JP2011148312A - メッシュ、そのメッシュを用いたフィルタとそのフィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルタにインサート成形するメッシュを金型のコアピンにセットする際の位置合わせ作業が容易となり、またその位置合わせのためにメッシュに設けた突出部が成形後に露出し不良となることを抑えたメッシュを提供する。
【解決手段】フィルタ10のフィルタ本体12にインサート成形するメッシュ14は、両端部が重ね合わせられ接合された重ね合わせ部に、軸方向に沿って内方に折り曲げて突出させた突出部30を形成する。インサート成形時には、その突出部30をコアピンの溝部に嵌め合わせてメッシュ14をコアピンにセットする。
【選択図】図3
【解決手段】フィルタ10のフィルタ本体12にインサート成形するメッシュ14は、両端部が重ね合わせられ接合された重ね合わせ部に、軸方向に沿って内方に折り曲げて突出させた突出部30を形成する。インサート成形時には、その突出部30をコアピンの溝部に嵌め合わせてメッシュ14をコアピンにセットする。
【選択図】図3
Description
本発明は、流体に混入する微小粒や異物等を除去するメッシュ、そのメッシュを用いたフィルタとそのフィルタの製造方法に関する。
車両に使用されるエンジンオイルやAT用オイル等の供給経路には、オイルタンク内に入り込んだ微小粒や異物等がエンジンや機器内に流れ込まないようにするため、ろ過機能を有する多孔性のシート状素材からなる金属メッシュを枠体(本体部)にインサート成形したフィルタ(ストレーナ)が取り付けられている。図13に示されるように、従来のフィルタに用いられるメッシュ100は、所定形状に型抜きしたシート状素材を筒状に曲げ加工し、両端部102、104を重ね合わせてスポット溶着や接着等により接合して作製される。
そして、成形後にフィルタの枠体からメッシュの接合部がはみ出さないようにするため、例えば特公昭61−55408号公報に記載されているように、金型のコアピン外周面に形成された溝部(スリット)にメッシュの重ね合わせ部を位置合わせして、メッシュをコアピンにセットし製造している。
また、特公昭61−55408号公報のように、メッシュ両端部の接合には溶着等を用いず、端部に重ね代と重ね代から折り返しのための延長部を形成し、その延長部を重ね合わせ部分の内側あるいは外側に折り返してメッシュを筒状に仮止めするとともに、折り返し部がフィルタ本体の樹脂枠内に収まるよう位置合わせしてインサート成形する方法も提案されている。
しかし、上述した従来のスポット溶着によりメッシュの端部を接合する構造では、コストが高い上、多点スポットになると溶着部106A、106B間でメッシュが盛り上がり、金型で挟み込んで金型を破損させやすい問題がある。またシームレススポット溶着や接着では、接合強度が安定しないために剥がれやすい欠点がある。
一方、特公昭61−55408号によるフィルタの製造方法では、コアピンとメッシュとの間にあるクリアランスによってメッシュの重ね合わせ部がコアピンの溝部から外れやすいため、射出成形時の圧力等によって位置ずれを起こし、成形後にフィルタ本体から重ね合わせ部がはみ出した不良品を発生する。また特開昭63−59326号の場合でも、延長部を重ね合わせて形成した折り返し部では、金型に対するメッシュの位置決めが難しく、且つ、位置決め精度が低いために、やはり、フィルタ本体の樹脂枠内に折り返し部が収まらないことがある。
本発明は上記事実を考慮して、フィルタにインサート成形するメッシュを金型のコアピンにセットする際の位置合わせ作業が容易となり、またその位置合わせのためにメッシュに設けた突出部が成形後に露出し不良となることを抑えたメッシュ、そのメッシュを用いたフィルタとそのフィルタの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の請求項1のメッシュは、流路に取り付けられて流体に混入する微小粒や異物等を除去するフィルタに用いられ、多孔性の1枚の金属製のシート状素材をテーパー形状を有する筒状に形成してフィルタの枠体にインサート成形されるメッシュであって、前記シート状素材の一端側に断面略U字状に折り返した挟み込み部を形成し、他端側の先端縁を前記挟み込み部に嵌め入れ挟み込み部をかしめ、前記シート状素材の両端部が重ね合わせられる重ね合わせ部に前記メッシュの軸方向に沿って内方に折り曲げられて突出された突出部を形成し、前記突出部を前記フィルタの枠体の桟部内に収まるようにインサート成形されるように構成したことを特徴とする。
本発明の請求項2のメッシュは、請求項1に記載のメッシュにおいて、前記突出部は、前記テーパー形状に対応する形状を有する芯金を備えて前記シート状素材の投入から抜き加工、曲げ加工、かしめ加工までの工程を行う加工機械を用いて形成されることを特徴とする。
本発明の請求項3のフィルタは、請求項1または請求項2に記載のメッシュを用いたことを特徴とする。
本発明の請求項4のフィルタの製造方法は、請求項1または請求項2に記載のメッシュを金型に設けられたコアピンに挿入し、金型内に樹脂材料を射出して形成される枠体に前記メッシュをインサート成形するフィルタの製造方法であって、前記メッシュの前記突出部を前記コアピンの外周面に軸方向に沿って形成された溝部に嵌め合わせることを特徴とする。
本発明によれば、メッシュに形成した内方に突出する突出部がコアピンの溝部に確実に嵌め合わせられるため、メッシュをコアピンにセットする際の位置合わせ作業が容易になる。また、射出成形時に加わる圧力等によっても突出部が溝部から外れることがないため、成形後に突出部が露出して不良となることもない。
また、突出部をシート状素材の両端部が重ね合わせられる重ね合わせ部に設けることで、突出部の加工が容易となる。
さらに、その重ね合わせ部をかしめ構造により接合することで突出部の板厚が薄くされ、従来のスポット溶接で発生したメッシュの盛り上がりによる金型での挟み込みが回避される。また高い接合強度が得られることで、接着等で起きた接合部の剥がれも抑えられる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2には、本発明の一実施形態に係るフィルタの斜視図が示されており、図3にはその水平線断面図が示されている。
フィルタ10は、樹脂材料(PPS等)を射出成形により枠状に形成したフィルタ本体12に、多孔性を有する金属製(SUS304等)のシート状素材を下方に先細りするテーパー形状の筒状に形成したメッシュ14がインサート成形されて構成されている。
フィルタ本体12は、パイプ等に接続される上部に設けられた円環状の接続環20と、下部に設けられた円板状の取付板22が、円周方向に180度間隔で配置された2個の桟部24により繋がれている。さらに取付板22の下面には、下面から略垂直に片持ち状に突出して弾性変形可能とされ、先端部には外方へと膨出する係合爪26が設けられて、取付機器に形成された取付孔に係合する弾性片28が同一円周上に等間隔で4個形成されている。
メッシュ14には、図3に示すように、両端部が重ね合わせられ接合された重ね合わせ部に、軸方向に沿って内方に折り曲げられて突出された突出部30が形成されている。この突出部30は、メッシュ14の一端側を断面略U字状に折り返して形成された挟み込み部32に、内方に略直角に曲げられた他端側の先端縁34が嵌め入れられ、挟み込み部32がかしめられることで両端部が接合された構造とされており、フィルタ本体12に設けられた一方の桟部24内に埋入されている。
図4には、メッシュ14を加工するマルチフォーミングマシン36のフォーミング加工部が示されている。このマルチフォーミングマシン36は、素材の投入から、抜き、曲げ(フォーミング)、かしめまでを1工程で加工する加工機械であり、フォーミング加工部のほぼ中央には所定のテーパー形状とされた分割構造の芯金38、40を備え、その周囲には、芯金38、40の右側方に設けられたツール42から反時計方向に順に、ツール44、46、48、50、52、54、56が配置され、芯金38、40の左右側部近傍にはツール57、58、60が配置されている。
また各ツールは、図示しないカム・ギアに連結されて駆動し、ツール42は上下方向に、ツール44〜56は芯金38、40に近接及び離間する方向に、ツール57、58、60は前後方向にそれぞれ移動するようになっている。
ここで、図5〜図9を用いメッシュ14の加工方法を説明する。先ず抜き加工工程では、図5に示すように、シート状素材62を図中矢印A方向に送りながら、(1)工程にて展開形状にトリミングし、(2)工程にて抜きバリを押さえるためスタンプし、(3)工程にてトリミング部分をフォーミング部に送り素材から切断する。
続いて曲げ加工工程では、図6(A)工程にて送られてきた素材を芯金38とツール54でクランプし、ツール42にて切断した後(図5(3)と同じ)、図6(B)工程にてツール52、56及び芯金38によりメッシュ14をU字状に曲げる。次に図6(C)工程にてツール48、57によりメッシュ14の左側先端部を予備曲げし、図7(D)工程にてツール46、57によりメッシュ14の左側先端部曲げ(先端縁34)を完了させる(図7(E)工程)。
さらに図7(F)工程にてツール44及び芯金38により右側端部を内側に曲げ、図8(G)工程にてツール46と芯金38、40とにより右側先端部を内方に曲げ加工し(図8(H)工程)、図8(I)工程にてツール48及び芯金40により左側端部を内側に曲げて先端縁34を右側先端部の曲げ部に嵌め合わせ、図9(J)工程にてツール46及び芯金38、40により嵌め合わせた先端縁34を右側先端部の曲げ部に押し込む。
そして図9(K)工程にてツール50により芯金40を右方向に押して右側先端部の曲げ部を先端縁34にかしめ、突出部30を形成し、図9(L)工程にてツール58、60により製品となったメッシュ14を前方に押し出す。
上記の加工工程によりマルチフォーミングマシン36によって形成されたメッシュ14をフィルタ10にインサート成形する際は、図10及び図11に示されるように、金型に設けられたコアピン64の溝部66に突出部30を嵌め合わせるようにしてメッシュ14をコアピン64に挿入しセットする。そして金型内に樹脂材料を射出すると、図1及び図2に示したフィルタ10が作製され、また図3に示したように、フィルタ本体12の桟部24にはメッシュ14の突出部30が埋入される。
以上説明したように、本実施形態に係るメッシュ14をインサート成形したフィルタ10では、メッシュ14に形成した内方に突出する突出部30がコアピン64の溝部66に確実に嵌め合わせられるため、メッシュ14をコアピン64にセットする際の位置合わせ作業が容易になる。また、射出成形時に加わる圧力等によっても突出部30が溝部66から外れることはなく、これにより、成形後に突出部30がフィルタ本体12の桟部24から露出して不良となることもない。
また、突出部30をメッシュ14の両端部が重ね合わせられる重ね合わせ部に設けたことで加工が容易となり、さらに、その重ね合わせ部をかしめて接合したことにより、突出部30の板厚が薄くされて金型での挟み込みが回避される。また高い接合強度が得られて、接合部の離間も抑えられる。
また、図12には、メッシュに設ける突出部の変形例を示したフィルタ70の断面図が示されている。図示のように、メッシュ72の両端部を各々内方に略直角に折り曲げて形成した重ね合わせ部74を突出部とする他、メッシュの一部を内方に折り曲げ加工することでも突出部76を設けることができ、このように突出部を複数箇所設けた構造とすることもできる。
なお、本発明のメッシュは金属素材のものに限らず、例えば、繊維素材等で形成したものでもよい。また形状についてはテーパー形状以外でもよく、例えばストレート形状等でも構わない。フィルタにおいては、オイル等の液体用の他に、気体用のものにも適用することができる。
10 フィルタ
12 フィルタ本体(枠体)
14 メッシュ
30 突出部
32 挟み込み部
34 先端縁
62 シート状素材
64 コアピン
66 溝部
70 フィルタ
72 メッシュ
74 重ね合わせ部(突出部)
76 突出部
12 フィルタ本体(枠体)
14 メッシュ
30 突出部
32 挟み込み部
34 先端縁
62 シート状素材
64 コアピン
66 溝部
70 フィルタ
72 メッシュ
74 重ね合わせ部(突出部)
76 突出部
Claims (4)
- 流路に取り付けられて流体に混入する微小粒や異物等を除去するフィルタに用いられ、多孔性の1枚の金属製のシート状素材をテーパー形状を有する筒状に形成してフィルタの枠体にインサート成形されるメッシュであって、
前記シート状素材の一端側に断面略U字状に折り返した挟み込み部を形成し、他端側の先端縁を前記挟み込み部に嵌め入れ挟み込み部をかしめ、前記シート状素材の両端部が重ね合わせられる重ね合わせ部に前記メッシュの軸方向に沿って内方に折り曲げられて突出された突出部を形成し、前記突出部を前記フィルタの枠体の桟部内に収まるようにインサート成形されるように構成したことを特徴とするメッシュ。 - 前記突出部は、前記テーパー形状に対応する形状を有する芯金を備えて前記シート状素材の投入から抜き加工、曲げ加工、かしめ加工までの工程を行う加工機械を用いて形成されることを特徴とする請求項1に記載のメッシュ。
- 請求項1または請求項2に記載のメッシュを用いたフィルタ。
- 請求項1または請求項2に記載のメッシュを金型に設けられたコアピンに挿入し、金型内に樹脂材料を射出して形成される枠体に前記メッシュをインサート成形するフィルタの製造方法であって、
前記メッシュの前記突出部を前記コアピンの外周面に軸方向に沿って形成された溝部に嵌め合わせることを特徴とするフィルタの製造方法。
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