JP2007266165A - 多層配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、導電体における配線層間の電気的接続性が確保された、高密度な多層配線基板およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】電気絶縁性基材と配線基板とを含む積層構成物をプレス板を介して加熱加圧するに際し、前記加熱加圧工程は、積層ずれ開始温度に達する前に前記積層構成物と前記プレス板の間でずれを発生させるずれ発生工程を含むものである。これにより、電気絶縁性基材のせん断方向に発生する歪みを抑制することで、導電体の変形を抑制し、結果として、電気的接続性に優れた多層配線基板を製造し提供することができる。
【選択図】図1
【解決手段】電気絶縁性基材と配線基板とを含む積層構成物をプレス板を介して加熱加圧するに際し、前記加熱加圧工程は、積層ずれ開始温度に達する前に前記積層構成物と前記プレス板の間でずれを発生させるずれ発生工程を含むものである。これにより、電気絶縁性基材のせん断方向に発生する歪みを抑制することで、導電体の変形を抑制し、結果として、電気的接続性に優れた多層配線基板を製造し提供することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、インナービアホール接続により複数層の配線が電気的に接続された多層配線基板の製造方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、産業用にとどまらず広く民生用機器の分野においてもLSI等の半導体チップを高密度に実装できる多層配線基板が安価に供給されることを強く要望されてきている。このような多層配線基板では微細な配線ピッチで形成された複数層の配線パターン間を高い接続信頼性で電気的に接続できることが重要である。
このような市場の要望に対して、従来の多層配線基板の層間接続の主流となっていたスルーホール内壁の金属めっき導体に代えて、多層配線基板の任意の電極を任意の配線パターン位置において層間接続できるインナービアホール接続法、すなわち、全層IVH構造樹脂多層基板と呼ばれるものがある。これは、多層配線基板のビアホール内に導電体を充填して必要な各層間のみを接続することが可能であり、部品ランド直下にインナービアホールを設けることができるために、基板サイズの小型化や高密度実装を実現することができる。
この全層IVH構造樹脂多層基板として図3(a)〜(i)に示すような工程で製造される多層配線基板が従来から提案されている。
まず、図3(a)に示したのは、電気絶縁性基材21であり、電気絶縁性基材21の両側に保護フィルム22をラミネート加工によって貼り付ける。
続いて、図3(b)に示すように電気絶縁性基材21と保護フィルム22の全てを貫通する貫通孔23をレーザー等によって形成する。
次に図3(c)に示すように貫通孔23に導電体29を充填する。その後、両側の保護フィルム22を剥離し、この状態で両側から箔状の配線材料25を積層配置すると、図3(d)に示した状態になる。図3(e)に示す工程で配線材料25を加熱加圧することにより電気絶縁性基材21に接着させる。この加熱加圧工程によって導電体29が表裏面の配線材料を電気的に接続することとなる。
次に、図3(f)に示すように配線材料25をエッチングによってパターニングすると、両面配線基板26が完成する。
次に図3(g)に示すように、両面配線基板26の両側に、図3(a)〜(d)に示したのと同様の工程で形成した導電体24が充填された電気絶縁性基材27と配線材料28を積層配置させる。
引き続き、図3(h)に示す工程で、さらに上下からプレス板31で挟み込み、配線材料28を加熱加圧することにより、電気絶縁性基材27に接着させる。このとき、同時に両面配線基板26と電気絶縁性基材27も接着することになる。
この加熱加圧工程で図3(e)に示した工程と同様に導電体24が、配線材料28と両面配線基板上の配線30とを電気的に接続するのである。
次に、表層の配線材料28をエッチングによってパターニングすることによって図3(i)に示す多層配線基板が得られる。
ここでは、多層配線基板として4層基板の例を示したが、多層配線基板の層数は4層に限定されるものではなく、同様の工程でさらに多層化することができる。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2005−150447号公報
上記した従来例のように、電気絶縁性基材を両面配線基板に貼り付ける加熱加圧工程においては、多層配線基板の表面が平坦でボイドなく成形されるように、ステンレス板等の剛性があり、表面が平滑なプレス板を用いて加熱加圧を行なう必要がある。
しかしながら、図3(h)に示すように、両面配線基板26とプレス板31は材料が異なることに起因して加熱加圧の際の寸法変動挙動が異なる。
その結果として、加熱加圧の際に高温状態で電気絶縁性基材27にせん断方向の歪みが発生することとなり、電気絶縁性基材27に形成された導電体24が変形し、積層ずれが発生した状態で成形が完了することとなる。
図3(h)では両面配線基板26の熱膨張がプレス板31よりも大きい場合の例を示しており、導電体24が両面配線基板26側で外側に変形した形状となっている。ここで、両面配線基板26の熱膨張がプレス板31よりも小さい場合には、導電体24が両面配線基板26側で内側に変形することとなる。
この積層ずれは、電気絶縁性基材27の所望の箇所に形成された導電体24の座標位置を歪ませるため、この導電体と合致する配線パターン(ビアランド)の径を、ずれを許容できるように大きく設計する必要があり、配線基板の高密度化を阻害するという課題があった。
また、図3(h)に示したように、導電体がせん断方向に変形することで、加熱加圧工程で、導電体の厚み方向にかかるべき圧縮力が緩和されることとなり、結果として、配線材料と導電体の間で強固な接触を行なうことができず、導電体と配線材料の間での電気的な接続性を劣化させる課題があった。
本発明は、導電体における配線層間の電気的接続性が確保された、高密度な多層配線基板およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも電気絶縁性基材と配線基板とを含む積層構成物を形成する積層工程と、積層構成物をプレス板を介して加熱加圧する加熱加圧工程とを備え、前記加熱加圧工程は、積層ずれ開始温度に達する前に前記積層構成物と前記プレス板の間でずれを発生させるずれ発生工程を含み、前記積層ずれ開始温度は、加熱昇温時に電気絶縁性基材が軟化し、プレス板と積層構成物中の両面配線基板の熱膨張挙動差に起因して積層構成物内にせん断ずれが発生する温度であることを特徴とする多層配線基板の製造方法であって、昇温時の積層ずれ開始温度以下で、配線材料とプレス板の間でずれを発生させることで、電気絶縁性基材内にかかるせん断方向の応力を高温状態で一旦緩和することができ、結果として、導電体がせん断方向に変形することを抑制し、電気的接続性に優れた多層配線基板を製造し提供することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、電気絶縁性基材は貫通孔に導電性ペーストを充填されたBステージ状のものであり、積層構成物は、配線基板の少なくとも一方に電気絶縁性基材が積層されたものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法というものであり、貫通孔に導電性ペーストが充填されて形成された導電体の変形を抑制し、導電体と配線材料間での強固な接触を確保することができ、電気的接続性に優れた多層配線基板を製造し提供することができるのである。また、電気絶縁性基材に形成された導電体がせん断方向に変形しないため、導電体の座標位置の歪みを抑制することができ、この結果、導電体と合致する配線パターン(ビアランド)のクリアランスを小さく設計することができ、高密度な多層配線基板を提供することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、積層構成物は、導電体が形成された配線材料と、電気絶縁性基材と、配線基板とが積層されたものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法であって、電気絶縁性基材が加熱加圧において、両面配線基板に追従して寸法変化することで、電気絶縁性基材内のせん断方向に発生する歪みを抑制し、結果として導電体の変形を抑制することとなり、導電体と配線材料間での強固な接触を確保することができ、電気的接続性に優れた多層配線基板を提供することができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、積層構成物は、導電体が形成された配線基板と、電気絶縁性基材と、配線材料とが積層されたものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法であって、電気絶縁性基材が加熱加圧において、両面配線基板に追従して寸法変化することで、電気絶縁性基材内のせん断方向に発生する歪みを抑制し、結果として導電体の変形を抑制することとなり、導電体と配線材料間での強固な接触を確保することができ、電気的接続性に優れた多層配線基板を提供することができると共に、積層工程において、導電体の形成された面を一方向に統一することができるので、導電体の形成工程後に部材を裏返す工程がなくなり、生産工程を簡素化することができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、前記ずれ発生工程は、前記電気絶縁性基材の最低溶融粘度時に加える圧力よりも低い圧力で加圧することを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法であって、積層ずれ開始温度以下で、加熱加圧時の圧力を開放することで、プレス板と配線材料との間でずれを発生させることができ、簡便な製造方法で導電体がせん断方向に変形することを抑制し、電気的接続性に優れた多層配線基板を製造し提供することができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、電気絶縁性基材は少なくとも芯材と熱硬化性樹脂からなり、前記熱硬化性樹脂は、加熱加圧工程において溶融し最低溶融粘度まで粘度が低下したのち粘度が上昇し硬化する性質のものであって、前記最低溶融粘度は、前記熱硬化性樹脂が前記芯材を保持する粘度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法であって、電気絶縁性基材を構成する熱硬化性樹脂の粘度が最も低くなった状態で、導電体が芯材を保持するため、結果として、電気絶縁性基材内でのせん断方向に発生する歪みを抑制し、導電体の変形を抑制することができ、電気的接続性に優れた多層配線基板を製造し提供することができる。
また、ここで言う、熱硬化性樹脂が芯材を保持するということは、加熱加圧の際に熱硬化性樹脂が軟化しても、熱硬化性樹脂に囲まれた芯材が熱硬化性樹脂の寸法変化挙動と同じ寸法変化挙動をとる状態であり、熱硬化性樹脂の最低溶融粘度が高いために、芯材材料の熱膨張係数による寸法変化を規制している状態である。また、この熱硬化性樹脂は軟化状態では剛性が低いために電気絶縁性基材に追従して寸法変化するものであり、結果として、配線基板が電気絶縁性基材の寸法変化に追従することとなるのである。
本発明の請求項7に記載の発明は、前記熱硬化性樹脂は、フィラを含むことを特徴とする請求項6に記載の多層配線基板の製造方法であって、熱硬化性樹脂にフィラを含むことで、電気絶縁性基材の高温時の溶融粘度、溶融時間を容易に調整できるようになり、生産安定性に優れた多層配線基板を製造し提供することができる。
本発明の請求項8に記載の発明は、前記プレス板は多層構造であって、多層構造を構成する構成要素間を接着していないものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法であって、多層構造の構成要素間を接着せずに、層数を増やすことで、プレス板内で応力緩和を行なうことができ、これにより、電気絶縁性基材のせん断方向のずれを抑制する効果が得られる。特に、プレス板を多層構造とすることで、熱膨張物性をより細かく設定し、両面配線基板との熱膨張差をより小さくすることができ、その結果、より効果的に導電体のせん断方向の変形を抑制し、電気的接続性に優れた多層配線基板を製造し提供することができる。
本発明の請求項9に記載の発明は、多層構造を構成する構成要素はステンレス板であることを特徴とする請求項8に記載の多層配線基板の製造方法であって、ステンレス板を複数枚重ねることで、ステンレス板間のずれが発生しやすくなり、これにより、配線材料とプレス板の間で発生するせん断応力を、ステンレス板間で緩和することができる。
本発明によれば、電気絶縁性基材を加熱加圧によって貼り付け、配線基板を多層化する際に、電気絶縁性基材がせん断方向にずれることを抑制しているため、電気絶縁性基材に設けられた導電体のせん断方向の変形を抑制することとなり、その結果、導電体と配線材料間での強固な接触を確保することができ、電気的接続性に優れた多層配線基板を提供することができる。また、電気絶縁性基材に形成された導電体がせん断方向に変形しないため、導電体の座標位置の歪みを抑制することができ、この結果、導電体と合致する配線パターン(ビアランド)のクリアランスを小さく設計することができ、高密度な多層配線基板を提供することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明にかかる多層配線基板の製造工程について、図1(a)〜(i)を参照しながら説明する。
まず、図1(a)に示したように電気絶縁性基材1の表裏面に保護フィルム2が形成されている。
ここで、電気絶縁性基材1の材料としては、繊維と含浸樹脂の複合基材を用いることができ、一例として繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、フッ素系繊維、液晶ポリマーの織布や不織布を用いることができ、含浸樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、PPE樹脂、PPO樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。
この中で、後に説明する導電体による貫通孔での電気的接続性という点から、基材については被圧縮性すなわち、熱プレスによって基材を硬化させる際に、その厚みが収縮する性質を有することがより好ましく、具体的には繊維に空孔が存在するように樹脂を含浸させたBステージ状の多孔質基材がより好ましい。
その他、電気絶縁性基材としてフレキシブル配線基板に用いられる、フィルムの両側に接着剤層が設けられた3層構造の材料を用いることもできる。具体的には、エポキシ等の熱硬化性樹脂フィルム、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー等の熱可塑性フィルム基材の両面に接着剤層が設けられた基材を用いることができる。
また、保護フィルム2はPETやPENを主成分とするフィルムをラミネートによって電気絶縁性基材1の両面に貼り付けるのが簡便で生産性のよい製造方法である。
次に図1(b)に示すように保護フィルム2、電気絶縁性基材1を貫通する貫通孔3を形成する。貫通孔3はパンチ加工、ドリル加工、レーザー加工によって形成することができるが、炭酸ガスレーザーやYAGレーザーを用いれば小径の貫通孔を短時間で形成することができ生産性に優れた加工を実現できる。この貫通孔については、配線基板をより高密度化するために、壁面をテーパー形状にして貫通孔両端で孔径が異なるように加工することがより好ましく、このような形状はレーザー加工時に照射パルス条件や、焦点を調整することで貫通側の孔径が小さくなるように調整できるものである。
続いて図1(c)に示すように貫通孔3に導電体9を充填する。導電体としては導電性ペーストを用いることが、印刷法を用いることができるので、生産性の点でより好ましい。この導電性ペーストは銅、銀、金等の金属もしくはそれらの金属合金の導電性粒子と熱硬化性樹脂成分から構成される。ここで導電体としては、電気的接続性を確保することができればこれに限定されるものでなく、導電性粒子を充填しても構わない。
導電性粒子の粒径は貫通孔の径に合わせて設定されるものであり、一例として50〜200μm貫通孔径については、平均粒径1〜5μmの導電性粒子を用いることができる。導電性粒子は粒径が揃うようにあらかじめ選別されていることが、電気的接続性を安定化させる点でより好ましい。
また、保護フィルム2は導電体9が電気絶縁性基材表面に付着するのを防ぐ保護の役割と導電体の充填量を確保する役割を果たす。
次に、前記保護フィルム2を剥離し、電気絶縁性基材の両側に配線材料5を積層配置すると、図1(d)に示す状態を得る。導電体9は保護フィルム2によって充填量を確保している。つまり、導電体9は保護フィルム2の厚み程度の高さ分だけ電気絶縁性基材1の表面より突出した状態となっている。
ここで、配線材料5としては表面が粗化された銅箔を用いるのが一般的である。また、配線材料5の表面にはCr,Zn,Ni,Co,Snもしくはこれら金属の酸化物皮膜、合金皮膜を形成することが樹脂との密着性を向上させる点で好ましい。
しかし、このような表面処理層は多量に付着させると、これらの表面処理層が絶縁の性質を有することから、導電体9との電気的な接触を阻害し、結果として多層配線基板におけるビア接続信頼性を劣化させることになる。
そこで、表面処理層としては、表面処理層の間から配線材料の母材である金属材料(例えば、配線材料が銅箔の場合には銅)が露出する程度の50nm以下の極薄い厚みで形成することがより好ましい。
次に図1(e)に示すように、加熱加圧によって、配線材料5を電気絶縁性基材1の両側に接着するとともに、導電体9を厚み方向に圧縮し、表裏面の配線材料を電気的に接続する。
次に配線材料5の表面に感光性レジストを全面に形成した後に、露光、現像によってパターン形成する。レジストとしては、ドライフィルムタイプと液状タイプを用いることができる。ここで、微細なパターン形成が必要でない場合には、感光性材料を用いずに、レジスト材料をスクリーン印刷等にて印刷形成してももちろん構わない。
引き続き、配線材料5をエッチングし、感光性レジストを除去すると図1(f)に示す両面配線基板6の状態となる。
次に、図1(g)に示すように、両面配線基板6の両側に、図1(a)〜(d)に示したのと同様の工程で形成した導電体4が充填された電気絶縁性基材7と配線材料8とを積層配置させて積層構成物(特に符号は付けない)を形成する。この配線材料8は図1(d)で用いたのと同じ銅箔を用いることができるが、この配線材料8が多層配線基板の最外層となる場合には、片面のみが粗化されたいわゆる片面光沢箔を用い、電子部品実装面の表面を平坦にすることが好ましい。
引き続き、図1(h)に示す工程で、さらに前記積層構成物の上下からプレス板11で挟み込み、配線材料8を加熱加圧することにより、電気絶縁性基材7に接着させる、このとき、同時に両面配線基板6と電気絶縁性基材7も接着することになる。
この加熱加圧工程において、電気絶縁性基材7が両面配線基板6に追従し寸法変化することで、電気絶縁性基材のせん断方向に発生する歪みを抑制し、結果として導電体9の変形を抑制することができる。その結果、導電体と配線材料間での強固な接触を確保することができ、電気的接続性に優れた多層配線基板を提供することができる。
また、電気絶縁性基材に形成された導電体がせん断方向に変形しないため、導電体の座標位置の歪みを抑制することができ、この結果、導電体と合致する配線パターン(ビアランド)のクリアランスを小さく設計することができ、高密度な多層配線基板を提供することができるのである。
次に、図1(i)に示すように、配線材料8をエッチングによってパターニングすると図1(i)に示す多層配線基板が形成できる。
なお、前記加熱加圧工程では、昇温時の電気絶縁性基材7の接着ずれ開始温度に達する前の状態、すなわち前記積層ずれ開始温度以下において、前記積層構成物中の前記配線材料と前記プレス板の間でずれを発生させる工程を設けることがより好ましい。
ここで、積層ずれ開始温度とは、電気絶縁性基材7が加熱昇温時に軟化し、プレス板11と前記積層構成物中の両面配線基板6の熱膨張挙動差に起因して積層構成物内にせん断ずれが発生する温度である。
このように、昇温時の積層ずれ開始温度以下で、配線材料とプレス板の間でずれを発生させる工程を設けることで、電気絶縁性基材にかかるせん断方向の応力を高温状態で一旦緩和することができ、結果として、導電体がせん断方向に変形することを抑制することができるのである。
上記のずれを発生させる工程における昇温時の配線材料とプレス板の間でのずれは、前記電気絶縁性基材の積層ずれ開始温度以下において、前記電気絶縁性基材の最低溶融粘度時で加える圧力よりも低い圧力で加圧することで実現できる。
なお、積層ずれ開始温度以下において、圧力を一定時間開放するのが、配線埋め込み性を確保する点でより好ましい。
また、プレス板もしくは配線材料の表面を細かく粗化させ、微視的に見た接触面積を小さくすることで、更に配線材料とプレス板間でのずれを発生しやすくできることは言うまでもない。
なお、一例として電気絶縁性基材として硬化開始温度100℃〜120℃のガラスエポキシ基材を用い、プレス板として厚み1mmのステンレス板を用いた場合に、50kg/cm2の圧力で80℃まで昇温させ、圧力を開放した状態で10分放置し、その後再度、50kg/cm2の圧力で200℃まで昇温を行なったところ、圧力開放状態で、配線材料とプレス板の間でずれを発生させることができ、結果として、導電体がせん断方向に変形することを抑制しつつ成形を完了することができた。
さらに、前述の加熱加圧工程においては、加熱中にプレス板11と積層構成物中の両面配線基板6には材料固有の熱膨張係数にしたがって膨張する応力が働く。
つまり、プレス板11と両面配線基板6の熱膨張係数差にしたがって、その間に位置する電気絶縁性基材7にはせん断方向にずれようとする応力が働く。電気絶縁性基材7の昇温時の軟化がはげしく、粘度が低下し過ぎると、このせん断方向のずれ応力に電気絶縁性基材7が耐えられなくなり、電気絶縁性基材7の内部でせん断方向のずれが発生するのである。このずれは、多層配線基板の外周部でより激しく発生するものであり、多層配線基板が大きくなるとより顕著に発生するものであることは言うまでもない。
このことから、プレス板11の物性として、電気絶縁性基材7の積層ずれ開始温度以下において、両面配線基板6と略同一の熱膨張係数にすることがより好ましい。
プレス板としては、ステンレス板、アルミ合金、銅合金、セラミック板等を用い、両面配線基板6と略同一の熱膨張係数の材料を選定するのである。
また、プレス板11を表面の高剛性部と、内部の熱膨張調整部からなる多層構造とすることがより好ましい。
プレス板を多層構造とすることで、熱膨張物性をより細かく設定し、両面配線基板との熱膨張差をより小さくすることができ、その結果、より効果的に導電体のせん断方向の変形を抑制することができる。高剛性部としては、耐久性の高いステンレス材料を用いることができ、内熱膨張調整部には金属板、耐熱樹脂シート、セラミックシート、繊維と樹脂の複合シート等を用いることができる。
また、プレス板を多層構造にし、多層構造の構成要素間を接着せずに、層数を増やすことで、プレス板内で応力緩和を行なっても、電気絶縁性基材のせん断方向のずれを抑制する効果が得られる。一例として、ステンレス板を複数枚重ねることで、ステンレス板間のずれが発生しやすくなり、配線材料とプレス板の間で発生するせん断応力を、ステンレス板間で緩和することができるのである。
さらに、本発明の多層配線基板の製造方法において使用する電気絶縁性基材7は、芯材と熱硬化性樹脂によって構成され、加熱加圧の際に、熱硬化性樹脂の最低溶融粘度において、熱硬化性樹脂が芯材を保持することができるために、電気絶縁性基材7のせん断方向のずれが抑制され、結果として導電体9の形状が保持されるのである。
このように、熱硬化性樹脂の最低溶融粘度における芯材保持作用(後述)は、熱硬化性樹脂の最低溶融温度を高くすることで実現することができる。
ここで、芯材保持作用について、以下に説明する。
まず、電気絶縁性基材7は、図2に示すように、少なくとも芯材13と熱硬化性樹脂14とで構成されている。
熱硬化性樹脂14は、加熱加圧の際に溶融し、最低溶融粘度まで粘度が低下したのち、粘度が上昇し硬化する性質のものであり、熱硬化性樹脂14の最低溶融粘度において、熱硬化性樹脂14が芯材13を保持することがより好ましい。
熱硬化性樹脂の粘度が最も低くなった状態(最低溶融粘度)でも熱硬化性樹脂が電気絶縁性基材の芯材を保持できるように、熱硬化性樹脂の粘度が設定されているため、結果として、電気絶縁性基材内でのせん断方向に発生する歪みを抑制し、導電体の変形を抑制することができるのである。
なお、熱硬化性樹脂14が芯材13を保持するとは、すなわち、加熱加圧の際に熱硬化性樹脂14が軟化しても、熱硬化性樹脂14に囲まれた芯材13が熱硬化性樹脂14の寸法変化挙動と同じ寸法変化挙動をとる状態であり、熱硬化性樹脂14の最低溶融粘度を比較的高い粘度に設定することにより、芯材材料の熱膨張係数による寸法変化を規制している状態を示すものである。
具体的には、この熱硬化性樹脂14は、軟化した状態では剛性が低いために、電気絶縁性基材7に追従して寸法変化するものであり、結果として、電気絶縁性基材7の芯材13が両面配線基板6の寸法変化に追従することとなるのである。
熱硬化性樹脂の最低溶融温度を高くする手法としては、熱硬化性樹脂を予備加熱し硬化度を調整する方法を用いることができるが、熱硬化性樹脂に、フィラを含有させることが、熱硬化性樹脂の溶融硬化物性を調整しやすくする点でより好ましい。
フィラとしては、アルミナ、シリカ、水酸化アルミ等の無機材料を用いることができる。ここで、フィラを熱硬化性樹脂に混ぜることで物理的に樹脂の流動を調整するため、フィラ材料はこれに限定されるものではない。
また、フィラ形状については、0.5〜5μm程度のものを用いるのが一般的であり、樹脂への分散性を確保できるように選択できるものである。このように、熱硬化性樹脂にフィラを混ぜることで、加熱加圧の際に、樹脂材料としての溶融時間を長く保ちながら、フィラで粘度低下を抑制することができるため、電気絶縁性基材7のせん断方向の変形を抑制しながら、配線10の埋め込みを行なうことができるのである。
上記したように、本発明では、導電体のせん断方向の変形を抑制することで、電気的接続性に優れ、高密度な配線設計を可能とする多層配線基板の製造方法を提供することができるのである。
なお、本実施の形態においては、両面配線基板の両側に、導電体が充填された電気絶縁性基材と配線材料とを積層配置させて積層構成物としたが、他の形態として、少なくとも二枚以上の両面配線基板を導電体が充填された電気絶縁性基材を介して積層して積層構成物とする方法、あるいは、少なくとも二枚以上の両面配線基板と配線材料とを導電体が充填された電気絶縁性基材を介して積層して積層構成物とする方法を採用することも可能である。
また、導電体が表面に形成された配線材料と、電気絶縁性基材と、配線基板とを積層配置させて積層構成物とする方法、あるいは、導電体が表面に形成された配線材料と、電気絶縁性基材と、導電体が表面に形成された配線基板とを積層配置させて積層構成物とする方法を採用することも可能である。
また、図1では6層配線基板の例を示しているが、本発明における配線基板層数はこれに限定されるものではなく、積層する両面配線基板と電気絶縁性基材の層数をさらに増やした多層配線基板、あるいは、両面の配線基板を4層以上の多層の配線基板に置き換えても同様の効果が得られ、より高密度な多層配線基板を、導電体での安定した電気的接続性を確保しつつ提供することができる。
さらに、実施の形態の例では、加熱加圧工程の際にプレス板間に一組の積層物を挟み込み、成形を行なう例を示しているが、積層構成はこれに限定されるものではなく、生産性を高める目的で、プレス板を介して複数の積層物を積層し、一気に加熱加圧することで、まとめて成形を行なっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
上記したように、本発明の多層配線基板の製造方法によれば、電気的接続性に優れ、高密度な配線設計を可能とする多層配線基板を簡便な製造方法で提供することができるのである。
本発明にかかる多層配線基板の製造方法は、加熱加圧による電気絶縁性基材の貼り付けの際に、電気絶縁性基材のせん断方向の歪みを抑制し、電気絶縁性基材に設けられた導電体の変形を抑制することで、電気的接続性に優れた多層配線基板を提供することができる。また、電気絶縁性基材に形成された導電体がせん断方向に変形しないため、導電体の座標位置の歪みを抑制することができ、この結果、導電体と合致する配線パターン(ビアランド)のクリアランスを小さく設計することができ、高密度な多層配線基板を提供することができる。
すなわち本発明は、導電体によって層間接続を行なった全層IVH構造の高密度多層配線基板に有用である。
1 電気絶縁性基材
2 保護フィルム
3 貫通孔
4 導電体
5 配線材料
6 両面配線基板
7 電気絶縁性基材
8 配線材料
9 導電体
10 配線
11 プレス板
12 配線
13 芯材
14 熱硬化性樹脂
2 保護フィルム
3 貫通孔
4 導電体
5 配線材料
6 両面配線基板
7 電気絶縁性基材
8 配線材料
9 導電体
10 配線
11 プレス板
12 配線
13 芯材
14 熱硬化性樹脂
Claims (9)
- 少なくとも電気絶縁性基材と配線基板とを含む積層構成物を形成する積層工程と、積層構成物をプレス板を介して加熱加圧する加熱加圧工程とを備え、
前記加熱加圧工程は、積層ずれ開始温度に達する前に前記積層構成物と前記プレス板の間でずれを発生させるずれ発生工程を含み、
前記積層ずれ開始温度は、加熱昇温時に電気絶縁性基材が軟化し、プレス板と積層構成物中の両面配線基板の熱膨張挙動差に起因して積層構成物内にせん断ずれが発生する温度であることを特徴とする多層配線基板の製造方法。 - 電気絶縁性基材は貫通孔に導電性ペーストを充填されたBステージ状のものであり、積層構成物は、配線基板の少なくとも一方に電気絶縁性基材が積層されたものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
- 積層構成物は、導電体が形成された配線材料と、電気絶縁性基材と、配線基板とが積層されたものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
- 積層構成物は、導電体が形成された配線基板と、電気絶縁性基材と、配線材料とが積層されたものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
- 前記ずれ発生工程は、前記電気絶縁性基材の最低溶融粘度時に加える圧力よりも低い圧力で加圧することを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
- 電気絶縁性基材は少なくとも芯材と熱硬化性樹脂からなり、
前記熱硬化性樹脂は、加熱加圧工程において溶融し最低溶融粘度まで粘度が低下したのち粘度が上昇し硬化する性質のものであって、
前記最低溶融粘度は、前記熱硬化性樹脂が前記芯材を保持する粘度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。 - 前記熱硬化性樹脂は、フィラを含むことを特徴とする請求項6に記載の多層配線基板の製造方法。
- 前記プレス板は多層構造であって、多層構造を構成する構成要素間を接着していないものであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
- 多層構造を構成する構成要素はステンレス板であることを特徴とする請求項8に記載の多層配線基板の製造方法。
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JP2006087039A JP2007266165A (ja) | 2006-03-28 | 2006-03-28 | 多層配線基板の製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013001119A (ja) * | 2011-06-21 | 2013-01-07 | Xerox Corp | 可とう性平板を用いる侵入型ポリマーの平坦化方法 |
JP2014220544A (ja) * | 2011-02-14 | 2014-11-20 | 株式会社村田製作所 | 多層配線板の製造方法 |
JP2018185170A (ja) * | 2017-04-24 | 2018-11-22 | デクセリアルズ株式会社 | 検査冶具の製造方法 |
-
2006
- 2006-03-28 JP JP2006087039A patent/JP2007266165A/ja active Pending
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