JP2004209874A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

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Tamayoshi Kurashima
玲伊 倉島
Masatake Akaike
正剛 赤池
Takehiko Kawasaki
岳彦 川崎
Takatsugi Wada
隆亜 和田
Hideaki Nojiri
英章 野尻
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Abstract

【課題】振動時に振動板支持部に発生する応力を振動板構造全体で緩和することで、振動板の振動特性の劣化もしくは破壊を避けることが可能な液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】振動板構成部材701の圧力発生室706側に凹部703を設ける。凹部703を設けることにより、圧力発生時に振動板で生ずる衝撃を振動板構造全体で緩和することが可能となる。特に、接合部704への局所的な応力集中を避け、発生応力を緩和することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印加信号によって伸縮する駆動素子から発生させた機械的エネルギーにより所望の液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から液体吐出装置は、微細加工、実験分析、画像形成等の様々な分野で応用されているが、ここではインクジェットによる記録方法を例にとって説明する。
【0003】
インク滴を吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法は、高速記録が可能であり、また記録品位も高く、低騒音であるという利点を有している。さらに、この方法はカラー画像記録が容易であって、普通紙等にも記録でき、さらに装置を小型化し易いといった多くの優れた利点を有している。
【0004】
このようなインクジェット記録方法を用いる記録装置には、一般にインクを飛翔インク滴として吐出させるための吐出口と、この吐出口に連通するインク路と、このインク路の一部に設けられ、インク路内のインクに吐出のための吐出エネルギーを与えるエネルギー発生手段とを有する記録ヘッドが備えられる。
【0005】
インクを吐出させて記録を得るインクジェットヘッドの代表例としては、ピエゾ素子を振動させてインク室の容積を変化させて第1のタイミングでインクの吸引し、第2のタイミングでインクに圧力を加えて液滴として記録用紙に飛翔させるもの(例えば、特許文献1参照)や、極めて細いノズル形成部材に発熱要素を内蔵させ、熱エネルギーによりノズル形成部材に瞬間的に気泡を生じさせ、気泡の膨張力によりインクを吐出させるもの(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
【0006】
ピエゾ素子を用いたインクジェットヘッドは、電圧変位でインク滴の液滴サイズを可変させることができ、インクに熱を加えることがないためインク選択の幅が広がるという利点がある。
【0007】
こうしたなか、近年の高精細印字の要求により、多ノズル化に伴う精密微細加工と複雑な所望形状が必要とされるようになってきた。例えば圧電性を有する薄膜を駆動源とするインクジェットヘッド(例えば、特許文献3参照)においては、振動板の機械的変形特性はインク吐出特性に大きく影響し、振動板の形成方法、材質特性が重要となっている。
【0008】
従来、図8に示すように、振動板903を圧力発生室907側へ接着・接合することで作製する場合、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス材料であるグリーンシートを圧延加工して形成した振動板903と、前記グリーンシートをパンチング、レーザー加工によって圧力発生室907となる部分を形成した圧力発生室隔壁906を積層し、800℃〜1500℃の温度で一体に焼成し形成していた(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
また、図9に示すように、振動板をSi基板のエッチングにより形成する場合、エッチストップ技術を用いるp型不純物層のエッチング速度が遅いことを利用し、p型不純物層のみをエッチングにより残留させて、吐出に適した厚さtの振動板1001を形成していた(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第3946398号明細書
【特許文献2】
特開昭54―161935号公報
【特許文献3】
特開平10―286953号公報
【特許文献4】
特開平7―60960号公報
【特許文献5】
特開平9―216357号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示されているような、振動板903を圧力発生室907側へ接着・接合することにより一体形成する場合、接着時の荷重や高温プロセスを経ることにより圧力発生室907と振動板903の接着部分904において発生する応力や、駆動時に振動板変形部905に発生する応力のために振動板特性が劣化し、長時間にわたる駆動において各ノズルに対応する液体吐出にばらつきが生じたり、振動板の接着部域から破壊したりしてしまう可能性がある。
【0012】
また、図9に示されているような、Si単結晶の異方性エッチングで振動板1001を作製すると、エッチングが進行する際Si単結晶の面指数が現れるため、振動板1001と圧力発生室隔壁1002との接合界面に必ずエッジ部1004が形成される。そうなると振動の度にエッジ部1004に応力が集中し、長時間にわたる駆動において著しく振動特性が劣化したり、エッジ部1004が破壊したりしてしまう可能性がある。
【0013】
そこで本発明の目的は、振動時における振動板支持部または振動板端部に発生する応力を振動板構造全体で緩和・解消することで振動板の振動特性の劣化もしくは破壊を避けることが可能な液体吐出ヘッドを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の液体吐出ヘッドは、印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室の一部を構成する振動板と、圧力発生室と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルで構成され、前記圧電/電歪素子の変形によって前記振動板を変位させ、前記圧力発生室内のインク圧力を高めることによって前記ノズルからインク滴を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、前記振動板は、前記圧力発生室側が凹状になっており、略中央の略平坦部から所定の曲率で滑らかに形成された部分を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、ノズル先端液面のメニスカス制御により液体吐出させる過程において、振動板支持部に発生する局所的な応力を緩和、解消する本発明の液体吐出ヘッドについて、図1〜3を用いて説明する。
【0016】
図1を参照すると、従来用いられている吐出法は、圧電振動子の伸縮で発生した圧力を、振動板を通じて圧力発生室内の体積変位に変換し、さらにメニスカス制御を行うことで、インク滴を発生させるものである。その際、振動板601を圧力発生室側603へ急激に変位させ圧力発生室体積を収縮させる運動があるため、圧力発生室側の振動板支持部604へ強い応力が発生する。
【0017】
ここで、振動板構成部材が、圧力発生室内に凹部を有し、その凹部が、圧力発生時に振動板で生ずる衝撃を振動板構造全体で緩和・解消するような曲率を有する部分を有することで、駆動時における振動板支持部604が発生する応力を緩和・解消することができる。ここでいう曲率とは、圧力発生時に振動板で生ずる衝撃を振動板支持部604、振動板601の一部に集中させることなく、振動板601全体として緩和・解消できる構造にする値である。
【0018】
この凹部とは、例えば図2、図3のように、振動板が圧力発生室706、806の少なくとも幅方向に、長手方向に沿って振動板構成部材701、801の内部に凹部703、803があり、その凹部内の一部が振動板として機能し、その振動板支持部が曲率を有する構造が考えられる。但しこの場合、振動板が圧力発生室の少なくとも幅方向両側に、長手方向に沿って、エッジ形状のない凹部を有するので、振動板としての振動有効幅(長さ)はi(図2、図3)となる。その際、安定した振動変位を得るためには、この振動有効幅(長さ)iが平坦形状、もしくは略平坦形状をしていることが必要である。そして振動板有効幅(長さ)jはi<jを満たす関係にあるため、それを考慮して、あらかじめ振動板変位が最大になるように、駆動素子幅kと振動有効幅i、振動板有効幅jを定めておく必要がある。さらには、応力を主に緩和・解消する部分は振動板の凹部内であるため、振動板凹部の外にエッジ704、804が形成されていても問題はない。
【0019】
図2、図3どちらの構造でも問題はないが、振動部域における平均的厚さは、振動特性の均一化のため、ほぼ一定であることが必要であり、また、吐出に適した実効的厚さtを満たしていることが必要である。さらに、その支持構造の降伏応力が発生する応力以上になるように適宜設計される必要がある。
【0020】
従来まで、撓みモードのピエゾ素子の変位量は圧力発生室の幅で実質規定されていた。しかし本発明によると振動板部材701、801の内部においてピエゾ素子の変位量を規定できる構成を設けているため、ピエゾ素子の変位幅が圧力発生室幅に固定されない。その結果、ピエゾ素子の変位量と剛性について調整することが可能になり、所望のヘッド性能に向けてより合わせこむことができる。
【0021】
本発明の液体吐出ヘッドでは、振動板構成部材が、圧力発生室内側の幅方向内に、圧力発生室長手方向に沿って、一部が振動板として機能する凹部を有し、その凹部内に圧力発生時に振動板で生ずる衝撃を振動板構造全体で緩和・解消するような曲率を有することで、振動板変位時において振動板端部における局所的な応力集中を避けることができる。結果、長時間の駆動に対して振動板端部における疲労もしくは破壊を防止できる。
【0022】
振動板内部へエッジ形状のない凹部を形成するには、例えば圧力発生室基板と振動板を接合後、必要ならば前もって振動板を薄片化研磨し、その後圧力発生室内部から振動板をウェットエッチングすることで作製できる。振動板凹部は、例えばパイレックスガラスをSi基板へ陽極接合の後、内部からHFを主成分とする溶液でエッチング加工することで作製できる。もちろん、圧力発生室を有する基板とエッチング選択比が得られ、振動板として充分機能する材質ならばパイレックスガラス以外でも問題はない。
【0023】
また振動板を形成する材料としては、酸化シリコン、SiOの他に、ニッケル、アルミニウムなどの金属や、アルミナ、またポリイミド系の樹脂が適した材料である。振動板を、上記のような特性の異なる複数の材料で積層し、例えばエッチングストップ層とエッチング層の組み合わせで、精度のよい平坦な振動部と振動支持部の適正な曲率を形成することも可能である。
【0024】
一般的に、あらかじめ凹部を形成した振動板を基板に接合するよりは、振動板を接合後に圧力発生室内部から振動板を加工するほうが凹部形成位置の精度がよい。
【0025】
基板表面に対し垂直な隔壁をもつ圧力発生室は、Si(110)単結晶基板のKOH溶液による異方性エッチング、もしくはSi単結晶基板をSFガスを主成分とするガスを用いてドライエッチングすることにより高精度に作製できる。
【0026】
振動板上への圧電膜の形成方法としては、基板上に成膜された薄膜を接着剤、もしくは陽極接合で接着・接合後、成膜基板を剥離してもよいし、直接振動板上に下電極を形成後、構造体の許容する温度範囲内、かつプロセス工程からみて可能な成膜手段で圧電膜を成膜してもよい。例えばスパッタリング、CVD、ゾルゲル、EB蒸着、レーザーアブレーションなどで作製プロセス条件に適応する手段を用いる。用いる圧電体薄膜は、チタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、亜鉛酸化物、アルミ窒化物のうちすくなくとも1種類以上、電極材料は、白金、パラジウム、銀―パラジウム、銀―白金、白金―パラジウムからなる合金のうち少なくとも1種類以上を主成分とする。
【0027】
ノズル部は圧力発生室基板内、もしくは圧力発生室を密閉する基板内に含まれ、振動板変位方向に垂直でも平行でも作製可能である。
【0028】
以下に具体的な実施例を示すが、駆動素子、振動板、圧力発生室、インク供給流路、インクリザーバ、およびノズル等の寸法や形状や材質、駆動条件等は一例であり、設計事項として任意に変更できるものである。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0030】
(実施例1)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図4参照)。
【0031】
(1)Si(110)基板207(厚さ100μm)にパイレックスガラス(振動板)206(厚さ30μm)を陽極接合する。その後、スパッタリング成膜で、上Pt電極202/MgO基板201上に、厚さ3μmのPb(Zr0.52Ti0.48)O(PZT)膜203を成膜し、下Pt電極204を成膜後、接着剤205を厚さ1〜2μm程度になるよう塗布し、パイレックスガラス206上に接着した。
【0032】
(2)MgO基板201を熱リン酸で除去後、単位圧力発生室の形状に合わせて、上Pt電極202、PZT膜203、下Pt電極204のパターニング、エッチングを行う。その際、PtはレジストマスクによるArガスのドライエッチング、PZTはレジストをマスクとしてHFと硝酸混合希釈液によるウェットエッチングでエッチングする。ここで下Pt電極204の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。Si(110)基板207の下面にエッチングマスクとなるSiN膜209を成膜後、パターニング、エッチングを行い、圧力発生室開口部パターンを形成する。さらに、Si(110)基板207の上面側に関して、上Pt電極202との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜208を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。
【0033】
(3)Si(110)基板307のKOHエッチングを行い、(111)面で構成された基板表面に垂直な圧力発生室隔壁210を形成する。
【0034】
(4)HF溶液をNHHF溶液で希釈し、圧力発生室内部から流し込みパイレックスガラスを5μm板厚になるまでエッチングする。同時に、エッジ部を有さない凹部211が形成される。
【0035】
(5)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバ、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する圧力発生室密閉基板213を、接着剤212を用いて接着する。
【0036】
インクリザーバに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液滴を吐出させた。
【0037】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。長時間安定した吐出を行えたことから、振動板支持部にエッジ形状を有さない凹部211を形成したことで、液体吐出ヘッドの耐久性が向上した。
【0038】
(実施例2)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図5参照)。
【0039】
(1)Si(110)基板307(厚さ100μm)にパイレックスガラス(振動板)306(厚さ30μm)を陽極接合する。スパッタリング成膜で、上Pt電極302/MgO基板301上に、厚さ3μmのPb(Zr0.52Ti0.48)O(PZT)膜303を成膜し、下Pt電極304を成膜後、接着剤305を厚さ1〜2μm程度になるよう塗布し、パイレックスガラス306上に接着した。
【0040】
(2)MgO基板301を熱リン酸で除去後、単位圧力発生室の形状に合わせて、上Pt電極302、PZT膜303、下Pt電極304のパターニング、エッチングを行う。ここで下Pt電極304の不必要部分をエッチングにて取り去ることで、圧力発生室上の振動板の特性を確保する。Si(110)基板307の下面にエッチングマスクとなるSiN膜309を成膜後、パターニング、エッチングを行い、圧力発生室開口部パターンを形成する。さらに、Si(110)基板307の上面側に関して、上Pt電極302との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜308を0.1μm成膜することで以後のプロセスによる損傷を防ぐ。
【0041】
(3)Si(110)基板307のKOHエッチングを行い、(111)面で構成された基板表面に垂直な圧力発生室隔壁310を形成する。
【0042】
(4)Pt/Al(Alが下地層)を、2回に分けて斜め蒸着しエッチングマスク311を形成する。この液体吐出ヘッド設計値ではθ=tan−1(90/100)=約42゜とし、開口部幅を60μm程度とした。
【0043】
(5)HF溶液をNHHF溶液で希釈し、圧力発生室内部から流し込みパイレックスガラス306を5μm板厚になるまでエッチングする。同時に、エッジ部を有さない凹部312が形成され、またエッチングマスク311の下地層であるAlが溶けてPtマスク層も剥離する。パイレックスガラス306のエッチング開始時間差を利用することになるので、凹部312端部に曲率を有する部分が形成される。
【0044】
(6)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバ、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する圧力発生室密閉基板314を、接着剤313を用いて接着する。
【0045】
インクリザーバに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液滴を吐出させた。
【0046】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。長時間安定した吐出を行えたことから、振動板支持部にエッジ形状を有さない凹部312を形成したことで、液体吐出ヘッドの耐久性が向上した。
【0047】
(実施例3) 複合材料+平坦振動板
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図6参照)。
【0048】
(1)Si(110)基板402(厚さ100μm)にパイレックスガラス401(厚さ30μm)を陽極接合し、5μm厚まで薄片化研磨を行う。
【0049】
(2)パイレックスガラス401上に、エッチストップ層としてPtエッチストップ層407を100nm成膜、振動板としてSiO膜振動板406を5μm成膜、圧電体駆動用の下電極として下Pt電極405を100nm成膜、圧電体としてPb(Zr0.52Ti0.48)O(PZT)膜404を3μm成膜、圧電体駆動用の上電極として上Pt電極403を100nm成膜する。
【0050】
(3)Si(110)基板402のKOHエッチングを行い、(111)面で構成された基板表面に垂直な圧力発生室隔壁408を形成する。
【0051】
(4)上Pt電極403、PZT膜404, 下Pt電極405のパターニング、エッチングを行う。そして、上Pt電極403との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN保護膜409を0.1μm成膜する。
【0052】
(5)フッ酸をフッ化アンモニウムで希釈して、圧力発生室内部から流し込み、パイレックスガラス401をエッチングしてエッジ部を有さない凹部410を形成する。また、Ptエッチストップ層407があるために、振動板として機能する平坦な振動板が形成される。
【0053】
(6)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバ、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する圧力発生室密閉基板412を、接着剤411を用いて接着する。
【0054】
インクリザーバに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液滴を吐出させた。
【0055】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。長時間安定した吐出を行えたことから、振動板支持部にエッジ形状を有さない凹部410を形成したことで、液体吐出ヘッドの耐久性が向上した。
【0056】
(比較例)
長さ方向に長手形状を有する圧力発生室の、幅方向の断面図を基に、以下の手順で液体吐出ヘッドを作製し、評価した(図7参照)。
【0057】
(1)Si(110)基板502(厚さ100μm)にパイレックスガラス501(厚さ30μm)を陽極接合する。そして、パイレックスガラス501を厚さ5μm(±1μm)になるまで研磨して薄片化する。
【0058】
(2)スパッタリング成膜で、上Pt電極504/MgO基板503上に、厚さ3μmのPb(Zr0.52Ti0.48)O(PZT)膜505を成膜し、下Pt電極506を成膜後、接着剤507を厚さ1〜2μm程度になるよう塗布し、パイレックスガラス501上に接着した。
【0059】
(3)MgO基板503を熱リン酸で除去後、単位圧力発生室の形状に合わせて、上Pt電極504、PZT膜505、下Pt電極506のパターニング、エッチングを行う。Si(110)基板502の下面にエッチングマスクとなるSiN膜509を成膜後、パターニング、エッチングを行い、圧力発生室開口部パターンを形成する。Si(110)基板502の上面側に関して、上Pt電極504との接触がとれるように加工された保護用の絶縁膜SiN膜508を0.1μm成膜する。
【0060】
(4)Si(110)基板502のKOHエッチングを行い、基板表面に垂直な圧力発生室隔壁510を形成する。
【0061】
(5)各圧力発生室にインクを供給するインクリザーバ、インク供給流路、各圧力発生室に対応するノズル部を有する圧力発生室密閉基板512を、接着剤511を用いて接着する。
【0062】
インクリザーバに吐出液体を供給し、先端ノズル側から供給インクの流入を確認後、駆動波形を印加して液滴を吐出させた。
【0063】
吐出ヘッドの圧電素子の駆動条件を、矩形波電圧30V、オフセット電圧15V、周波数1kHzの矩形パルスよりなる電気信号とし、吐出口よりインクを吐出させた。この状況をパルス光源と顕微鏡を用いて観察した。すなわち、圧電体を駆動するための駆動パルスに同期し、かつ所定の遅延時間をおいてパルス光を発光させながら、吐出状況を観察した。この状況をパルス光源と顕微鏡を用い観察した。3×10回のパルスを印加したところ、吐出体積が急激に減少し、吐出液滴の体積、速度に関してばらつきがみられた。これは振動板支持部において応力が集中し、振動板に疲労破壊もしくは振動特性が大きく変化したためである。
【0064】
実施例1から3の液体吐出ヘッドを複数装備し、駆動用回路を備え、この吐出ヘッドと被記録媒体とを所望の間隔で対向させるための支持体と、入力された情報に応じて、この吐出ヘッドと被記録媒体との相対位置を変化させるための機構を有する記録装置を製造した。本実施例の記録装置は、高解像度、高速印字が可能で、従来と比較して長時間にわたり安定した液体吐出が得られた。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、振動板構成部材が、圧力発生室内側の幅方向内に圧力発生室長手方向に沿って、一部が振動板として機能する凹部を有し、その凹部内に圧力発生時に振動板で生じる衝撃を振動板構造全体で緩和・解消するような曲率を有することで、振動板変位時における局所的な応力集中を避け、振動板構造全体で応力を緩和・解消することができる。結果、長時間にわたる駆動に対し、従来と比較して振動板特性の劣化や、振動板端部における疲労もしくは破壊を防止できる高耐久な記録装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の振動板を含む圧力発生室の断面図である。
【図2】振動板構成部材内に振動部となる凹部を含む圧力発生室の一例の断面図である。
【図3】振動板構成部材内に振動部となる凹部を含む圧力発生室の他の例の断面図である。
【図4】実施例1の工程の簡略図である。
【図5】実施例2の工程の簡略図である。
【図6】実施例3の工程の簡略図である。
【図7】比較例の工程の簡略図である。
【図8】従来技術の振動板を含む圧力発生室の断面図である。
【図9】他の従来技術の振動板を含む圧力発生室の断面図である。
【符号の説明】
201 MgO基板
202 上Pt電極
203 PZT膜
204 下Pt膜
205 接着剤
206 パイレックスガラス(振動板)
207 Si(110)基板
208 SiN膜
209 SiN膜
210 圧力発生室隔壁
211 凹部
212 接着剤
213 圧力発生室密閉基板
301 MgO基板
302 上Pt電極
303 PZT膜
304 下Pt電極
305 接着剤
306 パイレックスガラス(振動板)
307 Si(110)基板
308 SiN膜
309 SiN膜
310 圧力発生室隔壁
311 エッチングマスク
312 凹部
313 接着剤
314 圧力発生室密閉基板
401 パイレックスガラス
402 Si(110)基板
403 上Pt電極
404 PZT膜
405 下Pt電極
406 SiO膜振動板
407 Ptエッチストップ層
408 圧力発生室隔壁
409 SiN保護膜
410 凹部
411 接着剤
412 圧力発生室密閉基板
501 パイレックスガラス
502 Si(110)基板
503 MgO基板
504 上Pt電極
505 PZT膜
506 下Pt電極
507 接着剤
508 SiN膜
509 SiN膜
510 圧力発生室隔壁
511 接着剤
512 圧力発生室密閉基板
601 振動板
602 圧力発生室隔壁
603 圧力発生室
604 振動板支持部
605 駆動素子
606 圧力発生室
701 振動板構成部材
702 圧力発生室隔壁
703 凹部
704 接合部
705 駆動素子
706 圧力発生室
801 振動板構成部材
802 圧力発生室隔壁
803 凹部
804 接合部
805 駆動素子
806 圧力発生室
901 駆動素子
902 下電極
903 振動板
904 接着部分
905 振動板変形部
906 圧力発生室隔壁
907 圧力発生室
1001 p型不純物拡散層(振動板)
1002 圧力発生室隔壁
1003 圧力発生室
1004 エッジ部

Claims (1)

  1. 印加信号によって伸縮する圧電/電歪素子と、圧力発生室の一部を構成する振動板と、圧力発生室と、インク供給流路と、インクリザーバと、ノズルで構成され、前記圧電/電歪素子の変形によって前記振動板を変位させ、前記圧力発生室内のインク圧力を高めることによって前記ノズルからインク滴を噴射させる液体吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板は、前記圧力発生室側が凹状になっており、略中央の略平坦部から所定の曲率で滑らかに形成された部分を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
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