JP6002271B1 - 金型分流子およびそれを備えた鋳造用金型 - Google Patents
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金型分流子は、プランジャチップとの間にビスケット部を形成するとともにビスケット部に射出された溶湯をキャビティ部へ導くランナー部を形成する。
特許文献1に開示された金型分流子は、金型分流子の本体ブロック内に複数本の冷却穴を形成し、冷却穴に挿入される冷却水供給パイプから冷却水を流出させることにより金型分流子の本体ブロックを冷却するようにしたものである。
また、ビスケット部に対向する金型分流子の前方壁は、複数の冷却穴によって部分的に冷却されるため、ビスケット部の各領域が均等に冷却されず、冷却されにくい領域が生じてしまう。
また、金型分流子の中心軸に沿って冷却穴が延びている一方でランナー部を形成する金型分流子の上壁部が中心軸に対して傾斜している。そのため、ランナー部に沿った各領域を均等に冷却することができない。
本発明に係る金型分流子は、中心軸線に沿って移動して溶湯を射出するプランジャチップとの間にビスケット部を形成する金型分流子であって、それぞれ前記中心軸線に沿って略円錐台状に形成される外周面および内周面を有するとともに前記プランジャチップにより射出された溶湯を前記ビスケット部からキャビティ部へ導くランナー部が上部の前記外周面に形成された本体部と、前記中心軸線に沿って略円錐台状に形成されるとともに前記内周面に接触した状態で配置される冷却機構とを備え、前記冷却機構の先端部と前記本体部の前記内周面との間に前記ビスケット部と対向するとともに前記中心軸線に直交する断面が略円形の第1空間が形成され、前記冷却機構の上部に形成される溝部と前記本体部の前記内周面との間に前記第1空間と連通するとともに前記ランナー部と対向するように前記中心軸線に沿って延びる第2空間が形成され、前記冷却機構は、外部から流入した冷却媒体を前記第1空間の下方であって前記中心軸線よりも下方の領域へ流入させる流入流路と、前記第1空間から前記第2空間へ導かれた冷却媒体を外部へ流出させる流出流路とを有し、前記ランナー部を形成する前記外周面の前記中心軸線に対する第1傾斜角度と前記第2空間を形成する前記本体部の前記内周面の前記中心軸線に対する第2傾斜角度とが一致している。
外部から流入した冷却媒体は、冷却機構が有する流入流路によって第1空間の下方へ流入し、ビスケット部の各領域を略均等に冷却しながら上方へ導かれる。
ここで、ランナー部を形成する外周面の軸線に対する第1傾斜角度と第2空間を形成する本体部の内周面の軸線に対する第2傾斜角度とが一致している。そのため、本体部のランナー部を冷却する部分における径方向の厚さが、ランナー部が延びる軸線に沿って一定となり、ランナー部の各領域が冷却媒体によって略均等に冷却される。
そのため、冷却穴および冷却水供給パイプを用いて冷却穴の内部に冷却媒体を流通させる方式に比べ、乱流や停滞を発生させることなく内部に冷却媒体を流通させることができる。
このようにすることで、本体部のランナー部を冷却する第2空間の各領域において、冷却機構の上部に形成される溝部と本体部の内周面との距離が一定となる。
そのため、第2空間を通過する冷却媒体が第2空間の中心軸線に沿った各領域で略均等な流速で流通し、ランナー部の中心軸線に沿った各領域が冷却媒体によって略均等に冷却される。
このようにすることで、本体部のランナー部を冷却する第2空間の周方向の各領域において、冷却機構の上部に形成される溝部と本体部の内周面との距離が一定となる。
そのため、第2空間を通過する冷却媒体が第2空間の周方向の各領域で略均等な流速で流通し、ランナー部の周方向の各領域が冷却媒体によって略均等に冷却される。
このようにすることで、単一の溝部により単一の第2空間を形成する場合に比べ、第2空間の周方向の各位置における冷却媒体の流速の偏りを減少させることができる。
このようにすることで、第1空間から第2空間へ流入した冷却媒体を中心軸線回りの周方向に沿って冷却機構の外周面に形成される流出流路に沿って流出口へ導くことができる。
このようにすることで、ランナー部を形成する本体部の外周面の軸線に対する第1傾斜角度を型抜きに適した3°以上かつ15°以下の範囲の角度(勾配)にしつつ、ランナー部の各領域が冷却媒体によって略均等に冷却されるようにすることができる。
このようにすることで、乱流や停滞を発生させることなく内部に冷却媒体を流通させるとともに、ビスケット部およびランナー部の各領域をそれぞれ略均等に冷却することを可能とした金型分流子を備える鋳造用金型を提供することができる。
以下、本発明の第1実施形態のダイカスト鋳造用金型について、図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態のダイカスト鋳造用金型100(鋳造用金型)は、アルミニウム、亜鉛、またはマグネシウムの鋳造を行うための装置である。
プランジャチップ13は、湯口スリーブ14の内周面14aに沿って進退可能となっている。
また、湯口スリーブ14には、内部に形成される冷却穴(図示略)に冷却水を供給するための冷却水供給配管22と、冷却穴(図示略)に供給された冷却水を排出するための冷却水戻り配管23とが接続されている。
ビスケット部10は、プランジャチップ13が金型分流子30に最も近接した状態で金型分流子30がプランジャチップ13との間に形成する領域を示している。
可動金型3は、可動プラテン5に固定された部材である。可動金型3に形成された凹所3aには、可動金型キャビティ7が収容されている。可動金型3は、可動プラテン5に連結される油圧シリンダ等の駆動機構(図示略)によって、図1に示す固定金型2に近接した位置と、固定金型2から離間した位置(図示略)とが切り替えられる。
チルベント20は、固定金型2に固定される固定チルベント20aと、可動金型3に固定される可動チルベント20bとを備える。固定チルベント20aには吸引ポート20cが設けられている。
図2に示すように、本実施形態の金型分流子30は、プランジャチップ13との間にビスケット部10を形成する本体ブロック31(本体部)と、本体ブロック31の内部に挿入されるセパレータ32とを備える。
本体ブロック31の上部の外周面31aには、軸線Xに沿って移動するプランジャチップ13により射出された溶湯をビスケット部10からキャビティ部8へ導くランナー部9が形成されている。
また、本体ブロック31の下部には、冷却水戻り配管19(図1参照)に接続されるとともに外周面31aから内周面31bへ向けて貫通する流出口31dが形成されている。
セパレータ32は、軸線Xに沿って略円錐台状に形成されるとともに本体ブロック31の内周面31bに接触した状態で配置される部材である。セパレータ32を形成する部材として、SUS303等のステンレス鋼が好適に用いられる。
環状溝32eにはOリング32gが配置されている。環状溝32eに配置されたOリング32gと本体ブロック31の内周面31bが接触することにより、軸線X回りの全周に渡って冷却水の漏れを防止するシール領域が形成される。
このシール領域は流入口31cと流出口31dとの間に形成される。そのため、流入口31cから流入する冷却水がセパレータ32の流入流路32bに導かれずにそのまま流出口31dへ導かれることが防止される。
図2に示すように第1空間S1の上方において、第1空間S1と第2空間S2とは連通した状態となっている。
また、第2空間S2を形成する本体ブロック31の内周面31bの軸線Zに対する傾斜角度は第2傾斜角度θ2となっている。また、第2空間S2を形成するセパレータ32の溝部32cの軸線Zに対する傾斜角度は第3傾斜角度θ3となっている。
したがって、第1傾斜角度θ1は外周面31aの軸線Xに対する傾斜角度を示し、第2傾斜角度θ2は内周面31bの軸線Xに対する傾斜角度を示し、第3傾斜角度θ3は溝部32cの軸線Xに対する傾斜角度を示す。
第1傾斜角度θ1と第2傾斜角度θ2を一致させることにより、本体ブロック31のランナー部9を冷却する部分における径方向(軸線Xに直交する方向)の厚さが、ランナー部9が延びる軸線Xに沿って一定(図2に示す距離D1)となる。
このようにすることで、本体ブロック31のランナー部9を冷却する第2空間S2の周方向の各領域において、セパレータ32の上部に形成される溝部32cと本体ブロック31の内周面31bとの距離D2が一定となる。
本実施形態の金型分流子30によれば、セパレータ32の先端部32aと本体ブロック31の内周面31bとの間にビスケット部10と対向する第1空間S1が形成される。また、セパレータ32の上部に形成される溝部32cと本体ブロック31の内周面31bとの間に第1空間S1と連通するとともにランナー部9と対向するように軸線Xに沿って延びる第2空間S2が形成される。
冷却水供給配管18から流入した冷却水は、セパレータ32が有する流入流路32bによって第1空間S1の下方へ流入し、ビスケット部10の各領域を略均等に冷却しながら上方へ導かれる。
ここで、ランナー部9を形成する外周面31aの軸線Xに対する第1傾斜角度θ1と第2空間S2を形成する本体ブロックの内周面31bの軸線Xに対する第2傾斜角度θ2とが一致している。そのため、本体ブロック31のランナー部9を冷却する部分における径方向の厚さが、ランナー部9が延びる軸線Xに沿って一定(図2に示す距離D1)となり、ランナー部9の各領域が冷却水によって略均等に冷却される。
そのため、冷却穴および冷却水供給パイプを用いて冷却穴の内部に冷却水を流通させる従来の方式に比べ、乱流や停滞を発生させることなく内部に冷却水を流通させることができる。
このようにすることで、本体ブロック31のランナー部9を冷却する第2空間S2の各領域において、セパレータ32の上部に形成される溝部32cと本体ブロック31の内周面31bとの距離が一定(図2に示す距離D2)となる。
そのため、第2空間S2を通過する冷却水が第2空間S2の軸線Xに沿った各領域で略均等な流速で流通し、ランナー部9の軸線Xに沿った各領域が冷却水によって略均等に冷却される。
このようにすることで、本体ブロック31のランナー部9を冷却する第2空間S2の周方向の各領域において、セパレータ32の上部に形成される溝部32cと本体ブロック31の内周面31bとの距離D2が一定となる。
そのため、第2空間S2を通過する冷却水が第2空間S2の周方向の各領域で略均等な流速で流通し、ランナー部9の周方向の各領域が冷却水によって略均等に冷却される。
このようにすることで、第1空間S1から第2空間S2へ流入した冷却水を軸線X回りの周方向に沿ってセパレータ32の外周面に形成される流出流路32dに沿って流出口31dへ導くことができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るダイカスト鋳造用金型について、図7を参照して説明する。
なお、第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
それに対して本実施形態のダイカスト鋳造用金型は、セパレータ32に複数の溝部32cが形成され、複数の溝部32cと本体ブロック31の内周面31bとの間に複数の第2空間S2が形成される金型分流子30’を備えるものである。
そうすると、単一の第2空間S2の周方向の各領域で冷却水の流速に偏りが生じ、ランナー部9を周方向に略均等に冷却することができなくなってしまう。
次に、本発明の第3実施形態に係るダイカスト鋳造用金型について、図8および図9を参照して説明する。
なお、第3実施形態は第2実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第2実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
それに対して本実施形態のダイカスト鋳造用金型は、本体ブロック31に流入口31cおよび流出口31dを形成せず、それぞれ軸線Xに沿って延びる流入流路32bおよび流出流路32iをセパレータ32に形成するものである。
以上の説明においては、金型分流子を冷却するための冷却媒体として冷却水を用いるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、水以外の液体または気体等の他の冷却媒体を用いるようにしてもよい。
2 固定金型
3 可動金型
8 キャビティ部
9 ランナー部
10 ビスケット部
12 プランジャスリーブ
13 プランジャチップ
14 湯口スリーブ
18 冷却水供給配管
19 冷却水戻り配管
21 溶湯供給口
22 冷却水供給配管
23 冷却水戻り配管
30,30’,30” 金型分流子
31 本体ブロック(本体部)
31a 外周面
31b 内周面
31c 流入口
31d 流出口
32 セパレータ(冷却機構)
32a 先端部
32b 流入流路
32c 溝部
32d 流出流路
32e,32f 環状溝
32g,32h Oリング
32i 流出流路
32j 冷却駒
100 ダイカスト鋳造用金型(鋳造用金型)
S1 第1空間
S2 第2空間
X,Y,Z 軸線
θ1 第1傾斜角度
θ2 第2傾斜角度
θ3 第3傾斜角度
Claims (7)
- 中心軸線に沿って移動して溶湯を射出するプランジャチップとの間にビスケット部を形成する金型分流子であって、
それぞれ前記中心軸線に沿って略円錐台状に形成される外周面および内周面を有するとともに前記プランジャチップにより射出された溶湯を前記ビスケット部からキャビティ部へ導くランナー部が上部の前記外周面に形成された本体部と、
前記中心軸線に沿って略円錐台状に形成されるとともに前記内周面に接触した状態で配置される冷却機構とを備え、
前記冷却機構の先端部と前記本体部の前記内周面との間に前記ビスケット部と対向するとともに前記中心軸線に直交する断面が略円形の第1空間が形成され、
前記冷却機構の上部に形成される溝部と前記本体部の前記内周面との間に前記第1空間と連通するとともに前記ランナー部と対向するように前記中心軸線に沿って延びる第2空間が形成され、
前記冷却機構は、外部から流入した冷却媒体を前記第1空間の下方であって前記中心軸線よりも下方の領域へ流入させる流入流路と、前記第1空間から前記第2空間へ導かれた冷却媒体を外部へ流出させる流出流路とを有し、
前記ランナー部を形成する前記外周面の前記中心軸線に対する第1傾斜角度と前記第2空間を形成する前記本体部の前記内周面の前記中心軸線に対する第2傾斜角度とが一致している金型分流子。 - 前記第2空間を形成する前記冷却機構の前記溝部の前記中心軸線に対する第3傾斜角度が、前記第1傾斜角度および前記第2傾斜角度と一致している請求項1に記載の金型分流子。
- 前記第2空間を形成する前記冷却機構の前記溝部と前記本体部の前記内周面との距離が、前記中心軸線回りの周方向において一定である請求項1または請求項2に記載の金型分流子。
- 前記冷却機構の上部に前記中心軸線回りの周方向に間隔を空けて複数の前記溝部が形成され、
該複数の溝部と前記本体部の前記内周面との間に複数の前記第2空間が形成される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金型分流子。 - 前記流出流路から流出する冷却媒体を外部へ流出させる流出口が前記本体部に形成され、
前記流出流路は、前記中心軸線回りの周方向に沿って前記冷却機構の外周面に環状に形成されるとともに前記第2空間および前記流出口に連通した流路である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金型分流子。 - 前記第1傾斜角度および前記第2傾斜角度は、3°以上かつ15°以下の範囲で設定される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金型分流子。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の金型分流子を備える鋳造用金型。
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