JP2011121826A - 水素の製造方法及び水素の製造装置、並びに燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】低温環境下において簡便かつ効率よく水素を発生させることのできる水素の製造方法、その製造方法で水素を製造する水素の製造装置、及びこの水素の製造装置を備えた燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の水素の製造方法は、水との発熱反応により水素を発生させる金属材料と、水と反応して発熱する発熱材料であって前記金属材料以外の材料とを含む水素発生材料を用いて水素を発生させる水素の製造方法であって、前記金属材料は、100μm以下の粒径の粒子を80質量%以上の割合で含有し、100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下である酸性水溶液と、前記金属材料とを反応させて水素を発生させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素発生材料を用いて水素を発生させる水素の製造方法、及び、その製造方法で水素を製造する水素の製造装置、さらに、この水素の製造装置を備えた燃料電池システムに関する。
近年、パソコン、携帯電話などのコードレス機器の普及に伴い、その電源である二次電池はますます小型化、高容量化が要望されている。現在、エネルギー密度が高く、小型軽量化が図れる二次電池としてリチウムイオン二次電池が実用化されており、ポータブル電源として需要が増大している。しかし、使用されるコードレス機器の種類によっては、このリチウムイオン二次電池では未だ十分な連続使用時間を保証する程度までには至っていない。
このような状況の中で、上記要望に応え得る電池の一例として、固体高分子型燃料電池(PEMFC:Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell)が検討されている。電解質に固体高分子電解質、正極活物質に空気中の酸素、負極活物質に燃料(水素、メタノールなど)を用いる固体高分子型燃料電池は、リチウムイオン二次電池よりも高エネルギー密度化が期待できる電池として注目されている。燃料電池は、燃料及び酸素の供給さえ行えば、連続的に使用することが可能である。
燃料電池に用いる燃料に関しては、いくつかの候補が挙げられているが、それぞれ種々の問題点を有しており、最終的な決定が未だなされていない。燃料としてメタノールを用い、直接電極で反応させる直接メタノール型燃料電池は、小型化が容易であり将来のポータブル電源として期待されているが、負極のメタノールが固体電解質を透過して正極に達するクロスオーバーによる電圧の低下の問題を抱えており、期待されるエネルギー密度が得られていない。
一方、燃料として水素を用いる場合には、例えば、高圧タンク或いは水素吸蔵合金タンクに蓄えた水素を供給する方法が一部で実用化されているが、体積及び重量が大きくなり、エネルギー密度が低下するためポータブル電源として適さない。また、燃料として炭化水素系燃料を用い、それを改質して水素を取り出す方法もある。しかし、改質装置が必要となり、改質装置への熱の供給及び断熱などの問題が生じるため、やはりポータブル電源としては適さないものである。
このような状況下において、100℃以下の低温で化学反応により水素を発生させて燃料として用いる方法が提案されている。これらの方法は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、亜鉛など、水と反応して水素を発生する金属材料を水素源とするものである(特許文献1〜2参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載された方法によれば、酸化カルシウムをアルミニウムとの総量において15重量%以上添加しなければ、水素を発生させることができないばかりか、反応時間と共に水素発生速度が大きく変動し、水素発生反応の効率や安定性の点で十分ではない。また、特許文献2に記載された方法では、水素発生反応を効率的に進行させるためには多量の添加剤を必要とし、効率的かつ安定的に水素を製造する方法を提供できるものではない。さらに、特許文献1〜2に記載された方法では、低温下、例えば、氷点下の環境において水素を製造するのに適するものではなかった。
そこで、本発明者らは、上述した特許文献1〜2に記載の方法が抱える問題点を回避すべく検討を重ね、アルミニウム、マグネシウム及びそれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属材料であって、100μm以下の粒径の粒子を80質量%以上の割合で含有する金属材料と、水と反応して発熱する発熱材料であって上記金属材料以外の材料とを含有する水素発生材料に、pHが4〜10の範囲にありかつ凝固点が−5℃以下である不凍水を供給することにより、水素発生反応を生じさせる水素の製造方法を開発した(特許文献3参照。)。
この特許文献3に開示の技術によれば、0℃以下でも簡便かつ効率的に水素を製造することができる。
特許第4276854号公報 特表2004−505879号公報 特開2007−290888号公報
しかし、特許文献3に開示の技術においても、反応効率の向上或いは燃料電池の特性劣化防止の観点から、上記不凍水について、未だ改良の余地がある。
特許文献3には上記不凍水として、例えば、水とエチレングリコールやエタノールなどの有機溶媒との混合溶媒、或いは、ポリオキシエチレンなどの水溶性高分子や塩化ナトリウムなどの無機塩を溶解させた水溶液などが例示されている。上記有機溶媒の一つとして例示されているエタノールなどのように、前述の金属材料に対して腐食性を示す溶媒も存在するが、一般には上記有機溶媒は、上記金属材料との反応に寄与しないため、特許文献3の技術を用いて十分な水素を得ようとすると使用する混合溶媒の量を増加させる必要があり、燃料電池システム全体のエネルギー密度を低下させることとなる。
また、上記不凍水として無機塩を溶解させた水溶液を用いて水素を製造した場合、水素発生反応に関与しなかった未反応の水或いは水蒸気中に、上記無機塩のカチオン(例えば、無機塩が塩化ナトリウムであれば、ナトリウムイオン)が混入してしまう。上記無機塩のカチオンが混入した水分が水素と共にPEMFCへ供給された場合、PEMFCの固体高分子電解質のプロトンと上記カチオンとが置換反応を起こし、固体高分子電解質のプロトン伝導性の低下が引き起こされ、その結果、燃料電池が劣化してしまう場合がある。
本発明は、上記問題を解決するもので、低温環境下において簡便かつ効率よく水素を発生させることのできる水素の製造方法、その製造方法で水素を製造する水素の製造装置、及びこの水素の製造装置を備えた燃料電池システムを提供する。
本発明の水素の製造方法は、水との発熱反応により水素を発生させる金属材料と、水と反応して発熱する発熱材料であって前記金属材料以外の材料とを含む水素発生材料を用いて水素を発生させる水素の製造方法であって、前記金属材料は、100μm以下の粒径の粒子を80質量%以上の割合で含有し、100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下である酸性水溶液と、前記金属材料とを反応させて水素を発生させることを特徴とする。
また、本発明の水素の製造装置は、前記本発明の水素の製造方法を用いることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池システムは、前記本発明の水素の製造装置と、前記水素の製造装置で製造された水素を用いて発電を行う燃料電池とを備えたことを特徴とする。
本発明の水素の製造方法により、0℃以下でも簡便に効率的に水素を製造し供給することが可能となるため、低温環境下での燃料電池の使用、特に、携帯型の燃料電池の使用が可能となる。
本発明の水素の製造装置及びそれを用いた燃料電池システムの一例を示す模式断面図である。 本発明の水素の製造装置の一例を示す燃料カートリッジの模式断面図である。 実施例6における水素発生速度及び燃料カートリッジの温度と、経過時間との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
先ず、本発明の水素の製造方法の実施形態を説明する。本発明の水素の製造方法は、水との発熱反応により水素を発生させる金属材料と、水と反応して発熱する発熱材料であって上記金属材料以外の材料とを含む水素発生材料を用いて水素を発生させる水素の製造方法である。また、上記金属材料は、100μm以下の粒径の粒子を80質量%以上の割合で含有している。さらに、本発明の水素の製造方法は、100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下である酸性水溶液と、上記金属材料とを反応させて水素を発生させるものである。
上記酸性水溶液を用いることにより、0℃以下でも簡便に効率的に水素を製造し供給することが可能となる。
上記金属材料としては、水と反応して水素を発生させる材料であれば特に限定されないが、水との反応性が高いアルミニウム、マグネシウム及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1種が好適に使用できる。また、上記金属材料には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化リチウムなどの金属水素化物も含まれる。
上記金属材料は、通常は、表面に安定な酸化皮膜が存在するため、水と接触した場合でも、直ちに水素発生反応が始まるわけではなく、表面から内部に徐々に水が浸入し、内部の金属状態で存在する部分と水とが接した時に、水素発生反応が始まるものと思われる。上記金属材料の一つであるアルミニウムと水との反応は、下記式(1)〜(3)のいずれかによって進行していると考えられる。下記式(1)による発熱量は、419kJ/molである。
2Al+6H2O→Al23・3H2O+3H2 (1)
2Al+4H2O→Al23・H2O+3H2 (2)
2Al+3H2O→Al23+3H2 (3)
即ち、水素発生材料に水を供給した場合でも、水素発生開始までの間(通常、数分〜数十分)は反応が生じないため、水素発生材料及び供給された水は、周囲の温度に応じてその温度が変化することになる。例えば、反応系が氷点下に置かれている場合は、通常の水(例えば、水道水など)を供給しても、反応開始までに凍結してしまい、金属材料の内部に水が浸入しなくなるため、水素発生反応を開始できないという問題を生じる。また、水素発生材料に水を供給する以前に、水を収容する水収容容器の内部の水が凍結する場合、又は上記水収容容器と上記水素発生材料を収容する反応容器とを連結し、上記反応容器の内部に水を供給する水供給管の内部に存在する水が凍結する場合もあり、水素発生材料に水を供給できないという問題も生じ得る。
一方、本発明においては、反応に用いる溶液(少なくとも水を含有する溶液)の凝固点を−5℃以下の酸性水溶液とすることにより、低温下での水素発生反応が可能となる。さらに、酸性水溶液の酸性成分である酸は、上記金属材料に存在する酸化皮膜を溶解するため、内部の金属状態で存在する部分と酸性水溶液とが素早く接し、水素発生反応が速やかに進行する。そして、酸性水溶液の水成分に加えて酸性成分も内部の金属状態で存在する部分と反応し、水素を生成するため、効率よく水素を製造することが可能となる。
上記酸性水溶液の凝固点の下限値は特に限定されず、酸性成分の種類により異なるが、例えば、酸性成分が硫酸の場合は−70℃程度である。
また、本発明では、上記酸性水溶液として、100℃において液体の状態で存在する溶液、即ち、沸点が100℃を超える酸性水溶液を用いている。これは、上記酸性水溶液では、水素発生の発熱反応が起っている100℃程度の温度においても、溶質(酸性成分)が揮発しないことを意味し、これにより、水素発生反応が停止して上記酸性水溶液が0℃以下となっても、上記酸性水溶液の凝固点を−5℃以下に維持できる。
また、本発明の水素の製造方法において上記酸性水溶液を用いて水素を製造した場合、水素発生反応に関与しなかった未反応の酸性水溶液或いは水蒸気の中に混入するカチオンはプロトンである。そのため、上記酸性水溶液又は水蒸気がPEMFCへ供給されても、PEMFCの固体高分子電解質のプロトンの置換反応などが起こらず、プロトン伝導性の低下を抑制することが可能となる。従って、燃料電池の特性劣化を防止する観点からも、効率よく水素を製造することが可能となる。
上記金属材料の一つであるアルミニウムと、酸性水溶液の一つである硫酸水溶液の酸性成分である硫酸との反応は、下記式(4)で示される反応によって進行していると考えられる。
2Al+3H2SO4→Al2(SO43+3H2 (4)
即ち、上記金属材料の一つであるアルミニウムと、酸性水溶液の一つであると硫酸水溶液との反応は、前述の記式(1)〜(3)のいずれか、及び上記式(4)によって進行していると考えられる。
本発明の水素の製造方法において使用される酸性水溶液を用いて水素を製造した場合、水素発生反応に関与しなかった未反応の酸性水溶液或いは水蒸気の中には、上記酸性水溶液の酸性成分HAのプロトンであるH+に加えて、アニオンであるプロトン受容体A-が含有される。このプロトン受容体A-を含有する水分が水素と共にPEMFCへ供給された場合、プロトン受容体A-によっては、PEMFC内に含まれる触媒上への吸着などが起こり、これらによって、燃料電池内において、触媒能の低下などが引き起こされ、その結果、燃料電池が劣化してしまう場合がある。そのため、本発明の水素の製造方法において使用される水は、100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下である酸性水溶液であれば特に限定されないが、上記酸性水溶液が、触媒上への吸着が起こりにくいプロトン受容体A-を有する硫酸水溶液、リン酸水溶液及び酢酸水溶液よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、硫酸水溶液であることがより好ましい。
本発明において用いる金属材料としては、前述のように、アルミニウム、マグネシウム及びこれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、その製造方法は特に限定されず、機械的粉化法やアトマイズ法などにより作製される。
また、低温でも上記酸性水溶液との反応を効率よく生じさせ、短時間で水素発生反応を開始させるためには、上記金属材料の粒径は小さいほうがよく、本発明では100μm以下の粒径の粒子を80質量%以上の割合で含有させる。100μm以下の粒径を有する金属材料は低温で水との反応性が高いため、かかる粒径の粉末を80質量%以上の割合で含めば効率的に水素を発生させることができるからである。平均粒径としては、70μm以下であることが好ましく、特に、平均粒径を30μm以下とした場合には、反応効率をより一層向上させることが可能となる。
また、上記金属材料の平均粒径が30μmを超える場合であっても、上記金属材料が鱗片状であり、かつその厚みが5μm以下である場合には、水との反応性を高めて、より効率よく水素を発生させることができ、特に上記金属材料の厚みが3μm以下の場合には、反応効率をより一層向上させることができる。
一方、上記金属材料の平均粒径を0.1μm未満としたり、鱗片状の金属材料の厚みを0.1μm未満とすると、発火性が高くなって取り扱いが困難となったり、上記金属材料の充填密度が低下してエネルギー密度が低下しやすくなったりする。そのため、上記金属材料の平均粒径は、0.1μm以上とすることが好ましく、また、上記金属材料が鱗片状の場合には、その厚みは0.1μm以上であることが好ましい。
ここで、本明細書でいう「平均粒径」は、体積基準の積算分率50%における粒子直径の値であるD50を意味する。平均粒径の測定方法としては、例えば、レーザー回折・散乱法などを用いることができる。具体的には、水などの液相に分散させた測定対象物質にレーザー光を照射することによって検出される散乱強度分布を利用した粒子径分布の測定方法である。レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、日機装(株)社製の“マイクロトラックHRA”などを用いることができる。
また、本明細書において鱗片状の金属材料の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することとする。
また、上記金属材料の形状も特に限定されないが、例えば、略球状(真球状を含む。)やラグビーボール状の他、前述の鱗片状のものなどが挙げられる。略球状やラグビーボール状の場合には前述の平均粒径を満足するものが好ましく、鱗片状の場合には前述の厚みを満足するものが好ましい。また、鱗片状の金属材料の場合には、前述の平均粒径も満足していることがより好ましい。
上記金属材料としてアルミニウム合金或いはマグネシウム合金を用いる場合、その組成などは特に限定はされないが、水素発生に関係するアルミニウム或いはマグネシウムの含有量が多い方が望ましく、これらの含有量が80質量%以上であるのがよく、85質量%以上であるのがより好ましい。
上記アルミニウム合金における添加元素(合金元素)としては、例えば、ケイ素、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、チタン、鉛、スズ、クロムなどが挙げられ、これらの合金元素を2種以上含有しても構わない。また、上記マグネシウム合金における添加元素(合金元素)としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、ケイ素、鉄、銅、マンガン、ニッケル又は希土類元素などを挙げることができ、これらの合金元素を2種以上含有しても構わない。
本発明においては、金属材料と水とを接触させてから水素発生開始までの時間を短縮するために、水と反応して発熱する発熱材料であって上記金属材料以外の材料を、上記金属材料と共存させて水素発生材料を構成する。上記発熱材料としては、水との反応により水酸化物を形成する物質や、水和することにより発熱する化合物、例えば、アルカリ金属の酸化物(酸化リチウムなど)、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウム、酸化マグネシウムなど) 、アルカリ土類金属の塩化物(塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)、アルカリ土類金属の硫酸化合物(硫酸カルシウムなど)など、水との反応が容易であり、水と接触した場合に直ちに発熱する物質を用いればよい。このような材料が存在することにより、水素発生材料に酸性水溶液が供給されたときに、金属材料及び酸性水溶液の温度が一時的に上昇し、前述した金属材料粒子の内部への酸性水溶液の浸透が促進され、水素発生開始までの時間を短縮することができ、より低温下での水素発生に対応することができる。
上記発熱材料の割合は、上記昇温効果を十分に発揮させるため、金属材料との総量中1質量%以上とするのが望ましく、3質量%以上とすることがより望ましい。一方、必要以上に発熱した場合、水素発生反応を制御できなくなるおそれが生じるので、発熱材料の種類にもよるが、上記発熱材料の割合は金属材料との総量中20質量%以下にすることが望ましく、15質量%未満にすることがより望ましく、10質量%以下にすることが特に望ましい。
また、本発明に用いる水素発生材料には、さらに、親水性酸化物(アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、ゼオライト、酸化亜鉛など)、炭素、吸水性高分子(カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸など)などの反応促進剤を添加してもよい。上記反応促進剤により、金属材料と水との接触が良好になり、金属材料が水と反応することにより生成した反応生成物と未反応の金属材料とが凝結するのを防ぐことができ、水素発生材料の内部まで水が浸透しやすくなるなどの効果があると考えられる。
本発明の水素の製造方法においては、上記水素発生材料を収容した容器内に、100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下である酸性水溶液を供給し、水素を取り出すことができる。このとき、上記酸性水溶液の供給量を制御することが好ましい。これにより、反応系が氷点下に置かれている場合においても、上記容器内部を発熱反応が維持できる温度に保持することができ、酸性水溶液と水素発生材料、特に酸性水溶液の水成分と水素発生材料との発熱反応を安定して継続でき、簡便で効率よく、かつ安定的に水素を製造できる。酸性水溶液の供給量の制御は、酸性水溶液の供給速度を制御することにより行うことが好ましい。
一方、一旦水素発生反応が始まれば、金属材料と酸性水溶液の水成分との反応は発熱反応であるので、酸性水溶液を含めた反応系の温度が上昇し、水素発生反応を継続させることが可能となる。従って、低温下で水素を発生させるためには、少なくとも水素発生反応の開始まで反応水を凍結させないようにする必要がある。そのため、上記発熱反応が維持できる温度に達するまでは、上記酸性水溶液を供給し、それ以降は通常の水を供給しても構わない。しかし、通常の水を供給し続けている状態で、水素の製造を停止させると、水素と共に未反応の水及び水蒸気が噴出され、例えば燃料電池へ水素を供給する水素導出管内に噴出された水が残存する可能性がある。この状態で反応系が氷点下に置かれる場合、上記水素導出管内に残存する水が凍結する恐れがある。そのため、上述した状況を想定し、上記水素導出管内に残存する水を除去する機構を設けることが好ましく、より好ましくは、水素製造時は常に酸性水溶液を供給することが簡便であるため好ましい。
上記発熱反応が維持できる温度は、通常は40℃以上であり、一旦発熱反応が開始して水素が発生すると、水素発生材料を収容した容器内の温度が120℃程度に達することもあるが、水素発生速度の制御の点から上記容器内の温度は40℃以上100℃以下に保持することが好ましい。
本発明の水素の製造方法においては、上記酸性水溶液に含まれる酸性成分と水成分とが、共に上記金属材料と反応して水素を発生させるため、上記酸性成分が全て上記金属材料と反応した場合、全体の水素発生量は、上記酸性成分が上記金属材料と理論的に全て反応して発生する場合の水素発生量より多くなる。このため、本発明の水素の製造方法では、上記金属材料の全量と反応する量の酸性成分を添加しなくても、効率よく水素を製造することができる。
本発明の水素の製造方法において使用される上記酸性水溶液の酸性成分の濃度としては、100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下であれば特に限定されないが、40質量%以下であることが好ましい。40質量%を超えると、酸性成分よりも水素発生効率の高い水成分の量が低下し、エネルギー効率が低下するからである。
本発明の水素の製造方法を用いて発生させた水素は、炭化水素系燃料を改質して水素を製造する場合に問題とされるCO及びCO2を含まず、また、反応に水が関与することから水素ガス中に適度な水分を含むため、特に、100℃以下で作動する固体高分子型燃料電池の燃料として好適に用いることができる。
(実施形態2)
次に、本発明の水素の製造装置、及び、この水素の製造装置と、その水素の製造装置で製造された水素を用いて発電を行う燃料電池とを備えた燃料電池システムについて、本発明の実施形態2として説明する。
本発明の水素の製造装置は、上記実施形態1として説明した本発明の水素の製造方法に用いられるものである。このため、実施形態1で説明した事項と共通する事項については説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態の水素の製造装置及びそれを用いた燃料電池システムを示す模式断面図である。
本実施形態の水素の製造装置100は、水との発熱反応により水素を発生する金属材料と、水と反応して発熱する発熱材料であって上記金属材料以外の材料とを含む水素発生材料2を収納可能な容器1と、容器1内に収容された水素発生材料2との発熱反応によって水素を発生させる酸性水溶液4を収容する水収容容器3と、水収容容器3から容器1への酸性水溶液4の供給を行うポンプ10と、容器1を覆う保温材9と、ポンプ10を制御し、酸性水溶液4の供給量を調整する制御部11とを備えている。図1において、ポンプ10、制御部11及び後述する燃料電池20には、断面であることを示す斜線は付していない。
容器1は、蓋1aと容器本体1bとを有している。容器1には、蓋1aを貫通して、容器本体1b内に水収容容器3に収容されている酸性水溶液4を供給するための水供給管5と、生成された水素を導出するための水素導出管8とが設けられている。本発明では、反応液として、100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下である酸性水溶液を用いるため、低温環境下においても反応液が凍結することがない。そのため、ポンプ10により送られてきた酸性水溶液4は、水供給管5の水供給口6から容器1内の水素発生材料2に連続的に供給されることが可能となる。また、水素発生材料2と酸性水溶液4との反応により生成された水素は、水素導出口7から水素導出管8に導かれる。
また、水素発生材料2に含有される発熱材料は、金属材料と均一又は不均一に分散・混合させた混合物として用いることができる。しかし、容器本体1b内において、水素発生材料2の全体における発熱材料の平均含有率よりも発熱材料の含有率が高い偏在部を設けることがより好ましく、容器本体1b内部の水供給管5の水供給口6の近傍に上記偏在部を配置することが特に好ましい。容器本体1bの内部において、発熱材料をこのように偏在させることにより、酸性水溶液4を供給し始めてから水素発生材料2が加温されるまでの時間をより短くして、より迅速な水素発生を可能とすることができる。
このように、容器本体1b内部の水供給口6の近傍に上記偏在部を配置するには、水供給口6の近傍に発熱材料だけを配置する方法の他、予め発熱材料の含有率の異なる2種以上の水素発生材料を調製しておき、水供給口6の近傍には発熱材料の含有率の最も高い水素発生材料を配置し、その他の部分には発熱材料の含有率の低い水素発生材料を配置することもできる。
容器1は、酸性水溶液4と反応して水素を発生させる水素発生材料2を収納可能なものであり、かつ酸性水溶液に対して耐蝕性があれば、その材質や形状は特に限定されない。しかし、酸性水溶液4や水素が漏れない材質や形状が好ましい。具体的な容器1の材質としては、水及び水素を透過しにくく、かつ100℃程度に加熱しても容器1が破損しない材質が好ましく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの樹脂を用いることができる。あるいは容器1の内壁を樹脂コートすることにより、アルミニウム、鉄、ステンレスなどの金属も用いることができる。また、容器1の形状としては、角柱状、円柱状などが採用できる。
図1に示す本実施形態の水素の製造装置では、水供給管5に備えられたポンプ10が、制御部11からの制御信号によって、所定の供給時間の間、所定の供給速度で、水収容容器3内の酸性水溶液4を、容器1内に供給する。このポンプ10としては、例えば、チューブポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプなどのマイクロポンプを使用することができるが、これらに限られるものではない。制御部11からの制御信号に従って、容器1への水の供給速度と時間とをコントロールできる、いわば水供給量が調整可能なポンプであれば、その具体的構成の制限はない。このような機能を有するため、制御部11はマイクロコンピュータなどのプログラミング可能な制御装置を用いることが好ましい。
容器1内で水素発生材料2と酸性水溶液4との反応により生成された水素は、容器1に設けられた水素導出口7から水素導出管8により導出される。導出された水素は、本実施形態の水素の製造装置で生成された水素を使用する機器、例えば図1の場合は燃料電池20へと送られる。
また、図1に示すように、容器本体1bの外面を保温材9で覆うことによって、容器1内部での水素発生材料2と酸性水溶液4との発熱反応により発生した熱が、容器本体1bの外壁から放熱されてしまうことを防止することができ、水素発生材料2に酸性水溶液4が供給されることにより開始される水素生成の発熱反応を維持できる温度を保持しやすくなり、また、外気温の影響も受けにくくなる。保温材の材質は、断熱性が高い材質であれば特に限定されず、例えば、発泡スチロール、発泡ネオプレンゴム、ポリウレタンフォームなどの多孔性断熱材、或いは真空断熱構造を有する断熱材などを用いることができる。
図1では図示していないが、本実施形態の水素の製造装置として、水素導出管8に、容器1から導出される水素と未反応の酸性水溶液とを分離するための気液分離部と、さらに、気液分離部で分離された酸性水溶液を水収容容器3に戻す液回収部とを備えていることが好ましい。容器1内で、水素発生材料2と酸性水溶液4とが反応したときに、未反応の酸性水溶液が水素との混合物として、水素導出管8から容器1の外部へ噴出されてしまう場合がある。このような場合に、気液分離部を備えることで、容器1から排出された酸性水溶液と水素との混合物を、酸性水溶液(液体)と水素(気体)とに分離し、さらには分離した酸性水溶液を水収容容器3に戻すことができる。このようにすることで、水収容容器3内に収容しておく酸性水溶液4の量を減らすことが可能となる。その結果、水素の製造装置100全体の体積及び重量を低減してコンパクトにすることができる。
また、本実施形態の水素の製造装置100では、水素導出管8に上記気液分離部を設けることに加えて、気液分離部と容器1との間に、図示していない冷却部を設けていることが好ましい。容器1内は、水素発生材料2と酸性水溶液4との発熱反応により水の沸点を超える温度まで上昇する場合がある。このため、容器1内の未反応の酸性水溶液4が、気体となって水素とともに水素導出管8内に混じり込むことが考えられる。そこで、冷却部を設けることにより、水素導出管8内に流れ込んだ気体を冷却して液体の酸性水溶液に戻すことで、気液分離部での酸性水溶液の回収率を高めることができるからである。冷却部としては、例えば、金属製冷却フィンが水素導出管8に接するように配置された構造のものを用いることができる。また、空冷ファンを用いたり、水冷パイプを水素導出管8に近接させたりすることもできる。
次に、本実施形態の水素の製造装置を、より小型化する場合の好適な例として、容器1をカートリッジ化したものについて説明する。
図2は、本実施形態の水素の製造装置100において、製造された水素を小型燃料電池や携帯電子機器に適用するような場合に好適なように、容器1を小型の燃料カートリッジ300とした構成を示す模式断面図である。図2では、各構成要素の理解を容易にするために、断面であることを示す斜線は付していない。また、図1に示した水素の製造装置と同じ機能を有して共通の作用を有するものについては、図1と同じ符号を付している。
図2に示すように、燃料カートリッジ化した容器1は、内部に水素発生材料2を封入したものであり、水素発生材料2に酸性水溶液を供給するための水供給管5と、容器1内で発生した水素を外部に取り出すための水素導出管8とを備えている。水素発生材料2は、発熱材料の含有率が高い水素発生材料2aと、発熱材料の含有率が低い水素発生材料2bとから構成され、水素発生材料2aを水供給口6の近傍に配置している。燃料カートリッジ化した容器1は、燃料電池や携帯電子機器に装着された後に、図示していないマイクロポンプなどによって水供給管5の水供給口6を通じて容器1内に酸性水溶液が供給される。容器1内への酸性水溶液の供給方法としては、酸性水溶液を充填した図示していない水収容容器を燃料カートリッジ化された容器1の一部に予め付帯させておき、燃料電池や携帯電子機器に燃料カートリッジ300が装着された後に、水収容容器内の酸性水溶液が容器1内に供給されるようにすることもできる。
図2に示すように、燃料カートリッジ化された容器1内では、水素発生材料2の上下に吸水材12が配置されていて、水供給管5の先端の水供給口6は、水素発生材料2の下方に配置された吸水材12内にその開口部を有するように配置されている。このようにすることで、水供給管5の水供給口6から容器1内部に供給された酸性水溶液の一部は、吸水材12により保持され、残部は水素発生材料2と反応して水素発生の発熱反応が開始される。発生した水素は、水素導出口7から水素導出管8を通じて燃料カートリッジ300外に導出され、例えば燃料電池の負極に供給される。この吸水材12は必ずしも必要なものではないが、水素発生の発熱反応による酸性水溶液の消費に応じて、吸水材12により保持された水も水素発生材料2に供給されるため、水素発生速度の時間変動を抑制する上で効果的である。
吸水材12は、水を吸って保持することのできる材質のものであれば特に限定されるものではなく、一般には脱脂綿や不織布などを用いることができる。
本実施形態の燃料電池システム200は、図1に示したように、本実施形態の水素の製造装置100と、この水素の製造装置100の水素導出管8から水素を流入させ、この水素を燃料として発電する燃料電池20とを備えている。燃料電池20は、水素を燃料として酸素と反応させるPEMFCなどであり、電解質に固体高分子電解質、正極活物質に空気中の酸素、負極活物質に水素燃料を用いるものである。この燃料電池の構成は、一般的なものであるため、詳細図及び詳細な説明は省略する。
以上、本発明の実施形態2として、本発明の水素の製造装置、及び、この水素の製造装置とその水素の製造装置で製造された水素を用いて発電を行う燃料電池とを備えた燃料電池システムについて説明したが、本発明の水素の製造装置は、燃料電池の燃料としての水素を製造するものに限定されるものではなく、水素貯蔵容器に水素を供給するための水素の製造装置などとしても、一般的に利用できるものである。
本発明の水素の製造装置は、上記説明した構成とすることにより、実施形態1の水素の製造方法をそのまま実施することができ、低温環境下において簡便かつ効率よく水素を製造でき、コードレス機器などの使用に適した水素の製造装置を提供することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。但し、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
金属材料としてガスアトマイズ法により作製された平均粒径:3μmのアルミニウム粉末(粒径が100μm以下の粒子の割合:100質量%)と、発熱材料として酸化カルシウム粉末とを乳鉢で混合し、これらを表1に示す割合で含有する水素発生材料を作製した。次に、この各水素発生材料1gをサンプル瓶に入れ、反応液として、酸性水溶液である硫酸水溶液(濃度:13質量%、凝固点:約−9℃)を4g加えて48時間放置し、その間に発生する水素を捕集する水素発生試験を行った。水素発生試験は−5℃で行い、捕集した水素の体積を測定して水素発生量とした。
(実施例2)
平均粒径:3μmのアルミニウム粉末に代えて、平均粒径:30μmのアルミニウム粉末(粒径が100μm以下の粒子の割合:100質量%)を金属材料として用い、アルミニウム粉末と酸化カルシウム粉末とを表1に示す割合で混合した以外は、実施例1と同様にして水素発生材料を作製し、水素発生量を求めた。
(実施例3)
硫酸水溶液に代えて、リン酸水溶液(濃度:20質量%、凝固点:約−8℃)を用い、アルミニウム粉末と酸化カルシウム粉末とを表1に示す割合で混合した以外は、実施例1と同様にして水素発生材料を作製し、水素発生量を求めた。
(実施例4)
硫酸水溶液に代えて、酢酸酸水溶液(濃度:20質量%、凝固点:約−8℃)を用い、アルミニウム粉末と酸化カルシウム粉末とを表1に示す割合で混合した以外は、実施例1と同様にして水素発生材料を作製し、水素発生量を求めた。
(比較例1)
硫酸水溶液に代えて、イオン交換水(凝固点:0℃)を用い、アルミニウム粉末と酸化カルシウム粉末とを表1に示す割合で混合した以外は、実施例1と同様にして水素発生試験を行ったが、水素発生開始前にイオン交換水が凍結したため、水素発生反応が生じなかった。
(比較例2)
平均粒径:3μmのアルミニウム粉末に代えて、平均粒径:150μmのアルミニウム粉末(粒径が100μm以下の粒子の割合:26質量%)を金属材料として用い、アルミニウム粉末と酸化カルシウム粉末とを表1に示す割合で混合した以外は、実施例1と同様にして水素発生材料を作製し、水素発生量を求めた。
上記実施例1〜4及び比較例1〜2の水素発生量の測定結果を表1に示す。
Figure 2011121826
(実施例5)
平均粒径:3μmのアルミニウム粉末に代えて、篩により選別した粒径45μm以下のマグネシウム粉末(粒径が100μm以下の粒子の割合:100質量%)を用い、マグネシウム粉末と酸化カルシウム粉末とを表2に示す割合で混合した以外は、実施例1と同様にして水素発生材料を作製し、水素発生量を求めた。
(比較例3)
平均粒径:3μmのアルミニウム粉末に代えて、平均粒径:150μmのマグネシウム粉末(粒径が100μm以下の粒子の割合:22質量%)を用い、マグネシウム粉末と酸化カルシウム粉末とを表2に示す割合で混合した以外は、実施例1と同様にして水素発生材料を作製し、水素発生量を求めた。
上記実施例5及び比較例3の水素発生量の測定結果を表2に示す。
Figure 2011121826
表1及び表2より明らかなように、粒径が100μm以下の粒子を80質量%以上の割合で含む金属材料により水素発生材料を構成し、水素発生材料に供給する反応水を、凝固点が−5℃以下である酸性水溶液とした実施例1〜5では、−5℃の低温下でも水素発生反応が進行し、十分な量の水素を発生させることができた。特に、金属材料の割合が85質量%以上である場合に、反応効率が高くなり好適な結果が得られた。
一方、通常の水を供給した比較例1では、水が凝固して水素を発生させることができず、金属材料を構成する粒子のうち、粒径が100μm以下の粒子の割合が80質量%に満たない比較例2及び3では、水素発生反応が十分に進行せず、上記実施例1〜5と比べて水素発生量が大幅に低減した。
(実施例6)
図1に示した水素の製造装置100を用いて以下のとおり水素を製造した。但し、図1に示した容器1としては、図2に示す燃料カートリッジ300を用いた。図2に示す燃料カートリッジ300は、以下の手順により作製した。
先ず、金属材料として平均粒径26μm(粒径が100μm以下の粒子の割合:100質量%)のアルミニウム粉末1.0gと、発熱材料として平均粒径3μmの酸化カルシウム粉末1.0gとを乳鉢で混合して、水素発生材料Aを作製した。また、金属材料として平均粒径6μm(粒径が100μm以下の粒子の割合:100質量%)のアルミニウム粉末19.7gと、発熱材料として上記酸化カルシウム粉末2.5gとを乳鉢で混合して、水素発生材料Bを作製した。
次に、ポリエチレン製の容器1(縦34mm、横34mm、高さ82mm、内容積60cm3)の底部に、吸水材12として脱脂綿を0.1g入れてから、上記水素発生材料A(図2中、2a)2gと、上記水素発生材料B(図2中、2b)22.2gとを、図2に示したように傾斜させて充填した。さらに、上記水素発生材料Bの上に、吸水材12として脱脂綿を0.1g入れた。
次に、水を供給するためのアルミニウム製の水供給管5(内径2mm、外径3mm)を図2に示したように、水供給口6が水素発生材料A(2a)の近傍になるように配置し、水素を導出させるアルミニウム製の水素導出管8(内径3mm、外径4mm)を備えたシリコン栓で蓋をし、水素発生材料A、Bを内部に充填した容器1を準備した。また、図1に示したように、容器1の外周を包むように厚み3mmの発泡ネオプレンゴム製の保温材9を設置した。
次に、水収容容器3の内部に、反応液として、酸性水溶液である硫酸水溶液(濃度:13質量%、凝固点:約−9℃)を収容した。また、図1に示したように、水供給管5の外側の先端(容器1側とは反対側の先端)に、上記水素発生材料A及びBに水を供給するためのポンプ10を設置した。さらに、水素導出管8の先端(容器1側とは反対側の先端)に水素発生量を測定するマスフローメータ(コフロック社製、図示せず。)を設置した。
続いて、上記水素の製造装置100を用いて以下のように、水素発生試験を行った。水素発生試験は、−5℃で行った。また、容器1の側面に、容器1の温度を検出するための温度センサ(図示せず。)を取り付けた。
先ず、ポンプ10を用いて3.37ml/minの速度で40秒間、水収容容器3から容器1へ硫酸水溶液を供給した。これにより、硫酸水溶液が、水供給管5の水供給口6を通じて容器1内に供給される。その後、水素が発生し、マスフローメータによって検出された水素発生量が500ml以上となった際、ポンプ10から硫酸水溶液を3.37ml/minの供給速度で連続的に送り出し、水素導出管8から水素を導出させた。生成した水素は塩化カルシウム管を経由させて含有水分を除去した。そして、マスフローメータによって、水素発生速度を計測した。
図3に、実施例6における水素発生速度及び燃料カートリッジの温度と、経過時間との関係を示す。図3から、水素発生試験開始から約3分後に水素発生が観測された。そして、硫酸水溶液を3.37ml/minの供給速度で連続的に送り出すことにより、容器温度が約70℃を保持したまま、約500ml/minの水素発生速度を約20分間持続して得ることができた。このため、低温環境下においても、硫酸水溶液を供給し始めてから短時間で水素発生反応が定常状態に達し、安定して水素を取り出すことができた。
実施例6において、硫酸水溶液を3.37ml/minの供給速度で連続的に送り出したが、使用した硫酸水溶液の濃度が13質量%であることから、硫酸水溶液の酸性成分である硫酸は0.44g/minの供給速度で供給したこととなる。0.44g/minの供給速度で硫酸を供給し、前述の反応式(4)に従って理論的に硫酸が全て反応したと仮定すると、水素は約108ml/minの速度で発生する。図3から、108ml/minよりも多い水素発生速度が得られていることから、水素発生材料に供給した硫酸水溶液の酸性成分である硫酸の当量を超えた水素を製造可能であることが分かった。これは、硫酸水溶液中の水成分も金属材料と反応していることを示す。
(比較例4)
硫酸水溶液に代えて、イオン交換水(凝固点:0℃)を用いた以外は、実施例6と同様にして水素発生試験を行った。その結果、イオン交換水が凍結したため、容器1内に供給することができず、水素発生反応が生じなかった。
(実施例7)
実施例6と同様にして水素発生試験を行った。そして、取り出された水素を、酸素を還元する正極と、水素を酸化する負極と、上記正極と負極との間に配置された固体電解質とを備える固体高分子型燃料電池に供給し、燃料電池による発電量を測定した。その結果、徐々に出力が増加し、170mW/cm2の安定出力が得られ、本実施例で製造した水素は、燃料電池を駆動する燃料源として充分に機能することが確認された。
以上のように本発明の水素の製造方法及び水素の製造装置は、特に、100℃以下の低温において、簡便で効率よくかつ安定的に水素を製造できるものとして、産業上幅広く利用可能である。また、本発明の水素の製造装置と、水素を燃料とする燃料電池とを備えた燃料電池システムは、特に小型携帯機器用の電源として幅広く利用可能である。
1 容器
1a 蓋
1b 容器本体
2 水素発生材料
2a 発熱材料の含有率が高い水素発生材料A
2b 発熱材料の含有率が低い水素発生材料B
3 水収容容器
4 酸性水溶液
5 水供給管
6 水供給口
7 水素導出口
8 水素導出管
9 保温材
10 ポンプ
11 制御部
12 吸水材
20 燃料電池
100 水素の製造装置
200 燃料電池システム
300 燃料カートリッジ

Claims (13)

  1. 水との発熱反応により水素を発生させる金属材料と、水と反応して発熱する発熱材料であって前記金属材料以外の材料とを含む水素発生材料を用いて水素を発生させる水素の製造方法であって、
    前記金属材料は、100μm以下の粒径の粒子を80質量%以上の割合で含有し、
    100℃において液体の状態で存在し、かつ凝固点が−5℃以下である酸性水溶液と、前記金属材料とを反応させて水素を発生させることを特徴とする水素の製造方法。
  2. 前記金属材料が、アルミニウム、マグネシウム及びこれらの合金よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の水素の製造方法。
  3. 前記酸性水溶液が、硫酸水溶液、リン酸水溶液及び酢酸水溶液よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の水素の製造方法。
  4. 前記酸性水溶液が、硫酸水溶液である請求項1又は2に記載の水素の製造方法。
  5. 前記酸性水溶液に含まれる酸性成分と水成分とが、共に前記金属材料と反応して水素を発生させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  6. 前記酸性水溶液の酸性成分の濃度が、40質量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  7. 前記水素発生材料を容器に収容し、前記容器の内部に前記酸性水溶液を供給する工程を含み、前記工程において、前記酸性水溶液の供給量を制御して前記酸性水溶液を供給する請求項1〜6のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  8. 前記容器の内部の温度を40℃以上100℃以下に保持する請求項7に記載の水素の製造方法。
  9. 前記金属材料の平均粒径が、30μm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  10. 前記金属材料の形状が、鱗片状であり、その厚みが5μm以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  11. 前記発熱材料が、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及び硫酸カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜10のいずれか1項に記載の水素の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の水素の製造方法を用いることを特徴とする水素の製造装置。
  13. 請求項12に記載の水素の製造装置と、前記水素の製造装置で製造された水素を用いて発電を行う燃料電池とを備えたことを特徴とする燃料電池システム。
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