JP2011126931A - 分散液および感熱記録材料 - Google Patents

分散液および感熱記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 分散効率に優れ、かつ液カブリが少なく、分散安定性、保存安定性に優れる分散液を調製し、発色感度および地肌の白色度に優れた感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】 ポリオキシアルキレン基を側鎖に有するビニルアルコール系重合体を含有する分散液。ここで該ビニルアルコール系重合体は、粘度平均重合度Pが100〜1000であり、けん化度が40〜99.9モル%であり、ポリオキシアルキレン変性量Sが0.1〜5.0モル%である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、分散粒子の粒子径が小さく、かつ液カブリが少なく、分散安定性、保存安定性に優れる分散液、および、それを用いて作成される、発色感度および地肌の白色度に優れた感熱記録材料に関する。
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野において各種の記録材料が研究・開発され実用化されている。中でも感熱記録材料は、(1)加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能なこと、(2)必要な装置のメカニズムが簡単でコンパクト化が容易であり、記録材料が取り扱いやすく安価であること、等の利点を有するので、情報処理分野(卓上計算機、コンピュータ等のアウトプット)、医療計測用レコーダ分野、低・高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野、P0Sシステムのラベル分野等多岐にわたり用いられている。
感熱記録材料の製造工程において、感熱染料や顕色剤を含有する分散液が調製されるが、感熱記録材料を高感度化するさらなる手段として、ロイコ染料を微粒子化する種々の提案がなされてきた。例えば、感熱染料等の分散剤として、スルホン酸基を有するポリビニルアルコールを用いること(特許文献1)、カルボキシル基を有するポリビニルアルコールを用いること(特許文献2)、カルボキシル基を有するポリビニルアルコールとオレフィン・マレイン酸共重合体の樹脂組成物を用いること(特許文献3)等が提案されている。また、白色度や耐湿地肌カブリの改善を目的に、ウレタンウレア化合物分散体および染料前駆体の分散体を40℃以上で3時間以上の熱処理を行うこと(特許文献4)が提案されている。
しかしながら、これら従来の提案には、幾つかの問題点が残されている。例えば、染料を含む分散液においては、染料粒子が小さくなるほど分散液の液カブリが激しくなること(液カブリとは、染料粒子が小さくなるにつれて、分散液が黒ずんでくる現象をさす)、得られた分散液の放置粘度安定性が十分でなく経時増粘しやすいこと、白色度や耐湿地肌カブリの改善を目的に分散液を加熱処理すると分散状態が不安定となり、再凝集や粘度増加・ゲル化が生じること等である。すなわち、従来技術においては、分散粒子径が小さく、液カブリが少なく、分散液を加温した場合の分散液の分散安定性、保存安定性に優れる分散液は得られていなかった。
特開昭58−179691号公報 特開平8−48076号公報 特開平11−321103号公報 特開2004−359802号公報
本発明は、分散効率に優れ、かつ液カブリが少なく、加温した場合の分散液の分散安定性、保存安定性に優れる分散液を提供すること、および、発色感度および地肌の白色度に優れた感熱記録材料を提供することを目的とする。
上記課題は、ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体(以下、POA変性PVAと略することがある)を含有する分散液であって、該変性PVAは、下記一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基(以下、POA基と略することがある)を側鎖に含有し、粘度平均重合度Pが100〜1000であり、けん化度が40〜99.9モル%であり、ポリオキシアルキレン変性量S(以下、POA変性量Sと略することがある)が0.1〜5.0モル%である分散液を提供することにより解決される。
Figure 2011126931

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、0≦m≦10、1≦n≦14である。)
上記分散液は、さらに染料または顕色剤を含有することが好ましい。
本発明はさらに、上記の分散液を基材に塗工してなる塗工物をも包含する。
本発明はさらに、POA変性PVA、染料、顕色剤および増感剤を含有する塗工液であって、該変性PVAは、上記一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有し、粘度平均重合度Pが100〜1000であり、けん化度が40〜99.9モル%であり、POA変性量Sが0.1〜5.0モル%である塗工液をも包含する。
本発明はさらに、上記の塗工液を基材に塗工する工程を含む、感熱記録材料の製法をも包含する。
本発明はさらに、基材の上に、POA変性PVA、染料、顕色剤および増感剤を含有する層を有する感熱記録材料であって、該変性PVAは、上記一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有し、粘度平均重合度Pが100〜1000であり、けん化度が40〜99.9モル%であり、POA変性量Sが0.1〜5.0モル%である感熱記録材料をも包含する。
本発明の分散液は、POA変性PVAを用いることで、染料(電子供与性無色染料)、顕色剤(電子受容性化合物)、増感剤等を効率よく分散でき、白色度、分散安定性および保存安定性に優れる。さらにその分散液を使用して作製した感熱記録材料は、発色感度および地肌の白色度に優れる。
本発明の分散液に含有されるPOA変性PVAは、下記一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に有する。
Figure 2011126931

式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、0≦m≦10、1≦n≦14である。ここで、繰り返し単位数がmであるユニットをユニット1と呼び、繰り返し単位数がnであるユニットをユニット2と呼ぶことにする。ユニット1とユニット2の配置は、ランダム状、ブロック状のどちらの形態になっても良い。
一般式(I)で示されるPOA基のユニット1の繰り返し単位数mは0≦m≦10である必要があり、0≦m≦5がより好ましく、0≦m≦2が特に好ましい。また、ユニット2の繰り返し単位数nは1≦n≦14である必要があり、1≦n≦10が好ましく、1≦n≦5が特に好ましい。nが14を超える場合、POA変性PVAの分散剤としての性能が低下する場合がある。
本発明の分散液に含有されるPOA変性PVAは、上記一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有していればよく、前記POA変性PVAを製造する方法は特に制限されないが、一般式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行い、得られたPOA変性ビニルエステル系共重合体をけん化する方法が好ましい。ここで、上記の共重合はアルコール系溶媒中または無溶媒で行うことが好適である。
一般式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体としては、下記一般式(II)で示される不飽和単量体であることが好ましい。
Figure 2011126931

式中、R1、R2、m、nは上記一般式(I)と同様である。R3は水素原子または−COOM基を表し、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。R4は水素原子、メチル基または−CH−COOM基を表し、ここでMは前記定義のとおりである。Xは−O−、−CH−O−、−CO−、−(CH−、−CO−O−または−CO−NR5−を表す。ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を意味し、kはメチレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦k≦15である。
一般式(II)で示される不飽和単量体のR2としては水素原子、メチル基またはブチル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。さらに、一般式(II)で示される不飽和単量体のR1が水素原子またはメチル基であり、R2が水素原子またはメチル基であり、R3が水素原子であることが特に好ましい。
例えば、一般式(II)のR1が水素原子またはメチル基、R2が水素原子、R3が水素原子の場合、一般式(II)で示される不飽和単量体として具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノメタクリレート、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンモノビニルエーテル等が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルが好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルが特に好適に用いられる。
一般式(II)のR2が炭素数1〜8のアルキル基の場合、一般式(II)で示される不飽和単量体として具体的には、上記の一般式(II)のR2が水素原子の場合に例示した不飽和単量体の末端のOH基が炭素数1〜8のアルコキシ基に置換されたものが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルの末端のOH基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミドの末端のOH基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が特に好適に用いられる。
一般式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行う際に採用される温度は0〜200℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。共重合を行う温度が0℃より低い場合は、十分な重合速度が得られにくい。また、重合を行う温度が200℃より高い場合、本発明で規定するPOA変性量を有するPOA変性PVAを得られにくい。共重合を行う際に採用される温度を0〜200℃に制御する方法としては、例えば、重合速度を制御することで、重合により生成する発熱と反応器の表面からの放熱とのバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法等が挙げられるが、安全性の面からは後者の方法が好ましい。
一般式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を行うのに用いられる重合方式としては、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよい。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知の任意の方法を用いることができる。その中でも、無溶媒またはアルコール系溶媒中で重合を行う塊状重合法や溶液重合法が好適に採用され、高重合度の共重合物の製造を目的とする場合は乳化重合法が採用される。アルコール系溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。またこれらの溶媒は2種類またはそれ以上の種類を混合して用いることができる。
共重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等が適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等が挙げられる。さらには、上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を組み合わせて開始剤とすることもできる。また、レドックス系開始剤としては、上記の過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
また、一般式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合を高い温度で行った場合、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色等が見られることがあるため、その場合には着色防止の目的で重合系に酒石酸のような酸化防止剤を1〜100ppm(ビニルエステル系単量体に対して)程度添加することはなんら差し支えない。
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられるが、中でも酢酸ビニルが最も好ましい。
一般式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合に際して、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体を共重合しても差し支えない。使用しうる単量体として、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパン等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
また、一般式(I)で示されるPOA基を有する不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合に際し、得られる共重合体の重合度を調節すること等を目的として、本発明の主旨を損なわない範囲で連鎖移動剤の存在下で共重合を行っても差し支えない。連鎖移動剤としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ホスフィン酸ナトリウム1水和物等のホスフィン酸塩類が挙げられ、中でもアルデヒド類およびケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数および目的とするビニルエステル系重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル系単量体に対して0.1〜10重量%が望ましい。
POA変性ビニルエステル系共重合体のけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒またはP−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いた加アルコール分解反応ないし加水分解反応を適用することができる。この反応に使用しうる溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもメタノールまたはメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒に用いてけん化反応を行うのが簡便であり好ましい。
本発明の分散液に含有されるPOA変性PVAはPOA変性量Sが0.1〜5.0モル%である必要がある。POA変性量Sが5.0モル%を超えると、POA変性PVA一分子あたりに含まれる疎水基の割合が高くなり、該PVAの水溶性が低下する場合がある。一方、POA変性量Sが0.1モル%未満の場合、POA変性PVAの水溶性は優れているものの、該PVA中に含まれるPOAユニットの数が少なく、POA変性に基づく物性が発現しない場合がある。
POA変性量Sとは、PVAの主鎖メチレン基に対するPOA基のモル分率で表される。POA変性量Sの下限は0.1モル%以上であり、0.2モル%以上が好ましい。POA変性量Sの上限は2.0モル%未満が好ましく、1.5モル%以下がより好ましい。
POA変性PVAのPOA変性量Sは、該POA変性PVAの前駆体であるPOA変性ビニルエステルのプロトンNMRから求めることができる。具体的には、n−ヘキサン/アセトンでPOA変性ビニルエステルの再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で乾燥を2日間行い、分析用のPOA変性ビニルエステルのサンプルを作成する。該サンプルをCDClに溶解させ、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて室温で測定する。ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピークα(4.7〜5.2ppm)とユニット2の末端メチル基に由来するピークβ(0.8〜1.0ppm)から下記式を用いてPOA変性量Sを算出する。なお、式中のnはユニット2の繰り返し単位数を表す。

S(モル%)={(βのプロトン数/3n)/(αのプロトン数+(βのプロトン数/3n))}×100
POA変性PVAの粘度平均重合度Pは、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、該PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求められる。なお、粘度平均重合度を単に重合度と呼ぶことがある。

P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
本発明の分散液に含有されるPOA変性PVAの重合度は100〜1000であり、100〜500が好ましく、100〜300がより好ましい。重合度が1000を超えると、得られる分散液の粘度が上昇する場合があり、重合度が100未満の場合、得られる分散液の分散安定性が低い場合がある。
POA変性PVAのけん化度は、40〜99.9モル%である必要があり、60〜98モル%が好ましく、75〜90モル%が特に好ましい。けん化度が40モル%未満の場合には、得られる分散液の安定性が低下する場合があり、けん化度が99.9モル%を超えると、POA変性PVAの生産が困難になるので実用的でない。なお、上記POA変性PVAのけん化度は、JIS−K6726に準じて測定し得られる値である。
本発明の分散液は、上記のPOA変性PVAを分散剤とし、染料(電子供与性無色染料)、顕色剤(電子受容性化合物)、増感剤等の種々の薬剤を分散質とする。このときの分散媒としては、水が主として用いられる。
染料としては、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いられるものであれば得に制限はない。具体的な例を挙げれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド等のトリアリールメタン系化合物;4,4´−ビスジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系化合物;ローダミンB−アニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシル−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチル)アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピル)アミノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等のキサンテン系化合物;ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系化合物;3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスルピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン等のスピロ系化合物等があり、これらは単独でまたは2種以上の混合物として用いられる。これらの染料は、後述する感熱記録材料の用途により適宜選択して使用される。
顕色剤としては、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いられるものであれば得に制限はないが、フェノール類、芳香族カルボン酸誘導体が好ましく、特にビスフェノール類が好ましい。具体的な例を挙げれば、p−オクチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール等のフェノール類;1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビスフェノール類;さらにはジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。芳香族カルボン酸誘導体としては、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、上記のカルボン酸の多価金属塩等が挙げられる。
増感剤としては、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いられるものであれば得に制限はなく、例えば、ベンジル−2−ナフチルエーテル、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1、2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、、m−ターフェニル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、イソフタル酸ジブチルエステル、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン等が使用できる。
また、上記の分散液に用いる分散剤として、POA変性PVAに加えて、一般の感圧記録材料または感熱記録材料に用いられるものを使用することに問題はない。具体的な例を挙げれば、ポリビニルアルコール類、カルボン酸変性ポリビニルアルコール類、スルホン酸変性ポリビニルアルコール類、スルホン化セルロース類、スルホン化澱粉類、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸類、エチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、ビニルアセテート−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、高級アルコールの硫酸エステル塩類、アルキルポリエーテルの硫酸エステル塩類、アルキルスルホン酸類、アリールスルホン酸塩類、リン酸エステル類、脂肪族リン酸エステル類、芳香族リン酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアリール硫酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル類、ジアルキルスルホコハク酸エステル類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル類等がある。
染料分散液に含まれる分散剤は、通常染料100重量部に対して5〜50重量部使用することが好ましく、8〜30重量部がより好ましく、10〜20重量部がさらに好ましい。分散剤の含有量が5重量部未満の場合は染料の分散状態が悪く、得られる感熱記録材料の感度および画像保存性が低下する場合があり、分散剤の含有量が50重量部以上の場合は、分散液の粘度が高くなり、感熱記録材料の品質が低下する場合がある。
顕色剤分散液に含まれる分散剤は、通常顕色剤100重量部に対して5〜50重量部使用することが好ましく、8〜30重量部がより好ましく、10〜20重量部がさらに好ましい。分散剤の含有量が5重量部未満の場合は顕色剤の分散状態が悪く、得られる感熱記録材料の感度および画像保存性が低下する場合があり、分散剤の含有量が50重量部以上の場合は、分散液の粘度が高くなり、感熱記録材料の品質が低下する場合がある。
増感剤分散液に含まれる分散剤は、通常増感剤100重量部に対して5〜50重量部使用することが好ましく、8〜30重量部がより好ましく、10〜20重量部がさらに好ましい。分散剤の含有量が5重量部未満の場合は増感剤の分散状態が悪く、得られる感熱記録材料の感度および画像保存性が低下する場合があり、分散剤の含有量が50重量部以上の場合は、分散液の粘度が高くなり、感熱記録材料の品質が低下する場合がある。
染料、顕色剤または増感剤の分散には、通常ボールミル、アトライター、サンドミル、SCミル、リングミル、スパイクミル、コボールミル、ダイノウミル等が使用できる。前記の分散剤を用いて、粒子径0.1〜1μm(好ましくは0.2〜0.7μm、さらに好ましくは0.3〜0.5μm)の染料、顕色剤または増感剤を分散質とする分散液が得られる。
上記の分散液を基材に塗工することにより、本発明の塗工物が得られる。基材としては特に制限はなく、例えば紙、合成繊維紙、合成樹脂フィルム等を適宜使用することができる。そのなかでも一般的には紙を用いることが好ましい。
本発明の別の態様は、上記のPOA変性PVA、染料、顕色剤および増感剤を含有する塗工液である。この塗工液を基材に塗布して乾燥することにより、基材の上に、POA変性PVA、染料、顕色剤および増感剤を含有する層(感熱発色層)を有する感熱記録材料が得られる。
本発明においては、上記感熱発色層が水性バインダーを含有するのが好ましい。水性バインダーとしては特に限定されるものではなく、公知のものが全て使用可能であるが、染料、顕色剤および増感剤の各分散液と混合した時に、液が発色したり、凝集したりあるいは高粘度化しないようなものであることが好ましい。その具体例としては、澱粉およびその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン;スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス等が挙げられる。水性バインダーの好ましい添加量は、染料、顕色剤および増感剤の合計量100重量部に対して1〜20重量部である。
上記感熱発色層においては、染料、顕色剤および増感剤の他に、塗工適性の改善、白色度、発色感度、分散性等をさらに改良するために、フィラー、界面活性剤、熱可溶性物質(または滑剤)、消泡剤、分散剤、湿潤剤、圧力発色防止剤等を併用することができる。本発明において、感熱発色層を形成する方法としては、エアーナイフ法、プレート法、グラビア法、ロールコータ法、スプレー法、ディップ法、バー法、エクストルージョン法等の公知塗布方法が利用可能である。
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明する。以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を意味する。
<PVAの製造方法>
製造例1(PVA1の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口および開始剤の添加口を備えた6Lの反応器に、酢酸ビニル750g、メタノール2250g、POA基を有する不飽和単量体(単量体A)2.83gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてPOA基を有する不飽和単量体(単量体A)をメタノールに溶解して濃度20%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.2gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルと単量体Aの比率)が一定となるようにしながら、60℃で5時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたコモノマー溶液の総量は132mlであった。また重合停止時の固形分濃度は17.9%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、POA変性ビニルエステル系共重合体(POA変性PVAc)のメタノール溶液(濃度50%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPOA変性PVAcのメタノール溶液244.8g(溶液中のPOA変性PVAc100.0g)に、4.19gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のPOA変性PVAc濃度40%、POA変性PVAc中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.009)。アルカリ溶液を添加後約32分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて室温で3時間放置、洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を、乾燥機中65℃で2日間放置してPOA変性PVA(PVA1)を得た。PVA1の重合度は250、けん化度は88.0モル%、POA変性量は1.0モル%であった。
製造例2〜20(PVA2〜20の製造)
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、重合時に使用するPOA基を有する不飽和単量体の種類(表2)や添加量等の重合条件、けん化時におけるPOA変性PVAcの濃度、酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表2に示すように変更した以外は、製造例1と同様の方法により各種のPOA変性PVA(PVA2〜20)を製造した。
PVA1〜20の製造結果を表1および表2に示す。
(1)染料分散液の作製と評価
染料分散液の作製(濃度35%)

ロイコ染料(山本化成株式会社製、商品名:ODB−2) 100部
POA変性PVA1 10部
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 0.2部
(エアプロダクツ製、商品名:サーフィノール104E)
蒸留水 204部

上記染料、PVA1、サーフィノール104Eおよび蒸留水を60分間ビーカーで予備攪拌を行った後、ビーズミル(AIMEX製社製、Ready−mill type NVM−03型)に移し、ガラスビーズ(直径0.5mmのソーダ石英ガラス)を加え(充填率82%)、吐出量55cc/分、高回転数(3400rpm)、冷却下にて30分間かけて分散させた(8パス)。
次に得られた染料分散液の物性を下記の方法により評価した。
染料分散液の粒子径:分散終了後の粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津株式会社製、型式:SALD−2200)により測定したところ、平均粒子径が0.38μmであったため、下記基準を用いてランク5と判定した。

5−〜0.4μm
4−0.4〜0.5μm
3−0.5〜0.7μm
2−0.7〜1.0μm
1−1.0μm〜

染料分散液の溶液粘度:分散終了後の染料分散液粘度をTOKIMEC INC.製B型粘度計を用いてロータ回転数60rpm、温度20℃における粘度を測定したところ、48mPa・sであったため、下記基準を用いてランク5と判定した。

5−〜50mPa・s
4−50〜100mPa・s
3−100〜400mPa・s
2−400〜700mPa・s
1−700mPa・s〜

染料分散溶液の白色度:分散終了後、約1時間経過した染料分散溶液を市販感熱紙(コクヨ製;タイ−2010)に手塗り塗工した(塗布量は約5g/m2)。この塗工紙のISO白色度をPF−10(日本電色製)にて測定したところ、白色度83であったため、下記基準を用いてランク5と判定した。

5−82〜
4−79〜82
3−75〜79
2−72〜75
1−〜72
(2)顕色剤分散液および増感剤分散液の作製とその評価
顕色剤分散液の作製(濃度50%)

ビスフェノールS(日本曹達株式会社製、商品名:D−8) 100部
POA変性PVA1 10部
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 0.2部
(エアプロダクツ製、商品名:サーフィノール104E)
蒸留水 210部
増感剤分散液の作製(濃度40%)
ベンジル−2−ナフチルエーテル 100部
POA変性PVA1 10部
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 0.2部
(エアプロダクツ製、商品名:サーフィノール104E)
蒸留水 165部

上記染料分散液と類似の条件下、顕色剤分散液、増感剤分散液を作製し、その粒子径測定を実施した結果、顕色剤分散液の粒子径は0.6μm、増感剤分散液の粒子径は0.5μmであった。
(3)感熱記録材料の作製とその評価
感熱記録紙の作製
染料分散液50部、顕色剤分散液120部、増感剤分散液75部(固形分換算)を混合攪拌した後に、原紙(坪量:60g/mの上質紙)の表面に、MayerBarを用いて、上記塗工液を3g/m(固形分換算)塗工した後、ドライヤーを用いて乾燥させ、さらにスーパーカレンダー(線圧:30kg/cm)にて表面処理することにより、感熱記録紙を製造した。
得られた感熱記録紙の性能を下記の方法により評価した。
感熱記録紙の発色感度測定:熱傾斜試験機(東洋精機製作所製 TYPE HG−100、プレス圧力0.6Kg/cm、プレス時間5秒、プレス温度120℃)を用いて発色試験を実施し、その発色濃度を測定(GretagMacbeth反射濃度計 RD−19)したところ、1.27であったため、下記基準を用いてランク5と判定した。

5−1.25〜
4−1.20〜1.25
3−1.10〜1.20
2−1.00〜1.10
1−〜1.00

感熱記録紙の総合評価:上記4つの評価項目について感熱紙の性能に影響の大きい物性に対して下記式のように傾斜配点を行い、感熱紙としての総合評価を実施し、その評価結果をPVAの性能評価としたところ、PVA1を用いた感熱紙は50点となった。尚この得点が30点以上のものを合格、30点未満のものを不合格品と判定した。

総合評価=分散粒子径点数+塗工液粘度点数×2+染料分散液白色度点数+感熱紙発色感度点数×5
実施例2〜13および比較例1〜7
PVA2〜20について、実施例1と同様の方法により感熱記録紙を作製し、上記の評価を実施した結果を表1に示す。本発明の分散液を用いた場合、感熱記録紙の評価得点が30点以上となる。一方PVAの重合度が高い場合、分散液の粘度が高くなり、効率よく分散できないため、分散粒子径が大きくなり感熱記録紙の発色感度が低下する(比較例1)。また、PVAの重合度が低い場合、けん化度が低い場合、ユニット2を含まない場合は、分散効率が低く分散粒子径が大きいため感熱記録紙の発色感度が低い(比較例2、3、7)。POA変性量Sが多い場合、少ない場合や、ユニット2の繰り返し単位数nが大きい場合は、塗工液の粘度が高いことや染料分散液の白色度が低いこと等の影響で感熱記録紙としての性能が低い(比較例4〜6)。
Figure 2011126931
Figure 2011126931
本発明の分散液は、POA変性PVAを用いることで、分散粒子の粒子径が小さく、かつ液カブリが少なく、保存安定性に優れる。また、前記分散液から得られる感熱記録材料は、発色感度および地肌の白色度のみならず、高速印字性および画像の解像度にも優れており、その特性を活かしてファクシミリ等の高速印字が必要な分野において、特に好適に使用される。

Claims (7)

  1. ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体を含有する分散液であって、該変性ビニルアルコール系重合体は、下記一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を側鎖に含有し、粘度平均重合度Pが100〜1000であり、けん化度が40〜99.9モル%であり、ポリオキシアルキレン変性量Sが0.1〜5.0モル%である分散液。
    Figure 2011126931

    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、0≦m≦10、1≦n≦14である。)
  2. さらに染料を含有する、請求項1に記載の分散液。
  3. さらに顕色剤を含有する、請求項1に記載の分散液。
  4. 請求項2または3に記載の分散液を基材に塗工してなる塗工物。
  5. ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体、染料、顕色剤および増感剤を含有する塗工液であって、該変性ビニルアルコール系重合体は、下記一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を側鎖に含有し、粘度平均重合度Pが100〜1000であり、けん化度が40〜99.9モル%であり、ポリオキシアルキレン変性量Sが0.1〜5.0モル%であることを特徴とする塗工液。
    Figure 2011126931

    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、0≦m≦10、1≦n≦14である。)
  6. 請求項5に記載の塗工液を基材に塗工する工程を含む、感熱記録材料の製法。
  7. 基材の上に、ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体、染料、顕色剤および増感剤を含有する層を有する感熱記録材料であって、該変性ビニルアルコール系重合体は、下記一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を側鎖に含有し、粘度平均重合度Pが100〜1000であり、けん化度が40〜99.9モル%であり、ポリオキシアルキレン変性量Sが0.1〜5.0モル%である感熱記録材料。
    Figure 2011126931

    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、0≦m≦10、1≦n≦14である。)
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