JP5393438B2 - 熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版及びその製造方法、並びに、レリーフ印刷版及びその製版方法 - Google Patents

熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版及びその製造方法、並びに、レリーフ印刷版及びその製版方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版及びその製造方法、並びに、レリーフ印刷版及びその製版方法に関する。
従来、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等を使用した疎水性のレーザー彫刻型印刷版が用いられている(特許文献1等参照。)。レーザー彫刻により発生する彫刻カスのリンス性を向上させる技術としては、レリーフ形成層に多孔質無機微粒子を含有させ、該粒子に液状カスを吸着させ、除去性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、レーザー彫刻可能な感光性樹脂組成物中に、有機ケイ素化合物を含有させることで彫刻後のカス残率が減り(カスが付きにくくなり)、有機溶剤を含浸させた布で彫刻カスを拭き取りやすくなることが示されている(特許文献3参照。)。
特開平11−338139号公報 特開2004−174758号公報 国際公開第2005/070691号パンフレット
特許文献2に記載された方法では、粒子を含有しているため彫刻形状(エッジ形状)が良くないという問題点があり、画質低下を引き起こす。
また、特許文献3に記載された方法では、有機溶剤を使用して粘着性カスを除去しており、環境適性に優れた水系で粘着性カスを除去することは困難である。
本発明の目的は、硬度、膜弾性、耐刷性及び水性インキ転移性に優れるレリーフ印刷版を得ることができ、印刷版のレーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性及びレーザー彫刻における彫刻感度に優れる熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、前記熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたレリーフ印刷版原版、それを用いたレリーフ印刷版の製版方法、及び、それにより得られたレリーフ印刷版を提供することである。
本発明の上記課題は以下の<1>、<11>〜<14>及び<16>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<10>、<15>、<17>及び<18>と共に以下に記載する。
<1>(成分A)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物と、(成分B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体と、を含有し、少なくとも、(成分C)硫黄原子を有する加硫剤を更に含有するか、又は、前記成分Aが硫黄原子を更に有する化合物であることを特徴とする熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<2>前記加水分解性シリル基が、Si原子にアルコキシ基又はハロゲン原子が少なくとも1つ直接結合した残基である、上記<1>に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<3>前記成分Aが、分子内に硫黄原子、エステル結合、ウレタン結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた原子又は結合の少なくとも1種を更に有する化合物である、上記<1>又は<2>に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<4>前記エーテル結合が、オキシアルキレン基に含まれるエーテル結合である、上記<3>に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<5>(成分D)加硫促進剤を更に含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<6>前記成分Bのガラス転移温度(Tg)が、20℃以下である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<7>前記成分Bが、天然ゴム(NR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソブチレン(ブチルゴム、IIR)、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)よりなる群から選択された1種以上の重合体である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<8>(成分E)香料を更に含有する、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<9>(成分F)700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を更に含有する、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<10>(成分G−1)重合性化合物及び(成分G−2)熱重合開始剤を更に含有する、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、
<11>上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有することを特徴とするレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<12>上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を熱架橋した架橋レリーフ形成層を有することを特徴とするレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<13>上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、及び、前記レリーフ形成層を熱架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、を含むことを特徴とするレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法、
<14>上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、前記レリーフ形成層を熱架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、及び、前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、を含むことを特徴とするレリーフ印刷版の製版方法、
<15>彫刻後のレリーフ層表面を水系リンス液によりリンスするリンス工程を更に含む、上記<14>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<16>上記<14>又は<15>に記載のレリーフ印刷版の製版方法により製造されたレリーフ層を有することを特徴とするレリーフ印刷版、
<17>前記レリーフ層の厚さが、0.05mm以上10mm以下である、上記<16>に記載のレリーフ印刷版、
<18>前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である、上記<16>又は<17>に記載のレリーフ印刷版。
本発明によれば、硬度、膜弾性、耐刷性及び水性インキ転移性に優れるレリーフ印刷版を得ることができ、印刷版のレーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性及びレーザー彫刻における彫刻感度に優れる熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、前記熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたレリーフ印刷版原版、それを用いたレリーフ印刷版の製版方法、及び、それにより得られたレリーフ印刷版を提供することができた。
以下、本発明について詳細に説明する。
(熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物)
本発明の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に「レーザー彫刻用樹脂組成物」又は「樹脂組成物」ともいう。)は、(成分A)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物と、(成分B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体と、を含有し、少なくとも、(成分C)硫黄原子を有する加硫剤を更に含有するか、又は、前記成分Aが硫黄原子を更に有する化合物であることを特徴とする。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高く、彫刻カスのリンス性に優れることから、レリーフ層を形成し製版する時間を短縮することができる。このような特徴を有する本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻が施されるレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層用途以外にも、特に限定なく、他の用途にも広範囲に適用することができる。例えば、以下に詳述する凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷版原版のレリーフ形成層のみならず、表面に凹凸や開口部を形成する他の材形、例えば、凹版、孔版、スタンプ等、レーザー彫刻により画像形成される各種印刷版や各種成形体の形成に適用することができる。
中でも、適切な支持体上に設けられるレリーフ形成層の形成に適用することが好ましい態様である。
なお、本明細書では、レリーフ印刷版原版の説明に関し、バインダーポリマー(成分B)を含有し、レーザー彫刻に供する画像形成層としての、表面が平坦な層であり、かつ未架橋の架橋性層をレリーフ形成層と称し、前記レリーフ形成層を架橋した層を架橋レリーフ形成層と称し、これをレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層をレリーフ層と称する。
以下、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成成分について説明する。
<(成分A)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物に用いられる(成分A)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物(以下、適宜、「成分A」と称する。)における「加水分解性シリル基」とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は下記式(1)で表されるものが好ましい。
Figure 0005393438
前記式(1)中、R1〜R3の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基よりなる群から選択される加水分解性基、又は、ヒドロキシル基を表す。残りのR1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、1価の有機置換基(例えば、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基を挙げることができる。)を表す。
前記式(1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、更に好ましくは炭素数1〜5、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
また、ハロゲン原子としては、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子であり、より好ましくはCl原子である。
本発明における成分Aは、前記式(1)で表される基を1つ以上有する化合物であることが好ましく、2つ以上有する化合物であることがより好ましい。特に加水分解性シリル基を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。すなわち、分子内に加水分解性基が結合したケイ素原子を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。成分A中に含まれる加水分解性基が結合したケイ素原子の数は、2以上6以下が好ましく、2又は3が最も好ましい。
前記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜4個の範囲で結合することができ、式(1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であることが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
好ましい前記アルコキシ基として、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などを挙げることができる。これらの各アルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよいし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジアルコキシモノアルキルシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシジアルキルシリル基を挙げることができる。
成分Aは、硫黄原子、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、ウレア結合、又は、イミノ基を少なくとも有することが好ましい。
中でも、成分Aは、架橋性の観点から、硫黄原子を含有することが好ましく、また、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、アルカリ水で分解しやすいエステル結合、ウレタン結合、又は、エーテル結合(特にオキシアルキレン基に含まれるエーテル結合)を含有することが好ましい。硫黄原子を含有する成分Aは、加硫処理時に、加硫剤や加硫促進剤として機能し、(B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体の反応(架橋)を促進する。その結果、印刷版として必要なゴム弾性を発現させる。また、架橋レリーフ形成層及びレリーフ層の強度を向上させる。
また、本発明における成分Aは、エチレン性不飽和結合を有していない化合物であることが好ましい。
本発明における成分Aは、複数の前記式(1)で表される基が二価の連結基を介して結合している化合物が挙げられ、このような二価の連結基としては、効果の観点からスルフィド基(−S−)、イミノ基(−N(R)−)、又は、ウレタン結合(−OCON(R)−又は−N(R)COO−)を有する連結基が好ましい。なお、Rは水素原子又は置換基を表す。Rにおける置換基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、又は、アラルキル基が例示できる。
成分Aの合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。一例として、上記特定構造を有する連結基を含む成分Aの代表的な合成方法を以下に示す。
<連結基としてスルフィド基を有し、かつ加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の合成法>
連結基としてスルフィド基を有する成分A(以下、適宜、「スルフィド連結基含有成分A」と称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Aと硫化アルカリの反応、メルカプト基を有する成分Aとハロゲン化炭化水素の反応、メルカプト基を有する成分Aとハロゲン化炭化水素基を有する成分Aの反応、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Aとメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Aとメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Aとメルカプト基を有する成分Aの反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とメルカプト基を有する成分Aの反応、ケトン類とメルカプト基を有する成分Aの反応、ジアゾニウム塩とメルカプト基を有する成分Aの反応、メルカプト基を有する成分Aとオキシラン類との反応、メルカプト基を有する成分Aとオキシラン基を有する成分Aの反応、及び、メルカプタン類とオキシラン基を有する成分Aの反応、メルカプト基を有する成分Aとアジリジン類との反応等の合成方法が例示できる。
<連結基としてイミノ基を有し、かつ加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の合成法>
連結基としてイミノ基を有する成分A(以下、適宜、「イミノ連結基含有成分A」と称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する成分Aとハロゲン化炭化水素の反応、アミノ基を有する成分Aとハロゲン化炭化水素基を有する成分Aの反応、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Aとアミン類の反応、アミノ基を有する成分Aとオキシラン類との反応、アミノ基を有する成分Aとオキシラン基を有する成分Aの反応、アミン類とオキシラン基を有する成分Aの反応、アミノ基を有する成分Aとアジリジン類との反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Aとアミン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Aとアミノ基を有する成分Aの反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とアミノ基を有する成分Aの反応、アセチレン性不飽和三重結合を有する化合物とアミノ基を有する成分Aの反応、イミン性不飽和二重結合を有する成分Aと有機アルカリ金属化合物の反応、イミン性不飽和二重結合を有する成分Aと有機アルカリ土類金属化合物の反応、及び、カルボニル化合物とアミノ基を有する成分Aの反応等の合成方法が例示できる。
<連結基としてウレタン結合(ウレイレン基)を有し、かつ加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物の合成法>
連結基としてウレイレン基を有する成分A(以下、適宜、「ウレイレン連結基含有成分A」と称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する成分Aとイソシアン酸エステル類の反応、アミノ基を有する成分Aとイソシアン酸エステルを有する成分Aの反応、及び、アミン類とイソシアン酸エステルを有する成分Aの反応等の合成方法が例示できる。
成分Aとしては、下記式(A−1)又は式(A−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005393438
(式(A−1)及び式(A−2)中、RBはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、又は、イミノ基を表し、L1はn価の連結基を表し、L2は二価の連結基を表し、Ls1はm価の連結基を表し、L3は二価の連結基を表し、n及びmはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、R1〜R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は、一価の有機置換基を表す。ただし、R1〜R3の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基よりなる群から選択される加水分解性基、又は、ヒドロキシル基を表す。)
前記式(A−1)及び式(A−2)におけるR1〜R3は、前記式(1)におけるR1〜R3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記RBは、リンス性及び膜強度の観点から、エステル結合又はウレタン結合であることが好ましく、エステル結合であることがより好ましい。
前記L1〜L3における二価又はn価の連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子から構成された基であることがより好ましい。前記L1〜L3の炭素数は、2〜60であることが好ましく、2〜30であることがより好ましい。
前記Ls1におけるm価の連結基は、硫黄原子と、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子とから構成された基であることが好ましく、アルキレン基、又は、アルキレン基、スルフィド基及びイミノ基を2以上組み合わせた基であることがより好ましい。前記Ls1の炭素数は、2〜60であることが好ましく、6〜30であることがより好ましい。
前記n及びmはそれぞれ独立に、1〜10の整数であることが好ましく、2〜10の整数であることがより好ましく、2〜6の整数であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。
1のn価の連結基及び/若しくはL2の二価の連結基、又は、L3の二価の連結基は、彫刻カスの除去性(リンス性)の観点から、エーテル結合を有することが好ましく、オキシアルキレン基に含まれるエーテル結合を有することがより好ましい。
式(A−1)又は式(A−2)で表される化合物の中でも、架橋性等の観点から、式(A−1)において、L1のn価の連結基及び/又はL2の二価の連結基が硫黄原子を有する基であることが好ましい。
本発明に適用しうる成分Aの具体例を以下に示す。例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)デカン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ウレア、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、トリメチルシラノール、ジフェニルシランジオール、トリフェニルシラノール等を挙げることができる。その他にも、以下に示す化合物が好ましいものとして挙げられるが、本発明はこれらの化合物に制限されるものではない。
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
前記各式中、Rは以下の構造から選択される部分構造を表す。分子内に複数のR及びR1が存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、合成適性上は、同一であることが好ましい。
Figure 0005393438
Figure 0005393438
前記各式中、Rは以下に示す部分構造を表す。R1は前記したものと同義である。分子内に複数のR及びR1が存在する場合、これらは互いに同じでも異なっていてもよく、合成適性上は、同一であることが好ましい。
Figure 0005393438
成分Aは、適宜合成して得ることも可能であるが、市販品を用いることがコストの面から好ましい。成分Aとしては、例えば、信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ(株)、チッソ(株)等から市販されているシラン製品、シランカップリング剤などの市販品がこれに相当するため、本発明の樹脂組成物に、これら市販品を、目的に応じて適宜選択して使用してもよい。
本発明における成分Aとして、加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を1種用いて得られた部分加水分解縮合物、又は、2種以上用いて得られた部分共加水分解縮合物を用いることができる。以下、これらの化合物を「部分(共)加水分解縮合物」と称することがある。
部分(共)加水分解縮合物前駆体としてのシラン化合物の中でも、汎用性、コスト面、膜の相溶性の観点から、ケイ素上の置換基としてメチル基及びフェニル基から選択される置換基を有するシラン化合物であることが好ましく、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい前駆体として例示される。
この場合、部分(共)加水分解縮合物としては、上記したようなシラン化合物の2量体(シラン化合物2モルに水1モルを作用させてアルコール2モルを脱離させ、ジシロキサン単位としたもの)〜100量体、好ましくは2〜50量体、更に好ましくは2〜30量体としたものが好適に使用できるし、2種以上のシラン化合物を原料とする部分共加水分解縮合物を使用することも可能である。
なお、このような部分(共)加水分解縮合物は、シリコーンアルコキシオリゴマーとして市販されているものを使用してもよく(例えば、信越化学工業(株)などから市販されている。)、また、常法に基づき、加水分解性シラン化合物に対し当量未満の加水分解水を反応させた後に、アルコール、塩酸等の副生物を除去することによって製造したものを使用してもよい。製造に際しては、前駆体となる原料の加水分解性シラン化合物として、例えば、上記したようなアルコキシシラン類やアシロキシシラン類を使用する場合は、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、トリエチルアミン等のアルカリ性有機物質等を反応触媒として部分加水分解縮合すればよく、クロロシラン類から直接製造する場合には、副生する塩酸を触媒として水及びアルコールを反応させればよい。
本発明の樹脂組成物における成分Aは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物中に含まれる成分Aの含有量は、固形分換算で、0.1〜80質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%の範囲であり、最も好ましくは5〜30質量%の範囲である。
<(成分B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体>
本発明の樹脂組成物は、(成分B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体(以下、適宜「成分B」と称する。)を含有する。
本発明の樹脂組成物における成分Bとしては、共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体等が挙げられる。
上記の共役ジエン系炭化水素としては、具体的には、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記のモノオレフィン系不飽和化合物としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、メタアクリルアミド酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アクリル酸、メタアクリル酸等が挙げられる。
上記の共役ジエン系炭化水素を重合させて得られる重合体又は共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体としては、特に限定されず、具体的にはブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンイソプレン重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−クロロプレン共重合体、メタアクリル酸エステルと前記共役ジエンの共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー等が挙げられる。これらの重合体は、乳化重合させてもよいし、また、溶液重合させてもよい。
中でも、柔軟性とゴム弾性発現の点からガラス転移温度(Tg)が20℃以下のポリマーであることが好ましい。このようなガラス転移温度を有するバインダーポリマーを以下、エラストマーと称する。エラストマーは、ガラス転移温度が常温以下のポリマーであるとして学術的に定義されている(科学大辞典 第2版、編者:国際科学振興財団、発行:丸善株式会社、P154参照)。具体的には、天然ゴム(NR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソブチレン(ブチルゴム、IIR)、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)等が挙げられる。中でも、コストの点から、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムが好ましい。
本発明で使用される天然ゴムとしては、ゴムの樹液を酸で凝固させ、水洗、乾燥したいわゆる生ゴムを挙げることができる。また、ラテックスのままでゴム分が60〜70%にまで濃縮したものを用いることもできる。
本発明の樹脂組成物における成分Bは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いうる樹脂組成物における成分Bの好ましい含有量は、塗膜の形態保持性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、全固形分中、2〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜80質量%である。
本発明における成分Bの重量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算)は、0.5万〜50万が好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であれば、単体樹脂としての形態保持性に優れ、50万以下であれば、水など溶媒に溶解しやすくレリーフ形成層を調製するのに好都合である。重合体の重量平均分子量は、より好ましくは1万〜40万、特に好ましくは1.5万〜30万である。
<(成分C)硫黄を含有する加硫剤>
本発明の樹脂組成物は、少なくとも、(成分C)硫黄を含有する加硫剤(以下、適宜「成分C」と称する。)を含有するか、又は、前記成分Aが硫黄原子を更に有する化合物であるが、(成分C)硫黄を含有する加硫剤を含有することが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、前記成分Aが硫黄原子を更に有する化合物である場合であっても、成分Cを含有していてもよい。
ゴム組成物の加硫に関しては、加硫剤及び加硫促進剤を併用して加硫(架橋)させることで効率的に加硫反応を起こすことが知られている。また、かかる加硫反応において、元素状硫黄(遊離硫黄)、又は、硫黄供与性有機加硫剤が使用される。
硫黄供与性有機加硫剤としては、モルホリンジスルフィド、ジチオジカプロラクタム、アルキルフェノール・ジスルフィド、ポリマー性ポリスルフィド等が用いられる。
本発明における成分Cとしては、特に限定されるものではなく、元素状硫黄、有機加硫剤が挙げられるが、好ましくは元素状硫黄である。
また、かかる成分Cの配合量としては、ゴム成分(成分B)100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物において必須成分として上述した成分A、成分B及び所望により併用される成分Cと共に、必要に応じて、加硫促進剤、香料、光熱変換剤、重合性化合物、重合開始剤等の任意成分を含むことが好ましい。
以下、これらの各成分について詳述する。
<(成分D)加硫促進剤>
本発明の樹脂組成物は、成分Cによる成分Bへの加硫(架橋)反応の促進や加硫度の調節のため、(成分D)加硫促進剤を含有することが好ましい。
本発明における加硫促進剤としては、特に限定されるものではなく、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラム系、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩系、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系が挙げられる。中でも、チアゾール系、スルフェンアミド系の加硫促進剤であることが好ましい。更に、成分Aが硫黄原子を含む場合、加硫剤又は加硫促進剤を兼ねてもよい。
本発明の樹脂組成物は、ゴム成分(成分B)100質量部に対して、成分Dを、加硫性能の点から、0.1〜10質量部配合してなることが好ましく、0.5〜5質量部配合してなることが更に好ましい。
<(成分E)香料>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、臭気を低減させるために、(成分E)香料を含有することが好ましい。香料は、レリーフ印刷版原版の製造時やレーザー彫刻時の臭気を低減させるのに有効である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分E)香料を含有することにより、製造中に塗布した液状樹脂組成物を乾燥する際、揮発する溶剤臭をマスクすることができる。また、レーザー彫刻する際に発生するアミン臭やケトン臭、アルデヒド臭、樹脂の鼻につく焦げ臭さなどの不快臭をマスクすることができる。
また、香料は、硫黄の臭気を低減することにも効果的であるため、硫黄原子を有する化合物を含む本発明の樹脂組成物において有用である。
香料としては、公知の香料を適宜選択して用いることができ、香料を1種単独で用いることもできるし、複数の香料を組み合わせて使用することもできる。
香料は、樹脂組成物に使用する前記シラン化合物、前記加硫剤、前記重合体等によって、適宜選択することが好ましく、公知の香料を組み合わせて最適化することが好ましい。香料としては、「合成香料−化学と商品知識−」(印藤元一著、(株)化学工業日報社発行)、「香料化学入門」(渡辺昭次著、(株)培風館出版)、「香りの百科」(日本香料協会編、(株)朝倉書店出版)、「香料化学総覧II 単離香料・合成香料・香料の応用」((株)廣川書店発行)に記載されている香料が挙げられる。
また、本発明に用いることができる香料としては、特開2009−203310号公報の段落0012〜0025に記載された香料が例示できる。
中でも、香料として、テルペン系炭化水素、テルペン系アルコール、テルペン類のオキサイド、テルペン系アルデヒド、テルペン系ケトン、テルペン系カルボン酸、テルペン系ラクトン、テルペン系カルボン酸エステル等のテルペン化合物及び/又は脂肪族エステル、フラン系カルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸族エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル化合物を使用することが好ましい。
また、本発明における香料として、耐熱性香料を用いることが好ましい。耐熱性香料を用いることにより、レーザー彫刻時において芳香を発散することにより樹脂の分解による悪臭をマスキングし、しかも、常温においてはほとんど芳香を発散せず長期保存の可能な(架橋)レリーフ形成層及びレリーフ層とすることができる。
ここで、耐熱性香料とは、レーザー彫刻作業時において芳香を発散することにより樹脂の分解等による悪臭をマスキングし、かつ、常温においてはほとんど芳香を発散せず長期保存が可能である香料のことをいう。
耐熱性香料として、具体的には、以下に示すような、ヘリオトロープ系、ジャスミン系、ローズ系、オレンジフラワー系、アンバー系、及び、ムスク系よりなる群から選ばれた1種以上の香料成分が好ましく使用される。
また、さらに具体的な香料として、下記のパチュリ油を主体とするオリエンタルベースに、下記のローズ系、アンバー系、ムスク系、及び、ジャスミン系よりなる群から選ばれる香料成分を、溶剤のジオクチルフタレート(DOP)と共に上乗せしたタブ(TABU)タイプの香料がある。
オリエンタルベース:パチュリ油、ハーコリン(メチルアビエテート・methylabietate)、バニリン、エチルバニリン、クマリン
ローズ系香料成分:フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、イソ−ボルニルメトキシシクロヘキサノール(iso-Bornyl methoxycyclohexanol)
アンバー系香料成分:テトラハイドロパラメチルキノリン
ムスク系香料成分:ガラクソリッド、ムスクケトン
ジャスミン系香料成分:α−アミルシンナムアルデヒド、メチルジヒドロジャスモネート
また、下記のヘリオトロープ系の香料成分を主香調とし、ジャスミン系の香料成分、さらに、高調性、拡散性を付与するため、ローズ系の香料成分やオレンジフラワー系の香料成分を、溶媒のDOPと一緒に加えたアメシスト(AMETHYST)タイプの香料も好ましいものとして挙げられる。
ヘリオトロープ系香料成分:ヘリオトロピン、ムスクケトン、クマリン、エチルバニリン、アセチルセドレン、ハーコリン(メチルアビエテート)、オイゲノール、メチルヨノン
ローズ系香料成分:ダマスコン−β、ダマスコン−α、イソ−ボルニルメトキシシクロヘキサノール
オレンジフラワー系香料成分:メチルアンスラニレート、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン
ジャスミン系香料成分:メチルジヒドロジャスモネート
更に、その他の耐熱性香料として、6−ヒドロキシアルカン酸や、6−(5−及び/又は6−アルケノイロキシ)アルカン酸を用いることも好ましい。
本発明に用いることができる香料としては、バニリン系香料、ジャスミン系香料、又は、ミント系香料を少なくとも含むことが好ましく、バニリン系香料、又は、ジャスミン系香料を含むことがより好ましく、バニリン系香料を含むことが更に好ましい。
また、本発明の樹脂組成物における香料は、バニリン系香料、ジャスミン系香料、又は、ミント系香料であることが好ましい。
バニリン系香料として、具体的には、バニリン、バニリン酸、バニリルアルコール、バニリンプロピレングリコールアセタール、メチルバニリン、エチルバニリン、パラヒドロキシ安息香酸、パラヒドロキシベンズアルデヒド等が好ましく例示できる。
ジャスミン系香料として、具体的には、メチルジヒドロジャスモネート、メチルエピ−ジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、メチルエピ−ジャスモネート、シスジャスモン、ジャスモナン、シスジャスモンラクトン、ジヒドロジャスモンラクトン、ジャスミンラクトン、γ−ジャスモラクトン、シスジャスモンラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、4−メチル−5−ヘキセノライド−1:4、2−n−ヘキシルシクロペンタノン、アルキル−シクロヘプチルメチルカーボネート等が好ましく例示できる。
ミント系香料として、具体的には、メントール、メントン、シネオール、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−ネオメントール、d−イソメントール、d−ネオメントール、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等が好ましく例示できる。
香料の含有量は、樹脂組成物の全固形分量に対し、0.003〜1.5質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。上記範囲であると、マスキング効果を充分に発揮でき、香料の香りが適度であり、作業環境の改善され、また彫刻感度に優れる。
<(成分F)光熱変換剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、さらに、光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて製造したレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
レーザー彫刻用樹脂組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、該樹脂組成物の固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
<(成分G−1)重合性化合物>
本発明においては、レリーフ形成層中に架橋構造を形成する観点から、これを形成するために、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。
ここで用いうる重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜6個、更に好ましくは2個有する化合物の中から任意に選択することができる。また、前記重合性化合物は、成分Bとは異なる化合物であり、分子の末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。また、前記重合性化合物の分子量(重量平均分子量)は、5,000未満の化合物であることが好ましい。
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、特開2009−204962号公報の段落0098〜0124に記載のものを例示できる。
以下、重合性化合物として用いられる、エチレン性不飽和結合を分子内に1つ有する単官能モノマー、及び、同結合を分子内に2個以上有する多官能モノマーについて説明する。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層中には、架橋構造を形成することが必要であることから、多官能モノマーが好ましく使用される。これらの多官能モノマーの分子量は、120〜3,000であることが好ましく、200〜2,000であることがより好ましい。
単官能モノマー及び多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
本発明においては、重合性化合物として、彫刻感度向上の観点から、分子内に硫黄原子を有する化合物を用いることが好ましい。
このように分子内に硫黄原子を有する重合性化合物としては、彫刻感度向上の観点から、特に、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有し、そのうち2つのエチレン性不飽和結合間を連結する部位に炭素−硫黄結合を有する重合性化合物(以下、適宜、「含硫黄多官能モノマー」と称する。)を用いることが好ましい。
本発明における含硫黄多官能モノマー中の炭素−硫黄結合を含んだ官能基としては、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、チオカルボニル、チオカルボン酸、ジチオカルボン酸、スルファミン酸、チオアミド、チオカルバメート、ジチオカルバメート、又はチオ尿素を含む官能基が挙げられる。
また、含硫黄多官能モノマーにおける2つのエチレン性不飽和結合間を連結する炭素−硫黄結合を含有する連結基としては、−C−S−、−C−SS−、−NH(C=S)O−、−NH(C=O)S−、−NH(C=S)S−、及び−C−SO2−から選択される少なくとも1つのユニットであることが好ましい。
また、含硫黄多官能モノマーの分子内に含まれる硫黄原子の数は1つ以上であれば特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、彫刻感度と塗布溶剤に対する溶解性のバランスの観点から、1個〜10個が好ましく、1個〜5個がより好ましく、1個〜2個が更に好ましい。
一方、含硫黄多官能モノマーの分子内に含まれるエチレン性不飽和結合部位の数は2つ以上であれば特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、架橋膜の柔軟性の観点で、2個〜10個が好ましく、2個〜6個がより好ましく、2個〜4個が更に好ましい。
本発明における含硫黄多官能モノマーの分子量としては、形成される膜の柔軟性の観点から、好ましくは120〜3,000であり、より好ましくは120〜1,500である。
また、本発明における含硫黄多官能モノマーは単独で用いてもよいが、分子内に硫黄原子を持たない多官能重合性化合物や単官能重合性化合物との混合物として用いてもよい。
更に、分子内に硫黄原子を有する重合性化合物としては、特開2009−255510号公報に記載のものを例示できる。
本発明の樹脂組成物に、含硫黄多官能モノマーをはじめとする重合性化合物を用いることにより、レーザー彫刻用平版印刷版の架橋レリーフ形成層における膜物性、例えば、脆性、柔軟性などを調整することもできる。
また、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中の(成分G−1)重合性化合物の含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、固形分換算で、5〜60質量%が好ましく、8〜30質量%の範囲がより好ましい。
<(成分G−2)熱重合開始剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ形成層作製に用いる場合には、更に(成分G−2)熱重合開始剤を含有することが好ましく、(成分G−1)重合性化合物と併用することが好ましい。
熱重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に記載されている化合物を好ましく例示できる。
ラジカル重合開始剤としては、芳香族ケトン類、オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。中でも彫刻感度と、レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した際にはレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、有機過酸化物又はアゾ系化合物がより好ましく、有機過酸化物が特に好ましい。
また、好ましい併用成分として、有機過酸化物と光熱変換剤とを組み合わせて用いることで、彫刻感度が極めて高くなるのでより好ましく、有機過酸化物と光熱変換剤であるカーボンブラックとを組み合わせて用いた態様が最も好ましい。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなると推定される。
なお、光熱変換剤の説明において記述したが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱し、成分B等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
本発明における(成分G−2)熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中の(成分G−2)熱重合開始剤の含有量は、レリーフ形成層の固形分全質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。熱重合開始剤の含有量を0.01質量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ、架橋性レリーフ形成層の架橋が速やかに行われる。また、含有量を10質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
<その他の添加剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、ゴムの分野で通常用いられている各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、充填剤、可塑剤、ワックス、プロセス油、有機酸、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、熱重合防止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プロセス油を使用する場合、例えば芳香族系プロセス油、ナフテン系プロセス油、パラフィン系プロセス油を挙げることができる。その添加量は、ゴム成分(成分B)100質量部あたり1〜70質量部が好ましい。
有機酸は金属塩として、常套の加硫剤と組み合わせて、加硫促進のための助剤として使用することができる。有機酸としては例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ムラスチン酸を挙げることができる。併用される金属源としては酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化マグネシウム等の金属酸化物を挙げることができる。これらは加硫工程において、ゴム中で有機酸と金属酸化物が金属塩を形成し、硫黄等の加硫剤の活性化を促すとされている。このような金属塩を系中で形成させるための金属酸化物の添加量は、ゴム成分(成分B)100質量部あたり0.1〜10質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
有機酸の添加量は、ゴム成分(成分B)100質量部あたり0.1〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
(レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版)
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の第1の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。
また、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の第2の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層を有する。
本発明において「レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版」とは、レーザー彫刻用樹脂組成物からなる架橋性を有するレリーフ形成層が、架橋される前の状態、及び、光又は熱により硬化された状態の両方又はいずれか一方のものをいう。
本発明において「レリーフ形成層」とは、架橋される前の状態の層をいい、すなわち、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、必要に応じ、乾燥が行われていてもよい。
本発明において「架橋レリーフ形成層」とは、前記レリーフ形成層を架橋した層をいう。前記架橋は、熱により行われる。また、前記架橋は樹脂組成物が硬化される反応であれば特に限定されず、成分A同士や成分C同士の反応による架橋構造を含む概念であるが、成分A及び/又は成分Cと成分Bとが反応して架橋構造を形成することが好ましい。
架橋レリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻することにより「レリーフ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、レリーフ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の前記架橋レリーフ形成層をいう。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、前記のような成分を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。(架橋)レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、必要により更に、支持体と(架橋)レリーフ形成層との間に接着層を、また、(架橋)レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
<レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、前記本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、熱架橋性の層である。本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版としては、成分Bと成分A及び/又は成分Cとによる架橋構造に加えて、更に(成分G−1)重合性化合物及び(成分G−2)熱重合開始剤を含有することで、さらなる架橋性の機能を付与したレリーフ形成層を有するものが好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版によるレリーフ印刷版の作製態様としては、レリーフ形成層を架橋させて架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版とした後、架橋レリーフ形成層(硬質のレリーフ形成層)をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成してレリーフ印刷版を作製する態様であることが好ましい。レリーフ形成層を架橋することにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するレリーフ印刷版を得ることができる。
レリーフ形成層は、レリーフ形成層用の前記の如き成分を有するレーザー彫刻用樹脂組成物を、シート状又はスリーブ状に成形することで形成することができる。レリーフ形成層は、通常、後述する支持体上に設けられるが、製版、印刷用の装置に備えられたシリンダーなどの部材表面に直接形成したり、そこに配置して固定化したりすることもでき、必ずしも支持体を必要としない。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
<支持体>
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
<接着層>
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面への傷や凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。
(レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法)
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。あるいは、レーザー彫刻用樹脂組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して樹脂組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
中でも、本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、前記レリーフ形成層を熱架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることが好ましい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることによって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
<層形成工程>
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含むことが好ましい。
レリーフ形成層の形成方法としては、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法や、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して溶媒を除去する方法が好ましく例示できる。
レーザー彫刻用樹脂組成物は、例えば、成分A、成分B及び成分C及び、任意成分として、加硫促進剤、香料、光熱変換剤、可塑剤を適当な溶媒に溶解させ、次いで、重合性化合物及び重合開始剤を溶解させることによって製造できる。溶媒成分のほとんどは、レリーフ印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶媒としては、揮発しやすい低分子アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコ−ルモノメチルエーテル)等を用い、かつ温度を調整するなどして溶媒の全添加量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版における(架橋)レリーフ形成層の厚さは、架橋の前後において、0.05mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上7mm以下がより好ましく、0.05mm以上3mm以下が更に好ましい。
<架橋工程>
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版の製版方法は、前記レリーフ形成層を熱架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程を含む製造方法であることが好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。熱により架橋を行うための加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
レリーフ形成層を熱架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。
架橋レリーフ形成層やレリーフ層の加硫特性の測定方法としては、特に制限はないが、例えば、公知のキュラスト試験が挙げられる。また、ゴム業界において典型的な材料特性である、引張強度(25℃)、破断伸び(25℃)、応力値(100%伸び)等の測定方法としては、JISに記載の測定方法を参照することができる。
(レリーフ印刷版及びその製版方法)
本発明のレリーフ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、前記レリーフ形成層を熱で架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、及び、前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むことが好ましい。
本発明のレリーフ印刷版は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層を架橋及びレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するレリーフ印刷版であり、本発明のレリーフ印刷版の製版方法により製版されたレリーフ印刷版であることが好ましい。
本発明のレリーフ印刷版は、水性インキを印刷時に好適に使用することができる。
本発明のレリーフ印刷版の製版方法における層形成工程及び架橋工程は、前記レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法における層形成工程及び架橋工程と同義であり、好ましい範囲も同様である。
<彫刻工程>
本発明のレリーフ印刷版の製版方法は、前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程を含むことが好ましい。
彫刻工程は、前記架橋工程で架橋された架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋された架橋レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、架橋レリーフ形成層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、架橋レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、架橋レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で架橋レリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
彫刻工程に用いられる赤外レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が好ましく用いられる。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明における彫刻工程には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製版方法に好適に使用しうるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これを本発明に係るレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
本発明のレリーフ印刷版の製版方法では、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
前記工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
本発明に用いることができるリンス液のpHは9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましく、13以下であることがより好ましく、12.5以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。
また、リンス液は、水以外の溶媒として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶媒を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、レリーフ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
前記ベタイン化合物としては、下記式(1)で表される化合物及び/又は下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005393438
(式(1)中、R1〜R3はそれぞれ独立に、一価の有機基を表し、R4は単結合、又は、二価の連結基を表し、AはPO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、R5は、水素原子、又は、一価の有機基を表し、R1〜R3のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよい。)
Figure 0005393438
(式(2)中、R6〜R8はそれぞれ独立に、一価の有機基を表し、R9は単結合、又は、二価の連結基を表し、BはPO(OR10)O-、OPO(OR10)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、R10は、水素原子、又は、一価の有機基を表し、R6〜R8のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよい。)
前記式(1)で表される化合物又は前記式(2)で表される化合物は、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物であることが好ましい。なお、本発明において、アミンオキシド化合物のN=O、及び、ホスフィンオキシド化合物のP=Oの構造はそれぞれ、N+−O-、P+−O-と見なすものとする。
前記式(1)におけるR1〜R3はそれぞれ独立に、一価の有機基を表す。また、R1〜R3のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
1〜R3における一価の有機基としては、特に制限はないが、アルキル基、ヒドロキシ基を有するアルキル基、アルキル鎖中にアミド結合を有するアルキル基、又は、アルキル鎖中にエーテル結合を有するアルキル基であることが好ましく、アルキル基、ヒドロキシ基を有するアルキル基、又は、アルキル鎖中にアミド結合を有するアルキル基であることがより好ましい。
また、前記一価の有機基におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、R1〜R3のうちの2つがメチル基である、すなわち、式(1)で表される化合物がN,N−ジメチル構造を有することが特に好ましい。上記構造であると、特に良好なリンス性を示す。
前記式(1)におけるR4は、単結合、又は、二価の連結基を表し、式(1)で表される化合物がアミンオキシド化合物である場合は単結合である。
4における二価の連結基としては、特に制限はないが、アルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有するアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜8のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜3のアルキレン基であることが更に好ましい。
前記式(1)におけるAは、PO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、O-、COO-、又は、SO3 -であることが好ましく、COO-であることがより好ましい。
-がO-である場合、R4は単結合であることが好ましい。
PO(OR5)O-及びOPO(OR5)O-におけるR5は、水素原子、又は、一価の有機基を表し、水素原子、又は、1以上の不飽和脂肪酸エステル構造を有するアルキル基であることが好ましい。
また、R4は、PO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、及び、SO3 -を有していない基であることが好ましい。
前記式(2)におけるR6〜R8はそれぞれ独立に、一価の有機基を表す。また、R6〜R8のうち2つ以上の基が互いに結合し環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
6〜R8における一価の有機基としては、特に制限はないが、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましく、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基であることがより好ましい。
また、前記一価の有機基におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、R6〜R8のうちの2つがアリール基であることが特に好ましい。
前記式(2)におけるR9は、単結合、又は、二価の連結基を表し、式(2)で表される化合物がホスフィンオキシド化合物である場合は単結合である。
9における二価の連結基としては、特に制限はないが、アルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有するアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜8のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、又は、ヒドロキシ基を有する炭素数1〜3のアルキレン基であることが更に好ましい。
前記式(2)におけるBは、PO(OR10)O-、OPO(OR10)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、O-であることが好ましい。
-がO-である場合、R9は単結合であることが好ましい。
PO(OR10)O-及びOPO(OR10)O-おけるR10は、水素原子、又は、一価の有機基を表し、水素原子、又は、1以上の不飽和脂肪酸エステル構造を有するアルキル基であることが好ましい。
また、R9は、PO(OR10)O-、OPO(OR10)O-、O-、COO-、及び、SO3 -を有していない基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物としては、下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005393438
(式(3)中、R1は一価の有機基を表し、R4は単結合、又は、二価の連結基を表し、AはPO(OR5)O-、OPO(OR5)O-、O-、COO-、又は、SO3 -を表し、R5は、水素原子、又は、一価の有機基を表す。)
式(3)におけるR1、A、及び、R5は、前記式(1)におけるR1、A、及び、R5と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2)で表される化合物としては、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005393438
(式(4)中、R6〜R8はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基を表す。ただし、R6〜R8の全てが同じ基となることはない。)
前記式(4)におけるR6〜R8はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基を表し、アルケニル基、アリール基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物又は式(2)で表される化合物として具体的には、下記の化合物が好ましく例示できる。
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。さらに、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
以上のようにして、支持体等の任意の基材表面にレリーフ層を有するレリーフ印刷版が得られる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
また、レリーフ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
本発明のレリーフ印刷版は、フレキソ印刷機による水性インキでの印刷に特に好適であるが、凸版用印刷機による水性インキ、油性インキ及びUVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。本発明のレリーフ印刷版は、リンス性に優れており彫刻カスの残存がなく、かつ、得られたレリーフ層が弾性に優れるため、水性インク転移性及び耐刷性に優れ、長期間にわたりレリーフ層の塑性変形や耐刷性低下の懸念がなく、印刷が実施できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1.熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物1の調製
下記に示す配合内容で、ラボプラストミルを使用して混練り配合し、未加硫の樹脂組成物1(熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物1)を得た。
・成分A A−1:10質量部
・成分B 天然ゴム(NR、野村貿易(株)製):100質量部
・成分C 硫黄(鶴見化学工業(株)製):2質量部
(その他添加剤)
・ステアリン酸(和光純薬工業(株)製):1質量部
・酸化亜鉛(亜鉛華、和光純薬工業(株)製):5質量部
・ナフテン系オイル(三共油化工業(株)製、SNH−3):10質量部
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1の作製
上記で得た未加硫の樹脂組成物1を、熱盤プレス機を用いて160℃で30分間加硫処理し、厚さおよそ1mmの架橋レリーフ形成層からなるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1を作製した。
(加硫特性の評価)
上記熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物1について、キュラストメーター(オリエンティック製)を用いて160℃でキュラスト試験を行い、加硫特性を測定した。加硫特性としては、スコーチタイムT10(加硫反応によるトルクの上昇が全体の10%に達した時間(分))、架橋が90%まで進行した時間T90(加硫反応によるトルクの上昇が全体の90%に達した時間(分))、MH (トルクの最大値(N・m))−M0(トルクの初期値((N・m))を測定した。スコーチタイムは、加工安全性の指標となる値であり、長いほど加工安全性が高いことを示す。また、T90は、短いほど全加硫時間が短縮されたことを示す。MH−M0は、架橋度の指標であり、大きいほど架橋度が高いことを示す。また、ゴム業界において典型的な材料特性である、引張強度(25℃)、破断伸び(25℃)、応力値(100%伸び)を求め、それらを表2に併記した。
3.レリーフ印刷版1の作製
(レーザー彫刻)
架橋レリーフ形成層に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻した。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)彫刻機として、レーザー照射による彫刻を、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。レーザー彫刻用印刷版原版1から保護フィルムを剥離後、炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長:915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さはおよそ1mmであった。
また、レリーフ層のショアA硬度を、前述の測定方法により測定したところ、73°であった。なお、ショア硬度Aの測定は、後述する各実施例及び比較例においても同様に行った。
(実施例2〜45、及び、比較例1〜8)
表1に記載の各成分、及び、実施例1に使用した3種のその他の成分を使用し、実施例1と同様な方法により、熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版を、実施例2〜45及び比較例1〜8についてそれぞれ得た。
なお、各熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物における各成分の使用量は、以下の通りであり、表1に記載された成分、並びに、ステアリン酸、酸化亜鉛及びナフテン系オイルを使用した。(成分A)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物:10質量部、(成分B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体:100質量部、(成分C)硫黄原子を有する加硫剤:2質量部、(成分D)加硫促進剤:3質量部、(成分E)香料:1質量部、(成分F)光熱変換剤:10質量部、(成分G−1)重合性化合物:15質量部、(成分G−2)熱重合開始剤:1.5質量部、ステアリン酸(和光純薬工業(株)製):1質量部、酸化亜鉛(亜鉛華、和光純薬工業(株)製):5質量部、ナフテン系オイル(三共油化工業(株)製、SNH−3):10質量部
Figure 0005393438
*:エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン(株)製、Hydrin C2000L)
また、実施例3におけるA−1は、10質量部使用した。
以下に、各実施例及び比較例で使用した(成分A)〜(成分G−2)の各成分の構造式又は化合物名を示す。
<(成分A)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物>
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
Figure 0005393438
<(成分B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体>
B−1:スチレンブタジエンゴム(JSR(株)製、TR2000)
B−2:アクリロニトリルブタジエンゴム(JSR(株)製、N230S、アクリロニトリル分35%)
B−3:天然ゴム(NR、野村貿易(株)製)
B−4:クロロプレンゴム(東ソー(株)製、スカイプレンB−10)
B−5:スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(JSR(株)製、SIS5200)
B−6:スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(アロン化成(株)製、AR−130)
B−7:イソプレンゴム(JSR(株)製、IR2200)
B−8:ブタジエンゴム(JSR(株)製、BR01)
B−9:ポリイソブチレン(ブチルゴム)(JSR(株)製、BUTYL065)
<(成分C)硫黄原子を有する加硫剤>
C−1:硫黄(鶴見化学工業(株)製)
C−2:モルホリンジスルフィド(大内新興化学工業(株)製、バルノックR)
<(成分D)加硫促進剤>
D−1:ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)(大内新興化学工業(株)製、ノクセラーDM)
D−2:N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業(株)製、ノクセラーDZ)
<(成分E)香料>
E−1:バニリン(和光純薬工業(株)製)
E−2:1−メントール(和光純薬工業(株)製)
<(成分F)光熱変換剤>
F−1:ケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製)
F−2:カーボンブラック(東海カーボン(株)製、N330,HAFカーボン)
<(成分G−1)重合性化合物>
G−1−1:下記M−1
G−1−2:下記M−2
G−1−3:1.6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)
Figure 0005393438
<(成分G−2)重合開始剤>
G−2−1:パーブチルZ(t−ブチルパーオキシベンゾエート、日油(株)製)
以下に、前記A−12、A−13、A−24の合成例を示す。
(合成例1:A−12の合成)
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業(株)製、20.34質量部)、2−ブタノン(和光純薬工業(株)製、7.50質量部)を入れ、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート(2,2,4−置換体と2,4,4−置換体との混合物、東京化成工業(株)製、9.66質量部)を室温(25℃)下で30分かけて滴下した。滴下後、室温下で1時間撹拌し、その後、減圧下で2−ブタノンを除去することで、A−12(前記構造の2種の混合物)(29.54質量部)を得た。得られたA−12の構造は、1H NMRにより同定した。
(合成例2:A−13の合成)
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業(株)製、18.68質量部)、2−ブタノン(和光純薬工業(株)製、7.50質量部)を入れ、1,9−ビス(アクリロイルオキシ)ノナン(東京化成工業(株)製、11.32質量部)を室温(25℃)下で30分かけて滴下した。滴下後、70℃に昇温し4時間撹拌した後、減圧下で2−ブタノンを除去することで、A−13(前記構造)(29.18質量部)を得た。得られたA−13の構造は、1H NMRにより同定した。
(合成例3−1:A−24の合成1)
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−4(新中村化学工業(株)製、15.54質量部)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(和光純薬工業(株)製、0.06質量部)を入れ、KBE−803(3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製、14.46質量部)を室温(25℃)下で30分かけて滴下した。滴下後、室温(25℃)下で2時間撹拌することで、A−24(29.42質量部)を得た。得られたA−24の構造は、1H NMRにより同定した。
Figure 0005393438
A−24は上記以外の方法でも合成される。以下、他の合成例について説明する。
(合成例3−2:A−24の合成2)
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−4(新中村化学工業(株)製、15.54質量部)、エポミンSP−006(ポリエチレンイミン、(株)日本触媒製、0.06質量部)を入れ、KBE−803(信越化学工業(株)製、14.46質量部)を室温(25℃)下で30分かけて滴下した。滴下後、室温(25℃)下で2時間撹拌することで、A−24(29.11質量部)を得た。得られたA−24の構造は、1H NMRにより同定した。
Figure 0005393438
(合成例3−3:A−24の合成3)
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、NKエステルA−BPE−4(新中村化学工業(株)製、15.54質量部)、KBE−803(信越化学工業(株)製、14.46質量部)、2−ブタノン(和光純薬工業(株)製、30.00質量部)、V−65(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬工業(株)製、0.10質量部)を入れ、70℃に昇温し4時間撹拌した。反応後、減圧下で2−ブタノンを除去することで、A−24(29.38質量部)を得た。得られたA−24の構造は、1H NMRにより同定した。
Figure 0005393438
表2の結果から、加硫剤がないと架橋できないことがわかる。また、共役ジエン単量体単位を持たない重合体では架橋できないことがわかる。更に成分Aとして分子内に硫黄原子を含有するものは、加硫(架橋)に寄与していることがわかる。
4.レリーフ印刷版の評価
以下の項目でレリーフ印刷版の性能評価を行い、結果を表3に記載する。
(4−1)彫刻深さ
各実施例及び比較例のレリーフ印刷版原版が有する架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果は、彫刻に用いたレーザーの種類(炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)、ファイバー付き半導体レーザー(FC−LD))毎に表3に示す。
(4−2)リンス性
リンス液は、水、水酸化ナトリウム10重量%水溶液、及び、下記ベタイン化合物(1−B)を混合し、pHが12、かつ、ベタイン化合物(1−B)の含有量がリンス液全体の1質量%になるように調製した。
前記方法にて彫刻した各版材上に作成した上記リンス液を版表面が均一に濡れる様にスポイトで滴下(約100ml/m2)し、1分静置後、ハブラシ(ライオン(株)クリニカハブラシ フラット)を用い、荷重200gfで版と並行に20回(30秒)こすった。その後、流水にて版面を洗浄、版面の水分を除去し、1時間ほど自然乾燥した。
Figure 0005393438
(評価)
<カス除去性>
リンス済み版の表面を倍率100倍のマイクロスコープ(キーエンス(株)製)で観察し、版上の取れ残りカスを評価した。評価基準は以下の通りである。
×:版全面にカスが付着している。
△:版画像凸部に僅かにカスが残っており、また、画像底部(凹部)にカスが残っている。
○△:版画像凸部に僅かにカスが残っており、また、画像底部(凹部)に僅かにカスが残っている。
○:画像底部(凹部)に僅かにカスが残っているのみである。
◎:まったく版上にカスが残っていない。
(4−3)膜弾性
微小硬度計((株)フューチュアテック製、FM−700)にて測定した。測定方法は、正四角錘のダイヤモンド圧子を傷のない試験片の表面に押し込み(押し込み荷重300mN)、10秒後その負荷荷重を解除した後、押し込み前後の塑性変形率を測定した。
(4−4)耐刷性
得られたレリーフ印刷版を印刷機(ITM−4型、(株)伊予機械製作所製)にセットし、インクとして、水性インキ アクアSPZ16紅(東洋インキ製造(株)製)を希釈せずに用いて、印刷紙として、フルカラーフォームM 70(日本製紙(株)製、厚さ100μm)を用いて印刷を継続し、ハイライト1〜10%を印刷物で確認した。印刷されない網点が生じたところを刷了とし、刷了時までに印刷した紙の長さ(メートル)を指標とした。数値が大きいほど耐刷性に優れると評価する。
(4−5)水性インキ転移性
上記耐刷性の評価において、印刷開始から500m及び1,000mにおける印刷物上のベタ部のインキの付着度合いを目視で比較した。
濃度ムラなく均一なものを○、ムラがあるものを×、○と×の中間の程度を△とした。
Figure 0005393438
表3に示されるように、成分Aと成分Bとを含有し、少なくとも、成分Cを更に含有するか、又は、前記成分Aが硫黄原子を更に有する化合物であるレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて作製された実施例のレリーフ印刷版は、比較例のレリーフ印刷版よりも、リンス性に優れ、製版時の生産性が高いことがわかる。また、レリーフ層の弾性、インク転移性及び耐刷性が良好であり、長期間にわたり優れた印刷性能を発揮することができ、さらに、彫刻深さが大きいことから、彫刻感度が良好であることがわかる。他方、比較例のレリーフ層では、架橋できない、又は、架橋できてもリンス性に劣るものであった。
なお、成分Aとして分子内にエステル結合、ウレタン結合、及び/又は、エーテル結合を有するものはリンス性が良好であり、オキシアルキレン基を有するものは特に良好であることがわかる。
また、同じレリーフ印刷版原版を用いた場合、ファイバー付き半導体レーザーを備え、光源としてFC−LDを用いた製版装置を用いることで、彫刻深さをさらに改良しうることがわかる。

Claims (18)

  1. (成分A)加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物と、
    (成分B)共役ジエン単量体単位を含有する重合体と、を含有し、
    少なくとも、(成分C)硫黄原子を有する加硫剤を更に含有するか、又は、前記成分Aが硫黄原子を更に有する化合物であることを特徴とする
    熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  2. 前記加水分解性シリル基が、Si原子にアルコキシ基又はハロゲン原子が少なくとも1つ直接結合した残基である、請求項1に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  3. 前記成分Aが、分子内に硫黄原子、エステル結合、ウレタン結合、及び、エーテル結合よりなる群から選ばれた原子又は結合の少なくとも1種を更に有する化合物である、請求項1又は2に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  4. 前記エーテル結合が、オキシアルキレン基に含まれるエーテル結合である、請求項3に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  5. (成分D)加硫促進剤を更に含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  6. 前記成分Bのガラス転移温度(Tg)が、20℃以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  7. 前記成分Bが、天然ゴム(NR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリイソブチレン(ブチルゴム、IIR)、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)よりなる群から選択された1種以上の重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  8. (成分E)香料を更に含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  9. (成分F)700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  10. (成分G−1)重合性化合物及び(成分G−2)熱重合開始剤を更に含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有することを特徴とする
    レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を熱架橋した架橋レリーフ形成層を有することを特徴とする
    レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、及び、
    前記レリーフ形成層を熱架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、を含むことを特徴とする
    レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の製造方法。
  14. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱架橋性レーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、
    前記レリーフ形成層を熱架橋し架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を得る架橋工程、及び、
    前記架橋レリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版をレーザー彫刻し、レリーフ層を形成する彫刻工程、を含むことを特徴とする
    レリーフ印刷版の製版方法。
  15. 彫刻後のレリーフ層表面を水系リンス液によりリンスするリンス工程を更に含む、請求項14に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
  16. 請求項14又は15に記載のレリーフ印刷版の製版方法により製造されたレリーフ層を有することを特徴とする
    レリーフ印刷版。
  17. 前記レリーフ層の厚さが、0.05mm以上10mm以下である、請求項16に記載のレリーフ印刷版。
  18. 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である、請求項16又は17に記載のレリーフ印刷版。
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