JP2004241405A - 電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリント配線基板表面に取り付けた電子部品を熱効率良く加熱でき、且つ周囲温度の影響を少なくして安定に保温できるような、発熱素子と温度検出素子のプリント配線基板への実装構造を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、表面導体を電子部品が取り付くようにパターニングした第1層プリント配線基板と、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に発熱素子と温度検出素子が配置されるように表面導体をパターニングした第2層プリント配線基板の該導体上に発熱素子と温度検出素子を配置したものとを、加熱下で加圧して熱融着させることにより実装する。
【選択図】 図1
【解決手段】熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、表面導体を電子部品が取り付くようにパターニングした第1層プリント配線基板と、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に発熱素子と温度検出素子が配置されるように表面導体をパターニングした第2層プリント配線基板の該導体上に発熱素子と温度検出素子を配置したものとを、加熱下で加圧して熱融着させることにより実装する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線基板表面に取り付ける電子部品を保温するために必要な発熱素子と温度検出素子をプリント配線基板に実装する実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体メモリ、CPUなどの半導体電子部品は、一般に動作温度範囲が規定されている。従って、これらの電子部品を非常に寒冷な環境の下で動作させる場合には、これら電子部品の温度が規定温度以下に下がらないようにするため、加熱、保温を必要とする場合がある。このような場合、従来は、図7に示すように両面あるいは多層のプリント配線基板100の表面に保温すべき電子部品101を取り付け、基板裏側部分にヒータなどの発熱素子102と温度検出素子103を取り付ける。そして温度検出素子103で検出した温度に従って発熱素子102の発熱量を温度制御回路(図示しない)で制御し、基板表面に取り付けた電子部品101の温度を規定値以上に保つようにしていた。
【0003】
しかし、このような構造では、発熱素子102で発生した熱は、プリント配線基板100を伝わって電子部品101に到達せねばならない。従って、熱効率が悪く、発熱量の大きな素子を必要とする。また、発熱素子102、温度検出素子103共に大気に曝されているため周囲温度の影響を受けやすい。これらのことから電子部品2を安定して保温することができないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−246718号報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、プリント配線基板表面に取り付けた電子部品を熱効率良く加熱でき、且つ周囲温度の影響を少なく抑えて安定した保温ができるようにした、電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、まず絶縁基材に熱可塑性樹脂を用い保温すべき電子部品が取り付くようにパターニングされた表面導体を有する第1層プリント配線基板を準備する。次に、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に該電子部品を保温するための電子部品保温用素子が配置されるようにパターニングされた表面導体を有する第2層プリント配線基板を準備する。続いて第2層プリント配線基板のパターニングされた表面導体上に前記電子部品保温用素子を配置し、その上に前記第1層プリント配線基板を積層する。その上で全体を加熱した状態で加圧することにより第1層、第2層プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0007】
このような実装構造によれば、電子部品保温用素子は熱可塑性樹脂の中に封入されるため大気に曝されることがない。従って、周囲温度に影響されにくい効果がある。また、熱可塑性樹脂を用いた絶縁基材は薄いフィルム状で、加えて熱プレスにより融着されるため、電子部品保温用素子と保温される電子部品の底面との間には非常に薄い樹脂フィルムしか残らない。従って、電子部品保温用素子から保温される電子部品への熱伝達効率が改善される。また、電子部品保温用素子の一つとして温度検出素子を取り付けた場合には、該温度検出素子による電子部品の温度測定精度が向上する効果が得られる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、まず絶縁基材に熱可塑性樹脂を用い保温すべき電子部品が取り付くようにパターニングされた表面導体を有する第1層プリント配線基板を準備する。次に、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に電子部品保温用素子を配置したときにそれら素子とパターニングされた裏面導体との電気的接続が確保されるように、導電ペーストを埋め込んだビアホールが設けられた第2層プリント配線基板を準備する。続いて、そのビアホールの上に前記電子部品保温用素子を配置し、その上に前記第1層プリント配線基板を積層する。その上で全体を加熱した状態で加圧することにより第1層、第2層プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0009】
このような実装構造によっても、請求項1に記載した発明と同様の効果を得ることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1層、第2層プリント配線基板の間に、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材として用いたプリント配線基板であって、電子部品保温用素子が納まる部分を切除した1ないし複数のプリント配線基板を挿入した状態で積層する。その上で、全体を加熱下で加圧することにより各プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0011】
このような実装構造によれば、請求項1に記載した発明と同様の効果が得られる他、比較的厚みのある電子部品保温用素子も実装することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3の何れかに記載の発明において、熱可塑性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる樹脂を使用することを特徴とする電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0013】
このような成分構成の樹脂は、熱可塑性を有し、加熱下の加圧により各層絶縁基材を熱融着させることができるので、電子部品保温用素子を内部に埋め込んだ実装構造を容易に形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6を参照しながら説明する。最初に本発明で利用している熱可塑性樹脂を絶縁基材として使用した多層構造のプリント配線基板の構成およびその製造方法を図5、図6を参照して説明する。
【0015】
まず、絶縁基材である熱可塑性樹脂フィルム1の片面に導体箔2を貼り付けた片面導体フィルム3を準備する(図5(a)参照)。導体箔2としては、通常は厚さ9〜35μmの銅箔が使用されるがアルミ箔も使用できる。また、熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド(PEI)樹脂35〜65重量%を含む厚さ25〜75μmのフィルムを用いる。
【0016】
この結晶転移型の熱可塑性樹脂は、図6の温度−弾性率曲線に示すように常温では非晶質であるが、200℃付近に加熱して加圧すると軟質となる。その後、加圧を止めて温度を上げると硬質となり(更に高い温度(約400℃)では溶解する。)、その状態から温度を下げると、樹脂は結晶化して200℃付近および常温でも硬質を保つ性状を呈する。なお、熱可塑性樹脂としては、上記樹脂以外にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂もしくはポリエーテルイミド(PEI)樹脂を単独で使用することも可能である。
【0017】
このような片面導体フィルム3の表面の導体箔2をエッチングして導体パターン4を形成した後、裏面に保護フィルム5を貼り付ける(図5(b)参照)。保護フィルム5としては、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルムを使用する。
【0018】
次に、裏面の保護フィルム5側から炭酸ガスレーザを照射して、導体パターン4を底面とする有底ビアホール6を形成する(図5(c)参照)。ビアホール6の形成は、導体パターン4に穴を開けないように、炭酸ガスレーザの出力と照射時間を調整して行なう。ビアホール6の形成には、炭酸ガスレーザ以外にエキシマレーザー等を使用することもできる。ドリル加工等の機械加工でもビアホール6を形成できるが、微細な孔を開けるにはレーザーが好ましい。
【0019】
ビアホール6の形成を終えた後、形成したビアホール6内に、後に積層される片面導体フィルムの各層導体パターン間の電気的接続を確保するための導電性ペースト7を充填する(図5(d)参照)。導電ペースト7は、銅、銀、スズ等の金属粒子にバインダ樹脂や有機溶剤を加えて混練したものである。導電ペースト7は、メタルマスクを用いたスクリーン印刷機により片面導体フィルム3の導体パターン4側を下にして、ビアホール6内に印刷充填される。導電ペースト7の充填後、保護フィルム5を剥離する(図5(e)参照)。以上のようにして、1層分のプリント配線基板8が形成される。
【0020】
このように製造した1層分のプリント配線基板8を、図5(f)に示すように複数枚積層する。この場合、積層した多層基板の表面、裏面に導体パターン4が現れるように、下の方のプリント配線基板8は、上の層のプリント配線基板8とは表裏を反対にして積層する。更に、最下層の下と最上層の上には、導体パターン4を保護するためのカバーフィルム9を重ねる。カバーフィルム9の材料としては、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)を使用する。カバーフィルム層の弾性率は1〜1000Mpaが望ましい。それ以上では、次工程での熱融着が難しくなるからである。
【0021】
積層後、それら基板全体を200〜350℃に加熱し、その状態で真空プレス機により0.1〜10Mpaの圧力で加圧する。使用されている熱可塑性樹脂は、図6に示すような弾性率変化を呈するので、この加熱下の加圧(以下、熱プレスという)により熱可塑性樹脂である絶縁基材同士が相互に熱融着して一体化する。熱融着後、加圧を停止して温度を常温に戻すと、熱可塑性樹脂は結晶化するとともに硬化する。硬化後、カバーフィルム9を取り除けば図5(g)に示すような多層プリント配線基板10が完成する。
【0022】
完成した多層プリント配線基板10では、各層の導体パターン4は、ビアホール6に充填されていた導電ペースト7により電気的に接続される。従って、ビアホール6の形成位置、導体パターン4のパターニングを工夫することにより、希望する配線構造を有する多層プリント配線基板10を製造することができる。なお、その後、完成した多層プリント配線基板10をハンダリフロー炉に通して電子部品を表面に実装する場合には300℃程度に加熱されるが、図6に示すように、その程度の温度では熱可塑性樹脂は軟化することはなく、結晶状態が保たれる。
【0023】
次に、以上のような熱可塑性樹脂を絶縁基材として使用する多層プリント配線基板の製造技術を利用して、後に基板表面に取り付けられる電子部品を保温するために必要な電子部品保温用素子の一例として発熱素子と温度検出素子(例えばサーミスタ)とを実装したプリント配線基板の実装構造およびその実装方法について説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1を参照して第1の実施形態(第1の実装構造)を説明する。まず、前述したと同様の形成方法により、保温を必要とする電子部品が取り付けられる第1層のプリント配線基板11を形成する。このプリント配線基板11は、前述した製造工程でいえば図5(e)に示す構造を有するものである。導体パターン4は電子部品14が取り付けられるようにパターニングしておく。電子部品14を配線基板に強固に取り付けるため、電子部品14の端子が配置される導体パターン4の下には、通常、ビアホールが設けられる。
【0025】
続いて、第2層、第3層となるプリント配線基板12、13も同様の方法で形成する。最下層となる第3層プリント配線基板13は、導体パターン側が下になるようにし、その上に第2層プリント配線基板12を重ねる。第2層プリント配線基板12の導体パターン4は、第1層プリント配線基板11の表面に後で取り付ける電子部品14の下方となる位置に、電子部品14を保温するために必要な発熱体15と温度検出素子16とが配置されるようにパターニングしておく。
【0026】
その第2層プリント配線基板12の導体パターン4の上に発熱素子15、温度検出素子16を配置し、その上に第1層プリント配線基板11を重ねる。発熱素子15としては、例えばステンレス薄板を電子部品14の形状に応じて短冊状あるいは、つづら折れ状等にカットしたものを必要な個数使用する。
【0027】
その後、図5(f)と同様にカバーレーヤー9を上下に積層し、先に説明したと同じような条件で熱プレスして、熱可塑性樹脂でできた絶縁基材部を熱融着して一体化させる。熱プレス後、常温、常圧に戻し、上下のカバーフィルム9を剥離すると、図1(b)に示すような、発熱素子15と温度検出素子16とが絶縁性の熱可塑性樹脂内に埋め込まれた構造の多層プリント配線基板10が完成する。
【0028】
なお、発熱素子15および温度検出素子16と第2層プリント配線基板12の導体パターン4との電気的接続は、例えば熱プレス前に導体パターン4上にクリームハンダを塗布し、その上に発熱素子15と温度検出素子16とを載せ、加熱することでハンダ付けしておくことが望ましい。このようにすれば、熱プレスの際の素子の位置ずれを防止できる。その他、端子部分にハンダバンプを設けた発熱素子15と温度検出素子16を用い、熱プレス前あるいは熱プレス後に加熱してバンプを溶かすことで導体パターン4にハンダ付けする方法でもよい。
【0029】
このようにして多層プリント配線基板10を完成させた後、保温すべき電子部品14を表面の導体パターン4上の所定位置にハンダ付けして固定する(図1(c)参照)。電子部品14のハンダ付けは、例えば、表面の導体パターン4上にメタルマスクを用いてクリームハンダを塗布し、その上に電子部品14を載せて加熱することで行なう。この加熱の際には、埋め込まれた発熱素子15、温度検出素子16と第2層導体パターン4との間のハンダも溶解して、電気的接続が強固にされる。
【0030】
このような実施形態による実装構造によれば、発熱素子15、温度検出素子16は、熱可塑性樹脂の中に封入され、大気に曝されることがない。従って、周囲温度の影響を受けにくくなる利点がある。また、絶縁基材である熱可塑性樹脂フィルム1の厚さは25〜75μmと非常に薄く、加えて熱プレスにより融着されるため、発熱素子15、温度検出素子16と電子部品14の底面との間には非常に薄い樹脂フィルムしか残らない。従って、発熱素子15から電子部品14への熱伝達効率が改善されると共に、温度検出素子16は電子部品14の実際の温度をより正確に検出できるようになる。
【0031】
なお、本実施形態では、3層の多層プリント配線基板として実装した構造例を説明したが、必要であれば前記第2層、第3層プリント配線基板12、13の間に、更にプリント配線基板を追加挿入することにより層数を増やした構造とすることができる。また、電子部品14の温度制御に必要なICなどの他の温度制御回路部品は、表面に配置してもよいし、温度検出素子16などと同様に熱可塑性樹脂内に埋め込んで実装してもよい。熱可塑性樹脂の中に埋め込み実装する場合には、発熱素子15や温度検出素子16の下方に位置するように配置すると基板サイズが小さくなって好ましい。何れにおいても、本実施形態によれば、目的とする電子部品14を効率良く(省電力で)ピンポイントで好適に加熱することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、図2を参照して第2の実施形態(第2の実装構造)を説明する。この実施形態は、発熱素子15または温度検出素子16の厚みが厚い場合に適した実装構造である。前述した第1の実施形態では、発熱素子15あるいは温度検出素子16の厚さが厚いと、熱プレスした場合にそれらの素子がうまく熱可塑性樹脂の中に収まりきらず、表層あるいは下層のプリント配線基板に強いストレスが加わってダメージを与えるおそれがある。
【0033】
本実施形態では、こうした場合に対処するため、図2(a)に示すように、第1の実施形態における第1層と第2層プリント配線基板11、12との間に、発熱素子15と温度検出素子16とが収まる部分を切除したプリント配線基板17を追加挿入する。この追加挿入するプリント配線基板17の絶縁基材も同じ熱可塑性樹脂で、その層数は、発熱素子15、温度検出素子16の厚さを考慮して決める。
【0034】
このようにして熱プレスすれば、挿入したプリント配線基板17がスペーサの役目を果たし、発熱素子15、温度検出素子16をうまく熱可塑性樹脂の中に埋め込むことができる(図2(b)参照)。また、これら素子の上下のプリント配線基板は強いストレスを受けないため、ダメージの発生が防止される。この実装構造によっても、電子部品14を効率良く(省電力で)ピンポイントで熱結合させることができる。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、図3を参照して第3の実施形態(第3の実装構造)を説明する。この実施形態は、第1の実施形態と類似であるが、図3(a)に示すように第2層となるプリント配線基板12を、導体パターン4が下側になるように、すなわち第1の実施形態とは表裏を逆にして積層する点が異なる。発熱素子15および温度検出素子16は、第2層プリント配線基板12のビアホールに充填された導電ペースト7の上に載置して熱プレスする。
【0036】
このように積層して熱プレスすれば、発熱素子15および温度検出素子16は、第2層プリント配線基板12のビアホールに充填されていた導電ペースト7により、第2層プリント配線基板12の裏面導体パターン4に電気的に接続される。本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、電子部品14を効率良く(省電力で)ピンポイントで熱結合させることができる。
【0037】
(第4の実施形態)
次に、図4を参照して第4の実施形態(第4の実装構造)を説明する。この実施形態は、第2の実施形態と同じ考えで、発熱素子15または温度検出素子16の厚さが厚い場合に対処できるよう、第3の実施形態に修正を加えた実装構造である。
【0038】
図4(a)に示すように、第3の実施形態における第1層、第2層プリント配線基板11、12との間に、発熱素子15と温度検出素子16とが収まる部分を切除したプリント配線基板17を追加挿入する。この追加挿入するプリント配線基板17の絶縁基材も同じ熱可塑性樹脂で、その層数は、発熱素子15、温度検出素子16の厚さを考慮して決める。
【0039】
このようにして熱プレスすれば、第2の実施形態の場合と同様に、挿入したプリント配線基板17がスペーサの役目を果たし、発熱素子15、温度検出素子16をうまく熱可塑性樹脂の中に埋め込むことができる(図4(b)参照)。また、これら素子の上下のプリント配線基板は強いストレスを受けないため、ダメージの発生が防止される。この実装構造によっても、電子部品14を効率よく(省電力で)ピンポイントで熱結合させることができる。
【0040】
なお、上記第1〜第4の実施形態では、電子部品保温用素子として、発熱素子15と温度検出素子16(例えば、サーミスタ)を多層プリント配線基板10中に内蔵させるようにしたが、電子部品保温用素子として例えば、発熱素子にPTCヒータ素子を用いてもよい。PTCヒータ素子は、素子固体の持つキューリー点付近の温度に自己調整が可能であるため、PTCヒータ素子を用いれば、温度検出素子16を不要とすることができる。また、PTCヒータ素子もサーミスタも一種の酸化金属の焼成物であるため、これらをプリント配線基板上(例えば、図1の第2層プリント配線基板12上)にパターンとして形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による実装構造を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による実装構造を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による実装構造を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による実装構造を示す図である。
【図5】熱可塑性樹脂を用いた多層プリント配線基板の製作工程を示す図である。
【図6】熱可塑性樹脂の温度−弾性率の関係を示す図である。
【図7】従来技術による図1相当図である。
【符号の説明】
図面中、1は熱可塑性樹脂フィルム、2は導体箔、3は片面導体フィルム、4は導体パターン、5は保護フィルム、6はビアホール、7は導電性ペースト、8は1層分のプリント配線基板、9はカバーフィルム、10は多層プリント配線基板、11は第1層のプリント配線基板、12は第2層のプリント配線基板、13は第3層のプリント配線基板、14は電子部品、15は発熱素子、16は温度検出素子、17はプリント配線基板を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線基板表面に取り付ける電子部品を保温するために必要な発熱素子と温度検出素子をプリント配線基板に実装する実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体メモリ、CPUなどの半導体電子部品は、一般に動作温度範囲が規定されている。従って、これらの電子部品を非常に寒冷な環境の下で動作させる場合には、これら電子部品の温度が規定温度以下に下がらないようにするため、加熱、保温を必要とする場合がある。このような場合、従来は、図7に示すように両面あるいは多層のプリント配線基板100の表面に保温すべき電子部品101を取り付け、基板裏側部分にヒータなどの発熱素子102と温度検出素子103を取り付ける。そして温度検出素子103で検出した温度に従って発熱素子102の発熱量を温度制御回路(図示しない)で制御し、基板表面に取り付けた電子部品101の温度を規定値以上に保つようにしていた。
【0003】
しかし、このような構造では、発熱素子102で発生した熱は、プリント配線基板100を伝わって電子部品101に到達せねばならない。従って、熱効率が悪く、発熱量の大きな素子を必要とする。また、発熱素子102、温度検出素子103共に大気に曝されているため周囲温度の影響を受けやすい。これらのことから電子部品2を安定して保温することができないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−246718号報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、プリント配線基板表面に取り付けた電子部品を熱効率良く加熱でき、且つ周囲温度の影響を少なく抑えて安定した保温ができるようにした、電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、まず絶縁基材に熱可塑性樹脂を用い保温すべき電子部品が取り付くようにパターニングされた表面導体を有する第1層プリント配線基板を準備する。次に、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に該電子部品を保温するための電子部品保温用素子が配置されるようにパターニングされた表面導体を有する第2層プリント配線基板を準備する。続いて第2層プリント配線基板のパターニングされた表面導体上に前記電子部品保温用素子を配置し、その上に前記第1層プリント配線基板を積層する。その上で全体を加熱した状態で加圧することにより第1層、第2層プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0007】
このような実装構造によれば、電子部品保温用素子は熱可塑性樹脂の中に封入されるため大気に曝されることがない。従って、周囲温度に影響されにくい効果がある。また、熱可塑性樹脂を用いた絶縁基材は薄いフィルム状で、加えて熱プレスにより融着されるため、電子部品保温用素子と保温される電子部品の底面との間には非常に薄い樹脂フィルムしか残らない。従って、電子部品保温用素子から保温される電子部品への熱伝達効率が改善される。また、電子部品保温用素子の一つとして温度検出素子を取り付けた場合には、該温度検出素子による電子部品の温度測定精度が向上する効果が得られる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、まず絶縁基材に熱可塑性樹脂を用い保温すべき電子部品が取り付くようにパターニングされた表面導体を有する第1層プリント配線基板を準備する。次に、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に電子部品保温用素子を配置したときにそれら素子とパターニングされた裏面導体との電気的接続が確保されるように、導電ペーストを埋め込んだビアホールが設けられた第2層プリント配線基板を準備する。続いて、そのビアホールの上に前記電子部品保温用素子を配置し、その上に前記第1層プリント配線基板を積層する。その上で全体を加熱した状態で加圧することにより第1層、第2層プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0009】
このような実装構造によっても、請求項1に記載した発明と同様の効果を得ることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第1層、第2層プリント配線基板の間に、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材として用いたプリント配線基板であって、電子部品保温用素子が納まる部分を切除した1ないし複数のプリント配線基板を挿入した状態で積層する。その上で、全体を加熱下で加圧することにより各プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0011】
このような実装構造によれば、請求項1に記載した発明と同様の効果が得られる他、比較的厚みのある電子部品保温用素子も実装することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3の何れかに記載の発明において、熱可塑性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる樹脂を使用することを特徴とする電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造である。
【0013】
このような成分構成の樹脂は、熱可塑性を有し、加熱下の加圧により各層絶縁基材を熱融着させることができるので、電子部品保温用素子を内部に埋め込んだ実装構造を容易に形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6を参照しながら説明する。最初に本発明で利用している熱可塑性樹脂を絶縁基材として使用した多層構造のプリント配線基板の構成およびその製造方法を図5、図6を参照して説明する。
【0015】
まず、絶縁基材である熱可塑性樹脂フィルム1の片面に導体箔2を貼り付けた片面導体フィルム3を準備する(図5(a)参照)。導体箔2としては、通常は厚さ9〜35μmの銅箔が使用されるがアルミ箔も使用できる。また、熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド(PEI)樹脂35〜65重量%を含む厚さ25〜75μmのフィルムを用いる。
【0016】
この結晶転移型の熱可塑性樹脂は、図6の温度−弾性率曲線に示すように常温では非晶質であるが、200℃付近に加熱して加圧すると軟質となる。その後、加圧を止めて温度を上げると硬質となり(更に高い温度(約400℃)では溶解する。)、その状態から温度を下げると、樹脂は結晶化して200℃付近および常温でも硬質を保つ性状を呈する。なお、熱可塑性樹脂としては、上記樹脂以外にポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂もしくはポリエーテルイミド(PEI)樹脂を単独で使用することも可能である。
【0017】
このような片面導体フィルム3の表面の導体箔2をエッチングして導体パターン4を形成した後、裏面に保護フィルム5を貼り付ける(図5(b)参照)。保護フィルム5としては、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルムを使用する。
【0018】
次に、裏面の保護フィルム5側から炭酸ガスレーザを照射して、導体パターン4を底面とする有底ビアホール6を形成する(図5(c)参照)。ビアホール6の形成は、導体パターン4に穴を開けないように、炭酸ガスレーザの出力と照射時間を調整して行なう。ビアホール6の形成には、炭酸ガスレーザ以外にエキシマレーザー等を使用することもできる。ドリル加工等の機械加工でもビアホール6を形成できるが、微細な孔を開けるにはレーザーが好ましい。
【0019】
ビアホール6の形成を終えた後、形成したビアホール6内に、後に積層される片面導体フィルムの各層導体パターン間の電気的接続を確保するための導電性ペースト7を充填する(図5(d)参照)。導電ペースト7は、銅、銀、スズ等の金属粒子にバインダ樹脂や有機溶剤を加えて混練したものである。導電ペースト7は、メタルマスクを用いたスクリーン印刷機により片面導体フィルム3の導体パターン4側を下にして、ビアホール6内に印刷充填される。導電ペースト7の充填後、保護フィルム5を剥離する(図5(e)参照)。以上のようにして、1層分のプリント配線基板8が形成される。
【0020】
このように製造した1層分のプリント配線基板8を、図5(f)に示すように複数枚積層する。この場合、積層した多層基板の表面、裏面に導体パターン4が現れるように、下の方のプリント配線基板8は、上の層のプリント配線基板8とは表裏を反対にして積層する。更に、最下層の下と最上層の上には、導体パターン4を保護するためのカバーフィルム9を重ねる。カバーフィルム9の材料としては、例えばポリエチレンナフタレート(PEN)を使用する。カバーフィルム層の弾性率は1〜1000Mpaが望ましい。それ以上では、次工程での熱融着が難しくなるからである。
【0021】
積層後、それら基板全体を200〜350℃に加熱し、その状態で真空プレス機により0.1〜10Mpaの圧力で加圧する。使用されている熱可塑性樹脂は、図6に示すような弾性率変化を呈するので、この加熱下の加圧(以下、熱プレスという)により熱可塑性樹脂である絶縁基材同士が相互に熱融着して一体化する。熱融着後、加圧を停止して温度を常温に戻すと、熱可塑性樹脂は結晶化するとともに硬化する。硬化後、カバーフィルム9を取り除けば図5(g)に示すような多層プリント配線基板10が完成する。
【0022】
完成した多層プリント配線基板10では、各層の導体パターン4は、ビアホール6に充填されていた導電ペースト7により電気的に接続される。従って、ビアホール6の形成位置、導体パターン4のパターニングを工夫することにより、希望する配線構造を有する多層プリント配線基板10を製造することができる。なお、その後、完成した多層プリント配線基板10をハンダリフロー炉に通して電子部品を表面に実装する場合には300℃程度に加熱されるが、図6に示すように、その程度の温度では熱可塑性樹脂は軟化することはなく、結晶状態が保たれる。
【0023】
次に、以上のような熱可塑性樹脂を絶縁基材として使用する多層プリント配線基板の製造技術を利用して、後に基板表面に取り付けられる電子部品を保温するために必要な電子部品保温用素子の一例として発熱素子と温度検出素子(例えばサーミスタ)とを実装したプリント配線基板の実装構造およびその実装方法について説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1を参照して第1の実施形態(第1の実装構造)を説明する。まず、前述したと同様の形成方法により、保温を必要とする電子部品が取り付けられる第1層のプリント配線基板11を形成する。このプリント配線基板11は、前述した製造工程でいえば図5(e)に示す構造を有するものである。導体パターン4は電子部品14が取り付けられるようにパターニングしておく。電子部品14を配線基板に強固に取り付けるため、電子部品14の端子が配置される導体パターン4の下には、通常、ビアホールが設けられる。
【0025】
続いて、第2層、第3層となるプリント配線基板12、13も同様の方法で形成する。最下層となる第3層プリント配線基板13は、導体パターン側が下になるようにし、その上に第2層プリント配線基板12を重ねる。第2層プリント配線基板12の導体パターン4は、第1層プリント配線基板11の表面に後で取り付ける電子部品14の下方となる位置に、電子部品14を保温するために必要な発熱体15と温度検出素子16とが配置されるようにパターニングしておく。
【0026】
その第2層プリント配線基板12の導体パターン4の上に発熱素子15、温度検出素子16を配置し、その上に第1層プリント配線基板11を重ねる。発熱素子15としては、例えばステンレス薄板を電子部品14の形状に応じて短冊状あるいは、つづら折れ状等にカットしたものを必要な個数使用する。
【0027】
その後、図5(f)と同様にカバーレーヤー9を上下に積層し、先に説明したと同じような条件で熱プレスして、熱可塑性樹脂でできた絶縁基材部を熱融着して一体化させる。熱プレス後、常温、常圧に戻し、上下のカバーフィルム9を剥離すると、図1(b)に示すような、発熱素子15と温度検出素子16とが絶縁性の熱可塑性樹脂内に埋め込まれた構造の多層プリント配線基板10が完成する。
【0028】
なお、発熱素子15および温度検出素子16と第2層プリント配線基板12の導体パターン4との電気的接続は、例えば熱プレス前に導体パターン4上にクリームハンダを塗布し、その上に発熱素子15と温度検出素子16とを載せ、加熱することでハンダ付けしておくことが望ましい。このようにすれば、熱プレスの際の素子の位置ずれを防止できる。その他、端子部分にハンダバンプを設けた発熱素子15と温度検出素子16を用い、熱プレス前あるいは熱プレス後に加熱してバンプを溶かすことで導体パターン4にハンダ付けする方法でもよい。
【0029】
このようにして多層プリント配線基板10を完成させた後、保温すべき電子部品14を表面の導体パターン4上の所定位置にハンダ付けして固定する(図1(c)参照)。電子部品14のハンダ付けは、例えば、表面の導体パターン4上にメタルマスクを用いてクリームハンダを塗布し、その上に電子部品14を載せて加熱することで行なう。この加熱の際には、埋め込まれた発熱素子15、温度検出素子16と第2層導体パターン4との間のハンダも溶解して、電気的接続が強固にされる。
【0030】
このような実施形態による実装構造によれば、発熱素子15、温度検出素子16は、熱可塑性樹脂の中に封入され、大気に曝されることがない。従って、周囲温度の影響を受けにくくなる利点がある。また、絶縁基材である熱可塑性樹脂フィルム1の厚さは25〜75μmと非常に薄く、加えて熱プレスにより融着されるため、発熱素子15、温度検出素子16と電子部品14の底面との間には非常に薄い樹脂フィルムしか残らない。従って、発熱素子15から電子部品14への熱伝達効率が改善されると共に、温度検出素子16は電子部品14の実際の温度をより正確に検出できるようになる。
【0031】
なお、本実施形態では、3層の多層プリント配線基板として実装した構造例を説明したが、必要であれば前記第2層、第3層プリント配線基板12、13の間に、更にプリント配線基板を追加挿入することにより層数を増やした構造とすることができる。また、電子部品14の温度制御に必要なICなどの他の温度制御回路部品は、表面に配置してもよいし、温度検出素子16などと同様に熱可塑性樹脂内に埋め込んで実装してもよい。熱可塑性樹脂の中に埋め込み実装する場合には、発熱素子15や温度検出素子16の下方に位置するように配置すると基板サイズが小さくなって好ましい。何れにおいても、本実施形態によれば、目的とする電子部品14を効率良く(省電力で)ピンポイントで好適に加熱することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、図2を参照して第2の実施形態(第2の実装構造)を説明する。この実施形態は、発熱素子15または温度検出素子16の厚みが厚い場合に適した実装構造である。前述した第1の実施形態では、発熱素子15あるいは温度検出素子16の厚さが厚いと、熱プレスした場合にそれらの素子がうまく熱可塑性樹脂の中に収まりきらず、表層あるいは下層のプリント配線基板に強いストレスが加わってダメージを与えるおそれがある。
【0033】
本実施形態では、こうした場合に対処するため、図2(a)に示すように、第1の実施形態における第1層と第2層プリント配線基板11、12との間に、発熱素子15と温度検出素子16とが収まる部分を切除したプリント配線基板17を追加挿入する。この追加挿入するプリント配線基板17の絶縁基材も同じ熱可塑性樹脂で、その層数は、発熱素子15、温度検出素子16の厚さを考慮して決める。
【0034】
このようにして熱プレスすれば、挿入したプリント配線基板17がスペーサの役目を果たし、発熱素子15、温度検出素子16をうまく熱可塑性樹脂の中に埋め込むことができる(図2(b)参照)。また、これら素子の上下のプリント配線基板は強いストレスを受けないため、ダメージの発生が防止される。この実装構造によっても、電子部品14を効率良く(省電力で)ピンポイントで熱結合させることができる。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、図3を参照して第3の実施形態(第3の実装構造)を説明する。この実施形態は、第1の実施形態と類似であるが、図3(a)に示すように第2層となるプリント配線基板12を、導体パターン4が下側になるように、すなわち第1の実施形態とは表裏を逆にして積層する点が異なる。発熱素子15および温度検出素子16は、第2層プリント配線基板12のビアホールに充填された導電ペースト7の上に載置して熱プレスする。
【0036】
このように積層して熱プレスすれば、発熱素子15および温度検出素子16は、第2層プリント配線基板12のビアホールに充填されていた導電ペースト7により、第2層プリント配線基板12の裏面導体パターン4に電気的に接続される。本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、電子部品14を効率良く(省電力で)ピンポイントで熱結合させることができる。
【0037】
(第4の実施形態)
次に、図4を参照して第4の実施形態(第4の実装構造)を説明する。この実施形態は、第2の実施形態と同じ考えで、発熱素子15または温度検出素子16の厚さが厚い場合に対処できるよう、第3の実施形態に修正を加えた実装構造である。
【0038】
図4(a)に示すように、第3の実施形態における第1層、第2層プリント配線基板11、12との間に、発熱素子15と温度検出素子16とが収まる部分を切除したプリント配線基板17を追加挿入する。この追加挿入するプリント配線基板17の絶縁基材も同じ熱可塑性樹脂で、その層数は、発熱素子15、温度検出素子16の厚さを考慮して決める。
【0039】
このようにして熱プレスすれば、第2の実施形態の場合と同様に、挿入したプリント配線基板17がスペーサの役目を果たし、発熱素子15、温度検出素子16をうまく熱可塑性樹脂の中に埋め込むことができる(図4(b)参照)。また、これら素子の上下のプリント配線基板は強いストレスを受けないため、ダメージの発生が防止される。この実装構造によっても、電子部品14を効率よく(省電力で)ピンポイントで熱結合させることができる。
【0040】
なお、上記第1〜第4の実施形態では、電子部品保温用素子として、発熱素子15と温度検出素子16(例えば、サーミスタ)を多層プリント配線基板10中に内蔵させるようにしたが、電子部品保温用素子として例えば、発熱素子にPTCヒータ素子を用いてもよい。PTCヒータ素子は、素子固体の持つキューリー点付近の温度に自己調整が可能であるため、PTCヒータ素子を用いれば、温度検出素子16を不要とすることができる。また、PTCヒータ素子もサーミスタも一種の酸化金属の焼成物であるため、これらをプリント配線基板上(例えば、図1の第2層プリント配線基板12上)にパターンとして形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による実装構造を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による実装構造を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による実装構造を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による実装構造を示す図である。
【図5】熱可塑性樹脂を用いた多層プリント配線基板の製作工程を示す図である。
【図6】熱可塑性樹脂の温度−弾性率の関係を示す図である。
【図7】従来技術による図1相当図である。
【符号の説明】
図面中、1は熱可塑性樹脂フィルム、2は導体箔、3は片面導体フィルム、4は導体パターン、5は保護フィルム、6はビアホール、7は導電性ペースト、8は1層分のプリント配線基板、9はカバーフィルム、10は多層プリント配線基板、11は第1層のプリント配線基板、12は第2層のプリント配線基板、13は第3層のプリント配線基板、14は電子部品、15は発熱素子、16は温度検出素子、17はプリント配線基板を示す。
Claims (4)
- プリント配線基板表面に取り付けられる電子部品を保温するための電子部品保温用素子をプリント配線基板に実装する実装構造であって、絶縁基材に熱可塑性樹脂を用い前記電子部品が取り付くようにパターニングされた表面導体を有する第1層プリント配線基板と、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に前記電子部品保温用素子が配置されるようにパターニングされた表面導体を有する第2層プリント配線基板の該導体上に前記電子部品保温用素子を配置したものとを積層し、加熱下で加圧することにより前記第1層、第2層プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造。
- プリント配線基板表面に取り付けられる電子部品を保温するための電子部品保温用素子をプリント配線基板に実装する実装構造であって、絶縁基材に熱可塑性樹脂を用い前記電子部品が取り付くようにパターニングされた表面導体を有する第1層プリント配線基板と、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材に用い、前記電子部品の下方に前記電子部品保温用素子を配置したときに当該素子とパターニングされた裏面導体との電気的接続が確保されるように、導電ペーストを埋め込んだビアホールが設けられた第2層プリント配線基板の該ビアホール上に前記電子部品保温用素子を配置したものとを積層し、加熱下で加圧することにより前記第1層、第2層プリント配線基板を熱融着させた構造を有する電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造。
- 前記第1層、第2層プリント配線基板の間に、同じ熱可塑性樹脂を絶縁基材として用い、前記電子部品保温用素子とが納まる部分を切除した1ないし複数のプリント配線基板を挿入した状態で積層し、加熱下で加圧することにより各プリント配線基板を熱融着させた構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造。
- 前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の電子部品保温用素子のプリント配線基板への実装構造。
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- 2003-02-03 JP JP2003025898A patent/JP2004241405A/ja active Pending
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