JP2018083773A - 有機珪素化合物、およびそれを用いたゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム組成物に配合することで優れた加工性を付与せしめる有機珪素化合物の混合物、及び/又は縮合物、及び該有機珪素化合物を配合してなるゴム組成物を提供すること課題する。【解決手段】ロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物である有機珪素化合物、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物、及びゴム組成物を架橋してなる架橋物と製品を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を持つ有機珪素化合物、その製造方法、およびゴム組成物に関する。
近年、低燃費性、制動性に優れたシリカ配合タイヤを始めとし、防振ゴムや各種ゴムロールなど様々なシリカ配合ゴム製品が普及しつつある。しかしながら、シリカ配合ゴム組成物はコンパウンド粘度が著しく上昇するため、シランカップリング剤を配合することにより粘度の上昇を緩和する手法が一般的に取られている。また、シランカップリング剤は、シリカ表面のシラノールと反応することによりシリカ同士の相互作用を低減し、ゴムの損失正接や動的弾性率を下げることが知られている。
現在、シランカップリング剤の中でも、低燃費タイヤ用途ではポリスルフィド系カップリング剤が多用されている(特許文献1参照)。本技術分野の課題として、より一層の性能の向上させるシランカップリング剤が求められる一方で、化石燃料の枯渇と天然資源の活用を背景として、サスティナブル材料が要求されており、天然由来材料を用いたシランカップリング剤が求められている。
特開2000−103794号公報
本発明は上記の点に鑑み、新規な構造を有し、天然由来材料からなる有機珪素化合物、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物を提供する。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、ロジン骨格を有する有機珪素化合物により、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、ロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物である有機珪素化合物、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。
また、本発明は以下のように記載することができる。
項1 ロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物。
項2 ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1に記載の有機珪素化合物。

(式[1]中、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、R、Rの少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基である。)
(式[2]中、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、Rはそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR−、−CR1011−のいずれかであり、R、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素であり、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基である。)
項3 ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物を縮合成分として含む縮合物は、ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物の縮合物、又はロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルポリオールとの縮合物である項2に記載の有機珪素化合物。
項4 項1〜3に記載の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物に他の有機珪素化合物を含んでなる有機珪素化合物の混合物。
項5 項4に記載の他の有機珪素化合物が、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
項6 ロジン酸残基が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、及びその誘導体からなる群から選択される酸の残基であることを特徴とする項1〜5いずれかに記載の有機珪素化合物、又は有機珪素化合物の混合物。
項7 ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、請求項1〜6いずれかに記載の有機珪素化合物および/または有機珪素化合物の混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
項8 無機充填材がBET比表面積20〜300m/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする項7に記載のゴム組成物。
項9 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする項7又は8に記載のゴム組成物。
項10 ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択されるゴムを10〜90重量%含有することを特徴とする項7〜9いずれかに記載のゴム組成物。
項11 項7〜10いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
項12 項11に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
項13 項12に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
本発明による有機珪素化合物はサスティナブル材料を用いており、持続可能な社会の構築に貢献できるものであり、また、本発明による有機珪素化合物を用いたゴム組成物は、加工性、グリップ性を向上させることが期待できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、ロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物であり、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。
ロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物について説明する。該有機珪素化合物は、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、またはそれらの誘導体といったロジン酸、ロジン酸誘導体を由来とする残基(ロジン酸残基ともいう)、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を含有する化合物であり、ロジン酸のカルボキシル基が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基とチオールを含む基で修飾された構造の化合物、即ち、ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合された化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることが好ましい。
(式[1]中、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、R、Rの少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基である。)
(式[2]中、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、Rはそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR−、−CR1011−のいずれかであり、R、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素であり、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基である。)
一般式[1]においては、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
またR、R、Rのうち少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは2〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは4〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数4〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[1]において、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
本発明のロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物においては、加工性、引張特性、動的粘弾性の点で、一般式[1]においては、R、R、Rがそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基であり、Rがそれぞれ置換もしくは無置換の炭素数1〜18の二価の炭化水素基であることが好ましく、R、R、Rがメトキシ基、エトキシ基から選択され、Rがいずれもトリメチレン基であることが特に好ましい。
一般式[2]においては、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[2]において、R、Rは置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[2]において、R、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[2]において、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
ロジン酸残基としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸およびその誘導体からなる群から選択される酸の残基であること好ましい。
ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物とは、具体的には以下の化合物(式[3]〜[29])を例示することができる(Zは一般式[1]〜[2]で表される。)。
ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物の中でも、式[3]〜[8]である化合物であることが好ましい。
本発明の有機珪素化合物としては、ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物を加水分解後に縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良く、他の成分と縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良い。他の成分としては二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールが例示され、炭素数2〜60のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60の(ポリ)アルキルエーテルポリオールが好ましく、炭素数2〜30のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜30の(ポリ)アルキルエーテルポリオールがより好ましい。
本発明の二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示される。二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが例示される。
ロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物、特に上記に具体的に記載された有機珪素化合物の製造方法は特に限定されることがないが、具体的には、塩基の存在下、メルカプトシランをロジン酸塩化物と反応させることにより製造する方法を例示することができる。
メルカプトシランを具体的に例示すると、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
メルカプトシランの使用量はロジン酸塩化物に対して0.6〜2.5モル当量であることが好ましく、0.7〜1.5モル当量であることがより好ましく、0.8〜1.2モル当量であることが特に好ましい。
ロジン酸塩化物としては、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸およびその誘導体から選択される化合物の塩化物であることが好ましい。
ロジン酸塩化物は、トールロジン、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン由来の塩化物であってよい。
トールロジンの一般的な組成は、アビエチン酸が33〜48重量%、ネオアビエチン酸2〜8重量%、パラストリン酸10〜20重量%、ピマル酸3〜8重量%、イソピマル酸4〜10重量%、デヒドロアビエチン酸15〜25重量%である。また酸価は165〜175、軟化点は70〜75℃である。
ガムロジンの一般的な組成は、アビエチン酸が25〜45重量%、ネオアビエチン酸10〜25重量%、パラストリン酸10〜25重量%、ピマル酸4〜8重量%、イソピマル酸2〜8重量%、デヒドロアビエチン酸3〜7重量%である。また酸価は165〜175、軟化点は70〜80℃である。
ウッドロジンの一般的な組成は、アビエチン酸が35〜45重量%、ネオアビエチン酸2〜10重量%、パラストリン酸10〜20重量%、ピマル酸5〜8重量%、イソピマル酸10〜15重量%、デヒドロアビエチン酸10〜15重量%である。また酸価は160〜170、軟化点は70〜80℃である。
塩基としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、エチレンジアミン、ピリジンなどが例示される。また、塩基はこれらの1種類または2種類以上を用いてもよい。
塩基の使用量は、メルカプトシランに対して0.5〜10モル当量であることが好ましく、0.8〜3.0モル当量であることがより好ましい。
メルカプトシランとロジン酸塩化物との反応においては、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素等や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が例示される。
溶媒の使用量は、メルカプトシランに対して0.3〜100重量倍であることが好ましく、0.5〜40重量倍であることがより好ましい。
反応条件には制限はないが、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜6時間程度が好ましい。
更に本発明のロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物は、他の有機珪素化合物を併用してもよく、他の有機珪素化合物としてはビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物であることが好ましく、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが特に好ましい。
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系有機珪素化合物としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、一般式[30]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
(R12−O)3−y(R12)−Si−R13−S−R13−Si−(R12)(O−R12)3−y・・・[30]
(式[30]中、R12は独立して炭素数1〜18のアルキル基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R13は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、xは1〜9、yは0、1、又は2の整数である。)
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の化合物としてメルカプト基を有しているメルカプト系有機珪素化合物、及び、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等の化合物としてはメルカプト基を有していない(メルカプト基が保護されている)有機珪素化合物であって、熱等を加えられることにより、後発的にメルカプト基を有することになる保護化メルカプト系有機珪素化合物を例示することができる。
次に、本発明の有機珪素化合物を用いたゴム組成物について説明する。
本発明のゴム組成物としては、ゴム、無機充填材、本発明のロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物を含有する。
本発明のゴム組成物に用いるゴムとしては特に限定はされないが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、各種アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、各種エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられ、ジエン系ゴムであることが好ましい。ゴムは単独、又は任意にブレンドして使用することができる。特に、NR、IR、SBRが好ましく、ブレンドする場合においてはNR、IR、SBRから選択されるゴムがゴム成分として10〜90重量%含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材としては、水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であり、水酸化アルミニウム、BET比表面積が20〜300m/gである湿式シリカ、BET比表面積が50〜300m/gである乾式シリカが好ましく、BET比表面積20〜300m/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることがより好ましく、BET比表面積が30〜250m/gである湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムがより好ましい。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材の配合量は、ゴム100重量部に対して、下限は10重量部以上であることが好ましく、20重量部以上であることがより好ましく、上限は150重量部以下であることが好ましく、120重量部以下であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物においては、無機充填材100重量部に対して本発明のロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物を1〜30重量部を含有することが好ましく、1〜25重量部を含有することがより好ましい。
更に本発明のゴム組成物では他の有機珪素化合物を併用することが好ましく、他の有機珪素化合物としてはビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物であることが好ましく、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが特に好ましい。
本発明のゴム組成物では、他の有機珪素化合物の配合量は、シリカ系充填材100重量部に対して、下限は0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、上限は20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましい。
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系有機珪素化合物としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、一般式[30]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
(R12−O)3−y(R12)−Si−R13−S−R13−Si−(R12)(O−R12)3−y・・・[30]
(式[30]中、R12は独立して炭素数1〜18のアルキル基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R13は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、xは1〜9、yは0、1、又は2の整数である。)
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の化合物としてメルカプト基を有しているメルカプト系有機珪素化合物、及び、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等の化合物としてはメルカプト基を有していない(メルカプト基が保護されている)有機珪素化合物であって、熱等を加えられることにより、後発的にメルカプト基を有することになる保護化メルカプト系有機珪素化合物を例示することができる。
併用される他の有機珪素化合物を具体的に例示すると、株式会社大阪ソーダ製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。また本発明の有機珪素化合物、及び他のシランカップリング剤を併用する場合には、それらの合計重量がシリカ系充填材100重量部に対し30重量部を超えないことが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造には、80〜250℃で混練することが好ましく、80〜200℃で混練することがより好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明においては、更に、架橋剤を含むことが好ましく、架橋剤は硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種であることが特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
上記架橋剤の含有量は、ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部含有することが好ましく、0.2〜15重量部含有することがより好ましく、0.5〜10重量部含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物に架橋剤を添加後の組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、100℃以下で混練することが好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明のゴム組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記の他に、通常ゴム工業で用いられる配合剤を使用できる。例えば、グアニジン系架橋促進剤、スルフェンアミド系架橋促進剤、亜鉛華などの架橋促進(助)剤、ステアリン酸などの加工助剤、チタネート系などのカップリング剤、フェニル-α-ナフチルアミン、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミンなどの老化防止剤、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの充填剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、スコーチ防止剤等を使用できる。
本発明のゴム組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、通常ゴム工業にて使用されるロール、加圧ニーダー、インターミキサー、バンバリーミキサーなどの各種混合機械を用いることが可能である。
このように調製された架橋用ゴム組成物は押出成形機、カレンダーロール、又はプレスにより意図する形状に成形し、好ましくは120〜230℃で、1分〜3時間加熱して架橋物を得る。また、架橋の際には金型を用いても良い。
本発明のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物はタイヤ(特にトレッド部分)、ベルト、防振ゴムなどの動的に使用されるゴム部品で好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
有機珪素化合物1の合成
温度計、磁気攪拌装置を備えた500mLの三口フラスコに26.0gのガムロジン(徳慶基原合成樹脂有限公司製、X grade、軟化点:76℃、酸価:168)、3.1g(43.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製)、150gのトルエン(和光純薬株式会社製)、20.5g(171.9mmol)の塩化チオニル(和光純薬株式会社製)を加え、フラスコ内を磁気攪拌装置で攪拌しながらオイルバスで60℃に加熱して、1時間反応させた。反応終了後、未反応の塩化チオニルとトルエンを減圧濃縮して留去することで、ロジンの酸クロリドを得た。ここに300gのトルエン(和光純薬株式会社製)、17.4g(73.1mmol)の3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)を加えた。フラスコ内を磁気攪拌装置で攪拌しながら5℃まで冷却した後、13.1g(129.0mmol)のトリエチルアミン(和光純薬株式会社製)を滴下ロートを用いて15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し4時間攪拌した。反応終了後、反応溶液をろ過してろ液を減圧濃縮して黒褐色液体である有機珪素化合物1を46.3g得た。
ゴム組成物の製造
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は80℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は80rpm一定とした。配合はゴム100gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、30秒間混練した。次いで表1の配合(I I)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。尚、実施例・比較例の有機珪素化合物の量は、実施例・比較例における有機珪素化合物中のアルコキシ基の量が同じになるように調整した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(I I I)に示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを160℃で20分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。
加工性試験1
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、160℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応におけるトルクの上昇が全体の10%に達した時間(T10)、全体の90%に達した時間(T90)、その差(T90−T10)として記載する。
加工性試験2
未架橋シートを東洋精機製作所製ムーニー粘度計AM−3にセットし、JIS K6300に従い125℃にてL型ロータを用い、ML1+4とスコーチ時間(t5)を測定した。
引張試験
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。
動的粘弾性試験1
架橋シートから幅4×長さ40×厚み2mmの試験片を打ち抜き、セイコーインスツル株式会社製DMS6100にて、チャック間距離20mm、初期荷重1000mN、引張歪10μm、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は−20℃〜20℃とし、2℃/分の速度で昇温して、0℃のtanδを測定した。
動的粘弾性試験2
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪5%、動振幅0.5%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。
*1 JSR株式会社製 SL552
*2 東ソーシリカ株式会社製 Nipsil AQ(BET比表面積215m/g)
*3 日本石油株式会社製 Sunthene415
*4 日油株式会社製 ステアリン酸さくら
*5 大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
*6 株式会社大阪ソーダ製 CABRUS−2((ポリ)スルフィド系有機珪素化合物)
*7 堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
*8 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*9 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ
*10 細井化学工業株式会社製 コロイド硫黄
上記試験方法より得られた実施例及び比較例の試験結果を表2〜5に示す。
表2に示されている通り、実施例1は比較例1と比較して、T10が長く、かつT90−T10が短い。これはスコーチ性に優れ、かつシリカを配合した際の欠点のひとつである加硫の遅さを改善することを示唆している。
また、表5に示されている通り、実施例1は濡れた路面のグリップ性の指標である0℃のtanδが比較例1より大きく、グリップ性が優れることが示唆された。
他の物性については、表3、表4に示す通り、実施例1は比較例1に比べて遜色ない結果であった。
本発明にある有機珪素化合物を使用することにより、加工性、グリップ性に優れたゴム組成物および架橋物を提供することが出来る。従って、特にタイヤのトレッドや防振ゴム、ベルトなどの動的に使用されるゴム部品の製造には好適である。

Claims (13)

  1. ロジン酸残基、チオエステル構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物。
  2. ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機珪素化合物。
    (式[1]中、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、R、Rの少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基である。)
    (式[2]中、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CHO)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、Rはそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR−、−CR1011−のいずれかであり、R、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素であり、Rは置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基である。)
  3. ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物を縮合成分として含む縮合物は、ロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物の縮合物、又はロジン酸残基と一般式[1]〜[2]で示される基で結合されている化合物と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルポリオールとの縮合物である請求項2に記載の有機珪素化合物。
  4. 請求項1〜3に記載の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物に他の有機珪素化合物を含んでなる有機珪素化合物の混合物。
  5. 請求項4に記載の他の有機珪素化合物が、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
  6. ロジン酸残基が、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸、レボピマル酸、及びその誘導体からなる群から選択される酸の残基であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の有機珪素化合物、又は有機珪素化合物の混合物。
  7. ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、請求項1〜6いずれかに記載の有機珪素化合物および/または有機珪素化合物の混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
  8. 無機充填材がBET比表面積20〜300m/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項7に記載のゴム組成物。
  9. 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする請求項7又は8に記載のゴム組成物。
  10. ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択されるゴムを10〜90重量%含有することを特徴とする請求項7〜9いずれかに記載のゴム組成物。
  11. 請求項7〜10いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
  12. 請求項11に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
  13. 請求項12に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
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