JP2011512869A - 微生物によるアルコール製造プロセス - Google Patents

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Abstract

本発明は、微生物発酵によるアルコールの製造、特にCOを含む基質の微生物発酵によるアルコールの製造に関する。さらに詳しくは、COを含む基質の存在下でアルコールをそれらの対応酸から製造するプロセスに関する。特定の態様において、酸及び場合によりアルコールを製造する発酵反応は、一つ又は複数の酸の少なくとも一部がアルコールに変換されるように撹乱される。
【選択図】なし

Description

本発明は、微生物発酵によるアルコールの製造、特にCOを含む基質の微生物発酵によるアルコールの製造に関する。さらに詳しくは、アルコールをそれらの対応する酸から製造するプロセスに関する。
アルコールは、香料、製薬及び燃料産業を含む多くの産業で利用されている。例えば、エタノール及びブタノールは、世界中で急速に主要な液体輸送用燃料になりつつある。様々なアルコールの製造法は知られている。工業的なアルコール製造は大部分は石油化学プロセスに由来する合成法である。しかしながら、微生物発酵も、アルコール、例えばバイオ燃料の製造に使用でき、人気上昇中である。
輸送用のバイオ燃料はガソリンの魅力的な代替品であり、低濃度ブレンドとして燃料市場に急速に浸透してきている。天然植物源由来のバイオ燃料は化石資源由来の燃料(例えばガソリン)よりも環境的に持続可能で、それらの使用は、燃料燃焼の結果大気中に放出されるいわゆる化石二酸化炭素(CO)ガスのレベルの低減を可能にする。その上、バイオ燃料は多くの地域で地元生産できるので、輸入化石エネルギー資源への依存を削減するのにも役立つ。バイオ燃料として使用するのに適切なアルコールは、とりわけエタノール、ブタノール及び2,3−ブタンジオールなどである。
エタノールは急速に世界中で主要な水素豊富液体輸送用燃料になりつつある。2005年におけるエタノールの世界的消費は推定122億ガロンであった。燃料エタノール産業に関する世界市場も、ヨーロッパ、日本、米国、及びいくつかの発展途上国でエタノールへの関心が高まっているため、将来的に急成長を続けると予測されている。
例えば、米国では、エタノールは、エタノール10%混合ガソリンであるE10の製造に使用されている。E10ブレンドでは、エタノール成分は酸素化剤として作用し、燃焼効率を改良し、大気汚染物質の生成を削減する。ブラジルでは、エタノールは、ガソリンにブレンドされる酸素化剤として又はそれ自体でも純燃料として輸送用燃料需要の約30%を満たしている。ヨーロッパでも、温室効果ガス(GHG)排出の結果を取り巻く環境的懸念が刺激となり、欧州連合は、加盟国に対して持続可能な輸送用バイオ燃料の消費に関する義務的目標を設定している。
ブタノールも内燃機関の燃料として使用できる。ブタノールは、いくつかの点でエタノールよりもガソリンに類似している。環境的に持続可能な燃料の製造及び応用への関心の高まりにつれて、ブタノール(バイオブタノールと呼ばれることも多い)を製造するための生物学的プロセスへの関心も高まっている。ブタノールは、砂糖大根、トウモロコシ、小麦及びサトウキビのような作物由来のバイオマスの微生物発酵によって製造できる。しかしながら、これらの炭水化物原料のコストは、人間の食料又は動物飼料としてのそれらの価値によって影響され、また、ブタノール製造用のデンプン又はショ糖生産作物の耕作は、すべての地域で経済的に持続可能とは限らない。そこで、より低コスト及び/又はより豊富な炭素資源を燃料ブタノールに変換するための技術開発に関心が寄せられている。
嫌気性細菌、例えばクロストリジウム属(genus Clostridium)の細菌は、アセチルCoA生化学的経路を介してCO、CO及びHからエタノールを生成することが示されている。例えば、ガスからエタノールを生成する様々なクロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)株が、WO00/68407、EP117309、米国特許第5,173,429号、5,593,886号及び6,368,819号、WO98/00558及びWO02/08438に記載されている。細菌のクロストリジウム・オートエタノゲナム種(Clostridium autoethanogenum sp)もガスからエタノールを生成することが知られている(Abriniら、Archives of Microbiology 161,pp345−351(1994))。
しかしながら、微生物によるガスの発酵によるエタノール生成は通常アセテート及び/又は酢酸の同時生成を伴う。利用可能な炭素の一部はエタノールではなくアセテート/酢酸に変換されてしまうので、そのような発酵プロセスを用いるエタノールの製造効率は望ましいとは言い難い。また、アセテート/酢酸の副産物が何か他の目的に使用できない限り、それは廃棄物処理問題を提起しうる。アセテート/酢酸は微生物によってメタンに変換されるので、GHG排出に寄与する可能性もある。酪酸/ブチレートなどのその他の廃棄物も、よく使用される発酵プロセス中に製造されうる。
さらに、典型的には酵母又は細菌を利用する生物学的発酵プロセスは、特定の微生物がそれが増殖する基質(例えば炭水化物又は一酸化炭素を含むガス)から製造可能な1種類又は2種類のアルコールの製造に限定されうる。異なるアルコールを製造したければ、異なる微生物の供給が必要とされうる。多くの場合、所望のアルコールを生成可能な細菌を調達することはできない。そこで、より低コスト及び/又はより豊富な炭素資源、例えば有機酸を燃料エタノールのような所望生成物に変換するための技術開発に関心が寄せられている。
酸をそれらの対応アルコールに微生物変換するための方法は、これまでに米国特許第4,851,344号;White及びSimon,Arch Microbiol(1992)158:81−84;Huberら,Arch Microbiol(1995)164:110−118に記載されている。しかしながら、これらの方法もいくつかの不利益に苦しんでいる。例えば、それらは化学メディエーターの使用を必要とし、その多くは有毒及び/又は高価である。さらに、それらの方法は、酸からアルコールへの変換前に遠沈及び緩衝液への再懸濁が必要な、休眠状態の細胞抽出物、又は単離細胞を使用する。これらの加工ステップは労働集約的であり(大きな労働を必要とし)、また微生物が酸素に暴露され、溶解され、又はその他の損傷を受けるリスクを増大する。
WO00/68407 EP117309 米国特許第5,173,429号 米国特許第5,593,886号 米国特許第6,368,819号 WO98/00558 WO02/08438 米国特許第4,851,344号
Abrini et al., Archives of Microbiology 161, pp345-351(1994) White and Simon, Arch Microbiol (1992) 158:81-84 Huber et al, Arch Microbiol (1995) 164:110-118
本発明は、当該技術分野で知られている方法の一定の不利益を克服する、又は少なくとも公衆に有用な選択肢を提供する嫌気的細菌発酵による有益なアルコールの製造プロセスを提供する。
一つの広い側面において、本発明は、一酸化炭素及び/又は水素を含む基質上で増殖する代謝的に活性な細菌を用いて酸をその対応するアルコールに変換するための方法を提供する。
特定の態様において、該方法は、
a.バイオリアクター内でCOを含む基質の存在下、一つ又は複数のカルボキシド栄養性(carboxydotrophic)細菌株を培養し、一つ又は複数の酸及び場合により一つ又は複数のアルコールを製造し;そして
b.少なくとも一つの酸が少なくとも一つのアルコールに変換されるように微生物培養物を撹乱(perturbing)する
ことを含む。
典型的には、ステップ(a)で製造された酸の少なくとも一部は、ステップ(b)でアルコールに変換される。さらに又は代替的に、追加の酸をステップ(a)及び/又はステップ(b)の最中にバイオリアクターに加えて、少なくとも一つのアルコールに変換することもできる。
一定の態様において、微生物培養物の撹乱(perturbing)とは、
・微生物培養物を含有する液体栄養培地のpHを変えること;
・微生物培養物を含有する液体栄養培地のORPを変えること;
・一つ又は複数の酸をバイオリアクターに添加すること;
・一つ又は複数の還元剤をバイオリアクターに添加すること;
・微生物培養物を含有する液体栄養培地中のCO濃度を変えること;
・バイオリアクター内のCO分圧を変えること、この場合、COを含む基質はガス状である;
の一つ又は複数を含む。
特定の態様において、CO濃度を変えるステップは、液体栄養培地中のCO濃度を少なくとも1mmol増加させることを含む。
別の広い側面において、本発明は、アルコールの製造法を提供し、該方法は、少なくとも、
(a)バイオリアクター内で一酸化炭素を含む基質の存在下、一つ又は複数の細菌株を培養し;
(b)前記一つ又は複数の細菌株が変換相にあるときにバイオリアクターに酸を添加し、その酸の対応するアルコールを製造させ;ここで、製造されるアルコールは、前記一つ又は複数の細菌株が前記酸の不在下で前記基質上で増殖した場合に製造することができるアルコールではない;
ステップを含む。
上記側面の特定の態様において、該方法はメディエーターの不在下で実施される。
一態様においては、二つ以上の酸をバイオリアクターに添加して、二つ以上の対応アルコールを製造する。
一定の態様において、一つ又は複数の細菌は、酸をその対応するアルコールに還元するのにアルデヒドオキシド−レダクターゼ(AOR)経路を使用することができる細菌である。適切な細菌は、クロストリジウム(Clostridia)、ムーレラ(Moorella)、真正細菌(Eubacterium)、アセトバクテリウム(Acetobacteria)、ブチリバクテリウム(Butyribacterium)及びデスルホバクテリウム(desulfobacterium)属の種などである。特定の態様において、細菌はクロストリジウム・オートエタノゲナム (Clostridium autoethanogenum)である。
典型的には、前記酸はモノカルボン酸又はジカルボン酸である。特定の態様において、前記酸は、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、及び安息香酸から選ばれる。
特定の態様において、製造されるアルコールは、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、及びベンジルアルコールから選ばれる。
別の広い側面において、本発明は、ブタノールの製造法を提供し、該方法は、少なくとも、
(a)バイオリアクター内で一酸化炭素を含む基質の存在下、ブタノール以外のアルコールを製造するように適合された一つ又は複数の細菌株を培養し;
(b)前記一つ又は複数の細菌株がブタノール以外のアルコールを活発に製造しているときにバイオリアクターにブチレートを添加することによってブタノールを製造させる;
ステップを含む。
別の広い側面において、本発明は、ブタノールの製造法を提供し、該方法は、少なくとも、
(a)バイオリアクター内で一酸化炭素を含む基質の存在下、エタノールを製造するように適合された一つ又は複数の細菌株を培養し;
(b)前記一つ又は複数の細菌株がエタノールを活発に製造しているときにバイオリアクターにブチレートを添加することによってブタノールを製造させる;
ステップを含む。
別の広い側面において、本発明は、アルコールの製造法を提供し、該方法は、少なくとも、
(a)バイオリアクター内で一酸化炭素を含む基質の存在下、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)を培養し;
(b)クロストリジウム・オートエタノゲナムが変換相にあるときにバイオリアクターに酸を添加し、その酸の対応するアルコールを製造させ;ここで、製造されるアルコールは、クロストリジウム・オートエタノゲナムが前記酸の不在下で前記基質上で増殖した場合に製造することができるアルコールではない;
ステップを含む。
好適な広い側面において、本発明は、ブタノールの製造法を提供し、該方法は、少なくとも、
(a)バイオリアクター内で一酸化炭素を含む基質の存在下、クロストリジウム・オートエタノゲナムを培養し;
(b)クロストリジウム・オートエタノゲナムが変換相にあるときにバイオリアクターにブチレートを添加してブタノールを製造させる;
ステップを含む。
本発明の方法は典型的にはメディエーターの不在下で実施される。
特定の態様において、本発明の方法に従ってバイオリアクターに添加される酸は、一酸化炭素を含む基質の微生物発酵によって製造される。
一定の態様において、細菌は、酵母エキス及び/又はペプトンの不在下、液体培地中で培養される。一態様において、前記培地は、以下に記載されるLM23又はLM33である。
別の広い側面において、本発明は、一つ又は複数のアルコールの製造法を提供し、該方法は、少なくとも、
(a)第一のバイオリアクターにおいて、基質を発酵させて一つ又は複数の酸を製造させ;
(b)第二のバイオリアクターにおいて、一酸化炭素を含む基質の存在下、一つ又は複数の細菌株を培養し;
(c)(a)からの一つ又は複数の酸を、前記一つ又は複数の細菌株が溶媒生成相(solventogenic phase)にあるときに第二のバイオリアクターに導入して、前記一つ又は複数の酸に対応するアルコールを製造させる;ここで、製造されるアルコールは、前記一つ又は複数の細菌株が前記酸の不在下で前記基質上で増殖した場合に製造することができるアルコールではない;
ステップを含む。
特定の態様において、前記方法はメディエーターの不在下で実施される。
一定の態様において、第二のバイオリアクター内の一つ又は複数の細菌株は上記定義の通りである。
本発明の別の側面において、COを含む基質の存在下、バイオリアクター内での酸の嫌気的細菌発酵によるアルコールの製造法を提供する。
一態様において、基質は、酸からアルコールへの変換が促進されるようなCO濃度で供給される。
一態様において、COの濃度は、酸からアルコールへの変換が促進されるように、十分な閾値濃度より高い。この十分な閾値濃度より高いCOを発酵に供給することは、酸からアルコールへの変換は促進しながらも、酸の生成を削減又は防止及び/又は微生物増殖を削減又は防止する。
一態様において、基質は、少なくとも約2.5mmol/Lの発酵培地中CO濃度で供給される。一態様において、CO濃度は少なくとも約2.75mmol/Lである。一態様において、CO濃度は少なくとも約3mmol/Lである。一態様において、該濃度は少なくとも約3.5mmol/Lである。
当業者であれば、本開示を考慮すると、発酵培地中のCOの溶解度を増大するための多くの方法があることは分かるであろう。例えば、温度変化及び/又はオイルなどの可溶化剤の添加などであるが、これらに限定されない。そのような方法は、発酵培地中の特定のCO濃度を達成するために、必要に応じて又は所望に応じて、本発明の実施において採用できる。
一態様において、COを含む基質はガス状基質であり、発酵培地中に溶解されるCOの量は発酵におけるCO分圧に比例する。従って、発酵培地中の十分な閾値濃度は、CO分圧を増大させることによって達成できる。一態様において、ガス状基質は、CO分圧が少なくとも約37psiであるように供給される。別の態様において、CO分圧は少なくとも約47psiである。
本発明の方法に従って、追加の酸をバイオリアクターに供給し、アルコールに変換することができる。
本発明の様々な態様において、該方法は、発酵によって生成した一つ又は複数のアルコールを捕捉及び回収するステップを含む。
本発明の別の側面において、アルコール及び/又は酸の製造法を提供し、該方法は、バイオリアクター内で第一の基質を嫌気的に発酵してアルコール及び/又は酸を含む一つ又は複数の生成物を製造することを含み、該方法においては、COを含む第二の基質を所望の時点で添加して、エタノールのようなアルコールの生成がアセテートのような酸に比して増大するようにする。
一態様において、COを含む第二の基質の添加は、得られる溶解CO濃度が該発酵の十分な閾値濃度であるか又はそれを上回れば、酸の少なくとも一部のアルコールへの変換をもたらす。
一態様においては、第一の基質もCOを含む。しかしながら、該方法はそのような態様に限定されない。例えば、一部の態様において、第一の基質は一つ又は複数の炭水化物又はピルベートを含みうる。適切な炭水化物は、セルロース、セルロース加水分解物、デンプン、デンプン加水分解物、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、又はラクトースなどでありうるが、これらに限定されない。一部の態様において、炭水化物はフルクトース又はキシロースである。他の態様において、第一の基質はCO及び/又はH又は発酵によって酸及び/又はアルコールを製造するのに適切な何らかのその他の成分を含みうる。
様々な態様において、該方法は、発酵によって生成した一つ又は複数のアルコールを捕捉及び回収するステップを含む。
本発明の別の側面において、アルコール及び/又は酸の製造法を提供し、該方法は、
(a)COを含む基質を第一の濃度で一つ又は複数の微生物の培養物を含有するバイオリアクターに供給し;そして
(b)バイオリアクター内の培養物を嫌気的に発酵して前記基質からアルコール及び/又は酸を含む一つ又は複数の生成物を製造する
ステップを含み、バイオリアクターに供給される基質の濃度は、酸に比してアルコールの生成が増大するように、所望の時点で場合により増大させることができる。
様々な態様において、基質の濃度の増大は、酸の少なくとも一部のアルコールへの変換をもたらす。及び/又は基質の濃度を、酸の少なくとも一部がアルコールに変換される十分な閾値より高く増大させることができる。
様々な態様において、該方法は、発酵によって生成した一つ又は複数の生成物を捕捉及び回収するステップを含む。
本発明の別の側面において、アルコール及び/又は酸の製造法を提供し、該方法は、
(a)COを含むガス状基質を第一のCO分圧で一つ又は複数の微生物の培養物を含有するバイオリアクターに供給し;そして
(b)バイオリアクター内の培養物を嫌気的に発酵して前記基質からエタノール及び/又は酢酸を含む一つ又は複数の生成物を製造する
ステップを含み、CO分圧は、アセテートに比してエタノールの生成が増大するように、所望の時点で場合により増大させることができる。
一態様において、該方法は、微生物の増殖及び/又は一つ又は複数の生成物の濃度及び/又はCO濃度をモニターすることを含み、所望の生成物及び/又はCO濃度でCO分圧を増大させることができる。一態様において、CO分圧は約27psiより上に増大できる。
様々な態様において、CO分圧の増大は、酸の少なくとも一部のアルコールへの変換をもたらす。及び/又はCO分圧を、酸の少なくとも一部がアルコールに変換される十分な閾値より高く増大させることができる。
様々な態様において、該方法は、発酵によって生成したアルコールを捕捉及び回収するステップを含む。
本発明の別の側面に従って、微生物の増殖及び/又は酸の生成の調節法を提供し、該方法は、
(a)COを含むガス状基質を第一のCO分圧で一つ又は複数の微生物の培養物を含有するバイオリアクターに供給し;そして
(b)バイオリアクター内の培養物を嫌気的に発酵して前記基質からエタノール及び/又は酢酸を含む一つ又は複数の生成物を製造する
ステップを含み、CO分圧は、微生物の増殖及び/又は酸の生成が削減又は実質的に阻害されるように、所望の時点で増大させることができる。
様々な態様において、CO分圧の増大は、酸の少なくとも一部のアルコールへの変換をもたらす。及び/又はCO分圧を、酸の少なくとも一部がアルコールに変換される十分な閾値より高く増大させることができる。
一態様において、微生物の増殖及び/又は酸の生成は、CO分圧が低下すると、増大/促進(又は再開)されうる。
様々な態様において、該方法は、発酵によって生成したアルコールを捕捉及び回収するステップを含む。
本発明の別の側面に従って、アルコール生成の調節法を提供し、該方法は、
(a)COを含むガス状基質を第一のCO分圧で一つ又は複数の微生物の培養物を含有するバイオリアクターに供給し;
(b)バイオリアクター内の培養物を嫌気的に発酵して前記基質からエタノール及び/又は酢酸を含む一つ又は複数の生成物を製造し;
(c)CO分圧を、酸の少なくとも一部がエタノールに変換されるように、十分な閾値より高く増大させ;そして
(d)場合により、その後、CO分圧を、微生物増殖及び酸生成が促進されるように閾値未満に低下させる
ステップを含む。
様々な態様において、アルコール及び酸の生成及び/又は微生物の増殖は、発酵の間ずっとモニターできる。及び/又はステップ(c)及び(d)は少なくとも1回繰り返される。
本発明の態様は、COを含むガス状基質の存在下における酸の発酵に特に応用される。該基質は、産業プロセスの副産物として得られたガスを含みうる。一定の態様において、産業プロセスは、鉄金属製品製造、非鉄製品製造、石油精製プロセス、バイオマスのガス化、石炭のガス化、発電、カーボンブラック製造、アンモニア製造、メタノール製造及びコークス製造からなる群から選ばれる。本発明の一態様において、ガス状基質は合成ガスである。一態様において、ガス状基質は、製鋼所から得られるガスを含む。
CO含有基質は典型的には主要割合のCOを含有する。例えば、少なくとも約20%〜約100体積%のCO、40%〜95体積%のCO、40%〜60体積%のCO、及び45%〜55体積%のCOである。特定の態様において、該基質は、約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%のCO、又は約55%のCO、又は約60体積%のCOを含む。6%といった低いCO濃度を有する基質も、特にH及びCOも併存している場合、適切なこともある。
様々な態様において、発酵は、一つ又は複数のカルボキシド栄養性細菌株を用いて実施される。様々な態様において、該カルボキシド栄養性細菌は、クロストリジウム(Clostridium)、ムーレラ(Moorella)、オキソバクター(Oxobacter)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)、アセトバクテリウム(Acetobacterium)、真正細菌(Eubacterium)又はブチリバクテリウム(Butyribacterium)から選ばれる。一態様において、カルボキシド栄養性細菌はクロストリジウム・オートエタノゲナム (Clostridium autoethanogenum)である。
本発明の方法は、一酸化炭素を含有する基質、特にガス状基質の存在下、酸の嫌気的発酵によって、これらに限定されないが、エタノール及び/又はブタノールを含む様々なアルコールのいずれかを製造するのに使用できる。本発明の方法は、好気的発酵、これに限定されないがイソプロパノールを含むその他の生成物の嫌気的又は好気的発酵、及び炭素含有ガス以外の基質の発酵にも適用できる。
本発明は、本願の明細書において言及又は指示された部品、構成要素及び特徴を、個別にも又は集団的にも、前記部品、構成要素又は特徴の二つ以上のいずれか及びすべての組合せでも含みうる。また、本明細書中で特定の整数が言及され、それが本発明の関連する技術分野で公知の等価物を有している場合、そのような公知の等価物もあたかも個別に示されたかのごとく本明細書に組み込まれると見なされる。
あらゆる新規側面において考慮されるべき本発明のこれら及びその他の側面は、添付の図面に関する下記説明を読むことによって明らかになるであろう。下記説明はほんの一例として示されたものである。
図1は、血清ボトル中でのC.オートエタノゲナムによるブチレートからブタノールへの変換を示す。出発条件:アセテート(4.7g/l)及びエタノール(1.2g/l)を生成しているC.オートエタノゲナムの活性培養物。pH5.5。上部空間:CO中95%COの25psig過剰圧。終末条件:pH6.35、アセテート(4.7g/l)、エタノール(3.2g/l)、上部空間:14psig過剰圧。 図2は、アセテート及び最小のエタノールを生成しているクロストリジウム・オートエタノゲナムのバッチ培養物へのホルメート添加の効果を示す。ホルメート溶液をt=0及びt=30分(約)に添加し、その後t=60分(約)に連続的に添加されるようにした。 図3は、約6g/L/日のエタノール及び1g/L/日のアセテートを生成しているクロストリジウム・オートエタノゲナムの連続培養物へのアセテート添加の効果を示す。52日目からアセテート(15g/L/日)を連続的に添加した。 図4は、アセテート及びエタノールを生成しているクロストリジウム・オートエタノゲナムを含む微生物培養物に及ぼすpH変化の効果を示す。約t=3日に、細胞リサイクルを開始して約2時間した後、pHを5.9に調整した。pH変化後、アセテートが消費され、増量したエタノールが生成した。 図5は、本発明の特定の態様による増殖バイオリアクターと変換バイオリアクターを含むシステムを示す。 図6は、本発明の特定の態様による複数の増殖バイオリアクターと変換バイオリアクターを含むシステムを示す。
以下は、本発明を、その様々な態様を含め、概括的な言葉で記載したものである。本発明はさらに、本発明を支持する実験データ、本発明の側面の具体的実施例、及び本発明を実施するための例示的手段を提供する以下の“実施例”の項目の下に与えられた開示の中でも例証される。
酸及びアルコールを含む生成物は、COを含む基質から微生物培養物によって製造できる。本発明の方法によれば、微生物培養物を撹乱すると、驚くべきことに、微生物培養物による酸の消費と同時にアルコールの生成をもたらす。この結果は、発酵ブロス中に存在する酸の少なくとも一部が直接又は間接的にアルコール、特にエタノールに還元されるためであろうと考えられる。これは、発酵反応の“変換相”と呼ぶことができる。本発明の方法によれば、発酵反応は、微生物増殖が促進され、アルコール及び/又は酸が生成する生成(又は増殖)相から、微生物培養物を撹乱することによって変換相に切り替えることができる。
微生物培養物の少なくとも一部は生成相にあるとしても、少なくとも一部は変換相にあると認識されている。しかしながら、撹乱により、生成相にある微生物培養物の少なくとも一部は変換相に切り替わり、その結果、酸に比してアルコールの生成が増大する。特定の態様において、酸の総正味消費及びアルコール生成がある。
本発明の一態様によれば、COを含む基質からアセテート及び場合によりエタノールなどの生成物を生成する微生物培養物を撹乱すると、微生物発酵によってエタノールが生成する。撹乱の後、COの少なくとも一部は酸及び/又はアルコールに変換されうるが、エタノールの大部分は、酢酸/アセテートの微生物的還元によって生成する(‘変換’)。
COを含む基質を用いてアルコール及び/又は酸を同時に生成する発酵反応の例は多数ある。しかしながら、そのような例では、生成物比は一般的に酸(すなわち酢酸/アセテート)の方がアルコール(エタノール)よりも優位である。本発明の別の態様において、特定の発酵条件は酸生成よりもアルコール生成に優位に働く。そのような条件下では、発酵槽に添加された追加の酸を、微生物培養物によって対応するアルコールに変換させることができる。例えば、酪酸のような酸を発酵反応に添加して、ブチレートのようなアルコールに変換させることができる。
本発明の方法によれば、驚くべきことに、酸からアルコールへの変換を補助するのにメチルビオロゲンのようなメディエーターが必要ないことが見出された。実際、メチルビオロゲンは、C.オートエタノゲナムによるブタノール生成に悪影響を及ぼすことが確認されている。このことは、酸からそれらの対応アルコールへの微生物変換にはメディエーターが必要であるという報告とは対照をなす。
何らかの特定の理論に拘束されることは望まないが、本発明の方法によるクロストリジウム・オートエタノゲナムによる酸のアルコールへの変換は、酵素のアルデヒドオキシド−レダクターゼ(AOR)が関与する生化学的経路によって起こると考えられる。AORは、非活性化カルボン酸をアルデヒドに還元できる独特のタングステン含有酵素である。アルデヒドは、アルデヒドデヒドロゲナーゼによってアルコールにさらに還元できる。AORは溶媒生成(solventogenesis)経路の重要な分枝である。タングステン補因子は酵素活性に極めて重要であることが示されている。これらの酵素は、クロストリジウム、デスルフィトバクテリウム(Desulfitobacterium)、及びピロコッカス(Pyrococcus)のような発酵性微生物に見出すことができる。最も良く特徴付けされたAORはピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)に属する。そのゲノムは5個を含有し、そのうちの4個が特徴付けされている。P.フリオサスの第一のAORは広い基質範囲を有しているが、アミノ酸から誘導されたアルデヒドを好む。その結晶構造から、モリブドプテリンに基づくタングステン結合部位の存在が明らかになった。第二のAORは、グリセルアルデヒド−3−リン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼ(GFOR)で、グリセルアルデヒド−3−リン酸のみを利用する。第三のAOR、ホルムアルデヒドフェレドキシンオキシドレダクターゼ(FOR)は1〜3炭素アルデヒドを好む。第四のAORであるWOR5は、広い基質範囲を有する。AORは、クロストリジウム・フォルミコアセチカム(Clostridium formicoaceticum)及びサーモアセチカム(thermoaceticum)からも精製されている。
クロストリジウム・オートエタノゲナムは、P.フリオサスのAORと〜56%及びボツリヌス菌(Clostridium botulinum)と〜80%の同一性を共有する二つの推定AOR遺伝子を含有している。AOR遺伝子は、C.オートエタノゲナムの最も近い配列類縁体クロストリジウム・クルイベリ(Clostridium kluyveri)とは著しい相違をなす。このゲノムはAOR遺伝子を含有せず、アルコール生成はアセチル−CoAを介して進行する。得られた結果は、クロストリジウム・オートエタノゲナム又はAOR経路を利用できるあらゆるその他の細菌を用いて任意のアルコールをその対応酸から製造するのに適用できると考えられる。
このように、その広い側面において、本発明は、微生物培養物を用いて酸をその対応するアルコールに変換するための方法を提供する。特定の態様において、微生物培養物は、CO及び/又はHを含む基質の存在下で酸をアルコールに変換する。
定義
特に断りのない限り、本明細書全体にわたって使用される下記の用語は以下のように定義される。
本明細書において“変換相”という用語は、細菌が一つ又は複数の酸を発酵して一つ又は複数のアルコールを生成している期間のことを言うものとする。典型的には、細菌集団の少なくとも一部はそのような相にある。しかしながら、集団中の全細菌が活発にアルコールを生成している必要はない。変換相は、発酵ブロス中のアルコールレベルの存在によって特徴付けられる。
微生物培養物に関して本明細書中で使用される“撹乱する”、“撹乱”という用語は、微生物培養物に直接的又は間接的に影響する、なされるあらゆる変更を含むものとする。微生物培養物に対してなされる変更は、pH、CO濃度、ORPなどの発酵運転条件の変更、又は培養物を含有する液体栄養培地の組成の変更などである。
本明細書において“微生物培養物”という用語は、増殖及び/又は代謝産物産生を促進するのに適切な栄養培地中及び/又は上に支持された少なくとも一つの微生物を含むものとする。
本明細書中で述べたように、本発明の方法によって“製造されたアルコール”は、一つ又は複数の細菌株が対応する酸の不在下で基質上で増殖している場合に製造できるアルコールではない。しかしながら、当該方法は、追加の生成物、例えば細菌がそれが培養されている基質から発酵する酸又はアルコールも製造しうることは理解されるはずである。当該方法によって“製造されたアルコール”は、“一次アルコール”又は“一次生成物”と呼ばれ、何らかの追加的生成物は“副産物”と呼ばれうる。“一次”という用語の使用は、副産物と比べた特定レベルの生成物を意味すると取るべきではない。
本明細書において“酸化還元メディエーター”等は、可逆的な電子供与体及び/又は電子受容体として作用する電子シャトルのことを言うものとする。メディエーターは、ビオロゲン染料(例えばメチルビオロゲン)、アントラキノン及びその他のキノン染料、トリフェニルメタン染料、フタロシアニム(phthalocyanimes)、メチン染料、ピロール染料、ポルフィリン染料、プテリジン、プテリドン、フラビン、及び二次的VI、VII及びVIII族の金属複合体などである。
本発明に従って培養物又はバイオリアクターに“酸”を添加すると言うときに使用される用語“酸(一つ又は複数)”は、あらゆるモノカルボン酸及びジカルボン酸を含めて広く解釈されるべきである。さらに、“酸”の添加への言及は、等価の塩又は塩と酸の混合物への言及も含むと解釈されるべきである。同様に、本明細書において特定の酸への言及は、等価の塩への言及も含むと解釈されるべきである(例えば酪酸とブチレート)(逆も同様)。発酵ブロス中の分子酸対カルボキシレートの比率は系のpHに依存する。酸の例は、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、及び安息香酸などである。
“バイオリアクター”という用語は、一つ又は複数の容器及び/又は塔又は配管からなる発酵装置を含み、連続撹拌槽リアクター(Continuous Stirred Tank Reactor, CSTR)、固定化細胞リアクター(Immobilized Cell Reactor, ICR)、細流床リアクター(Trickle Bed Reactor, TBR)、バブルカラム(Bubble Column)、ガスリフト発酵槽(Gas Lift Fermenter)、膜リアクター(Membrane Reactor)、例えば中空繊維膜バイオリアクター(Hollow Fiber Membrane Bioreactor,HFMBR)、静的ミキサー(Static Mixer)、又は気液接触に適切なその他の容器又はその他の装置を含む。
本明細書中でさらに説明するように、一部の態様において、バイオリアクターは第一の増殖リアクターと第二の発酵リアクターを含みうる。従って、一つ又は複数の炭水化物をバイオリアクター又は発酵反応に添加すると言う場合、必要に応じてこれらのリアクターのいずれか又は両方に添加することを含むと理解されるべきである。
“一酸化炭素を含む基質”という用語は、発酵のためにバイオリアクターに導入できるCOを含有する何らかの固体、液体又は気体材料を含む。“一酸化炭素を含むガス状基質”は、一酸化炭素を含有するあらゆるガスを含む。ガス状基質は、典型的には、相当割合のCO、例えば、少なくとも約15%〜約95体積%のCOを含有する。
“溶解CO濃度”という用語は、発酵ブロス/培地中に存在するCOの、体積の関数としての量を含む。
“CO分圧”などの用語は、CO及び任意の追加のガスを含むガス状基質中のCOによって系にかけられる相対圧力を含む。
“閾値濃度”、“十分な閾値濃度”などの語句は定量的に定義できるが、異なる微生物に応じて使用されるような異なる発酵条件下で変動しうる。前記用語は、微生物が、基質からの実質的なアルコール及び/又は酸生成から、長期間のアルコール生成及び酸消費に切り替わる濃度又は濃度範囲を含む。
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、“発酵する”、“発酵プロセス”又は“発酵反応”などの語句は、本明細書中では、増殖/及び又は微生物による生成物の生合成が関与するプロセスの増殖相及び生成物生合成相の両方を包含するものとする。
本発明の方法によれば、酸及びアルコールを含む生成物は、COを含む基質、例えばCOを含むガス状基質から微生物発酵によって製造される。本発明の特定の態様において、酸及び場合によりアルコールなどの生成物を生成している活発に増殖中の微生物培養物を撹乱すると、微生物培養物の少なくとも一部が一つ又は複数の酸を消費し、一つ又は複数の対応するアルコールを生成するようにすることができる。この結果は、発酵ブロス中に存在する酸の少なくとも一部が直接又は間接的にアルコール、特にエタノールに還元されることによるものであろう。これを発酵反応の“変換相”と呼ぶことができる。本発明の特定の態様によれば、発酵反応は、微生物増殖が促進されアルコール及び/又は酸が製造される実質的生成相から、発酵反応におけるCO濃度を増大する変換相に切り替えることができる。
本発明の別の態様において、活発に増殖中の培養物の少なくとも一部はアルコールを生成中であってよく、撹乱は一つ又は複数の酸を培養物に前記一つ又は複数の酸の少なくとも一部が一つ又は複数のアルコールに変換されるように添加することを含む。
一般的に、本発明の方法は、少なくとも、
(a)バイオリアクター内で一酸化炭素を含む基質の存在下、一つ又は複数の細菌株を培養し、一つ又は複数の酸及び場合により一つ又は複数のアルコールを製造し;そして
(b)少なくとも一つの酸が少なくとも一つのアルコールに変換されるように培養細菌を撹乱する
ことを含む。
特定の態様において、ステップ(a)の間に細菌によって製造される酸の少なくとも一部はステップ(b)で対応するアルコールに変換される。しかしながら、特定の態様において、追加の酸をバイオリアクターに添加して、ステップ(b)で前記追加された酸の少なくとも一部がアルコールに変換されるようにすることができる。そのような態様において、製造されるアルコールは、一つ又は複数の細菌株が前記酸の不在下で基質上で増殖する場合に製造できるアルコールでなくてもよい。当該方法は好ましくはメディエーターの不在下で実施される。
特定の態様において、該方法は、少なくとも、
(a)バイオリアクター内で一酸化炭素を含む基質の存在下、一つ又は複数の細菌株を培養し、ここで前記細菌はアルコールを生成しており;そして
(b)前記培養細菌に、前記培養物の少なくとも一部がアルコールを製造するための変換相にあるときに酸を添加する;
ステップを含む。
COを含む基質を用いてアルコール及び/又は酸を同時に生成する発酵反応の例は多数ある。しかしながら、そのような例では、生成物比は一般的に酸(すなわち酢酸/アセテート)の方がアルコール(エタノール)よりも優位である。
微生物培養物を生成相から変換相に切り替えるための適切な撹乱は、発酵培地のpH及び/又はORPの変更;発酵ブロス中のCO濃度の変更(当業者であれば、発酵法に応じてこれを達成するための多数の方法があることは分かるであろう。例えばガス組成の変更、ガス圧の変更、ガス流速の変更、CSTR中の撹拌速度の変更などである);還元剤の添加;一つ又は複数の酸の添加などであるが、これらに限定されない。
従って、本発明の特定の態様において、微生物培養物の撹乱は、
・微生物培養物を含有する液体栄養培地のpHを変える;
・微生物培養物を含有する液体栄養培地のORPを変える;
・一つ又は複数の酸をバイオリアクターに添加する;
・一つ又は複数の還元剤をバイオリアクターに添加する;
・微生物培養物を含有する液体栄養培地中のCO濃度を変える;
・バイオリアクター内のCO分圧を変える、この場合、COを含む基質はガス状である;
の一つ又は複数を含む。
以下の記載は、本発明の特定の態様に焦点を合わせるが、本発明は代替のアルコールをそれらの対応する酸から製造するのにも適用可能であることは理解されるべきである。アルコールの例は、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、及びベンジルアルコールなどである。対応する酸の例は、それぞれ、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、及び安息香酸などである。本発明に従って製造できる更なるアルコールの例は、香料、製薬及び燃料産業で使用されるものなどである。
さらに、当該方法は、C.オートエタノゲナム以外の細菌を用いて実施することもできる。例えば、クロストリジウム(Clostridia)、ムーレラ(Moorella)、真正細菌(Eubacteria)、アセトバクテリウム(Acetobacteria)、ブチリバクテリウム(Butyribacterium)及びデスルホバクテリウム(Desulfobacterium)属の細菌種が使用できる。さらに詳しくは、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii) 、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・フォルミカセチカム(Clostridium formicaceticum)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、アセトバクテリウム・ウーディイ(Acetobacterium woodii)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、及びデスルホバクテリウム・オートトロフィカム(Desulfobacterium autotrophicum)が使用できる。
本発明の一定の態様は、一つ又は複数の産業プロセスによって生成したガスストリームを使用するように適合されている。そのようなプロセスは、製鋼プロセス、特に高CO含有量又は所定濃度(すなわち5%)より高いCO含有量を有するガスストリームを生成するプロセスなどである。そのような態様に従って、好ましくはカルボキシド栄養性細菌が、酸及び/又はアルコール、特にエタノール又はブタノールを一つ又は複数のバイオリアクター内で製造するのに使用される。当業者は本開示を考慮すれば、本発明は、様々な産業又は廃ガスストリーム、例えば内燃機関を有する自動車のそれにも適用できることは分かるであろう。また、当業者は本開示を考慮すれば、本発明は、同じ又は異なる微生物を使用するものを含むその他の発酵反応にも適用できることは分かるであろう。従って、本発明の範囲は、記載された特定の態様及び/又は用途に限定されず、それどころか広義に理解されるものとする。例えば、ガスストリームの供給源は、その少なくとも一つの成分が発酵反応に供給するのに使用可能であるという以外の制限はない。本発明は、自動車の排ガス及び高容量のCO含有産業煙道ガスなどのガス状基質からの総体的炭素捕捉及び/又はエタノール及びその他のアルコール製造の改良に特に適用可能性がある。
発酵
ガス状基質からのエタノール及びその他のアルコールの製造法は知られている。例示的方法は、例えば、WO2007/117157、WO2008/115080、米国特許第6,340,581号、米国特許第6,136,577号、米国特許第5,593,886号、米国特許第5,807,722号及び米国特許第5,821,111号に記載されているものなどである。前記特許はそれぞれ引用によって本明細書に援用する。
いくつかの嫌気性細菌が、COの、n−ブタノール及びエタノールを含むアルコール、及び酢酸のような酸への発酵を実行できるとして知られており、本発明のプロセスに使用するのに適している。本発明に使用するのに適しうるそのような細菌の例は、クロストリジウム属の細菌、例えばクロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)(WO00/68407、EP117309、米国特許第5,173,429号、5,593,886号、及び6,368,819号、WO98/00558及びWO02/08438に記載のものを含む)、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Clostridium carboxydivorans)(Liouら、International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology 33:pp2085−2091)、クロストリジウム・ラグスダレイ(Clostridium ragsdalei)(WO/2008/028055)及びクロストリジウム・オートエタノゲナム (Clostridium autoethanogenum) (Abriniら、Archives of Microbiology 161:pp345−351)の株などである。その他の適切な細菌は、ムーレラ属の細菌、例えばムーレラ種HUC22−1(Moorella sp HUC22-1)(Sakaiら、Biotechnology Letters 29:pp1607−1612)、及びカルボキシドサーマス(Carboxydothermus)属の細菌(Svetlichny,V.A.,Sokolova,T.G.ら(1991),Systematic and Applied Microbiology 14:254−260)などである。更なる例は、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、ルミノコッカス・プロダクタス(Ruminococcus productus)、アセトバクテリウム・ウーディイ(Acetobacterium woodii)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、オキソバクター・フェニギイ(Oxobacter pfennigii)、メタノサルシナ・バルケリ(Methanosarcina barkeri)、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)、デスルホトマクルム・クズネツォビイ(Desulfotomaculum kuznetsovii)(Simpaら、Critical Reviews in Biotechnology,2006 Vol.26.pp41−65)などである。さらに、当業者には分かる通り、その他のカルボキシド栄養性嫌気性細菌も本発明に適用可能であることは理解されるはずである。また、本発明は、二つ以上の細菌の混合培養物に適用できることも分かるであろう。
本発明に使用するのに適切な一つの微生物の例はクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)である。一態様において、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、German Resource Centre for Biological Material(DSMZ)に識別寄託番号19630で寄託された株の識別特徴を有するクロストリジウム・オートエタノゲナムである。別の態様において、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、DSMZ寄託番号DSMZ10061の識別特徴を有するクロストリジウム・オートエタノゲナムである。
本発明の方法に使用される細菌の培養は、嫌気性細菌を用いる基質の培養及び発酵のための当該技術分野で公知の様々なプロセスを用いて実施できる。例示的技術は以下の“実施例”の項に提供されている。更なる例として、発酵にガス状基質を用いる下記文献に一般的に記載されたプロセスも利用できる。(i)K.T.Klassonら,(1991).Bioreactors for synthesis gas fermentations resources.Conservation and Recycling,5;145−165;(ii)K.T.Klassonら,(1991).Bioreactor design for synthesis gas fermentations.Fuel.70.605−614;(iii)K.T.Klassonら,(1992).Bioconversion of synthesis gas into liquid or gaseous fuels.Enzyme and Microbial Technology.14;602−608;(iv)J.L.Vega,ら(1989).Study of Gaseous Substrate Fermentation:Carbon Monoxide Conversion to Acetate.2.Continuous Culture.Biotech.Bioeng.34.6.785−793;(v)J.L.Vega,ら(1989).Study of gaseous substrate fermentations:Carbon monoxide conversion to acetate.1.Batch culture.Biotechnology and Bioengineering.34.6.774−784;(vi)J.L.Vega,ら(1990).Design of Bioreactors for Coal Synthesis Gas Fermentations.Resources,Conservation and Recycling.3.149−160;これらはすべて引用によって本明細書に援用する。
発酵は任意の適切なバイオリアクターで実施できる。例えば、連続撹拌槽リアクター(CSTR)、固定化細胞リアクター、ガスリフトリアクター、バブルカラムリアクター(BCR)、膜リアクター、例えば中空繊維膜バイオリアクター(HFMBR)又は細流床リアクター(TBR)などである。また、本発明の一部の態様において、バイオリアクターは、微生物が培養される第一の増殖リアクター、及び増殖リアクターからの発酵ブロスが供給され、ほとんどの発酵生成物(例えばエタノール及びアセテート)が製造される第二の発酵リアクターを含んでいてもよい。
基質がガス状である一部の態様においては、生成及び/又は変換相を高めた圧力で実施するのが望ましいであろう。これは少なくとも数気圧であろう。そのような系は、高めた圧力に耐えるように適合されたバイオリアクターの使用を採用することになる。多くのタイプのバイオリアクターが高圧に耐えるように適合できる。そのようなバイオリアクターの例は、Buchi AUTOKLAV(登録商標)リアクターである。
本発明の一部の態様において、バイオリアクターは、微生物が培養され、場合により酸が製造される第一の増殖リアクター、及び増殖リアクターからのブロスが供給され、ほとんどではないにせよ追加のアルコール発酵生成物(例えばエタノール)が製造される第二の発酵リアクターを含んでいてもよい。前述のように、圧力定格の発酵バイオリアクターが採用されうる。
本発明の様々な態様に従って、発酵反応用の炭素源は、COを含有するガス状基質である。該基質は、産業プロセスの副産物として、又は自動車の排ガスのような何らかの別の供給源から得られるCO含有廃ガスでありうる。一定の態様において、産業プロセスは、製鋼所のような鉄金属製品製造、非鉄製品製造、石油精製プロセス、石炭のガス化、発電、カーボンブラック製造、アンモニア製造、メタノール製造及びコークス製造からなる群から選ばれる。これらの態様において、CO含有基質は、それが大気中に放出される前に何らかの好都合な方法を用いて産業プロセスから捕捉されうる。CO含有基質の組成によっては、それを発酵に導入する前に何らかの望まざる不純物、例えばダスト粒子を除去するために処理するのも望ましいであろう。例えば、ガス状基質を公知の方法を用いてろ過又はスクラブすることができる。
あるいは、CO含有基質はバイオマスのガス化から供給することもできる。ガス化のプロセスは、限られた空気又は酸素の供給下でバイオマスを部分燃焼することを含む。得られるガスは典型的には、主にCO及びHと、少量のCO、メタン、エチレン及びエタンを含む。例えば、サトウキビから砂糖、又はトウモロコシや穀物からデンプンといった食料の抽出及び加工中に得られるバイオマス副産物、又は林業によって生じる非食料バイオマス廃棄物をガス化すると、本発明で使用するのに適切なCO含有ガスを製造することができる。
CO含有基質は典型的には主要割合のCO、例えば、少なくとも約20%〜約100体積%のCO、40%〜95体積%のCO、40%〜60体積%のCO、及び45%〜55体積%のCOを含有する。特定の態様において、該基質は、約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%のCO、又は約55%のCO、又は約60体積%のCOを含む。6%といった低いCO濃度を有する基質も、特にH及びCOも併存している場合、適切なこともある。
基質が何らかの水素を含有することは必要ではないが、本発明の方法による生成物の形成にとってHの存在は無害であるべきである。特定の態様において、水素の存在はアルコール生成の総体的効率の改良をもたらす。例えば、特定の態様において、基質は約2:1、又は1:1、又は1:2の比率のH:COを含んでいてよい。他の態様では、基質ストリームは低濃度のH、例えば5%未満、又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満の水素を含むか、又は実質的に水素を含まない。基質はまた、いくらかのCO、例えば約1%〜約80体積%のCO、又は1%〜約30体積%のCOを含有することもある。
典型的には、一酸化炭素は発酵反応にガス状態で添加される。しかしながら、本発明の方法は、この状態での基質の添加に限定されない。例えば、一酸化炭素は液体で供給することもできる。例えば、液体を一酸化炭素含有ガスで飽和し、その液体をバイオリアクターに添加すればよい。これは標準的な方法論を用いて達成できる。一例を挙げると、マイクロバブル分散物発生装置(Hensirisakら、Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;Applied Biochemstry and Biotechnology Volume 101,Number 3/October,2002)をこの目的のために使用することができる。
本発明の一態様において、生成物は第一の基質及び第二の基質の発酵によって製造される。本発明の一特定の態様において、ピルベート又は炭水化物、例えばフルクトース又はキシロースなどの第一の基質、及びCOを含む基質のような第二の基質が供給された場合、アルコール及び/又は酸が製造される。発酵を撹乱すると、少なくとも酸(酢酸/アセテート)の一部はアルコール(エタノール)に変換される。本開示を考慮すれば、当該技術分野で公知の、発酵に適切な多数の炭水化物の例、及び本発明の方法に適用可能な、炭水化物の基質を発酵するのに使用される多数のプロセスタイプの例があることは分かるであろう。例を挙げると、適切な基質は、グルコース及びフルクトースのような単糖類、スクロース又はラクトースのようなオリゴ糖類、セルロース又はデンプンのような多糖類などを含みうるが、これらに限定されない。これらすべての炭水化物基質(及びそれらの混合物)は本発明の様々な態様において使用するのに適切であるが、より一般的に使用されうる炭水化物基質は、グルコース、フルクトース、キシロース及びスクロース(及びそれらの混合物)などである。
当業者は、本開示を考慮すれば、本方法に使用するのに適切な発酵可能な糖は、例えば米国特許出願公開第2007/0031918号に記載されているように、セルロース及びリグノセルロース系バイオマスから前処理及び糖化のプロセスを通じて得られることは分かるであろう。バイオマスは、あらゆるセルロース又はリグノセルロース系材料のことを言い、セルロースを含む材料、及び場合によりさらにヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖及び/又は単糖を含む材料を含む。バイオマスは、バイオエネルギー作物、農業廃棄物、都市固形廃棄物、産業固形廃棄物、製紙由来のスラッジ、庭ゴミ、木くず及び林業廃棄物などであるが、これらに限定されない。
本発明の一態様では、市販されているフルクトース又はキシロースが発酵のための任意の炭素及びエネルギー源として使用される。
細菌の増殖及びCOから生成物への発酵を起こすためには、CO含有基質ガスの他に適切な液体栄養培地もバイオリアクターに供給する必要があることは分かるであろう。栄養培地は、使用される微生物の増殖を可能にするための十分なビタミン及びミネラルを含有している。COを唯一の炭素源として使用するエタノールの発酵に適切な嫌気性培地は当該技術分野で公知である。例えば、適切な培地は、上述の米国特許第5,173,429号及び5,593,886号並びにWO02/08438、WO2007/115157及びWO2008/115080に記載されている。本発明は、微生物の増殖及び/又は発酵プロセスにおけるアルコール生成を支持するのに増大した効率を有する新規培地を提供する。この培地については以下でさらに詳細に説明する。
発酵は、望ましくは、所望の発酵(例えばCOからエタノール)が起こるのに適切な条件下で実施されるべきである。考慮されるべき反応条件は、圧力、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地の酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽リアクターを使用する場合)、植菌量、液相中のCOが制限的にならないような最大のガス基質濃度、及び生成物抑制を回避するための最大の生成物濃度などである。適切な条件は、WO02/08438、WO07/117157及びWO08/115080に記載されている。
最適な反応条件は、一部は使用される特定の微生物に左右される。しかしながら、一般的に、発酵は周囲圧力より高い圧力で実施されるのが好適である。高めた圧力での運転は、気相から液相へのCO移動速度を著しく増加させる。COは液相で微生物にエタノール生成のための炭素源として取り込まれる。このことは、ひいては、バイオリアクターが大気圧ではなく高い圧力に維持された場合、リテンションタイム(バイオリアクター中の液量÷流入ガス流速として定義される)を削減できることを意味している。
また、所定のCO−生成物変換速度は一部は基質のリテンションタイムの関数であり、所望のリテンションタイムの達成はバイオリアクターの必要容量を決定するので、加圧システムの使用は必要なバイオリアクターの容量を大きく削減でき、その結果、発酵装置の資本コストも削減できる。米国特許第5,593,886号に示されている実施例によれば、リアクターの容量はリアクターの運転圧力の増加に線形比例して削減できる。すなわち、10気圧の圧力で運転されるバイオリアクターは、1気圧の圧力で運転されるリアクターの容量の10分の1ですむ。
ガスからエタノールへの発酵を高圧で実施することの利益は他の場所でも記載されている。例えば、WO02/08438には、30psig及び75psigの圧力下で実施されたガス−エタノール発酵で、それぞれ150g/l/日及び369g/l/日のエタノール生産性が得られたことが記載されている。しかしながら、類似の培地及び流入ガス組成を用いて大気圧で実施された発酵例では、1日あたり1リットルにつき10〜20分の1のエタノールしか生産されないことが分かった。
CO含有ガス状基質の導入速度は、液相中のCO濃度が決して制限的にならないようなものであることも望ましい。なぜならば、COが制限された条件だと、エタノール生成物が培養物によって消費されるという結果になりうるからである。
本発明の特定の態様において、エタノールは、系が密閉容器内で撹乱されると、微生物発酵によって製造される。本明細書中に提供されているいくつかの実施例において、発酵のpHは制御されず、酸からアルコールへの変換でpHは増大する。そのような例では、pHは6.5付近に増大し、変換に対して阻害作用を有しうる。当業者であれば、本発明の方法は発酵培地のpH制御を含みうることは分かるであろう。
生成物回収
本発明の方法による発酵は、栄養培地中に、所望生成物(例えばエタノール及び/又はブタノール)及び/又は一つ又は複数の副産物(例えばアセテート及びブチレート)、並びに細菌細胞を含む発酵ブロスをもたらす。
発酵反応の生成物は公知の方法を用いて回収できる。方法の例は、WO07/117157、WO08/115080、米国特許第6,340,581号、米国特許第6,136,577号、米国特許第5,593,886号、米国特許第5,807,722号及び米国特許第5,821,111号に記載されている。しかしながら、手短に、単なる例として述べると、エタノールは発酵ブロスから、分別蒸留又は蒸発、及び抽出発酵などの方法によって回収できる。
発酵ブロスからエタノールの蒸留によってエタノールと水の共沸混合物(すなわちエタノール95%及び水5%)が得られる。無水エタノールは、その後、当該技術分野で周知の分子ふるいエタノール脱水技術を用いて得ることができる。
抽出発酵法は、発酵生体に対する毒性リスクの低い水混和性溶媒を使用して、エタノールを希釈発酵ブロスから回収する方法である。例えば、オレイルアルコールは、このタイプの抽出プロセスに使用できる溶媒である。オレイルアルコールを発酵槽に連続的に導入すると、この溶媒が上昇し、発酵槽の上部に層を形成する。これを連続的に抽出し、遠心分離機に供給する。すると、水と細胞は該オレイルアルコールから容易に分離されて発酵槽に戻されるが、エタノールを含んだ溶媒はフラッシュ蒸発装置に送り込まれる。ほとんどのエタノールは蒸発し凝結するが、オレイルアルコールは非揮発性なので、発酵での再使用のために回収される。
発酵反応の副産物として生成するアセテートも、当該技術分野で公知の方法を用いて発酵ブロスから回収できる。
例えば、活性炭フィルターを含む吸着システムが使用できる。この場合、適切な分離装置を用いてまず微生物細胞を発酵ブロスから除去するのが好ましい。生成物回収のために無細胞発酵ブロスを作り出す多数のろ過ベースの方法が当該技術分野で知られている。次に、無細胞エタノール−及びアセテート−含有透過物を活性炭含有カラムに通してアセテートを吸着させる。酸形のアセテート(酢酸)の方が塩(酢酸塩)形よりも活性炭に容易に吸着される。そこで、活性炭カラムに通す前に発酵ブロスのpHを約3未満に下げてアセテートの大部分を酢酸形に変換するのが好適である。
活性炭に吸着された酢酸は、当該技術分野で公知の方法を用いて溶離によって回収できる。例えば、結合したアセテートの溶離にエタノールを使用することができる。一定の態様において、発酵プロセスそのものから生成したエタノールをアセテートの溶離に使用してもよい。エタノールの沸点は78.8℃で酢酸のそれは107℃であるので、エタノールとアセテートは、蒸留のような揮発性ベースの方法を用いて容易に相互分離できる。
発酵ブロスからアセテートを回収するためのその他の方法も当該技術分野では公知であり、本発明のプロセスに使用できる。例えば、米国特許第6,368,819号及び6,753,170号は、発酵ブロスから酢酸の抽出に使用できる溶媒及び共溶媒系について記載している。エタノールの抽出発酵で記載したオレイルアルコールベースの系の例と同様、米国特許第6,368,819号及び6,753,170号に記載の系は、酢酸生成物を抽出するために発酵微生物の存在下でも不在下でも発酵ブロスと混合できる水非混和性の溶媒/共溶媒を表している。次いで、酢酸生成物を含有する溶媒/共溶媒は蒸留によってブロスから分離される。次に、酢酸を溶媒/共溶媒系から精製するために第二の蒸留ステップを使用することもできる。
発酵反応の生成物(例えばエタノール及びアセテート)は、発酵ブロスから、ブロスの一部を発酵バイオリアクターから連続的に除去し、微生物細胞をブロスから分離し(都合よくはろ過によって)、そして一つ又は複数の生成物をブロスから同時又は逐次回収することによって回収することができる。エタノールの場合、上記の方法を用いて、蒸留によって都合よく回収でき、アセテートは活性炭上への吸着によって回収できる。分離された微生物細胞は発酵バイオリアクターに戻すのが好ましい。エタノール及びアセテートの除去後に残った無細胞透過物も発酵バイオリアクターに戻すのが好ましい。バイオリアクターに戻す前に追加の栄養素(例えばビタミンB類)を無細胞透過物に加えて栄養培地を補充してもよい。また、酢酸の活性炭への吸着を増強するために上記のようにブロスのpHを調整した場合、そのpHは、バイオリアクターに戻す前に発酵バイオリアクターのブロスのpHと類似したpHに再調整されるべきである。
次に、本発明を以下の非制限的実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。
酸からアルコールへの変換
特定の広い側面において、本発明は、微生物培養物を用いて酸を対応するアルコールに変換する方法を提供する。特定の態様において、微生物培養物は、CO及び/又はHを含む基質の存在下で酸をアルコールに変換する。
本発明の方法によれば、一つ又は複数のカルボキシド栄養性細菌を含む微生物培養物を、該微生物培養物が酸をアルコールに変換するように撹乱することができる。本発明の方法は、COを主要基質として利用し、一つ又は複数の酸及び/又はアルコールを生成する様々な微生物発酵反応に適用可能である。例えば、アセテート、ブチレート、プロピオネート、カプロエート、エタノール、プロパノール、及びブタノールを製造するための発酵が本発明の方法に従って実施できる。本発明の方法は水素の製造にも使用できる。これらの生成物は、例えば、ムーレラ(Moorella)、クロストリジウム(Clostridia)、ルミノコッカス/ペプトストレプトコッカス(Ruminococcus/Peptostreptococcus)、アセトバクテリウム(Acetobacterium)、真正細菌(Eubacterium)、ブチリバクテリウム(Butyribacterium) 、オキソバクター(Oxobacter)、メタノサルシナ(Methanosarcina)、メタノサルシナ(Methanosarcina)、及びデスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属のカルボキシド栄養性微生物を用いる発酵によって製造できる。
特定の態様において、微生物培養物は、典型的にはCOを含む基質を利用してアセテート及び/又はエタノールを含む生成物を生成するクロストリジウム・オートエタノゲナム (Clostridium autoethanogenum)のような酢酸生成菌を含む。そのような態様においては、微生物培養物は、増殖及びアセテート生成を促進するために、発酵ブロス中で望ましい条件下で増殖させることができる。酢酸生成菌の増殖(又は生成)相は、典型的には細胞物質の増加(バイオマス蓄積)とアセテート生成を伴い、アルコールの同時生成はほとんど又は全くない。本発明の特定の態様では、微生物培養物は、発酵ブロス中に存在する酸が対応するアルコールに変換されるように(例えばアセテートからエタノール及び/又はブチレートからブタノール)撹乱される。酸からアルコールへの変換は変換相と呼ぶことができる。
本発明の特定の態様において、微生物培養物は、生成相にある培養物によって製造された酸がアルコールに変換されるように撹乱することができる。追加的に又は代替的に、微生物培養物は、生成相にある培養物によって製造されない酸がアルコールに変換されるように撹乱することもできる。例えば、微生物培養物によって製造されないアルコール(例えばプロピオネート、ブチレート、バレレート、ヘキサノエート、イソバレレート、2−メチルブチレート)を発酵ブロスに加えて対応するアルコールに変換することができる。
本発明の一態様において、酸は、まず、変換段階の前又は最中の発酵反応に供給又は添加される。酸は、場合により、所望期間にわたって単回又は複数回のバッチで添加しても連続的に添加してもよい。バイオリアクターに添加される酸の量は変動しうる。しかしながら、発明者らは、発酵ブロス1Lあたり約0.1〜100gの酸の濃度を提供するような量の酸の添加を想定している。さらに好ましくは、酸は、約0.1〜50g/L、又は1〜20g/Lの濃度を提供する量で添加される。細菌培養物に添加される酸の適切なレベルの更なる例は以下の“実施例”の項に提供する。
酸は、バイオリアクターに回分(バッチ)方式、半回分方式(fed-batch)又は連続方式で添加できる。一態様において、酸は、バイオリアクター内の酸の濃度を上記範囲内に維持するために半回分方式又は連続方式で添加される。
酸は、酸と一つ又は複数のその他の成分、担体、又は希釈剤を含有する組成物などの任意の適切な形態でバイオリアクターに添加できる。一態様において、酸は、好ましくはpH5.5に緩衝されたストック溶液として調製され、バイオリアクターに添加される。
本発明で有用な酸は、微生物発酵を含む様々な公知法によって製造できる。一態様において、酸は、例えば炭水化物又は一酸化炭素を含む基質上での微生物発酵によって製造される。好ましくは、それらは一酸化炭素を含む基質上、さらに好ましくは一酸化炭素を含むガス状基質上での微生物発酵によって製造される。該酸の製造に有用な細菌の例は、クロストリジウム、ムーレラ及びルミノコッカス属の細菌を含み、真正細菌、ブチリバクテリウム、オキソバクター及びアセトバクテリウムがこの目的のために有用である。好適な態様において、細菌は、クロストリジウム・オートエタノゲナム (Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・フォルミカセチカム(Clostridium formicaceticum)、クロストリジウム・テタノモルファム(Clostridium tetanomorphum)、クロストリジウム・カルボキシジボランス(Clostridium carboxidivorans)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ムーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、ルミノコッカス・プロダクタス(Ruminococcus productus)、ユーバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、オキソバクター・フェンニギイ(Oxobacter pfennigii)、及びアセトバクテリウム・ウーディイ(Acetobacterium woodii)から選ばれる。当業者であれば、本発明に適用可能な、酸の製造に有用な追加の細菌は容易に分かるであろう。
本発明に有用な酸を製造するための微生物発酵法は、当業者には、特に本明細書中に提供されている情報を考慮すれば、容易に分かるであろう。しかしながら、例を挙げると、ブチレートは、Grethleinら、1991(Journal of Fermentation and Bioengineering,Vol 72、No 1,58−60)に記載のように、一酸化炭素含有ガスから製造できる。
本発明の一態様において、方法は、前述の方法に従って微生物発酵により所望酸を製造後、該酸を使用してその対応アルコールを製造することをつなぐ半回分(batch-fed)又は連続プロセスである。この態様において、方法は、少なくとも、a)第一のバイオリアクター内で、基質(好ましくは一酸化炭素を含む基質、さらに好ましくは一酸化炭素を含むガス状基質)を発酵して一つ又は複数の酸を製造し、b)第二のバイオリアクター内で、一酸化炭素を含む基質の存在下、一つ又は複数の細菌株を培養し、そしてc)(a)からの一つ又は複数の酸を第二のバイオリアクターに、前記一つ又は複数の細菌株が変換相にあるときに導入して前記一つ又は複数の酸に対応するアルコールを製造するというステップを含む。関連の態様においては、更なる増殖リアクターが第一及び/又は第二のバイオリアクターに細菌を供給してもよい。
特定の態様では細菌は一酸化炭素を含む基質の存在下で培養されるが、代替の態様では細菌を最初に代替基質、例えば糖又はその他の炭水化物を含む基質上で所望密度に増殖させることもできる。その後、細菌を一酸化炭素を含む基質に移して、酸をそれらの対応するアルコールに変換すればよい。この態様は、前述のような二つのリアクターシステムで実施できる。
炭水化物とCOを含むガス状基質のような混合基質を利用する発酵反応を使用してアルコール及び/又は酸を製造することができる。本発明の方法によれば、そのような発酵反応を撹乱すると、酸の少なくとも一部が消費されて、アルコール生成が増大する。
本発明の方法によれば、アルコール及び/又は酸は、炭水化物のような代替基質の微生物発酵によって製造することもできる。所定の時点で、又は過剰量の酸が蓄積したら、COをバイオリアクターに添加し、場合により発酵反応をさらに撹乱して、酸の少なくとも一部をアルコールに変換することができる。
本発明に有用な細菌の増殖及び該細菌による変換を支持するために、適切な栄養培地をバイオリアクターに供給する必要があることは分かるであろう。当業者であれば、本発明に有用な培地は容易に分かるであろう。しかしながら、一般的に、栄養培地は、COを含む基質上での細菌の増殖を可能にするのに足るビタミン、ミネラル及び金属を含有する。特に、該培地は、酸からそれらの対応アルコールへの変換に関与しうる酵素、例えばCODH(CO−デヒドロゲナーゼ)及びAOR酵素の活性を補助する一つ又は複数の金属を含む。本発明の一態様において、該栄養培地はトリプトンも酵母エキスも含有しない。本発明での使用に適切な嫌気性培地は、以下の“実施例”の項で後述するLM23及びLM33培地の配合処方を含む。
単一タイプの培地を使用して増殖及び生成物の形成を支持してもよいが、二つ以上の培地を本発明のプロセスに使用できることは理解されるはずである。例えば、プロセスが別個の増殖及び発酵リアクターを利用する場合、一つの培地を増殖リアクターに利用し、別の培地を発酵リアクターに利用することができる。
細菌の培養は、望ましくは、酸からアルコールへの変換を起こさせる適切な条件下で実施されるべきである。考慮されるべき反応条件は、圧力、温度、ガス流速、液体流速、培地pH、培地の酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽リアクターを使用する場合)、植菌量、液相中のCOが制限的にならないような最大のガス基質濃度、及び生成物抑制を回避するための最大の生成物濃度などである。条件の例は以下の“実施例”の項に提供する。最適な反応条件は、一部は使用される細菌及び生成するアルコールに依存する。
CO含有基質の導入速度は、液相中のCO濃度が決して制限的にならないようなものであることも望ましい。なぜならば、COが制限された条件だと、生成物が培養物によって消費されるという結果になりうるからである。
通常技能を有する者には、本開示を考慮すれば、微生物培養物を撹乱して微生物培養物の少なくとも一部が生成相から変換相に切り替わるようにするために、様々な発酵条件又はパラメーターを変更できることは分かるであろう。例えば、発酵パラメーターを、酸が微生物培養物によってアルコールに変換されるように変更することができる。微生物培養物を生成相から変換相に切り替えるための適切な撹乱は、発酵培地のpH及び/又はORPの変更;発酵ブロス中のCO濃度の変更(発酵法に応じてこれを達成するための多数の方法がある。例えば、ガス組成の変更、ガス圧の変更、ガス流速の変更、CSTR中の撹拌速度の変更など);還元剤の添加;一つ又は複数の酸の添加などである。当業者であれば、所望の撹乱を達成するための適切な方法は分かるであろうし、本発明の方法に従って微生物培養物を撹乱するための追加の方法も分かるであろう。しかしながら、いくつかの例示的方法を以下の“実施例”の項に記載する。本発明の特定の態様において、一つ又は複数の酸を発酵ブロスに添加することは、微生物培養物の少なくとも一部が生成相から変換相に切り替わるための適切な撹乱を提供する。例えば、活発に増殖し、アセテート及びアルコールを生成している微生物培養物にアセテートを添加すると、培養物は添加されたアセテートの少なくとも一部をエタノールに変換することができる。
本発明の一態様において、追加のアセテートは、連続的にアルコール及びアセテートを生成している発酵反応に約15g/L/日の速度で添加できる。その結果、培養物は、該アセテートをエタノールに6〜15g/L/日の速度で変換する。
代替の態様では、追加の酸を、発酵ブロスのCO濃度の変更又は還元剤の添加といった少なくとも一つのその他の撹乱と併せて添加することもできる。
本発明の方法に従って任意の適切な還元剤が使用できるが、例を挙げると、亜ジチオン酸塩(例えば亜ジチオン酸ナトリウム)、硫化物塩(例えば硫化ナトリウム)又はシステイン及び場合により追加の酸を発酵反応に添加して、微生物培養物の少なくとも一部を生成相から変換相に切り替えることができる。こうして酸が対応するアルコールに変換される。特定の態様において、主としてアセテートを生成する発酵反応に硫化ナトリウムを加えると、該アセテートの少なくとも一部がエタノールに変換される。当業者であれば、酸をアルコールに変換するために系を十分撹乱するのに必要な還元剤の量を決定することはできるであろう。しかしながら、例を挙げると、還元剤は0.005mM〜10mM又は0.05mM〜1mMの濃度範囲で添加することができる。本発明の特定の態様においては、還元剤のほかにメチルビオロゲンのような酸化還元メディエーターを添加する。酸化還元メディエーターの添加は有害作用があるので、本発明の特定の態様によれば、酸からアルコールへの変換法は、好ましくは酸化還元メディエーターの不在下で実施される。
本発明の別の態様において、微生物培養物を生成相から変換相に切り替えるために、発酵反応にホルメートを添加する。本発明の特定の態様において、生成相の間に培養物によって製造されたアセテートがエタノールに変換されるように、2〜5g/Lのホルメートを微生物培養物に添加することができる。特定の態様において、ホルメートは、培養物によって製造されたアセテートの少なくとも一部がエタノールに変換されるように、約3〜6g/L/日の速度で添加できる。
本発明の別の態様において、微生物培養物は、微生物培養物を含有する発酵培地のpH及び/又はORP(open redox potential)を変更することによって撹乱することもでき、その結果、酸がアルコールに変換される。当業者であれば、発酵培地のpH及び/又はORPを変更するための手段及び/又は方法は分かるであろう。しかしながら、例を挙げると、微生物培養物を含有する液体栄養培地のpHは、酸(例えば塩酸、硫酸又は酢酸)又は塩基(例えば水酸化ナトリウム)を用いて調整できる。同様に、ORPは、pHと組み合わせて、又は還元剤の添加によって独自に調整できる。
特定の態様において、pH5.5に維持された液体栄養培地のpHは、生成相の間に製造されたアセテートがエタノールに変換されるように水酸化ナトリウムを添加することによって5.9に上昇する。pHが変わると、培地の酸化還元電位は約−430から−470mVに低下する。
別の態様において、バイオリアクター内のCO濃度の増大は、微生物培養物の少なくとも一部を生成相から変換相に切り替える。一定の態様において、微生物培養物は、CSTRのような撹拌バイオリアクター内の液体栄養培地中に確立される。COの溶解度が低いため、高細胞密度(例えば0.5〜5g/L)では、液体栄養培地中のCO濃度は、微生物培養物がCOを、それが溶液中に移動するのとほぼ同じ速度で消費するにつれてゼロに近づくことが認められている。液体栄養培地のCO濃度は、ヘンリーの法則に従ってCO分圧の増加によって増大させることができる。従って、本発明の特定の態様に従って、微生物培養物は、バイオリアクター内のCO分圧を増加させることによって撹乱される。
本発明の一態様によれば、エタノールは、発酵培地中のCO濃度が増大すると、微生物発酵によって製造される。この変換相の間にCOの少なくとも一部は酸及び/又はアルコールに変換されうるが、大部分のエタノールは、酢酸/アセテートの微生物的還元によって製造されうる。一部の発酵反応は、高めたCO分圧で運転できることが認められている。従って、発酵培地中のCO濃度を増大させるために、CO分圧を、酸がアルコールに変換されるように、少なくとも15psi、又は少なくとも20psi、又は少なくとも25psi、又は少なくとも30psi、又は少なくとも35psi、又は少なくとも40psi増加させることができる。
本発明の一態様において、発酵ブロス中の酸のかなりの部分はアルコールに変換される。本発明の一部の態様において、CO濃度の増大は、発酵ブロス中で利用可能な酸の少なくとも60%をアルコールに変換する。他の態様では、酸の少なくとも70%がアルコールに変換される。他の態様では、酸の少なくとも80%がアルコールに変換される。
本発明の特定の態様において、CO分圧は、酸が対応するアルコールに変換されるように、約15.9psia、又は少なくとも20psia、又は少なくとも30psia、又は少なくとも40psia、又は少なくとも50psiaに増大される。そのような態様においては、ヘンリーの法則に従って、液体栄養培地中のCO濃度は、少なくとも1mmol、又は少なくとも1.2mmol、又は少なくとも1.4mmol、又は少なくとも1.6mmol、又は少なくとも1.8mmol、又は少なくとも2.2mmol、又は少なくとも2.6mmol、又は少なくとも3.2mmolになることが期待される。
本発明の一定の態様において、酸は対応するアルコールに、撹乱後の期間(例えば撹乱後1時間まで、又は2時間まで、又は3時間まで、又は5時間まで)、およそ少なくとも12g/L/日、又は少なくとも14g/L/日、又は少なくとも16g/L/日、又は少なくとも18g/L/日、又は少なくとも20g/L/日、又は少なくとも22g/L/日、又は少なくとも24g/L/日の速度で変換される。特定の態様において、COの他に水素の存在下で、酸からアルコールへの変換速度は、撹乱後25g/L/日まで、又は26g/L/日まで、又は27g/L/日まで増大する。しかしながら、変換速度は時間が経つにつれて低下するので、一定の態様においては酸(例えばアセテート)は発酵反応の過程中、蓄積を続けることができる。
本発明の方法に従ってCOの濃度(又は分圧)を増大させることは、酸の生成及び微生物の増殖を促進する。しかしながら、CO濃度(又は分圧)が十分な閾値濃度を超えて増大すると、酸の生成及び/又は微生物の増殖は実質的に抑制される。従って、本発明の方法によれば、微生物の増殖及び/又は酸の生成をCOの添加によって調節することができる。従って、本発明は、アルコール及び/又は酸を含む生成物の製造をCOの微生物発酵によって制御するための手段を提供する。すなわち、発酵ブロス中に過剰の酸が蓄積したら、CO濃度を閾値濃度より上に増大させて、酸の少なくとも一部をアルコールに変換することができる。
一態様において、本発明は、酸の嫌気性細菌発酵からアルコールを製造するための方法を提供する。一態様において、該方法は、少なくとも、COを含む基質、好ましくはCOを含むガス状基質の存在下で、酸を嫌気的に発酵するステップを含み、前記COの濃度は十分な閾値濃度より高い。
本発明の一態様において、発酵培地中のCO濃度が十分な閾値濃度より高い場合、酢酸/アセテートの微生物発酵によってエタノールが製造される。一態様において、COを含む基質は、発酵培地中のCO濃度が少なくとも約2.5mmol/Lの閾値濃度を上回るように供給される。他の態様において、CO濃度は少なくとも約2.75mmol/L、少なくとも約3mmol/L又は少なくとも約3.5mmol/Lの閾値を上回る。
本発明の一態様において、COを含む基質はガス状で、該ガス状基質は、COが少なくとも約37psiの分圧を有するように供給される。一態様において、CO分圧は少なくとも約47psiである。
別の態様において、アルコール及び/又は酸の製造法を提供する。該方法は、バイオリアクター内で第一の基質を嫌気的に発酵してアルコール及び/又は酸を含む一つ又は複数の生成物を製造することを含み、COを含む第二の基質を、アセテートに比してエタノールの生成が増大するように所望の時点で添加することができる。COを含む第二の基質は、CO濃度が十分な閾値濃度を上回るように供給される。そのような条件下ではアルコールの生成が増大する一方、酸は消費され、COは実質的に未変換でありうる。
本発明の一態様において、第一の基質はCOを含有する。しかしながら、該方法はそのような態様に限定されない。例えば、本発明の一部の態様において、第一の基質はピルベートあるいは一つ又は複数の炭水化物を含みうる。前記一つ又は複数の炭水化物は、例えば、セルロース、セルロース加水分解物、デンプン、デンプン加水分解物、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、又はラクトースでありうるが、これらに限定されない。一態様において、炭水化物はフルクトース又はキシロースである。あるいは、第一の基質は、CO及び/又はH又は発酵によって酸及び/又はアルコールを製造するのに適切な何らかのその他の成分を含んでいてもよい。
本発明の更なる態様において、アルコール及び/又は酸の製造法を提供し、該方法は、少なくとも、
(a)COを含む基質を第一の濃度で一つ又は複数の微生物の培養物を含有するバイオリアクターに供給し;そして
(b)培養物を嫌気的に発酵して前記基質からアルコール及び/又は酸を含む一つ又は複数の生成物を製造する
ステップを含み、バイオリアクターに供給される基質の濃度は、酸に比してアルコールの生成が増大するように、所望の時点で場合により増大させることができる。
一態様において、基質は、(a)で発酵培地中のCO濃度が十分な閾値濃度を下回るように供給される。CO濃度を増大させる時点では、基質はCO濃度が十分な閾値濃度を上回るように供給できる。
本発明の更なる態様において、該方法は、少なくとも、
(a)COを含むガス状基質を第一のCO分圧で一つ又は複数の微生物の培養物を含有するバイオリアクターに供給し;そして
(b)培養物を嫌気的に発酵して前記基質からエタノール及び/又は酢酸を含む一つ又は複数の生成物を製造する
ステップを含み、CO分圧は、アセテートに比してエタノールの生成が増大するように、所望の時点で場合により増大させることができる。
特定の態様において、アルコール及び酸の生成及び/又は微生物の増殖は、発酵プロセス全体を通してモニターされる。そのような条件下で、発酵は、実質的な酸生成から実質的なアルコール生成の間で、必要に応じて又は場合により容易に変更することができる。様々な態様において、ステップ(c)及び(d)は、アルコール製造の最適条件を維持するために発酵プロセス全体を通じて繰り返すことができる。
本発明の方法に従って酸をアルコールに変換するのに、COを含む産業廃ガス、例えば製鋼所からの廃ガスを用いることができる。さらに、本発明の方法によれば、Hを含みCOを含まないガスも、酸をアルコールに変換するのに使用することができる。
本発明は、生成相から変換相、変換相から生成相に切り替えるために、CO濃度を変えることによって生成相と変換相を交互に繰り返すための手段も提供する。例えば、実施例に示されているように、CO濃度を閾値濃度より高くすると、発酵ブロス中で利用可能な酢酸のかなりの部分が消費され、同時にエタノール生成が増加する。CO濃度を閾値濃度未満に下げると、生成相で観察されるような微生物の増殖及び酸生成が促進されうる。例えば、特定の発酵反応を望ましいCO分圧で実施し、酸を含む生成物を製造する。適切な時点で、又は特定の酸濃度で(例えば20g/Lまで、又は30g/Lまで、又は40g/Lまで、又は50g/Lまで)、微生物培養物を撹乱して、酸がアルコールに変換されるようにすることができる。本発明の方法に従って、CO分圧は、酸がアルコールに変換されるように、少なくとも15psi、又は少なくとも20psi、又は少なくとも25psi、又は少なくとも30psi、又は少なくとも35psi、又は少なくとも40psi増加させることができる。変換後、アセテート生成が再開されるように、分圧を少なくとも15psi、又は少なくとも20psi、又は少なくとも25psi、又は少なくとも30psi、又は少なくとも35psi、又は少なくとも40psi下げることができる。このプロセスは、アセテートの蓄積を防止し、アルコール濃度を増大するために繰り返すことができる。
代替の態様において、微生物培養物は、撹乱後、1時間まで、又は2時間まで、又は3時間まで、又は5時間まで酸をアルコールに変換できる。その後、培養物が高いCO分圧に順応し及び/又はCOを消費してCO濃度が低下すると、培養物は酸生成に戻ることになる。
数サイクルの間、酸の濃度は低濃度、例えば20g/L未満、又は30g/L未満、又は40g/L未満、又は50g/L未満のままで、アルコールの濃度は増大すると考えられる。
二つ(以上)のバイオリアクターシステム
本発明の一部の態様において、発酵反応は、微生物が培養され、場合により酸が製造される増殖(又は生成)リアクターと、増殖リアクターからのブロスが供給され、製造された又は添加された酸がアルコールに変換されるように撹乱を適用される変換リアクターとを含みうるシステムで、二つ以上の段階で実施することができる。前述のように、圧力定格発酵バイオリアクターが採用されうる。
図5を参照すると、発酵システム100は増殖バイオリアクター1を含む。ここでは、発酵条件は、微生物バイオマス蓄積又は増殖及び/又は酸生成を促進するように適合させることができる。例えば、液体栄養培地の成分、栄養供給速度、運転圧力、運転pH、基質の内容及び濃度、基質供給速度、発酵槽撹拌速度(該当する場合)及び細胞密度などの条件を微生物増殖及び/又は酸生成を促進するために適合できる。定常状態の微生物バイオマス及び酸生成を提供するための条件の例は、以下の“実施例”の項に提供する。
増殖バイオリアクター1に供給される基質は前述のものから選ぶことができるが、特定の態様において、基質は炭水化物又はCOであるか又は炭水化物とCOの組合せである。
液体栄養培地は、微生物バイオマス及び/又は酸が所望のレベル及び/又は所望の生成速度に達するような時間、増殖バイオリアクター1内で実質的に維持されうる。増殖バイオリアクター内の微生物バイオマス及び/又は酸生成は、当該技術分野で公知の手段によって定期的又は連続的にモニターできる。さらに、増殖バイオリアクター内の条件は、増殖及び/又は酸生成にとって実質的に最適な条件を維持するように調整されうる。
当業者であれば、増殖バイオリアクター内の一定の条件下でアルコールも製造されうることは分かるであろう。しかしながら、特定の態様においては酸が増殖バイオリアクターにおける主要生成物となる。
所望のバイオマス及び/又は酸のレベル又は速度に到達したら、酸の少なくとも一部及び場合により微生物バイオマスの少なくとも一部は、適切な管路手段によって、増殖リアクター1から変換リアクター2に、連続的に又は所望の時点で送られうる。例えば、増殖バイオリアクター1内の所望の酸濃度、例えば少なくとも5g/L、又は少なくとも10g/L、又は少なくとも20g/L、又は少なくとも30g/L、又は少なくとも40g/L、又は少なくとも50g/L、又は少なくとも60g/L、又は少なくとも70g/L、又は少なくとも80g/L、又は少なくとも90g/L、又は少なくとも100g/Lで、前記酸及び場合により微生物バイオマスを含む液体栄養培地の一部を変換バイオリアクター2に送ることができる。ここで、微生物培養物を撹乱して、酸がアルコールに変換されるようにすることができる。
増殖バイオリアクター1を出る液体栄養培地は、定常状態のバイオマス及び/又は酸生成のための適切な条件を提供するために典型的には新鮮な液体栄養培地と取り替えられる。増殖バイオリアクター1内の酸濃度は、特定の微生物の阻害が起こるレベル未満に維持されるべきである。
本発明の特定の態様において、COを含む基質は、液体栄養培地中のCO濃度が少なくとも約2.5mmol/L又は少なくとも約2.75mmol/L、又は少なくとも約3mmol/L又は少なくとも約3.5mmol/Lになるように変換バイオリアクター2に供給される。特定の態様において、COを含む基質はガス状で、CO分圧が少なくとも約27psi、又は少なくとも約37psi又は少なくとも約47psiになるように供給されうる。
変換バイオリアクター2内の酸消費及び/又はアルコール生成は、当該技術分野で公知の手段によって定期的又は連続的にモニターできる。液体栄養培地が所望のアルコール濃度、例えば少なくとも5g/L、又は少なくとも10g/L、又は少なくとも20g/L、又は少なくとも30g/L、又は少なくとも40g/L、又は少なくとも50g/L、又は少なくとも60g/L、又は少なくとも70g/L、又は少なくとも80g/L、又は少なくとも90g/L、又は少なくとも100g/Lに達したら、前記アルコールを含む液体栄養培地の一部は生成物回収装置3に送ることができる。変換バイオリアクター内のアルコール濃度は、アルコール生成に使用された微生物培養物の阻害が起こるレベル未満に維持されるべきである。
本発明の一態様において、増殖バイオリアクター1内で培養及び増殖される微生物は、前述したようなカルボキシド栄養性微生物であり、条件は微生物増殖及び/又は酸生成のために最適化される。第二の微生物(同じくカルボキシド栄養性微生物)は変換バイオリアクター2に供給でき、条件はアルコール生成のために最適化される。増殖及び変換バイオリアクターに供給される微生物培養物は同じでも異なっていてもよい。しかしながら、特定の態様において、両バイオリアクターに供給される微生物はクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)である。
本発明の一定の態様において、増殖バイオリアクター1は、増殖バイオリアクターを出る液体栄養培地から微生物バイオマスの少なくとも一部を除去し、増殖バイオリアクター1に戻すことができる細胞リサイクルシステムを含む。あるいは、微生物バイオマスは増殖リアクターを出る液体栄養培地から除去されず、変換バイオリアクター2に直接送られてもよい。
特定の態様において、微生物培養物は増殖リアクター1で増殖し、酸を生成する。同じ微生物培養物の少なくとも一部は、液体栄養培地中の酸と共に変換バイオリアクター2に連続的に又は断続的に送られる。その場合、前記変換バイオリアクター2内の条件は(例えば高めたCO濃度)、同じ微生物培養物によるアルコールの生成を促進する。
増殖バイオリアクター1における液体栄養培地のリテンションタイムは、バイオマス蓄積及び/又は酸生成を最適化するために調節できる。例えば、開始時はバイオマス蓄積が望ましいので、増殖バイオリアクター1に流入及び流出する液体栄養培地の流速を低減して、増殖バイオリアクター1中の培地のリテンションタイムを増大させる。こうしてバイオマス及び/又は酸を所望レベル又は速度に到達させることが可能になる。
バイオマス及び/又は酸生成が所望レベル又は速度に近づいたら又は到達したら、増殖バイオリアクター1から変換バイオリアクター2への液体栄養培地の流速を増大させることによって液体リテンションタイムを短くすることができる。一定の態様において、微生物バイオマス及び/又は酸のレベルはモニターされ、リテンションタイムは、実質的に定常状態の酸濃度を達成するように調整することができる。さらに、条件は、増殖バイオリアクター1中少なくとも5g/L、又は少なくとも10g/L、又は少なくとも20g/L、又は少なくとも30g/L、又は少なくとも40g/L、又は少なくとも50g/L、又は少なくとも60g/L、又は少なくとも70g/L、又は少なくとも80g/L、又は少なくとも90g/L又は少なくとも100g/Lの所望の定常状態の酸濃度を達成するために調節することもできる。
液体栄養培地の液体リテンションタイムは、効率的なアルコール生成を達成するために変換バイオリアクター2でも調節することができる。例えば、液体栄養培地は一定の速度で連続的に供給でき、変換バイオリアクター2内の液体栄養培地の容量は、所望のアルコール変換を達成するのに適切なリテンションタイムを提供するように調整することができる。本発明の特定の態様において、アルコール変換相における高めたCO濃度でのアルコール生成速度は、増殖及び/又は酸生成速度よりも速い。従って、変換バイオリアクター2は増殖バイオリアクター1よりも実質的に小さくてよく、ひいては変換バイオリアクター2における液体リテンションタイムは実質的に短くなる。
本開示を考慮すれば、当業者には各バイオリアクターの適切な又は望ましい構成が分かるであろうが、特定の態様において、微生物培養物、酸及び場合によりアルコールを含む液体栄養培地の一部は、栓流バイオリアクターとして構成された第二の容器に送られる。CO分圧は栓流容器中で高めることができるので、液体栄養培地の一部が通過すると、酸がアルコールに変換される。当業者であれば、バイオリアクターを通る流れを維持するための静的ミキサーのような手段は分かるであろう。さらに、バイオリアクターは、バイオリアクター全体にわたって所要及び/又は所望のCO濃度を維持するために、全体に追加の基質送達手段を含みうる。
別の態様において、生成バイオリアクターは少なくとも一つの微生物培養物を含み、変換バイオリアクターも少なくとも一つの微生物培養物を含む。酸及び/又はアルコールを含有する発酵ブロスは、生成バイオリアクターから変換リアクターに、及び変換バイオリアクターから生成物回収装置に送ることができるが、それぞれの微生物培養物は細胞リサイクルシステムによって各バイオリアクターに実質的に保持される。そのような態様において、微生物は、生成バイオリアクター中の培養物が酸を生成し、変換バイオリアクター中の培養物が酸をアルコールに変換する限り、異なっていてもよい。特定の態様において、変換バイオリアクター中の微生物培養物は、高めたCO分圧で酸をアルコールに変換する。
一定の態様において、他の発酵及び/又は産業プロセスから生成した酸を、場合により変換バイオリアクターに添加してアルコールに変換することができる。
本発明の別の態様において、複数の増殖バイオリアクターを含み、酸及び場合により微生物バイオマスを含む液体栄養培地を単一の変換バイオリアクターに供給するように構成された発酵システムを提供する。例えば図6を参照すると、発酵システム101は、第一及び第二の増殖バイオリアクター1a及び1bを含み、それぞれ酸を生成するように構成されうる。増殖バイオリアクター1a及びbからの酸と場合によりバイオマスとを含有する液体栄養培地は、アルコール生成のために変換バイオリアクター2に供給できる。あるいは、第一の増殖バイオリアクター1aを迅速なバイオマス蓄積用に構成し(例えば長い液体リテンションタイム)、第二の増殖バイオリアクター1bを最適な酸生成用に構成してもよい(例えば短い液体リテンションタイム)。各増殖バイオリアクター1a及びbの液体リテンションタイムは、システム全体にわたって最適なアルコール生成条件を維持するためにしかるべく調整することができる。
複数の増殖バイオリアクターを含む態様では、アルコール生成に実質的な悪影響なしに、一つ又は複数の増殖バイオリアクターをある期間(例えばメンテナンスのため)完全にシャットダウンすることができる。
培地の調製:
Figure 2011512869
Figure 2011512869
培地をpH5.5で以下のように調製した。システインHClを除く全成分を400mlの蒸留水中に混合した。この溶液を、95%CO、5%COガスの一定流量下で沸騰するまで加熱し、室温に放冷することによって嫌気性にした。冷却したら、システインHClを加え、溶液のpHを5.5に調整した後、容量を1000mlにした。嫌気性は実験を通して維持された。
細菌:
クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)をGerman Resource Centre for Biological Material(DSMZ)から得た。該細菌に付与された受入番号はDSMZ10061である。あるいは、使用されたクロストリジウム・オートエタノゲナムは、German Resource Centre for Biological Material(DSMZ)に寄託され、受入番号19630を割り当てられたものである。
連続撹拌槽リアクター(CSTR)での連続発酵(典型的なセットアップ):
5リットル入りのバイオリアクターに、前述のように調製されたLM23又はLM33培地4.9Lを入れた。ガスを大気圧の95%CO、5%COに切り替えた後、100mlのクロストリジウム・オートエタノゲナム培養物を植菌した。バイオリアクターを37℃に維持し、培養開始時200rpmで撹拌した。増殖相の間、撹拌を400rpmに上げた。pHは5.5に調整され、5MのNaOHの自動添加によって維持された。新鮮な嫌気性培地をバイオリアクターに連続的に添加し、バイオリアクター内における規定のバイオマス及びアセテートレベルを維持した。
血清ボトル内、加圧下でのバッチ発酵:
無菌の血清ボトルをCO含有ガス(組成については実施例参照)で3回パージした後、排気して−5psiの真空にした。バイオマス、アセテート及び微量のエタノールを含有する大気圧下の活性培養物50mlを連続バイオリアクターから234ml入り血清ボトルに直接移した。次に204mlの上部空間を必要な過剰圧になるまでCO含有ガスで満たした。振盪培養器を使用し、反応温度は37℃に維持した。
細胞密度:
これらの実験における細胞密度を測定するためにサンプルの吸光度を600nmで測定し(分光光度計)、乾燥質量を公表手順に従って計算することによって決定した。代謝産物のレベルは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び場合によってはガスクロマトグラフィー(GC)を用いて特徴付けした。
HPLC:
HPLCシステム Agilent 1100シリーズ。移動相:0.0025N 硫酸。流速及び圧力:0.800mL/分。カラム:Alltech IOA;カタログ番号9648、150×6.5mm、粒径5μm。カラム温度:60℃。検出器:屈折率。検出器の温度:45℃。
サンプル調製法:
400μLのサンプル及び50μLの0.15M ZnSO及び50μLの0.15M Ba(OH)をエッペンドルフ管に入れる。該管を12,000rpm、4℃で10分間遠心分離する。200μLの上清をHPLCバイアルに移し、5μLをHPLC機器に注入する。
ガスクロマトグラフィー:
炎イオン化検出器を利用するガスクロマトグラフHP 5890シリーズII。キャピラリーGCカラム:EC1000−Alltech EC1000 30m×0.25mm×0.25um。ガスクロマトグラフは、水素の総流速50mL/分及び5mLのパージフロー(1:10スプリット)のスプリットモードで運転され、カラムヘッド圧10PISの結果、45cm/秒の線速度が得られた。温度プログラムは60℃で開始し、1分間保持した後、30℃/分で215℃に上昇させ、2分間保持した。注入器(インジェクター)温度は210℃、検出器温度は225℃であった。
サンプル調製法:
500μLのサンプルを12,000rpm、4℃で10分間遠心分離する。100μLの上清を、200μLの水と100μLの内部標準スパイク溶液(10g/Lのプロパン−1−オール、5g/Lのイソ酪酸、135mMの塩酸)入りのGCバイアルに移す。該溶液1μLをGC機器に注入する。
実施例1:有機酸から対応アルコールへの変換
実施例1A:CSTRでの酪酸からブタノールへの変換
8リットルのリアクターに7200mlの培地LM23を入れ、121℃で30分間オートクレーブした。冷却中、培地にNを散布した。ガスを95%CO、5%COに切り替えた後、160mlのクロストリジウム・オートエタノゲナム培養物を植菌した。バイオリアクターを37℃に維持し、培養開始時200rpmで撹拌した。増殖相の間、撹拌を500rpmに上げた。pHは5.5に設定し、5MのNaOHの自動添加によって維持した。20gの酪酸を含有し、pH5.5に緩衝されたn−ブチレート溶液を活発に増殖中の培養物に直接添加した。発酵ブロスのサンプルを酪酸添加後0、24及び48時間の時点で採取した(表1参照)。
Figure 2011512869
実施例1B:アセテート及びブチレートから対応アルコールへの変換:
血清バイアルを上記に従って準備した。微生物増殖が確立されたら(生成したアセテート及び少量のエタノールを伴う)、下記化合物を血清ボトル中の50mlの活性培養物に加えた。すなわち、1mlの亜ジチオン酸ナトリウム10g/l溶液、2mlのn−酪酸溶液100g/l(pHは5Mの水酸化ナトリウムで5.5に調整)である。気相を25psig過剰圧の95%CO、5%COガス混合物と交換した。酸の添加後、代謝産物定量のために1mlのサンプルを様々な時点で採取した(表2参照)。
Figure 2011512869
メディエーターのメチルビオロゲンの存在はn−ブチレートからn−ブタノールへの変換を著しく阻害している(表2)。さらに、酪酸はブタノールに化学量論的に変換された(図1)。
結果は、酸をそれらの対応アルコールに微生物変換する既報の方法に優るいくつかの重要な利点を示している。例えば、クロストリジウム・オートエタノゲナム(C.オート)を用いて標準的な発酵条件下で製造できないことがわかっているアルコールが製造できることを初めて示している。
細菌細胞は、所望アルコールを製造するための酸の添加前に取り出す必要はない。酸からアルコールへの変換は培地中でそのまま実施される。このことは、細胞の取扱い、遠心分離及び再懸濁によって発生しうる細胞損傷のリスク、及び酸素汚染のリスクを著しく軽減する。
変換は、メチルビオロゲンのようなメディエーターの使用を必要としない。実際、メチルビオロゲンの添加は、酸からアルコールへの変換速度を阻害又は少なくとも低減することが示された。そのようなメディエーターは有毒であることが多い。メディエーターの必要性を排除することは、有毒化学物質の取扱いを軽減し、アルコール製造に伴うコストも低減する。
少なくともC.オートエタノゲナムの場合、細菌細胞は、増殖相及び酸からアルコールへの変換相中同じpH及び温度に維持することが可能である(37℃及びpH5.5)。このことは、プロセスを単純化し、細胞への衝撃のリスクを低減する。
さらに、細菌が変換相にあるときの酸の添加と、細胞が添加された酸を対応アルコールに変換している間も一酸化炭素を消費し、アセテート及びエタノール(例えば)を製造し続ける細胞の能力は、いくつかの価値ある生成物を同時に製造できる方法を提供する。
実施例1C:様々な酸から対応アルコールへの変換:
血清バイアルを上記に従って準備した。ただし、5mLの酸水溶液を空のバイアルに加え、NaOHでpHを5.5に調整した。亜ジチオン酸ナトリウム(10g/L水溶液0.5mL)又はシステイン(6.25g/L水溶液1mL)を植菌の前に加えた。各血清バイアルを95%COガスで30psigに加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを72時間時点で採取した(表3参照)。
Figure 2011512869
上から分かるように、クロストリジウム・オートエタノゲナムは、還元剤の存在下で、様々な酸をそれらの対応するアルコールに変換するのに使用できる。重ねて言うが、上記酸及びアルコールはC.オートエタノゲナムの天然産生代謝産物でないことがわかっているので、このことは特に重要である。
実施例2:アルコール生成に及ぼす還元剤濃度の効果
実施例2A:アルコール生成に及ぼす亜ジチオン酸ナトリウム濃度の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。ただし、亜ジチオン酸ナトリウム(10g/L水溶液)を植菌の前に加えた。各血清バイアルを70%CO、15%CO、14%N、1%Hガスで30psigに加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを48時間時点で採取した(表4参照)。
Figure 2011512869
結果は、酸からアルコールへの変換は広い還元剤濃度範囲で起こっているが、約2g/Lという最適濃度があることを示している。
実施例2B:アルコール生成に及ぼす硫化ナトリウム濃度の効果
無菌の234ml入り血清ボトルを100%Nガスでパージした後、上記処方による50mlの培地(LM33)を加え、121℃で20分間オートクレーブした。培地をCr(II)溶液(約0.4mM)で還元し、硫化ナトリウム水溶液を加えた。血清ボトルに、活発に増殖中のクロストリジウム・オートエタノゲナム培養物2.5mlを連続バイオリアクターから植菌した。Nのバックグラウンドを除去するために、184mlの上部空間を70%CO、1%H、15%CO、及び14%Nガスで3回パージし、排気して−14psigの真空にし、その後70%CO、1%H、15%CO、及び14%Nガスを満たして30psigにした。反応温度は37℃に維持した。サンプルを時々採取した。上部空間はサンプル採取後パージし、リフレッシュして30psigにした(表5参照)。
Figure 2011512869
結果は、アセテート濃度のわずかな上昇を伴う短い遅滞期はあるが、硫化ナトリウムを含有する各バイアル中のアセテートは、実験の時間的経過を通してアルコールに変換されることを示している。
実施例3:CO分圧の効果
実施例3A:アルコール生成に及ぼすCO分圧の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルをCO中95%COのガス混合物を用いて30又は40又は50psiaに加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを18時間時点で採取した(表6参照)。
Figure 2011512869
30psi〜40psiのバイオリアクターボトル中で、約2g/lのアセテートと0.6gのエタノールが生成し、上部空間の圧力降下は約17psiであった。このことは、相当量のCOがアセテート生成に使用されたことを示している。
驚くべきことに、50psiでは、約3g/lのアセテートが消費され、2.6g/lのエタノールが生成した。この結果は、アセテートからエタノールへの変換が長時間起こる最適の閾値CO分圧があることを示している。CO濃度はCO分圧に比例するので、結果は、C.オートエタノゲナムが酸をアルコールに変換する十分なCO濃度閾値があることを示している。しかしながら、低い圧力系でも酸をアルコールに変換できることに注意すべきである。ただし、COが枯渇すると、アセテート生成が主流になる。さらに、特定のCO(又はH)枯渇条件下では、培養物はアルコールを生成するのにアルコールを再消費しうる(実施例4参照)。
実施例3B:アルコール生成に及ぼすCO分圧の効果
これらの結果に基づいて、類似の発酵を、同じガス状基質を用い、異なる炭素源を補給した培地で実施した。血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルをCO中95%COのガス混合物を用いて40又は50psiaに加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。対照バイオリアクターボトル(A)は未補給であったが、他のボトルにはいくらかのフルクトース(B)、キシロース(C)又はピルベート(D)を補給した。これらのボトルを常に撹拌しながら37℃でインキュベートした。代謝産物及びバイオマス濃度のほか、上部空間の過剰圧及びpHを発酵開始時及び40時間後に測定した。40psiaでの結果を表7に、50psiaでの結果を表8に示す。
Figure 2011512869
40psiaの全バイオリアクターボトルにおいて、ここで試験した全条件に対し、約3.5g/lのアセテートと少量のエタノールが生成した。上部空間の圧力降下は約17psigであった。このことは、相当部分のCOがアセテート生成のために消費されたことを示す。pHは約0.9単位減少して4.6になった。全例において最小の微生物増殖が見られた。
Figure 2011512869
50psiaの全バイオリアクターボトルにおいて、ここで試験した全条件に対し、相当量のアセテートが消費され、3g/lを超えるエタノールが生成した。アセテート消費とエタノール生成との間には強い相関関係がある。アセテート消費/エタノール生成は、消費されたアセテート各モルに対し、約1モルのエタノールが生成するという方式で起こる(表9)。しかしながら、補給された炭水化物(又はピルベート)は実質的に消費され、光学密度で推定したバイオマスレベルは減少した。どの場合も、上部空間の圧力降下は10psi未満であった。すべての場合において、pHは約0.9単位上昇して6.4になった。
Figure 2011512869
消費されたアセテート/開始時のアセテート(列1)について見てみると、発酵ブロス中に存在する少なくとも50%、場合によっては75%を超えるアセテートが高めた圧力で消費されている。生成したエタノール/開始時のアセテート(列2)について見てみると、消費された酸の少なくとも60%、場合によっては少なくとも80%がアルコールに置き換わっている。生成したエタノール/消費されたアセテート(列3)について見てみると、発酵プロセスで消費されたアセテートの量と生成したアルコールとの間には強い相関がある。40及び50psiaの上部空間過剰圧で培地中に溶解されているCOの理論的レベルは、ヘンリーの法則に基づいて表10に計算した。
Figure 2011512869
ここに提示した結果は、それを超えるとC.オートエタノゲナムの代謝がCO基質からのアセテート及びバイオマス生成から、アセテートの少なくとも一部のエタノールへの変換に実質的に変化するCO分圧があることを示している。従って、CO分圧が37psi未満の場合、アセテート及びバイオマスがCOガス代謝の主要生成物であり、pHは酸性になって更なる増殖が阻害される。CO分圧が37psiを超えると、バイオマス増殖及びアセテート生成は阻害されると見られ、アセテートの消費が起こる。さらに、エタノール生成がわずかなCO消費で起こる。同時に、pHは6.5に達するまで増加する。そのpHで細菌は実質的に阻害され、アセテートからエタノールへの変換が停止するようである。試験した濃度で、フルクトース、キシロース又はピルベートの目立った効果はない。
実施例3C:アルコール生成に及ぼすCO分圧の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルを指定のガスで25psig(40psia)に加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを1時間、3時間及び5時間の間隔で採取した(表11参照)。
Figure 2011512869
結果は、酸がアルコールに変換される十分な閾値CO分圧は20psia未満であることを示している。短い反応時間スケールにわたって(実施例3A〜C参照)、試験したすべてのCO分圧でアセテートはアルコールに実質的に化学量論的に変換されている。従って、20psiaを超えるCO分圧は、C.オートエタノゲナムが酸をアルコールに変換するのに十分である。
実施例4:ガス組成の効果
実施例4A:アセテートからエタノールへの変換に及ぼす純ガスの効果
血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルを指定のガスで25psig(40psia)に加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを1時間、3時間及び5時間の間隔で採取した(表12参照)。
Figure 2011512869
結果は、C.オートエタノゲナムが酸をアルコールに変換するためにはCO又はHのような還元ガスが必要であることを明らかに示している。酸からアルコールへの代謝経路はヒドロゲナーゼ酵素を含むので、水素はCOの代わりに使用できると考えられる。さらに、Hは酸をアルコールに変換するための適切なエネルギー源であるが、エネルギー源の他に炭素源も必要とする生合成及び/又はアセテート生成には不向きであろうということも考えられる。
実施例4B:エタノール生成に及ぼすガス組成の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。ただし、植菌前に、NaOH(水溶液)でpH5.5に緩衝された酪酸溶液をバイアルに添加(スパイク)した。t=0における初期濃度は、アセテート6.7g/l及びブチレート0.8g/Lであった(エタノールもブタノールも存在せず)。発酵ブロスのサンプルを24時間時点で採取した(表13参照)。
Figure 2011512869
酪酸及び酢酸のような酸は、混合CO/H基質の存在下でエタノール及びブタノールを含むアルコールに変換できる。明らかに、Hの不在下では増大されたCO分圧が総体的変換を改良する。しかしながら、特に高めた分圧でのHの存在も、総体的変換を改良する。
実施例4C:エタノール生成に及ぼすガス組成の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルを指定のガスで35psig(50psia)に加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを18時間時点で採取した(表14参照)。
Figure 2011512869
CO及びHを含む混合基質は、C.オートエタノゲナムの存在下で酸をアルコールに変換するのに使用することができる。興味深いことに、実験の時間スケール全体を通して、アセテートが消費されるよりも著しく多いアルコールが生成している。このことは、アセテートはエタノールに化学量論的に変換されるが、COが完全に消費されるまでは追加のアセテートが蓄積し、それがアルコールに変換されうることを示している。
実施例4E:アルコール生成に及ぼすCO及びH分圧の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルを指定のガスで35psig(50psia)に加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを1.5時間、3時間、5時間及び24時間の間隔で採取した(表15参照)。
Figure 2011512869
結果は、H濃度が高いと、酸からアルコールへの総体的変換に改良が見られることを示している。しかしながら、実験の経過に伴ってH濃度が枯渇すると、特にH濃度が低い場合(例えば20%)、エタノールはアセテートに再変換されると考えられる。
実施例4F:製鋼所廃ガス中のCO分圧の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルを製鋼所の廃ガス(約53%CO;18%CO;26%N;3%H)で25psig(40psia)に加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを1時間、3時間及び5時間の間隔で採取した(表16参照)。
Figure 2011512869
製鋼所の廃ガスは酸をアルコールに変換するのに使用することができる。廃ガス中のCO分圧の増大は酸変換に有益な効果を有する。
実施例4G:エタノール生成に及ぼすCO分圧の効果
血清バイアルを上記に従って準備した。各血清バイアルを指定のガスで35psig(50psia)に加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを1時間、3時間及び5時間の間隔で採取した(表17参照)。
Figure 2011512869
様々な成分を含有するCOを含む基質は、酸をアルコールに変換するのに使用することができる。しかしながら、増大したCO濃度はアルコール生成にわずかな阻害作用を有することに注意する。
実施例5:ホルメート添加の効果
実施例5A:バッチ容器中のホルメート濃度:
血清バイアルを上記に従って準備した。ただし、ホルメート水溶液を空のバイアルに加え、NaOHでpHを5.5に調整した後、植菌した。各血清バイアルを50%CO;12.5%CO;37.5%Nガスで25psigに加圧し、常に振盪しながら37℃でインキュベートした。発酵ブロスのサンプルを72時間時点で採取した(表18参照)。
Figure 2011512869
ホルメートの不在下ではC.オートエタノゲナムはアセテートと少量のアルコールを製造し続ける。しかしながら、発酵反応にホルメートを添加すると、アセテートはアルコールに実質的に化学量論的な量で変換される。変換速度は、低いホルメート濃度(2g/L)で最高となり、高いホルメート濃度では阻害及び/又は有毒作用がありうることを示している。
実施例5B:CSTRでのホルメート添加:
5リットル入りCSTR中の5Lの嫌気性発酵培地(上記のようにして調製)に、活発に増殖中のクロストリジウム・オートエタノゲナム培養物(DSMZ19630)を5%(v/v)のレベルで植菌した。70%COと15%CO 1%H 14%Nガスの連続流を拡散スパージャーによって60ml/分の体積流速で発酵容器の底部に導入した。発酵槽の初期pHは5.5に維持した。数日間の微生物増殖後、Nを散布した新鮮な発酵培地を2mL/分の流速でCSTRに導入するポンプのスイッチを入れることによって連続培養を確立した。高さ制御装置(level controller)を使用して発酵容器内の培養物の正確な高さを維持する。これは、発酵容器内の高さが高くなりすぎたら自動的にスイッチが入り、高さが設定の高さに下がるまで容器から培養物を汲み出すレベルプローブとポンプを使用することによって行われる。こうすることによって、新鮮培地を培養物に安定供給し、活発に増殖する高生存性培養物を維持することが可能になる。
数日間の連続運転後、新鮮培地の供給を停止し、発酵槽をバッチ構成に戻した。時間=0(図2)でギ酸(15mL)を添加し、pHをNaOHの添加によって5.5に調整した。約30分間の間に発酵培地のpHは6に上昇した。培養物によってアセテートが消費され、エタノールが生成したためである。そこで、追加のギ酸(3mL)を添加してpHを5.5に下げ戻した。約t=60分の時点で、ギ酸の導入を、pHが設定点の5.5より高くなると反応容器に自動的に投与するように構成された投与ポンプを使って行うようにした。ホルメート投与ポンプは約5時間運転され、この間、培養物によってアセテートが消費され、エタノールが生成した。
結果は、連続的にアセテートを生成している発酵反応を、系の撹乱、例えばホルメートの添加によって、アセテート生成から、アセテートからアルコールへの変換に切り替えられることを示している。変換は、実験の間を通して、実質的に化学量論的である。
実施例6:追加のアセテート添加の効果
1L入りCSTR中の1Lの嫌気性発酵培地(上記のように調製、ただし下記の変更あり:低濃度ビタミン溶液[0.4ml/Lのパントテン酸非含有LS03及び500ul/Lのパントテン酸溶液(40mg/L)]をストック溶液に添加した)に、活発に増殖中のクロストリジウム・オートエタノゲナム培養物(DSMZ19630)を5%(v/v)のレベルで植菌した。35%COと60%H 5%CHガスの連続流を拡散スパージャーによって10ml/分の体積流速で発酵容器の底部に導入した。発酵槽の初期pHは5.5に維持した。数日間の微生物増殖後、ガス流速を20ml/分に上げ、撹拌を200rpmから500rpmに増大した。新鮮培地(上記のように調製、ただし下記の変更あり:低濃度ビタミン溶液[0.4ml/Lのパントテン酸非含有LS03及び1ml/Lのパントテン酸溶液(40mg/L)]をストック溶液に添加した)を、発酵槽内の培地体積を一定に維持しながら導入することによって連続培養を確立した。新鮮培地の流速を数週間かけて6ml/時間から54ml/時間に上げた。数週間の連続運転後、ガス供給を35%CO 45%H 15%CH 5%COに変え、数週間運転した。エタノールの生産性は約6g/L/日に維持された。52日目、連続培養に供給されている新鮮培地に、pH5.5に緩衝された15g/Lの酢酸を2日間補給した。この間、アルコールの生産性は約15g/Lに増大し(53日目−図3)、その後12g/L(54日目)になった。発酵槽に導入されたアセテートの多くの部分がアルコールに変換されたと考えられる。
結果は、連続的にアルコールを生成している発酵反応において、追加の酸を添加することによってアルコール生産性を改良できることを示している。追加の酸(例えばアセテート)の添加は、発酵反応を撹乱し、添加された酸の相当部分がアルコール、例えばエタノールに変換されるようになる。
実施例7:CO含有ガスを用いるエタノール生成に及ぼすpHの効果
1リットル入りCSTR中の1Lの嫌気性LM33発酵培地に、活発に増殖中のクロストリジウム・オートエタノゲナム培養物(DSMZ19630)を5%(v/v)のレベルで植菌した。70%COと15%CO 1%H 14%Nガスの連続流を拡散スパージャーによって19ml/分の体積流速で発酵容器の底部に導入した。発酵槽の初期pHは5.5に設定した。大部分の実験で、培養物の酢酸濃度は、細胞リサイクル及び培地交換システムによって4g/L未満に維持された。細胞をクロスフロー膜Viva 200に通してろ液を回収し、細胞を発酵容器に戻した。ろ液は新鮮培地と交換して、反応器内の培地体積が一定に保たれるよう確保した。3日目、細胞リサイクルシステムのスイッチを切り、3日間約5.6に維持されていたpH(ORPは−400〜−430mVの間で変動)を上げた。pHは約5.9に調整され、ORPは約−470mVに低下した。
結果は、pH5.6でアセテートとエタノールは同時に生成し、アセテートの方が過剰であることを示している。図4を参照すると、この発酵段階は微生物増殖期間とも関連している。pHを上げるとORPは約−470mVに低下し、アルコール生成速度は約1.2g/L/日に増大した。この間、多少のアセテートが約0.2g/L/日の速度で消費された。従って、液体栄養培地のpHを調整することによって、微生物培養物を、アセテートを生成する生成相から、アセテートをエタノールに変換する変換相に切り替えることができる。
本発明をある好適な態様に関して本明細書中で説明してきたが、それは過度の実験をせずとも読者が本発明を実施できるようにするためである。当業者であれば、本発明は、具体的に記載されたもの以外にも、変形及び変更が可能であることは分かるであろう。本発明はすべてのそのような変形及び変更も含むことは理解されるはずである。さらに、表題、見出しなどは、本文献に対する読者の理解を増進するために提供されるものであって、本発明の範囲を制限するものとして読まれるべきでない。
以上及び以下で引用されたすべての出願、特許及び出版物(もしあるとすれば)の全開示内容は引用によって本明細書に援用する。
本明細書におけるいずれの先行技術への言及も、その先行技術が世界中のあらゆる国において共通の一般的知識の一部を形成していることの承認又は何らかの形態の示唆ではなく、そのように受け取られるべきでもない。
本明細書及び以下の請求項の全体を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、“含む(comprise, comprising)”などの用語は、排他的意味とは反対に、包括的意味、すなわち“含むが、限定されない”の意味と解釈されるものとする。
1 増殖バイオリアクター
1a 増殖バイオリアクター
1b 増殖バイオリアクター
2 変換バイオリアクター
3 生成物回収装置
100 発酵システム
101 発酵システム

Claims (22)

  1. CO及び/又はHを含む基質の存在下、微生物培養物を使用して酸を対応するアルコールに変換するための方法。
  2. 前記方法が、
    a.バイオリアクター内でCOを含む基質の存在下、一つ又は複数のカルボキシド栄養性細菌株を培養し、一つ又は複数の酸及び場合により一つ又は複数のアルコールを製造し;そして
    b.少なくとも一つの酸が少なくとも一つのアルコールに変換されるように微生物培養物を撹乱する
    ことを含む、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(a)で製造された酸の少なくとも一部がステップ(b)でアルコールに変換される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記酸がアセテートであり、前記アルコールがエタノールである、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 少なくとも一つの追加の酸をステップ(a)及び/又はステップ(b)の最中にバイオリアクターに添加でき、少なくとも一つのアルコールに変換することができる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記酸がモノ又はジ−カルボン酸である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 微生物培養物の撹乱が、
    ・微生物培養物を含有する液体栄養培地のpHを変えること;
    ・微生物培養物を含有する液体栄養培地のORPを変えること;
    ・一つ又は複数の酸をバイオリアクターに添加すること;
    ・一つ又は複数の還元剤をバイオリアクターに添加すること;
    ・微生物培養物を含有する液体栄養培地中のCO濃度を変えること;
    ・バイオリアクター内のCO分圧を変えること、この場合、COを含む基質はガス状である;
    の一つ又は複数を含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 添加される酸がホルメート及び/又はアセテートである、請求項7に記載の方法。
  9. 添加される還元剤が、亜ジチオン酸ナトリウム、システイン及び/又は硫化ナトリウムである、請求項7又は8に記載の方法。
  10. CO濃度を変えるステップが、液体栄養培地中のCO濃度を少なくとも1mmol増加させることを含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. CO分圧を増大させるステップが、分圧を少なくとも15psi増大させることを含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. CO分圧を増大させるステップが、分圧を少なくとも37psiの十分な閾値より上に増大させることを含む、請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. ステップ(a)が実質的に第一の増殖バイオリアクターで実施され、ステップ(b)が実質的に第二の変換バイオリアクターで実施される、請求項2〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 一つ又は複数のアルコールの製造法であって、前記方法は、少なくとも、
    ・第一のバイオリアクターにおいて、基質を発酵させて一つ又は複数の酸を製造させ;
    ・第二のバイオリアクターにおいて、一酸化炭素を含む基質の存在下、一つ又は複数の細菌株を培養し;
    ・第一のバイオリアクターからの一つ又は複数の酸を、前記一つ又は複数の細菌株が変換相にあるときに第二のバイオリアクターに導入して、前記一つ又は複数の酸に対応するアルコールを製造させる;ここで、製造されるアルコールは、前記一つ又は複数の細菌株が前記酸の不在下で前記基質上で増殖した場合に製造することができるアルコールではない;
    ステップを含む方法。
  15. 前記方法がメディエーターの不在下で実施される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. COを含む基質がガス状基質である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. COを含む基質が、少なくとも約15%〜約100体積%のCOを含む、請求項16に記載の方法。
  18. COを含む基質が、少なくとも約40%〜約70体積%のCOを含む、請求項16又は17に記載の方法。
  19. 基質が製鋼所から得られたガスを含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 細菌が、クロストリジウム(Clostridium)、ムーレラ(Moorella)、ピロコッカス(Pyrococcus)、真正細菌(Eubacterium)、デスルホバクテリウム(Desulfobacterium)、カルボキシドサーマス(Carboxydothermus)、アセトゲニウム(Acetogenium)、アセトバクテリウム(Acetobacterium)、アセトアナエロビウム(Acetoanaerobium)、ブチリバクテリウム(Butyribacterium)及びペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)からなる群から選ばれる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 細菌がクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)である、請求項20に記載の方法。
  22. 発酵システムであって、
    ・COを含む基質の微生物発酵によって酸及び場合によりアルコールを製造するように適合された少なくとも一つのバイオリアクター;及び
    ・酸がアルコールに変換されるように微生物発酵を撹乱するための手段
    を含む発酵システム。
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