JP2012007678A - 変速機のリバースシフト機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で「反リバース側非駆動機構」を達成できる変速機のリバースシフト機構を提供すること。
【解決手段】アイドルギヤGRdがニュートラル位置(N位置)からリバース位置(R位置)に移動すると、GRdがリバース駆動ギヤ及びリバース被動ギヤと噛合してリバースが確立される。GRdの軸方向の調整は、5速−リバース用フォークシャフトFSに固定されたリバースフォークRFと、GRdを軸方向に駆動するリバースアームRAとを介して行われる。シフト操作(N→R)によりFSがN位置からR位置に移動する場合、RAがRFにより駆動されてGRdがN位置からR位置へ移動する。シフト操作(N→5速)によりFSがN位置から5速位置に移動する場合、RAがRFにより駆動されず、GRdがN位置に維持される。
【選択図】図3
【解決手段】アイドルギヤGRdがニュートラル位置(N位置)からリバース位置(R位置)に移動すると、GRdがリバース駆動ギヤ及びリバース被動ギヤと噛合してリバースが確立される。GRdの軸方向の調整は、5速−リバース用フォークシャフトFSに固定されたリバースフォークRFと、GRdを軸方向に駆動するリバースアームRAとを介して行われる。シフト操作(N→R)によりFSがN位置からR位置に移動する場合、RAがRFにより駆動されてGRdがN位置からR位置へ移動する。シフト操作(N→5速)によりFSがN位置から5速位置に移動する場合、RAがRFにより駆動されず、GRdがN位置に維持される。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両用変速機のリバースシフト機構に関する。
従来より、前進用に複数の変速段、後進用に1つの変速段(リバース)を備えた車両用手動変速機として、種々のものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。図5は、この種の代表的な変速機の一例を示す。この変速機は、エンジンの出力軸との間で動力伝達系統が形成される入力軸と、駆動輪との間で動力伝達系統が形成される出力軸とを備えている。入力軸と出力軸とは平行に配置されている。
この変速機の入力軸には、複数の前進用の変速段の駆動ギヤが相対回転不能にそれぞれ設けられている。また、この変速機の出力軸には、対応する変速段の駆動ギヤと噛合する複数の前進用の変速段の被動ギヤが相対回転可能にそれぞれ設けられている。以下、軸に相対回転不能に設けられたギヤを「固定ギヤ」と呼び、軸に相対回転可能に設けられたギヤを「遊転ギヤ」と呼ぶ。
出力軸における各遊転ギヤに隣接する部位には、対応するハブが固定されていて、対応するハブの外周には、対応するスリーブが軸方向に移動可能にスプライン嵌合されている。各遊転ギヤは、対応するスリーブを軸方向に移動して対応するスリーブとスプライン嵌合することにより、出力軸に相対回転不能に固定される。1つの遊転ギヤが出力軸に相対回転不能に固定されると、その遊転ギヤ、及びその遊転ギヤと噛合する固定ギヤを介してエンジンと駆動輪との間で動力伝達系統が形成される。即ち、変速機内においてその遊転ギヤに対応する変速段が確立されて、その遊転ギヤにエンジンのトルクに基づくトルクが加えられる。
一般に、各スリーブには対応する1つのフォークがそれぞれ一体に連結されている。各フォークは、対応する1本のフォークシャフトとそれぞれ一体に連結されている。従って、各スリーブの軸方向の位置はそれぞれ、対応するフォークシャフトの軸方向の位置を別個独立に調整することにより調整される。
各フォークシャフトには対応するシフトヘッドがそれぞれ一体に連結されている。車両の運転者によるニュートラル位置におけるシフトレバーのセレクト操作により、シフトインナレバーと係合する1つのシフトヘッドが選択される。この選択されたシフトヘッドが「運転者によるシフトレバーのシフト操作に応じて移動するシフトインナレバー」により押圧されて軸方向に移動することにより、対応するフォークシャフトの軸方向の位置(従って、フォークシャフトと一体のフォーク及びスリーブの軸方向の位置)が調整される。
以下、図5に示した変速機におけるリバースシフト機構について説明する。この変速機の入力軸には、リバース用の駆動ギヤ(リバース駆動ギヤ)が相対回転不能に設けられ、この変速機の出力軸(より具体的には、出力軸と一体で回転する1−2速用スリーブ)には、リバース用の被動ギヤ(リバース被動ギヤ)が相対回転不能に設けられている。リバース駆動ギヤとリバース被動ギヤとは常時噛合しない。
入力軸及び出力軸と平行に配置されたアイドル軸には、アイドルギヤが軸方向に相対移動可能に設けられている。アイドルギヤがニュートラル位置(図5に示す位置)にあるとき、アイドルギヤはリバース駆動ギヤ及びリバース被動ギヤと共に噛合しない。従って、リバースが確立されない。一方、アイドルギヤがニュートラル位置からリバース位置(図5に示す位置より左側の位置)に移動すると、アイドルギヤがリバース駆動ギヤ及びリバース被動ギヤと共に噛合する。この結果、リバース駆動ギヤ、アイドルギヤ、及びリバース被動ギヤを介してエンジンと駆動輪との間で動力伝達系統が形成される。即ち、リバースが確立される。
図6に示すように、アイドルギヤの軸方向の調整は、「5速−リバース用フォークシャフト」に設けられたリバースフォークと、アイドルギヤと係合するリバースアームとで構成されるリンク機構を介して行われる。即ち、シフトレバーの「5速位置」−「リバース位置」間でのシフト操作により「5速−リバース用フォークシャフト」の軸方向の位置(即ち、5速用フォーク、及び5速用スリーブの軸方向の位置)が移動することにより、アイドルギヤの軸方向の位置が調整される。
ここで、先ず、リバースフォークが「5速−リバース用フォークシャフト」に固定されている場合を想定する。この場合、シフトレバーのニュートラル位置からリバース位置へのシフト操作により、「5速−リバース用フォークシャフト」がニュートラル位置からリバース位置に移動する(即ち、図6において左方向に移動する)ことで、アイドルギヤをニュートラル位置からリバース位置に移動・調整(即ち、図6において左方向に移動・調整)することができる。
しかしながら、この場合、シフトレバーのニュートラル位置から5速位置へのシフト操作がなされると、「5速−リバース用フォークシャフト」がニュートラル位置から5速位置に移動する(即ち、図6において右方向に移動する)ことに起因して、アイドルギヤもニュートラル位置から図6において右方向に移動する。即ち、アイドルギヤが不必要に右方向に移動する。この結果、アイドルギヤの軸方向における全移動範囲が広くなり、このことは変速機のハウジングの大型化を招く。
この問題に対処するため、図6に示す従来のリバースシフト機構では、リバースフォークが「5速−リバース用フォークシャフト」に軸方向に相対移動可能に配置されている。そして、「5速−リバース用フォークシャフト」がニュートラル位置からリバース位置に移動する(即ち、図6において左方向に移動する)と、リバースフォークは、「5速−リバース用フォークシャフト」に固定されたスナップリングに押圧されて「5速−リバース用フォークシャフト」と一体で移動する。即ち、上述した「リバースフォークが5速−リバース用フォークシャフトに固定されている場合」と同様、アイドルギヤがニュートラル位置からリバース位置に移動・調整され得る。
一方、「5速−リバース用フォークシャフト」がニュートラル位置から5速位置に移動しても(即ち、図6において右方向に移動しても)、リバースフォークは、軸方向に移動不能に固定された「3速−4速用フォークシャフト」に固定されたスナックリングに当接することにより、軸方向に移動しない(「5速−リバース用フォークシャフト」に対して相対移動する)。即ち、アイドルギヤがニュートラル位置に維持される。
なお、「5速−リバース用フォークシャフト」が移動する場合、所謂インターロックプレートの機能により「3速−4速用フォークシャフト」は軸方向に移動不能に固定される。また、ピンは、「5速−リバース用フォークシャフト」側の溝にも「3速−4速用フォークシャフト」側の溝にも係合可能となっている。ピンは、「5速−リバース用フォークシャフト」がリバース位置からニュートラル位置に戻る際に、リバースフォークを「5速−リバース用フォークシャフト」と一体に連結してリバースフォークをニュートラル位置に戻すために設けられている。また、リバースフォークとリバースアームとで構成されるリンク機構の作用(レバー比)により、「5速−リバース用フォークシャフト」のニュートラル位置からリバース位置までの移動量αよりも、アイドルギヤのニュートラル位置からリバース位置までの移動量βの方が大きくなっている。
以下、このように、アイドルギヤの軸方向の駆動に使用されるフォークシャフトがニュートラル位置から「リバース位置と反対側」に移動したときにアイドルギヤをニュートラル位置に維持する機構を、「反リバース側非駆動機構」と呼ぶ。図6に示すリバースシフト機構では、(5速−リバース用)フォークシャフトに対してリバースフォークを相対移動可能(摺動可能)とすることにより「反リバース側非駆動機構」が達成されている。
しかしながら、図6に示すリバースシフト機構では、「反リバース側非駆動機構」を達成するために、スナップリング、及びピン等の部品が新たに必要とされる。この結果、部品点数の増加、組み付け工程の追加等により、変速機の製造コストが増大するという新たな問題が発生する。
加えて、断面が矩形状を呈するプレス成形されたフォークシャフトが使用される場合、フォークシャフトの外周面の4隅(エッジ)がリバースフォークの摺動面に局所的に接触し得る。この場合、これらの接触部位において局所的に面圧が過大となり、フォークシャフトがリバースフォークに対して摺動する際の摺動抵抗が増大し得る。このため、運転者のシフトフィーリングが悪化するという問題も発生し得る。
以上のことを鑑み、本発明の目的は、簡易な構成で「反リバース側非駆動機構」を達成できる変速機のリバースシフト機構を提供することにある。
本発明による車両用変速機のリバースシフト機構は、車両の駆動源の出力軸との間で動力伝達系統が形成される変速機の入力軸(変速機のハウジングに軸周りに回転可能に支持されている)に相対回転不能に設けられたリバース駆動ギヤ(GRi)と、前記車両の駆動輪との間で動力伝達系統が形成される前記入力軸と平行に配置された前記変速機の出力軸(変速機のハウジングに軸周りに回転可能に支持されている)に相対回転不能に設けられ、前記リバース駆動ギヤとは常時噛合しないリバース被動ギヤ(GRo)と、前記入力軸及び前記出力軸と平行に配置されたアイドル軸に軸方向に相対移動可能に配設されたアイドルギヤであって、軸方向における第1位置にあるときに前記リバース駆動ギヤ及び前記リバース被動ギヤと共に噛合せず且つ軸方向における第2位置にあるときに前記リバース駆動ギヤ及び前記リバース被動ギヤと共に噛合するアイドルギヤ(GRd)と、前記アイドル軸と平行且つ軸方向に移動可能に配置されて、前記車両のシフトレバーのニュートラル位置から前進用の特定変速段の位置へのシフト操作により軸方向における第3位置から第4位置に移動し、前記シフトレバーの前記ニュートラル位置からリバース位置へのシフト操作により軸方向における前記第3位置から前記第3位置に対して前記第4位置と反対側の第5位置に移動するフォークシャフトであって、前記特定変速段を達成するためのスリーブを軸方向に駆動するシフトフォークが固定されたフォークシャフト(FS)と、前記フォークシャフトに固定されたリバースフォーク(RF)と、前記アイドルギヤと係合して前記アイドルギヤを軸方向に駆動するリバースアームであって、その姿勢が第1の姿勢のときに前記アイドルギヤを前記第1位置に配置し、その姿勢が第2の姿勢のときに前記アイドルギヤを前記第2位置に配置するリバースアーム(RA)と、を備える。ここにおいて、前記フォークシャフトの断面形状は、円形状であっても矩形状であってもよい。
本発明による車両用変速機のリバースシフト機構の特徴は、前記リバースフォークと前記リバースアームとの係合状態を調整する調整機構を有することにある。前記調整機構では、前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動する際、前記リバースフォークが前記リバースアームを駆動せずに前記リバースアームの姿勢が前記第1の姿勢に維持され、前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第5位置に移動する際、前記リバースフォークが前記リバースアームを駆動して前記リバースアームの姿勢が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変更される。加えて、前記フォークシャフトが前記第5位置から前記第3位置に移動する際、前記リバースフォークが前記リバースアームを駆動して前記リバースアームの姿勢が前記第2の姿勢から前記第1の姿勢に変更される。
これによれば、シフトレバーのニュートラル位置からリバース位置へのシフト操作によりフォークシャフトが第3位置(ニュートラル位置)から第5位置(リバース位置)に移動する際、リバースフォークがリバースアームを駆動することにより、アイドルギヤが第1位置(ニュートラル位置)から第2位置(リバース位置)に移動する。即ち、リバースが確立される。
一方、シフトレバーのニュートラル位置から前進用の特定変速段の位置へのシフト操作によりフォークシャフトが第3位置(ニュートラル位置)から第4位置(特定変速段の位置)に移動する際、リバースフォークがリバースアームを駆動しないことにより、アイドルギヤが第1位置(ニュートラル位置)に維持される。
即ち、このリバースシフト機構では、「フォークシャフトに対してリバースフォークを相対移動可能とすること」(図6に示した機構)に代えて、リバースフォークとリバースアームとの係合状態を調整することにより、「反リバース側非駆動機構」が達成されている。これによれば、簡易な構成で「反リバース側非駆動機構」が達成され得る。
具体的には、前記リバースアームが、前記リバースアームの支点(RAO)の周りに回動可能に、且つ、前記リバースアームの先端部(RAF)が前記アイドルギヤと係合するように配置・構成され、前記リバースフォークの係合部(RF1)が前記リバースアームにおける前記支点と前記先端部との間の中間部と係合可能に配置され得る。前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動する際、前記リバースフォークの係合部(RF1)が前記リバースアームの前記中間部に形成された溝部(RAV)に進入していない状態から前記溝部に進入した状態に移行することにより、前記リバースフォークが前記第1の姿勢にある前記リバースアームを駆動しない。この結果、前記リバースアームが前記第1の姿勢に維持される。また、前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第5位置に移動する際、前記リバースフォークの係合部(RF1)が前記リバースアームの前記中間部に形成された第1係合部(RA1)を押圧することにより、前記リバースフォークが前記第1の姿勢にある前記リバースアームを駆動する。この結果、前記リバースアームが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢まで回動するように構成される。更には、前記フォークシャフトが前記第5位置から前記第3位置に移動する際、前記リバースフォークの係合部が前記リバースアームの前記中間部に形成された前記第1係合部と異なる第2係合部(RA2)を押圧することにより、前記リバースフォークが前記第2の姿勢にある前記リバースアームを駆動する。この結果、前記リバースアームが前記第2の姿勢から前記第1の姿勢まで回動するように構成される。係る構成によれば、図6に示した従来の構成におけるピン、及び、前記ピンが係合するフォークシャフトの溝に相当する構成を使用することなく、リバースアームを第2の姿勢から第1の姿勢まで戻すことができる。
上記リバースシフト機構においては、前記リバースアームの姿勢が前記第2の姿勢より前記第1の姿勢に近いときに前記第2の姿勢側から前記第1の姿勢側への方向の回転モーメントを前記リバースアームに与え、前記リバースアームの姿勢が前記第1の姿勢より前記第2の姿勢に近いときに前記第1の姿勢側から前記第2の姿勢側への方向の回転モーメントを前記リバースアームに与える弾性部材(Q)を備えることが好適である。これによれば、リバースアームが、第1の姿勢と第2の姿勢との間の任意の姿勢で維持される事態の発生が抑制され得る。
以下、本発明の実施形態に係るリバースシフト機構を含む車両用手動変速機について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態に係る手動変速機T/Mは、車両前進用に5つ変速段(1速〜5速)、及び、車両後進用に1つの変速段(リバース)を備えている。
(構成)
図1に示すように、変速機T/Mは、入力軸Aiと、出力軸Aoとを備える。入力軸Aiの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジング(ケース)Hgに支持されている。出力軸Aoの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジングHgに支持されている。出力軸Aoは、入力軸Aiからずれた位置で入力軸Aiと平行に配置されている。入力軸Aiは、クラッチC/Tを介して車両の駆動源であるエンジンE/Gの出力軸と接続されている。出力軸Aoは、車両の駆動輪と動力伝達可能に接続されている。
図1に示すように、変速機T/Mは、入力軸Aiと、出力軸Aoとを備える。入力軸Aiの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジング(ケース)Hgに支持されている。出力軸Aoの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジングHgに支持されている。出力軸Aoは、入力軸Aiからずれた位置で入力軸Aiと平行に配置されている。入力軸Aiは、クラッチC/Tを介して車両の駆動源であるエンジンE/Gの出力軸と接続されている。出力軸Aoは、車両の駆動輪と動力伝達可能に接続されている。
以下、軸に相対回転不能に設けられたギヤを「固定ギヤ」と呼び、軸に相対回転可能に設けられたギヤを「遊転ギヤ」と呼ぶ。固定ギヤは、周知の嵌合手法の1つを利用して、軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動不能に固定されている。遊転ギヤは、例えば、ニードルベアリングを介して軸に相対回転可能に配設されている。また、ハブは、固定ギヤと同様、周知の嵌合手法の1つを利用して、軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動不能に固定されている。ハブの円筒外周面には、(外)スプラインが形成されている。以下、先ず、変速機T/Mにおいてリバースの確立に関わるリバースシフト機構を除いた部分の構成(前進用の変速段の確立に関わる構成)について説明する。
入力軸Aiにおける1対のベアリングの間には、図1において左側から順に、5速の駆動ギヤG5i、4速の駆動ギヤG4i、3速の駆動ギヤG3i、2速の駆動ギヤG2i、1速の駆動ギヤG1iが同軸的に備えられている。駆動ギヤG1i,G2i,G3i,G4i,G5iは全て固定ギヤである。
出力軸Aoにおける1対のベアリングの間には、図1において左側から順に、ハブH3、5速の被動ギヤG5o、4速の被動ギヤG4o、ハブH2、3速の被動ギヤG3o、2速の被動ギヤG2o、ハブH1、1速の被動ギヤG1oが同軸的に備えられている。被動ギヤG1o,G2o,G3o,G4o,G5oは全て遊転ギヤである。被動ギヤG1o,G2o,G3o,G4o,G5oはそれぞれ、駆動ギヤG1i,G2i,G3i,G4i,G5iと常時噛合している。
ハブH1の外周には、スリーブS1が、軸方向に移動可能に常時スプライン嵌合している。スリーブS1が図1に示す位置(ニュートラル位置)にある場合、スリーブS1は、被動ギヤG1oと一体回転する1速ピース、及び、被動ギヤG2oと一体回転する2速ピースに対して共にスプライン嵌合しない。スリーブS1がニュートラル位置より右側の位置(1速位置)に移動すると、スリーブS1が1速ピースに対してスプライン嵌合し、左側の位置(2速位置)に移動すると、スリーブS1が2速ピースに対してスプライン嵌合する。
ハブH2の外周には、スリーブS2が、軸方向に移動可能に常時スプライン嵌合している。スリーブS2が図1に示す位置(ニュートラル位置)にある場合、スリーブS2は、被動ギヤG3oと一体回転する3速ピース、及び、被動ギヤG4oと一体回転する4速ピースに対して共にスプライン嵌合しない。スリーブS2がニュートラル位置より右側の位置(3速位置)に移動すると、スリーブS2が3速ピースに対してスプライン嵌合し、左側の位置(4速位置)に移動すると、スリーブS2が4速ピースに対してスプライン嵌合する。
ハブH3の外周には、スリーブS3が、軸方向に移動可能に常時スプライン嵌合している。スリーブS3が図1に示す位置(ニュートラル位置)にある場合、スリーブS3は、被動ギヤG5oと一体回転する5速ピースに対してスプライン嵌合しない。スリーブS3がニュートラル位置より右側の位置(5速位置)に移動すると、スリーブS3が5速ピースに対してスプライン嵌合する。
図2は、この変速機T/Mが搭載された車両のシフトレバーのシフトパターンの一例を示す。スリーブS1,S2,S3には対応する1つのフォーク(図示せず)がそれぞれ一体に連結されている。各フォークは、対応する1本のフォークシャフト(図示せず)とそれぞれ一体に連結されている。従って、スリーブS1,S2,S3の軸方向の位置はそれぞれ、対応するフォークシャフトの軸方向の位置を別個独立に調整することにより調整される。各フォークシャフトは、軸方向に移動可能にハウジングHgに支持されている。各フォークシャフトの断面形状は、円形状であっても矩形状であってもよい。
各フォークシャフトには対応するシフトヘッドがそれぞれ一体に連結されている。車両の運転者によるニュートラル位置におけるシフトレバーのセレクト操作(図2における横方向の操作)に応じてシフトインナレバーが移動して、シフトインナレバーと係合する1つのシフトヘッドが選択される。運転者によるシフトレバーのシフト操作(図2における縦方向の操作)に応じてシフトインナレバーが移動して、選択されたシフトヘッドがシフトインナレバーにより押圧されて軸方向に移動する。この結果、対応するフォークシャフトの軸方向の位置(従って、フォークシャフトと一体のフォーク及びスリーブの軸方向の位置)が調整される。
以上より、変速機T/Mでは、シフトレバーがニュートラル位置にある場合、スリーブS1,S2,S3が共にニュートラル位置に調整される。この結果、入力軸Aiと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が形成されないニュートラル状態が得られる。ニュートラル状態においてシフトレバーが1速位置にシフト操作されると、スリーブS1が1速位置へ移動する。この結果、1速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(1速が確立される)。ニュートラル状態においてシフトレバーが2速位置にシフト操作されると、スリーブS1が2速位置へ移動する。この結果、2速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(2速が確立される)。
ニュートラル状態においてシフトレバーが3速位置にシフト操作されると、スリーブS2が3速位置へ移動する。この結果、3速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(3速が確立される)。ニュートラル状態においてシフトレバーが4速位置にシフト操作されると、スリーブS2が4速位置へ移動する。この結果、4速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(4速が確立される)。
ニュートラル状態においてシフトレバーが5速位置にシフト操作されると、スリーブS3が5速位置へ移動する。この結果、5速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(5速が確立される)。
(リバースシフト機構)
以下、変速機T/Mのリバースシフト機構について説明する。図1に示すように、変速機T/Mの入力軸Aiには、固定ギヤであるリバース用の駆動ギヤ(リバース駆動ギヤ)GRiが同軸的に備えられている。また、変速機T/Mの出力軸Ao(より具体的には、スリーブS1)には、リバース用の被動ギヤ(リバース被動ギヤ)GRoが相対回転不能に設けられている。リバース駆動ギヤGRiとリバース被動ギヤGRoとは常時噛合しない。
以下、変速機T/Mのリバースシフト機構について説明する。図1に示すように、変速機T/Mの入力軸Aiには、固定ギヤであるリバース用の駆動ギヤ(リバース駆動ギヤ)GRiが同軸的に備えられている。また、変速機T/Mの出力軸Ao(より具体的には、スリーブS1)には、リバース用の被動ギヤ(リバース被動ギヤ)GRoが相対回転不能に設けられている。リバース駆動ギヤGRiとリバース被動ギヤGRoとは常時噛合しない。
変速機T/Mでは、入力軸Ai及び出力軸Aoと平行に、アイドル軸AdがハウジングHgに支持されている。アイドル軸Adには、アイドルギヤGRdが軸方向に相対移動可能に設けられている。アイドルギヤGRdがニュートラル位置(図1に示す位置)にあるとき、アイドルギヤGRdはリバース駆動ギヤGRi及びリバース被動ギヤGRoと共に噛合しない。従って、リバースが確立されない。一方、アイドルギヤGRdがニュートラル位置からリバース位置(図1に示す位置より左側の位置)に移動すると、アイドルギヤGRdがリバース駆動ギヤGRi及びリバース被動ギヤGRoと共に噛合する。この結果、リバース駆動ギヤGRi、アイドルギヤGRd、及びリバース被動ギヤGRoを介してエンジンと駆動輪との間で動力伝達系統が形成される。即ち、リバースが確立される。
図3、図4に示すように、アイドルギヤGRdの軸方向の調整は、リバースフォークRFとリバースアームRAとで構成されるリンク機構を介して行われる。リバースフォークRFは、5速用フォークが固定された「5速−リバース用フォークシャフト」(以下、単に「フォークシャフト」と呼ぶ。)FSに固定されていて、フォークシャフトFSと一体で軸方向に移動する。リバースアームRAは、アイドルギヤGRdと係合していて、アイドルギヤGRdを軸方向に駆動する。
図4に示すように、リバースアームRAは、リバースアームの支点RAO(ハウジングHgに固定されている)の周りに回動可能に、且つ、リバースアームの先端部RAFがアイドルギヤGRdと係合するように配置される。リバースフォークRFの係合部RF1(リバースフォークの一部)は、リバースアームRAにおける支点RAOと先端部RAFとの間の中間部と係合可能に配置される。
シフトレバーがニュートラル位置にあるとき、即ち、フォークシャフトFSがニュートラル位置にあるとき、リバースアームRAの姿勢は、ニュートラル姿勢(図4の中央図を参照)となっている。リバースアームRAがニュートラル姿勢にあるとき、アイドルギヤGRdはニュートラル位置に調整される。
ニュートラル状態においてシフトレバーがリバース位置にシフト操作されると、フォークシャフトFSがニュートラル位置からリバース位置に(図3において左方向に)移動する(図3における左図を参照)。このとき、リバースフォークの係合部RF1が、リバースアームRAの中間部に形成された係合部RA1を(図4において左方向に)押圧する。これに伴い、リバースフォークRF(の係合部RF1)がニュートラル姿勢にあるリバースアームRAを(図4において反時計周りに)回転駆動する。
この結果、リバースアームRAがニュートラル姿勢からリバース姿勢(図4の左図を参照)まで回動する。この回動に伴ってリバースアームRAの先端部RAFがアイドルギヤGRdをリバース位置に向けて軸方向(図3において左方向)に駆動する。リバースアームRAがリバース姿勢に達すると、アイドルギヤGRdはリバース位置に調整される。即ち、リバースが確立される。
なお、フォークシャフトFSがリバース位置からニュートラル位置に戻る際には、リバースフォークの係合部RF1が、リバースアームRAの中間部に形成された係合部RA2を(図4において右方向に)押圧する。これに伴い、リバース姿勢にあるリバースアームRAが(図4において時計周りに)回転駆動され、リバースアームRAの姿勢がニュートラル姿勢まで戻される。
一方、ニュートラル状態においてシフトレバーが5速位置にシフト操作されると、フォークシャフトFSがニュートラル位置から5速位置に(図3において右方向に)移動する(図3における右図を参照)。このとき、リバースフォークの係合部RF1は、(図4において右方向に移動して)リバースアームRAの中間部に形成された溝部RAVに進入していない状態から溝部RAVに進入した状態に移行する。従って、リバースフォークRAがニュートラル姿勢にあるリバースアームRAを駆動しない。即ち、リバースアームRAがニュートラル姿勢に維持される(図4の右図を参照)。従って、アイドルギヤGRdはニュートラル位置に維持される。
以上より、本発明の実施形態に係るリバースシフト機構では、リバースフォークRFとリバースアームRAとの係合状態を調整することにより、極めて簡易な構成で、「反リバース側非駆動機構」(背景技術の欄を参照)が達成される。
加えて、図6に示す従来のリバースシフト機構のように、「反リバース側非駆動機構」を達成するためにフォークシャフトに対してリバースフォークを摺動させる必要がないので、上述した「フォークシャフトとリバースフォークとの間の摺動抵抗の増大」の問題がそもそも発生しない。従って、フォークシャフトの断面形状にかかわらず(円形状であっても矩形状であっても)、リバースシフト時において運転者のシフトフィーリングが悪化し難い構造といえる。
また、このリバースシフト機構では、リバースフォークRFとリバースアームRAとで構成されるリンク機構の作用(レバー比)により、フォークシャフトFSのニュートラル位置からリバース位置までの移動量αに対して、アイドルギヤGRdのニュートラル位置からリバース位置までの移動量βの方が大きい(図3を参照)。
ここで、アイドルギヤGRdがニュートラル位置からリバース位置まで移動する過程において、アイドルギヤGRdは、先ず、リバース駆動ギヤGRi及びリバース被動ギヤGRoのうちの何れか一方のギヤにのみ噛合し、その後、他方のギヤにも噛合する。従って、アイドルギヤGRdをリバース駆動ギヤGRi及びリバース被動ギヤGRoの両方のギヤに噛合させるためには、アイドルギヤGRdの軸方向のストロークを十分に長くとる必要がある。
この点において、上述のように、このリバースシフト機構では、フォークシャフトFSの軸方向の運動が増幅されてアイドルギヤGRdの軸方向の運動として現れる。従って、フォークシャフトFSのストロークαが比較的短くても、アイドルギヤGRdのストロークβを十分に長くとることが容易となる。
加えて、図4に示すように、このリバースシフト機構では、弾性部材Qが備えられている。この弾性部材Qは、図4に示す白矢印の方向に弾性力を発生している。この弾性力により、リバースアームRAの姿勢がリバース姿勢よりニュートラル姿勢に近いとき、図4において時計周りの(リバース姿勢側からニュートラル姿勢側への方向の)回転モーメントがリバースアームRAに与えられる(図4の中央図、及び右図の太い黒矢印を参照)。
一方、リバースアームRAの姿勢がニュートラル姿勢よりリバース姿勢に近いとき、図4において反時計まわりの(ニュートラル姿勢側からリバース姿勢側への方向の)回転モーメントがリバースアームRAに与えられる(図4の左図の太い黒矢印を参照)。これにより、リバースアームRAが、ニュートラル姿勢とリバース姿勢との間の任意の姿勢で維持される事態の発生が抑制され得る。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、アイドルギヤGRdの軸方向の調整が、5速用フォーク(即ち、スリーブS3)が固定された「5速−リバース用フォークシャフト」の軸方向の移動により行われているが、3速−4速用フォーク(即ち、スリーブS2)が固定された「3速−4速用フォークシャフト」の軸方向の移動により行われてもよい。また、車両前進用の変速段の数は、5つに限定されない(例えば、4つ、或いは、6つであってもよい)。
T/M…変速機、E/G…エンジン、Ai…入力軸、Ao…出力軸、Ad…アイドル軸、G1i,G2i,G3i,G4i,G5i,GRi…駆動ギヤ、G1o,G2o,G3o,G4o,G5o,GRo…被動ギヤ、GRd…アイドルギヤ、H1〜H3…ハブ、S1〜S3…スリーブ、FS…フォークシャフト、RF…リバースフォーク、RF1…リバースフォークの係合部、RA…リバースアーム、RAV…リバースアームの溝、RA1…リバースアームの係合部、RAO…支点、Q…弾性部材
Claims (5)
- 車両の駆動源の出力軸との間で動力伝達系統が形成される変速機の入力軸に相対回転不能に設けられたリバース駆動ギヤと、
前記車両の駆動輪との間で動力伝達系統が形成される前記入力軸と平行に配置された前記変速機の出力軸に相対回転不能に設けられ、前記リバース駆動ギヤとは常時噛合しないリバース被動ギヤと、
前記入力軸及び前記出力軸と平行に配置されたアイドル軸に軸方向に相対移動可能に配設されたアイドルギヤであって、軸方向における第1位置にあるときに前記リバース駆動ギヤ及び前記リバース被動ギヤと共に噛合せず且つ軸方向における第2位置にあるときに前記リバース駆動ギヤ及び前記リバース被動ギヤと共に噛合するアイドルギヤと、
前記アイドル軸と平行且つ軸方向に移動可能に配置されて、前記車両のシフトレバーのニュートラル位置から前進用の特定変速段の位置へのシフト操作により軸方向における第3位置から第4位置に移動し、前記シフトレバーの前記ニュートラル位置からリバース位置へのシフト操作により軸方向における前記第3位置から前記第3位置に対して前記第4位置と反対側の第5位置に移動するフォークシャフトであって、前記特定変速段を達成するためのスリーブを軸方向に駆動するシフトフォークが固定されたフォークシャフトと、
前記フォークシャフトに固定されたリバースフォークと、
前記アイドルギヤと係合して前記アイドルギヤを軸方向に駆動するリバースアームであって、その姿勢が第1の姿勢のときに前記アイドルギヤを前記第1位置に配置し、その姿勢が第2の姿勢のときに前記アイドルギヤを前記第2位置に配置するリバースアームと、
前記リバースフォークと前記リバースアームとの係合状態を調整する調整機構であって、前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動する際、前記リバースフォークが前記リバースアームを駆動せずに前記リバースアームの姿勢が前記第1の姿勢に維持され、前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第5位置に移動する際、前記リバースフォークが前記リバースアームを駆動して前記リバースアームの姿勢が前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変更されるように構成された調整機構と、
を備えた、変速機のリバースシフト機構。 - 請求項1に記載の変速機のリバースシフト機構において、
前記調整機構では、
前記リバースアームが、前記リバースアームの支点の周りに回動可能に、且つ、前記リバースアームの先端部が前記アイドルギヤと係合するように配置・構成され、
前記リバースフォークの係合部が前記リバースアームにおける前記支点と前記先端部との間の中間部と係合可能に配置されていて、
前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第4位置に移動する際、前記リバースフォークの係合部が前記リバースアームの前記中間部に形成された溝部に進入していない状態から前記溝部に進入した状態に移行することにより、前記リバースフォークが前記第1の姿勢にある前記リバースアームを駆動せず、前記リバースアームが前記第1の姿勢に維持され、
前記フォークシャフトが前記第3位置から前記第5位置に移動する際、前記リバースフォークの係合部が前記リバースアームの前記中間部に形成された第1係合部を押圧することにより、前記リバースフォークが前記第1の姿勢にある前記リバースアームを駆動して、前記リバースアームが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢まで回動するように構成された、変速機のリバースシフト機構。 - 請求項2に記載の変速機のリバースシフト機構において、
前記調整機構では、
前記フォークシャフトが前記第5位置から前記第3位置に移動する際、前記リバースフォークの係合部が前記リバースアームの前記中間部に形成された前記第1係合部と異なる第2係合部を押圧することにより、前記リバースフォークが前記第2の姿勢にある前記リバースアームを駆動して、前記リバースアームが前記第2の姿勢から前記第1の姿勢まで回動するように構成された、変速機のリバースシフト機構。 - 請求項2又は請求項3に記載の変速機のリバースシフト機構において、
前記調整機構は、
前記リバースアームの姿勢が前記第2の姿勢より前記第1の姿勢に近いときに前記第2の姿勢側から前記第1の姿勢側への方向の回転モーメントを前記リバースアームに与え、前記リバースアームの姿勢が前記第1の姿勢より前記第2の姿勢に近いときに前記第1の姿勢側から前記第2の姿勢側への方向の回転モーメントを前記リバースアームに与える弾性部材を備えた、変速機のリバースシフト機構。 - 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の変速機のリバースシフト機構において、
前記フォークシャフトの断面形状が矩形状である、変速機のリバースシフト機構。
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- 2011-04-18 WO PCT/JP2011/059505 patent/WO2011162015A1/ja active Application Filing
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