JP3763783B2 - 中空材の押出ダイス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱交換器の熱交換チューブ等として用いられる中空材を製造するための押出ダイスに関する。
【0002】
なお、この明細書において、「前」及び「後」の後は、押出材(即ち中空材)が押し出されていく方向を前方とした場合の概念で用いられている。
【0003】
【従来の技術】
例えば熱交換器の熱交換チューブとして用いられる金属中空材は、専ら押出加工によって製造されている。この押出加工に用いられる押出ダイスは、中空材の外周部を成形するベアリング孔を有する雌型と、中空材の中空部を成形する中空部成形用凸部を有する雄型と、ベース部とを備えている。ベース部の前面には、雌型が嵌合される雌型嵌合凹部が設けられる一方、ベース部の後面には雌型嵌合凹部に連通した材料流入凹部が設けられている。そして、雌型はこの雌型嵌合凹部内に嵌着保持されている。
【0004】
一方、雄型において、中空部成形用凸部はマンドレルの前端に一体形成されており、このマンドレルが、ベース部の材料流入凹部内に配置されたブリッジによって支持されている。この支持状態において、マンドレル前端の中空部成形用凸部は、雌型のベアリング孔の内側に位置している。
【0005】
而して、このような構成の押出ダイスによれば、押出加工時に材料流入凹部内に流入した材料がベアリング孔に向かってスムーズに流れるようにするため、ブリッジを精密に加工する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このブリッジは、従来、ベース部に一体に形成されていたため、ブリッジの加工の際にベース部が邪魔になり、ブリッジの精密加工を行い難いという難点があった。一方、ベース部に雌型嵌合凹部や材料流入凹部を加工する際にもブリッジが邪魔になり、これらの加工を行い難いという難点があった。
【0007】
この発明は、上述した難点を解消するためになされたもので、その目的は、ブリッジへの加工を容易に行うことができ、しかもベース部に対して雌型嵌合凹部の加工及び材料流入凹部の加工を容易に行うことのできる押出ダイスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、の発明は、中空材の外周部を成形する雌型と、中空材の中空部を成形する中空部成形用凸部を有する雄型と、前面に前記雌型が嵌合される雌型嵌合凹部が設けられる一方、後面に前記雌嵌合凹部に連通した材料流入凹部が形成されたベース部と、を備えた中空材の押出ダイスであって、前記雌型は、前記ベース部の雌型嵌合凹部内に嵌着保持されており、前記雄型は、前端に前記中空部成形用凸部を有するマンドレルと、該マンドレルを支持するとともに前記ベース部の材料流入凹部内に配置されたブリッジとを備え、前記ブリッジは、前記ベース部とは別体に形成されたもので、前記ベース部に組み付けられていることを特徴としている。
【0009】
この押出ダイスでは、ブリッジがベース部とは別体に形成されたものであることにより、ブリッジに加工を容易に行い得るものとなるし、ベース部に雌型嵌合凹部の加工や材料流入凹部等の加工を容易に行い得るものとなる。
【0010】
また、この発明は、上記押出ダイスにおいて、前記ブリッジは、前記ベース部に取外し可能に組み付けられているものである。
【0011】
この場合には、もし仮にブリッジやマンドレルが摩耗したり破損した場合であっても、これを新しいものに交換することができる。
【0012】
また、この発明は、上記押出ダイスにおいて、前記ベース部の雌型嵌合凹部の周面の一部と材料流入凹部の周面の一部とに、ベース部の前面から後面まで連続的に前後方向に延びた溝が設けられ、前記ブリッジの側端部が前記溝内に嵌着されることにより、該ブリッジが保持されているものである。
【0013】
この場合には、ブリッジの保持は、該ブリッジの側端部を溝内に嵌着するにより行われる。このため、ブリッジのベース部への組付け作業を容易に行うことができる。また、溝がベース部の前面からベース部の後面まで連続的に設けられることにより、ベース部に当該溝の加工を容易に行い得るようになる。
【0014】
また、この発明は、上記押出ダイスにおいて、前記溝内における、該溝の底面と前記雌型の外周面との間の空間内に、該空間を充填する充填部材が取外し可能に嵌着保持されているものである。
【0015】
この場合には、充填部材の前端面を後方へ押すことにより、ブリッジがベース部から取り外される。このため、ブリッジの取外し操作を容易に行い得るようになる。
【0016】
また、この発明は、上記押出ダイスにおいて、前記充填部材は、前記ブリッジに一体形成されているものである。
【0017】
この場合には、押出ダイスの部材点数が減少し、もって押出ダイスの製造コストが引き下げられる。
【0018】
また、この発明は、上記押出ダイスにおいて、前記ブリッジに、前記マンドレルが差し込まれるマンドレル差込み孔が設けられ、前記マンドレル差込み孔内における前記マンドレルの幅方向に関する位置を決める位置決め部材に設けられたマンドレル装着部に、前記マンドレルが着脱自在に装着されるとともに、この装着状態で前記位置決め部材が前記マンドレル差込み孔内に抜出可能に差し込まれているものである。
【0019】
この場合には、マンドレル差込み孔内におけるマンドレルの幅方向に関する位置が、位置決め部材によって決められる。このため、マンドレルの位置決めを確実に行うことができる。また、位置決め部材がマンドレル差込み孔内に抜出可能に差し込まれることにより、もし仮に、マンドレルが摩耗したり破損した場合であっても、位置決め部材をマンドレル差込み孔内から抜出できて、マンドレルを新しいものに交換し得るようになる。
【0020】
また、この発明は、上記押出ダイスにおいて、前記ブリッジに、前記マンドレルが差し込まれる前後方向に延びたマンドレル差込み孔が設けられ、前記マンドレル差込み孔内における前記マンドレルの幅方向に関する位置を決める位置決め部材に設けられたマンドレル装着部に、前記マンドレルが着脱自在に装着されるとともに、この装着状態で前記位置決め部材が前記マンドレル差込み孔内に抜出可能に差し込まれており、且つ、前記マンドレル差込み孔の後端開口部が該後端開口部を閉塞する蓋部材によって閉塞されるとともに、この閉塞状態で該蓋部材の側端部が前記溝内に着脱自在に嵌着されることにより、該蓋部材が保持されているものである。
【0021】
この場合には、マンドレル差込み孔内におけるマンドレルの幅方向に関する位置が、位置決め部材によって決められる。このため、マンドレルの位置決めを確実に行うことができる。また、マンドレル差込み孔の後端開口部が蓋部材によって閉塞されることにより、押出加工時に材料がマンドレル差込み孔内に入り込む不具合が防止される。また、蓋部材の保持は、該蓋部材の側端部を溝内に嵌着するにより行われる。このため、蓋部材のベース部への組付け作業を容易に行うことができる。
【0022】
また、この発明は、上記請求項1〜5のいずれか1項記載の押出ダイスにおいて、前記ブリッジは、厚さ方向に2分割されるとともに、該両分割片の合わせ面のうち少なくとも一方に、前記マンドレルが嵌合されるマンドレル嵌合溝が設けられ、前記マンドレル嵌合溝内における前記マンドレルの幅方向に関する位置を決める位置決め部材に設けられたマンドレル装着部に、前記マンドレルが着脱自在に装着されるとともに、この装着状態で前記位置決め部材が前記マンドレル嵌合溝内に取外し可能に嵌合され、且つ前記両分割片の合わせ面同士が合わされているものである。
【0023】
この場合には、マンドレル嵌合溝内における該マンドレルの幅方向に関する位置が、位置決め部材によって決められる。このため、マンドレルの位置決めを確実に行うことができる。また、ブリッジを構成する2個の分割片の合わせ面のうち少なくとも一方に、マンドレル嵌合溝が設けられることにより、ブリッジに対してマンドレル嵌合溝の加工を容易に行い得るようになる。また、マンドレルが2分割されたものであることにより、位置決め部材のマンドレル嵌合溝内への嵌合作業を容易に行い得るようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1〜図6は、この発明の第1実施形態に係る押出ダイス(E1)を示している。図7(イ)及び(ロ)は、この押出ダイス(E1)を用いて押出加工される中空材(70)を示している。
【0026】
この中空材(70)は、金属製のもので、詳述するとアルミニウム(その合金を含む、以下同じ。)製のものである。この中空材(70)は、熱交換器の熱交換チューブとして用いられるもので、扁平状に形成されている。さらに、この中空材(70)の中空部(71)は、長さ方向に延びるとともに互いに平行に配置された複数個(詳述すると8個)の隔壁(71b)…によって複数個(詳述すると9個)の小室(71a)…に仕切られている。これら小室(71a)…は、中空材(70)の幅方向に並んで配置されている。
【0027】
なお、この発明に係る押出ダイスを用いて押出加工される中空材は、熱交換器の熱交換チューブとして用いられるものに限定されるものではなく、他の用途に用いられるものであっても良いし、その横断面形状についても限定されるものではない。
【0028】
而して、この第1実施形態の押出ダイス(E1)は、図5及び図6に示すように、雌型(10)、雄型(20)及びベース部(1)を備えている。また、雌型(10)の前面側には、バッカ(図示せず)が配置される。
【0029】
雌型(10)には押出加工時に大きな負荷が加わるため、かかる負荷により発生する雌型(10)の摩耗や破損を防止すべく該雌型(10)は、超硬合金、セラミック等の超硬材から製作されており、略短円柱状に形成されている。
【0030】
この雌型(10)は、中空材(図7参照、70)の外周部を成形するベアリング孔(12)と、該ベアリング孔(12)の前方に位置し且つ該ベアリング孔(12)に連通したレリーフ孔(13)とを有している(図4参照)。また、ベアリング孔(12)の周縁には、内方突出状の突出部(12a)が全周に亘って一体形成されている。
【0031】
また、この雌型(10)の外周面の一部には、図1及び図2に示すように、前後方向に延びた1個以上のキー突起(11)が一体形成されており、この実施形態では、該雌型(10)の外周面の径方向対向部に、前後方向に延びた2個のキー突起(11)(11)が一体形成されている。
【0032】
一方、ベース部(1)は、ダイス鋼等の鋼材から製作されたもので、略円筒状に形成されている。すなわち、図1及び図2に示すように、このベース部(1)の前面の中央部には、雌型(10)が嵌合される断面略円形状の雌型嵌合凹部(2)が設けられるとともに、このベース部(1)の後面の中央部には、雌型嵌合凹部(2)の後方に位置し且つ雌型嵌合凹部(2)に連通した材料流入凹部(3)が設けられている。材料流入凹部(3)の内部には、押出加工時に押出材料(図示せず)が流入される。
【0033】
このベース部(1)において、説明の便宜上、該ベース部(1)の前面から雌型嵌合凹部(2)の周面の後端位置までの、前後方向に沿う長さ領域を前ベース部(1F)とし、該ベース部(1)の後面から材料流入凹部(3)の周面の後端位置までの、前後方向に沿う長さ領域を後ベース部(1R)とする(図5及び図6参照)。この実施形態では、ベース部(1)は前ベース部(1F)と後ベース部(1R)との一体成形物からなる。
【0034】
また、このベース部(1)の雌型嵌合凹部(2)の周面の径方向対向部と、当該部分に対応する材料流入凹部(3)の周面の径方向対向部とには、図1及び図2に示すように、ベース部(1)の前面からベース部(1)の後面まで連続的に前後方向と平行に延びた2個の横断面略コ字状の溝(4)(4)が設けられている。この溝(4)の底面及び両側面には、ベース部(1)の前後方向において段差が生じていない。なお、この実施形態では、説明の便宜上、この溝(4)の、雌型嵌合凹部(2)の周面に存在する部分を前溝部(4F)とし、この溝(4)の、材料流入凹部(3)の周面に存在する部分を後溝部(4R)とする(図5参照)。この溝(4)の前溝部(4F)における深さ寸法は、雌型(10)のキー突起(11)の高さ寸法よりも大に設定されている。
【0035】
そして、図3及び図4に示すように、雌型(10)がベース部(1)の雌型嵌合凹部(2)内に焼嵌めによって嵌着保持されており、この保持状態において該雌型(10)の各キー突起(11)は、それぞれ対応する前溝部(4F)内にぴったりと嵌合されており、これにより、該雌型(10)は雌型嵌合凹部(2)内においてベース部(1)に対して相互回転不能に嵌着保持されている。
【0036】
さらに、図4に示すように、前溝部(4F)内における、該前溝部(4F)の底面と雌型(10)の外周面の一部であるキー突起(11)の突端面との間に形成された空間(S)内には、該空間(S)を充填するための略角柱状片からなる充填部材(6)が、取外し可能に嵌着保持されている。この充填部材(6)は、ダイス鋼等の鋼材から製作されたものであり、この実施形態では、該充填部材(6)は焼嵌め又は圧入によって空間(S)内に嵌着保持されている。また、この保持状態において、雌型(10)の外周面が充填部材(6)によって雌型嵌合凹部(2)の内側へ押されている。
【0037】
雄型(20)は、図1〜図3に示すように、厚肉板状のブリッジ(30)と、薄肉板状のマンドレル(40)と、同じく薄肉板状の位置決め部材(50)とを備えている。
【0038】
ブリッジ(30)は、ダイス鋼等の鋼材から製作されたものである。一方、マンドレル(40)には押出加工時に大きな負荷が加わるから、かかる負荷により発生するマンドレル(40)の摩耗や破損を防止すべく該マンドレル(40)は、超硬合金、セラミック等の超硬材から製作されている。また、位置決め部材(50)は、剛性材(剛性を有する材料)から製作されており、詳述するとダイス鋼等の鋼材から製作されたものである。
【0039】
この実施形態では、ブリッジ(30)においてベース部(1)の径方向に沿う方向を「ブリッジ(30)の幅方向」とし、押出方向に沿う方向を「ブリッジ(30)の長さ方向」とする。また、マンドレル(40)においてベース部(1)の径方向に沿う方向を「マンドレル(40)の幅方向」とし、押出方向に沿う方向を「マンドレル(40)の長さ方向」とする。また同じく、位置決め部材(50)においてベース部(1)の径方向に沿う方向を「位置決め部材(50)の幅方向」とし、押出方向に沿う方向を「位置決め部材(50)の長さ方向」とする。
【0040】
ブリッジ(30)は、マンドレル(40)を支持するためのものであって、材料流入凹部(3)内に該材料流入凹部(3)を横断するように径方向に沿う態様に配置されるものである。このブリッジ(30)の幅方向中間部には、位置決め部材(50)が抜出可能に差し込まれる前後方向に延びたマンドレル差込み孔(31)が、該ブリッジ(30)を貫通して設けられている。
【0041】
さらに、このブリッジ(30)の前端における幅方向中間部には、ベース部(1)の材料流入凹部(3)内に流入した材料が雌型(10)のベアリング孔(12)内へと流れ込むようにするため、図4に示すように略コ字状の切欠き部(32)が切削加工によって形成されるとともに、材料流入凹部(3)内に流入した材料がスムーズに流れるようにするため、該切欠き部(32)の周縁部近傍が切削加工によって先細り状に形成されている(図6参照)。
【0042】
そして、このブリッジ(30)の各側端部がそれぞれ対応する後溝部(4R)内にその後端開口部から圧入によって着脱自在に嵌着され、これにより、該ブリッジ(30)が材料流入凹部(3)内に、前後方向と平行な面内にて材料流入凹部(3)を横断するように径方向に沿う態様に保持されている。このようにしてブリッジ(30)はベース部(1)に取外し可能に組み付けられている。このブリッジ(30)の保持状態において、該ブリッジ(30)の前端部は、図5に示すように、雌型(10)の後面及び充填部材(6)の後面に当接しており、これにより、ブリッジ(30)の前方への位置ずれが阻止されている。
【0043】
マンドレル(40)は、その厚さが例えば0.5〜1mmの範囲内に設定されており、図5に示すように、その前端に中空材(70)の中空部(71)を成形する中空部成形用凸部(41)を一体に有している。この中空部成形用凸部(41)は、中空材(70)の各小室(71a)に対応した複数個(詳述すると9個)の小室成形用凸部(41a)…から構成されている。これら複数個の小室成形用凸部(41a)…は、マンドレル(40)の幅方向に所定間隔おきに並んで配置されている。これら複数個の小室成形用凸部(41a)…において、互いに隣接する小室成形用凸部(41a)(41a)の間に形成された間隙は、中空材(70)の隔壁(71b)を形成する隔壁形成用溝部(41b)となされている。一方、このマンドレル(40)の幅方向両側縁には、係合突出部(42)(42)が側方突出状に一体に設けられており、この実施形態では、係合突出部(42)(42)はマンドレル(40)の後端部の幅方向両側縁に設けられている。
【0044】
位置決め部材(50)は、マンドレル差込み孔(31)内におけるマンドレル(40)の幅方向に関する位置を決めるためのもので、かかる作用を奏し得るようにするため、該位置決め部材(50)の幅寸法は、マンドレル差込み孔(31)の、ブリッジ(30)の幅方向に沿う寸法(これを「マンドレル差込み孔(31)の幅寸法」という。)と略同寸に設定されている。また、この位置決め部材(50)の長さ寸法は、マンドレル差込み孔(31)の、ブリッジ(30)の長さ方向に沿う寸法(これを「マンドレル差込み孔(31)の長さ寸法」という。)又は/及びブリッジ(30)の長さ寸法と略同寸に設定されている。また、この位置決め部材(50)の厚さ寸法は、マンドレル差込み孔(31)の、ブリッジ(30)の厚さ方向に沿う寸法(これを「マンドレル差込み孔(31)の厚さ方向寸法」という。)と略同寸に設定されている。したがって、この位置決め部材(50)は、マンドレル差込み孔(31)内にぴったりと差込み得るものとなされている。さらに、この位置決め部材(50)の厚さ寸法は、マンドレル(40)の厚さ寸法と略同寸に設定されている。
【0045】
この位置決め部材(50)には、図1〜図3に示すようにマンドレル(40)の形状に対応する形状に切除された切除部からなるマンドレル装着部(51)が形成されている。このマンドレル装着部(51)にはマンドレル(40)が着脱自在に嵌合装着される。
【0046】
この位置決め部材(50)において、マンドレル装着部(51)の幅方向両側縁には、マンドレル(40)の係合突出部(42)(42)が嵌合係合される係合凹所(52)(52)が設けられており、この実施形態では、係合凹所(52)(52)はマンドレル装着部(51)の後端部の幅方向両側縁に設けられている。一方、この位置決め部材(50)において、マンドレル装着部(51)の前端部の幅方向両側縁には、ブリッジ(30)で分断された材料を溶着するための材料溶着室形成用凹所(53)(53)が設けられている。
【0047】
そして、この位置決め部材(50)のマンドレル装着部(51)内にマンドレル(40)がぴったりと嵌合装着されており、この装着状態においてマンドレル(40)の各係合突出部(42)は、対応する凹所(52)内に嵌合係合され、これにより、該マンドレル(40)は、マンドレル装着部(51)に前後方向及び左右方向に移動不能に装着されている。さらに、この装着状態において、マンドレル(40)の中空部成形用凸部(41)は、位置決め部材(40)の前端から前方側に突出している(図4参照)。
【0048】
そして、図4及び図5に示すように、位置決め部材(50)のマンドレル装着部(51)にマンドレル(40)が装着された状態で、位置決め部材(50)がブリッジ(30)のマンドレル差込み孔(31)内にその後端開口部から抜出可能に差し込まれている。この実施形態では、位置決め部材(50)はマンドレル差込み孔(30)内に圧入によって差し込まれている。
【0049】
この位置決め部材(50)の差込み状態において、マンドレル差込み孔(31)内におけるマンドレル(40)の幅方向に関する位置は、位置決め部材(50)によって決められ且つ保持されている。さらに、この実施形態では、位置決め部材(50)の厚さ寸法は、マンドレル差込み孔(31)の厚さ方向寸法及びマンドレル(40)の厚さ寸法と略同寸に設定されていることから、マンドレル差込み孔(31)内におけるマンドレル(40)の厚さ方向に関する位置についても決められ且つ保持されている。
【0050】
さらに、このマンドレル(40)の差込み状態において、マンドレル(40)の中空部成形用凸部(41)は、図5に示すように、ブリッジ(30)の前端から前方側に突出して雌型(10)のベアリング孔(12)の内側に位置している。さらに、このマンドレル(40)の差込み状態において、位置決め部材(50)の前端部は、図5に示すように雌型(10)の後面に当接し、これにより、マンドレル差込み孔(31)内における位置決め部材(50)の前方向に関する位置が決められるとともに、該位置決め部材(50)の前方向への位置ずれが阻止されている。さらに、こうして位置決め部材(50)の位置が決められることにより、マンドレル差込み孔(31)内におけるマンドレル(40)の前方向に関する位置が決められるとともに、該マンドレル(40)の前方向への位置ずれが阻止されている。また、図6に示すように、材料流入室(3)内における雌型(10)のベアリング孔(12)の後方近傍には、材料溶着室(7)が中空部成形用凸部(41)を取り囲む態様で形成されている。
【0051】
(5)は、マンドレル差込み孔(31)の後端開口部を閉塞するための板状の蓋部材である。この蓋部材(5)はダイス鋼等の鋼材から製作されている。そして、図5及び図6に示すように、この蓋部材(5)の各側端部がそれそれ対応する後溝部(4R)内に圧入によって着脱自在に嵌着され、これにより、該蓋部材(5)がブリッジ(30)に沿って該ブリッジ(30)の後端部及び位置決め部材(50)の後端部に当接した状態に保持されている。一方、マンドレル差込み孔(31)の後端開口部はこの蓋部材(5)によって閉塞されている。また、こうして蓋部材(5)が位置決め部材(50)の後端部に当接した状態に保持されることにより、位置決め部材(50)の前後方向への位置ずれが阻止されており、さらに、こうして位置決め部材(50)の位置ずれが阻止されることにより、マンドレル差込み孔(31)内におけるマンドレル(40)の前後方向への位置ずれについても阻止されている。
【0052】
而して、上記構成の押出ダイス(E1)は、次のように用いられる。
【0053】
すなわち、上記構成の押出ダイス(E1)を押出加工機(図示せず)の所定箇所に取り付ける。そして、押出加工機に備えられたコンテナ(図示せず)内に押出材料(例えばアルミニウムビレット)を装填したのち、該材料を加熱しながら押出方向に押す。すると、押された材料は、ブリッジ(30)で分断されながら材料流入凹部(3)内に流入したのち、分断された材料同士が材料溶着室(7)内にて溶着する。そして、この材料がベアリング孔(12)を通過することにより、所望する中空材(図7参照、70)が得られる。すなわち、マンドレル(40)の中空部形成用凸部(41)の外周と雌型(10)の突出部(12a)の内周との間隙から押し出される材料により、中空材(70)の外周壁部が形成されるとともに、隣接する小室成形用凸部(41a)(41a)間に形成された間隙つまり隔壁成形用溝部(41b)を通って押し出された材料により、中空材(70)の隔壁(71b)が形成され、もって所望する中空材(70)が得られる。
【0054】
而して、上記構成の押出ダイス(E1)において、ブリッジ(30)は、ベース部(1)とは別体に形成されたものであるから、該ブリッジ(30)に様々な加工(例えば、切欠き部(32)の加工、切欠き部(32)の周縁部近傍に施す先細り加工、マンドレル差込み孔(31)の加工)を容易に行うことができ、ひいては、かかる加工を精度良く行うことができる。同じく、ベース部(1)に対して雌型嵌合凹部(2)の加工及び材料流入凹部(3)の加工も容易に行うことができ、ひいては、これらの加工を精度良く行うことができる。
【0055】
また、ブリッジ(30)と蓋部材(5)はともに、ベース部(1)に取外し自在に組み付けられているので、もし仮に、ブリッジ(30)が摩耗したり破損した場合であっても、ブリッジ(30)をベース部(1)から取り外すことができて、ブリッジ(30)を新しいものに交換することができる。
【0056】
なお、ブリッジ(30)の取外し操作は、次のように行われる。すなわち、ベース部(1)の前面に露出している充填部材(6)の前端面(前面)をポンチ棒等で後方に押して、該充填部材(6)を溝(4)の後部へと押し込む。これにより、蓋部材(5)とブリッジ(30)が溝(4)内を後方へスライドして押し出され、これら両部材(5)(30)がベース部(1)から取り外される。このように、この押出ダイス(E1)では、充填部材(6)の押込み操作によってブリッジ(30)と蓋部材(5)を取り外すことができるので、ブリッジ(30)の取外し操作を容易に行うことができる。
【0057】
また、マンドレル(40)がマンドレル装着部(51)に着脱自在に装着されており、更に位置決め部材(50)はマンドレル差込み孔(31)内に抜出可能に差し込まれているので、もし仮に、マンドレル(40)の一部(例えば中空部成形用凸部(41))が摩耗したり破損した場合であっても、位置決め部材(50)をマンドレル差込み孔(31)内から取り外すことができるし、マンドレル(40)を位置決め部材(50)のマンドレル装着部(51)から取り外すことができ、このため、マンドレル(40)を新しいものに交換することができる。
【0058】
なお、マンドレル(40)の取外し作業は、次のように行われる。すなわち、蓋部材(5)だけをベース部(1)から取り外すか、あるいは蓋部材(5)とブリッジ(30)を上述した取外し操作と同様の手順でベース部(1)から取り外す。次いで、位置決め部材(50)をマンドレル差込み孔(31)内から抜出する。これにより、マンドレル(40)がマンドレル差込み孔(31)内から取り出される。次いで、マンドレル(40)を位置決め部材(50)のマンドレル装着部(51)から取り外す。
【0059】
また、ブリッジ(30)の各側端部がそれぞれ対応する後溝部(4R)内に嵌着されることで、該ブリッジ(30)が保持されるので、ブリッジ(30)のベース部(1)への組付け作業を容易に行うことができる。
【0060】
さらに、溝(4)は、ベース部(1)の前面からベース部(1)の後面まで連続的に設けられているので、ベース部(1)に対して当該溝(4)の加工を容易に行うことができる。
【0061】
さらに、この実施形態の押出ダイス(E1)では、前溝部(4F)は雌型(10)のキー突起(11)(11)が嵌合されるキー溝として利用されている、わざわざベース部(1)にキー溝を別途形成する必要がないという利点を有している。
【0062】
また、マンドレル(40)は、その肉厚が0.5〜1mmといった薄肉のものなので、該マンドレル(40)に対して研磨加工を容易に行うことができ、ひいてはマンドレル(40)の中空部成形用凸部(41)の加工を精度良く行うことができる。
【0063】
さらに、このマンドレル(40)が位置決め部材(50)のマンドレル装着部(51)に装着された状態で、位置決め部材(50)がマンドレル差込み孔(31)内に差し込まれているので、マンドレル差込み孔(31)内における該マンドレル(40)の幅方向に関する位置は、位置決め部材(50)によって決められ且つ保持されている。したがって、マンドレル(40)の幅方向に関する位置決めを確実に行うことができるし、押出加工時にマンドレル(40)の位置が幅方向にずれてしまう不具合を防止することができ、もって得られる中空材(70)の寸法精度を向上させることができる。
【0064】
さらに、位置決め部材(50)の前端部が雌型(10)の後面に当接することにより、マンドレル差込み孔(31)内における位置決め部材(50)の前方向に関する位置が決められているので、マンドレル(40)の前方向に関する位置決めを確実に行うことができる。その上、位置決め部材(50)の後端部に蓋部材(5)が当接することにより、マンドレル差込み孔(31)内における位置決め部材(50)の後方向に関する位置が決められていることから、マンドレル(40)の前後方向に関する位置決めを確実に行うことができる。しかも、当該マンドレル(40)の前後方向に関する位置は、蓋部材(5)によって保持されており、このため、押出加工時にマンドレル(40)の位置が前後方向にずれてしまう不具合を防止することができ、もって得られる中空材(70)の寸法精度を更に向上させることができる。
【0065】
さらに、位置決め部材(50)の厚さ寸法は、マンドレル差込み孔(31)の厚さ方向寸法及びマンドレル(40)の厚さ寸法と略同寸に設定されているから、マンドレル差込み孔(31)内におけるマンドレル(40)の厚さ方向に関する位置がマンドレル差込み孔(31)によって決められ且つ保持されている。したがって、マンドレル(40)の厚さ方向に関する位置決めを確実に行うことができるし、押出加工時にマンドレル(40)の位置が厚さ方向にずれてしまう不具合を防止することができ、もって得られる中空材(70)の寸法精度をより一段と向上させることができる。
【0066】
また、マンドレル差込み孔(31)の後端開口部が蓋部材(5)によって閉塞されているので、押出加工時に材料がマンドレル差込み孔(31)内に入り込む不具合を防止することができる。また、蓋部材(5)の各側端部がそれぞれ対応する後溝部(4R)内に嵌着されることで、該蓋部材(5)が保持されるので、該蓋部材(5)のベース部(1)への組付け作業を容易に行うことができる。
【0067】
また、マンドレル(40)が位置決め部材(50)のマンドレル装着部(51)に装着された状態で、位置決め部材(50)がマンドレル差込み孔(31)内に差し込まれているので、押出加工時に生じることのあるブリッジ(30)とマンドレル(40)との熱膨張差に伴うマンドレル(40)の位置ずれを、位置決め部材(50)の材質を適宜設定することにより、防止することが可能となる。したがって、この押出ダイス(E1)によれば、更に寸法精度の高い中空材(70)を得ることができる。
【0068】
また、充填部材(6)が空間(S)内に嵌着保持された状態で、雌型(10)の外周面が充填部材()によって雌型嵌合凹部(2)の内側へ押されているので、雌型(10)をしっかりと保持することができる。
【0069】
図8は、この発明の第2実施形態に係る中空材の押出ダイス(E2)を示している。なお、同図には、上記第1実施形態に係る押出ダイス(E1)に対応する要素に同一の符号が付されている。
【0070】
この押出ダイス(E2)においては、充填部材(6)(6)は、ブリッジ(30)の各側端部の前端にそれぞれ前方突出状に一体形成されている。
【0071】
この押出ダイス(E2)の他の構成は、上記第1実施形態の押出ダイス(E1)と同じであり、重複する説明を省略する。
【0072】
この第2実施形態の押出ダイス(E2)によれば、充填部材(6)(6)がブリッジ(30)に一体形成されているので、押出ダイス(E2)の部材点数を減らすことができ、ひいては押出ダイス(E2)の製造コストを引き下げることができる。
【0073】
図9及び図10は、この発明の第3実施形態に係る中空材の押出ダイス(E3)を示している。なお、同図には、上記第1実施形態に係る押出ダイス(E3)に対応する要素に同一の符号が付されている。
【0074】
この押出ダイス(E3)においては、板状のブリッジ(30)は、厚さ方向に2分割されて構成されている。このブリッジ(30)を構成する両分割片(30A)(30B)において、一方の分割片(30A、これを「第1分割片」という。)の合わせ面(即ち分割面)には、その幅方向中間部において前後方向に延びたマンドレル嵌合溝(33)が該分割片(30A)の前端面から該分割片(30A)の後端面まで連続的に設けられている。これに対して、他方の分割片(30B、これを「第2分割片」という。)の合わせ面には、このようなマンドレル嵌合溝は設けられておらず、すなわち第2分割片(30B)の合わせ面は平坦状に形成されている。
【0075】
(50)は、薄肉板状の位置決め部材である。この位置決め部材(50)は、剛性材(剛性を有する材料)から製作されており、詳述するとダイス鋼等の鋼材から製作されている。
【0076】
この位置決め部材(50)は、マンドレル嵌合溝(33)内におけるマンドレル(40)の幅方向に関する位置を決めるためのもので、かかる作用を奏し得るようにするため、この位置決め部材(50)の幅寸法はマンドレル嵌合溝(33)の幅寸法と略同寸に設定されている。また、この位置決め部材(50)の長さ寸法はマンドレル嵌合溝(33)の長さ寸法又は/及びブリッジ(30)の長さ寸法と略同寸に設定され、またこの位置決め部材(50)の厚さ寸法はマンドレル嵌合溝(33)の深さ寸法と略同寸に設定されている。したがって、この位置決め部材(50)は、マンドレル嵌合溝(33)内にぴったりと嵌合し得るものとなされている。さらに、この位置決め部材(50)の厚さ寸法は、マンドレル(40)の厚さ寸法と略同寸に設定されている。この位置決め部材(50)の他の構成は、上記第1実施形態の押出ダイス(E1)の位置決め部材と同じである。
【0077】
また、マンドレル(40)、雌型(10)ベース部(1)の構成は、上記第1実施形態の押出ダイス(E1)のそれと同じである。
【0078】
この第3実施形態の押出ダイス(E3)では、マンドレル(40)が位置決め部材(50)のマンドレル嵌合溝(33)内に着脱自在に嵌合装着された装着状態で、位置決め部材(50)が第1分割片(30A)のマンドレル嵌合溝(33)内に取外し可能に嵌合される。さらに、マンドレル嵌合溝(33)内にマンドレル(40)が嵌合された状態で、両分割片(30A)(30B)の合わせ面同士が互いに合わされ、これにより、マンドレル(40)及び位置決め部材(50)が両分割片(30A)(30B)間で挟着保持されている。
【0079】
このようにして両分割片(30A)(30B)の合わせ面同士が合わされることにより、ブリッジ(30)が形成される。
【0080】
そして、両分割片(30A)(30B)の合わせ面同士が合わせ状態のままで、ブリッジ(30)の各側端部がそれぞれ対応する後溝部(図参照、4R)内にその後端開口部から圧入によって着脱自在に嵌着され、これにより、該ブリッジ(30)が保持されるとともに、両分割片(30A)(30B)の合わせ状態が保持されている。
【0081】
さらに、蓋部材(5)がこのブリッジ(30)の後端面に沿って該後端面に当接して配置されており、これにより、マンドレル嵌合溝(33)の後端開口部が該蓋部材(5)によって閉塞されている。さらに、この閉塞状態のもとで該蓋部材(5)の各側端部がそれぞれ対応する後溝部(図5参照、4R)内にその後端開口部から圧入によって着脱自在に嵌着され、これにより、該蓋部材(5)が保持されている。
【0082】
この第3実施形態の押出ダイス(E3)の他の構成は、上記第1実施形態の押出ダイス(E1)と同じである。
【0083】
而して、この第3実施形態の押出ダイス(E3)によれば、ブリッジ(30)は厚さ方向に2分割されたものであるから、マンドレル(40)のマンドレル嵌合溝(33)内への嵌合作業を容易に行うことができる。
【0084】
また、マンドレル嵌合溝(33)は、分割片(30A)の合わせ面に設けられているから、該マンドレル嵌合溝(33)の加工を容易に行うことうができる。
【0085】
さらに、マンドレル(40)が位置決め部材(50)のマンドレル装着部(51)に装着された状態で、位置決め部材(50)がマンドレル嵌合溝(33)内に嵌合されているので、マンドレル嵌合溝(33)内における該マンドレル(40)の幅方向に関する位置は、位置決め部材(50)によって決められ且つ保持されている。したがって、マンドレル(40)の幅方向に関する位置決めを確実に行うことができるし、押出加工時にマンドレル(40)の位置が幅方向にずれてしまう不具合を防止することができ、もって得られる中空材(70)の寸法精度を向上させることができる。
【0086】
さらに、位置決め部材(50)の前端部が雌型(10)の後面に当接することにより、マンドレル嵌合溝(33)内における位置決め部材(50)の前方向に関する位置が決められるので、マンドレル(40)の前方向に関する位置決めを確実に行うことができる。その上、位置決め部材(50)の後端部に蓋部材(5)が当接することにより、マンドレル嵌合溝(33)内における位置決め部材(50)の後方向に関する位置が決められていることから、マンドレル(40)の前後方向に関する位置決めを確実に行うことができる。しかも、当該マンドレル(40)の前後方向に関する位置は、蓋部材(5)によって保持されており、このため、押出加工時にマンドレル(40)の位置が前後方向にずれてしまう不具合を防止することができ、もって得られる中空材(70)の寸法精度を更に向上させることができる。
【0087】
さらに、位置決め部材(50)の厚さ寸法は、マンドレル嵌合溝(33)の深さ寸法及びマンドレル(40)の厚さ寸法と略同寸に設定されているから、マンドレル嵌合溝(33)内におけるマンドレル(40)の厚さ方向に関する位置が決められており、このため、マンドレル(40)の厚さ方向に関する位置決めを確実に行うことができる。しかも、当該マンドレル(40)の厚さ方向に関する位置は、両分割片(30A)(30B)間で保持されており、このため、押出加工時にマンドレル(40)の位置が厚さ方向にずれてしまう不具合を防止することができ、もって得られる中空材(70)の寸法精度をより一段と向上させることができる。
【0088】
また、マンドレル嵌合溝(33)の後端開口部が蓋部材(5)によって閉塞されるので、押出加工時に材料がマンドレル嵌合溝(33)内に入り込む不具合を防止することができる。
【0089】
以上でこの発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に示すものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
【0090】
例えば、上記第3実施形態の押出ダイス(E3)において、ブリッジ(30)を構成する2個の分割片(30A)(30B)の合わせ面の両方に、それぞれマンドレル嵌合溝(33)が設けられていても良い。この場合、各マンドレル嵌合溝(33)の深さ寸法は、両分割片(30A)(30B)の合わせ面同士を合わせることにより形成される孔の厚さ方向寸法がマンドレル(40)の厚さ寸法と略同寸になるように、設定されていることが望ましい。
【0091】
また、マンドレル(40)や位置決め部材(50)は、両分割片(30A)(30B)間で挟着保持されていなくても良く、両分割片(30A)(30B)の合わせ面同士が合わされることにより形成される孔内に、抜出可能に差し込まれていても良い。なお、この場合には、この孔は、上記第1実施形態の押出ダイス(E1)におけるマンドレル差込み孔(図1参照、31)と同様の作用を奏するものとなる。
【0092】
【発明の効果】
上述の次第で、の発明では、ブリッジがベース部とは別体に形成されたものであるから、該ブリッジに様々な加工を容易に行うことができるし、ベース部に対して雌型嵌合凹部の加工や材料流入凹部等の加工を容易に行うことができる。
【0093】
の発明では、ブリッジはベース部に取外し可能に組み付けられているので、もし仮に、ブリッジやマンドレルが摩耗したり破損した場合であっても、これを新しいものに交換することができる。
【0094】
の発明では、ブリッジの側端部が溝内に嵌着されることにより、該ブリッジが保持されるので、ブリッジのベース部への組付け作業を容易に行うことができる。しかも、この溝は、ベース部の前面からベース部の後面まで連続的に設けられているので、当該溝の加工を容易に行うことができる。
【0095】
の発明では、溝内における、該溝の底部と雌型の外周面との間の空間内に、充填部材が取外し可能に嵌着保持されているので、この充填部材の前面を後方へ押すことにより、ブリッジをベース部から取り外すことができ、したがってブリッジの取外し操作を容易に行うことができる。
【0096】
の発明では、充填部材がブリッジに一体形成されているので、押出ダイスの部材点数を減らすことができ、ひいては押出ダイスの製造コストを引き下げることができる。
【0097】
の発明では、マンドレルが所定の位置決め部材に設けられたマンドレル装着部に装着された状態で、この位置決め部材がマンドレル差込み孔内に差し込まれているので、マンドレル差込み孔内におけるマンドレルの幅方向に関する位置決めを確実に行うことができる。さらに、位置決め部材はマンドレル差込み孔内に抜出可能に差し込まれているので、もし仮に、マンドレルが摩耗したり破損した場合であっても、位置決め部材をマンドレル差込み孔内から抜出することができて、マンドレルを新しいものに交換することができる。
【0098】
の発明は、上記請求項6の発明と同じ効果を奏し得る。さらに、マンドレル差込み孔の後端開口部が蓋部材によって閉塞されているので、押出加工時に材料がマンドレル差込み孔内に入り込む不具合を防止することができる。しかも、蓋部材の側端部が溝内に嵌着されることにより、該蓋部材が保持されるので、該蓋部材のベース部への組付け作業を容易に行うことができる。
【0099】
の発明では、マンドレルが位置決め部材のマンドレル装着部に装着された状態で、この位置決め部材がマンドレル嵌合溝内に嵌合されているので、マンドレル嵌合溝内における該マンドレルの幅方向に関する位置決めを確実に行うことができる。さらに、位置決め部材はマンドレル嵌合溝内に取外し可能に嵌合されているので、もし仮に、マンドレルが摩耗したり破損した場合であっても、位置決め部材をマンドレル嵌合溝内から取り外すことができて、マンドレルを新しいものに交換することができる。その上、ブリッジは2分割されたものであるから、位置決め部材のマンドレル嵌合溝内への嵌合作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る押出ダイスであって、同押出ダイスを分解して押出方向前方側から見た斜視図である。
【図2】同押出ダイスを分解して押出方向後方側から見た斜視図である。
【図3】同押出ダイスの組立途中の状態を示す、押出方向後方側から見た一部切欠き斜視図である。
【図4】同押出ダイスの組立途中の状態を示す、断面図である。
【図5】同押出ダイスの断面図である。
【図6】図5中のVI−VI線断面図である。
【図7】同押出ダイスを用いて押出加工される中空材を示す図で、(イ)は斜視図、(ロ)は横断面図である。
【図8】この発明の第2実施形態に係る押出ダイスの図4に対応する図である。
【図9】この発明の第3実施形態に係る押出ダイスの図3に対応する図である。
【図10】同押出ダイスの図6に対応する図である。
【符号の説明】
E1、E2、E3…押出ダイス
1…ベース部
2…雌型嵌合凹部
3…材料流入凹部
4…溝
5…蓋部材
6…充填部材
10…雌型
12…ベアリング孔
20…雄型
30…ブリッジ
31…マンドレル差込み孔
33…マンドレル嵌合溝
40…マンドレル
41…中空部成形用凸部
50…位置決め部材
51…マンドレル装着部
70…中空材

Claims (3)

  1. 中空材(70)の外周部を成形する雌型(10)と、中空材(70)の中空部(71)を成形する中空部成形用凸部(41)を有する雄型(20)と、前面に前記雌型(10)が嵌合される雌型嵌合凹部(2)が設けられる一方、後面に前記雌嵌合凹部(2)に連通した材料流入凹部(3)が設けられたベース部(1)と、を備えた中空材の押出ダイス(E1)であって、
    前記雌型(10)は、前記ベース部(1)の雌型嵌合凹部(2)内に嵌着保持されており、
    前記雄型(20)は、前端に前記中空部成形用凸部(41)を有するマンドレル(40)と、該マンドレル(40)を支持するとともに前記ベース部(1)の材料流入凹部()内に配置されたブリッジ(30)とを備え、
    前記ブリッジ(30)は、前記ベース部(1)とは別体に形成されたもので、前記ベース部(1)に取外し可能に組み付けられ
    前記ベース部(1)の雌型嵌合凹部(2)の周面の一部と材料流入凹部(3)の周面の一部とに、ベース部(1)の前面から後面まで連続的に前後方向に延びた溝(4)が設けられており、
    前記ブリッジ( 30 )の側端部が前記溝(4)内に嵌着されることにより、該ブリッジ( 30 )が保持され、
    前記溝(4)内における、該溝(4)の底面と前記雌型( 10 )の外周面との間の空間(S)内に、該空間(S)を充填する充填部材(6)が取外し可能に嵌着保持され、
    これによって前記ブリッジ(30)の前端部は、雌型(10)の後面及び充填部材(6)の後面に当接されており、また、
    前記ブリッジ( 30 )に、前記マンドレル( 40 )が差し込まれるマンドレル差込み孔( 31 )が設けられ、
    前記マンドレル差込み孔( 31 )内における前記マンドレル( 40 )の幅方向に関する位置を決める位置決め部材( 50 )に設けられたマンドレル装着部( 51 )に、前記マンドレル( 40 )が着脱自在に装着されるとともに、この装着状態で前記位置決め部材( 50 )が前記マンドレル差込み孔( 31 )内に抜出可能に差し込まれており、更に、
    前記マンドレル差込み孔( 31 )の後端開口部が該後端開口部を閉塞する蓋部材(5)によって閉塞されるとともに、この閉塞状態で該蓋部材(5)の側端部が前記溝(4)内に着脱自在に嵌着されることにより、該蓋部材(5)が保持されている中空材の押出ダイス。
  2. 中空材( 70 )の外周部を成形する雌型( 10 )と、中空材( 70 )の中空部 (71) を成形する中空部成形用凸部( 41 )を有する雄型( 20 )と、前面に前記雌型( 10 )が嵌合される雌型嵌合凹部(2)が設けられる一方、後面に前記雌嵌合凹部(2)に連通した材料流入凹部(3)が設けられたベース部(1)と、を備えた中空材の押出ダイス( E2 )であって、
    前記雌型( 10 )は、前記ベース部(1)の雌型嵌合凹部(2)内に嵌着保持されており、
    前記雄型( 20 )は、前端に前記中空部成形用凸部( 41 )を有するマンドレル( 40 )と、該マンドレル( 40 )を支持するとともに前記ベース部(1)の材料流入凹部(3)内に配置されたブリッジ( 30 )とを備え、
    前記ブリッジ( 30 )は、前記ベース部(1)とは別体に形成されたもので、前記ベース部(1)に取外し可能に組み付けられ、
    前記ベース部(1)の雌型嵌合凹部(2)の周面の一部と材料流入凹部(3)の周面の一部とに、ベース部(1)の前面から後面まで連続的に前後方向に延びた溝(4)が設けられており、
    前記ブリッジ( 30 )の側端部が前記溝(4)内に嵌着されることにより、該ブリッジ( 30 )が保持され、
    前記溝(4)内における、該溝(4)の底面と前記雌型( 10 )の外周面との間の空間(S)内に、該空間(S)を充填する充填部材(6)が取外し可能に嵌着保持され、
    前記充填部材(6)は、前記ブリッジ(30)に一体成形されており、
    前記ブリッジ( 30 )に、前記マンドレル( 40 )が差し込まれるマンドレル差込み孔( 31 )が設けられ、
    前記マンドレル差込み孔( 31 )内における前記マンドレル( 40 )の幅方向に関する位置を決める位置決め部材( 50 )に設けられたマンドレル装着部( 51 )に、前記マンドレル( 40 )が着脱自在に装着されるとともに、この装着状態で前記位置決め部材( 50 )が前記マンドレル差込み孔( 31 )内に抜出可能に差し込まれており、更に、
    前記マンドレル差込み孔( 31 )の後端開口部が該後端開口部を閉塞する蓋部材(5)によって閉塞されるとともに、この閉塞状態で該蓋部材(5)の側端部が前記溝(4)内に着脱自在に嵌着されることにより、該蓋部材(5)が保持されている中空材の押出ダイス。
  3. 前記ブリッジ( 30 )は、厚さ方向に2分割されるとともに、該両分割片( 30A )( 30B )の合わせ面のうち少なくとも一方に、前記マンドレル( 40 )が嵌合されるマンドレル嵌合溝( 33 )が設けられ、前記マンドレル嵌合溝( 33 )内における前記マンドレル( 40 )の幅方向に関する位置を決める位置決め部材( 50 )に設けられたマンドレル装着部( 51 )に、前記マンドレル( 40 )が着脱自在に装着されるとともに、この装着状態で前記位置決め部材( 50 )が前記マンドレル嵌合溝( 33 )内に取外し可能に嵌合され、且つ前記両分割片( 30A )( 30B )の合わせ面同士が合わされている請求項1に記載の中空材の押出ダイス。
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