JP2011241883A - 変速機のリバースシフト機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】アイドルギヤを介したリバース駆動ギヤからリバース被動ギヤへの動力伝達系統の形成・遮断を簡易な構成で選択的に行える変速機のリバースシフト機構の提供。
【解決手段】変速機T/Mの入力軸Aiに相対回転不能且つ軸方向に相対移動不能に配設されたリバース駆動ギヤGRiと、アイドル軸Adに配設されたアイドルギヤGRdとが常時噛合する。変速機T/Mの出力軸Aoに相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に配設された5速用スリーブS3に、リバース被動ギヤGRoが一体に形成される。シフトレバーのニュートラル位置からリバース位置へのシフト操作に応じて、スリーブS3(リバース被動ギヤGRo)が、ニュートラル位置(図1に示す位置)からリバース位置(ニュートラル位置より左側の位置)に移動する。これにより、リバース被動ギヤGRoがアイドルギヤGRdと噛合してリバースが確立される。
【選択図】図1
【解決手段】変速機T/Mの入力軸Aiに相対回転不能且つ軸方向に相対移動不能に配設されたリバース駆動ギヤGRiと、アイドル軸Adに配設されたアイドルギヤGRdとが常時噛合する。変速機T/Mの出力軸Aoに相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に配設された5速用スリーブS3に、リバース被動ギヤGRoが一体に形成される。シフトレバーのニュートラル位置からリバース位置へのシフト操作に応じて、スリーブS3(リバース被動ギヤGRo)が、ニュートラル位置(図1に示す位置)からリバース位置(ニュートラル位置より左側の位置)に移動する。これにより、リバース被動ギヤGRoがアイドルギヤGRdと噛合してリバースが確立される。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用変速機のリバースシフト機構に関する。
従来より、前進用に複数の変速段、後進用に1つの変速段(リバース)を備えた車両用手動変速機として、種々のものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。図5は、この種の代表的な変速機の一例を示す。この変速機は、エンジンの出力軸との間で動力伝達系統が形成される入力軸と、駆動輪との間で動力伝達系統が形成される出力軸とを備えている。入力軸と出力軸とは平行に配置されている。
この変速機の入力軸には、複数の前進用の変速段の駆動ギヤが相対回転不能にそれぞれ設けられている。また、この変速機の出力軸には、対応する変速段の駆動ギヤと噛合する複数の前進用の変速段の被動ギヤが相対回転可能にそれぞれ設けられている。以下、軸に相対回転不能に設けられたギヤを「固定ギヤ」と呼び、軸に相対回転可能に設けられたギヤを「遊転ギヤ」と呼ぶ。
出力軸における各遊転ギヤに隣接する部位には、対応するハブが固定されていて、対応するハブの外周には、対応するスリーブが軸方向に移動可能にスプライン嵌合されている。各遊転ギヤは、対応するスリーブを軸方向に移動して対応するスリーブとスプライン嵌合することにより、出力軸に相対回転不能に固定される。1つの遊転ギヤが出力軸に相対回転不能に固定されると、その遊転ギヤ、及びその遊転ギヤと噛合する固定ギヤを介してエンジンと駆動輪との間で動力伝達系統が形成される。即ち、変速機内においてその遊転ギヤに対応する変速段が確立されて、その遊転ギヤにエンジンのトルクに基づくトルクが加えられる。
一般に、各スリーブには対応する1つのフォークがそれぞれ一体に連結されている。各フォークは、対応する1本のフォークシャフトとそれぞれ一体に連結されている。従って、各スリーブの軸方向の位置はそれぞれ、対応するフォークシャフトの軸方向の位置を別個独立に調整することにより調整される。
各フォークシャフトには対応するシフトヘッドがそれぞれ一体に連結されている。車両の運転者によるニュートラル位置におけるシフトレバーのセレクト操作により、シフトインナレバーと係合する1つのシフトヘッドが選択される。この選択されたシフトヘッドが「運転者によるシフトレバーのシフト操作に応じて移動するシフトインナレバー」により押圧されて軸方向に移動することにより、対応するフォークシャフトの軸方向の位置(従って、フォークシャフトと一体のフォーク及びスリーブの軸方向の位置)が調整される。
以下、図5に示した変速機におけるリバースシフト機構について説明する。この変速機の入力軸には、リバース用の駆動ギヤ(リバース駆動ギヤ)が相対回転不能に設けられ、この変速機の出力軸(より具体的には、出力軸と一体で回転する1−2速用スリーブ)には、リバース用の被動ギヤ(リバース被動ギヤ)が相対回転不能に設けられている。リバース駆動ギヤとリバース被動ギヤとは常時噛合しない。
入力軸及び出力軸と平行に配置されたアイドル軸には、アイドルギヤが軸方向に相対移動可能に設けられている。アイドルギヤがニュートラル位置(図5に示す位置)にあるとき、アイドルギヤはリバース駆動ギヤ及びリバース被動ギヤと共に噛合しない。従って、リバースが確立されない。一方、アイドルギヤがニュートラル位置からリバース位置(図5に示す位置より左側の位置)に移動すると、アイドルギヤがリバース駆動ギヤ及びリバース被動ギヤと共に噛合する。この結果、リバース駆動ギヤ、アイドルギヤ、及びリバース被動ギヤを介してエンジンと駆動輪との間で動力伝達系統が形成される。即ち、リバースが確立される。
図6に示すように、アイドルギヤの軸方向の調整は、5速用スリーブ(図5を参照)を軸方向に駆動する5速用フォークが固定された「5速−リバース用フォークシャフト」に設けられたリバースフォークと、アイドルギヤと係合するリバースアームとで構成されるリンク機構(図示せず)を介して行われる。即ち、シフトレバーの「5速位置」−「リバース位置」間でのシフト操作により「5速−リバース用フォークシャフト」の軸方向の位置(即ち、5速用フォーク、及び5速用スリーブの軸方向の位置)が移動することにより、アイドルギヤの軸方向の位置が調整される。
しかしながら、図6に示したリバースシフト機構では、アイドルギヤの軸方向の調整のため、上述した複雑な構成を有するリンク機構が必要となる。従って、部品点数の増加、組み付け工程の複雑化等により、変速機の製造コストが増大するという問題がある。
以上のことを鑑み、本発明の目的は、アイドルギヤを介したリバース駆動ギヤからリバース被動ギヤへの動力伝達系統の形成・遮断を選択的に行える変速機のリバースシフト機構であって簡易な構成を有するものを提供することにある。
本発明による車両用変速機のリバースシフト機構は、「前記車両の変速機のハウジングに軸周りに回転可能に固定された前記変速機の入力軸であって前記車両の駆動源の出力軸との間で動力伝達系統が形成される入力軸」に相対回転不能に設けられたリバース駆動ギヤと、前記変速機の入力軸と平行に配置されたアイドル軸に設けられ、前記リバース駆動ギヤと常時噛合するアイドルギヤと、「前記ハウジングに軸周りに回転可能に固定された前記変速機の出力軸であって前記車両の駆動輪との間で動力伝達系統が形成される前記入力軸と平行に配置された出力軸」に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に配設されたリバース被動ギヤと、を備える。前記リバース駆動ギヤは、前記入力軸に対して軸方向に相対移動不能に設けられ、前記アイドルギヤは、前記アイドル軸に対して軸方向に相対移動不能に設けられる。
加えて、このリバースシフト機構は、前記車両のシフトレバーのニュートラル位置とリバース位置との間のシフト操作に応じて前記リバース被動ギヤを前記出力軸に対して軸方向に移動するリバース被動ギヤ移動機構であって、前記シフトレバーが前記ニュートラル位置にあるときに前記リバース被動ギヤを前記出力軸に対して前記リバース被動ギヤが前記アイドルギヤと噛合しない第1位置に配置し、前記シフトレバーが前記リバース位置にあるときに前記リバース被動ギヤを前記出力軸に対して前記リバース被動ギヤが前記アイドルギヤと噛合する第2位置に配置するように構成されたリバース被動ギヤ移動機構を備える。
上記のように、このリバースシフト機構では、リバース駆動ギヤとアイドルギヤとが常時噛合され、リバース被動ギヤが軸方向に移動する。この構成によれば、図6に示したような複雑な構成を有するリンク機構を用いることなく、簡易な構成で、アイドルギヤを介したリバース駆動ギヤからリバース被動ギヤへの動力伝達系統の形成・遮断を選択的に行うことができる。
前記リバース被動ギヤ移動機構は、前記車両のシフトレバーのニュートラル位置とリバース位置との間のシフト操作に応じて移動する部材の動きを利用して構成される。具体的には、通常、変速機では、前記変速機の出力軸と平行且つ軸方向に移動可能に前記ハウジングに固定されたフォークシャフトであって、前記シフトレバーの前記ニュートラル位置から前進用の特定変速段の位置へのシフト操作により軸方向における第3位置から第4位置に移動し、前記シフトレバーの前記ニュートラル位置から前記リバース位置へのシフト操作により軸方向における前記第3位置から前記第3位置に対して前記第4位置と反対側の第5位置に移動し、前記変速機の出力軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に配設されたスリーブであって前記特定変速段を達成するためのスリーブを軸方向に駆動するシフトフォークが固定されたフォークシャフトが備えられている。加えて、前記リバース被動ギヤは、前記スリーブに一体に形成され得る。
このフォークシャフトと、スリーブと一体に形成されたリバース被動ギヤとを利用することにより、前記リバース被動ギヤ移動機構は、前記フォークシャフトの前記第3位置から前記第5位置への移動に応答して、前記リバース被動ギヤを前記第1位置から前記第2位置に移動するように構成され得る。
以下、本発明の実施形態に係るリバースシフト機構を含む車両用手動変速機について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態に係る手動変速機T/Mは、車両前進用に5つ変速段(1速〜5速)、及び、車両後進用に1つの変速段(リバース)を備えている。
(構成)
図1に示すように、変速機T/Mは、入力軸Aiと、出力軸Aoとを備える。入力軸Aiの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジング(ケース)Hgに支持されている。出力軸Aoの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジングHgに支持されている。出力軸Aoは、入力軸Aiからずれた位置で入力軸Aiと平行に配置されている。入力軸Aiは、クラッチC/Tを介して車両の駆動源であるエンジンE/Gの出力軸と接続されている。出力軸Aoは、車両の駆動輪と動力伝達可能に接続されている。
図1に示すように、変速機T/Mは、入力軸Aiと、出力軸Aoとを備える。入力軸Aiの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジング(ケース)Hgに支持されている。出力軸Aoの両端は、一対のベアリングを介して回転可能にハウジングHgに支持されている。出力軸Aoは、入力軸Aiからずれた位置で入力軸Aiと平行に配置されている。入力軸Aiは、クラッチC/Tを介して車両の駆動源であるエンジンE/Gの出力軸と接続されている。出力軸Aoは、車両の駆動輪と動力伝達可能に接続されている。
以下、軸に相対回転不能に設けられたギヤを「固定ギヤ」と呼び、軸に相対回転可能に設けられたギヤを「遊転ギヤ」と呼ぶ。固定ギヤは、周知の嵌合手法の1つを利用して、軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動不能に固定されている。遊転ギヤは、例えば、ニードルベアリングを介して軸に相対回転可能且つ軸方向に相対移動不能に配設されている。また、ハブは、固定ギヤと同様、周知の嵌合手法の1つを利用して、軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動不能に固定されている。ハブの円筒外周面には、(外)スプラインが形成されている。以下、先ず、変速機T/Mにおいてリバースの確立に関わるリバースシフト機構を除いた部分の構成(前進用の変速段の確立に関わる構成)について説明する。
入力軸Aiにおける1対のベアリングの間には、図1において左側から順に、4速の駆動ギヤG4i、3速の駆動ギヤG3i、5速の駆動ギヤG5i、2速の駆動ギヤG2i、ハブH2、1速の駆動ギヤG1iが同軸的に備えられている。駆動ギヤG1i,G2i,G3i,G4i,G5iは全て固定ギヤである。
出力軸Aoにおける1対のベアリングの間には、図1において左側から順に、4速の被動ギヤG4o、ハブH1、3速の被動ギヤG3o、ハブH3、5速の被動ギヤG5o、2速の被動ギヤG2o、1速の被動ギヤG1oが同軸的に備えられている。被動ギヤG1o,G2o,G3o,G4o,G5oは全て遊転ギヤである。被動ギヤG1o,G2o,G3o,G4o,G5oはそれぞれ、駆動ギヤG1i,G2i,G3i,G4i,G5iと常時噛合している。
ハブH1の外周には、スリーブS1が、軸方向に移動可能に常時スプライン嵌合している。スリーブS1が図1に示す位置(ニュートラル位置)にある場合、スリーブS1は、被動ギヤG3oと一体回転する3速ピース、及び、被動ギヤG4oと一体回転する4速ピースに対して共にスプライン嵌合しない。スリーブS1がニュートラル位置より右側の位置(3速位置)に移動すると、スリーブS1が3速ピースに対してスプライン嵌合し、左側の位置(4速位置)に移動すると、スリーブS1が4速ピースに対してスプライン嵌合する。
ハブH2の外周には、スリーブS2が、軸方向に移動可能に常時スプライン嵌合している。スリーブS2が図1に示す位置(ニュートラル位置)にある場合、スリーブS2は、被動ギヤG1oと一体回転する1速ピース、及び、被動ギヤG2oと一体回転する2速ピースに対して共にスプライン嵌合しない。スリーブS2がニュートラル位置より右側の位置(1速位置)に移動すると、スリーブS2が1速ピースに対してスプライン嵌合し、左側の位置(2速位置)に移動すると、スリーブS2が2速ピースに対してスプライン嵌合する。
ハブH3の外周には、スリーブS3が、軸方向に移動可能に常時スプライン嵌合している。スリーブS3が図1に示す位置(ニュートラル位置)にある場合、スリーブS3は、被動ギヤG5oと一体回転する5速ピースに対してスプライン嵌合しない。スリーブS3がニュートラル位置より右側の位置(5速位置)に移動すると、スリーブS3が5速ピースに対してスプライン嵌合する。
図2は、この変速機T/Mが搭載された車両のシフトレバーのシフトパターンの一例を示す。スリーブS1,S2,S3には対応する1つのフォーク(図示せず)がそれぞれ一体に連結されている。各フォークは、対応する1本のフォークシャフト(図示せず)とそれぞれ一体に連結されている。従って、スリーブS1,S2,S3の軸方向の位置はそれぞれ、対応するフォークシャフトの軸方向の位置を別個独立に調整することにより調整される(特に、スリーブS3の軸方向の位置を調整するフォークシャフトFSについては後述する図3を参照)。各フォークシャフトは、軸方向に移動可能にハウジングHgに支持されている。各フォークシャフトの断面形状は、円形状であっても矩形状であってもよい。
各フォークシャフトには対応するシフトヘッドがそれぞれ一体に連結されている。車両の運転者によるニュートラル位置におけるシフトレバーのセレクト操作(図2における横方向の操作)に応じてシフトインナレバーが移動して、シフトインナレバーと係合する1つのシフトヘッドが選択される。運転者によるシフトレバーのシフト操作(図2における縦方向の操作)に応じてシフトインナレバーが移動して、選択されたシフトヘッドがシフトインナレバーにより押圧されて軸方向に移動する。この結果、対応するフォークシャフトの軸方向の位置(従って、フォークシャフトと一体のフォーク及びスリーブの軸方向の位置)が調整される。
以上より、変速機T/Mでは、シフトレバーがニュートラル位置にある場合、スリーブS1,S2,S3が共にニュートラル位置に調整される。この結果、入力軸Aiと出力軸Aoとの間で動力伝達系統が形成されないニュートラル状態が得られる。ニュートラル状態においてシフトレバーが1速位置にシフト操作されると、スリーブS2が1速位置へ移動する。この結果、1速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(1速が確立される)。ニュートラル状態においてシフトレバーが2速位置にシフト操作されると、スリーブS2が2速位置へ移動する。この結果、2速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(2速が確立される)。
ニュートラル状態においてシフトレバーが3速位置にシフト操作されると、スリーブS1が3速位置へ移動する。この結果、3速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(3速が確立される)。ニュートラル状態においてシフトレバーが4速位置にシフト操作されると、スリーブS1が4速位置へ移動する。この結果、4速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(4速が確立される)。
ニュートラル状態においてシフトレバーが5速位置にシフト操作されると、スリーブS3が5速位置へ移動する。この結果、5速の減速比を有する動力伝達系統が形成される(5速が確立される)。
(リバースシフト機構)
以下、変速機T/Mのリバースシフト機構について説明する。図1に示すように、変速機T/Mの入力軸Aiにおける3速の駆動ギヤG3i及び5速の駆動ギヤG5iの間には、固定ギヤであるリバース用の駆動ギヤ(リバース駆動ギヤ)GRiが同軸的に備えられている。変速機T/Mでは、入力軸Ai及び出力軸Aoと平行に、アイドル軸AdがハウジングHgに固定されている。アイドル軸Adには、アイドルギヤGRdが同軸的に設けられている。アイドルギヤGRdは、アイドル軸Adに対して相対回転可能且つ軸方向に相対移動不能に配設されている。アイドルギヤGRdは、リバース駆動ギヤGRiと常時噛合している。
以下、変速機T/Mのリバースシフト機構について説明する。図1に示すように、変速機T/Mの入力軸Aiにおける3速の駆動ギヤG3i及び5速の駆動ギヤG5iの間には、固定ギヤであるリバース用の駆動ギヤ(リバース駆動ギヤ)GRiが同軸的に備えられている。変速機T/Mでは、入力軸Ai及び出力軸Aoと平行に、アイドル軸AdがハウジングHgに固定されている。アイドル軸Adには、アイドルギヤGRdが同軸的に設けられている。アイドルギヤGRdは、アイドル軸Adに対して相対回転可能且つ軸方向に相対移動不能に配設されている。アイドルギヤGRdは、リバース駆動ギヤGRiと常時噛合している。
変速機T/Mの出力軸Ao(より具体的には、スリーブS3)には、リバース用の被動ギヤ(リバース被動ギヤ)GRo(外歯)が相対回転不能に設けられている。即ち、被動ギヤGRoは、スリーブS3と一体で出力軸Aoに対して軸方向に移動可能となっている。
スリーブS3がニュートラル位置(図1に示す位置)にあるとき、即ち、リバース被動ギヤGRoがニュートラル位置にあるとき、リバース被動ギヤGRoはアイドルギヤGRd(及びリバース駆動ギヤGRi)と噛合しない。従って、リバースが確立されない。一方、スリーブS3がニュートラル位置からニュートラル位置より左側の位置(リバース位置)に移動すると、即ち、リバース被動ギヤGRoがニュートラル位置からリバース位置に移動すると、リバース被動ギヤGRoがアイドルギヤGRdと噛合する(リバース駆動ギヤGRiとは噛合しない)。この結果、リバース駆動ギヤGRi、アイドルギヤGRd、及びリバース被動ギヤGRoを介してエンジンと駆動輪との間で動力伝達系統が形成される。即ち、リバースが確立される。
図3に示すように、リバース被動ギヤGRoの軸方向の位置の調整は、「5速−リバース用フォークシャフト」(以下、単に「フォークシャフト」と呼ぶ)FSの軸方向の位置を調整することにより行われる。即ち、フォークシャフトFSには、5速用フォークSFが固定されている。5速用フォークSFには、スリーブS3が固定されている。以上より、フォークシャフトFSとリバース被動ギヤGRoとは一体で軸方向に移動する。
車両の運転者によるシフトレバーのセレクト操作(図2における横方向の操作)により、「5速」−「リバース」が選択されると、シフトインナレバー(図示せず)が、このセレクト操作に応じて移動してフォークシャフトFSに一体に連結されたシフトヘッドSHと係合する。この状態にて、運転者によるシフトレバーのシフト操作(図2における縦方向の操作)によりシフトレバーがリバース位置に操作されると、シフトヘッドSHがシフトインナレバーにより押圧されて軸方向(図3において左方向)に移動する。この結果、フォークシャフトFS(被動ギヤGRo)がニュートラル位置からリバース位置へと移動し、リバースが確立される。
なお、上述したように、運転者によるシフトレバーのシフト操作(図2における縦方向の操作)によりシフトレバーが5速位置に操作されると、シフトヘッドSHがシフトインナレバーにより押圧されて軸方向(図3において右方向)に移動する。この結果、フォークシャフトFS(スリーブS3)がニュートラル位置から5速位置へと移動し、5速が確立される。
以上説明したように、本発明の実施形態に係るリバースシフト機構では、リバース駆動ギヤGRiとアイドルギヤGRdとが常時噛合され、リバース被動ギヤGRoが軸方向に移動することにより、リバース被動ギヤGRoとアイドルギヤGRdとの噛合・非噛合が選択的に達成される。
本実施形態によれば、図6に示したような複雑な構成を有するリンク機構を用いることなく、簡易な構成で、アイドルギヤを介したリバース駆動ギヤからリバース被動ギヤへの動力伝達系統の形成・遮断を選択的に行うことができる。具体的には、本実施形態によれば、図6に示したリバースフォーク及びリバースアームに相当する部品が省略され得る。従って、図6に示したリバースシフト機構に比して、部品点数の減少、組み付け工程の簡素化等により、変速機の製造コストが低減され得る。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、リバース被動ギヤGRoの軸方向の位置の調整が、5速用フォーク(即ち、スリーブS3)が固定された「5速−リバース用フォークシャフト」の軸方向の動きを利用して行われているが、3速−4速用フォーク(即ち、スリーブS1)が固定された「3速−4速用フォークシャフト」の軸方向の動きを利用して行われてもよい。これによっても、上記と同様、図6に示したリバースフォーク及びリバースアームに相当する部品が省略され得る。
また、リバース被動ギヤGRoの軸方向の位置の調整が、フォークシャフト以外の「シフトレバーのニュートラル位置とリバース位置との間のシフト操作に応じて移動する部材」の動きを利用して行われてもよい。この場合、図6に示したリバースフォークに相当する部品が必要となるが、リバースアームに相当する部品が依然として省略され得る。
また、本実施形態に係るリバースシフト機構が適用される車両用手動変速機として、図1に示すものに代えて、図4に示すように複数の変速段のギヤの軸方向における配置順序が異なるものが採用されてもよい。また、車両前進用の変速段の数は、5つに限定されない(例えば、4つ、或いは、6つであってもよい)。
T/M…変速機、E/G…エンジン、Ai…入力軸、Ao…出力軸、Ad…アイドル軸、G1i,G2i,G3i,G4i,G5i,GRi…駆動ギヤ、G1o,G2o,G3o,G4o,G5o,GRo…被動ギヤ、GRd…アイドルギヤ、H1〜H3…ハブ、S1〜S3…スリーブ、FS…フォークシャフト、SF…5速用フォーク
Claims (2)
- 前記車両の変速機のハウジングに軸周りに回転可能に固定された前記変速機の入力軸であって前記車両の駆動源の出力軸との間で動力伝達系統が形成される入力軸に相対回転不能に設けられたリバース駆動ギヤと、
前記変速機の入力軸と平行に配置されたアイドル軸に設けられ、前記リバース駆動ギヤと常時噛合するアイドルギヤと、
前記ハウジングに軸周りに回転可能に固定された前記変速機の出力軸であって前記車両の駆動輪との間で動力伝達系統が形成される前記入力軸と平行に配置された出力軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に配設されたリバース被動ギヤと、
前記車両のシフトレバーのニュートラル位置とリバース位置との間のシフト操作に応じて前記リバース被動ギヤを前記出力軸に対して軸方向に移動するリバース被動ギヤ移動機構であって、前記シフトレバーが前記ニュートラル位置にあるときに前記リバース被動ギヤを前記出力軸に対して前記リバース被動ギヤが前記アイドルギヤと噛合しない第1位置に配置し、前記シフトレバーが前記リバース位置にあるときに前記リバース被動ギヤを前記出力軸に対して前記リバース被動ギヤが前記アイドルギヤと噛合する第2位置に配置するように構成されたリバース被動ギヤ移動機構と、
を備えた、変速機のリバースシフト機構。 - 請求項1に記載の変速機のリバースシフト機構であって、
前記変速機の出力軸と平行且つ軸方向に移動可能に前記ハウジングに固定されたフォークシャフトであって、前記シフトレバーの前記ニュートラル位置から前進用の特定変速段の位置へのシフト操作により軸方向における第3位置から第4位置に移動し、前記シフトレバーの前記ニュートラル位置から前記リバース位置へのシフト操作により軸方向における前記第3位置から前記第3位置に対して前記第4位置と反対側の第5位置に移動し、前記変速機の出力軸に相対回転不能且つ軸方向に相対移動可能に配設されたスリーブであって前記特定変速段を達成するためのスリーブを軸方向に駆動するシフトフォークが固定されたフォークシャフトを備え、
前記リバース被動ギヤは、前記スリーブに一体に形成されていて、
前記リバース被動ギヤ移動機構は、
前記フォークシャフトの前記第3位置から前記第5位置への移動に応答して、前記リバース被動ギヤを前記第1位置から前記第2位置に移動するように構成された、変速機のリバースシフト機構。
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CN118423432A (zh) * | 2024-07-04 | 2024-08-02 | 江西铃格有色金属加工有限公司 | 变速器壳体的结构及其加工方法 |
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