熱カチオン重合開始剤(b1)(CXC−1821、King Industries社製)1質量部,3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン1質量部を添加し、常温にてプラネタリーミキサーで60分混合し、カチオン硬化性樹脂組成物である実施例1を得た。
・実施例2
実施例1において、a1成分を100質量部から90質量部に変更し、さらに(C)成分として、25℃での粘度が0.02Pa.sであるテトラヒドロインデンジエポキシド(JXTGエネルギー株式会社製THI−DE)(c1)10質量部含むことに変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例2を得た。
・実施例3
実施例1において、a1成分を100質量部から80質量部に変更し、さらに(C)成分として、(c1)20質量部含むことに変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例3を得た。
・実施例4
実施例1において、a1成分を100質量部から70質量部に変更し、さらに(C)成分として、(c1)30質量部含むことに変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例4を得た。
・実施例5
実施例1において、a1成分を100質量部から60質量部に変更し、さらに(C)成分として、(c1)40質量部含むことに変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、実施例5を得た。
・比較例1
実施例1において、a1成分の代わりに、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(株式会社ADEKA社製ED−523L)に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、比較例1を得た。
・比較例2
実施例1において、a1成分の代わりに、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX−411)に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、比較例2を得た。
・比較例3
実施例1において、b1成分の代わりに、芳香族スルホニウムカチオンとホスフェートアニオンからなる塩を含有する熱カチオン重合開始剤(三新化学工業株式会社製サンエイドSI−110L)(b’1)2質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、比較例3を得た。
・比較例4
実施例4において、b1成分の代わりに、c’1成分2質量部に変更した以外は、実施例4と同様にして調製し、比較例4を得た。
表1の実施例、比較例において実施した試験方法は下記の通りである。
<低温における反応性確認(反応率測定)試験>
アルミニウム製容器に、試料(実施例および比較例で得られたカチオン硬化性樹脂組成物)10mgを秤取り、示差走査熱量計(SII社製DSC220C)を用いて昇温速度10℃/minで測定し、「ブランク発熱量」とした。なお、発熱量 は測定結果のチャートのベースラインとピークトップの曲線に囲まれた部分の面積により算出した。
次に、アルミニウム製容器に、試料(実施例および比較例で得られたカチオン硬化性樹脂組成物)10mgを秤取り、80℃の熱風乾燥炉で60分間加熱した後に、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minで測定し、「硬化後の発熱量」とした。
反応率を次の式に基づき算出した。
反応率(%)=(ブランク発熱量ー硬化後の発熱量)/ブランク発熱量×100
なお、本発明において、低温硬化性の観点から反応率は20%以上が好ましく、更に好ましくは35%以上であり、特に好ましくは40%以上である。
<ニッケルに対する引張せん断接着強さ試験>
幅25mm×長さ100mm×厚さ1mmのニッケルメッキ製テストピースに、実施例、比較例のカチオン硬化性樹脂組成物を塗布する。その後、別のニッケル製テストピースをオ−バーラップ面が25mm×10mmになるように貼り合わせてクリップで固定した。そして、80℃に設定した熱風乾燥炉にて60分硬化させ試験片を得た。そして、試験片を用いて25℃にて万能引張試験機(引っ張り速度10mm/min.)にてせん断接着強さ(単位はMPa)をJIS K 6850に従い測定した。結果を表1に示す。
なお、本発明においてCMOSイメージセンサーなどの電子部品を接着するためには、1.0MPa以上が好ましく、さらに好ましくは、1.7MPa以上であり、特に好ましくは2.0MPa以上である。
Figure 2019182964
実施例1〜5により、本発明は、低温においても優れた反応性を示し、さらにニッケルに対する引張せん断接着強さが優れることがわかる。
比較例1、2は、本発明の(A)成分ではないネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルを用いた組成物であるが、低温における反応性とニッケルに対する引張せん断接着強さが劣ることがわかる。また、比較例3、4は、本発明の(B)成分ではない芳香族スルホニウムカチオンとホスフェートアニオンからなる塩を含有する熱カチオン重合開始剤を用いた組成物であるが、低温における反応性とニッケルに対する引張せん断接着強さが劣ることがわかる。
本発明のカチオン硬化性樹脂組成物は、低温においても優れた反応性を有するので、接着剤、封止剤、ポッティング剤、コーティング剤、導電ペースト、シート状接着剤など広い分野に適用可能であることから産業上有用である。

Claims (7)

  1. (A)分子内にエポキシ基を少なくとも1以上有する環状シロキサン化合物、(B)4級アンモニウム塩からなるカチオン開始剤とを含むカチオン硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分が、4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとアンチモンアニオンからなる塩および4級アンモニウムカチオンとホスフェートアニオンからなる塩からなる群から1以上選択されることを特徴とする請求項1に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(B)成分が、4級アンモニウムカチオンとボレートアニオンからなる塩、4級アンモニウムカチオンとアンチモンアニオンからなる塩からなる群から1以上選択されることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  4. 更に、(C)テトラヒドロインデン骨格を有する化合物((A)成分を除く)を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(A)成分と(C)成分の合計量100質量部に対して、(C)成分が5〜70質量部を含むことを特徴とする請求項4に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  6. 加熱硬化性カチオン硬化性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物を加熱することで硬化させて得られる硬化物。
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