JP2011258337A - リチウムイオン二次電池の劣化判定システムおよび劣化判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池の再利用可否を非破壊で適切に判定する。
【解決手段】MPUは、リチウムイオン二次電池の容量の変化に対する開放電圧の変化を示す開放電圧特性に基づく劣化診断によって、正極容量維持率(k1)、負極容量維持率(k2)および電池のずれ容量(ΔQs)を取得する(S100)。MPUは、所定の磨耗劣化マップに基づいて、正極容量維持率(k1)および負極容量維持率(k2)から、磨耗劣化に起因したずれ容量(ΔQs(W))を推定するとともに(S110)、ずれ容量(ΔQs)を、磨耗劣化に起因したずれ容量(ΔQs(W))とリチウム析出に起因したずれ容量(ΔQs(Li))とに分離する(S120)。MPUは、少なくともリチウム析出に起因したずれ容量(ΔQs(Li))に基づいて、劣化判定対象であるリチウムイオン二次電池のリユースおよび/またはリサイクルの可否を判定する(S200)。
【選択図】図11
【解決手段】MPUは、リチウムイオン二次電池の容量の変化に対する開放電圧の変化を示す開放電圧特性に基づく劣化診断によって、正極容量維持率(k1)、負極容量維持率(k2)および電池のずれ容量(ΔQs)を取得する(S100)。MPUは、所定の磨耗劣化マップに基づいて、正極容量維持率(k1)および負極容量維持率(k2)から、磨耗劣化に起因したずれ容量(ΔQs(W))を推定するとともに(S110)、ずれ容量(ΔQs)を、磨耗劣化に起因したずれ容量(ΔQs(W))とリチウム析出に起因したずれ容量(ΔQs(Li))とに分離する(S120)。MPUは、少なくともリチウム析出に起因したずれ容量(ΔQs(Li))に基づいて、劣化判定対象であるリチウムイオン二次電池のリユースおよび/またはリサイクルの可否を判定する(S200)。
【選択図】図11
Description
この発明は、リチウムイオン二次電池の劣化判定システムおよび劣化判定方法に関し、より特定的には、リチウムイオン二次電池の再利用可否を判定するための劣化診断に関する。
近年、電気自動車およびハイブリッド自動車のモータ駆動用電源として、あるいは携帯機器の電源として、リチウムイオン二次電池の使用が進められている。
特に、電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両への用途では、必要な出力電圧や蓄積電力量を確保するために、複数のセルをパッキングした組電池(バッテリパック)が使用されるため、バッテリ価格が比較的高くなる。このため、電池の再利用(リユースおよびリサイクル)はコスト上重要な課題であり、電池の劣化状態を診断することによって再利用可否を判定する技術が重要となる。
たとえば、特開2003−7348号公報(特許文献1)には、使用済みバッテリが劣化しているか否かを判別することを特徴とするバッテリ提供システムおよびバッテリ提供方法が記載されている。特許文献1には、劣化しているか否かの判別に従って、継続使用可能である場合は販売店側で充電され二次電池が再販される一方で、継続使用不可能である場合には二次電池は販売店側からメーカ側へ送られてリサイクルされるシステムが記載されている。
また、特開平9−232008号公報(特許文献2)には、リチウム二次電池を始めとする各種電池などで用いられる非水系電解液の再生方法が記載されている。特許文献2には、非水系電解液に活性炭を添加し撹拌した上でこれを所要時間放置した後、添加液を濾過して活性炭を除去する再生方法が記載される。これにより、活性炭に吸着された添加液中の劣化原因物を除去することによって、劣化した電解液の再生が可能となる。
二次電池の劣化診断の技術としては、特開2008−241246号公報(特許文献3)に、電池モデル式に基づく状態推定をオンラインで実行する二次電池の状態推定装置が記載されている。この状態推定装置によれば、電池モデル式中のパラメータについて、電池状態の変化に対する新品時のパラメータ値の変化についての特性マップを作成しておくとともに、二次電池の使用中における電池モデル式に基づくパラメータ同定に基づいて、同定されたパラメータ値と、現在の電池状態に対応する新品時パラメータ値との比率(変化率)に基づいて劣化を診断することが記載されている。
リチウムイオン二次電池に関しては、特開2009−63555号公報(特許文献4)に、外部充電可能な車両に搭載されたリチウムイオン二次電池について、外部充電時の満充電容量の低下に基づいてリチウム析出の有無を判定することが記載されている。特許文献4には、リチウム析出有りと判定された場合には、リチウムイオン二次電池の充放電を制限した上で使用することがさらに記載されている。また、特開2009−199936号公報(特許文献5)には、リチウム二次電池の充電回数や稼動時間といった使用履歴情報に基づいて、負極におけるリチウム析出量を算出することが記載されている。特許文献5では、算出されたリチウム析出量に応じてデンドライトを溶解除去するための制御を起動することがさらに記載されている。
特許文献1および2に記載された二次電池のリサイクルでは、セル解体前に当該二次電池の劣化状態がリサイクル可能な範囲内のものであるか否かを判定することには言及されていない。このため、リサイクル不可能な状態まで劣化した二次電池は、セル解体後の化学分析等によって初めて判別されることになるので、無駄な解体作業や化学分析によって、リサイクルコストが上昇する虞がある。
また、リチウムイオン二次電池では、金属リチウムの析出が電池劣化に大きな影響を及ぼすことが知られているため、再利用のための劣化判定に反映することが好ましい。
しかしながら、特許文献3では、内部抵抗の増大や正極および負極の活物質における拡散係数の低下(すなわち、拡散抵抗の増大)については推定できるものの、リチウム析出量については診断することができない。また、特許文献4では、定期的に外部電源によって満充電とされるリチウムイオン二次電池について、満充電容量が低下することによってリチウム析出の有無を判定することが記載されているが、リチウム析出量を定量的に把握する手法については記載されていない。
一方、特許文献5では、リチウムイオン二次電池の使用履歴に応じてリチウム析出量を算出することが記載されている。しかしながら、使用履歴としては充電回数情報、高速充電回数情報、満充電回数情報および稼動時間情報が用いられるに止まり、リチウム析出量は、これらの情報を変数とする回帰式によって算出される。したがって、電池の実際の電圧、電流、温度等に基づいた推定ではないため、リチウム析出量の推定精度が十分に確保できず、適切な劣化判定が実行できない虞がある。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、劣化状態のリチウムイオン二次電池を解体することなく、リチウム析出量の推定に基づいて再利用(リサイクルおよびリユース)の可否を非破壊で適切に判定することである。
この発明のある局面によれば、リチウムイオン二次電池の劣化判定システムは、劣化パラメータ取得部と、リチウム析出量推定部と、判定部とを備える。劣化パラメータ取得部は、リチウムイオン二次電池の容量の変化に対する開放電圧の変化を示す開放電圧特性に基づく劣化診断によって、リチウムイオン二次電池の正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を取得するように構成される。リチウム析出量推定部は、正極容量維持率および負極容量維持率と、電池容量変動量のうちの磨耗劣化に対応した第1の変動量との間の予め求められた対応関係に従って、取得された正極容量維持率および負極容量維持率に基づいて、取得された電池容量変動量を、第1の変動量とリチウム析出による劣化に対応した第2の変動量とに分離するように構成される。判定部は、劣化パラメータ取得部によって取得された正極容量維持率および負極容量維持率と、リチウム析出量推定部によって求められた第2の変動量との少なくとも1つと、所定の判定値との比較に基づいて、リチウムイオン二次電池の再利用可否を判定するように構成される。正極容量維持率は、リチウムイオン二次電池の初期状態における正極容量に対する劣化状態の正極容量の比によって示される。負極容量維持率は、リチウムイオン二次電池の初期状態における負極容量に対する劣化状態の負極容量の比によって示される。電池容量変動量は、劣化状態の負極容量と、劣化状態での正極組成軸に対する負極組成軸のずれ量との積で示される。
好ましくは、判定部は、リチウム析出量推定部によって求められた第2の変動量に少なくとも基づいて、リチウムイオン二次電池の負極の再利用可否を判定するように構成されるとともに、劣化パラメータ取得部により取得された正極容量維持率に少なくとも基づいて、リチウムイオン二次電池の正極の再利用可否を判定するように構成される。
さらに好ましくは、判定部は、リチウム析出量推定部によって求められた第2の変動量と判定値との比較に従って、リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクル可否を判定するように構成される。
あるいは、さらに好ましくは、判定値は、リチウムイオン二次電池のリユース可否を判定するための第1の判定値と、リチウムイオン二次電池の電極材料のリサイクル可否を判定するための第2の判定値とを含む。そして、判定部は、第1の判定値を用いた再利用可否判定に従って、正極および負極の両方が再利用可と判定されたときにリチウムイオン二次電池がリユース可能であると判定する一方で、第2の判定値を用いた再利用可否判定に従って、正極および負極のそれぞれについて個別にリサイクル可能であるか否かを判定する。
好ましくは、判定部は、リチウム析出量推定部によって求められた第1の変動量および第2の変動量の大小関係に基づいて、リチウムイオン二次電池をリユースするのに適した気候条件を示す情報を生成するように構成される。
また好ましくは、判定部は、リチウム析出量推定部によって求められた第2の変動量に基づいて、リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクルに析出したリチウムの除去工程の要否を示す情報を生成するように構成される。
好ましくは、劣化パラメータ取得部は、測定部と、パラメータ探索部とを含む。測定部は、リチウムイオン二次電池の充放電による容量の変化に伴って出力電圧および出力電流を検出することによって、開放電圧特性を測定するように構成される。パラメータ探索部は、測定部によって測定された開放電圧特性に対して電圧誤差および容量誤差が最小となる開放電圧特性を、正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を変化させながら特定することによって、リチウムイオン二次電池の正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を探索するように構成される。
さらに好ましくは、リチウムイオン二次電池は、車両の外部の電源による外部充電が可能に構成された電動車両に搭載される。そして、測定部は、外部充電の際に開放電圧特性を測定する。
また、さらに好ましくは、リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車を含む電動車両に搭載される。そして、測定部は、リチウムイオン二次電池の緩和状態のそれぞれにおいて出力電圧に基づいて検出された開放電圧と、緩和状態の間での出力電流の積算値に基づいて検出された容量の変化とを用いて、開放電圧特性を測定する。
あるいは、さらに好ましくは、測定部およびパラメータ探索部は、電動車両に搭載された、リチウムイオン二次電池の充放電を管理および制御するための制御ユニットによって構成される。そして、劣化パラメータ取得部は、制御ユニットとの間での通信によって、正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を取得する。
この発明の他の局面によれば、二次電池の劣化判定方法であって、リチウムイオン二次電池の容量の変化に対する開放電圧の変化を示す開放電圧特性に基づく劣化診断によって、リチウムイオン二次電池の正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を取得するステップと、正極容量維持率および負極容量維持率と、電池容量変動量のうちの磨耗劣化に対応した第1の変動量との間の予め求められた対応関係に従って、取得された正極容量維持率および負極容量維持率に基づいて、取得された電池容量変動量を、第1の変動量とリチウム析出による劣化に対応した第2の変動量とに分離するステップと、取得された正極容量維持率および負極容量維持率と、分離するステップによって求められた第2の変動量との少なくとも1つと、所定の判定値との比較に基づいて、リチウムイオン二次電池の再利用可否を判定するステップとを備える。正極容量維持率は、リチウムイオン二次電池の初期状態における正極容量に対する劣化状態の正極容量の比によって示される。負極容量維持率は、リチウムイオン二次電池の初期状態における負極容量に対する劣化状態の負極容量の比によって示される。電池容量変動量は、劣化状態の負極容量と、劣化状態での正極組成軸に対する負極組成軸のずれ量との積で示される。
好ましくは、判定するステップは、分離するステップによって求められた第2の変動量に少なくとも基づいて、リチウムイオン二次電池の負極の再利用可否を判定するステップと、取得された正極容量維持率に少なくとも基づいて、リチウムイオン二次電池の正極の再利用可否を判定するステップとを含む。
さらに好ましくは、判定するステップは、分離するステップによって求められた第2の変動量と判定値との比較に従って、リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクル可否を判定するステップを含む。
あるいは、さらに好ましくは、判定値は、リチウムイオン二次電池のリユース可否を判定するための第1の判定値と、リチウムイオン二次電池の電極材料のリサイクル可否を判定するための第2の判定値とを含む。そして、判定するステップは、第1の判定値を用いた再利用可否判定に従って、正極および負極の両方が再利用可と判定されたときにリチウムイオン二次電池がリユース可能であると判定する一方で、第2の判定値を用いた再利用可否判定に従って、正極および負極のそれぞれについて個別にリサイクル可能であるか否かを判定する。
好ましくは、判定するステップは、分離するステップによって求められた第1の変動量および第2の変動量の大小関係に基づいて、リチウムイオン二次電池をリユースするのに適した気候条件を示す情報を生成するステップを含む。
あるいは好ましくは、判定するステップは、分離するステップによって求められた第2の変動量に基づいて、リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクルに析出したリチウムの除去工程の要否を示す情報を生成するステップを含む。
また好ましくは、取得するステップは、リチウムイオン二次電池の充放電による容量の変化に伴って出力電圧および出力電流を検出することによって、開放電圧特性を測定するステップと、測定された開放電圧特性に対して電圧誤差および容量誤差が最小となる開放電圧特性を、正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を変化させながら特定することによって、リチウムイオン二次電池の正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を探索するステップとを含む。
さらに好ましくは、リチウムイオン二次電池は、車両の外部の電源による外部充電が可能に構成された電動車両に搭載される。そして、測定するステップは、外部充電の際に開放電圧特性を測定する。
また、さらに好ましくは、リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車を含む電動車両に搭載される。そして、測定するステップは、リチウムイオン二次電池の緩和状態のそれぞれにおいて出力電圧に基づいて検出された開放電圧と、緩和状態の間での出力電流の積算値に基づいて検出された容量の変化とを用いて、開放電圧特性を測定する。
さらに好ましくは、測定するステップおよび探索するステップは、電動車両に搭載された、リチウムイオン二次電池の充放電を管理および制御するための制御ユニットによって実行される。取得するステップは、制御ユニットとの間での通信によって、正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を取得する。
この発明によれば、劣化状態のリチウムイオン二次電池を解体することなく、リチウム析出量の推定に基づいて再利用(リサイクルおよびリユース)の可否を非破壊で適切に判定することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
(全体の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池の劣化判定システムの構成を示す概略ブロック図である。
(全体の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池の劣化判定システムの構成を示す概略ブロック図である。
図1を参照して、本発明による劣化判定システムは、劣化判定の対象であるリチウムイオン二次電池10と、リチウムイオン二次電池10に配設されたバッテリセンサ15と、リチウムイオン二次電池10の充電状態を監視制御するための電子制御ユニット(ECU)20と、バッテリチェッカ30とを備える。
リチウムイオン二次電池10は、正極端子11および負極端子12を有する。図1において、リチウムイオン二次電池10は、劣化判定の対象となる単位を示している。すなわち、リチウムイオン二次電池10は、単位セルであってもよく、単位セルが複数個接続された電池ブロック、あるいは、付属品と一体的にパッキングされたままの組電池であってもよい。組電池では、複数のリチウムイオン二次電池が電気的に直列に接続されている。ここで、組電池内において、電気的に並列に接続されたリチウムイオン二次電池が含まれていてもよい。
バッテリセンサ15は、たとえば、電圧センサ、電流センサおよび温度センサを包括的に示すものであり、リチウムイオン二次電池10の電圧、電流および温度を検出するように構成されている。
ECU20は、リチウムイオン二次電池10の使用時に、バッテリセンサ15によって検出された電池温度、電池電圧、電池電流に基づいて、充電状態をオンボードで監視制御するように構成される。たとえば、ECU20は、リチウムイオン二次電池10の充電状態(代表的には、満充電容量に対する現在の残容量の比率で示されるSOC)をリチウムイオン二次電池10の使用時にオンボードで推定する。あるいは、ECU20は、推定したSOCや電池温度等に基づいて、充電電力および放電電力の上限値を逐次設定してもよい。
さらに、ECU20は、リチウムイオン二次電池10の使用時に並行して、すなわちオンボードで、内部抵抗の変化等の劣化診断を行なうことも可能である。たとえば、特開2008−241246号公報(特許文献3)に記載された状態推定装置のように、オンボードで劣化診断を行なって、種々の劣化パラメータをオンボードで取得し、かつ、記録するようにECU20を構成することができる。特許文献3の例によれば、当該劣化パラメータは、各電極の活物質中における拡散係数Ds(拡散抵抗)や、直流抵抗を含む。
本実施の形態によるリチウムイオン二次電池10の劣化判定を行なうためのバッテリチェッカ30は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)31と、メモリ32と、通信機33とを含む。
以下の説明で明らかになるように、本実施の形態によるリチウムイオン二次電池10の劣化判定では、オンボードまたはオフボードでの劣化診断によって取得された劣化パラメータに基づいて、リチウムイオン二次電池10の再利用可否を判定する。
上述のように、オンボードとは、リチウムイオン二次電池10が負荷(図示)の作動のために使用されている場面を示し、オフボードとは、リチウムイオン二次電池10の使用後に、バッテリチェッカ30等によって評価される場面を示すものとする。したがって、オンボードでは、ECU20がリチウムイオン二次電池10とともに動作する一方で、バッテリチェッカ30が使用されることはない。
MPU31は、メモリ32に予め記憶されたプログラムやデータ等を読出すことによって、演算を伴う所定の制御処理を実行することができる。通信機33は、ECU20との間で、有線および/または無線によるデータ通信を実行可能に構成されている。これにより、バッテリチェッカ30は、通信機33によるECU20との通信によって、リチウムイオン二次電池10の使用時にECU20がオンボードで推定した劣化パラメータを、ECU20から読出すことができる。
また、バッテリチェッカ30は、リチウムイオン二次電池10を試験的に充放電するための充放電装置(図示せず)を用いて、リチウムイオン二次電池10の劣化診断をオフボードで実行することもできる。
あるいは、リチウムイオン二次電池の正極端子11および負極端子12を、テスト端子35および36と電気的に接続することによって、リチウムイオン二次電池10の劣化診断をオフボードで実行することも可能である。具体的には、リチウムイオン二次電池10の正極端子11および負極端子12をテスト端子35および36とそれぞれ接続されると、リチウムイオン二次電池10は、図示しない充放電装置により充放電させることができる。そして、バッテリチェッカ30は、オフボードでの充放電の際に測定されたデータに基づいて、予めプログラムとして記憶された処理手順に従って劣化診断を実行することができる。
図2は、本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池の劣化判定の機能ブロック図である。図2に示された各機能ブロックは、たとえば、MPU31による所定のプログラム処理によって実現することができる。
図2を参照して、劣化パラメータ取得部40は、オンボードまたはオフボードでのリチウムイオン二次電池10の劣化診断によって、劣化パラメータを取得する。この劣化パラメータには、後程詳細に説明する、初期状態の正極容量に対する劣化状態の正極容量の割合で定義される正極容量維持率k1と、初期状態の負極容量に対する劣化状態の負極容量の割合で定義される負極容量維持率k2と、正極および負極の間における組成対応のずれ容量ΔQsを含むものとする。ずれ容量ΔQsは「電池容量変動量」に対応する。
また、劣化パラメータは、特許文献3に示された直流抵抗や拡散係数Dsをさらに含んでもよい。
リチウム析出量推定部50は、劣化パラメータ取得部40によって求められた正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および電池容量の変動量(ずれ容量)ΔQsに基づいて、リチウムイオン二次電池10の負極におけるリチウム析出に起因するずれ容量ΔQs(Li)を算出する。このΔQs(Li)は、負極におけるリチウム析出量を定量的に示した値を有する。
判定部60は、リチウム析出量推定部によって求められた、リチウム析出に対応するずれ容量ΔQs(Li)と、正極容量維持率k1と、負極容量維持率k2との少なくとも1つに基づいて、リチウムイオン二次電池10の再利用可否を判定するとともに、再利用可否に関する判定情報を生成する。当該判定には、上記以外の劣化パラメータ(たとえば拡散係数Ds)をさらに用いることも可能である。
判定部60において生成される判定情報は、リチウムイオン二次電池10のリサイクル可否に関する情報および/またはリユースに関する情報を含む。なお、本実施の形態において、「リサイクル」は、リチウムイオン二次電池10を解体または分解して電極等の材料回収を行なう再利用の態様を言うものとし、「リユース」は、単位セルの分解を伴うことなく、単位セル、電池ブロックあるいは組電池をそのまま再使用したり、単位セルの交換等によって再パッキングしたものを組電池として再使用することを言うものとする。
(主要な劣化パラメータの説明)
ここで、本実施の形態における劣化判定に用いられる劣化パラメータ、特に正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および電池容量変動量(ずれ容量)ΔQsの詳細について以下に説明する。
ここで、本実施の形態における劣化判定に用いられる劣化パラメータ、特に正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および電池容量変動量(ずれ容量)ΔQsの詳細について以下に説明する。
周知のように、リチウムイオン二次電池10は、負極、電解液を含むセパレータ、および正極を含む(いずれも図示せず)。負極および正極のそれぞれは、球状の活物質の集合体で構成される。リチウムイオン二次電池の放電時において、負極の活物質の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e−を放出する化学反応が行なわれる。一方、正極の活物質の界面上では、リチウムイオンLi+および電子e−を吸収する化学反応が行なわれる。リチウムイオン二次電池の充電時には、上述した反応と逆の反応が行なわれる。
負極には、電子を吸収する集電板が設けられ、正極には、電子を放出する集電板が設けられている。負極の集電板は、例えば、銅で形成され、負極端子に接続されている。正極の集電板は、例えば、アルミニウムで形成されており、正極端子に接続されている。セパレータを介して、正極および負極の間でリチウムイオンの授受が行なわれることにより、リチウムイオン二次電池の充放電が行なわれる。
ここで、リチウムイオン二次電池の内部における充電状態は、正極および負極のそれぞれの活物質におけるリチウム濃度分布に応じて異なる。このリチウムは、リチウムイオン二次電池の反応に寄与する。
リチウムイオン二次電池の出力電圧Vは、下記式(1)によって表される。
V=OCV(θ1,θ2)−R×I ・・・(1)
ここで、OCVは、リチウムイオン二次電池の開放電圧、Rは、リチウムイオン二次電池の全体における抵抗、Iは、リチウムイオン二次電池に流れる電池電流である。抵抗Rは、負極および正極で電子の移動に対する純電気的な抵抗と、活物質界面での反応電流発生時に等価的に電気抵抗として作用する電荷移動抵抗とが含まれる。
V=OCV(θ1,θ2)−R×I ・・・(1)
ここで、OCVは、リチウムイオン二次電池の開放電圧、Rは、リチウムイオン二次電池の全体における抵抗、Iは、リチウムイオン二次電池に流れる電池電流である。抵抗Rは、負極および正極で電子の移動に対する純電気的な抵抗と、活物質界面での反応電流発生時に等価的に電気抵抗として作用する電荷移動抵抗とが含まれる。
θ1は、正極活物質の表面における局所的SOC(State Of Charge)であり、θ2は、負極活物質の表面における局所的SOCである。抵抗Rは、θ1、θ2および電池温度の変化に応じて変化する特性を有する。言い換えれば、抵抗Rは、θ1、θ2および電池温度の関数として表すことができる。
局所的SOCθ1,θ2は、下記式(2)によって表される。
θi=Cse,i/Cs,i,max (i=1,2) ・・・(2)
ここで、Cse,iは、活物質(正極又は負極)の界面におけるリチウム濃度(平均値)であり、Cs,i,maxは、活物質(正極又は負極)における限界リチウム濃度である。限界リチウム濃度とは、正極や負極におけるリチウム濃度の上限値である。
θi=Cse,i/Cs,i,max (i=1,2) ・・・(2)
ここで、Cse,iは、活物質(正極又は負極)の界面におけるリチウム濃度(平均値)であり、Cs,i,maxは、活物質(正極又は負極)における限界リチウム濃度である。限界リチウム濃度とは、正極や負極におけるリチウム濃度の上限値である。
図3は、局所的SOCの変化に対する開放電圧の変化特性を示す概念図である。
図3を参照して、リチウムイオン二次電池の開放電圧OCVは、正極開放電位U1および負極開放電位U2の電位差として表される。正極開放電位U1は、正極活物質の表面における局所的SOCθ1に応じて変化する特性を有し、負極開放電位U2は、負極活物質の表面における局所的SOCθ2に応じて変化する特性を有している。
図3を参照して、リチウムイオン二次電池の開放電圧OCVは、正極開放電位U1および負極開放電位U2の電位差として表される。正極開放電位U1は、正極活物質の表面における局所的SOCθ1に応じて変化する特性を有し、負極開放電位U2は、負極活物質の表面における局所的SOCθ2に応じて変化する特性を有している。
リチウムイオン二次電池が初期状態にあるときに、局所的SOCθ1および正極開放電位U1の関係を測定しておけば、局所的SOCθ1および正極開放電位U1の関係を示す特性(図3に示すU1の曲線)を得ることができる。初期状態とは、リチウムイオン二次電池の劣化が発生していない状態をいい、例えば、リチウムイオン二次電池を製造した直後の状態をいう。
リチウムイオン二次電池が初期状態にあるときに、局所的SOCθ2および負極開放電位U2の関係を測定しておけば、局所的SOCθ2および負極開放電位U2の関係を示す特性(図3に示すU2の曲線)を得ることができる。これらの特性(U1,U2)を示すデータは、マップとしてメモリに予め格納しておくことができる。
リチウムイオン二次電池の開放電圧OCVは、放電が進むにつれて低下する特性を有している。また、劣化後のリチウムイオン二次電池においては、初期状態のリチウムイオン二次電池に比べて、同じ放電時間に対する電圧低下量が大きくなる。このことは、リチウムイオン二次電池の劣化によって、満充電容量の低下と開放電圧特性の変化とが生じていることを示している。
本実施の形態では、リチウムイオン二次電池の劣化に伴う開放電圧特性の変化を、劣化状態のリチウムイオン二次電池の内部で起きると考えられる2つの現象としてモデル化している。この2つの現象は、正極および負極での単極容量の減少と、正極および負極の間における組成の対応ずれである。
単極容量の減少とは、正極および負極のそれぞれにおけるリチウムの受け入れ能力の減少を示している。リチウムの受け入れ能力が減少していることは、充放電に有効に機能する活物質等が減少していることを意味している。
図4は、単極容量の減少による単極開放電位の変化を模式的に示すグラフである。
図4において、正極容量の軸におけるQ_L1は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θL1に対応する容量である。Q_H11は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θH1に対応する容量である。また、負極容量の軸におけるQ_L2は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θL2に対応する容量であり、Q_H21は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θH2に対応する容量である。
図4において、正極容量の軸におけるQ_L1は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θL1に対応する容量である。Q_H11は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θH1に対応する容量である。また、負極容量の軸におけるQ_L2は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θL2に対応する容量であり、Q_H21は、リチウムイオン二次電池の初期状態において、図3の局所的SOC=θH2に対応する容量である。
正極において、リチウムの受け入れ能力が低下すると、正極の局所的SOCθ1に対応する容量は、Q_H11からQ_H12に変化する。また、負極において、リチウムの受け入れ能力が低下すると、負極の局所的SOCθ2に対応する容量は、Q_H21からQ_H22に変化する。
ここで、リチウムイオン二次電池が劣化しても、局所的SOCθ1および正極開放電位U1の関係(図3)は変化しない。このため、局所的SOCθ1および正極開放電位U1の関係を、正極容量および正極開放電位の関係に変換すると、図4に示すように、正極容量および正極開放電位の関係を示す曲線は、リチウムイオン二次電池が劣化した分だけ、初期状態の曲線に対して縮んだ状態となる。
また、局所的SOCθ2および負極開放電位U2の関係を、負極容量および負極開放電位の関係に変換すると、図4に示すように、負極容量および負極開放電位の関係を示す曲線は、リチウムイオン二次電池が劣化した分だけ、初期状態の曲線に対して縮んだ状態となる。
図5は、正極および負極の間における組成対応のずれと開放電位との関係を模式的に示した概念図である。組成対応のずれとは、正極および負極の組を用いて充放電を行なうときに、正極の組成(θ1)および負極の組成(θ2)の組み合わせが、リチウムイオン二次電池の初期状態に対してずれていることを示すものである。
単極の組成θ1,θ2および開放電位U1,U2の関係を示す曲線は、図3に示した曲線と同様である。ここで、リチウムイオン二次電池が劣化すると、負極組成θ2の軸は、正極組成θ1が小さくなる方向にΔθ2だけシフトする。これにより、負極組成θ2および負極開放電位U2の関係を示す曲線は、初期状態の曲線に対して、Δθ2の分だけ、正極組成θ1が小さくなる方向にシフトする。
正極の組成θ1fixに対応する負極の組成は、リチウムイオン二次電池が初期状態にあるときには「θ2fix_ini」となるが、リチウムイオン二次電池が劣化した後には「θ2fix」となる。なお、図5では、図3に示す負極組成θL2を0としているが、これは、負極のリチウムがすべて抜けた状態を示している。
本実施の形態では、上述の正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および正負極組成対応ずれ量ΔQsの3つの劣化パラメータを導入することにより、上述した2つの劣化現象をモデル化している。
正極容量維持率k1は、上述のように、初期状態の正極容量に対する劣化状態の正極容量の割合で定義される。ここで、正極容量は、リチウムイオン二次電池が劣化状態となった後において、初期状態の容量から任意の量だけ減少したとする。このとき、正極容量維持率k1は、下記式(3)によって表される。
k1=(Q1_ini−ΔQ1)/Q1_ini ・・・(3)
(0<k1<1)
ここで、Q1_iniは、リチウムイオン二次電池が初期状態にあるときの正極容量(図4に示すQ_H11)を示し、ΔQ1は、リチウムイオン二次電池が劣化したときの正極容量の減少量を示している。正極容量Q1_iniは、実験によって予め求めておくことができる。
(0<k1<1)
ここで、Q1_iniは、リチウムイオン二次電池が初期状態にあるときの正極容量(図4に示すQ_H11)を示し、ΔQ1は、リチウムイオン二次電池が劣化したときの正極容量の減少量を示している。正極容量Q1_iniは、実験によって予め求めておくことができる。
負極容量維持率k2は、上述のように、初期状態の負極容量に対する劣化状態の負極容量の割合で定義される。ここで、負極容量は、リチウムイオン二次電池が劣化状態となった後において、初期状態の容量から任意の量だけ減少したとする。このとき、負極容量維持率k2は、下記式(4)によって表される。
k2=(Q2_ini−ΔQ2)/Q2_ini ・・・(4)
(0<k2<1)
ここで、Q2_iniは、リチウムイオン二次電池が初期状態にあるときの負極容量(図4のQ_H21)を示し、ΔQ2は、リチウムイオン二次電池が劣化したときの負極容量の減少量を示している。負極容量Q2_iniは、実験によって予め求めておくことができる。
(0<k2<1)
ここで、Q2_iniは、リチウムイオン二次電池が初期状態にあるときの負極容量(図4のQ_H21)を示し、ΔQ2は、リチウムイオン二次電池が劣化したときの負極容量の減少量を示している。負極容量Q2_iniは、実験によって予め求めておくことができる。
図6は、劣化による組成対応のずれを説明する模式図である。
リチウムイオン二次電池が劣化状態となったときには、負極組成θ2が1であるときの容量は、(Q2_ini−ΔQ2)となる。また、正極および負極の間における組成対応ずれ容量ΔQsは、正極組成軸に対する負極組成軸のずれ量Δθ2に対応する容量である。これにより、下記式(5)の関係が成り立つ。
リチウムイオン二次電池が劣化状態となったときには、負極組成θ2が1であるときの容量は、(Q2_ini−ΔQ2)となる。また、正極および負極の間における組成対応ずれ容量ΔQsは、正極組成軸に対する負極組成軸のずれ量Δθ2に対応する容量である。これにより、下記式(5)の関係が成り立つ。
1:Δθ2=(Q2_ini−ΔQ2):ΔQs ・・・(5)
式(4)及び式(5)から下記式(6)が求められる。
式(4)及び式(5)から下記式(6)が求められる。
ΔQs=(Q2_ini−ΔQ2)×Δθ2
=k2×Q2_ini×Δθ2 ・・・(6)
リチウムイオン二次電池が初期状態にあるとき、正極組成θ1fix_iniは、負極組成θ2fix_iniに対応している。リチウムイオン二次電池が劣化状態にあるとき、正極組成θ1fixは、負極組成θ2fixに対応している。また、組成対応のずれは、初期状態における正極組成θ1fixを基準とする。すなわち、正極組成θ1fixおよび正極組成θ1fix_iniは、同じ値とする。
=k2×Q2_ini×Δθ2 ・・・(6)
リチウムイオン二次電池が初期状態にあるとき、正極組成θ1fix_iniは、負極組成θ2fix_iniに対応している。リチウムイオン二次電池が劣化状態にあるとき、正極組成θ1fixは、負極組成θ2fixに対応している。また、組成対応のずれは、初期状態における正極組成θ1fixを基準とする。すなわち、正極組成θ1fixおよび正極組成θ1fix_iniは、同じ値とする。
リチウムイオン二次電池の劣化により、正極および負極の間における組成対応のずれが生じた場合において、リチウムイオン二次電池の劣化後における正極組成θ1fixおよび負極組成θ2fixは、下記式(7),(8)の関係を有している。
θ1fix=θ1fix_ini ・・・(7)
θ2fix=[(1-θ1fix)×k1×Q1_ini-ΔQs]/(k2×Q2_ini) ・・・(8)
式(8)の意味について説明する。リチウムイオン二次電池の劣化によって、正極組成θ1が1からθ1fixまで変化(減少)したときに、正極から放出されるリチウムの量は、下記式(9)によって表される。
θ2fix=[(1-θ1fix)×k1×Q1_ini-ΔQs]/(k2×Q2_ini) ・・・(8)
式(8)の意味について説明する。リチウムイオン二次電池の劣化によって、正極組成θ1が1からθ1fixまで変化(減少)したときに、正極から放出されるリチウムの量は、下記式(9)によって表される。
正極から放出されるリチウムの量=(1−θ1fix)×k1×Q1_ini ・・・(9)
ここで、(1−θ1fix)の値は、リチウムイオン二次電池の劣化による正極組成の変化分を示し、(k1×Q1_ini)の値は、リチウムイオン二次電池の劣化後における正極容量を示している。
ここで、(1−θ1fix)の値は、リチウムイオン二次電池の劣化による正極組成の変化分を示し、(k1×Q1_ini)の値は、リチウムイオン二次電池の劣化後における正極容量を示している。
正極から放出されたリチウムが負極にすべて取り込まれるとすると、負極組成θ2fixは、下記式(10)となる。
θ2fix=(1−θ1fix)×k1×Q1_ini/(k2×Q2_ini) ・・・(10)
ここで、(k2×Q2_ini)の値は、リチウムイオン二次電池の劣化後における負極容量を示している。
ここで、(k2×Q2_ini)の値は、リチウムイオン二次電池の劣化後における負極容量を示している。
一方、正極および負極の間における組成対応のずれ(Δθ2)が存在するときには、負極組成θ2fixは、下記式(11)で表される。
θ2fix=(1−θ1fix)×k1×Q1_ini/(k2×Q2_ini)−Δθ2 ・・・(11)
組成対応のずれ量Δθ2は、式(6)により、組成対応のずれ容量ΔQsを用いて表すことができる。これにより、負極組成θ2fixは、上記式(8)で表される。
組成対応のずれ量Δθ2は、式(6)により、組成対応のずれ容量ΔQsを用いて表すことができる。これにより、負極組成θ2fixは、上記式(8)で表される。
図6に示すように、リチウムイオン二次電池が劣化状態にあるときの開放電圧OCVは、劣化状態における正極開放電位U11および負極開放電位U22の電位差として表される。すなわち、3つの劣化パラメータk1,k2,ΔQsを推定すれば、リチウムイオン二次電池が劣化状態にあるときの負極開放電位U22を特定でき、負極開放電位U22および正極開放電位U11の電位差として、開放電圧OCVを算出することができる。
本実施の形態では、さらに、劣化パラメータk1,k2,ΔQsを用いて、リチウムイオン二次電池の内部状態、具体的には、リチウムイオン二次電池の劣化が、リチウムの析出による劣化によるものかを推定する。一般的に、リチウムイオン二次電池の劣化には、リチウムの析出による劣化と、磨耗による劣化(磨耗劣化)とが含まれるので、これらの劣化を区別した状態で把握(推定)することによって、劣化状態を詳しく判断することができる。
磨耗劣化とは、通電や放置によって正極および負極の性能(リチウムの受け入れ能力)が低下することであり、例えば、正極や負極の活物質が磨耗することが挙げられる。また、活物質表面への被膜形成などによる容量ずれ(正極および負極間の組成劣化)も磨耗劣化の一例として挙げられる。一方、リチウムの析出による劣化とは、電池反応に用いられるリチウムイオンが副生成物(主には金属リチウム)に変化して、リチウムイオンが電池反応に寄与しなくなる劣化をいう。
リチウムイオン二次電池が劣化していないときの開放電圧OCVは、初期状態のリチウムイオン二次電池における開放電圧OCVと一致することになる。すなわち、正極容量維持率k1および負極容量維持率k2が1であり、組成対応のずれ容量ΔQsが0であるときに、上述した説明によって算出(推定)された開放電圧OCVは、初期状態(新品)であるリチウムイオン二次電池の開放電圧OCVを測定したときの値(実測値)と一致することになる。
図7には、リチウムイオン二次電池の容量(SOC)および開放電圧OCVの関係(すなわち、開放電圧特性)を示している。以下では、開放電圧特性を示す、図7等に示される曲線を「開放電圧曲線」とも称する。図7の点線は、開放電圧曲線(実測値)であり、実線は、開放電圧曲線(推定値)である。開放電圧曲線(推定値)は、開放電圧曲線(実測値)と重なっている。
図7において、縦軸は、開放電圧OCVを示し、横軸は、リチウムイオン二次電池の容量を示している。
一方、リチウムイオン二次電池が劣化すると、開放電圧(実測値)OCVは変化することになる。ここで、図8(図7に対応する図)の点線には、リチウムの析出による劣化だけが発生しているリチウムイオン二次電池、言い換えれば、磨耗劣化は発生していないリチウムイオン二次電池を用いて、開放電圧曲線(実測値)を測定した結果を示している。
ここで、リチウムイオン二次電池を低温状態に維持すれば、磨耗劣化を抑制することができ、磨耗劣化を抑制した状態でリチウムの析出だけを行なわせることができる。複数の温度条件のもとで磨耗劣化が発生するか否かの実験を行なうことにより、リチウムイオン二次電池を低温状態とするときの設定温度を決定することができる。これにより、リチウムの析出による劣化だけを、リチウムイオン二次電池に発生させることができる。
3つの劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)を正しく推定すると、開放電圧曲線(推定値)を、図8に示す開放電圧曲線(実測値)に略一致させることができる。言い換えれば、開放電圧曲線(推定値)が開放電圧曲線(実測値)に略一致するように、3つの劣化パラメータを探索することができる。
図8には、開放電圧(実測値)OCVおよび開放電圧(推定値)OCVが略一致している状態を示している。このときの開放電圧曲線(推定値)を決定する劣化パラメータとしては、正極容量維持率k1が「1」、負極容量維持率k2が「1」、組成対応のずれ容量ΔQsが「0.62」となっている。開放電圧曲線(推定値)を、図8に示す開放電圧曲線(実測値)に略一致させるように、3つの劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)を探索することによって、上記の劣化パラメータ値を取得することができる。
図9の点線には、磨耗劣化だけが発生しているリチウムイオン二次電池、言い換えれば、リチウムが析出していないリチウムイオン二次電池を用いて、開放電圧曲線(実測値)を測定した結果を示している。図9において、縦軸は、開放電圧OCVを示し、横軸は、リチウムイオン二次電池の容量を示している。
ここで、リチウムイオン二次電池を高温状態に維持すれば、リチウムの析出を抑制することができ、リチウムの析出を抑制した状態で磨耗劣化だけを発生させることができる。複数の温度条件のもとでリチウムが析出するか否かの実験を行なうことにより、リチウムイオン二次電池を高温状態とするときの設定温度を決定することができる。設定温度としては、例えば、50度とすることができる。これにより、磨耗劣化だけを、リチウムイオン二次電池に発生させることができる。
図9には、開放電圧(実測値)OCVおよび開放電圧(推定値)OCVが略一致している状態を示している。このときの開放電圧曲線(推定値)を決定する劣化パラメータとしては、正極容量維持率k1が「0.85」、負極容量維持率k2が「0.97」、組成対応のずれ容量ΔQsが「0.05」となっている。開放電圧曲線(推定値)を、図9に示す開放電圧曲線(実測値)に略一致させるように、3つの劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)を探索することによって、上記の劣化パラメータ値を取得することができる。
図8および図9に示すように、リチウムの析出による劣化だけが発生しているリチウムイオン二次電池では、3つの劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)のうち、組成対応のずれ容量ΔQsだけが新品(初期状態)のリチウムイオン二次電池における組成対応のずれ容量ΔQs(=0)に対して変化していることが分かる。
また、磨耗劣化だけが発生しているリチウムイオン二次電池では、3つの劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)のすべてについて、新品(初期状態)のリチウムイオン二次電池に対してずれていることが分かる。なお、磨耗劣化の場合における組成対応のずれ容量ΔQsは、リチウム析出による劣化の場合における組成対応のずれ容量ΔQsよりも小さくなっている。
リチウムが析出するということは、例えば、充電時において正極から放出されたリチウムイオンが負極に取り込まれない場合が考えられる。この場合には、正極および負極の間における組成対応がずれることになり、ずれ容量ΔQsが変化することになる。また、リチウムの析出だけが発生している状態では、正極および負極におけるリチウムの受け入れ能力は低下しないため、正極容量維持率k1および負極容量維持率k2の各々は、「1」に維持されることになる。
このように、ずれ容量ΔQsには、リチウム析出の劣化に起因したずれ容量ΔQs(Li)と、磨耗劣化に起因したずれ容量ΔQs(W)とが含まれるため、両者を分離することによって、リチウム析出量を定量的に推定することが可能となる。
まず、磨耗劣化による劣化成分を特定するために用いられるマップについて説明する。このマップは、リチウムイオン二次電池において磨耗劣化だけを発生させた場合において、正極容量維持率k1および負極容量維持率k2と、組成対応のずれ容量ΔQsとの対応関係を示すものであり、実験結果に基づいて予め作成することができる。上述したように、リチウムイオン二次電池を高温状態で維持すれば、リチウムの析出を防止でき、磨耗劣化だけを発生させる実験を行なうことができる。
磨耗劣化を段階的に進行させることにより、リチウムイオン二次電池の容量(満充電容量)を所定量だけ段階的に減少させる。そして、リチウムイオン二次電池の容量を減少させるたびに、リチウムイオン二次電池の開放電圧OCVを測定する。これにより、リチウムイオン二次電池が所定の容量劣化であるときにおいて、容量の変化に対する開放電圧OCVの変化を示すデータ(開放電圧曲線(実測値))を得ることができる。例えば、リチウムイオン二次電池の容量が100%から50%に到達するまで、容量を5%ずつ低下(劣化)させ、容量を低下させるたびに、リチウムイオン二次電池の開放電圧OCVを測定する。
そして、各容量劣化のもとで得られた開放電圧(実測値)OCVに対して、開放電圧(推定値)OCVを一致させるための劣化パラメータ(正極容量維持率k1、負極容量維持率k2およびずれ容量ΔQs)を探索することができる。
このようにして、図10に示すマップ(以下、磨耗劣化マップという)を得ることができる。図10に示す磨耗劣化マップでは、正極容量維持率k1および負極容量維持率k2とずれ容量ΔQs(W)との対応関係を示しており、例えば、正極容量維持率k1および負極容量維持率k2を選択すれば、磨耗劣化に起因するずれ容量ΔQs(W)を特定することができる。磨耗劣化マップは、メモリに格納しておくことができる。
本実施の形態において、図1に示した、劣化判定の対象となるリチウムイオン二次電池10について、図7〜図9に示すような、容量の変化に対する開放電圧(実測値)OCVの変化を示すデータ(開放電圧曲線)を取得することによって、開放電圧(推定値)OCVが開放電圧(実測値)OCVと一致するように劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)を探索することができる。
開放電圧曲線は、使用が終了した状態のリチウムイオン二次電池10に対して、オフボードでの充放電によって測定することが可能である。具体的には、オフボードでリチウムイオン二次電池10を充放電することによって容量を変化させるとともに、その際の電池電圧および電池電流を検出することによって、開放電圧特性を測定することができる。さらに、劣化パラメータ取得部40は、測定された開放電圧特性を用いて劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)を探索することによって、正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および電池容量変動量(ずれ容量)ΔQsを取得することができる。
あるいは、ECU20によって、リチウムイオン二次電池10の使用時にオンボードで開放電圧曲線を測定することも可能である。たとえば、リチウムイオン二次電池10の緩和時(電池電流=0の状態継続時)における電池電圧の検出値に基づいて開放電圧の変化を測定するとともに、電池電流の積算値に基づいて容量の変化を測定することができる。そして、測定された開放電圧曲線を用いて、ECU20により、劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)を探索することが可能である。この場合には、バッテリチェッカ30は、ECU20との通信によって、正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および電池容量変動量(ずれ容量)ΔQsを取得する。
リチウム析出量推定部50は、図10に示した磨耗劣化マップに基づいて、取得された正極容量維持率k1および負極容量維持率k2から、磨耗劣化に起因したずれ容量ΔQs(W)を算出する。さらに、リチウム析出量推定部50は、劣化パラメータ取得部40が取得したずれ容量ΔQsから、ずれ容量ΔQs(W)を差し引くことによって、リチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)を算出する。このようにして、ずれ容量ΔQsを、リチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)と、磨耗劣化に起因したずれ容量ΔQs(W)とに分離することができる。すなわち、ΔQs(W)は「第1の変動量」に対応し、ΔQs(Li)は「第2の変動量」に対応する。
図11は、本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池の劣化判定の処理手順を示すフローチャートである。図11に示されたフローチャートに従う制御処理は、たとえば図1に示したMPU31が、予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
図11を参照して、MPU31は、ステップS100により、オンボードまたはオフボードでのリチウムイオン二次電池10の劣化診断に基づいて、劣化パラメータを取得する。上述のように、劣化診断は、リチウムイオン二次電池10の開放電圧特性(図7〜図9)に基づいて実行される。劣化診断により取得された劣化パラメータは、少なくとも正極容量維持率k1、負極容量維持率k2およびずれ容量ΔQsを含む。すなわち、ステップS100による処理は、上述の劣化パラメータ取得部40の機能に対応する。
MPU31は、ステップS110では、ステップS100で取得された正極容量維持率k1および負極容量維持率k2から、図10で説明した磨耗劣化マップに従って、磨耗劣化に起因したずれ容量ΔQs(W)を推定する。さらにMPU31は、ステップS120では、ステップS100で取得されたずれ容量ΔQsを、ステップS110で算出されたΔQs(W)と、リチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)とに分離する。すなわちΔQs(Li)=ΔQs−ΔQs(W)の演算が実行される。ステップS110およびS120の処理は、リチウム析出量推定部50(図2)の機能に相当する。
さらに、MPU31は、ステップS200により、正極容量維持率k1、負極容量維持率k2、およびリチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)の少なくとも1つを用いて、バッテリ再利用に関する判定処理を実行する。MPU31は、ステップS210により、S200での判定結果を反映した判定情報を、再利用可否に関するガイダンス情報として出力する。
ここで、ステップS200での判定処理の詳細について説明する。
図12は、リチウムイオン二次電池の負極についての再利用可否判定の詳細を説明する。
図12は、リチウムイオン二次電池の負極についての再利用可否判定の詳細を説明する。
図12を参照して、MPU31は、ステップS205により、ステップS120で求められた、リチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)を読込む。そして、MPU31は、ステップS210に処理を進めて、読込まれたΔQs(Li)を所定の判定値Lmaxと比較する。
上述のように、ΔQs(Li)は、リチウム析出量が多いほど大きな値となる。したがって、ΔQs(Li)が判定値Lmax以上であるとき(S210のNO判定時)には、再利用可能なレベルを超えて負極にリチウムが析出していると推測できる。したがって、MPU31は、ステップS250に処理を進めて、負極の再利用が不可であると判定する。
一方、ΔQs(Li)が判定値Lmaxよりも低いときには(S210のYES判定時)、リチウム析出の点からは、負極の再利用が可能であると判定されるので、MPU31は、さらに他の劣化パラメータに基づく判定を実行する。
たとえば、MPU31は、ステップS215により、ステップS100で取得された負極容量維持率k2を読込むとともに、ステップS220により、負極容量維持率k2を判定値k2minと比較する。負極容量維持率k2が判定値k2min以下であるとき(S220のNO判定時)には、負極容量が再利用可能なレベルを超えて低下していると判定される。したがって、MPU31は、ステップS250に処理を進めて、負極の再利用不可と判定する。
負極容量維持率k2が判定値k2minよりも高いときには(S220のYES判定時)、リチウム析出および負極容量の点からは負極の再利用可能であると判定されるので、MPU31は、さらに他の劣化パラメータに基づく判定を実行する。
たとえば、MPU31は、ステップS225により、拡散係数Dsをさらに読込むとともに、拡散係数Dsを判定値Dsminと比較する。拡散係数Dsは、たとえば特許文献3と同様の手法により取得することができる。
MPU31は、拡散係数Dsが判定値Dsmin以下であり、拡散抵抗が所定レベルまで上昇しているとき(S230のNO判定時)には、ステップS250に処理を進めて、負極の再利用不可と判定する。一方、拡散係数Dsが判定値Dsminよりも高く、拡散抵抗が所定レベルまで上昇していない場合には、ステップS240に処理を進める。
MPU31は、ステップS240では、判定の対象とした各劣化パラメータが判定値を満たしているため、負極の再利用可能と判定する。なお、図12に示した負極の再利用可否判定において、ステップS205,S210による、リチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)を用いた判定は必須である。その一方で、負極容量維持率k2に基づく判定(ステップS215,S220)および/または拡散係数Dsに基づく判定(ステップS225,S230)については省略することも可能である。
このように、図12に示すフローチャートに従えば、リチウム析出量に基づいて、あるいは、さらに負極容量維持率に基づいて、リチウムイオン二次電池10の負極の再利用可否を判定することができる。また、拡散係数をさらに用いて再利用可否を判定することも可能である。
図13は、リチウムイオン二次電池の正極に関する再利用可否判定の制御処理手順を示すフローチャートである。
図13を参照して、MPU31は、ステップS255により、ステップS100で取得された正極容量維持率k1を読込むとともに、ステップS260により、正極容量維持率k1を判定値k1minと比較する。そして、MPU31は、正極容量維持率k1が判定値k1min以下であるとき(S260のNO判定時)には、正極容量が再利用可能なレベルを超えて低下していると判定して、ステップS290に処理を進める。
MPU31は、正極容量維持率k1が判定値k1minよりも高いときには(S260のYES判定時)、さらに他の劣化パラメータに基づく判定を実行する。たとえば、MPU31は、ステップS265により、拡散係数Dsをさらに読込むとともに、拡散係数Dsを判定値Dsminと比較する。
MPU31は、拡散係数Dsが判定値Dsmin以下であり、拡散抵抗が所定レベルまで上昇しているとき(S270のNO判定時)には、ステップS290に処理を進めて、正極の再利用不可と判定する。一方、拡散係数Dsが判定値Dsminよりも高く、拡散抵抗が所定レベルまで上昇していない場合には、ステップS280に処理を進める。
MPU31は、ステップS280では、判定の対象とした各劣化パラメータが判定値を満たしているため、正極の再利用可能と判定する。なお、拡散係数Dsに基づく判定(ステップS265,S270)については省略することも可能である。
このように、図13に示すフローチャートに従えば、正極容量維持率に基づいて、リチウムイオン二次電池10の正極の再利用可否を判定することができる。また、拡散係数をさらに用いて再利用可否を判定することも可能である。
図12および図13において、判定値Lmax,k1min,k2min,Dsminについては、リサイクルの可否判定と、リユースの可否判定とで異なる値に設定することができる。すなわち、これらの判定値を複数水準定めて、同様の処理を実行することにより、これら複数水準のそれぞれについての再利用可否を判定することができる。言い換えれば、図12および図13の制御処理は、リサイクル判定およびリユース判定の両方あるいは一方に用いることが可能である。
このように、本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池の劣化判定によれば、リチウム析出量を反映したパラメータΔQs(Li)に基づいて、リチウムイオン二次電池の再利用(リサイクルおよび/またはリユース)可否を判定することができる。特に、パラメータΔQs(Li)は、セルを解体して化学分析を行なうことなく求めることができるので、リチウムイオン二次電池の再利用可否を非破壊で適切に判定できる。さらに、正極および負極で別個に再利用可否を判定することにより、セル解体による材料回収を目的としたリサイクル判定をさらに有用化できる。
なお、セルを解体することなく電池を再使用するリユースについては、上述のように正極および負極のそれぞれで可否判定が可能であることに鑑みて、図14に示すようなリユース判定を行なうことができる。
図14は、本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池の劣化判定システムにおけるリユース判定の一例を説明する図表である。
図14には、たとえば図12および図13に示した判定値を2水準設けることによって、劣化レベルを3段階に分けてリユースの可否判定を行ったケースが示される。
正極および負極の各々について、判定結果「C」は再利用が不可の劣化レベルであることを示し、判定結果「B]および「A」は、再利用が可能な劣化レベルであることを示す。さらに、判定結果「A」は、判定結果「B」よりも劣化レベルが低く、劣化が進行していないことを示す。
図14を参照して、正極または負極の少なくともいずれかで判定結果「C」のときは、リチウムイオン二次電池10は、リユース不可(NG)と判定される。一方で、正極および負極の両方において、で判定結果が「A」または「B」のときは、リチウムイオン二次電池10リユース可能(OK)と判定される。
リユース可能なリチウムイオン二次電池10については、劣化レベルが低く再使用可能な期間が比較的長いグレードIと、再使用可能な期間がグレードIよりも短いグレードIIとに細分化される。
たとえば、正極または負極の両方が判定結果「A」のときには、グレードIでリユース可能と判定され、正極または負極の少なくともいずれかが判定結果「B」のときには、グレードIIでリユース可能と判定される。
このように本発明の実施の形態によるリチウムイオン二次電池の劣化判定によれば、負極および正極の個別に再利用可否を判定できるので、従来よりも高精度なリサイクルおよび/またはリユース判定を実現することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、オンボードまたはオフボードにより、劣化判定の対象となるリチウムイオン二次電池10の開放電圧特性を測定することによって、劣化パラメータである正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および電池容量変動量(ずれ容量)ΔQsが求められることを概略的に説明した。
実施の形態1では、オンボードまたはオフボードにより、劣化判定の対象となるリチウムイオン二次電池10の開放電圧特性を測定することによって、劣化パラメータである正極容量維持率k1、負極容量維持率k2および電池容量変動量(ずれ容量)ΔQsが求められることを概略的に説明した。
実施の形態2およびその変形例では、これらの劣化パラメータをオンボードおよびオフボードのそれぞれで取得するための実施態様についてさらに詳細に説明する。
図15は、リチウムイオン二次電池10の開放電圧特性をオフボードで測定するためのシステムを示すブロック図である。
リチウムイオン二次電池10の正極および負極は、図1に示した端子11,12を介して、図1に示したテスト端子35,36に電気的に接続される。
この結果、リチウムイオン二次電池10は、スイッチ37,38を介して、オフボードで充放電させるための電源41および負荷42と接続される。負荷42には、リチウムイオン二次電池10からの放電電力が供給される。また、電源41は、リチウムイオン二次電池10の充電電力を供給する。MPU31によってスイッチ37,38を制御することによって、リチウムイオン二次電池10の放電および充電を制御することができる。
なお、図15のシステム構成では、リチウムイオン二次電池10が、スイッチ37,38のオンオフ制御に応じて、負荷42や電源41に接続されるようになっているが、開放電圧特性をオフボードで測定するための構成は、図15に限定されることはない。すなわち、容量を変化させるためにリチウムイオン二次電池10を意図的に充放電することが可能であれば、任意の構成を適用することができる。
リチウムイオン二次電池10が、ハイブリッド自動車(HV)、燃料電池自動車や電気自動車(EV)等の電動車両に搭載される車載組電池である場合には、負荷42として、インバータを用いることができる。インバータは、組電池からの直流電力を交流電力に変換して、モータ・ジェネレータに供給し、モータ・ジェネレータにおいて車両を走行させるための運動エネルギが生成される。そして、車両走行によって組電池の残容量を低下させてから、組電池を車両から取り外した後にオフボードで、図15に示すシステムを用いてリチウムイオン二次電池10の開放電圧を測定することができる。
電流センサ15a、電圧センサ15bおよび温度センサ15cは、リチウムイオン二次電池10の電池電流、電池電圧および電池温度をそれぞれ検出し、検出結果をMPU31に出力する。電流センサ15a、電圧センサ15bおよび温度センサ15cは、図1に示されたバッテリセンサ15を構成する。
リチウムイオン二次電池10を電源41に接続した状態であれば、リチウムイオン二次電池10の容量(SOC)を変化させながら、リチウムイオン二次電池10の開放電圧OCVを測定することができる。これにより、図7〜図9に示すような、リチウムイオン二次電池10の容量の変化に対する開放電圧(実測値)OCVの変化を示すデータ(開放電圧曲線)を取得することができる。
図16は、リチウムイオン二次電池の劣化パラメータをオフボードで取得するためのMPU31による制御処理手順を示すフローチャートである。図16は、劣化パラメータがオフボードで取得される際における図11のステップS100を具体化したものに相当する。
図16を参照して、MPU31は、ステップS301により、電圧センサ15bの出力に基づいて、劣化判定の対象であるリチウムイオン二次電池10の開放電圧(実測値)OCVを測定する。具体的には、リチウムイオン二次電池10を充放電しながら、開放電圧(実測値)OCVを測定することにより、開放電圧曲線(実測値)を得ることができる。
MPU31は、ステップS302では、3つの劣化パラメータ(正極容量維持率k1、負極容量維持率k2およびずれ容量ΔQs)を適宜変更しながら、3つの劣化パラメータによって特定される開放電圧(推定値)OCVが、ステップS301で得られた開放電圧(実測値)OCVに一致するか否かを判断する。
図17に示されるように、具体的には、3つの劣化パラメータの任意の組み合わせを設定し、設定した劣化パラメータに基づいて、開放電圧(推定値)OCVを算出する。図17には、点線で示される開放電圧(推定値)OCVおよび、実線で示される開放電圧(実測値)OCVの関係の一例が示される。
図17において、推定値1の開放電圧曲線が得られたときには、開放電圧(推定値)OCVが開放電圧(実測値)OCVよりも高くなっているため、実測値の開放電圧曲線に近づくように、劣化パラメータを設定し直す。同様に、推定値2の開放電圧曲線が得られたときには、開放電圧(推定値)OCVが開放電圧(実測値)OCVよりも低くなっているため、実測値の開放電圧曲線に近づくように、劣化パラメータを設定し直す。このように、劣化パラメータの設定を繰返し実行することにより、開放電圧(推定値)OCVを開放電圧(実測値)OCVに一致させることができる。
再び図16を参照して、MPU31は、ステップS302では、開放電圧(推定値)OCVが開放電圧(実測値)OCVに一致したときの劣化パラメータを特定する。これにより、正極容量維持率k1、負極容量維持率k2およびずれ容量ΔQsが決定される。なお、ステップS302で決定されたずれ容量ΔQsは、リチウム析出の劣化および磨耗劣化が混在しているときのずれ容量ΔQsである。
ここで、開放電圧(推定値)OCVが開放電圧(実測値)OCVと完全に一致していなくても、一致していると見なせる範囲(許容誤差)を設定しておくことにより、開放電圧(推定値)OCVおよび開放電圧(実測値)OCVが一致しているか否かを判断することができる。
MPU31は、ステップS303により、ステップS302で決定された正極容量維持率k1および負極容量維持率k2と、磨耗劣化マップ(図10)とを用いて、ずれ容量ΔQs(W)を特定する。さらに、MPU31は、ステップS304により、ステップS302で得られたずれ容量ΔQsと、ステップS303で得られたずれ容量ΔQs(W)との差分を求める。これにより、リチウム析出の劣化に起因したずれ容量ΔQs(Li)が算出される。
このように、実施の形態2によれば、劣化判定の対象であるリチウムイオン二次電池10について、開放電圧特性をオフボードで測定することによって、劣化パラメータである、正極容量維持率k1、負極容量維持率k2およびずれ容量ΔQsを取得することができる。さらに、実施の形態1でも説明したように、ずれ容量ΔQsを、磨耗劣化に起因したずれ容量ΔQs(W)と、リチウム析出の劣化に起因したずれ容量ΔQs(Li)とに分離することによって、リチウムイオン二次電池10を解体して化学分析を行なうことなく、リチウムの析出を定量的に推定することができる。
[実施の形態2の変形例]
実施の形態2の変形例では、実施の形態2(図16)で説明した処理を、オンボードによって行うようにしている。たとえば、リチウムイオン二次電池が電動車両に搭載されたままの状態において、リチウムイオン二次電池の充放電を制御するコントローラ(ECU)によって、実施の形態2と同様の処理が実行される。車両外部の電源から車載バッテリ(リチウムイオン二次電池)を充電することが可能な電動車両を用いている。このような車両としては、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)やEVがある。
実施の形態2の変形例では、実施の形態2(図16)で説明した処理を、オンボードによって行うようにしている。たとえば、リチウムイオン二次電池が電動車両に搭載されたままの状態において、リチウムイオン二次電池の充放電を制御するコントローラ(ECU)によって、実施の形態2と同様の処理が実行される。車両外部の電源から車載バッテリ(リチウムイオン二次電池)を充電することが可能な電動車両を用いている。このような車両としては、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)やEVがある。
図18は、車載バッテリであるリチウムイオン二次電池の劣化パラメータをオンボードで取得するための制御処理手順を示すフローチャートである。図18に示す制御処理は、車両に搭載されたコントローラ(たとえば、図1に示すECU20)によって行われる。
なお、図18は、劣化パラメータがオンボードで取得される際における図11のステップS100を具体化したものに相当する。すなわち、実施の形態2の変形例では、劣化パラメータ取得部40(図2)の機能の一部は、バッテリチェッカ30の外部で実現される。
ECU20は、ステップS401において、バッテリセンサ15に含まれる電圧センサおよび電流センサの出力に基づいて、リチウムイオン二次電池10の開放電圧(実測値)OCVおよび電流積算量を測定する。具体的には、車両に搭載されたリチウムイオン二次電池10を充電する際に、開放電圧(実測値)OCVおよび電流積算量を適宜測定することにより、電池容量の変化に対する開放電圧(実測値)OCVの変化を示す曲線(実測値としての開放電圧曲線)を取得することができる。
ECU20は、ステップS402において、開放電圧(推定値)OCVを特定するための劣化パラメータ(正極容量維持率k1、負極容量維持率k2およびずれ容量ΔQs)の候補を設定(選択)する。劣化パラメータの設定は、様々な方法によって行なうことができるが、劣化パラメータを設定するための演算処理を効率良く行なうための方法を採用することが好ましい。
例えば、劣化パラメータの選択範囲として、磨耗劣化やリチウム析出による劣化が実際に発生するときの範囲を実験等に基づいて予め特定しておくことができる。ここで、正極容量維持率k1および負極容量維持率k2は、磨耗劣化だけに依存するため、実際の磨耗劣化が発生するときの範囲内で正極容量維持率k1および負極容量維持率k2を変化させることができる。そして、正極容量維持率k1および負極容量維持率k2が特定できれば、磨耗劣化マップ(図10)を用いて、磨耗劣化に起因するずれ容量ΔQs(W)を特定することができる。ずれ容量ΔQs(W)が特定できれば、ずれ容量ΔQs(Li)を変化させるだけでよい。
そして、ECU20は、ステップS403では、ステップS402で設定された劣化パラメータに基づいて、容量の変化に対する開放電圧(推定値)OCVの変化を示す特性(推定値としての開放電圧曲線)を算出する。
ECU20は、ステップS404では、ステップS403で算出された開放電圧曲線(推定値)と、ステップS401で得られた開放電圧曲線(実測値)との誤差を算出する。この誤差には、電圧誤差および容量誤差が含まれる。
電圧誤差ΔV(図19参照)は、具体的には、開放電圧曲線(推定値)および開放電圧曲線(実測値)を比較することにより、算出することができる。電圧誤差ΔVは、特定の電池容量における電圧誤差であってもよいし、2つの開放電圧曲線の間における電圧誤差の平均値とすることもできる。
また、容量誤差ΔQは、例えば、以下に説明する方法によって求めることができる。まず、開放電圧曲線(推定値)を用いて、充電前の開放電圧および充電後の開放電圧の間における容量Q1を算出する。また、充電を開始してから終了するまでの間、電流を検出して、電流積算値を測定することにより、電流積算値から充電容量Q2を算出できる。上述した容量Q1および容量Q2の差を求めることにより、容量誤差ΔQの絶対値(|Q1−Q2|)を得ることができる。
ここで、外部電源による充電器を備えていないハイブリッド自動車では、開放電圧曲線(実測値)を得ることが困難である。ただし、リチウムイオン二次電池10が緩和状態にあるときには、開放電圧曲線(実測値)上に位置する開放電圧を幾つか測定することができる。ここで、リチウムイオン二次電池10に電流が流れているときや、電流を遮断した直後においては、活物質内にリチウムの濃度差が存在しているため、正確な開放電圧を測定することができない。
一方、リチウムイオン二次電池10の通電を遮断してから時間が経過していれば、リチウムイオン二次電池10が緩和状態となり、リチウムの濃度差が存在しない状態で正確な開放電圧を測定することができる。リチウムイオン二次電池10が緩和状態にある場合として、例えば、車両が所定時間以上停止しているときが挙げられる。これにより、リチウムイオン二次電池が特定の容量にあるときの開放電圧(実測値)OCVを得ることができる。
特定の容量における特定の開放電圧を測定できれば、図20に示すように、開放電圧(実測値)と開放電圧曲線(推定値)とを比較することにより、電圧誤差ΔVを求めることができる。また、複数の開放電圧(実測値)を測定しておけば、上述したように容量誤差ΔQを求めることができる。具体的には、開放電圧曲線(推定値)を用いて、2点の開放電圧(実測値)の間における容量Q1を算出する。また、2点の開放電圧(実測値)を得るときの電流積算値を測定しておけば、この電流積算値から容量Q2を算出できる。そして、容量Q1および容量Q2の差(|Q1−Q2|)を求めれば、容量誤差ΔQの絶対値を得ることができる。
ECU20は、ステップS405において、ステップS404で得られた電圧誤差ΔVおよび容量誤差ΔQに対する評価関数f(ΔV,ΔQ)を算出する。評価関数f(ΔV,ΔQ)としては、例えば、電圧誤差ΔVおよび容量誤差ΔQに対して重み付け加算した値を用いることができる。
また、ECU20は、今回設定された劣化パラメータから算出される評価関数f(ΔV,ΔQ)が、前回設定された劣化パラメータから算出される評価関数f(ΔV,ΔQ)よりも小さいか否かを判別する。ここで、今回の評価関数f(ΔV,ΔQ)が前回の評価関数f(ΔV,ΔQ)よりも小さければ、今回の評価関数f(ΔV,ΔQ)をメモリに記憶する。なお、今回の評価関数f(ΔV,ΔQ)が前回の評価関数f(ΔV,ΔQ)よりも大きければ、前回の評価関数f(ΔV,ΔQ)がメモリに記憶されたままとなる。
ECU20は、ステップS406において、劣化パラメータをすべての探索範囲で変化させたか否かを判別し、すべての探索範囲で劣化パラメータを変化させていれば、ステップS407に処理を進める。一方、すべての探索範囲で変化させていなければ、ECU20は、ステップS402に処理を戻す。
このように劣化パラメータを探索範囲の全体で変化させるまでは、ステップS402〜ステップS406の処理が繰り返して行われる。そして、最小値となる評価関数f(ΔV,ΔQ)が特定され、この評価関数(最小値)が得られた開放電圧曲線を特定できるとともに、開放電圧曲線(推定値)を規定する劣化パラメータ(k1,k2,ΔQs)を特定することができる。評価関数が最小値を示す劣化パラメータを特定することにより、劣化状態(磨耗劣化およびリチウム析出による劣化)の判定の精度を向上させることができる。
ここで、特定されたずれ容量ΔQsは、磨耗劣化によるずれ容量ΔQs(W)およびリチウム析出の劣化によるずれ容量ΔQs(Li)が含まれる。したがって、ECU20は、ステップS407において、ステップS402〜ステップS406の処理で決定された劣化パラメータ(正極容量維持率k1および負極容量維持率k2)と、磨耗劣化マップ(図10)とを用いて、磨耗劣化に起因するずれ容量ΔQs(W)を特定する。そして、ECU20は、ステップS408において、ステップS402〜ステップS406の処理で特定されたずれ容量ΔQsと、ステップS407で得られたずれ容量ΔQs(W)との差分を算出することによって、リチウム析出によるずれ容量ΔQs(Li)を算出する。
このように、実施の形態2の変形例によれば、電動車両に搭載されるリチウムイオン二次電池について、開放電圧特性に基づく劣化診断によって、正極容量維持率k1、負極容量維持率k2およびずれ容量ΔQsをオンボードで取得することができる。特に、車両外部の電源による車載バッテリの外部充電機能を有する、PHVやEVと、当該外部充電機能を具備しないハイブリッド自動車の両方について、オンボードで開放電圧特性に基づいて、劣化パラメータを取得できる。そして、取得した劣化パラメータに基づいて、リチウムイオン二次電池10を解体して化学分析を行なうことなく、リチウムの析出を定量的に推定することができる。
このように、図2に示した劣化パラメータ取得部40の機能については、劣化パラメータをオフボードで取得する際には、バッテリチェッカ30のMPU31によって実現できる一方で、劣化パラメータをオンボードで取得する際には、その一部を車両に搭載されたECU(たとえば、図1のECU20)によって実現することができる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、図11のステップS200(図1の判定部60)における判定処理の変形例あるいは追加例について説明する。
実施の形態3では、図11のステップS200(図1の判定部60)における判定処理の変形例あるいは追加例について説明する。
図21は、本発明の実施の形態3によるリチウムイオン二次電池の劣化判定におけるリユース判定の追加例を説明する処理手順である。図21に示す制御処理は、実施の形態1による判定処理に対して追加的に実行することが可能である。
図21を参照して、MPU31は、図11〜図13に従った再利用可否判定の後、ステップS150により、リチウムイオン二次電池10がリユース可能であるかどうかを確認する。リユース不可能である場合(S500のNO判定時)には、以下の処理は実行されない。
MPU31は、リユース可能であるとき(S500のYES判定時)は、ステップS510により、ΔQs(Li)とΔQs(W)との差が判定値Qthよりも大きいかどうかを判定する。すなわち、ステップS150では、リチウムイオン二次電池10全体でのずれ容量ΔQsについて、磨耗劣化に起因したずれ容量と、リチウム析出に起因したずれ容量との一方が支配的な要因となっているかどうかを判定する。
そして、|ΔQs(Li)−ΔQs(W)|>Qthのとき(S510のYES判定時)には、MPU31は、ステップS515により、ΔQs(Li)およびΔQs(W)の大小関係を判定する。MPU31は、ΔQs(Li)>ΔQs(W)のとき(S515のYES判定時)には、ステップS520に処理を進めて、利用先コードを「1」とする。これに対して、ΔQs(W)>ΔQs(Li)のとき(S515のNO判定時)には、MPU31は、ステップS530に処理を進めて、利用先コードを「2」に設定する。利用先コードは、リチウムイオン二次電池10をリユースする際の好ましい気候条件を示すものである。
ΔQs(Li)−ΔQs(W)>Qthであり、リチウム析出による劣化が支配的であるリチウムイオン二次電池10には、高温条件下での使用が適していることを示す利用先コード「1」が付与される。なぜなら、析出したリチウムは、高温で長期間保持されることにより、再び電池反応に関与できるリチウムに回復しやすい傾向にあるからである。そして、利用先コード「1」が付与されたリチウムイオン二次電池10は、たとえばラジエータ容量が通常よりも大きく設定された、熱帯地域向けの自動車に搭載される。
一方、ΔQs(W)−ΔQs(Li)>Qthであり、磨耗劣化が支配的であるリチウムイオン二次電池10には、低温条件下での使用が適していることを示す利用先コード「2」が付与される。なぜなら、磨耗劣化は、高温条件下の使用で発生しやすく、低温条件下の使用では発生しにくいからである。そして、利用先コード「2」が付与されたリチウムイオン二次電池10は、たとえば、補機バッテリの搭載個数が通常よりも多い、寒冷地向けの自動車に搭載される。
一方、|ΔQs(Li)−ΔQs(W)|≦Qthのとき(S510のNO判定時)には、磨耗劣化およびリチウム析出の両方が均衡した劣化状態である。このため、MPU31は、ステップS540に処理を進めて、上記のような利用先コードを付与することなく、処理を終了させる。
このように、図21によるリチウムイオン二次電池の劣化判定(リユース判定)によれば、リチウムイオン二次電池10のずれ容量(電池容量変動量)ΔQsを、磨耗劣化に起因する変動量ΔQs(W)とリチウム析出に起因する変動量ΔQs(Li)とに分離することによって、リユースするのに適した気候条件を示す判定情報をさらに付与することができる。
図22には、実施の形態3によるリチウムイオン二次電池の劣化判定における、負極の再利用可否判定の制御処理手順が示される。
図22を参照して、MPU31は、図12と同様のステップS205,S210の実行により、ΔQs(Li)が判定値LRCmax以上であるとき(S210のNO判定時)には、ステップS212に処理を進めて、フラグFRMをオンする。
さらに、MPU31は、ステップS215,S220および/またはステップS225,S230を図12と同様に実行することにより、負極容量維持率k2および/または負極の拡散係数Dsと判定値との比較によるリサイクル判定を実行することができる。
すなわち、図22の処理は、図12に示された、リサイクルおよびリユースを包括した負極についての再利用可否判定のうちの、リサイクル可否判定に係るものである。このため、ステップS220およびS230での判定値についても、リサイクル可否に係る判定値k2RCminおよびDsRCminが使用される。MPU31は、負極容量維持率k2または拡散係数Dsが判定値以下となった場合(S220またはS230がNO判定)には、ステップS212の処理をスキップする。
MPU31は、ステップS230のYES判定時、すなわちリチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)を含む劣化パラメータについて、劣化レベルが判定値に達していないときには、ステップS240に処理を進めて、負極材料のリサイクル可能と判定する。
一方で、MPU31は、リチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(Li)、または、負極容量維持率k2および拡散係数Dsのいずれかが判定値を超えて劣化しているときには、ステップS235により、フラグFRMがオンされているかどうかを判定する。
そして、MPU31は、フラグFRMがオンされているとき(S235のYES判定時)、すなわちリチウム析出に起因したずれ容量ΔQs(W)が判定値よりも大きいときには、ステップS245に処理を進めて、リチウムの除去工程後リサイクル可能であると判定する。フラグFRMがオフされているとき(S235のNO判定時)には、ステップS245はスキップされる。
ここで、リチウム金属は水などに容易に溶けるため、リチウムを溶媒に溶解させるリチウム除去工程を施せば、リチウムの除去により負極材料をリサイクルすることが可能となる。したがって、リチウム析出が過大となることによって劣化しているリチウムイオン二次電池10に対しては、リチウム除去工程を追加することによって、負極材料をリサイクルできる可能性がある。
このように、図22によるリチウムイオン二次電池の劣化判定、負極材料のリサイクル可否判定において、リチウム除去工程を追加することによってリサイクル可能な電池を抽出することができるので、リサイクル可能な対象をさらに増やすことができる。また、リチウム析出量を考慮することなくリチウムイオン二次電池のリサイクル対象を全数リチウム除去工程を経由させる場合と比較して、リチウム除去工程の処理数を削減できるので、リサイクル工程の簡略化および低コスト化が可能となる。
なお、実施の形態2およびその変形例では、劣化判定の対象となるリチウムイオン二次電池10が電動車両に搭載される組電池であることを想定したが、本発明の適用はこのようなケースに限定されるものではない点について確認的に記載する。すなわち、少なくとも実施の形態2に従って、オフボードで開放電圧特性の測定および劣化パラメータの取得が可能なリチウムイオン二次電池に対しては、本実施の形態1,3で説明した劣化判定によって再利用可否を判定することが可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によるリチウムイオン二次電池の劣化判定システムは、リチウムイオン二次電池の再利用(リサイクルおよびリユース)の判定に用いることができる。
10 リチウムイオン二次電池(劣化判定対象)、11 正極端子、12 負極端子、15 バッテリセンサ、15a 電流センサ、15b 電圧センサ、15c 温度センサ、30 バッテリチェッカ、31 MPU、32 メモリ、33 通信機、35,36 テスト端子、37,38 スイッチ、40 劣化パラメータ取得部、41 電源、42 負荷、50 リチウム析出量推定部、60 判定部、Ds 拡散係数、Dsmin,LRCmax,Lmax,Lmax,k1min,k2min,Dsmin,Qth,k1min,k2RCmax,k2min 判定値、FRM フラグ、OCV 開放電圧、Q1,Q2 容量、U1,U2 開放電位、k1 正極容量維持率、k2 負極容量維持率、ΔQs 電池容量変動量(ずれ容量)、ΔQs(Li) ずれ容量(リチウム析出起因)、ΔQs(W) ずれ容量(磨耗劣化起因)。
Claims (20)
- リチウムイオン二次電池の容量の変化に対する開放電圧の変化を示す開放電圧特性に基づく劣化診断によって、前記リチウムイオン二次電池の正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を取得するための劣化パラメータ取得部と、
前記正極容量維持率および前記負極容量維持率と、前記電池容量変動量のうちの磨耗劣化に対応した第1の変動量との間の予め求められた対応関係に従って、取得された前記正極容量維持率および前記負極容量維持率に基づいて、取得された前記電池容量変動量を、前記第1の変動量とリチウム析出による劣化に対応した第2の変動量とに分離するためのリチウム析出量推定部と、
前記劣化パラメータ取得部によって取得された前記正極容量維持率および前記負極容量維持率と、前記リチウム析出量推定部によって求められた前記第2の変動量との少なくとも1つと、所定の判定値との比較に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の再利用可否を判定するための判定部とを備え、
前記正極容量維持率は、前記リチウムイオン二次電池の初期状態における正極容量に対する劣化状態の正極容量の比によって示され、
前記負極容量維持率は、前記リチウムイオン二次電池の前記初期状態における負極容量に対する前記劣化状態の負極容量の比によって示され、
前記電池容量変動量は、前記劣化状態の負極容量と、前記劣化状態での正極組成軸に対する負極組成軸のずれ量との積で示される、リチウムイオン二次電池の劣化判定システム。 - 前記判定部は、前記リチウム析出量推定部によって求められた前記第2の変動量に少なくとも基づいて、前記リチウムイオン二次電池の負極の再利用可否を判定するとともに、前記劣化パラメータ取得部により取得された前記正極容量維持率に少なくとも基づいて、前記リチウムイオン二次電池の正極の再利用可否を判定する、請求項1記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。
- 前記判定部は、前記リチウム析出量推定部によって求められた前記第2の変動量と前記判定値との比較に従って、前記リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクル可否を判定する、請求項2記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。
- 前記判定値は、前記リチウムイオン二次電池のリユース可否を判定するための第1の判定値と、前記リチウムイオン二次電池の電極材料のリサイクル可否を判定するための第2の判定値とを含み、
前記判定部は、前記第1の判定値を用いた再利用可否判定に従って、前記正極および前記負極の両方が再利用可と判定されたときに前記リチウムイオン二次電池がリユース可能であると判定する一方で、前記第2の判定値を用いた前記再利用可否判定に従って、前記正極および前記負極のそれぞれについて個別にリサイクル可能であるか否かを判定する、請求項2記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。 - 前記判定部は、前記リチウム析出量推定部によって求められた前記第1の変動量および前記第2の変動量の大小関係に基づいて、前記リチウムイオン二次電池をリユースするのに適した気候条件を示す情報を生成する、請求項1記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。
- 前記判定部は、前記リチウム析出量推定部によって求められた前記第2の変動量に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクルに析出したリチウムの除去工程の要否を示す情報を生成する、請求項1記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。
- 前記劣化パラメータ取得部は、
前記リチウムイオン二次電池の充放電による容量の変化に伴って出力電圧および出力電流を検出することによって、前記開放電圧特性を測定するための測定部と、
前記測定部によって測定された前記開放電圧特性に対して電圧誤差および容量誤差が最小となる前記開放電圧特性を、前記正極容量維持率、前記負極容量維持率および前記電池容量変動量を変化させながら特定することによって、前記リチウムイオン二次電池の前記正極容量維持率、前記負極容量維持率および前記電池容量変動量を探索するためのパラメータ探索部とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。 - 前記リチウムイオン二次電池は、車両の外部の電源による外部充電が可能に構成された電動車両に搭載され、
前記測定部は、前記外部充電の際に前記開放電圧特性を測定する、請求項7記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。 - 前記リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車を含む電動車両に搭載され、
前記測定部は、前記リチウムイオン二次電池の緩和状態のそれぞれにおいて前記出力電圧に基づいて検出された前記開放電圧と、前記緩和状態の間での前記出力電流の積算値に基づいて検出された前記容量の変化とを用いて、前記開放電圧特性を測定する、請求項7記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。 - 前記測定部および前記パラメータ探索部は、前記電動車両に搭載された、前記リチウムイオン二次電池の充放電を管理および制御するための制御ユニットによって構成され、
前記劣化パラメータ取得部は、前記制御ユニットとの間での通信によって、前記正極容量維持率、前記負極容量維持率および前記電池容量変動量を取得する、請求項8または9記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定システム。 - リチウムイオン二次電池の容量の変化に対する開放電圧の変化を示す開放電圧特性に基づく劣化診断によって、前記リチウムイオン二次電池の正極容量維持率、負極容量維持率および電池容量変動量を取得するステップと、
前記正極容量維持率および前記負極容量維持率と、前記電池容量変動量のうちの磨耗劣化に対応した第1の変動量との間の予め求められた対応関係に従って、取得された前記正極容量維持率および前記負極容量維持率に基づいて、取得された前記電池容量変動量を、前記第1の変動量とリチウム析出による劣化に対応した第2の変動量とに分離するステップと、
取得された前記正極容量維持率および前記負極容量維持率と、前記分離するステップによって求められた前記第2の変動量との少なくとも1つと、所定の判定値との比較に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の再利用可否を判定するステップとを備え、
前記正極容量維持率は、前記リチウムイオン二次電池の初期状態における正極容量に対する劣化状態の正極容量の比によって示され、
前記負極容量維持率は、前記リチウムイオン二次電池の前記初期状態における負極容量に対する前記劣化状態の負極容量の比によって示され、
前記電池容量変動量は、前記劣化状態の負極容量と、前記劣化状態での正極組成軸に対する負極組成軸のずれ量との積で示される、リチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記判定するステップは、
前記分離するステップによって求められた前記第2の変動量に少なくとも基づいて、前記リチウムイオン二次電池の負極の再利用可否を判定するステップと、
取得された前記正極容量維持率に少なくとも基づいて、前記リチウムイオン二次電池の正極の再利用可否を判定するステップとを含む、請求項11記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記判定するステップは、
前記分離するステップによって求められた前記第2の変動量と前記判定値との比較に従って、前記リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクル可否を判定するステップを含む、請求項12記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記判定値は、前記リチウムイオン二次電池のリユース可否を判定するための第1の判定値と、前記リチウムイオン二次電池の電極材料のリサイクル可否を判定するための第2の判定値とを含み、
前記判定するステップは、前記第1の判定値を用いた再利用可否判定に従って、前記正極および前記負極の両方が再利用可と判定されたときに前記リチウムイオン二次電池がリユース可能であると判定する一方で、前記第2の判定値を用いた前記再利用可否判定に従って、前記正極および前記負極のそれぞれについて個別にリサイクル可能であるか否かを判定する、請求項12記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記判定するステップは、
前記分離するステップによって求められた前記第1の変動量および前記第2の変動量の大小関係に基づいて、前記リチウムイオン二次電池をリユースするのに適した気候条件を示す情報を生成するステップを含む、請求項11記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記判定するステップは、
前記分離するステップによって求められた前記第2の変動量に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の負極材料のリサイクルに析出したリチウムの除去工程の要否を示す情報を生成するステップを含む、請求項11記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記取得するステップは、
前記リチウムイオン二次電池の充放電による容量の変化に伴って出力電圧および出力電流を検出することによって、前記開放電圧特性を測定するステップと、
測定された前記開放電圧特性に対して電圧誤差および容量誤差が最小となる前記開放電圧特性を、前記正極容量維持率、前記負極容量維持率および前記電池容量変動量を変化させながら特定することによって、前記リチウムイオン二次電池の前記正極容量維持率、前記負極容量維持率および前記電池容量変動量を探索するステップとを含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記リチウムイオン二次電池は、車両の外部の電源による外部充電が可能に構成された電動車両に搭載され、
前記測定するステップは、前記外部充電の際に前記開放電圧特性を測定する、請求項17記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車を含む電動車両に搭載され、
前記測定するステップは、前記リチウムイオン二次電池の緩和状態のそれぞれにおいて前記出力電圧に基づいて検出された前記開放電圧と、前記緩和状態の間での前記出力電流の積算値に基づいて検出された前記容量の変化とを用いて、前記開放電圧特性を測定する、請求項17記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。 - 前記測定するステップおよび前記探索するステップは、前記電動車両に搭載された、前記リチウムイオン二次電池の充放電を管理および制御するための制御ユニットによって実行され、
前記取得するステップは、前記制御ユニットとの間での通信によって、前記正極容量維持率、前記負極容量維持率および前記電池容量変動量を取得する、請求項18または19記載のリチウムイオン二次電池の劣化判定方法。
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