JP2011102027A - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版及びレリーフ印刷版の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物と、(B)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基を有するバインダーポリマーと、を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物である。
【選択図】なし
Description
原画フィルムを必要としない手法として、レリーフ形成層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの原版の製版方法によれば、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層要素から原画フィルムと同様の機能を有する画像マスクが形成されるため、「マスクCTP方式」と称されており、原画フィルムは必要ではないが、その後の製版処理は、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像除去する工程であり、現像処理を必要とする点でなお改良の余地がある。
しかしながら、これまで直彫りCTP方式で用いられた版材は、版材の特性を決定するバインダーとして、疎水性のエラストマー(ゴム)を用いたもの(例えば、特許文献1〜5参照。)や、親水性のポリビニルアルコール誘導体を用いたもの(例えば、特許文献6参照。)などが多数提案されている。
彫刻後のカスのリンス性を向上させる技術として、レリーフ形成層に多孔質無機微粒子を含有させ、該粒子に液状カスを吸着させ、除去性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
即ち、本発明の目的は、印刷時に水性インキに好適に使用することができ、レーザー彫刻により発生した彫刻カスのリンス性に優れた、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に好適なレーザー彫刻用樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのようなレーザー彫刻用樹脂組成物を用いたレリーフ形成層を有する、彫刻カスのリンス性に優れ、形成されるレリーフ層の弾性とインク転移性に優れたレリーフ印刷版原版、それを用いたレリーフ印刷版の製造方法、及び、それにより得られたレリーフ印刷版を提供することにある。
<1> (A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物と、(B)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基を有するバインダーポリマーと、を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
<2> 前記(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物が、加水分解性シリル基を2つ以上有する化合物である<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<3> 前記(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物における加水分解性シリル基が、Si原子にアルコキシ基またはハロゲン原子が少なくとも1つ直接結合した加水分解性シリル基である<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<4> 前記(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物が、シランカップリング剤である<1>〜<3>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<6> 前記(B)バインダーポリマーにおける加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基が、ヒドロキシル基である<5>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<7> 前記(B)バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以上200℃未満である<1>〜<6>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<8> 前記(B)バインダーポリマーが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール及びその誘導体からなる群より選択される1種以上である<1>〜<7>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<9> 前記(B)バインダーポリマーが、ポリビニルブチラールである<1>〜<8>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<11> さらに(D)重合性化合物を含有する<1>〜<10>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<12> さらに(E)重合開始剤を含有する<1>〜<11>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<13> さらに(F)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する<1>〜<12>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<15> <1>〜<13>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレーザー彫刻用樹脂組成物層を光及び/又は熱により架橋して形成された、架橋構造を有するレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
<16> (1)<1>〜<13>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレーザー彫刻用樹脂組成物層を形成する工程、及び(2)該レーザー彫刻用樹脂組成物層を光及び/又は熱により架橋して、架橋されたレリーフ形成層を形成する工程、をこの順に有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。
<17> 前記(2)工程が、前記レーザー彫刻用樹脂組成物層を熱により架橋する工程である<16>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。
<19> <18>に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
<20> 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である<19>に記載のレリーフ印刷版。
<21> 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である<19>又は<20>に記載のレリーフ印刷版。
また、本発明によれば、前記本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いることで、彫刻カスのリンス性に優れ、形成されるレリーフ層の弾性とインク転移性に優れたレリーフ印刷版原版、それを用いたレリーフ印刷版原版並びにレリーフ印刷版の製造方法、及び、それにより得られたレリーフ印刷版を提供することができる。
[レーザー彫刻用樹脂組成物]
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物と、(B)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基を有するバインダーポリマーと、を含有することを特徴とする。
なかでも、適切な支持体上に備えられるレリーフ形成層の形成に適用することが好ましい態様である。
<(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物に用いられる(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物〔以下、適宜(A)化合物と称する〕における「加水分解性シリル基」とは、加水分解性基を含むシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、ハロゲン基、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
R1〜R3が1価の有機基を表す場合の好ましい有機基としては、種々の有機溶媒への溶解性を付与できる観点から、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。
上記一般式(1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、特に好ましくは炭素数1〜5、さらに好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基である。
また、ハロゲン原子として、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子が挙げられ、より好ましくはCl原子である。
上記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、一般式(1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であるのが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
上記アリールオキシ基としては、具体的には、例えば、フェノキシ基などを挙げることができる。アリールオキシ基の結合したアリールオキシシリル基としては、例えば、トリフェノキシシリル基などのトリアリールオキシシリル基を挙げることができる。
上記特定構造を有する連結基を含む(A)化合物の代表的な合成方法を以下に示す。
スルフィド基を含む連結基を有する(A)化合物(以下、適宜、スルフィド連結基含有(A)化合物と称する)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、ハロゲン化炭化水素基を有する(A)化合物と硫化アルカリの反応、メルカプト基を有する(A)化合物とハロゲン化炭化水素の反応、メルカプト基を有する(A)化合物とハロゲン化炭化水素基を有する(A)化合物の反応、ハロゲン化炭化水素基を有する(A)化合物とメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する(A)化合物とメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する(A)化合物とメルカプト基を有する(A)化合物の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とメルカプト基を有する(A)化合物の反応、ケトン類とメルカプト基を有する(A)化合物の反応、ジアゾニウム塩とメルカプト基を有する(A)化合物の反応、メルカプト基を有する(A)化合物とオキシラン類との反応、メルカプト基を有する(A)化合物とオキシラン基を有する(A)化合物の反応、メルカプタン類とオキシラン基を有する(A)化合物の反応、及び、メルカプト基を有する(A)化合物とアジリジン類との反応等から選択される合成法のいずれかにより合成される。
イミノ基を含む連結基を有する加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物(以下、適宜、イミノ連結基含有(A)化合物と称する)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する(A)化合物とハロゲン化炭化水素の反応、アミノ基を有する(A)化合物とハロゲン化炭化水素基を有する(A)化合物の反応、ハロゲン化炭化水素基を有する(A)化合物とアミン類の反応、アミノ基を有する(A)化合物とオキシラン類との反応、アミノ基を有する(A)化合物とオキシラン基を有する(A)化合物の反応、アミン類とオキシラン基を有する(A)化合物の反応、アミノ基を有する(A)化合物とアジリジン類との反応、エチレン性不飽和二重結合を有する(A)化合物とアミン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する(A)化合物とアミノ基を有する(A)化合物の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とアミノ基を有する(A)化合物の反応、アセチレン性不飽和三重結合を有する化合物とアミノ基を有する(A)化合物の反応、イミン性不飽和二重結合を有する(A)化合物と有機アルカリ金属化合物の反応、イミン性不飽和二重結合を有する(A)化合物と有機アルカリ土類金属化合物の反応、及び、カルボニル化合物とアミノ基を有する(A)化合物の反応等から選択される合成法のいずれかにより合成される。
ウレイレン基を含む連結基を有する加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物(以下、適宜、ウレイレン連結基含有(A)化合物と称する)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する(A)化合物とイソシアン酸エステル類の反応、アミノ基を有する(A)化合物とイソシアン酸エステルを有する(A)化合物の反応、及び、アミン類とイソシアン酸エステルを有する(A)化合物の反応等から選択される合成法のいずれかにより合成される。
(A−1)シランカップリング剤
以下、本発明における(A)化合物として好適な(A−1)シランカップリング剤について説明する。
本発明においては、Si原子に、アルコキシ基またはハロゲン基が少なくとも1つ直接結合した官能基をシランカップリング基と呼び、このシランカップリング基を分子中に1つ以上有している化合物をシランカップリング剤と称する。シランカップリング基は、Si原子にアルコキシ基またはハロゲン原子が2つ以上直接結合したものが好ましく、3つ以上直接結合したものが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、(A)化合物における加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種、好ましくは、(A−1)シランカップリング剤におけるシランカップリング基が、(B)バインダーポリマー中の反応性官能基、例えば、水酸基(−OH)であれば、この水酸基とアルコール交換反応を起こし、架橋構造を形成する。その結果、バインダーポリマーの分子同士がシランカップリング剤を介して3次元的に架橋される。(B)バインダーポリマー中の、(A)化合物における加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる反応性の官能基については、以下に詳述する。
本発明における好ましい態様である(A−1)シランカップリング剤においては、Si原子に直接結合している官能基として、アルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも1つ以上の官能基を有することが必須であり、化合物の取り扱いやすさの観点からは、アルコキシ基を有するものが好ましい。
ここで、アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、特に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基である。
また、ハロゲン原子として、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子が挙げられ、より好ましくはCl原子である。
シランカップリング基が2つ以上ある場合には、シランカップリング基同士が連結基で連結されていることが好ましい。連結基としては、ヘテロ原子や炭化水素などの置換基を有してもよい2価以上の有機基が挙げられ、彫刻感度が高い点ではヘテロ原子(N、S、O)を含む態様が好ましく、特に好ましくはS原子を含む連結基である。
このような観点からは、本発明におけるシランカップリング剤として、アルコキシ基としてメトキシ基またはエトキシ基、なかでも、メトキシ基がSi原子に結合したシランカップリング基を分子内に2個有し、且つ、これらシランカップリング基が、ヘテロ原子(特に好ましくはS原子)を含むアルキレン基を介して結合している化合物が好適である。より具体的には、スルフィド基を含む連結基を有するものが好ましい。
また、シランカップリング基同士を連結する連結基の他の好ましい態様として、オキシアルキレン基を有する連結基が挙げられる。連結基がオキシアルキレン基を含むことで、レーザ彫刻後の彫刻カスのリンス性が向上する。オキシアルキレン基としては、好ましくはオキシエチレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基が複数連結されたポリオキシエチレン鎖である。ポリオキシエチレン鎖におけるオキシエチレン基の総数としては、2〜50が好ましく、3〜30がより好ましく、4〜15が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物中に含まれる(A)化合物の含有量は、固形分換算で、0.1質量%〜80質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1質量%〜40質量%の範囲であり、最も好ましくは5質量%〜30質量%である。
本発明の樹脂組成物は、前記(A)化合物に含まれる加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基(以下、適宜、反応性官能基と称する)を分子内に含むバインダーポリマー〔以下、適宜(B)ポリマーと称する〕を含有する。
(A)化合物と反応可能な反応性官能基としては、(A)化合物が有する加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して−Si−O−結合を形成可能な基であれば特に限定されず、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シラノール基、加水分解性シリル基が好ましく用いられる。
これらの官能基は、ポリマー分子中のいずれかに存在すればよいが、特にポリマー鎖の側鎖に存在することが好ましい。このようなポリマーとしては、ビニル共重合体(ポリビニルアルコールやポリビニルアセタールなどのビニルモノマーの共重合体及びその誘導体)やアクリル樹脂(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーの共重合体及びその誘導体)が好ましく用いられる。ここで、ビニルモノマーの共重合体の誘導体とは、具体的には、ビニルアルコール単位のOH基あるいはOH基のα位を化学修飾して側鎖を延長した形態とし、その末端にOH基やカルボキシル基といった(A)化合物と反応しうる官能基を導入したバインダーポリマーのことを指す。また、アクリル系モノマーの共重合体の誘導体としては、OH基やカルボキシル基といった(A)化合物と反応する官能基を導入した樹脂が挙げられる。
本発明に用いうる(B)ポリマーの製造方法は特に限定されないが、加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくともいずれかと反応して架橋構造を形成可能な基を有する重合性モノマーを重合又は共重合して製造する方法などが挙げられる。
このような(B)ポリマーとしては、特に、(B−1)ヒドロキシル基を有するバインダーポリマーが好ましく用いられる。
以下、本発明の樹脂組成物における(B)ポリマーとして好適な(B−1)ヒドロキシル基を有するバインダーポリマー(以下、適宜、(B−1)特定ポリマーと称する)について説明する。このバインダーポリマーは水不溶、且つ、炭素数1〜4のアルコールに可溶のバインダーポリマーであることが好ましい。
本発明の好ましい態様では、(B−1)特定ポリマーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に(F)光熱変換剤が存在すると(B−1)特定ポリマーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、このような効果によって彫刻感度がさらに増大したものと推定される。
本明細書においては、以下、ポリビニルアセタール及びその誘導体を単にポリビニルアセタール誘導体と称する。即ち、本明細書においてポリビニルアセタール誘導体は、ポリビニルアセタール及びその誘導体を包含する概念で使用され、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる)を環状アセタール化することにより得られる化合物の総称を示す。
ポリビニルアセタール誘導体中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30%〜90%が好ましく、50%〜85%がより好ましく、55%〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール誘導体中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10モル%〜70モル%が好ましく、15モル%〜50モル%がより好ましく、22モル%〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタール誘導体は、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%がさらに好ましい。ポリビニルアセタール誘導体は、さらに、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタール誘導体としては、ポリビニルブチラール誘導体、ポリビニルプロピラール誘導体、ポリビニルエチラール誘導体、ポリビニルメチラール誘導体などが挙げられ、なかでもポリビニルブチラール誘導体(以下、PVB誘導体と称する)が好ましい。なお、これらの記載においても、例えば、ポリビニルブチラール誘導体とは、本明細書においては、ポリビニルブチラール及びその誘導体を包含する意味で用いられ、他のポリビニルアセタール誘導体類についても同様である。
ポリビニルアセタール誘導体の分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5000〜800000であることが好ましく、より好ましくは8000〜500000である。さらに、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50000〜300000であることが特に好ましい。
ポリビニルブチラール誘導体の構造は、以下に示す通りであり、これらの構造単位を含んで構成される。
PVB誘導体を(B−1)特定ポリマーとして用いてレリーフ形成層を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜の表面の平滑性の観点で好ましい。
本発明における(B−1)特定ポリマーとして用いうるアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得るアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシル基を有するものであれば用いることができる。
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
これらのなかでも、水性インキ耐性の観点で、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなど脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
好ましいノボラック樹脂としては、例えばフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−またはm−/p−、m−/o−、o−/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
(B−1)特定ポリマーとして、ヒドロキシル基を側鎖に有するエポキシ樹脂を用いることも可能である。好ましい具体例としては、ビスフェノールAとエピクロヒドリンの付加物を原料モノマーとして重合して得られるエポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
本発明における(B)ポリマーに含まれるヒドロキシル基の含有量は、前記いずれの態様のポリマーにおいても、0.1〜15mmol/gであることが好ましく、0.5〜7mmol/gであることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物における(B−1)特定ポリマーに代表される(B)ポリマーは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いうる樹脂組成物における(B)ポリマーの好ましい含有量は、塗膜の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、全固形分中、2〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
樹脂組成物中で、(A−1)シランカップリング剤のシランカップリング基が、共存する(B−1)特定ポリマー中のヒドロキシル基(−OH)とアルコール交換反応を起こし、結果的に(B−1)特定ポリマーの分子同士がシランカップリング剤により3次元的に架橋される。その結果、(I)レーザー彫刻により発生する彫刻カスが液状から粉末状になり、水道水で流すだけで除去可能となるというリンス性向上効果、及び、(II)樹脂組成物を製膜したときの膜の弾性が向上し、塑性変形しにくくなるという効果が得られる。(II)膜弾性の向上は、本発明の樹脂組成物をレリーフ形成層に適用した場合、形成された印刷版のインキ転移性及び耐刷性が向上するという効果をもたらす。また、本発明の好ましい態様において、シランカップリング剤のシランカップリング基同士を連結する連結基にヘテロ原子を有する場合は、このヘテロ原子に起因して(III)彫刻感度が向上するという効果も得られ、感度向上効果は、特にヘテロ原子としてS原子を含む場合に著しい。
さらに、この(A−1)シランカップリング剤が、分子内に炭素と結合するヘテロ原子を有する連結基を持つ場合、ヘテロ原子と隣接する炭素原子は、共有結合電子がヘテロ原子に偏った電子状態をとっており、エネルギー的に解裂しやすい。その結果、レーザー彫刻で熱分解されやすくなり(III)彫刻感度が向上するものと考えられる。
本発明の樹脂組成物において(A−1)シランカップリング剤と(B−1)特定ポリマーとの反応が進行し、架橋構造が形成されたことの確認は、以下の方法で行うことができる。
架橋後の膜について“固体13C−NMR”を用いて同定可能である。
(B−1)特定ポリマー中のOH基に直接結合した炭素原子は、(A−1)シランカップリング剤との反応前後で電子的な環境が変化するので、これに伴いピークの位置が変化する。未反応のOH基に直接結合した炭素原子由来のピークと、(A−1)と反応してアルコキシ基になった炭素原子のピーク同士の強度を、架橋前後で比較することで、実際にアルコール交換反応が進行していること及びおおよその反応率を知ることができる。なお、ピークの位置の変化の程度は、用いる(B−1)特定ポリマーの構造により異なるため、この変化は相対的な指標である。
また、他の方法として、架橋前後の膜を溶剤に浸漬して膜の外観の変化を目視観察する方法が挙げられ、この方法によっても架橋の進行を知ることが可能である。
具体的には、樹脂組成物を製膜して、該膜をアセトン中に室温で24時間浸漬し外観を目視観察すると、架橋構造が形成されてない場合や、架橋構造が形成されてもわずかな場合は膜がアセトンに溶解し、外観を留めない程度に変形するか、又は、溶解して目視で固形物が確認できない状態になるが、架橋構造を有する場合には、膜が不溶化して膜の外観がアセトン浸漬前の状態を留めたままとなる。
本発明の樹脂組成物を調製する際に用いる溶媒は、(A)化合物と(B)ポリマーとの反応を速やかに進行させる観点で、主として非プロトン性の有機溶媒を用いることが好ましい。より具体的には、非プロトン性の有機溶媒/プロトン性有機溶媒=100/0〜50/50(重量比)で用いることが好ましい。より好ましくは100/0〜70/30、特に好ましくは100/0〜90/10である。
非プロトン性の有機溶媒の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドである。
プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールである。
本発明の樹脂組成物には、(A)化合物と(B)ポリマーとの架橋構造形成を促進するため、(C)アルコール交換反応触媒を含有することが好ましい。
(C)アルコール交換反応触媒は、シランカップリング反応において一般に用いられる反応触媒であれば、限定なく適用できる。
以下、代表的なアルコール交換反応触媒である(C−1)酸あるいは塩基性触媒、及び、(C−2)金属錯体触媒について順次説明する。
触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物をそのまま用いるか、あるいは水または有機溶剤などの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒と称する)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸、ヘテロポリ酸、無機固体酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類酸化物、四級アンモニウム塩化合物、四級ホスホニウム塩化合物などが挙げられる。
アミン類としては、以下に示す(a)〜(e)の化合物が挙げられる。
(a)ヒドラジン等の水素化窒素化合物;
(b)脂肪族、芳香族または脂環式の第1級、第2級または第3級のモノアミンまたはジアミン、トリアミン等のポリアミン;
(c)縮合環を含む環状アミンであり少なくとも1つの窒素原子が環骨格に含まれるモノアミンまたはポリアミン;
(d)アミノ酸類、アミド類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、イミド類またはラクタム類等の含酸素アミン;
(e)O、S、Se等のヘテロ原子を有する含ヘテロ元素アミン;
アミン類としては、具体的には、ヒドラジン、
第1級アミンとしては;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン類、モノブチルアミン類、モノペンチルアミン類、モノヘキシルアミン類、モノヘプチルアミン類、ビニルアミン、アリルアミン、ブテニルアミン類、ペンテニルアミン類、ヘキセニルアミン類、ペンタジエニルアミン類、ヘキサジエニルアミン類、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、p−メンチルアミン、シクロペンテニルアミン類、シクロヘキセニルアミン類、シクロヘキサジエニルアミン類、アニリン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、ナフチルメチルアミン、トルイジン、トリレンジアミン類、アニゾール、エチレンジアミン、エチレントリアミン、モノエタノールアミン、アミノチオフェン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アミノアセトンなどが挙げられる。
従って、前記塩基性触媒として用いうるアミン類とは、脂肪族または脂環式、飽和または不飽和の炭化水素基;芳香族炭化水素基;含酸素および/または含イオウおよび/または含セレン炭化水素基等が1以上の窒素原子と結合した化合物である。熱架橋後の膜強度の観点から、アミンとして好ましいpKaH(共役酸の酸解離定数)の範囲としては7以上が好ましく、より好ましくは10以上である。
本発明においてアルコール交換反応触媒として用いられる(C−2)金属錯体触媒は、好ましくは、周期律表の2A、3B、4Aおよび5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソまたはヒドロキシ酸素化合物から構成されるものである。
更に、構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素、Ti、Zrなどの4A族元素およびV、NbおよびTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、AlおよびTiから得られる錯体が優れており、好ましい(オルトチタン酸エチルなど)。
上記金属錯体の配位子を構成するオキソまたはヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
樹脂組成物における(C)アルコール交換反応触媒の含有量は、(B)ポリマーに対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
<(B−2)併用バインダーポリマー>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、上記(B)ポリマーに加え、ヒドロキシル基を有しないバインダーポリマーなど(B)ポリマーに包含されない公知のバインダーポリマーを併用することができる。以下、このようなバインダーポリマーを(B−2)併用バインダーポリマーと称する。
(B−2)併用バインダーポリマーは、前記(B)ポリマーとともに、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される主成分を構成するものであり、(B)ポリマーに包含されない一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種又は2種以上を併用して用いることができる。特に、レリーフ形成版原版を印刷版原版に用いる際は、レーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮して選択することが必要である。
このようなポリマーとして、主鎖に炭素−炭素不飽和結合を含むポリマーとしては、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
このように、レリーフ印刷版の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した場合、バインダーポリマーの含有量を5質量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、80質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、支持体上に、前記本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有することを特徴とする。
以下、本発明の樹脂組成物をレリーフ形成層に適用した場合の好ましい態様を説明する。
本発明に係るレリーフ形成層は、本発明の樹脂組成物において必須成分として上述した(A)化合物、(B)ポリマー及び所望により併用される(C)アルコール交換反応触媒や(B−2)併用バインダーポリマーと共に、重合性化合物、光熱変換剤、重合開始剤、可塑剤等の任意成分を含む樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)からなることが好ましい。以下、これらの各成分について詳述する。
本発明においては、レリーフ形成層中に架橋構造を形成する観点から、これを形成するために、レリーフ形成層用塗布液(本発明の樹脂組成物)には、重合性化合物を含有することが好ましい。
ここで用いうる重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜6個有する化合物の中から任意に選択することができる。
本発明に係るレリーフ形成層は、膜中に架橋構造を有することが必要であることから、多官能モノマーが好ましく使用される。これらの多官能モノマーの分子量は、200〜2,000であることが好ましい。
単官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と一価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と一価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置換えた化合物群を使用することも可能である。
重合性化合物としては、特に制限はなく、前記例示した化合物の他、公知の種々の化合物を用いることができ、例えば、特開2009−204962号公報の段落〔0098〕〜〔0124〕に記載の化合物などを使用してもよい。
このように分子内に硫黄原子を有する重合性化合物としては、彫刻感度向上の観点から、特に、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有し、そのうち2つのエチレン性不飽和結合間を連結する部位に炭素−硫黄結合を有する重合性化合物(以下、適宜、「含硫黄多官能モノマー」と称する。)を用いることが好ましい。
また、含硫黄多官能モノマーにおける2つのエチレン性不飽和結合間を連結する炭素−硫黄結合を含有する連結基としては、−C−S−、−C−SS−、−NH(C=S)O−、−NH(C=O)S−、−NH(C=S)S−、及び−C−SO2−から選択される少なくとも1つのユニットを含む連結基であることが好ましい。
一方、分子内に含まれるエチレン性不飽和部位の数は2つ以上であれば特に制限は無く、目的に応じて、適宜選択することができるが、架橋膜の柔軟性の観点で、2個〜10個が好ましく、2個〜6個がより好ましく、2個〜4個が更に好ましい。
また、本発明における含硫黄多官能モノマーは単独で用いてもよいが、分子内に硫黄原子を持たない多官能重合性化合物や単官能重合性化合物との混合物として用いてもよい。
分子内に硫黄原子を有する重合性化合物の具体例としては、例えば、特開2009-255510公報の段落〔0032〕〜〔0037〕に記載のものを例示でき、ここに記載の化合物を本発明に使用してもよい。
彫刻感度の観点からは、含硫黄多官能モノマー単独で用いる、若しくは、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様が好ましく、より好ましくは、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様である。
また、レリーフ形成層中の含硫黄多官能モノマーをはじめとする(D)重合性化合物の総含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、不揮発性成分に対して、10質量%〜60質量%が好ましく、15質量%〜45質量%の範囲がより好ましい。
なお、含硫黄多官能モノマーと他の重合性化合物とを併用する場合、全重合性化合物中の含硫黄多官能モノマーの量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ形成層作製に用いる場合には、さらに(E)重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’ ,4,4’−テトラ−(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’ ,4,4’−テトラ−(ターシャリーアミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’ ,4,4’−テトラ−(ターシャリーヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’ ,4,4’−テトラ−(ターシャリーオクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’ ,4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’ ,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−ターシャリーブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
特に(B)ポリマーのガラス転移温度が室温以上の場合、有機過酸化物の分解に由来して発生した熱が、バインダーポリマーに効率よく伝達され、かつ(B)ポリマーや(B−2)併用バインダーポリマー自体の熱分解に有効に利用されるためより高感度化されるものと推定している。
なお、光熱変換剤の説明において詳述するが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、(B)ポリマー等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
レリーフ形成層中の(E)重合開始剤の含有量は、レリーフ形成層の固形分全質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。重合開始剤の含有量を0.01質量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ、架橋性レリーフ形成層の架橋が速やかに行われる。また、含有量を10質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
本発明に係るレリーフ形成層は、さらに、光熱変換剤を含有することが好ましい。即ち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
本発明の最も好ましい態様としては、前述の如く、(B)ポリマー、さらには、(B−2)併用バインダーポリマーとしてガラス転移温度が20℃以上のものを用い、(E)重合開始剤である(c)有機過酸化物と(F)光熱変換剤であるカーボンブラックとを組み合わせて用いた態様を挙げることができる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)好ましく用いられる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースや高熱伝導性物質、を加えることがより好ましい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。
高熱伝導性物質は、熱伝達を補助する目的で添加され、熱伝導性物質としては、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい導電性ポリマーとしては、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェンが挙げられる。
また、共増感剤を用いることで、レーザー彫刻用樹脂組成物を光硬化させる際の感度を更に向上させることができる。
更に、組成物の製造中或いは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。
レーザー彫刻用樹脂組成物の着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
更に、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化皮膜の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
レリーフ形成層は、前記本発明に係るレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層である。レーザー彫刻用樹脂組成物として架橋性樹脂組成物を用いると、架橋性のレリーフ形成層が得られる。本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版としては、(A)化合物と(B)ポリマーとによる架橋構造に加えて、さらに(D)重合性化合物及び(E)重合開始剤を含有することでさらなる架橋性の機能を付与したレリーフ形成層を有するものが好ましい。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に使用しうる支持体について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。スリーブ状とした場合の好ましい支持体については以下に詳述する。
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料は、レリーフ形成層が架橋された後において接着力を強固にするものであればよく、レリーフ形成層が架橋される前も接着力が強固であることが好ましい。ここで、接着力とは支持体/接着層間及び接着層/レリーフ形成層間の接着力の両者を意味する。
接着層/レリーフ形成層の接着力は、接着層/レリーフ形成層から接着層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。
レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、鹸化度60〜99モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物(レーザー彫刻用樹脂組成物)を調製し、このレリーフ形成層用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体表面や版胴上に、溶融押し出しする方法が挙げられる。あるいは、支持体上に形成する場合には、レリーフ形成層用塗布液組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
レリーフ形成層をスリーブ状とする場合、当初からレリーフ形成層自体を円筒状に成形してもよく、また、まずシート状に成型したのち、円筒状支持体や版胴上に固定することで円筒状とすることもできる。円筒状支持体への固定方法には特に制限はなく、例えば、両面に接着層、粘着層などが形成された粘着テープによる固定、或いは、接着剤層を介する固定などを行うことができる。
本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法は、(1)本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を活性光線の照射及び/又は加熱により架橋する工程、及び(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むことが好ましい。本発明のレリーフ印刷版原版を用いて、このような製造方法により、レリーフ層を有するレリーフ印刷版を製造することができる。本発明のレリーフ印刷版原版が、支持体を備える場合、このようなレリーフ層は、支持体表面に形成され、これを印刷装置に適用して印刷を行う。
工程(3): 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程(リンス工程)。
工程(4): 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程(乾燥工程)。
工程(5): 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層をさらに架橋する工程(後架橋工程)。
工程(1)レリーフ形成層の架橋において、光により架橋する工程と、熱により架橋する工程とが併用される場合には、これらの工程は、互いに同時工程でも別時工程としてもよい。
レリーフ形成層は、(A)化合物、(B)ポリマー、好ましくは、さらに、(B−2)併用バインダーポリマー、光熱変換剤、重合開始剤、及び重合性化合物を含むものであり、工程(1)は重合開始剤の作用で重合性の化合物をポリマー化し、(A)化合物と(B)ポリマーとの架橋構造に加え、さらに高密度に架橋を形成して、レリーフ形成層を、硬化されたレリーフ形成層とする工程である。
重合開始剤はラジカル発生剤であることが好ましく、該ラジカル発生剤は、ラジカルを発生するきっかけが光か熱かによって、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。
活性光線の照射は、レリーフ形成層全面に行うのが一般的である。活性光線としては可視光、紫外光あるいは電子線が挙げられるが、紫外光が最も一般的である。レリーフ形成層の支持体等、レリーフ形成層を固定化するための基材側を裏面とすれば、表面に活性光線を照射するだけでもよいが、用いられる支持体が活性光線を透過する透明なフィルムであれば、さらに裏面からも活性光線を照射することも好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、架橋性レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
工程(1)が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加え得る。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤として使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
具体的には、架橋されたレリーフ形成層に対して形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。赤外レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、感光層中の分子は分子切断あるいはイオン化されて選択的な除去、すなわち彫刻がなされる。このとき、レリーフ形成層中の光熱変換剤によっても露光領域が発熱するため、この光熱変換剤により発生した熱もまた、この除去性を促進する。
レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は浅くあるいはショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
なかでも光熱変換剤の極大吸収波長に対応した赤外レーザーで彫刻する場合に、前述の光熱変換剤からの発熱が効率よく行われるために、より高感度かつシャープなレリーフ層が得られる。
彫刻に用いられる赤外レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましく用いられ、なかでも、以下に詳述するファイバー付き半導体赤外線レーザーが特に好ましく用いられる。
一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。ビーム径の制御は、結像レンズ、特定の光ファイバーを用いて行われる。ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため本発明における画像形成には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法に好適に使用しうるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本願出願人が提出した特願2008−15460号明細書、特願2008−58160号明細書に詳細に記載され、これを本発明に係るレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
GaAsのバンドギャップが室温で860nmであるため、860nm未満の領域では、一般的に、活性層がAlGaAs系のものが用いられる。一方、860nm以上では半導体活性層材料がInGaAs系のものが用いられる。一般にAlは酸化されやすいためInGaAs系材料を活性層に持つ半導体レーザーの方がAlGaAs系より信頼性が高いため860nm〜1200nmが望ましい。
さらに実用的な半導体レーザーとしては、活性層材料のみならずクラッド材料の組成なども考慮すると、InGaAs系材料を活性層に持つ半導体レーザーでは、さらに好ましい態様としては、波長が900nm〜1100nmの範囲において、より高出力で高信頼なものが得られやすい。従って波長900nm〜1100nmのInGaAs系の材料を活性層に持つファイバー付き半導体レーザーを用いることにより、本発明の効果である低コスト、高生産性を達成し易い。
安価で高生産で、且つ、画質の良好なレーザー彫刻レリーフ印刷システムを実現するためには、本発明に規定するようなレーザー彫刻用樹脂組成物を用いたレリーフ形成層を備えたレリーフ印刷版原版を用いるとともに、前記の如き特定波長の半導体レーザーであって、且つ、ファイバー付き半導体レーザーを用いることが好ましい。
彫刻表面にリンス工程(3)を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる工程(4)を追加することが好ましい。
さらに、必要に応じてレリーフ形成層をさらに架橋させる工程(5)を追加してもよい。追加の架橋工程(5)(後架橋処理)を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
なお、実施例におけるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、特にことわらない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(B)ポリマーとして「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業製、ポリビニルブチラール誘導体 Mw=9万)50g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47gを入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を40℃にし、さらに(D)重合性化合物(多官能体)としてモノマー(M−1)(下記構造)を15g、重合性化合物(単官能体:ラウリルメタクリレート)としてブレンマーLMA(日油製)8g、(E)重合開始剤としてt-ブチルパーオキシベンゾエート(商品名:パーブチルZ、日油製)を1.6g、(F)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1g、を添加して30分間撹拌した。その後、(A)化合物(S−1)〔以下に、構造を示す。商品名、KBE−846として信越化学(株)より入手可能〕を15gおよび(C)触媒としてリン酸0.4g、を添加し、40℃で10分間攪拌した。この操作により、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)を得た。
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で3時間乾燥させて、厚さが凡そ1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1を作製した。
得られた原版のレリーフ形成層を80℃で3時間、さらに100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋した。
架橋後のレリーフ形成層に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻した。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、レーザー照射による彫刻を、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ(KEYENCE(株)製)を用いた。レーザー彫刻用印刷版原版1から保護フィルムを剥離後、炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長 915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、75°であった。なお、ショア硬度Aの測定は、後述する各実施例及び比較例においても同様に行った。
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1で用いた(A)化合物、(B)ポリマー及び(D)重合性化合物(多官能体)を、下記表1〜表6に記載の(A)化合物、(B)ポリマー又は比較バインダーポリマー、(D)重合性化合物に変更し、併用する(C)アルコール交換反応触媒を表1〜表6に示すように代えた以外は、実施例1と同様にして、架橋性レリーフ形成層用塗布液(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)2〜50、比較架橋性レリーフ形成層用塗布液(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)C1〜C5を調製した。
特定ポリマー1:デンカブチラール#3000−2(電気化学工業製、ポリビニルブチラール誘導体 Mw=9万)
特定ポリマー2:アクリル樹脂:シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 70/30(モル%)、Mw=5万)(表中に「アクリル樹脂※1」と記載)
特定ポリマー3:ノボラック樹脂:オクチルフェノールとホルムアルデヒド(50/50モル%)から得られるノボラック樹脂(Mw=2万)(表中に「ノボラック樹脂※2」と記載)
比較ポリマー1:TR2000(JSR製、スチレン−ブタジエン共重合体)
比較ポリマー2:ポリウレタン樹脂:トリレンジイソシアネート/ポリプロピレングリコール(平均分子量2000) 50/50(モル%)Mw=9万)(表中に「ポリウレタン※3」と記載)
(C)触媒は、「リン酸(和光純薬製)」、「メタンスルホン酸(和光純薬製)」、「オルトチタン酸エチル(和光純薬製)」、「p−トルエンスルホン酸(和光純薬製)」、「1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬製)」と「1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(和光純薬製)」、「ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(和光純薬製)」「ヘキサメチレンテトラミン(和光純薬製)」、「トリエチルアミン(和光純薬製)」「1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(和光純薬製)」、「N,N−ジメチルアニリン(和光純薬製)」、「エポミン SP−006(日本触媒製)」である。
(D)重合性化合物であるモノマー(M−1)、(M−2)、(M−3)は前記構造の化合物である。
撹拌羽および冷却管をつけた100mLの3つ口フラスコ中に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業製) 20.34g、2−ブタノン(和光純薬製)7.50gを入れ、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(2,2,4−置換体と2,4,4−置換体の混合物、東京化成工業製)9.66gを室温下で30分かけて滴下した。滴下後、室温下で1時間攪拌し、その後、減圧下で2−ブタノンを除去することで、(A)化合物(S−26:上記構造の2種の混合物)(29.54g)を得た。得られた(A)化合物(S−26)の構造は、1H NMRにより同定した。
撹拌羽および冷却管をつけた100mLの3つ口フラスコ中に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業製)18.68g、2−ブタノン(和光純薬製)7.50gを入れ、1,9−ビス(アクリロイルオキシ)ノナン(東京化成工業製)11.32gを室温下で30分かけて滴下した。滴下後、70℃に昇温し4時間攪拌した後、減圧下で2−ブタノンを除去することで、(A)化合物(S−27:上記構造)(29.18g)を得た。得られた(A)化合物(S−27)の構造は、1H NMRにより同定した。
撹拌羽および冷却管をつけた100mLの3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−4(新中村化学工業製)15.54g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬製)0.06gを入れ、KBE−803(信越化学工業製)14.46gを室温下で30分かけて滴下した。滴下後、室温下で2時間攪拌することで、(A)化合物(S−30:上記構造)(29.42g)を得た。得られた(A)化合物(S−30)の構造は、1H NMRにより同定した。
(合成例3−2:(S−30)の合成)
撹拌羽および冷却管をつけた100mLの3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−4(新中村化学工業製)15.54g、エポミンSP−006(日本触媒製)0.06gを入れ、KBE−803(信越化学工業製)14.46gを室温下で30分かけて滴下した。滴下後、室温下で2時間攪拌することで、(A)化合物(S−30)(29.11g)を得た。得られた(A)化合物(S−30)の構造は、1H NMRにより同定した。
撹拌羽および冷却管をつけた100mLの3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−4(新中村化学工業製)15.54g、KBE−803(信越化学工業製)14.46g、2−ブタノン(和光純薬製)30.00g、V−65(和光純薬製)0.10gを入れ、70℃に昇温し4時間攪拌した。反応後、減圧下で2−ブタノンを除去することで、(A)化合物(S−30)(29.38g)を得た。得られた(A)化合物(S−30)の構造は、1H NMRにより同定した。
実施例1における架橋性レリーフ形成層用塗布液1を、架橋性レリーフ形成層用塗布液2〜50、比較架橋性レリーフ形成層用塗布液C1〜C3に各々変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜45及び比較例のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C1〜C5を得た。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜50、C1〜C5のレリーフ形成層を、実施例1と同様にして、熱架橋した後、彫刻してレリーフ層を形成することにより、実施例のレリーフ印刷版2〜50、比較例のレリーフ印刷版C1〜C5を得た。
これらのレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
以下の項目でレリーフ印刷版の性能評価を行い、結果を表1〜表6に併記する。
(4−1)彫刻深さ
レリーフ印刷版原版1〜50、C1〜C5が有するレリーフ形成層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果は、彫刻に用いたレーサーの種類毎に表1〜表6に示す。
レーザー彫刻した版を水に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(ライオン社製、クリニカハブラシ フラット)で10回こすった。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。カスがないものを◎、殆どないものを○、少し残存しているものを△、カスが除去できていないものを×とした。
(4−3)膜弾性
レリーフ印刷版原版1〜50、C1〜C5が有するレリーフ形成層の膜弾性を、微小硬度計〔ダイナミック硬度計(島津製作所社製)〕を用いて、試験荷重:1.0mN、負荷速度:0.023699mN/sec、保持時間:5秒、変異スケール:10μmの測定条件で測定し、押し込み前後の塑性変形率にて表した。測定は3回行い、その平均値を記載した。
(4−4)耐刷性
得られたレリーフ印刷版を印刷機(ITM−4型、伊予機械製作所製)にセットし、インクとして、水性インキ アクアSPZ16紅(東洋インキ)を希釈せずに用いて、印刷紙として、フルカラーフォームM 70(日本製紙製、厚さ100μm)を用いて印刷を継続し、ハイライト1〜10%を印刷物で確認した。印刷されない網点が生じたところを刷了とし、刷了時までに印刷した紙の長さ(メートル)を指標とした。数値が大きいほど耐刷性に優れると評価する。
(4−5)インキ転移性
上記耐刷性の評価において、印刷開始から500mおよび1000mにおける印刷物上のベタ部のインキの付着度合いを目視で比較した。
濃度ムラなく均一なものを○、ムラがあるものを×、○と×の中間の程度を△とした。
なお、実施例1〜3と実施例4〜6との対比により、(A)化合物として分子内にS原子を含有するものは、彫刻深さがさらに深くなり、感度が向上していることがわかる。
また、同じレリーフ印刷版原版を用いた場合、ファイバー付き半導体レーザーを備え、光源としてFC−LDを用いた製版装置を用いることで、彫刻深さをさらに改良しうることがわかる。
Claims (21)
- (A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物と、(B)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基を有するバインダーポリマーと、を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物が、加水分解性シリル基を2つ以上有する化合物である請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物における加水分解性シリル基が、Si原子にアルコキシ基またはハロゲン原子が少なくとも1つ直接結合した加水分解性シリル基である請求項1又は請求項2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物が、シランカップリング剤である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(B)バインダーポリマーにおける加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基が、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シラノール基、及び、加水分解性シリル基から選択される少なくとも1種である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(B)バインダーポリマーにおける加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基が、ヒドロキシル基である請求項5に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(B)バインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以上200℃未満である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(B)バインダーポリマーが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール及びその誘導体からなる群より選択される1種以上である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記(B)バインダーポリマーが、ポリビニルブチラール及びその誘導体から選ばれる1種以上である請求項8に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- さらに(C)アルコール交換反応触媒を含有する請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- さらに(D)重合性化合物を含有する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- さらに(E)重合開始剤を含有する請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- さらに(F)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いてなり、前記(A)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物と、(B)加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種と反応して架橋構造を形成しうる官能基を有するバインダーポリマーにより形成された架橋構造を有するレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- 請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレーザー彫刻用樹脂組成物層を光及び/又は熱により架橋して形成された、架橋構造を有するレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- (1)請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレーザー彫刻用樹脂組成物層を形成する工程、及び(2)該レーザー彫刻用樹脂組成物層を光及び/又は熱により架橋して、架橋されたレリーフ形成層を形成する工程、をこの順に有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。
- 前記(2)工程が、前記レーザー彫刻用樹脂組成物層を熱により架橋する工程である請求項16に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。
- (1)請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレーザー彫刻用樹脂組成物層を形成する工程、(2)該レーザー彫刻用樹脂組成物層を光及び/又は熱により架橋して、架橋されたレリーフ形成層を形成する工程、及び、(3)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、をこの順に有するレリーフ印刷版の製造方法。
- 請求項18に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
- 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である請求項19に記載のレリーフ印刷版。
- 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である請求項19又は請求項20に記載のレリーフ印刷版。
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