JP2016120683A - 積層構造物、光硬化性組成物および積層構造物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、この方法は、重合性基の濃度自体を低下させるため、硬化させる際に時間を要し、プロセスの効率化の観点から課題を残すものである。
あわせて、寸法変化を抑え、厚みとしての精度も良く、基材を接着させる光硬化性組成物を提供することを目的とする。
前記接着層は、光硬化性化合物(A)、光硬化開始剤(B)、下記一般式(1)で表される構造単位を有するフッ素含有ポリマー(C)、および自身は光硬化しない溶剤(D)を含有し、かつ質量比(A)/(C)が95/5〜5/95の範囲であり、さらに質量比[(A)+(C)]/(D)が80/20〜5/95である光硬化性組成物を硬化することにより形成される、積層構造物。
前記接着層は、光硬化性化合物(A)、光硬化開始剤(B)および下記一般式(1)で表される構造単位を有するフッ素含有ポリマー(C)を含有し、かつ質量比(A)/(C)が95/5〜25/75の範囲である光硬化性組成物を硬化させることにより形成される、積層構造物。
前記第1の基材が、表面に凹凸の構造を有するフィルムであり、当該フィルムの裏面が前記接着層と接していることを特徴とする積層構造物。
前記積層構造物に備えられる前記第1の基材と、前記第2の基材のうち、少なくともいずれか一方は、光透過性を有する基材であり、
前記積層構造物の製造方法は、
前記第1の基材と前記第2の基材のうち少なくともいずれか一方の表面に、(5)に記載の光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、
前記光硬化性組成物を塗布した基材を加熱して溶剤を蒸発させる工程と、
前記光硬化性組成物を塗布した表面を介して、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる積層工程と、
前記光透過性を有する基材を介して光を照射する光照射工程と、
を含むことを特徴とする、積層構造物の製造方法。
前記積層構造物に備えられる前記第1の基材と、前記第2の基材のうち、少なくともいずれか一方は、光透過性を有する基材であり、
前記積層構造物の製造方法は、
前記第1の基材と前記第2の基材のうち少なくともいずれか一方の表面に、(6)または(7)に記載の光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、
前記光硬化性組成物を塗布した表面を介して、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる積層工程と、
前記光透過性を有する基材を介して光を照射する光照射工程と、
を含むことを特徴とする、積層構造物の製造方法。
また、本発明によれば、光硬化プロセスの硬化収縮を生じず、接着した積層構造物の寸法変化を抑え、厚み精度良く基材を接着することができる光硬化性組成物を提供することができる。これを用いて凹凸構造を有するフィルムまたは平滑なフィルムの積層構造物を安定的に提供することができる。
まず、本実施形態に係る積層構造物について図1に基づいて説明する。
本実施形態の積層構造物100は、第1の基材11と第2の基材12と、これらの基材間を接着する接着層13を備えるものである。
無機材料の例としては、ガラス、石英、アルミニウム、ニッケル、鉄、銅、銀、金、ステンレス鋼、ゲルマニウム、チタン、シリコン、アルミナ、半導体等の無機材料が挙げられる。
また、有機材料の例としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアリレート、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン、ポリ環状オレフィン、セルロース系樹脂、フッ素樹脂等の有機材料などが挙げられる。また、後述するフッ素含有ポリマー、または光硬化性組成物からなる成形体を基材として採用することもできる。
さらに、これらの基材は、接着性を上げる目的で基材の表面にコロナ処理、プラズマ処理、UV処理、プライマー処理、エッチング処理などの物理的あるいは化学的な表面処理によって易接着処理を施してもよい。
なお、本実施形態の積層構造物100は、第1の基材11または第2の基材12のいずれかの基材を介して光を照射し、後述する光硬化性組成物を硬化することで接着層12が形成される。
そのため、通常、第1の基材11または第2の基材12のいずれかは光透過性の基材が用いられる。
たとえば、後述する光硬化性組成物を第1の基材11の上面に塗布し、他の基材をこの光硬化性樹脂組成物の塗布層上に設け、積層数を増加させることもできる。
光硬化性組成物は片方の基材に塗工しても両方の基材に塗工してもよく、両方の基材に塗工するときは同種、異種いずれの接着剤を用いてもよく、積層数を増加させる基材は本実施形態の積層構造物100で用いたものと同種、異種いずれのものであってもよい。
このような方法で積層した構造物は、いずれか一方の基材が光を透過し光硬化反応が起こるものであればよく、無機、有機何れの材料であっても、同種あるいは、異種の材料を組み合わせて用いてもよい。
または、第1の基材11と第2の基材12の両方の表面に凹凸の構造を有するフィルムを用い、凹凸の構造を有する面が接着層13と接する構造としてもよい。
この凹凸構造のサイズは、40nm〜5000μmのパターンを賦型したものであり、形状は特に限定されるものではない。ここで凹凸構造は、スクリーン印刷、エンボス加工、サブミクロンインプリント、ナノインプリントなど様々な方法で凹凸構造を形成しても良い。
特に、凹凸構造をインプリント方法で形成するときは、石英、シリコン、ニッケル、レジストなどからなるモールドの様々なパターンに光硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂、ポリマーワニスなどの樹脂を塗布し、適宜、それぞれに合った方法で凹凸構造を形成させる。この凹凸構造を表面に持つフィルムを後述する光硬化性組成物で第2の基材12と接着させて、積層構造物100とすることもでき、第1の基材11と第2の基材12の両方の表面に凹凸の構造を有するフィルムを接着させて積層構造物100とすることもできる。
本実施形態の光硬化性組成物は、具体的には以下に示す種の組成物を用いることができる。
(1) 光硬化性化合物(A)および光硬化開始剤(B)、特定のフッ素含有ポリマー(C)および自身は光硬化しない溶剤(D)を含有し、かつ質量比(A)/(C)が95/5〜5/95の範囲であり、さらに質量比[(A)+(C)] /(D)が80/20〜5/95であることを特徴とする光硬化性組成物。
(2) 光硬化性化合物(A)、光硬化開始剤(B)および特定のフッ素含有ポリマー(C)を含有し、かつ質量比(A)/(C)が95/5〜25/75の範囲であり、好ましくは自身は光硬化しない溶媒を実質的には含まない光硬化性組成物。
具体的に、反応性二重結合を有するモノマーを光照射により硬化させるラジカル重合系の光硬化性組成物では硬化収縮の程度が大きく、硬化前後の体積の変化率を収縮率とする指標で10%以上の硬化収縮が生じる。そこで、利用されるのが含酸素環状部位の開環重合により硬化反応が進行するエポキシ、オキセタン化合物のカチオン重合系の光硬化性組成物であるが、このような光硬化組成物を用いた場合であっても、三員環の開環反応で硬化が進行するエポキシ化合物のときの硬化収縮は10%を下回る程度、四員環の開環反応で硬化が進行するオキセタン化合物のときで5%程度である。
また、硬化後の収縮率は配合の調整を適切に図ることにより、好ましくは0〜3%とすることができ、さらに好ましくは0〜1%とすることができる。
すなわち、これまでにない収縮率の低さにより、従来は反り、歪みがあった積層構造物を、反り、歪みのない積層構造物として提供することができるようになる。
これにより、後述する積層構造物の製造方法において、乾燥工程を要せず、工程を簡略化でき、光硬化後の収縮率を0〜4%に制御した積層構造物を得ることができる。
また、硬化後の収縮率は配合の調整を適切に図ることにより、好ましくは0〜3%とすることができ、さらに好ましくは0〜1%とすることができる。
なお、この「%/μm」は光照射時、波長300nmにおける接着層の厚さ1μmあたりの透過率である。
また、溶剤(D)を含有しない場合、本実施形態における光硬化性組成物は、光硬化性化合物(A)とフッ素含有ポリマー(C)の質量比(A)/(C)は、95/5〜25/75であり、92/8〜28/72であることが好ましく、90/10〜30/70であることがより好ましい。このような範囲に設定することで、上述の自身は硬化しない溶剤を含む光硬化性組成物を用いる場合と同様な効果が得られる。
光硬化性化合物(A)は、公知の光硬化性化合物の中から適宜選択することができるが、硬化後の硬化収縮にともなう基材の変形の抑制や、フッ素含有ポリマー(C)との相溶性の観点から、好適にはカチオン重合可能な開環重合性化合物が選ばれる。
光硬化開始剤(光重合開始剤)(B)としては、光の照射によってカチオンを生成する光カチオン開始剤が挙げられる。光硬化開始剤(B)の使用量は、光硬化性化合物(A)100質量部に対して0.05質量部以上であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。
フッ素含有ポリマーは、下記一般式(1)で表される構造単位を含有する。本実施形態において、このフッ素含有ポリマーを特定の割合で含む光硬化性組成物を接着剤として利用することにより、反り、歪みの発生を抑制し、高い寸法精度の積層構造物を作製することができる。
また、R1〜R4が互いに結合して環構造を形成していてもよく、ペルフルオロシクロアルキル、酸素を介したペルフルオロシクロエーテル等の環を形成してもよい。
さらに、本実施形態のフッ素含有ポリマーにおける一般式(1)のXは、−CH2−または−O−から選ばれ、それぞれを単独に有してもよく、それぞれを含んでいてもよい。また、一般式(1)のXが−CH2−または−O−を単独に、もしくはそれぞれを含む何れの場合であっても、R1〜R4のうち、いずれかが異なる種類の構造単位を含んでいてもよい。
すなわち、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)を上記した範囲とすることにより、基材間を接着する接着剤として、本実施形態の光硬化性組成物を好適に利用することができる。
フッ素含有ポリマー(C)は、下記一般式(2)で表わされるモノマーを開環メタセシス重合触媒によって連鎖移動重合し、得られる重合体の主鎖のオレフィン部(二重結合部分)を水素添加することによって、合成することができる。
ここで、本実施形態のフッ素含有ポリマーを合成するに際し、一般式(2)で表されるモノマーは、重合に寄与する化合物全体のうち、90重量%以上用いることが好ましく、95重量%以上用いることがより好ましく、98重量%以上用いることが更に好ましい。
このような沸点の溶剤を用いることで、蒸発速度を適切な速度に制御することができ、接着層の膜厚を所望の範囲に制御しやすくなる。またこれにより、光照射硬化後の接着強度を高めることができる。
本実施形態の光硬化性組成物には、必要に応じて、自身は光硬化しない溶剤(D)が含まれる。
この溶剤としては、フッ素含有ポリマー(C)を溶解することのできる溶媒を選択することが好ましい。また、フッ素含有ポリマー(C)を製造する際の反応において用いられた溶剤をそのまま用いても、粘度調整のために濃縮して用いても良い。
また、溶剤の具体例としては、前記、接着剤のワニスを調製するために用いられる溶剤と等しい種類の溶剤が用いられ、同一でも異なってもよく、単独でも2種類以上の溶剤を用いてもよい。
本実施形態において、光硬化性化合物(A)、光硬化開始剤(B)、フッ素含有ポリマー(C)を混合する方法としては、上述のフッ素含有ポリマー(C)溶液に光硬化性化合物(A)および光硬化開始剤(B)を添加して混合しても、フッ素含有ポリマー(C)を光硬化性化合物(A)に直接溶解して混合してもよい。さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、光硬化性組成物に紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、レべリング剤等の公知の各種添加剤を配合することができる。
続いて、本実施形態に係る積層構造物の製造方法について説明する。
本実施形態の積層構造物の製造方法は、無機材料または有機材料で構成される第1の基材と、無機材料または有機材料で構成される第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを接着する接着層とを備える積層構造物の製造方法であって、積層構造物に備えられる前記第1の基材と、前記第2の基材のうち、少なくともいずれか一方は、光硬化性化合物の光照射硬化に必要なだけの光透過性を有する基材であることを特徴とする。
また、当該積層構造物の製造方法は、第1の基材と前記第2の基材のうち少なくともいずれか一方の表面に、上記の光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、前記光硬化性組成物を塗布した表面を介して、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる積層工程と、前記光透過性を有する基材を介して光を照射する光照射工程と、を含むことを特徴とする。
本実施形態の積層構造物の製造方法における塗布工程の方法としては、特に制限はないが、例えば、前述の光硬化性組成物を、テーブルコート、スピンコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート、バーコート、ロールコート、カーテンフローコートなどにより基材に塗布する方法が挙げられる。
本実施形態の積層構造物の製造方法における積層工程は、光硬化性組成物を塗布した表面を介して、第1の基材11と第2の基材12とを貼り合せることで行われる。その方法としては、例えばローラーを押し当てる方法、両面を上下から挟み圧力を印加して押し付ける方法、塗布層を形成した基材を送りながら別の基材を載せて送りロールの周速度差を利用して押し付ける方法などが挙げられ、積層構造物の形態、プロセス適応性を考慮して好適に選ばれる。また、2種類以上の方法を併用して用いてもよく、加熱を併用してもよい。
本実施形態の積層構造物の製造方法における光照射工程は、光透過性を有する基材を介して光を照射することで行われる。
このとき、無機材料または/および有機材料から構成される基材間に存在する光硬化性組成物を、必要に応じて加圧してもよい。この光照射工程における光源としては、波長400nm以下の光線、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、発光ダイオード、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプ、i線、g線、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光を用いることができる。
光硬化性組成物に対する積算光量を上記範囲に設定することで、得られる硬化物の特性を低下や変色を招くことなく、安定的に硬化を行うことができる。
また、光照射時に加熱しながら光照射しても良く、光照射後に加熱しても良い。
光照射時または光照射後の加熱温度は、通常、室温以上であり、好ましくは30〜100℃が好ましく、より好ましくは50〜100℃である。
下記の条件下でゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、テトラヒドロフラン(THF)に溶解したポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を以下の条件で、ポリスチレンスタンダードによって分子量を較正して測定した。検出器:日本分光製RI−2031および875−UV、直列連結カラム:Shodex K−806M,804,803,802.5、カラム温度:40℃、流量:1.0ml/分、試料濃度:3.0mg/ml
水素添加反応を行った開環メタセシス重合体の粉末を重水素化クロロホルム、または重水素化テトラヒドロフランに溶解し、日本電子社製核磁気共鳴装置を用いて270MHz−1H−NMRスペクトルを測定し、δ=4.5〜7.0ppmの主鎖の二重結合炭素に結合する水素に由来するシグナルの積分値より水素添加率を算出した。
島津製作所社製DSC−50を用い、測定試料を窒素雰囲下で10℃/分の昇温速度で加熱し測定した。
光硬化性組成物の光線透過率は、島津製作所社製分光光度計UV3100Sを使用して、波長300nmの透過率を測定し、液膜高さの計測値から1μmあたりの透過率を評価した。
基材の貼り合わせる前の面積をA1とし、UV照射硬化して貼り合わせた後の基材の法線方向から見た面積をA2(カールなど変形している場合であっても、法線方向から見た二次元の面積を計測して算出する)として、以下の数式により収縮率を算出した。
収縮率(%)=(A1−A2)/A1×100
JIS K 5600 5−6「クロスカット法」に準拠して、貼り合わせたフィルムの片面を2mm×2mmのサイズで100マスを碁盤目状にカットしたフィルムに、ニチバン社製セロハンテープを貼り付け剥離し、残膜数をカウントして評価した。
5,5,6−トリフルオロ−6−(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(100g)と1−ヘキセン(0.268g)のテトラヒドロフラン溶液に、Mo(N−2,6−Pri 2C6H3)(CHCMe2Ph)(OBut)2(50mg)のテトラヒドロフラン溶液を添加し、70℃にて開環メタセシス重合を行った。得られたポリマーのオレフィン部を、パラジウムアルミナ(5g)によって120℃で水素添加反応を行い、ポリ(1,1,2−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−3,5−シクロペンチレンエチレン)のテトラヒドロフラン溶液を得た。
溶液をメタノールに加え、白色のポリマーをろ別、乾燥し99gのフッ素含有ポリマー(C)のポリマー1を得た。水素添加率は100%、重量平均分子量(Mw)は83000、分子量分布(Mw/Mn)は1.73、ガラス転移温度は109℃であった。
製造例1で合成したポリマー1を30質量%濃度で溶解したメチルイソブチルケトン溶液100gに、光硬化性化合物(A)として3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンと1,7−オクタジエンジエポキシドの質量比9/1の混合物を7.5g[(A)/(C)=20/80]、および光硬化開始剤(B)として(アデカオプトマーSP−172、旭電化社製)を0.4g加えた溶液を調製し、孔径1μmのフィルターで加圧ろ過し、次いで0.1μmのフィルターでろ過して光硬化性組成物1を調製した。液膜の高さ30μmで作製した光硬化性組成物1の300nmの光線透過率は92.7%/μmであった。
次いで、基材として厚み100μmのPETフィルム(ルミラー、東レ社製)を10cm×10cmのサイズに切り出し、バーコーターを用いて光硬化性組成物1をフィルム全面にコートした。その後、PETフィルムを50℃で1分間加熱し、放冷した後、10cm×10cmのサイズで切り出した厚み75μmのアクリルフィルム(アクリプレン、三菱レイヨン社製)を、光硬化性組成物1のコート面に載せクライムプロダクツ社製ラミネーターSE650UVを使用して、0.3MPaの圧力を印加しながら基材全面にローラーを走査して均一に圧着し、PETフィルムの背面から高輝度発光ダイオード(365nm)のUV光を200mJ/cm2の積算光量で照射し光硬化性組成物1を硬化させて、PETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みはNIKON社製デジマイクロMH−15M+TC−101用いて、積層構造物の任意の10箇所の厚みを測定して平均し、その平均値から基材の厚みの合計値を差し引いた値を積層構造物の接着層として求めた。その厚みは3.1μmであった。クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.2%であった。
光硬化性化合物(A)として3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンと1,7−オクタジエンジエポキシドの質量比9/1の混合物に、無溶剤でポリマー1を溶解した光硬化性組成物2[(A)/(C)=90/10]を調製した。液膜の高さ22.1μmで作製した光硬化性組成物2の300nmの光線透過率は78.4%/μmであった。
次いで、接着剤として光硬化性組成物2を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。実施例1と同様に測定した接着層の厚みは1.7μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.5%であった。
フッ素含有モノマーの種類を5,6−ジフルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で98gのポリマー2を得た。次いで、ポリマー2を30質量%濃度でメチルエチルケトンに溶解し、光硬化性化合物とポリマー2の比率を(A)/(C)=10/90に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で光硬化性組成物3を調製した。液膜の高さ40.2μmで作製した光硬化性組成物3の300nmの光線透過率は93.6%/μmであった。
次いで、光硬化性組成物3を接着剤に用いたこと以外は実施例1と同様の方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは4.1μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.4%であった。
フッ素含有モノマーの種類を5,6−ジフルオロ−5,6−ビストリフルオロメチル−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法で99gのポリマー3を得た。次いで、ポリマー3を30質量%濃度でメチルエチルケトンに溶解し、光硬化性化合物とポリマー3の比率を(A)/(C)=40/60に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で光硬化性組成物4を調製した。液膜の高さ19.8μmで作製した光硬化性組成物4の300nmの光線透過率は90.2%/μmであった。
次いで、光硬化性組成物4を接着剤に用いたこと以外は実施例1と同様の方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは0.8μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.3%であった。
光硬化性化合物(A)の種類を3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタンと1,7−オクタジエンジエポキシドの質量比9/1の混合物に、光硬化開始剤(B)をCPI−100P(サンアプロ社製)に変更したこと以外は実施例1と同様に光硬化性組成物5[(A)/(C)=20/80]を調製した。液膜の高さ22.4μmで作製した光硬化性組成物5の300nmの光線透過率は92.6%/μmであった。
次いで、光硬化性組成物5を接着剤に用いたこと以外は実施例1と同様の方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは2.5μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.4%であった。
光硬化性化合物(A)の種類を1,4−ビス[{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル]ベンゼンと1,7−オクタジエンジエポキシドの質量比9/1の混合物に、光硬化開始剤(B)をイルガキュアー 290(BASF社製)に変更したこと以外は実施例1と同様に光硬化性組成物6[(A)/(C)=20/80]を調製した。液膜の高さ30.1μmで作製した光硬化性組成物6の300nmの光線透過率は92.4%/μmであった。
次いで、光硬化性組成物6を接着剤に用いたこと以外は実施例1と同様の方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは3.4μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.2%であった。
光硬化性化合物(A)の種類を3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンと1−tert−ブトキシ−2,3−エポキシプロパンの質量比9/1の混合物に変更したこと以外は実施例1と同様に光硬化性組成物7[(A)/(C)=20/80]を調製した。液膜の高さ25.9μmで作製した光硬化性組成物7の300nmの光線透過率は92.6%/μmであった。
次いで、光硬化性組成物7を接着剤に用いたこと以外は実施例1と同様の方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは2.7μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.3%であった。
基材として製造例1で合成したポリマー1から形成した厚み30μmのフィルムを使用し、接着剤として実施例1の光硬化性組成物の溶剤をシクロヘキサノンに変更し光硬化性組成物8とした以外は、実施例1と同様の方法でPETフィルムとポリマー1のフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは3.5μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.2%であった。
基材として厚み3mm、サイズが10cm×10cmの石英ガラスに、実施例1で調製した光硬化性組成物1を全面にコートした。その後、石英ガラスを90℃で1分間加熱し、放冷した後、10cm×10cmのサイズで切り出した厚み75μmのアクリルフィルム(アクリプレン、三菱レイヨン社製)を、光硬化性組成物1のコート面に載せて実施例1と同様の方法で石英ガラスの背面からUV照射し、石英ガラスとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは1.5μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0%であった。
基材として厚み800μm、サイズが10cm×10cmのアルミニウムシートに実施例1で調製した光硬化性組成物1を全面にコートした。その後、アルミニウムシートを90℃で1分間加熱し、放冷した後、10cm×10cmのサイズで切り出した厚み100μmのPETフィルム(ルミラー、東レ社製)を、光硬化性組成物1のコート面に載せて実施例1と同様の方法でPETフィルム背面からUV照射し、アルミニウムシートとPETフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは2.4μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0%であった。
サイズが10cm×10cmでライン幅200nm、スペース幅100nm、ピッチ300nm、高さ200nmのライン&スペース形状を賦型したニッケルモールドのパターン面に、製造例1で合成したポリマー1を35質量%濃度で溶解したメチルイソブチルケトン溶液を載せバーコーターで全面にコートし、ニッケルモールドを120℃で2時間加熱した。
次いで、基材として10cm×10cmのサイズに切り出した厚み100μmのPETフィルム(ルミラー、東レ社製)にバーコーターを用いて実施例1で調製した光硬化性組成物1をPETフィルム全面にコートした。その後、PETフィルムを90℃で1分間加熱し、放冷した後、加熱後のニッケルモールドに接して積層された凹凸構造を賦型したポリマー1のフィルムの裏面に、PETフィルムの光硬化性組成物1のコート面が接触するように載せて、実施例1と同様の方法でPETフィルム背面からUV照射し、ニッケルモールドとポリマー1のフィルムを剥離することで、ライン幅100nm、スペース幅200nm、ピッチ300nm、高さ200nmのライン&スペースパターン形状を賦型した積層構造物を作製した。接着層の厚みは3.3μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.2%であった。
光硬化性化合物(A)と製造例1で合成したポリマー1の組成比を(A)/(C)=40/60に変更した以外は、実施例1と同様の方法で光硬化性組成物9を調製した。次に、サイズが20cm×20cmの4種類のマイクロレンズアレーパターンを有する石英モールドにおいて、パターンサイズが、10μm、15μm、20μm、25μmで、かつ、高さ10μmの石英モールドに光硬化性組成物9を塗布して、バーコーターで全面にコートし、120℃で加熱し、冷却後、積算光量で200mJ/cm2のUV光を照射した。これにより、石英モールド上に光硬化性組成物9を硬化させた、凹凸構造を賦型したフィルムから構成される層を形成させた。
次いで、実施例11と同様の方法で光硬化性組成物1を接着剤に使用して、剥離前の凹凸構造を賦型したフィルムの裏面とPETフィルムを接着した後、石英モールドを剥離してサイズが20cm×20cmの4種類のマイクロレンズアレーパターンを有する反転パターンを賦型したフィルムが積層された構造物を作製した。接着層の厚みは4.6μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.2%であった。
実施例12に記載した石英モールドと等しいサイズ、形状のモールドを2枚用いて、それぞれ、実施例12と同様に、光硬化性組成物9の凹凸構造を賦型したフィルムから構成される層を形成させた石英モールドを2枚作製した。(これらは何れも剥離前の状態であり、接着剤をコートする石英モールド上に硬化性組成物9の凹凸構造を形成させた基材をIとし、接着層に被せる基材をIIとする。)
次いで、基材Iに実施例2で調製した光硬化性組成物2をバーコーターで全面にコートした。その後、基材Iの接着層に基材IIを被せ実施例1と同様な方法で密着させ、基材Iの石英モールドの背面から積算光量で200mJ/cm2のUV光を照射して基材Iと基材IIを接着した。基材Iと基材IIそれぞれの石英モールドを剥離して、両面にマイクロレンズアレーパターンを有する反転パターンを賦型した積層構造物を作製した。接着層の厚みは1.1μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.1%であった。
製造例1で合成したポリマー1から作製した厚み50μm、サイズ10cm×10cmのフィルムを実施例11で使用したニッケルモールドのパターン面に載せて130℃に加熱し、10MPaの圧力で加熱溶融圧着して、室温まで冷却した。
これにより、ニッケルモールド上に、ライン&スペース形状を賦型したフィルムから構成される層を形成させた。
次いで、実施例11と同様の方法で光硬化性組成物1を接着剤に使用して、剥離前の凹凸構造を賦型したフィルムの裏面とPETフィルムを接着した後、石英モールドを剥離してライン幅100nm、ピッチ300nm、高さ200nmのライン&スペースパターン形状を賦型した積層構造物を作製した。接着層の厚みは3.8μmであり、クロスカット法で試験した密着性は100/100で良好な密着性を示し、収縮率は0.4%であった。
実施例1、3、5で作製した積層構造物を恒温恒湿オーブンに入れて、60℃、95%(湿度)の条件に2000時間暴露した後の外観検査、密着性評価した。3種何れの積層構造物も、濁り、変形、接着層の割れなど無く、クロスカット法による密着性も100/100で良好な密着性を維持していた。
光硬化開始剤(B)として光カチオン開始剤(アデカオプトマーSP−172、旭電化社製)を0.4g及び光硬化性化合物(A)として1,4−ビス[{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル]ベンゼンと1,7−オクタジエンジエポキシドの質量比9/1の混合物を調製し、光硬化性組成物10[(A)/(C)=100/0]とした。液膜の高さ23.5μmで作製した光硬化性組成物10の300nmの光線透過率は42.1%/μmであり、UV照射して硬化させた光硬化性組成物10は脆く割れ、フィルムとしての形状を保てなかった。
比較例1の光硬化性組成物10を使用して、実施例2と同様な方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物は、接着層の厚み3.8μmであり、接着層の一部にヒビが見られ、クロスカット法で試験した密着性は80/100で一部が剥離し、収縮率は4.2%であった。
2−メチル−2−プロペン酸メチル5gに光ラジカル硬化開始剤(エサキュアー KTO46、ランベルティー社製)を50質量%濃度で溶解した2−メトキシエタノール溶液0.3gを添加した光硬化性組成物11を調製した。液膜の高さ4.3μmで作製した光硬化性組成物11の300nmの光線透過率は20.3%/μmであり、次いで、実施例2と同様の方法でPETフィルムとアクリルフィルムを接着した積層構造物を作製した。接着層の厚みは4.0μmであり、クロスカット法で試験した密着性は77/100で一部が剥離した。積層構造物は、アクリルフィルム側に反りがあり、収縮率は13.5%であった。
12 第2の基材
13 接着層
100 積層構造物
Claims (12)
- 無機材料または有機材料で構成される第1の基材と、無機材料または有機材料で構成される第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを接着する接着層とを備える積層構造物であって、
前記接着層は、光硬化性化合物(A)、光硬化開始剤(B)、下記一般式(1)で表される構造単位を有するフッ素含有ポリマー(C)、および自身は光硬化しない溶剤(D)を含有し、かつ質量比(A)/(C)が95/5〜5/95の範囲であり、さらに質量比[(A)+(C)]/(D)が80/20〜5/95である光硬化性組成物を硬化することにより形成される、積層構造物。
- 無機材料または有機材料で構成される第1の基材と、無機材料または有機材料で構成される第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを接着する接着層とを備える積層構造物であって、
前記接着層は、光硬化性化合物(A)、光硬化開始剤(B)および下記一般式(1)で表される構造単位を有するフッ素含有ポリマー(C)を含有し、かつ質量比(A)/(C)が95/5〜25/75の範囲である光硬化性組成物を硬化させることにより形成される、積層構造物。
- 請求項1または2に記載の積層構造物であって、
前記第1の基材が、表面に凹凸の構造を有するフィルムであり、当該フィルムの裏面が前記接着層と接していることを特徴とする積層構造物。 - 前記光硬化性化合物(A)が、カチオン重合可能な開環重合性化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層構造物。
- 光硬化性化合物(A)、光硬化開始剤(B)、下記一般式(1)で表される構造単位を有するフッ素含有ポリマー(C)、および自身は光硬化しない溶剤(D)を含有し、かつ質量比(A)/(C)が95/5〜5/95の範囲であり、さらに質量比[(A)+(C)]/(D)が80/20〜5/95である光硬化性組成物。
- 自身は光硬化しない溶媒(D)を実質的に含まない、請求項6に記載の光硬化性組成物。
- 前記光硬化性化合物(A)が、カチオン重合可能な開環重合性化合物である、請求項5ないし7のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 光照射時における300nmの光線透過率が50%/μm以上である、請求項5ないし7のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 光硬化後の収縮率が0〜4%である、請求項5ないし7のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
- 無機材料または有機材料で構成される第1の基材と、無機材料または有機材料で構成される第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを接着する接着層とを備える積層構造物の製造方法であって、
前記積層構造物に備えられる前記第1の基材と、前記第2の基材のうち、少なくともいずれか一方は、光透過性を有する基材であり、
前記積層構造物の製造方法は、
前記第1の基材と前記第2の基材のうち少なくともいずれか一方の表面に、請求項5に記載の光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、
前記光硬化性組成物を塗布した基材を加熱して溶剤を蒸発させる工程と、
前記光硬化性組成物を塗布した表面を介して、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる積層工程と、
前記光透過性を有する基材を介して光を照射する光照射工程と、
を含むことを特徴とする、積層構造物の製造方法。 - 無機材料または有機材料で構成される第1の基材と、無機材料または有機材料で構成される第2の基材と、前記第1の基材と前記第2の基材とを接着する接着層とを備える積層構造物の製造方法であって、
前記積層構造物に備えられる前記第1の基材と、前記第2の基材のうち、少なくともいずれか一方は、光透過性を有する基材であり、
前記積層構造物の製造方法は、
前記第1の基材と前記第2の基材のうち少なくともいずれか一方の表面に、請求項6または7に記載の光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、
前記光硬化性組成物を塗布した表面を介して、前記第1の基材と前記第2の基材とを貼り合せる積層工程と、
前記光透過性を有する基材を介して光を照射する光照射工程と、
を含むことを特徴とする、積層構造物の製造方法。
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