JP2011217453A - 回転電気機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロータコア及びステータコアの少なくとも一方が積層構造を有し、これらのコア間に立体ギャップを形成した回転電気機械において、渦電流損の増大を抑えつつ、積層方向の磁気吸引力による積層板の剥離や変形を防止する。
【解決手段】ステータコア(30)及びロータコア(41)が、互いに対向して両コア(30,41)間に径方向及び軸方向のギャップ(G)を形成する凹凸部(38,46)をそれぞれ有した回転電気機械において、ロータコア(41)及びステータコア(30)の少なくとも一方は、複数の積層板(33,43)が積層された積層構造とし、かつ所定の積層板(33,43)同士を固定する溶接部(W)(固定部)を設ける。そして、固定部(W)は、凹凸部(38,46)の頂面(46a,46b)に周方向に飛び飛びに設け、少なくとも積層側表面側の2つの積層板(33,43)同士を積層方向に固定する。
【選択図】図8

Description

本発明は、ロータコア及びステータコアの少なくとも一方が積層構造を有し、これらのコア間に立体ギャップが形成された、モータ等の回転電気機械に関するものである。
モータなどの回転電気機械では、ロータとステータの間のギャップを、いわゆる立体ギャップ構造とすることで、等価的にギャップ長を短縮したのと同等の特性となる効果(等価狭ギャップ効果)を期待でき、この等価狭ギャップ効果によって、トルクを代表とする、モータの各種特性の改善を期待できることが知られている。(例えば非特許文献1を参照)。
真田雅之、伊藤圭祐、森本茂雄、"等価狭ギャップ効果の高い立体ギャップ構造の開発"、2009年、電気学会論文誌D(産業応用部門誌)Vol.129 (2009),No.12 p.1228-1229
しかしながら、回転電気機械のロータやステータを構成するコアには電磁鋼板を積層した積層構造を有しているものがあり、積層構造のコアに上記文献に記載されたような立体ギャップ構造を採用すると次の点が懸念される。すなわち、立体ギャップ構造では、電磁鋼板(積層板)の積層方向にロータとステータとが対向しあう部分があり、この対向部分では積層方向に磁気吸引力が作用する。そのため、この部分では電磁鋼板が剥離したり、変形したりする可能性がある。そして、その剥離や変形が大きくなると、回転時にロータとステータが互いに接触する可能も考えられる。これに対しては、コアを一体構造とすることも考えられるが、一体構造では渦電流損が増大する場合がある。
本発明は前記の点に着目してなされたものであり、ロータコアとステータコアとの間に立体ギャップを採用した回転電気機械において、渦電流損の増大を抑えつつ、ロータコアもしくはステータコアの積層方向の磁気吸引力による積層板の剥離や変形を防止することを目的としている。
前記の課題を解決するため、積層構造のロータコア(41)において、所定の積層板(43)同士を部分的に固定するようにした。
例えば、第1の発明は、
ステータ(20)を形成するステータコア(30)及びロータ(40)を形成するロータコア(41)が、互いに対向して両コア(30,41)間に径方向及び軸方向のギャップ(G)を形成する凹凸部(38,46)をそれぞれ有した回転電気機械において、
前記ロータコア(41)及び前記ステータコア(30)の少なくとも一方は、複数の積層板(33,43)が積層された積層構造を有し、かつ所定の積層板(33,43)同士を固定する固定部(W)が設けられ、
前記固定部(W)は、前記凹凸部(38,46)の頂面(46a,46b)に周方向に飛び飛びに設けられて、少なくとも積層側表面側の2つの積層板(33,43)同士を積層方向に固定していることを特徴とする。
この構成では、ロータコア(41)あるいはステータコア(30)において、少なくとも積層側表面側の2つの積層板(33,43)同士が積層方向に固定されるので、軸方向のギャップ(G)部分で、軸方向の磁気吸引力が作用しても、積層板(33,43)の剥離や変形が起こらないようにすることが可能になる。また、溶接部(W)は、上記のように部分的、より詳しくは頂面(38a,38b,46a,46b)毎に周方向に飛び飛びに設けてあるので、積層板(33,43)同士が電気的に繋がることによる渦電流の増大を最小限にとどめることができる。
また、第2の発明は、
第1の発明の回転電気機械において、
それぞれの固定部(W)は、直近の頂面(38a,38b,46a,46b)の固定部(W)とは、周方向位置が互いに異なっていることを特徴とする。
この構成では、渦電流が流れる流路がより長くなり、渦電流流路の電気抵抗がより大きくなる。
また、第3の発明は、
第1又は第2の発明の回転電気機械において、
前記固定部(W)は、溶接であることを特徴とする。
また、第4の発明は、
第3の発明の回転電気機械において、
前記溶接は線状であり、溶接方向が前記コア(30,41)の軸方向から傾斜していることを特徴とする。
この構成では、渦電流流路をより長くすることが可能になる。
また、第5の発明は、
第1又は第2の発明の回転電気機械において、
前記固定部(W)は、カシメであることを特徴とする。
第1の発明によれば、渦電流損の増大を抑えつつ、積層方向の磁気吸引力による積層板の剥離や変形を防止することが可能になる。
また、第2の発明によれば、渦電流流路の電気抵抗がより大きくなるので、この回転電気機械では渦電流損の増大を抑えることが可能になる。
また、第3の発明によれば、積層板(33,43)同士を容易に固定することが可能になる。
また、第4の発明によれば、渦電流流路の電気抵抗をより大きくし、渦電流の影響を低減させることが可能になる。
また、第5の発明によれば、積層板(33,43)同士を容易に固定することが可能になる。
図1は、本発明の実施形態に係るモータを適用した電動圧縮機の構成を模式的に示す縦断面図である。 図2は、本実施形態のロータ及びステータの構成を示す平面図である。 図3は、分割ステータコアの構成を示す斜視図である。 図4は、ロータの斜視図である。 図5は、ロータにおける磁石用スロット付近の平面図である。 図6は、ロータコアの側面図である。 図7は、ステータとロータとを組み合わせた状態の断面図である。 図8は、(A)が図5に対応したロータコアの縦断面図、(B)が側面図であり、溶接部位置を示している。 図9は、分割ステータコアにおける溶接部の位置を示す図である。 図10は、ロータコアにおける磁気吸引力の作用部位を示す図である。 図11は、ロータコアにおける溶接部の他の一例を示す図である。 図12は、ロータコアにおける溶接部のさらに他の一例を示す図であり、(A)が縦断面図、(B)が側面図である。 図13は、ロータコアにおける溶接部のさらに他の一例を示す図であり、(A)が縦断面図、(B)が側面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《概要》
図1は、本発明の実施形態に係るモータ(1)を適用した電動圧縮機(100)の構成を模式的に示す縦断面図である。このモータ(1)は、同図に示すように、ステータ(20)、ロータ(40)、及び駆動軸(60)を備え、空気調和機に用いる電動圧縮機(100)のケーシング(70)に収容されている。モータ(1)は、いわゆるIPM(Interior Permanent Magnet)モータであり、この例では電動圧縮機(100)内の圧縮機構機(80)を駆動する。
なお、以下の説明において、軸方向とは駆動軸(60)の軸心の方向をいい、径方向とは前記軸心と直交する方向をいう。また、外周側とは前記軸心からより遠い側をいい、内周側とは前記軸心により近い側をいう。また、積層位置とは、積層板(後述)の軸方向の位置をいう。
《ステータ(20)》
図2は、本実施形態のロータ(40)及びステータ(20)の構成を示す平面図である。ステータ(20)は、図2に示すように、円筒状のステータコア(30)と、コイル(32)を備えている。本実施形態のステータコア(30)は、3つの分割ステータコア(31)で形成されている。図3は、分割ステータコア(31)の構成を示す斜視図である。それぞれの分割ステータコア(31)は、複数の電磁鋼板(積層板(33))を軸方向に積層した積層コアである。分割ステータコア(31)では、積層板(33)同士が互いに部分的に固定されている。積層板(33)の固定部位、固定方法については後述する。
それぞれの分割ステータコア(31)は、図3に示すように、複数のティース部(34)、コアバック部(35)、及び歯先部(36)を備えている。それぞれのティース部(34)は、分割ステータコア(31)において径方向に伸びる部分である。これらのティース部(34)には、コイル(32)が巻回される。また、コアバック部(35)は、円弧状をしていて、各ティース部(34)を該ティース部(34)の外周側で連結している。なお、各ティース部(34)の間の空間が、コイル(32)が収容されるコイル用スロット(37)である。この例では、1つの分割ステータコア(31)には、12個のコイル用スロット(37)がある。
また、歯先部(36)は、それぞれのティース部(34)の内周側に連なる部分である。それぞれの歯先部(36)は、平面視が四辺形であり、ティース部(34)よりも幅が広い。これらの歯先部(36)は、図3に示すように、軸方向断面が、3条の凹部(38d)を有した凹凸構造である。以下では分割ステータコア(31)の凹凸構造部分をステータ側凹凸部(38)と呼び、このステータ側凹凸部(38)の外面のうち、最も外周側の面を底面、その他の面を頂面と呼ぶ。具体的には、このステータ側凹凸部(38)は、第1頂面(38a)、第2頂面(38b)、及び底面(38c)を有している。このような凹凸部(38)は、積層板(33)の積層位置に応じて、積層板(33)の歯先部(36)の形状(径方向の長さ)を変化させることで形成できる。
コイル(32)は、いわゆる分布巻きにより、各ティース部(34)に巻回されている(図2を参照)。このコイル(32)に所定の電力を供給することで、ステータ(20)に回転磁界を発生させることができる。
《ロータ(40)》
図4は、ロータ(40)の斜視図である。このロータ(40)は、同図に示すように、ロータコア(41)と、複数の磁石(42)(この例では6つ)を備えている。ロータコア(41)は、複数の電磁鋼板(積層板(43))を軸方向に積層した積層コアであり、円筒状の形態を有している。このロータコア(41)では、積層板(43)同士が互いに部分的に固定されている。積層板(43)の固定部位、固定方法については後述する。
このロータコア(41)の中心には、駆動軸(60)を挿入する軸穴(47)が形成されている。また、ロータコア(41)には、磁石(42)をそれぞれ収容する、複数の磁石用スロット(44)が形成されている。それぞれの磁石用スロット(44)は、軸穴(47)の軸心回りに60°ピッチで配置されている。そして、それぞれの磁石用スロット(44)は、平面視(軸穴(47)の軸方向視)で略U字状をしていて、このロータコア(41)を軸方向に貫通している。また、それぞれの磁石用スロット(44)の両端は、ロータコア(41)の外周付近まで延びている。なお、ロータコア(41)では、磁石用スロット(44)の端の部分(外周で細くなった部分。図4参照)をブリッジ部(44a)と呼ぶことにする。
図5は、ロータ(40)における磁石用スロット(44)付近の平面図である。磁石(42)は、図5に示すように、磁石用スロット(44)の中央付近に保持されている。この磁石(42)の全長は、磁石用スロット(44)の全長よりも短く、各磁石用スロット(44)の両端部分には、磁石(42)を収容した状態で空隙(45)がそれぞれ形成されている。なお、図5に示した一点鎖線は、磁石(42)の磁極中心(L)を示すラインである。
図6は、ロータコア(41)の側面図である。ロータコア(41)には、図6に示すように、軸方向断面が、3条の凸部(46d)を有した凹凸構造である。以下ではロータコア(41)の凹凸構造部分をロータ側凹凸部(46)と呼び、このロータコア(41)の周方向側外面のうち、最も内周側の面を底面、その他の面を頂面と呼ぶ。具体的には、このロータ側凹凸部(46)は、図6に示すように、第1頂面(46a)、第2頂面(46b)、及び底面(46c)を有している。このような凹凸部(46)は、積層板(43)の積層位置に応じて、積層板(43)の形状(直径)を変化させることで形成できる。
このロータ側凹凸部(46)は、ロータ(40)をステータ(20)に組み合わせた際に、ステータ(20)のステータ側凹凸部(38)とそれぞれ対向するようになっている。図7は、ステータ(20)とロータ(40)とを組み合わせた状態の断面図である。図7に示すように、ロータコア(41)の第1頂面(46a)と分割ステータコア(31)の底面(38c)、ロータコア(41)の第2頂面(46b)と分割ステータコア(31)の第2頂面(38b)、ロータコア(41)の底面(46c)と分割ステータコア(31)の第1頂面(38a)がそれぞれ対向する。これにより、ステータ(20)(ステータコア(30))とロータ(40)(ロータコア(41))との間には、径方向及び軸方向のギャップ(立体ギャップ)が形成される。この例では、ギャップ(G)の大きさは、径方向、軸方向ともに0.3mmである。
《積層板同士の固定》
既述の通り、ロータコア(41)及び分割ステータコア(31)では、積層板(33,43)同士が互いに部分的に固定されている。本実施形態では、積層板(33,43)の固定方法はロータコア(41)と分割ステータコア(31)では概ね同様であるので代表でロータコア(41)での固定方法を説明する。
図8は、(A)が図5に対応したロータコア(41)の縦断面図、(B)が側面図であり、後述の溶接部(W)位置を示している。図8(B)では、段差部分の積層板(43)同士の境界(合わせ面)を実線で示し、その他の積層板(43)同士の境界を破線で示してある。ロータコア(41)では、図8に示すように、少なくとも積層側表面側の2つの積層板(43)同士を積層方向に固定する溶接部(W)が設けられている。この溶接部(W)は、本発明の固定部の一例である。
この溶接部(W)は、より詳しくは、ロータ側凹凸部(46)の頂面(46a,46b)の単位で設けられ、それぞれの溶接部(W)は、各頂面(46a,46b)上において、軸方向の端から端まで線状に一直線に伸びている(溶接部(W)は図8では太線で示してある。以下同様)。また、溶接部(W)の周方向位置は、種々に選択可能であるが、各コア(30,41)間に働く磁気吸引力に応じて定めるのが好ましい。この例では、溶接部(W)の周方向の位置は、磁石(42)の磁極中心(L)と、該磁極中心(L)を基準に見て回転方向側(図5参照。図5では磁極中心(L)の右側)となるブリッジ部(44a)との間としている。これは、磁石(42)の磁極中心(L)と、回転方向側のブリッジ部(44a)との間にトルクを発生させるための磁束が集中し、軸方向に作用する磁力がより大きくなると考えられるからである。この例では、各段の溶接部(W)は一直線に並んでいる(図8を参照)。この溶接方法に限定はないが、例えばレーザー溶接を採用できる。
なお、図9は、分割ステータコア(31)における溶接部(W)の位置を示す図であり、(A)が歯先部(36)の平面図、(B)が(A)に対応した側面図、(C)が縦断面図である。図9(A)の一点鎖線はティース部(34)の中心線(L2)である。また、図9(B)では、段差部分の積層板(33)同士の境界(合わせ面)を実線で示し、その他の積層板(33)同士の境界を破線で示してある。分割ステータコア(31)でも、溶接部(W)は、ステータ側凹凸部(38)の頂面(38a,38b)の単位で設けられ、それぞれの溶接部(W)は、各頂面(38a,38b)上において、軸方向の端から端まで線状に一直線に伸びている。
また、分割ステータコア(31)でも、溶接部(W)の周方向側の位置は種々に選択可能であるが、ティース中心線(L2)よりもロータ回転方向反対側(図9ではティース中心線(L2)よりも右側)に溶接部(W)を設けるのが好ましい。これは、ステータコア(30)ではロータ回転方向反対側の歯先部(36)にトルク発生のための磁束が集中し、軸方向(積層板(33)の剥離方向)に作用する磁力がより大きくなるからである。
《モータ(1)における効果》
このモータ(1)では、コイル(32)に電力を供給して運転状態にすると、ステータ(20)とロータ(40)との軸方向対向部分において、軸方向に磁気吸引力が発生する。これにより、モータ(1)では、分割ステータコア(31)の積層板(33)同士、及びロータコア(41)の積層板(43)同士を、それぞれ剥離もしくは変形させる方向に力が作用する。図10は、ロータコア(41)における磁気吸引力の作用部位を示す図である。図10において、ロータコア(41)には太線(F)で示した面に磁気吸引力が作用し、ステータコア(30)も太線(F)の部位に対応した面に磁気吸引力作用する。
しかしながら、本実施形態では、ロータコア(41)の積層板(43)同士が溶接部(W)で固定され、ステータコア(30)でも積層板(33)同士が溶接部(W)で固定されている。したがって、本実施形態によれば、軸方向に磁気吸引力が作用しても、ステータ(20)やロータ(40)において、積層板(33,43)の剥離や変形が起こらないようにすることが可能になる。
また、溶接部(W)は、前記のように部分的、より詳しくは頂面(38a,38b,46a,46b)毎に制限してあるので、積層板(33,43)同士が電気的に繋がることによる渦電流損の増大を最小限にとどめることができる。このように、本実施形態によれば、渦電流損の増大を抑えつつ、積層方向の磁気吸引力による積層板の剥離や変形を防止することが可能になる。すなわち、本実施形態では、溶接部(W)(固定部)を設ける位置を工夫することで、機械的な信頼性と、モータとしての特性確保の両立を図っているのである。
しかも、各段の溶接部(W)は一直線なので、溶接作業が容易であり、製造コストの増大も小さい。
《その他の実施形態(変形例)》
図11は、ロータコア(41)における溶接部(W)の他の一例を示す図であり、(A)が側面図、(B)が縦断面図である。図11でも、段差部分の積層板(43)同士の境界(合わせ面)を実線で示し、その他の積層板(43)同士の境界を破線で示してある(以下同様)。図11の例では、ロータコア(41)や分割ステータコア(31)のそれぞれの溶接部(W)は、直近の頂面(46a,46b)の溶接部(W)とは、周方向の位置が互いに異なるようにしてある。このようにすることで、渦電流が流れる流路がより長くなり、渦電流流路の電気抵抗がより大きくなる。その結果、モータ(1)では渦電流損の増大を抑えることが可能になる。
また、ロータコア(41)や分割ステータコア(31)の各溶接部(W)は、必ずしも、前記のように頂面の端から端まで設ける必要はない。両コア(30,41)間に働く磁気吸引力に応じて、固定する範囲を適宜定めればよいのである。そのため、ロータコア(41)や分割ステータコア(31)では、頂面の一部に溶接部(W)を設ければよい場合もある。例えば、図12は、ロータコア(41)における溶接部(W)のさらに他の一例を示す図であり、(A)が縦断面図、(B)が側面図である。これは、積層側表面の2枚の積層板に溶接部(W)を設けた例である。この例のように、用途によっては、積層側表面の2枚の積層板(43)(図12を参照)を互いに固定するようにして、何れの積層板(43)とも溶接(固定)されていない積層板(43)があってもよい。
また、図13は、ロータコア(41)における溶接部(W)のさらに他の一例を示す図であり、(A)が縦断面図、(B)が側面図である。この例では、溶接部(W)は、軸方向から傾斜している。こうすることで、渦電流流路を長くして電気抵抗をより大きくし、渦電流の影響を低減させることが可能になる。分割ステータコア(31)でもこのような傾斜した溶接部(W)とすることで、同様の効果を得ることが可能になる。
また、ステータコア(30)側には、固定部(溶接部(W))が不要な場合もある。これは、ステータコア(30)は、ロータコア(41)のブリッジ部(44a)のような強度が小さくなる箇所がないので、強度の観点からは、磁気吸引力による影響がロータコア(41)よりも小さいと考えられるからである。すなわち、ステータコア(30)側の固定部(W)の要否は、ステータコア(30)に作用する磁気吸引力の大きさに応じて適宜判断すればよいのである。
また、ステータコア(30)及びロータコア(41)の一方を、例えば圧粉で形成することも可能である。
また、溶接部(W)は固定部の一例であり、他の方法で積層板(33,43)同士を固定してもよい。例えば、積層板(33,43)同士は、溶接部(W)の代わりに、接着によって固定してもよし、カシメによって積層板(33,43)同士を固定することも可能である。カシメ構造を採用する場合にも、その位置や範囲は溶接部(W)と同様の観点で定めればよい。ただし、上記実施形態で説明した溶接部(W)の位置や範囲(数)は例示である。すなわち、溶接部(W)やカシメの位置などは、種々の選択が可能である。渦電流損の観点からは、積層板(33,43)の固定箇所が部分的であることが重要である。
また、ギャップ(G)の大きさも例示である。また、ギャップ(G)は、軸方向と径方向が異なる大きさでもよい。
また、上記実施形態や変形例で説明したロータやステータの構造は、発電機に採用してもよい。
また、コイル(32)は集中巻きにしてもよい。
また、上記固定部(W)を設ける構造は、例えばリラクタンスモータに適用することも可能である。
本発明は、ロータコア及びステータコアの少なくとも一方が積層構造を有し、これらのコア間に立体ギャップが形成された、モータ等の回転電気機械として有用である。
1 モータ(回転電気機械)
20 ステータ
31 ステータコア
33 積層板
38 ステータ側凹凸部(凹凸部)
38a 第1頂面(頂面)
38b 第2頂面(頂面)
40 ロータ
41 ロータコア
43 積層板
46 ロータ側凹凸部
46a 第1頂面(頂面)
46b 第2頂面(頂面)
W 溶接部(固定部)

Claims (5)

  1. ステータ(20)を形成するステータコア(30)及びロータ(40)を形成するロータコア(41)が、互いに対向して両コア(30,41)間に径方向及び軸方向のギャップ(G)を形成する凹凸部(38,46)をそれぞれ有した回転電気機械において、
    前記ロータコア(41)及び前記ステータコア(30)の少なくとも一方は、複数の積層板(33,43)が積層された積層構造を有し、かつ所定の積層板(33,43)同士を固定する固定部(W)が設けられ、
    前記固定部(W)は、前記凹凸部(38,46)の頂面(46a,46b)に周方向に飛び飛びに設けられて、少なくとも積層側表面側の2つの積層板(33,43)同士を積層方向に固定していることを特徴とする回転電気機械。
  2. 請求項1の回転電気機械において、
    それぞれの固定部(W)は、直近の頂面(38a,38b,46a,46b)の固定部(W)とは、周方向位置が互いに異なっていることを特徴とする回転電気機械。
  3. 請求項1又は請求項2の回転電気機械において、
    前記固定部(W)は、溶接であることを特徴とする回転電気機械。
  4. 請求項3の回転電気機械において、
    前記溶接は線状であり、溶接方向が前記コア(30,41)の軸方向から傾斜していることを特徴とする回転電気機械。
  5. 請求項1又は請求項2の回転電気機械において、
    前記固定部(W)は、カシメであることを特徴とする回転電気機械。
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