JP2011140117A - 薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッド - Google Patents

薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】変位量が大きく、且つ駆動効率の優れた薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】駆動信号により膜面に沿った方向に伸縮する変位膜を有する薄膜層と、薄膜層の両端または周縁を固定し、駆動信号による変位膜の伸長により、該薄膜層を膜面に垂直な方向に変位させる基板と、を備えた薄膜アクチュエータであって、薄膜層は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力を有し、薄膜層の変位量は、圧縮応力の大きさにより変化し、圧縮応力の値は、駆動時、薄膜層の変位量を最大にする圧縮応力の値よりも小さい。
【選択図】図3

Description

本発明は、薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッドに関する。
従来、微小変位を発生させる為のマイクロアクチュエータとして、圧電体や形状記憶合金、バイメタル等を基板の表面に薄い膜状(変位膜)に形成したカンチレバー構造(片もち梁)の薄膜アクチュエータが知られている。薄膜アクチュエータは、変位膜の膜面に沿う伸縮変形を膜面に垂直な方向の変位に効率よく変換することができる為、感度の高い圧力センサや各種駆動素子を構成することができる。
一方、カンチレバー構造(片もち梁)の薄膜アクチュエータは、梁(変位膜)の先端が固定されていない自由端の為、剛性が低く、外力による変形や捩れ等が生じやすいという問題があった。
そこで、このような問題に対応する為、変位膜の両端を固定した両もち梁構造や周縁を固定したダイヤフラム構造にすることにより、変位膜の剛性を高める方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載されているような両もち梁構造やダイヤフラム構造の薄膜アクチュエータは、変位膜の剛性が高くなる為、発生圧力を大きくできる、外部からの力により安定して変形できる、変位膜の中心部を基板に平行に移動できる、密閉構造により気体や液体を移送するポンプに活用できる等の利点がある。
一方、このような梁構造やダイヤフラム構造の薄膜アクチュエータにおいては、変位膜の変位量をより大きくすることが求められている。
そこで、特許文献2では、変位膜の駆動時の変位量を大きくする為、非駆動時の変位量(初期変位量)を小さくする方法が提案されている。具体的には、変位膜に膜面に沿った方向の応力を調整する為の弾性膜を設け、変位膜、弾性膜、及び下電極膜、上電極膜から構成される薄膜層の初期応力が全体として、ゼロまたは引張応力となるように構成することで、非駆動時の変位量(初期変位量)を小さくする方法が提案されている。
また、同様に、特許文献3では、下電極膜を兼用する応力調整用の振動板を設け、薄膜層の初期応力が全体として、ゼロまたは引張応力となるように構成することで、変位量(初期変位量)を小さくする方法が提案されている。
特開平8−114408号公報 特許第3603933号公報 特許第3451623号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法を以ってしても変位量は充分なものではなかった。
また、薄膜層の初期応力が全体として、ゼロまたは引張応力となる構成としているので、駆動効率が低下するという問題がある。詳細には、このような構成の薄膜アクチュエータにおいては、駆動信号(駆動電圧)により変位膜に膜面に沿って伸長方向の圧縮応力を発生させても、駆動電圧が所定の電圧に達するまでの初期の状態では、固定されている変位膜の両端、または周縁の厚みが増加するのみで、膜面に垂直な方向への変位には至らない領域、すなわち、不感帯域が存在する。薄膜アクチュエータの出力は、膜面に垂直な方向の変位量とその発生力の積となる。この為、初期の不感帯域では薄膜アクチュエータの出力は、略ゼロとなり、入力したエネルギーを出力として取り出すことができず駆動効率が大きく低下する。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、変位量が大きく、且つ駆動効率の優れた薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
上記目的は、下記の1から4の何れか1項に記載の発明によって達成される。
1.駆動信号により膜面に沿った方向に伸縮する変位膜を有する薄膜層と、
前記薄膜層の両端または周縁を固定し、前記駆動信号による前記変位膜の伸長により、該薄膜層を膜面に垂直な方向に変位させる基板と、を備えた薄膜アクチュエータであって、
前記薄膜層は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力を有し、
前記薄膜層の変位量は、前記圧縮応力の大きさにより変化し、
前記圧縮応力の値は、駆動時、前記薄膜層の変位量を最大にする前記圧縮応力の値よりも小さいことを特徴とする薄膜アクチュエータ。
2.前記圧縮応力の値は、駆動時、前記薄膜層の変位量を最大の略半分にする前記圧縮応力の値よりも小さいことを特徴とする前記1に記載の薄膜アクチュエータ。
3.前記薄膜層は、
前記変位膜を挟んで形成され、前記駆動信号が印加される2つの電極膜と、
前記2つの電極膜の一方の電極膜に沿って形成され、膜面に沿った応力を有する応力膜と、を有することを特徴とする前記1または2に記載の薄膜アクチュエータ。
4.前記1から3の何れか1項に記載の薄膜アクチュエータと、
前記基板の裏面に接合され、該基板に形成された開口に連通しインクを吐出するノズル孔が形成されたノズル基板と、を有し、
前記開口の内部は、前記インクを収容し、前記薄膜層の変位により圧力を発生する圧力室であることを特徴とするインクジェットヘッド。
本発明によれば、薄膜層は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力を有する構成とし、該初期の圧縮応力の値を、駆動時、薄膜層の変位量を最大にする初期の圧縮応力の値よりも小さくするようにした。
薄膜層の変位量と圧縮応力とは非線形な関係にある。この為、圧縮応力を上記範囲で設定することにより、より大きな変位量を得ることができる。
また、薄膜層は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力、すなわち膜面に沿って伸長方向の初期応力を有する構成とした。該初期の圧縮応力を上記の範囲で適切な値に設定することにより、前述の不感帯域を超えるのに必要な応力を該圧縮応力で賄うことができ、印加する駆動信号(駆動電圧)が小さい場合でも、薄膜層を、駆動電圧に応じて、膜面に垂直な方向へ変位させることができる。これにより、駆動効率を高めることができる。
本発明の実施形態に係る薄膜アクチュエータの製造工程、及び薄膜アクチュエータの初期応力の態様を示す断面模式図である。 薄膜アクチュエータの駆動変形の態様を示す断面模式図である。 薄膜層の圧縮応力と変位量の関係を示す図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの概略構成を示す断面模式図である。
以下図面に基づいて、本発明の実施形態に係る薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッドを説明する。尚、本発明は該実施の形態に限られない。
最初に、本発明の実施形態に係る薄膜アクチュエータの構成、及びその製造方法を図1を用いて説明する。図1(a)〜図1(m)は、薄膜アクチュエータ1の製造工程、及び薄膜アクチュエータ1に発生させる非駆動時の応力(以下、初期応力とも記する)の態様を示す断面模式図である。
最初に、基板101を準備する(図1(a))。基板101の材料としては、シリコン、ガラス、セラミックス等を用いることができるがMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等に広く用いられている結晶シリコン(Si)が好適であり、本実施形態においては結晶シリコンを用いた例を説明する。
次に、基板101を加熱炉に入れ、1500℃程度に所定時間保持して加熱し、基板101の表面に応力膜102となる熱酸化膜(石英:SiO)を形成する(図1(b))。続いて、応力膜102が形成された基板101を常温まで冷却する。この時、基板101(Si)と応力膜102(石英:SiO)の熱膨張係数の差により、応力膜102には、膜面に沿って伸長方向(矢印X1方向)の圧縮応力が発生する。尚、基板101の材料であるSiの熱膨張係数は3ppm/K、応力膜102となるSiOの熱膨張係数は0.5ppm/Kである。
次に、基板101の裏面にSiO膜MAを成膜する(図1(c))。SiO膜MAの成膜方法としては、例えばTEOS−CVD法を用いることができる。続いて、SiO膜MAの裏面に感光性樹脂をスピンコート法を用いて塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターンニングし、レジスト膜Rを形成する(図1(d))。続いて、レジスト膜Rをマスクとして、SiO膜MAをRIE装置を用いてCHFガスによりドライエッチングすることで、パターン化されたSiO膜Mを形成する(図1(e))。尚SiO膜Mは、後工程で基板101に開口101aを形成する際に用いるマスクとするものである。
次に、応力膜102の表面に下電極膜103を成膜する(図1(f))。下電極膜103の材料としては、例えばチタン、白金等を用いることができる。下電極膜103の形成方法としては、例えばスパッタ法を用いることができる。続いて、下電極膜103が形成された基板101を常温まで冷却する。この時、スパッタ法の成膜条件により、下電極膜103には、膜面に沿って収縮方向(矢印X2方向)の引張応力が発生する。
次に、下電極膜103の表面に、変位膜104Aを成膜する(図1(g))。成膜された変位膜104Aは、圧電特性が得られるペロブスカイト層の<111>に配向している。変位膜104の材料としては、例えば圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いることができる。変位膜104の形成方法としては、例えばスパッタ法を用いることができる。続いて、変位膜104が形成された基板101を常温まで冷却する。この時、スパッタ法の成膜条件により、変位膜104には、膜面に沿って収縮方向(矢印X3方向)の引張応力が発生する。
次に、変位膜104Aの表面に感光性樹脂をスピンコート法を用いて塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターンニングし、リフトオフレジスト膜Rを形成する(図1(h))。続いて、リフトオフレジスト膜Rが形成された変位膜104Aの表面に上電極膜105Aを成膜する(図1(i))。上電極膜105Aの材料としては、例えばクロム、金を用いることができる。上電極膜105Aの形成方法としては、例えば蒸着法を用いることができる。続いて、上電極膜105Aが成膜された基板101を剥離液に浸漬しリフトオフレジスト膜Rをリフトオフすることで、パターン化された上電極膜105を形成する(図1(j))。
次に、上電極膜105が形成された変位膜104Aの表面に感光性樹脂をスピンコート法を用いて塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターンニングし、上電極膜105の表面にレジスト膜Rを形成する(図1(k))。続いて、レジスト膜Rをマスクとして、上電極膜105Aが成膜された基板101をフッ硝酸に浸漬しエッチングすることで、パターン化された変位膜104を形成する(図1(l))。
このようにして、応力膜102、下電極膜103、変位膜104、上電極膜105等から構成される薄膜層10が形成される。
次に、基板101の裏面に形成しておいたSiO膜Mをマスクとし、基板101をICP装置のボッシュプロセスで深堀加工し、開口101aを形成し(図1(m))、薄膜アクチュエータ1を完成する。
この時、薄膜層の周縁が基板101に固定された状態となり、薄膜アクチュエータ1はダイヤフラム構造となる。そして、前述のように、応力膜102には伸長方向(矢印X1)の圧縮応力が、下電極膜103には収縮方向(矢印X2)の引張応力が、変位膜104には伸長方向(矢印X3)の引張応力が作用している。本実施形態においては、後述のように、これらの膜の応力バランスを適切に設定することにより、2つの電極(下電極膜103、上電極膜105)間に駆動信号(駆動電圧)が印加されてない状態すなわち非駆動時の薄膜層10の初期応力が全体として圧縮応力すなわち膜面に沿って伸長方向の応力を有する構成とする。そして、薄膜層10は、図1(m)に示すように、基板101の開口101aの方向に凸形状となる。
尚、各膜(応力膜102、下電極膜103、変位膜104)の応力の大きさは、膜を形成するときの成膜条件や膜の材料と基板101の材料の熱膨張係数の差異等で決まる。また、膜の変形量は、前述の応力に加えて、膜の厚み、面積、剛性等で決まる。膜の形状が円形のダイヤフラム構造の場合、膜の応力はその中心と周縁が大きくなる。後述の駆動時の変形を含めて、内部応力の値が材料の破壊応力の範囲内に収まるように、上記変数を調整し、応力の値を制御する。
次に、薄膜アクチュエータ1の駆動時の変形について、図2を用いて説明する。図2(a)は、薄膜アクチュエータ1の非駆動時の態様を示す断面模式図、図2(b)は、薄膜アクチュエータ1の駆動時の態様を示す断面模式図である。
PZTからなる変位膜104は、膜面に垂直な方向に誘電分極している(図2(a);矢印P)。上電極膜105と下電極膜103の間にAC電圧を印加すると(図2(b);矢印E)、変位膜104は、膜面に垂直な方向に伸縮するとともに、膜面に沿った方向に反対の位相で伸縮する(図2(b);矢印X)。変位膜104が膜面に沿った方向に伸縮することは、前述の内部応力が増減することに等しく、変位膜104は、膜面に垂直な方向に変位する(図2(b);矢印Y)。
このような構成の薄膜アクチュエータ1において、本願発明者らは、薄膜層10の非駆動時の初期応力と駆動時の変位量との関係について鋭意検討した結果、初期応力を所定の範囲の圧縮応力とすることで、駆動時により大きな変位量が得られることを見出した。
具体的には、図3を用いて説明する。図3(a)は、薄膜層10の初期応力と変位量との関係を示す図である。図3(a)中、実線は電極に電圧が印加されていない状態(非駆動時)での初期変位量、一点鎖線は正電圧が印加された状態(駆動時)での変位量、破線は負電圧が印加された状態(駆動時)での変位量を示す。図3(b)は、薄膜層10の初期応力と駆動時の変位量との関係を示す図である。図3(b)中、実線は正電圧が印加された状態での初期変位からの変位量、すなわち図3(a)における一点鎖線と実線との差を示し、図3(b)中、破線は負電圧が印加された状態での初期変位からの変位量、すなわち図3(a)における実線と破線との差を示す。ここで、正電圧とは、下電極膜103を基準に、上電極膜105に正の電圧を印加することを指し、負電圧とは、下電極膜103を基準に、上電極膜105に負の電圧を印加することを指す。尚、図3(a)、図3(b)は、何れもシミュレーションによるものである。
図3(a)に示すように、薄膜層10の圧縮応力(初期応力)をゼロから大きくしていくと(図中;左方向)、初期変位量(図中;実線)は開口101a方向に向けて徐々に大きくなり(領域A)、途中から急激に増大し(領域B)、その後、再び緩やかな変化となる(領域C)。すなわち、薄膜層10の初期変位量は、圧縮応力の増加に伴いS字を描くような変化を示す。また、図3(a)に示すように、電圧が印加されていない状態(図中;実線)に対し、正電圧印加時、負電圧印加時ともに、その変位方向が途中(領域C)から反転する。
このような、薄膜層10の圧縮応力(初期応力)に対する初期変位量の変化に対応して、薄膜層10の圧縮応力(初期応力)に対する駆動時の変位量は、図3(b)に示すように、薄膜層10の圧縮応力(初期応力)をゼロから大きくしていくと(図中;左方向)、駆動時の変位量は徐々に大きくなり、途中から急激に増大し最大となる(図中、正電圧印加の場合;Ep1、負電圧印加の場合;En1)。その後、急激に減少し、変位方向が反転し後、略一定になる。
薄膜層10の初期応力と駆動時の変位量とは、このような関係を示すことを発明者らは鋭意検討した結果見出した。
そこで、本発明の実施形態に係る薄膜アクチュエータ1においては、薄膜層10は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力を有する構成とし、該初期の圧縮応力の値を、駆動時、薄膜層10の変位量を最大にする初期の圧縮応力の値(正電圧印加の場合;Ep1、負電圧印加の場合;En1)よりも小さくするようにした。これにより、より大きな変位量を得ることができる。好ましくは、初期の圧縮応力の値を、駆動時、薄膜層10の変位量を最大の略半分にする圧縮応力の値(正電圧印加の場合;Ep2、負電圧印加の場合;En2)よりも小さくする。この場合は、大きな変位量をより安定して得ることができる。
このように、本発明の実施形態に係る薄膜アクチュエータ1においては、薄膜層10は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力を有する構成とし、該初期の圧縮応力の値を、駆動時、薄膜層10の変位量を最大にする初期の圧縮応力の値よりも小さくするようにした。
薄膜層10の変位量と圧縮応力とは非線形な関係にある。この為、圧縮応力を上記範囲で設定することにより、より大きな変位量を得ることができる。
また、薄膜層10は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力、すなわち膜面に沿って伸長方向の初期応力を有する構成とした。該初期の圧縮応力を上記の範囲で適切な値に設定することにより、前述の不感帯域を超えるのに必要な応力を該圧縮応力で賄うことができ、印加する駆動信号(駆動電圧)が小さい場合でも、薄膜層10を、駆動電圧に応じて、膜面に垂直な方向へ変位させることができる。これにより、駆動効率を高めることができる。
次に、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの構成を図4を用いて説明する。図4は、インクジェットヘッド1Aの概略構成を示す断面模式図である。
インクジェットヘッド1Aは、図4に示すように、ノズル基板2、中間ガラス基板3、及びボディ基板(基板)101、応力膜102、共通電極膜(下電極膜)103、変位膜104、駆動電極膜(上電極膜)105等を有する前述の薄膜アクチュエータ1等から構成される。
ノズル基板2には、インクを吐出する複数の2段構成のノズル孔2aが形成されている。ノズル基板2の材料としては、シリコン、ガラス、セラミックス材料等を用いることができるがシリコンが好適である。
ノズル基板2の上面側には、ノズル基板2のノズル孔2aに対応した位置に孔3aが形成された中間ガラス基板3が接合されている。中間ガラス基板20の材料としては、硼珪酸ガラス等を用いることができる。
中間ガラス基板3の上面側には、薄膜アクチュエータ1のボディ基板101が接合されている。ボディ基板101の内側には、中間ガラス基板3を介してノズル基板2を接合することにより構成される圧力室(開口)101aや図示しないインク供給路等が形成されている。圧力室101aは、複数のノズル孔2aに対応してそれぞれ形成されインクを収容する。
尚、ノズル基板2と中間ガラス基板3及びボディ基板101の接合には、例えば、特開2008−940号公報に開示されている陽極接合技術等を用いることができる。
駆動電極膜105と共通電極膜103の間に、外部の図示しない駆動回路から駆動信号が印加されると、変位膜104は振動し、この振動がボディ基板101に形成されインクを収容する圧力室101aの圧力を変化させ、ノズル基板2に形成されたノズル孔2aからインク滴を吐出させる。
インクジェットヘッド1Aの駆動素子として、前述の変位量が大きく、駆動効率の優れた薄膜アクチュエータ1を用いることにより、インク液滴を効率よく吐出することができる。
前述の図1に示した製造工程に沿って、薄膜アクチュエータ1を製造した。製造した薄膜アクチュエータ1を構成する各部材の材料、膜厚、形状・寸法、形成方法、及び初期応力等を下記表1に示す。尚、表1中、初期応力の+符号は引張応力、−符号は圧縮応力を示す。また、下電極膜103、変位膜104のスパッタ法による成膜条件を下記表2に示す。
Figure 2011140117
Figure 2011140117
このような設定で各膜を形成することにより、応力膜102には伸長方向(図1(b);矢印X1)に−350MPaの圧縮応力が、下電極膜103には収縮方向(図1(f);矢印X2)に+950MPaの引張応力が、変位膜104には伸長方向(図1(g);矢印X3)に+100MPaの引張応力が発生した。そして、薄膜層10には全体として−100MPaの圧縮応力が作用した。
一方、このような設定の場合、薄膜層10の変位量を最大にする初期の圧縮応力の値は、正電圧印加の場合、−370MPa(図3(b);Ep1)、負電圧印加の場合、−300MPa(図3(b);En1)である。また、薄膜層10の変位量を最大の略半分にする初期の圧縮応力の値は、正電圧印加の場合、−290MPa(図3(b);Ep2)、負電圧印加の場合、−180MPa(図3(b);En2)である。
したがって、薄膜層10の初期応力を全体として−100MPaの圧縮応力とすることにより、大きな変位量を安定して得られることが確認できた。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は前述の実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、適宜変更、改良が可能であることは勿論である。
例えば、前述の実施形態においては、応力膜102としてSiO膜を用いたが、Siを窒化したSiN膜や他の金属膜、絶縁膜等を用いてもよい。また、変位膜104としてPZTを用いたが、チタン酸バリウム等の圧電膜、チタンニッケル合金等の形状記憶合金膜、鉄ニッケル合金等のバイメタル等を用いてもよい。膜の材料により、剛性、破壊応力、熱膨張係数、形成時の加熱温度等に差異がある為、組み合わせることにより要求仕様に最適な初期変形形状、初期変形量、駆動変形量等を得ることができる。
また、前述の実施形態においては、薄膜層10はダイヤフラム構造としたが、薄膜層10の両端を固定した両もち梁構造であってもよい。この場合もダイヤフラム構造の場合と同様の効果を得ることができる。
また、前述の実施形態においては、基板101の上に、応力膜102、下電極膜103、変位膜104、上電極膜105の順に各膜を形成する構成としたが、基板101の上に、下電極膜103、変位膜104、上電極膜105、応力膜102の順に各膜を形成する構成としてもよい。この場合も前述の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
また、前述の実施形態においては、応力膜102は圧縮応力、下電極膜103は引張応、変位膜104は圧縮応力を有する構成としたが、このような応力設定に限定されることなく、薄膜層10の初期応力が全体として圧縮応力を有するような応力構成であればよい。
1A インクジェットヘッド
1 薄膜アクチュエータ
10 薄膜層
101 基板(ボディ基板)
101a 開口(圧力室)
102 応力膜
103 下電極膜(共通電極膜)
104 変位膜
105 上電極膜(駆動電極膜)
2 ノズル基板
2a ノズル孔
3 中間ガラス基板
3a 孔

Claims (4)

  1. 駆動信号により膜面に沿った方向に伸縮する変位膜を有する薄膜層と、
    前記薄膜層の両端または周縁を固定し、前記駆動信号による前記変位膜の伸長により、該薄膜層を膜面に垂直な方向に変位させる基板と、を備えた薄膜アクチュエータであって、
    前記薄膜層は、非駆動時、膜面に沿った初期の圧縮応力を有し、
    前記薄膜層の変位量は、前記圧縮応力の大きさにより変化し、
    前記圧縮応力の値は、駆動時、前記薄膜層の変位量を最大にする前記圧縮応力の値よりも小さいことを特徴とする薄膜アクチュエータ。
  2. 前記圧縮応力の値は、駆動時、前記薄膜層の変位量を最大の略半分にする前記圧縮応力の値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の薄膜アクチュエータ。
  3. 前記薄膜層は、
    前記変位膜を挟んで形成され、前記駆動信号が印加される2つの電極膜と、
    前記2つの電極膜の一方の電極膜に沿って形成され、膜面に沿った応力を有する応力膜と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜アクチュエータ。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載の薄膜アクチュエータと、
    前記基板の裏面に接合され、該基板に形成された開口に連通しインクを吐出するノズル孔が形成されたノズル基板と、を有し、
    前記開口の内部は、前記インクを収容し、前記薄膜層の変位により圧力を発生する圧力室であることを特徴とするインクジェットヘッド。
JP2010000360A 2010-01-05 2010-01-05 薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッド Active JP5556181B2 (ja)

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