JP2012029314A - マルチモード無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の通信モードに共用される1つの無線部を備え、通信モードを高速に切替え可能なマルチモード無線通信装置を提供する。
【解決手段】通信モードを切替え可能な無線部と、上記無線部を周期的に携帯電話モードで動作させ、所定時間後に無線LANモードに切替える制御部とからなるマルチモード無線通信装置において、上記制御部が、上記無線部が携帯電話モードで待ち受け受信中に着呼イベントの発生を検出した時、上記無線LANモードへの切替えを抑制して、携帯電話モードでの通信を継続するか否かを判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は複数の通信規格に対応するマルチモード無線通信装置およびそれに使用する高周波集積回路に関する。
無線端末における通信モード(通信プロトコル)は、広範囲の公衆ネットワークを使用する、例えば、GSM、EDGE、GPRS、PDC、cdmaOne、cdma2000、W−CDMA等の携帯電話網用の無線通信プロトコル(以下、公衆ネットワーク無線通信プロトコルと呼ぶ)と、局所的ネットワークを使用する、例えば、IEEE802.11a、11b、11g、11hやHiperLAN/2等の無線LAN用の通信プロトコルに大別される。局所的ネットワークを使用する無線通信プロトコルには、例えば、BluetoothやUWBに代表される近距離無線通信プロトコルも含まれる。
本明細書では、近距離無線通信プロトコルを含めて、局所的ネットワーク無線通信プロトコルと呼ぶことにする。また、公衆ネットワーク無線通信プロトコルと局所的ネットワーク無線通信プロトコルの2つの通信モードを備えた無線端末(無線通信装置)をマルチモード無線端末と呼ぶ。
無線通信分野では、近年、広いサービスエリアをもつ携帯電話網が急速に普及する一方で、都市部では無線LAN等の局所的高速ネットワークを利用した情報サービスも開始され、様々な無線通信システムが共存する時代になってきた。
携帯電話端末は、通信可能なエリアが広く、且つ、ユーザがセル間を高速に移動中にも通信を継続できる利点がある反面、ビットレートが9.6〜384kbit/秒と低く、通信コストも高い。一方、無線LANによる情報サービスは、現在のところ利用可能なエリアが、例えば、都市部のホットスポットと呼ばれるサービスエリアに限定されている。また、無線LANは、携帯電話網のように高速移動中のユーザには通信サービスを提供できないが、携帯電話に比べて、高速のビットレート(例えば、22〜54Mbps)を有し、通信コストも圧倒的に安く、通信料が無料のサービスエリアも多数存在している。
このため、1つの無線端末で上記両方のサービスを受けられるように、複数の通信規格に対応したマルチモード端末の需要が高まってきた。従来提案されてきたマルチモード無線端末は、通信プロトコル(通信モード)に対応した複数種類の個別送受信回路を備え、ユーザが何れか一方の通信モードを選択して使用するか、2つのモードを互いに独立させて並列的に使用する構成となっていた。
例えば、特開平8−186516号(特許文献1)には、無線ネットワーク対応の複数種類の無線部と、共用のベースバンド処理部とを備え、無線部とベースバンド処理部との物理的な接続関係をユーザ操作によって切替えるようにした携帯無線機が提案されている。
特開平8−186516号
上述したように、携帯電話網と無線LANは相反する利点と欠点を持っているため、両方の通信機能を独立に使用するよりも、サービスエリアや用途に合わせて通信モードを切替えながら使用する方が、無線端末の消費電力や通信コストの面で有利になるものと考えられる。しかしながら、従来のマルチモード端末では、これらの通信モードの切替えを全く行わないか、通信モードの切替えをユーザの判断に委ねていたため、端末機能が効率的に運用されていなかった。また、通信モード別の複数の送受信回路を備えた従来のマルチモード無線端末は、回路規模が大型化し、複数の通信モードで送受信回路を共用する形式の端末には、通信モードの切替えに時間がかるという問題があった。
本発明の目的は、通信モードを高速に切替え可能なマルチモード無線通信装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、複数の通信モードに共用される1つの無線部を備え、通信モードを高速に切替え可能なマルチモード無線通信装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、2つの通信モードを時分割で実行可能なマルチモード無線通信装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、通信モードを高速に切替え可能なマルチモード無線通信装置用の高周波集積回路を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のマルチモード無線通信装置は、通信信モードを切替え可能な無線部と、上記無線部を周期的に第1通信モードで動作させ、所定時間後に第2通信モードに切替える制御部とからなり、上記制御部は、上記無線部が第1通信モードで動作中に受信した信号から所定イベントの発生が検出された時、上記無線部の第2通信モードへの切替えを抑制して第1通信モードの通信を継続するか否かを判定する判定手段を含む。
更に詳述すると、上記無線部は、設定パラメータ値によって動作特性を変更可能な少なくとも1つのアナログ部品を含む高周波集積回路からなり、上記制御部は、上記高周波集積回路の動作特性を決定するパラメータ値を切替えることによって、前記無線部の動作モードを切替える。
本発明の1実施例によれば、上記高周波集積回路は、前記アナログ部品の動作特性を決定するパラメータが設定される参照レジスタと、第1モード用のパラメータ値を記憶する第1レジスタと、第2モード用のパラメータ値を記憶する第2レジスタと、上記第1レジスタと第2レジスタの一方を上記参照レジスタに選択的に接続するためのスイッチとを含み、上記制御部が、上記スイッチを制御して上記参照レジスタの設定パラメータ値を変えることにより、上記無線部の動作モードを切替える。
本発明の1つの特徴は、上記判定手段が、予め記憶されたモード選択条件に従って、第1通信モードを継続するか第2通信モードに切替えるかを決定することにある。
本発明の1つの実施例では、上記判定手段が、モード選択条件に従って、次に実行すべき動作モードをユーザに問い合わせるための手段を有し、ユーザからの指示に従って、第1通信モードと第2通信モードの何れかを選択する。また、上記無線部が、電源をオンオフ可能な送信電力増幅器を含み、上記制御部が、上記送信電力増幅器の電源をオフ状態にしてから、上記無線部の動作モード切替え、その後で上記送信電力増幅器の電源をオン状態に戻す。
また、本発明は、設定パラメータ値によって動作特性を変更可能な少なくとも1つのアナログ部品を含むマルチモード無線通信装置用の高周波集積回路において、上記アナログ部品の動作特性を決定するパラメータが設定される参照レジスタと、第1モード用のパラメータ値を記憶する第1レジスタと、第2モード用のパラメータ値を記憶する第2レジスタと、上記第1、第2レジスタの一方を上記参照レジスタに選択的に接続するためのスイッチと、外部信号線から与えられたモード選択信号に応じて上記スイッチを制御するためのスイッチ制御回路と、上記外部信号線から供給された第1モード用のパラメータと第2モード用のパラメータをそれぞれ前記第1、第2レジスタに書き込むための書込み制御回路を有し、上記モード選択信号が上記書込み制御回路を介して前記スイッチ制御回路に供給されるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、通信モードを高速に切替えることができるため、携帯電話通信と無線LAN通信のように、通信プロトコルの異なった複数種類の通信モードを周期的に切替えて実行するマルチモード無線端末を提供できる。
本発明を適用した無線通信装置(マルチモード無線端末)の構成を示す図。 本発明のマルチモード無線端末における通信モードの切替えシーケンスの1例を示す図。 マルチモード無線端末用の従来のRF−IC制御回路の1例を示す構成図(A)と、従来のRF−ICにおけるモード切替ええのためのパラメータ設定シーケンスを説明するための図(B)。 本発明によるマルチモード無線端末用のRF−IC制御回路の第1実施例を示すブロック構成図(A)と、本発明の第1実施例のマルチモード無線端末におけるモード切替えのためのパラメータ設定シーケンスを説明するための図(B)。 本発明によるマルチモード無線端末用のRF−IC制御回路の第2実施例を示すブロック構成図。 本発明によるマルチモード無線端末用のRF−IC制御回路の第3実施例を示すブロック構成図。 本発明によるマルチモード無線端末用のRF−IC制御回路の第4実施例を示すブロック構成図(A)と、本発明の第4実施例のマルチモード無線端末におけるモード切替ええのためのパラメータ設定シーケンスを説明するための図(B)。 本発明の第1実施例のマルチモード無線端末において、図1の制御プロセッサ16が実行するモード切替ええ制御ルーチンを示すフローチャート。 図8における着呼処理520の詳細を示すフローチャート。
携帯電話端末のように端末が移動しながら通信することを前提とした無線通信システムでは、無線端末(移動端末)宛の電話があった時にいつでも着呼端末を呼び出せるように、各移動端末に、現在位置で通信可能な基地局に対して、端末位置登録のための通信プロトコルを実行させている。各移動端末は、ユーザが通信を行っていない時でも、付近の基地局から送信される規定の信号を定期的に受信することによって、新たな基地局への位置登録の必要性と、自端末宛の呼び出しの有無を監視している。
このような信号受信処理は、一般に待ち受け受信と呼ばれている。バッテリの消耗を抑制して移動端末の可用時間を長くするために、上述した待ち受け受信の繰り返し周期は比較的長く(約1秒程度)設定され、個々の待ち受け受信処理も短期間で完了するように通信規格が決められている。
一方、無線LANのように局所的高速ネットワークの使用を前提とした無線通信システムでは、携帯電話端末のような間欠的な待ち受け受信処理に関する通信規格上の定めはない。従って、移動中のユーザが無線LANのサービスを受けるためには、各無線端末が、無線LANにおける共通チャネルの信号強度を定期的に測定し、現在位置で無線LANを使用できるか否かを判断する必要がある。無線LANに一旦繋がった端末は、基本的には、受信状態となってネットワーク上のデータを監視し、所望のデータを受信処理する。
本発明のマルチモード無線端末は、携帯電話端末と無線LAN端末の両方のモードでの通信を可能にするために、携帯電話で周期的に繰り返される待ち受け受信の合間に、端末の通信モードを局所的ネットワーク無線通信モード(無線LANモード)に自動的に切替えることを特徴とする。
図2は、本発明によるマルチモード無線端末における通信モードの切替えシーケンスの1例を示す。
本発明では、図2に示すように、所定周期T1で繰り返される携帯電話モード(公衆ネットワーク無線通信モード)の間欠的な待ち受け受信T11(201、202、・・・)の合間T12(211、212、・・・)に、端末の通信モードを無線LANモード(局所的ネットワーク無線通信モード)に変更する。ここで、携帯電話モードは、例えば、GSM、PDC、EDGE、GPRS、cdmaOne、cdma2000、W−CDMAのうちの1つであり、無線LANモードは、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11h、HiperLAN/2、Bluetooth、UWBのうちの1つである。
もし、端末が無線LANを使用可能なエリアに位置していた場合、この期間T12を利用して、無線LANでのパケット送受信処理を実行する。通信モードの切替え時には、送信回路におけるパワーアンプ等の過渡応答によって、送信信号スペクトラムが無線通信規格で定められた制限範囲(スペクトラムマスク)を超える可能性があるため、図2にΔTで示すように、送信電力増幅器の電源を一旦オフ状態にしてから通信モードの切替えを実行する。
携帯電話モードの待ち受け期間に着呼があった場合は、ユーザが予め指定したモード選択条件に従って上記着呼を処理する。モード選択条件として、例えば、電話優先モードが指定されていた場合は、図2の期間T13に示すように、着呼が検出された待ち受け期間203の後も携帯電話モードを継続し、通話が終了する迄、無線LANでの通信は中断する。
モード選択条件として、無線LAN優先モードが指定されていた場合は、着呼を無視し、待ち受け期間203の後で、期間T12の無線LANモードでの通信を繰り返す。着呼後の通信モードは、着呼検出の都度、ユーザの判断に従って選択するようにしてもよい。すなわち、モード選択条件として、ユーザ選択モードが指定されていた場合は、無線LANモードへの自動的な切替えを一旦停止し、ユーザに優先すべき通信モードの選択を要求し、ユーザが指定したモードに切替える。
図1は、図2に示したモード切替えが適用されるマルチモード無線端末の1例を示す構成図である。
マルチモード無線端末は、アンテナ10に接続されたフロントエンド部11と、該フロントエンド部11に接続された無線部12と、アナログ/ディジタル変換器(A/D)131とディジタル/アナログ変換器(D/A)132とを含む無線部インタフェース13と、変復調部141とディジタル信号プロセッサ(DSP)142とを含むベースバンド部14と、内部バス18を介して上記DSP16と接続された制御プロセッサ(CPU)16と、ユーザインタフェース15と、上記内部バス18に接続されたRAM17AおよびROM(またはフラッシュメモリ)17Bとからなる。端末の通信モードの切替えは、制御プロセッサ16がDSP142と協力して行う。
無線部12は、後述するモード切替えの制御対象となる高周波半導体集積回路(RF−IC)30と、送信用パワー増幅器(PA)40とを含む。また、ユーザインタフェース15は、DSP142に接続されたアナログインタフェース15Aと、内部バス18および変復調部141に接続されたディジタル(データ)インタフェース15Bとからなる。上記アナログインタフェース15Aは、スピーカ20とマイク21に接続され、ディジタルインタフェース15Bには、表示部221とキーボード23とが接続されている。
アンテナ10からの受信信号は、フロントエンド部10に入力され、アンテナスイッチ(又はデュプレクサ)で送信信号から分離され、フィルタリングを受けた後、無線部12に入力される。無線部12のRF−IC30は、フィルタ、増幅器、ミキサなどの回路機能を有し、受信信号は、上記RF−IC30によってベースバンドの信号に変換される。
RF−IC30から出力されたベースバンド信号は、インタフェース部13のA/D変換器131でディジタル信号に変換した後、ベースバンド処理部14の変復調部141で復調される。復調信号が音声信号の場合は、DSP142で処理した後、アナログインタフェース15Aに出力される。復調信号がデータの場合は、ディジタルインタフェース15Bまたは内部バス18に出力される。
マイク21から入力された送信音声信号と制御プロセッサ16から出力された送信データは、DSP142で誤り訂正符号化等の処理を受けた後、変復調部141で変調される。変調された送信信号は、A/D変換器132でアナログ信号に変換した後、無線部12のRF−IC30で所望周波数帯域の高周波送信信号に変換される。高周波送信信号は、パワー増幅器40で増幅され、フロントエンド部11でフィルタリングされた後、アンテナ10から送信される。
制御プロセッサ(CPU)16は、キーボード23からのユーザ操作に応答してデータ処理用または通信制御用の各種プログラムを実行する。また、制御プロセッサ16は、後述する通信モード切替え制御ルーチンを実行し、DSP142を介して、RF−IC30への各種パラメータの設定とモード変更を行う。RF−IC30のパラメータ設定とモード切替えは信号線L1、送信用パワー増幅器40の電源オン/オフは信号線L2を介して指令される。
図3の(A)は、マルチモード無線端末用の従来のRF−ICの制御回路主要部を示す。
ここでは、説明を簡単にするために、RF−ICの構成要素として、受信回路を構成するフィルタ32、可変利得増幅器33、ミキサ34と、これらの要素に対応してパラメータ参照レジスタ領域300に形成されるフィルタ係数レジスタ302、アンプ(ゲイン)調整パラメータレジスタ303、周波数設定パラメータレジスタ304を示す。実際のRF−ICでは、受信回路に上記要素以外の更に他のアナログ部品を含む。また、上記RF−ICの基板上には、受信回路の他に、パラメータ値によって特性変更可能な送信回路も形成される。
マルチモード無線端末では、図3(A)に示すように、RF−IC上に形成されたアナログ部品のうちの幾つかを設定パラメータの値によって動作特性を変更できる回路構成としておくことによって、1つのRF−ICで異なる複数の通信モードを実現している。
パラメータ参照レジスタ領域300に設定されるパラメータは、アナログ部品の種類によって異なる。例えば、参照レジスタ304に設定されるミキサ用のパラメータは、ミキサに供給すべきローカル信号の周波数を示している。参照レジスタ303に設定される可変利得アンプ用のパラメータは、アンプのゲイン係数を示し、参照レジスタ302に設定されるフィルタ用のパラメータは、フィルタ係数を示している。これらのパラメータは、例えば、“0”がGND、“1”がVddに対応しており、多ビットパラメータの各ビットでアナログ部品の各端子電位を指定する。
尚、パワーアンプのように非線形部品の特性をプリディストーション等によって補正する場合、レジスタに設定されるパラメータには、キャリブレーション補正値も含まれる。
従来のRF−ICでは、これらパラメータは、外部信号入力ピン31から設定値書込制御回路305に入力され、設定値書込制御回路305がスイッチ306を切替えることによって、入力パラメータをパラメータ参照レジスタ領域300内の特定のレジスタ302〜304に選択的に設定している。フィルタ32、可変利得増幅器33、ミキサ34などのアナログ部品は、それぞれと対応するレジスタが示す参照パラメータ値に従った動作特性をもつ。
上述したパラメータ設定に使用される外部信号線は、RF−ICのピン数をできるだけ少なくしてICパッケージサイズを小型化するために、一般に、データが1ビットずつ順次に入力されるシリアルバス・タイプとなっている。
従来のマルチモード無線端末では、RF−ICのモード切替えをユーザ操作による設定パラメータの変更によって実現していた。この場合、モード切替えの都度、例えば、図3の(B)に示すように、パラメータ参照レジスタ領域300に設定すべき全てのパラメータP302、P303、P304、・・・を外部信号入力ピン31からシリアルに供給する必要があったため、モード切替えに数100クロック期間の時間を必要としていた。
上述した従来技術は、ユーザが選択した1つの通信モードが数分以上継続するような低頻度のモード切替えを前提としている。この場合、例えば、ユーザが端末を無線LANモードに設定すると、端末は携帯電話としての機能を失う。従って、ユーザがパラメータを再設定して端末を携帯電話モードに切替えない限り、携帯電話の待ち受け受信は実行されなかった。
図4の(A)は、本発明によるマルチモード無線端末用RF−IC30の制御回路の第1実施例を示す。
図2で説明したように、マルチモード無線端末の通信モードを比較的短い周期で頻繁に切替えるためには、RF−IC30のパラメータ参照レジスタ領域300に設定される各種参照パラメータの値を高速度で変更する必要がある。従来技術のように、モード切替えの都度、外部信号入力ピン31から全てのパラメータを入力し直すと、パラメータ設定のためのオーバーヘッドが大きくなり、結果的には、無線LANモードでの動作期間T12を短縮せざるを得なくなる。
例えば、RF−IC30のパラメータ参照レジスタ領域300が、16ビット幅のレジスタを24個備えていたと仮定すると、シリアルバス(信号線L1)からのパラメータ設定に16×24=384クロックを要する。仮に、RF−IC30の動作クロックが15MHzの場合、上記パラメータ設定に約25m秒かかる。従って、待ち受け受信処理を1秒周期で実行しようとすると、図2に示した期間T1の半分が、モード切替えのためのパラメータ設定で消費されてしまうという問題がある。
通信モード切替え時に発生するパラメータ参照レジスタ領域300へのパラメータ設定のオーバーヘッドを低減するため、本発明の第1実施例では、RF−IC30にパラメータ保持レジスタ領域400を設け、端末電源がオンとなった時、信号線L1から供給された通信モード別のパラメータ値をレジスタ領域400に保持しておき、端末の通信モード切替えの都度、所望モードのパラメータ値を上記レジスタ領域400からパラメータ参照レジスタ領域300に並列転送することを特徴とする。
例えば、携帯電話をモード1、無線LANをモード2と定義した場合、パラメータ保持レジスタ領域400には、パラメータ参照レジスタ領域300にあるレジスタ302〜304と対応して、モード1用のパラメータ保持レジスタ402〜404と、モード2用のパラメータ保持レジスタ412〜414が用意される。
レジスタ402と412に設定されたパラメータは、モード切替えスイッチ312を介して選択的にレジスタ302に並列転送される。同様に、レジスタ403と413に設定されたパラメータは、モード切替えスイッチ313を介して、また、レジスタ404と414に設定されたパラメータは、モード切替えスイッチ314を介して、それぞれレジスタ303、304に選択的に並列転送される。
モード切替えスイッチ312〜314は、モード設定レジスタ311に設定されたモード選択ビットの値に応じて、モード1用のパラメータ保持レジスタ群402〜404と、モード2用のパラメータ保持レジスタ群412〜414の何れか一方をレジスタ群302〜304に接続する。
上記構成によれば、例えば、端末電源がオンとなった時、図3の(B)で説明した形式で各種パラメータをRF−ICに供給して、モード1用、モード2用のパラメータ群を予めパラメータ保持レジスタ402〜404と412〜414に設定しておけば、その後は、モード設定レジスタ311の設定値(モード選択ビット)を変更するだけで、パラメータ参照レジスタ群302〜304の内容を瞬時に変更することできる。
パラメータを書き込むべきレジスタの位置は、例えば、DSP142がパラメータ群に先行して信号線L1に出力する制御コードによって指定できる。従って、設定値書込制御回路401が、信号線L1から受信した制御コードに応じてスイッチ411を切替えることにより、信号線L1から受信したパラメータ値をパラメータ保持レジスタ領域400の各レジスタに選択的に設定することができる。また、その後に信号線L1から受信したモード選択ビットをモード設定レジスタ311に設定することによって、スイッチ312〜314を動作させ、RF−IC30の通信モードを高速に切替えることができる。
本実施例によれば、パラメータ保持レジスタ領域400へのパラメータ初期設定には比較的長い時間がかかるが、RF−IC30の通信モード切替えは、例えば、図4の(B)にCNT1、CNT2で示すように、モード選択ビットを含む短い制御データをRF−IC30に供給すればよいため、わずか数クロック程度の短時間Δtで完了することが可能となる。
図8と図9は、端末電源がオンとなった時、制御プロセッサ(CPU)16が実行する上記第1実施例と対応したモード切替え制御ルーチン500のフローチャートを示す。
モード切替え制御ルーチン500を実行中の制御プロセッサ16は、先ず、DSP142を介して、RF−IC30のパラメータ保持レジスタ402〜404にモード1用のパラメータを設定する(ステップ501)。モード1、モード2用の各種のパラメータ値は、予めROM17Bに形成されたパラメータテーブルに記憶してある。
従って、制御プロセッサ16が、上記ROMから読み出したモード1用のパラメータを書込み制御コマンドと共にDSP142に送信すると、DSP142が、これらのパラメータを書込制御回路401に対する制御コードと共に信号線L1に送信し、RF−IC30の書込制御回路401が、信号線L1から受信したパラメータを上記制御コードで特定されたレジスタ402〜404に選択的に書き込む。上記ステップ501と同様に、制御プロセッサ16は、DSP142と協力して、RF−IC30のパラメータ保持レジスタ412〜414にモード2用のパラメータを設定する(ステップ502)。
これらのパラメータ初期設定が終ると、制御プロセッサ16は、DSP142に、モード1(携帯電話モード)での初期処理の実行を指令する(503)。上記指令に応答して、DSPは、信号線L1にモード1への切替え指令を出し、携帯電話網の基地局に対して、端末位置登録のための所定の通信手順を実行する。信号線L1に出力されるモード1への切替え指令は、データの書込み先がモード設定レジスタであることを示す制御コードと、モード1への切替えを示すモード選択ビットとからなっている。
制御プロセッサ16は、端末位置登録が終了する時点で、タイマT1を起動し(504)、DSP142に、モード1への切替え指令を出す(505)。DSPは、制御プロセッサ16からモード1への切替え指令を受信すると、信号線L2を介して送信パワー増幅器40の電源を一旦オフ状態にした後、信号線L1にモード1への切替え指令を出力し、送信パワー増幅器40の電源をオン状態に戻す。これによって、所定時間T11の待ち受け受信が開始される。制御プロセッサ16は、待ち受け受信期間T11に変復調部141から内部バス18に出力される信号を監視することにより、着呼イベントの発生の有無を判定する(506)。
モード1で、もし着呼があった場合、制御プロセッサ16は、図9に示す着呼処理520を実行する。呼待ち受け期間T11に着呼がなかった場合、制御プロセッサ16は、DSP142にモード2(無線LANモード)への切替えを指令する(507)。DSPは、制御プロセッサ16からモード1への切替え指令を受信すると、信号線L2を介して送信パワー増幅器40の電源を一旦オフ状態にした後、信号線L1にモード2への切替え指令を出力し、送信パワー増幅器40の電源をオン状態に戻す。
モード2への切替え指令は、データの書込み先がモード設定レジスタであることを示す制御コードと、モード2への切替えを示すモード選択ビットとからなる。
制御プロセッサ16は、RF−IC30をモード2に切替えた後、タイマT1の割り込みが発生する迄の間、無線LANでのデータ送受信処理を実行する(509)。タイマT1の割り込みが発生する(508)と、制御プロセッサ16は、ステップ505に戻って、DSP142にモード1への切替えを指令する。
以上の制御手順により、端末に着呼がない限り、待ち受け受信処理の合間を利用して、無線LANのデータ送受信処理を実行することが可能となる。すなわち、モード1による着呼待ち受け受信と、モード2による無線LANのデータ送受信処理とが時分割で実行される。
着呼処理520では、図9に示すように、ユーザが予め指定したモード選択条件が判定される(521)。モード選択条件で通話優先モード(530)が指定されていた場合、制御プロセッサ16は、着信表示のための出力処理を実行する(531)。着信表示は、例えば、表示部22に着信を示す点滅表示を出力するか、スピーカ20に着信を示すメロディを出力する形式で行うことができる。制御プロセッサ16は、ユーザからの着信応答を待ち(532)、応答がない場合は、発呼側が呼を切断するまで(533)、着信表示531を繰り返す。
ユーザが着信に応答する操作をした場合、無線端末は通話状態になり、DSPを介して音声信号が送受信される。この状態で、制御プロセッサ16は呼の切断を監視し(534)、呼が切断された時、図8のステップ504に戻ってタイマT1を再起動し、ステップ505〜509を繰り返す。
モード選択条件で無線LAN優先モード(550)が指定されていた場合、制御プロセッサ16は、着信時間や発呼者電話番号などの着信データをRAM17Aに記録し(551)、呼を切断して(522)、図8のステップ507に戻る。この場合、着信が無視され、呼の待ち受け受信処理の合間を利用して、無線LANのデータ送受信処理が間欠的に実行される。尚、呼切断(522)を省略し、発呼者側から呼を切断させるようにしてもよい。
モード選択条件でユーザ選択モード(540)が指定されていた場合、制御プロセッサ16は、表示部22にモード選択用のメニュー画面(またはアイコン)を出力し(541)、該メニュー画面でユーザが選択した通信モードに従って着呼を処理する。もし、ユーザが通話モードを選択した場合は、ステップ531〜534が実行され、ユーザが無線LANモードを選択した場合は、ステップ551〜552が実行される。
上記実施例では、2種類の通信モード間での切替えが可能なマルチモード端末を示したが、無線端末の利用地域によっては、選択可能な3種類以上の通信モードを提供したい場合がある。もし、全ての通信モード間で頻繁なモード切替えが発生する場合は、パラメータ参照レジスタ領域300の各レジスタと対応して、パラメータ保持レジスタ領域400に通信モードの種類数に等しい多数のレジスタを用意する必要がある。この場合、パラメータ保持レジスタの個数が増え、RF−IC30の回路規模が増大する。
RF−IC30の回路規模を小さくするためには、例えば、頻繁に切替えが発生する特定種類の通信モードに関して、パラメータ保持レジスタ領域400にパラメータを常駐させておき、切替え周期が比較的長期になる通信モードのパラメータは、モード切替えの都度、ROM17Bからパラメータ保持レジスタ領域400に書き込むようにすればよい。
図5は、本発明によるマルチモード無線端末用RF−IC30の制御回路の第2実施例を示す。
例えば、1群のキャリア周波数の中からユーザ(端末)毎に異なったシーケンスで使用周波数を選択し、キャリア周波数を定期的に切替えながら通信する“キャリア周波数ホッピング”型の無線端末では、ミキサに設定すべきローカル周波数を呼(通信)毎に変える必要がある。携帯電話モード(モード1)として上記キャリア周波数ホッピングを採用した場合、RF−IC30におけるローカル周波数設定レジスタ304の設定パラメータを呼毎に書き換える必要があり、第1実施例のように、パラメータ保持レジスタの切替えだけでは対応できない。
第2実施例は、このような条件下でのパラメータの切替え所要時間の短縮を目的としたものである。第2実施例では、ローカル周波数設定レジスタ304に対しては、信号線L1を介してDSPからパラメータを設定し、上記レジスタ304の状態をモード判定/切替回路312で監視する。パラメータ参照レジスタ領域300の他のレジスタ(302、303)に対しては、モード判定/切替回路312が、所定のタイミングでスイッチ312、313を切替えることにより、設定パラメータを変更する。通信モードの選択は、上記レジスタ304に設定された少なくとも一部のパラメータの値から判明する。
本実施例によれば、モード切替え時に外部信号入力ピン31から供給すべきデータは、ローカル周波数用のパラメータのみとなるため、従来技術に比較してモード切替えを高速化することが可能となる。
図6は、本発明によるマルチモード無線端末用RF−IC30の制御回路の第3実施例を示す。
第1、第2実施例では、初期設定時に、パラメータ保持レジスタ領域400に用意された全てのレジスタに対して、外部信号入力ピン31から設定値書込制御回路401を経由してのパラメータをローディングした。しかしながら、無線通信方式によっては、RF−ICに設定すべきパラメータが一意に決定され、その後に変更される可能性がないものもある。
例えば、第3世代携帯電話であるW−CDMAでは、出力信号の周波数特性が標準規格で規定されているため、設計時に決定した出力側FIRフィルタ係数は、その後に変更されることはない。このような場合には、初期設定の都度、毎回同じパラメータ値をパラメータ保持レジスタに書き込む必要はなく、例えば、図6のレジスタ402のように、パラメータ保持レジスタ領域400の一部のレジスタを固定パラメータ保持用のROMに置き換えてもよい。モード2用のフィルタ係数も固定値となる場合は、レジスタ412もROMに置き換えることができる。このように、レジスタ領域400の一部をROMに置き換えることによって、パラメータ初期設定の所要時間を短縮し、消費電力を低減することが可能となる。
図7の(A)は、本発明によるマルチモード無線端末用RF−IC30の制御回路の第4実施例を示す。
第1実施例では、全てのパラメータ参照レジスタ(302〜304)に対して、パラメータ保持レジスタ領域400からパラメータ値を転送したが、実際の応用では、一部の参照レジスタについてのみ、パラメータ保持レジスタ領域400からのパラメータ設定が必要となる場合がある。
第4実施例は、例えば、アンプゲインパラメータのように、同一の通信モードであっても、無線路での電波伝播状況などの特殊事情に応じて設定値を変えたいパラメータについては、外部信号入力ピン31からパラメータ参照レジスタ303にパラメータ設定し、その他のパラメータについては、パラメータ保持レジスタ400からパラメータ参照レジスタにパラメータ設定するようにしたことを特徴としている。
本実施例では、例えば、ミキサ34A、34Bのように、通信モードの組み合せによっては共用化が困難となる部品、または、モード別の専用部品を利用した方が性能や消費電力の面から有利になる部品については、パラメータの切替え対象から除外している。通信モードが変わってもパラメータの設定値が同一となる部品については、当然のことながらパラメータ切替えの必要はない。
上記実施例の場合、モード切替えの都度、例えば、図7の(B)に示すように、制御コードと、モード選択ビットP311、アンプゲインパラメータP303を含む制御データCNT1、CNT2をRF−IC30に供給すればよい。
このように、本発明によれば、アナログ部品の要求性能に応じて、保持レジスタから参照レジスタへのパラメータ転送をバランス良く組み合わせることによって、IC回路の規模増大や性能への影響を最小限に抑えつつ、通信モードの切替え時間を短縮が可能となる。
図9に示した実施例では、着呼処理時に判定されるモード選択条件が、通話優先モード、無線LAN優先モード、ユーザ選択モードの何れかを指定していた。モード選択条件としては、更に他のモードを指定できるようにしてもよい。例えば、携帯電話による音声通信と無線LANによるデータ通信とを時分割で並列的に実行する並列実行モードを指定できるようにしてもよい。音声データは、125μ秒毎に送受信されるため、上記並列実行モードでは、携帯電話モードにおける音声データの送受信の合間を利用して、無線LANのデータを時分割で送受信する。
本発明によれば、通信モードを瞬時に切替えできるため、例えば、RF−IC30、制御プロセッサ16、DSP142の動作速度を高くするか、並列実行モードでの無線LANのデータビットレートを下げることによって、表示画面22への無線LAN受信データの表示と並行して、ユーザに携帯電話での通話を許容した形式の通信サービスを実現できる。
実施例では、携帯電話モード(公衆ネットワーク無線通信)と無線LANモード(局所ネットワーク通信)との間でモード切替えを行うマルチモード端末について説明したが、本発明による通信モードの切替え方式は、実施例以外のモード組み合せに対しても適用可能である。例えば、無線LANの第1、第2の通信モードを交互に切替えることによって、データ受信可能な無線LANシステムを検知し、検知された無線LANシステムが提供する情報配信サービスを利用するようにしてもよい。
10:アンテナ、11:フロントエンド部、12:無線部、13:インタフェース部、14:ベースバンド部、15:ユーザインタフェース部、15A:データインタフェース、15B:アナログインタフェース、16:制御部、17A:RAM、17B:ROM、18:内部バス、20:スピーカ、21:マイク、22:表示部、23:キーボード、141:変復調部、142:DSP、131:A/D変換器、132:D/A変換器、30:RF−IC、40:パワーアンプ、31:外部信号入力ピン、32:フィルタ、33:可変利得器、34:ミキサ、300:パラメータ参照レジスタ領域、302:フィルタ係数レジスタ、303:ゲイン調整レジスタ、304:周波数設定レジスタ、305:設定値書きこみ制御部、306:スイッチ、P302:フィルタ係数、P303:アンプゲイン、P304:周波数、311:モード設定レジスタ、312、313、314:スイッチ、400:パラメータ保持レジスタ領域、401:設定値書きこみ制御、402、403、404:モード1設定値レジスタ、412、413、414:モード2設定値レジスタ。

Claims (1)

  1. 通信モードを切替え可能な無線部と、上記無線部を周期的に第1通信モードで動作させ、所定時間後に第2通信モードに切替える制御部とからなり、
    上記制御部が、上記無線部が第1通信モードで動作中に受信した信号から所定イベントの発生が検出された時、上記無線部の第2通信モードへの切替えを抑制して第1通信モードの通信を継続するか否かを判定する判定手段を含むことを特徴とするマルチモード無線通信装置。
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