JPH0957334A - 中空材押出用ダイス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏平方形状の中空押出材Ｅを形状安定性良く
押出加工することができるようにすることを課題とす
る。 【解決手段】 雄型３が、第１及び第２の前後の雄型構
成部材６、７に分割構成されて互いに組み合わされてい
る。第１雄型構成部材６は、ビレット金属Ｂを押出材Ｅ
の横断面形状・サイズに応じてバランス良く溶着室５に
供給する複数のポート孔１２…が備えられている。第２
雄型構成部材７は、ビレット金属Ｂを第１雄型構成部材
６の各ポート孔１２…にそれぞれ量的にバランス良く分
配供給する複数のポート孔１３…が備えられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム等
の金属製中空材の押出用ダイスに関する。

【０００２】なお、本明細書において「前」、「後」の
語は、押出方向を前方とした場合の意味において使用し
ている。

【０００３】

【従来の技術】例えば、図３に示されるような、偏平方
形状のアルミニウム製中空押出材（Ｅ）の押出加工に
は、図４に示されるようなポートホールダイスタイプの
組み合わせダイス（51）が用いられる。

【０００４】この組み合わせダイス（51）は、押出材
（Ｅ）の外周側を成形する雌型（52）と、押出材（Ｅ）
の中空部を成形する雄型（53）とからなる。雄型（53）
は、偏平方形状のベアリング部（54）を外周部に備えた
前方突出状の成形凸部（55）を有すると共に、該成形凸
部（55）の周囲に周方向間隔的に前後方向に貫通する複
数のポート孔（56）…が設けられたものである。雌型
（52）には、その偏平方形状の成形孔ベアリング部（5
7）の後部に溶着室用凹部（59）が連通して設けられて
いる。この雌型（52）の後部に上記雄型（53）が組み合
わされることにより、雄型ベアリング部（54）と雌型成
形孔ベアリング部（57）との間に中空押出材（Ｅ）の横
断面形状に対応する形状の成形隙間（60）が形成される
と共に、該成形隙間（60）の後部に溶着室（59）が連通
して形成される。この雌雄組み合わせダイス（51）で
は、押出中、コンテナ（61）内のビレット金属（Ｂ）が
雄型（53）の各ポート孔（56）…に分断して流入され、
各ポート孔（56）…を通過後、溶着室（59）内で合流圧
着され、そして、成形隙間（60）を通過して、偏平方形
状の中空押出材（Ｅ）に成形される。

【０００５】ところで、例えば上記のような偏平方形状
の中空押出材（Ｅ）を上記のような雌雄組み合わせダイ
ス（51）にて押出加工する場合、該中空押出材（Ｅ）を
形状安定性良く押出加工するために、雄型（53）のポー
ト孔（56）…は、真円状の円周配置でない図 に示され
るような偏平円状の円周配置関係において設けられると
共に、各ポート孔（56）…の形状・横断面積も互いに異
ならせるように形成されるなどする。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、雄型
（53）のポート孔（56）…が、上記のような偏平円状の
円周配置関係に配置されるなどの設計がなされて、ビレ
ット金属（Ｂ）が押出材（Ｅ）の横断面形状・サイズに
応じてバランス良く溶着室（59）に供給されるように構
成された場合であっても、これが結果的に、押出材
（Ｅ）の形状安定化に結び付かない、ないしは、結び付
きにくく、また、押出材（Ｅ）の形状を安定化させるよ
うに設計するのが非常に難しいという問題があった。

【０００７】これは、確かに雄型（53）のポート孔（5
6）…が上記のような例えば偏平円状の円周配置関係等
において形成されたものである場合、該ポート孔（56）
…から溶着室（59）を介し成形隙間（60）に向かうビレ
ット金属（Ｂ）の流れは、設計思想からいって、押出材
（Ｅ）の横断面形状・サイズに応じたバランス良いもの
になる筈であるが、これには、コンテナ（61）から各ポ
ート孔（56）…に分断して流入される各ビレット金属
（Ｂ）の量的なバランスがとれていることが前提である
ところ、各ポート孔（56）…が、上記のように、押出材
（Ｅ）の横断面形状・サイズに応じた偏平円状の円周配
置関係等において形成されたものである場合、各ポート
孔（56）…へのビレット金属（Ｂ）の量的なバランスが
とれず、ないしは、とるのが非常に難しく、それゆえ、
上記のような不本意な事態を招いていたものである。

【０００８】即ち、押出材（Ｅ）の横断面形状・サイズ
に応じてバランス良くビレット金属を溶着室（59）に送
り込むように設計された各ポート孔（56）…の形状・サ
イズ・配置関係では、コンテナ（61）からのビレット金
属（Ｂ）が各ポート孔（56）…に量的にバランス良く流
入されない関係になってしまうことが往々にして生じて
しまうのである。

【０００９】この発明は、上記のような従来の問題点に
鑑み、ビレット金属を押出材の横断面形状・サイズに応
じてバランス良く溶着室に供給することと、それを司ど
るポート孔のそれぞれにコンテナ内のビレット金属を量
的にバランス良く分配供給することとの、互いに相反す
る２つの要請を同時に満足させることができ、もって、
押出材を形状安定性良く押出加工することができ、しか
も、そのような要請を満足させる設計を非常に容易に行
なうことができる構造の中空材押出用のダイスを提供す
ることを課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題は、雄型が、ビ
レット金属を押出材の横断面形状・サイズに応じてバラ
ンス良く溶着室に供給する複数のポート孔が備えられた
第１雄型構成部材と、ビレット金属を第１雄型構成部材
の各ポート孔にそれぞれ量的にバランス良く分配供給す
る複数のポート孔が備えられた第２雄型構成部材と、か
らなり、該第２雄型構成部材が、前記第１雄型構成部材
の後部に組み合わされてなることを特徴とする中空材押
出用ダイスによって解決される。

【００１１】即ち、上記構成のダイスでは、押出中、第
２雄型構成部材により、ビレット金属は、第１雄型構成
部材の各ポート孔にそれぞれ量的にバランス良く分配供
給される。この前提のもとで、第１雄型構成部材によ
り、ビレット金属は、押出材の横断面形状・サイズに応
じてバランス良く溶着室に供給される。従って、押出材
は形状安定性良く押出加工される。

【００１２】しかも、雄型の設計においては、第１及び
第２の雄型構成部材を、それぞれの果たす役割、機能に
着目してそれぞれ設計すればよく、設計に熟練を要する
ところが減少され、設計の容易化が実現される。

【００１３】

【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態につい
て説明する。

【００１４】押出の対象は、図３に示されるような偏平
方形状の中空押出材（Ｅ）である。なお、本発明の押出
の対象は、これに限定されるものではなく、本発明によ
って解決され得る各種形状の中空押出材、例えば大型
材、複雑な断面形状を有する中空押出材などであってよ
い。

【００１５】ダイス（１）は、図１に示されるように、
雌型（２）と雄型（３）とを組み合わせたポートホール
ダイス等の組み合わせダイスによる。

【００１６】雌型（２）は、押出材（Ｅ）の外周部を成
形する成形孔ベアリング部（４）の後部に所定深さの溶
着室用凹部（５）を備えて構成されている通常のダイス
構成部材である。

【００１７】一方、押出材（Ｅ）の中空部を成形する雄
型（３）は、第１及び第２の前後の雄型構成部材（６）
（７）に分割構成されている。

【００１８】第１雄型構成部材（６）は、円盤状の部材
で、その前端面中央部に前方突出状の成形凸部（９）を
有し、その先端部外周面に中空押出材（Ｅ）の中空部を
成形するベアリング部（10）が形成され、雌雄組み合わ
せ状態において雌型（２）の成形孔ベアリング部（４）
との間に偏平方形状の環状成形隙間（11）が形成される
ようになされている。そして、図２（イ）に示されるよ
うに、この成形凸部（９）の周囲において、この第１雄
型構成部材（６）には、これを前後方向に貫通する複数
のポート孔（12）…が設けられている。各ポート孔（1
2）…は、ビレット金属（Ｂ）を押出材（Ｅ）の横断面
形状・サイズに応じてバランス良く溶着室（５）に供給
するような、配置関係、横断面形状・サイズ形態に形成
されている。具体的には、本実施形態にかかるような偏
平方形状の中空材（Ｅ）を押出加工するような場合に
は、図２（イ）に示されるような偏平円状の円周配置関
係において設けられると共に、各ポート孔（56）…の形
状・横断面積も互いに異ならせるようにして形成されて
いる。

【００１９】第２雄型構成部材（７）は、同じく円盤状
の部材で、図２（ロ）に示されるように、前記第１雄型
構成部材（６）のポート孔（12）…に対応する同数の複
数のポート孔（13）…が、この第２雄型構成部材（７）
を前後方向に貫通するように形成されている。そして、
各ポート孔（13）…は、ビレット金属（Ｂ）を第１雄型
構成部材（６）の各ポート孔（12）…にそれぞれ量的に
バランス良く分配供給するような態様において形成され
ている。具体的には、図２（ロ）に示されるように、各
ポート孔（13）…は、それぞれその横断面形状及びサイ
ズを互いに同じくしながら、しかも、真円状ないしは略
真円状の円周配置状態となるように形成されている。即
ち、コンテナ（15）内のビレット金属（Ｂ）が各ポート
孔（13）…に互いに均一に分断されて流入されるように
なされている。

【００２０】そして、上記第１及び第２の雄型構成部材
（６）（７）は、図１に示されるように、第１雄型構成
部材（６）の後部に第２雄型構成部材（７）が組み合わ
され、ボルト（14）にて締結して一体化されて、雄型
（３）に構成されている。この組み合わせ状態におい
て、第１雄型構成部材（６）の各ポート孔（12）…が第
２雄型構成部材（７）の各ポート孔（13）…に対応して
連通されるようになされていることはいうまでもない。
そして、この雄型（３）が雌型（２）の後部に組み合わ
されることにより、ダイス（１）に構成されている。

【００２１】上記構成のダイス（１）では、これを押出
機コンテナ（15）の前端部にセットして押出を行なう
と、コンテナ（15）内のビレット金属（Ｂ）は、第２雄
型構成部材（７）により、第１雄型構成部材（６）の各
ポート孔（12）…にそれぞれ量的にバランス良く分配供
給される。そして、このように第１雄型構成部材（６）
の各ポート孔（12）…に量的にバランス良く分配供給さ
れた各ビレット金属（Ｂ）は、該各ポート孔（13）…を
通過することによって、押出材（Ｅ）の横断面形状・サ
イズに応じたバランスの良い状態で溶着室（５）に供給
され、そこで互いに圧着されて、成形隙間（11）を通過
する。従って、上記のような偏平方形状の中空押出材
（Ｅ）が形状安定性良く押出加工されていく。

【００２２】ダイスの設計においては、雄型（３）を前
後２つの雄型構成部材（６）（７）に分割構成し、溶着
室（５）にビレット金属（Ｂ）を供給する側の雄型構成
部材（６）の各ポート孔（12）…は、ビレット金属
（Ｂ）を、押出材（Ｅ）の横断面形状・サイズに応じて
バランス良く、この溶着室（５）に供給するような、配
置関係、横断面形状・サイズ形態に設計・加工すればよ
く、その際に、コンテナ内のビレット金属（Ｅ）がこれ
ら各ポート孔（12）…に量的にバランス良く分配・供給
されるようにすることまでを、該ポート孔（12）…の設
計に加味する必要はなく、第１雄型構成部材（６）の各
ポート孔（12）…へのビレット金属（Ｅ）の量的なバラ
ンスをとるのは、第２雄型構成部材（７）のポート孔
（13）の設計において行なえばよい。従って、上記のよ
うな、ビレット金属（Ｂ）を押出材（Ｅ）の横断面形状
・サイズに応じてバランス良く溶着室（５）に供給する
という要請と、コンテナ（15）内のビレット金属（Ｅ）
を各ポート孔（12）…に量的にバランス良く分配・供給
するという要請との、互いに相反する要請を、第１及び
第２の雄型構成部材（６）（７）のそれぞれに対して満
たされるように設計すればよく、上記のような押出材
（Ｅ）の形状安定性確保のための設計を非常に容易に行
うことができるようになる。

【００２３】

【発明の効果】上述の次第で、本発明の中空材押出用ダ
イスは、雄型が、ビレット金属を押出材の横断面形状・
サイズに応じてバランス良く溶着室に供給する複数のポ
ート孔が備えられた第１雄型構成部材と、ビレット金属
を第１雄型構成部材の各ポート孔にそれぞれ量的にバラ
ンス良く分配供給する複数のポート孔が備えられた第２
雄型構成部材とからなり、該第２雄型構成部材が、前記
第１雄型構成部材の後部に組み合わされたものであるか
ら、ビレット金属は、第１雄型構成部材の各ポート孔に
それぞれ量的にバランス良く分配供給され、そしてこの
前提のもとで、第１雄型構成部材により、ビレット金属
は、押出材の横断面形状・サイズに応じてバランス良く
溶着室に供給され、従って、押出材を形状安定性良く押
出加工することができる。

【００２４】しかも、雄型の設計においては、第１及び
第２の雄型構成部材をそれぞれの果たす役割、機能に着
目してそれぞれ設計すればよく、従って、設計に熟練を
要するところが減少され、設計を容易化することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施形態にかかるダイスを示すもので、図２
の（イ）（ロ）の各Ｉ−Ｉ線矢視対応の断面図である。

【図２】図（イ）は第１雄型構成部材を示すもので図１
のＩＩ−ＩＩ線矢視図、図（ロ）は第２雄型構成部材を
示すもので図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線矢視図である。

【図３】押出加工しようとする中空材の斜視図である。

【図４】従来のダイスを示すもので、図（イ）は図
（ロ）のＶ−Ｖ線矢視対応の断面図、図（ロ）はその雄
型を示すもので図（イ）のＩＶ−ＩＶ線矢視図である。

【符号の説明】

１…ダイス ２…雌型 ３…雄型 ５…溶着室 ６…第１雄型構成部材 ７…第２雄型構成部材 １２…ポート孔 １３…ポート孔 Ｅ…中空押出材 Ｂ…ビレット金属

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 雄型が、 ビレット金属を押出材の横断面形状・サイズに応じてバ
   ランス良く溶着室に供給する複数のポート孔が備えられ
   た第１雄型構成部材と、 ビレット金属を第１雄型構成部材の各ポート孔にそれぞ
   れ量的にバランス良く分配供給する複数のポート孔が備
   えられた第２雄型構成部材と、 からなり、 該第２雄型構成部材が、前記第１雄型構成部材の後部に
   組み合わされてなることを特徴とする中空材押出用ダイ
   ス。