JP2011527972A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】明細書
【発明の名称】自転車
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車(cycle)に関するものである。特に本発明は、新規でかつ改善された、小型化可能な自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車は、個人を運ぶ手段として広く普及しており、そして、効率的な形態である。自転車の起源においては、「ペニーファージング(Penny Farthing)」自転車が作られた。これは、大きな前輪と小さな安定化後輪とを備えている。このペニーファージングは、その設計においていくつもの欠点を有しており、それは、前輪直接駆動に由来する速度/効率の制限、乗車/降車の困難さ、及び、操作のしにくさを含む。これらの欠点は、現在までに確立されてきたダイヤモンドフレームや、後輪がチェーン駆動される自転車構造をもたらした。材料や、例えばブレーキ、サスペンションあるいはギヤなどの付属品については、目覚しい開発が行われてきたが、こうした基本的な自転車の構成については、その後の120年の間、ほとんど進歩が無い。
【0003】
現在の自転車のデザインは、オフロード・ライディング、あるいは路上/トラックレースによって大きく影響されており、対応する自転車のデザイン要素は、自転車製造業者によって販売される消費者製品に大きく影響している。このようなスポーツの起源に最適化されたデザインへのバイアスがあるにも拘わらず、圧倒的に多くの自転車は、都会的な環境において、定期的な移動や一般的運搬のために、競争ではない応用において用いられている。都会的な利用に最適化された自転車は製造されているけれども、これらは、道路志向のタイヤを持つマウンテンバイクのデザインの応用であることが多く、サスペンションは簡易化されるか無いものとなっており、レース/スポーツ志向の自転車よりも直立(upright)な着座姿勢となっている。また、悩ましいこととして、それらは、真面目で古臭く、そして、もっとダイナミックでスポーツ的/冒険的活動に関係するような無形の身代わりの信頼性(intangible vicarious credibility)を欠くという社会的な認識を受けている。
【0004】
しかしながら、都市の渋滞増加、容赦ない燃料コストの増加、及び都市内にある職場の優位性により、動力車両による輸送機関に代わるものへの大きな興味が出てきている。公共輸送は、現代の動力輸送機関におけるこれらの欠点に対する魅力ある解決を、特に定期的移動において提供するはずである。しかしながら、市民当局における大きなフラストレーションとして、個人の移動者にとっては、個人的運搬手段により提供される移動の自由が失われるという顕著な不本意さがある。この不本意さは、多くの個人にとって、かなり根深いものなので、彼らは、大規模な交通渋滞や、長い旅行時間や、さらには不便及び/又は高価な駐車の選択に寛容になり、これによって、こうした認知された自由を維持している。
【0005】
サイクリングは、都市交通において、かなり魅力的な選択肢を提供し、そして、結果的に、交通渋滞を少なくし、燃料コストを零とし、維持費用及び環境インパクトを最小化する。しかしながら、以下を含む事情を考慮して、多くの潜在的ユーザは、都市での自転車利用を躊躇している:
1.公共輸送の助けがなければ困難なほど遠い移動距離;
2.多くの公共輸送の形態との非適合性(incompatibility);
3.乗車していないとき及び/又は公共輸送に持ち込んだときにおける、保管及び/又は安全の問題
4.多様な形態での旅行のために自動車と組み合わせたときの不便さ、
5.補助されないペダルでの自転車移動に必要な物理的努力。
【0006】
自転車移動と、公共輸送あるいは個人的車両のいずれかとの組み合わせは、これらの輸送モードにおける利益属性における潜在的な相乗作用を提供する。すなわち、
・ユーザは、彼らの旅の各終点において、移動の自由を保持し、一方で、バス、電車、路面電車、自動車などは、それらの間の距離を迅速にカバーすることができる。そして、
・両運輸手段は、コスト効率が良く、そして、一人当たりの環境インパクトが、自動車での移動に比べて低い。
【0007】
さらなる利点として、都市生活での効率が向上し、そして、公共交通の経路や時刻表に縛られるという厄介さを避けて、移動の自由を供給する。
【0008】
不幸にも、自転車は、積みこみ、運搬、あるいは非乗車時の一般的な操作において持ち運びに不便であり、厄介な物でもある。さらに、公共輸送の多くは、本質的に積込み/持ち運び可能な状態の最小限の手荷物を持つ歩行する個人のために設計されている。バスや電車に乗車/降車する間、ユーザにとって、自転車は持ち運びが相当に不便であり、それは、出入口/通路を塞ぎ、他の乗客の邪魔をし、場合によっては、多数の非柔軟性の突起、チェーンなどとの衝突によって小さな怪我及び/又は衣服の汚れを引き起こす。多くの形態の公共交通は、通常の自転車や、モーター・スクータや、自動二輪車を全く収容することができないか、あるいは、それらは、特別な貨物室に積載されなければならない。
【0009】
自動車よりもはるかに占有体積は小さいけれども、従来の自転車は、非使用時における安全性の問題も有している。様々な錠、チェーン等がサイクリストにより一般に使われて、盗難を防いでいる。不幸にも、自転車は、高い適応性及び簡便性、個別の調整可能性、装具/アクセサリ(例えば座席(seat)、車輪(wheel)、ライト、荷物かご、トリップ・コンピュータなど)が迅速に提供されることにより、乗員は、しばしば自転車を部分的に分解し、各装備の安全を確保し、及び/又は、ラックやポストなどに据え付けられた自転車からアイテムを完全に取り外す必要がある。明らかに、前輪を取り外し、そして後輪を調整して、安全チェーン/錠が両輪を通るようにすること、及び、自転車の座席、ライト等を運搬することなどの、決まった手順は、便利さや好ましさからは程遠い。
【0010】
しかしながら、他の選択肢は、従来の自転車を典型的なオフィスビルに持ち込み、そして、階段吹き抜け、エレベータ、狭い通路、あるいはオフィスの小部屋を通り抜けることであり、これは、やはり困難を伴っている。
【0011】
サイクリングにおける物理的な努力は、良好な個人的プレゼンテーションを求める専門家オフィス、カスタマー・サービス、あるいは他の環境において従業している人々に対して、さらなる抑制を生み出す。職場の良好な個人的プレゼンテーション及び衛生を維持するために追加的にシャワーを浴びること及び/又は着替えることに付随するオーバーヘッドは、しばしば、不便すぎて、自転車の定期移動における努力を正当化することができないと考えられている。電動自転車、及び、ペダル支援の電動自転車が開発されてきており、乗員の足の力を補足している。一般に、電気駆動機構の追加により、自転車のコストと重量が大幅に上昇するにもかかわらず、それ自体としては、上記に掲記した都会での自転車使用における三つの障害を解決するものではない。
【0012】
したがって、予想できることとして、前記の問題を改善するために、実用的に収納でき、折り畳める、あるいは、いずれにせよ小型の自転車を生産するための、継続的で一致した試みがなされてきた。
【0013】
従来の自転車フレーム設計のために、実用的な折り畳みシステムを作り出すときの、固有の問題は、例えば、多数の突起があること、多くの方向において安定性を欠くこと、及び、折り畳み/組み立て際に駆動機構(特に、油が付着したチェーン・ドライブ)を分解したくないという希望があることである。これらの欠点は、代替的な運搬手段が直面する大きな問題点の証拠であるにも拘わらず、そして、混雑した道や、限られた駐車場、個人の仕事場、都市の家から派生する都市環境中の空間についての優位性を打ち消すにも拘わらず、折り畳み自転車は、次第に人気となっている。したがって、都市での運搬を提供でき、かつ、可搬性があり、そして、非乗車時には個人によって保管できる小型の自転車を生産することには、明らかな利点がある。
【0014】
しかしながら、いくつかの要因は、従来の折り畳み自転車についての、広い大衆の受容を妨げる。すなわち:
・小径の車輪やフレーム強度の不足を含む典型的な設計の特徴からの、妥協した性能;
・「フル」サイズの折り畳み自転車のフレーム及び車輪アセンブリにおける、扱いにくい大きさ、重量、及び、結果的に崩れた構成;
・チェーンや歯車やブレーキ機構により捕捉され、及び/又は、衣服が汚れる危険。
【0015】
現存する折り畳み自転車は、その車輪径に基づいて、三つの広いカテゴリに分類できる:
1.従来のロードサイクルに匹敵する車輪径(すなわち26インチ)を持つフルサイズ自転車であり、これは、しばしば、自転車を半分に折り畳む単一のフレーム・ヒンジを持つ。これにより、折り畳み自転車の体積や追加的なコストを減らすことができ、ほぼ制限のないオンロード能力を発揮し、しかも、低コストである。
2.より精巧な折り畳み機構を持つ小さめ(24〜16インチ径)の車輪。典型的には、20インチの車輪は、縁石や路上の段差や路面の窪み等の、都市での乗車における障害を効果的に通り抜けるための境界であると考えられる。
3.16インチ径未満の車輪、これは、路上での能力というよりも、折り畳み状態での体積における優位性を提供する。複雑な折り畳み機構をしばしば有するけれども、これらの自転車は、一般的に、長距離走行あるいは高速走行が難しく、さらには、一般的に、かなり妥協した走行機能、効率及び快適性となる。
【0016】
これら三つの自転車タイプのための目的となる市場は、それぞれ、以下に及ぶ:
・ときどき使用する、趣味でのユーザ、彼らは、乗車時能力や快適性を強化するために、喜んで、折り畳みの快適性やスピードを妥協する;
・定期的に、かつ、かなりの距離を移動する都市の定期移動者、これは公共運搬と接続した混合モードの定期移動かもしれない;
・空間が優先する環境(例えば、アパートメントの住人、車の運転者)を持つユーザ、これは、時々使用する必要性、短距離、及び可搬性への強い必要性、混合モードの定期移動、海上船舶などであるかもしれない。
【0017】
自明なこととして、自転車の性能と効率的な折り畳みとの両方を必要とする通常の都市移動者は、最大に可能性がある市場であり、彼らは、前記した第2のカテゴリを典型的には購入する。典型的な目的のために設計された、このカテゴリの折り畳み自転車は、蝶番のあるフレームを有し、これは、フレームの両半分を一緒に折り畳み可能とし、これによって、二つの車輪は、実質的に隣接する。さらに、折り畳み技術は、折り畳まれたペダルや、蝶番のある/取り外し可能な座席などをしばしば含む。結果的に折り畳まれた自転車は、依然として常に、多数の突起及び機構を有する大きな物体であり、それは、ユーザあるいは外部物体に絡む。さらに、車輪の径は、車輪自体を分解するのでもなければ、小型化の程度についての基礎的な制約を提供する。
【0018】
理想的な都市用自転車にとって好ましい特徴は以下を含む:
−徒歩以上の速さを保つ能力、これは、都市環境において高速(例えば20〜30kmを超えること)への要求が典型的に小さいかどうかに拘わらない;
−折り畳み可能な構成及び寸法、これは十分に小さくて扱いやすく、実用的なデイ−パック、バッグあるいは旅行かばんとして持ち運び可能である;
−折り畳まれた状態において、最小の突起あるいは突出;
−維持のための要求が少ないこと;
−快適な乗車のために、そして、日常的に出くわす都市における障害、例えば縁石や窪みを乗り越えることができるために、十分な径の車輪;
−目立ち、かつ、高い可視性のある、乗員着座位置;
−特に低速での高い操作性;
−低い/平均的な身体的熟練度の乗員が乗ることができる、十分な安定性;
−安全に停止する手段;
−道具なしでの迅速な小型化;
−軽量。
【0019】
現代的な自転車設計(折り畳み自転車を含めて)は、前輪ステアリング、後輪チェーン駆動(チェーンで駆動される、車輪間に配置されたオフセットクランクを介して)を有する確立された構成にほぼ集約されており、これにおいては、乗員は、同じ大きさの二つの車輪の間に配置され、ハンドルバー・ステアリングは、ほぼ横隔膜の高さで前輪に取り付けられている。多くの動力付き自転車や自動二輪車は、同様の一般的構成を採用している。しかしながら、この構成は、折り畳み自転車にとって望ましい前記の特徴とは両立しないものである。典型的な折り畳み自転車は、フレームに取り付けられた両輪を有しており、このフレームは、中心の蝶番ポイントを中心としてほぼ半分に折り畳まれる。したがって、両輪を小径とすることにより、一般的に、折り畳まれた自転車の体積を減らすことができるが、結果的に、前記した欠点を有する。
【0020】
さらに、ペダルで駆動される自転車は、ホイールサイズを小さくすることによって十分な小型化を達成しようとすると、ペダルクランクの長さが、人間工学的に効率的な使用ができないほど非実用的に短くなり、あるいは、ホイールから外側のペダルクランクを使って従来のチェーンを駆動する必要が生じる。後者の構成においては、成人が効率的に使用できる程度の大きさのクランクを使用するために、ペダルシャフトを、従動ホイールの回転軸よりも高い水平面内に配置する必要があり、これにより、ペダルを踏む間の地面との接触を避けることができる。
【0021】
露出したチェーンがあるので、背負いの荷物あるいはかばんとして、折り畳んだ自転車を運ぶと、ユーザの被服を汚す可能性が高い。車輪からチェーンを取り外し、そして再装着するのは複雑なので、そのような面倒な作業を行ってまで前記した欠点を克服することは、通常は行われない。
【0022】
自転車のホイールベースを短くすることにより、折り畳まれた状態での大きさを減少させることができる。しかしながら、乗員の重心が高くなって安定性が減少するので、制動時や障害物に衝突した時に、転倒の可能性を増加させる。乗員の縦揺れに関係するリスクは、乗員の前方にあり、彼らの膝の情報にあるハンドルバーの従来の配置では悪化し、乗員の膝がハンドルバーにあたったり、機械ともつれたり、ハンドルバーにトラップされたりする。
【0023】
自転車設計の初期には、様々な構成が研究され、それは、「ペニーファージング」構成を含む;これは、非対称の車輪サイズ、直接のペダルクランク駆動(すなわちチェーン及びギヤが無い)、及び非常に大きな前輪径となっている。しかしながら、このタイプの直接の前輪駆動、前輪操舵のペダル自転車における難しさの一つは、特に停止状態からの発進時に、ペダルに加えられる圧力が操舵効果を不安定にすることである。前輪回転軸を中心としてペダル・クランクシャフトを駆動することは、以下について、人間工学的な制約を強いる:
−フレーム構成のタイプ;
−可能な着座位置;
−接地を避けることが可能な可能な最大のペダルクランクのサイズ、及び
−最大及び最小の車輪径。
【0024】
動力付き自転車は、補助的な動力ユニットを使用してペダル力を補助し(例えば、上り坂を登るとき)、あるいは、内燃エンジンや電力駆動のような動力ユニットによって単独で動力が与えられる。従来の動力付き自転車は、ペダル自転車における前記した欠点を有しており、しかも、折り畳み可能な自転車構成に組み込まれた動力ユニットに関係する追加的な複雑さ、コスト及び重量を有している。したがって、理解できることとして、折り畳み可能な自転車は、前記した好ましい特徴の少なくともいくつかを備える一方で、前述の不利益の少なくともいくつかを軽減する必要がある。特に有利なことは、格納や運搬のために簡単に小型に折り畳むことができるような自転車を提供することである。
Ampaglasによる文献DE 28 04 993 A1は、請求項1の前文による自転車を開示している。
【0025】
本願で引用されたいかなる特許あるいは特許出願を含むすべての参照は、参照によってここに組み込まれる。いずれの参照も、先行技術を構成すると認めるものではない。理解されるべきこととして、参照文献における議論は、著者の主張を述べるものであり、そして、出願人は、当該引用文献についての正確さ及び関連性を否定する権利を留保する。多数の先行技術文献がここで参照されているけれども、この参照は、これらの文献のいずれかが、いずれかの国における、当該技術についての共通の一般知識を構成することを認めるものではないことは、明白に理解されるべきである。
【0026】
用語「含む(comprise)」は、多様な管轄権の下で、排他的及び包含的な意味を持っていることが知られている。この明細書の目的のためには、そして特に注記された場合以外では、用語「含む」は、包含的な意味を持つものとする。すなわち、この言葉は、直接に参照された記載要素のみならず、特定されない構成部分あるいは要素を含むものとして扱われる。この解釈は、方法あるいはプロセスにおける一つ又はそれ以上のステップに関連して、用語「含まれる(comprised)」又は「含んでいる(comprising)」が用いられている場合でも同様である。
【0027】
本発明の目的は、前記した問題を志向し、あるいは、少なくとも公衆に対して有効な選択肢を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる側面及び利点は、単なる例示として与えられた以下の記述により明らかになるであろう。
【発明の開示】
【0029】
本発明は、個人的な都市交通のために、新しいパラダイムを提供するものであり、多数の異なる側面において定義することが可能である。すなわちそれは、乗車位置、車輪とフレームとの関係、小型化手段、ステアリング、フレーム構成、及び駆動機構である。
【0030】
注意されるべきこととして、「ステアリング部材」及び「二次軸」という用語は、読みやすさのために、「ステアリングフォーク」及び「ステアリング軸」としてそれぞれ言及される。
【0031】
ここで使用されるように、下記の用語:
・「フレーム」は、自転車の車輪、ステアリング機構、ステアリング部材、及び座席を連結する様々な構造、ハウジング、本体、要素あるいはコンポーネント、及び、他のものとして明確に定義されていないコンポーネントを含み、そして、ホイールマウントやブラケットなどの装具を含む;
・「車輪」は、地面に接する(terrain-engaging)環状タイヤ、前記タイヤを支持する回転可能あるいは固定されたリム部、ハブ無しホイール、中心回転軸を有するハブありホイール、スポーク付きホイール、固体ホイール(solid wheel)、偏心して駆動されるホイール、ホイールリム、及び/又は、ステアリング部材に取り付けられる他の要素を含む、全部のホイール・アセンブリを含む;
・「座席(seat)」は、着座した乗員を支持するように構成されたあらゆる構成、突起、プラットフォーム、あるいは凹みを含み、さらに、様々な関連する支持の要素、装具、構成を含み、さらには、様々な位置調整の機構あるいは設備等を含む。そして、取り外し可能な座席の場合は、用語「座席」は、座席を取り付けるポイント、構造、あるいは装具を含む。
・「ステアリング部材」は、前輪を回転可能な状態で保持するあらゆる構成を含み、これは、片面及び両面のフォーク、操舵チューブ(steerer tubes)、及び/又は、前輪をフレームに回転可能な状態で取り付ける他の構成を含む;
・「ステアリング機構」は、ステアリング部材に、これを回転可能とするために取り付けられる装具におけるあらゆる機構及び構成を含み、さらに、ステム(stem)、ハンドルバー、ジョイスティック、プーリー(pulleys)、レバー等を含む。
・「駆動機構」は、自転車に動力を供給するためのあらゆる機構を含む。
【0032】
乗車位置
寝そべり型でない自転車(non-recumbent cycles)においては、現代における通常の乗車位置における乗員は、その胴体が傾斜し、部分的にかがみ、頭が下がった姿勢となる。高速走行のためには、これは空力学的に有効ではあるが、この位置は、乗員の肉体に負担をかけ、そして、周囲への乗員の注意力と他の交通への存在感とを削ぐ。
【0033】
自然で直立した着座位置であって、かつ、乗員の足が、ストレスのない状態で、乗員の尻の前方にあることは、従来の自転車の構成においては非実際的である。しかしながら、本発明の一実施形態は、都市交通及び定期移動に最適な乗車特徴を持つ自転車を提供する。
【0034】
本発明の一側面によれば、地表面上で乗員によって使用される自転車が提供され、前記自転車は以下を含む:
−前部及び後部を持つフレーム、
−前記フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記前輪は、前記一次軸に対して直交する二次軸を中心とした回転のために、前記フレーム前部に、旋回可能なように(pivotally)取り付けられており;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作の可能なステアリング機構;
−前記フレーム後部に、回転可能なように取り付けられた後輪;
−前記前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−前記前輪における少なくとも一つの足置き(footrest);
これらは、自転車が動くときに、前記座席上に座り、かつ、前記ステアリング部材及び足置きに操作可能なように接触した乗員が、ストレスのない、実質的に直立の姿勢で配置され、かつ、実質的な胴体傾斜が無く、しかも、自転車の停止時には、着座した乗員の両足が、同時に地面に着くように構成されている。
【0035】
したがって、乗員は、人間工学的にバランスされた、ストレスのない、安定した着座姿勢で、前記自転車に乗ることができ、このとき、乗員の脚は、前輪の足置きに向けて前方に延ばされており、ここでは、乗員の尻の下方及び/又は背後に脚が置かれることはない。従来の乗車姿勢に比べると、直立した乗車姿勢は、都市交通にとって、以下に示す多数の利点を提供する:
・乗員にとって優れた視野と高い視線;
・他の道路ユーザに対して、より大きな視覚的表示又は存在を提示すること;
・筋骨格への負担の軽減、及び
・乗員の足を、安定して自然な位置において、尻の前方に置き、必要な最低着座高を減らし、重心位置を下げ、安定性を改善すること。
【0036】
乗車位置は、現代的な自転車設計と歴史的なそれとの間で、多くの場合、著しく対照的である。従来の乗車位置によれば、乗員は、胴体の重さを、前方のハンドルバーで、乗員の背、肩及び腕を介して支えることになる。
【0037】
速い速度に最適化されたロードレース・スタイルの自転車は、乗員の胴体及び頭が実質的に横になった位置となるように構成されている。このような乗車位置は、低い平均速度であって高い視認性及び操作性の必要な都市の乗車/交通には全く適さない。レース用自転車を、効果的な折り畳み/小型化の設計に構成することは、非常に難しい。
【0038】
マウンテンバイク及び都市向けの派生では、乗車時の胴体は、もっと直立するが、乗員の胴体は、依然として、傾斜している必要があり、これによって、乗員は、ステアリング機構及びブレーキに届くことができる。後輪ペダルクランク駆動の従来自転車における本来的力学(dynamics)/人間工学(ergonomics)と人間の身体のプロポーションとの組み合わせにおいては、いくつかの形態における傾斜した胴体の姿勢を避けることは、自転車設計者にとって困難である。
【0039】
理解されることとして、駆動機構は、二つのカテゴリに分けることができる。すなわち、人間であるユーザ/乗員によって駆動される機構(例えばペダルクランク)、又は、ユーザ/乗員とは独立した若しくはその外部にある動力源を有する機構(例えば電気モータ、エンジン等)であり、これらは、ここでは、「ユーザ動力の(user-powered)」及び「外部動力の(externally-powered)」としてそれぞれ規定される。ここで使用されるように、用語「足置き(footrest)」は、乗車中にユーザがその足を置けるように構成された様々な装具を包含し、そして、可動物(例えばペダルクランク)、かご(cages)、折り畳み可能及び固定の台(foldable and fixed rests)を含む。
【0040】
好ましくは、前記駆動機構は、少なくとも以下の一つを含む:すなわち、電気モータ、ジェネレータ、ペダルクランク、ペダルクランク及びチェーン駆動、内部又は外部の燃焼エンジン、並びに/又は、それらの様々な組み合わせである。これらの駆動機構は、後続の節において、さらに深く個別に考察される。
【0041】
本発明は、このように、現在の自転車設計とは概念的に異なるフレーム構成/着座を提供しており、最も比較可能な乗車姿勢は、ペニーファージング設計におて、前世紀の初めから示されている。しかしながら、既知のペニーファージング設計は、本発明に対して、以下に説明するように、多くの固有の相違点を有している。
【0042】
初期のペニーファージング自転車は、ペダルクランクによって、前輪軸を介して、直接に動力を受けており、このため、前輪は、かなりの直径である必要があり、これによって、クランクの一回転に対応して、適切な速度を提供することができる。しかしながら、拡大された前輪径により、乗員は、着座中に地表面に触れることができなくなる。さらに、高い着座位置は、高い重心、低い操作性、及び貧弱なブレーキ性能を生み出す。ペニーファージングの乗車位置により、乗員は、(特に迅速な減速の場合に)以下のような問題にさらされる:
−ハンドルバーにもつれること;
−降車の難しさ;
−高い乗車位置と相対的に短いホイールベースとにより結果的に生成されるモーメントによる、前輪軸を中心とした「跳ね上げ効果(catapulting effect)」
−前輪の扱いにくいサイズと、安定のために地表面に足をつけられないこととによる、低速乗車時の落下。
【0043】
対照的に、着座した乗員の足が地面に届く距離にあるように構成し、そして寸法どりした場合は、本発明は、前記した欠点のそれぞれを小さくできる。そのような構成は、特定の自転車フレーム幾何/寸法と、従来のペニーファージングよりもずっと小さな前輪径との組み合わせを含み、これにより、効果的に「ミニ・ファージング(Mini-Farthing)」を作り出すことができる。歴史的な従来技術であるペニーファージング設計と本発明の実施形態とを区別するため、用語「ミニ・ファージング」は、後者を示すものとして使用される。ここで、前輪は、後輪よりも大きいけれども、乗員は、依然として、停止時に両足で地面に接することができ、そして、両足を前輪の足置き/ペダルに載せて走行することができる。
【0044】
さらに、「ユーザ動力の」及び「外部動力の」駆動機構にとっては、乗車中に乗員の足を前輪の足置きに置くことは、以下をさらに提供する:
・増強された運動安定性、
・相互的な乗員の関与、そして
・触覚のフィードバック。
【0045】
明らかなこととして、乗員は、足置きの一つ又は両方を介して、前輪へのステアリング入力を支援することができる。ある状況では、自転車のステアリングを、足置きを介した乗員の入力により、単独で実行することができる。これは、乗員の手が塞がっているときに、間欠的な期間の間、発生するかもしれず、あるいは、一実施形態では、ステアリングの一次的方法として行われるかもしれない。すなわち、前輪の足置き自体が、前記ステアリング部材に接続されたユーザ操作可能な前記ステアリング機構であるかもしれない。手動操作のステアリング機構は、操作性、乗りやすさ、及び使用の容易さの点では優れているかもしれないが、足だけで操舵される実施形態は、小さい容積に小型化可能で一層単純な構成を提供する可能性がある。
【0046】
本発明に実装される特定のステアリング機構の変形についてのさらなる考察と、それらの性能パラメータ(performance parameters)が、以下において、それぞれさらに深く議論される。しかしながら、ステアリング部材に接続されるステアリング機構の配置は、乗車位置の問題に特に関係する。本発明の自転車性能に影響するものとして特定される他の構成パラメータ(configuration parameters)は、以下を含む考察により特定可能である:
・手動的に操作されるステアリング機構を、座席から容易にアクセスできる距離に配置すること;
・乗員の股下長さを超えない、座席の高さ;
・乗員の足と干渉しないで、あるいは足が外れないで、前輪操舵の動作が可能になる、座席位置からの足置きの変位量。
【0047】
広く確立されていることとして、人間の身体は、四肢、胴体特徴、及び要素の比率に関して、特定の相互関係を有している。例として、反対側に延ばされた腕における指先間の距離は、身長にほぼ匹敵する。ここで、指先どうしを組み合わせると、手は、鼠径部と同じ高さに位置する。したがって、人間の形態及びサイズにおける自然な変化に拘わらず、これらの相互関係は、設計パラメータとして使用されて、多くの人間の体の骨格に適合するための自転車人間工学を最適化することができる。
【0048】
上で議論されたように、前輪の足置きを用いる本発明の実施形態において、座席の位置と足置きとの間には、明らかな物理的関係が存在する。後輪についての構成と位置は、自転車性能と小型化可能性とについての何らかの関係を持つけれども、そのことは、乗員と前輪足置き及びステアリング機構とについての人間工学的な相互関係には直接には関係しない。人間の身長は非常に相違しているので、本発明の一実施形態において有利なこととして、自転車構成/乗車位置の発明的側面は、釣り合い(proportions)、比率(ratios)、及び角度に関係して決定可能であり、特定の寸法のみによって決定されない。結果として、子供のような乗員に、あるいは背の低い成人に適切な自転車を、本発明の範囲から離れることなく、適切かつ単純に縮尺することができる。前記に拘わらず、本発明の一側面におけるさらなる利点として、広範囲の体格の乗員が、自転車の調整なしで、同じ構成を使用することができる。
【0049】
最大の座席高さが乗員の股下長さによって制約されるとすれば、座席から足置きまでの距離は、乗員の股下長さより大きくない半径の円弧の範囲内になければならないということになる。自転車の前輪を操舵することと、乗員の足を前輪に置くこととによる有利な帰結は、自転車の運動、操舵及び応答性における関係をすぐに感知できることである。従来フレームの自転車では、前輪は、乗員の足から比較的に離れており、操舵軸を中心としてステアリング(例えばハンドルバー)を回すことは、乗員の重心から離れた軸を中心として行われる。たしかに、多くの従来の自転車の操舵軸は、乗員の着座位置に関係して配向されており、乗員の胴体との相互関係は少なくなっている。
【0050】
対照的に、本発明の一実施形態は、着座した乗員が直立するように配置し、彼らの胴体は、前記操舵軸すなわち前記二次軸に交差する位置となる。好ましくは、前記交差は、直立した乗員の肩のあたりで実質的に発生する。さらなる実施形態では、前記ステアリング機構のための手動制御(hand controls)は、前記操舵軸と垂直に配置される。さらに他の実施形態では、前記足置きは、前記操舵軸に垂直に隣接し、あるいは、実質的に操舵軸に揃う(aligned with)ものとされる。
【0051】
乗員の下記のものの一つ又は複数と操舵軸との関係を実質的に調整することにより、高い応答性を持ち、制御容易で、かつ小型の自転車を作り出す;
−前輪足置き上の足;
−膝;
−ステアリング機構上の手、そして
−肩。
ここで、操舵動作は、乗員の身体を「介して(through)」、あるいは「そのまわりで(about)」効果的に行われる。操舵軸に隣接してあるいはその上に乗員の身体を置くことにより、自転車の動きに対する乗員の即応性(immediacy)と関係性とが増し、そしてこれは、他の動的な運動あるいはスポーツ(例えばスノーボードをすること又はスケートボードをすること)に類似する。ここで、回転運動は、乗員/ユーザの重心に近い軸を中心として行われる。
【0052】
理解できることとして、操舵軸の角度は、自転車操舵の幾何において、影響のあるパラメータであり、自転車操舵の物理的な能力に直接の影響を持つ。前輪の径とステアリングフォークのオフセットに関係して、操舵軸角度(自転車用語では「レーキ(rake)」として知られる)は、「トレール(trail)」の程度を決定し、そしてそれは、操舵安定性と応答性とのバランスに影響する。
【0053】
一実施形態では、本発明は、水平な地表面から測って70(±10)度の間の操舵軸角度θに対応できると考えられる。
【0054】
したがって、一側面によれば、本発明は、実質的に前記したような自転車を提供する。ここで、前記二次軸は、平坦かつ水平方向の地表面に70(±10)°の角度に延びている。また、前記自転車は、前記乗員の足、乗員の手、及び/又は、乗員の肩の単数又は複数が、縦方向の垂直な面内における前記操舵軸の周辺に、あるいは実質的に隣接して配置されるように、好ましくは構成される。乗員が彼らの足を前輪足置きに置けるという要求と組み合わされた操舵角範囲の意味は重要である。なぜなら、それは、着座姿勢と、乗員の操舵軸への近さとを決定するからである。従来技術の自転車は、より急勾配の操舵角(それは、使用者の四肢/胴体を通過せず、又はそれに隣接しない)か、「チョッパースタイル」の前輪アセンブリ(これでは現実には足を置けなくなってしまうほど前輪が離れる)を形成するもっと浅い角度のどちらかを使用している。
【0055】
着座した乗員が彼らの足を前輪足置きに置けなければならないという人間工学的な要求があるので、この制約は、着座した乗員と、前輪したがって操舵軸との長手方向での分離を制約する。
【0056】
最大座席高Y max と乗員の股下長さとの間には、直接の関係がある。同様に、前輪足置きと座席との最大距離は、座席の高さYと、座席と操舵軸との水平方向での分離Xとの両者に関して、相互的関係がある。参照点として、着座した乗員の位置は、乗員の骨盤と脊椎とを通過する垂直線、あるいは、代替的には、座席後端(rearward seat edge)における垂直線によって表示される、と考えられる。
【0057】
理解できることとして、所定の座席高さY1、及び操舵軸角θ=70°において、前記垂直線からの操舵軸の水平分離X1は、ほぼ0.24Y1に等しい。したがって、幾何学的に、操舵軸との交差部分への垂直高さY2は、下記式により与えられる:
Y2=0.24Y1tanθ+Y1 −1)
同様に理解できることとして、操舵軸が地表面に交差する交点と垂直線との間の水平距離X3は、下記式で与えられる:
X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1) −2)
したがって、一面によれば、本発明は、70°(±10°)の二次軸角度を持つ自転車と、前記二次軸と地表面との、X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1)で与えられる交差からの水平距離X1(±20%)において乗員の直立した胴体を支えるように位置する自転車座席とを提供する。ここでY1は、縦方向の座席高さである。
【0058】
操舵軸と乗員着座位置との間の相互関係を規定する代替的な手段においては、垂直線を、座席の後端エッジとしてとることもできる。乗員は、操舵軸のさらに後方に意図的に座るかもしれないが、そのようにすると、たとえ乗員が前輪足置きに到達できるとしても、性能的には重大な結果となる。操舵軸からさらに離れた位置に座ることにより、増加した重量が後輪に作用し、これと釣り合って、前輪には軽い重量が作用する。このことは、前輪のグリップと、コーナリング性能とを減らす。さらに、操舵軸上あるいはこれに隣接する回旋軸を中心として回旋可能にフレームに取り付けられた座席を有する構成の自転車にとっては、後方に着座するほど、座席ピボットにかかるトルクが増える。したがって、適切な強化が求められ、これにより、自転車全体の重量の範囲で可能な範囲の増加量を伴う、前記の増加した力に適応することができる。したがって、座席の後方は、乗員の背と脊椎と肩とに隣接する垂直面の位置のために、適切な参照点を提供することができる。
【0059】
座席後端についての代替的な参照点を考察すると、操舵軸(18)についての、前記座席端部からの対応する水平分離X2は、ほぼ0.28Y1に等しい。
【0060】
したがって、さらなる実施形態によれば、水平面と操舵軸との交差と座席後端との間の水平距離X4は、以下で与えられる:
X4=tanθ/(0.28Y1tanθ+Y1),
ここでθは操舵軸角、Y1は垂直座席高さである。
【0061】
乗員の身長と着座位置と個人体型の相違に鑑みると、さらなる実施形態では、操舵軸と前記地表面との交差と垂直線との間の水平距離X2は、プラス又はマイナス20%までの範囲で変動する。
【0062】
車輪−フレームの相互関係
ペニーファージング自転車の構成が主流でなくなってから、一世紀になる。多数の歴史的な例に乗ることは可能である一方で、現代的な複製が、珍しさや娯楽の目的のために生産されるが、これは実用的運搬手段、特に都市輸送/定期交通としてのものではない。このように支持されなくなっているにもかかわらず、前輪が後輪より比較的に大きいというペニーファージングの構成は、実用的な、都市に焦点を合わせたミニ・ファージング自転車にとって、以下を含む本発明の他の側面と組み合わされたときに、多数の利点を提供する:
−折り畳み可能な構成、
−所定のステアリング機構、
−外部駆動機構、及び
−ハブ無し車輪構成(hubless wheel constructions)。
【0063】
理解されることとして、このことは、後輪が前輪と同径か前輪より大きいような非ミニ・ファージング構成を使った本発明の実施形態(本書面における他のどこかに記載されたようなもの)を排除しない。
【0064】
本発明の一側面によれば、地表面上で乗員に使用される自転車が提供され、前記自転車は以下を含む:
−前方及び後方の部分を持つフレーム;
−前記フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前記前方のフレーム部分に、回旋可能なように取り付けられている;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作可能なステアリング機構;
−前記後方のフレーム部分に回転可能に取り付けられた後輪、ここで、前記前輪は、前記後輪よりも大きな径となっている;
−前記前輪及び/又は後輪に操作可能に接続された駆動機構;
ここで、前記自転車は、前記両方の車輪を、相互に接近するように移動させることにより、起立した乗車構成から、折り畳まれた構成に折り畳み可能となっている。
【0065】
自転車を小型で可搬性のある構成に折り畳むために、本発明の精神から離れずに、いくつかの方法が使用されうるのであり、それらについて以下においてさらに説明する。しかしながら、明らかなこととして、ミニ・ファージング構成は、二つの車輪の大きさの相対的な相違を特に使用する機会を提供し、これにより、折り畳まれた自転車の小型化を容易にする。
【0066】
典型的な小車輪の、折り畳み可能な都市交通/運搬の自転車に比較すると、ミニ・ファージング構成は、以下を含む潜在的な利点を提供する:
・ミニ・ファージングの前輪と同径の2輪を持つ自転車に比較して減少した体積(直立した、及び折り畳まれたもの);
・前輪が主として乗車性を支配しているために、障害物や凹凸表面を横切る際に特に、小径車輪の自転車に対して強化された乗車性(ridability);
・駆動機構及び/又は収納のための、前輪周囲(wheel perimeter)の範囲内の特別な体積(extra volume);
・前輪に足置きを配置できる可能性。
【0067】
しかしながら、前記で言及したように、小型であることは、ミニ・ファージング構成における唯一の利点ではない。すなわち、本発明の一側面によれば、地表面上で乗員により使用される、以下を含む自転車が提供される:
−前方及び後方の部分を有するフレーム;
−前記フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前記前方のフレーム部分に、旋回可能なように取り付けられている;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作可能なステアリング機構;
−前記後方のフレーム部分に、回転可能なように接続された後輪、ここで、前記前輪は、前記後輪よりも大きな径となっている;
−前記前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−前記前輪における、少なくとも一つの足置き、
そしてさらに、少なくとも以下の一つを含むように構成される:
−実質的に妨害されないあるいは邪魔しない領域を乗員の脚の前方に提供するように構成されかつ配置された、手動操作可能なステアリング機構;
−少なくとも一つのハブ無し車輪;及び/又は
−前記前輪及び/又は後輪に操作可能なように接続された、少なくとも一つの、外部動力(externally-powered)の駆動機構。
【0068】
注意すべきこととして、自転車ステアリング機構及び折り畳み手段に関する本発明における独立した発明的側面が、以下において、個別にかつ詳しく述べられる。
【0069】
上記したように、本発明は、ハブ無し前輪、外部動力の駆動機構、及び/又は後輪駆動機構に関係して、ミニ・ファージング構成を有効に使用することができる。ハブ無し前輪は、自転車の要素を集めて収容する容積を提供する手段として、自転車の小型化に関して、特に有利である。ハブ無し前輪は、必須ではないが、車輪中心における空隙を伴った構成とすることができる。収容の可能性に加えて、車輪中心の空隙により、駆動機構(単数又は複数)とサスペンション構成部品等は、車輪の面を通過することができる。さらに、駆動機構からの原動力は、必ずしも、従来の車輪のように中心軸を介して適用されるものでなくともよい。
【0070】
したがって、一実施形態では、この組み合わせは、以下を含む自転車として実現可能である:
−前方及び後方の部分を有するフレーム;
−フレームに取り付けられた座席;
−回転可能な外側リム部を有するハブ無しホイール、ここで、前記前輪は、一次軸を中心とした回転のために、ステアリング部材に回旋可能なように取り付けられており、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前方のフレーム部分に取り付けられており;
−前輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−後部のフレーム部分に、回転可能なように取り付けられた後輪、
ここで、前記駆動機構は、前輪を回転させるように、外側リム部に接続されている。
【0071】
駆動機構を車輪に接続するための配置の自由さは、偏心した前輪の駆動機構に関する後述の節においてさらに詳しく説明される。同様に、本願のミニ・ファージング構成における前輪及び/又は後輪のための、リムが駆動されるハブ無し前輪の利点と、外部動力の駆動機構の使用とは、下記の節においてさらに詳しく説明される。
【0072】
本発明におけるさらなる側面によれば、ここで説明されるミニ・ファージング実施形態(後輪より大きい前輪を持つ)のそれぞれについては、前記自転車は、少なくとも一つの足置きを前輪に有する構成とされ、及び/又は、自転車の動作時において前記ステアリング機構と足置きとの両方に操作可能に接触しながら着座した乗員が、着座した乗員の足によって、自転車の停止時に地表面にも到達できるように構成される。
【0073】
折り畳み手段
一側面によれば、本発明は、乗員によって地表面上で使用される自転車を提供し、前記自転車は以下を含む:
−フレームに取り付けられた座席
−以下を有するフレーム:
・前方のフレーム部分;
・後方のフレーム部分;
・実質的に鉛直に向けられた第2平面と一致し、自転車運行における前方及び後方への方向を通る長手方向軸、そして
・前記主要軸(major axis)に直交する横方向軸、
−ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記前輪は、第1平面内において一次軸を中心として回転可能であり、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前記前方のフレーム部分に、回旋可能なように取り付けられており;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作可能なステアリング機構;
−前記後方のフレーム部分に回転可能なように取り付けられ、かつ、三次軸を中心として第3平面内において回転可能とされた後輪、そして
−前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
これにより、乗員は、自転車の動作時において、前記ステアリング機構を操作可能なように接触しながら、着座することができ、一方で、自転車の停止時において、着座した乗員の足は、地表面に到達でき、前記自転車は、複数の車輪を互いに接近させることによって、起立した乗車構成から折り畳み構成に折り畳み可能である。
【0074】
好ましくは、前記折り畳み可能な自転車は、前輪に少なくとも一つの足置きを有する、及び/又は、後輪よりも大きい径の前輪を有する構成とされる。
【0075】
本発明における折り畳み可能な自転車は、従来技術の折り畳み自転車とは、折り畳み方法の速さ及び単純さ、並びに、達成できる小型化の程度を含むいくつかの点で異なる。従来技術の自転車の小型化は、下記のようないくつかの大きなカテゴリに分けられる。
−実質的にフルサイズである、「従来の」ペダル駆動の従来の自転車は、フレームの蝶番で折り畳まれ、そこで、自転車は、実質的に半分に折り畳まれ、その後、延ばされた座席ポストと、おそらくはハンドルバーとを、伸縮的に小型化させる。これは、元々の長さ方向における自転車軸に沿う自転車の寸法を減少させるけれども、自転車が横方向にかなり大きくなることを避けられず、しかも、ペダル、ハンドルバー、ブレーキケーブル等の厄介な突起が付属する。このような折り畳み自転車における厄介な性質は、二つの折り畳まれた車輪アセンブリの密接な組み合わせを妨げる、関連のチェーン/ペダル駆動の装備を備えた従来の前方及び後方の自転車車輪の構成によって、悪化する。
−代替的な従来の折り畳み自転車は、一つ又はそれ以上の蝶番結合されたフレームを中心として自転車フレームを連結しており、これは、子供用のベビーカー/バギーと同様にして折り畳まれる。これも、自転車における長手方向の長さを減らすけれども、典型的には、高さが相応に増大し、自転車の体積が、減少するよりもむしろ増加してしまうことになる。
−伸縮式のフレーム小型化も、従来技術において用いられている。しかしながら、これは、フレームに大きな撓みをもたらし、そして、安定性及び頑健性の問題を生じる。その結果、小型化による体積減少は大きいけれども、起立した自転車は、頻繁でない、短距離の、そして平坦地表面上での運行のみに、典型的には適する。
【0076】
起立乗車構成(erect riding configuration)の及び折り畳んだ構成(collapsed configuration)の自転車により占められる体積は、自転車の末端に接触する平坦な側面を持つ立方の「箱」の体積(cuboid 'box' volume)により定義できる。比較可能な立方の体積は、車輪、ステアリング及びフレームのアセンブリを含む多くの自転車要素にとって、定義可能である。箱の側面を形成する面の位置の変化を比較することは、単に体積変化を測るだけでなく、折り畳まれた自転車の形状の様子をも測ることになる。
【0077】
したがって一側面によれば、本発明は、実質的に前記された折り畳み可能な自転車を提供し、ここにおいて
前記自転車は、相互的に直交する、平行な対の、縦方向(vertical)及び水平方向の平面により体積的に規定される(ただし自転車が直立した位置のとき)。ここで、これらの平面は、前記自転車並びに前記前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレーム個々の両者における長手方向(longitudinal)、横方向(lateral)及び縦方向(vertical)の末端に配置された、対向する長手方向、横方向及び縦方向の境界平面を画定しており、
前記自転車は、起立した乗車構成から、前記折り畳まれた構成に折り畳まれるように構成されており、その手段は下記による:
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、前輪における少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、フレームにおける少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記前輪の横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、後輪における少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、前輪及び後輪のそれぞれにおける少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、前輪における両方の横方向境界平面が、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、フレームにおける両方の横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、後輪における両方の横方向境界平面が、前記フレームの横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における少なくとも一つの前記横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における少なくとも一つの前記長手方向境界平面が、前記前輪の長手方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における両方の横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における両方の長手方向境界平面が、前記前輪の長手方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における少なくとも一つの横方向境界平面が、前記後輪の横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における少なくとも一つの長手方向境界平面が、前記後輪の長手方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における両方の横方向境界平面が、前記後輪の横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における両方の長手方向境界平面が、前記後輪の長手方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の縦方向境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の長手方向境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の横方向境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の長手方向及び縦方向の境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、前輪の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
・ステアリング機構及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、ステアリング機構の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
・ステアリング部材及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、ステアリング部材の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
・座席及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、座席の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
あるいは、これらの組み合わせ又は順列。
【0078】
一側面によれば、本発明は、実質的に前記したような折り畳み可能な自転車を提供し、ここでは、
前記自転車は、相互に直交する、平行な対の、垂直及び水平な平面によって、体積的に規定されており、これらは、対向する、長手方向、横方向及び縦方向の境界面を画定しており、さらにこれらは、自転車と前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレームそれぞれとの両者における長手方向、横方向及び縦方向の末端にそれぞれ配置されており、
前記自転車は、前記起立した乗車構成から前記折り畳まれた構成となるように、以下の再配置によって折り畳まれる構成となっている:
・前輪、後輪、ステアリング機構、座席、及びフレームのうちの少なくとも二つを相互に接近するように再配置し、これにより、長手方向、横方向及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること;
・前輪、後輪、ステアリング機構、座席、及びフレームのうちのいずれか二つを相互に接近するように再配置し、これにより、長手方向、横方向及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること;
・前輪、後輪、ステアリング機構、座席、及びフレームの全てを相互に接近するように再配置し、これにより、長手方向、横方向及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること。
【0079】
対照的に、先行技術における多くの折り畳み自転車は、直立した乗車構成から折り畳まれたときに、全体として、より大きな立方体積を実際に生成する。その理由の多くは、相互的な連結要素(mutually interlocking components)が不足することに起因する。大きな自転車フレーム要素の少なくともいくつかが協働して組み合わされるように特に最適化された設計であったとしても、特に、二つや三つの要素が折り畳み構成の中に再配置されるとすれば、自転車についての全体の体積は減少しない。
【0080】
注意されるべきこととして、境界平面についての対応する記載(縦方向、長手方向、及び横方向)は、それらの、自転車に対する空間的な位置に関して用いられるのであって、平面自身の向きに対して用いられるのではない。すなわち、境界平面は、縦方向に、長手方向に、そして横方向に、自転車の周囲にそれぞれ配置される。
【0081】
一実施形態では、前記ステアリング機構は、二つの末端を備えたステム(stem)を含む。前記ステムは、一端において、前記ステアリング部材に取り付けられており、かつ、他端において、一対のハンドルバーに取り付けられている。一面によれば、ステムは、ステアリング部材から、後方に向くように配置されている。
【0082】
好ましくは、ステム及び/又はハンドルバーは、フレーム及び/又は前輪に相互に接近するように、回旋して再配置され、このとき、自転車の横方向境界平面間の一定のあるいは減少した分離が維持される。
【0083】
好ましくは、ステム及び/又はハンドルバーは、フレーム及び/又は前輪に相互に接近するように、回旋して再配置され、このとき、自転車の長手方向境界平面間の一定のあるいは減少した分離が維持される。
【0084】
好ましくは、前記一対のハンドルバーは、前記ステムの両サイドに対称に、横方向に配置されたツインバー(twin bars)として構成され、各バーは、前記フレームにおいて対応する組み合わせ凹部に挿入されることによって、フレームに相互に接近するように、再配置できるようになっている。
【0085】
本発明は、自転車の特徴及び/又はフレーム/車輪の幾何における特定の要求に対応して自転車を折り畳むための多様なオプションを提供する。同様に、自転車及びその多様な要素のために境界平面の位置を規定することによって、折り畳み工程における要素間の相互関係の性質を満たすために用いることが可能である。
【0086】
一例として、後輪を、前輪の凹部に部分的に挿入することができるが、後輪に装着されるタイヤは、後輪の構造というよりもむしろ、横方向のタイヤ周縁のエッジにおける後輪横方向境界平面を規定することによって、横方向の前輪境界平面の間に完全に挿入されるものとして特定される。
【0087】
各車輪に装着される、回転しかつ地面に接触する環状タイヤは、その固有の性質により、各自転車の車輪において共通する特徴となっている。タイヤは、ゴムや空圧式である必要はなく、さらには、柔軟である必要すらない。いくつかの実施形態では、タイヤを、硬質、非弾性的、あるいは半非弾性的(semi-inelastic)な材料から構成することができ、及び/又は、空隙(voids)、ガスポケット(gas-pockets)、エアレーション(aerations)などを用いずに構成することができる。同様に、道路に接触するタイヤを、車輪リム部から取り外し可能な独立したアイテムとして構成することができ、あるいは、代替的には、タイヤを、車輪に組み込まれた、分離できない、あるいは連続的な部分とすることもできる。タイヤについての特定の特性及び構成に拘わらず、必要なことは、統一的な回転輪郭を提供することである。したがって、従来の自転車との効果的な比較の助けとしてタイヤの境界平面を使うことは好ましく、これによって、本発明による折り畳み工程における顕著な相違を記述することができる。
【0088】
一側面によれば、前方及び後方の車輪が、異なる径であってもよく、さらに、一方の車輪が凹部又は開口を有していて、他の車輪の挿入が少なくとも部分的に可能であってもよい。同様に、本発明のさらなる側面では、前輪、後輪、ステアリング機構及び/又は座席を少なくとも部分的に挿入できる一つ又は複数の凹部又は開口をフレームが有する構成であってもよい。
【0089】
自転車についての有意義な小型化を達成するために、フレーム及び構成要素(すなわち車輪、ステアリング機構及び座席)は、いずれによせ、相互的に挿入される必要があり、そうでなければ、自転車形状が再構成されたとしても、自転車の実質的な体積は変わらない。構成要素は、二つの主要な方法により、相互的に内側に挿入されうる。一つは、伸縮自在な短縮(telescopic contraction)であり、他方は、ヒンジ的/回旋的な配置である。後者では、ヒンジ結合された部分は、何らかの形態の相互的な協働が可能な組み合わせ表面(mating surfaces)を有するように構成される。折り畳み自転車にとっては、自転車重量を減らすことは意味があり、これにより、折り畳まれた自転車の可搬性を向上させることができる。対応して、折り畳み自転車のフレームは、フルサイズの通常の自転車に比較して、比較的小型とされる一方、座席、ペダル、及びハンドルバーは、長くて管状の伸縮可能な延長によって維持される。
【0090】
起立した乗車構成では、このような伸縮可能な延長は、より撓みやすい傾向があり、その結果、ヒンジ結合されたフレームに比較して、構造的な剛直さが少ない。ヒンジ結合された構成要素は、起立状態において、頑丈な構造となる一方で、構成要素に、信頼性があり、繰り返し可能であり、そして反転可能な規制された経路を提供して、折り畳まれた状態と起立した状態との間を移動させることができる。しかしながら、フレーム及び/又は車輪において適切な凹部又は開口が無いときは、ヒンジの折り畳みは、折り畳まれた自転車についての総体的体積の減少をもたらすことができない。
【0091】
一つの車輪を他に挿入するためには、明らかに、一つの車輪は、他方よりも小さい径を持つ必要がある。したがって、前記したように、必然的に、「チョッパー」スタイルの大きな後輪/小さな前輪の配置、あるいは、ペニーファージングの構成となる。しかしながら、各車輪の中心における潜在的に使用可能な体積は、折り畳み自転車の研究開発の領域においてはほぼ見逃されてきたように思われる。この車輪内部の体積は、他の車輪が小径であって、かつ、大径の車輪が好ましくはハブ無しであるとき、小径の車輪を受け入れるために特に向いている。
【0092】
さらなる側面によれば、前記再配置は、回旋すること、ヒンジ結合すること、取り外し及び再取り付けすること、並びに、伸縮の機構、装置、アタッチメント、装具、及び操作を含むが、これに制約されない。
【0093】
好ましくは、前記前輪及びフレームは、互いに回旋可能とされて、フレームの凹部又は開口に、前輪を少なくとも部分的に挿入できるようになっている。
【0094】
好ましくは、自転車は、自転車が縦方向に直立した(vertically upright)向きにあるときは、前記前輪の再配置は、実質的に縦方向平面(vertical plane)内における前輪の回旋であって、かつ、横切るように配置された第1折り畳み軸(first fold axis)を中心とした前輪の回旋により実行される。
【0095】
好ましくは、前記後輪の再配置は、実質的に水平方向平面内において、前記第1折り畳み軸に直交する第2折り畳み軸を中心とした後輪の回旋により実行される。代替的な実施形態では、前記後輪の再配置は、第2折り畳み軸を中心とした、実質的に縦方向平面内における、後輪についての回旋と直線的な並進との組み合わせにより実行される。
【0096】
理解されることとして、小径の前輪が後輪における開口又は凹部に折り込まれるという逆の状況も、対応するやり方において達成可能である。折り畳み中において車輪の一つが他に挿入されるという全ての状況では、小径車輪についての、ある程度の横方向の動きと長手方向の動きが必要であり、これにより、大径車輪と同じ平面から小径車輪を取り出し、そしてその中に戻すという動きができ、そして、大径車輪の開口/凹部を囲む車輪周縁の周囲を小径車輪が移動できる。
【0097】
一実施形態によれば、後輪は、フレームに配置され、かつ、自転車が起立構成のときに縦方向平面内に配置される第2折り畳み軸を有するヒンジを中心として、解放できるように回旋可能(releasably pivotable)となっている。
【0098】
一実施形態では、ステアリング機構及び座席は、いずれも、第3折り畳み軸を中心として回旋可能となっている。代替的には、ステアリング機構及び座席は、分離した折り畳み軸を中心として、それぞれ分離して回旋可能となっている。好ましくは、第3折り畳み軸は、二次軸すなわち操舵軸上に、あるいはそれに隣接して、かつ、それに直交して配置される。
【0099】
好ましくは、前輪は、前記二次軸(すなわち操舵軸)を中心とした回転が、ステアリング機構及び/又は前輪を、フレーム中の組み合うステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部にそれぞれ回旋可能に組み込むことによって、開放可能なように制約されている。もし前輪及びステアリング部材が、操舵軸を中心として自由に回転できるならば、折り畳み工程の間に、自転車の安定性が損なわれる。ステアリング機構、前輪、及び/又はステアリング部材の少なくとも一部を、フレームにおける対応の組み合う凹部に挿入することにより、前輪を効果的に固定して、不要な回転を防ぎ、折り畳み工程中の自転車を安定させることになる。
【0100】
選択的には、自転車は、ラッチ(latch)を含むことができ、これにより、ステアリング機構及び/又は前輪を、前記ステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部に、それぞれ、開放可能なように保持することができる。座席及びステアリング機構を回旋させることによって、単独の保持ラッチを使うことができる。
好ましくは、起立乗車構成から折り畳み構成への前記折り畳みは、三つのラッチによって、開放可能なように保持可能である。
【0101】
本発明の一側面によれば、ステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部は、フレームの下側における、長さ方向に延ばされた(longitudinally-elongated)、部分的に弓形(part-arcuate)のスロットとして、そして、フレームの上部における長さ方向の(longitudinal)スロットとして、それぞれ構成される。
【0102】
折り畳み方法
既に記述したように、本発明は、多様な構成において折り畳めるように構成できる。しかしながら、ここで敷衍するように、特定の方法及び手順により、折り畳みについての容易さ、速さ、及び/又は、単純さを向上させることができる。
【0103】
一側面によれば、本発明は、実質的に前記した自転車を、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳む方法を提供する。前記方法は、四つのステップを含み、これにより、横方向、長手方向及び縦方向の自転車境界平面間の間隔を減らすことができる。
【0104】
好ましくは、前記四つのステップは、ステアリング機構、前輪、後輪及び座席を、フレームと相互に接近するように回旋させることを含む。
【0105】
従来の折り畳み自転車における不都合は以下を含む:
・多数(四つ以上)のステップを必要とし、これにより、三つの相互に直交する境界方向の全てにおける自転車の体積を減らすこと、そして
・回旋及び伸縮の動作の組み合わせを必要とし、これにより、自転車の構成要素を折り畳むこと。
【0106】
一側面によれば、本発明は、実質的に前記した自転車を、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳む方法を提供し、前記方法は以下の手順を含む:
1.前輪とフレームとを、第1折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、前輪における少なくとも一つの前記横方向境界平面は、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重なる;
2.ステアリング機構とフレームとを、第3折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、ステアリング機構の少なくとも一部が、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される。これにより、ステアリング機構及び付属のステアリング部材が、前記二次軸を中心としてフレームに対して回転することを防ぐ;
3.後輪とフレームとを、第2折り畳み軸を中心とした回線により相互に接近させ、これにより、後輪における前記横方向境界平面の少なくとも一つが、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重なる;
【0107】
代替的な側面によれば、本発明は、実質的に前記した自転車を、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳む方法を提供し、前記方法は以下の手順を含む:
1.ステアリング機構とフレームとを、第3折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、ステアリング機構における少なくとも一部が、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される。これにより、ステアリング機構及び付属のステアリング部材が、前記二次軸を中心としてフレームに対して回転することを防ぐ;
2.前輪とフレームとを、第1折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、前輪における横方向境界平面の少なくとも一つが、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重なる;
3.後輪とフレームとを、第2折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、後輪における前記横方向境界平面の少なくとも一つが、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳する。
【0108】
理解されることとして、初めにステアリング機構をフレームの凹部に回旋させること、あるいは、初めに前輪をフレームの凹部に回旋させることによって、折り畳み中に操舵軸を中心として前輪が回転しないように自転車を構成することができる。
【0109】
好ましくは、前記方法は、第4折り畳み軸を中心としてステアリング機構のハンドルバーを回旋させて、フレームに相互に接近させる第4のステップをさらに含む。
【0110】
好ましくは、前記ハンドルバーは、前記フレーム及び/又は前記後輪における、組み合うハンドルバー凹部に回旋する。一実施形態では、ハンドルバーは、前記ハンドルバー凹部に、磁石によって、解放可能なように保持される。好ましくは、ハンドルバー凹部は、ハンドルバーがフレームのハンドルバー凹部内に位置している間は、折り畳まれた位置から後輪を解放しないように構成される。
【0111】
好ましくは、少なくとも一つの前記折り畳み方法は、以下のステップをさらに含む:
・一つ又はそれ以上の足置きとフレームとが相互に接近するように再配置すること、ここで、前記ステップは、前記方法におけるいかなる時点でも実行可能である。
【0112】
好ましくは、前記足置きの再配置は、回旋により実行される。好ましくは、一組の足置きのうちの一方を回旋させることが、他方の足置きを同時に回旋させる。
【0113】
理解されることとして、直立した乗車時位置において前輪の平面に実質的に直交して延長される、あるいは、前輪の表面と実質的に同一平面に折り畳まれる足置きを個別に配置することができる。足置きを、回旋できるように互いにギヤで噛み合わせることも可能であり、これにより、両者はいずれも、どちらかの足置きが移動するときに、同時に上昇及び下降することができる。
【0114】
さらに他の実施形態では、前記方法は、座席とフレームとを、第3折り畳み軸を中心とする回旋により互いに接近させるステップを含むことができ、これにより、座席の少なくとも一部を、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置することができる。そしてこれにより、ステアリング機構と付属のステアリング部材とが、フレームに対して、前記二次軸を中心として回転することを防ぐことができる。
【0115】
本発明は、様々な自転車構成要素について、伸縮的、あるいは褶動的な内部的動作を用いずに、回旋軸(pivots)あるいはヒンジを単独で用いることによって、起立した乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳むように構成することができる。
【0116】
前記で言及したように、多様な自転車構成要素のための境界平面のために適切な配置を、要素の特徴と、それらと他の構成要素との相互関係とに対応して規定することができる。一例として、前記において与えた、前方及び後方の車輪のための定義は、いくつかのアセンブリ、サブコンポーネントなどを包含する。例えば、各車輪における長手方向の境界平面を、回転するタイヤの横方向エッジに置くことは、体積の減少と、折り畳み中の車輪の位置的な動きとについての特定を容易にする。このことは、本発明が、一方の車輪の内部に他方の車輪を、及び/又は、フレームの内部に車輪を、少なくとも部分的に配置できる方法を容易に記述する。
【0117】
したがって、一実施形態では、前記長手方向の、縦方向の、及び横方向の境界平面は、前記前方及び後方の車輪に組み込まれた、地面に接触する環状タイヤにおける横方向、縦方向、及び長手方向の末端(extremities)をそれぞれ規定する。
【0118】
好ましい一側面によれば、自転車を折り畳んで、小型の運搬構成にすることができる。ここでは、前記前輪ステアリング部材は、開放可能なようにヒンジ結合されており、これにより、前輪は、フレームに向けて回旋することができる。好ましい実施形態では、前記フレームは、実質的に弓形であり、前輪の少なくとも一部と組み合うように構成され、かつ、そのような寸法とされている。好ましくは、フレームは、断面において実質的にU字形状であり、前輪周縁と、そして選択的には、駆動機構との少なくとも一部が挿入できるようになっている。
【0119】
一実施形態では、自転車を折り畳んで、小型の運搬構成とすることができる。ここでは、フレームの後部は、解放可能なようにヒンジ結合されており、後輪は、前輪及び/又はフレームに向けて回旋することができる。好ましくは、後輪は、回旋する後輪を、前輪中央の内部にあるいはそれに隣接して配置できる寸法とされている。代替的な実施形態では、後輪は取り外し可能であり、フレームから除去して、前輪の内部に装着することができるようになっている。後輪は、従来のチェーン駆動と関連する装具とによって邪魔される必要がないので、後輪を移動させて自転車を折り畳む前記手段を、いずれも、容易に実行することができる。
【0120】
ステアリング
ステアリングは、明らかに、自転車の性能において重要なパラメータであり、一世紀以上にわたって、多くの検討がなされてきた。本発明における特定のステアリング・ジオメトリと、関連するフレーム構成が、以下において記述される。しかしながら、広義において、自転車のステアリングは、以下の大きなカテゴリに分割できる;
・座席上方(above seat)−直接;
・座席上方−非直接;
・座席下方(below seat)−直接、及び
・座席下方−非直接。
【0121】
自明なこととして、前記したカテゴリの記述は、それぞれ、以下に関係する:
・乗員座席の縦方向位置に対する、ステアリング機構(例えばハンドルバー)の位置(すなわち、座席の上方又は下方)及び
・前輪に取り付けられたステアリング部材を回旋させるための様々な要素、構造等(例えばハンドルバー、レバー、車輪等)への、乗員のステアリング入力が、直接に、あるいは非直接に(例えば、リンク機構(linkages)、歯車、プーリ等を介して)行われるかどうか。
【0122】
本発明の別の実施形態では、これらのステアリングのカテゴリのそれぞれを用いることができる。初めの二つのカテゴリ(座席の上方)は、(以前のケースでの)従来の自転車ステアリング機構と、後者におけるより複雑な変形とを反映するものである。
【0123】
座席上方(above-seat)、直接ステアリングを用いることは、単純さ、信頼性及び使いやすさにおける、確立された利点を提供する。多くの乗員は、前輪フォークにハンドルバーが取り付けられているような、座席上方直接ステアリングに親しんでおり、このため、彼らの技能を、他の、そのようなステアリング機構に容易に転用することができる。しかしながら、不利益な点として、乗員をハンドルバーに向けて投げ出させるような衝突時や急減速時において、乗員にとって硬質(rigid)で、もつれさせ(entangling)、有害な障害となりうるという点がある。ハンドルバーを超えて、あるいはハンドルバーに向けて乗員が投げ出されるような衝突あるいは落車(dismounting)は、怪我という結果を必然的に引き起こす。このような怪我の一次的な原因は、乗員がつんのめるときに、彼らの脚の自由な動きがハンドルバーで邪魔されることである。関連する歯車、ブレーキレバー、ケーブル、ライト、ベル等があることによって、ハンドルバーとのからみつきは悪化する。
【0124】
操作軸にあるいはそれに隣接して配置されたハンドルバーについての乗員による効率的な操作を、自転車のフレーム構成が特に避けていない場合には、座席上方の非直接ステアリングを用いるという選択は、ほとんど魅力的ではない。非直接のステアリングは、乗員に隣接するハンドルバーやレバー等に加えられた、乗員からのステアリング入力を、回旋可能なステアリング部材に移すという形態を含む。その典型的には長尺状の構成のために、そのようなステアリング機構は、リカンベント自転車(recumbent cycles)において用いられている。前記したように、本発明におけるいくつかの特徴は、都会での使用、特に、折り畳み自転車としてのその効率を向上させる。しかしながら、そのような特徴は、リカンベント自転車にとっては、あまり適切ではない。小さくて小型のフレーム、囲われた駆動機構、視認性の良い乗車位置、そして、機敏な操縦性は、リカンベント自転車の特徴ではない。反対に、低い、傾斜した、空力学的な着座位置、高速可能性、及び、長距離適性は、いずれも、都会の使用においては、不要であるか、あるいは、むしろ危険ですらある。したがって、座席上方の、非直接のステアリング機構は、折り畳みの、都会に焦点を合わせた自転車にとっては、一次的な選択ではない。
【0125】
座席下方(below-seat)のステアリングを使うことは、直接であっても非直接であっても、都会に焦点を合わせた自転車、特に、定期交通用の折り畳み自転車の設計にとって、重要な機会を提供する。都会での乗車が高速となることはなく、したがって、空力抵抗を最小化するための低くてかがんだ身体姿勢の必要はない。長いホイールベース、大きな前輪と後輪、及び、腕による乗員の重みが伝わる位置を持つ少しかがんだ乗車位置は、乗員の高い視認性を提供しつつ小型で操縦性の良い都市向け自転車を構成するには、逆効果である。
【0126】
座席から前方に乗員を進めるような急減速の場合、乗員のブレーキ操作及び/又は事故のいずれにおいても、ステアリング機構に絡みつくこと無く簡単に下車できることは、乗員にとってかなりの利点である。このことは、既存の直立した、非リカンベント自転車とは基本的に異なるステアリング構成を要求する。ステアリング機構を、乗員の前方経路(forward path)の外に動かすことは、ステアリング機構、及び、好ましくは、他の潜在的な障害物が乗員の胴体及び脚の背後に置かれることを必要とする。これは、駆動機構及びフレームのデザインと、ステアリング機構のための、明らかな意味を持つ。
ステアリング機構に関して、前方への下車を妨げないような自転車構成のために望ましい基準は、以下を含む:
・手動操作のステアリング機構は以下に配置される
−乗員の座席の下方及び/又は
−乗員の背中の後方及び/又は
−乗員の太腿の下方、及び、乗員のふくらはぎ/下肢の後方、及び/又は
−乗員の胴の幅の横方向外側
・脚で操作されるステアリング機構は以下のようになっている
−座席から簡単に取り外せる、そして
−足/下肢の下方及び/又は後方に配置される。
【0127】
乗員の幅の横方向外側にステアリング機構を配置することは、路上での安全性と操縦性を持たせることの結果として、典型的な自転車よりもかなり広い幅を持つ、扱いにくい構成を生成するかもしれない。したがって、そのような構成においては、克服できない工学上の障害は無いけれども、ここで記載された代替技術ほどには魅力的ではない。乗員の背後にステアリング機構を配置することは、ユーザがステアリング機構に容易に到達できて、ステアリングの動きの全範囲にわたって制御できることに関しては、人間工学上の困難さを持つ。足で操作するステアリングは、本発明のための方向制御にとって、非補助であっても手動ステアリングとの組み合わせであっても、実行可能な方法であるけれども、これは、一次的には、主流でない都会用途に向いている。足操作のステアリングにおける可能性及び欠点は、前記において詳しく述べられている。
【0128】
したがって、主要な都会用途の自転車のためには、ステアリング機構を乗員のすねの背後でかつ乗員のももの下方に配置することは、人間工学的、機能的、及び構成的な利点の最大の相乗効果を提供する。
【0129】
したがって、本発明の一側面によれば、地表面上で乗員が使用するための自転車が提供され、前記自転車は以下を含む:
−前方及び後方の部分を含むフレーム;
−フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、フレームの前方部分に回旋可能なように取り付けられている;
−フレームの後方部分に、回転可能なように取り付けられた後輪;
−前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−前輪における、少なくとも一つの足置き;
−前記ステアリング部材に接続された、手動操作可能なステアリング機構、
ここで、前記ステアリング機構は、乗員の脚について実質的に妨害しない、又は、邪魔しない領域を前方に提供するように構成され、かつ配置されている。
【0130】
好ましくは、前記自転車は、自転車動作時において、前記ステアリング部材と足置きとに操作可能に接触しつつ着座した乗員が、実質的に直立して胴体の傾斜が無い姿勢に配置され、かつ、自転車停止時において、着座した乗員の両脚が同時に地表面に届くように構成される。
【0131】
一実施形態によれば、前記ステアリング機構は、前記座席の下方及び/又は後方に配置される。
【0132】
好ましくは、前記ステアリング機構は、前記座席の下方及び/又は後方に配置された一対のハンドルバーを含む。好ましくは、前記ハンドルバーは、四次軸を中心とした回転のために、前記フレームに、中心的に搭載(centrally mounted)される。
【0133】
一実施形態では、前記四次軸は、二次軸(すなわち操舵軸)と同軸である。好ましくは、前記ハンドルバーの位置は、ステムによって、二次軸からずらされる。ステムは、例えば一体的なビーム、チューブ、バー、ハウジング、棒、エレメント、フレームなどの各種の好ましい形態で形成することができ、そして、人間工学的に一層効果的なステアリング入力のために、ハンドルバーの位置を二次軸よりも乗員に近づける効果を持つ。
【0134】
ハンドルバーを座席の下方に置くことにより、ハンドルバーの位置は、乗員の胴体の両側においてストレスのない位置にあるリラックスした腕が自然に操作できる位置となる。乗員の脚を前輪の足置きに配置することとの組み合わせにより、このことは、ステアリング機構を乗員の全身の下方及び背後に配置することになる。したがって、緊急降車が必要なときは、乗員は、ステアリング機構を単に解放して、前方に、あるいは横方向に、自転車の部品と絡まないで降車することができる。さらに、本発明により提供される直立した乗車位置と高い視認性とは、乗員を、迅速に降車して徒歩での移動に移るために好適な身体位置に置くことができる。
【0135】
ハンドルバー(あるはその同等物)を、乗員によるアクセスのために理想的な位置に置くために、二次軸からハンドルバーに延びるステムは、単純で信頼性のある構成を提供し、これにより、乗員の回転運動をステアリング部材/前輪に伝えることができる。既に明記したように、一実施形態では、ステアリング機構のステムは、二つの末端を有するように構成されており、前記ステムは、一つの末端において、前記ステアリング部材に取り付けられており、他の末端において、一対のハンドルバーに取り付けられている。ステムは、ステアリング部材への直接の接続を提供するので、必要な前輪回転に対応するためにハンドルバーの回転方向を変える必要がない。しかしながら、必要な程度の回転を前輪について生成するために、操舵軸へのステムの末端においてハンドルバーで囲まれる弧(arc)は、乗員にとって、快適でない距離となるかもしれない。したがって、バーエンド・ハンドグリップあるいは先端部(tip)を、乗員の腿及び/又は臀部の外側周辺を通過するように向けられた各ハンドルバーの外端(outer end)に追加することは、ステアリング移動の範囲にわたって、バー端部のハンドグリップを乗員の身体に接近させる。したがって一側面によれば、前記ハンドルバーは、乗員の腿の近傍に延びるように向けられた外端部(outer end portion)を含む。一実施形態では、前記ハンドルバーの外端部は、水平に、あるいは、前記ステムに平行に向けられている。
【0136】
理解できることとして、バー端部の外端部を有する各ハンドルバーの形状は、連続した屈曲バーから、二つの実質的に直行した部分までの、様々な変形が可能である。従来の自転車と同じく、ハンドルバーの端部は、ブレーキ、スロットル(外部動力を持つ実施形態のため)、ライトなどの自転車制御を配置するのに便利な位置を提供する。
【0137】
代替的な実施形態では、前記四次軸は、前記操舵角からずらされている。このような実施形態では、ステアリング機構は、ステアリング機構の回転移動を伝達するための伝動カップリングをさらに含み、これにより、ステアリング部材及び前輪についての、二次軸を中心とした、ステアリング機構と同方向への、対応する回転移動を生成する。
【0138】
タイロッド(tie-rods)、プーリ、ギヤ、ユニバーサルジョイント(例えばフック(Hooke)またはチョバム(Chobham)のユニバーサルジョイント)などの一つ又はそれ以上を含む多様な機構から、伝動カップリングを構成することができる。一側面によれば、伝動カップリングは、少なくとも部分的に、前記フレームの一部により囲われている。一実施形態では、前記伝動カップリングは、機械的な利点を提供するように構成されており、これにより、ステアリング機構についての所定の回転移動が、ステアリング部材についての減少した回転移動を生み出すことができる。
【0139】
ステアリング機構は、ハンドルバーに加えて、レバー、プーリ、車輪等を含む便利な機構から構成することができる。しかしながら、理解されることとして、ステアリング機構は、従来のハンドルバーにおけるような、固定された実質的に水平な平面内で動作するものである必要はないし、さらには、フレームに対称に取り付けられる必要もない。一例として、手動操作されるハンドルに取り付けられるケーブルとプーリから構成されたステアリング機構は、ダンベルを持ち上げるのと同様な相補的な動きの範囲(一次的には、乗員の前腕におけるもの)を通して、移動することができる。さらに他の実施形態では、ステアリング機構は、片手で操作可能とすることができる。これは、乗員の両脚の間に配置された、あるいは代替的に、ユーザの一側に配置されたジョイスティックタイプの制御の形態をとることができる。このような実施形態により、乗員は、運動や他の活動、例えば郵便配達において、手/腕を自由に使うことが可能になる。
【0140】
フレーム構成
本発明は、本発明の範囲から離れることなく、多様なフレーム構成及び構造の使用を可能にする。小型ホイールベース、新規な座席/ステアリング配置、及びミニ・ファージングの車輪配置の実施形態は、従来の自転車とは異なるフレーム要件と制約とを生成する
一実施形態では、フレームは、前輪の外周縁に対応する凹部で形成された中央部を有する実質的な弓形(arcuate)である。好ましくは、フレームは、ステアリング部材、ステアリング機構及び/又は後輪を挿入できる凹部をさらに組み込んでいることが好ましい。前輪は、最大の単一要素なので、認識されることとして、折り畳み作業における小型化の効率は、フレーム及び他の要素と前輪との間の相互作用に依存する。弓形状のフレームは、前輪の外側部分を本質的に反映した輪郭形状を提供し、これにより、協働的な組み合わせが容易になる。
【0141】
しかしながら、代替的なフレーム形状と構造が可能であり、それは、本質的に筒状のフレームワーク構造、あるいは、前輪及び/又は後輪がフレーム内に挿入されるのではなくて、回旋して横付けとなるような、横方向に非対称なフレームを含む。
【0142】
さらなる代替例は、直線、ビーム及び/又は突出した形状のフレーム部輪郭を有するフレームを含む。
【0143】
駆動機構
前記で特定したように、駆動機構は、二つのカテゴリに区分でき、それは、「使用者駆動」、すなわち、人間であるユーザ/乗員により駆動される機構(例えばペダクランク)、又は、独立した動力源を有する、つまり、電動モータ、エンジン等の、ユーザ/乗員の外部で「外部駆動の」機構である。
さらに、用語「足置き」は、乗車中のユーザがその足を置けるように構成された装具を含み、この装具は、可動の(例えばペダルクランク)、かご状の、折り畳み可能の、及び固定の台を含む。
【0144】
既に特定されたように、駆動機構は、電動モータ、発電機、ペダルクランク、ペダルクランク及びギヤ付きチェーンドライブ、内然若しくは外然機関、並びに/又はこれらの各種の組み合わせを含む様々な形態を取ることができる。
【0145】
電動モータなどの「外部動力の」駆動機構について考察すると、従来技術において、いくつかの選択肢が出現しているが、使用者駆動の従来のペダル自転車の量と比べると、商業的な成功は小さい。このような市場での反応の原因は、駆動機構には直接に関係しない要因の組み合わせにより影響される。一次的には、効果的な外部駆動を持つことは、適切な乗車能力を求め、そしてそれは、十分な耐久性を持つ十分に強力な駆動を求める。さらに、都市での使用に焦点を合わせると、前記で詳述したように、これは、自転車の折り畳みの有効さと相互に関係することである。自転車性能と、折り畳まれた自転車についての可搬性(そして実現可能性)とは、共に、自転車重量により直接に影響される。従来の折り畳み自転車の設計の欠点は、折り畳みでない自転車に比肩できる機能性と性能とを提供する折り畳み自転車をもたらすことであり、したがって、外部駆動(例えば電動モータ)の問題は、補助的駆動支援(supplementary motive assistance)に焦点を合わせてきた。
【0146】
しかしながら、本発明により達成される小ささ、軽さ、及び性能の本来的な利点により、本実施形態の自転車を、バッテリ動力源を持つ電気動力で完全に駆動することができる。特に、折り畳み可能なミニ・ファージングの前輪構成と組み合わされたハブ無し前輪における梱包の利点は、特に小さい、使用可能なフレームを可能にし、それは、折り畳まれた車輪内車輪(wheel-in-wheel)の構成と組み合わせられるように特に構成される。複数の車輪の一つ(好ましくは前輪)における周縁の内部の可能な体積を利用することは、ハブ無し車輪によって、最も効率的に達成される。もし、他の小さな車輪(例えば後輪)が、実用的に可能な程度で小さくされているならば、駆動機構の利用ために必要な体積は、より大きな車輪の体積の中に、最も簡単に見出すことができる。これは、折り畳み/回旋の要素間の駆動リンケージを不要とする。したがって、より大きな車輪における回転可能なリム部を、同じ車輪内に配置された駆動機構によって駆動することは、有利である。これは、内部的及び外部的な動力の駆動機構に共に適用される。より大きなハブ無し車輪における、利用可能な内部体積は、前記した駆動機構以外の、例えばバッテリ、ペダル台、チェーン、ギヤ等の装具及び機構であって、適切な覆いによって囲われるべきものにとっても利用可能である。これは、なめらかな外表面と、土や水分侵入からの保護とを提供するだけでなく、乗員あるいはその衣服との不要な干渉を防ぐ。
【0147】
本発明の一側面によれば、以下を含む自転車が提供される:
−前方及び後方の部分を有するフレーム;
−前記フレームに取り付けられた座席;
−回転可能な外部リム部を有するハブ無しの前輪、ここで前記前輪は、一次軸を中心とした回転のために、ステアリング部材に回旋可能なように取り付けられており、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、フレームの前方部分に取り付けられており;
−前輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−フレームの後方部分に、回転可能なように取り付けられた後輪、
−前輪における、少なくとも一つの足置き、
ここで、前記駆動機構は、外部リム部に接続されており、これにより、前輪の回転を行わせるようになっている。
【0148】
このようなリム駆動構成は、電動のような外部的駆動機構、及び、ペダルクランク機構のような自力動力の両者にとって有利である。
【0149】
好ましくは、前記駆動機構は、前記一次軸と平行な三次軸を中心とした回転のために、操作可能なように前輪に接続される。
【0150】
好ましくは、前記三次軸は、第1の車輪の内部に、前記一次軸から偏心して配置される。
【0151】
好ましくは、前記三次軸は、一次軸と、前輪の後方部分との間に配置される。
【0152】
一実施形態では、駆動機構は、ギヤ、ベルト駆動、チェーン駆動等のうちの一つ又は複数を介して、外部リム部に接続される。
【0153】
したがって、上記の自転車は、従来の自転車に比較して、多数の利点を提供する。自転車の前輪駆動は、従来の外部的な後輪チェーン駆動を省略可能とし、さらには、フレームに対する寸法的、構造的、及び幾何学的要求を簡素化することもできる。しかしながら、一次軸に駆動機構を配置することによって前輪を直接に駆動することは、最大の実用的車輪サイズ、着座位置及び操縦性についての制約を提供する。駆動機構の偏心配置は、これらの欠点に向けられたものであり、足置き及び/又はペダルクランクについての、人間工学的に最も効率的な、地面及び乗員に関する配置及びサイズを妥協すること無しに、最適化された前輪サイズを使用可能とする。
【0154】
理解されることとして、いくつかの代替的な駆動構成が可能である。一実施形態では、単一の外部駆動機構が、前後輪の両方に動力を提供する。代替的には、分離された外部駆動機構が、個別に、前後輪の両方を駆動する。これら二つの実施形態は、自転車を全輪駆動とし、これにより、両輪に動力をいきわたらせることができ、ホイールスピンの可能性を減らし、そして、トラクションを改善することができる。後者の実施形態では、一つの駆動が操作不能となったときに、ある程度の減速を与えることができる。さらに他の実施形態では、外部駆動により、後輪単独に動力を提供することができる。
【0155】
前記で特定したように、多くの「使用者動力」駆動機構、すなわち、ペダルクランクと、「外部動力」駆動機構との間の顕著な相違は、乗員の足の配置に関する要求である。ペダルクランクを踏むことは、乗員の足が可動のべダルに配置されることを当然に必要とし、一方、「外部動力」機構では、何らかの形態の静止した足置きに乗員の足を置くことができる。人間工学的な考察によると、このような足置きの位置は、ペダルクランクについての望ましい位置と実質的に一致する。各例について繰り返さないけれども、読みやすさの便宜のために、理解されるべきこととして、足置き及びペダルクランクの位置への言及は、逆の意味であることを明言しない限り、相互に交換可能であると理解されるべきでる。
【0156】
駆動されるペダル
前輪駆動自転車のための、ペダルを駆動する駆動機構についての特定のケースを考慮すると、折り畳み可能な都市用自転車における最適な車輪サイズは、いくつかの要因に依存する。特に、でこぼこした路面上では、小径車輪を使うと、通常は、乗車性能が制約される。しかしながら、都市の環境では、路面の状況は、窪み(potholes)、グリッド、あるいは他の障害によって変化するものの、未舗装路面に比較すれば、一般に、高い水準にある。したがって、特に都会向けの、ペダル駆動の自転車は、全目的の折り畳み自転車に比較して、小さいサイズの車輪を用いることができる。都会用の最小の車輪サイズにおける実用上の制約は、乗員が着座したままで縁石を上り/下りできる程度に車輪が十分に大きいことである。しかしながら、ペダルクランクの駆動機構は、中心に置かれたペダルクランクによって直接に駆動される車輪について、実用上最小の径の車輪を用いることができない。クランクの長さは、成人により十分に踏むことができるものである必要があるので、実用上最小の車輪サイズは、特にコーナリング中に、ペダルが地面に接触しないようなものに制約される。
【0157】
反対に、もし、大きな車輪径の自転車の実施形態が必要ならば、中央のペダルクランクは、乗員が効率的にペダルを操作し及び/又は休憩中に地面に到達することができる、可能な最大サイズについての制約を生む。
【0158】
本発明において偏心した駆動機構の位置を用いることは、これらの両方の制限を不要にし、そして、外部動力の、及びユーザ動力の両方の駆動機構のために、最適な径の車輪の選択を可能にする。車輪の上四分の一にペダルクランクを配置することにより、使用できる車輪径を減らすことができ、一方で、下四分の一に配置することにより、ペダル踏みの効率を低下させずに大きな車輪径を使用することが可能になる。
【0159】
駆動機構を接続して、一次軸上で動作する機構を介して、前輪を回転させることができるけれども、これは、折り畳み自転車の小ささを最大化するために使用できる、車輪スパンにおける中央の体積を無秩序化する。したがって、駆動機構は、好ましくは、ペダルクランクを車輪リムに連結する。これにより、特に折り畳み構成において乗員又は乗員の衣服に引っかかるような突起等がないハウジング内に、駆動機構を容易に収納することができる。小型化を支援するために、一実施形態では、ペダルクランク/足置きは、取り外しできるように、及び/又は、駆動機構ハウジングと実質的に同一平面に向くように回旋するように構成される。
【0160】
駆動機構は一つ又はそれ以上の、ユーザが選択可能なギヤを含むことができ、あるいは、単純に単一のギヤ比で構成されることができる。自転車が一次的に都会用途を志向するならば、単一のギヤ比は、競走やマウンテンバイクと同じ障害となることはないであろう。さらにそれは、小さいハウジング内に収まるような、より軽くて単純な駆動機構を提供する。
【0161】
一実施形態では、駆動機構、例えばクランクギヤに取り付けられたペダルクランクは、回転可能なように、中間ギヤを介して駆動ギヤに噛みあっており、これにより、前記回転可能な外側リムを駆動できるようになっている。外側リムと駆動ギヤとは、共に、歯付きの噛み合い表面を持つ、あるいは、滑らかな摩擦接触を持つ構成とすることができる。中間ギヤは、クランクペダルの回転方向が、前輪の回転方向と一致することを保証するために必要であるが、理解されることとして、もし満足するギア比が達成できるならば、ギアクランクからリム部を直接に駆動するという極端に単純化した構成が可能である。
【0162】
さらに折り畳み自転車が、露出したチェーン、ギヤ等を用いない、滑らかで密封された自転車を提供することを保証するために、外側リム部(及び関連する駆動機構)を、環状リングである前輪周囲に延びる共通のハウジングで囲うことができる。好ましくは、ステアリング部材は、前記ハウジングに取り付けられる。当業者に明らかなこととして、前輪に取り付けられたステアリング部材を、車輪の両側を通るフォークの腕を有するフォーク構成(fork configuration)とすることができ、あるいは、代替的には、前輪の片側への非対称的な取り付けで構成することができる。したがって、露出したチェーン駆動に典型的には関係する潤滑油、付着した土等から、乗員を保護することができ、したがって、汚損の恐れなしで、折り畳み自転車を乗員の背中に載せて運ぶことができる。
【0163】
好ましくは、外側リム部は、典型的には空気入りタイヤの形態である、地面と接するタイヤ部を含むか、あるいはそれに取り付けられる。
【0164】
前記したように、一次軸を通るペダルクランクを有する前輪駆動ペダル自転車は、休止状態からの出発の時に、トルクステア(torque steer)の効果に苦しむ。クランクペダルを、一次軸から後方に離間させることは、いくつかの重要な利点を提供し、それは、増加した安定性(増加したホイールベースによって助けられる)と、減少したトルクステアとを含む。一次軸を通るペダルクランクを有する前輪ペダル駆動自転車についての人間工学的な制約により、乗員は、前輪上端の実質的に上方に位置する必要がある。これは、まさに直立した乗車位置からの良好な視界を提供するけれども、自転車における感覚的な(及び実際の)不安定さを、一輪車の場合のそれと同様に、増加させる。本発明において、ペダルクランクを、一次軸から後方に移すことにより、乗員の着座位置も後方に移動させることができ、これにより、高い安定性を提供することができ、しかも、望ましい高い視野と切り詰められたフレームという特性を維持することができる。
【0165】
さらに理解されることとして、本発明の精神から離れずに、前記した実施形態についてのいくつかの変形が可能である。自転車は、例えば、ユーザ動力と外部駆動の機構の組み合わせをさらに含むことができる。典型的には、追加的な駆動機構は、例えば外部的に駆動される機構のような補助的な駆動機構として使用され、それは、一次的にペダルで駆動される自転車を補助するが、その逆もまた同様である。補助的な外部駆動機構は、前輪及び後輪に動力を与えることができ、そして、電気的駆動(バッテリー及び燃料電池の動力)、内燃エンジンなどを含む便利な既知の動力駆動機構から選ぶことができる。このような補助的駆動は、急な上り坂において乗員を助けることができ、そしてそれは、下り坂及び/又は制動の時に、減速及び/又は電気的動力発生を提供するように構成することができる。
【0166】
好ましくは、前記補助的動力駆動は、前記駆動機構ハウジングの内部に配置される。
【0167】
偏心したクランクペダル配置による安定性の強化に拘わらず、小型フレームでの実質的に直立した乗車姿勢は、前輪を強く制動している間に乗員を前方に投げ出す危険を生成する。乗員の前方にある従来のハンドルバーの配置は、乗員が前方に投げ出されたときに危険を与える。反対に本発明におけるいくつかの実施形態は、ハンドルバーを乗員の下方及び/又は背後に配置することにより、このような問題を解消する。したがって、乗員は、障害なく、自転車の前部の上を通って降車することができる。このような降車は、緊急制動の間に、あるいは、かなりゆっくりとした速度において故意的に発生することがある。このような減速技術は、スケートボード及びスクータの乗員にとっては既によく知られている。
【0168】
そして、自転車は、選択的に、前方及び/又は後方のブレーキを備えることができる。自転車が人の走る速度より早くなく、そして、降車が速度制御の手段として使われるような都会での用途の場合には、ブレーキのない実施形態は可能である。しかしながら、理解されることとして、前輪及び/又は後輪に従来の自転車ブレーキを取り付けることは、いくらかの重量と複雑さを犠牲にする。
【0169】
一輪車
容易に理解されることとして、多数のフレーム構成、車輪のサイズ及び配置、並びにステアリング機構が可能である。後輪による支持の役割は、一輪車の形態の一実施形態では制約される。この一輪車は以下を含む:
−上部に取り付けられた座席を有するフレーム;
−回転可能な外側リム部を有するハブ無し車輪、ここで前記車輪は、前記フレームに、回転可能なように取り付けられている;
−ペダルクランクを乗員が回転させることによって車輪を回転させるための、外側リム部に接続されたペダルクランク、ここで、前記ペダルクランクは、ホイール内に、偏心して配置されている。
【0170】
従来の一輪車が不安定であるという特徴は、車輪中央にペダルクランクを配置したことに起因する。ペダル踏みに最適な乗車位置は、ペダルクランクの回転軸を、乗員の胴体よりもわずかに前方に置く。中央のクランクによりペダル踏みがされる単一の車輪では明らかに不可能であるが、本発明は、これを、偏心したペダルクランクの使用により解決する。増加したペダル踏み人間工学は、一輪車に不慣れな乗員の順応を容易とし、さらには、乗車効率を改善する。
【0171】
さらに他の実施形態では、自転車は、さらなる車輪を含んで、三輪、四輪、あるいはそれ以上の車輪の自転車を提供することができる。追加的な車輪は、訓練を助けるための一対の後方安定車輪を有する一輪車から形成されるトライク(trike)構成、あるいは、自転車後部に取り付けられた一つ又はそれ以上の車輪を有するジョイント結合のトレーラを有する前記の二輪車構成などの多数の構成を提供することができる。さらに、追加的な車輪は、他の車輪と同一である必要はなく、異なるサイズ、タイプ及び/又は取り付けタイプ、例えば、スケートボード・トラック・タイプ(skateboard truck type)の構成を介して取り付けられた車輪とすることができる。容易に理解されることとして、前記実施形態は、単なる一例であり、多様な代替構成が可能である。
【0172】
このように、本発明は、便利な都市運搬が可能な折り畳み自転車を提供し、これは、ユーザ又はその衣服にからむという危険を小さくしつつ、運搬及び保管のために小型の体積に折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0173】
本発明のさらなる態様が後続の説明から明らかになるであろう。この説明は、単に例としてのみ与えられており、かつ、以下の添付図面を参照している。
【図1】折り畳み自転車の形態における本発明の好ましい実施形態についての側面視を示す。
【図2】従来の現代的自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図3】ペニーファージング自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図4】小型ペニーファージング(「ミニ・ファージング」)自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図5】他の既知のペニーファージング自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図6】図1の自転車の側面視と、自転車寸法とを示す。
【図7a−7c】 異なる操舵の角度を持つ図1の自転車の側面視を示す。
【図8a及び8b】図1〜5に示された乗員よりも小さい、及び大きい乗員についての側面視をそれぞれ示す。
【図9】図1の自転車の側面視と折り畳み軸とを示す。
【図10a】 起立構成におけるステアリング機構と座席とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【10b】 折り畳み構成におけるステアリング機構と座席とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図11a】起立構成におけるハンドルバーと足置きとを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図11a】折り畳み構成におけるハンドルバーと足置きとを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図12】 起立及び折り畳み構成の間を移動する前輪と後輪とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図13】折り畳み構成における前輪と後輪とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図14a−14e】起立構成における図1の自転車についての正面視、背面視、側面視、平面視及び底面視をそれぞれ示す。
【図15a−15e】折り畳み構成における図1の自転車についての正面視、背面視、側面視、平面視及び底面視をそれぞれ示す。
【図16a−16b】折り畳み構成における自転車を運ぶ乗員についての、側面視及び背面視をそれぞれ示す。
【図17a−17f】図1の自転車についての、起立構成(図17a)から折り畳み構成(図17e)までの折り畳み手順の側面視を示す。
【図18a−18f】図1の自転車についての、起立構成(図18a)から折り畳み構成(図18e)までの折り畳み手順の平面視を示す。
【図19a−19f】図1の自転車についての折り畳み手順の側面視と、前輪及び後輪についての縦方向及び長手方向の境界平面とを示す。
【図19g−19l】図1の自転車についての折り畳み手順の平面視と、前輪及び後輪についての横方向及び長手方向の境界平面とを示す。
【図20a−20f】図1の自転車についての折り畳み手順の平面視と、前後輪及びフレームについての横方向及び長手方向の境界平面とを示す。
【図20g−20l】図1の自転車についての折り畳み手順の正面視と、前後輪及びフレームについての横方向の境界平面とを示す。
【図21a−21f】図1の自転車についての、折り畳み手順における様々な段階での底面視を、前後輪及びフレームについての横方向の境界平面と共に示す。
【図21g−21l】図1の自転車についての折り畳み手順の背面視と、前後輪及びフレームについての横方向の境界平面とを示す。
【図22a−22c】図1の自転車で使用するためのステアリング機構の変形を示す。
【図23a−23e】図1に示す自転車ステアリング機構との比較における、代替的なステアリング機構の位置についての側面を示す。
【図24a−24b】図1の自転車で使用するための、代替的な「縦方向」ステアリング機構をそれぞれ示す。
【図25a−25b】本発明の二つのさらなる実施形態による自転車フレームについての象徴的な表現を、図1の自転車との比較において示す。
【図26】本発明の他の実施形態による自転車を、図1の自転車との比較において示す。
【図27a−27e】車輪サイズの変形例を有する、図1の自転車の側面を示す。
【図28】本発明のさらに他の実施形態による自転車を、図1の自転車との比較において示す。
【図29】図1の自転車の前輪ベアリングの側面を示す。
【図30a−30b】図1の自転車で使用する前輪についての、側面と対応する断面とを、それぞれ示す。
【図31a−31c】図1の自転車で使用するための、外部動力の、ユーザ動力の、並びに外部及びユーザ動力の駆動機構をそれぞれ示す。
【図32a−32b】図1の自転車で使用するための、「ペダル補助」駆動機構の側面及び正面をそれぞれ示す。
【図33】本発明の他の実施形態による折り畳み自転車を示す。
【図34a−34c】図33の自転車を折り畳む手順における側面を示す。
【図35a−35c】本発明の他の側面による自転車についての三つの実施形態を示す。
【図36a−36b】図33の自転車で使用するための、ユーザ動力ペダル駆動機構の側面及び正面をそれぞれ示す。
【図37】自転車におけるユーザ動力駆動機構で使用するための伝動システムについての、一つの可能な実施形態の側面を示す。
【図38a−38c】本発明の他の側面による一輪車の三つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0174】
図1〜21は、本発明の好適な代表的実施形態による自転車(cycle)(1)を示す。
【0175】
広義では、乗員(11)のための自転車(1)は、以下を備えるフレーム(2)を有する:
・フレーム前方部分(3)、
・フレーム後方部分(4)、
・フレーム前方部分(3)に取り付けられた前輪(5)
・フレーム後方部分(4)に取り付けられた後輪(6)
・フレーム前方部分(3)に回旋可能に取り付けられ、かつ、前輪(5)を回転可能なように保持するフォーク(7)の形態のステアリング部材
・ハンドルバー(9)及びステム(10)の形態で提供されるステアリング機構(8)
・前輪(5)に取り付けられた足置き(12)
・及び座席(13)。
【0176】
自転車(1)は、使用において、自然な向きを有しており、例えばフレーム(2)は、自転車走行の前後方向の向きに沿う実質的に長手方向の軸(14)とこの長手方向の軸(14)に直交する横方向軸(15)とを有する縦方向平面内において直立となっている。
【0177】
座席(13)は、座席台(seat mounting)を介して、フレーム前方部分(3)に取り付けられている。理解されることとして、図面に示される本実施形態では、座席(13)が、フレーム(2)に固定されているけれども、座席は、多数の現在の自転車座席配置と同様な方法で、座席ポストあるいは台に取り外し可能に取り付けることができる。
【0178】
必須ではないが、図1〜36に示された実施形態では、自転車(1)は、前輪(5)及び後輪(6)をフレーム(2)と互いに接近するように再配置することによって、起立した乗車構成から、折り畳まれた構成に折り畳み可能である。座席(13)、ハンドルバー(9)、及びステアリングフォーク(7)も、フレーム(2)と相互に接近するように再配置可能であり、これによって、自転車(1)によって占められる全体的な体積を減らすことができる。自転車を折り畳む方法は別途に詳細に説明される。
【0179】
前輪(5)は、ステアリングフォーク(7)の形態で提供されるステアリング部材に取り付けられる。前輪(5)は、第1の面内で、一次軸(17)を中心として回転可能であり、ステアリングフォーク(7)は、一次軸(17)に直交する二次軸(18)を中心とした回転のために、フレーム前方部分(3)に、回旋可能なように取り付けられている。後輪(6)は、フレーム後方部分(4)回転可能に取り付けられており、第3の面内で、三次軸(19)を中心として回転可能となっている。フレーム(2)は、前輪(5)の少なくとも一部と組み合う寸法とされた、実質的にU字状の断面を持つ実質的に弓形の部分(20)を有している。後輪(6)は、前輪(5)よりも小さな径を有しており、後輪を前輪の開口(39)に挿入できるようになっている。
【0180】
前輪(5)は、地面に接触する(engaging)環状タイヤ(73)と、タイヤ(73)を取り付ける、回転可能なリム部(74)とを含む。
【0181】
使用者が操作可能なステアリング機構(8)が提供され、これは、二つの末端を有する構成とされたステム(10)を介してステアリングフォーク(7)に接続された一対のハンドルバー(9)を含む。ステム(10)は、一方の末端において、ステアリングフォーク(7)に取り付けられ、他方の末端において、一対のハンドルバー(9)に取り付けられる。ステム(10)及び接続されたステアリングフォーク(7)を介したハンドルバー(9)の回転は、前輪(5)を回転させ、移動中における乗員(11)のステアリング入力を実行する。一対のハンドルバー(9)は、ステム(10)の両側において横方向に対称に配置されたツインバー(twin bar)の形態で形成されている。
【0182】
駆動機構(38)は、電動モータの形態で提供されている(図31において概略的に(82)として示されているが、図1では、前輪の中央ハウジング(76)によって隠されている)。電動モータ(82)は、伝動システムを介して前輪(5)に、操作可能なように接続されている。
【0183】
足置き(12)は、自転車が動作している時に乗員の足を支持するために、前輪(5)の両側に配置されている。
【0184】
自転車(1)は、自転車(1)の動作時に、乗員が、足置き(12)と、ハンドルバー(9)を介してステアリングフォーク(7)とに操作可能に触れている状態で、座席(13)に乗員が着座できるように構成されており、さらに、自転車(1)の停止時に、着座した乗員の足(28)を地表面に着けることができるようになっている。明らかなこととして、自転車(1)は、停止時及び動作中において、実質的に胴体の傾斜がなく、ストレスのない、実質的に直立した姿勢で、乗員(11)を支持するように構成される。
【0185】
直立した、ストレスのない乗員位置は、典型的な現行及び歴史的な自転車とは大きく異なる。従来の自転車では、乗員は、ステアリング機構に作用する乗員体重の一部に耐えることが必要である。図2〜5は、本発明の一実施形態を表すファントム像に重畳された、関連する従来自転車構成のスペクトラムを示す。図2〜4に示される乗員(11)は、図1及び全図面(図8を除く)と同じであり、これにより、寸法的な相違についての比較を、フレーム及び車輪のレイアウトの相違と同様に、描写することができる。
【0186】
マウンテンバイク、ツーリングバイク、及び他のカテゴリは、乗員のスタンスにより微妙に変化するけれども、図2に示す現代のロードレース自転車(22)は、最近の自転車フレーム構成を代表している。非レカンベント自転車のための、図2に示される従来の乗車位置は、乗員を、傾斜した胴体のスタンスに置き、このとき、乗員は、頭を低くして部分的にかがむ。図1に示す本実施形態の乗車位置とは反対に、現在の乗車位置(図2)は、減少した空気抵抗による高速化に最適化されている。しかしながら、このことは、結果的に、乗員の肉体への負荷を増し、そして、乗員による周囲への注意力と、他の交通への路上での存在感を減らす。反対に、自転車(1)の乗員は、人間工学的にバランスされ、ストレスのない安定した乗車姿勢に置かれ、このとき、乗員の足は、使用者の尻の下方及び/又は背後に配置されるのではなくて、前輪足置き(12)又はペダルに向けて前方に延びる。従来の乗車姿勢(図2)に比較して、この直立した乗員姿勢は、都市交通のために、以下を含む多数の利点を提供する:
・乗員(11)にとって、良好な視界と、高い視線;
・他の道路使用者に対して、より高い視覚的認識あるいは存在を提示すること;
・筋骨格的な負担の軽減、及び
・安定して自然な位置で、乗員の足(28)を尻(48)の前方に置き、これにより、必要とされる最小の座席高さを減らして、重心を低くし、安定性を改善すること。
【0187】
自転車(1)は、後輪(6)よりも大きな前輪(5)を有しており、それは、現在の自転車設計とは著しく異なったフレーム/着座構成であって、最も近い乗車姿勢は、20世紀初めからのペニーファージング設計で示されている。このようなペニーファージング自転車(23)の一例は、自転車(1)との比較において、図3に示されている。しかしながら、前記したように、既知のペニーファージング自転車性設計に固有の多数の問題があり、このために、それらは、現代の通常の自転車において使用できなくなっている。反対に、自転車(1)は、着座した乗員の足が地面に接触できる寸法とされた車輪(5,6)とフレーム(2)とを有する構成なので、「ペニーファージング」設計における前記した問題は、減少し、あるいは、解消する。
【0188】
前輪(5)に足置き(12)を配置することにより、安定性と、相互的な乗員の関与と、触覚的フィードバックとは大幅に向上する。さらに、乗員(11)が足置き(12)を使用することにより、前輪(5)の操縦を補助することができ、あるいは、乗員が両手を自由にしたいのならば、足置きを、単独の操縦入力として使用することができる。
【0189】
ペニーファージング設計における小型化された近代的変形(24)が、自転車(1)との比較において、図4に示されており、前輪のサイズを減らすことによって、伝統的なペニーファージング自転車におけるいくつかの問題の軽減が図られており、これにより、乗員(11)は、その足(28)を地面に着けることができる。しかしながら、欠点は以下を含む:
・自転車は折り畳み可能ではない;
・操舵軸角は急である(より小さい、あるいは「緩い」操舵軸角を有する大きな車輪を使って曲がる努力を避けるためであろう)
・ステアリング機構のハンドルバーは、乗員の座席の前方でかつ上方に配置されている、そして
・駆動機構は、前輪の中心軸を通って取り付けられたクランクである。
【0190】
他の一層近代的なペニーファージングの変形設計(25)が図5に示されている。ここでは、フルサイズのペニーファージングよりも緩い操舵軸角と、小さい前輪とを組み込んでいる。しかしながら、平均的な乗員にとっては、これは、停止時に両足を地面に置くには高すぎ、図4に示す自転車について前記した他の欠点の全てを有している。
したがって、ステアリング部材に接続されたステアリング機構の配置は、乗車位置の問題に特に関係する。他の関係する構成パラメータは以下を含む:
・座席(13)から容易にアクセスできる距離内に、手動操作されるステアリング機構(8)を配置すること;
・乗員の股下長さを超えない、座席高さ;
・乗員の足(28)との干渉あるいは乗員の足の離脱無しでの前輪のステアリング動作を可能とする、座席位置からの足置きの距離。
【0191】
典型的な人間の身体が、四肢や身体の特徴や要素の比率に関して、何らかの相互関係を有することは広く確立されている。人間の形態やサイズにおける自然な変化に拘わらず、これらの相互関係は、自転車人間工学の最適化のために、設計パラメータとして使われて、大多数の人間の身体フレームに適合することができる。前記したように、前輪足置きを用いる本発明の種々の実施形態において、座席(13)と足置き(12)との間の明らかな身体的関係が存在する。
【0192】
図6〜8は、乗員(11)と、自転車(1)のフレーム−車輪相互関係の重要パラメータとの間の相互関係、特に、乗員(11)と座席(13)とに対する二次軸あるいは「操舵軸(steering axis)」(18)の位置を示す。
【0193】
最大の座席高さは、乗員の股下長さで制約されるので、座席(13)からの足置き(12)の距離は、乗員の股下長さよりも大きくない半径内になければならない。本発明の利点として、操舵軸(18)を、乗員の胴(26)及び四肢を通るかそれに十分近い角度に配置できる。従来の自転車では、図2〜5に示されたように、明らかに、操舵軸は、直立した乗員の胴(26)から離れた位置にある。乗員(11)が、その頭部(27)又は胸上部の領域の近くを操舵軸が通るように十分に傾斜するとしても、足(28)、ひざ(29)及び胴体(26)を含む乗員の身体の残部は、相当に離れた状態にある。もし乗員(11)が直立して、ストレスのない背骨の姿勢で座っていたとするならば、操舵軸(18)は、乗員(11)に交差しない。
【0194】
図6は、操舵軸(17)が乗員の足(28)、ひざ(29)、手(30)及び最終的に胴体(26)を通るように接近し、肩(31)を通って延びたときの側面視を示す。図8は、乗員がかなり異なった身長であったとしても、操舵軸(18)が依然として乗員の四肢と胴体(26)とに近接している様子を示す。さらにそれは、固定高さの座席(13)により、異なるサイズの乗員が、調整の必要なしで自転車(1)を使うことができることも示している。
【0195】
操舵軸角θは、自転車における自転車操舵幾何学についての、影響力のあるパラメータであり、自転車のハンドリング、安定性及び応答性について直接の影響を持つ。一実施形態において考えられることとして、要求される能力とハンドリング特性とを維持するための後方に傾いた操舵軸角θの可能な範囲は、地表面の平坦な水平面から測定して70(±10)°の範囲の操舵角θである。図7a〜7cは、60°から80°までの間で10°ずつ増加する操舵軸角の値を有する自転車(1)を示す。
【0196】
人間工学的な要求として、着座した乗員がその足(28)を前輪足置き(12)に載せることができる必要がある場合は、このことは、座席(13)と、前輪(5)したがって操舵軸(18)との間における長手方向の分離距離を制約する。
【0197】
最大座席高さと乗員の股下長さとの間には、直接の関係がある。同様に、座席(13)の高さと、座席(13)と操舵軸(18)との距離との両者に関して、前輪足置き(12)と座席(13)との最大距離には相互的な関係が存在する。参照点として、着座した乗員は、乗員の骨盤及び脊椎を通る縦方向線(32)で表現されるとみなし、あるいは代替的に、座席の後端における縦方向線(33)で表現されるとみなすことができる。
【0198】
理解されることとして、座席高さY1と操舵軸角θ=70°とが与えられれば、縦方向線(32)からの操舵軸(18)の水平方向距離X1は、約0.24Y1に等しい。したがって、操舵軸(18)との交差(32)への、線(32)の縦方向高さY2は、幾何学的に、以下の式で与えられる:
Y2=0.24Y1tanθ+Y1 −1)
【0199】
さらに、地表面(36)との操舵軸(18)の交差(35)と、線(32)との間の水平方向距離X3は、以下の式で与えられる:
X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1) −2)
【0200】
したがって、一側面によれば、本発明は、70°(±10°)の二次軸角と、前記二次軸(18)と地表面(36)との交差(35)からの水平距離X 3 (±20%)において乗員の直立した胴体に耐えるように配置された自転車座席(13)とを有する自転車(1)を提供し、ここで、X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1)であり、Y1は縦方向での座席高さである。
【0201】
座席後端における代替的な参照線(33)を考慮すると、前記座席端部(33)からの、操舵軸(18)についての対応する水平方向での距離X2は、約0.28Y1に等しい。
【0202】
操舵軸(18)と地表面(36)との交差(35)と、座席後端(33)との間の水平方向距離X4は、X4=tanθ/(0.28Y1tanθ+Y1)で与えられ、ここでθは操舵軸角、Y1は縦方向の座席高さである。
【0203】
乗員の身長、着座位置及び個人的なスタイルが様々であることを考慮すると、さらなる実施形態では、操舵軸と前記地表面との交差と、線Y 1 との間の水平方向距離X 4 は、±20%の範囲で可変であり、これは図7に例示されている。
【0204】
後輪よりも比較的に大きい前輪を持つペニーファージング構成は、実用的な、都会向けのミニ・ファージング自転車にとって、多くの利点を提供する。本発明は、ミニ・ファージング構成を、以下に関係して有利に使用する:
−折り畳み自転車の構成;
−既定のステアリング機構、例えば座席下のステアリング;
−外部駆動機構、例えば電気的駆動、及び
−ハブ無し車輪構成。
【0205】
これらの特徴あるいは能力のそれぞれは、以下に説明するように、図9〜38にわたって図示されている。
【0206】
したがって、本発明における別の実施形態によれば、前記したような自転車(1)が提供され;
−ここで、前記前輪(5)は、前記後輪(6)より大きい径とされており;
以下のうちの少なくとも一つを含むように構成されている:
−前記車輪(5)(6)を、互いに接近するように動かすことによって、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳み可能とされていること;
−実質的に妨害とならず、あるいは邪魔にならない領域を、乗員の脚(37)の前方に提供できるように構成されかつ配置された、手動操作可能なステアリング機構(8);
−少なくとも一つのハブ無し車輪(5);及び/又は
−前輪及び/又は後輪(6)に操作可能に接続された、少なくとも一つの、外部動力の駆動機構。
【0207】
前記したように、本発明は、ハブ無し前輪(5)(図1に示されている)、外部動力の駆動機構(38)(図31に示す)及び/又は後輪駆動機構に関係して、ミニ・ファージング構成を有利に使用することができる。ハブ無しの前輪(5)は、自転車の要素を詰め込める収容体積を提供する手段として、自転車の小型化との組み合わせにおいて、特に有利である。ハブ無しの前輪は、必須ではないが、図1〜38に示す自転車(1)の前輪(5)にあるような、車輪中央の穴で形成することができる。
【0208】
収容の可能性に加えて、車輪中央の穴(39)により、駆動機構(単数又は複数)及びサスペンション構成部品等は、車輪の平面を通ることができる。
【0209】
注記すべきこととして、ここに記載されたミニ・ファージング実施形態(後輪よりも大きい前輪を有するもの)のそれぞれは、前輪(5)に少なくとも一つの足置き(12)を有するように構成することができ、及び/又は、着座した乗員(11)が、自転車の停止状態において、着座した乗員の両脚で地表面(36)に届くことができ、自転車の移動状態において、ステアリング機構(8)と足置き(12)とに届くことができるように構成することができる。
【0210】
上記したように、自転車(1)は、前輪(5)、後輪(6)、座席(13)、ステアリング機構(8)、足置き(12)及びステアリング部材(7)がフレーム(2)に相互に接近するように再構成することによって、起立した乗車構成から、折り畳まれた構成に再構成されることが可能である。
【0211】
図8〜13は、自転車(1)についての第2の好ましい実施形態と、折り畳み軸が位置し、起立構成と折り畳み構成との間における再構成において様々な自転車部品が折り畳まれる回転中心となるポイントとを示す。
【0212】
第1の折り畳み軸(40)(図9に示す)は、前輪(5)がステアリングフォーク(7)に旋回可能に接続される場所に配置され、これにより、前輪(5)及びフレーム(2)は、相互的に回旋可能となっている。第1の折り畳み軸(40)は、前輪(5)の幾何学的な中心を通り、前輪(5)の回転中心となる一次軸(17)に平行である。
【0213】
第2の折り畳み軸(41)は、後輪(6)とフレーム(2)との間の接続に配置されており、後輪(6)は、フレーム(2)に対して回旋して、フレーム(2)と前輪(5)とに相互に接近できるようになっている。第2の折り畳み軸(41)は、第1の折り畳み軸(40)と平行な方向に向けられており、後輪の再配置は、第2の折り畳み軸(41)をを中心とした、縦方向平面内での回旋と、後輪(6)の直線的な並進との組み合わせにより実行される。
【0214】
第1(40)及び第2(41)の折り畳み軸と、対応する前輪(5)及び後輪(6)の回旋が、図9〜13に示されている。座席(13)とステアリング機構(8)とは、第3の折り畳み軸(42)を中心として共に回旋可能となっており、第3の折り畳み軸は、座席(13)のための台に配置され、台は、フレーム(2)に対して座席(13)を回旋可能とする回旋用の連結を含んでいる。図6で示したように、ステアリング機構(8)は、ステム(10)の回旋中心となるユニバーサルジョイント(50)を含む。図10は、起立(図10a)構成から折り畳み(図10b)構成への座席(13)及びステアリング機構(8)の再配置を示す。
【0215】
第4の折り畳み軸(43)は、ステアリング機構におけるハンドルバー(9)とステム(10)との間の連結に配置されており、ステム(10)の長手方向軸に実質的に平行な、あるいはそれと同軸となる方向に向けられており、ハンドルバー(9)が縦方向平面内で起立構成(図11a)から、図11bに示す折り畳み構成に回旋できるようにしている。図11a及び11bは、対応する第5の折り畳み軸(44)を中心とした足置き(12)の再配置も示す。第5の折り畳み軸は、前輪(5)の平面内で、水平方向に配置されている。
【0216】
図12は、前輪(5)の内部に再配置された後輪(6)と、影としての起立した自転車(1)とを示しており、図13は、折り畳まれた構成の自転車(1)における前輪及び後輪の配置を示す。
【0217】
図9は、起立構成における前輪(5)、後輪(6)、自転車の座席(13)/ステアリング機構(8)及びハンドルバー(9)をそれぞれ維持するラッチ(45)の代表的な位置をさらに示し、このラッチは、解放可能となっていて、前輪(5)、後輪(6)、自転車の座席(13)/ステアリング機構(8)及びハンドルバー(9)のそれぞれが、第1(40)、第2(41)、第3(42)及び第4(43)の折り畳み軸を中心として回旋できるようになっている。理解されることとして、乗員の足による押圧が、運行中の起立構成(図11a)での足置き(12)を維持するのに十分と考えられるので、足置き(12)はラッチを必要としないだろう。座席(13)とステアリング機構(8)とを一緒に回旋させることにより、単一の保持ラッチ(45)を使用することが可能になる。
【0218】
図14a〜14e及び15a〜15eは、自転車(1)についての、第1の好ましい実施形態を、起立(図14a〜14e)及び折り畳み(図15a〜15e)の構成において示す。図1〜17における第1実施形態の折り畳み軸(40,41,42,43,44)は、図8〜13に示す第2実施形態におけるそれらのものと一般的に類似しており、自転車(1)の直立状態で、後輪(6)の折り畳み軸となる第2折り畳み軸(41)が、縦方向平面内で水平方方向に対して約60°の角度に向けられている点においてのみ相違する。
【0219】
この第2折り畳み軸(41)により、後輪(6)は、自転車(1)の長手方向平面から離れるように回旋し、その後自転車(1)の当該平面に戻り、前輪(5)の開口(39)に挿入されるという再配置が可能である。この第2折り畳み軸(41)は、自転車(1)が折り畳み構成である場合の図15において、より明瞭に示される。
【0220】
図15に示された折り畳み構成の場合は、自転車(1)は、非常に小さい体積を占め、したがって、乗車しないときの運搬及び保管が容易となる。大人の乗員(11)に比較した自転車(1)の大きさは図16に示された代表的な図面に示されており、ここでは、乗員(11)が立っており、自転車(1)に取り付けられたストラップ(150)によって自転車(1)を運んでいる。
【0221】
起立乗車構成及び折り畳み構成の自転車(1)によって占められる体積は、自転車の先端に触れる平面状の側部を有する立方形状の「箱」体積(cuboid 'box' volume)で規定できる。比較可能な立方体積(cuboid volume)は、車輪(5,6)、ステアリング機構(8)、及びフレーム(2)アセンブリを含む多くの自転車部品それぞれを規定可能である。箱の側部を構成する平面位置の変化についての比較は、体積の変化だけでなく、折り畳まれた自転車形状の姿をも定量化する。図17〜21に示されるように、自転車(1)を、相互に直交する、平行した対の、縦方向及び水平方向平面によって、体積的に特定することができ(自転車(1)が直立配置のとき)、自転車(1)並びに前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)、座席(13)、及びフレーム(2)のぞれぞれの長手方向、横方向及び縦方向の末端に配置される対向する長手方向、横方向及び縦方向の境界平面を画定する。一実施形態では、前輪(5)及び後輪(6)についての長手方向、縦方向及び横方向の境界平面は、それぞれ、前輪(5)と後輪(6)のそれぞれに組み込まれた、地面に接する環状タイヤの横方向、縦方向、及び長手方向の先端によりそれぞれ特定される。
【0222】
好適な一実施形態によって起立構成から折り畳み構成に自転車(1)が再構成される手順は、側面及び平面において、図17及び18にそれぞれ示される。
【0223】
先に述べたように、自転車(1)は、ステアリング機構(8)、前輪(5)、後輪(6)、座席(13)とフレーム(2)とを、相互に接近するように回旋させることによって、起立乗車構成から折り畳み構成に折り畳み可能な構成とされている。
【0224】
理解されることとして、それぞれの自転車要素が再配置される手順は変化可能である。しかしながら、自転車(1)を折り畳むための好適な一実施形態では、図17〜18に示されるように、次の手順を含む:
1)第5の折り畳み軸(44)を中心として足置き(12)を回旋させて、組み込み凹部(16)に挿入し、前輪表面と実質的に同一平面になるように配置すること。しかしながら、理解されるべきこととして、このステップは、自転車(1)を折り畳むのに必須ではないが、足置き(12)を折り畳むことは、乗員が自転車(1)を運ぶときの乗員との干渉の可能性を減らす。
2)前輪(5)とフレーム(2)とを、第1の折り畳み軸(40)を中心として共に回旋させ、前輪(5)における長手方向(104)及び横方向(106)の境界平面が、フレームの横方向(111)及び長手方向(110)境界平面の間の領域にそれぞれ重なるようにすること。前輪(5)とフレーム(2)とは、共に回旋され、これにより、前輪(5)の一部を、フレーム(2)の下面において提供された弓形状の凹部(69)に挿入できる。
3)後輪(6)とフレーム(2)とを、第2の折り畳み軸(41)を中心として共に回旋させ、これにより、後輪(6)における横方向(109)及び長手方向(107)の境界平面を、前輪の横方向(106)及び長手方向(104)の境界平面の間の領域に、そしてしたがって、フレームの横方向(103)及び長手方向(101)の境界平面にそれぞれ重ねること。
4)ステアリング機構(8)とフレーム(2)とを、第3の折り畳み軸(42)を中心として共に回旋させ、これにより、ステアリング機構(8)のステム(10)を、フレーム(2)における長尺状スロット(70)の内側に配置し、これにより、ステアリング機構(8)と取り付けられたステアリングフォーク(7)とが第2の軸(18)を中心としてフレーム(2)に対して回転しないようにすること。
5)ステアリング機構のハンドルバー(9)を、第4の折り畳み軸(43)を中心として、フレーム(2)に向けてともに回旋させること。両方のハンドルバー(9)は、第4の折り畳み軸(43)を中心として回旋し、かつ、フレーム(2)における組み合うフレーム・ハンドルバー凹部(71)に挿入されることによって、フレーム(2)に相互にさらに近づくように再配置が可能である。ハンドルバー(9)は、フレーム・ハンドルバー凹部(71)内に保持され、そしてこれにより、後輪(6)が折り畳み位置から解放されることを防ぐ。
【0225】
代替的に、自転車(1)は、ステップ2と3とを、あるいは、ステップ3と4とを交換することによっても、折り畳み可能である。
【0226】
自転車(1)は、ステアリング機構(8)を凹部(70)に初めに回旋させて入れることにより、あるいは、前輪(5)を対応するフレーム凹部(69)に初めに回旋させて入れることにより、折り畳み中に、操舵軸(18)を中心として前輪(5)が回転しないように構成される。理解されることとして、もし、前輪(5)とステアリングフォーク(7)とが、操舵軸(18)を中心として自由に回転できるのであれば、自転車(1)の安定性は、折り畳み工程の間、損なわれる。したがって、ステアリング機構(8)及び/又は前輪(5)の少なくとも一部を、フレーム(2)における対応する組み込み凹部(70)に挿入することは、前輪(5)を固定して、このような不意の回転を防ぐ。
【0227】
図17及び18で分かるように、これらの方法を使って自転車(1)を折り畳み構成に再配置することにより、前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)及びフレーム(2)の全てを、互いに接近するように再配置することができ、しかも、自転車の横方向(103)、長手方向(101)及び縦方向(102)の境界平面間の一定の、あるいは減少した距離を維持することができる。さらに、前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)、座席(13)及びフレーム(2)は、全て、互いに接近するように再配置でき、これにより、長手方向(101)、横方向(103)及び縦方向(102)の自転車境界平面は、減少した体積立方(volume cuboid)を画定することができる。
【0228】
足置き(12)を、前輪(5)の平面に実質的に直交する方向に延びる乗車位置に個別に配置することができ、あるいはそれは、直立するように折り畳まれ、組み込み凹部(16)に挿入されて、前輪表面に実質的に一致することができる。これらの足置き(12)は、共に回旋可能なようにギヤ連結されており、どちらかの足置き(12)を動かすことによって、一緒に上昇及び下降できるようになっており、これによって、足置きを個別に折り畳むことに比べて、自転車(1)を折り畳むのに必要なステップ数を減らすことができる。
【0229】
自転車(1)は、回旋あるいはヒンジだけを利用することによって、様々な自転車部品の伸縮あるいはスライドの相互動作(inter-movement)を用いずに、起立乗車構成から折り畳み構成に折り畳まれるように構成されている。
【0230】
図17は、さらに、自転車(1)における縦方向(102)及び長手方向(101)の境界平面の対を、折り畳み手順の各ステージにおいて示す。図17a〜17fの進行から分かるように、縦方向境界平面(102)間の距離と、長手方向境界平面(101)間の距離とは、自転車(1)が起立構成(図17a)から折り畳み構成(図17f)に再構成されたときに、かなり減少する。
図18a〜18fは、図17a〜17fと同じ手順を、平面視において示し、そして、横方向境界平面(103)間の距離の減少と長手方向境界平面(101)間の距離の減少とを示す。理解できることとして、前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)、座席(13)、及びフレーム(2)を、折り畳み軸(40,41,42)を中心として回旋させることで相互に接近するように再配置することによって、長手方向(101)、横方向(103)及び縦方向(102)の自転車境界平面は、減少した体積立方を画定する。さらに理解されることとして、前記自転車部品の二つのみを再配置することによって、結果としての、自転車境界平面で規定される立方体積も減少する。
【0231】
図19a〜19fは、自転車折り畳み手順の間における、前輪(5)及び後輪(6)についての縦方向(105,108)及び長手方向(104,107)の境界平面を示す。自転車(1)は、折り畳み時における前輪(5)及び後輪(6)を互いに接近させる再配置が、後輪(6)における縦方向(108)及び長手方向(107)の境界平面を、前輪の縦方向(105)及び横方向(104)の境界平面のそれぞれの間における領域に配置するように構成されている。さらに、図19g〜19lから分かるように、自転車(1)は、前輪(5)及び後輪(6)が互いに接近する再配置が、後輪(6)における両方の横方向境界平面(109)を、前輪横方向境界平面(106)の間の領域に配置するように構成されている。折り畳まれた構成では、後輪(6)は、前輪(5)における縦方向(105)、長手方向(104)及び横方向(106)の境界平面の範囲に完全に含まれ、そしてそれにより、車輪(5,6)は、前輪(5)自体と同じ体積立方を集合として画定する。
【0232】
図20a〜20fは、折り畳み手順における自転車(1)の平面視を示し、図20g〜20lは、正面図を示す。さらに、図20a〜20lは、前輪(5)及びフレーム(2)における横方向境界平面(106,111)を示す。容易に理解できることとして、前輪(5)とフレーム(2)とを相互に接近するように再配置することは、前輪(5)の両方の横方向境界平面(106)が、フレームの横方向境界平面(111)間の領域に重なることになる。たしかに、折り畳み手順の各ステージでは、前輪の横方向境界平面(106)は、フレームの横方向境界平面(111)間の領域に重なる。
【0233】
図21a〜21fは、折り畳み手順における自転車(1)の底面視を示し、図21g〜21lは背面を示す。図21a〜21lの場合と同様に、図22a〜22lは、フレームの横方向境界平面(111)間の領域に重なる、後輪の横方向境界平面(109)を示す。
【0234】
前記したように、自転車のステアリングは、以下のような広いカテゴリに再分割することができる;
・座席の上方−直接;
・座席の上方−非直接;
・座席の下方−直接、及び
・座席の下方−非直接。
【0235】
図2に示すような従来の通常の自転車は、前輪フォークに取り付けられたハンドルバーを有する、座席上方の直接ステアリングを用いている。
【0236】
反対に、図1〜21に示される第1及び第2の実施形態の自転車では、自転車(1)は、座席(13)の下方及び後方に配置されたハンドルバー(9)とステム(10)とを含むステアリング機構(8)を有する、「座席下方」「直接」ステアリング構成を有する。しかしながら、必要な程度の前輪(5)の回転を生じるために、ハンドルバー(9)によって、操舵軸(18)へのステム(10)の末端(46)において描かれる弧は、ある程度の乗員にとっては不快な長さになるかもしれない。したがって、図1〜21に示されるような実施形態では、ハンドルバー(9)は、各ハンドルバー(9)の外端から延ばされる外側端部あるいは「バーエンド・ハンドグリップ」(46)を含むように延ばされており、乗員の腿及び/又は臀部の外側あたりを通るように向けられる。このハンドルバー構成は、ステアリング動作範囲全体にわたって、バーエンド・ハンドグリップ(46)を乗員(11)に接近させる。第1及び第2の実施形態におけるハンドルバー構成は、ハンドルバー(9)を、最も広範囲な身長の乗員(11)によるアクセスのために理想的な位置に配置することになる。
【0237】
従来の自転車と同様に、バーエンド・グリップ(46)の端部は、ブレーキ、スロットル(外部動力の実施形態のため)、照明等の自転車制御を行うのに便利な位置を提供する。
【0238】
ステアリング機構(8)において、操舵軸(18)に直接に取り付けることに代えて、長尺のステム(10)を使用することは、ハンドルバー(9)の位置を、乗員(11)の近くに移動させる効果を持つ。これにより、人間工学的に一層効果的なステアリング入力を行うことができ、しかも、乗員によるステアリングフォーク(7)及び前輪(5)への手動ステアリング入力における回転動作の伝達のために、簡単で信頼性がある構成を提供することができる。自転車(1)の動作時にステアリングフォーク(7)(ハンドルバー(9)とステム(10)とを介して)と足置き(12)とに動作可能なように接触している、座席(13)に座った乗員(11)は、胴体(26)の傾斜がない、実質的に直立した姿勢に配置される。しかも、この構成では、着座した乗員(11)の両足(28)は、自転車(1)の停止時に、地表面(36)に同時に到達することができる。
【0239】
ハンドルバー(9)(バーエンド・グリップ(46)を含む)は、乗員が適切なトルクをステム(10)とステアリングフォーク(7)とに提供できるほど十分に、乗員の胴体幅の外側に延びることにより、自転車(1)を操縦できるようになっており、さらに、乗員の手(30)が簡単に届く範囲内とされている。明らかなこととして、このハンドルバーの配置は、胴体(26)の両側においてストレスのない位置にある乗員のリラックスした腕による操作のために非常に自然な位置を提供する。さらに、ハンドルバー(9)は、乗員のすね(47)の後方であってかつ乗員の腿(48)の下方に配置される。ステアリング機構(8)は、実質的に妨害しない領域を、乗員の脚の前方に有する自転車(1)を提供する。したがって、乗員(11)がその両足(28)を足置き(12)に載せたとき、ステアリング機構(8)は、乗員の体全部の下方及び後方に配置され、そしてこのために、自転車(1)への乗車及び降車を妨げ、及び、衝突あるいは急減速の際に絡みつく危険を提供するかもしれない妨害あるいは障害が乗員の脚の前方に無いことが保証される。
【0240】
前記したように、ステアリングは、足置き(12)及び/又は前輪(5)の側部に向けて乗員が押してステアリング入力を供給することによって、部分的にあるいは完全に影響される。しかしながら、予期されるように、ステアリングのために足置き(12)を単独で使用することは、ハンドルバー(9)を使うことに比べて、かなりの器用さと力とを必要とする。
【0241】
ハンドルバー(9)、ステム(10)及び座席(13)は、操舵軸(18)から離された第3折り畳み軸(42)を中心とした回転のために、フレーム(2)に中心的に取り付けられており、このことは図14にさらに明瞭に示されている。ハンドルバー(9)は、操舵軸(18)からハンドルバー(9)に延びるステム(10)によりステアリングフォーク(7)に接続されている。ステム(10)は、フレーム(2)内に囲まれたユニバーサルジョイント(50)によりステアリングフォーク(7)に接続されている。このユニバーサルジョイント(50)は、バーエンド・グリップ(46)、ハンドルバー(9)及びステム(10)における回転動作をステアリングフォーク(7)に伝達して、ステアリングフォーク(7)及び前輪における、二次軸(18)を中心とした、ハンドルバー(9)と同じ方向での対応する回転動作を生成する。
【0242】
ステム(10)は、ステアリングフォーク(7)への直接接続を提供し、ここでは、非直接のステアリング構成と異なり、ハンドルバー回転の方向を変えなくても、この方向は、所望の前輪回転と一致することができる。ユニバーサル接続(50)により、ステム(10)と座席(13)とは、同じ第3折り畳み軸(42)を中心として、折り畳みの間に回旋することができる。
【0243】
ステアリング機構のハンドルバー(9)が、操舵軸(18)とは別の軸を中心に回転するように構成されている場合、伝動カップリングが使われて、ハンドルバー(9)の回転運動をステアリングフォーク(7)に伝達し、分離した回旋軸間における回転方向の間の調和を維持する。伝動カップリング(51)の三つの例が図22に示されている。図22a及び22bは、有効な操舵のために一対のハンドルバー(9)の回転中心となる四次の回旋軸(49)において回転可能なカラー(54)の反対側面に配置されたスタブ(53)に取り付けられた一対の実質的に平行な連結ロッド(52)の形態における伝動カップリング(51)を示す。
【0244】
ハンドルバー(9)の回転運動は、反対側の端部が対応するスタブ(53)に取り付けられたタイロッド(52)を介して、前輪(5)に伝達され、スタブはステアリングフォーク(10)の上部に取り付けられている。
図22c)〜d)は、代替的な伝動カップリング(51)の実施形態を模式的に示しており、ここでは、中央リンク(56)から形成された連結されたリンク(55)の形態となっていおり、中央リンクは、中央ピン(57)を中心として回旋するように規制されており、さらに、その両端は、回旋可能な褶動具(58)を介して、カラー(60)及びステアリング部材(7)に取り付けられたスタブのシャフト(59)に取り付けられている。
【0245】
図22eは、さらに十分に確立された伝動カップリングを示しており、この形態では、三つの、反対に回転する表面(62,63,64)が、回転のために、四次回旋軸(49)、中間軸(65)及び操舵軸(18)にそれぞれ取り付けられている。これらの反対回転の表面(62,63,64)は、操舵に対して、機械的な利点を提供しており、これにより、四次軸(49)を中心としたステアリング機構についての所定の回転運動が、二次軸(18)を中心とした、ステアリングフォーク(7)についての減少した回転運動を生成する。
【0246】
容易に理解されることとして、多数の代替的な構成を採用して、ステアリング機構の動きを、前輪(5)における対応する動きに変換することができ、例えばそれは、ギヤ付きシャフト、ユニバーサルジョイント、ベルト、プーリ等を含む。さらに、ステアリング機構は、一対のハンドルバー(9)である必要はなく、ユーザのハンドルにあるレバー、プーリ、ケーブル等であってもよい。このような硬直でないステアリング機構は、それら自身が小型であるために、自転車の折り畳み時において役立ち、さらに、衝突あるいは緊急降車の際の邪魔や絡みつきの危険を減らすことができる。このような代替的なステアリング機構に伴う動きを、実質的に水平面内における従来のハンドルバーの動きに比べてオーソドックスでない物理的運動の範囲を乗員に提供するように、構成することができる。
【0247】
理解されることとして、多数の代替的なハンドルバー(9)の構成を使用することができ、そして、五つの例が図23a〜23eに示されており、ここでは、比較のために、本発明の自転車(1)が、ファントムとして重ねられている。
【0248】
図23aは、乗員(11)の前方において、直交するハンドルバー対(9)に延びる中央のステム(10)を有する通常自転車のハンドルバーに相当する、固定された、座席上方の、直接ハンドルバー構成(66)を示す。しかしながら、容易に理解できることとして、この構成は、迅速な降車の場合に、通常自転車のハンドルバー構成における前記した不都合を生み出す。
【0249】
図23bは、座席(13)の後方に配置され、かつ、ステム(10)から直交して延長された一対のハンドルバー(9)を示す。この構成は、単純で小型のハンドルバー(9)を一緒に用いる座席下方ステアリングにおける多くの利点を有する。しかしながら、これは、可能なステアリング・アークを減らす。なぜなら、乗員の腕の動きは、彼らの胴体(26)により制約されるからである。反対に、第1及び第2の好ましい実施形態では、ハンドルバー(9)から延びるバーエンド・ハンドグリップ(46)を有しており、この問題を解決している。乗員の身体の両側において延びるバーエンド・グリップ(46)を提供することにより、乗員は、彼らの胴体の背後から、彼らの腿にわたって、かつ、自転車フレーム(2)の長手方向軸の上において、反対の側まで、180°以上のステアリングアークを、対応するハンドグリップ(46)を保持できる両手で描くことができる。
【0250】
図23cは、短いバーエンド・ハンドグリップ(46)を有するハンドルバー(9)を示す。このハンドグリップにより、乗員は、図23bに示す直線のハンドルバー(9)よりもより大きいアークで、ハンドルバー(9)を回転させることができる。
【0251】
図23dは、折り畳み可能な、座席上方かつ、直接のハンドルバー構成(67)を有する実施形態を示し、これは、図23aの例に似ているが、ハンドルバー・ステム(10)を有し、このステムは、フレーム(2)に対して回旋可能となっており、これにより、ハンドルバー(9)を下方に折り畳んで、折り畳み構成とし、自転車体積を減らせるようになっている。ステム(10)は、折り畳み構成においてフレーム(2)及び前輪(5)に沿うように湾曲されている。しかしながら、このハンドルバー構成は、依然として、通常の座席上方の自転車ハンドルバー構成における、乗車中での、前記した問題点を有している。
【0252】
図23eは、座席(13)の前方において乗員の脚の間に配置されたジョイスティック(68)を有するステアリング構成を持つ、さらなる実施形態を示す。代替的に、ジョイスティック(68)を、乗員の一方の側部に配置することもできる。ジョイスティック(68)の使用により、ステアリング機構(8)を片手で操作することができるが、複雑さが増し、得られる機械的トルクが減るということによる不利益を招く。
【0253】
他の実施形態が図24に示されており、ここでは、ステアリング機構(8)は、ステム(10)に取り付けられたハンドルバー(9)を用いている。このステムは、ステム(10)の長手方向軸と同軸の四次軸(49)を中心として回旋可能とされている。伝動カップリング(図示せず)が提供され、これにより、ステム(10)をステアリングフォーク(7)に接続することができる。また、伝動カップリングは、噛み合う伝動連結を有しており、これは、ハンドルバー・エンドグリップ(46)における、四次軸(49)を中心とした回旋運動(図24b参照)を、操舵軸(18)を中心としたステアリングフォーク(7)の回転運動に伝達する。このように、乗員は、フレームの両端において、ハンドルバーのエンドグリップ(46)を押し、あるいは持ち上げて、ステアリングフォーク(7)を回転させ、車輪(5)の方向転換ができる。
【0254】
やはり理解できることとして、ここに示した実施形態は、単なる例示であり、多数の代替的実施形態を構成して本発明の発明的側面と組み合わせることができる。したがって、代替的実施形態(図示せず)では、自転車(1)は、前輪(5)及び/又は後輪(6)で動作するステアリング機構を有する。しかしながら、当業者には容易に理解されることとして、後輪の自転車ステアリングは、満足する安定性を達成するように構成するには非常に難しいものである。
【0255】
前記したように、本発明における第1及び第2の好ましい実施形態は、前輪(5)の外周縁に対応する凹部(69)(図14に示す)を有する形状とされた中央部を備えた実質的に弓形のフレーム(2)を有する。さらに、前輪(5)は、足置き(12)を保持するための足置き凹部(16)(図14に示す)と、後輪(6)を保持するための開口(39)とを有する。さらにフレーム(2)は、ステム(10)及びハンドルバー(9)を対応してそれぞれ挿入させることができる凹部(70,71)(図14に示す)を有する。
【0256】
弓形フレーム形状は、前輪(5)の外側部に実質的に対応した形状を提供して、協働した組み込みを助けるが、理解されることとして、本発明の範囲から離れることなく、代替的なフレーム形状及び構成が可能である。例えば、二つの代替的フレーム形状が概略的に図25a及び25bに示されており、これらは、実質的に筒状のフレームワーク構成を有している。したがって、一実施形態では、折り畳み構成において、前輪(5)及び/又後輪(6)を、フレーム(2)の凹部に挿入するのではなくてフレーム(2)の側部で回旋するように構成することができる。
【0257】
図26は、他の代替的な実施形態を示しており、ここでは、前輪(5)及び後輪(6)が同じサイズとされ、フレームの横方向が非対称とされており、ここで、前輪(5)及び/又は後輪(6)は、フレーム(2)に挿入されるのではなく、側部において互いに回旋可能となっている。
【0258】
車輪サイズにおける、さらなる可能な変形が、図27a〜27eに示されており、これらは、それぞれ、ファントムで示された自転車の第2実施形態に比較した車輪サイズの変形を示している。前記第2実施形態に比較すると、これらの変形は以下を示す:
a)小さい前輪(図27a);
b)大きい前輪(図27b);
c)非常に小さい前輪(図27c);
d)小さい後輪(図27d)、及び
e)大きい後輪(図27e)。
【0259】
図27に示す前記した実施形態のそれぞれでは、前輪(5)は後輪(6)よりも大きく、したがって、前記したような「ミニ・ファージング」車輪構成に対応するものと考えられる。しかしながら、理解されるべきこととして、反対の構成も可能であり、そこでは、後輪(6)が前輪(5)よりも大きくされる。
【0260】
フレームサイズ及びホイールベースは、本発明の範囲から離れること無く変化することができる。フレーム変化の二つの例を図28及び図28bに示す。これによれば、自転車(1)のホイールベースは、後方(4)及び前方(3)のフレーム部をそれぞれ延ばすことで増加する。
図28bは、比較的に長尺のフレーム(2)と、第2の実施形態(ファントムで示す)よりも浅い角度で傾斜した操舵軸(18)とを有する自転車(1)の一実施形態を示す。この構成は、より高速の用途のための、あるいは、美的な理由による長いホイールベースを有する自転車(1)を提供する。しかしながら、自転車(1)においてフレームを長くすることにより、折り畳まれたときの体積は大きくなる。
【0261】
図28aは、図28bに示す自転車(1)と同様な長さのホイールベースを有する自転車(1)の実施形態を示すが、これは、二つの折り畳み軸を介してフレーム(2)に接続された後輪(6)を有している。この自転車(1)は、対応する第2実施形態(ファントムで示す)よりも長いホイールベースを提供し、しかも、折り畳み構成における占有体積を相当に減らすことができる。
【0262】
明らかなこととして、本発明の発明的側面の範囲から離れずに、フレームと車輪の構成に対して変更を加えることができる。
【0263】
図面では明確に示していないが、自転車(1)は、既知のタイプの前方及び/又は後方のブレーキを備えることもでき、これによって、有効に減速することができる。
【0264】
図1〜38に示す本発明の実施形態は、折り畳み構成において後輪(6)が挿入される開口(39)を有するハブ無しの前輪(5)を備える。理解されることとして、大きな前輪(5)として使用されるときには特に、多数のハブ無し車輪の設計を本発明に用いることができる。しかしながら、一般的には、ハブ無しの前輪(5)は、ベアリング(75)上で回転可能な環状の外側車輪リム部(74)の周りで延びるタイヤ(73)を有する。ベアリングは、ステアリングフォーク(7)に接続された前輪(5)の中央部(76)の周囲に備えられている。
【0265】
図29及び30は、ハブ無し前輪(5)のためのベアリング構成についての二つの代替的な実施形態を示す。図29の前輪(5)は、前輪中央部(76)の周囲に、前輪(5)の頂部、前部及び後部に配置された五つのローラ・ベアリング(77)を備える。ベアリング(77)のうちの二つは、前輪(5)の底部に配置され、ここでは、タイヤ(73)が、地表面に接しており、この部分の車輪リム(74)に加えられる追加的な荷重に適応するようになっている。リム部(74)及びタイヤ(73)は、一次軸(17)付近の中央部(76)を中心として回転可能である。
【0266】
図30a及び30bに示された実施形態のハブ無し前輪(5)は、環状リム部(74)が回転可能に支持される四つのリングベアリング(78)を有する。これらのベアリング(78)は、前輪(5)の頂部、前部、及び底部に配置される。図30bは、前輪(5)の一部についての縦方向断面を示し、さらに、環状リム部(74)に取り付けられたタイヤ(73)を示す。環状リム車輪部(74)は、中央部周囲において、対応する環状スロット(80)の範囲内で組み合い、かつスライドする、二つの横方向環状フランジ(79)を有する。同様に、中央部周囲の環状フランジ(81)は、リム部(74)の環状スロットに組み合う。これらの組み合うフランジ(79)及びスロット(80)は、リム部(74)がベアリング(78)のまわりで回転するときに、中央部(76)のまわりでリム部(74)を案内及び保持するために機能する。したがって、リム部(74)は、一次軸(17)を中心とした回転のために、褶動可能及び回転可能なように中央部(76)に取り付けられている。
【0267】
本発明における第1及び第2の好適な実施形態では、自転車(1)は、前輪(5)を駆動する外部動力の駆動機構(38)を有し、自転車(1)を推進することができる。ここに記載された好ましい実施形態では、駆動機構(38)は、駆動機構ハウジング/前輪中央部(76)内において前輪(5)に取り付けられた電気的モータ(82)を含む。しかしながら、理解されるべきこととして、内燃機関あるいは他の十分に小型の動力機関を使用することができる。
【0268】
自転車(1)で使用される駆動機構(38)が、図31aに模式的に記載されており、これは、リムに噛み合う駆動ギヤ(85)にベルト(84)を介して接続されたロータ(83)を有する電気モータ(82)を含む。駆動ギヤは、前輪リム部(74)に接続されており、電気モータ(82)が作動したときに、前輪を回転させるようになっている。電気モータ(82)は、前輪の回転中心である一次軸(17)に対して偏心して配置されており、かつ、軸を中心として駆動ギヤ(85)を回転させるように接続されている。三次軸は、一次軸(17)に平行であり、かつその後方とされている。代替的な実施形態(図示せず)では、駆動機構(38)は、中間ギヤを介して、駆動ギヤに回転可能に噛み合わされており、回転可能な外部リムを駆動できるようになっている。外部リムと駆動ギヤとは、共に、歯付きの噛み合い表面を有する構成、あるいは、滑らかに摩擦接触する構成とされている。
【0269】
折り畳まれた自転車を、チェーン、ベルト、ギヤ等が露出しない、滑らかで密閉された自転車とするために、外部リム部(74)及び関連する駆動機構(38)は、ステアリングフォーク(7)を有する前輪アセンブリ(5)の中央部(76)の一部として形成された共通のハウジング内に囲われており、ステアリングフォークはこのハウジング(76)に取り付けられている。さらに、ハウジング(76)には、電力源(86)(例えばバッテリあるいは燃料電池)及び制御回路部品(87)が収容されており、電気モータ(82)への動力付与及び制御が図られている。制御回路部品は、乗員(11)により操作される加速装置(及び選択的にブレーキ)の制御(図示せず)に、動作可能なように接続されている。
【0270】
折り畳み可能なミニ・ファージング車輪構成と組み合わされた自転車(1)におけるハブ無し前輪(5)により、大幅に小型のフレームを用いることができ、このフレームを、折り畳まれた、車輪内車輪の構成に組み合うように構成することができる。さらに、バッテリ技術及び小型化における最近の進歩により、十分な出力電力で電気モータ(82)を長時間にわたって電気バッテリにより動作させることができる。したがって、小型さ、軽さ及び性能における本来的な利点に関係して、本発明におけるある実施形態は、バッテリ電源を有する電気モータ(82)による動力で完全に駆動されうる自転車(1)を提供することができる。
【0271】
理解されることとして、自転車(1)の前輪駆動により、通常の外部的な後輪チェーン駆動を省略することができ、フレーム(2)に対する寸法的、構造的及び幾何的な要求を単純化することができる。しかしながら、駆動機構(38)を配置して一次軸において直接に前輪(5)を駆動することにより、最大の実用的車輪サイズ、着座位置及び操縦性についての制約が生じる。
【0272】
したがって、駆動機構を偏心して配置することにより、これらの欠点に対応し、そして、最適化された前輪サイズを使用可能とし、しかも、足置き(12)について、地面及び乗員に関して、人間工学的に最大の効率となる配置及びサイズとすることができる。
【0273】
しかしながら、理解されるべきこととして、代替的な駆動の構成が可能である。例えば、自転車(1)を、前輪(5)及び後輪(6)に動力を提供する単独の外部動力駆動機構を備える構成、あるいは、前輪(5)及び/又は後輪(6)に動力を与える別々の駆動機構を備える構成とすることができる。
【0274】
図31bは、一次軸(17)に対して偏心した軸を中心として回転可能であるペダルクランク機構(88)の形態で提供される駆動機構(38)を有する自転車(1)の一実施形態を示す。ペダルクランク機構(88)は、後述する多数の方法で、環状リム部(74)に接続可能である。
【0275】
図31cは、図31aの電気的駆動機構(82)と、図31bのペダルクランク機構(88)との組み合わせを有する、自転車(1)の実施形態を示す。この構成により、乗員は、駆動機構(82,88)のいずれか又は両者を用いて、自転車(1)に動力を与えることができる。典型的には、追加的な駆動機構は、補助的な駆動機構、例えば、ペダル動力の駆動機構(88)を補助する電気的駆動機構(82)として使用され、逆も同様である。このような補助的な駆動機構は、急な上り坂において乗員を補助することができ、そして、選択的には、下り及び/又はブレーキの間に、減速及び/又は電気的動力発生を提供するように構成できる。
【0276】
図32に示される他の代替的な駆動機構構成は、電気的駆動機構(図示せず)とペダルクランク機構(88)とを有する自転車(1)を示し、ペダルクランク機構は、前輪(5)から横向きに配置されて足置き(12)に接続され、かつ、上部(89)と下部(90)との間で可動な長尺状のクランクを用いる。ペダルクランク(88)は、中央ピボット(91)を中心として回旋し、駆動ギヤ(図示せず)に接続されたカム(図示せず)を往復動作させる。一方、駆動ギヤは、前輪リム(図示せず)に接続されている。直線的な足置きの運動は、このようにして、前輪(5)の回転運動に変換される。このような「ペダル補助」構成を使って、補助的な動力を提供することができ、このとき、図31cに示すような大きく突出するペダルクランク機構を必要としない。
【0277】
図33は、本発明の他の実施形態による自転車(1)を示す。この自転車(1)は、乗員によるペダル動力であり、そして、前輪(5)の外部リム(74)に接続されたペダルクランク・アセンブリ(88)を持つ前輪を有しており、ペダルクランク(88)についての乗員の回転によって、外部リム(74)の回転を実行するようになっている。ペダルクランク・アセンブリ(88)は、一次軸(17)から偏心しかつそれに平行な軸に配置された前輪(5)における反対の側部においてクランクシャフト(93)に配置された一対のペダル(92)から構成されている。ペダルクランク・アセンブリ(88)は、前輪の中央部における実質的に環状な駆動機構ハウジング(76)に囲われており、このハウジングは、使用中あるいは折り畳み構成中において、ペダルクランク・アセンブリ(88)に関係する油や土が乗員に触れることを防ぐ。
【0278】
乗員からのステアリング入力は、四次軸(49)を中心とした回転のためにフレームに回旋可能に取り付けられたハンドルバー(9)の形態におけるステアリング機構を介して影響される。ハンドルバー(9)は、タイロッド(52)の形態の伝動カップリングを介してステアリングフォーク(7)に接続されている。ステアリングフォーク(7)は、前輪(5)の両側を通るフォーク(7)のアームを使って、環状のハウジング(76)に接続されているが、理解されることとして、前輪(5)の片側に取り付けられたフォーク(7)を有する非対称構成も可能である。
【0279】
後輪(6)は、三次軸(19)を中心とした回転のために、後方のフレーム部分(4)に、回転可能なように取り付けられている。
【0280】
ステアリング機構を含むこと(図33の実施形態に示すようなもの)により、乗員は、自転車(1)についての方向、安定性、加速及び減速の広範囲な制御ができる。理解されることとして、伝動カップリング(52)は、フレームの範囲内で動作するように構成でき(図示せず)、これにより、外部装置や、その他の折り畳み及び運搬に障害となる可能性のあるものを小さくして、自転車(1)の滑らかさをさらに改善することができる。直感的なステアリングを提供するために重要なこととして、ハンドルバー(9)による回転の方向は、ステアリング部材によって、反対の回転を引き起こさないように変換される。
【0281】
図34は、完全のために、図33の自転車の実施形態の折り畳みにおける関連する手順を示し、これにより、前輪(5)と後輪(6)とは、回旋して、相互的に接近し、フレーム(2)とも、図11〜12の実施形態で示す手順と同様にして、相互接近する。
【0282】
図35a〜cは、本発明におけるさらなる実施形態を示し、ここでは、フレーム(2)は連結されており、これにより、前後輪(5)は、連結ポイント(94)を中心として、互いに対して移動することができる。図35に示される実施形態における構成により、前記したステアリング機構及び関連する伝動カップリングを省略して、簡易な構成を提供することができる。ステアリングは、ユーザの足(28)及びひざ(29)からのペダルクランク(12)への入力と、ユーザの重量配分が対応して移動することとにより提供される。
【0283】
理解されることとして、電動モータなどの外部駆動機構において同じステアリング方法を使用することができる。
図35aは、フレーム(2)への後輪(6)の取り付けのすぐ隣に連結ポイント(94)を有する自転車(1)を示しており、図35b)は、前後輪(5,6)の間のフレーム(2)の中間点において連結ポイント(94)を有する一実施形態を示す。図35cは、前輪ステアリング部材(7)とフレーム(2)との間近でかつそれらの間に連結ポイント(94)を有する一実施形態を示す。
【0284】
理解されることとして、記載された実施形態は、単なる例示であり、多数の代替的な実施形態を構成して、本発明の発明的側面に組み込むことができる。代替的な実施形態(図示せず)では、図35a〜cに示す自転車(1)は、前輪(5)あるいは後輪(6)上で動作するステアリング機構を備えることができる。前記したように、理解されることとして、後輪の自転車ステアリングを用いて満足する安定性を達成する構成とすることは、安定性が低くなる図35a)の構成を用いても、高い安定性の図35c)の構成でも、かなり難しい。
【0285】
図36の実施形態では、理解されることとして、ペダルクランク(93)の回転軸は、前輪の後方部分に配置され、これにより、自転車(1)のホイールベースを延ばし、二次軸(18)を中心とするステアリング動作の範囲を増やすことができ、この動作を、前輪/クランクペダルアッセンブリとフレーム(2)及び/又は乗員の脚(図示せず)との間の干渉なしで実行できる。偏心したクランクペダル配置は、トルクステアの効果を減少させる。トルクステアは、一次軸(17)を介して直接に駆動される車輪に、特に低速操縦及び/又は停止からの発進において、影響するものである。
【0286】
前輪ステアリング部材(7)についての、ハウジングへの取り付けポイントを、後方に配置することによって、ホイールベースをさらに延長することができる。二次操舵軸(18)を動かして、前輪(5)についての一次回転軸(17)の後方に通過させることにより、自転車(1)の安定性を増すことができるが、方向を変えるには、乗員はより大きく入力する必要がある。
【0287】
前記したように、一次軸(17)を通るペダルクランクを有する前輪駆動のペダル自転車は、特に停止からの発進において、トルクステアの効果を受ける。したがって、図示された実施形態のように、ペダルクランク(96)を、一次軸(17)から後方に変位させることは、いくつかの重要な利点を提供し、それは、増加した安定性(増加したホイールベースによって助けられるもの)及び低下したトルクステアを含む。さらに、ペダルクランク(96)を一次軸(17)から後方に変位させることにより、乗員の着座位置も後方に移動でき、したがって、大きな安定性を提供しつつ、望ましい、高い視界の特徴と切り詰めたフレームとを維持することができる。
【0288】
図36に示す実施形態では、前輪(5)は、拡大されたステアリングフォーク(7)に対して、一次軸(17)を中心として回転するように構成された中央アクスル(95)を有する車輪である。ステアリングフォーク(7)は、前輪(5)の周囲に配置され、ペダルクランク機構(93)とアクスル(95)とを回転可能なように保持する。ペダルクランク(93)は、駆動ベルト(97)を介してアクスル(95)に接続されたクランクギア(96)を有しており、クランクギヤ(96)を介したアクスル(95)の回転による前輪(5)の回転を実行できるようになっている。図36の実施形態は、中央のアクスル/ハブの回転によって駆動される前輪(5)を有するペニーファージング/ミニ・ファージングタイプの構成を提供する。しかしながら、従来のペニーファージング構成と反対に、偏心したペダルクランク機構(88)は、伝動装置の使用を可能とし、さらに、偏心して搭載された駆動機構における他の利点の多くを提供する。
【0289】
図37は、接続されたペダルクランク駆動機構(88)の一実施形態を示し、これは、ハブ無し車輪(5)を駆動する。図37は、駆動機構の一側面だけを示すので、一つのペダル(92)とペダルクランク(93)とに言及するが、二つのこのようなペダルとペダルクランクとが通常は提供される。この駆動機構(88)は、対応するペダルクランク(93)の一端に回転可能に取り付けられたペダル(92)を有し、乗員は、ペダルクランクをその足で操作して、クランク(93)の他端に取り付けられたクランクギヤ(98)を回転させることができる。クランクギヤ(98)は、より小さい中間ギヤ(99)に回転可能なように噛み合わされており、中間ギヤは、駆動ギヤ(100)と回転可能なように噛み合わされていて、これによって、回転可能な外側リム(74)を駆動することができる。
【0290】
外側リム(74)及び駆動ギヤ(100)は、歯付きの噛み合いインタフェースを有する構成とされており、駆動ギヤ(100)は、歯付きの外周を有し、リム部(74)は歯付きの環状内面(101)を有しているが、滑らかな摩擦接触も可能である。中間ギヤ(99)は、クランクペダル回転の方向が前輪(5)の回転と整合することを保証するために用いられるが、理解されることとして、もし十分なギヤ比が得られるならば、リム部(74)を、クランクギヤ(98)から直接に駆動するという、極端に単純化した構成も可能である。
【0291】
当業者には容易に理解されることとして、クランクと中間及び駆動ギヤ(98,99,100)とにより結果的に得られるギヤ比は変更可能であり、これにより、広いギヤ比を提供できる。前輪(5)の外側リム(74)に駆動機構を接続するためには、多くの代替的な手段が可能であり、それは、当業者には明らかなように、プーリ、ベルト等を含む。駆動機構(88)のための接続は、ギヤ変更機構(図示せず)を含むことができ、これにより、クランクギヤ(98)と車輪リム(74)との間における結果的な駆動比を変えることができる。
【0292】
図33〜36の実施形態は、一次的に都会で使用されようとする折り畳み自転車にとっての多くの利点を提供する。先行技術の折り畳み自転車は、比較的に小さい車輪をしばしば使用し、これによって、折り畳まれた自転車の体積を小さくしようとする。しかしながら、小径車輪を使用する先行技術は、さらに、従動車輪の外側に配置されたペダルクランクとチェーン駆動機構との使用を必要とする。ペダル自転車の場合は、チェーン駆動における望ましくない複雑さは、今までは避けがたいものであった。なぜなら、小さいサイズの車輪を使用すると、ペダルが地面に衝突することを避けるために、ペダルクランクを中央に配置することができなかったからである。
【0293】
したがって、前輪操作の駆動機構(例えば、幾何的な車輪中央に配置されたペダルクランク)を有する自転車を構成することにより、自転車における全体的な複雑さを減らすことができ、折り畳み時における効率的な小型化を容易にすることができるが、それは、最小の車輪サイズについての制限も提供する。さらに、このような前輪のペダル駆動機構は、さらに、車輪サイズの上限についても制約を生じる。すなわち、乗員は、大きな車輪のペダルクランクに効果的に到達できないかもしれず、あるは、停止時に彼らの足を地面に置けないかもしれない。一方で、小さい車輪を使うことにより、相応に小さいペダルの使用が必要となり、これにより、特にコーナリング中において地面に接触する危険を避けることになる。これらの不利益は、本発明における、偏心ペダルクランク機構(88)を用いることによるペダル駆動の実施形態を志向する。
【0294】
図38は、代替的な一輪車の実施形態を示す。各一輪車(1)は、フレーム上部に取り付けられた乗員座席(13)を備えるフレーム(2)と、回転可能な外側リム部(74)を備えたハブ無し車輪(5)とを有する。車輪(5)は、回旋可能なようにフレーム(2)に取り付けられており、ペダルクランク(93)は、外側リム部(74)に接続されて、ペダルクランク(93)を乗員が回転させることにより車輪の回転を行うようになっている。ペダルクランク(93)は、車輪(5)内において、偏心して配置されている。このような偏心したペダルクランク軸(91)により、最適な車輪径の選択が可能となる。図38に示されるように、ペダルクランク軸(91)を車輪回転の一次軸(17)から偏心して配置することにより、地面上のペダルクランク軸(91)の高さY 2 と、地面上の座席(13)の高さY 1 とを、車輪(5)の径と関係なく、それらの最適値に維持することができる。本発明を一輪車(図38に示すようなもの)に適用したときのさらなる利点は、偏心したペダルクランク軸(93)を、乗員のわずか前方に配置できることであり、このとき、乗員の直下の車輪中央にペダルを配置しなければならないという影響を避けることができる。
【0295】
容易に理解できることとして、多数のフレーム構成、車輪のサイズ及び配置、並びにステアリング機構が可能である。例えば、ここで記載された好ましい実施形態は、二輪車及び一輪車の構成に関係しているけれども、本発明における自転車は、さらなる車輪を含むことができ、これにより、三つ、四つ、あるいはさらに多くの車輪の自転車を提供することができる。理解されるべきこととして、前記の実施形態は、単なる例示であり、多数の代替的な構成が可能である。
【0296】
単なる例示によって、本発明のいくつかの側面が記述されたが、これらに対して、本発明の範囲から外れることなく変更及び追加が可能であることは、理解されるべきである。
【発明の名称】自転車
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車(cycle)に関するものである。特に本発明は、新規でかつ改善された、小型化可能な自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自転車は、個人を運ぶ手段として広く普及しており、そして、効率的な形態である。自転車の起源においては、「ペニーファージング(Penny Farthing)」自転車が作られた。これは、大きな前輪と小さな安定化後輪とを備えている。このペニーファージングは、その設計においていくつもの欠点を有しており、それは、前輪直接駆動に由来する速度/効率の制限、乗車/降車の困難さ、及び、操作のしにくさを含む。これらの欠点は、現在までに確立されてきたダイヤモンドフレームや、後輪がチェーン駆動される自転車構造をもたらした。材料や、例えばブレーキ、サスペンションあるいはギヤなどの付属品については、目覚しい開発が行われてきたが、こうした基本的な自転車の構成については、その後の120年の間、ほとんど進歩が無い。
【0003】
現在の自転車のデザインは、オフロード・ライディング、あるいは路上/トラックレースによって大きく影響されており、対応する自転車のデザイン要素は、自転車製造業者によって販売される消費者製品に大きく影響している。このようなスポーツの起源に最適化されたデザインへのバイアスがあるにも拘わらず、圧倒的に多くの自転車は、都会的な環境において、定期的な移動や一般的運搬のために、競争ではない応用において用いられている。都会的な利用に最適化された自転車は製造されているけれども、これらは、道路志向のタイヤを持つマウンテンバイクのデザインの応用であることが多く、サスペンションは簡易化されるか無いものとなっており、レース/スポーツ志向の自転車よりも直立(upright)な着座姿勢となっている。また、悩ましいこととして、それらは、真面目で古臭く、そして、もっとダイナミックでスポーツ的/冒険的活動に関係するような無形の身代わりの信頼性(intangible vicarious credibility)を欠くという社会的な認識を受けている。
【0004】
しかしながら、都市の渋滞増加、容赦ない燃料コストの増加、及び都市内にある職場の優位性により、動力車両による輸送機関に代わるものへの大きな興味が出てきている。公共輸送は、現代の動力輸送機関におけるこれらの欠点に対する魅力ある解決を、特に定期的移動において提供するはずである。しかしながら、市民当局における大きなフラストレーションとして、個人の移動者にとっては、個人的運搬手段により提供される移動の自由が失われるという顕著な不本意さがある。この不本意さは、多くの個人にとって、かなり根深いものなので、彼らは、大規模な交通渋滞や、長い旅行時間や、さらには不便及び/又は高価な駐車の選択に寛容になり、これによって、こうした認知された自由を維持している。
【0005】
サイクリングは、都市交通において、かなり魅力的な選択肢を提供し、そして、結果的に、交通渋滞を少なくし、燃料コストを零とし、維持費用及び環境インパクトを最小化する。しかしながら、以下を含む事情を考慮して、多くの潜在的ユーザは、都市での自転車利用を躊躇している:
1.公共輸送の助けがなければ困難なほど遠い移動距離;
2.多くの公共輸送の形態との非適合性(incompatibility);
3.乗車していないとき及び/又は公共輸送に持ち込んだときにおける、保管及び/又は安全の問題
4.多様な形態での旅行のために自動車と組み合わせたときの不便さ、
5.補助されないペダルでの自転車移動に必要な物理的努力。
【0006】
自転車移動と、公共輸送あるいは個人的車両のいずれかとの組み合わせは、これらの輸送モードにおける利益属性における潜在的な相乗作用を提供する。すなわち、
・ユーザは、彼らの旅の各終点において、移動の自由を保持し、一方で、バス、電車、路面電車、自動車などは、それらの間の距離を迅速にカバーすることができる。そして、
・両運輸手段は、コスト効率が良く、そして、一人当たりの環境インパクトが、自動車での移動に比べて低い。
【0007】
さらなる利点として、都市生活での効率が向上し、そして、公共交通の経路や時刻表に縛られるという厄介さを避けて、移動の自由を供給する。
【0008】
不幸にも、自転車は、積みこみ、運搬、あるいは非乗車時の一般的な操作において持ち運びに不便であり、厄介な物でもある。さらに、公共輸送の多くは、本質的に積込み/持ち運び可能な状態の最小限の手荷物を持つ歩行する個人のために設計されている。バスや電車に乗車/降車する間、ユーザにとって、自転車は持ち運びが相当に不便であり、それは、出入口/通路を塞ぎ、他の乗客の邪魔をし、場合によっては、多数の非柔軟性の突起、チェーンなどとの衝突によって小さな怪我及び/又は衣服の汚れを引き起こす。多くの形態の公共交通は、通常の自転車や、モーター・スクータや、自動二輪車を全く収容することができないか、あるいは、それらは、特別な貨物室に積載されなければならない。
【0009】
自動車よりもはるかに占有体積は小さいけれども、従来の自転車は、非使用時における安全性の問題も有している。様々な錠、チェーン等がサイクリストにより一般に使われて、盗難を防いでいる。不幸にも、自転車は、高い適応性及び簡便性、個別の調整可能性、装具/アクセサリ(例えば座席(seat)、車輪(wheel)、ライト、荷物かご、トリップ・コンピュータなど)が迅速に提供されることにより、乗員は、しばしば自転車を部分的に分解し、各装備の安全を確保し、及び/又は、ラックやポストなどに据え付けられた自転車からアイテムを完全に取り外す必要がある。明らかに、前輪を取り外し、そして後輪を調整して、安全チェーン/錠が両輪を通るようにすること、及び、自転車の座席、ライト等を運搬することなどの、決まった手順は、便利さや好ましさからは程遠い。
【0010】
しかしながら、他の選択肢は、従来の自転車を典型的なオフィスビルに持ち込み、そして、階段吹き抜け、エレベータ、狭い通路、あるいはオフィスの小部屋を通り抜けることであり、これは、やはり困難を伴っている。
【0011】
サイクリングにおける物理的な努力は、良好な個人的プレゼンテーションを求める専門家オフィス、カスタマー・サービス、あるいは他の環境において従業している人々に対して、さらなる抑制を生み出す。職場の良好な個人的プレゼンテーション及び衛生を維持するために追加的にシャワーを浴びること及び/又は着替えることに付随するオーバーヘッドは、しばしば、不便すぎて、自転車の定期移動における努力を正当化することができないと考えられている。電動自転車、及び、ペダル支援の電動自転車が開発されてきており、乗員の足の力を補足している。一般に、電気駆動機構の追加により、自転車のコストと重量が大幅に上昇するにもかかわらず、それ自体としては、上記に掲記した都会での自転車使用における三つの障害を解決するものではない。
【0012】
したがって、予想できることとして、前記の問題を改善するために、実用的に収納でき、折り畳める、あるいは、いずれにせよ小型の自転車を生産するための、継続的で一致した試みがなされてきた。
【0013】
従来の自転車フレーム設計のために、実用的な折り畳みシステムを作り出すときの、固有の問題は、例えば、多数の突起があること、多くの方向において安定性を欠くこと、及び、折り畳み/組み立て際に駆動機構(特に、油が付着したチェーン・ドライブ)を分解したくないという希望があることである。これらの欠点は、代替的な運搬手段が直面する大きな問題点の証拠であるにも拘わらず、そして、混雑した道や、限られた駐車場、個人の仕事場、都市の家から派生する都市環境中の空間についての優位性を打ち消すにも拘わらず、折り畳み自転車は、次第に人気となっている。したがって、都市での運搬を提供でき、かつ、可搬性があり、そして、非乗車時には個人によって保管できる小型の自転車を生産することには、明らかな利点がある。
【0014】
しかしながら、いくつかの要因は、従来の折り畳み自転車についての、広い大衆の受容を妨げる。すなわち:
・小径の車輪やフレーム強度の不足を含む典型的な設計の特徴からの、妥協した性能;
・「フル」サイズの折り畳み自転車のフレーム及び車輪アセンブリにおける、扱いにくい大きさ、重量、及び、結果的に崩れた構成;
・チェーンや歯車やブレーキ機構により捕捉され、及び/又は、衣服が汚れる危険。
【0015】
現存する折り畳み自転車は、その車輪径に基づいて、三つの広いカテゴリに分類できる:
1.従来のロードサイクルに匹敵する車輪径(すなわち26インチ)を持つフルサイズ自転車であり、これは、しばしば、自転車を半分に折り畳む単一のフレーム・ヒンジを持つ。これにより、折り畳み自転車の体積や追加的なコストを減らすことができ、ほぼ制限のないオンロード能力を発揮し、しかも、低コストである。
2.より精巧な折り畳み機構を持つ小さめ(24〜16インチ径)の車輪。典型的には、20インチの車輪は、縁石や路上の段差や路面の窪み等の、都市での乗車における障害を効果的に通り抜けるための境界であると考えられる。
3.16インチ径未満の車輪、これは、路上での能力というよりも、折り畳み状態での体積における優位性を提供する。複雑な折り畳み機構をしばしば有するけれども、これらの自転車は、一般的に、長距離走行あるいは高速走行が難しく、さらには、一般的に、かなり妥協した走行機能、効率及び快適性となる。
【0016】
これら三つの自転車タイプのための目的となる市場は、それぞれ、以下に及ぶ:
・ときどき使用する、趣味でのユーザ、彼らは、乗車時能力や快適性を強化するために、喜んで、折り畳みの快適性やスピードを妥協する;
・定期的に、かつ、かなりの距離を移動する都市の定期移動者、これは公共運搬と接続した混合モードの定期移動かもしれない;
・空間が優先する環境(例えば、アパートメントの住人、車の運転者)を持つユーザ、これは、時々使用する必要性、短距離、及び可搬性への強い必要性、混合モードの定期移動、海上船舶などであるかもしれない。
【0017】
自明なこととして、自転車の性能と効率的な折り畳みとの両方を必要とする通常の都市移動者は、最大に可能性がある市場であり、彼らは、前記した第2のカテゴリを典型的には購入する。典型的な目的のために設計された、このカテゴリの折り畳み自転車は、蝶番のあるフレームを有し、これは、フレームの両半分を一緒に折り畳み可能とし、これによって、二つの車輪は、実質的に隣接する。さらに、折り畳み技術は、折り畳まれたペダルや、蝶番のある/取り外し可能な座席などをしばしば含む。結果的に折り畳まれた自転車は、依然として常に、多数の突起及び機構を有する大きな物体であり、それは、ユーザあるいは外部物体に絡む。さらに、車輪の径は、車輪自体を分解するのでもなければ、小型化の程度についての基礎的な制約を提供する。
【0018】
理想的な都市用自転車にとって好ましい特徴は以下を含む:
−徒歩以上の速さを保つ能力、これは、都市環境において高速(例えば20〜30kmを超えること)への要求が典型的に小さいかどうかに拘わらない;
−折り畳み可能な構成及び寸法、これは十分に小さくて扱いやすく、実用的なデイ−パック、バッグあるいは旅行かばんとして持ち運び可能である;
−折り畳まれた状態において、最小の突起あるいは突出;
−維持のための要求が少ないこと;
−快適な乗車のために、そして、日常的に出くわす都市における障害、例えば縁石や窪みを乗り越えることができるために、十分な径の車輪;
−目立ち、かつ、高い可視性のある、乗員着座位置;
−特に低速での高い操作性;
−低い/平均的な身体的熟練度の乗員が乗ることができる、十分な安定性;
−安全に停止する手段;
−道具なしでの迅速な小型化;
−軽量。
【0019】
現代的な自転車設計(折り畳み自転車を含めて)は、前輪ステアリング、後輪チェーン駆動(チェーンで駆動される、車輪間に配置されたオフセットクランクを介して)を有する確立された構成にほぼ集約されており、これにおいては、乗員は、同じ大きさの二つの車輪の間に配置され、ハンドルバー・ステアリングは、ほぼ横隔膜の高さで前輪に取り付けられている。多くの動力付き自転車や自動二輪車は、同様の一般的構成を採用している。しかしながら、この構成は、折り畳み自転車にとって望ましい前記の特徴とは両立しないものである。典型的な折り畳み自転車は、フレームに取り付けられた両輪を有しており、このフレームは、中心の蝶番ポイントを中心としてほぼ半分に折り畳まれる。したがって、両輪を小径とすることにより、一般的に、折り畳まれた自転車の体積を減らすことができるが、結果的に、前記した欠点を有する。
【0020】
さらに、ペダルで駆動される自転車は、ホイールサイズを小さくすることによって十分な小型化を達成しようとすると、ペダルクランクの長さが、人間工学的に効率的な使用ができないほど非実用的に短くなり、あるいは、ホイールから外側のペダルクランクを使って従来のチェーンを駆動する必要が生じる。後者の構成においては、成人が効率的に使用できる程度の大きさのクランクを使用するために、ペダルシャフトを、従動ホイールの回転軸よりも高い水平面内に配置する必要があり、これにより、ペダルを踏む間の地面との接触を避けることができる。
【0021】
露出したチェーンがあるので、背負いの荷物あるいはかばんとして、折り畳んだ自転車を運ぶと、ユーザの被服を汚す可能性が高い。車輪からチェーンを取り外し、そして再装着するのは複雑なので、そのような面倒な作業を行ってまで前記した欠点を克服することは、通常は行われない。
【0022】
自転車のホイールベースを短くすることにより、折り畳まれた状態での大きさを減少させることができる。しかしながら、乗員の重心が高くなって安定性が減少するので、制動時や障害物に衝突した時に、転倒の可能性を増加させる。乗員の縦揺れに関係するリスクは、乗員の前方にあり、彼らの膝の情報にあるハンドルバーの従来の配置では悪化し、乗員の膝がハンドルバーにあたったり、機械ともつれたり、ハンドルバーにトラップされたりする。
【0023】
自転車設計の初期には、様々な構成が研究され、それは、「ペニーファージング」構成を含む;これは、非対称の車輪サイズ、直接のペダルクランク駆動(すなわちチェーン及びギヤが無い)、及び非常に大きな前輪径となっている。しかしながら、このタイプの直接の前輪駆動、前輪操舵のペダル自転車における難しさの一つは、特に停止状態からの発進時に、ペダルに加えられる圧力が操舵効果を不安定にすることである。前輪回転軸を中心としてペダル・クランクシャフトを駆動することは、以下について、人間工学的な制約を強いる:
−フレーム構成のタイプ;
−可能な着座位置;
−接地を避けることが可能な可能な最大のペダルクランクのサイズ、及び
−最大及び最小の車輪径。
【0024】
動力付き自転車は、補助的な動力ユニットを使用してペダル力を補助し(例えば、上り坂を登るとき)、あるいは、内燃エンジンや電力駆動のような動力ユニットによって単独で動力が与えられる。従来の動力付き自転車は、ペダル自転車における前記した欠点を有しており、しかも、折り畳み可能な自転車構成に組み込まれた動力ユニットに関係する追加的な複雑さ、コスト及び重量を有している。したがって、理解できることとして、折り畳み可能な自転車は、前記した好ましい特徴の少なくともいくつかを備える一方で、前述の不利益の少なくともいくつかを軽減する必要がある。特に有利なことは、格納や運搬のために簡単に小型に折り畳むことができるような自転車を提供することである。
Ampaglasによる文献DE 28 04 993 A1は、請求項1の前文による自転車を開示している。
【0025】
本願で引用されたいかなる特許あるいは特許出願を含むすべての参照は、参照によってここに組み込まれる。いずれの参照も、先行技術を構成すると認めるものではない。理解されるべきこととして、参照文献における議論は、著者の主張を述べるものであり、そして、出願人は、当該引用文献についての正確さ及び関連性を否定する権利を留保する。多数の先行技術文献がここで参照されているけれども、この参照は、これらの文献のいずれかが、いずれかの国における、当該技術についての共通の一般知識を構成することを認めるものではないことは、明白に理解されるべきである。
【0026】
用語「含む(comprise)」は、多様な管轄権の下で、排他的及び包含的な意味を持っていることが知られている。この明細書の目的のためには、そして特に注記された場合以外では、用語「含む」は、包含的な意味を持つものとする。すなわち、この言葉は、直接に参照された記載要素のみならず、特定されない構成部分あるいは要素を含むものとして扱われる。この解釈は、方法あるいはプロセスにおける一つ又はそれ以上のステップに関連して、用語「含まれる(comprised)」又は「含んでいる(comprising)」が用いられている場合でも同様である。
【0027】
本発明の目的は、前記した問題を志向し、あるいは、少なくとも公衆に対して有効な選択肢を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる側面及び利点は、単なる例示として与えられた以下の記述により明らかになるであろう。
【発明の開示】
【0029】
本発明は、個人的な都市交通のために、新しいパラダイムを提供するものであり、多数の異なる側面において定義することが可能である。すなわちそれは、乗車位置、車輪とフレームとの関係、小型化手段、ステアリング、フレーム構成、及び駆動機構である。
【0030】
注意されるべきこととして、「ステアリング部材」及び「二次軸」という用語は、読みやすさのために、「ステアリングフォーク」及び「ステアリング軸」としてそれぞれ言及される。
【0031】
ここで使用されるように、下記の用語:
・「フレーム」は、自転車の車輪、ステアリング機構、ステアリング部材、及び座席を連結する様々な構造、ハウジング、本体、要素あるいはコンポーネント、及び、他のものとして明確に定義されていないコンポーネントを含み、そして、ホイールマウントやブラケットなどの装具を含む;
・「車輪」は、地面に接する(terrain-engaging)環状タイヤ、前記タイヤを支持する回転可能あるいは固定されたリム部、ハブ無しホイール、中心回転軸を有するハブありホイール、スポーク付きホイール、固体ホイール(solid wheel)、偏心して駆動されるホイール、ホイールリム、及び/又は、ステアリング部材に取り付けられる他の要素を含む、全部のホイール・アセンブリを含む;
・「座席(seat)」は、着座した乗員を支持するように構成されたあらゆる構成、突起、プラットフォーム、あるいは凹みを含み、さらに、様々な関連する支持の要素、装具、構成を含み、さらには、様々な位置調整の機構あるいは設備等を含む。そして、取り外し可能な座席の場合は、用語「座席」は、座席を取り付けるポイント、構造、あるいは装具を含む。
・「ステアリング部材」は、前輪を回転可能な状態で保持するあらゆる構成を含み、これは、片面及び両面のフォーク、操舵チューブ(steerer tubes)、及び/又は、前輪をフレームに回転可能な状態で取り付ける他の構成を含む;
・「ステアリング機構」は、ステアリング部材に、これを回転可能とするために取り付けられる装具におけるあらゆる機構及び構成を含み、さらに、ステム(stem)、ハンドルバー、ジョイスティック、プーリー(pulleys)、レバー等を含む。
・「駆動機構」は、自転車に動力を供給するためのあらゆる機構を含む。
【0032】
乗車位置
寝そべり型でない自転車(non-recumbent cycles)においては、現代における通常の乗車位置における乗員は、その胴体が傾斜し、部分的にかがみ、頭が下がった姿勢となる。高速走行のためには、これは空力学的に有効ではあるが、この位置は、乗員の肉体に負担をかけ、そして、周囲への乗員の注意力と他の交通への存在感とを削ぐ。
【0033】
自然で直立した着座位置であって、かつ、乗員の足が、ストレスのない状態で、乗員の尻の前方にあることは、従来の自転車の構成においては非実際的である。しかしながら、本発明の一実施形態は、都市交通及び定期移動に最適な乗車特徴を持つ自転車を提供する。
【0034】
本発明の一側面によれば、地表面上で乗員によって使用される自転車が提供され、前記自転車は以下を含む:
−前部及び後部を持つフレーム、
−前記フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記前輪は、前記一次軸に対して直交する二次軸を中心とした回転のために、前記フレーム前部に、旋回可能なように(pivotally)取り付けられており;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作の可能なステアリング機構;
−前記フレーム後部に、回転可能なように取り付けられた後輪;
−前記前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−前記前輪における少なくとも一つの足置き(footrest);
これらは、自転車が動くときに、前記座席上に座り、かつ、前記ステアリング部材及び足置きに操作可能なように接触した乗員が、ストレスのない、実質的に直立の姿勢で配置され、かつ、実質的な胴体傾斜が無く、しかも、自転車の停止時には、着座した乗員の両足が、同時に地面に着くように構成されている。
【0035】
したがって、乗員は、人間工学的にバランスされた、ストレスのない、安定した着座姿勢で、前記自転車に乗ることができ、このとき、乗員の脚は、前輪の足置きに向けて前方に延ばされており、ここでは、乗員の尻の下方及び/又は背後に脚が置かれることはない。従来の乗車姿勢に比べると、直立した乗車姿勢は、都市交通にとって、以下に示す多数の利点を提供する:
・乗員にとって優れた視野と高い視線;
・他の道路ユーザに対して、より大きな視覚的表示又は存在を提示すること;
・筋骨格への負担の軽減、及び
・乗員の足を、安定して自然な位置において、尻の前方に置き、必要な最低着座高を減らし、重心位置を下げ、安定性を改善すること。
【0036】
乗車位置は、現代的な自転車設計と歴史的なそれとの間で、多くの場合、著しく対照的である。従来の乗車位置によれば、乗員は、胴体の重さを、前方のハンドルバーで、乗員の背、肩及び腕を介して支えることになる。
【0037】
速い速度に最適化されたロードレース・スタイルの自転車は、乗員の胴体及び頭が実質的に横になった位置となるように構成されている。このような乗車位置は、低い平均速度であって高い視認性及び操作性の必要な都市の乗車/交通には全く適さない。レース用自転車を、効果的な折り畳み/小型化の設計に構成することは、非常に難しい。
【0038】
マウンテンバイク及び都市向けの派生では、乗車時の胴体は、もっと直立するが、乗員の胴体は、依然として、傾斜している必要があり、これによって、乗員は、ステアリング機構及びブレーキに届くことができる。後輪ペダルクランク駆動の従来自転車における本来的力学(dynamics)/人間工学(ergonomics)と人間の身体のプロポーションとの組み合わせにおいては、いくつかの形態における傾斜した胴体の姿勢を避けることは、自転車設計者にとって困難である。
【0039】
理解されることとして、駆動機構は、二つのカテゴリに分けることができる。すなわち、人間であるユーザ/乗員によって駆動される機構(例えばペダルクランク)、又は、ユーザ/乗員とは独立した若しくはその外部にある動力源を有する機構(例えば電気モータ、エンジン等)であり、これらは、ここでは、「ユーザ動力の(user-powered)」及び「外部動力の(externally-powered)」としてそれぞれ規定される。ここで使用されるように、用語「足置き(footrest)」は、乗車中にユーザがその足を置けるように構成された様々な装具を包含し、そして、可動物(例えばペダルクランク)、かご(cages)、折り畳み可能及び固定の台(foldable and fixed rests)を含む。
【0040】
好ましくは、前記駆動機構は、少なくとも以下の一つを含む:すなわち、電気モータ、ジェネレータ、ペダルクランク、ペダルクランク及びチェーン駆動、内部又は外部の燃焼エンジン、並びに/又は、それらの様々な組み合わせである。これらの駆動機構は、後続の節において、さらに深く個別に考察される。
【0041】
本発明は、このように、現在の自転車設計とは概念的に異なるフレーム構成/着座を提供しており、最も比較可能な乗車姿勢は、ペニーファージング設計におて、前世紀の初めから示されている。しかしながら、既知のペニーファージング設計は、本発明に対して、以下に説明するように、多くの固有の相違点を有している。
【0042】
初期のペニーファージング自転車は、ペダルクランクによって、前輪軸を介して、直接に動力を受けており、このため、前輪は、かなりの直径である必要があり、これによって、クランクの一回転に対応して、適切な速度を提供することができる。しかしながら、拡大された前輪径により、乗員は、着座中に地表面に触れることができなくなる。さらに、高い着座位置は、高い重心、低い操作性、及び貧弱なブレーキ性能を生み出す。ペニーファージングの乗車位置により、乗員は、(特に迅速な減速の場合に)以下のような問題にさらされる:
−ハンドルバーにもつれること;
−降車の難しさ;
−高い乗車位置と相対的に短いホイールベースとにより結果的に生成されるモーメントによる、前輪軸を中心とした「跳ね上げ効果(catapulting effect)」
−前輪の扱いにくいサイズと、安定のために地表面に足をつけられないこととによる、低速乗車時の落下。
【0043】
対照的に、着座した乗員の足が地面に届く距離にあるように構成し、そして寸法どりした場合は、本発明は、前記した欠点のそれぞれを小さくできる。そのような構成は、特定の自転車フレーム幾何/寸法と、従来のペニーファージングよりもずっと小さな前輪径との組み合わせを含み、これにより、効果的に「ミニ・ファージング(Mini-Farthing)」を作り出すことができる。歴史的な従来技術であるペニーファージング設計と本発明の実施形態とを区別するため、用語「ミニ・ファージング」は、後者を示すものとして使用される。ここで、前輪は、後輪よりも大きいけれども、乗員は、依然として、停止時に両足で地面に接することができ、そして、両足を前輪の足置き/ペダルに載せて走行することができる。
【0044】
さらに、「ユーザ動力の」及び「外部動力の」駆動機構にとっては、乗車中に乗員の足を前輪の足置きに置くことは、以下をさらに提供する:
・増強された運動安定性、
・相互的な乗員の関与、そして
・触覚のフィードバック。
【0045】
明らかなこととして、乗員は、足置きの一つ又は両方を介して、前輪へのステアリング入力を支援することができる。ある状況では、自転車のステアリングを、足置きを介した乗員の入力により、単独で実行することができる。これは、乗員の手が塞がっているときに、間欠的な期間の間、発生するかもしれず、あるいは、一実施形態では、ステアリングの一次的方法として行われるかもしれない。すなわち、前輪の足置き自体が、前記ステアリング部材に接続されたユーザ操作可能な前記ステアリング機構であるかもしれない。手動操作のステアリング機構は、操作性、乗りやすさ、及び使用の容易さの点では優れているかもしれないが、足だけで操舵される実施形態は、小さい容積に小型化可能で一層単純な構成を提供する可能性がある。
【0046】
本発明に実装される特定のステアリング機構の変形についてのさらなる考察と、それらの性能パラメータ(performance parameters)が、以下において、それぞれさらに深く議論される。しかしながら、ステアリング部材に接続されるステアリング機構の配置は、乗車位置の問題に特に関係する。本発明の自転車性能に影響するものとして特定される他の構成パラメータ(configuration parameters)は、以下を含む考察により特定可能である:
・手動的に操作されるステアリング機構を、座席から容易にアクセスできる距離に配置すること;
・乗員の股下長さを超えない、座席の高さ;
・乗員の足と干渉しないで、あるいは足が外れないで、前輪操舵の動作が可能になる、座席位置からの足置きの変位量。
【0047】
広く確立されていることとして、人間の身体は、四肢、胴体特徴、及び要素の比率に関して、特定の相互関係を有している。例として、反対側に延ばされた腕における指先間の距離は、身長にほぼ匹敵する。ここで、指先どうしを組み合わせると、手は、鼠径部と同じ高さに位置する。したがって、人間の形態及びサイズにおける自然な変化に拘わらず、これらの相互関係は、設計パラメータとして使用されて、多くの人間の体の骨格に適合するための自転車人間工学を最適化することができる。
【0048】
上で議論されたように、前輪の足置きを用いる本発明の実施形態において、座席の位置と足置きとの間には、明らかな物理的関係が存在する。後輪についての構成と位置は、自転車性能と小型化可能性とについての何らかの関係を持つけれども、そのことは、乗員と前輪足置き及びステアリング機構とについての人間工学的な相互関係には直接には関係しない。人間の身長は非常に相違しているので、本発明の一実施形態において有利なこととして、自転車構成/乗車位置の発明的側面は、釣り合い(proportions)、比率(ratios)、及び角度に関係して決定可能であり、特定の寸法のみによって決定されない。結果として、子供のような乗員に、あるいは背の低い成人に適切な自転車を、本発明の範囲から離れることなく、適切かつ単純に縮尺することができる。前記に拘わらず、本発明の一側面におけるさらなる利点として、広範囲の体格の乗員が、自転車の調整なしで、同じ構成を使用することができる。
【0049】
最大の座席高さが乗員の股下長さによって制約されるとすれば、座席から足置きまでの距離は、乗員の股下長さより大きくない半径の円弧の範囲内になければならないということになる。自転車の前輪を操舵することと、乗員の足を前輪に置くこととによる有利な帰結は、自転車の運動、操舵及び応答性における関係をすぐに感知できることである。従来フレームの自転車では、前輪は、乗員の足から比較的に離れており、操舵軸を中心としてステアリング(例えばハンドルバー)を回すことは、乗員の重心から離れた軸を中心として行われる。たしかに、多くの従来の自転車の操舵軸は、乗員の着座位置に関係して配向されており、乗員の胴体との相互関係は少なくなっている。
【0050】
対照的に、本発明の一実施形態は、着座した乗員が直立するように配置し、彼らの胴体は、前記操舵軸すなわち前記二次軸に交差する位置となる。好ましくは、前記交差は、直立した乗員の肩のあたりで実質的に発生する。さらなる実施形態では、前記ステアリング機構のための手動制御(hand controls)は、前記操舵軸と垂直に配置される。さらに他の実施形態では、前記足置きは、前記操舵軸に垂直に隣接し、あるいは、実質的に操舵軸に揃う(aligned with)ものとされる。
【0051】
乗員の下記のものの一つ又は複数と操舵軸との関係を実質的に調整することにより、高い応答性を持ち、制御容易で、かつ小型の自転車を作り出す;
−前輪足置き上の足;
−膝;
−ステアリング機構上の手、そして
−肩。
ここで、操舵動作は、乗員の身体を「介して(through)」、あるいは「そのまわりで(about)」効果的に行われる。操舵軸に隣接してあるいはその上に乗員の身体を置くことにより、自転車の動きに対する乗員の即応性(immediacy)と関係性とが増し、そしてこれは、他の動的な運動あるいはスポーツ(例えばスノーボードをすること又はスケートボードをすること)に類似する。ここで、回転運動は、乗員/ユーザの重心に近い軸を中心として行われる。
【0052】
理解できることとして、操舵軸の角度は、自転車操舵の幾何において、影響のあるパラメータであり、自転車操舵の物理的な能力に直接の影響を持つ。前輪の径とステアリングフォークのオフセットに関係して、操舵軸角度(自転車用語では「レーキ(rake)」として知られる)は、「トレール(trail)」の程度を決定し、そしてそれは、操舵安定性と応答性とのバランスに影響する。
【0053】
一実施形態では、本発明は、水平な地表面から測って70(±10)度の間の操舵軸角度θに対応できると考えられる。
【0054】
したがって、一側面によれば、本発明は、実質的に前記したような自転車を提供する。ここで、前記二次軸は、平坦かつ水平方向の地表面に70(±10)°の角度に延びている。また、前記自転車は、前記乗員の足、乗員の手、及び/又は、乗員の肩の単数又は複数が、縦方向の垂直な面内における前記操舵軸の周辺に、あるいは実質的に隣接して配置されるように、好ましくは構成される。乗員が彼らの足を前輪足置きに置けるという要求と組み合わされた操舵角範囲の意味は重要である。なぜなら、それは、着座姿勢と、乗員の操舵軸への近さとを決定するからである。従来技術の自転車は、より急勾配の操舵角(それは、使用者の四肢/胴体を通過せず、又はそれに隣接しない)か、「チョッパースタイル」の前輪アセンブリ(これでは現実には足を置けなくなってしまうほど前輪が離れる)を形成するもっと浅い角度のどちらかを使用している。
【0055】
着座した乗員が彼らの足を前輪足置きに置けなければならないという人間工学的な要求があるので、この制約は、着座した乗員と、前輪したがって操舵軸との長手方向での分離を制約する。
【0056】
最大座席高Y max と乗員の股下長さとの間には、直接の関係がある。同様に、前輪足置きと座席との最大距離は、座席の高さYと、座席と操舵軸との水平方向での分離Xとの両者に関して、相互的関係がある。参照点として、着座した乗員の位置は、乗員の骨盤と脊椎とを通過する垂直線、あるいは、代替的には、座席後端(rearward seat edge)における垂直線によって表示される、と考えられる。
【0057】
理解できることとして、所定の座席高さY1、及び操舵軸角θ=70°において、前記垂直線からの操舵軸の水平分離X1は、ほぼ0.24Y1に等しい。したがって、幾何学的に、操舵軸との交差部分への垂直高さY2は、下記式により与えられる:
Y2=0.24Y1tanθ+Y1 −1)
同様に理解できることとして、操舵軸が地表面に交差する交点と垂直線との間の水平距離X3は、下記式で与えられる:
X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1) −2)
したがって、一面によれば、本発明は、70°(±10°)の二次軸角度を持つ自転車と、前記二次軸と地表面との、X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1)で与えられる交差からの水平距離X1(±20%)において乗員の直立した胴体を支えるように位置する自転車座席とを提供する。ここでY1は、縦方向の座席高さである。
【0058】
操舵軸と乗員着座位置との間の相互関係を規定する代替的な手段においては、垂直線を、座席の後端エッジとしてとることもできる。乗員は、操舵軸のさらに後方に意図的に座るかもしれないが、そのようにすると、たとえ乗員が前輪足置きに到達できるとしても、性能的には重大な結果となる。操舵軸からさらに離れた位置に座ることにより、増加した重量が後輪に作用し、これと釣り合って、前輪には軽い重量が作用する。このことは、前輪のグリップと、コーナリング性能とを減らす。さらに、操舵軸上あるいはこれに隣接する回旋軸を中心として回旋可能にフレームに取り付けられた座席を有する構成の自転車にとっては、後方に着座するほど、座席ピボットにかかるトルクが増える。したがって、適切な強化が求められ、これにより、自転車全体の重量の範囲で可能な範囲の増加量を伴う、前記の増加した力に適応することができる。したがって、座席の後方は、乗員の背と脊椎と肩とに隣接する垂直面の位置のために、適切な参照点を提供することができる。
【0059】
座席後端についての代替的な参照点を考察すると、操舵軸(18)についての、前記座席端部からの対応する水平分離X2は、ほぼ0.28Y1に等しい。
【0060】
したがって、さらなる実施形態によれば、水平面と操舵軸との交差と座席後端との間の水平距離X4は、以下で与えられる:
X4=tanθ/(0.28Y1tanθ+Y1),
ここでθは操舵軸角、Y1は垂直座席高さである。
【0061】
乗員の身長と着座位置と個人体型の相違に鑑みると、さらなる実施形態では、操舵軸と前記地表面との交差と垂直線との間の水平距離X2は、プラス又はマイナス20%までの範囲で変動する。
【0062】
車輪−フレームの相互関係
ペニーファージング自転車の構成が主流でなくなってから、一世紀になる。多数の歴史的な例に乗ることは可能である一方で、現代的な複製が、珍しさや娯楽の目的のために生産されるが、これは実用的運搬手段、特に都市輸送/定期交通としてのものではない。このように支持されなくなっているにもかかわらず、前輪が後輪より比較的に大きいというペニーファージングの構成は、実用的な、都市に焦点を合わせたミニ・ファージング自転車にとって、以下を含む本発明の他の側面と組み合わされたときに、多数の利点を提供する:
−折り畳み可能な構成、
−所定のステアリング機構、
−外部駆動機構、及び
−ハブ無し車輪構成(hubless wheel constructions)。
【0063】
理解されることとして、このことは、後輪が前輪と同径か前輪より大きいような非ミニ・ファージング構成を使った本発明の実施形態(本書面における他のどこかに記載されたようなもの)を排除しない。
【0064】
本発明の一側面によれば、地表面上で乗員に使用される自転車が提供され、前記自転車は以下を含む:
−前方及び後方の部分を持つフレーム;
−前記フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前記前方のフレーム部分に、回旋可能なように取り付けられている;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作可能なステアリング機構;
−前記後方のフレーム部分に回転可能に取り付けられた後輪、ここで、前記前輪は、前記後輪よりも大きな径となっている;
−前記前輪及び/又は後輪に操作可能に接続された駆動機構;
ここで、前記自転車は、前記両方の車輪を、相互に接近するように移動させることにより、起立した乗車構成から、折り畳まれた構成に折り畳み可能となっている。
【0065】
自転車を小型で可搬性のある構成に折り畳むために、本発明の精神から離れずに、いくつかの方法が使用されうるのであり、それらについて以下においてさらに説明する。しかしながら、明らかなこととして、ミニ・ファージング構成は、二つの車輪の大きさの相対的な相違を特に使用する機会を提供し、これにより、折り畳まれた自転車の小型化を容易にする。
【0066】
典型的な小車輪の、折り畳み可能な都市交通/運搬の自転車に比較すると、ミニ・ファージング構成は、以下を含む潜在的な利点を提供する:
・ミニ・ファージングの前輪と同径の2輪を持つ自転車に比較して減少した体積(直立した、及び折り畳まれたもの);
・前輪が主として乗車性を支配しているために、障害物や凹凸表面を横切る際に特に、小径車輪の自転車に対して強化された乗車性(ridability);
・駆動機構及び/又は収納のための、前輪周囲(wheel perimeter)の範囲内の特別な体積(extra volume);
・前輪に足置きを配置できる可能性。
【0067】
しかしながら、前記で言及したように、小型であることは、ミニ・ファージング構成における唯一の利点ではない。すなわち、本発明の一側面によれば、地表面上で乗員により使用される、以下を含む自転車が提供される:
−前方及び後方の部分を有するフレーム;
−前記フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前記前方のフレーム部分に、旋回可能なように取り付けられている;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作可能なステアリング機構;
−前記後方のフレーム部分に、回転可能なように接続された後輪、ここで、前記前輪は、前記後輪よりも大きな径となっている;
−前記前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−前記前輪における、少なくとも一つの足置き、
そしてさらに、少なくとも以下の一つを含むように構成される:
−実質的に妨害されないあるいは邪魔しない領域を乗員の脚の前方に提供するように構成されかつ配置された、手動操作可能なステアリング機構;
−少なくとも一つのハブ無し車輪;及び/又は
−前記前輪及び/又は後輪に操作可能なように接続された、少なくとも一つの、外部動力(externally-powered)の駆動機構。
【0068】
注意すべきこととして、自転車ステアリング機構及び折り畳み手段に関する本発明における独立した発明的側面が、以下において、個別にかつ詳しく述べられる。
【0069】
上記したように、本発明は、ハブ無し前輪、外部動力の駆動機構、及び/又は後輪駆動機構に関係して、ミニ・ファージング構成を有効に使用することができる。ハブ無し前輪は、自転車の要素を集めて収容する容積を提供する手段として、自転車の小型化に関して、特に有利である。ハブ無し前輪は、必須ではないが、車輪中心における空隙を伴った構成とすることができる。収容の可能性に加えて、車輪中心の空隙により、駆動機構(単数又は複数)とサスペンション構成部品等は、車輪の面を通過することができる。さらに、駆動機構からの原動力は、必ずしも、従来の車輪のように中心軸を介して適用されるものでなくともよい。
【0070】
したがって、一実施形態では、この組み合わせは、以下を含む自転車として実現可能である:
−前方及び後方の部分を有するフレーム;
−フレームに取り付けられた座席;
−回転可能な外側リム部を有するハブ無しホイール、ここで、前記前輪は、一次軸を中心とした回転のために、ステアリング部材に回旋可能なように取り付けられており、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前方のフレーム部分に取り付けられており;
−前輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−後部のフレーム部分に、回転可能なように取り付けられた後輪、
ここで、前記駆動機構は、前輪を回転させるように、外側リム部に接続されている。
【0071】
駆動機構を車輪に接続するための配置の自由さは、偏心した前輪の駆動機構に関する後述の節においてさらに詳しく説明される。同様に、本願のミニ・ファージング構成における前輪及び/又は後輪のための、リムが駆動されるハブ無し前輪の利点と、外部動力の駆動機構の使用とは、下記の節においてさらに詳しく説明される。
【0072】
本発明におけるさらなる側面によれば、ここで説明されるミニ・ファージング実施形態(後輪より大きい前輪を持つ)のそれぞれについては、前記自転車は、少なくとも一つの足置きを前輪に有する構成とされ、及び/又は、自転車の動作時において前記ステアリング機構と足置きとの両方に操作可能に接触しながら着座した乗員が、着座した乗員の足によって、自転車の停止時に地表面にも到達できるように構成される。
【0073】
折り畳み手段
一側面によれば、本発明は、乗員によって地表面上で使用される自転車を提供し、前記自転車は以下を含む:
−フレームに取り付けられた座席
−以下を有するフレーム:
・前方のフレーム部分;
・後方のフレーム部分;
・実質的に鉛直に向けられた第2平面と一致し、自転車運行における前方及び後方への方向を通る長手方向軸、そして
・前記主要軸(major axis)に直交する横方向軸、
−ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記前輪は、第1平面内において一次軸を中心として回転可能であり、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前記前方のフレーム部分に、回旋可能なように取り付けられており;
−前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作可能なステアリング機構;
−前記後方のフレーム部分に回転可能なように取り付けられ、かつ、三次軸を中心として第3平面内において回転可能とされた後輪、そして
−前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
これにより、乗員は、自転車の動作時において、前記ステアリング機構を操作可能なように接触しながら、着座することができ、一方で、自転車の停止時において、着座した乗員の足は、地表面に到達でき、前記自転車は、複数の車輪を互いに接近させることによって、起立した乗車構成から折り畳み構成に折り畳み可能である。
【0074】
好ましくは、前記折り畳み可能な自転車は、前輪に少なくとも一つの足置きを有する、及び/又は、後輪よりも大きい径の前輪を有する構成とされる。
【0075】
本発明における折り畳み可能な自転車は、従来技術の折り畳み自転車とは、折り畳み方法の速さ及び単純さ、並びに、達成できる小型化の程度を含むいくつかの点で異なる。従来技術の自転車の小型化は、下記のようないくつかの大きなカテゴリに分けられる。
−実質的にフルサイズである、「従来の」ペダル駆動の従来の自転車は、フレームの蝶番で折り畳まれ、そこで、自転車は、実質的に半分に折り畳まれ、その後、延ばされた座席ポストと、おそらくはハンドルバーとを、伸縮的に小型化させる。これは、元々の長さ方向における自転車軸に沿う自転車の寸法を減少させるけれども、自転車が横方向にかなり大きくなることを避けられず、しかも、ペダル、ハンドルバー、ブレーキケーブル等の厄介な突起が付属する。このような折り畳み自転車における厄介な性質は、二つの折り畳まれた車輪アセンブリの密接な組み合わせを妨げる、関連のチェーン/ペダル駆動の装備を備えた従来の前方及び後方の自転車車輪の構成によって、悪化する。
−代替的な従来の折り畳み自転車は、一つ又はそれ以上の蝶番結合されたフレームを中心として自転車フレームを連結しており、これは、子供用のベビーカー/バギーと同様にして折り畳まれる。これも、自転車における長手方向の長さを減らすけれども、典型的には、高さが相応に増大し、自転車の体積が、減少するよりもむしろ増加してしまうことになる。
−伸縮式のフレーム小型化も、従来技術において用いられている。しかしながら、これは、フレームに大きな撓みをもたらし、そして、安定性及び頑健性の問題を生じる。その結果、小型化による体積減少は大きいけれども、起立した自転車は、頻繁でない、短距離の、そして平坦地表面上での運行のみに、典型的には適する。
【0076】
起立乗車構成(erect riding configuration)の及び折り畳んだ構成(collapsed configuration)の自転車により占められる体積は、自転車の末端に接触する平坦な側面を持つ立方の「箱」の体積(cuboid 'box' volume)により定義できる。比較可能な立方の体積は、車輪、ステアリング及びフレームのアセンブリを含む多くの自転車要素にとって、定義可能である。箱の側面を形成する面の位置の変化を比較することは、単に体積変化を測るだけでなく、折り畳まれた自転車の形状の様子をも測ることになる。
【0077】
したがって一側面によれば、本発明は、実質的に前記された折り畳み可能な自転車を提供し、ここにおいて
前記自転車は、相互的に直交する、平行な対の、縦方向(vertical)及び水平方向の平面により体積的に規定される(ただし自転車が直立した位置のとき)。ここで、これらの平面は、前記自転車並びに前記前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレーム個々の両者における長手方向(longitudinal)、横方向(lateral)及び縦方向(vertical)の末端に配置された、対向する長手方向、横方向及び縦方向の境界平面を画定しており、
前記自転車は、起立した乗車構成から、前記折り畳まれた構成に折り畳まれるように構成されており、その手段は下記による:
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、前輪における少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、フレームにおける少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記前輪の横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、後輪における少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、前輪及び後輪のそれぞれにおける少なくとも一つの横方向境界平面が、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、前輪における両方の横方向境界平面が、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、フレームにおける両方の横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に重畳すること;
・後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置して、後輪における両方の横方向境界平面が、前記フレームの横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における少なくとも一つの前記横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における少なくとも一つの前記長手方向境界平面が、前記前輪の長手方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における両方の横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、後輪における両方の長手方向境界平面が、前記前輪の長手方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における少なくとも一つの横方向境界平面が、前記後輪の横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における少なくとも一つの長手方向境界平面が、前記後輪の長手方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳すること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における両方の横方向境界平面が、前記後輪の横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪及び後輪を、相互に接近した状態に再配置して、前輪における両方の長手方向境界平面が、前記後輪の長手方向境界平面間の領域に配置されること;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の縦方向境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の長手方向境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の横方向境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪、後輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、自転車の長手方向及び縦方向の境界平面の間における、一定の、あるいは減少した間隔が維持される;
・前輪及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、前輪の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
・ステアリング機構及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、ステアリング機構の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
・ステアリング部材及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、ステアリング部材の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
・座席及びフレームを、相互に接近した状態に再配置すること、ここで、座席の少なくとも一部は、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される;
あるいは、これらの組み合わせ又は順列。
【0078】
一側面によれば、本発明は、実質的に前記したような折り畳み可能な自転車を提供し、ここでは、
前記自転車は、相互に直交する、平行な対の、垂直及び水平な平面によって、体積的に規定されており、これらは、対向する、長手方向、横方向及び縦方向の境界面を画定しており、さらにこれらは、自転車と前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレームそれぞれとの両者における長手方向、横方向及び縦方向の末端にそれぞれ配置されており、
前記自転車は、前記起立した乗車構成から前記折り畳まれた構成となるように、以下の再配置によって折り畳まれる構成となっている:
・前輪、後輪、ステアリング機構、座席、及びフレームのうちの少なくとも二つを相互に接近するように再配置し、これにより、長手方向、横方向及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること;
・前輪、後輪、ステアリング機構、座席、及びフレームのうちのいずれか二つを相互に接近するように再配置し、これにより、長手方向、横方向及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること;
・前輪、後輪、ステアリング機構、座席、及びフレームの全てを相互に接近するように再配置し、これにより、長手方向、横方向及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること。
【0079】
対照的に、先行技術における多くの折り畳み自転車は、直立した乗車構成から折り畳まれたときに、全体として、より大きな立方体積を実際に生成する。その理由の多くは、相互的な連結要素(mutually interlocking components)が不足することに起因する。大きな自転車フレーム要素の少なくともいくつかが協働して組み合わされるように特に最適化された設計であったとしても、特に、二つや三つの要素が折り畳み構成の中に再配置されるとすれば、自転車についての全体の体積は減少しない。
【0080】
注意されるべきこととして、境界平面についての対応する記載(縦方向、長手方向、及び横方向)は、それらの、自転車に対する空間的な位置に関して用いられるのであって、平面自身の向きに対して用いられるのではない。すなわち、境界平面は、縦方向に、長手方向に、そして横方向に、自転車の周囲にそれぞれ配置される。
【0081】
一実施形態では、前記ステアリング機構は、二つの末端を備えたステム(stem)を含む。前記ステムは、一端において、前記ステアリング部材に取り付けられており、かつ、他端において、一対のハンドルバーに取り付けられている。一面によれば、ステムは、ステアリング部材から、後方に向くように配置されている。
【0082】
好ましくは、ステム及び/又はハンドルバーは、フレーム及び/又は前輪に相互に接近するように、回旋して再配置され、このとき、自転車の横方向境界平面間の一定のあるいは減少した分離が維持される。
【0083】
好ましくは、ステム及び/又はハンドルバーは、フレーム及び/又は前輪に相互に接近するように、回旋して再配置され、このとき、自転車の長手方向境界平面間の一定のあるいは減少した分離が維持される。
【0084】
好ましくは、前記一対のハンドルバーは、前記ステムの両サイドに対称に、横方向に配置されたツインバー(twin bars)として構成され、各バーは、前記フレームにおいて対応する組み合わせ凹部に挿入されることによって、フレームに相互に接近するように、再配置できるようになっている。
【0085】
本発明は、自転車の特徴及び/又はフレーム/車輪の幾何における特定の要求に対応して自転車を折り畳むための多様なオプションを提供する。同様に、自転車及びその多様な要素のために境界平面の位置を規定することによって、折り畳み工程における要素間の相互関係の性質を満たすために用いることが可能である。
【0086】
一例として、後輪を、前輪の凹部に部分的に挿入することができるが、後輪に装着されるタイヤは、後輪の構造というよりもむしろ、横方向のタイヤ周縁のエッジにおける後輪横方向境界平面を規定することによって、横方向の前輪境界平面の間に完全に挿入されるものとして特定される。
【0087】
各車輪に装着される、回転しかつ地面に接触する環状タイヤは、その固有の性質により、各自転車の車輪において共通する特徴となっている。タイヤは、ゴムや空圧式である必要はなく、さらには、柔軟である必要すらない。いくつかの実施形態では、タイヤを、硬質、非弾性的、あるいは半非弾性的(semi-inelastic)な材料から構成することができ、及び/又は、空隙(voids)、ガスポケット(gas-pockets)、エアレーション(aerations)などを用いずに構成することができる。同様に、道路に接触するタイヤを、車輪リム部から取り外し可能な独立したアイテムとして構成することができ、あるいは、代替的には、タイヤを、車輪に組み込まれた、分離できない、あるいは連続的な部分とすることもできる。タイヤについての特定の特性及び構成に拘わらず、必要なことは、統一的な回転輪郭を提供することである。したがって、従来の自転車との効果的な比較の助けとしてタイヤの境界平面を使うことは好ましく、これによって、本発明による折り畳み工程における顕著な相違を記述することができる。
【0088】
一側面によれば、前方及び後方の車輪が、異なる径であってもよく、さらに、一方の車輪が凹部又は開口を有していて、他の車輪の挿入が少なくとも部分的に可能であってもよい。同様に、本発明のさらなる側面では、前輪、後輪、ステアリング機構及び/又は座席を少なくとも部分的に挿入できる一つ又は複数の凹部又は開口をフレームが有する構成であってもよい。
【0089】
自転車についての有意義な小型化を達成するために、フレーム及び構成要素(すなわち車輪、ステアリング機構及び座席)は、いずれによせ、相互的に挿入される必要があり、そうでなければ、自転車形状が再構成されたとしても、自転車の実質的な体積は変わらない。構成要素は、二つの主要な方法により、相互的に内側に挿入されうる。一つは、伸縮自在な短縮(telescopic contraction)であり、他方は、ヒンジ的/回旋的な配置である。後者では、ヒンジ結合された部分は、何らかの形態の相互的な協働が可能な組み合わせ表面(mating surfaces)を有するように構成される。折り畳み自転車にとっては、自転車重量を減らすことは意味があり、これにより、折り畳まれた自転車の可搬性を向上させることができる。対応して、折り畳み自転車のフレームは、フルサイズの通常の自転車に比較して、比較的小型とされる一方、座席、ペダル、及びハンドルバーは、長くて管状の伸縮可能な延長によって維持される。
【0090】
起立した乗車構成では、このような伸縮可能な延長は、より撓みやすい傾向があり、その結果、ヒンジ結合されたフレームに比較して、構造的な剛直さが少ない。ヒンジ結合された構成要素は、起立状態において、頑丈な構造となる一方で、構成要素に、信頼性があり、繰り返し可能であり、そして反転可能な規制された経路を提供して、折り畳まれた状態と起立した状態との間を移動させることができる。しかしながら、フレーム及び/又は車輪において適切な凹部又は開口が無いときは、ヒンジの折り畳みは、折り畳まれた自転車についての総体的体積の減少をもたらすことができない。
【0091】
一つの車輪を他に挿入するためには、明らかに、一つの車輪は、他方よりも小さい径を持つ必要がある。したがって、前記したように、必然的に、「チョッパー」スタイルの大きな後輪/小さな前輪の配置、あるいは、ペニーファージングの構成となる。しかしながら、各車輪の中心における潜在的に使用可能な体積は、折り畳み自転車の研究開発の領域においてはほぼ見逃されてきたように思われる。この車輪内部の体積は、他の車輪が小径であって、かつ、大径の車輪が好ましくはハブ無しであるとき、小径の車輪を受け入れるために特に向いている。
【0092】
さらなる側面によれば、前記再配置は、回旋すること、ヒンジ結合すること、取り外し及び再取り付けすること、並びに、伸縮の機構、装置、アタッチメント、装具、及び操作を含むが、これに制約されない。
【0093】
好ましくは、前記前輪及びフレームは、互いに回旋可能とされて、フレームの凹部又は開口に、前輪を少なくとも部分的に挿入できるようになっている。
【0094】
好ましくは、自転車は、自転車が縦方向に直立した(vertically upright)向きにあるときは、前記前輪の再配置は、実質的に縦方向平面(vertical plane)内における前輪の回旋であって、かつ、横切るように配置された第1折り畳み軸(first fold axis)を中心とした前輪の回旋により実行される。
【0095】
好ましくは、前記後輪の再配置は、実質的に水平方向平面内において、前記第1折り畳み軸に直交する第2折り畳み軸を中心とした後輪の回旋により実行される。代替的な実施形態では、前記後輪の再配置は、第2折り畳み軸を中心とした、実質的に縦方向平面内における、後輪についての回旋と直線的な並進との組み合わせにより実行される。
【0096】
理解されることとして、小径の前輪が後輪における開口又は凹部に折り込まれるという逆の状況も、対応するやり方において達成可能である。折り畳み中において車輪の一つが他に挿入されるという全ての状況では、小径車輪についての、ある程度の横方向の動きと長手方向の動きが必要であり、これにより、大径車輪と同じ平面から小径車輪を取り出し、そしてその中に戻すという動きができ、そして、大径車輪の開口/凹部を囲む車輪周縁の周囲を小径車輪が移動できる。
【0097】
一実施形態によれば、後輪は、フレームに配置され、かつ、自転車が起立構成のときに縦方向平面内に配置される第2折り畳み軸を有するヒンジを中心として、解放できるように回旋可能(releasably pivotable)となっている。
【0098】
一実施形態では、ステアリング機構及び座席は、いずれも、第3折り畳み軸を中心として回旋可能となっている。代替的には、ステアリング機構及び座席は、分離した折り畳み軸を中心として、それぞれ分離して回旋可能となっている。好ましくは、第3折り畳み軸は、二次軸すなわち操舵軸上に、あるいはそれに隣接して、かつ、それに直交して配置される。
【0099】
好ましくは、前輪は、前記二次軸(すなわち操舵軸)を中心とした回転が、ステアリング機構及び/又は前輪を、フレーム中の組み合うステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部にそれぞれ回旋可能に組み込むことによって、開放可能なように制約されている。もし前輪及びステアリング部材が、操舵軸を中心として自由に回転できるならば、折り畳み工程の間に、自転車の安定性が損なわれる。ステアリング機構、前輪、及び/又はステアリング部材の少なくとも一部を、フレームにおける対応の組み合う凹部に挿入することにより、前輪を効果的に固定して、不要な回転を防ぎ、折り畳み工程中の自転車を安定させることになる。
【0100】
選択的には、自転車は、ラッチ(latch)を含むことができ、これにより、ステアリング機構及び/又は前輪を、前記ステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部に、それぞれ、開放可能なように保持することができる。座席及びステアリング機構を回旋させることによって、単独の保持ラッチを使うことができる。
好ましくは、起立乗車構成から折り畳み構成への前記折り畳みは、三つのラッチによって、開放可能なように保持可能である。
【0101】
本発明の一側面によれば、ステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部は、フレームの下側における、長さ方向に延ばされた(longitudinally-elongated)、部分的に弓形(part-arcuate)のスロットとして、そして、フレームの上部における長さ方向の(longitudinal)スロットとして、それぞれ構成される。
【0102】
折り畳み方法
既に記述したように、本発明は、多様な構成において折り畳めるように構成できる。しかしながら、ここで敷衍するように、特定の方法及び手順により、折り畳みについての容易さ、速さ、及び/又は、単純さを向上させることができる。
【0103】
一側面によれば、本発明は、実質的に前記した自転車を、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳む方法を提供する。前記方法は、四つのステップを含み、これにより、横方向、長手方向及び縦方向の自転車境界平面間の間隔を減らすことができる。
【0104】
好ましくは、前記四つのステップは、ステアリング機構、前輪、後輪及び座席を、フレームと相互に接近するように回旋させることを含む。
【0105】
従来の折り畳み自転車における不都合は以下を含む:
・多数(四つ以上)のステップを必要とし、これにより、三つの相互に直交する境界方向の全てにおける自転車の体積を減らすこと、そして
・回旋及び伸縮の動作の組み合わせを必要とし、これにより、自転車の構成要素を折り畳むこと。
【0106】
一側面によれば、本発明は、実質的に前記した自転車を、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳む方法を提供し、前記方法は以下の手順を含む:
1.前輪とフレームとを、第1折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、前輪における少なくとも一つの前記横方向境界平面は、少なくとも部分的に、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重なる;
2.ステアリング機構とフレームとを、第3折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、ステアリング機構の少なくとも一部が、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される。これにより、ステアリング機構及び付属のステアリング部材が、前記二次軸を中心としてフレームに対して回転することを防ぐ;
3.後輪とフレームとを、第2折り畳み軸を中心とした回線により相互に接近させ、これにより、後輪における前記横方向境界平面の少なくとも一つが、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重なる;
【0107】
代替的な側面によれば、本発明は、実質的に前記した自転車を、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳む方法を提供し、前記方法は以下の手順を含む:
1.ステアリング機構とフレームとを、第3折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、ステアリング機構における少なくとも一部が、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置される。これにより、ステアリング機構及び付属のステアリング部材が、前記二次軸を中心としてフレームに対して回転することを防ぐ;
2.前輪とフレームとを、第1折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、前輪における横方向境界平面の少なくとも一つが、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重なる;
3.後輪とフレームとを、第2折り畳み軸を中心とした回旋により相互に接近させ、これにより、後輪における前記横方向境界平面の少なくとも一つが、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重畳する。
【0108】
理解されることとして、初めにステアリング機構をフレームの凹部に回旋させること、あるいは、初めに前輪をフレームの凹部に回旋させることによって、折り畳み中に操舵軸を中心として前輪が回転しないように自転車を構成することができる。
【0109】
好ましくは、前記方法は、第4折り畳み軸を中心としてステアリング機構のハンドルバーを回旋させて、フレームに相互に接近させる第4のステップをさらに含む。
【0110】
好ましくは、前記ハンドルバーは、前記フレーム及び/又は前記後輪における、組み合うハンドルバー凹部に回旋する。一実施形態では、ハンドルバーは、前記ハンドルバー凹部に、磁石によって、解放可能なように保持される。好ましくは、ハンドルバー凹部は、ハンドルバーがフレームのハンドルバー凹部内に位置している間は、折り畳まれた位置から後輪を解放しないように構成される。
【0111】
好ましくは、少なくとも一つの前記折り畳み方法は、以下のステップをさらに含む:
・一つ又はそれ以上の足置きとフレームとが相互に接近するように再配置すること、ここで、前記ステップは、前記方法におけるいかなる時点でも実行可能である。
【0112】
好ましくは、前記足置きの再配置は、回旋により実行される。好ましくは、一組の足置きのうちの一方を回旋させることが、他方の足置きを同時に回旋させる。
【0113】
理解されることとして、直立した乗車時位置において前輪の平面に実質的に直交して延長される、あるいは、前輪の表面と実質的に同一平面に折り畳まれる足置きを個別に配置することができる。足置きを、回旋できるように互いにギヤで噛み合わせることも可能であり、これにより、両者はいずれも、どちらかの足置きが移動するときに、同時に上昇及び下降することができる。
【0114】
さらに他の実施形態では、前記方法は、座席とフレームとを、第3折り畳み軸を中心とする回旋により互いに接近させるステップを含むことができ、これにより、座席の少なくとも一部を、フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジング、あるいは窪みの内側に配置することができる。そしてこれにより、ステアリング機構と付属のステアリング部材とが、フレームに対して、前記二次軸を中心として回転することを防ぐことができる。
【0115】
本発明は、様々な自転車構成要素について、伸縮的、あるいは褶動的な内部的動作を用いずに、回旋軸(pivots)あるいはヒンジを単独で用いることによって、起立した乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳むように構成することができる。
【0116】
前記で言及したように、多様な自転車構成要素のための境界平面のために適切な配置を、要素の特徴と、それらと他の構成要素との相互関係とに対応して規定することができる。一例として、前記において与えた、前方及び後方の車輪のための定義は、いくつかのアセンブリ、サブコンポーネントなどを包含する。例えば、各車輪における長手方向の境界平面を、回転するタイヤの横方向エッジに置くことは、体積の減少と、折り畳み中の車輪の位置的な動きとについての特定を容易にする。このことは、本発明が、一方の車輪の内部に他方の車輪を、及び/又は、フレームの内部に車輪を、少なくとも部分的に配置できる方法を容易に記述する。
【0117】
したがって、一実施形態では、前記長手方向の、縦方向の、及び横方向の境界平面は、前記前方及び後方の車輪に組み込まれた、地面に接触する環状タイヤにおける横方向、縦方向、及び長手方向の末端(extremities)をそれぞれ規定する。
【0118】
好ましい一側面によれば、自転車を折り畳んで、小型の運搬構成にすることができる。ここでは、前記前輪ステアリング部材は、開放可能なようにヒンジ結合されており、これにより、前輪は、フレームに向けて回旋することができる。好ましい実施形態では、前記フレームは、実質的に弓形であり、前輪の少なくとも一部と組み合うように構成され、かつ、そのような寸法とされている。好ましくは、フレームは、断面において実質的にU字形状であり、前輪周縁と、そして選択的には、駆動機構との少なくとも一部が挿入できるようになっている。
【0119】
一実施形態では、自転車を折り畳んで、小型の運搬構成とすることができる。ここでは、フレームの後部は、解放可能なようにヒンジ結合されており、後輪は、前輪及び/又はフレームに向けて回旋することができる。好ましくは、後輪は、回旋する後輪を、前輪中央の内部にあるいはそれに隣接して配置できる寸法とされている。代替的な実施形態では、後輪は取り外し可能であり、フレームから除去して、前輪の内部に装着することができるようになっている。後輪は、従来のチェーン駆動と関連する装具とによって邪魔される必要がないので、後輪を移動させて自転車を折り畳む前記手段を、いずれも、容易に実行することができる。
【0120】
ステアリング
ステアリングは、明らかに、自転車の性能において重要なパラメータであり、一世紀以上にわたって、多くの検討がなされてきた。本発明における特定のステアリング・ジオメトリと、関連するフレーム構成が、以下において記述される。しかしながら、広義において、自転車のステアリングは、以下の大きなカテゴリに分割できる;
・座席上方(above seat)−直接;
・座席上方−非直接;
・座席下方(below seat)−直接、及び
・座席下方−非直接。
【0121】
自明なこととして、前記したカテゴリの記述は、それぞれ、以下に関係する:
・乗員座席の縦方向位置に対する、ステアリング機構(例えばハンドルバー)の位置(すなわち、座席の上方又は下方)及び
・前輪に取り付けられたステアリング部材を回旋させるための様々な要素、構造等(例えばハンドルバー、レバー、車輪等)への、乗員のステアリング入力が、直接に、あるいは非直接に(例えば、リンク機構(linkages)、歯車、プーリ等を介して)行われるかどうか。
【0122】
本発明の別の実施形態では、これらのステアリングのカテゴリのそれぞれを用いることができる。初めの二つのカテゴリ(座席の上方)は、(以前のケースでの)従来の自転車ステアリング機構と、後者におけるより複雑な変形とを反映するものである。
【0123】
座席上方(above-seat)、直接ステアリングを用いることは、単純さ、信頼性及び使いやすさにおける、確立された利点を提供する。多くの乗員は、前輪フォークにハンドルバーが取り付けられているような、座席上方直接ステアリングに親しんでおり、このため、彼らの技能を、他の、そのようなステアリング機構に容易に転用することができる。しかしながら、不利益な点として、乗員をハンドルバーに向けて投げ出させるような衝突時や急減速時において、乗員にとって硬質(rigid)で、もつれさせ(entangling)、有害な障害となりうるという点がある。ハンドルバーを超えて、あるいはハンドルバーに向けて乗員が投げ出されるような衝突あるいは落車(dismounting)は、怪我という結果を必然的に引き起こす。このような怪我の一次的な原因は、乗員がつんのめるときに、彼らの脚の自由な動きがハンドルバーで邪魔されることである。関連する歯車、ブレーキレバー、ケーブル、ライト、ベル等があることによって、ハンドルバーとのからみつきは悪化する。
【0124】
操作軸にあるいはそれに隣接して配置されたハンドルバーについての乗員による効率的な操作を、自転車のフレーム構成が特に避けていない場合には、座席上方の非直接ステアリングを用いるという選択は、ほとんど魅力的ではない。非直接のステアリングは、乗員に隣接するハンドルバーやレバー等に加えられた、乗員からのステアリング入力を、回旋可能なステアリング部材に移すという形態を含む。その典型的には長尺状の構成のために、そのようなステアリング機構は、リカンベント自転車(recumbent cycles)において用いられている。前記したように、本発明におけるいくつかの特徴は、都会での使用、特に、折り畳み自転車としてのその効率を向上させる。しかしながら、そのような特徴は、リカンベント自転車にとっては、あまり適切ではない。小さくて小型のフレーム、囲われた駆動機構、視認性の良い乗車位置、そして、機敏な操縦性は、リカンベント自転車の特徴ではない。反対に、低い、傾斜した、空力学的な着座位置、高速可能性、及び、長距離適性は、いずれも、都会の使用においては、不要であるか、あるいは、むしろ危険ですらある。したがって、座席上方の、非直接のステアリング機構は、折り畳みの、都会に焦点を合わせた自転車にとっては、一次的な選択ではない。
【0125】
座席下方(below-seat)のステアリングを使うことは、直接であっても非直接であっても、都会に焦点を合わせた自転車、特に、定期交通用の折り畳み自転車の設計にとって、重要な機会を提供する。都会での乗車が高速となることはなく、したがって、空力抵抗を最小化するための低くてかがんだ身体姿勢の必要はない。長いホイールベース、大きな前輪と後輪、及び、腕による乗員の重みが伝わる位置を持つ少しかがんだ乗車位置は、乗員の高い視認性を提供しつつ小型で操縦性の良い都市向け自転車を構成するには、逆効果である。
【0126】
座席から前方に乗員を進めるような急減速の場合、乗員のブレーキ操作及び/又は事故のいずれにおいても、ステアリング機構に絡みつくこと無く簡単に下車できることは、乗員にとってかなりの利点である。このことは、既存の直立した、非リカンベント自転車とは基本的に異なるステアリング構成を要求する。ステアリング機構を、乗員の前方経路(forward path)の外に動かすことは、ステアリング機構、及び、好ましくは、他の潜在的な障害物が乗員の胴体及び脚の背後に置かれることを必要とする。これは、駆動機構及びフレームのデザインと、ステアリング機構のための、明らかな意味を持つ。
ステアリング機構に関して、前方への下車を妨げないような自転車構成のために望ましい基準は、以下を含む:
・手動操作のステアリング機構は以下に配置される
−乗員の座席の下方及び/又は
−乗員の背中の後方及び/又は
−乗員の太腿の下方、及び、乗員のふくらはぎ/下肢の後方、及び/又は
−乗員の胴の幅の横方向外側
・脚で操作されるステアリング機構は以下のようになっている
−座席から簡単に取り外せる、そして
−足/下肢の下方及び/又は後方に配置される。
【0127】
乗員の幅の横方向外側にステアリング機構を配置することは、路上での安全性と操縦性を持たせることの結果として、典型的な自転車よりもかなり広い幅を持つ、扱いにくい構成を生成するかもしれない。したがって、そのような構成においては、克服できない工学上の障害は無いけれども、ここで記載された代替技術ほどには魅力的ではない。乗員の背後にステアリング機構を配置することは、ユーザがステアリング機構に容易に到達できて、ステアリングの動きの全範囲にわたって制御できることに関しては、人間工学上の困難さを持つ。足で操作するステアリングは、本発明のための方向制御にとって、非補助であっても手動ステアリングとの組み合わせであっても、実行可能な方法であるけれども、これは、一次的には、主流でない都会用途に向いている。足操作のステアリングにおける可能性及び欠点は、前記において詳しく述べられている。
【0128】
したがって、主要な都会用途の自転車のためには、ステアリング機構を乗員のすねの背後でかつ乗員のももの下方に配置することは、人間工学的、機能的、及び構成的な利点の最大の相乗効果を提供する。
【0129】
したがって、本発明の一側面によれば、地表面上で乗員が使用するための自転車が提供され、前記自転車は以下を含む:
−前方及び後方の部分を含むフレーム;
−フレームに取り付けられた座席;
−一次軸を中心として回転可能であり、かつ、ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、フレームの前方部分に回旋可能なように取り付けられている;
−フレームの後方部分に、回転可能なように取り付けられた後輪;
−前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−前輪における、少なくとも一つの足置き;
−前記ステアリング部材に接続された、手動操作可能なステアリング機構、
ここで、前記ステアリング機構は、乗員の脚について実質的に妨害しない、又は、邪魔しない領域を前方に提供するように構成され、かつ配置されている。
【0130】
好ましくは、前記自転車は、自転車動作時において、前記ステアリング部材と足置きとに操作可能に接触しつつ着座した乗員が、実質的に直立して胴体の傾斜が無い姿勢に配置され、かつ、自転車停止時において、着座した乗員の両脚が同時に地表面に届くように構成される。
【0131】
一実施形態によれば、前記ステアリング機構は、前記座席の下方及び/又は後方に配置される。
【0132】
好ましくは、前記ステアリング機構は、前記座席の下方及び/又は後方に配置された一対のハンドルバーを含む。好ましくは、前記ハンドルバーは、四次軸を中心とした回転のために、前記フレームに、中心的に搭載(centrally mounted)される。
【0133】
一実施形態では、前記四次軸は、二次軸(すなわち操舵軸)と同軸である。好ましくは、前記ハンドルバーの位置は、ステムによって、二次軸からずらされる。ステムは、例えば一体的なビーム、チューブ、バー、ハウジング、棒、エレメント、フレームなどの各種の好ましい形態で形成することができ、そして、人間工学的に一層効果的なステアリング入力のために、ハンドルバーの位置を二次軸よりも乗員に近づける効果を持つ。
【0134】
ハンドルバーを座席の下方に置くことにより、ハンドルバーの位置は、乗員の胴体の両側においてストレスのない位置にあるリラックスした腕が自然に操作できる位置となる。乗員の脚を前輪の足置きに配置することとの組み合わせにより、このことは、ステアリング機構を乗員の全身の下方及び背後に配置することになる。したがって、緊急降車が必要なときは、乗員は、ステアリング機構を単に解放して、前方に、あるいは横方向に、自転車の部品と絡まないで降車することができる。さらに、本発明により提供される直立した乗車位置と高い視認性とは、乗員を、迅速に降車して徒歩での移動に移るために好適な身体位置に置くことができる。
【0135】
ハンドルバー(あるはその同等物)を、乗員によるアクセスのために理想的な位置に置くために、二次軸からハンドルバーに延びるステムは、単純で信頼性のある構成を提供し、これにより、乗員の回転運動をステアリング部材/前輪に伝えることができる。既に明記したように、一実施形態では、ステアリング機構のステムは、二つの末端を有するように構成されており、前記ステムは、一つの末端において、前記ステアリング部材に取り付けられており、他の末端において、一対のハンドルバーに取り付けられている。ステムは、ステアリング部材への直接の接続を提供するので、必要な前輪回転に対応するためにハンドルバーの回転方向を変える必要がない。しかしながら、必要な程度の回転を前輪について生成するために、操舵軸へのステムの末端においてハンドルバーで囲まれる弧(arc)は、乗員にとって、快適でない距離となるかもしれない。したがって、バーエンド・ハンドグリップあるいは先端部(tip)を、乗員の腿及び/又は臀部の外側周辺を通過するように向けられた各ハンドルバーの外端(outer end)に追加することは、ステアリング移動の範囲にわたって、バー端部のハンドグリップを乗員の身体に接近させる。したがって一側面によれば、前記ハンドルバーは、乗員の腿の近傍に延びるように向けられた外端部(outer end portion)を含む。一実施形態では、前記ハンドルバーの外端部は、水平に、あるいは、前記ステムに平行に向けられている。
【0136】
理解できることとして、バー端部の外端部を有する各ハンドルバーの形状は、連続した屈曲バーから、二つの実質的に直行した部分までの、様々な変形が可能である。従来の自転車と同じく、ハンドルバーの端部は、ブレーキ、スロットル(外部動力を持つ実施形態のため)、ライトなどの自転車制御を配置するのに便利な位置を提供する。
【0137】
代替的な実施形態では、前記四次軸は、前記操舵角からずらされている。このような実施形態では、ステアリング機構は、ステアリング機構の回転移動を伝達するための伝動カップリングをさらに含み、これにより、ステアリング部材及び前輪についての、二次軸を中心とした、ステアリング機構と同方向への、対応する回転移動を生成する。
【0138】
タイロッド(tie-rods)、プーリ、ギヤ、ユニバーサルジョイント(例えばフック(Hooke)またはチョバム(Chobham)のユニバーサルジョイント)などの一つ又はそれ以上を含む多様な機構から、伝動カップリングを構成することができる。一側面によれば、伝動カップリングは、少なくとも部分的に、前記フレームの一部により囲われている。一実施形態では、前記伝動カップリングは、機械的な利点を提供するように構成されており、これにより、ステアリング機構についての所定の回転移動が、ステアリング部材についての減少した回転移動を生み出すことができる。
【0139】
ステアリング機構は、ハンドルバーに加えて、レバー、プーリ、車輪等を含む便利な機構から構成することができる。しかしながら、理解されることとして、ステアリング機構は、従来のハンドルバーにおけるような、固定された実質的に水平な平面内で動作するものである必要はないし、さらには、フレームに対称に取り付けられる必要もない。一例として、手動操作されるハンドルに取り付けられるケーブルとプーリから構成されたステアリング機構は、ダンベルを持ち上げるのと同様な相補的な動きの範囲(一次的には、乗員の前腕におけるもの)を通して、移動することができる。さらに他の実施形態では、ステアリング機構は、片手で操作可能とすることができる。これは、乗員の両脚の間に配置された、あるいは代替的に、ユーザの一側に配置されたジョイスティックタイプの制御の形態をとることができる。このような実施形態により、乗員は、運動や他の活動、例えば郵便配達において、手/腕を自由に使うことが可能になる。
【0140】
フレーム構成
本発明は、本発明の範囲から離れることなく、多様なフレーム構成及び構造の使用を可能にする。小型ホイールベース、新規な座席/ステアリング配置、及びミニ・ファージングの車輪配置の実施形態は、従来の自転車とは異なるフレーム要件と制約とを生成する
一実施形態では、フレームは、前輪の外周縁に対応する凹部で形成された中央部を有する実質的な弓形(arcuate)である。好ましくは、フレームは、ステアリング部材、ステアリング機構及び/又は後輪を挿入できる凹部をさらに組み込んでいることが好ましい。前輪は、最大の単一要素なので、認識されることとして、折り畳み作業における小型化の効率は、フレーム及び他の要素と前輪との間の相互作用に依存する。弓形状のフレームは、前輪の外側部分を本質的に反映した輪郭形状を提供し、これにより、協働的な組み合わせが容易になる。
【0141】
しかしながら、代替的なフレーム形状と構造が可能であり、それは、本質的に筒状のフレームワーク構造、あるいは、前輪及び/又は後輪がフレーム内に挿入されるのではなくて、回旋して横付けとなるような、横方向に非対称なフレームを含む。
【0142】
さらなる代替例は、直線、ビーム及び/又は突出した形状のフレーム部輪郭を有するフレームを含む。
【0143】
駆動機構
前記で特定したように、駆動機構は、二つのカテゴリに区分でき、それは、「使用者駆動」、すなわち、人間であるユーザ/乗員により駆動される機構(例えばペダクランク)、又は、独立した動力源を有する、つまり、電動モータ、エンジン等の、ユーザ/乗員の外部で「外部駆動の」機構である。
さらに、用語「足置き」は、乗車中のユーザがその足を置けるように構成された装具を含み、この装具は、可動の(例えばペダルクランク)、かご状の、折り畳み可能の、及び固定の台を含む。
【0144】
既に特定されたように、駆動機構は、電動モータ、発電機、ペダルクランク、ペダルクランク及びギヤ付きチェーンドライブ、内然若しくは外然機関、並びに/又はこれらの各種の組み合わせを含む様々な形態を取ることができる。
【0145】
電動モータなどの「外部動力の」駆動機構について考察すると、従来技術において、いくつかの選択肢が出現しているが、使用者駆動の従来のペダル自転車の量と比べると、商業的な成功は小さい。このような市場での反応の原因は、駆動機構には直接に関係しない要因の組み合わせにより影響される。一次的には、効果的な外部駆動を持つことは、適切な乗車能力を求め、そしてそれは、十分な耐久性を持つ十分に強力な駆動を求める。さらに、都市での使用に焦点を合わせると、前記で詳述したように、これは、自転車の折り畳みの有効さと相互に関係することである。自転車性能と、折り畳まれた自転車についての可搬性(そして実現可能性)とは、共に、自転車重量により直接に影響される。従来の折り畳み自転車の設計の欠点は、折り畳みでない自転車に比肩できる機能性と性能とを提供する折り畳み自転車をもたらすことであり、したがって、外部駆動(例えば電動モータ)の問題は、補助的駆動支援(supplementary motive assistance)に焦点を合わせてきた。
【0146】
しかしながら、本発明により達成される小ささ、軽さ、及び性能の本来的な利点により、本実施形態の自転車を、バッテリ動力源を持つ電気動力で完全に駆動することができる。特に、折り畳み可能なミニ・ファージングの前輪構成と組み合わされたハブ無し前輪における梱包の利点は、特に小さい、使用可能なフレームを可能にし、それは、折り畳まれた車輪内車輪(wheel-in-wheel)の構成と組み合わせられるように特に構成される。複数の車輪の一つ(好ましくは前輪)における周縁の内部の可能な体積を利用することは、ハブ無し車輪によって、最も効率的に達成される。もし、他の小さな車輪(例えば後輪)が、実用的に可能な程度で小さくされているならば、駆動機構の利用ために必要な体積は、より大きな車輪の体積の中に、最も簡単に見出すことができる。これは、折り畳み/回旋の要素間の駆動リンケージを不要とする。したがって、より大きな車輪における回転可能なリム部を、同じ車輪内に配置された駆動機構によって駆動することは、有利である。これは、内部的及び外部的な動力の駆動機構に共に適用される。より大きなハブ無し車輪における、利用可能な内部体積は、前記した駆動機構以外の、例えばバッテリ、ペダル台、チェーン、ギヤ等の装具及び機構であって、適切な覆いによって囲われるべきものにとっても利用可能である。これは、なめらかな外表面と、土や水分侵入からの保護とを提供するだけでなく、乗員あるいはその衣服との不要な干渉を防ぐ。
【0147】
本発明の一側面によれば、以下を含む自転車が提供される:
−前方及び後方の部分を有するフレーム;
−前記フレームに取り付けられた座席;
−回転可能な外部リム部を有するハブ無しの前輪、ここで前記前輪は、一次軸を中心とした回転のために、ステアリング部材に回旋可能なように取り付けられており、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、フレームの前方部分に取り付けられており;
−前輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
−フレームの後方部分に、回転可能なように取り付けられた後輪、
−前輪における、少なくとも一つの足置き、
ここで、前記駆動機構は、外部リム部に接続されており、これにより、前輪の回転を行わせるようになっている。
【0148】
このようなリム駆動構成は、電動のような外部的駆動機構、及び、ペダルクランク機構のような自力動力の両者にとって有利である。
【0149】
好ましくは、前記駆動機構は、前記一次軸と平行な三次軸を中心とした回転のために、操作可能なように前輪に接続される。
【0150】
好ましくは、前記三次軸は、第1の車輪の内部に、前記一次軸から偏心して配置される。
【0151】
好ましくは、前記三次軸は、一次軸と、前輪の後方部分との間に配置される。
【0152】
一実施形態では、駆動機構は、ギヤ、ベルト駆動、チェーン駆動等のうちの一つ又は複数を介して、外部リム部に接続される。
【0153】
したがって、上記の自転車は、従来の自転車に比較して、多数の利点を提供する。自転車の前輪駆動は、従来の外部的な後輪チェーン駆動を省略可能とし、さらには、フレームに対する寸法的、構造的、及び幾何学的要求を簡素化することもできる。しかしながら、一次軸に駆動機構を配置することによって前輪を直接に駆動することは、最大の実用的車輪サイズ、着座位置及び操縦性についての制約を提供する。駆動機構の偏心配置は、これらの欠点に向けられたものであり、足置き及び/又はペダルクランクについての、人間工学的に最も効率的な、地面及び乗員に関する配置及びサイズを妥協すること無しに、最適化された前輪サイズを使用可能とする。
【0154】
理解されることとして、いくつかの代替的な駆動構成が可能である。一実施形態では、単一の外部駆動機構が、前後輪の両方に動力を提供する。代替的には、分離された外部駆動機構が、個別に、前後輪の両方を駆動する。これら二つの実施形態は、自転車を全輪駆動とし、これにより、両輪に動力をいきわたらせることができ、ホイールスピンの可能性を減らし、そして、トラクションを改善することができる。後者の実施形態では、一つの駆動が操作不能となったときに、ある程度の減速を与えることができる。さらに他の実施形態では、外部駆動により、後輪単独に動力を提供することができる。
【0155】
前記で特定したように、多くの「使用者動力」駆動機構、すなわち、ペダルクランクと、「外部動力」駆動機構との間の顕著な相違は、乗員の足の配置に関する要求である。ペダルクランクを踏むことは、乗員の足が可動のべダルに配置されることを当然に必要とし、一方、「外部動力」機構では、何らかの形態の静止した足置きに乗員の足を置くことができる。人間工学的な考察によると、このような足置きの位置は、ペダルクランクについての望ましい位置と実質的に一致する。各例について繰り返さないけれども、読みやすさの便宜のために、理解されるべきこととして、足置き及びペダルクランクの位置への言及は、逆の意味であることを明言しない限り、相互に交換可能であると理解されるべきでる。
【0156】
駆動されるペダル
前輪駆動自転車のための、ペダルを駆動する駆動機構についての特定のケースを考慮すると、折り畳み可能な都市用自転車における最適な車輪サイズは、いくつかの要因に依存する。特に、でこぼこした路面上では、小径車輪を使うと、通常は、乗車性能が制約される。しかしながら、都市の環境では、路面の状況は、窪み(potholes)、グリッド、あるいは他の障害によって変化するものの、未舗装路面に比較すれば、一般に、高い水準にある。したがって、特に都会向けの、ペダル駆動の自転車は、全目的の折り畳み自転車に比較して、小さいサイズの車輪を用いることができる。都会用の最小の車輪サイズにおける実用上の制約は、乗員が着座したままで縁石を上り/下りできる程度に車輪が十分に大きいことである。しかしながら、ペダルクランクの駆動機構は、中心に置かれたペダルクランクによって直接に駆動される車輪について、実用上最小の径の車輪を用いることができない。クランクの長さは、成人により十分に踏むことができるものである必要があるので、実用上最小の車輪サイズは、特にコーナリング中に、ペダルが地面に接触しないようなものに制約される。
【0157】
反対に、もし、大きな車輪径の自転車の実施形態が必要ならば、中央のペダルクランクは、乗員が効率的にペダルを操作し及び/又は休憩中に地面に到達することができる、可能な最大サイズについての制約を生む。
【0158】
本発明において偏心した駆動機構の位置を用いることは、これらの両方の制限を不要にし、そして、外部動力の、及びユーザ動力の両方の駆動機構のために、最適な径の車輪の選択を可能にする。車輪の上四分の一にペダルクランクを配置することにより、使用できる車輪径を減らすことができ、一方で、下四分の一に配置することにより、ペダル踏みの効率を低下させずに大きな車輪径を使用することが可能になる。
【0159】
駆動機構を接続して、一次軸上で動作する機構を介して、前輪を回転させることができるけれども、これは、折り畳み自転車の小ささを最大化するために使用できる、車輪スパンにおける中央の体積を無秩序化する。したがって、駆動機構は、好ましくは、ペダルクランクを車輪リムに連結する。これにより、特に折り畳み構成において乗員又は乗員の衣服に引っかかるような突起等がないハウジング内に、駆動機構を容易に収納することができる。小型化を支援するために、一実施形態では、ペダルクランク/足置きは、取り外しできるように、及び/又は、駆動機構ハウジングと実質的に同一平面に向くように回旋するように構成される。
【0160】
駆動機構は一つ又はそれ以上の、ユーザが選択可能なギヤを含むことができ、あるいは、単純に単一のギヤ比で構成されることができる。自転車が一次的に都会用途を志向するならば、単一のギヤ比は、競走やマウンテンバイクと同じ障害となることはないであろう。さらにそれは、小さいハウジング内に収まるような、より軽くて単純な駆動機構を提供する。
【0161】
一実施形態では、駆動機構、例えばクランクギヤに取り付けられたペダルクランクは、回転可能なように、中間ギヤを介して駆動ギヤに噛みあっており、これにより、前記回転可能な外側リムを駆動できるようになっている。外側リムと駆動ギヤとは、共に、歯付きの噛み合い表面を持つ、あるいは、滑らかな摩擦接触を持つ構成とすることができる。中間ギヤは、クランクペダルの回転方向が、前輪の回転方向と一致することを保証するために必要であるが、理解されることとして、もし満足するギア比が達成できるならば、ギアクランクからリム部を直接に駆動するという極端に単純化した構成が可能である。
【0162】
さらに折り畳み自転車が、露出したチェーン、ギヤ等を用いない、滑らかで密封された自転車を提供することを保証するために、外側リム部(及び関連する駆動機構)を、環状リングである前輪周囲に延びる共通のハウジングで囲うことができる。好ましくは、ステアリング部材は、前記ハウジングに取り付けられる。当業者に明らかなこととして、前輪に取り付けられたステアリング部材を、車輪の両側を通るフォークの腕を有するフォーク構成(fork configuration)とすることができ、あるいは、代替的には、前輪の片側への非対称的な取り付けで構成することができる。したがって、露出したチェーン駆動に典型的には関係する潤滑油、付着した土等から、乗員を保護することができ、したがって、汚損の恐れなしで、折り畳み自転車を乗員の背中に載せて運ぶことができる。
【0163】
好ましくは、外側リム部は、典型的には空気入りタイヤの形態である、地面と接するタイヤ部を含むか、あるいはそれに取り付けられる。
【0164】
前記したように、一次軸を通るペダルクランクを有する前輪駆動ペダル自転車は、休止状態からの出発の時に、トルクステア(torque steer)の効果に苦しむ。クランクペダルを、一次軸から後方に離間させることは、いくつかの重要な利点を提供し、それは、増加した安定性(増加したホイールベースによって助けられる)と、減少したトルクステアとを含む。一次軸を通るペダルクランクを有する前輪ペダル駆動自転車についての人間工学的な制約により、乗員は、前輪上端の実質的に上方に位置する必要がある。これは、まさに直立した乗車位置からの良好な視界を提供するけれども、自転車における感覚的な(及び実際の)不安定さを、一輪車の場合のそれと同様に、増加させる。本発明において、ペダルクランクを、一次軸から後方に移すことにより、乗員の着座位置も後方に移動させることができ、これにより、高い安定性を提供することができ、しかも、望ましい高い視野と切り詰められたフレームという特性を維持することができる。
【0165】
さらに理解されることとして、本発明の精神から離れずに、前記した実施形態についてのいくつかの変形が可能である。自転車は、例えば、ユーザ動力と外部駆動の機構の組み合わせをさらに含むことができる。典型的には、追加的な駆動機構は、例えば外部的に駆動される機構のような補助的な駆動機構として使用され、それは、一次的にペダルで駆動される自転車を補助するが、その逆もまた同様である。補助的な外部駆動機構は、前輪及び後輪に動力を与えることができ、そして、電気的駆動(バッテリー及び燃料電池の動力)、内燃エンジンなどを含む便利な既知の動力駆動機構から選ぶことができる。このような補助的駆動は、急な上り坂において乗員を助けることができ、そしてそれは、下り坂及び/又は制動の時に、減速及び/又は電気的動力発生を提供するように構成することができる。
【0166】
好ましくは、前記補助的動力駆動は、前記駆動機構ハウジングの内部に配置される。
【0167】
偏心したクランクペダル配置による安定性の強化に拘わらず、小型フレームでの実質的に直立した乗車姿勢は、前輪を強く制動している間に乗員を前方に投げ出す危険を生成する。乗員の前方にある従来のハンドルバーの配置は、乗員が前方に投げ出されたときに危険を与える。反対に本発明におけるいくつかの実施形態は、ハンドルバーを乗員の下方及び/又は背後に配置することにより、このような問題を解消する。したがって、乗員は、障害なく、自転車の前部の上を通って降車することができる。このような降車は、緊急制動の間に、あるいは、かなりゆっくりとした速度において故意的に発生することがある。このような減速技術は、スケートボード及びスクータの乗員にとっては既によく知られている。
【0168】
そして、自転車は、選択的に、前方及び/又は後方のブレーキを備えることができる。自転車が人の走る速度より早くなく、そして、降車が速度制御の手段として使われるような都会での用途の場合には、ブレーキのない実施形態は可能である。しかしながら、理解されることとして、前輪及び/又は後輪に従来の自転車ブレーキを取り付けることは、いくらかの重量と複雑さを犠牲にする。
【0169】
一輪車
容易に理解されることとして、多数のフレーム構成、車輪のサイズ及び配置、並びにステアリング機構が可能である。後輪による支持の役割は、一輪車の形態の一実施形態では制約される。この一輪車は以下を含む:
−上部に取り付けられた座席を有するフレーム;
−回転可能な外側リム部を有するハブ無し車輪、ここで前記車輪は、前記フレームに、回転可能なように取り付けられている;
−ペダルクランクを乗員が回転させることによって車輪を回転させるための、外側リム部に接続されたペダルクランク、ここで、前記ペダルクランクは、ホイール内に、偏心して配置されている。
【0170】
従来の一輪車が不安定であるという特徴は、車輪中央にペダルクランクを配置したことに起因する。ペダル踏みに最適な乗車位置は、ペダルクランクの回転軸を、乗員の胴体よりもわずかに前方に置く。中央のクランクによりペダル踏みがされる単一の車輪では明らかに不可能であるが、本発明は、これを、偏心したペダルクランクの使用により解決する。増加したペダル踏み人間工学は、一輪車に不慣れな乗員の順応を容易とし、さらには、乗車効率を改善する。
【0171】
さらに他の実施形態では、自転車は、さらなる車輪を含んで、三輪、四輪、あるいはそれ以上の車輪の自転車を提供することができる。追加的な車輪は、訓練を助けるための一対の後方安定車輪を有する一輪車から形成されるトライク(trike)構成、あるいは、自転車後部に取り付けられた一つ又はそれ以上の車輪を有するジョイント結合のトレーラを有する前記の二輪車構成などの多数の構成を提供することができる。さらに、追加的な車輪は、他の車輪と同一である必要はなく、異なるサイズ、タイプ及び/又は取り付けタイプ、例えば、スケートボード・トラック・タイプ(skateboard truck type)の構成を介して取り付けられた車輪とすることができる。容易に理解されることとして、前記実施形態は、単なる一例であり、多様な代替構成が可能である。
【0172】
このように、本発明は、便利な都市運搬が可能な折り畳み自転車を提供し、これは、ユーザ又はその衣服にからむという危険を小さくしつつ、運搬及び保管のために小型の体積に折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0173】
本発明のさらなる態様が後続の説明から明らかになるであろう。この説明は、単に例としてのみ与えられており、かつ、以下の添付図面を参照している。
【図1】折り畳み自転車の形態における本発明の好ましい実施形態についての側面視を示す。
【図2】従来の現代的自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図3】ペニーファージング自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図4】小型ペニーファージング(「ミニ・ファージング」)自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図5】他の既知のペニーファージング自転車と比較した、図1の自転車の側面視を示す。
【図6】図1の自転車の側面視と、自転車寸法とを示す。
【図7a−7c】 異なる操舵の角度を持つ図1の自転車の側面視を示す。
【図8a及び8b】図1〜5に示された乗員よりも小さい、及び大きい乗員についての側面視をそれぞれ示す。
【図9】図1の自転車の側面視と折り畳み軸とを示す。
【図10a】 起立構成におけるステアリング機構と座席とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【10b】 折り畳み構成におけるステアリング機構と座席とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図11a】起立構成におけるハンドルバーと足置きとを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図11a】折り畳み構成におけるハンドルバーと足置きとを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図12】 起立及び折り畳み構成の間を移動する前輪と後輪とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図13】折り畳み構成における前輪と後輪とを有する図1の自転車の側面視を示す。
【図14a−14e】起立構成における図1の自転車についての正面視、背面視、側面視、平面視及び底面視をそれぞれ示す。
【図15a−15e】折り畳み構成における図1の自転車についての正面視、背面視、側面視、平面視及び底面視をそれぞれ示す。
【図16a−16b】折り畳み構成における自転車を運ぶ乗員についての、側面視及び背面視をそれぞれ示す。
【図17a−17f】図1の自転車についての、起立構成(図17a)から折り畳み構成(図17e)までの折り畳み手順の側面視を示す。
【図18a−18f】図1の自転車についての、起立構成(図18a)から折り畳み構成(図18e)までの折り畳み手順の平面視を示す。
【図19a−19f】図1の自転車についての折り畳み手順の側面視と、前輪及び後輪についての縦方向及び長手方向の境界平面とを示す。
【図19g−19l】図1の自転車についての折り畳み手順の平面視と、前輪及び後輪についての横方向及び長手方向の境界平面とを示す。
【図20a−20f】図1の自転車についての折り畳み手順の平面視と、前後輪及びフレームについての横方向及び長手方向の境界平面とを示す。
【図20g−20l】図1の自転車についての折り畳み手順の正面視と、前後輪及びフレームについての横方向の境界平面とを示す。
【図21a−21f】図1の自転車についての、折り畳み手順における様々な段階での底面視を、前後輪及びフレームについての横方向の境界平面と共に示す。
【図21g−21l】図1の自転車についての折り畳み手順の背面視と、前後輪及びフレームについての横方向の境界平面とを示す。
【図22a−22c】図1の自転車で使用するためのステアリング機構の変形を示す。
【図23a−23e】図1に示す自転車ステアリング機構との比較における、代替的なステアリング機構の位置についての側面を示す。
【図24a−24b】図1の自転車で使用するための、代替的な「縦方向」ステアリング機構をそれぞれ示す。
【図25a−25b】本発明の二つのさらなる実施形態による自転車フレームについての象徴的な表現を、図1の自転車との比較において示す。
【図26】本発明の他の実施形態による自転車を、図1の自転車との比較において示す。
【図27a−27e】車輪サイズの変形例を有する、図1の自転車の側面を示す。
【図28】本発明のさらに他の実施形態による自転車を、図1の自転車との比較において示す。
【図29】図1の自転車の前輪ベアリングの側面を示す。
【図30a−30b】図1の自転車で使用する前輪についての、側面と対応する断面とを、それぞれ示す。
【図31a−31c】図1の自転車で使用するための、外部動力の、ユーザ動力の、並びに外部及びユーザ動力の駆動機構をそれぞれ示す。
【図32a−32b】図1の自転車で使用するための、「ペダル補助」駆動機構の側面及び正面をそれぞれ示す。
【図33】本発明の他の実施形態による折り畳み自転車を示す。
【図34a−34c】図33の自転車を折り畳む手順における側面を示す。
【図35a−35c】本発明の他の側面による自転車についての三つの実施形態を示す。
【図36a−36b】図33の自転車で使用するための、ユーザ動力ペダル駆動機構の側面及び正面をそれぞれ示す。
【図37】自転車におけるユーザ動力駆動機構で使用するための伝動システムについての、一つの可能な実施形態の側面を示す。
【図38a−38c】本発明の他の側面による一輪車の三つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0174】
図1〜21は、本発明の好適な代表的実施形態による自転車(cycle)(1)を示す。
【0175】
広義では、乗員(11)のための自転車(1)は、以下を備えるフレーム(2)を有する:
・フレーム前方部分(3)、
・フレーム後方部分(4)、
・フレーム前方部分(3)に取り付けられた前輪(5)
・フレーム後方部分(4)に取り付けられた後輪(6)
・フレーム前方部分(3)に回旋可能に取り付けられ、かつ、前輪(5)を回転可能なように保持するフォーク(7)の形態のステアリング部材
・ハンドルバー(9)及びステム(10)の形態で提供されるステアリング機構(8)
・前輪(5)に取り付けられた足置き(12)
・及び座席(13)。
【0176】
自転車(1)は、使用において、自然な向きを有しており、例えばフレーム(2)は、自転車走行の前後方向の向きに沿う実質的に長手方向の軸(14)とこの長手方向の軸(14)に直交する横方向軸(15)とを有する縦方向平面内において直立となっている。
【0177】
座席(13)は、座席台(seat mounting)を介して、フレーム前方部分(3)に取り付けられている。理解されることとして、図面に示される本実施形態では、座席(13)が、フレーム(2)に固定されているけれども、座席は、多数の現在の自転車座席配置と同様な方法で、座席ポストあるいは台に取り外し可能に取り付けることができる。
【0178】
必須ではないが、図1〜36に示された実施形態では、自転車(1)は、前輪(5)及び後輪(6)をフレーム(2)と互いに接近するように再配置することによって、起立した乗車構成から、折り畳まれた構成に折り畳み可能である。座席(13)、ハンドルバー(9)、及びステアリングフォーク(7)も、フレーム(2)と相互に接近するように再配置可能であり、これによって、自転車(1)によって占められる全体的な体積を減らすことができる。自転車を折り畳む方法は別途に詳細に説明される。
【0179】
前輪(5)は、ステアリングフォーク(7)の形態で提供されるステアリング部材に取り付けられる。前輪(5)は、第1の面内で、一次軸(17)を中心として回転可能であり、ステアリングフォーク(7)は、一次軸(17)に直交する二次軸(18)を中心とした回転のために、フレーム前方部分(3)に、回旋可能なように取り付けられている。後輪(6)は、フレーム後方部分(4)回転可能に取り付けられており、第3の面内で、三次軸(19)を中心として回転可能となっている。フレーム(2)は、前輪(5)の少なくとも一部と組み合う寸法とされた、実質的にU字状の断面を持つ実質的に弓形の部分(20)を有している。後輪(6)は、前輪(5)よりも小さな径を有しており、後輪を前輪の開口(39)に挿入できるようになっている。
【0180】
前輪(5)は、地面に接触する(engaging)環状タイヤ(73)と、タイヤ(73)を取り付ける、回転可能なリム部(74)とを含む。
【0181】
使用者が操作可能なステアリング機構(8)が提供され、これは、二つの末端を有する構成とされたステム(10)を介してステアリングフォーク(7)に接続された一対のハンドルバー(9)を含む。ステム(10)は、一方の末端において、ステアリングフォーク(7)に取り付けられ、他方の末端において、一対のハンドルバー(9)に取り付けられる。ステム(10)及び接続されたステアリングフォーク(7)を介したハンドルバー(9)の回転は、前輪(5)を回転させ、移動中における乗員(11)のステアリング入力を実行する。一対のハンドルバー(9)は、ステム(10)の両側において横方向に対称に配置されたツインバー(twin bar)の形態で形成されている。
【0182】
駆動機構(38)は、電動モータの形態で提供されている(図31において概略的に(82)として示されているが、図1では、前輪の中央ハウジング(76)によって隠されている)。電動モータ(82)は、伝動システムを介して前輪(5)に、操作可能なように接続されている。
【0183】
足置き(12)は、自転車が動作している時に乗員の足を支持するために、前輪(5)の両側に配置されている。
【0184】
自転車(1)は、自転車(1)の動作時に、乗員が、足置き(12)と、ハンドルバー(9)を介してステアリングフォーク(7)とに操作可能に触れている状態で、座席(13)に乗員が着座できるように構成されており、さらに、自転車(1)の停止時に、着座した乗員の足(28)を地表面に着けることができるようになっている。明らかなこととして、自転車(1)は、停止時及び動作中において、実質的に胴体の傾斜がなく、ストレスのない、実質的に直立した姿勢で、乗員(11)を支持するように構成される。
【0185】
直立した、ストレスのない乗員位置は、典型的な現行及び歴史的な自転車とは大きく異なる。従来の自転車では、乗員は、ステアリング機構に作用する乗員体重の一部に耐えることが必要である。図2〜5は、本発明の一実施形態を表すファントム像に重畳された、関連する従来自転車構成のスペクトラムを示す。図2〜4に示される乗員(11)は、図1及び全図面(図8を除く)と同じであり、これにより、寸法的な相違についての比較を、フレーム及び車輪のレイアウトの相違と同様に、描写することができる。
【0186】
マウンテンバイク、ツーリングバイク、及び他のカテゴリは、乗員のスタンスにより微妙に変化するけれども、図2に示す現代のロードレース自転車(22)は、最近の自転車フレーム構成を代表している。非レカンベント自転車のための、図2に示される従来の乗車位置は、乗員を、傾斜した胴体のスタンスに置き、このとき、乗員は、頭を低くして部分的にかがむ。図1に示す本実施形態の乗車位置とは反対に、現在の乗車位置(図2)は、減少した空気抵抗による高速化に最適化されている。しかしながら、このことは、結果的に、乗員の肉体への負荷を増し、そして、乗員による周囲への注意力と、他の交通への路上での存在感を減らす。反対に、自転車(1)の乗員は、人間工学的にバランスされ、ストレスのない安定した乗車姿勢に置かれ、このとき、乗員の足は、使用者の尻の下方及び/又は背後に配置されるのではなくて、前輪足置き(12)又はペダルに向けて前方に延びる。従来の乗車姿勢(図2)に比較して、この直立した乗員姿勢は、都市交通のために、以下を含む多数の利点を提供する:
・乗員(11)にとって、良好な視界と、高い視線;
・他の道路使用者に対して、より高い視覚的認識あるいは存在を提示すること;
・筋骨格的な負担の軽減、及び
・安定して自然な位置で、乗員の足(28)を尻(48)の前方に置き、これにより、必要とされる最小の座席高さを減らして、重心を低くし、安定性を改善すること。
【0187】
自転車(1)は、後輪(6)よりも大きな前輪(5)を有しており、それは、現在の自転車設計とは著しく異なったフレーム/着座構成であって、最も近い乗車姿勢は、20世紀初めからのペニーファージング設計で示されている。このようなペニーファージング自転車(23)の一例は、自転車(1)との比較において、図3に示されている。しかしながら、前記したように、既知のペニーファージング自転車性設計に固有の多数の問題があり、このために、それらは、現代の通常の自転車において使用できなくなっている。反対に、自転車(1)は、着座した乗員の足が地面に接触できる寸法とされた車輪(5,6)とフレーム(2)とを有する構成なので、「ペニーファージング」設計における前記した問題は、減少し、あるいは、解消する。
【0188】
前輪(5)に足置き(12)を配置することにより、安定性と、相互的な乗員の関与と、触覚的フィードバックとは大幅に向上する。さらに、乗員(11)が足置き(12)を使用することにより、前輪(5)の操縦を補助することができ、あるいは、乗員が両手を自由にしたいのならば、足置きを、単独の操縦入力として使用することができる。
【0189】
ペニーファージング設計における小型化された近代的変形(24)が、自転車(1)との比較において、図4に示されており、前輪のサイズを減らすことによって、伝統的なペニーファージング自転車におけるいくつかの問題の軽減が図られており、これにより、乗員(11)は、その足(28)を地面に着けることができる。しかしながら、欠点は以下を含む:
・自転車は折り畳み可能ではない;
・操舵軸角は急である(より小さい、あるいは「緩い」操舵軸角を有する大きな車輪を使って曲がる努力を避けるためであろう)
・ステアリング機構のハンドルバーは、乗員の座席の前方でかつ上方に配置されている、そして
・駆動機構は、前輪の中心軸を通って取り付けられたクランクである。
【0190】
他の一層近代的なペニーファージングの変形設計(25)が図5に示されている。ここでは、フルサイズのペニーファージングよりも緩い操舵軸角と、小さい前輪とを組み込んでいる。しかしながら、平均的な乗員にとっては、これは、停止時に両足を地面に置くには高すぎ、図4に示す自転車について前記した他の欠点の全てを有している。
したがって、ステアリング部材に接続されたステアリング機構の配置は、乗車位置の問題に特に関係する。他の関係する構成パラメータは以下を含む:
・座席(13)から容易にアクセスできる距離内に、手動操作されるステアリング機構(8)を配置すること;
・乗員の股下長さを超えない、座席高さ;
・乗員の足(28)との干渉あるいは乗員の足の離脱無しでの前輪のステアリング動作を可能とする、座席位置からの足置きの距離。
【0191】
典型的な人間の身体が、四肢や身体の特徴や要素の比率に関して、何らかの相互関係を有することは広く確立されている。人間の形態やサイズにおける自然な変化に拘わらず、これらの相互関係は、自転車人間工学の最適化のために、設計パラメータとして使われて、大多数の人間の身体フレームに適合することができる。前記したように、前輪足置きを用いる本発明の種々の実施形態において、座席(13)と足置き(12)との間の明らかな身体的関係が存在する。
【0192】
図6〜8は、乗員(11)と、自転車(1)のフレーム−車輪相互関係の重要パラメータとの間の相互関係、特に、乗員(11)と座席(13)とに対する二次軸あるいは「操舵軸(steering axis)」(18)の位置を示す。
【0193】
最大の座席高さは、乗員の股下長さで制約されるので、座席(13)からの足置き(12)の距離は、乗員の股下長さよりも大きくない半径内になければならない。本発明の利点として、操舵軸(18)を、乗員の胴(26)及び四肢を通るかそれに十分近い角度に配置できる。従来の自転車では、図2〜5に示されたように、明らかに、操舵軸は、直立した乗員の胴(26)から離れた位置にある。乗員(11)が、その頭部(27)又は胸上部の領域の近くを操舵軸が通るように十分に傾斜するとしても、足(28)、ひざ(29)及び胴体(26)を含む乗員の身体の残部は、相当に離れた状態にある。もし乗員(11)が直立して、ストレスのない背骨の姿勢で座っていたとするならば、操舵軸(18)は、乗員(11)に交差しない。
【0194】
図6は、操舵軸(17)が乗員の足(28)、ひざ(29)、手(30)及び最終的に胴体(26)を通るように接近し、肩(31)を通って延びたときの側面視を示す。図8は、乗員がかなり異なった身長であったとしても、操舵軸(18)が依然として乗員の四肢と胴体(26)とに近接している様子を示す。さらにそれは、固定高さの座席(13)により、異なるサイズの乗員が、調整の必要なしで自転車(1)を使うことができることも示している。
【0195】
操舵軸角θは、自転車における自転車操舵幾何学についての、影響力のあるパラメータであり、自転車のハンドリング、安定性及び応答性について直接の影響を持つ。一実施形態において考えられることとして、要求される能力とハンドリング特性とを維持するための後方に傾いた操舵軸角θの可能な範囲は、地表面の平坦な水平面から測定して70(±10)°の範囲の操舵角θである。図7a〜7cは、60°から80°までの間で10°ずつ増加する操舵軸角の値を有する自転車(1)を示す。
【0196】
人間工学的な要求として、着座した乗員がその足(28)を前輪足置き(12)に載せることができる必要がある場合は、このことは、座席(13)と、前輪(5)したがって操舵軸(18)との間における長手方向の分離距離を制約する。
【0197】
最大座席高さと乗員の股下長さとの間には、直接の関係がある。同様に、座席(13)の高さと、座席(13)と操舵軸(18)との距離との両者に関して、前輪足置き(12)と座席(13)との最大距離には相互的な関係が存在する。参照点として、着座した乗員は、乗員の骨盤及び脊椎を通る縦方向線(32)で表現されるとみなし、あるいは代替的に、座席の後端における縦方向線(33)で表現されるとみなすことができる。
【0198】
理解されることとして、座席高さY1と操舵軸角θ=70°とが与えられれば、縦方向線(32)からの操舵軸(18)の水平方向距離X1は、約0.24Y1に等しい。したがって、操舵軸(18)との交差(32)への、線(32)の縦方向高さY2は、幾何学的に、以下の式で与えられる:
Y2=0.24Y1tanθ+Y1 −1)
【0199】
さらに、地表面(36)との操舵軸(18)の交差(35)と、線(32)との間の水平方向距離X3は、以下の式で与えられる:
X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1) −2)
【0200】
したがって、一側面によれば、本発明は、70°(±10°)の二次軸角と、前記二次軸(18)と地表面(36)との交差(35)からの水平距離X 3 (±20%)において乗員の直立した胴体に耐えるように配置された自転車座席(13)とを有する自転車(1)を提供し、ここで、X3=tanθ/(0.24Y1tanθ+Y1)であり、Y1は縦方向での座席高さである。
【0201】
座席後端における代替的な参照線(33)を考慮すると、前記座席端部(33)からの、操舵軸(18)についての対応する水平方向での距離X2は、約0.28Y1に等しい。
【0202】
操舵軸(18)と地表面(36)との交差(35)と、座席後端(33)との間の水平方向距離X4は、X4=tanθ/(0.28Y1tanθ+Y1)で与えられ、ここでθは操舵軸角、Y1は縦方向の座席高さである。
【0203】
乗員の身長、着座位置及び個人的なスタイルが様々であることを考慮すると、さらなる実施形態では、操舵軸と前記地表面との交差と、線Y 1 との間の水平方向距離X 4 は、±20%の範囲で可変であり、これは図7に例示されている。
【0204】
後輪よりも比較的に大きい前輪を持つペニーファージング構成は、実用的な、都会向けのミニ・ファージング自転車にとって、多くの利点を提供する。本発明は、ミニ・ファージング構成を、以下に関係して有利に使用する:
−折り畳み自転車の構成;
−既定のステアリング機構、例えば座席下のステアリング;
−外部駆動機構、例えば電気的駆動、及び
−ハブ無し車輪構成。
【0205】
これらの特徴あるいは能力のそれぞれは、以下に説明するように、図9〜38にわたって図示されている。
【0206】
したがって、本発明における別の実施形態によれば、前記したような自転車(1)が提供され;
−ここで、前記前輪(5)は、前記後輪(6)より大きい径とされており;
以下のうちの少なくとも一つを含むように構成されている:
−前記車輪(5)(6)を、互いに接近するように動かすことによって、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳み可能とされていること;
−実質的に妨害とならず、あるいは邪魔にならない領域を、乗員の脚(37)の前方に提供できるように構成されかつ配置された、手動操作可能なステアリング機構(8);
−少なくとも一つのハブ無し車輪(5);及び/又は
−前輪及び/又は後輪(6)に操作可能に接続された、少なくとも一つの、外部動力の駆動機構。
【0207】
前記したように、本発明は、ハブ無し前輪(5)(図1に示されている)、外部動力の駆動機構(38)(図31に示す)及び/又は後輪駆動機構に関係して、ミニ・ファージング構成を有利に使用することができる。ハブ無しの前輪(5)は、自転車の要素を詰め込める収容体積を提供する手段として、自転車の小型化との組み合わせにおいて、特に有利である。ハブ無しの前輪は、必須ではないが、図1〜38に示す自転車(1)の前輪(5)にあるような、車輪中央の穴で形成することができる。
【0208】
収容の可能性に加えて、車輪中央の穴(39)により、駆動機構(単数又は複数)及びサスペンション構成部品等は、車輪の平面を通ることができる。
【0209】
注記すべきこととして、ここに記載されたミニ・ファージング実施形態(後輪よりも大きい前輪を有するもの)のそれぞれは、前輪(5)に少なくとも一つの足置き(12)を有するように構成することができ、及び/又は、着座した乗員(11)が、自転車の停止状態において、着座した乗員の両脚で地表面(36)に届くことができ、自転車の移動状態において、ステアリング機構(8)と足置き(12)とに届くことができるように構成することができる。
【0210】
上記したように、自転車(1)は、前輪(5)、後輪(6)、座席(13)、ステアリング機構(8)、足置き(12)及びステアリング部材(7)がフレーム(2)に相互に接近するように再構成することによって、起立した乗車構成から、折り畳まれた構成に再構成されることが可能である。
【0211】
図8〜13は、自転車(1)についての第2の好ましい実施形態と、折り畳み軸が位置し、起立構成と折り畳み構成との間における再構成において様々な自転車部品が折り畳まれる回転中心となるポイントとを示す。
【0212】
第1の折り畳み軸(40)(図9に示す)は、前輪(5)がステアリングフォーク(7)に旋回可能に接続される場所に配置され、これにより、前輪(5)及びフレーム(2)は、相互的に回旋可能となっている。第1の折り畳み軸(40)は、前輪(5)の幾何学的な中心を通り、前輪(5)の回転中心となる一次軸(17)に平行である。
【0213】
第2の折り畳み軸(41)は、後輪(6)とフレーム(2)との間の接続に配置されており、後輪(6)は、フレーム(2)に対して回旋して、フレーム(2)と前輪(5)とに相互に接近できるようになっている。第2の折り畳み軸(41)は、第1の折り畳み軸(40)と平行な方向に向けられており、後輪の再配置は、第2の折り畳み軸(41)をを中心とした、縦方向平面内での回旋と、後輪(6)の直線的な並進との組み合わせにより実行される。
【0214】
第1(40)及び第2(41)の折り畳み軸と、対応する前輪(5)及び後輪(6)の回旋が、図9〜13に示されている。座席(13)とステアリング機構(8)とは、第3の折り畳み軸(42)を中心として共に回旋可能となっており、第3の折り畳み軸は、座席(13)のための台に配置され、台は、フレーム(2)に対して座席(13)を回旋可能とする回旋用の連結を含んでいる。図6で示したように、ステアリング機構(8)は、ステム(10)の回旋中心となるユニバーサルジョイント(50)を含む。図10は、起立(図10a)構成から折り畳み(図10b)構成への座席(13)及びステアリング機構(8)の再配置を示す。
【0215】
第4の折り畳み軸(43)は、ステアリング機構におけるハンドルバー(9)とステム(10)との間の連結に配置されており、ステム(10)の長手方向軸に実質的に平行な、あるいはそれと同軸となる方向に向けられており、ハンドルバー(9)が縦方向平面内で起立構成(図11a)から、図11bに示す折り畳み構成に回旋できるようにしている。図11a及び11bは、対応する第5の折り畳み軸(44)を中心とした足置き(12)の再配置も示す。第5の折り畳み軸は、前輪(5)の平面内で、水平方向に配置されている。
【0216】
図12は、前輪(5)の内部に再配置された後輪(6)と、影としての起立した自転車(1)とを示しており、図13は、折り畳まれた構成の自転車(1)における前輪及び後輪の配置を示す。
【0217】
図9は、起立構成における前輪(5)、後輪(6)、自転車の座席(13)/ステアリング機構(8)及びハンドルバー(9)をそれぞれ維持するラッチ(45)の代表的な位置をさらに示し、このラッチは、解放可能となっていて、前輪(5)、後輪(6)、自転車の座席(13)/ステアリング機構(8)及びハンドルバー(9)のそれぞれが、第1(40)、第2(41)、第3(42)及び第4(43)の折り畳み軸を中心として回旋できるようになっている。理解されることとして、乗員の足による押圧が、運行中の起立構成(図11a)での足置き(12)を維持するのに十分と考えられるので、足置き(12)はラッチを必要としないだろう。座席(13)とステアリング機構(8)とを一緒に回旋させることにより、単一の保持ラッチ(45)を使用することが可能になる。
【0218】
図14a〜14e及び15a〜15eは、自転車(1)についての、第1の好ましい実施形態を、起立(図14a〜14e)及び折り畳み(図15a〜15e)の構成において示す。図1〜17における第1実施形態の折り畳み軸(40,41,42,43,44)は、図8〜13に示す第2実施形態におけるそれらのものと一般的に類似しており、自転車(1)の直立状態で、後輪(6)の折り畳み軸となる第2折り畳み軸(41)が、縦方向平面内で水平方方向に対して約60°の角度に向けられている点においてのみ相違する。
【0219】
この第2折り畳み軸(41)により、後輪(6)は、自転車(1)の長手方向平面から離れるように回旋し、その後自転車(1)の当該平面に戻り、前輪(5)の開口(39)に挿入されるという再配置が可能である。この第2折り畳み軸(41)は、自転車(1)が折り畳み構成である場合の図15において、より明瞭に示される。
【0220】
図15に示された折り畳み構成の場合は、自転車(1)は、非常に小さい体積を占め、したがって、乗車しないときの運搬及び保管が容易となる。大人の乗員(11)に比較した自転車(1)の大きさは図16に示された代表的な図面に示されており、ここでは、乗員(11)が立っており、自転車(1)に取り付けられたストラップ(150)によって自転車(1)を運んでいる。
【0221】
起立乗車構成及び折り畳み構成の自転車(1)によって占められる体積は、自転車の先端に触れる平面状の側部を有する立方形状の「箱」体積(cuboid 'box' volume)で規定できる。比較可能な立方体積(cuboid volume)は、車輪(5,6)、ステアリング機構(8)、及びフレーム(2)アセンブリを含む多くの自転車部品それぞれを規定可能である。箱の側部を構成する平面位置の変化についての比較は、体積の変化だけでなく、折り畳まれた自転車形状の姿をも定量化する。図17〜21に示されるように、自転車(1)を、相互に直交する、平行した対の、縦方向及び水平方向平面によって、体積的に特定することができ(自転車(1)が直立配置のとき)、自転車(1)並びに前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)、座席(13)、及びフレーム(2)のぞれぞれの長手方向、横方向及び縦方向の末端に配置される対向する長手方向、横方向及び縦方向の境界平面を画定する。一実施形態では、前輪(5)及び後輪(6)についての長手方向、縦方向及び横方向の境界平面は、それぞれ、前輪(5)と後輪(6)のそれぞれに組み込まれた、地面に接する環状タイヤの横方向、縦方向、及び長手方向の先端によりそれぞれ特定される。
【0222】
好適な一実施形態によって起立構成から折り畳み構成に自転車(1)が再構成される手順は、側面及び平面において、図17及び18にそれぞれ示される。
【0223】
先に述べたように、自転車(1)は、ステアリング機構(8)、前輪(5)、後輪(6)、座席(13)とフレーム(2)とを、相互に接近するように回旋させることによって、起立乗車構成から折り畳み構成に折り畳み可能な構成とされている。
【0224】
理解されることとして、それぞれの自転車要素が再配置される手順は変化可能である。しかしながら、自転車(1)を折り畳むための好適な一実施形態では、図17〜18に示されるように、次の手順を含む:
1)第5の折り畳み軸(44)を中心として足置き(12)を回旋させて、組み込み凹部(16)に挿入し、前輪表面と実質的に同一平面になるように配置すること。しかしながら、理解されるべきこととして、このステップは、自転車(1)を折り畳むのに必須ではないが、足置き(12)を折り畳むことは、乗員が自転車(1)を運ぶときの乗員との干渉の可能性を減らす。
2)前輪(5)とフレーム(2)とを、第1の折り畳み軸(40)を中心として共に回旋させ、前輪(5)における長手方向(104)及び横方向(106)の境界平面が、フレームの横方向(111)及び長手方向(110)境界平面の間の領域にそれぞれ重なるようにすること。前輪(5)とフレーム(2)とは、共に回旋され、これにより、前輪(5)の一部を、フレーム(2)の下面において提供された弓形状の凹部(69)に挿入できる。
3)後輪(6)とフレーム(2)とを、第2の折り畳み軸(41)を中心として共に回旋させ、これにより、後輪(6)における横方向(109)及び長手方向(107)の境界平面を、前輪の横方向(106)及び長手方向(104)の境界平面の間の領域に、そしてしたがって、フレームの横方向(103)及び長手方向(101)の境界平面にそれぞれ重ねること。
4)ステアリング機構(8)とフレーム(2)とを、第3の折り畳み軸(42)を中心として共に回旋させ、これにより、ステアリング機構(8)のステム(10)を、フレーム(2)における長尺状スロット(70)の内側に配置し、これにより、ステアリング機構(8)と取り付けられたステアリングフォーク(7)とが第2の軸(18)を中心としてフレーム(2)に対して回転しないようにすること。
5)ステアリング機構のハンドルバー(9)を、第4の折り畳み軸(43)を中心として、フレーム(2)に向けてともに回旋させること。両方のハンドルバー(9)は、第4の折り畳み軸(43)を中心として回旋し、かつ、フレーム(2)における組み合うフレーム・ハンドルバー凹部(71)に挿入されることによって、フレーム(2)に相互にさらに近づくように再配置が可能である。ハンドルバー(9)は、フレーム・ハンドルバー凹部(71)内に保持され、そしてこれにより、後輪(6)が折り畳み位置から解放されることを防ぐ。
【0225】
代替的に、自転車(1)は、ステップ2と3とを、あるいは、ステップ3と4とを交換することによっても、折り畳み可能である。
【0226】
自転車(1)は、ステアリング機構(8)を凹部(70)に初めに回旋させて入れることにより、あるいは、前輪(5)を対応するフレーム凹部(69)に初めに回旋させて入れることにより、折り畳み中に、操舵軸(18)を中心として前輪(5)が回転しないように構成される。理解されることとして、もし、前輪(5)とステアリングフォーク(7)とが、操舵軸(18)を中心として自由に回転できるのであれば、自転車(1)の安定性は、折り畳み工程の間、損なわれる。したがって、ステアリング機構(8)及び/又は前輪(5)の少なくとも一部を、フレーム(2)における対応する組み込み凹部(70)に挿入することは、前輪(5)を固定して、このような不意の回転を防ぐ。
【0227】
図17及び18で分かるように、これらの方法を使って自転車(1)を折り畳み構成に再配置することにより、前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)及びフレーム(2)の全てを、互いに接近するように再配置することができ、しかも、自転車の横方向(103)、長手方向(101)及び縦方向(102)の境界平面間の一定の、あるいは減少した距離を維持することができる。さらに、前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)、座席(13)及びフレーム(2)は、全て、互いに接近するように再配置でき、これにより、長手方向(101)、横方向(103)及び縦方向(102)の自転車境界平面は、減少した体積立方(volume cuboid)を画定することができる。
【0228】
足置き(12)を、前輪(5)の平面に実質的に直交する方向に延びる乗車位置に個別に配置することができ、あるいはそれは、直立するように折り畳まれ、組み込み凹部(16)に挿入されて、前輪表面に実質的に一致することができる。これらの足置き(12)は、共に回旋可能なようにギヤ連結されており、どちらかの足置き(12)を動かすことによって、一緒に上昇及び下降できるようになっており、これによって、足置きを個別に折り畳むことに比べて、自転車(1)を折り畳むのに必要なステップ数を減らすことができる。
【0229】
自転車(1)は、回旋あるいはヒンジだけを利用することによって、様々な自転車部品の伸縮あるいはスライドの相互動作(inter-movement)を用いずに、起立乗車構成から折り畳み構成に折り畳まれるように構成されている。
【0230】
図17は、さらに、自転車(1)における縦方向(102)及び長手方向(101)の境界平面の対を、折り畳み手順の各ステージにおいて示す。図17a〜17fの進行から分かるように、縦方向境界平面(102)間の距離と、長手方向境界平面(101)間の距離とは、自転車(1)が起立構成(図17a)から折り畳み構成(図17f)に再構成されたときに、かなり減少する。
図18a〜18fは、図17a〜17fと同じ手順を、平面視において示し、そして、横方向境界平面(103)間の距離の減少と長手方向境界平面(101)間の距離の減少とを示す。理解できることとして、前輪(5)、後輪(6)、ステアリング機構(8)、座席(13)、及びフレーム(2)を、折り畳み軸(40,41,42)を中心として回旋させることで相互に接近するように再配置することによって、長手方向(101)、横方向(103)及び縦方向(102)の自転車境界平面は、減少した体積立方を画定する。さらに理解されることとして、前記自転車部品の二つのみを再配置することによって、結果としての、自転車境界平面で規定される立方体積も減少する。
【0231】
図19a〜19fは、自転車折り畳み手順の間における、前輪(5)及び後輪(6)についての縦方向(105,108)及び長手方向(104,107)の境界平面を示す。自転車(1)は、折り畳み時における前輪(5)及び後輪(6)を互いに接近させる再配置が、後輪(6)における縦方向(108)及び長手方向(107)の境界平面を、前輪の縦方向(105)及び横方向(104)の境界平面のそれぞれの間における領域に配置するように構成されている。さらに、図19g〜19lから分かるように、自転車(1)は、前輪(5)及び後輪(6)が互いに接近する再配置が、後輪(6)における両方の横方向境界平面(109)を、前輪横方向境界平面(106)の間の領域に配置するように構成されている。折り畳まれた構成では、後輪(6)は、前輪(5)における縦方向(105)、長手方向(104)及び横方向(106)の境界平面の範囲に完全に含まれ、そしてそれにより、車輪(5,6)は、前輪(5)自体と同じ体積立方を集合として画定する。
【0232】
図20a〜20fは、折り畳み手順における自転車(1)の平面視を示し、図20g〜20lは、正面図を示す。さらに、図20a〜20lは、前輪(5)及びフレーム(2)における横方向境界平面(106,111)を示す。容易に理解できることとして、前輪(5)とフレーム(2)とを相互に接近するように再配置することは、前輪(5)の両方の横方向境界平面(106)が、フレームの横方向境界平面(111)間の領域に重なることになる。たしかに、折り畳み手順の各ステージでは、前輪の横方向境界平面(106)は、フレームの横方向境界平面(111)間の領域に重なる。
【0233】
図21a〜21fは、折り畳み手順における自転車(1)の底面視を示し、図21g〜21lは背面を示す。図21a〜21lの場合と同様に、図22a〜22lは、フレームの横方向境界平面(111)間の領域に重なる、後輪の横方向境界平面(109)を示す。
【0234】
前記したように、自転車のステアリングは、以下のような広いカテゴリに再分割することができる;
・座席の上方−直接;
・座席の上方−非直接;
・座席の下方−直接、及び
・座席の下方−非直接。
【0235】
図2に示すような従来の通常の自転車は、前輪フォークに取り付けられたハンドルバーを有する、座席上方の直接ステアリングを用いている。
【0236】
反対に、図1〜21に示される第1及び第2の実施形態の自転車では、自転車(1)は、座席(13)の下方及び後方に配置されたハンドルバー(9)とステム(10)とを含むステアリング機構(8)を有する、「座席下方」「直接」ステアリング構成を有する。しかしながら、必要な程度の前輪(5)の回転を生じるために、ハンドルバー(9)によって、操舵軸(18)へのステム(10)の末端(46)において描かれる弧は、ある程度の乗員にとっては不快な長さになるかもしれない。したがって、図1〜21に示されるような実施形態では、ハンドルバー(9)は、各ハンドルバー(9)の外端から延ばされる外側端部あるいは「バーエンド・ハンドグリップ」(46)を含むように延ばされており、乗員の腿及び/又は臀部の外側あたりを通るように向けられる。このハンドルバー構成は、ステアリング動作範囲全体にわたって、バーエンド・ハンドグリップ(46)を乗員(11)に接近させる。第1及び第2の実施形態におけるハンドルバー構成は、ハンドルバー(9)を、最も広範囲な身長の乗員(11)によるアクセスのために理想的な位置に配置することになる。
【0237】
従来の自転車と同様に、バーエンド・グリップ(46)の端部は、ブレーキ、スロットル(外部動力の実施形態のため)、照明等の自転車制御を行うのに便利な位置を提供する。
【0238】
ステアリング機構(8)において、操舵軸(18)に直接に取り付けることに代えて、長尺のステム(10)を使用することは、ハンドルバー(9)の位置を、乗員(11)の近くに移動させる効果を持つ。これにより、人間工学的に一層効果的なステアリング入力を行うことができ、しかも、乗員によるステアリングフォーク(7)及び前輪(5)への手動ステアリング入力における回転動作の伝達のために、簡単で信頼性がある構成を提供することができる。自転車(1)の動作時にステアリングフォーク(7)(ハンドルバー(9)とステム(10)とを介して)と足置き(12)とに動作可能なように接触している、座席(13)に座った乗員(11)は、胴体(26)の傾斜がない、実質的に直立した姿勢に配置される。しかも、この構成では、着座した乗員(11)の両足(28)は、自転車(1)の停止時に、地表面(36)に同時に到達することができる。
【0239】
ハンドルバー(9)(バーエンド・グリップ(46)を含む)は、乗員が適切なトルクをステム(10)とステアリングフォーク(7)とに提供できるほど十分に、乗員の胴体幅の外側に延びることにより、自転車(1)を操縦できるようになっており、さらに、乗員の手(30)が簡単に届く範囲内とされている。明らかなこととして、このハンドルバーの配置は、胴体(26)の両側においてストレスのない位置にある乗員のリラックスした腕による操作のために非常に自然な位置を提供する。さらに、ハンドルバー(9)は、乗員のすね(47)の後方であってかつ乗員の腿(48)の下方に配置される。ステアリング機構(8)は、実質的に妨害しない領域を、乗員の脚の前方に有する自転車(1)を提供する。したがって、乗員(11)がその両足(28)を足置き(12)に載せたとき、ステアリング機構(8)は、乗員の体全部の下方及び後方に配置され、そしてこのために、自転車(1)への乗車及び降車を妨げ、及び、衝突あるいは急減速の際に絡みつく危険を提供するかもしれない妨害あるいは障害が乗員の脚の前方に無いことが保証される。
【0240】
前記したように、ステアリングは、足置き(12)及び/又は前輪(5)の側部に向けて乗員が押してステアリング入力を供給することによって、部分的にあるいは完全に影響される。しかしながら、予期されるように、ステアリングのために足置き(12)を単独で使用することは、ハンドルバー(9)を使うことに比べて、かなりの器用さと力とを必要とする。
【0241】
ハンドルバー(9)、ステム(10)及び座席(13)は、操舵軸(18)から離された第3折り畳み軸(42)を中心とした回転のために、フレーム(2)に中心的に取り付けられており、このことは図14にさらに明瞭に示されている。ハンドルバー(9)は、操舵軸(18)からハンドルバー(9)に延びるステム(10)によりステアリングフォーク(7)に接続されている。ステム(10)は、フレーム(2)内に囲まれたユニバーサルジョイント(50)によりステアリングフォーク(7)に接続されている。このユニバーサルジョイント(50)は、バーエンド・グリップ(46)、ハンドルバー(9)及びステム(10)における回転動作をステアリングフォーク(7)に伝達して、ステアリングフォーク(7)及び前輪における、二次軸(18)を中心とした、ハンドルバー(9)と同じ方向での対応する回転動作を生成する。
【0242】
ステム(10)は、ステアリングフォーク(7)への直接接続を提供し、ここでは、非直接のステアリング構成と異なり、ハンドルバー回転の方向を変えなくても、この方向は、所望の前輪回転と一致することができる。ユニバーサル接続(50)により、ステム(10)と座席(13)とは、同じ第3折り畳み軸(42)を中心として、折り畳みの間に回旋することができる。
【0243】
ステアリング機構のハンドルバー(9)が、操舵軸(18)とは別の軸を中心に回転するように構成されている場合、伝動カップリングが使われて、ハンドルバー(9)の回転運動をステアリングフォーク(7)に伝達し、分離した回旋軸間における回転方向の間の調和を維持する。伝動カップリング(51)の三つの例が図22に示されている。図22a及び22bは、有効な操舵のために一対のハンドルバー(9)の回転中心となる四次の回旋軸(49)において回転可能なカラー(54)の反対側面に配置されたスタブ(53)に取り付けられた一対の実質的に平行な連結ロッド(52)の形態における伝動カップリング(51)を示す。
【0244】
ハンドルバー(9)の回転運動は、反対側の端部が対応するスタブ(53)に取り付けられたタイロッド(52)を介して、前輪(5)に伝達され、スタブはステアリングフォーク(10)の上部に取り付けられている。
図22c)〜d)は、代替的な伝動カップリング(51)の実施形態を模式的に示しており、ここでは、中央リンク(56)から形成された連結されたリンク(55)の形態となっていおり、中央リンクは、中央ピン(57)を中心として回旋するように規制されており、さらに、その両端は、回旋可能な褶動具(58)を介して、カラー(60)及びステアリング部材(7)に取り付けられたスタブのシャフト(59)に取り付けられている。
【0245】
図22eは、さらに十分に確立された伝動カップリングを示しており、この形態では、三つの、反対に回転する表面(62,63,64)が、回転のために、四次回旋軸(49)、中間軸(65)及び操舵軸(18)にそれぞれ取り付けられている。これらの反対回転の表面(62,63,64)は、操舵に対して、機械的な利点を提供しており、これにより、四次軸(49)を中心としたステアリング機構についての所定の回転運動が、二次軸(18)を中心とした、ステアリングフォーク(7)についての減少した回転運動を生成する。
【0246】
容易に理解されることとして、多数の代替的な構成を採用して、ステアリング機構の動きを、前輪(5)における対応する動きに変換することができ、例えばそれは、ギヤ付きシャフト、ユニバーサルジョイント、ベルト、プーリ等を含む。さらに、ステアリング機構は、一対のハンドルバー(9)である必要はなく、ユーザのハンドルにあるレバー、プーリ、ケーブル等であってもよい。このような硬直でないステアリング機構は、それら自身が小型であるために、自転車の折り畳み時において役立ち、さらに、衝突あるいは緊急降車の際の邪魔や絡みつきの危険を減らすことができる。このような代替的なステアリング機構に伴う動きを、実質的に水平面内における従来のハンドルバーの動きに比べてオーソドックスでない物理的運動の範囲を乗員に提供するように、構成することができる。
【0247】
理解されることとして、多数の代替的なハンドルバー(9)の構成を使用することができ、そして、五つの例が図23a〜23eに示されており、ここでは、比較のために、本発明の自転車(1)が、ファントムとして重ねられている。
【0248】
図23aは、乗員(11)の前方において、直交するハンドルバー対(9)に延びる中央のステム(10)を有する通常自転車のハンドルバーに相当する、固定された、座席上方の、直接ハンドルバー構成(66)を示す。しかしながら、容易に理解できることとして、この構成は、迅速な降車の場合に、通常自転車のハンドルバー構成における前記した不都合を生み出す。
【0249】
図23bは、座席(13)の後方に配置され、かつ、ステム(10)から直交して延長された一対のハンドルバー(9)を示す。この構成は、単純で小型のハンドルバー(9)を一緒に用いる座席下方ステアリングにおける多くの利点を有する。しかしながら、これは、可能なステアリング・アークを減らす。なぜなら、乗員の腕の動きは、彼らの胴体(26)により制約されるからである。反対に、第1及び第2の好ましい実施形態では、ハンドルバー(9)から延びるバーエンド・ハンドグリップ(46)を有しており、この問題を解決している。乗員の身体の両側において延びるバーエンド・グリップ(46)を提供することにより、乗員は、彼らの胴体の背後から、彼らの腿にわたって、かつ、自転車フレーム(2)の長手方向軸の上において、反対の側まで、180°以上のステアリングアークを、対応するハンドグリップ(46)を保持できる両手で描くことができる。
【0250】
図23cは、短いバーエンド・ハンドグリップ(46)を有するハンドルバー(9)を示す。このハンドグリップにより、乗員は、図23bに示す直線のハンドルバー(9)よりもより大きいアークで、ハンドルバー(9)を回転させることができる。
【0251】
図23dは、折り畳み可能な、座席上方かつ、直接のハンドルバー構成(67)を有する実施形態を示し、これは、図23aの例に似ているが、ハンドルバー・ステム(10)を有し、このステムは、フレーム(2)に対して回旋可能となっており、これにより、ハンドルバー(9)を下方に折り畳んで、折り畳み構成とし、自転車体積を減らせるようになっている。ステム(10)は、折り畳み構成においてフレーム(2)及び前輪(5)に沿うように湾曲されている。しかしながら、このハンドルバー構成は、依然として、通常の座席上方の自転車ハンドルバー構成における、乗車中での、前記した問題点を有している。
【0252】
図23eは、座席(13)の前方において乗員の脚の間に配置されたジョイスティック(68)を有するステアリング構成を持つ、さらなる実施形態を示す。代替的に、ジョイスティック(68)を、乗員の一方の側部に配置することもできる。ジョイスティック(68)の使用により、ステアリング機構(8)を片手で操作することができるが、複雑さが増し、得られる機械的トルクが減るということによる不利益を招く。
【0253】
他の実施形態が図24に示されており、ここでは、ステアリング機構(8)は、ステム(10)に取り付けられたハンドルバー(9)を用いている。このステムは、ステム(10)の長手方向軸と同軸の四次軸(49)を中心として回旋可能とされている。伝動カップリング(図示せず)が提供され、これにより、ステム(10)をステアリングフォーク(7)に接続することができる。また、伝動カップリングは、噛み合う伝動連結を有しており、これは、ハンドルバー・エンドグリップ(46)における、四次軸(49)を中心とした回旋運動(図24b参照)を、操舵軸(18)を中心としたステアリングフォーク(7)の回転運動に伝達する。このように、乗員は、フレームの両端において、ハンドルバーのエンドグリップ(46)を押し、あるいは持ち上げて、ステアリングフォーク(7)を回転させ、車輪(5)の方向転換ができる。
【0254】
やはり理解できることとして、ここに示した実施形態は、単なる例示であり、多数の代替的実施形態を構成して本発明の発明的側面と組み合わせることができる。したがって、代替的実施形態(図示せず)では、自転車(1)は、前輪(5)及び/又は後輪(6)で動作するステアリング機構を有する。しかしながら、当業者には容易に理解されることとして、後輪の自転車ステアリングは、満足する安定性を達成するように構成するには非常に難しいものである。
【0255】
前記したように、本発明における第1及び第2の好ましい実施形態は、前輪(5)の外周縁に対応する凹部(69)(図14に示す)を有する形状とされた中央部を備えた実質的に弓形のフレーム(2)を有する。さらに、前輪(5)は、足置き(12)を保持するための足置き凹部(16)(図14に示す)と、後輪(6)を保持するための開口(39)とを有する。さらにフレーム(2)は、ステム(10)及びハンドルバー(9)を対応してそれぞれ挿入させることができる凹部(70,71)(図14に示す)を有する。
【0256】
弓形フレーム形状は、前輪(5)の外側部に実質的に対応した形状を提供して、協働した組み込みを助けるが、理解されることとして、本発明の範囲から離れることなく、代替的なフレーム形状及び構成が可能である。例えば、二つの代替的フレーム形状が概略的に図25a及び25bに示されており、これらは、実質的に筒状のフレームワーク構成を有している。したがって、一実施形態では、折り畳み構成において、前輪(5)及び/又後輪(6)を、フレーム(2)の凹部に挿入するのではなくてフレーム(2)の側部で回旋するように構成することができる。
【0257】
図26は、他の代替的な実施形態を示しており、ここでは、前輪(5)及び後輪(6)が同じサイズとされ、フレームの横方向が非対称とされており、ここで、前輪(5)及び/又は後輪(6)は、フレーム(2)に挿入されるのではなく、側部において互いに回旋可能となっている。
【0258】
車輪サイズにおける、さらなる可能な変形が、図27a〜27eに示されており、これらは、それぞれ、ファントムで示された自転車の第2実施形態に比較した車輪サイズの変形を示している。前記第2実施形態に比較すると、これらの変形は以下を示す:
a)小さい前輪(図27a);
b)大きい前輪(図27b);
c)非常に小さい前輪(図27c);
d)小さい後輪(図27d)、及び
e)大きい後輪(図27e)。
【0259】
図27に示す前記した実施形態のそれぞれでは、前輪(5)は後輪(6)よりも大きく、したがって、前記したような「ミニ・ファージング」車輪構成に対応するものと考えられる。しかしながら、理解されるべきこととして、反対の構成も可能であり、そこでは、後輪(6)が前輪(5)よりも大きくされる。
【0260】
フレームサイズ及びホイールベースは、本発明の範囲から離れること無く変化することができる。フレーム変化の二つの例を図28及び図28bに示す。これによれば、自転車(1)のホイールベースは、後方(4)及び前方(3)のフレーム部をそれぞれ延ばすことで増加する。
図28bは、比較的に長尺のフレーム(2)と、第2の実施形態(ファントムで示す)よりも浅い角度で傾斜した操舵軸(18)とを有する自転車(1)の一実施形態を示す。この構成は、より高速の用途のための、あるいは、美的な理由による長いホイールベースを有する自転車(1)を提供する。しかしながら、自転車(1)においてフレームを長くすることにより、折り畳まれたときの体積は大きくなる。
【0261】
図28aは、図28bに示す自転車(1)と同様な長さのホイールベースを有する自転車(1)の実施形態を示すが、これは、二つの折り畳み軸を介してフレーム(2)に接続された後輪(6)を有している。この自転車(1)は、対応する第2実施形態(ファントムで示す)よりも長いホイールベースを提供し、しかも、折り畳み構成における占有体積を相当に減らすことができる。
【0262】
明らかなこととして、本発明の発明的側面の範囲から離れずに、フレームと車輪の構成に対して変更を加えることができる。
【0263】
図面では明確に示していないが、自転車(1)は、既知のタイプの前方及び/又は後方のブレーキを備えることもでき、これによって、有効に減速することができる。
【0264】
図1〜38に示す本発明の実施形態は、折り畳み構成において後輪(6)が挿入される開口(39)を有するハブ無しの前輪(5)を備える。理解されることとして、大きな前輪(5)として使用されるときには特に、多数のハブ無し車輪の設計を本発明に用いることができる。しかしながら、一般的には、ハブ無しの前輪(5)は、ベアリング(75)上で回転可能な環状の外側車輪リム部(74)の周りで延びるタイヤ(73)を有する。ベアリングは、ステアリングフォーク(7)に接続された前輪(5)の中央部(76)の周囲に備えられている。
【0265】
図29及び30は、ハブ無し前輪(5)のためのベアリング構成についての二つの代替的な実施形態を示す。図29の前輪(5)は、前輪中央部(76)の周囲に、前輪(5)の頂部、前部及び後部に配置された五つのローラ・ベアリング(77)を備える。ベアリング(77)のうちの二つは、前輪(5)の底部に配置され、ここでは、タイヤ(73)が、地表面に接しており、この部分の車輪リム(74)に加えられる追加的な荷重に適応するようになっている。リム部(74)及びタイヤ(73)は、一次軸(17)付近の中央部(76)を中心として回転可能である。
【0266】
図30a及び30bに示された実施形態のハブ無し前輪(5)は、環状リム部(74)が回転可能に支持される四つのリングベアリング(78)を有する。これらのベアリング(78)は、前輪(5)の頂部、前部、及び底部に配置される。図30bは、前輪(5)の一部についての縦方向断面を示し、さらに、環状リム部(74)に取り付けられたタイヤ(73)を示す。環状リム車輪部(74)は、中央部周囲において、対応する環状スロット(80)の範囲内で組み合い、かつスライドする、二つの横方向環状フランジ(79)を有する。同様に、中央部周囲の環状フランジ(81)は、リム部(74)の環状スロットに組み合う。これらの組み合うフランジ(79)及びスロット(80)は、リム部(74)がベアリング(78)のまわりで回転するときに、中央部(76)のまわりでリム部(74)を案内及び保持するために機能する。したがって、リム部(74)は、一次軸(17)を中心とした回転のために、褶動可能及び回転可能なように中央部(76)に取り付けられている。
【0267】
本発明における第1及び第2の好適な実施形態では、自転車(1)は、前輪(5)を駆動する外部動力の駆動機構(38)を有し、自転車(1)を推進することができる。ここに記載された好ましい実施形態では、駆動機構(38)は、駆動機構ハウジング/前輪中央部(76)内において前輪(5)に取り付けられた電気的モータ(82)を含む。しかしながら、理解されるべきこととして、内燃機関あるいは他の十分に小型の動力機関を使用することができる。
【0268】
自転車(1)で使用される駆動機構(38)が、図31aに模式的に記載されており、これは、リムに噛み合う駆動ギヤ(85)にベルト(84)を介して接続されたロータ(83)を有する電気モータ(82)を含む。駆動ギヤは、前輪リム部(74)に接続されており、電気モータ(82)が作動したときに、前輪を回転させるようになっている。電気モータ(82)は、前輪の回転中心である一次軸(17)に対して偏心して配置されており、かつ、軸を中心として駆動ギヤ(85)を回転させるように接続されている。三次軸は、一次軸(17)に平行であり、かつその後方とされている。代替的な実施形態(図示せず)では、駆動機構(38)は、中間ギヤを介して、駆動ギヤに回転可能に噛み合わされており、回転可能な外部リムを駆動できるようになっている。外部リムと駆動ギヤとは、共に、歯付きの噛み合い表面を有する構成、あるいは、滑らかに摩擦接触する構成とされている。
【0269】
折り畳まれた自転車を、チェーン、ベルト、ギヤ等が露出しない、滑らかで密閉された自転車とするために、外部リム部(74)及び関連する駆動機構(38)は、ステアリングフォーク(7)を有する前輪アセンブリ(5)の中央部(76)の一部として形成された共通のハウジング内に囲われており、ステアリングフォークはこのハウジング(76)に取り付けられている。さらに、ハウジング(76)には、電力源(86)(例えばバッテリあるいは燃料電池)及び制御回路部品(87)が収容されており、電気モータ(82)への動力付与及び制御が図られている。制御回路部品は、乗員(11)により操作される加速装置(及び選択的にブレーキ)の制御(図示せず)に、動作可能なように接続されている。
【0270】
折り畳み可能なミニ・ファージング車輪構成と組み合わされた自転車(1)におけるハブ無し前輪(5)により、大幅に小型のフレームを用いることができ、このフレームを、折り畳まれた、車輪内車輪の構成に組み合うように構成することができる。さらに、バッテリ技術及び小型化における最近の進歩により、十分な出力電力で電気モータ(82)を長時間にわたって電気バッテリにより動作させることができる。したがって、小型さ、軽さ及び性能における本来的な利点に関係して、本発明におけるある実施形態は、バッテリ電源を有する電気モータ(82)による動力で完全に駆動されうる自転車(1)を提供することができる。
【0271】
理解されることとして、自転車(1)の前輪駆動により、通常の外部的な後輪チェーン駆動を省略することができ、フレーム(2)に対する寸法的、構造的及び幾何的な要求を単純化することができる。しかしながら、駆動機構(38)を配置して一次軸において直接に前輪(5)を駆動することにより、最大の実用的車輪サイズ、着座位置及び操縦性についての制約が生じる。
【0272】
したがって、駆動機構を偏心して配置することにより、これらの欠点に対応し、そして、最適化された前輪サイズを使用可能とし、しかも、足置き(12)について、地面及び乗員に関して、人間工学的に最大の効率となる配置及びサイズとすることができる。
【0273】
しかしながら、理解されるべきこととして、代替的な駆動の構成が可能である。例えば、自転車(1)を、前輪(5)及び後輪(6)に動力を提供する単独の外部動力駆動機構を備える構成、あるいは、前輪(5)及び/又は後輪(6)に動力を与える別々の駆動機構を備える構成とすることができる。
【0274】
図31bは、一次軸(17)に対して偏心した軸を中心として回転可能であるペダルクランク機構(88)の形態で提供される駆動機構(38)を有する自転車(1)の一実施形態を示す。ペダルクランク機構(88)は、後述する多数の方法で、環状リム部(74)に接続可能である。
【0275】
図31cは、図31aの電気的駆動機構(82)と、図31bのペダルクランク機構(88)との組み合わせを有する、自転車(1)の実施形態を示す。この構成により、乗員は、駆動機構(82,88)のいずれか又は両者を用いて、自転車(1)に動力を与えることができる。典型的には、追加的な駆動機構は、補助的な駆動機構、例えば、ペダル動力の駆動機構(88)を補助する電気的駆動機構(82)として使用され、逆も同様である。このような補助的な駆動機構は、急な上り坂において乗員を補助することができ、そして、選択的には、下り及び/又はブレーキの間に、減速及び/又は電気的動力発生を提供するように構成できる。
【0276】
図32に示される他の代替的な駆動機構構成は、電気的駆動機構(図示せず)とペダルクランク機構(88)とを有する自転車(1)を示し、ペダルクランク機構は、前輪(5)から横向きに配置されて足置き(12)に接続され、かつ、上部(89)と下部(90)との間で可動な長尺状のクランクを用いる。ペダルクランク(88)は、中央ピボット(91)を中心として回旋し、駆動ギヤ(図示せず)に接続されたカム(図示せず)を往復動作させる。一方、駆動ギヤは、前輪リム(図示せず)に接続されている。直線的な足置きの運動は、このようにして、前輪(5)の回転運動に変換される。このような「ペダル補助」構成を使って、補助的な動力を提供することができ、このとき、図31cに示すような大きく突出するペダルクランク機構を必要としない。
【0277】
図33は、本発明の他の実施形態による自転車(1)を示す。この自転車(1)は、乗員によるペダル動力であり、そして、前輪(5)の外部リム(74)に接続されたペダルクランク・アセンブリ(88)を持つ前輪を有しており、ペダルクランク(88)についての乗員の回転によって、外部リム(74)の回転を実行するようになっている。ペダルクランク・アセンブリ(88)は、一次軸(17)から偏心しかつそれに平行な軸に配置された前輪(5)における反対の側部においてクランクシャフト(93)に配置された一対のペダル(92)から構成されている。ペダルクランク・アセンブリ(88)は、前輪の中央部における実質的に環状な駆動機構ハウジング(76)に囲われており、このハウジングは、使用中あるいは折り畳み構成中において、ペダルクランク・アセンブリ(88)に関係する油や土が乗員に触れることを防ぐ。
【0278】
乗員からのステアリング入力は、四次軸(49)を中心とした回転のためにフレームに回旋可能に取り付けられたハンドルバー(9)の形態におけるステアリング機構を介して影響される。ハンドルバー(9)は、タイロッド(52)の形態の伝動カップリングを介してステアリングフォーク(7)に接続されている。ステアリングフォーク(7)は、前輪(5)の両側を通るフォーク(7)のアームを使って、環状のハウジング(76)に接続されているが、理解されることとして、前輪(5)の片側に取り付けられたフォーク(7)を有する非対称構成も可能である。
【0279】
後輪(6)は、三次軸(19)を中心とした回転のために、後方のフレーム部分(4)に、回転可能なように取り付けられている。
【0280】
ステアリング機構を含むこと(図33の実施形態に示すようなもの)により、乗員は、自転車(1)についての方向、安定性、加速及び減速の広範囲な制御ができる。理解されることとして、伝動カップリング(52)は、フレームの範囲内で動作するように構成でき(図示せず)、これにより、外部装置や、その他の折り畳み及び運搬に障害となる可能性のあるものを小さくして、自転車(1)の滑らかさをさらに改善することができる。直感的なステアリングを提供するために重要なこととして、ハンドルバー(9)による回転の方向は、ステアリング部材によって、反対の回転を引き起こさないように変換される。
【0281】
図34は、完全のために、図33の自転車の実施形態の折り畳みにおける関連する手順を示し、これにより、前輪(5)と後輪(6)とは、回旋して、相互的に接近し、フレーム(2)とも、図11〜12の実施形態で示す手順と同様にして、相互接近する。
【0282】
図35a〜cは、本発明におけるさらなる実施形態を示し、ここでは、フレーム(2)は連結されており、これにより、前後輪(5)は、連結ポイント(94)を中心として、互いに対して移動することができる。図35に示される実施形態における構成により、前記したステアリング機構及び関連する伝動カップリングを省略して、簡易な構成を提供することができる。ステアリングは、ユーザの足(28)及びひざ(29)からのペダルクランク(12)への入力と、ユーザの重量配分が対応して移動することとにより提供される。
【0283】
理解されることとして、電動モータなどの外部駆動機構において同じステアリング方法を使用することができる。
図35aは、フレーム(2)への後輪(6)の取り付けのすぐ隣に連結ポイント(94)を有する自転車(1)を示しており、図35b)は、前後輪(5,6)の間のフレーム(2)の中間点において連結ポイント(94)を有する一実施形態を示す。図35cは、前輪ステアリング部材(7)とフレーム(2)との間近でかつそれらの間に連結ポイント(94)を有する一実施形態を示す。
【0284】
理解されることとして、記載された実施形態は、単なる例示であり、多数の代替的な実施形態を構成して、本発明の発明的側面に組み込むことができる。代替的な実施形態(図示せず)では、図35a〜cに示す自転車(1)は、前輪(5)あるいは後輪(6)上で動作するステアリング機構を備えることができる。前記したように、理解されることとして、後輪の自転車ステアリングを用いて満足する安定性を達成する構成とすることは、安定性が低くなる図35a)の構成を用いても、高い安定性の図35c)の構成でも、かなり難しい。
【0285】
図36の実施形態では、理解されることとして、ペダルクランク(93)の回転軸は、前輪の後方部分に配置され、これにより、自転車(1)のホイールベースを延ばし、二次軸(18)を中心とするステアリング動作の範囲を増やすことができ、この動作を、前輪/クランクペダルアッセンブリとフレーム(2)及び/又は乗員の脚(図示せず)との間の干渉なしで実行できる。偏心したクランクペダル配置は、トルクステアの効果を減少させる。トルクステアは、一次軸(17)を介して直接に駆動される車輪に、特に低速操縦及び/又は停止からの発進において、影響するものである。
【0286】
前輪ステアリング部材(7)についての、ハウジングへの取り付けポイントを、後方に配置することによって、ホイールベースをさらに延長することができる。二次操舵軸(18)を動かして、前輪(5)についての一次回転軸(17)の後方に通過させることにより、自転車(1)の安定性を増すことができるが、方向を変えるには、乗員はより大きく入力する必要がある。
【0287】
前記したように、一次軸(17)を通るペダルクランクを有する前輪駆動のペダル自転車は、特に停止からの発進において、トルクステアの効果を受ける。したがって、図示された実施形態のように、ペダルクランク(96)を、一次軸(17)から後方に変位させることは、いくつかの重要な利点を提供し、それは、増加した安定性(増加したホイールベースによって助けられるもの)及び低下したトルクステアを含む。さらに、ペダルクランク(96)を一次軸(17)から後方に変位させることにより、乗員の着座位置も後方に移動でき、したがって、大きな安定性を提供しつつ、望ましい、高い視界の特徴と切り詰めたフレームとを維持することができる。
【0288】
図36に示す実施形態では、前輪(5)は、拡大されたステアリングフォーク(7)に対して、一次軸(17)を中心として回転するように構成された中央アクスル(95)を有する車輪である。ステアリングフォーク(7)は、前輪(5)の周囲に配置され、ペダルクランク機構(93)とアクスル(95)とを回転可能なように保持する。ペダルクランク(93)は、駆動ベルト(97)を介してアクスル(95)に接続されたクランクギア(96)を有しており、クランクギヤ(96)を介したアクスル(95)の回転による前輪(5)の回転を実行できるようになっている。図36の実施形態は、中央のアクスル/ハブの回転によって駆動される前輪(5)を有するペニーファージング/ミニ・ファージングタイプの構成を提供する。しかしながら、従来のペニーファージング構成と反対に、偏心したペダルクランク機構(88)は、伝動装置の使用を可能とし、さらに、偏心して搭載された駆動機構における他の利点の多くを提供する。
【0289】
図37は、接続されたペダルクランク駆動機構(88)の一実施形態を示し、これは、ハブ無し車輪(5)を駆動する。図37は、駆動機構の一側面だけを示すので、一つのペダル(92)とペダルクランク(93)とに言及するが、二つのこのようなペダルとペダルクランクとが通常は提供される。この駆動機構(88)は、対応するペダルクランク(93)の一端に回転可能に取り付けられたペダル(92)を有し、乗員は、ペダルクランクをその足で操作して、クランク(93)の他端に取り付けられたクランクギヤ(98)を回転させることができる。クランクギヤ(98)は、より小さい中間ギヤ(99)に回転可能なように噛み合わされており、中間ギヤは、駆動ギヤ(100)と回転可能なように噛み合わされていて、これによって、回転可能な外側リム(74)を駆動することができる。
【0290】
外側リム(74)及び駆動ギヤ(100)は、歯付きの噛み合いインタフェースを有する構成とされており、駆動ギヤ(100)は、歯付きの外周を有し、リム部(74)は歯付きの環状内面(101)を有しているが、滑らかな摩擦接触も可能である。中間ギヤ(99)は、クランクペダル回転の方向が前輪(5)の回転と整合することを保証するために用いられるが、理解されることとして、もし十分なギヤ比が得られるならば、リム部(74)を、クランクギヤ(98)から直接に駆動するという、極端に単純化した構成も可能である。
【0291】
当業者には容易に理解されることとして、クランクと中間及び駆動ギヤ(98,99,100)とにより結果的に得られるギヤ比は変更可能であり、これにより、広いギヤ比を提供できる。前輪(5)の外側リム(74)に駆動機構を接続するためには、多くの代替的な手段が可能であり、それは、当業者には明らかなように、プーリ、ベルト等を含む。駆動機構(88)のための接続は、ギヤ変更機構(図示せず)を含むことができ、これにより、クランクギヤ(98)と車輪リム(74)との間における結果的な駆動比を変えることができる。
【0292】
図33〜36の実施形態は、一次的に都会で使用されようとする折り畳み自転車にとっての多くの利点を提供する。先行技術の折り畳み自転車は、比較的に小さい車輪をしばしば使用し、これによって、折り畳まれた自転車の体積を小さくしようとする。しかしながら、小径車輪を使用する先行技術は、さらに、従動車輪の外側に配置されたペダルクランクとチェーン駆動機構との使用を必要とする。ペダル自転車の場合は、チェーン駆動における望ましくない複雑さは、今までは避けがたいものであった。なぜなら、小さいサイズの車輪を使用すると、ペダルが地面に衝突することを避けるために、ペダルクランクを中央に配置することができなかったからである。
【0293】
したがって、前輪操作の駆動機構(例えば、幾何的な車輪中央に配置されたペダルクランク)を有する自転車を構成することにより、自転車における全体的な複雑さを減らすことができ、折り畳み時における効率的な小型化を容易にすることができるが、それは、最小の車輪サイズについての制限も提供する。さらに、このような前輪のペダル駆動機構は、さらに、車輪サイズの上限についても制約を生じる。すなわち、乗員は、大きな車輪のペダルクランクに効果的に到達できないかもしれず、あるは、停止時に彼らの足を地面に置けないかもしれない。一方で、小さい車輪を使うことにより、相応に小さいペダルの使用が必要となり、これにより、特にコーナリング中において地面に接触する危険を避けることになる。これらの不利益は、本発明における、偏心ペダルクランク機構(88)を用いることによるペダル駆動の実施形態を志向する。
【0294】
図38は、代替的な一輪車の実施形態を示す。各一輪車(1)は、フレーム上部に取り付けられた乗員座席(13)を備えるフレーム(2)と、回転可能な外側リム部(74)を備えたハブ無し車輪(5)とを有する。車輪(5)は、回旋可能なようにフレーム(2)に取り付けられており、ペダルクランク(93)は、外側リム部(74)に接続されて、ペダルクランク(93)を乗員が回転させることにより車輪の回転を行うようになっている。ペダルクランク(93)は、車輪(5)内において、偏心して配置されている。このような偏心したペダルクランク軸(91)により、最適な車輪径の選択が可能となる。図38に示されるように、ペダルクランク軸(91)を車輪回転の一次軸(17)から偏心して配置することにより、地面上のペダルクランク軸(91)の高さY 2 と、地面上の座席(13)の高さY 1 とを、車輪(5)の径と関係なく、それらの最適値に維持することができる。本発明を一輪車(図38に示すようなもの)に適用したときのさらなる利点は、偏心したペダルクランク軸(93)を、乗員のわずか前方に配置できることであり、このとき、乗員の直下の車輪中央にペダルを配置しなければならないという影響を避けることができる。
【0295】
容易に理解できることとして、多数のフレーム構成、車輪のサイズ及び配置、並びにステアリング機構が可能である。例えば、ここで記載された好ましい実施形態は、二輪車及び一輪車の構成に関係しているけれども、本発明における自転車は、さらなる車輪を含むことができ、これにより、三つ、四つ、あるいはさらに多くの車輪の自転車を提供することができる。理解されるべきこととして、前記の実施形態は、単なる例示であり、多数の代替的な構成が可能である。
【0296】
単なる例示によって、本発明のいくつかの側面が記述されたが、これらに対して、本発明の範囲から外れることなく変更及び追加が可能であることは、理解されるべきである。
Claims (35)
- 乗員によって地表面上で使用される折り畳み自転車であって、前記自転車は以下を含む:
・前方及び後方の部分と、長手方向軸と、前記長手方向軸に直交する横方向軸とを有するフレーム;
・前記フレームに取り付けられた座席;
・ステアリング部材に取り付けられた前輪、ここで、前記前輪は、一次軸を中心として第1平面内で回転可能とされ、前記ステアリング部材は、前記一次軸に直交する二次軸を中心とした回転のために、前記フレームの前方部分に、回旋可能なように取り付けられており、さらに、前記長手方向軸は、実質的に垂直に向けられた第2平面と一致し、かつ、自転車移動の前後となる方向を通過している;
・前記ステアリング部材に接続された、ユーザ操作可能なステアリング機構;
・前記フレームの後方部分に、回転可能なように取り付けられ、かつ、三次軸を中心として第3平面内で回転可能とされた後輪、ここで、前記後輪は、前記前輪とは異なる直径を有しており;
・前記前輪及び/又は後輪に、操作可能なように接続された駆動機構;
ここで、前記自転車は、前記前輪及び後輪を再配置して相互に接近させることによって、起立乗車構成から折り畳まれた構成に折り畳み可能とされており、
前記自転車は、凹部あるいは開口を、一方の車輪に備えており、これによって、前記折り畳み構成において、他方の車輪の挿入を、少なくとも部分的に受け入れることができるようになっていることを特徴としている。 - 請求項1に記載の折り畳み自転車であって、前記自転車は、前記前輪において、少なくとも一つの足置きを含んでいる。
- 請求項1又は2に記載の折り畳み自転車であって、前記前輪は、前記後輪よりも大きな直径を有しており、前記前輪は、前記折り畳み構成において、前記後輪の挿入を、少なくとも部分的に受け入れ可能な前記凹部又は開口を有している。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、前記前輪は、ハブ無し車輪である。
- 請求項4に記載の折り畳み自転車であって、前記前輪は、回転可能な外側リム部を有しており、さらに、前記駆動機構は、前記外側リム部に接続されて、前輪の回転に影響できるようになっている。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここで、前記駆動機構は、操作可能なように前記前輪に接続された外部動力の駆動機構を含んでいる。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここで、前記自転車の駆動機構は、ユーザ動力と外部動力との駆動機構の組み合わせを含む。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここで、前記ステアリング機構は、実質的に障害にならない、あるいは邪魔にならない領域を、乗員の身体の前方に提供するように構成され、かつ配置されている。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここで、前記駆動機構は、一次軸から偏心して前輪を回転させるための駆動軸を中心とした回転ができるように、前輪に接続されている。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここで、前記自転車は、前記ステアリング部材の二次軸が、後ろ向きで上向きに傾斜し、かつ、前記地表面から70度±10度の角に対するように構成されている。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の自転車であって、ここで、前記ステアリング機構は、前記座席の下方及び/又は後方に配置されている。
- 請求項11に記載の自転車であって、ここで、前記ステアリング機構は、前記座席の下方及び/又は後方に配置された一対のハンドルバーを含んでいる。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここで、前記駆動機構は、下り坂及び/又はブレーキの間に減速及び/又は電動パワー生成を提供するように構成されている。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここで、前記二次軸と前記地表面との交差と、前記座席の後端又はその直後を実質的に通過する垂直線との間の前記水平距離X 4 は、以下で与えられており
X 4 =tanθ/(0.28Y 1 tanθ+Y 1 )
ここで、θは、前記二次軸の角度であり、Y 1 は垂直でのシート高さである。 - 請求項1〜14のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記自転車は、対向する長手方向、横方向及び縦方向の境界平面を画定し、前記自転車並びに前記前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレームそれぞれの長手方向、横方向及び縦方向の末端にそれぞれ配置された、相互に直交する平行な対の縦方向及び横方向の平面(前記自転車が直立配置のとき)により、体積的に規定され、
前記自転車は、前記直立乗車構成から前記折り畳み構成に前記自転車を折り畳むための再配置手段を含んでおり、前記再配置手段は、少なくとも一つのピボット、ヒンジ、分離具、再取付具及び/又は伸縮機構を含んでおり、
前記再配置手段は、前記自転車が、以下によって折り畳まれることを許容するように構成されている:
・前記前輪とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪についての少なくとも一つの前記横方向境界平面が、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重なること;
・前記前輪とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記フレームについての少なくとも一つの前記横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重なること;
・前記後輪とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記後輪についての少なくとも一つの前記横方向境界平面が、前記フレームの横方向境界平面間の領域に、少なくとも部分的に重なること;
・前記前輪、後輪及びフレームを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪と後輪のそれぞれの横方向境界平面の少なくとも一つが、前記フレームの横方向境界平面間の領域に少なくとも部分的に重なること;
・前記前輪とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪における両方の横方向境界平面が、前記フレームの横方向境界平面間の領域に重なること;
・前記前輪とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記フレームにおける両方の横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に重なること;
・前記後輪とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記後輪における両方の横方向境界平面を、前記フレームの横方向境界平面間の領域に配置すること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記後輪における少なくとも一つの前記横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に少なくとも部分的に重なること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記後輪における少なくとも一つの前記長手方向境界平面が、前記前輪の長手方向境界平面間の領域に少なくとも部分的に重なること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記後輪における両方の前記横方向境界平面が、前記前輪の横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記後輪における両方の前記長手方向境界平面が、前記前輪の長手方向境界平面間の領域に配置されること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪における少なくとも一つの前記横方向境界平面が、前記後輪の横方向境界平面間の領域に少なくとも部分的に重なること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪における少なくとも一つの前記長手方向境界平面が、前記後輪の長手方向境界平面間の領域に少なくとも部分的に重なること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪における両方の横方向境界平面が、前記後輪の横方向境界平面間の領域に配置されること;
・前記前輪と後輪とを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪における両方の前記長手方向境界平面が、前記後輪の長手方向境界平面間の領域に配置されること;
・前記前輪、後輪及びフレームを再配置して相互に接近させ、かつ、前記自転車の縦方向境界平面間における一定のあるいは減少した距離を保つこと;
・前記前輪、後輪及びフレームを再配置して相互に接近させ、かつ、前記自転車の長手方向境界平面間における一定のあるいは減少した距離を保つこと;
・前記前輪、後輪及びフレームを再配置して相互に接近させ、かつ、前記自転車の横方向境界平面間における一定のあるいは減少した距離を保つこと;
・前記前輪、後輪及びフレームを再配置して相互に接近させ、かつ、前記自転車の長手方向及び縦方向の両方の境界平面間における一定のあるいは減少した距離を保つこと;
・前記前輪とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記前輪の少なくとも一部が、前記フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジングあるいは窪みの内側に配置されること;
・ステアリング機構とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記ステアリング機構の少なくとも一部が、前記フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジングあるいは窪みの内側に配置されること;
・前記ステアリング部材とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記ステアリング部材の少なくとも一部が、前記フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジングあるいは窪みの内側に配置されること;
・前記座席とフレームとを再配置して相互に接近させ、これによって、前記座席の少なくとも一部が、前記フレームにおける凹部、囲み、開口、ハウジングあるいは窪みの内側に配置されること;
・又は、これらについてのあらゆる組み合わせあるいは順列。 - 請求項15に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記再配置手段は、以下を再配置することによって自転車が折り畳まれることを許容するようにされている:
・前記前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレームのうちの少なくとも二つを相互に接近させて、前記長手方向、横方向、及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方(volume cuboid)を規定すること;
・前記前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレームのいずれか二つを相互に接近させて、前記長手方向、横方向、及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること;及び/又は
・前記前輪、後輪、ステアリング機構、座席及びフレームの全てを相互に接近させて、前記長手方向、横方向、及び縦方向の自転車境界平面が、減少した体積立方を規定すること。 - 請求項15又は16に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記ステアリング機構は、二つの端部を備える構成とされたステムを含んでおり、前記ステムは、一方の端部において前記ステアリング部材に取り付けられており、他方の端部において一対のハンドルバーに取り付けられている。
- 請求項17に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記ステム及び/又は前記ハンドルバーを、前記フレーム及び/又は前輪と互いに接近するように、回旋的に再配置することができ、さらにこのとき、前記自転車における横方向境界平面間の、一定の又は減少した距離を維持するようになっている。
- 請求項17又は18に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記ステム及び/又は前記ハンドルバーは、前記フレーム及び/又は前輪と互いに接近するように、回旋的に再配置することができ、さらにこのとき、前記自転車における長手方向境界平面間の、一定の又は減少した距離を維持するようになっている。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記ステアリング機構は、二つの端部を備えるように構成されたステムを含んでおり、前記ステムは、一方の端部において前記ステアリング部材に取り付けられており、かつ、他方の端部において一対のハンドルバーに取り付けられており、さらに、前記ステムは、前記ステアリング部材から後方に向けられている。
- 請求項20に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記一対のハンドルバーは、ツインバー(twin bar)として形成されており、これは、前記ステムの両側において横方向に対称に配置され、各バーは、前記フレームにおける対応する組み合わせ凹部に挿入されることによって、前記フレームと相互に接近するように再配置が可能となっている。
- 請求項1〜21のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記フレームは、前輪、後輪、ステアリング機構及び/又は座席の少なくとも部分的な挿入を受け入れることが可能な一つ又はそれ以上の凹部又は開口を備える構成となっている。
- 請求項1〜22のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記自転車が、縦方向に直立するように向けられたときに、前記再配置は、実質的に縦方向平面内での、横断するように向けられた第1折り畳み軸を中心とした前記前輪の回旋を含む。
- 請求項1〜23のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記前輪では、前記フレームにおいて組み合うステアリング機構保持凹部と前輪保持凹部とのそれぞれの内部に前記ステアリング機構及び/又は前輪を回旋することによる、前記二次軸を中心とした回転が、解放可能なように規制されている。
- 請求項1〜24のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記前輪及びフレームは、共に回旋可能となっており、これによって、前記前輪を、少なくとも部分的に、前記フレームの凹部又は開口に挿入できるようなっている。
- 請求項1〜25のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記再配置は、実質的に水平な平面内において、第2折り畳み軸を中心として後輪を回旋することを含む。
- 請求項1〜25のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記再配置は、垂直面内での、第2折り畳み軸を中心とした、後輪についての回旋と直線的併進との組み合わせを含む。
- 請求項1〜26のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記後輪は、
自転車が直立構成のときに垂直面内に向けられた第2折り畳み軸を有し、かつ、フレームに配置されたヒンジを中心として、
解放可能に回旋可能とされている。 - 請求項1〜28のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記ステアリング機構及び座席は、いずれも、第3折り畳み軸を中心として回旋可能となっている。
- 請求項1〜29のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記ステアリング機構及び座席は、別々の折り畳み軸を中心として、別々に回旋可能となっている。
- 請求項29に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記第3折り畳み軸は、前記第2軸に接し又は実質的にそれに隣接して、かつ、それに直交して配置されている。
- 請求項1〜31のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、ステアリング機構及び/又は前輪を、フレームにおいてそれぞれ組み合うステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部に向けて回旋させることによって、前記前輪は、前記二次軸を中心とした回転が、解放可能なように制約されている。
- 請求項32に記載の折り畳み自転車であって、前記ステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部のそれぞれの内部に前記ステアリング機構及び/又は前輪を解放可能なように固定するラッチをさらに含む。
- 請求項1〜33のいずれか1項に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、起立乗車構成から折り畳まれた構成への前記折り畳みは、三つのラッチによって、解放可能なように固定できるものである。
- 請求項33又は請求項34に記載の折り畳み自転車であって、ここでは、前記ステアリング機構保持凹部及び前輪保持凹部は、前記フレームの下面における、長手方向に延長された、部分的に弓形のスロット、及び、前記フレームの上部における長手方向のスロットとして、それぞれ構成されている。
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