JP2011148116A - 吸湿発熱保温シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸湿発熱保温シート1は、バックフィルム11及びキャップフィルム12からなる気泡シート層10と、バックフィルム11に接合された吸湿発熱性繊維層2とを備えた構成としてある。
【選択図】 図1
Description
また、上記吸湿発熱性繊維の吸湿発熱機能に関連して、様々な技術が提案されている。
また、特許文献2に記載された技術は、たとえば、基材となるシートが気泡シートである場合、製造工程が複雑となり、製造原価のコストダウンを図ることができなくなるといった課題を有している。
さらに、特許文献3や特許文献4に記載された技術は、積極的に保温する部材を有していないために、十分な保温効果を発揮できないといった課題を有している。
図1は、本発明の第一実施形態にかかる吸湿発熱保温シートの概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)は要部の拡大断面図を示している。
図1において、本実施形態の吸湿発熱保温シート1は、気泡シート層10と、気泡シート層10のバックフィルム11に接合された吸湿発熱性繊維層2とを備えた構成としてある。
なお、気泡シート層10は、通常、柔軟性を有するシートであるが、これに限定されるものではなく、たとえば、適度な剛性を有する気泡ボード(図示せず)であってもよい。
気泡シート層10は、バックフィルム11と、多数の突起の形成されたキャップフィルム12とからなり、バックフィルム11とキャップフィルム12とが接合されることにより、突起内に気泡14を有している。この気泡14によって、気泡シート層10は、優れたクッション性や断熱性を発揮することができる。また、気泡シート層10は、後述する吸湿発熱性繊維層2が発熱すると、その熱を気泡14で蓄熱することができる。
また、気泡シート層10を構成するバックフィルム11及びキャップフィルム12の材料は、通常、ポリエチレンやポリプロピレンである。なお、上記の材料の種類や配合などを変更することにより、気泡シート層10の柔軟性(あるいは、剛性)などを任意に調整することができる。
なお、気泡シート層10は、プチプチ(登録商標)として広く普及しており、経済性などに優れている。また、複数の突起は、図示してないが、所定の隙間をあけた状態で千鳥状又はマトリックス状等に配設されている。
また、気泡シート層10の代わりに、後述する気泡シート層10aを用いてもよい。
吸湿発熱性繊維層2は、吸湿発熱を行う繊維(吸湿発熱性繊維)を含む層であり、本実施形態では、不織布としてある。吸湿発熱性繊維としては、通常、合成繊維のアクリルなどを改質して、水分を多く含むようにしたアクリレート系繊維などが使用される。また、上記の不織布の組成は、吸湿発熱性繊維100%としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、吸湿発熱性繊維を、他の繊維(たとえば、綿、ナイロン系繊維、ポリエステル系繊維など)と混用した布であってもよい。
なお、吸湿発熱性繊維層2は、不織布に限定されるものではなく、たとえば、織布であってもよい。
また、吸湿発熱性繊維は、アクリレート系繊維に限定されるものではなく、吸湿発熱を行う繊維であればよい。さらに、吸湿時の最大温度上昇が2℃以上であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、たとえば、1℃以上であってもよい。
なお、接合方法は、上記に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、気泡14と干渉しない部分のバックフィルム11と吸湿発熱性繊維層2とを、スポット溶着したり、あるいは、ホットメルトや接着剤などを用いて接合してもよい。
次に、吸湿発熱保温シート1の実施例について説明する。
気泡シート層10として、市販されている気泡シート(川上産業株式会社製:プチプチ#40(突起の直径約10mm、高さ約3.5mm、ピッチ約11mm))を用いた。
また、吸湿発熱性繊維層2として、東洋紡績株式会社製の高吸湿発熱繊維(商品名:モイスケア(登録商標)、アクリレート系繊維、厚さ約2mm)を用いた。
さらに、気泡シート層10のバックフィルム11とキャップフィルム12とを熱溶着した直後に、吸湿発熱性繊維層2(吸湿発熱性繊維層2の接合表面近傍の部分)とバックフィルム11とを熱溶着することにより、吸湿発熱性繊維層2をバックフィルム11に接合し、吸湿発熱保温シート1を製作した。
製作した吸湿発熱保温シート1を乾燥機において2時間乾燥し、シリカゲル入りのデシケータ内に8時間放置した。続いて、恒温恒湿器を用いて、20℃×40%RH(相対湿度)の環境に2時間放置した後、直ちに設定を20℃×90%RH(相対湿度)の環境に変化させ、吸湿発熱保温シート1の温度変化を測定した。また、温度測定には、細線(たとえば、直径0.1mm)からなる熱電対温度センサを用い、この熱電対温度センサを吸湿発熱性繊維層2内に取り付けた。
上記の設定を変化させてから、約5分後には、20℃×90%RH(相対湿度)の環境となり、相対湿度の上昇にともない吸湿発熱保温シート1の温度は上昇し、設定を変化させてから約4分後には、20℃から約22℃に上昇し、その後、温度は徐々に低下し、約45分後には、20℃となった。
すなわち、吸湿発熱保温シート1は、吸湿発熱性繊維層2が吸湿発熱によって得た熱を、気泡シート層10の気泡14で蓄熱することができ、保温機能を有していた。
すなわち、この吸湿発熱保温シート1は、布団や服などの基材(中芯)などとして、天井、押入、窓などの保温・結露防止用素材などとして、結露などを回避したい被梱包物の梱包材などとして、あるいは、ビニールハウスや物置などにおいて、ビニールなどに代わる保温材や遮音材などとして、有効に使用される。
なお、吸湿発熱保温シート1の用途は、上記に限定されるものではない。また、壁紙などの代わりに用いられる場合、吸湿発熱保温シート1は、化粧用のシートなどをさらに備える構成としてもよい。
また、本実施形態は、様々な応用例を有している。
次に、本実施形態の応用例について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第一応用例にかかる吸湿発熱保温シートの概略断面図を示している。
図2において、第一応用例の吸湿発熱保温シート1aは、上述した第一実施形態の吸湿発熱保温シート1と比べると、二層の気泡シート層10の代わりに、ライナーフィルム13を有する三層の気泡シート層10aを備え、吸湿発熱性繊維層2がライナーフィルム13に接合された点などが相違する。なお、本応用例の他の構成は、吸湿発熱保温シート1とほぼ同様としてある。
したがって、図2において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
ただし、ライナーフィルム13の材質などは、上記に限定されるものではない。すなわち、好ましくは、吸湿発熱性繊維層2の放湿性などを向上させることを目的として、ライナーフィルム13の代わりに、透湿性を有するフィルムや布(たとえば、織布)などを用いてもよい。上記布に用いられる繊維としては、吸湿性と放湿性を向上させた改質ナイロン系繊維やポリエステル系繊維などが挙げられる。このようにすると、吸湿発熱性繊維層2の吸った水分が、キャップフィルム12とライナーフィルム13との間の突起の形成されていない領域に効率よく移動でき、上記の領域が、吸湿発熱性繊維層2が吸った水分を効率よく排出するための流路(放湿用流路)として機能し、吸湿発熱性繊維層2の発熱性を大幅に向上させることができる。
なお、接合方法は、上記に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、気泡14と干渉しない部分のライナーフィルム13と吸湿発熱性繊維層2とを、スポット溶着したり、あるいは、ホットメルトや接着剤などを用いて接合してもよい。
図3は、本発明の第二応用例にかかる吸湿発熱保温シートの概略断面図を示している。
図3において、第二応用例の吸湿発熱保温シート1bは、上述した第一実施形態の吸湿発熱保温シート1と比べると、吸湿発熱性繊維層2がキャップフィルム12に接合された点などが相違する。なお、本応用例の他の構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、図3において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この吸湿発熱性繊維層2は、キャップフィルム12の突起の頂部に熱溶着されている。このように熱溶着すると、図示してないが、不織布のとげ状部位が、ライナーフィルム13に入り込むことにより(アンカー効果により)、適度な接合強度を実現することができる。また、接合した吸湿発熱性繊維層2を剥がすこともでき、吸湿発熱保温シート1bのリサイクル性を向上させることができる。
なお、接合方法は、上記に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、ホットメルトや接着剤などを用いて接合してもよい。
なお、凸部や凹部の形状は、特に限定されるものではなく、たとえば、吸湿発熱性繊維が吸った水分を効率よく排出することのできる形状であればよい。
図4は、本発明の第二実施形態にかかる吸湿発熱保温シートの概略断面図を示している。
図4において、本実施形態の吸湿発熱保温シート1cは、上述した第一実施形態の吸湿発熱保温シート1と比べると、キャップフィルム12にも吸湿発熱性繊維層2が接合された点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、吸湿発熱保温シート1とほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、本実施形態は、様々な応用例を有している。
次に、本実施形態の応用例について、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の第三応用例にかかる吸湿発熱保温シートの概略断面図を示している。
図5において、第三応用例の吸湿発熱保温シート1dは、上述した第一応用例の吸湿発熱保温シート1aと比べると、吸湿発熱性繊維層2がバックフィルム11にも接合された点などが相違する。なお、本応用例の他の構成は、吸湿発熱保温シート1aとほぼ同様としてある。
したがって、図5において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
例えば、上述した実施形態などでは、一枚の気泡シート層10(あるいは、気泡シート層10a)などを備える構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、複数枚(通常、二枚以上)の気泡シート層10及び吸湿発熱性繊維層2などを備える多層構造としてもよい。このようにすると、発熱性や保温性をさらに向上させることができる。なお、気泡シート層10及び吸湿発熱性繊維層2の積層順は、特に限定されるものではない。
2 吸湿発熱性繊維層
21 吸湿発熱性繊維
10、10a 気泡シート層
11 バックフィルム
12 キャップフィルム
13 ライナーフィルム
Claims (6)
- 気泡シート層の少なくとも一側の面に吸湿発熱性繊維層を接合し、前記吸湿発熱性繊維層で発熱した熱を前記気泡シート層の気泡内に蓄熱することを特徴とする吸湿発熱保温シート。
- 前記吸湿発熱性繊維層が、前記気泡シート層のバックフィルムに接合されたことを特徴とする請求項1に記載の吸湿発熱保温シート。
- 前記吸湿発熱性繊維層が、前記気泡シート層のキャップフィルムに接合されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸湿発熱保温シート。
- 前記吸湿発熱性繊維層が、前記気泡シート層のライナーフィルムに接合されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸湿発熱保温シート。
- 前記ライナーフィルムが、透湿性を有するフィルムや布であることを特徴とする請求項4に記載の吸湿発熱保温シート。
- 前記吸湿発熱性繊維層に、凹部及び/又は凸部が形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸湿発熱保温シート。
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