JP5485024B2 - 押出加工用ダイス装置 - Google Patents
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このような押出加工法は、例えば図12に示すように、先端部にダイス101を固定したコンテナ102の孔部内にアルミニウム素材(ビレット)103を挿入し、このコンテナ102内のビレット103を加圧板(ステム)104によってダイス101に形成された開口部105方向へ押圧し、開口部105内に形成された一定の断面形状を有する隙間(型孔105a)から上記アルミニウム素材103を押出すことにより、上記素材を一定の断面形状の押出部品に押出加工するものである。この押出加工法によれば、コンテナ102内に挿入されたビレット103に圧縮力を作用させることにより、一段の変形で非常に複雑な形状の押出部品を得ることができる。
図14と図15に、特許文献1に記載された従来のインサート型のダイス装置の一例を示すが、この例のダイス100は、図13に示すアルミニウム製の押出偏平多穴チューブ106を押出加工するためのもので、図15に示す円盤状のダイスホルダDに形成された複数の貫通孔Hに挿脱自在とされた、嵌合離脱自在な一対の厚肉円盤ブロック状のメスダイス111とオスダイス112とから構成されている。
これらの特許文献2、3に記載の技術によれば、突起部を備えたコア部材とコア部材を装着するボディとからオスダイスを構成し、コア部材を摩耗に強い超硬合金から、ボディを通常のダイス鋼から構成することにより、ダイスの長寿命化を図り、更に、部分的に損耗や破損などを生じた場合、コア部材とボディとオスダイスのいずれかのみを交換して他の部分は再度使用するなどの交換性を高めることができるという特徴を有していた。
従って、オスダイス112とメスダイス111からなるダイス装置の長寿命化を図るため、あるいは、押出時の損傷や損壊を防止するため、これらの部品を冷却する機構が要望されているが、小型薄肉タイプの扁平多穴チューブ106用のダイス装置の場合、機構が複雑なので適切な冷却機構が提供されていない状況であった。
本発明は前記した問題に鑑み創案されたものであり、ダイホルダの支持孔に対して複数の組立ダイスを安定支持した構造でバックプレートを備えたダイス装置において、各々の組立ダイスが複数の部品から構成されていて、複雑な構造であっても、ダイホルダに備えた全ての組立ダイスを均等に冷却することができる冷却構造を備えたダイス装置を提供できる技術の提供を目的とする。
本発明において、前記バックプレートに該バックプレートの通過孔と前記組立ダイスのボディの流出口とに接続される冷媒の流通路を構成したものでも良い。
また、バックプレートに形成した1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の路幅を順次小さく、深さを順次深くすることで、ダイホルダに複数設けた組立ダイスに拡張路が接近するにつれて単位面積当たりに設けることができる拡張路の路幅の余裕度が少なくなっても、拡張路を組立ダイスの位置に合わせてバックプレートの種々の位置に自由に配置できると共に、拡張路が狭くなっても拡張路の深さを大きくすることで冷媒を流すことができる流路断面積を確保し、効率良く確実にバックプレートと組立ダイスを冷却できる。
組立ダイスのメスダイスのボディに冷媒流路を形成し、その内部側においてオスダイスと形成する型孔近くの部分まで冷媒を供給できるので、複数の部品の組み立て構造となっている複雑な構造の組立ダイスであっても、必要な部分を確実に冷却することができる。
図1は本発明に係る第1実施形態の押出加工用ダイス装置を備えた押出加工装置の一例を示す断面図、図2は同押出加工装置の簡略図、図3は第1の例のダイスホルダの背面図、図4はダイスホルダに取り付けられる組立ダイスの一例を示す分解図、図5は同組立ダイスのボディ部分の詳細図、図6は同組立ダイスのキャップ部分の詳細図、図7はダイホルダの第2の例を示す背面図、図8は組立ダイスの拡張路への接続状態を示す斜視図、図9はダイホルダとバックプレートを示す斜視図、図10はバックプレートの冷媒拡張路を示す斜視図、図11は同冷媒拡張路の平面図である。
図1に示す実施形態の押出加工装置Aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる素材ビレットBを収容する収容部1を備えた肉厚筒形容器であるコンテナ2と、このコンテナ2の一側に設けられて収容部1の素材ビレットBを押出自在に設けられたステム(加圧手段)3と、コンテナ2においてステム3の設置側と反対側に設けられたダイホルダ5とバックプレート6とボルスター7とを主体として構成されている。
前記ダイホルダ5の内部にはその中心軸回りの対称位置に4つの支持孔9が形成され、これらの支持孔9にそれぞれ図4に示す構造の組立ダイス10が装着されるように構成されている。なお、本願発明で意図する冷媒導入路と1次〜3次拡張路を設けるのは、実際には図7〜図9に示すダイホルダ50とバックプレート70との組み合わせの場合であるが、それらの説明の前に、基本構造の説明としてダイホルダ5とバックプレート6と組立ダイス10を設けた場合について説明する。
前記基台部20の中央側には基台部20の中央部を貫通するスリット状の長円形状の中央孔25が形成されるとともに、基台部20の中央上部側には中央孔25に連通する入れ子用の挿入孔26が先の凹溝部30の中央部に開口するように形成されていて、この挿入孔26に前記プレート部材(入れ子部材)12が嵌め込まれるように構成されている。また、基台部20の両側には基台部20と嵌合部21とを貫通して嵌合溝部24の中央部に開口する取付孔27が形成されている。これらの取付孔27は、後述するコアケース13とキャップ部材16とをボディ11に装着した場合にそれらの両端側に後述の如く形成されている孔と位置合わせができるように形成されている。
更に、コアケース13の両端部13aには、コアケース13の両端部13aを嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において前述のボディ11の取付孔27に連通するための挿通孔37が両端部13aを個々に貫通するように形成されている。また、前記突起36の底面13cからの突出長さは、図4(A)に示す如くコアケース13の両端部13aをボディ11の嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において、突起部36の先端がボディ11内のプレート部材12に若干の間隙をもって対向するように形成されている。
次にコアケース13の支持面13d、13dの中央側に、突起部36、36の間に位置して先の嵌合孔35の延在方向に沿って支持面13dの上部側から底部側にまで延出する段部13gが形成されている。これらの段部13g、13gは押出加工時にコアケース13に沿って流動する素材ビレットの流れを円滑にするための作用を奏する。
また、キャップ部材16の主面16dの中央には、キャップ部材16とコアケース13とを接合一体化した際に先に説明のコアケース13に形成されている段部13gと連続する段部16gが形成されている。このキャップ部材16の段部16gにあっても先のコアケース13の段部と同様に押出加工時の素材ビレットの流れを円滑にする。
これらのネジ穴40は、ボディ11に対して図4(A)に示すようにプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを装着した状態において、コアケース13の挿通孔37とボディ11の段付き孔型の取付孔27とに連通するように形成されていて、これらの孔を貫通してネジ穴40にボルトなどの締結具を螺合することでボディ11とプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを強固に一体化できるように構成されている。
この組立ダイス10を4基用意し、これらを図1に示すダイホルダ5の4つの支持孔9に個々に挿入することでダイホルダ5が完成する。
図3では一例として段部42bにおいてそれらの外側部分に膨出部42cを左右方向及び上下方向側に若干膨出させた形状として表記しているが、この膨出形状は一例に過ぎない。本発明では図3に示す形状に限るものではなく、4つの導入口9aがダイホルダ5の中央部側に90゜間隔で配置された場合、4つの導入口9aが占める領域の外側の領域に位置する段部42bの端部側を図3の上下左右のいずれかの方向に必要な幅のみ、任意の方向に他の段部と干渉しないように拡張すれば良い。このように段部を拡張してなる膨出部42bを備えることで、後述する素材ビレット3を押し出す場合の流動抵抗を低減することができる。
この操作により素材ビレットBは収容部1から段部42a、42bを介してダイホルダ5の導入口9a側に流入し、キャップ部材16の幅方向両側の支持孔内空間部と、コアケース13の幅方向両側の支持孔内空間部を通過し、ボディ11の凹溝部30側に至り、組立ダイス10のコア部材15とプレート部材12の開口部との間に画成されている型孔10Aを通過し、この型孔10Aの形状に加工された後、バックプレート6の通過孔6aとボルスター7の通過孔7aとを通過して扁平多穴チューブ(押出部品)Cとして得られる。
本実施形態では図4に示す如く櫛刃状の突起部15bと長円形状の孔部31を有するプレート部材12とにより画成される型孔10Aにより、図2に概略で示す横断面形状の扁平多穴チューブ(押出部品)Cが得られる。この扁平多穴チューブCは、横断面長円形状の周壁55の内側に複数の隔壁56が平行に所定の間隔で複数並列形成された扁平筒形のものとなる。
そこで本実施形態では、4つの導入口9aを配置した領域に位置する段部42において外側部分に膨出部42cを形成して段部の面積を大きくして導入口9aに素材を流れ込み易くしたので、4つの導入口9aの全断面積においてできるだけ素材ビレットBの流動状態を均一化できる結果として組立ダイス10の各部分に均等な圧力を付加することができ、組立ダイス10の各部分に対して適正な押出圧力を印加できる結果として、隔壁56の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
そして、この素材ビレットBの流れは次にコアケース13の段部13gに至り、段部13gにおいても素材ビレットBの流動性を整えつつ櫛刃状の突起部15bとプレート部材12の孔部31との間に画成されている型孔10Aを通過して目的の形状に押出加工される。本実施形態のダイス装置では、このようにキャップ部材16とコアケース13のいずれにおいても素材ビレットBの流れを整えることができ、型孔10Aまでの素材ビレットBの流れを円滑にすることができ、押出加工においてもできる限り円滑な加工ができる特徴を有する。
図7に示す形状のダイホルダ50においても導入口59aにおいて、その周辺に段部50a、50bを設け、ダイホルダ50の中心に近い側の段部50aの面積よりもダイホルダ50の外周に近い側の段部50bの面積の方が大きくなるように膨出部50cが形成されている。
まず、バックプレート70には先のダイホルダ50に形成されている支持孔59の中心に対応するようにバックプレート70の中心を囲む点対称位置に横断面長円形の6本の通過孔70Aが形成されている。これら6本の通過孔70Aは、互いの長軸方向を平行にして個々にバックプレート70を貫通するように形成されている。
次に、バックプレート70の中央部にこのバックプレート6を厚さ方向に貫通する冷媒導入路71が形成され、この冷媒導入路71が開口したバックプレート70のダイホルダ側の表面中央部から、バックプレート6の直径方向に直線状の1次拡張路72が形成されている。この1次拡張路72は、図10に示す如く、6つの通過孔70Aを左右に3つずつに区切るようにバックプレート70の中央側に形成され、1次拡張路72の両端部はバックプレート70の表面部分において通過孔70Aの形成位置より若干バックプレート70の外縁側まで延出されてそれらの各位置においてT字形に分岐されて個々に1次拡張路73、74が延出形成されている。
次に、バックプレート70の表面側において各通過孔70Aの開口端部70a、70bのそれぞれに、コ字型の4次拡張路83が互いに逆向きに接続するように形成されている。これらの4字拡張路83はダイプレート50とバックプレート70を突き合わせた場合、組立ダイス10のボディ11に形成されている冷媒流出路20bに接続されて冷媒の排出路の一部となるとともに、この4字拡張路83を通過した冷媒は通過孔70Aを介して外部に排出されるようになっている。
また、第1拡張路72、73、74と、第2拡張路77、78と、第3拡張路75、76、81、79、80、81、82は、これらの順に順次路幅が狭くなっているが、これら拡張路の深さはこれらの順に深く形成することで、各拡張路の横断面積を均一化していることから、ダイホルダ50のいずれのダイス装置10に対しても同等量の冷媒ガスを供給することができ、いずれのダイス装置10に対しても効率良く均一に冷却することができる。
また、バックプレート70とダイホルダ50の位置合わせを行うことで、バックプレート70に形成した第3拡張路75、81、79、80、82、76を各ダイス装置10の冷媒流入路20aに位置合わせすることができるので、1次〜3次の各拡張路とボディ11の流入路20aとの位置合わせも確実かつ容易になし得る。
冷媒により組立ダイス10を冷却することにより、ダイス装置の温度上昇を抑制できる効果と、冷却効率が向上する分、押出速度を高くすることができる効果を得ることができる。
Claims (6)
- ダイホルダと、該ダイホルダに複数形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスと、前記ダイホルダの背後側に設けられて前記組立ダイスを受けるバックプレートが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて押出成形し、次いで前記バックプレートに形成した通過孔を介して押出成形品を取り出し自在としたダイス装置において、
前記バックプレートに形成した冷媒導入路を前記ダイホルダに複数設けた組立ダイスに到達させるようにバックプレートの面方向に沿って拡張路により拡張してなり、
前記バックプレートに設けた拡張路を前記冷媒導入路側から前記組立ダイス側に至る部分まで次第に路幅を狭く、次第に深さを深くしてなることを特徴とするダイス装置。 - ダイホルダと、該ダイホルダに複数形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスと、前記ダイホルダの背後側に設けられて前記組立ダイスを受けるバックプレートが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて押出成形し、次いで前記バックプレートに形成した通過孔を介して押出成形品を取り出し自在としたダイス装置において、
前記組立ダイスが、突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記メスダイスが前記オスダイスを一体化するための円柱状のボディを有してなり、前記支持孔に挿入された組立ダイスのボディの底面を前記バックプレート表面に当接させて該組立ダイスを支持孔内に位置決め固定してなり、
前記バックプレートに該バックプレートを貫通する冷媒導入路を形成し、前記バックプレートに前記冷媒導入路からバックプレートの面方向に拡張する冷媒拡張路を形成するとともに、
前記組立ダイスのボディに、その内部を通過して該ボディの底面に冷媒の流入口と流出口を開口する冷媒流路を形成し、前記冷媒拡張路を前記冷媒流路に接続してなり、
前記バックプレートの冷媒拡張路が、前記冷媒導入路からバックプレートの外周側に向いて面方向に拡張形成された1次拡張路と、該1次拡張路から前記ダイホルダの複数の支持孔形成位置側に接近するように拡張形成された2次拡張路と、該2次拡張路から前記複数の支持孔内のボディの流入口側に拡張形成された3次拡張路を具備してなり、
前記1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の順に拡張路の路幅を順次小さく形成し、前記1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の順に拡張路の深さを順次大きく形成してなることを特徴とする押出加工用ダイス装置。 - ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスと、前記ダイホルダの背後側に設けられて前記組立ダイスを受けるバックプレートが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて押出成形し、次いで前記バックプレートに形成した通過孔を介して押出成形品を取り出し自在としたダイス装置において、
前記組立ダイスが、突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記メスダイスが前記オスダイスを一体化するための円柱状のボディを有してなり、前記支持孔に挿入された組立ダイスのボディの底面を前記バックプレート表面に当接させて該組立ダイスを支持孔内に位置決め固定してなり、
前記バックプレートに該バックプレートを貫通してその表面側に開口部を形成する冷媒導入路を形成し、前記バックプレートの表面に、前記開口部から分岐してバックプレート表面に拡張形成されて前記組立ダイスのボディの底面との間に冷媒拡張路を形成するとともに、
前記組立ダイスのボディに、その内部を通過して該ボディの底面に冷媒の流入口と流出口を開口する冷媒流路を形成し、前記バックプレートの表面を前記ボディの底面に面合わせすることで前記ボディの流入口に前記バックプレート表面の冷媒拡張路を接続してなることを特徴とする押出加工用ダイス装置。 - 前記バックプレートの冷媒拡張路が、前記冷媒導入路からバックプレートの外周側に向いて面方向に拡張形成された1次拡張路と、該1次拡張路から前記ダイホルダの複数の支持孔形成位置側に接近するように拡張形成された2次拡張路と、該2次拡張路から前記複数の支持孔内のボディの流入口側に拡張形成された3次拡張路とを具備してなり、
前記1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の順に拡張路の路幅を順次小さく形成し、前記1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の順に拡張路の深さを順次大きく形成してなることを特徴とする請求項3に記載の押出加工用ダイス装置。 - 前記1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の順に拡張路の路幅を順次小さく形成し、前記1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の順に拡張路の深さを順次大きく形成するに際し、前記1次拡張路と2次拡張路と3次拡張路の横断面積を等価にしてなることを特徴とする請求項1、2または4のいずれかに記載の押出加工用ダイス装置。
- 前記バックプレートに該バックプレートの通過孔と前記組立ダイスのボディの流出口とに接続される冷媒の流通路を構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の押出加工用ダイス装置。
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