JP5484662B2 - 無機材料膜のパターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無機材料の膜のパターンを形成する方法に関し、特に、微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)等の微細な機器において用いられる圧電セラミック等の機能性を有する無機材料膜のパターンを形成する方法に関する
近年、半導体製造プロセスを応用した微小電気機械システム(MEMS:micro electrical mechanical system)の研究開発が盛んに行われている。その中でも、機能性膜として圧電膜を用いる圧電MEMSは、高出力のアクチュエータとして注目されており、マイクロポンプ、マイクロカンチレバー、微小超音波トランスデューサ等に利用されている。ここで、機能性膜とは、積層コンデンサにおける誘電体膜や、圧電アクチュエータにおける圧電膜のように、素子の機能を発揮させる主要部分(通常、電極に挟まれた層)のことである。
このようなMEMSにおいては、機能性膜を精細にパターン形成することが重要である。しかしながら、従来においては、膜厚が5μm程度又はそれ以上の機能性膜に対して、精細にパターン形成できる適切な方法や、それに用いられる適切な材料はあまりなかった。例えば、エッチング法やイオンビーム法は、基板や周辺の素子にダメージを与えたり、プロセス時間が長い、製造コストが高いといったデメリットがあるので、機能性膜のパターン形成に適用するのはあまり実用的でない。また、リフトオフ法は、エッチング法に比較して材料依存度が少ないという点で汎用性は高いが、リフトオフ法において犠牲層として一般的に用いられるフォトレジストは、150℃程度で変形したり焦げ付いてしまうので、プロセス温度(成膜温度)がそれ以上になる場合には適用することができない。
リフトオフ法においては、犠牲層として、レジスト以外にも、酸化シリコン(SiO)や、ポリシリコンや、アルミニウム(Al)等が用いられ、その場合には、成膜温度に対する制約は緩和される。しかしながら、酸化シリコンを除去する際に用いられるフッ酸(フッ化水素酸)や、アルミニウムを除去する際に用いられる酸又はアルカリ溶液は、機能性膜にダメージを与えるおそれがある。また、ポリシリコンを除去する際に用いられるフッ化キセノン(XeF)ガスは高価なので、製造コストが上昇してしまう。さらに、機能性膜が犠牲層よりも厚い場合には、エッチング溶液(エッチャント)の浸透が機能性膜に阻まれて犠牲層まで到達し難くなるので、犠牲層を除去するのが困難になる。
関連する技術として、特許文献1には、シリコン層に所望の機能性材料層よりも深い溝状または間隙状のパターンを刻設して型を形成する工程と、少なくとも上記型のパターンの溝または間隙に、上記シリコン層よりも薄い層厚に機能性材料を堆積させる工程と、上記型を除去して機能性材料層のパターンを得る工程とを含む微細装置の製造方法が開示されている。即ち、特許文献1においては、犠牲層(Si層)の厚さを機能性膜(PZT層)よりも若干厚くすることにより、それらの段差によって形成される隙間を通じて、エッチングガスによる犠牲層の選択的なエッチングを進行させている(段落番号0027)。
しかしながら、犠牲層を厚くすると、犠牲層の応力によって機能性膜が影響を受けるおそれがある。また、犠牲層の成膜及び除去プロセスに長時間を要するようになるので、製造コストが増加してしまう。さらに、特許文献1においては、犠牲層として、耐熱性に乏しいフォトレジスト及び有機化合物フィルムや、フッ化キセノン等の高価なエッチングガスが必要となるシリコンが使用されているので、あまり実用的ではない。
一方、特許文献2には、CMOS回路がダメージを受けて特性劣化することなく、エアーギャップの音響絶縁構造を形成するために、犠牲層の材料としてゲルマニウム(Ge)を用いること、及び、これを除去するために過酸化水素水(H)を用いてエッチングすることを基本とした工程によって半導体集積回路上にエアーギャップ音響絶縁構造を有する圧電薄膜共振子を形成することが開示されている。しかしながら、ゲルマニウムを犠牲層として用いる場合には、エッチャントが犠牲層に到達するのを確保するために、基板上に段差を形成する等の工夫が必要になる。
特開2001−347499号公報(第2頁、図1) 特開2004−282514号公報(第1頁)
そこで、上記問題点に鑑み、本発明は、簡易で実用的な無機材料膜のパターン形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る無機材料膜のパターン形成方法は、基板上に、無機材料とは熱膨張係数が2倍以上異なり、500℃以上の所定の成膜温度よりも高い融点を有する金属又は半導体材料を用いて、パターンを有する犠牲層を形成する工程(a)と、該犠牲層が形成された基板上に、無機材料を用いるスパッタ法によって、柱状晶構造を有する無機材料膜を所定の成膜温度で形成する工程(b)と、少なくとも該無機材料膜を室温まで降温させることにより、犠牲層上に形成された無機材料膜にクラックを発生させる工程(c)と、犠牲層及びその上に形成された無機材料膜を除去する工程(d)とを具備する。
本発明によれば、犠牲層とその上に形成された無機材料層との熱膨張係数の差を利用することにより、犠牲層及び無機材料層が形成された基板を降温する際に、無機材料層にクラックを発生させる。それにより、エッチング溶液がクラックを通じて犠牲層まで浸透し易くなるので、不要な無機材料層を容易且つ綺麗に除去して、無機材料膜のパターンを含む構造物を製造することが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
本願において、誘電体膜や圧電体膜のように、素子(積層コンデンサや圧電素子)の機能を発揮させる主要部分を構成する材料のことを、機能性を有する材料、又は、単に機能性材料という。また、機能性材料によって形成された膜のことを、機能性膜ともいう。
図1は、本発明の第1実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を説明するための図である。
まず、図1の(a)に示すように、基板11を用意し、その上に、犠牲層12のパターンを形成する。基板11としては、シリコン(Si)、銅(Cu)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ガリウム砒素(GaAS)、サファイヤ、及び、ステンレス鋼(SUS)の内の少なくとも1つを含む材料が用いられる。また、犠牲層12としては、後述する無機材料層13とは熱膨張係数の異なる材料が用いられる。犠牲層12の条件及び具体的な材料については、後で詳しく説明する。犠牲層12のパターンは、レジスト等を使用した一般的なリフトオフ法によって形成される。
次に、図1の(b)に示すように、犠牲層12が形成された基板11上に、無機材料層13を形成する。無機材料層13は、最終的に取得目的とするパターン形成された膜(無機材料膜)となる層である。無機材料層13としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料、FeやCrO等の磁性材料、BaTiO等の誘電材料、MgB等の超伝導材料のように、特定の機能性を有する材料や、一般的なセラミックス材料(Al等)が用いられる。無機材料層13の特性としては、無機材料層13を形成する際の温度と室温との間の少なくとも一部の範囲で脆性を有していることが好ましい。ここで、脆性とは、一般には、硬くて脆く、変形能が小さい性質のことを言う。従って、脆性を有する材料は、塑性変形をあまり伴うことなく破断に至る。また、結晶構造の観点からは、無機材料層13は、柱状晶構造を有していることが特に好ましい。
無機材料層13は、スパッタ法や、化学気相成長法(CVD)や、物理気相成長法(PVD)等の公知の方法によって形成される。その際には、成膜温度を約200℃以上、望ましくは、約500℃以上の高温とする。なお、一般に、CVDにおける成膜温度は300℃以上であり、スパッタ法による圧電膜等の成膜温度は500℃以上である。
次に、成膜後の基板及びその上の構造物(犠牲層12及び無機材料層13)を室温の環境下に保持する。それにより、無機材料層13の降温に伴って、無機材料層13と犠牲層12との熱膨張係数の差により、図1の(c)に示すように、犠牲層12上に形成されている無機材料層13にクラックが発生する。
さらに、そのような無機材料層13をエッチング溶液(エッチャント)に浸す。それにより、無機材料層13に発生したクラックを通じて、エッチング溶液が犠牲層12まで浸透し、犠牲層12と共に、その上の無機材料層13が除去(リフトオフ)される。その結果、図1の(d)に示すように、パターン形成された機能性膜(無機材料層13)が得られる。
このように、本発明の第1の実施形態においては、無機材料層13にクラックを生じさせることにより、そのクラックを通じて、無機材料層13に覆われた犠牲層12までエッチング溶液を浸透させる。そのため、例えば、犠牲層12の上面及び側面が無機材料層13に覆われている場合においても、犠牲層12を容易に剥離することが可能になる。
ここで、エッチングにより犠牲層12が除去されても、基板11上に直接形成されている無機材料層13から犠牲層12上の無機材料層13を分離できない場合がある。そのような場合には、基板11をねじったり、無機材料層13を叩いたりすることにより、無機材料層13に物理的な作用力(外力)を加えれば良い。犠牲層12上の無機材料層13には既にクラックが発生しているので、外力を加えることにより、無機材料層13を容易に分離させることができる。
犠牲層12としては、次の条件を満たす材料が用いられる。即ち、(i)無機材料層13との熱膨張係数の差が大きいこと、(ii)耐熱性が高いこと、及び、(iii)選択性の高いエッチング溶液が存在することである。
上記の条件(i)は、犠牲層12上の無機材料層13に、選択的にクラックを生じさせるために必要な条件である。具体的には、熱膨張係数が大きく、且つ、無機材料層13の熱膨張係数と犠牲層12の熱膨張係数との比が、例えば、2対1以上である材料を用いることが望ましい。犠牲層12及び無機材料層13が形成された基板11を成膜温度から室温に降温するときに、両者の熱膨張係数の差が大きいほど、より多くのクラックを発生させることができるからである。
また、条件(ii)は、無機材料層13を約200℃以上、望ましくは、約500℃以上の高温で形成するために必要になる。さらに、条件(iii)は、犠牲層12を除去する際に、基板11や無機材料層13にダメージを与えないために必要な条件である。
これらの条件を満たす身近な材料として、金(Au)やゲルマニウム(Ge)が挙げられる。例えば、圧電膜のパターンを形成する場合に、PZTの熱膨張係数が約5×10−6(/K)であるのに対して、金の熱膨張係数(線膨張係数)は約14×10−6(/K)である。即ち、金の熱膨張係数はPZTの熱膨張係数の2倍以上であり、大幅に大きい。従って、高温(例えば、200℃以上、望ましくは500℃以上)で成膜された圧電膜を降温させる間に、犠牲層上の圧電膜に多くのクラックを発生させることができる。
また、金の融点は約1064℃であるので、無機材料層13を形成するためのほとんどの高温プロセスに十分に耐えることができる。さらに、金には、大抵の無機材料(機能性材料や一般的なセラミックス等)や基板材料に対して不活性なエッチング溶液、又は、エッチング選択性が高いエッチング溶液(例えば、エッチング選択比が50対1以上)が存在する。具体的には、5重量%のヨウ素(I)及び10重量%のヨウ化カリウム(KI)を85重量%の水(HO)に溶解させたエッチング溶液は、PZTやシリコンに対して不活性である。
実施例1として、本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を用いることにより、PZT膜のパターンを形成した。
図1に示す基板11としては、シリコン(Si)ウエハを用いた。まず、一般的なフォトリソグラフィ法を用いてシリコンウエハ上にレジストパターンを形成し、その上に、犠牲層12として、蒸着法により0.5μmの金膜を形成した。そして、アセトンを用いてレジスト及びその上の金膜をリフトオフすることにより、金膜のパターンを形成した。さらに、無機材料層13として、スパッタ法により1.5μmのPZT膜を形成した。この時の成膜温度は500℃であった。このような金膜及びPZT膜が形成されたシリコンウエハを室温まで降温したところ、その間に、金膜上のPZT膜に多数のクラックが発生した。さらに、該シリコンウエハを、5重量%のヨウ素(I)及び10重量%のヨウ化カリウム(KI)を85重量%の水(HO)に溶解させたエッチング溶液に浸したところ、金膜及びその上に形成されたPZT膜が除去され、パターン形成されたPZT膜がシリコンウエハ上に残った。
図2は、実施例1において作製されたPZT膜をSEM(走査電子顕微鏡)によって撮影した写真である。実施例1において、PZT膜(厚さ約1.5μm)は犠牲層である金膜(厚さ約0.5μm)よりも大幅に厚かったが、図2に示すように、不要なPZT膜をきれいにリフトオフすることができた。この例に見られるように、スパッタ法によって作製されたPZTは柱状晶構造を有しており、この柱状晶の性質を利用することにより、シャープな断面を有するPZT膜のパターンを得ることができる。
実施例2として、本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を用いることにより、超伝導材料であるニホウ化マグネシウム(MgB)膜のパターンを形成した。
図1に示す基板11としては、サファイヤ基板を用いた。まず、一般的なフォトリソグラフィ法を用いてサファイヤ基板上にレジストパターンを形成し、その上に、犠牲層12として、スパッタ法により100nmのゲルマニウム(Ge)膜を形成した。そして、アセトンを用いてレジスト及びその上のGe膜をリフトオフすることにより、Ge膜のパターンを形成した。さらに、無機材料層13として、スパッタ法により1μmのMgB膜を形成した。この時の成膜温度は250℃であった。このようなGe膜及びMgB膜が形成されたサファイヤ基板を室温まで降温したところ、Ge膜上のMgB膜に多数のクラックが発生した。さらに、該サファイヤ基板を、エッチング溶液として過酸化水素水に浸したところ、Ge膜及びその上に形成されたMgB膜が除去され、パターン化されたMgB膜がサファイヤ基板上に残った。
次に、本発明の第2の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法について説明する。本実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法は、第1の実施形態におけるものよりも無機材料膜を更に厚くする場合により適している。なお、本実施形態において用いられる基板や、犠牲層や、無機材料(機能性材料や一般的なセラミックス等)層の材料については、第1の実施形態におけるものと同様である。
まず、図3の(a)に示すように、基板21上に、フォトリソグラフィ法によりレジストパターン22を形成する。次に、基板21に対して異方性ドライエッチングを施し、アセトン等によりレジストパターン22を除去する。それにより、図3の(b)に示すように、基板21に凹凸パターンが形成される。本実施形態においては、その内の凹部21aに無機材料膜が形成される。なお、基板に凹凸パターンを形成する際には、上記の方法以外にも、アルカリ溶液によるウェットエッチング法等の公知の方法を用いても良い。
次に、図3の(c)に示すように、基板21に形成された凸部パターン上に、レジストを使用した一般的なリフトオフ法により、犠牲層23を形成する。
次に、図3の(d)に示すように、犠牲層23が形成された基板21上に、高温の成膜温度の下で無機材料層24を形成する。その後で、無機材料層24を室温の環境下に保持して降温させることにより、図3の(e)に示すように、犠牲層23上の無機材料層24にクラックを生じさせる。
さらに、無機材料層24をエッチング溶液に浸すことにより、クラックを通してエッチング溶液を犠牲層23まで浸透させる。その結果、犠牲層23及びその上に形成された無機材料層24が除去され、図3の(f)に示すように、パターン形成された無機材料膜(無機材料層24)が得られる。
このように、本実施形態によれば、基板に段差(凹凸パターン)を設けて、無機材料膜が形成される領域を予め個別化しておくことにより、無機材料膜がさらに厚い場合においても、犠牲層及びその上の無機材料膜をより確実に剥離することが可能になる。
実施例3として、本発明の第2の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を用いることにより、PZT膜のパターンを形成した。
図3に示す基板21としては、シリコンウエハを用いた。また、基板上の凹部21aは、ボッシュ法を用いることによって形成し、その深さを約15μmとした。ここで、ボッシュ法とは、側壁をコーティングしながら底をエッチングする異方性ドライエッチング法であり、アスペクト比が高いパターンを形成できるという特徴を有している。
さらに、犠牲層23は、基板21上にフォトリソグラフィによってレジストパターンを形成し、その上に、200nmの金膜を電子ビーム蒸着法により形成し、アセトンを用いてレジスト及びその上の金膜をリフトオフすることにより形成した。また、無機材料層24として、スパッタ法により、10μmのPZT膜を形成した。この時の成膜温度は500℃であった。このような金膜及びPZT膜が形成されたシリコンウエハを室温まで降温したところ、その間に、金膜上に形成されたPZT膜に、多数のクラックが発生した。さらに、該シリコンウエハを、5重量%のヨウ素(I)及び10重量%のヨウ化カリウム(KI)を85重量%の水(HO)に溶解させたエッチング溶液に浸したところ、金膜及びその上に形成されたPZT膜が除去され、パターン形成されたPZT膜がシリコンウエハ上に残った。
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施形態によれば、高い耐熱性を有する犠牲層を用いるので、従来のようにレジストを用いる場合には不可能であった温度(200℃以上、望ましくは500℃以上)で無機材料層を成膜できるようになる。また、無機材料層にクラックを発生させ、そのクラックを通して犠牲層までエッチング液を浸透させるので、無機材料層の厚さが犠牲層よりも厚い場合においても、犠牲層及びその上の無機材料層を、容易且つ綺麗に除去することが可能になる。
特に、犠牲層として金を用いる場合には、金そのものが汎用性のある材料であると共に、金の成膜方法やパターン形成方法として種々の技術が広く知られているので実用的である。また、金を除去するためのエッチング溶液は、大抵の無機材料(機能性材料や一般的なセラミックス等)や基板材料に対してダメージを与えることは少ないので、無機材料膜の機能を含む品質の低下を抑制することが可能になる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法について説明する。
図4及び図5は、窒化アルミニウム(AlN)薄膜FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator:圧電薄膜共振器)の製造方法を説明するための図である。ここで、FBARとは、共振器の下部にキャビティを設けることにより、圧電膜を自由に振動させる構造を有する共振器のことである。
まず、図4の(a)に示すように、SOI(Silicon on Insulator)基板31を用意する。ここで、SOI基板とは、支持層(シリコン基板)31aと活性層(表面のシリコン層)31cとの間に、酸化シリコン(SiO2)層31bを挿入した構造を有する基板のことである。本実施形態においては、厚さが0.4mmの支持層31aと、酸化シリコン層31bと、厚さが5μmの活性層31cとを含み、直径が4インチのSOIウエハを用いる。そして、SOI基板31を電気炉において熱処理することにより、活性層31c上に0.3μmの熱酸化膜32を形成する。
次に、図4の(b)に示すように、ボッシュ法等の異方性ドライエッチングにより、支持層31aに開口部31dを形成する。
次に、図4の(c)に示すように、開口部31dに対応する領域に下部電極層33を形成する。下部電極層33は、1種類の金属によって形成されていても良いし、隣接する層との接合性を高めるために配置される密着層と導電層とを含む2層構造としても良い。本実施形態において、下部電極層33は、密着層としての10nmのチタン(Ti)層と、導電層としての100nmの白金(Pt)層とを含んでいる。また、下部電極層33のパターンは、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)によって形成される。
次に、図4の(d)に示すように、電子ビーム蒸着法により200nmの金膜を形成し、一般的なリフトオフ法によってそこにパターンを形成することにより、開口部31dに対応する位置を除く領域に金膜の犠牲層34を形成する。
次に、図5の(a)に示すように、犠牲層34が形成された基板上31に、マグネトロンスパッタ法により、250℃の成膜温度で窒化アルミニウム(AlN)層35を形成する。そして、このような金膜の犠牲層34及び窒化アルミニウム層35が形成されたSOI基板31を室温まで降温させ、図5の(b)に示すように、犠牲層34上の窒化アルミニウム層35にクラックを発生させる。
次に、窒化アルミニウム層35を、5重量%のヨウ素と10重量%のヨウ化カリウムを85重量%の水に溶解させたエッチング溶液に浸すことにより、犠牲層34及びその上の窒化アルミニウム層35を除去する。それにより、図5の(c)に示すように、パターン形成された窒化アルミニウム層35が得られる。
さらに、図5の(d)に示すように、窒化アルミニウム層35上に、スパッタ法により10nmのチタン層及び100nmの白金層を形成し、ドライエッチングによってそれら層にパターンを形成することにより、上部電極層36を形成する。それにより、AlN薄膜FBARが完成する。
次に、本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を適用した別の圧電デバイスの製造方法について説明する。
図6は、ダイアフラム(隔膜)型圧電アクチュエータを示す断面図である。ここで、ダイアフラム型圧電アクチュエータとは、下部電極層42と上部電極層45との間に電圧を印加して圧電膜44を伸縮させることにより、ダイアフラム41b〜43を変位させるアクチュエータのことである。このようなアクチュエータは、マイクロポンプや、超音波トランスデューサや、インクジェットヘッド等に適用される。
ダイアフラム型圧電アクチュエータは、次のようにして作製される。まず、SOI基板41を用意する。本実施形態においては、厚さが0.4mmの支持層41aと、酸化シリコン層41bと、厚さが10μmの活性層41cとを含み、直径が4インチのSOIウエハを用いる。そして、SOI基板41を電気炉において熱処理することにより、活性層41c上に0.5μmの熱酸化膜42を形成する。
次に、熱酸化膜42上に、20nmのチタン(Ti)層及び150nmの白金(Pt)層を含む下部電極層43を形成する。
さらに、第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法により、厚さが3μmの圧電膜44のパターンを、開口部41dに対応する位置に形成する。即ち、下部電極43上で、開口部41dに対応する位置を除く領域に、犠牲層として200nmの金膜を形成する。そして、その上層にスパッタ法によりPZTを成膜し、その後でPZT膜を降温させることにより、金膜上のPZT膜にクラックを発生させる。さらに、金に対するエッチング液(ヨウ素を5重量%、ヨウ化カリウムを10重量%、及び、水を85重量%)を用いることにより、金膜及びその上のPZT膜を除去する。
そのように形成された圧電膜44のパターン上に、上部電極層45を形成する。即ち、フォトリソグラフィ法により上部電極層45のレジストパターンを形成し、スパッタ法により20nmのチタン層及び150nmの白金層を形成し、さらに、アセトンによってレジストパターンを除去する。それにより、ダイアフラム型圧電アクチュエータが完成する。
以上説明した実施例1〜3、並びに、種々のデバイスの製造方法においては、機能性を有する無機材料膜のパターンを形成した。しかしながら、特定の機能を有しない無機材料(AlやMgOを含む金属酸化物や、金属窒化物等の所謂セラミックス)についても、同様の方法を用いることにより膜のパターンを形成することができる。例えば、第1及び第2の実施形態を適用することにより、精密な流路(例えば、インクジェットヘッドにおけるインクの供給路)や、微細な振動体(例えば、インクジェットヘッドのインク室の一部となる振動可能な壁面)等を、一般的なセラミックス材料によって形成することが可能となる。
本発明は、無機材料の膜のパターンを形成する方法において利用することが可能であり、特に、微小電気機械システム等の微細な機器において用いられる機能性膜のパターン形成方法において利用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法によって作製されたPZT膜を示すSEM像である。 本発明の第2の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を適用した圧電デバイスの製造方法を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る無機材料膜のパターン形成方法を適用して製造されたダイアフラム型圧電アクチュエータを示す断面図である。
符号の説明
11、21 基板
12、23、34 犠牲層
13、24 無機材料層
22 レジストパターン
31、41 SOI基板
31a、41a 支持層
31b、41b 酸化シリコン層
31c、41c 活性層
31d、41d 開口部
32、42 熱酸化膜
33、43 下部電極層
35 窒化アルミニウム層
36、45 上部電極層
44 PZT膜

Claims (9)

  1. 無機材料膜のパターンを形成する方法において、
    基板上に、前記無機材料とは熱膨張係数が2倍以上異なり、500℃以上の所定の成膜温度よりも高い融点を有する金属又は半導体材料を用いて、パターンを有する犠牲層を形成する工程(a)と、
    前記犠牲層が形成された基板上に、前記無機材料を用いるスパッタ法によって、柱状晶構造を有する無機材料膜を前記所定の成膜温度で形成する工程(b)と、
    少なくとも前記無機材料膜を室温まで降温させることにより、前記犠牲層上に形成された前記無機材料膜にクラックを発生させる工程(c)と、
    前記犠牲層及びその上に形成された前記無機材料膜を除去する工程(d)と、
    を具備する無機材料膜のパターン形成方法。
  2. 工程(b)が、前記無機材料膜を、前記犠牲層よりも厚くなるように形成することを含む、請求項1記載の無機材料膜のパターン形成方法。
  3. 工程(d)が、前記基板及び前記無機材料膜に対して不活性なエッチング溶液、又は、前記犠牲層と前記無機材料膜とに対するエッチング選択比が50対1以上であるエッチング溶液を用いて、前記犠牲層をウェットエッチングすることを含む、請求項1又は2記載の無機材料膜のパターン形成方法。
  4. 工程(d)が、前記犠牲層をウェットエッチングした後で、前記無機材料膜に外力を加えることにより、前記犠牲層上に形成された無機材料膜を除去することを含む、請求項記載の無機材料膜のパターン形成方法。
  5. 工程(a)の前に、前記基板に、前記無機材料膜のパターンに対応する凹部を形成する工程をさらに具備する、請求項1〜のいずれか1項記載の無機材料膜のパターン形成方法。
  6. 前記犠牲層が、金(Au)又はゲルマニウム(Ge)を含む、請求項1〜のいずれか1項記載の無機材料膜のパターン形成方法。
  7. 前記無機材料が、圧電材料、磁性材料、誘電材料、又は、超伝導材料を含む、請求項1〜のいずれか1項記載の無機材料膜のパターン形成方法。
  8. 前記無機材料が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、三酸化鉄(Fe )、二酸化クロム(CrO )、チタン酸バリウム(BaTiO )、二ホウ化マグネシウム(MgB )、及び、アルミナ(Al )の内の1つを含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の無機材料膜のパターン形成方法。
  9. 前記基板が、シリコン(Si)、銅(Cu)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ガリウム砒素(GaAS)、サファイヤ、及び、ステンレス鋼(SUS)の内の少なくとも1つを含む、請求項1〜のいずれか1項記載の無機材料膜のパターン形成方法。
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