JP2012030258A - 押出加工用ダイス装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、組立ダイスが、突起部を有するオスダイスと、突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、メスダイスがオスダイスを一体化するための円柱状のボディを有してなり、ダイホルダの支持孔が素材ビレット導入側に向かって先窄まり形状とされ、メスダイスのボディの先端側に先窄まり形状の支持孔に嵌り込む嵌合部が形成されるとともに、バックプレートに組立ダイスを通過した押出品を通過させる通過孔が形成されてなることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
このような押出加工法は、例えば図7に示すように、先端部にダイス101を固定したコンテナ102の孔部内にアルミニウム素材(ビレット)103を挿入し、このコンテナ102内のビレット103を加圧板(ステム)104によってダイス101に形成された開口部105方向へ押圧し、開口部105内に形成された一定の断面形状を有する隙間(型孔105a)から上記アルミニウム素材103を押出すことにより、上記素材を一定の断面形状の押出部品に押出加工するものである。この押出加工法によれば、コンテナ102内に挿入されたビレット103に圧縮力を作用させることにより、一段の変形で非常に複雑な形状の押出部品を得ることができる。
図9と図10に、特許文献1に記載された従来のインサート型のダイス装置の一例を示すが、この例のダイス100は、図8に示すアルミニウム製の押出偏平多穴チューブ106を押出加工するためのもので、図10に示す円盤状のダイスホルダDに形成された複数の貫通孔Hに挿脱自在とされた、嵌合離脱自在な一対の厚肉円盤ブロック状のメスダイス111とオスダイス112とから構成されている。
この特許文献2に記載の技術によれば、突起部を備えたコア部材とコア部材を装着するコアケースとからオスダイスを構成し、コア部材を摩耗に強い超硬合金から、コアケースを通常のダイス鋼から構成することにより、ダイスの長寿命化を図り、部分的に損耗や破損を生じた場合の交換性を高めることができるという特徴を有していた。
この原因について本発明者らが研究したところ、ステム104によって高圧でアルミニウム素材103を押し出そうとするので、ダイスホルダDの支持孔Hに取り付けたダイス100の位置がアルミニウム素材103に受ける圧力により微妙に変動し、これが原因になって、部分的に肉厚の異なる扁平多穴チューブ106が生産されてしまうのではないかと考えている。
また、特許文献2、3に記載の如くオスダイスを突起部とコア部に分割した構造のダイス装置にあっては、オスダイス自体が分割されているので、アルミニウム素材103の圧力により、コア部材あるいはボディが個々に位置ずれする可能性があるので、偏肉を生じるという面においては不利な構造であった。
前記メスダイスが円柱状のボディと、このボディに装着され孔部を備えたプレート部材とを具備してなり、前記ボディの後部側に形成された嵌合溝部に、前記コア部材とキャップ部材を備えた前記コアケースが嵌合され一体化され、
前記メスダイスと前記オスダイスとを一体化した組立ダイスが、キャップ部材の両端部とコアケースの両端部とボディの周囲部分を前記先窄まり状の支持孔の内面に当接させて支持孔の内部に装着されてなることを特徴とする構成でも良い。
本発明において、前記ダイホルダの支持孔において前記素材ビレット側の開口部に、前記オスダイスのキャップ部材に沿って前記開口部中央を横切るように設けられて前記キャップ部材を受けると共に、前記キャップ部材に対する素材ビレットの圧力を軽減するブリッジ部が設けられてなることを特徴とする。
例えば素材ビレットとしてアルミニウム合金を用い、熱交換器用扁平多穴チューブなどのように肉薄の壁部が複数形成されていて、これらの肉薄の壁部にて流路を区分するような構成の押出部品であっても、流路を仕切る複数の壁部の肉厚を均一化することができ、高品質の熱交換器用扁平多穴チューブを製造することができる。
また、このように部分毎に交換可能な分割構造のオスダイスとメスダイスとしながら、コアケース、キャップ部材、ボディをそれぞれ支持孔の内部側に確実に嵌合位置決め固定できるので、品質の安定した肉厚バラツキの生じていない押出部品を製造できる。
本発明は、ダイホルダの支持孔において素材ビレット側の開口部にブリッジ部を設けることにより、組立ダイスのオスダイスのキャップ部材がこのブリッジ部の後ろ側に配置されることとなり、ブリッジ部が素材ビレット流入時の圧力の一部を受けるので、ブリッジ部側への素材ビレットの流入時の圧力を一部軽減することができ、ブリッジ部の保護、ひいてはオスダイスの保護をなし得る。
図1は本発明に係る第1実施形態の押出加工用ダイス装置を備えた押出加工装置の一例を示す断面図、図2は同押出加工装置の簡略図、図3はダイスホルダの背面図、図4はダイスホルダに取り付けられる組立ダイスの一例を示す分解図、図5は同組立ダイスのボディ部分の詳細図、図6は同組立ダイスのキャップ部分の詳細図である。
図1に示す実施形態の押出加工装置Aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる素材ビレットBを収容する収容部1を備えた肉厚筒形容器であるコンテナ2と、このコンテナ2の一側に設けられて収容部1の素材ビレットBを押出自在に設けられたステム(加圧手段)3と、コンテナ2においてステム3の設置側と反対側に設けられたダイホルダ5とバックプレート6とボルスター7とを主体として構成されている。
前記ダイホルダ5の内部にはその中心軸回りの対称位置に4つの支持孔9が形成され、これらの支持孔9にそれぞれ図4に示す構造の組立ダイス10が装着されている。
図4に示す如くこの例の組立ダイス10は、円筒ブロック状のボディ11と、このボディ11の中心部に装着される平面視レーストラック形状の厚肉のプレート部材(入れ子部材)12と、プレート部材12の上側においてボディ11に重ねるように装着されるコアケース13と、このコアケース13に挿入されるコア部材15と、このコア部材15を部分的に覆ってコアケース13とボディ11とに装着されるキャップ部材16とを主体として構成されている。これらの部材は素材ビレットBとしてアルミニウム合金を想定した場合、ハイスピード鋼、ダイス鋼あるいは超硬合金から構成されることが好ましいが、特に、高圧の素材ビレットBと接触する部分が多い部材については超硬合金から形成することが望ましい。
前記基台部20の中央側には基台部20の中央部を貫通するスリット状の長円形状の中央孔25が形成されるとともに、基台部20の中央上部側には中央孔25に連通する入れ子用の挿入孔26が先の凹溝部30の中央部に開口するように形成されていて、この挿入孔26に前記プレート部材(入れ子部材)12が嵌め込まれるように構成されている。また、基台部20の両側には基台部20と嵌合部21とを貫通して嵌合溝部24の中央部に開口する取付孔27が形成されている。これらの取付孔27は、後述するコアケース13とキャップ部材16とをボディ11に装着した場合にそれらの両端側に後述の如く形成されている孔と位置合わせができるように形成されている。
更に、コアケース13の両端部13aには、コアケース13の両端部13aを嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において前述のボディ11の取付孔27に連通するための挿通孔37が両端部13aを個々に貫通するように形成されている。また、前記突起36の底面13cからの突出長さは、図4(A)に示す如くコアケース13の両端部13aをボディ11の嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において、突起部36の先端がボディ11内のプレート部材12と若干の間隔をあけて対向するように形成されている。
次にコアケース13の支持面13d、13dの中央側に、突起部36、36の間に位置して先の嵌合孔35の延在方向に沿って支持面13dの上部側から底部側にまで延出する段部13gが形成されている。これらの段部13g、13gは押出加工時にコアケース13に沿って流動する素材ビレットの流れを円滑にするための作用を奏する。
また、キャップ部材16の主面16dの中央には、キャップ部材16とコアケース13とを接合一体化した際に先に説明のコアケース13に形成されている段部13gと連続する段部16gが形成されている。このキャップ部材16の段部16gにあっても先のコアケース13の段部と同様に押出加工時の素材ビレットの流れを円滑にする。
これらのネジ穴40は、ボディ11に対して図4(A)に示すようにプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを装着した状態において、コアケース13の挿通孔37とボディ11の段付き孔型の取付孔27とに連通するように形成されていて、これらの孔を貫通してネジ穴40にボルトなどの締結具を螺合することでボディ11とプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを強固に一体化できるように構成されている。
この組立ダイス10を4基用意し、これらを図1に示すダイホルダ5の4つの支持孔9に個々に挿入することでダイホルダ5が完成する。
図3では一例として段部42bにおいてそれらの外側部分に膨出部42cを左右方向及び上下方向側に若干膨出させた形状として表記しているが、この膨出形状は一例に過ぎない。本発明では図3に示す形状に限るものではなく、4つの導入口9aがダイホルダ5の中央部側に90゜間隔で配置された場合、4つの導入口9aが占める領域の外側の領域に位置する段部42bの端部側を図3の上下左右のいずれかの方向に必要な幅のみ、任意の方向に他の段部と干渉しないように拡張すれば良い。このように段部を拡張してなる膨出部42bを備えることで、後述する素材ビレット3を押し出す場合の流動抵抗を低減することができる。
この操作により素材ビレットBは収容部1から段部42a、42bを介してダイホルダ5の導入口9a側に流入し、キャップ部材16の幅方向両側の支持孔内空間部と、コアケース13の幅方向両側の支持孔内空間部を通過し、ボディ11の凹溝部30側に至り、組立ダイス10のコア部材15とプレート部材12の開口部との間に画成されている型孔10Aを通過し、この型孔10Aの形状に加工された後、バックプレート6の通過孔6aとボルスター7の通過孔7aとを通過して押出部品Cとして得られる。
本実施形態では図4に示す如く櫛刃状の突起部15bと長円形状の孔部31を有するプレート部材12とにより画成される型孔10Aにより、図2に概略で示す横断面形状の扁平多穴チューブ(押出部品)Cが得られる。この扁平多穴チューブCは、横断面長円形状の周壁50の内側に複数の隔壁51が平行に所定の間隔で複数並列形成された扁平筒形のものとなる。
そこで本実施形態では、4つの導入口9aを配置した領域に位置する段部42において外側部分に膨出部42cを形成して段部の面積を大きくして導入口9aに素材を流れ込み易くしたので、4つの導入口9aの全断面積においてできるだけ素材ビレットBの流動状態を均一化できる結果として組立ダイス10の各部分に均等な圧力を付加することができ、組立ダイス10の各部分に対して適正な押出圧力を印加できる結果として、隔壁51の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
そして、この素材ビレットBの流れは次にコアケース13の段部13gに至り、段部13gにおいても素材ビレットBの流動性を整えつつ櫛刃状の突起部15bとプレート部材12の孔部31との間に画成されている型孔10Aを通過して目的の形状に押出加工される。本実施形態のダイス装置では、このようにキャップ部材16とコアケース13のいずれにおいても素材ビレットBの流れを整えることができ、型孔10Aまでの素材ビレットBの流れを円滑にすることができ、押出加工においてもできる限り円滑な加工ができる特徴を有する。
Claims (4)
- ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスと、前記ダイホルダの背後側に設けられて前記組立ダイスを受けるバックプレートを具備し、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて目的の形状の押出品とするためのダイス装置において、
前記組立ダイスが、突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記メスダイスが前記オスダイスを一体化するための円柱状のボディを有してなり、
前記ダイホルダの支持孔が前記素材ビレット導入側に向かって先窄まり形状とされ、前記メスダイスのボディの先端側に前記先窄まり形状の支持孔に嵌り込む嵌合部が形成されるとともに、前記バックプレートに前記組立ダイスを通過した押出品を通過させる通過孔が形成されてなることを特徴とする押出加工用ダイス装置。 - 前記オスダイスが、前記突起部を有するコア部材と、このコア部材を装着するコアケースと、前記コアケースに装着されたコア部材の後部側を覆って前記コアケースに装着されるキャップ部材とを具備してなり、
前記メスダイスが円柱状のボディと、このボディに装着され孔部を備えたプレート部材とを具備してなり、前記ボディの後部側に形成された嵌合溝部に、前記コア部材とキャップ部材を備えた前記コアケースが嵌合され一体化され、
前記メスダイスと前記オスダイスとを一体化した組立ダイスが、キャップ部材の両端部とコアケースの両端部とボディの周囲部分を前記支持孔の内面に当接させて支持孔の内部に装着されてなることを特徴とする請求項1に記載の押出加工用ダイス装置。 - 前記コアケースの両端面が前記支持孔の内面に合致する凸曲面状の傾斜面に加工されて前記組立ダイスの前記支持孔への嵌合時にそれらの両端部が前記支持孔の内面に嵌め込まれてなることを特徴とする請求項2に記載の押出加工用ダイス装置。
- 前記ダイホルダの支持孔において前記素材ビレット側の開口部に、前記オスダイスのキャップ部材に沿って前記開口部中央を横切るように設けられて前記キャップ部材を受けると共に、前記キャップ部材に対する素材ビレットの圧力を軽減するブリッジ部が設けられてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の押出加工用ダイス装置。
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