JP3763790B2 - 多孔チューブ材の押出用ダイス - Google Patents
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Description
【発明の属する利用分野】
この発明は、例えば熱交換器の熱交換管として使用されるようなアルミニウム又はその合金製の多孔チューブ材を製造するための押出用ダイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図9に示されるような熱交換器用偏平多孔チューブ材(56)の製造方法として、チューブ材(56)の横断面形状に対応する成形隙間を有する押出用ダイスを用い、このダイスにアルミニウム等の押出材料を通して成形していく押出法がある。この押出法に用いられるダイス(50)は、例えば図8に示されるように、チューブ材(56)の外周部を成形する押出孔(53)を有する雌型(52)と、チューブ材(56)の孔部(56a)(56a)…を成形する複数個の孔成形部(54)(54)…を有する雄型(51)とを備え、各孔成形部(54)(54)…の押出方向先端部を押出孔(53)に対位させた状態に雌型(52)と雄型(51)とが組み合わせられたものである。このように組み合わせることにより、多孔チューブ材(56)の断面形状に対応する形状の成形隙間(55)が形成され、押出材料がこの成形隙間(55)を通過することにより、多孔偏平チューブ材(56)が成形されていく。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば熱交換器等においては熱交換効率の優れた多孔チューブ材が要求されており、このようなチューブ材は熱媒体を流通させる各孔部の断面積を小さく形成すると共に、単位面積あたりの孔数を増やすことが有効であると一般的に知られている。
【0004】
従って、この要求に応えるためには、各孔成形部(54)を細く形成すると共に、孔成形部(54)の個数を増やしつつこれらの間隔を狭くすることが求められる。
【0005】
しかしながら、上記のような従来の押出用ダイス(50)では、直ちに上記要求に応えることができなかった。即ち、孔成形部(54)の間隔を極めて狭く設定した場合には、孔成形部(54)間の隙間における押出材料の進入抵抗が増大するので、孔成形部(54)(54)…間の隙間に押出材料が充分に入り込まないおそれがあった。このため、成形される多孔チューブ材において各孔部間の隔壁が形成されないおそれがあり、安定した製品の製造が困難であるという問題があった。
【0006】
もとより、孔成形部(54)(54)…の長さを充分に確保することにより、それらの隙間に押出材料を充分に入り込ませ、これによりチューブ材において各孔部間の隔壁を確実に形成させることも考えられるが、このような場合には別の問題が発生する。即ち、孔成形部が細長いため、押し出し材料の押出圧によって、孔成形部が撓んで破損し易く耐久性の面で問題があるのみならず、破損しないまでも押出圧により孔成形部の先端部が撓み変位し易く、各孔部の横断面積が一定した高精度の製品を安定して製造することができないという問題が生ずる。
【0007】
この発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れ、高精度の多孔チューブ材を安定して製造することができ、各孔部が極小の多孔チューブ材の製造に好適に用いられる多孔チューブ材の押出用ダイスを提供することを目的とする。
【0008】
【課題解決のための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる多孔チューブ材の押出用ダイスは、長尺の孔成形部により多孔チューブ材の各孔部を成形する雄型と、押出孔により多孔チューブ材の外周部を成形する雌型とを備え、前記雄型は、リング部の径方向に沿うブリッジ部を有する環状基体と、該ブリッジ部に装着され先端部に複数個の前記孔成形部が幅方向に沿って列設された板状のマンドレルとを備える一方、前記雌型は、前記押出孔の押出方向上流側に配置され該押出孔に対応する連通孔を有するマンドレル挟持板を備え、前記マンドレルの各孔成形部には、マンドレルの厚み方向両側に係止凹部が形成される一方、前記マンドレル挟持板の連通孔周りの対向位置には、所定間隔おきに支持アームが内側に突出して設けられ、相互に対向する前記支持アームが、前記押出孔に対位した状態に配置された前記各孔成形部の係止凹部に係止されることにより、前記孔成形部がマンドレルの厚み方向両側から挟持されていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、相互に対向する支持アームが各孔成形部の係止凹部に係止されることにより、長尺の孔成形部が板状のマンドレル厚み方向両側から挟持されているので、長尺の孔成形部はマンドレルの厚み方向及び幅方向の撓み変位が抑制される。このため、孔成形部が撓んで破損し難くなり、耐久性に優れたものとなると共に、各孔部の横断面積が一定した高精度の多孔チューブ材を確実に製造することができる。また、孔成形部が長尺に形成されているので、隣接する孔成形部間の隙間に押出材料が押し込まれて多孔チューブ材において確実に孔部間の隔壁が形成される。加えて、押出孔に対応する連通孔周りに支持アームが内側に突出して形成され、該アームが孔成形部の係止凹部に係止されているので、押出材料は隣接するアーム間の各隙間に確実に押し込まれる。このアーム間の隙間においては押出圧が高くなり、従ってアーム間隙間に連通する孔成形部間隙間にも確実に押出材料が押し込まれることとなる。このため、多孔チューブ材において確実に孔部間の隔壁を形成することができ、多孔チューブ材を安定して製造することができる。更に、このアーム間の各隙間の開口面積をそれぞれ調整することにより、各隙間を通過する押出材料の押出速度を調整することができる。
【0010】
この発明において、前記マンドレルの孔成形部は、その長手方向中間部で挟持されてなるのが好ましい。このように構成すれば、多孔チューブ材の外周部及び各孔部間の隔壁をより確実に形成することができる。即ち、孔成形部の長手方向先端部で支持アームにより挟持される場合には、支持アームにより分断された押出材料が押出孔に至るまでに溶着されないおそれがあり、多孔チューブ材の外周部が成形されないおそれがある。一方、孔成形部の長手方向後端部で支持アームにより挟持される場合には、孔成形部の先端部の撓み変位を充分に抑制することができないおそれがある。従って、孔成形部がその長手方向中間部で挟持される場合には、撓み変位を効果的に抑制しつつ、多孔チューブ材の外周部を確実に成形することができる。しかも、隣接する支持アーム間の隙間に押出材料が進入する際には、その進入抵抗が高くなるため、このように構成することによって、支持アームよりも押出方向上流側に位置する孔成形部間隙間にも押出材料が入り込み易くなって多孔チューブ材における各孔部間の隔壁をより一層確実に形成することができる。
【0011】
この発明において、前記マンドレル挟持板は、超硬合金、セラミックス等の超硬材からなるのが好ましい。このように構成すれば、支持アームの剛性が高くなることから、より一層確実に孔成形部の撓み変位を抑制することができると共に、特に支持アームの強度が増してより耐久性に優れたものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかる多孔チューブ材の押出用ダイスを図面に示した一実施形態に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態の多孔チューブ材の押出用ダイス(1)は、図7に示すような熱交換器に用いられるアルミニウム製偏平多孔チューブ材(T)の成形に用いられるものである。なお、本発明の多孔チューブ材の押出用ダイス(1)は、熱交換器用チューブ材の他、各種多孔チューブ材の押出に広く適用されるものであることはいうまでもない。また、多孔チューブ材の材質もアルミニウムやその合金に限らず、その他押出成形に適した各種の金属であっても良い。
【0014】
この押出用ダイス(1)は、図1、図2(イ)及び図3(イ)に示すように、多孔チューブ材(T)の孔部を成形する雄型(2)と、該雄型(2)に組み合わされ、多孔チューブ材(T)の外周部を成形する雌型(3)とを主要構成部材としてなる。
【0015】
雄型(2)は、図1、図2(イ)及び図3(イ)に示すように、環状基体(4)と、板状のマンドレル(5)と、蓋部材(6)とを備える。
【0016】
環状基体(4)は、図1に示すように、ダイス鋼等の鋼材からなる円筒状の金型部材であり、リング部(4a)の内側後端縁から先端縁にかけて径方向に沿うブリッジ部(4b)が一体成形され、該ブリッジ部(4b)を挟む両側の空所が材料導通孔(4c)として構成されている。
【0017】
このブリッジ部(4b)の押出方向先端部は、図1、図2及び図4に示すように、その高さ方向両縁部が押出方向に向かって内側に傾斜する傾斜先端部(4d)として形成され、押出材料がスムーズに流動し得るものとなされている。この傾斜先端部(4d)は、その幅方向中間部が押出方向後方に退入して、マンドレル(5)の後述する孔成形部(5a)の基端側隙間(20a)に押出材料を導く案内溝部(4e)として構成されている。
【0018】
また、このブリッジ部(4b)には、図1ないし図4に示すように、その長手方向(ブリッジ部4bにおける環状基体4の径方向)に沿って蓋収納溝(7)が形成されていると共に、マンドレル(5)を略適合状態に挿入保持するため、該蓋収納溝(7)の奥底部に押出方向へ貫通した横長スリット状のマンドレル保持孔(8)が形成されている。このマンドレル保持孔(8)の押出方向の後端開口側の幅方向両側は、図3(イ)に明示するように、幅方向外方に後退した係合段部(8a)(8a)が設けられ、マンドレル保持孔(8)にマンドレル(5)が圧入された状態で該係合段部(8a)(8a)にマンドレル(5)基端部の係合凸部(5b)(5b)が係止されるものとなされている。
【0019】
なお、環状基体(4)は、その押出方向先端面の周縁部が全周に亘って切り欠かれ、これにより先端部が嵌合凸段部(4f)として形成されていると共に、この嵌合凸段部(4d)先端面周縁部の対称位置にノックピン通し孔(4g)(4g)が形成されている。
【0020】
このマンドレル保持孔(8)に圧入されるマンドレル(5)は、超硬合金、セラミックス等の超硬材からなり、図6に明示するように、略方形板状に形成されている。このマンドレル(5)は、その基端部に幅方向両方に突出する係合凸部(5b)(5b)が形成されている一方、その先端部に幅方向に沿って長尺櫛歯状の多数の孔成形部(5a)(5a)…が列設され、前記係合凸部(5b)(5b)がマンドレル保持孔(8)の係合段部(8a)(8a)に係止された状態で孔成形部(5a)(5a)…がブリッジ部(4b)の先端面から突出した状態に配置されるものとなされている。
【0021】
これらの孔成形部(5a)(5a)…は、その先端部が後述する雌型本体(12)の押出孔(12a)に対位した状態に配置され、多孔チューブ材(T)の各孔部(T1)を成形するものであり、従って隣接する孔成形部(5a)(5a)間の隙間(20)により多孔チューブ材(T)の各孔部(T1)間の隔壁が形成されるものとなされている。これらの孔成形部(5a)(5a)…の断面形状、断面積は、特に限定されるものではなく、製造される多孔チューブ材(T)の孔部(T1)断面形状及び断面積を考慮して適宜決定される。本実施形態における孔成形部(5a)(5a)…の断面形状は、マンドレル(5)の幅方向両端部に設けられた孔成形部(5a)(5a)においては幅方向外方に指向するD字状に形成されている一方、その他の孔成形部(5a)(5a)…においてはマンドレル(5)の厚み方向に細長い略長方形状に形成されている。また、孔成形部(5a)の本数、間隔も製造する多孔チューブ材(T)の孔部(T1)数、孔部(T1)間間隔にあわせて適宜設定される。更に、孔成形部(5a)(5a)…は、比較的長尺に形成され、その長さは、隣接する孔成形部(5a)(5a)間の隙間(20)を考慮して、この隙間(20)に押出材料が充分に入り込むように適宜決定される。
【0022】
各孔成形部(5a)(5a)…の長手方向(押出方向)中間部には、図4及び図6(ロ)に明示するように、先端に向かってマンドレル(5)の厚み方向内側に傾斜するテーパー部(9)(9)が形成されている。また、断面形状が長方形状に形成された孔成形部(5a)(5a)…には、マンドレル(5)の厚み方向両端面における幅方向中央部に前記テーパー部(9)(9)から長手方向中間部後端寄りに至る所定範囲にわたって係止凹部(10)(10)が形成され、後述するマンドレル挟持板(13)の支持アーム(15)(15)の先端部が略適合状態に係止されるものとなされている。これらの係止凹部(10)(10)の断面形状は、特に限定するものではなく、本実施形態では断面U字状に形成されている。
【0023】
蓋部材(6)は、マンドレル保持孔(8)への押出材料の進入を防止すると共に、押出方向後方へのマンドレル(5)の抜脱を防止するものであり、ダイス鋼等の硬質材からなる細長い板状に形成され、上述のブリッジ部(4b)の蓋収納溝(7)に緊密状態に嵌合し得るものとなされている。
【0024】
雌型(3)は、図1に明示するように、環状周壁部材(11)と、雌型本体(12)と、マンドレル挟持板(13)と、バックアップ用金型部材(14)とを備える。
【0025】
環状周壁部材(11)は、マンドレル挟持板(13)、雌型本体(12)及びバックアップ用金型部材(14)を収容するものである。この環状周壁部材(11)は、ダイス鋼によって製作されたもので、図1に明示するように、その軸芯部には収容孔(11a)が環状周壁部材(11)を押出方向に貫通して形成されている。この収容孔(11a)の内周の径方向対称位置には、係合キー(11b)が形成され、マンドレル挟持板(13)、雌型本体(12)及びバックアップ用金型部材(14)を相対回転不能に同心状に収容し得るものとなされている。また、環状周壁部材(11)の後端面には、環状基体(4)の嵌合凸部(4f)に対応する嵌合凹部(11c)が形成されていると共に、該嵌合凹部(11c)内における環状基体(4)のノックピン通し孔(4g)(4g)に対向する位置に同様にノックピン通し孔(11d)(11d)が形成され、雄型(2)と雌型(3)とを嵌合させて組み付けることができるものとなされている。
【0026】
雌型本体(12)は、図1に明示するように、超硬合金等の超硬材からなる略円形の短柱体であり、その軸芯部にチューブ材(T)の外周部を成形する偏平な押出孔(12a)及びこの押出孔(12a)の押出方向先端縁に連設された型材導出孔(12b)を備える。この型材導出孔(12b)は、押出方向後端縁から押出方向先端縁にかけて開口面積が大きくなるようにテーパー状に形成されている。なお、雌型本体(12)の外周部には、キー溝(12c)(12c)が設けられ、環状周壁部材(11)の係合キー(11b)(11b)と係合するものとなされている。
【0027】
マンドレル挟持板(13)は、図1及び図5に明示するように、雌型本体(12)における押出孔(12a)の押出方向上流側に配置され、超硬合金、セラミックス等の超硬材からなる円盤状体で、その軸芯部には雌型本体(12)の押出孔(12a)に対応する連通孔(13a)が形成されていると共に、該連通孔(13a)に連設して押出方向に向かってテーパー状に拡開する溶着室形成孔(13b)が形成されている。この連通孔(13a)は、マンドレル挟持板(13)の径方向に沿い、押出孔(12a)よりも若干大きい横長スリット状に形成される。連通孔(13a)の周縁対向位置には、図5(ロ)に明示するように、所定間隔おきに支持アーム(15)(15)…が内側に突出して設けられ、相互に対向する支持アーム(15)(15)がそれぞれ各孔成形部(5a)の係止凹部(10)(10)に係止されるものとなされている。即ち、横長スリット状に形成された連通孔(13a)の幅方向(図1及び図5において縦方向)両端縁には、それぞれ櫛歯状に支持アーム(15)(15)…が対向して設けられ、相互に対向する支持アーム(15)(15)の先端部が係止凹部(10)(10)に係止されて孔成形部(5a)をマンドレルの厚み方向から挟持するものとなされている。隣接する支持アーム(15)(15)間の間隔(21)は、マンドレル(5)の孔成形部(5a)間隔に対応して設定されており、また各支持アーム(15)は、図5(ロ)に明示するように、その突出方向先端が正面視尖形状に形成され、係止凹部(10)(10)に係止し易いものとなされている。これら支持アーム(15)(15)…は、ピン状のものであっても良いが、本実施形態では押出方向に所定長さをもった板状のものとして構成され、支持アーム(15)と係止凹部(10)が線状ないし面状接触して支持アーム(15)対して孔成形部(5a)が回動し得ないものとして孔成形部(5a)の撓み変位をより効果的に抑制するものとなされている。一方、溶着室形成孔(13b)は支持アーム(15)(15)…により分断された押出材料同士互いに溶着するための室を形成するものであり、この室で溶着された押出材料によりチューブ材(T)の外周部が形成される。なお、マンドレル挟持板(13)の外周部にも、キー溝(13c)(13c)が設けられ、該キー溝(13c)(13c)が環状周壁部材(11)の係合キー(11b)(11b)と係合するものとなされている。
【0028】
バックアップ用金型部材(13)は、雌型本体(12)の押出方向先端側にこれに隣接して配置され、押出中に雌型本体(12)に作用する圧力を背後から支えるものである。このバックアップ用金型部材(12)は、図1に明示するように、外周形状が雌型本体(12)と同一である短柱体であり、その軸芯部には雌型本体(12)の型材導出孔(12b)に連設される型材導出孔(14a)が形成されている。なお、バックアップ用金型部材(14)の外周部にも、キー溝(14b)(14b)が設けられている。
【0029】
上記の構成の押出用ダイス(1)は、例えば次のようにして組み立てる。
【0030】
先ず、雄型(2)を組み立てる。即ち、環状基体(4)におけるマンドレル保持孔(8)に、マンドレル(5)を差し込んでブリッジ部(4b)に圧設一体化する。この状態では、図3(イ)に示すようにマンドレル(5)の係合凸部(5b)(5b)がマンドレル保持孔(8)の係合段部(8a)(8a)に係合されてマンドレル(5)の押出方向の抜脱が防止されると共に、図4に示すようにマンドレル(5)の孔成形部(5a)が、その基端縁を案内溝部(4e)の底面に一致させた状態で、ブリッジ部(4b)の先端面から突出される。そして、ブリッジ部(4b)の蓋収納溝(7)に蓋部材(6)を緊密状態に嵌合して、雄型(2)を組み立てる。
【0031】
次に雌型(3)を組み立てる。即ち、環状周壁部材(11)の収容孔(11a)に、バックアップ用金型部材(14)、雌型本体(12)及びマンドレル挟持板(13)を順次的に収容し、そして焼嵌めを行うことにより、環状周壁部材(11)をバックアップ用金型(14)、雌型本体(12)とマンドレル挟持板(13)に圧接一体化する。
【0032】
そして、以上のようにして組み立てられた雄雌両型(2)(3)を互いに組み付ける。即ち、雄型(2)の嵌合凸部(4f)を雌型(3)の嵌合凹部(11c)に嵌合しつつ、雄雌両型(2)(3)の各ノックピン通し孔(4g)(11d)…にノックピン(22)(22)を差し込むことにより雄雌両型(2)(3)を組み付ける。この組み付け時には、マンドレル挟持板(13)の支持アーム(15)(15)…先端部が、対応する孔成形部(5a)(5a)…の係止凹部(10)(10)…にスライドしながら係止される。そして、組み付け状態においては、図2(ロ)及び図4に明示するように、相互に対向する支持アーム(15)(15)がマンドレル(5)の対応する孔成形部(5a)の係止凹部(10)(10)に係止され、孔成形部(5a)(5a)…がその長手方向中間部後端寄りで支持アーム(15)(15)…により挟持され、マンドレル(5)の厚み方向及び幅方向への孔成形部(5a)の撓み変位が効果的に抑制される。このとき、図4に明示するように、マンドレル挟持板(13)の支持アーム(15)(15)…は、連通孔(13a)周りから内側に突出して形成され、押出材料の通路となる連通孔(13a)と孔成形部(5a)間の隙間を横断した状態に掛け渡されている一方、孔成形部(5a)(5a)…の先端部は、雌型本体(12)の押出孔(12a)に対位した状態となる。
【0033】
そして、この押出用ダイス(1)内にアルミニウム等の押出材料の溶湯を流し込んで押出機に組み込み、これに押出材料を所要の導入量で連続的に圧入していくことにより、押出用ダイス(1)の前方に多孔偏平チューブ材(T)を押出成形する。これにより、成形隙間(30)から押し出される材料により、金属製の多孔偏平チューブ材(T)の外周部が形成されると共に、隣接する孔成形部(5a)(5a)…の隙間(20)(20)…を通って押し出される材料により、同チューブ材(T)の隔壁が形成され、各孔成形部(5a)(5a)…に対応した孔部(T1)(T1)…が構成されることとなる。このとき、比較的長尺に形成された孔成形部(5a)は、その係止凹部(10)(10)にマンドレル挟持板(13)の支持アーム(15)(15)が係止されて孔成形部(5a)の長手方向中間部後端寄りにおいてマンドレル(5)の厚み方向両側から挟持されるものとなされているので、その撓み変位が抑制され、孔成形部(5a)が撓んで破損し難く、耐久性に優れていると共に、各孔部(T1)の横断面積が一定した高精度の多孔チューブ材(T)を確実に製造することができる。また、孔成形部(5a)が比較的長尺に形成されているので、押出の際に隣接する孔成形部(5a)(5a)間の隙間(20)に押出材料が充分に押し込まれ、多孔チューブ材(T)において確実に孔部間隔壁を形成することができる。加えて、上述のように支持アーム(15)(15)…が押出材料の通路を横断した状態に掛け渡されているので、押出材料は隣接する支持アーム(15)(15)間の隙間に確実に押し込まれる。このアーム(15)(15)間の隙間(21)においては、押出圧が高くなり、従ってアーム(15)(15)間隙間(21)に連通する孔成形部(5a)間隙間(20)にも確実に押出材料が押し込まれることとなる。このため、多孔チューブ材(T)において確実に孔部(T1)間の隔壁を形成することができ、多孔チューブ材(T)安定して製造することができる。更にまた、上述のように、支持アーム(15)(15)間の隙間(21)が押出材料の通路となることから、この隙間(21)の開口面積をそれぞれ調整することにより、各隙間(21)を通過する押出材料の押出速度を調整することができる。
【0034】
以上にこの発明の一実施形態にかかる多孔チューブ材(T)の押出用ダイス(1)について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、以下のような変更が可能である
上記実施形態では、係止凹部(10)(10)が孔成形部(5a)の長手方向中間部後端寄りに形成され、これらの係止凹部(10)(10)に相互に対向する支持アーム(15)(15)が係止されて孔成形部(5a)が長手方向中間部で挟持されたダイス(1)について説明したが、支持アーム(15)の挟持位置はこれに限定されるものではない。ただ、このように構成すれば、多孔チューブ材(T)の外周部及び各孔部(T1)間の隔壁をより確実に形成することができる。即ち、孔成形部の長手方向先端部で支持アームにより挟持されるダイスは、支持アームにより分断された押出材料が押出孔に至るまでに溶着されないおそれがあり、多孔チューブ材の外周部が成形されないおそれがあるため、好ましくない。一方、孔成形部の長手方向後端部で支持アームにより挟持されるダイスは、孔成形部の先端部の撓み変位を充分に抑制できないため、好ましくない。従って、孔成形部の長手方向中間部で支持アームにより挟持されるダイスは、上述のように孔成形部の撓み変位を効果的に抑制しつつ、多孔チューブ材の外周部を確実に形成できるという点で好ましい。また、隣接する支持アーム間の隙間に押出材料が進入する際には、その進入抵抗が高くなるため、このように構成することによって支持アームよりも押出方向上流側に位置する孔成形部間隙間にも押出材料が入り込みやすくなって多孔チューブ材における各孔部間の隔壁をより一層確実に形成することができる点でも好ましい。
【0035】
また、上記実施形態では、マンドレル挟持板(13)の材質として、超硬合金、セラミックス等の超硬材からなるものを用いたが、これに限定されるものではなく、例えばダイス鋼等の硬質材であっても良い。ただ、支持アームの剛性が高く、より一層確実に孔成形部の撓み変位を抑制することができ、耐久性に優れている点で超硬材を用いるのが好ましい。
【0036】
その他、部材構成、各部材の形状、大きさ等、細部構成についての種々の設計変更も可能であることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、この発明の多孔チューブ材の押出用ダイスによれば、長尺の孔成形部におけるマンドレルの厚み方向及び幅方向の撓み変位が抑制される。このため、孔成形部が撓んで破損し難くなり、耐久性に優れたものとなると共に、各孔部の横断面積が一定した高精度の多孔チューブ材を確実に製造することができる。また、長尺に形成された孔成形部により、隣接する孔成形部間の隙間に押出材料が押し込まれて多孔チューブ材において確実に孔部間の隔壁が形成される。加えて、押出孔に対応する連通孔周りに支持アームが内側に突出して形成され、該アームが孔成形部の係止凹部に係止されているので、押出材料は隣接するアーム間の各隙間に確実に押し込まれる。このアーム間の隙間においては押出圧が高くなり、従ってアーム間隙間に連通する孔成形部間隙間にも確実に押出材料が押し込まれることとなる。このため、多孔チューブ材において確実に孔部間の隔壁を形成することができ、多孔チューブ材を安定して製造することができる。更に、このアーム間の各隙間の開口面積を調整することにより、押出速度を調整することができる。
【0038】
この発明において、前記マンドレルの孔成形部が、その長手方向中間部で挟持されてなる場合には、撓み変位を効果的に抑制しつつ、多孔チューブ材の外周部を確実に成形することができる。しかも、隣接する支持アーム間の隙間に押出材料が進入する際には、その進入抵抗が高くなるため、孔成形部がその長手方向中間部で挟持される場合には、支持アームよりも押出方向上流側に位置する孔成形部間隙間にも押出材料が入り込み易くなって多孔チューブ材における各孔部間の隔壁をより一層確実に形成することができる。
【0039】
この発明において、前記マンドレル挟持板が、超硬合金、セラミックス等の超硬材からなる場合には、より一層確実に孔成形部の撓み変位を抑制することができると共に、特に支持アームの強度が増してより耐久性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である多孔チューブ材の押出用ダイスを分離した状態で示す斜視図である。
【図2】図(イ)は、同押出用ダイスの縦断面図である。図(ロ)は図(イ)の要部拡大断面図である。
【図3】図(イ)は、同押出用ダイスの横断面図である。図(ロ)は図(イ)の要部拡大断面図である。
【図4】この発明の実施形態である多孔チューブ材の押出用ダイスを一部を切り欠いて示す要部拡大斜視図である。
【図5】図(イ)は、マンドレル挟持板の正面図である。図(ロ)は図(イ)の要部拡大図である。
【図6】図(イ)は、マンドレルの斜視図である。図(ロ)は図(イ)の要部拡大図である。
【図7】本実施形態の押出ダイスにより製造される偏平多孔チューブ材を示す斜視図である。
【図8】従来の押出用ダイスを示す断面図である。
【図9】従来の押出用ダイスにより製造される偏平多孔チューブ材を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…押出用ダイス
2…雄型
3…雌型
4…環状基体
4a…リング部
4b…ブリッジ部
5…マンドレル
5a…孔成形部
10…係止凹部
12a…押出孔
13…マンドレル挟持板
13a…連通孔
15…支持アーム
20…孔成形部間の隙間
21…支持アーム間の隙間
Claims (2)
- 長尺の孔成形部により多孔チューブ材の各孔部を成形する雄型と、押出孔により多孔チューブ材の外周部を成形する雌型とを備え、
前記雄型は、リング部の径方向に沿うブリッジ部を有する環状基体と、該ブリッジ部に装着され先端部に複数個の前記孔成形部が幅方向に沿って列設された板状のマンドレルとを備える一方、
前記雌型は、前記押出孔の押出方向上流側に配置され該押出孔に対応する連通孔を有するマンドレル挟持板を備え、
前記マンドレルの各孔成形部には、マンドレルの厚み方向両側に係止凹部が形成される一方、
前記マンドレル挟持板の連通孔周りの対向位置には、所定間隔おきに支持アームが内側に突出して設けられ、
相互に対向する前記支持アームが、前記押出孔に対位した状態に配置された前記各孔成形部の係止凹部に係止されることにより、前記孔成形部がマンドレルの厚み方向両側から挟持されていることを特徴とする多孔チューブ材の押出用ダイス。 - 前記マンドレルの孔成形部は、その長手方向中間部で挟持されてなる請求項1に記載の多孔チューブ材の押出用ダイス。
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