JP2001277505A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP2001277505A
JP2001277505A JP2000091858A JP2000091858A JP2001277505A JP 2001277505 A JP2001277505 A JP 2001277505A JP 2000091858 A JP2000091858 A JP 2000091858A JP 2000091858 A JP2000091858 A JP 2000091858A JP 2001277505 A JP2001277505 A JP 2001277505A
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Japan
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diaphragm
electrode
insulating layer
ink
dielectric insulating
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Application number
JP2000091858A
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English (en)
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Mikio Ohashi
幹夫 大橋
Hiromichi Komai
博道 駒井
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/015Ink jet characterised by the jet generation process
    • B41J2/04Ink jet characterised by the jet generation process generating single droplets or particles on demand
    • B41J2002/043Electrostatic transducer

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電気力を利用したインクジェットヘッドに
おいて、従来に比較してより低電圧で駆動でき、かつ安
定したインク吐出ができるように構成したインクジェッ
トヘッドを提供する。 【解決手段】 振動板5と電極21との間に誘電絶縁層
25を介在させ、その厚みが変化するように配置するこ
とにより、振動板5と電極21との間で非平行な電界が
形成される。厚みの最も厚い部分(実効的なギャップ距
離が最も小さいところ)で最も大きな静電引力(あるい
は電界)を得ることができ、振動板5がその実効的なギ
ャップ距離が最も小さいところより対向する電極21の
方向へ撓む。さらに、駆動電圧Vを上昇させると、さら
に振動板5が対向する電極21方向へ撓み、最終的には
振動板5が誘電絶縁層25に接触する。さらに駆動電圧
Vを上昇させることにより最も実効的なギャップ距離が
大きいところまで振動板5を撓ませることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録を必要とする
時にのみインク液滴を形成・吐出し、所望の記録媒体に
インク記録を行うドロップ・オン・デマンド型インクジ
ェット記録装置の記録ヘッドに関し、特に、静電気力を
利用してインク吐出を行うインクジェット記録装置の記
録ヘッド(インクジェットヘッド)に関するもので、例
えば、複写機,ファックス,印刷機,プリンタ,プロッ
タ等の記録装置の記録ヘッドとして適用可能なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録装置は、
現像定着などのプロセスを必要とせず、非接触にて直接
記録ができるために、低騒音、高速高画質カラー記録が
可能で、普通紙を使用できることから低ランニングコス
トで、装置的にも安価となる等の特長を有している。そ
の中でも、記録を必要とする時にのみインク液滴を吐出
するドロップ・オン・デマンド(DOD)方式の記録装
置は、記録に不必要なインクの回収系がないためメンテ
ナンスが簡単で、装置構成が小型で安価となるため、近
年、大変注目されている。そのDOD記録方式の記録ヘ
ッドには、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸
引方式、放電方式等の多種多様な駆動方式が提案され、
実用化されている。中でも、圧電素子であるピエゾを利
用した電気機械変換方式の記録ヘッドは古くから現在に
至るまで種々の方式が提案されている。
【0003】例えば、(a)米国特許第3683212
号明細書には、円筒状をしたインク室およびピエゾ素子
により、その円筒を収縮、膨張させ、インクに生じた圧
力波でインクの液滴を形成し、吐出する方式が開示され
ている。また、(b)米国特許第3747120号明細
書には、インク室がピエゾ振動子を有する圧力室とイン
クタンクに連通するインク供給室に分割されており、そ
の2室を連合通路とインク吐出口とを一直線上に並べ
て、ピエゾ素子により発生する圧力波で効率よくインク
液滴を形成して、吐出エネルギーに変換する方式が開示
されている。また、(c)米国特許第3946398明
細書には、インク室の一部をバイモルフ型のピエゾ素子
を利用して構成し、そのピエゾ素子を振動させてインク
室が収縮した時にインクに生じた圧力波でオリフィスよ
りインクを吐出させ、膨張した時にインクをインクタン
クより補給する方式が開示されている。
【0004】また、最近では、記録ヘッドを小型高密度
にでき、高印字品質、及び長寿命が可能な駆動方式とし
て、インク室の一部を構成する振動可能な振動板を圧電
素子を利用せず静電気力を利用して振動させ、インク側
に圧力波を生じさせてインク吐出を行う方式が、例え
ば、(d)特開平6−71882号公報等に開示されて
いる。また、この静電気力方式でより低電圧に小型高密
度化ができ、高印字品質が可能な駆動構成として、
(e)特開平9−39235号公報や、(f)特開平9
−193375号公報が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(d)特開平6−
71882号公報記載の記録ヘッドでは、静電気力を利
用するためにインク室の一部を構成する振動板と、該振
動板を駆動するための電極との間に非常に微少なギャッ
プ(0.05μm以上、2.0μm以下)を形成する必要
がある。図11は、その記録ヘッド全体の分解斜視図、
図12は、そのヘッドの一部を取り出しギャップ部を拡
大した斜視図、図13は図12のXIII−XIII線で切断し
た時の断面図で、図中の記号Gが微少ギャップを示す部
分である。その種の記録ヘッドでは、印字品質のバラツ
キを抑えるために、その微少ギャップの寸法精度を所定
範囲内に極めて高い精度で実現し、保つ必要性がある。
【0006】なお、図11乃至図13において、1は中
間の第1の基板、2は下側の第2の基板、3は上側の第
3の基板で、第1の基板1には、ノズル溝4,振動板
5,インク吐出室6,インク流入溝7,共通インク室8
等が形成され、第2の基板12には、振動室9、該振動
室9内に形成された電極21を有し、第3の基板3に
は、共通インク室8に連通するインク供給口31、該イ
ンク供給口31に接続され、図示しないインクタンクに
接続されるチューブ32を有する。41,42は、ギャ
ップ長保持手段で、第1の基板1と第2の基板2の接合
部にあらかじめ形成したSiO2膜により構成したもの
で、これらのSiO2膜41,42はギャップスペーサ
として機能する。また、101は配線、102は発振回
路で、発振回路102により電極21にパルス電圧を印
加し、振動板5を静電気の吸引作用により下方に撓ま
せ、次に電極21をOFFにすると、該振動板5は復元
し、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔4より
インク液滴を記録紙に向けて吐出する。
【0007】また、静電気力を利用する方式では、圧電
素子を利用する方式のものに比べて同じ電圧で発生でき
る吐出圧力が非常に低く、しかも発生圧力は距離の逆数
の二乗に比例するので、従来の圧電素子方式と同等の吐
出圧力を得るには圧電素子方式に比べて倍以上の非常に
高い駆動電圧が必要となる。従って、ヘッドコストも駆
動電圧が高いほど高価となってしまう。
【0008】そこで、上記(e)特開平9−39235
号公報記載の記録ヘッドでは、静電気力方式でヘッドの
低電圧駆動を行うために、図14に示すように、振動板
5と電極21の形状とを利用して前記微少ギャップ(隙
間)Gを階段状に複数個(G 1,G2,G3)設け、ギャ
ップのより小さい領域(G1)から強い静電引力によっ
て、より低い駆動電圧で振動板が変形するように構成し
ている。また、上記(f)特開平9−193375号公
報記載の記録ヘッドでは、図15に示すように、振動板
5と電極21との関係を非平行状態として、連続的に変
化する微少ギャップGを形成することにより振動板5と
電極21との間に非平行な電界を形成し、ギャップのよ
り小さい領域から強い静電引力によって、より低い駆動
電圧で振動板が変形するように構成している。
【0009】しかしながら、上記(e)特開平9−39
235号公報に示されるように階段状の電極を形成する
ことは、製造上、大変煩雑である。また、(f)特開平
9−193375号公報の記録ヘッドに示されるように
振動板と電極との相対位置を連続的に変化させて微少ギ
ャップを形成した場合、ギャップがより小さい領域で、
より強い静電引力が働くため、最悪の場合、振動板と電
極との間のギャップで気体の絶縁破壊や電界放出などに
よる放電の大電流が瞬間的に流れ、電極が溶融したり、
電極と振動板とが短絡を生じたりしてヘッドを破壊し、
インク吐出不良となる問題を抱えている。
【0010】また、前記(f)特開平9−193375
号公報には、より低電圧で高剛性の振動板を変形させる
ために、前記微少ギャップ中に液状の高誘電物質を介在
させることが記載されているが、実際には、そのような
物質を安定して介在させることは非常に困難であり、例
えば、ヘッドの周囲温度が変化した場合には、液状誘電
物質の比誘電率の値が著しく変化し、振動板の振動変位
量が大きく変化してインク吐出が安定しないといった問
題を有している。
【0011】上述のごとき問題点を解決するため、請求
項1〜3の発明は、静電気力を利用したインクジェット
ヘッドにおいて、従来に比較してより低電圧で駆動で
き、かつ安定したインク吐出ができるように構成したイ
ンクジェットヘッドを提供することを目的とするもので
ある。
【0012】請求項4〜5の発明は、請求項3の発明に
おいて、従来に比較して更により低電圧で駆動でき、よ
り安定したインク吐出ができるように構成したインクジ
ェットヘッドを提供することを目的とするものである。
【0013】請求項6の発明は、請求項2又は請求項5
の発明において、より確実に低電圧駆動ができ、より安
定したインク吐出ができるよう歩留まりを向上させた構
成のインクジェットヘッドを提供することを目的とする
ものである。
【0014】請求項7の発明は、請求項2の発明におい
て、ヘッドがより小型高密度となり、より安定したイン
ク吐出が可能な構成のインクジェットヘッドを提供する
ことを目的とするものである。
【0015】請求項8〜10の発明は、請求項1の発明
において、インク滴吐出量を大きく変化させて、印字品
質を制御することを可能とした構成のインクジェットヘ
ッドを提供することを目的とするものである。
【0016】請求項11の発明は、請求項1の発明にお
いて、より確実に安定して低電圧駆動ができ、かつ安定
したインク吐出ができるよう信頼性を向上させた構成の
インクジェットヘッドを提供することを目的とするもの
である。
【0017】請求項12の発明は、請求項11の発明に
おいて、振動板と電極との間に安定して高誘電物質を介
在させることができ、更に、より低電圧で安定したイン
ク吐出が可能な構成のインクジェットヘッドを提供する
ことを目的とするものである。
【0018】請求項13の発明は、請求項11の発明に
おいて、より確実に安定して低電圧駆動ができ、かつ安
定したインク吐出ができる構成のインクジェットヘッド
の信頼性を向上させる方法を提供することを目的とする
ものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、イン
クを吐出するためのノズルと、該ノズルに連通するイン
ク流路と、該流路の一部に設けられた振動板と、該振動
板に対向して設けられた電極とを有し、前記振動板と前
記電極との間に生じる静電気力を利用して前記振動板を
変形させ、前記ノズルからインク液滴を吐出するインク
ジェットヘッドにおいて、前記振動板と前記電極との間
に誘電絶縁層を有し、該誘電絶縁層によって前記振動板
と前記電極との間に非平行な電界を発生させることを特
徴としたものである。
【0020】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記誘電絶縁層の厚みを変化させたことを特徴とし
たものである。
【0021】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、前記誘電絶縁層を前記電極に対向する振動板の表面
側、あるいは前記振動板に対向する電極の表面側に設け
たことを特徴としたものである。
【0022】請求項4の発明は、請求項3の発明におい
て、インク液滴の吐出時に、前記電極側に設けられた前
記誘電絶縁層の少なくとも一部を前記電極に対向する前
記振動板の表面側に接触させた状態、あるいは前記振動
板側に設けられた前記誘電絶縁層の少なくとも一部を前
記振動板に対向する前記電極の表面側に接触させた状態
とすることを特徴としたものである。
【0023】請求項5の発明は、請求項3の発明におい
て、前記電極側に設けられた前記誘電絶縁層の少なくと
も一部を前記電極に対向する前記振動板の表面側に接触
させた状態から、あるいは前記振動板側に設けられた前
記誘電絶縁層の少なくとも一部を前記振動板に対向する
前記電極の表面側に接触させた状態からインク液滴の吐
出を行うことを特徴としたものである。
【0024】請求項6の発明は、請求項2又は請求項5
の発明において、前記誘電絶縁層の厚みを前記振動板と
前記電極との間の空隙距離よりも厚くした部分を設けて
該誘電絶縁層の厚みを変化させたことを特徴としたもの
である。
【0025】請求項7の発明は、請求項2の発明におい
て、前記誘電絶縁層の厚みを前記振動板の長て方向へ変
化させたことを特徴としたものである。
【0026】請求項8の発明は、請求項1の発明におい
て、複数に分割して構成の前記電極と、前記振動板との
間に前記誘電絶縁層を介在させたことを特徴としたもの
である。
【0027】請求項9の発明は、請求項8の発明におい
て、前記複数に分割して構成した電極の各々に独立した
駆動電圧信号を印加したことを特徴としたものである。
【0028】請求項10の発明は、請求項1の発明にお
いて、前記誘電絶縁層によって前記振動板と前記電極と
の間に非平行な電界を発生させる駆動電圧信号の電圧の
大きさを変化させたことを特徴としたものである。
【0029】請求項11の発明は、請求項1の発明にお
いて、前記誘電絶縁層が酸化膜、及び窒化膜であること
を特徴としたものである。
【0030】請求項12の発明は、請求項11の発明に
おいて、前記酸化膜が酸化チタン系のセラミック膜であ
ることを特徴としたものである。
【0031】請求項13の発明は、請求項11の発明に
おいて、前記誘電絶縁層が真空蒸着法,イオンプレーテ
ィング法,スパッタリング法,CVD法,ゾルゲル法、
又は、熱酸化法を利用して形成されていることを特徴と
したものである。
【0032】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の概念を示
す全体構成と動作を説明するための一部を断面で示す斜
視図で、全図を通して同様の作用をする部分には同一の
参照番号が付してある。図1に示した実施例では、イン
ク液滴を基板の端部に設けたノズル溝4から吐出させる
エッジシュータータイプのインクジェットヘッドの例を
示す。本発明は図示のタイプのインクジェットヘッドに
限られるものではなく、サイドシュータータイプやその
他のタイプのインクジェットヘッドに適用可能である。
図2は図1のII−II線で切断した時の断面図で、それぞ
れ異なる実施例を示す図である。
【0033】本発明が適用されるインクジェットヘッド
の例として、下記に詳述する構造を持つ3枚の基板1,
2,3を重ねて接合した積層構造のものについて説明す
る。先ず、中間の第1の基板1はシリコンの単結晶基板
を使用したものである。シリコンの単結晶基板の使用
は、インクを吐出させるための薄い振動板5(数μm程
度の厚さ)を後述するエッチングで作製する際に、加工
上好適であり、また、数μm程度のギャップを高精度に
後述する陽極接合で形成する際にも好都合な材料であ
る。さらに、また、静電気力を働かせて振動板5を振動
させる際には、電極に電圧を印加して静電気力を発生さ
せる必要性があるが、シリコンは半導電性であるため振
動板側の電極の代用をすることができ、振動板側に別個
に電極を設ける必要性がない等の利点を有する。この中
間の第1基板1は、該基板1の一端にノズル溝4が形成
され、そのノズル溝4に連通して底壁を振動板5とする
インク吐出室6を構成する凹部と、該凹部の後部に設け
られたオリフィスを構成するインク流入口のための細溝
と、インク吐出室6にインクを供給するための共通のイ
ンクキャビティを構成する凹部を有する。
【0034】次に、第1基板1の下面に接合される下側
の第2基板2はパイレックス(登録商標)ガラス(硼珪
酸系ガラス)基板を使用したものである。パイレックス
ガラス(硼珪酸系ガラス)基板の使用は、上述のように
数μm程度のギャップを高精度に後述する陽極接合で形
成する際、シリコン基板に対し好都合な材料である。こ
の第1基板1の下側の第2基板2では、微少なギャップ
を形成するための凹(段)部10と、その凹(段)部1
0内に振動板5とほぼ同じ形状に金をスパッタした電極
21が形成される。ここで、本発明では、振動板5と電
極21との間で非平行な電界が形成されるように、振動
板5に対向する電極21表面上にSiO2等の誘電絶縁
層25を設け、しかも、該誘電絶縁層25の厚みが振動
板5の短辺方向に沿って変化するように設けている。な
お、図1に示した実施例では、図2(A)に示すよう
に、誘電絶縁層25は振動板5の表面側に非接触な状態
で配置されているが、この誘電絶縁層25は、図2
(B)に示すように、電極21に対向する振動板の表面
側に非接触な状態で配置しても、振動板5と電極21と
の間で非平行な電界を形成することは可能である。
【0035】次に、第1基板1の上面に接合される上側
の第3基板3にはステンレス基板を使用し、接着剤にて
第1基板1と接合する。この基板3の接合によって、前
記ノズル溝4、インク吐出室6、及び、図1,図2には
図示しないオリフィス7及びインクキャビティ8が構成
される。そして、基板3ではインクキャビティ8に連通
する図示しないインク供給口が設けられ、インク供給口
は図示しない接続パイプ及びチューブを介して図示しな
いインクタンクに接続される。
【0036】次に、第1の基板1と第2の基板2との接
合方法について述べる。本発明の静電気力を利用したイ
ンクジェットヘッドのように数μm程度の微少なギャッ
プを高精度に形成し、組み立てる(接合する)方法とし
ては、陽極接合法を利用するのが好適である。陽極接合
法は他の接合法(ろう接、融接)と比較して、ギャップ
の寸法精度の確保が期待でき、基板間に電圧印加(−3
00V〜−500V程度)を行うことにより比較的低温
(300〜400℃)で精密な接合ができる。このよう
な陽極接合を確実に行うには、基板の接合界面で基板同
士の共有結合が生じるように第1基板1、あるいは第2
基板2のどちらかがアルカリイオンを多く含む基板であ
る必要があり、また、接合する際、熱応力による基板同
士の歪みが少なくなるように基板同士の熱膨張係数が比
較的一致している材料を選択することが好ましい。本発
明では、上記のように第1基板1に単結晶のシリコン基
板を使用し、第2基板2にNa等のアルカリイオンを多
く含み、シリコン基板と比較的熱膨張係数が一致するパ
イレックスガラス(硼珪酸系ガラス)基板を使用するた
め、基板同士の熱歪みの少ない確実な接合が得られる。
【0037】本実施例では、図2(A)に示すように、
本接合を行うことにより振動板と電極との間に微少なギ
ャップ部10が形成されて、図に示すようなインクジェ
ットヘッドが組み立てられ、振動板5と電極21との間
で非平行な電界を形成することが可能となる。上述のよ
うにしてインクジェットヘッドを組み立てた後、図1に
示すように、基板1と電極21との間を配線101によ
り発振回路102を接続し、インクジェット記録装置を
構成する。インクは図示しないインクタンクよりインク
供給口を経て基板1の内部に供給され、インクキャビテ
ィ、吐出室等がインクで満たされる。
【0038】次に、上述のようにして構成された本実施
例によるインクジェットヘッドの動作を説明する。電極
21に発振回路102より正のパルス電圧を印加する
と、電極21の表面がプラス電位に帯電し、対応する振
動板5の下面はマイナス電位に帯電する。従って、振動
板5は静電気の吸引作用により下方へ撓む。ここで、振
動板5に発生する静電吸引力の大きさPは、(1)式の
ように表される。
【0039】
【式1】
【0040】但し、(1)式において、εは振動板5と
電極21との間に存在する空気の誘電率、Sは振動板5
と電極21との間に働く静電気力の有効面積、Vは電極
21に印加する駆動電圧、dは振動板5と電極21との
間の実効的なギャップ距離を表わす。ここで、実効的な
ギャップ距離dとは、(2)式のような関係を意味し、
振動板5と電極21との間に空気以外の誘電率を有する
物質が介在する場合には、dは(2)式のように表わさ
れる。但し、(2)式において、dは振動板5と電極
21との間に存在する空隙の距離、dεは振動板5と電
極21との間に存在する誘電絶縁層25の厚み、ε
誘電絶縁層25の比誘電率を表わす。
【0041】
【式2】
【0042】すなわち、振動板5と電極21との間に、
ある誘電率を有する物質を介在させると、(2)式のよ
うに、その介在させた誘電物質の厚みdεとその誘電物
質が有する比誘電率εを変化させることによって、振
動板5と電極21との間に発生する電界強度E(E=V
/d)と、それによって生じる静電吸引力Pの大きさを
変化させることが可能である。従って、(1)式に示さ
れるように静電吸引力Pは、振動板5と電極21との間
の実効的なギャップ距離dが小さいほど振動板5に大き
な静電引力が働くこととなる。
【0043】そこで、本発明では、図2に示すように、
振動板5と電極21との間に誘電絶縁層25を介在さ
せ、その厚みが変化するように配置することにより、振
動板5と電極21との間で非平行な電界が形成され、そ
の厚みの最も厚い部分(実効的なギャップ距離が最も小
さいところ)で最も大きな静電引力(あるいは電界)を
得ることができるため、振動板5がその実効的なギャッ
プ距離が最も小さいところより対向する電極21の方向
へ撓むようになる。さらに、駆動電圧Vを上昇させる
と、さらに振動板5が対向する電極21方向へ撓み、最
終的には振動板5が誘電絶縁層25に接触する。そし
て、さらに駆動電圧Vを上昇させることにより最も実効
的なギャップ距離が大きいところの方まで振動板5を撓
ませることができる。
【0044】そして、次に、電極21へのパルス電圧の
印加をOFFすると、上述のようにして撓んだ振動板5
が復元し、吐出室6内の圧力が急激に上昇するため、ノ
ズル溝4よりインク液滴が形成され、記録紙に向けてイ
ンク吐出が行われる。そして再び、電極21へパルス電
圧をONすると、振動板5が再び対向する電極21方向
へ撓むので、インクがインクキャビティ8よりオリフィ
ス7を通じて吐出室6内に補給される。
【0045】本実施例では、上述のように、振動板5と
電極21との間に厚みを変化させた誘電絶縁層25を介
在させ、振動板5と電極21との間で実効的なギャップ
距離が非常に小さい領域と大きい領域とを形成して非平
行な電界が形成されるようにすることにより、数十V程
度の従来に比較して低い駆動電圧で、インク吐出を行う
ことができる。なお、振動板5と電極21との間に誘電
絶縁層25を介在させて非平行な電界を形成する他の方
法として、(2)式からもわかるように、誘電絶縁層2
5が有する比誘電率εを層内で段階的、あるいは連続
的に徐々に変化させて非平行な電界を形成することも可
能であるが、製造上、安定してそのような誘電絶縁層を
得るのは非常に煩雑で困難である。
【0046】図2(A)に示す構成のインクジェットヘ
ッドを使用し、図1に示すように、第1基板1の上側に
ステンレス製の第3基板3をエポキシ系接着剤にて接合
し、発振回路102等を接続して電極21にパルス電圧
を印加して印字試験を行った。その結果、従来、インク
ジェットヘッドを駆動して良好な印字品質を得るのに1
00V以上のパルス電圧を必要としていたのに対し、振
動板5が誘電絶縁層25に対し非接触な状態のままでイ
ンク液滴が吐出するように構成した場合には、本発明の
インクジェットヘッドでは、50V程度のパルス電圧駆
動で従来と同等以上の印字品質が得られた。さらに、ま
た、振動板5が誘電絶縁層25に対し接触した状態でイ
ンク液滴が吐出するように構成した場合には、本発明の
インクジェットヘッドでは、30V程度のパルス電圧駆
動で従来と同等以上の印字品質が得られるようになっ
た。また、電極と振動板との短絡等によりヘッドが破壊
し、それによって発生していたインク吐出不良が減少し
たため、印字品質にバラツキの少ない常に安定した画像
を得ることが可能となった。また、駆動するパルス電圧
信号の電圧の大きさを変化させた結果、インク滴吐出量
を変化することが可能となり、より階調性に富んだ印字
品質が得られるようなった。
【0047】図3は、振動板5と電極21との間で非平
行な電界が形成されるように、誘電絶縁層25を電極2
1上に、振動板5の長辺方向に沿って該誘電絶縁層25
の厚みが変化するように設けた例を示す振動板長辺方向
のヘッド断面図で、図中、誘電絶縁層25は電極21上
に振動板5の表面に非接触な状態で設けられている。図
3に示した構成のインクジェットヘッドでは、振動板5
の長辺方向に沿って誘電絶縁層25の厚みを変化するよ
うに配置したので、振動板5の短辺方向へ高密度にノズ
ルを配列しようとした場合でも、十分なインク吐出量を
確保することができるため、より印字品質が向上した高
画質な印字が可能となる。このように構成されたインク
ジェットヘッドの動作は、前記図2で説明したインクジ
ェットヘッドの動作と全く同様である。
【0048】図3に示した構成のインクジェットヘッド
を使用し、図1に示したように、第1基板1の上側にス
テンレス製の第3基板3をエポキシ系接着剤にて接合
し、発振回路102等を接続して電極21にパルス電圧
を印加して印字試験を行った。その結果、30V程度の
パルス電圧駆動で従来と変わらないインク吐出量を安定
して確保することができ、また、ノズルの密度が2倍と
なったため、ヘッドの大きさが従来の約1/2の大きさ
となって小型となり、画質がさらに2倍向上してより印
字品質が優れた画像が得られた。また、駆動するパルス
電圧信号の電圧の大きさを変化させた結果、インク滴吐
出量を変化することが可能となり、より階調性に富んだ
印字品質が得られるようなった。
【0049】図4は、振動板5と電極21との間で非平
行な電界が形成されるように、振動板5の短辺方向に沿
って誘電絶縁層25の厚みが変化するように配置した例
を示す図で、図4(A)は、振動板5に対向する電極2
1の表面上に誘電絶縁層25を設け、その誘電絶縁層2
5の一部が振動板5の表面側に接触した状態で配置され
ている例を示す振動板短辺方向のヘッド断面図で、ま
た、図4(B)は、振動板5の短辺方向に沿ってその厚
みが変化するように配置された誘電絶縁層25を電極2
1に対向する振動板の表面側に設け、図示のように、そ
の一部が振動板5に対向する電極21の表面に接触した
状態で設けられている例を示す振動板短辺方向のヘッド
断面図である。
【0050】上記構成のインクジェットヘッドでは、誘
電絶縁層25の一部が振動板5の表面側、あるいは電極
21の表面側に接触した状態で振動板5の短辺方向に沿
って誘電絶縁層25の厚みが変化するように配置されて
いるので、更に低電圧で駆動することができ、かつ安定
したインク吐出が可能となるため、より安価で印字品質
が安定する。上述のように構成されたインクジェットヘ
ッドの動作は、図2で説明したインクジェットヘッドの
動作とほぼ同様であるが、実施例の場合には、初期状態
から振動板5と電極21との間で実効的なギャップ距離
が零(ギャップが無い)となるところが形成されてお
り、その箇所付近でより大きな静電引力(あるいは電
界)を得ることができるため、従来に比較してより低い
駆動電圧で実効的なギャップ距離が大きいところまで振
動板5を対向する電極21の方向へ撓ませ、インク吐出
することができる。
【0051】図4(A)に示した構成のインクジェット
ヘッドを使用し、図1に示したように、第1基板1の上
側にステンレス製の第3基板3をエポキシ系接着剤にて
接合し、発振回路102等を接続して電極21にパルス
電圧を印加して印字試験を行った。その結果、図2
(A)に示したインクジェットヘッドを駆動して良好な
印字品質を得るのに30V程度のパルス電圧を必要とし
ていたのに対し、本実施例のインクジェットヘッドで
は、20V程度のパルス電圧駆動で図2(A)のヘッド
と同等以上の印字品質が得られ、また、同様に印字品質
にバラツキの少ない常に安定した画像を得ることが可能
となった。また、図2(A)に示したインクジェットヘ
ッドと同様に、駆動するパルス電圧信号の電圧の大きさ
を変化させた結果、インク滴吐出量を変化することが可
能となり、より階調性に富んだ印字品質が得られるよう
なった。
【0052】図5は、振動板5と電極21との間で非平
行な電界が形成されるように、図3に示したインクジェ
ットヘッドと同様に振動板5の長辺方向に沿って誘電絶
縁層25の厚みが変化するように配置され、また、その
誘電絶縁層25の一部が振動板5の表面側に接触した状
態で設けられている例を示す振動板長辺方向のヘッド断
面図である。図5に示した構成のインクジェットヘッド
では、誘電絶縁層25の一部が振動板5の表面側に接触
した状態で振動板5の長辺方向に沿って誘電絶縁層25
の厚みが変化するように配置したので、さらに低電圧で
駆動することができ、かつ安価で安定したインク吐出が
可能となり、また、振動板5の短辺方向へ高密度にノズ
ルを配列しようとした場合でも、十分なインク吐出量を
確保することができるため、より印字品質が向上した高
画質な印字が可能となる。このように構成されたインク
ジェットヘッドの動作は、図4で説明したインクジェッ
トヘッドの動作と全く同様である。
【0053】図5に示した構成のインクジェットヘッド
を使用し、図1に示したように、第1基板1の上側にス
テンレス製の第3基板3をエポキシ系接着剤にて接合
し、発振回路102等を接続して電極21にパルス電圧
を印加して印字試験を行った。その結果、図3に示した
インクジェットヘッドを駆動して良好な印字品質を得る
のに30V程度のパルス電圧を必要としていたのに対
し、本発明のインクジェットヘッドでは、20V程度の
パルス電圧駆動で図3に示したヘッドと変わらないイン
ク吐出量を安定して確保することができ、また、図3に
示したヘッドと同様にノズルの密度が2倍となったた
め、ヘッドの大きさが従来の約1/2の大きさとなって
小型となり、画質がさらに2倍向上してより印字品質が
優れた画像が得られた。また、駆動するパルス電圧信号
の電圧の大きさを変化させた結果、インク滴吐出量を変
化することが可能となり、より階調性に富んだ印字品質
が得られるようなった。
【0054】図6(A)は、振動板5と電極21との間
で非平行な電界が形成され、また、誘電絶縁層25の一
部が振動板5の表面に確実に接触した状態となるよう
に、振動板5の短辺方向に沿って誘電絶縁層25の厚み
を振動板5と電極21との間の空隙距離よりも厚くした
部分とそうでない部分とに厚みを変化させて振動板5に
対向する電極21表面上に配置した例を示す振動板短辺
方向のヘッド断面図である。また、図6(B)は、誘電
絶縁層25の一部が電極21の表面側に確実に接触した
状態となるように、振動板5の短辺方向に沿って誘電絶
縁層25の厚みを振動板5と電極21との間の空隙距離
よりも厚くした部分とそうでない部分とに厚みを変化さ
せて電極21に対向する振動板5の表面側に配置した例
を示す振動板短辺方向のヘッド断面図である。
【0055】図6(A),図6(B)に示したヘッドの
ように、誘電絶縁層25の最も厚い部分の厚みが振動板
5と電極21との間の空隙距離と同じ厚みとした場合、
その振動板5と電極21との間の空隙距離や誘電絶縁層
25の厚みの製造上のバラツキにより、必ずしも誘電絶
縁層25の一部が振動板5の表面側、あるいは電極21
の表面側に接触した状態となり得ない場合があり、ヘッ
ド間で駆動電圧がばらついたり、延いては印字品質がば
らついたりして、安定してヘッドを作製することができ
ないために、ヘッド製造上の歩留まりが向上しなかっ
た。そこで、図6に示した構成のインクジェットヘッド
では、誘電絶縁層25の最も厚い部分の厚みが振動板5
と電極21との間の空隙距離よりも確実に厚くした構成
とすることにより、振動板5と電極21との間の空隙距
離や誘電絶縁層25の厚みの製造上のバラツキがあった
場合でも、確実に誘電絶縁層25の一部を振動板5の表
面側、あるいは電極21の表面側に接触した状態とする
ことができるため、安定してヘッドを作製することがで
き、また、ヘッド製造上の歩留まりが向上する。
【0056】なお、図6に示した構成のインクジェット
ヘッドを作製する場合、第1の基板1と第2の基板2と
を接合する陽極接合時において、本構成の場合、各基板
同士の接合強度が弱まり、各基板が剥がれやすくなるの
で、それを防止するため各基板同士の接合強度を高めて
接合する必要性がある。これら図6(A),図6(B)
に示した構成のインクジェットヘッドでは、誘電絶縁層
25の一部が振動板5の表面側、あるいは電極21の表
面側により確実に接触した状態で振動板5の短辺方向に
沿って誘電絶縁層25の厚みが変化するように配置され
ているので、より確実に低電圧で駆動することができ、
かつ安定したインク吐出が可能となる。また、安定して
ヘッドを作製することができるので、ヘッドの歩留まり
が向上し、安定した印字品質をより安価に提供すること
ができる。このように構成された本例の動作は、図4で
説明したインクジェットヘッドの動作と全く同様であ
る。
【0057】図6(A)に示した構成のインクジェット
ヘッドを使用し、図1に示したように、第1基板1の上
側にステンレス製の第3基板3をエポキシ系接着剤にて
接合し、発振回路102等を接続して電極21にパルス
電圧を印加して印字試験を行った。その結果、図2
(A)に示したインクジェットヘッドを駆動して良好な
印字品質を得るのに30V程度のパルス電圧を必要とし
ていたのに対し、本構成のインクジェットヘッドでは、
図4(A)のヘッドと同様に20V程度のパルス電圧駆
動で図2(A)のヘッドと同等以上の印字品質が得ら
れ、また、同様に印字品質にバラツキの少ないより安定
した画像を得ることが可能となった。また、本構成のイ
ンクジェットヘッドでは、図4(A)のヘッドの歩留ま
りに対し30%以上もヘッドの歩留まりが向上した。
【0058】図7(A),図7(B)は、振動板5と電
極21との間で非平行な電界が形成されるように、図4
(A)に示したヘッドと同様に振動板5に対向する電極
21表面上に誘電絶縁層25を設け、その誘電絶縁層2
5の一部が振動板5の表面側に接触した状態で振動板5
の短辺方向に沿って誘電絶縁層25の厚みが変化するよ
うに配置され、また、電極21が複数に分割(この例の
場合、21aと21bに2分割されている)されて配置
される例を示す振動板短辺方向のヘッド断面図である。
また、図7(C)は、図4(B)に示したヘッドと同様
に、誘電絶縁層25を電極21に対向する振動板5の表
面側に設け、図示のように、その誘電絶縁層25の一部
が振動板5に対向する複数に分割(この例の場合、2分
割している)された電極21a,21bの各々の表面上
に接触した状態で配置されている例を示す振動板短辺方
向のヘッド断面図である。
【0059】図7に示した構成のインクジェットヘッド
では、電極21を複数に分割して配置し、その分割され
た電極21a,21bと振動板5との間で非平行な電界
が形成されるように、誘電絶縁層25の一部を振動板5
の表面側、あるいは電極21の表面側に接触した状態で
振動板5の短辺方向に沿って誘電絶縁層25の厚みが変
化するように構成したので、より低い駆動電圧でその電
圧信号を印加する電極21a,21bを選択することに
より、振動板5と分割された電極21a,21bとの間
に生じる非平行な電界の強度を大きく変化させることが
でき、振動板5の振動変位量を大きく制御することがで
きるので、インク滴吐出量をより大きく変化させて、印
字品質を大きく制御することが可能となる。なお、当然
のことながら、この電極の分割数は2分割に限られるも
のではなく、2分割以上とすることにより、インク滴吐
出量をより細かく変化させることができ、より階調性に
富んだ印字品質を提供することができる。また、この分
割された電極21a,21bの各々に、例えば、電圧の
大きさを変えたそれぞれ独立の駆動電圧信号を印加する
ことにより、更に幅広くインク滴吐出量の大きさを変化
させることが可能となり、更に階調性に富んだ高画質な
画像を得ることが可能となる。
【0060】上述のように構成されたインクジェットヘ
ッドの動作は、図4で説明したインクジェットヘッドの
動作とほぼ同様であるが、本実施例の場合には、駆動電
圧を印加する電極21が複数設けられているので、電圧
を印加する電極21a,21bを選択することにより、
振動板5と分割された電極21a,21bとの間に生じ
る非平行な電界の強度を大きく変化させ、振動板5の振
動変位量を大きく変化させてインク滴吐出量をより大き
く変化させることができる。従って、例えば、分割され
た電極21aの片側のみに駆動電圧を印加した場合に
は、その電極21a側から生じる非平行な電界強度の大
きさに依存して振動板5がある一定量の変位で撓み、そ
の変位量に応じて小さなインク滴を吐出することができ
る。また、分割された電極21a,21bの両方に同時
に駆動電圧を印加した場合には、その両方の電極21
a,21bから生じるより大きな電界強度に依存して振
動板5がより大きな変位で撓み、その変位量に応じてよ
り大きなインク滴を吐出することができる。よって、分
割された電極21a,21bに選択的に駆動電圧を印加
することにより、小さなインク滴とより大きなインク滴
とを吐出仕分けることができる。
【0061】さらにまた、分割された電極21a,21
bの各々に、例えば電圧の大きさが大小異なるそれぞれ
独立した駆動電圧信号を各電極21a,21bへ選択的
に印加した場合、例えば一方の電極21a側へ電圧の低
い駆動電圧信号を印加するとその電圧に応じて最も小さ
なインク滴を吐出することができ、また、もう一方の電
極21b側へ電圧の高い駆動電圧信号を印加するとその
電圧に応じて2つ目に小さなインク滴を吐出することが
でき、さらに両方の電極21a,21bへ同時に電圧の
大きさが大小異なる独立した駆動電圧信号をそれぞれ同
時に印加すると、その電圧に応じて最も大きなインク滴
を吐出することが可能となり、本例の場合には、大きさ
の異なる3種類のインク滴を吐出仕分けることができ
る。
【0062】図7に示した構成のインクジェットヘッド
を使用し、図1に示したように、第1基板1の上側にス
テンレス製の第3基板3をエポキシ系接着剤にて接合
し、発振回路102等を接続して電極21にパルス電圧
を印加して印字試験を行った。その結果、本構成のイン
クジェットヘッドでは、図4(A)に示したヘッドと同
様に20V程度の低いパルス電圧でインク吐出すること
ができ、さらに分割された電極21a,21bに選択的
に駆動電圧を印加することにより、大小2種類のインク
滴を吐出仕分けることができるようになり、図4(A)
に示したヘッドよりも階調性に富んだ印字画像を安定し
て得ることが可能となった。さらに、分割された電極2
1a,21bの各々に電圧20Vと30Vのそれぞれ独
立した駆動電圧信号を選択的に印加した結果、大中小の
3種類のインク滴を吐出仕分けることができるようよう
になり、更に幅広く階調性に富んだ美しい印字画像を安
定して得ることができた。
【0063】次に、本発明におけるインクジェットヘッ
ドの製造工程について、図8を参照して、より詳細に説
明する。先ず、第1の基板1の製造工程について説明す
る。(100)面方位の単結晶シリコンウエハの両面を
鏡面研磨し、厚さ200μmのシリコン基板40(第1
の基板1)を作製し(図8(A))、該シリコン基板4
0に酸素及び水蒸気雰囲気中で1100℃、4時間の熱
酸化処理を施し、シリコン基板40の両面に厚さ1μm
のSiO2膜41aおよび41bを形成する(図8
(B))。SiO2膜41aおよび41bは耐エッチン
グ材として使用するものである。ついで、上面のSiO
2膜41aの上に、ノズル4、吐出室6、オリフィス
7、及びインクキャビティ8の形状に相当するフォトレ
ジストパターン(図示せず)を形成し、フッ酸系エッチ
ング液にてSiO2膜41aの露出部分をエッチング除
去し、該フォトレジストパターンを除去する(図8
(C))。次に、アルカリ液によるシリコン基板40の
異方性エッチングを行う。単結晶シリコンにおいては、
周知のごとく、水酸化カリウム水溶液やヒドラジン等の
アルカリでエッチングする場合、結晶面によるエッチン
グ速度の差が大きいため、異方性エッチングが可能とな
る。具体的には、(111)結晶面のエッチング速度が
最も小さいため、エッチングの進行と共に(111)面
が平滑面として残留する構造が得られる。本実施例で
は、イソプロピルアルコールを含む水酸化カリウム水溶
液を用いてエッチングを行った。(100)面方位のシ
リコン基板40において、(111)面は基板表面であ
る(100)面に対して結晶構造上約55℃の角度をも
って交わっているため、上記のように(100)面方位
のシリコン基板中に形成すべき各部の寸法が決定される
と、第1の基板の厚さに対し耐エッチング材のマスクパ
ターン寸法は一義的に決定される。
【0064】図9に示すように、吐出室6の上端の幅d
を752μmとし、180μmのエッチングを施すと、
幅hが500μm、厚さtが20μmである振動板5が
得られる。実際のエッチングでは、(111)面はわず
かずつエッチング(アンダーカット)され、図9におけ
る寸法dはマスクパターン幅dより若干大きくなる。
したがって、マスクパターン幅dは、(111)面1
2aのアンダーカット寸法の分だけ小さくしなければな
らないので、本実施例では740μmとし、上記のアル
カリエッチング液にて所定量(180μm)のエッチン
グを行った。最後に、基板40の全面に残留しているS
iO2膜41a、41bを全部除去(図8(D))する
ことにより、図1に示したような第1基板1を形成し得
ることができる。
【0065】次に、第2の基板2の製造工程について図
10を参照して説明する。両面研磨された厚さ1mmの
パイレックスガラス(コーニング社製#7740)基板
2の上面に厚さ3000ÅのNi膜を形成し、そのNi
膜を耐エッチング用のメタルマスク材60とし、そのメ
タルマスク60を介してギャップとなる凹(段)部の形
状に相当するフォトレジストパターン70を形成し(図
10(A))、リン酸系のエッチング液にてメタルマス
ク60の露出部分をエッチング除去し(図10
(B))、さらに、フッ酸系のエッチング液で等方性エ
ッチングを行い、ギャップとなる凹(段)部の形成を行
う(図10(C))。メタルマスクを使用する理由は、
エッチング後のサイドエッチのだれを防止するためであ
る。次に、レジスト剥離液にて前記フォトレジストパタ
ーン70を除去し、次いで、リン酸系エッチング液でN
iのメタルマスク60を全面除去する(図10(D))
ことにより、凹(段)部が形成された第2基板2が得ら
れる。次に、その第2基板2の凹(段)部上に電極21
パターンを形成するため、第2基板2上に各振動板の電
極21となる形状に相当するフォトレジストパターン7
1を再び形成(図10(E))し、さらに、その上に電
極21となるAuを全面にスパッタリング成膜法で成膜
(図10(F))し、最後にその基板をアセトンで超音
波洗浄し、前記フォトレジストパターン70の除去と同
時にAu電極21のリフトオフを行う(図10(G))
ことにより、必要な形状の電極パターンが得られる。
【0066】さらに、本発明では振動板5と電極21と
の間に非平行な電界が形成されるように、振動板5と電
極21との間に誘電絶縁層25を介在させ、その厚みを
変化させて配置する必要がある。そこで、本発明の場合
には必要な形状の電極パターンが形成された基板2上の
全面にさらに誘電絶縁層25として、Si34膜をEC
RプラズマCVD法で成膜形成した。
【0067】その際の成膜条件は以下の通りである。 印加磁界:875G マイクロ波パワー:500〜2kW 成膜圧力:0.005〜0.1Pa 成膜温度:室温〜400℃
【0068】なお、Si34膜を成膜する際、原料ガス
としては窒素,珪素それぞれを含む少なくとも2種類の
ガスが必要である。これらの原料における相状態は常温
常圧において必ずしも気体である必要はなく気化しうる
ものであれば液体でも固体でも使用可能である。珪素源
としてはSiH4,Si26,Si38,SiCl3、等
が、窒素源としてはN2,NH3,N2O,ピリジン等が
使用される。これら原料ガスからのSi34膜の形成方
法としては成膜活性種が直流、低周波、高周波、あるい
はマイクロ波等を用いたプラズマ法により生成されるプ
ラズマ状態を経て形成される方法が好ましいが、大面積
化、均一向上、成膜温度の低温化等の目的で磁場効果を
も併用した方法(ECRプラズマCVD法等)が好適で
ある。その他にも真空蒸着法,イオンプレーティング
法,ECRスパッタリング法等に代表されるスパッタリ
ング法,CVD法,ゾルゲル法,熱酸化法,更には、そ
れら成膜法を組み合わせた方法で形成しても良い。
【0069】また、本発明では、誘電絶縁層25を形成
する材質として、振動板5と電極21との接触等による
短絡を防ぐために電気的な絶縁性を有し、且つ、陽極接
合時において400℃程度の熱に耐える必要性があるこ
とから、絶縁性と耐熱性に優れた酸化膜(例えば、Al
23,BeO,SiO,SiO2,TiO2,Ta25
HfO2,PbO,MgO,Nb25,Y23,Zr
3,BaTiO3,LiNbO3,PbTiO3,PZ
T,PLZT,PLT,Bi4Ti32)、及び窒化膜
(例えば、AlN,BN,Si34)の使用が好適であ
る。中でも化学量論比に近いAl23膜やSi34
は、比較的熱による抵抗値変化が少なく、耐絶縁性にも
優れ、安定した膜であるため、その使用は最適である。
また、より誘電率の大きい膜として、TiO2,BaT
iO3,PbTiO3,PZT,PLZT,PLT,Bi
4Ti32等の酸化チタン系のセラミック膜の使用は、
よりヘッドの駆動電圧を低下させることができるため好
適である。
【0070】以上のようにして、電極パターン21が形
成された基板2上の全面に誘電絶縁層25を成膜形成し
た後、さらに振動板5の短辺方向へ誘電絶縁層25の厚
みを変化させるための耐エッチング用マスク材61とし
て、厚さ3000ÅのAl膜を誘電絶縁層25上に全面
成膜形成し、さらに振動板5に対向する電極21部に相
当する部分のみにそのAlマスク61の厚さを変化させ
るようにAlマスク61上にポジティブなフォトレジス
ト72(例えばAZ1350B、OFPR−800等)
を片面全面に塗布し、85〜90℃程度の温度でプリベ
ークして固化させる(図10(H))。
【0071】次に、振動板5に対向する電極21部に相
当する部分のみのAlマスク61の厚みが変化するよう
に、その電極21部に相当する部分の幅に応じて開口幅
が連続的に変化した露光用マスク81と紫外線80を利
用して露光の際の光強度が連続的に変化するようにフォ
トレジスト72へ向けてマスク露光を行い(図10
(I))、その光強度に応じて露光されたフォトレジス
トの現像を行うことにより、図10(J)に示すような
フォトレジストパターン73を形成することができる。
そして、その形成したフォトレジストパターン73を1
30〜140℃程度の温度でポストベークを行い十分固
化させた後、そのフォトレジストパターン73をマスク
材として反応性イオンエッチング(RIE)を利用し、
AlのエッチャントでAlマスク61のエッチングを行
うことにより図10(K)のような形状のAlマスク6
1を形成することができる。そして、次にそのパターン
形成されたAlマスク61を利用し、誘電絶縁層25
(Si34膜)のエッチャントで数分間RIEエッチン
グを行い、さらに残留したAlマスク61を再度、Al
のエッチャントでRIEエッチングにより全面除去する
ことにより、図10(L)のような形状をした誘電絶縁
層25を得ることができる。
【0072】ここで、反応性イオンエッチング(RI
E)とは、ドライエッチングプロセスの一種であり、ド
ライエッチングプロセスとは、気相中の活性種の物理
的、化学的作用によって基板材料をエッチングする技術
である。一般に、ドライエッチングプロセスは、ウェッ
トエッチングプロセスに比較して、微細加工性、制御性
に優れているほか、製造工程の簡略化、自動化が容易で
あり、廃液処理が不用であるため公害への影響が少ない
といったような特長を有するプロセスであるため、本構
成のような複雑な基板形状のものを形成して、量産する
のに有効な製造方法である。
【0073】また、ドライエッチングプロセスは、活性
種の供給方法によって、プラズマエッチング、光エッチ
ング、イオンビームエッチング、分子ビームエッチング
などに大別されるが、中でもエッチング性能を総合的に
満足する方法として、プラズマエッチングは好適であ
る。プラズマエッチングは、イオンの運動エネルギーあ
るいはラジカルや励起分子の反応活性を利用したエッチ
ングであり、少なくとも化学反応を利用しているため、
下地基板との選択性もあり、放射線損傷も少ないエッチ
ングである。その中でも、特に、反応性イオンエッチン
グ(RIE)は、物理的エッチングと化学的エッチング
のそれぞれの特徴であるエッチングの異方性と選択性を
合わせ持つエッチング技術であり、エッチングの方向
性,下地やレジストとの選択性,エッチング速度,エッ
チング形状,エッチングの均一性,下地の損傷性,汚染
性など総合的にみて優れているという点で好適である。
【0074】以上のようにして、図10(L)のような
形状をした誘電絶縁層25を得た後、また、フォトレジ
ストとAl膜を利用して、図10(M)に示すように、
振動板5に対向する電極21部に相当する部分のみにA
lマスクパターン61を形成し、最後にまた、誘電絶縁
層25のエッチャントとAlのエッチャントでRIEエ
ッチングを施し、誘電絶縁層25の不要な部分を除去す
ることにより(図10(N))、図1や図2(A)に示
したような振動板5の短辺方向へ厚みが変化した誘電絶
縁層25が配置された第2基板2(電極基板)を形成し
得ることができる。
【0075】ここで、本実施例ではそのギャップとなる
凹(段)部の深さを0.5μm、その短辺幅を500μ
m、長さを15mmとし、また、その1つの金電極の形
状パターンの厚みを0.2μm、短辺幅を400μm、
長さを14mmとして、第2基板の凹(段)部内に金電
極パターンを形成した。また、誘電絶縁層であるSi 3
4膜の最も厚い部分の厚みを0.25μm、最も薄い
部分の厚みを0.05μmとし、その短辺幅を450μ
m、長さを10mmとして作製した。
【0076】上記のようにして作製した第1基板1、第
2基板2とのアライメントを行い、陽極接合法により、
基板1と2の接合を行った。その際の接合条件は、空気
中大気圧において、接合電圧−500V、接合温度40
0℃、接合時間10分間にて行い、接合電極としてPt
を利用し、接合を行った。その結果、図2(A)に示し
たように振動板5と電極21との間で振動板5の短辺方
向に沿って0.05μm程度の非常に微少な空隙を有す
る部分と0.25μm程度の広い空隙を有する部分が形
成され、振動板5と電極21との間に電圧を印加するこ
とにより、振動板5と電極21との間で非平行な電界を
形成することができた。
【0077】また、図1に示したように、第1基板1の
上側にステンレス製の第3基板3をエポキシ系接着剤に
て接合し、発振回路102等を接続して電極21にパル
ス電圧を印加して印字試験を行った。その結果、従来、
インクジェットヘッドを駆動して良好な印字品質を得る
のに100V以上のパルス電圧を必要としていたのに対
し、本発明のインクジェットヘッドでは、30V程度の
パルス電圧駆動で従来と同等以上の印字品質が得られ、
また、電極と振動板との短絡等によるヘッド破壊が非常
に減少したため、ヘッドの歩留まりと信頼性が従来に対
し20%以上も向上し、印字品質にバラツキの少ない常
に安定した画像を得ることが可能となった。
【0078】さらに、また、前記誘電絶縁層25の材質
をSi34膜からより誘電率の高いBaTiO3膜に変
更して前記と同様の作製方法にて図1に示したような第
2基板2を作製した。そして、前記と同様にして、第1
基板1とアライメントを行い、陽極接合法で前記と同様
の条件にて基板接合を行った。その結果、振動板5と電
極21との間で非平行な電界が形成され、また、同じ駆
動電圧で振動板5に生じる静電吸引力Pが約1000倍
大きくなった。また、前記と同様に、発振回路102等
を接続し、電極21にパルス電圧を印加して、印字試験
を行った結果、図2(A)に示したインクジェットヘッ
ドを駆動して良好な印字品質を得るのに駆動電圧として
30V程度のパルス電圧を必要としていたのに対し、本
構成のインクジェットヘッドでは、10V程度のパルス
電圧駆動で図2(A)のヘッドと同等以上の印字品質が
得られ、より低電圧で安定した印字品質が得られるよう
になった。
【0079】
【発明の効果】(1)請求項1〜3に対応する作用効果 請求項1〜3記載の発明によれば、従来の静電気力型イ
ンクジェットヘッドに比較してより低電圧で駆動するこ
とができ、かつ安定したインク吐出が可能となるため、
より安価で印字品質の安定したインクジェットヘッドを
提供することができる。
【0080】(2)請求項4〜5に対応する作用効果 請求項4〜5記載の発明によれば、従来のインクジェッ
トヘッドに比較して、更に、より低電圧で駆動すること
ができ、かつより安定したインク吐出が可能となるた
め、更に、より安価で印字品質の安定したインクジェッ
トヘッドを提供することができる。
【0081】(3)請求項6に対応する作用効果 請求項6記載の発明によれば、より確実に低電圧で駆動
することができ、かつ安定したインク吐出が可能とな
り、また、安定してヘッドを作製することができるの
で、ヘッドの歩留まりが向上し、印字品質の安定したよ
り安価なインクジェットヘッドを提供することができ
る。
【0082】(4)請求項7に対応する作用効果 請求項7記載の発明によれば、静電気力型インクジェッ
トヘッドのノズルを高密度に配列して、ヘッドを小型化
することが可能となり、また、より安定したインク吐出
が確保できるため、より印字品質の優れた高画質画像が
得られるインクジェットヘッドを提供することができ
る。
【0083】(5)請求項8〜10に対応する作用効果 請求項8〜10記載の発明によれば、インクジェットヘ
ッドのインク滴吐出量を大きく変化させて、印字品質を
制御することが可能となるため、より階調性に富んだ印
字品質の優れた画像が得られるインクジェットヘッドを
提供することができる。
【0084】(6)請求項11,13に対応する作用効
果 請求項11,13記載の発明によれば、より確実に安定
して低電圧で駆動することができ、かつ安定したインク
吐出が可能となるため、より信頼性の向上したインクジ
ェットヘッドが提供される。
【0085】(7)請求項12に対応する作用効果 請求項12記載の発明によれば、振動板と電極との間に
安定して高誘電物質を介在させることができるため、更
に、より低電圧で安定したインク吐出が可能なインクジ
ェットヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の概念を示す全体構成と動作を
説明するための一部を断面で示す斜視図である。
【図2】 図1のII−II線で切断した時の断面図で、図
2(A),図2(B)はそれぞれ異なる実施例を示す図
である。
【図3】 誘電絶縁層の厚みが変化するように設けた例
を示す振動板長辺方向のヘッド断面図である。
【図4】 振動板の短辺方向に沿って誘電絶縁層の厚み
が変化するように配置した例を示す図である。
【図5】 振動板の長辺方向に沿って誘電絶縁層の厚み
が変化するように配置され、かつ、誘電絶縁層の一部が
振動板の表面側に接触した状態で設けられている例を示
す振動板長辺方向のヘッド断面図である。
【図6】 振動板の短辺方向に沿って誘電絶縁層の厚み
を振動板と電極との間の空隙距離よりも厚くした部分と
そうでない部分とに厚みを変化させて配置した例を示す
振動板短辺方向のヘッド断面図である。
【図7】 振動板に対向する電極表面上に誘電絶縁層の
一部が振動板の表面側に接触した状態で振動板の短辺方
向に沿って誘電絶縁層の厚みが変化するように配置さ
れ、また、電極が複数に分割されて配置される例を示す
振動板短辺方向のヘッド断面図である。
【図8】 本発明におけるインクジェットヘッドのイン
ク吐出室基板(第1の基板)の製造工程図である。
【図9】 図8に示したインク吐出室の作成例を説明す
るための図である。
【図10】 電極基板(第2の基板)の製造工程を示す
図である。
【図11】 従来の静電気力型記録インクジェットヘッ
ド全体の分解斜視図である。
【図12】 従来のヘッドの一部を取り出しギャップ部
を拡大して示す斜視図である。
【図13】 図12のXIII−XIII線で切断した時の断面
図である。
【図14】 従来の静電気力型インクジェットヘッドの
他の例を説明するための要部断面図である。
【図15】 従来の静電気力型インクジェットヘッド
の更に他の例を説明するための要部断面図である。
【符号の説明】
1…中間の第1の基板(インク吐出室基板)、2…下側
の第2の基板(電極基板)、3…上側の第3の基板(ノ
ズル基板)、4…ノズル溝、5…振動板、6…インク吐
出室、7…インク流入溝、8…共通インク室、9…振動
室、10,G…ギャップ、21,21a,21b…電
極、25…誘電絶縁層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C057 AF37 AF39 AF55 AF93 AG12 AG32 AG39 AG43 AG54 AG55 AG99 AM03 AM15 AM18 AP02 AP14 AP25 AP28 AP32 AP33 AP34 AP43 AP52 AP53 AP54 AP56 AQ02 BA03 BA15 CA01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するためのノズルと、該ノ
    ズルに連通するインク流路と、該流路の一部に設けられ
    た振動板と、該振動板に対向して設けられた電極とを有
    し、前記振動板と前記電極との間に生じる静電気力を利
    用して前記振動板を変形させ、前記ノズルからインク液
    滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記振動
    板と前記電極との間に誘電絶縁層を有し、該誘電絶縁層
    によって前記振動板と前記電極との間に非平行な電界を
    発生させることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 前記誘電絶縁層の厚みを変化させたこと
    を特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 前記誘電絶縁層を前記電極に対向する振
    動板の表面側、あるいは前記振動板に対向する電極の表
    面側に設けたことを特徴とする請求項1記載のインクジ
    ェットヘッド。
  4. 【請求項4】 インク液滴の吐出時に、前記電極側に設
    けられた前記誘電絶縁層の少なくとも一部を前記電極に
    対向する前記振動板の表面側に接触させた状態、あるい
    は前記振動板側に設けられた前記誘電絶縁層の少なくと
    も一部を前記振動板に対向する前記電極の表面側に接触
    させた状態とすることを特徴とする請求項3記載のイン
    クジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 前記電極側に設けられた前記誘電絶縁層
    の少なくとも一部を前記電極に対向する前記振動板の表
    面側に接触させた状態から、あるいは前記振動板側に設
    けられた前記誘電絶縁層の少なくとも一部を前記振動板
    に対向する前記電極の表面側に接触させた状態からイン
    ク液滴の吐出を行うことを特徴とする請求項3記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 前記誘電絶縁層の厚みを前記振動板と前
    記電極との間の空隙距離よりも厚くした部分を設けて該
    誘電絶縁層の厚みを変化させたことを特徴とする請求項
    2又は請求項5記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 前記誘電絶縁層の厚みを前記振動板の長
    て方向へ変化させたことを特徴とする請求項2記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】 複数に分割して構成の前記電極と、前記
    振動板との間に前記誘電絶縁層を介在させたことを特徴
    とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  9. 【請求項9】 前記複数に分割して構成した電極の各々
    に独立した駆動電圧信号を印加することを特徴とする請
    求項8記載のインクジェットヘッド。
  10. 【請求項10】 前記誘電絶縁層によって前記振動板と
    前記電極との間に非平行な電界を発生させる駆動電圧信
    号の電圧の大きさを変化させることを特徴とする請求項
    1記載のインクジェットヘッド。
  11. 【請求項11】 前記誘電絶縁層が酸化膜、及び窒化膜
    であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット
    ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記酸化膜が酸化チタン系のセラミッ
    ク膜であることを特徴とする請求項11記載のインクジ
    ェットヘッド。
  13. 【請求項13】 前記誘電絶縁層が真空蒸着法,イオン
    プレーティング法,スパッタリング法,CVD法,ゾル
    ゲル法,又は、熱酸化法を利用して形成されていること
    を特徴とする請求項11記載のインクジェットヘッド。
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