JP2011236056A5 - - Google Patents
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図1は本発明の実施形態による係船ウインチを示す。係船ウインチは、係船ロープ102を巻き取るための巻取りドラム101と、巻取りドラム101を駆動するための交流電動機103とを含む。交流電動機103は、例えば誘導電動機又は永久磁石同期電動機とすることができる。図1に示す係船ウインチは、交流電動機103と巻取りドラム101との間にギヤボックス106を有している。ブレーキ109は、巻取りドラム101を発効させる係船ウインチのためのものである。巻取りドラム101は、ギヤボックス106と軸受ブロック108とによって支持されている。交流電動機103の寸法及び巻取りドラム101の寸法によっては、直接駆動方式の巻取りドラム101を設け、ギヤボックスを不要にすることもできる。係船ウインチは、交流電動機103に電力を供給する周波数変換ユニット104を含む。周波数変換ユニット104は、例えば、船舶の給電網(electrical network)とし得る、給電網107に接続されている。係船ウインチは、係船ロープ102の張力[kN]についての指標に基づいて周波数変換ユニット104を制御する制御ユニット105を含む。好ましくは、交流電動機103は、危険な状況を避けるために、速度制御によって発生される最大係船ロープ張力が制限されるように速度制御モードで駆動される。好ましくは、制御ユニット105は、交流電動機103の速度制御を実現するための速度制御装置を構成する。また、速度制御装置を構成する別個の装置を用いることもできる。制御ユニット105は、交流電動機の固定子磁束をモデル化するための磁束空間ベクトルΨを計算すると共に、この磁束空間ベクトルと交流電動機103の固定子電流の空間ベクトルiとに基づいてトルク推定値Mestを計算する。トルク推定値は次式に従って計算できる。なお、「×」はベクトル積(即ち、外積)を意味する。
Mest=Ψ×i (1)
制御ユニット105は、トルク推定値を係船ロープの張力についての指標として使用する。従って、トルク推定値を許容された範囲内に維持することによって係船ロープ張力が許容された範囲内に維持される。交流電動機103は、無センサベクトル制御、即ち交流電動機103の軸に速度及び/又は位置インジケータを設けないベクトル制御によって制御できる。無センサベクトル制御は、例えば、推定されたトルクMestと磁束空間ベクトルの大きさ|Ψ|が所望の範囲内に入るように、交流電動機103の端子に供給される電圧の空間ベクトルvを制御する、オープンループの直接トルク制御(DTC)とすることができる。
制御ユニット105は、トルク推定値を係船ロープの張力についての指標として使用する。従って、トルク推定値を許容された範囲内に維持することによって係船ロープ張力が許容された範囲内に維持される。交流電動機103は、無センサベクトル制御、即ち交流電動機103の軸に速度及び/又は位置インジケータを設けないベクトル制御によって制御できる。無センサベクトル制御は、例えば、推定されたトルクMestと磁束空間ベクトルの大きさ|Ψ|が所望の範囲内に入るように、交流電動機103の端子に供給される電圧の空間ベクトルvを制御する、オープンループの直接トルク制御(DTC)とすることができる。
段階32では、周波数変換ユニットは、係船ロープの張力Tの指標に基づいて制御される。制御ユニット基盤(basis)は、係船ロープの張力Tについての指標をユーザセット値と比較する。比較に基づいて、制御ユニットは、巻取りドラムが内側に駆動されるか外側に駆動されるかを(driven in or out)選択する。
所定のトルク設定値は、交流電動機103によって発生するトルクの目標値についての上限値である。トルク推定値の第1の値が所定の設定値よりも著しく大きい場合には、係船ロープは張り過ぎで、係船ロープを繰り出さなければならない。同様に、トルク推定値の第1の値が所定の設定値よりも著しく小さい場合には、係船ロープは緩みすぎで、係船ロープを巻き上げなければならない。また、緩んだ係船ロープは危険な機械的移動を許容するため、係船ロープが緩みすぎるのは望ましくない。
本発明の実施形態による係船ウインチにおいては、制御ユニット105は、周期的な係船動作を成し遂げるために次の一連の段階を行うようになっている。本発明の対応実施例による方法は、周期的な係船動作を成し遂げるために次の一連の段階を含む:− 周期的な係船動作を開始し、− 係船ウインチが逆方向に駆動され、所定の速度基準値がセットされ、電動機が短い期間について逆方向に駆動され、− 逆方向駆動の間、第1のトルク値は、固定子電流の空間ベクトルであるΨ× i,iとして計算されたM1であり、− 係船ウインチは順方向に駆動される。所定の速度基準値がセットされ、電動機は短い期間について逆方向に駆動される。速度基準値および短い期間は段階22でのものと同じものが好適であり、しかし、それらはそれらとさらに異なることができ、− 順方向駆動の間、第2のトルク値は、固定子電流の空間ベクトルであるΨ× i,iとして計算されたM2であり、− トルク推定値は第1および第2のトルク値に基づいて計算され、− 条件付きの段階A:計算されたトルク推定値が第1の限界値より低い状況に応答して前記係船ロープを巻き上げるように前記交流電動機を制御し、− 条件付きの段階B:計算されたトルク推定値が第2の限界値より高い状況に応答して前記係船ロープを繰り出させるように前記交流電動機を制御し、− 段階C:所定期間待機し、− 前記周期的な係船動作手順を再開する。
本発明の別の実施形態による係船ウインチにおいては、制御ユニット105は、連続的な係船動作を提供するために交流電動機103を連続的に通電すると共に制御するようになっている。
本発明の別の実施形態による方法においては、連続的な係船動作を提供するために交流電動機103が連続的に通電されると共に制御される。
周期的な係船動作は連続的な係船動作に比べてエネルギーを節約できる。何故なら、周期的な係船動作では、交流電動機103が非通電とされる時間の割合が非常に大きいためである。
図3aは、例示的状況における本発明の実施形態による係船ウインチの動作を示す。曲線221はトルク推定値を表し、曲線222は交流電動機103の速度基準を表す。なお、t0...t1の期間及びt2...t3の期間においては、速度基準222は時間軸に一致している。本明細書では、「速度基準」という用語は、交流電動機103(図1)の回転速度の基準値を意味する。回転速度の基準値は必ずしも一定でなく、時間と共に変化し得る。
本発明の実施形態による係船ウインチにおいては、制御ユニット105(図1)は、トルク推定値221が第1の所定のヒステリシス限界値H−を下回る状況に応答して交流電動機103(図1)に係船ロープ102(図1)を巻き上げさせ、トルク推定値221が第2の所定のヒステリシス限界値H+を超える状況に応答して交流電動機103に係船ロープ102を繰り出させるようになっている。第2の所定のヒステリシス限界値H+は第1の所定のヒステリシス限界値H−よりも大きい。本明細書では、交流電動機103の回転速度の符号は、交流電動機103が正方向に回転する時に係船ロープ102が巻き上げられる、即ち係船ロープ張力が増加されるように選ばれている。従って、速度基準222を正にすることによって係船ロープ102を巻き上げることができ、速度基準222を負にすることによって係船ロープ102を繰り出すことができる。図3aに示す例示的状況においては、時点(time instant)t1においてトルク推定値がヒステリシス限界値H+を超え、従って、係船ロープ張力を減少させるために速度基準222が負にされる。時点t3においてトルク推定値がヒステリシス限界値H−を下回り、従って、係船ロープ張力を増加させるために速度基準222が正にされる。
図3bは、例示的状況における本発明の実施形態による係船ウインチの動作を示す。曲線221はトルク推定値を表し、曲線222は交流電動機103の速度基準を表す。なお、t0...t1+d1の期間及びt2+d2...t3+d3の期間においては、速度基準222は時間軸に一致している。
本発明の実施形態による係船ウインチにおいては、制御ユニット105(図1)は、トルク推定値221がヒステリシス限界値H−を下回った後で第1の所定の遅延時間d3が経過した状況に応答して交流電動機103(図1)に係船ロープ102(図1)を巻き上げさせ、トルク推定値221がヒステリシス限界値H+を超えた後で第2の所定の遅延時間d1が経過した状況に応答して交流電動機103に係船ロープ102を繰り出させるようになっている。図3bに示す例示的状況においては、トルク推定値は時点t1においてヒステリシス限界値H+を超え、従って、係船ロープ張力を減少させるために遅延時間d1の後に速度基準222が負にされる。時点t3においてトルク推定値がヒステリシス限界値H−を下回り、従って、係船ロープ張力を増加させるために遅延時間d3の後に速度基準222が正にされる。このような遅延時間のおかけで、例えば、ヒステリシス限界値H+及びH−のうちの一方の前後でトルク推定値221が変動する状況において、変動する可能性のある不必要な制御動作を避けることができる。
本発明の実施形態による方法においては、トルク推定値221(図3a)が第1の所定の限界値H−(図3a)を下回る状況に応答して、係船ロープ102を巻き上げるように交流電動機103が制御され、トルク推定値221(図3a)が第2の所定の限界値H+(図3a)を超える状況に応答して、係船ロープ102を繰り出すように交流電動機103が制御され、第2の所定の限界値は第1の所定の限界値よりも大きい。
本発明の実施形態による方法においては、トルク推定値221(図3a)が所定の範囲R(図3a)内にある状況に応答して、交流電動機103の回転速度の基準値222(図3a)がゼロに設定され、この所定の範囲は、トルクの所定の設定値S(図3a)の前後である。
本発明の実施形態による方法においては、トルク推定値221(図3b)が第1の所定の限界値H−(図3b)を下回った後で第1の所定の遅延時間d3(図3b)が経過した状況に応答して、係船ロープ102を巻き上げるように交流電動機103が制御され、トルク推定値221(図3b)が第2の所定の限界値H+(図3b)を超えた後で第2の所定の遅延時間d1(図3b)が経過した状況に応答して、係船ロープ102を繰り出すように交流電動機103が制御され、第2の所定の限界値は第1の所定の限界値よりも大きい。
本発明の実施形態による方法においては、トルク推定値221(図3b)が所定の範囲R内に入った後で所定の遅延時間d2(図3b)が経過した状況に応答して、交流電動機103の回転速度の基準値222(図3b)がゼロに設定され、この所定の範囲は、トルクの所定の設定値S(図3b)の前後である。
本発明の実施形態による方法においては、トルクの所定の設定値S(図3a及び図3b)は、トルクの目標値についての上限値であり、トルクの目標値は、交流電動機103の回転速度を制御する速度制御装置の出力である。
Claims (1)
- 係船ロープを巻き取るための巻取りドラムと、前記巻取りドラムを駆動する交流電動機と、前記交流電動機に電力を供給する周波数変換ユニットとを含む係船ウインチの係船ロープ張力を制御するための方法であって、該方法は、前記係船ロープの張力についての指標に基づいて前記周波数変換ユニットを制御すること(304)を含み、該方法が更に、− 前記交流電動機の回転速度の基準値を所定値にセットすることと、− 前記係船ウインチのブレーキを解除することと、− 所定期間について一方の方向で前記交流電動機を駆動することと、− 前記電動機のトルクの第1の値を定義することと、− 別の所定期間について反対方向で前記交流電動機を運転することと、− 前記電動機のトルクの第2の値を定義することと、− 前記トルクの第1および前記第2の値を用いてトルク推定値を計算することをさらに含むことを特徴とする方法。
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