JP2011187843A - 多層回路基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性を劣化させることなく、導体パターンの変形や位置ズレおよび導体パターンの周りでの空隙発生が起き難い多層回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して相互に貼り合わせる多層回路基板の製造方法であって、前記樹脂フィルムが、結晶性の第1基材10からなり、導体パターンPが形成された第1樹脂フィルム10a,10bと、結晶化転移に伴い弾性率に極小が現れる非結晶の第2基材30からなり、導体パターンPが形成されていない第2樹脂フィルム30a〜30cとからなり、第1樹脂フィルム10a,10bの導体パターンPが形成された面に対向して第2樹脂フィルム30a〜30cを積層配置し、加熱加圧により第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cを相互に貼り合わせる多層回路基板100の製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法に関する。
片面に金属箔からなる導体パターンが形成された樹脂フィルムを複数枚積層し、該積層体を加熱加圧して樹脂フィルム同士を相互に接着する多層回路基板の製造方法が、例えば、特開2003−86948号公報(特許文献1)に開示されている。また、上記多層回路基板の製造方法において加熱加圧する際のプレス工法が、例えば、特開2003−273511号公報(特許文献2)に開示されている。
図10は、上記特許文献1と同様の従来の代表的な多層回路基板の製造方法を説明する図で、図10(a)〜(f)は、多層回路基板90の製造工程別の断面図である。
図10(a)〜(f)に示す多層回路基板90の製造方法では、最初に、図10(a)に示すように、加熱プレスによって、熱可塑性樹脂からなる基材1の樹脂フィルム20の片面に、金属(銅)箔2を貼り合わせる。次に、図10(b)に示すように、エッチングによって、銅箔2を所定の導体パターンPに加工する。次に、図10(c)に示すように、樹脂フィルム20の所定の位置に、レーザ加工で導体パターンPを底とする底付貫通穴Hを開ける。次に、図10(d)に示すように、底付貫通穴Hに導電ペースト4を充填する。これによって、片面に導体パターンPが形成され、底付貫通穴Hに導電ペースト4が充填された、熱可塑性樹脂からなる基材1の樹脂フィルム20が準備できる。
次に、図10(e)に示すように、上記と同様にして準備した樹脂フィルム20a〜20fを、図のように途中で反転させて積層する。最後に、上記積層体を熱プレス板により、基材1の融点直下の温度で加熱加圧して、樹脂フィルム20a〜20fの形状を保持したまま、隣接する樹脂フィルム20a〜20f同士を相互に貼り合わせる。これにより、図10(f)に示すように、熱可塑性樹脂からなる基材1の隣接する樹脂フィルム20a〜20f同士が相互に貼り合わされ一体化すると共に、底付貫通穴H内に充填された導電ペースト4が焼結して接続導体4aとなり、各層の導体パターンP同士が電気的に接続される。
以上の工程によって、図10(f)に示す多層回路基板90が製造される。
上記多層回路基板90の製造方法によれば、加熱加圧により、積層した複数枚の樹脂フィルム20a〜20fが一括して接着され、また同時に導電ペースト4が焼結して接続導体4aとなり配線回路が形成されるため、各層を一層ずつ形成して多層化する多層回路基板の製造方法に較べて、多層化工程が短くて済む。このため、図10(f)に示す多層回路基板90を、安価に製造することができる。
また、特許文献2に開示されたプレス工法では、例えば図10(e)に示す樹脂フィルム20a〜20fの積層体を加熱加圧する際に、熱プレス板と導体パターンPが形成された樹脂フィルム20a〜20fの積層体の間に、緩衝効果を有するプレス用部材(緩衝材)を介在させる。これによって、導体パターンPの存在による積層体の厚さ分布をキャンセルして、全体に均一な圧力を印加することができる。このため、各樹脂フィルム20a〜20fに形成されている導体パターンPの相互の位置ズレ等を抑制することができ、製品歩留まりを高めることができる。
特開2003−86948号公報 特開2003−273511号公報
図10の多層回路基板90の製造方法において使用している樹脂フィルム20a〜20fの基材1は、耐熱性の高い熱可塑性樹脂であり、樹脂フィルム20a〜20fの多層化熱プレスは、基材1が軟化する300℃以上の高温で実施する。このため、導体パターンPの位置ズレ等を抑制するための特許文献2に開示された緩衝材については、より高温の耐熱性が必要で、非常に高価であるためコストの増大要因となっている。
また、近年、上記樹脂フィルムの積層数の増大に伴って導体パターンPの存在による積層体の厚さ分布も増大する傾向にあり、緩衝材だけでは厚さ分布をカバーして全体に均一な圧力を印加することができなくなってきている。例えば、12μmの銅箔を用いて導体パターンPを形成した樹脂フィルムを25枚積層して多層回路基板を製造する場合においては、積層体の各位置において、最大で12×25=300μmの厚さ分布が生じる。このため、積層体の加圧面内において各層の導体パターンPが重なる割合の大きく異なる領域が存在すると、緩衝材だけではプレス圧力を均一にかけることができず、導体パターンPの変形や相互の位置ズレが起きたり、導体パターンPの周りで基材1の回り込み不足による空隙が発生したりする。
そこで本発明は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法であって、耐熱性を劣化させることなく、導体パターンの変形や位置ズレおよび導体パターンの周りでの空隙発生が起き難い多層回路基板の製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法であって、前記樹脂フィルムが、結晶性の第1基材からなり、表面に金属箔からなる導体パターンが形成された第1樹脂フィルムと、結晶化転移に伴い弾性率に極小が現れる非結晶の第2基材からなり、表面に金属箔からなる導体パターンが形成されていない第2樹脂フィルムとからなり、前記第1樹脂フィルムの前記導体パターンが形成された面に対向して、前記第2樹脂フィルムを積層配置し、加熱加圧により、前記第1樹脂フィルムと前記第2樹脂フィルムを相互に貼り合わせることを特徴としている。
上記多層回路基板の製造方法は、2種類の樹脂フィルムを使用するものである。すなわち、導体パターンが形成された結晶性の第1基材からなる第1樹脂フィルムと、導体パターンが形成されていない非結晶の第2基材からなる第2樹脂フィルムである。上記製造方法においては、第1樹脂フィルムの導体パターンが形成された面に対向して第2樹脂フィルムを積層配置し、加熱加圧により第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムを相互に貼り合わせる。
第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムの上記積層体を加熱加圧するに際して、結晶性の第1基材からなる第1樹脂フィルムは、第1基材の弾性率が温度の上昇と共に漸減し、第1基材の融点に至るまで徐々に柔らかくなる。一方、非結晶の第2基材からなる第2樹脂フィルムは、第2基材の融点に至る温度上昇の途中で結晶化転移を伴い、第2基材の弾性率に極小が現れる。すなわち、第2樹脂フィルムは、加熱加圧する際の温度上昇の過程で第2基材の結晶化転移が開始すると、急激に弾性率が低下して軟化する。弾性率の極小点を過ぎて結晶化転移が終了し、結晶性を有した状態に変化した後では、第2基材は、結晶性の第1基材と同様に温度上昇に伴って弾性率が漸減し、融点に至るまで徐々に柔らかくなる。
上記多層回路基板の製造方法は、加熱加圧する際の昇温過程における上記第1基材と第2基材の弾性率変化の違いを利用するものである。すなわち、融点に至るまで徐々に柔らかくなる結晶性の第1基材の表面に導体パターンを配置し、これを第1樹脂フィルムとして、加熱加圧時の昇温過程で導体パターンの変形や位置ズレが起き難い状態にしておく。一方、融点に至る昇温途中で結晶化転移に伴う弾性率の極小が現れる非結晶の第2基材の表面には導体パターンを形成せず、これを第2樹脂フィルムとして、第1樹脂フィルムの導体パターンが形成された面に対向して積層配置する。該第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムの積層体を加熱加圧すると、第1樹脂フィルムがあまり軟化せず、導体パターンの変形や位置ズレが起き難い昇温途中の早い段階で、第2樹脂フィルムの第2基材を結晶化転移させることができる。この時、第2樹脂フィルムの第2基材は、弾性率が急激に減少して、流動化し易い状態になる。これによって、第1樹脂フィルムに形成されている導体パターンは初期の形状や位置を維持したまま、軟化して流動化した第2樹脂フィルムの第2基材が、第1樹脂フィルムの導体パターンの周りにおける段差を埋める。
上記第2樹脂フィルムの第2基材の結晶化転移が終了した後、引き続き第1樹脂フィルムの第1基材の融点と第2樹脂フィルムの第2基材の融点のいずれか低いほうの融点直下まで昇温して、該第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムを相互に貼り合わせて多層回路基板を製造する。上記製造方法によって製造された多層回路基板において、初期の第2基材からなる絶縁基材の各部は、不可逆的に結晶状態が変化しており、結晶性を有している。このため、全体として結晶性の絶縁基材からなる該多層回路基板は、高い耐熱性を有している。すなわち、上記多層回路基板の製造方法は、第2基材の結晶化転移に伴う弾性率の極小を利用するものであり、低融点で軟化する基材(樹脂フィルム)を採用するものではない。このため、製造される多層回路基板においては、高い耐熱性を確保することができる。
以上のようにして、上記多層回路基板の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法であって、耐熱性を劣化させることなく、導体パターンの変形や位置ズレおよび導体パターンの周りでの空隙発生が起き難い多層回路基板の製造方法とすることができる。
上記多層回路基板の製造方法における前記第1基材と前記第2基材は、例えば請求項2に記載のように、いずれも、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)と該ポリエーテルエーテルケトン樹脂と完全相溶系をなすポリエーテルイミド樹脂(PEI)の混合材からなる構成とすることができる。
ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂(PEI)の混合材からなる第1基材と第2基材は、電気的特性や耐薬品性等の基本特性に優れると共に、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂の含有濃度を変えるだけで、第1基材と第2基材の融点を、結晶性と独立して適宜所望の値に設定することができる。
例えば請求項3に記載のように、前記第2基材おけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度が、前記第1基材おけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度より大きい構成とする。この場合には、第2基材の融点が、第1基材の融点に較べて低くなる。
例えば請求項4に記載のように、前記第2基材におけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度が、70重量%より大きく、前記第1基材におけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度が、70重量%より小さいように設定する。この場合には、貼り合わせ温度域を310℃前後(±10℃程度)に設定することができ、該貼り合わせ温度域で第1樹脂フィルムと第2樹脂フィルムの貼り合わせおよび導体パターン間の接続導体の焼結を、一括して行うことができる。
また、上記多層回路基板の製造方法においては、例えば請求項5に記載のように、前記第1基材と前記第2基材を、同一組成の基材とすることもできる。これによれば、第1基材と第2基材の熱膨張率等の物性が加熱加圧後において等しくなるため、均一な絶縁基材を有する多層回路基板を製造することができる。
上記多層回路基板の製造方法において、第1樹脂フィルムに形成されている前記導体パターンは、第2樹脂フィルムと対向して貼り合わされるため、製造される多層回路基板の内層の導体パターンとなる。
一方、該多層回路基板の両側表面に形成する導体パターンは、積層体の最外層を第1樹脂フィルムとして加熱加圧による貼り合わせ前に形成しておいてもよい。しかしながら、請求項6に記載のように、前記樹脂フィルムの積層体の最外層として、パターン化されていない金属箔が配置されてなる構成とすることがより好ましい。これによれば、該積層体を、熱プレス板によって、より均一に加熱加圧することができる。その後、均一にプレスされて製造された多層回路基板の両側表面にある金属箔を、所定の導体パターンにエッチング加工する。
以上説明したように、上記多層回路基板の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法であって、耐熱性を劣化させることなく、導体パターンの変形や位置ズレおよび導体パターンの周りでの空隙発生が起き難い多層回路基板の製造方法となっている。
従って、上記多層回路基板の製造方法においては、加熱加圧の際に高価な緩衝材を用いることなく、請求項7に記載のように、前記積層体の最外層に配置された金属箔に対して、熱プレス板を直接接触させて、加熱加圧することが好ましい。
上記多層回路基板の製造方法においては、例えば請求項8に記載のように、前記第1樹脂フィルムが、前記第1基材の両側表面に前記導体パターンが形成されてなる、両面導体パターンフィルムである構成とすることができる。この場合には、請求項9に記載のように、前記第2樹脂フィルムにおいて、前記第1樹脂フィルムの前記導体パターンと対向する位置に、導電材料が埋め込まれた貫通穴が形成されてなる構成とすることが好ましい。これによれば、第2樹脂フィルムを、第1樹脂フィルムに形成されている導体パターンの周りの段差埋め込みに用いるだけでなく、隣り合った層にある導体パターン間を接続する回路要素の接続導体の保持層として利用することができる。
一方、上記多層回路基板の製造方法においては、請求項10に記載のように、前記第1樹脂フィルムが、前記第1基材の片側表面に前記導体パターンが形成されてなる、片面導体パターンフィルムである構成とすることもできる。この場合には、請求項11に記載のように、前記第2樹脂フィルムにおいて、前記第1樹脂フィルムの前記導体パターンと対向する位置に、該導体パターンより小さな幅で、貫通穴が形成されてなることが好ましい。該貫通穴を適宜形成することにより、結晶化転移に伴う第2樹脂フィルムの第2基材の流動化時において、第1樹脂フィルムに形成されている導体パターンの周りの段差埋め込みに必要な第2基材の移動量を小さくして、導体パターンの変形や位置ズレをより小さくすることができる。
上記多層回路基板の製造方法においては、例えば請求項12に記載のように、前記第1基材と前記第2基材が、同一厚さの基材である構成とすることができる。これによれば、第1基材と第2基材を異なる厚さとする場合に較べて、第1基材と第2基材の製造コストを低減することができる。
また、上記多層回路基板の製造方法においては、請求項13に記載のように、前記第1基材が、ガラス繊維織布が埋め込まれてなる基材であり、前記第1基材が、前記ガラス繊維織布を前記第2基材の間に挟み込んで加熱加圧することにより形成されてなる構成とすることも可能である。この場合にも、上記第1基材が第2基材を用いて形成されるため、第1基材と第2基材の製造コストを低減することができる。
本発明に係る多層回路基板の製造方法の一例を示す図で、(a)は、多層回路基板100の製造途中における樹脂フィルム10a,10b,30a〜30cの積層配置を示す模式的な断面図であり、(b)は、製造された多層回路基板100の模式的な断面図である。 図1(a)の第1基材10と第2基材30の具体例であるPEEK/PEI=30/70(結晶性)とPEEK/PEI=30/70(非結晶)について、昇温過程における動的弾性率の変化の様子を測定した図である。 図2のPEEK/PEI=30/70(結晶性)とPEEK/PEI=30/70(非結晶)に追加して、異なる組成のPEEK/PEI=20/80(非結晶)とPEEK/PEI=40/60(非結晶)の昇温過程における動的弾性率の変化の様子を比較して示した図である。 第2樹脂フィルムの製造方法の一例を示す図で、(a)〜(c)は、図1(a)にある第2樹脂フィルム30aを例とした、製造工程別の断面図である。 第1樹脂フィルムの製造方法の一例を示す図で、(a)〜(e)は、図1(a)にある第1樹脂フィルム10bを例とした、製造工程別の断面図である。 別の多層回路基板の製造例を示す図で、(a)は、多層回路基板101の製造途中における樹脂フィルム12a,12b,30a〜30cの積層配置を示す模式的な断面図であり、(b)は、製造された多層回路基板101の模式的な断面図である。 製造された多層回路基板101の断面を電子顕微鏡により観察した、SEM写真である。 (a)〜(f)は、図6(a)にある第1樹脂フィルム12bを例とした、第1樹脂フィルムの製造工程別の断面図である。 本発明に係る製造方法の別の例を示す図で、(a)は、多層回路基板110の製造途中における樹脂フィルム20a〜20f,31a〜31dの積層配置を示す模式的な断面図であり、(b)は、製造された多層回路基板110の模式的な断面図である。 特許文献1と同様の従来の代表的な多層回路基板の製造方法を説明する図で、(a)〜(f)は、多層回路基板90の製造工程別の断面図である。
本発明は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する、多層回路基板の製造方法に関する。以下、本発明を実施するための形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る多層回路基板の製造方法の一例を示す図で、図1(a)は、多層回路基板100の製造途中における樹脂フィルム10a,10b,30a〜30cの積層配置を示す模式的な断面図であり、図1(b)は、製造された多層回路基板100の模式的な断面図である。尚、図1に示す多層回路基板100の各部について、図10に示した多層回路基板90と同様の部分については、同じ符号を付した。図2は、図1(a)の第1基材10と第2基材30の具体例であるPEEK/PEI=30/70(結晶性)とPEEK/PEI=30/70(非結晶)について、昇温過程における動的弾性率の変化の様子を測定した図である。
図1に示す多層回路基板100は、熱可塑性樹脂からなる第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cの積層体を加熱加圧して、該第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cを相互に貼り合わせて製造する。
図1(a)に示すように、第1樹脂フィルム10a,10bは、結晶性の第1基材10からなり、表面に金属箔からなる導体パターンPが形成されている。尚、図1(a)に示す第1樹脂フィルム10a,10bは、第1基材10の両側表面に導体パターンPが形成された、両面導体パターンフィルムである。また、第1樹脂フィルム10a,10bの第1基材10における所定位置には、それぞれ、導電材料4bが埋め込まれた貫通穴が形成されており、該導電材料4bが焼結することによって両側表面に形成された導体パターンPが電気接続されるようになっている。
図1(a)に示す第2樹脂フィルム30a〜30cは、図2に示すように結晶化転移に伴い弾性率に極小が現れる、非結晶の第2基材30からなる。第1樹脂フィルム10a,10bと異なり、第2樹脂フィルム30a〜30cの表面には、金属箔からなる導体パターンPが形成されていない。尚、図1(a)に示す第2樹脂フィルム30a〜30cにおいても、第1樹脂フィルム10a,10bの導体パターンPと対向する所定の位置に、導電材料4bが埋め込まれた貫通穴が形成されている。
上記第1樹脂フィルム10a,10bの第1基材10と第2樹脂フィルム30a〜30cの第2基材30の具体例としては、いずれも、電気的特性や耐薬品性等の基本特性に優れる特徴を有した、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)と該ポリエーテルエーテルケトン樹脂と完全相溶系をなすポリエーテルイミド樹脂(PEI)の混合材からなる構成とする。また、上記第1基材10と第2基材30は、同一組成で、結晶化度だけが異なる構成としてもよい。図2に示す第1基材10のPEEK/PEI=30/70(結晶性)と第2基材30のPEEK/PEI=30/70(非結晶)は、PEEK/PEIの重量%が30/70の同一組成で、結晶化度だけが異なっている。すなわち、第1基材10のPEEK/PEI=30/70(結晶性)は、組織の3割程度が結晶化しており、第2基材30のPEEK/PEI=30/70(非結晶)は、組織全体が非結晶である。第1基材10と第2基材30の結晶化度の違いによって、同一組成ではあっても、図2に示すように、結晶性の第1基材10は温度上昇に伴って弾性率が漸減するのに対して、非結晶の第2基材30は結晶化転移に伴い弾性率に極小が現れる。
上記第1基材10からなり導体パターンPが形成されている第1樹脂フィルム10a,10bと第2基材30からなる第2樹脂フィルム30a〜30cについて、図1(a)に示すように、第1樹脂フィルム10a,10bの導体パターンPが形成された面に対向するように、第2樹脂フィルム30a〜30cを積層配置する。尚、図1(a)においては、第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cの積層体の最外層として、パターン化されていない金属箔2が配置されている。
次に、図1(a)に示す積層体を熱プレス板で加熱加圧して、第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cを一括して相互に貼り合わせる。また、この加熱加圧によって、図1(a)に示す導電材料4bが焼結して接続導体4cに変わり、異なる層にある導体パターンP間が電気接続される。この加熱加圧の際には、高価な緩衝材を用いることなく、図1(a)に示す積層体の最外層として配置されたパターン化されていない金属箔2に対して、熱プレス板を直接接触させて加熱加圧する。尚、積層体の最外層に第1樹脂フィルムのパターン化された金属箔2(導体パターンP)が配置される場合には、該金属箔2に対して熱プレス板を直接接触させて加熱加圧してもよい。
上記積層体の加熱加圧によって、図1(b)に示す多層回路基板100が製造される。尚、図1(b)の多層回路基板100の最外層となっている金属箔2を、所定形状の導体パターンPにエッチング加工することによって、多層回路基板100が完成する。
上記多層回路基板100の製造方法の特徴は、2種類の樹脂フィルムを使用する点にある。すなわち、導体パターンPが形成された結晶性の第1基材10からなる第1樹脂フィルム10a,10bと、導体パターンPが形成されていない非結晶の第2基材30からなる第2樹脂フィルム30a〜30cである。また、上記製造方法においては、第1樹脂フィルム10a,10bの導体パターンPが形成された面に対向して第2樹脂フィルム30a〜30cを積層配置し、加熱加圧により第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cを相互に貼り合わせる。
図1(a)に示す第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cの積層体を加熱加圧するに際して、結晶性の第1基材10からなる第1樹脂フィルム10a,10bは、図2に示すように、第1基材10の弾性率が温度の上昇と共に漸減し、第1基材10の融点に至るまで徐々に柔らかくなる。一方、非結晶の第2基材30からなる第2樹脂フィルム30a〜30cは、図2に示すように、第2基材30の融点に至る温度上昇の途中で結晶化転移を伴い、第2基材30の弾性率に極小が現れる。すなわち、第2樹脂フィルム30a〜30cは、加熱加圧する際の温度上昇の過程で第2基材30の結晶化転移が開始すると、急激に弾性率が低下して軟化する。弾性率の極小点を過ぎて結晶化転移が終了し、結晶性を有した状態に変化した後では、第2基材30は、結晶性の第1基材10と同様に温度上昇に伴って弾性率が漸減し、融点に至るまで徐々に柔らかくなる。
図1に示す多層回路基板100の製造方法は、加熱加圧する際の昇温過程における上記第1基材10と第2基材30の弾性率変化の違いを利用するものである。すなわち、融点に至るまで徐々に柔らかくなる結晶性の第1基材10の表面に導体パターンPを配置し、これを第1樹脂フィルム10a,10bとして、加熱加圧時の昇温過程で導体パターンPの変形や位置ズレが起き難い状態にしておく。一方、融点に至る昇温途中で結晶化転移に伴う弾性率の極小が現れる非結晶の第2基材30の表面には導体パターンPを形成せず、これを第2樹脂フィルム30a〜30cとして、第1樹脂フィルム10a,10bの導体パターンPが形成された面に対向して積層配置する。該第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cの積層体を加熱加圧すると、図2に示すように、第1樹脂フィルム10a,10bがあまり軟化せず、導体パターンPの変形や位置ズレが起き難い昇温途中の早い段階で、第2樹脂フィルム30a〜30cの第2基材30を結晶化転移させることができる。この時、第2樹脂フィルム30a〜30cの第2基材30は、弾性率が急激に減少して、流動化し易い状態になる。これによって、第1樹脂フィルム10a,10bに形成されている導体パターンPは初期の形状や位置を維持したまま、軟化して流動化した第2樹脂フィルム30a〜30cの第2基材30が、第1樹脂フィルム10a,10bの導体パターンPの周りにおける段差を埋める。
上記第2樹脂フィルム30a〜30cの第2基材30の結晶化転移が終了した後、引き続き第1樹脂フィルム10a,10bの第1基材10の融点と第2樹脂フィルム30a〜30cの第2基材30の融点のいずれか低いほうの融点直下まで昇温して、該第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cを相互に貼り合わせて多層回路基板100を製造する。上記製造方法によって製造された図1(b)に示す多層回路基板100において、初期の第2基材30からなる基材の各部11a〜11cは、不可逆的に結晶状態が変化しており、結晶性を有している。このため、全体として結晶性の基材10,11a〜11cからなる図1(b)の多層回路基板100は、高い耐熱性を有している。すなわち、上記多層回路基板100の製造方法は、第2基材30の結晶化転移に伴う弾性率の極小を利用するものであり、低融点で軟化する基材(樹脂フィルム)を採用するものではない。このため、製造される多層回路基板100においては、高い耐熱性を確保することができる。
以上のようにして、図1に示す多層回路基板100の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム10a,10b,30a〜30cの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルム10a,10b,30a〜30cを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法であって、耐熱性を劣化させることなく、導体パターンPの変形や位置ズレおよび導体パターンPの周りでの空隙発生が起き難い多層回路基板の製造方法となっている。
図1の多層回路基板100の製造方法において、第1基材10と第2基材30は、結晶化度だけが異なる同一組成の基材であった。第1基材10と第2基材30は、これに限らず、結晶化度が異なれば、同一組成でなくてもよい。
図3は、図2のPEEK/PEI=30/70(結晶性)とPEEK/PEI=30/70(非結晶)に追加して、異なる組成のPEEK/PEI=20/80(非結晶)とPEEK/PEI=40/60(非結晶)の昇温過程における動的弾性率の変化の様子を比較して示した図である。
PEEKとPEIの混合材からなる第1基材10と第2基材30は、電気的特性や耐薬品性等の基本特性に優れると共に、PEEKとPEIの含有濃度を変えるだけで、第1基材10と第2基材30の融点を、結晶性と独立して適宜所望の値に設定することができる。
図1の第2樹脂フィルム30a〜30cを構成する第2基材30として、例えば、図3に示す融点の異なったPEEK/PEI=20/80(非結晶)やPEEK/PEI=40/60(非結晶)を採用することが可能で、これらの選択により第1樹脂フィルム10a,10bとの貼り合わせ温度を適宜設定することができる。
例えば、非結晶の第2基材30におけるPEIの含有濃度が、70重量%より大きく、結晶性の第1基材10におけるPEIの含有濃度が、70重量%より小さいように設定する。この場合には、貼り合わせ温度域を310℃前後(±10℃程度)に設定することができ、該貼り合わせ温度域で第1樹脂フィルム10a,10bと第2樹脂フィルム30a〜30cの貼り合わせおよび導体パターンP間の接続導体4bの焼結を、一括して行うことができる。
一方、第1基材10と第2基材30を結晶化度だけが異なる同一組成の基材とした場合には、第1基材10と第2基材30の熱膨張率等の物性が加熱加圧後において等しくなるため、均一な絶縁基材を有する多層回路基板100を製造することができる。
図1に示した多層回路基板100の製造方法は、第1樹脂フィルム10a,10bとして第1基材10の両側表面に導体パターンPが形成された両面導体パターンフィルムを採用し、第2基材30に導電材料4bが埋め込まれた第2樹脂フィルム30a〜30cを採用した構成となっていた。この構成によれば、第2樹脂フィルム30a〜30cを、第1樹脂フィルム10a,10bに形成されている導体パターンPの周りの段差埋め込みに用いるだけでなく、隣り合った層にある導体パターンP間を接続する回路要素の接続導体の保持層として利用することができる。
また、図1に示す多層回路基板100の製造方法において、第1樹脂フィルム10a,10bに形成されている導体パターンPは、第2樹脂フィルム30a〜30cと対向して貼り合わされるため、製造される多層回路基板100の内層の導体パターンPとなる。図1の多層回路基板100の製造方法においては、樹脂フィルム10a,10b,30a〜30cの積層体の最外層として、パターン化されていない金属箔2が配置された構成としていた。これによれば、該積層体を、熱プレス板によって、より均一に加熱加圧することができる。その後、均一にプレスされて製造された多層回路基板100の両側表面にある金属箔2を、所定の導体パターンPにエッチング加工していた。しかしながら、この製造方法に限らず、積層体の最外層を導体パターンのある第1樹脂フィルムとして、多層回路基板の両側表面に形成する導体パターンを、加熱加圧による貼り合わせ前に予め形成しておくようにしてもよい。
次に、図1の多層回路基板100の製造に用いた、第2樹脂フィルム30a〜30cと第1樹脂フィルム10a,10bの好ましい製造方法について説明する。
図4は、第2樹脂フィルムの製造方法の一例を示す図で、図4(a)〜(c)は、図1(a)にある第2樹脂フィルム30aを例とした、製造工程別の断面図である。
最初に、図4(a)に示す非結晶の第2基材30を準備する。次に、図4(b)に示すように、レーザ加工によって、第2基材30に貫通穴Hを形成する。最後に、図4(c)に示すように、貫通穴Hに導電材料4bを充填する。尚、第2基材30の貫通穴Hに充填する導電材料4bは、図10に示した導電ペースト4と異なり、室温より高い所定の温度で融解する導電材料であることが好ましい。例えば、金属フィラーとパラフィン等の低融点固体分散剤(室温では固体状態で低い温度で融解する)との混合物からなる導電材料4bを用い、加熱しながら第2基材30の貫通穴Hに充填する。充填した後で第2基材30を冷却すれば、導電材料4bが固化するため、第2樹脂フィルム30aの取り扱いが容易になる。
以上で、非結晶の第2樹脂フィルム30aが製造できる。
図5は、第1樹脂フィルムの製造方法の一例を示す図で、図5(a)〜(e)は、図1(a)にある第1樹脂フィルム10bを例とした、製造工程別の断面図である。
最初に、図5(a)〜(c)に示すように、図4(a)と同様の非結晶の第2基材30を準備し、図4(b)および図4(c)と同様にして、第2基材30に貫通穴Hを形成し、貫通穴Hに導電材料4bを充填する。次に、図5(d)に示すように、図5(c)の第2基材30の両側に金属箔2を配置して積層し、熱プレス板により加熱加圧して、これらを貼り合わせる。この加熱加圧後、徐冷することによって、非結晶であった第2基材30が、結晶性の第1基材10に変わる。最後に、図5(e)に示すように、金属箔2をエッチング加工して、導体パターンPを形成する。
以上で、結晶性の第1樹脂フィルム10bが製造できる。
図5に示した第1樹脂フィルム10bの製造方法と図4に示した第2樹脂フィルム30aの製造方法からわかるように、図1の多層回路基板100の製造方法において用いられている第1樹脂フィルム10a,10bの第1基材10と第2樹脂フィルム30a〜30cの第2基材30は、同じ第2基材30から製造されており、同一厚さの基材である。これによれば、第1基材10と第2基材30を異なる厚さとする場合に較べて、出発材料として同じ第2基材30を用いることができるため、第1基材10と第2基材30の製造コストを低減することができる。
図6は、別の多層回路基板の製造例を示す図で、図6(a)は、多層回路基板101の製造途中における樹脂フィルム12a,12b,30a〜30cの積層配置を示す模式的な断面図であり、図6(b)は、製造された多層回路基板101の模式的な断面図である。尚、図6に示す多層回路基板101の各部について、図1に示した多層回路基板100と同様の部分については、同じ符号を付した。図7は、製造された多層回路基板101の断面を電子顕微鏡により観察した、SEM写真である。また、図8(a)〜(f)は、図6(a)にある第1樹脂フィルム12bを例とした、第1樹脂フィルムの製造工程別の断面図である。
図6に示す多層回路基板101の製造方法は、図1に示した多層回路基板100の製造方法と比較して、第1樹脂フィルム12a,12bを用いる点だけが異なっている。図6に示す第1樹脂フィルム12a,12bは、図1の第1樹脂フィルム10a,10bと同様に、熱可塑性樹脂からなる結晶性の第1基材12からなり、表面に金属箔からなる導体パターンPが形成されている。また、該第1基材12には、ガラス繊維織布Gが埋め込まれている。図6に示す多層回路基板101は、該第1樹脂フィルム12a,12bと図1と同様の非結晶の第2樹脂フィルム30a〜30cからなる積層体を加熱加圧して、該第1樹脂フィルム12a,12bと第2樹脂フィルム30a〜30cを相互に貼り合わせて製造する。従って、図6に示す多層回路基板101についても、図1に示した多層回路基板100と同様にして、高耐熱で、導体パターンPの変形や位置ズレおよび導体パターンPの周りでの空隙発生を抑制して製造できることは言うまでもない。
図7に示すように、導体パターンPの変形や位置ズレがなく、製造途中において非結晶の第2基材30が流動化し、導体パターンPの周りに結晶化した基材11bが入り込んで、空隙の発生が防止されている。
図6に示すガラス繊維織布Gが埋め込まれた第1樹脂フィルム12bの製造についても、最初に、図8(a)に示すように、非結晶の第2基材30を準備して、ガラス繊維織布Gを該第2基材30の間に挟み込んで積層する。次に、該積層体を熱プレス板により加熱加圧して貼り合わせる。この加熱加圧後、徐冷することによって、図8(b)に示すように、非結晶であった第2基材30が、結晶性でガラス繊維織布Gが埋め込まれた第1基材12に変わる。以後の工程は、図8(c)に示すように、第1基材12に貫通穴Hを形成し、図8(d)に示すように、貫通穴Hに導電材料4bを充填する。次に、図8(e)に示すように、第1基材12の両側に金属箔2を貼り合わせ、最後に、図8(f)に示すように、金属箔2をエッチング加工して、導体パターンPを形成する。
以上で、結晶性でガラス繊維織布Gが埋め込まれた第1樹脂フィルム12bが製造できる。
以上の図8に示した第1樹脂フィルム12bの製造方法についても、第1基材12が同じ第2基材30を用いて形成されており、第1基材12の製造コストを低減することができる。従って、図6に示す多層回路基板101の製造においても、第1基材12と第2基材30の製造コストを低減することができる。
図9は、本発明に係る製造方法の別の例を示す図で、図9(a)は、多層回路基板110の製造途中における樹脂フィルム20a〜20f,31a〜31dの積層配置を示す模式的な断面図であり、図9(b)は、製造された多層回路基板110の模式的な断面図である。尚、図9に示す多層回路基板110の各部について、図10に示した多層回路基板90と同様の部分については、同じ符号を付した。
図9に示す多層回路基板110の製造方法においては、図10の多層回路基板90の製造に用いた樹脂フィルム20a〜20fが、第1樹脂フィルムとして用いられている。該第1樹脂フィルム20a〜20fは、熱可塑性樹脂からなる結晶性の第1基材1の片側表面に導体パターンPが形成されてなる、片面導体パターンフィルムである。該第1樹脂フィルム20a〜20fと共に、熱可塑性樹脂からなる非結晶の第2樹脂フィルム31a〜31dを用いる。第2樹脂フィルム31a〜31dの第2基材31の表面に導体パターンPは形成されていないが、図9(a)の積層配置に示すように、第1樹脂フィルム20a〜20fの導体パターンP1と対向する位置に、該導体パターンP1より小さな幅で、貫通穴H1が形成されている。
上記第1樹脂フィルム20a〜20fと第2樹脂フィルム31a〜31dを図9(a)に示すように積層し、該積層体を加熱加圧して、第1樹脂フィルム20a〜20fおよび第2樹脂フィルム31a〜31dを相互に貼り合わせる。これによって、第2樹脂フィルム31a〜31dの第2基材31が昇温途中の結晶化転移時に流動化して導体パターンPの周りを埋め込んで結晶化された基材13となり、図9(b)に示す多層回路基板110が製造される。図9に示す多層回路基板110についても、図1に示した多層回路基板100と同様にして、高耐熱で、導体パターンPの変形や位置ズレおよび導体パターンPの周りでの空隙発生を抑制して製造できることは言うまでもない。
特に、図9に示す多層回路基板110の製造方法では、第2樹脂フィルム31a〜31dに貫通穴H1を適宜形成することにより、結晶化転移に伴う第2樹脂フィルム31a〜31dの第2基材31の流動化時において、第1樹脂フィルム20a〜20fに形成されている導体パターンP1の周りの段差埋め込みに必要な第2基材31の移動量を小さくして、導体パターンP1の変形や位置ズレをよりし小さくすることができる。
以上に示したように、上記した多層回路基板の製造方法は、いずれも、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法であって、耐熱性を劣化させることなく、導体パターンの変形や位置ズレおよび導体パターンの周りでの空隙発生が起き難い多層回路基板の製造方法となっている。
100,101,110 多層回路基板
10a,10b,12a,12b,20a〜20f 第1樹脂フィルム
10,12 第1基材
P,P1 導体パターン
30a〜30c,31a〜31d 第2樹脂フィルム
30,31 第2基材
H,H1 貫通穴
4b 導電材料
2 金属箔

Claims (13)

  1. 熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの積層体を加熱加圧して、該樹脂フィルムを相互に貼り合わせて製造する多層回路基板の製造方法であって、
    前記樹脂フィルムが、
    結晶性の第1基材からなり、表面に金属箔からなる導体パターンが形成された第1樹脂フィルムと、
    結晶化転移に伴い弾性率に極小が現れる非結晶の第2基材からなり、表面に金属箔からなる導体パターンが形成されていない第2樹脂フィルムとからなり、
    前記第1樹脂フィルムの前記導体パターンが形成された面に対向して、前記第2樹脂フィルムを積層配置し、
    加熱加圧により、前記第1樹脂フィルムと前記第2樹脂フィルムを相互に貼り合わせることを特徴とする多層回路基板の製造方法。
  2. 前記第1基材と前記第2基材が、いずれも、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)と該ポリエーテルエーテルケトン樹脂と完全相溶系をなすポリエーテルイミド樹脂(PEI)の混合材からなることを特徴とする請求項1に記載の多層回路基板の製造方法。
  3. 前記第2基材におけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度が、前記第1基材におけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度より大きいことを特徴とする請求項2に記載の多層回路基板の製造方法。
  4. 前記第2基材におけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度が、70重量%より大きく、
    前記第1基材におけるポリエーテルイミド樹脂の含有濃度が、70重量%より小さいことを特徴とする請求項3に記載の多層回路基板の製造方法。
  5. 前記第1基材と前記第2基材が、同一組成の基材であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層回路基板の製造方法。
  6. 前記樹脂フィルムの積層体の最外層として、パターン化されていない金属箔が配置されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多層回路基板の製造方法。
  7. 前記積層体の最外層に配置された金属箔に対して、熱プレス板を直接接触させて、加熱加圧することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多層回路基板の製造方法。
  8. 前記第1樹脂フィルムが、
    前記第1基材の両側表面に前記導体パターンが形成されてなる、両面導体パターンフィルムであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多層回路基板の製造方法。
  9. 前記第2樹脂フィルムにおいて、
    前記第1樹脂フィルムの前記導体パターンと対向する位置に、導電材料が埋め込まれた貫通穴が形成されてなることを特徴とする請求項8に記載の多層回路基板の製造方法。
  10. 前記第1樹脂フィルムが、
    前記第1基材の片側表面に前記導体パターンが形成されてなる、片面導体パターンフィルムであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の多層回路基板の製造方法。
  11. 前記第2樹脂フィルムにおいて、
    前記第1樹脂フィルムの前記導体パターンと対向する位置に、該導体パターンより小さな幅で、貫通穴が形成されてなることを特徴とする請求項10に記載の多層回路基板の製造方法。
  12. 前記第1基材と前記第2基材が、同一厚さの基材であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の多層回路基板の製造方法。
  13. 前記第1基材が、ガラス繊維織布が埋め込まれてなる基材であり、
    前記第1基材が、前記ガラス繊維織布を前記第2基材の間に挟み込んで加熱加圧することにより形成されてなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の多層回路基板の製造方法。
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