JP2014108922A - 有機珪素化合物の混合物およびゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム組成物に配合することで優れた低燃費性と耐磨耗性を付与せしめる有機珪素化合物の混合物、又は縮合物、それら有機珪素化合物の混合物、又は縮合物を配合してなるゴム組成物、及びゴム組成物を架橋してなる架橋物と製品を提供する。
【解決手段】無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物、又は縮合物と、それらを含むゴム組成物およびゴム組成物を架橋してなる架橋物である。
【選択図】なし
【解決手段】無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物、又は縮合物と、それらを含むゴム組成物およびゴム組成物を架橋してなる架橋物である。
【選択図】なし
Description
本発明は、特定の構造を持つ有機珪素化合物と他の有機珪素化合物の混合物、それらの縮合物、それらを含むゴム組成物およびゴム組成物を架橋してなる架橋物に関する。
近年、低燃費性、制動性に優れたシリカ配合タイヤを始めとし、防振ゴムや各種ゴムロールなど様々なシリカ配合ゴム製品が普及しつつある。しかしながらシリカ配合ゴム組成物はコンパウンド粘度が著しく上昇するため、シランカップリング剤を配合することにより粘度の上昇を緩和する手法が一般的に取られている。またシランカップリング剤は、シリカ表面のシラノールと反応することによりシリカ同士の相互作用を低減し、ゴムの損失正接や動的弾性率を下げることが知られている。現在、特に低燃費タイヤ用途ではポリスルフィド系カップリング剤が多用されているが、近年の低燃費性能の要求を満たすには性能が不十分であり、より一層の低燃費性能の向上が求められている。また省資源の観点から、ゴムの耐磨耗性を向上することによるタイヤの薄肉化、つまりゴム部材の使用量低減の要求も存在する。
上記の問題を解決すべく、特許文献1ではメルカプトシランの保護化が提案されているが、実用的には経済性や耐磨耗性などの観点から問題が多い。特許文献2では多官能メルカプトシランが例示されているが、本構造ではスコーチ性が著しく悪化するため工業的な使用は難しく、その解決方法などの知見はもたらされていない。特許文献3ではコンパウンド粘度および分散性改善を目的とした3級アルキルアミンを添加する手法が試みられているが、高価である事やゴムと化学結合しない為にブリードし悪影響を及ぼす可能性といった問題がある。
本発明は上記の点に鑑み、ゴム組成物に配合することで優れた低燃費性と耐磨耗性を付与せしめる有機珪素化合物の混合物、又は縮合物、それら有機珪素化合物の混合物、又は縮合物を配合してなるゴム組成物、及びゴム組成物を架橋してなる架橋物と製品を提供する。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を持つ有機珪素化合物と他の有機珪素化合物の混合物、又は縮合物と、それらを含むゴム組成物およびゴム組成物を架橋してなる架橋物により、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物である。
また、本発明は以下のように記載することができる。
項1. 無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
項2. 有機珪素化合物(A)が一般式[1]で表される有機珪素化合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1に記載の有機珪素化合物の混合物。
(式[1]中、R1からR5はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の一価の炭化水素基(一価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよい。)又は水素を表し、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜12の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、m、o、rは0〜18、nは1〜4、pは0〜4、qは1又は2であり、mとoとrは同時に0ではなく、mが0の時はR3が結合している炭素、又はR4が結合している炭素とZが直接結合する事を示し、oが0の時はSHが直接X、又はR1が結合している炭素に結合することを示し、rが0の時はR3が結合している炭素とSHが直接結合する事を示し、pが0の時qは必ず2であり、Zは一般式[2]、又は一般式[3]で表される無機充填材と反応する基である。)
(式[2]中、R7、R8、R9はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のカルボキシル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、R7、R8、R9の少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであり、一般式[1]においてqが2である場合、R7、R8、R9のいずれか一つは一般式[4]で表される基である。)
(式[3]中、R10は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、R11、R12はそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR13−、−CR14R15−のいずれかであり、R13、R14、R15は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素である。)
(式[4]中、R1からR6、X、m、n、o、p、rは式[1]中と同じ。)
項3. 一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物は、一般式[1]で表される有機珪素化合物(A)の縮合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物有機珪素化合物(A)と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項2に記載の有機珪素化合物の混合物。
項4. 有機珪素化合物(A)に含まれるメルカプト基の数が、2〜12であることを特徴とする、項1〜3いずれかに記載の有機珪素化合物の混合物。
項5. 他の有機珪素化合物(B)がビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤、又はそれらシランカップリング剤を縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1〜4いずれかに記載の有機珪素化合物の混合物。
項6. シランカップリング剤を縮合成分として含む縮合物は、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤の縮合物、又はそれらシランカップリング剤と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項5に記載の有機珪素化合物の混合物。
項7. 他の有機珪素化合物(B)の含有量が5〜95重量%であることを特徴とする、項1〜6のいずれかに記載の有機珪素化合物との混合物。
項8. 無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含有する縮合物。
項9. 一般式[1]で表される有機珪素化合物と他の有機珪素化合物(B)との縮合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物、他の有機珪素化合物(B)と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項8記載の縮合物。
(式[1]中、R1からR5はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の一価の炭化水素基(一価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよい。)又は水素を表し、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜12の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、m、o、rは0〜18、nは1〜4、pは0〜4、qは1又は2であり、mとoとrは同時に0ではなく、mが0の時はR3が結合している炭素、又はR4が結合している炭素とZが直接結合する事を示し、oが0の時はSHが直接X、又はR1が結合している炭素に結合することを示し、rが0の時はR3が結合している炭素とSHが直接結合する事を示し、pが0の時qは必ず2であり、Zは一般式[2]、又は一般式[3]で表される無機充填材と反応する基である。)
(式[2]中、R7、R8、R9はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のカルボキシル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、R7、R8、R9の少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであり、一般式[1]においてqが2である場合、R7、R8、R9のいずれか一つは一般式[4]で表される基である。)
(式[3]中、R10は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、R11、R12はそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR13−、−CR14R15−のいずれかであり、R13、R14、R15は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素である。)
(式[4]中、R1からR6、X、m、n、o、p、rは式[1]中と同じ。)
項10. 他の有機珪素化合物(B)がビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、又は保護化メルカプト系シランカップリング剤であることを特徴とする項8又は9に記載の縮合物。
項11. ゴム100重量部あたり、無機充填材を5〜200重量部、項1〜7のいずれかに記載の有機珪素化合物の混合物、及び/又は項8〜10いずれかに記載の縮合物を1〜40重量部含有することを特徴とするゴム組成物。
項12. 無機充填材が水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m2/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であることを特徴とする項11に記載のゴム組成物。
項13. 更に、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤および保護化メルカプト系シランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤をゴム100重量部に対して0.1〜30重量部を含有することを特徴とする項11又は12に記載のゴム組成物。
項14. ゴムがジエン系ゴムであることを特徴とする項11〜13いずれかに記載のゴム組成物。
項15. 更に、架橋剤として、硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種を含む項11〜14のいずれかに記載のゴム組成物。
項16. 項15記載のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物。
項17. 項15記載のゴム組成物を架橋して得られるタイヤ、防振ゴム、ゴム床、ロール、パッキン、シール材、Oリング。
項1. 無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
項2. 有機珪素化合物(A)が一般式[1]で表される有機珪素化合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1に記載の有機珪素化合物の混合物。
項3. 一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物は、一般式[1]で表される有機珪素化合物(A)の縮合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物有機珪素化合物(A)と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項2に記載の有機珪素化合物の混合物。
項4. 有機珪素化合物(A)に含まれるメルカプト基の数が、2〜12であることを特徴とする、項1〜3いずれかに記載の有機珪素化合物の混合物。
項5. 他の有機珪素化合物(B)がビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤、又はそれらシランカップリング剤を縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1〜4いずれかに記載の有機珪素化合物の混合物。
項6. シランカップリング剤を縮合成分として含む縮合物は、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤の縮合物、又はそれらシランカップリング剤と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項5に記載の有機珪素化合物の混合物。
項7. 他の有機珪素化合物(B)の含有量が5〜95重量%であることを特徴とする、項1〜6のいずれかに記載の有機珪素化合物との混合物。
項8. 無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含有する縮合物。
項9. 一般式[1]で表される有機珪素化合物と他の有機珪素化合物(B)との縮合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物、他の有機珪素化合物(B)と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項8記載の縮合物。
項10. 他の有機珪素化合物(B)がビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、又は保護化メルカプト系シランカップリング剤であることを特徴とする項8又は9に記載の縮合物。
項11. ゴム100重量部あたり、無機充填材を5〜200重量部、項1〜7のいずれかに記載の有機珪素化合物の混合物、及び/又は項8〜10いずれかに記載の縮合物を1〜40重量部含有することを特徴とするゴム組成物。
項12. 無機充填材が水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m2/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であることを特徴とする項11に記載のゴム組成物。
項13. 更に、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤および保護化メルカプト系シランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤をゴム100重量部に対して0.1〜30重量部を含有することを特徴とする項11又は12に記載のゴム組成物。
項14. ゴムがジエン系ゴムであることを特徴とする項11〜13いずれかに記載のゴム組成物。
項15. 更に、架橋剤として、硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種を含む項11〜14のいずれかに記載のゴム組成物。
項16. 項15記載のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物。
項17. 項15記載のゴム組成物を架橋して得られるタイヤ、防振ゴム、ゴム床、ロール、パッキン、シール材、Oリング。
本発明による有機珪素化合物の混合物、又は縮合物を含有するゴム組成物を架橋して得られた架橋物は、損失正接が小さく耐磨耗性に優れる架橋物であり、例えばタイヤであれば優れた低燃費性と耐磨耗性を有することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明による無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物である。
本発明による無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物である。
本発明において、有機珪素化合物(A)が一般式[1]で表される有機珪素化合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物であることが好ましい。
(式[1]中、R1からR5はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の一価の炭化水素基(一価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよい。)又は水素を表し、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜12の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、m、o、rは0〜18、nは1〜4、pは0〜4、qは1又は2であり、mとoとrは同時に0ではなく、mが0の時はR3が結合している炭素、又はR4が結合している炭素とZが直接結合する事を示し、oが0の時はSHが直接X、又はR1が結合している炭素に結合することを示し、rが0の時はR3が結合している炭素とSHが直接結合する事を示し、pが0の時qは必ず2であり、Zは一般式[2]、又は一般式[3]で表される無機充填材と反応する基である。)
(式[2]中、R7、R8、R9はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のカルボキシル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、R7、R8、R9の少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであり、一般式[1]においてqが2である場合、R7、R8、R9のいずれか一つは一般式[4]で表される基である。)
(式[3]中、R10は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、R11、R12はそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR13−、−CR14R15−のいずれかであり、R13、R14、R15は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素である。)
(式[4]中、R1からR6、X、m、n、o、p、rは式[1]中と同じ。)
一般式[1]において、R1からR5はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の一価の炭化水素基(一価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよい。)又は水素を表し、R1からR5はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数2〜12の一価の炭化水素基(一価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよい。)又は水素であることが好ましく、R1からR5はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数2〜4の一価の炭化水素基(一価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよい。)又は水素であることが特に好ましい。
R1からR5において、一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基、炭素−炭素間二重結合または炭素−炭素間三重結合のような炭素−炭素間不飽和基を有する脂肪族炭化水素基、すなわちビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基、またはエチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基であってよい。
一般式[1]において、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜12の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、一般式[1]において、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜8の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが好ましく、一般式[1]において、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜4の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが特に好ましい。
R6において、二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、ビニレン基、更にはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、フェニレン基等の環状構造を有する基であってよい。
一般式[1]において、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが好ましく、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜12の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜8の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが特に好ましい。
Xにおいて、二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、ビニレン基、更にはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、フェニレン基等の環状構造を有する基であってよい。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[1]において、酸素原子、硫黄を含む原子団、窒素を含む原子団で中断されていてもよいとは、−O−、−S−、−S−S−、−NH−、−NR−等の構造を有するものが例示される。
一般式[1]において、繰り返し単位m、o、rは0〜18、nは1〜4、pは0〜4、qは1又は2であるが、m、o、rは0〜12、nは1〜4、pは0〜4、qは1又は2が好ましく、m、o、rは0〜8、nは1〜3、pは0〜3、qは1又は2がより好ましい。
R1からR5において、一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基、炭素−炭素間二重結合または炭素−炭素間三重結合のような炭素−炭素間不飽和基を有する脂肪族炭化水素基、すなわちビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基、またはエチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基であってよい。
一般式[1]において、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜12の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、一般式[1]において、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜8の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが好ましく、一般式[1]において、R6は置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜4の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが特に好ましい。
R6において、二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、ビニレン基、更にはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、フェニレン基等の環状構造を有する基であってよい。
一般式[1]において、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜18の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが好ましく、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜12の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であり、Xは置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和の、炭素数1〜8の二価の炭化水素基(二価の炭化水素基は酸素原子、硫黄を含む原子団、及び窒素を含む原子団から選択される原子(団)で中断されていてもよく、環状構造を有していてもよい。)であることが特に好ましい。
Xにおいて、二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、ビニレン基、更にはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、フェニレン基等の環状構造を有する基であってよい。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[1]において、酸素原子、硫黄を含む原子団、窒素を含む原子団で中断されていてもよいとは、−O−、−S−、−S−S−、−NH−、−NR−等の構造を有するものが例示される。
一般式[1]において、繰り返し単位m、o、rは0〜18、nは1〜4、pは0〜4、qは1又は2であるが、m、o、rは0〜12、nは1〜4、pは0〜4、qは1又は2が好ましく、m、o、rは0〜8、nは1〜3、pは0〜3、qは1又は2がより好ましい。
一般式[2]において、R7、R8、R9は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のカルボキシル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであることが特に好ましい。
またR7、R8、R9のうち少なくとも一つはアルキル基以外の構造であり、2つ以上がアルキル基以外の構造であることが特に好ましい。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
またR7、R8、R9のうち少なくとも一つはアルキル基以外の構造であり、2つ以上がアルキル基以外の構造であることが特に好ましい。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[3]において、R10は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、一般式[4]で表される基(一般式[1]においてqが2である場合のみ)のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[3]において、R11、R12は置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[3]において、R13、R14、R15は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[3]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[3]において、R11、R12は置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[3]において、R13、R14、R15は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[3]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[1]で表される有機珪素化合物の具体例としては、1,2−ジメルカプトエチルトリエトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルトリメトキシシラン、1,2−ジメルカプトエチルメチルジエトキシシラン、1,3−ジメルカプトプロピルトリエトキシシラン、1,3−ジメルカプトプロピルトリメトキシシラン、1,3−ジメルカプトプロピルトリアセトキシシラン、1,3−ジメルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、1,3−ジメルカプトプロピルトリヘキソキシシラン、1,3−ジメルカプトプロピルトリドデコシラン、1,3−ジメルカプトプロピルトリオクタデコシラン、1,3−ジメルカプトプロピルメチルジオクタデコシラン、1,3−ジメルカプトプロピルエトキシジオクタデコシラン、3,4−ジメルカプトブチルトリメトキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルメチルジメトキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルトリデコキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルエトキシジオクタデコキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルトリオクタデコキシシラン、2,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン、3−メルカプト−2−メルカプトメチルプロピルトリエトキシシラン、5,6−ジメルカプトヘキシルトリエトキシシラン、3,4,8−トリメルカプトオクチルトリエトキシシラン、2,2,3,3−テトラメルカプトプロピルトリエトキシシラン、ジ(3−メルカプトプロピル)ジメトキシシラン、ジ(3−メルカプトプロピル)ジエトキシシラン、1,3−ジメルカプトプロピルトリエトキシシランとジエチレングリコールモノブチルエーテルとの反応物、1,3−ジメルカプトプロピルトリエトキシシランとテトラエチレングリコールモノブチルエーテルとの反応物、3,4−ジメルカプトブチルメチルジメトキシシランと2−メチル−1,3−プロパンジオールとの反応物、3,4−ジメルカプトブチルトリメトキシシランとブチルジエタノールアミンとの反応物、などが例示される。
一般式[1]で表される有機珪素化合物の製造には特に制限はないが既知の方法を用いてよく、有機溶媒(ジメチルホルムアミド、エタノール等)中でメルカプト塩(塩はLi、Na、K、アンモニウムなど)とハロゲン化アルキル基含有有機珪素化合物を常温〜180℃で反応させる、炭素−炭素二重結合を持つ有機珪素化合物と硫化水素を常圧〜100MPaの圧力下、常温〜180℃で反応させる、メルカプト塩の水溶液とハロゲン化アルキル基含有有機珪素化合物を相間移動触媒の存在下で常温〜120℃で反応させるなどの方法が例示できる。ハロゲン化アルキル基含有有機珪素化合物とは、1,2−ジクロロエチルトリエトキシシラン、1,3−ジクロロプロピルトリメトキシシラン、3,4−ジクロロブチルトリエトキシシランなどが例示される。
一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物としては、一般式[1]で表される有機珪素化合物を加水分解後に縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良く、他の成分と縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良い。他の成分としては二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールが例示され、炭素数2〜60のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60の(ポリ)アルキルエーテルポリオールが好ましく、炭素数2〜30のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜30の(ポリ)アルキルエーテルポリオールがより好ましい。
本発明の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示される。分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが例示される。
有機珪素化合物(A)に含まれるメルカプト基の数は特に限定されないが、2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましい。
他の有機珪素化合物(B)としてはビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリングであることが好ましい。
本発明のビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、フェニルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のエポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリロキシ系シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のメルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤としては、一般式[5]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)が特に好ましい。
(R16−O)3−YR16−Si−R17−SX−R17−Si−R16(O−R16)3−Y[5]
(式[5]中、R16は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R17は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
本発明のチオエステル系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の保護化メルカプト系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、フェニルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のエポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリロキシ系シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のメルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤としては、一般式[5]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)が特に好ましい。
(R16−O)3−YR16−Si−R17−SX−R17−Si−R16(O−R16)3−Y[5]
(式[5]中、R16は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R17は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
本発明のチオエステル系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の保護化メルカプト系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含む縮合物としては、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤を加水分解後に縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良く、他の成分と縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良い。他の成分としては二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールが例示され、炭素数2〜60のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60の(ポリ)アルキルエーテルポリオールが好ましく、炭素数2〜30のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜30の(ポリ)アルキルエーテルポリオールがより好ましい。
本発明の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示される。分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが例示される。
他の有機珪素化合物(B)を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−Z、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。
本有機珪素化合物の混合物は、有機珪素化合物(A)が5〜95重量%を含有することが好ましく、5〜85重量%を含有することがより好ましく、10〜80重量%を含有することが更に好ましく、15〜75重量%を含有することが特に好ましい。また、他の有機珪素化合物(B)としては、5〜95重量%を含有することが好ましく、15〜95重量%を含有することがより好ましく、20〜90重量%を含有することが更に好ましく、25〜85重量%を含有することが特に好ましい。
本発明の無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)とを含有する有機珪素化合物の混合物の態様として、有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含有する縮合物であってよい。具体的には、一般式[1]で表される有機珪素化合物と他の有機珪素化合物(B)が縮合して得られる縮合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物、他の有機珪素化合物(B)と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60(ポリ)アルキルエーテルポリオールと縮合して得られる縮合物が例示される。
有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含有する縮合物に用いる化合物である一般式[1]で表される有機珪素化合物、他の有機珪素化合物(B)、二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールについては、有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)とを含有する有機珪素化合物の混合物について記載されたものと同様のものを用いてよい。
次に、本発明の有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)とを含有する有機珪素化合物の混合物、及び/又は有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含む縮合物を用いたゴム組成物について説明する。
本発明のゴム組成物としては、ゴム、無機充填材、本発明の有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)とを含有する有機珪素化合物の混合物、及び/又は有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含む縮合物を含有する。
本発明のゴム組成物に用いるゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、各種スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、各種アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴムや各種エチレンプロピレン共重合体ゴムなどが挙げられ、ジエン系ゴムであることが好ましい。ゴムは単独、又は任意にブレンドして使用することができる。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材としては、水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m2/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であり、水酸化アルミニウム、BET比表面積が20〜350m2/gである湿式シリカが好ましく、水酸化アルミニウム、BET比表面積が30〜300m2/gである湿式シリカがより好ましい。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材は、ゴム100重量部に対して、無機充填材は5〜200重量部を含有することが好ましく、10〜150重量部を含有することがより好ましく、15〜120重量部を含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物においては、ゴム100重量部に対して、本発明の有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)とを含有する有機珪素化合物の混合物、及び/又は有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含む縮合物を、1〜40重量部を含有することが好ましく、1〜30重量部を含有することがより好ましく、1〜20重量部を含有することが特に好ましい。
更に本発明のゴム組成物では他のシランカップリング剤を併用してもよく、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤をゴム100重量部に対して0.1〜30重量部を配合することが好ましく、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤をゴム100重量部に対して0.5〜15重量部を配合することがより好ましい。
本発明のビニル系シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、フェニルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のエポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリロキシ系シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のメルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤としては、一般式[5]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)が特に好ましい。
(R16−O)3−YR16−Si−R17−SX−R17−Si−R16(O−R16)3−Y[5]
(式[5]中、R16は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のなかから選択され、R17は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
本発明のチオエステル系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の保護化メルカプト系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、フェニルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のエポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリロキシ系シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のメルカプト系シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤としては、一般式[5]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(略称TESPD)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(略称TESPT)が特に好ましい。
(R16−O)3−YR16−Si−R17−SX−R17−Si−R16(O−R16)3−Y[5]
(式[5]中、R16は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のなかから選択され、R17は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
本発明のチオエステル系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明の保護化メルカプト系シランカップリング剤としては、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
併用される他のシランカップリング剤を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。また本発明の有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)とを含有する有機珪素化合物の混合物、及び/又は有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含む縮合物と他のシランカップリング剤を併用する場合には、それらの合計重量がゴム100重量部に対し40重量部を超えないことが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造には、80〜250℃で混練することが好ましく、80〜200℃で混練することがより好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明においては、更に、架橋剤を含むことが好ましく、架橋剤は硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種であることが特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
上記架橋剤の含有量は、ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部含有することが好ましく、0.2〜15重量部含有することがより好ましく、0.5〜10重量部含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物に架橋剤を添加後の組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、100℃以下で混練することが好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明のゴム組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記の他に、通常ゴム工業で用いられる配合剤を使用できる。例えば、グアニジン系架橋促進剤、スルフェンアミド系架橋促進剤、亜鉛華などの架橋促進(助)剤、ステアリン酸などの加工助剤、チタネート系などのカップリング剤、フェニル-α-ナフチルアミンなどの老化防止剤、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの充填剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、スコーチ防止剤等を使用できる。
本発明のゴム組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、通常ゴム工業にて使用されるロール、加圧ニーダー、インターミキサー、バンバリーミキサーなどの各種混合機械を用いることが可能であり、タイヤのトレッド、防振ゴム、靴底などの動的に使用されるゴム部品の製造に好適である。
このように調製された架橋用ゴム組成物は押出成形機、カレンダーロール、又はプレスにより意図する形状に成形し、好ましくは130〜230℃で、1分〜3時間加熱して架橋物を得る。また、架橋の際には金型を用いても良い。
本発明のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物はタイヤ、防振ゴム、ゴム床、ロール、パッキン、シール材、Oリング等の用途で好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
3,4−ジクロロブチルトリクロロシランの製造
−20℃に設定した還流管、温度計、滴下漏斗、磁気攪拌装置を備えた300ml三口フラスコに1.02gのイソプロパノールに溶解させた0.34g(0.54ミリモル)の塩化白金酸12水和物(和光純薬工業株式会社製)と67.5g(0.54モル)の3,4−ジクロロ−1−ブテン(東京化成工業株式会社製)を加えた。室温にて61.0g(0.45モル)のトリクロロシラン(東京化成工業株式会社製)を30分かけて滴下したところ、内部温度は95℃まで上昇し、トリクロロシランの還流が生じた。還流が終了した時点で80℃のオイルバスへ移し、合計2時間の反応を行った。この溶液を減圧蒸留し、真空度50mmHgで110〜113℃の留分を分取したところ、収量は100.5g(収率85.7%、トリクロロシラン基準)で無色透明の液体が得られた。
−20℃に設定した還流管、温度計、滴下漏斗、磁気攪拌装置を備えた300ml三口フラスコに1.02gのイソプロパノールに溶解させた0.34g(0.54ミリモル)の塩化白金酸12水和物(和光純薬工業株式会社製)と67.5g(0.54モル)の3,4−ジクロロ−1−ブテン(東京化成工業株式会社製)を加えた。室温にて61.0g(0.45モル)のトリクロロシラン(東京化成工業株式会社製)を30分かけて滴下したところ、内部温度は95℃まで上昇し、トリクロロシランの還流が生じた。還流が終了した時点で80℃のオイルバスへ移し、合計2時間の反応を行った。この溶液を減圧蒸留し、真空度50mmHgで110〜113℃の留分を分取したところ、収量は100.5g(収率85.7%、トリクロロシラン基準)で無色透明の液体が得られた。
3,4−ジクロロブチルトリエトキシシランの製造
温度計、滴下漏斗、機械式攪拌装置を備えた500ml三口フラスコに200gのヘキサン、モレキュラーシーブスにて脱水した27.6g(0.6モル)のエタノール(和光純薬工業株式会社製)と60.7g(0.6モル)のトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、食塩−氷の寒剤にて−10℃まで冷却した。そこへ窒素雰囲気下、52.1g(0.2モル)の3,4−ジクロロトリクロロシランを、内部温度が10℃を超えないように1時間かけて滴下したところ、トリエチルアミン塩酸塩が生成し、全体が白色スラリー状となった。このスラリーを3時間攪拌した後、減圧濾過を行った。そのろ液を減圧度30mmHg、55℃にて減圧濃縮を行ったところ、微黄色透明の液体が得られた。GC純度は97.8%であり、GC−MSにて目的物(3,4−ジクロロブチルトリエトキシシラン)である事を確認した。
温度計、滴下漏斗、機械式攪拌装置を備えた500ml三口フラスコに200gのヘキサン、モレキュラーシーブスにて脱水した27.6g(0.6モル)のエタノール(和光純薬工業株式会社製)と60.7g(0.6モル)のトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)を加え、食塩−氷の寒剤にて−10℃まで冷却した。そこへ窒素雰囲気下、52.1g(0.2モル)の3,4−ジクロロトリクロロシランを、内部温度が10℃を超えないように1時間かけて滴下したところ、トリエチルアミン塩酸塩が生成し、全体が白色スラリー状となった。このスラリーを3時間攪拌した後、減圧濾過を行った。そのろ液を減圧度30mmHg、55℃にて減圧濃縮を行ったところ、微黄色透明の液体が得られた。GC純度は97.8%であり、GC−MSにて目的物(3,4−ジクロロブチルトリエトキシシラン)である事を確認した。
乾燥水硫化ナトリウムの製造
500mlのナスフラスコに31.6gの水硫化ナトリウムフレーク(ナガオ株式会社製)を加え、5mmHgで室温から130℃まで徐々に温度を昇温しながらロータリーエバポレーターにて減圧乾燥し、重量変化が無くなるまで継続した。その結果、22.4gの乾燥水硫化ナトリウムが得られた。
500mlのナスフラスコに31.6gの水硫化ナトリウムフレーク(ナガオ株式会社製)を加え、5mmHgで室温から130℃まで徐々に温度を昇温しながらロータリーエバポレーターにて減圧乾燥し、重量変化が無くなるまで継続した。その結果、22.4gの乾燥水硫化ナトリウムが得られた。
3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン(有機珪素化合物1)の製造
還流管(水冷)、温度計、滴下漏斗、磁気攪拌装置を備えた200ml三口フラスコに5.9g(105ミリモル)の乾燥水硫化ナトリウムと35gのジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製)を混合した。フラスコ内を磁気攪拌装置で攪拌しながらオイルバスで40℃に加熱し、そこへ14.5g(50ミリモル)の3,4−ジクロロブチルトリエトキシシランを30分間かけて滴下した。その後、オイルバスの温度を80℃に上昇させ2時間攪拌した時点で、GC測定にて原料である3,4−ジクロロブチルトリエトキシシランの消失を確認した。反応終了後、室温まで冷却させた後、50gのノルマルヘキサン(和光純薬工業株式会社製)と15gの純水を添加し、1分間攪拌した後、水層を抜き出した。次いで7gの純水を添加し、1分攪拌した後、水層を抜き出す作業を合計2回行った。得られた有機層に2gの無水硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)を添加して1時間攪拌し、減圧濾過を行った。得られた溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて常圧から5mmHgまで徐々に減圧度を上げながら50℃にて減圧濃縮した。その結果、無色透明の液体が13.1g得られた(収率92.4%、3,4−ジクロロブチルトリエトキシシラン基準)。GC純度は88.6%であり、GC−MSにて目的物(3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン)である事を確認した。
還流管(水冷)、温度計、滴下漏斗、磁気攪拌装置を備えた200ml三口フラスコに5.9g(105ミリモル)の乾燥水硫化ナトリウムと35gのジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製)を混合した。フラスコ内を磁気攪拌装置で攪拌しながらオイルバスで40℃に加熱し、そこへ14.5g(50ミリモル)の3,4−ジクロロブチルトリエトキシシランを30分間かけて滴下した。その後、オイルバスの温度を80℃に上昇させ2時間攪拌した時点で、GC測定にて原料である3,4−ジクロロブチルトリエトキシシランの消失を確認した。反応終了後、室温まで冷却させた後、50gのノルマルヘキサン(和光純薬工業株式会社製)と15gの純水を添加し、1分間攪拌した後、水層を抜き出した。次いで7gの純水を添加し、1分攪拌した後、水層を抜き出す作業を合計2回行った。得られた有機層に2gの無水硫酸マグネシウム(和光純薬工業株式会社製)を添加して1時間攪拌し、減圧濾過を行った。得られた溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて常圧から5mmHgまで徐々に減圧度を上げながら50℃にて減圧濃縮した。その結果、無色透明の液体が13.1g得られた(収率92.4%、3,4−ジクロロブチルトリエトキシシラン基準)。GC純度は88.6%であり、GC−MSにて目的物(3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン)である事を確認した。
なお、各種化学分析は下記の条件にて行った。
GC測定は、キャピラリーカラム(GLサイエンス製TC−5(30m×0.25mmI.D.0.25μm))とFID検出器を備えたGLサイエンス製GC353Bを用いて実施した。注入口及び検出器の温度は300℃とし、キャリヤーガスは窒素を用いた。カラム昇温条件は初期温度70℃で3分間保持し、その後20℃/分の速度で270℃まで昇温し、4分間その温度を保持後、測定終了とした。この時の3,4−ジクロロブチルトリエトキシシランの保持時間は10.6分、3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシランの保持時間は11.7分であった。
GC−MS測定は、キャピラリーカラム(GLサイエンス製TC−5(30m×0.25mmI.D.0.25μm))を備えたAgilentTechnologies社製6890N、及びJEOL製JMS−T100GCにより構成される。GC条件は、注入口及び検出器の温度は300℃とし、キャリヤーガスはヘリウムを用いた。カラム昇温条件は初期温度70℃で3分間保持し、その後20℃/分の速度で270℃まで昇温し、4分間その温度を保持後、測定終了とした。GC本体とMS間のインターフェース温度は260℃とした。MS条件は、イオン化室温度は200℃、標準資料導入部温度は70℃、検出器電圧は1900Vであり、EI法にて測定した。3,4−クロロブチルトリエトキシシランの保持時間は10.1分、3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシランの保持時間は11.3分であった。
GC−MS測定は、キャピラリーカラム(GLサイエンス製TC−5(30m×0.25mmI.D.0.25μm))を備えたAgilentTechnologies社製6890N、及びJEOL製JMS−T100GCにより構成される。GC条件は、注入口及び検出器の温度は300℃とし、キャリヤーガスはヘリウムを用いた。カラム昇温条件は初期温度70℃で3分間保持し、その後20℃/分の速度で270℃まで昇温し、4分間その温度を保持後、測定終了とした。GC本体とMS間のインターフェース温度は260℃とした。MS条件は、イオン化室温度は200℃、標準資料導入部温度は70℃、検出器電圧は1900Vであり、EI法にて測定した。3,4−クロロブチルトリエトキシシランの保持時間は10.1分、3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシランの保持時間は11.3分であった。
ゴム組成物の製造
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は80℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は60rpm一定とした。配合はポリマー100gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、1分間混練した。次いで表1の配合(II)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(III)に示されるに示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを160℃で20分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は80℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は60rpm一定とした。配合はポリマー100gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、1分間混練した。次いで表1の配合(II)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(III)に示されるに示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを160℃で20分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。
加工性試験
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、160℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応におけるトルクの上昇が全体の90%に達した時間(T90)として記載する。
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、160℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応におけるトルクの上昇が全体の90%に達した時間(T90)として記載する。
引張試験
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。
粘弾性特性試験1
架橋シートから幅4×長さ40×厚み2mmの試験片を打ち抜き、セイコーインスツル株式会社製DMS6100にて、チャック間距離20mm、初期荷重1000mN、引張歪10μm、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は−20℃〜20℃とし、2℃/分の速度で昇温した。
架橋シートから幅4×長さ40×厚み2mmの試験片を打ち抜き、セイコーインスツル株式会社製DMS6100にて、チャック間距離20mm、初期荷重1000mN、引張歪10μm、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は−20℃〜20℃とし、2℃/分の速度で昇温した。
粘弾性特性試験2
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪10%、動振幅2%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪10%、動振幅2%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
磨耗性試験
JIS K6264に準拠した試験片(架橋シート)を作成し、アクロン磨耗試験機にて15°および35°の傾斜角にて測定を行った。また負荷荷重は44.1N、試験片の回転速度は1分間に250回転とした。15°の測定においては、磨耗輪の回転数で5000回転運転し、その時の重量減少とコンパウンドの比重から磨耗容量を測定し、それを5分の1とする事で1000回あたりの磨耗量とした。35°の測定においては、磨耗輪の回転数で500回転運転し、その時の重量減少とコンパウンドの比重から磨耗容量を測定し、それを2倍とする事で1000回あたりの磨耗量とした。
JIS K6264に準拠した試験片(架橋シート)を作成し、アクロン磨耗試験機にて15°および35°の傾斜角にて測定を行った。また負荷荷重は44.1N、試験片の回転速度は1分間に250回転とした。15°の測定においては、磨耗輪の回転数で5000回転運転し、その時の重量減少とコンパウンドの比重から磨耗容量を測定し、それを5分の1とする事で1000回あたりの磨耗量とした。35°の測定においては、磨耗輪の回転数で500回転運転し、その時の重量減少とコンパウンドの比重から磨耗容量を測定し、それを2倍とする事で1000回あたりの磨耗量とした。
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。なお比較例2の物性データに記載値が無い理由は、スコーチの為に混練コンパウンドが砕片状となり成型できず、配合物性が得られなかった為である。
*2 東ソーシリカ株式会社製 Nipsil AQ(BET比表面積215m2/g)
*3 日本石油株式会社製 Sunthene415
*4 日油株式会社製 ステアリン酸さくら
*5 大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
*6 ダイソー株式会社製 CABRUS−2
*7 堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
*8 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*9 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ
*10 細井化学工業株式会社製 コロイド硫黄
上記試験方法より得られた実施例及び比較例の試験結果を表2〜6に示す。
表2〜6に示されている通り、比較例2は混練、成型が不可能であったところ、実施例では混練も成型も可能であった。実施例では比較例1と比較して、低燃費性の指標である60℃のtanδが小さく燃費性に優れることが示唆され、また濡れた路面のグリップ性の指標である0℃のtanδは大きくグリップ性まで優れることが示唆された。耐磨耗性についても同様に、全ての実施例において高スリップ率(35°の試験を示す)、低スリップ率(15°の試験を示す)ともに耐磨耗性に優れる結果となった。更に加工性試験では速い架橋速度と低いコンパウンド粘度を示し加工性に優れることが示唆され、引張試験においては強度面で優れる結果であった。
本発明にある有機珪素化合物の混合物を使用する事により、動的特性、耐磨耗性、加工性、機械物性に優れたゴム組成物および架橋物を提供することが出来る。従って、特にタイヤのトレッドや防振ゴムなどの動的に使用されるゴム部品の製造には好適である。
Claims (17)
- 無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と、他の有機珪素化合物(B)を含有することを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
- 有機珪素化合物(A)が一般式[1]で表される有機珪素化合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機珪素化合物の混合物。
- 一般式[1]で表される有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物は、一般式[1]で表される有機珪素化合物(A)の縮合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物有機珪素化合物(A)と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である請求項2に記載の有機珪素化合物の混合物。
- 有機珪素化合物(A)に含まれるメルカプト基の数が、2〜12であることを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の有機珪素化合物の混合物。
- 他の有機珪素化合物(B)がビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤、又はそれらシランカップリング剤を縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の有機珪素化合物の混合物。
- シランカップリング剤を縮合成分として含む縮合物は、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤の縮合物、又はそれらシランカップリング剤と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である請求項5に記載の有機珪素化合物の混合物。
- 他の有機珪素化合物(B)の含有量が5〜95重量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の有機珪素化合物との混合物。
- 無機充填材と反応する基とメルカプト基を含有する有機珪素化合物であって、メルカプト基の数が珪素原子1原子あたり少なくとも1を超える数である有機珪素化合物(A)と他の有機珪素化合物(B)を縮合成分として含有する縮合物。
- 一般式[1]で表される有機珪素化合物と他の有機珪素化合物(B)との縮合物、又は一般式[1]で表される有機珪素化合物、他の有機珪素化合物(B)と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である請求項8記載の縮合物。
- 他の有機珪素化合物(B)がビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、又は保護化メルカプト系シランカップリング剤であることを特徴とする請求項8又は9に記載の縮合物。
- ゴム100重量部に対して、無機充填材を5〜200重量部、請求項1〜7のいずれかに記載の有機珪素化合物の混合物、及び/又は請求項8〜10いずれかに記載の縮合物を1〜40重量部含有することを特徴とするゴム組成物。
- 無機充填材が水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m2/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項11に記載のゴム組成物。
- 更に、ビニル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、アルキル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤、メルカプトシラン系シランカップリング剤、(ポリ)スルフィド系シランカップリング剤、チオエステル系シランカップリング剤、保護化メルカプト系シランカップリング剤から選択されるシランカップリング剤をゴム100重量部に対して0.1〜30重量部を含有することを特徴とする請求項11又は12に記載のゴム組成物。
- ゴムがジエン系ゴムであることを特徴とする請求項11〜13いずれかに記載のゴム組成物。
- 更に、架橋剤として、硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種を含む請求項11〜14のいずれかに記載のゴム組成物。
- 請求項15記載のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物。
- 請求項15記載のゴム組成物を架橋して得られるタイヤ、防振ゴム、ゴム床、ロール、パッキン、シール材、Oリング。
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