JP2007056903A - 断熱材及びその断熱材を用いた断熱構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 断熱性能を確保すると共に外的要因から保護できる断熱材及びその断熱材を用いた断熱構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】 多孔質状の芯材2を樹脂フィルムで包み込むようにして覆い、その外周囲をシールし内部を真空引きしてなる、ガスバリア層3で芯材2を被覆した断熱材1であって、ガスバリア層3の上に、熱伝導率が低く、ガスバリア層3よりも剪断力に優れた緩衝層4を設ける。この断熱材1によれば、緩衝層4が外的要因(飛来物など)からの衝撃力を吸収し、ガスバリア層3が破れて内部の真空度が低下するのを防止でき、高い断熱効果を維持できる。
【選択図】図1
【解決手段】 多孔質状の芯材2を樹脂フィルムで包み込むようにして覆い、その外周囲をシールし内部を真空引きしてなる、ガスバリア層3で芯材2を被覆した断熱材1であって、ガスバリア層3の上に、熱伝導率が低く、ガスバリア層3よりも剪断力に優れた緩衝層4を設ける。この断熱材1によれば、緩衝層4が外的要因(飛来物など)からの衝撃力を吸収し、ガスバリア層3が破れて内部の真空度が低下するのを防止でき、高い断熱効果を維持できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、内部の熱を外部に出さないようにするための断熱材及びその断熱材を用いた断熱構造体に関する。
例えば、特許文献1には、コンテナーや冷蔵庫などに利用される断熱構造体が開示されている。
この断熱構造体は、紙若しくは不織布等の通気性を有する素材によって構成された内袋内にシリカ粉末を充填したのち、袋の端部を閉止し、次いでこれをプレス加圧することによって所望の形状に形成し、さらにこのプレス加圧した成形品を合成樹脂フィルム等からなる非通気性の外袋内に収容したのち外袋の内部を真空排気し、次いで外袋の端部を閉止することによって構成されている。
特許第2591977号公報
しかしながら、特許文献1に記載の断熱構造体では、内袋が紙や不織布で形成され、外袋が合成樹脂フィルムで形成されていることから、飛来物などのダメージに弱く、外袋及び内袋が破れる可能性がある。
そこで、本発明は、断熱性能を確保すると共に外的要因(衝撃など)から保護できる断熱材及びその断熱材を用いた断熱構造体を提供することを目的とする。
本発明に係る断熱材は、多孔質状の芯材を樹脂フィルムで包み込むようにして覆い、その外周囲をシールし内部を真空引きしてなるガスバリア層で芯材を被覆した断熱材であり、そのガスバリア層の上に緩衝層を設けた構造となっている。
本発明の断熱材によれば、ガスバリア層の上に緩衝層を設けたので、この緩衝層が外的要因からの衝撃力を吸収するため、破れて内部の真空度が低下するのを防止し、高い断熱効果を維持させることができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
「第1の実施の形態」
図1は第1の実施の形態の断熱材を示し、(A)は断熱材の平面図、(B)はそのA−A線断面図、図2は緩衝層を積層構造とした例を示す要部拡大断面図である。
図1は第1の実施の形態の断熱材を示し、(A)は断熱材の平面図、(B)はそのA−A線断面図、図2は緩衝層を積層構造とした例を示す要部拡大断面図である。
第1の実施の形態の断熱材1は、図1に示すように、芯材2と、この芯材2を被覆するガスバリア層3と、そのガスバリア層3の一面に設けられる緩衝層4とから構成される。
芯材2には、例えば、熱伝導率が低く多孔質状のグラスウールや発泡ウレタンなどが使用される。ガスバリア層3は、樹脂フィルムで芯材2の全体を包み込むようにして覆い、その外周囲1aをシールし内部を真空引きして形成される。このガスバリア層3には、内部の真空状態を維持すべくガス透過率の低い、例えばPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)等の樹脂フィルムが使用される。
緩衝層4は、ガスバリア層3よりも剪断力に優れたPETなどを使用し、当該ガスバリア層3の一面に接着剤などの固定手段或いは加温手段で溶着されて固定されている。この緩衝層4は、例えば燃料電池自動車の床下に設けられる燃料電池構成部品に本実施の形態の断熱材1を取り付けたときに、外部から飛来してくる飛来物(小枝や小石など)がぶつかったときの衝撃力を吸収する役目をして内部の真空度低下を防止する働きをする。
かかる緩衝層4は、飛来物からの衝撃でガスバリア層3が破れないように、表皮の強度をより一層高めるために、図2に示すように、ポリイミド材を中間層4aとし、この中間層4aをPETなどの樹脂フィルムからなる上層4b及び下層4cで挟み込んだ積層構造としてもよい。ポリイミド材は、例えば他の高分子材料に比べて剪断力が非常に高く、シート状に成形することもできる。
このように構成された断熱材1によれば、ガスバリア層3の上に緩衝層4を設けたことで、飛来物がぶつかってもその衝撃を緩衝層4が吸収し、当該ガスバリア層3の破れを防止することができる。したがって、本実施の形態によれば、真空度低下を防止でき断熱性能を常に維持することのできる信頼性の高い断熱材1を提供することができる。
また、本実施の形態によれば、ポリイミド材を中間層4aとした積層構造の緩衝層4を使用することで、緩衝部の剪断力を向上させることができ、飛来物の衝突によるガスバリア層3の穴あきを防止することができる。
「第2の実施の形態」
図3は第2の実施の形態の断熱材を示し、(A)は断熱材の平面図、(B)はそのB−B線断面図、図4は第2の実施の形態における断熱材の別の例を示し、(A)は断熱材の平面図、(B)はそのC−C線断面図、図5は第2の実施の形態における断熱材のさらに別の例を示し、(A)は断熱材の断面図、(B)は金属細線を交差させて編み込んだ例の一部を示す要部拡大斜視図である。
図3は第2の実施の形態の断熱材を示し、(A)は断熱材の平面図、(B)はそのB−B線断面図、図4は第2の実施の形態における断熱材の別の例を示し、(A)は断熱材の平面図、(B)はそのC−C線断面図、図5は第2の実施の形態における断熱材のさらに別の例を示し、(A)は断熱材の断面図、(B)は金属細線を交差させて編み込んだ例の一部を示す要部拡大斜視図である。
第2の実施の形態の断熱材1では、緩衝層4の表面に複数の突起部5を設けたことを特徴としている。芯材2及びガスバリア層3は、第1の実施の形態と同様の構成であるのでその説明は省略するものとする。
緩衝層4には、図3に示すように、複数の突条部を縦横にマトリックス状に形成することで突起部5を形成している。突起部5は、緩衝層4の一部をガスバリア層3と接する面とは反対側に略逆U字状に突出させることにより形成されている。そして、この実施の形態では、前記緩衝層4を接着層6にて前記ガスバリア層3の一面に接着固定させている。
突起部5は、この他、図4に示すように、平面形状を略円形としガスバリア層3と接する面とは反対側に突出するドーム形状をなす突起であってもよい。
また、突起部5は、図5に示すように、複数本の金属細線7を交差させて編み込んで凹凸形状としたものを使用してもよい。この金属細線7を編み込んで形成した金属メッシュ網は、断熱厚さ方向に対して立体構造をなし、飛来物の衝突時に金属メッシュ網が変形可能な構造となっている。この金属細線7を編み込んで形成される金属メッシュ網は、例えば直径130μm程度のラスメタルを使用し、図5(B)で示す寸法Lを800μm程度となるように編み込んで形成される。そして、この金属メッシュ網は、2枚の樹脂フィルム8で挟み込まれ加温されることで接合され、前記ガスバリア層3に対して接着剤にて接合されている。
このように構成された断熱材1によれば、飛来物が緩衝層4の突起部5に優先して当たるため、飛来物の衝撃力を極力弱めることができ、ガスバリア層3の破損を防止することができる。したがって、この実施の形態の断熱材1では、ガス透過性の低下を抑制でき真空断熱の寿命を延ばすことができる。
また、本実施の形態の断熱材1によれば、金属細線7を編み込むことで突起部5を形成した場合には、周囲の金属メッシュ部に飛来物の衝撃力を分散させるための減衰力が高まり、ガスバリア層3の破損をより一層防ぐことが可能となる。また、金属細線7を樹脂フィルム8で挟み込むことで、当該金属細線7の腐敗による耐久性低下を防止することができる。
「第3の実施の形態」
図6は断熱保温物に取り付けられた断熱材の表面にのみ緩衝層を設けた断熱構造体の断面図である。また、図6では、第2の実施の形態で説明した図3の構造の断熱材1を断熱保温物に取り付けた構造としている。
図6は断熱保温物に取り付けられた断熱材の表面にのみ緩衝層を設けた断熱構造体の断面図である。また、図6では、第2の実施の形態で説明した図3の構造の断熱材1を断熱保温物に取り付けた構造としている。
本実施の形態の断熱構造体9は、断熱保温物10の外表面に前記した構造の断熱材1(第1及び第2の実施の形態の何れの構造を含む断熱材)を設け、その断熱材1の表面にのみ前記緩衝層4を設けた構造となっている。言い換えれば、断熱保温物10と接する前記断熱材1の貼付面には、緩衝層4を設けずガスバリア層3のみとし、外気と触れる表面にのみ緩衝層4を設けることで、断熱保温物10の外周面のみを断熱材1で覆った構造としている。
また、本実施の形態の断熱構造体9では、断熱材1の突き合わせ部に樹脂又はゴム(ゴムの発泡体など)の充填物11を配置させ、断熱保温物10の全ての外周囲をこの充填物11と断熱材1とで被覆させた構造としている。
前記断熱保温物10としては、熱を外部に放出してしまうとまずい保温物が対象となるが、例えば燃料電池自動車の床下に設けられる燃料電池構成部品などが該当する。具体的には、水素と酸素の反応で電力を発生する燃料電池スタックが断熱保温物10とされる。
このように構成された断熱構造体9によれば、断熱保温物10に取り付けられた断熱材1の表面にのみ緩衝層4を設けたので、熱リークの経路はガスバリア層3の表皮だけとなり、総合的な熱通過率、緩衝部のある物の方が低くなる。つまり、緩衝層4は、包皮材料よりも肉厚となり、この肉厚部を熱伝導によるヒートブリッジが大きくなる。しかしながら、このような構成をとることにより、高温側と低温側の熱伝導による伝熱経路は大きくなることはないので、断熱材の性能を損なうことはなくなる。
また、本実施の形態の断熱構造体9によれば、断熱材1の突き合わせ部に樹脂又はゴムの充填物11を配したので、真空断熱材の補強されていない表皮をこの充填物11で覆うことで、飛来物の衝突による断熱保温物10の破損を防止することができる。
以上、本発明を適用した具体的な実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に制限されることなく種々の変更が可能である。
例えば、上記した実施の形態では、断熱保温物10として燃料電池構成部品を例示したが、内部の熱を放出させてはいなけいものであれば、冷蔵庫や保冷庫などであってもよい。
1…断熱材
2…芯材
3…ガスバリア層
4…緩衝層
5…突起部
6…接着層
7…金属細線
8…樹脂フィルム
9…断熱構造体
10…断熱保温物
2…芯材
3…ガスバリア層
4…緩衝層
5…突起部
6…接着層
7…金属細線
8…樹脂フィルム
9…断熱構造体
10…断熱保温物
Claims (8)
- 多孔質状の芯材を樹脂フィルムで包み込むようにして覆い、その外周囲をシールし内部を真空引きしてなる、ガスバリア層で芯材を被覆した断熱材であって、
前記ガスバリア層の上に緩衝層を設けた
ことを特徴とする断熱材。 - 請求項1に記載の断熱材であって、
前記緩衝層は、ポリイミド材を中間層とし、この中間層を前記樹脂フィルムで挟み込んだ積層構造からなる
ことを特徴とする断熱材。 - 請求項1または請求項2に記載の断熱材であって、
前記緩衝層は、その表面に複数の突起部を有している
ことを特徴とする断熱材。 - 請求項3に記載の断熱材であって、
前記突起部は、金属細線を交差させ編み込んで形成することで凹凸形状とされた
ことを特徴とする断熱材。 - 請求項4に記載の断熱材であって、
前記金属細線を前記樹脂フィルムで挟み込んだ
ことを特徴とする断熱材。 - 請求項1から請求項5の何れか一つに記載される断熱材を断熱保温物に取り付けてなる断熱構造体であって、
前記断熱保温物に取り付けられた前記断熱材の表面にのみ前記緩衝層を設けた
ことを特徴とする断熱構造体。 - 請求項6に記載の断熱構造体であって、
前記断熱材の突き合わせ部に樹脂又はゴムの充填物を配した
ことを特徴とする断熱構造体。 - 請求項6または請求項7に記載された断熱構造体であって、
前記断熱保温物は、燃料電池自動車の床下に設けられる燃料電池構成部品である
ことを特徴とする断熱構造体。
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JP2005239979A JP2007056903A (ja) | 2005-08-22 | 2005-08-22 | 断熱材及びその断熱材を用いた断熱構造体 |
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2005
- 2005-08-22 JP JP2005239979A patent/JP2007056903A/ja active Pending
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