JP2010194552A - 押出用ダイス - Google Patents
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Abstract
【課題】押出用ダイスの製作において、製作の手間を減じて製作時間を短縮し、かつ寸法精度を向上させる。
【解決手段】押出材の形状に応じて専用されるダイス(1)であって、押出方向において複数個の型(21)(31)に分割されている。前記ダイス(1)は中空の押出材の外周部を成形する雌型(10)と内周部を成形する雄型(20)とを組み合わせたポートホールダイスであり、前記雄型(20)が分割されている。
【選択図】 図1
【解決手段】押出材の形状に応じて専用されるダイス(1)であって、押出方向において複数個の型(21)(31)に分割されている。前記ダイス(1)は中空の押出材の外周部を成形する雌型(10)と内周部を成形する雄型(20)とを組み合わせたポートホールダイスであり、前記雄型(20)が分割されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アルミニウム等の金属の押出加工に用いる押出用ダイスに関する。
押出用ダイスには押出圧力に耐えうる厚さが必要であり、またダイス形状が複雑になるほど、形状の実現と強度確保のために厚さが厚くなる傾向がある。
図6に示したポートホールダイス(40)は、中空材の外周面を成形する雌型(41)と内周面を成形する雄型(42)との組合せダイスである。前記雄型(42)は、前方に突出するマンドレル(43)と、このマンドレル(43)の周囲に押出方向に貫通する複数のポートホール(44)を有し、隣接するポートホール(44)(44)間には前記マンドレル(43)を基端部で支持するブリッジ(45)が形成されている。また、この雄型(42)の前面側には溶着室溶凹部(46)が設けられている。一方、雌型(41)は中央部に設けられたベアリング孔(47)と、このベアリング孔(47)の前方側に連なって設けられたリリーフ孔(48)と、後方側に連なって設けられた溶着室用凹部(49)とを備えている。そして、雌型(41)と雄型(42)とを組み合わせると、雌型(41)のベアリング孔(47)内に雄型(42)のマンドレル(43)のベアリング部が嵌り込んで両者の間に環状の成形用間隙が形成される。
かかる形状のポートホールダイスには特許文献1、2に記載されているものがある。
前記雌型(41)および雄型(42)は、工具鋼からなる原材から材料取りを行ってダイス素材とし、このダイス素材を切削して上記形状に加工する。雄型(42)の製作では、ポートホール(44)を穿設してブリッジ(45)を形成する加工、前方に突出するマンドレル(43)を削り出す加工、溶着室用凹部(46)を抉る加工等を行う。雄型(42)は突出するマンドレル(43)を有しかつポートホール(44)とポートホール(44)を繋ぐブリッジ(45)を有することで雌型(41)よりも形状が複雑であり、かかる複雑形状のダイスには押出方向に相応の厚みが必要となる。このため、複雑形状の加工に手間がかかる上に押出方向の加工線が長くなる。複雑形状である上に加工線が長くなると、寸法精度の維持が難しいためにダイス製作に多大な手間と時間がかかるという問題点があった。
本発明は、上述した技術背景に鑑み、従来よりも加工の手間を減じて製作時間を短縮し、かつ寸法精度を向上できる押出用ダイスの提供を目的とする。
即ち、本発明の押出用ダイスは下記[1]〜[5]に記載の構成を有する。
[1] 押出材の形状に応じて専用されるダイスであって、押出方向において複数個の型に分割されていることを特徴とする押出用ダイス。
[2] 前記ダイスは中空の押出材の外周部を成形する雌型と内周部を成形する雄型とを組み合わせたポートホールダイスであり、前記雄型が分割されている前項1に記載の押出用ダイス。
[3] 前記ダイスは、押出方向との直交面において中空部とこの中空部内に突出する凸部とを有する前項1または2に記載の押出用ダイス。
[4] 前記ダイスは、中実の押出材を成形する平ダイス、または中空の押出材の外周部を成形する雌型と内周部を成形する雄型とを組み合わせたポートホールダイスの雌型である前項3に記載の押出用ダイス。
[5] 前記ダイスは、ベアリング部を含む分割型が他の分割型よりも厚くなるように分割されている前項1〜4のいずれかに記載の押出用ダイス。
上記[1]に記載の発明によれば、ダイス製作に際し、各分割型における押出方向の加工線が短くなり、加工作業性が向上するとともに、寸法精度も向上する。
上記[2]に記載の発明によれば、形状の複雑なポートホールダイスの雄型の製作において上記効果を得ることができる。
上記[3]に記載の発明によれば、押出方向との直交面において中空部とこの中空部内に突出する凸部とを有するダイスにおいて上記効果を得ることができる。
上記[4]に記載の発明によれば、平ダイスおよびポートホールダイスの雌型において上記効果を得ることができる。
上記[5]に記載の発明によれば、ベアリング部の強度および寸法精度が確保される。
本発明における押出用ダイスとは、押出機の前端に配置される押出工具の構成部材のうちで、その押出材の専用となる部分である。ダイスの後方に配置するプレート、前方に配置するバッカーおよびボルスタ、これらを装填するダイリング等は、異なる形材の押出を行う際にも共用する構成部材であるから、本発明の押出用ダイスには含まれない。また、共用する構成部材の種類も限定されない。
図1は、ポートホールダイス(1)を含む押出工具(2)の一例である。押出工具(2)において、ポートホールダイス(1)の後端面に隣接して材料流れを制御するプレート(3)が配置され、前端面に隣接してバッカー(4)が配置されている。前記ポートホールダイス(1)、プレート(2)およびバッカー(4)はダイリング(5)内に収容され、さらにその前にボルスタ(6)が配置されている。また、(7)は押出機のコンテナ、(8)はビレットである。
前記押出工具(2)の構成部材のうち、ポートホールダイス(1)が押出材毎に専用される部分であり、本発明における押出用ダイスに対応する。
前記押出工具(2)の構成部材のうち、ポートホールダイス(1)が押出材毎に専用される部分であり、本発明における押出用ダイスに対応する。
図2〜図5Bに示すように、前記ポートホールダイス(1)は、中空の押出材の外周面を成形する雌型(10)と内周面を成形する雄型(20)との組み合わせダイスである。
雌型(10)は、中央部に設けられたベアリング孔(11)と、このベアリング孔(11)の前方側に連なって設けられたリリーフ孔(12)とを備え、ベアリング孔(11)の周囲には溶着室用凹部(13)が後端面に開口して設けられている。さらに、後端面の外周縁には雄型(20)との合わせ位置を決めるための係合凸部(14)が形成されている。
雄型(20)は、押出方向において前方の雌型(10)に当接する前型(21)と後方のプレート(3)に当接する後型(31)とに二分割されている。
前記前型(21)は、前方に突出するマンドレル(22)と、このマンドレル(22)の周囲に押出方向に貫通する4個のポートホール(23)を有し、隣接するポートホール(23)(23)間には前記マンドレル(22)を基端部で支持するブリッジ(24)が形成されている。前記マンドレル(22)の先端側の周面にはベアリング部(25)が突設されている。前記ブリッジ(24)は雌型(10)との合わせ面から後方に退入した位置から後方に設けられているため、マンドレル(22)の周囲には溶着室用凹部(26)が形成されている。また、外周面の前面側は径を小さくした段部(27)が形成され、この段部(27)に雌型(10)の係合凸部(14)が係合されるものとなされている。一方、後型(31)は、押出方向に貫通する4個のポートホール(33)を有し、隣接するポートホール(33)の間はブリッジ(34)を形成している。
雄型(20)の前型(21)のポートホール(23)と後型(31)のポートホール(33)とは断面形状および位置が同一であって前型(21)および後型(31)の合わせ面は平面視同一形状であり、前型(21)と後型(31)とを合わせると両方の4つのポートホール(23)(33)が完全に一致して連通する。
さらに、前記雌型(10)と雄型(20)とを組み合わせると、雌型(10)のベアリング孔(11)内に雄型(20)のマンドレル(22)のベアリング部(25)が嵌り込んでこれらの間に環状の成形用間隙(符号なし)が形成され、雌型(10)の溶着室用凹部(13)と雄型(10)の溶着室用凹部(26)とが合わさって溶着室を形成する。そして、4個のポートホール(33)(23)から流入したビレット(8)が溶着室で合流し、前記成形用間隙から中空の押出材が押し出される。
上述したポートホールダイス(1)は、工具鋼からなる原材から、雌型(10)用、雄型(20)の前型(21)用、後型(31)用の素材をそれぞれ切り出し、切削加工により最終形状近くまで加工した上で、放電加工によりベアリング孔(11)およびベアリング部(25)を成形する。この製作工程において、押出方向における切削加工の加工線は最大で各型の厚さであるから、雄型(20)は、前型(21)と後型(31)とに分割することによって各型(21)(31)の加工線は分割比に対応して短くなり、加工線が短くなったことで加工作業性が良くなるとともに、寸法精度も向上する。特に、ポートホールダイス(1)の雄型(20)はマンドレル(22)、ポートホール(23)、ブリッジ(24)を有する複雑形状である上に、押出方向の厚みが大きいことから、分割による上記効果は大きい。ポートホールダイスに限らず、中空材を押出すホローダイスは、形状が複雑で押出方向の厚みが大きいことから、分割による上記効果は大きい。図示例のポートホールダイス(1)は中心に1つの中空部を有する押出材を成形するものであってポートホールの形状と位置が単純なものであるが、中空部の形状や位置によってはポートホールおよびブリッジの形状および位置が複雑になり、これらが複雑になるほど上記分割による効果も大きくなる。
さらに、ダイス製作の加工作業性が改善されたことで、ダイス製作に要する時間が短縮され、ひいては押出材の生産性を向上させることができる。
なお、前記ポートホールダイス(1)では雄型(20)のみを分割したが、雌型(10)を分割することもできる。図示例の雌型(10)は雄型(20)に比べて形状が単純であるために分割による効果は雄型(10)よりも小さいが、分割すれば相応の効果を得ることができる。また、押出材の外周形状が複雑であれば雌型(10)を分割する効果も大きくなる。例えば、外周面に凹凸を有する押出材、特に多数の凹部および凸部を有したり、トング比の大きい凸部を有する押出材を成形する場合は、雌型の形状も複雑になる。そして、押出方向に直交する面において雌型のリリーフ孔や溶着室用凹部といった中空部内に凸部が突出したダイス形状になると、分割による上記効果が大きくなる。また、押出材が外周面に凹凸を有するものであり、ベアリング孔内に凸部が突出する雌型であっても、リリーフ孔や溶着室用凹部は凸部の無い単純形状である場合がある。かかる場合も、リリーフ孔や溶着室用凹部において雌型を分割することによって加工線が短くなるので、ベアリング孔の加工作業性が良くなる。
本発明は、中空の押出材を成形するホローダイスに限定されるものではなく、中実の押出材を成形する平ダイスにも適用して分割による効果を得ることができる。上述したポートホールダイスの雌型の場合と同じく、凹凸を有する押出材、特に多数の凹部と凸部を有したり、凸部のトング比の大きい押出材を成形する平ダイスでは、押出方向と直交する面において中空部に凸部が突出した複雑形状となるので分割による上記効果は大きくなる。また、上述した雌型と同じく、ベアリング孔内に凸部が突出しているが、リリーフ孔や後方の材料流れ制御用凹部に凸部が無い場合においても、分割することによってベアリング孔の加工作業性が良くなるという効果がある。
いずれのダイスにおいても、分割の位置や分割数は限定されないが、ベアリング部を避け、ベアリング部の強度および寸法精度を確保するためにベアリング部を含む分割型が他の分割型よりも厚くなるように分割することが好ましい。図2等に示したポートホールダイス(1)の雄型(20)では、ベアリング部(25)を含む前型(21)を後型(31)よりも厚くなるように分割している。
本発明の押出用ダイスはダイス製作に要する時間が短縮されので、押出材の生産性を向上させることができる。
1…ポートホールダイス(押出用ダイス)
10…雌型
20…雄型
21…前型(分割型)
31…後型(分割型)
10…雌型
20…雄型
21…前型(分割型)
31…後型(分割型)
Claims (5)
- 押出材の形状に応じて専用されるダイスであって、押出方向において複数個の型に分割されていることを特徴とする押出用ダイス。
- 前記ダイスは中空の押出材の外周部を成形する雌型と内周部を成形する雄型とを組み合わせたポートホールダイスであり、前記雄型が分割されている請求項1に記載の押出用ダイス。
- 前記ダイスは、押出方向との直交面において中空部とこの中空部内に突出する凸部とを有する請求項1または2に記載の押出用ダイス。
- 前記ダイスは、中実の押出材を成形する平ダイス、または中空の押出材の外周部を成形する雌型と内周部を成形する雄型とを組み合わせたポートホールダイスの雌型である請求項3に記載の押出用ダイス。
- 前記ダイスは、ベアリング部を含む分割型が他の分割型よりも厚くなるように分割されている請求項1〜4のいずれかに記載の押出用ダイス。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009038962A JP2010194552A (ja) | 2009-02-23 | 2009-02-23 | 押出用ダイス |
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