JP2012243829A - 多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可撓性を有する多層プリント配線板において、可撓性シートと回路基板の層間の導通信頼性に優れ、繰り返し折り曲げても導体の切断や多層積層部分における層間剥離の発生しない優れた多層プリント配線板を提供する。
【解決手段】硬質のリジット回路基板と可撓性を有するフレキシブル基板とを一体化した多層プリント配線板であり、フレキシブル基板とリジット回路基板の段差は、両側の回路基板との間と可撓性シートまたはカバーレイ層とで囲まれる凹部の四隅に樹脂による凹凸状の補強部が形成されたことを特徴とする多層プリント配線板である。
【選択図】図2

Description

本発明は、配線の高密度化が可能なリジット部と可撓性部分を備えた配線基板とを接着して一体化して形成される多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
近年、電子機器の小型化、薄型化、高機能化が進展する中で電子機器を構成する各種電子部品の小型化や薄型化等とともに、これら電子部品が実装される多層プリント配線板も高密度実装を可能とする様々な技術開発が盛んとなっている。
最近では、通信端末装置やその他の電子機器で使用する多層プリント配線板では電子機器内のスペースの制約から多層プリント配線板の一部または全体に可撓性(フレキシブル性)を持たせ、多層プリント配線板を屈曲状態にして電子機器内に内蔵することが要望されている。
従来から、硬質のリジット回路基板と可撓性を有するフレキシブル基板とを一体化した多層プリント配線板が提案されている。
このような多層プリント配線板は、図13に示すように、フレキシブル基板54の両面の両端部にリジット回路基板55を接着剤付カバーレイ56を介して重ね合わせ、両端部のリジット回路基板55との間に形成される凹部57を覆うようにクッション材53をリジット回路基板55の表面に重ね合わせ、SUS板58で挟持して熱プレス機で加熱加圧してフレキシブル基板とリジット回路基板とを接着することで多層プリント配線板を形成する。
リジット回路基板55に透孔があけられる方法としては、ルータ加工、打ち抜き加工、ドリル加工、レーザ加工等が用いられる。
上記のクッション材53としては、二枚の離型フィルム51間に熱可塑性樹脂を含有する成形用プリプレグ52を配して形成したものであり、前記熱可塑性樹脂を溶融させて凹部57内に充填させる。この状態でフレキシブル基板54とリジット回路基板55と接着剤付カバーレイ56とを加熱加圧して、接着剤付カバーレイ56の接着作用でフレキシブル基板54とリジット回路基板55とを接着するものである。
なおこの出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2006−095647号公報
しかしながら、上記のように成形用プリプレグ52を配したクッション材53を用いて、接着剤付カバーレイ56を介して、フレキシブル基板54とリジット回路基板55が層間接続を行う場合、以下の課題が生じる。
図14は、フレキシブル基板54、接着剤付カバーレイ56、リジット回路基板55を積層、加熱、加圧した際に、接着剤付カバーレイ56の接着剤樹脂がフレキシブル基板54の可撓部分Fに広く流れ出し、滲み出し部59が発生していた。
またリジット回路基板55は、ルータ加工等を用いて加工されるため、リジット回路基板55の側面から発塵するという問題も有していた。
これらのものが部品実装用端子に付着した場合、不具合を生じる可能性もあった。
さらに滲み出し部59は、導体の切断や多層積層部分における層間剥離の要因となっていた。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の多層プリント配線板は、硬質のリジット回路基板と可撓性を有するフレキシブル基板とを一体化した多層プリント配線板であり、フレキシブル基板とリジット回路基板の段差は、図中両側のリジット回路基板との間とカバーレイ層とで囲まれる凹部の四隅に、樹脂による凹凸状の補強部が形成されたことを特徴とする多層プリント配線板である。
本発明の多層プリント配線板の製造方法は、可撓部分と積層部分に区分されかつ表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程と、可撓性絶縁シートの絶縁皮膜するためのカバーレイ層を準備する工程と、表層に回路が形成された回路基板を準備する工程と、前記可撓性絶縁シートにカバーレイ層および回路基板を積層し、クッション材を介して熱圧着する熱圧着工程を備え、前記クッション材の下側の表面層をエンボス加工することにより、凹部の四隅とクッション材との隙間のリジット回路基板の側面の上側端部まで、凹凸状の補強部が形成されることを特徴とする。
本発明の構成の特徴である凹部を有する被積層物の凹部内の四隅に、凹凸状の補強部を形成することにより、可撓部分と積層部分との境界部分を補強することができ、補強部の表面に凹凸が形成されることにより、屈曲性能を向上させることができる。
さらに、クッション材の表面層に施されたエンボス加工の表面の凹凸の作用により、カバーレイ層の接着剤樹脂の流動を制御することができ、凹部の四隅とクッション材との隙間のリジット回路基板の側面の上側端部まで樹脂を流れ込ませることができ、補強部が形成できる。
これにより、樹脂によりリジット回路基板の側面の表面をコーティングされることとなり、発塵も防止できる。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、可撓性絶縁シート、カバーレイ層、回路基板の層間の導通信頼性に優れ、繰り返し折り曲げても導体の切断や多層積層部分における層間剥離の発生しない優れた多層プリント配線板とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態1における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造に用いるクッション材を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態2における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 同実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 従来の多層プリント配線板の製造方法を示す断面図 従来の多層プリント配線板の製造方法を示す断面図
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜(c)は本発明の実施の形態1における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図1(a)は、通称フレキシブル基板と呼ばれる可撓部分Fと積層部分Rに区分され表層に回路が形成された可撓性絶縁シート1を準備する工程を示すものであり、図1(b)は可撓性絶縁シートを絶縁皮膜するための接着剤付のカバーレイ層2を準備する工程を示すものであり、図1(c)は表層に回路が形成されたリジット基板としての回路基板3を準備する工程を示すものである。
また、図1(d)は可撓性絶縁シート1の両側にカバーレイ層2および回路基板3を積層しクッション材を介して熱圧着する熱圧着工程を示すものであり、この工程を経て図1(e)に示す多層プリント配線板を得る。
本発明の多層プリント配線板の製造方法における特有の構成は、図2のSUS板5を介した熱圧着工程の詳細図に示されるものである。
この工程におけるクッション材20は、図3に示すように、熱可塑性樹脂を含有する内部層21と前記内部層21に積層された上側の表面層22aと下側の表面層22bとからなり、下側の表面層22bにエンボス加工が施されているという点にあり、この構成および作用効果については後述する。
なお、本実施の形態における上側の表面層、下側の表面層との表現は、図3における図面表示上におけるものであって、厳密には図2のSUS板5に接する側を上側の表面層とし、回路基板3に接する側を下側の表面層と定義するものである。
本発明の多層プリント配線板を形成するための可撓性絶縁シート1、カバーレイ層2、回路基板3の各構成について以下に説明する。
1.可撓性絶縁シート1の構成
まず、図1(a)に示す表層に回路が形成された可撓性絶縁シート1の構成について説明する。
本実施の形態における可撓性絶縁シート1は、可撓部分Fと積層部分Rに区分されかつ表層に厚み12μmの回路4が形成されている。
また、可撓性絶縁シート1に形成された回路4は、銅箔をエッチングすることにより形成されている。銅箔は電解銅箔を用いることも可能であるが圧延銅箔を採用することにより可撓部分Fの回路4は高い屈曲性能を維持できる。
また、銅箔は片面の粗化銅箔を用いており、回路4の形成後は酸化処理したのち還元処理を施すことにより表面が粗化されている。
これにより、回路4と可撓性絶縁シート1、およびカバーレイ層2との密着を向上させることができる。
また、可撓性絶縁シート1の材料は、表面に接着剤層を有するポリイミドフィルム(デュポン社製カプトン100EN/カプトンはデュポン社登録商標)である。高温耐熱性に優れることから、積層部分Rにおいて熱プレスによる加熱加圧が可能となり、高多層化を実現できる。
また、接着剤層を有していることから、可撓部分Fの回路4および積層部分Rでの回路4、またはカバーレイ層2や回路基板3との接着を安定させ、層間剥離の発生を防止するという効果がある。
次に、可撓性絶縁シート1の製造方法について説明する。
図4は、本発明の実施の形態における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図であり、具体的には可撓性絶縁シート1の製造方法を示すものである。
まず、図4(a)、(b)に示すように、可撓性絶縁シート1としての表面に接着剤層を有するポリイミドフィルム1aに、一例として片面にSi系の離型剤を塗布した厚さ約10μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム8(以下PETフィルム8とする)をラミネートし、これにレーザ加工により貫通孔9を形成する。
なお、可撓性絶縁シート1表面の接着剤層は、エポキシ系樹脂で構成することが望ましい。
その理由は、後述するカバーレイ層2(ポリイミドシート2a)を構成するエポキシ系樹脂と同一の材料を採用することによって、PETフィルムとの密着性、剥離性を略同一とすることができる。これによりPETフィルムのラミネートおよび剥離の条件をほぼ統一することができ、同一の製造ラインを用いて可撓性絶縁シート1およびカバーレイ層2に導通孔を形成することができ、生産性を向上させることができる。
次に、貫通孔9に導電性ペースト10aを充填し、PETフィルム8を剥離したのち、ポリイミドフィルム1bの両面に粗化された厚さ10μmの銅箔11を積層し、熱圧着して導通孔10bにより両表面層を電気的に接続する{図4(c)〜(e)}。この粗化銅箔の使用によって、導電性ペーストの電気的な接続信頼性を確保しつつ、十分な接着力を得ることができる。
次に、図4(f)に示すように、写真法およびエッチング法を用いて銅箔11を選択的に除去し、積層部分Rと可撓部分Fに回路4を形成する。
以上の製造方法により、可撓部分Fに回路4、積層部分Rに導通孔10bと回路4が形成された可撓性絶縁シート1を得る。これにより、回路の高密度化を図ることができる。
なお可撓性絶縁シート1は、図10(b)に示す4層構造の多層の可撓性絶縁シートを採用することも可能であり、これにより、カバーレイ層を省略することができる。
4層構造の多層の可撓性絶縁シートの製造方法を図10に示す。
まず、図10(a)に示すように、内層用ポリイミドフィルム1cの両側にポリイミドフィルム1bと銅箔11を積層し、熱圧着したのち、図10(b)に示すように、表層に回路4を形成し、4層の可撓性絶縁シート1を得る。
これを、図1(a)の可撓性絶縁シート1と同様に図1(d)以降の工程に用いることも可能である。
2.カバーレイ層2の構成
次に、図1(b)に示すカバーレイ層2の構成について説明する。
本実施の形態におけるカバーレイ層2の材料は、可撓性絶縁シート1と同様に表面に接着剤層を有するポリイミドフィルム(デュポン社製カプトン40EN/カプトンはデュポン社登録商標)であり、ポリイミドシート2aに設けられた貫通孔に導電性ペースト10aが充填された構成である。
その製造プロセスを図5に示す。
まず、図5(a)、(b)に示すように、ポリイミドシート2aにPETフィルム8をラミネートし、これにレーザ加工により130〜200μm径の貫通孔9を形成し、次に、図5(c)、(d)に示すように、貫通孔9に導電性ペースト10aを充填し、PETフィルム8を剥離してカバーレイ層2を得る。
この小径の導通孔を有するカバーレイ層2を用いることにより、本発明の多層プリント配線板は配線収容性を高くすることができる。
3.回路基板3の構成
次に、図1(c)に示す表層に回路4が形成された回路基板3の構成について説明する。
その製造プロセスを図6に示す。
まず、回路基板3の製造に用いるプリプレグシート3aを複数枚準備する。
プリプレグシート3aは、基材に熱硬化性樹脂が含浸された半硬化状態のプリプレグシート3aに設けられた貫通孔9に導電性ペースト10aが充填された構成である。
プリプレグシート3aは、ガラス織布または不織布、あるいはアラミド不織布または織布にエポキシ系樹脂を含浸し半硬化したものである。
まず、図6(a)、(b)に示すように、プリプレグシート3aにPETフィルム8をラミネートし、これにレーザ加工により130〜200μm径の貫通孔9を形成し、次に、図6(c)、(d)に示すように、貫通孔9に導電性ペースト10aを充填し、PETフィルム8を剥離してプリプレグシート3bを得る。
この回路基板3の製造プロセスは、前述のプリプレグシート3bの両側に厚さ12μmの両面が粗化された電解銅箔11を積層熱圧着しその表層に回路4を形成した後、図6(e)に示すように可撓性絶縁シート1の可撓部分Fに該当する部分をレーザ加工あるいは打ち抜き金型を用いて予め切断し除去し、透孔7を形成しておく。
これにより、小径の導通孔10bを有する回路基板を用いることにより本発明の多層プリント配線板は配線収容性を高くすることができる。
なお、回路基板3は、図7(b)に示す4層構造の多層の回路基板を採用することも可能であり、これにより高密度化を実現することができる。
4層構造の多層の回路基板の製造方法を図7に示す。
まず、図7(a)に示すように、内層用回路基板3cの両側にプリプレグシート3bと銅箔11を積層し、熱圧着したのち、図7(b)に示すように、表層に回路4を形成し、その後、透孔7を形成し4層構造の回路基板3を得る。
なお、複数の内層用回路基板3cと、複数のプリプレグシート3bとを交互にかつ最外層に銅箔11を積層熱圧着したのち、4層以上の回路基板を得ることも可能である。
これを図1(c)の回路基板3と同様に図1(d)以降の工程に用いることも可能である。
4.積層・熱圧着プロセスの構成
以上のプロセスにより可撓性絶縁シート1、カバーレイ層2、回路基板3を準備した後、図1(d)に示すように、可撓部分Fと積層部分Rに区分された可撓性絶縁シート1の全面にカバーレイ層2および積層部分Rに回路基板3を積層した後、クッション材を介し、ステンレス板などで挟んで熱プレス機で熱圧着する。
図1(d)に示したように、可撓性絶縁シート1、カバーレイ層2、回路基板3を積層した場合、カバーレイ層2と回路基板3との段差は、図中両側の回路基板3との間とカバーレイ層2とで囲まれる凹部7として形づくられる。
図2に示すように、この凹部7の開口を覆うように上記のクッション材20を回路基板3の全面に重ね合わせ、その両面を厚さ2〜7mmのSUS板5で挟持し、それを熱プレス機等を用いて加圧加熱する。加圧条件は40〜60kg/cm2、加熱条件は3〜6℃/minで170〜200℃まで昇温し、この温度で60〜90分間加熱する。
この加熱加圧工程の昇温過程において、クッション材20の内部層21と表面層22a、22bは流動性を増し、凹部7内に加圧注入されるように追従し、特にメチルペンテンコポリマーフィルムを用いた表面層22a、22bは、60℃前後で一挙に流動状態となり、昇温していくに従って固化していく。
一方、可撓性絶縁シート1の積層部分Rに積層されたカバーレイ層2の接着剤層の樹脂は、クッション材20より遅れて流動するため、凹部7に内に加圧注入されクッション材20は被積層物に均一なプレス圧力を伝えることができる。
これにより、製品全面に渡り均一な圧力でプレスされた多層プリント配線板を得ることができる。なお、クッション材20は離型性を有することにより製品と接着することなく容易に剥離できる。
本実施の形態の多層プリント配線板の製造方法における前記クッション材20は、図3に示すように、内部層21と、前記内部層21に積層された上側の表面層22aと下側の表面層22bとを備えた構造である。
内部層21は、弾性層としての機能を有し、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(Ethylence−Vinyl Acetate)を主体とする熱可塑性樹脂シートを採用することが望ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂よりも弾力性、柔軟性があり、熱を加えると溶融する熱可塑性の特徴を備えていることから、再利用も可能となる。
加えて、耐薬品性、着色性にも優れており、内部層21に有色のものを用いることにより、熱プレス工程において金属板等に付着した場合においても容易に発見し除去することができる。
また、内部層21は、ガラス繊維の織布又は不織布の補強材に熱硬化性樹脂を含浸させた弾性層としての機能を有する半硬化状態のプリプレグシートを用いることもできる。
プリプレグシートは加熱加圧工程の昇温過程で流動性を増し凹部7内に加圧注入されるように追従し、さらに昇温していくに従って硬化(固化)していくため、凹部7内の形状を安定的に維持することができる。
また、表面層22a、22bは、表層に離型性を有するシリコンゴムやブチルゴム等も採用可能であるが、より好ましくは、表層に離型層を有するメチルペンテンを主体とするメチルペンテンコポリマーフィルム(例えば、三井化学株式会社製の「TPX」/同社登録商標)であることが望ましい。
メチルペンテンコポリマーフィルムは、表層に離型性を有し、かつ熱プレスでの加熱昇温の際、被積層物が約60℃に達すると、一挙に流動状態となり、被積層物の凹凸や表面のうねりに加圧注入されるように追従し、その後固化する性質がある。この機能を備えた表面層を用いることにより、被積層物の全面をより均一に加圧することができる。
また本発明の構造の特徴で、後述する補強部6の表面に凹凸が形成されるには、クッション材20の下側の表面層22bにエンボス加工を施すという点にあり、この点について以下詳細に説明する。
まず、下側の表面層22bのエンボス加工による表面粗さを示す最大粗さRaは、カバーレイ層2の樹脂層の厚みより小であることが望ましい。具体的には、表面層22bの表面粗さRaは数μmとする。
この構成により、凹部を有する被積層物の凹部内の四隅にクッション材との隙間を設けることができ、図8(a)に示すように、この隙間に接着剤付のカバーレイ層の樹脂を凹部へ流し込ませることにより、回路基板の側面の上側端部まで補強部6を形成することができる。
従来のクッション材では、接着剤樹脂の流れる方向が回路基板の側面の上方向より、可撓部分に流れる横方向のほうが強く、リジット回路基板の側面の上側端部まで樹脂を流し込ませることができず、補強部として形成することが困難であった。
本発明における多層プリント配線板の製造方法において、図8(a)の丸で囲った部分を拡大すると、図8(b)に示すように、クッション材20の下側の表面層22bにエンボス加工することにより、接着剤樹脂が毛細管現象を引き起こし、クッション材との隙間全体に樹脂が入り込み回路基板の側面の上側端部まで流すことができる。
これにより回路基板の側面の表面をコーティングすることが可能となり、発塵が不具合を起こすこともなくなり、さらに可撓部分と積層部分との境界部分を補強することで屈曲性能を向上させることができる。
また、クッション材にエンボス加工がされていることにより、補強部6の表面に凹凸が転写されることにより、屈曲性能を向上させることが可能である。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における多層プリント配線板における製造方法について、図面を参照しながら以下説明する。
図9(a)〜(f)は本発明の実施の形態2における多層プリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図9(a)に示す工程は、図10(b)に示すような4層の可撓性絶縁シート1を準備する。
図9(b)に示す工程は、図11(a)〜(c)に示すように、プリプレグシート3aにPETフィルム8をラミネートし、可撓性絶縁シート1の可撓部分Fに該当する部分をレーザ加工あるいは打ち抜き金型を用いて予め切断し除去し、透孔7を形成し、PETフィルム8を剥離しておいたプリプレグシート40を準備する。
次に、図9(c)に示すように、可撓部分Fと積層部分Rに区分された4層の可撓性絶縁シート1にプリプレグシート40と厚さ12μmの片面が粗化された電解銅箔11を積層した後、クッション材を介し、ステンレス板などで挟んで熱プレス機で熱圧着する。
また図9(c)に示したように、可撓性絶縁シート1、プリプレグシート40、電解銅箔11を積層した場合、可撓性絶縁シート1、プリプレグシート40との段差は、図中両側のプリプレグシート40と可撓性絶縁シート1で囲まれる凹部7として形づくられる。
図12に示すように、この凹部7の開口を覆うようにクッション材を片面が粗化された電解銅箔11の全面に重ね合わせ、実施の形態1と同様の熱圧着工程を得て、図9(d)の多層基板を得る。
この構成により、凹部を有する被積層物の凹部内の四隅に電解銅箔11との隙間を設けることができ、この隙間にプリプレグシート40の樹脂を凹部へ流し込ませることにより、プリプレグシート40の側面の上側端部まで補強部6を形成することができる。
また実施の形態2の製造方法において、片面が粗化された電解銅箔を積層することにより、プリプレグシート40の樹脂が毛細管現象を引き起こし、電解銅箔11の表面凹凸とプリプレグシート40の隙間全体に樹脂が入り込みプリプレグシートの側面の上側端部まで流すことができる。
これによりプリプレグシート40の側面の表面をコーティングすることが可能となり、発塵が不具合を起こすこともなくなり、さらに可撓部分と積層部分との境界部分を補強することで屈曲性能を向上させることができる。
また電解銅箔11の表面の凹凸が転写され、補強部の表面に凹凸ができることにより、屈曲性の向上が図れる。
次に図9(e)に示すように、銅箔の所定の位置にコンフォーマルエッチングを施した後、レーザ加工によりプリプレグシートに非貫通穴41を形成する。
その際、可撓部分にかかる銅箔も同時にエッチングされることにより、除去される。
図9(f)に示すように、非貫通穴を形成した後、金属めっき等により内外層用導体パターンを電気的に接続するフォトビア42を形成し、この後表面の金属にスクリーン印刷法や写真法などの手段を用いて、外層用の導体パターンを形成し、多層プリント配線板を得ることができる。
本発明における実施の形態2についても、補強部6の表面に電解銅箔11の表面の凹凸を転写させることができ、これにより可撓部分と積層部分との境界部分を補強することで屈曲性能を向上させることができる。
さらに実施の形態2においては、クッション材を使用しなくても本発明の構成の特徴である凹部を有する被積層物の凹部内の四隅に、凹凸状の補強部を形成することも可能である。
以上のように本発明によれば、高密度で配線収容性が高く、可撓性絶縁シート、カバーレイ層、回路基板の層間の導通信頼性に優れ、繰り返し折り曲げても導体の切断や層間剥離が発生しない優れた多層プリント配線板とその製造方法を提供しうるものであり、産業上の利用可能性は大といえる。
1 可撓性絶縁シート
1a、1b ポリイミドフィルム
1c 内層用ポリイミドフィルム
2 カバーレイ層
2a ポリイミドシート
3 回路基板
3a、3b、40 プリプレグシート
3c 内層用回路基板
4 回路
5 SUS板
6 補強部
7 透孔
8 PETフィルム
9 貫通孔
10a 導電性ペースト
10b 導通孔
11 銅箔
20 クッション材
21 内部層
22a、22b 表面層
41 非貫通穴
42 フォトビア

Claims (8)

  1. 可撓部分と積層部分に区分されかつ表層に回路が形成された可撓性絶縁シートと
    可撓性絶縁シートを絶縁皮膜するためのカバーレイ層と
    前記可撓性絶縁シートにカバーレイ層および回路基板を積層されてなる多層プリント配線板において、
    可撓部分と積層部分の境界部分にカバーレイ層の接着剤樹脂により、補強部が形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
  2. 可撓部分と積層部分に区分されかつ表層に回路が形成された多層の可撓性絶縁シートと
    前記可撓性絶縁シートに回路基板を積層されてなる多層プリント配線板において、
    可撓部分と積層部分の境界部分に回路基板の接着剤樹脂により、補強部が形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
  3. 前記補強部の表面は、凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
  4. 前記補強部は、前記回路基板の側面の上側まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
  5. 可撓部分と積層部分に区分されかつ表層に回路が形成された可撓性絶縁シートを準備する工程と、可撓性絶縁シートを絶縁皮膜するためのカバーレイ層を準備する工程と、表層に回路が形成された回路基板を準備する工程と、前記可撓性絶縁シートにカバーレイ層および回路基板を積層し、クッション材を介して熱圧着する熱圧着工程とを備え、前記クッション材は内部層と前記内部層に積層された上側の表面層と下側の表面層からなり、前記下側の表面層はエンボス加工を施されていることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  6. クッション材の表面層の表面粗さは、
    下側の表面層の粗さはカバーレイ層の樹脂層の厚さよりも小であることを特徴とする請求項5に記載の多層プリント配線板の製造方法。
  7. 可撓部分と積層部分に区分されかつ表層に回路が形成された多層の可撓性絶縁シートを準備する工程と、
    前記可撓性絶縁シートに回路基板を積層し、クッション材を介して熱圧着する熱圧着工程とを備え、前記クッション材は内部層と前記内部層に積層された上側の表面層と下側の表面層からなり、前記下側の表面層はエンボス加工を施されていることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  8. 可撓部分と積層部分に区分されかつ表層に回路が形成された多層の可撓性絶縁シートを準備する工程と、
    前記可撓性絶縁シートの可撓部分Fに該当する部分に透孔が形成されたプリプレグシートを準備する工程と、
    前記可撓性絶縁シートに前記プリプレグシートと電解銅箔を積層し、クッション材を介して熱圧着する熱圧着工程とを備え、
    前記電解銅箔は、前記プリプレグシートに接する面が粗化されていることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
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