JP2015081634A - ドラム式変速機構 - Google Patents

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Tomoyoshi Ishimaru
智義 石丸
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伸一 竹内
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Masaya Yano
雅也 矢野
加藤 淳一
Junichi Kato
淳一 加藤
行功 鶴見
Yukiisa Tsurumi
行功 鶴見
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Abstract

【課題】N戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越して変速を確実に行えるようにする。【解決手段】ドグスリーブ121とシフトドラム111との間の動力伝達経路上(シフトフォーク113とフォークシャフト112との間)に弾性部材115a,115bを設ける。このような構成により、N戻しや飛び変速等を行う際に、ドグ歯同士が突き当たった状態となった場合には、シフトドラム111からシフトフォーク113(ドグスリーブ121)に伝達される動力が弾性部材115a,115bによって吸収されるので、シフトドラム111が回転不能となるシフトロックを回避することができる。これによりN戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越して変速を確実に行うことが可能になる。【選択図】図2

Description

本発明は、車両などに搭載されるドラム式変速機構に関する。
エンジン(内燃機関)等の駆動力源を搭載した車両において、エンジンが発生するトルク及び回転速度を車両の走行状態に応じて適切に駆動輪に伝達する変速機構として、シフトドラムを用いたシーケンシャル式変速機構(以下、ドラム式変速機構ともいう)が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ドラム式変速機構は、例えば、外周面にカム溝(ガイド溝)が形成されたシフトドラム(円筒カム)と、このシフトドラムを回転駆動するアクチュエータ(例えば電動モータ等)とを備え、そのシフトドラムの回転駆動により、カム溝に沿ってシフトフォークを移動させることで変速を行うように構成されている。また、このようなドラム式変速機構にあっては、同軸上で互いに隣り合う変速ギヤ間における回転動力の伝達と切断とを選択的に切り替えるための断接機構として、ドグ及びドグスリーブ等によって構成されるドグクラッチが用いられている。
特開平01−049743号公報 特開2005−214215号公報 特開2009−180342号公報
ところで、変速機構が搭載された車両において、ダウンシフトを実施せずに停車した場合、ギヤ段を維持したままの状態で停車することになり、次工程として、N戻し(ギヤ段をニュートラルに戻す操作)あるいは発進に備えて1速(1st)にシフトする必要がある。ここで、上記したドラム式変速機構では、シフトドラムのカム溝に沿ってフォークシャフト(シフトフォーク)を移動させて変速を行う機構であるため、ダウンシフト及びアップシフトの際に変速を1段ずつ実行する必要がある。このため、N戻しを行う場合、停車時のギヤ段からニュートラルに戻すまでの途中のギヤ段のシフトを完了させることが必要になるが、ドグクラッチを使用したドラム式変速機構の場合、ドグスリーブのドグ歯とドグ(変速ギヤ側)のドグ歯とが噛み合わずに、それらドグ歯の先端同士とが突き当たる、いわゆるシフトロックが発生すると、ニュートラルまでシフトすることができない場合がある。また、飛び変速(1段以上離れたギヤ段への変速)を行う際にも、シフトロックが発生して変速を実行できない場合がある。
なお、特許文献3には、シフト時にシフトドラムが回動しない場合に、アクチュエータに過剰な負荷が生じないようにするための機構(ロストモーション機構)が開示されているが、こうしたロストモーション機構を採用しても、N戻しや飛び変速の際にシフトドラムが回転しない状態(シフトロック)が必ず発生するので、N戻しや飛び変速の途中のギヤ段を飛び越すことができない場合がある。
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、N戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越して変速を確実に行うことが可能なドラム式変速機構を提供することを目的とする。
本発明は、外周面にカム溝が形成されたシフトドラムと、ドグスリーブを移動するフォークシャフトと、前記ドグスリーブの両側に、それぞれ、当該ドグスリーブと対向するように配置されたドグとを備え、前記シフトドラムのカム溝によって前記フォークシャフトを当該シフトドラムの軸方向に移動させることで、前記ドグスリーブと当該ドグスリーブに対向するいずれか一方のドグとが噛み合うことにより変速を行うドラム式変速機構を前提としている。このようなドラム式変速機構において、前記ドグスリーブと前記シフトドラムとの間の動力伝達経路上に弾性部材が設けられており、その弾性部材は、前記ドグスリーブがニュートラルのときに、前記ドグスリーブの両側に配置のドグと当該ドグスリーブとが噛み合わない中立状態となるように付勢することを特徴としている。
本発明によれば、ドグスリーブとシフトドラムとの間の動力伝達経路上(例えば、シフトフォークとフォークシャフトとの間)に弾性部材を設けるとともに、その弾性部材は、ドグスリーブがニュートラルのときに当該ドグスリーブの両側に配置のドグと噛み合わない中立状態となるように付勢しているので、N戻しや飛び変速等を行う際に、ドグスリーブのドグ歯とドグのドグ歯(変速ギヤ側)とが噛み合わないで、それらドグ歯同士が突き当たった状態となった場合には、シフトドラムからシフトフォーク(ドグスリーブ)に伝達される動力が弾性部材によって吸収されるので、シフトドラムが回転不能となるシフトロックを回避することができる。これによりN戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越して変速を確実に行うことが可能になる。
本発明のドラム式変速機構によれば、N戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越すことが可能になるので、それらN戻しや飛び変速等を確実に実行することができる。
本発明を適用する変速機構のギヤレイアウトの一例を示すスケルトン図である。 図1の変速機構に適用するシフト機構及び断接機構の構成を示す図である。 図2の断接機構においてドグ歯同士が突き当たった状態を示す図である。 シフト機構の変形例の要部構成を示す図である。 シフト機構の他の変形例の要部構成を模式的に示す図である。 図5のシフト機構に用いるシフトドラムの側面図である。 シフト機構の別の変形例の要部構成を模式的に示す図である。 図7のシフト機構に用いるシフトドラムの側面図である。 図7のシフト機構に用いるシフトドラムの縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車両に搭載される変速機構に本発明を適用した場合について説明する。
−変速機構−
変速機構1の構成(ギヤレイアウト)について図1を参照して説明する。
この例の変速機構1は、前進6速段、後進1速段の噛み合い式変速機構(ドラム式変速機構)であって、インプットシャフト2、このインプットシャフト2と同一軸線上に配設されたアウトプットシャフト3、及び、それらインプットシャフト2及びアウトプットシャフト3と平行に配設されたカウンタシャフト4及びリバースアイドラシャフト5などを備えている。インプットシャフト2、アウトプットシャフト3、カウンタシャフト4は、ベアリング等を介してトランスミッションケース(図示せず)に回転自在に支持されている。一方、リバースアイドラシャフト5は、トランスミッションケースに回転不能に支持(固定)されている。
インプットシャフト2は、図示しないエンジンのクランクシャフトにクラッチ機構を介して連結されており、このクラッチ機構の係合動作によりエンジンの回転駆動力がインプットシャフト2に入力されるようになっている。なお、クラッチ機構としては、手動クラッチ機構または自動クラッチ機構が用いられる。
アウトプットシャフト3は、インプットシャフト2またはカウンタシャフト4から伝達されたエンジンの回転駆動力を、プロペラシャフト、デファレンシャルギヤ及びドライブシャフトを介して駆動輪に伝達されるようになっている。
カウンタシャフト4は、インプットシャフト2からの回転駆動力を受けて回転する。また、後述する複数のギヤ対11〜16のうち選択された1つのギヤ対による回転駆動力の伝達、または、リバースギヤ列17による回転駆動力の伝達によって、カウンタシャフト4の回転駆動力が変速されてアウトプットシャフト3に伝達される。
次に、各ギヤ対11〜17及びリバースギヤ列17について以下に説明する。
上記インプットシャフト2とカウンタシャフト4との間には4速ギヤ対14が配設されている。一方、上記アウトプットシャフト3とカウンタシャフト4との間には、図1における左側(エンジン側)から右側(駆動輪側)に向かって、3速ギヤ対13、2速ギヤ対12、1速ギヤ対11、リバース(後進段)ギヤ列17、6速ギヤ対16、5速ギヤ対15が順に配設されている。これらギヤ対11〜16、リバースギヤ列17の配設順序はこれに限定されるものではなく適宜設定される。
1速ギヤ対11は、カウンタシャフト4に一体回転可能に設けられた1速用ドライブギヤ11aと、アウトプットシャフト3に回転自在に設けられた1速用ドリブンギヤ11bとからなり、これら1速用ドライブギヤ11aと1速用ドリブンギヤ11bとが互いに噛み合っている。2速ギヤ対12は、カウンタシャフト4に一体回転可能に設けられた2速用ドライブギヤ12aと、アウトプットシャフト3に回転自在に設けられた2速用ドリブンギヤ12bとからなり、これら2速用ドライブギヤ12aと2速用ドリブンギヤ12bとが互いに噛み合っている。
1速ギヤ対11と2速ギヤ対12との間には、1速/2速用の断接機構102が配置されている。1速/2速用の断接機構102は、アウトプットシャフト3に一体回転可能に設けられたドグスリーブ121、1速用ドリブンギヤ11bに一体回転可能に設けられたドグ122、及び、2速用ドリブンギヤ12bに一体回転可能に設けられたドグ123などによって構成されている。そして、シフトフォーク113によってドグスリーブ121が軸方向に移動(1速用ドリブンギヤ11b側に移動)され、そのドグスリーブ121が1速用ドリブンギヤ11bのドグ122に噛み合うと、1速用ドリブンギヤ11bがアウトプットシャフト3に一体回転可能に連結されて1速段(1速ギヤ対11によりカウンタシャフト4からアウトプットシャフト3に回転駆動力が伝達される状態)が成立する。一方、シフトフォーク113によってドグスリーブ121が軸方向に移動(2速用ドリブンギヤ12b側に移動)され、そのドグスリーブ121が2速用ドリブンギヤ12bのドグ123に噛み合うと、2速用ドリブンギヤ12bがアウトプットシャフト3に一体回転可能に連結されて2速段(2速ギヤ対12によりカウンタシャフト4からアウトプットシャフト3に回転駆動力が伝達される状態)が成立する。
3速ギヤ対13は、カウンタシャフト4に一体回転可能に設けられた3速用ドライブギヤ13aと、アウトプットシャフト3に回転自在に設けられた3速用ドリブンギヤ13bとからなり、これら3速用ドライブギヤ13aと3速用ドリブンギヤ13bとが互いに噛み合っている。4速ギヤ対14は、インプットシャフト2に一体回転可能に設けられた4速用ドライブギヤ14aと、カウンタシャフト4に一体回転可能に設けられた4速用ドリブンギヤ14bとからなり、これら4速用ドライブギヤ14aと4速用ドリブンギヤ14bとが互いに噛み合っている。
3速ギヤ対13と4速ギヤ対14との間には、3速/4速用の断接機構103が配置されている。3速/4速用の断接機構103は、アウトプットシャフト3に一体回転可能に設けられたドグスリーブ131、3速用ドリブンギヤ13bに一体回転可能に設けられたドグ132、及び、4速用ドライブギヤ14aに一体回転可能に設けられたドグ133などによって構成されている。そして、シフトフォーク113Aによってドグスリーブ131が軸方向に移動(3速用ドリブンギヤ13b側に移動)され、そのドグスリーブ131が3速用ドリブンギヤ13bのドグ132に噛み合うと、3速用ドリブンギヤ13bがアウトプットシャフト3に連結されて3速段(3速ギヤ対13によりカウンタシャフト4からアウトプットシャフト3に回転駆動力が伝達される状態)が成立する。一方、シフトフォーク113によってドグスリーブ131が軸方向に移動(4速用ドライブギヤ14aに移動)され、そのドグスリーブ131が4速用ドライブギヤ14aのドグ133に噛み合うと、インプットシャフト2とアウトプットシャフト3とが直結状態となり4速段が成立する。
5速ギヤ対15は、カウンタシャフト4に一体回転可能に設けられた5速用ドライブギヤ15aと、アウトプットシャフト3に回転自在に設けられた5速用ドリブンギヤ15bとからなり、これら5速用ドライブギヤ15aと5速用ドリブンギヤ15bとが互いに噛み合っている。6速ギヤ対16は、カウンタシャフト4に一体回転可能に設けられた6速用ドライブギヤ16aと、アウトプットシャフト3に回転自在に設けられた6速用ドリブンギヤ16bとからなり、これら6速用ドライブギヤ16aと6速用ドリブンギヤ16bとが互いに噛み合っている。
6速ギヤ対16と5速ギヤ対15との間には、5速/6速用の断接機構104が配置されている。5速/6速用の断接機構104は、アウトプットシャフト3に一体回転可能に設けられたドグスリーブ141、5速用ドリブンギヤ15bに一体回転可能に設けられたドグ142、及び、6速用ドリブンギヤ16bに一体回転可能に設けられたドグ143などによって構成されている。そして、シフトフォーク113Bによってドグスリーブ141が軸方向に移動(5速用ドリブンギヤ15b側に移動)され、そのドグスリーブ141が5速用ドリブンギヤ15bのドグ142に噛み合うと、5速用ドリブンギヤ15bがアウトプットシャフト3に一体回転可能に連結されて5速段(5速ギヤ対15によりカウンタシャフト4からアウトプットシャフト3に回転駆動力が伝達される状態)が成立する。一方、シフトフォーク113Bによってドグスリーブ141が軸方向に移動(6速用ドリブンギヤ16b側に移動)され、そのドグスリーブ141が6速用ドリブンギヤ16bのドグ143に噛み合うと、6速用ドリブンギヤ16bがアウトプットシャフト3に一体回転可能に連結されて6速段(6速ギヤ対16によりカウンタシャフト4からアウトプットシャフト3に回転駆動力が伝達される状態)が成立する。
リバースギヤ列17は、カウンタシャフト4に一体回転可能に設けられたリバースドライブギヤ17a、アウトプットシャフト3に一体回転可能に設けられたリバースドリブンギヤ17b、及び、リバースアイドラギヤ18によって構成されている。リバースアイドラギヤ18は、リバースアイドラシャフト5に回転自在にかつ軸線に沿う方向にスライド移動自在に支持されている。そして、シフトフォーク113Cによって、リバースアイドラシャフト5が軸方向に移動され、リバースドライブギヤ17a及びリバースドリブンギヤ17bの両方に噛み合うことで(図1に破線で示す位置を参照)、アウトプットシャフト3が上記前進段の場合とは逆方向に回転し、駆動輪は後退方向に回転する。なお、後進時には、上記した前進用の断接機構102,103,104はニュートラル状態(各ドグスリーブ121,131,141が中立状態)に設定される。
−シフトスイッチ−
この例において、変速機構1の変速は、ドライバがアップシフトスイッチとダウンシフトスイッチ(いずれも図示せず)とを操作することによって行われる。これらアップシフトスイッチ及びダウンシフトスイッチは、例えばパドルスイッチ(モーメタリスイッチ(自動復帰型スイッチ))であって、ステアリングホイールに設けられている。アップシフトスイッチ及びダウンシフトスイッチの各操作信号はECU(Electronic Control Unit)に入力される。
ECUは、上記シフトスイッチの各操作信号に基づいて、後述するシフトドラム111のアクチュエータ110(図2参照)を駆動制御して変速機構1の変速を行うように構成されている。具体的には、アップシフトスイッチが1回操作されるごとに、変速機構1のギヤ段が1段ずつアップ(例えばN→1st→2nd→3rd→・・→6th)するようにアクチュエータ110の駆動を制御する。一方、ダウンシフトスイッチが1回操作されるごとに、変速機構1のギヤ段が1段ずつダウン(例えば6th→5th→4th→・・→1st→N)するようにアクチュエータ110の駆動を制御する。
また、この例では、上記シフトスイッチに加えて、後進(リバース)を選択するためのリバーススイッチを備えている。リバーススイッチは、例えばインストルメントパネル上やコンソールパネル上に設けられている。
なお、アップシフトスイッチとダウンシフトスイッチとしては、パドルスイッチのほか、プッシュスイッチなどを挙げることができる。また、シフト切替機構としては、シフトレバーを用い、そのシフトレバーをアップ側またはダウン側に1回操作するごとに変速機構1の変速を行うものであってもよい。
−シフト機構・断接機構−
次に、シフト機構及び断接機構について図2を参照して説明する。
[断接機構]
まず、断接機構102,103,104について説明する。なお、1速/2速用の断接機構102と、3速/4速用の断接機構103と、5速/6速用の断接機構104とは基本的に同じ構造であるので、以下では、1速/2速用の断接機構102を代表して説明する。
断接機構102は、ドグクラッチであって、1速用ドリブンギヤ11bと2速用ドリブンギヤ12bとの間に配置されたドグスリーブ121、1速用ドリブンギヤ11bに一体回転可能に設けられたドグ122(以下、1速用のドグ122ともいう)、及び、2速用ドリブンギヤ12bに一体回転可能に設けられたドグ123(以下、2速用のドグ123ともいう)などによって構成されている。各ドグ122,123はそれぞれドグスリーブ121に対向して配置されている。
ドグスリーブ121は、アウトプットシャフト3にスプライン嵌合されており、アウトプットシャフト3と一体回転可能である。また、そのスプライン嵌合によりドグスリーブ121はアウトプットシャフト3の軸方向(X方向)にスライド移動可能となっている。ドグスリーブ121には、1速用ドリブンギヤ11bと対向する部分に複数のドグ歯121a・・121aが設けられており、また、2速用ドリブンギヤ12bと対向する部分に複数のドグ歯121b・・121bが設けられている。ドグスリーブ121の外周には溝121cが設けられており、この溝121cに後述するシフトフォーク113が嵌め込まれている。
1速用のドグ122には、上記ドグスリーブ121のドグ歯121a・・121aと噛み合うことが可能なドグ歯122a・・122aが設けられている。また、2速用のドグ123には、上記ドグスリーブ121のドグ歯121b・・121bと噛み合うことが可能なドグ歯123a・・123aが設けられている。
そして、この例の断接機構102にあっては、シフトフォーク113によってドグスリーブ121がX1方向(1速用ドリブンギヤ11b側)に移動され、そのドグスリーブ121のドグ歯121a・・121aが1速用のドグ122のドグ歯122a・・122aに噛み合うと、上述の如く、1速用ドリブンギヤ11bがアウトプットシャフト3に一体回転可能に連結されて1速段が成立する。一方、シフトフォーク113によってドグスリーブ121がX2方向(2速用ドリブンギヤ12b側)に移動され、そのドグスリーブ121のドグ歯121b・・121bが2速用のドグ123のドグ歯123a・・123aに噛み合うと、上述の如く、2速用ドリブンギヤ12bがアウトプットシャフト3に一体回転可能に連結されて2速段が成立する。このようなドグスリーブ121(シフトフォーク113)の移動はシフト機構101によって与えられる。
[シフト機構]
シフト機構101は、図2に示すように、シフトドラム111、フォークシャフト112、シフトフォーク113、シフトヘッド114、圧縮コイルばね115a,115b、及び、スナップリング116a,116bなどによって構成されている。なお、図2には1速/2速用のフォークシャフト112のみを示している。
シフトドラム111は円筒カムであって、その中心軸(円筒中心)がX方向(アウトプットシャフト3の軸方向と平行な方向)に沿うように配置されている。シフトドラム111はベアリング(図示せず)等によって支持されており、中心軸(X方向に沿う軸)を中心として回転可能となっている。シフトドラム111の外周面には1速/2速用のカム溝111b、3速/4速用のカム溝111a、及び、5速/6速用のカム溝111cの3条のカム溝が形成されている。そして、シフトドラム111には、電動モータ等を駆動源とするアクチュエータ110が連結されており、そのアクチュエータ110によってシフトドラム111に回転が与えられる。
フォークシャフト112は、X方向に沿ってシフトドラム111から2速ギヤ対12に亘って延びている。フォークシャフト112はX方向に移動可能に配置されている。フォークシャフト112にはシフトヘッド114が一体的に取り付けられている。このシフトヘッド114の先端部(カムフォロワ)が、上記したシフトドラム111の1速/2速用のカム溝111b内に嵌め込まれている。
シフトフォーク113は、上記した1速/2速用の断接機構102に対応する位置に配置されており、上記したように、ドグスリーブ121の溝121cに嵌め込まれている(シフトフォーク113とドグスリーブ121とが係合している)。
シフトフォーク113には円筒形状のボス部113dが一体形成されている。ボス部113dはフォークシャフト112に摺動可能に配設されており、シフトフォーク113の全体がフォークシャフト112に対して軸方向(X方向)にスライド移動可能となっている。また、このシフトフォーク113のボス部113dを挟んだ両側にはそれぞれスナップリング116a,116bが配置されている。その一方(X1方向側)のスナップリング116aとボス部113d(X1方向側の端面)との距離と、他方(X2方向側)のスナップリング116bとボス部113d(X2方向側の端面)との距離は等しい。各スナップリング116a,116bはフォークシャフト112に固定されており、その一方のスナップリング116aとボス部113dとの間、及び、他方のスナップリング116bとボス部113dとの間に、それぞれ、圧縮コイルばね115a,115bが挟み込まれている。これら2つの圧縮コイルばね115a,115bは形状及び弾性力等が同じものを用いている。
そして、このようにしてシフトフォーク113をフォークシャフト112に圧縮コイルばね115a,115bを介して取り付けておくことにより、その圧縮コイルばね115a,115bの変形量(縮み量)の範囲内において、シフトフォーク113とフォークシャフト112とが軸方向(X方向)に相対的に移動することができる。また、シフトフォーク113の両側(ボス部113dの両側)に圧縮コイルばね115a,115bを設けておくことにより、断接機構102がニュートラル(ドグスリーブ121がニュートラル)であるときに、当該断接機構102のドグスリーブ121が、その両側のドグ122,123に噛み合わない中立状態(図2に示す状態)となるように付勢することができる。
ここで、圧縮コイルばね115a,115bの弾性力(フォークシャフト112に組み込んだ状態での弾性力)は、アクチュエータ110及びシフトドラム111によってフォークシャフト112に加えられる力(X1方向の力またはX2方向の力)よりも小さくて、かつ、ドグスリーブ121のドグ歯121a・・121aと1速用のドグ122のドグ歯122a・・122aとが噛み合うときの摺動抵抗、ドグスリーブ121のドグ歯121b・・121bと2速用のドグ123のドグ歯123a・・123aとが噛み合うときの摺動抵抗の各摺動抵抗よりも大きい弾性力としている。つまり、ドグスリーブ121がドグ122または123に噛み合うときには圧縮コイルばね115a,115bは変形しないで、ドグ歯同士が突き当たった状態(図3参照)のときに圧縮コイルばね115a,115bが変形するようになっている。
また、圧縮コイルばね115a,115bの撓み量(フォークシャフト112に組み込んだ状態での変形可能量(縮み量))については、X1方向側の圧縮コイルばね115aの撓み量を、ドグスリーブ121が中立状態から2速用のドグ123に完全に噛み合う位置までのストローク(2速変速時におけるフォークシャフト112のニュートラル位置からの移動量)以上とし、X2方向側の圧縮コイルばね115bの撓み量を、ドグスリーブ121が中立状態から1速用のドグ122に完全に噛み合う位置までのストローク(1速変速時におけるフォークシャフト112のニュートラル位置からの移動量)以上とする。
なお、圧縮コイルばね115a,115bの各端部はフォークシャフト112とスナップリング116a,116bとに固定されていてもよいし、各端部を固定しない状態でボス部115aとスナップリング116a,116bとの間に配置するようにしてもよい。
以上のシフト機構101において、アクチュエータ110によりシフトドラム111が1速位置へと回転すると、そのシフトドラム111のカム溝111b及びシフトヘッド114によりシフトシャフト112(シフトフォーク113)がX1方向に移動され、断接機構102のドグスリーブ121が1速用のドグ122に噛み合って1速段が成立する。また、このような1速段の状態から、アクチュエータ110によりシフトドラム111が2速位置へと回転すると、そのシフトドラム111のカム溝111b及びシフトヘッド114によりシフトシャフト112(シフトフォーク113)がX2方向に移動され、断接機構102のドグスリーブ121が2速用のドグ123に噛み合って2速段が成立する。
なお、本実施形態において、シフトドラム111にはロータリエンコーダ(図示せず)が配置されており、そのロータリエンコーダの出力信号に基づいて、ECUがアクチュエータ110を駆動制御して、シフトドラム111の回転位置を上記した1速位置、2速位置などの各変速位置に配置するように構成されている。
<効果>
まず、変速機構が搭載された車両において、ダウンシフトを実施せずに停車した場合、ギヤ段を維持したままの状態で停車することになり、次工程として、N戻しあるいは発進に備えて1速(1st)にシフトする必要がある。上述したように、ドラム式変速機構では、ダウンシフト及びアップシフトの際に変速を1段ずつ実行する必要があるため、停車中(アウトプットシャフト3が回転停止中)にN戻し(3速→N)を行う場合、その途中のギヤ段である2速(2nd)及び1速(1st)のシフトを順次完了させることが必要になるが、従来の変速機構では、その2速(1速)のシフトを完了できない場合がある。例えば、図3に示すように、停車時にドグスリーブ121の各ドグ歯121bと2速用のドグ123の各ドグ歯123aとが噛み合わないで対向する状態になっている場合、従来の変速機構では、シフト時においてそれらドグ歯の先端同士とが当たる、いわゆるシフトロックが発生すると、シフトドラムが回転不能となってシフト(変速)ができなくなる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、シフトフォーク113をフォークシャフト112に圧縮コイルばね115a,115bを介して取り付けて、シフトフォーク113とフォークシャフト112とが相対移動可能としているので、図3に示すように、ドグスリーブ121の各ドグ歯121bと2速用のドグ123の各ドグ歯123aとが突き当たってドグスリーブ113の動きが規制されても、X1方向側の圧縮コイルばね115aが縮むことによりシフトフォーク113はX2方向に移動することができる。これによりシフトドラム111(図2参照)は回転することが可能となる(シフトロックを回避することができる)ので、2速をスムーズに飛び越すことができる。また、1速にシフトする際に、ドグスリーブ121の各ドグ歯121aと1速用のドグ122の各ドグ歯122aとが突き当たる場合においても、X2方向側の圧縮コイルばね115bが縮むことによりシフトドラム111は回転することが可能になるので、1速も飛び越してニュートラルにシフトすることができる。
このように本実施形態によれば、N戻しの際に、途中のギヤ段(2速、1速)を常に飛び越すことができるので、N戻しを確実に行うことができる。また、N戻しのほか、跳び変速(例えば3速→1速)等を行う場合にも、途中のギヤ段を飛び越して変速することができる。
また、本実施形態では、例えば、走行中において1速→2速の変速(飛び変速ではない通常の変速)を行う際に、図3に示すように、ドグ歯123a,121b同士が当たる状態(ドグ先当たり状態)となった場合、フォークシャフト112の移動が圧縮コイルばね115aにて一時的に吸収され、その後に2速用のドグ123のドグ歯123aの歯間(噛合凹部)にドグスリーブ121のドグ歯121bが一致(ドグとスリーブとの回転差で一致)したときに、圧縮コイルばね115aの弾性力(復元力)によりフォークシャフト113がX2方向に移動してドグスリーブ121が2速用のドグ123に噛み合うようになる。このように本実施形態では、変速過程においてドグ先当たりが生じる場合であっても変速をスムーズに行うことができる。
ここで、図2には、1速/2速用のフォークシャフト112及びシフトフォーク113等の構成のみを示しているが、本実施形態にあっては、3速/4速用のフォークシャフト及びシフトフォーク等、並びに、5速/6速用のフォークシャフト及びシフトフォーク等の構成についても図2と同様な構成を採用している。
すなわち、3速/4速用のシフトフォーク113A(図1参照)をフォークシャフトに圧縮コイルばねを介して取り付けてシフトフォーク113Aとフォークシャフトとが相対移動可能な構造とし、また、5速/6速用のシフトフォーク113B(図1参照)をフォークシャフトに圧縮コイルばねを介して取り付けてシフトフォーク113Cとフォークシャフトとが相対移動可能な構造としている。なお、3速/4速用の圧縮コイルばね及び5速/6速用の圧縮コイルばねの弾性力、撓み量等の条件は、上記した1速/2速用の圧縮コイルばね115a,115bと同等とする。
[変形例1]
上記した実施形態では、シフトフォーク(ドグスリーブ)とフォークシャフトとの間に弾性部材(圧縮コイルばね)を設けているが、その弾性部材を設ける位置は、ドグスリーブとシフトドラムとの間の動力伝達経路上であれば、いずれの場所であってもよい。その一例(シフト機構の変形例)を図4に示す。なお、この例のシフト機構において、以下に説明する構成以外は上記した実施形態と同様な構成であるので、その詳細な説明は省略する。
この図4に示す例では、フォークシャフト212とシフトヘッド214とが別体であり、そのシフトヘッド214がフォークシャフト212に対して相対回転不能かつ軸方向(図2に示すX方向)に沿って相対移動可能に配設されている。また、シフトヘッド214の両側にはそれぞれスナップリング216a,216bが所定の間隔をあけて配置されている。各スナップリング216a,216bはフォークシャフト212に固定されており、これらスナップリング216a,216bとシフトヘッド214との間に、それぞれ、圧縮コイルばね215a,215bが挟み込まれている。
このようにしてシフトヘッド214をフォークシャフト212に圧縮コイルばね215a,215bを介して取り付けておくことにより、その圧縮コイルばね215a,215bの撓み量(縮み量)の範囲内において、シフトヘッド214がフォークシャフト212に対して軸方向(図2に示すX1方向及びX2方向)に移動することができる。また、シフトヘッド214の両側に圧縮コイルばね215a,215bを設けておくことにより、上記断接機構102(図2参照)がニュートラルであるときに、当該断接機構102のドグスリーブ121がその両側のドグ122,123に噛み合わない中立状態(図2に示す状態)となるように付勢することができる。
そして、この変形例においても、例えば図3に示すように、ドグスリーブ121の各ドグ歯121bと2速用のドグ123の各ドグ歯123aとが突き当たってドグスリーブ121の動き(フォークシャフト212の動き)が規制されても、圧縮コイルばね215aが縮むことによりシフトヘッド214はフォークシャフト212に対して軸方向に移動することができる。これによりシフトドラム111は回転することが可能になるので、シフトロックを回避することができる。また、同様に、ドグスリーブ121の各ドグ歯121aと1速用のドグ122の各ドグ歯122aとが突き当たる状態となってもシフトロックを回避することができる。したがって、この変形例においても、N戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越して変速を確実に行うことが可能になる。
なお、図4には、1速/2速用のフォークシャフト212及びシフトヘッド214等の構成のみを示しているが、3速/4速用及び5速/6速用のフォークシャフト及びシフトヘッド等についても、図4と同じ構造を採用する。
[変形例2]
次に、ドグスリーブとシフトドラムとの間の動力伝達経路上に弾性部材(圧縮コイルばね)を設ける場合の他の例(シフト機構の他の変形例)について図5及び図6を参照して説明する。なお、この例のシフト機構において、以下に説明する構成以外は上記した実施形態と同様な構成であるので、その詳細な説明は省略する。
この変形例では、シフトドラム300が、3つの円筒カム311,312,313、及び、ドラム軸320によって構成されている。ドラム軸320はアクチュエータ(図示せず)によって回転駆動される。なお、ドラム軸320は軸方向(図2に示すX方向)への移動が不能に配設されている。
各円筒カム311,312,313の外周面には、それぞれ、3速/4速用のカム溝111a、1速/2速用のカム溝111b、5速/6速用のカム溝111cが形成されている。図5の左側の円筒カム311は、キー320aとキー溝311aとの嵌合(図6参照)により、ドラム軸320に対して相対回転不能かつ軸方向(図2に示すX方向)に沿って相対移動可能に配設されている。また、中央の円筒カム312及び右側の円筒カム313についても、同様に、キーとキー溝との嵌合により、ドラム軸320に対して相対回転不能かつ軸方向(図2に示すX方向)に相対移動可能にとなっている。
上記3つの円筒カムのうち、図5の左側の円筒カム311(3速/4速用)の両側に圧縮コイルばね331と圧縮コイルばね332とが配置されている。また、中央の円筒カム312(1速/2速用)の両側に圧縮コイルばね332(3速/4速用の圧縮コイルばねと共用)と圧縮コイルばね333とが配置されている。さらに、右側の円筒カム313(5速/6速用)の両側に圧縮コイルばね333(1速/2速用の圧縮コイルばねと共用)と圧縮コイルばね334とが配置されている。なお、シフトドラム300の両端部には、圧縮コイルばね331,313の端部位置(自由端側の位置)を規制するための押え部材(図示せず)が配置されている。
そして、このように円筒カム312(1速/2速用)の両側に圧縮コイルばね332,333を設けておくことにより、上記1速/2速用の断接機構102(図2参照)がニュートラルであるときに、当該断接機構102のドグスリーブ121がその両側のドグ122,123に噛み合わない中立状態(図2に示す状態)となるように付勢することができる。また、同様に、円筒カム311(3速/4速用)の両側に圧縮コイルばね331,332を設けておくことにより、3速/4速用の断接機構103のドグスリーブ131(図1参照)が中立状態となるように付勢することができる。また、同様に、円筒カム313(5速/6速用)の両側に圧縮コイルばね333,334を設けておくことにより、3速/4速用の断接機構104のドグスリーブ141(図1参照)が中立状態となるように付勢することができる。
この変形例においても、例えば図3に示すように、ドグスリーブ121の各ドグ歯121bと2速用のドグ123の各ドグ歯123aとが突き当たってドグスリーブ121の動きが規制されても、圧縮コイルばね333が縮むことによりシフトドラム300の円筒カム312が軸方向に移動して当該円筒カム312が回転可能となるので、シフトロックを回避することができる。また、同様に、ドグスリーブ121の各ドグ歯121aと1速用のドグ122の各ドグ歯122aとが突き当たる状態となってもシフトロックを回避することができる。また、同様に、3速/4速用の円筒カム311及び5速/6速用の円筒カム313についても同様な作用によりシフトロックを回避することができる。したがって、この変形例においても、N戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越して変速を確実に行うことが可能になる。
[変形例3]
次に、ドグスリーブとシフトドラムとの間の動力伝達経路上に弾性部材(圧縮コイルばね)を設ける場合の別の例(シフト機構の別の変形例)について図7〜図9を参照して説明する。なお、この例のシフト機構において、以下に説明する構成以外は上記した実施形態と同様な構成であるので、その詳細な説明は省略する。
この変形例では、シフトドラム400を、3つの円筒カム411,412,413、及び、ドラム軸420によって構成している。ドラム軸420は2分割構造であって、半ドラム軸421と半ドラム軸422とから構成されている。ドラム軸420は軸方向(図2に示すX方向)に移動可能に配設されている。また、ドラム軸420はアクチュエータ(図示せず)によって回転駆動される。
各円筒カム411,412,413の外周面には、それぞれ、3速/4速用のカム溝111a、1速/2速用のカム溝111b、5速/6速用のカム溝111cが形成されている。円筒カム411は、キー421aとキー溝411aとの嵌合及びキー422aとキー溝411bとの嵌合(図8及び図9参照)により、ドラムシャフト420に対して相対回転不能かつ軸方向(図2に示すX方向)への相対移動が不能となっている。また、図7の左側の円筒カム411及び右側の円筒カム413についても、同様に、キーとキー溝との嵌合により、ドラム軸420に対して相対回転不能かつ軸方向(図2に示すX方向)への相対移動が不能となっている。
この変形例では、ドラム軸420の両側に圧縮コイルばね431,432が設けられており、上記1速/2速用の断接機構102(図2参照)がニュートラルであるときに、当該断接機構102のドグスリーブ121がその両側のドグ122,123に噛み合わない中立状態(図2に示す状態)となるように付勢することができる。また、同様に、圧縮コイルばね431,432によって、3速/4速用の断接機構103のドグスリーブ131(図1参照)、及び、5速/6速用の断接機構104のドグスリーブ141(図1参照)が中立状態となるように付勢することができる。なお、シフトドラム400の両側には、圧縮コイルばね431,432の端部位置(自由端側の位置)を規制するための押え部材(図示せず)が配置されている。
そして、この変形例においても、例えば図3に示すように、ドグスリーブ121の各ドグ歯121bと2速用のドグ123の各ドグ歯123aとが突き当たってドグスリーブ121の動きが規制されても、圧縮コイルばね432が縮むことによりシフトドラム400が軸方向に移動して、当該シフトドラム400が回転可能となるので、シフトロックを回避することができる。また、ドグスリーブ121の各ドグ歯121aと1速用のドグ122の各ドグ歯122aとが突き当たる状態となってもシフトロックを回避することができる。また、3速/4速用の円筒カム311及び5速/6速用の円筒カム313についても同様な作用によりシフトロックを回避することができる。したがって、この変形例においても、N戻しや飛び変速等を行う場合に、途中のギヤ段を飛び越して変速を確実に行うことが可能になる。
−他の実施形態−
以上の実施形態及び変形例では、ドグとドグスリーブとが噛み合う構造のドグクラッチを用いたドラム式変速機構に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限られず、変速ギヤ側に、ドグスリーブのドグ歯と係合する係合孔を設けた構造のドグクラッチを用いたドラム式変速機構にも本発明を適用することができる。
以上の実施形態及び変形例では、FR車両に搭載された前進6速段のドラム式変速機構1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に搭載されたドラム式変速機構に対しても適用可能である。また、前進側の変速段数としては6速段に限らず、5速段やその他の段数を有するドラム式変速機構に対しても本発明は適用可能である。
なお、本発明は、車両の運転状態に応じてマップ等によりギヤ段を設定して自動的に変速を行うドラム式変速機構にも適用可能である。
本発明は、シフトドラムの回転により変速を行うドラム式変速機構に有効に利用することができる。
1 変速機構
11 1速ギヤ対
11b 1速用ドリブンギヤ
12 2速ギヤ対
12b 2速用ドリブンギヤ
101 シフト機構
110 アクチュエータ
111 シフトドラム
111a,111b,111c カム溝
112 フォークシャフト
113,113A,113B シフトフォーク
114 シフトヘッド
115a,115b 圧縮コイルばね(弾性部材)
116a,116b スナップリング
102,103,104 断接機構
121 ドグスリーブ
121a,121b ドグ歯
122,123 ドグ
122a,123a ドグ歯

Claims (1)

  1. 外周面にカム溝が形成されたシフトドラムと、ドグスリーブを移動するフォークシャフトと、前記ドグスリーブの両側に、それぞれ、当該ドグスリーブと対向するように配置されたドグとを備え、
    前記シフトドラムのカム溝によって前記フォークシャフトを当該シフトドラムの軸方向に移動させることで、前記ドグスリーブと当該ドグスリーブに対向するいずれか一方のドグとが噛み合うことにより変速を行うドラム式変速機構において、
    前記ドグスリーブと前記シフトドラムとの間の動力伝達経路上に弾性部材が設けられており、その弾性部材は、前記ドグスリーブがニュートラルのときに、前記ドグスリーブの両側に配置のドグと当該ドグスリーブとが噛み合わない中立状態となるように付勢することを特徴とするドラム式変速機構。
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