JP2015172018A - 含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、およびゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム組成物に配合することにより、ゴムコンパウンドの粘度低下及び低転がり抵抗性、更に優れた常態物性を示す含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及び含硫黄有機珪素生成物を含有してなるゴム組成物を提供。
【解決手段】リモネンに代表される二重結合を含むテルペン残基、及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシランに代表される無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫黄に代表される硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及び該含硫黄有機珪素生成物を含むゴム組成物。
【選択図】なし
【解決手段】リモネンに代表される二重結合を含むテルペン残基、及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシランに代表される無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫黄に代表される硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及び該含硫黄有機珪素生成物を含むゴム組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及びゴム組成物に関する。
近年、低燃費性、制動性に優れたシリカ配合タイヤを始めとし、防振ゴムや各種ゴムロールなど様々なシリカ配合ゴム製品が普及しつつある。しかしながら、シリカ配合ゴム組成物はコンパウンド粘度が著しく上昇するため、シランカップリング剤を配合することにより粘度の上昇を緩和する手法が一般的に取られている。またシランカップリング剤は、シリカ表面のシラノールと反応することによりシリカ同士の相互作用を低減し、ゴムの損失正接や動的弾性率を下げることが知られている。現在、特に低燃費タイヤ用途ではポリスルフィド系カップリング剤が多用されているが、近年の低燃費性能の要求を満たすには性能が不十分であり、より一層の低燃費性能の向上が求められている。
上記の問題を解決すべく、新たな構造を持つ有機珪素化合物が提案されている。特許文献1ではメルカプトシランの保護化が提案されているが、実用的には経済性や耐磨耗性などの観点から問題が多い。特許文献2では加水分解基にカルボキシル基を持つ有機珪素化合物が提案されているが、この構造は加水分解を受けやすく、製品の保管中に加水分解を起こす事によりゲル化し、製品の特性を悪化させる可能性がある。特許文献3では脂環式チオエーテル基を持つ有機珪素化合物が提案されているが、チオエーテル構造、つまりモノスルフィド構造であるためにメルカプト基やポリスルフィド基と比較して反応性に乏しく、目標とする性能が得られがたいといった問題がある。
また本出願人は、ゴムコンパウンドの粘度低下及び低転がり抵抗性を示す、テルペン残基を分子内に含む有機珪素化合物の出願を行ったが、この化合物はゴムと加硫反応を示す硫黄含有基を分子内に持たないため、加硫物の硬度やモジュラスの向上の余地が残っている。(特許文献4参照)
本発明は上記の点に鑑み、ゴム組成物に配合することにより、ゴムコンパウンドの粘度低下及び低転がり抵抗性、更に優れた常態物性を示す含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及び含硫黄有機珪素生成物を含有してなるゴム組成物を提供する。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及び含硫黄有機珪素生成物を含むゴム組成物により、上記課題を解決できることを見出した。
また、本発明は以下のように記載することができる。
項1 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物。
項2 有機珪素化合物が二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物、又はその有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物である項1に記載の含硫黄有機珪素生成物。
(式[1]中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R1、R2、R3の少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、vは0〜3である。)
(式[2]中、R5は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R6、R7はそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR9−、−CR10R11−のいずれかであり、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素であり、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、vは0〜3である。)
項3 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物は、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物の縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物と二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物、他の有機珪素化合物、二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物である項2に記載の含硫黄有機珪素生成物。
項4 硫化剤が硫黄、硫化水素、多硫化水素、多硫化ナトリウム、多硫化カリウム、多硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、チウラム系化合物、ザンテート系化合物、メルカプト基を有する炭化水素、ポリスルフィド基を有する炭化水素、下記式[3]又は[4]で示される有機珪素化合物から選択される少なくとも1種である項1〜3いずれに記載の含硫黄有機珪素生成物。
(式中、R12はそれぞれ独立して炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R13は炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、Yは0、1、又は2の整数である。)
(式中、R14はそれぞれ独立して炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R15は炭素数1〜9の二価の炭化水素基、R16は水素又はCO−CZH2Z+1にて表される一価の基、xは1〜6、Yは0、1、又は2、Zは1〜17の整数である。)
項5 項1〜4いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物と他の有機珪素化合物との混合物。
項6 項5に記載の他の有機珪素化合物が、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする混合物。
項7 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させることを特徴とする項1〜4いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項8 60℃〜240℃にて加熱することを特徴とする項7に記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項9 更に、反応促進剤を使用することを特徴とする項7又は8に記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項10 更に、加圧することを特徴とする項7〜9いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項11 ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、項1〜6いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物、及び/又は混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
項12 無機充填材がBET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ、及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする項11に記載のゴム組成物。
項13 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする項11又は12に記載のゴム組成物。
項14 ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択される少なくとも1種以上のゴム種を10重量%以上含有することを特徴とする項11〜13いずれかにに記載のゴム組成物。
項15 項11〜14いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
項16 項15に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
項17 項16に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
項1 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物。
項2 有機珪素化合物が二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物、又はその有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物である項1に記載の含硫黄有機珪素生成物。
項3 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物は、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物の縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物と二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物、他の有機珪素化合物、二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物である項2に記載の含硫黄有機珪素生成物。
項4 硫化剤が硫黄、硫化水素、多硫化水素、多硫化ナトリウム、多硫化カリウム、多硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、チウラム系化合物、ザンテート系化合物、メルカプト基を有する炭化水素、ポリスルフィド基を有する炭化水素、下記式[3]又は[4]で示される有機珪素化合物から選択される少なくとも1種である項1〜3いずれに記載の含硫黄有機珪素生成物。
項5 項1〜4いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物と他の有機珪素化合物との混合物。
項6 項5に記載の他の有機珪素化合物が、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする混合物。
項7 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させることを特徴とする項1〜4いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項8 60℃〜240℃にて加熱することを特徴とする項7に記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項9 更に、反応促進剤を使用することを特徴とする項7又は8に記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項10 更に、加圧することを特徴とする項7〜9いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
項11 ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、項1〜6いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物、及び/又は混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
項12 無機充填材がBET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ、及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする項11に記載のゴム組成物。
項13 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする項11又は12に記載のゴム組成物。
項14 ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択される少なくとも1種以上のゴム種を10重量%以上含有することを特徴とする項11〜13いずれかにに記載のゴム組成物。
項15 項11〜14いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
項16 項15に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
項17 項16に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
本発明による含硫黄有機珪素生成物はシリカ配合ゴムに添加する事でコンパウンド粘度を低減せしめることができ、低転がり抵抗性を向上させることが期待できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及び含硫黄有機珪素生成物を含むゴム組成物である。
本発明は、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物、その製造方法、及び含硫黄有機珪素生成物を含むゴム組成物である。
まず、本発明の含硫黄有機珪素生成物の原料となる、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物について説明する。
原料となる有機珪素化合物は、ヘミテルペン系化合物、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、ジテルペン系化合物といったテルペン系化合物、又はそれらの誘導体といったテルペン化合物を由来とするテルペン残基を分子内に持ち、そのテルペン残基には二重結合が含まれており、かつ無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物である。無機充填材と結合する基はアルコキシ基、アシロキシ基、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール誘導体、ヒドロキシ基、(アルキル)アミノアルコキシ基、ハロゲンなどが結合したシリル基、シラザン、シラトランなどが挙げられる。
該有機珪素化合物は、ヘミテルペン系化合物、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、又はそれらの誘導体といったテルペン化合物を由来とする残基、及び無機充填材と結合する基を含有する化合物であり、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示される基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることが好ましい。
(式[1]中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R1、R2、R3の少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、vは0〜3である。)
(式[2]中、R5は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R6、R7はそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR9−、−CR10R11−のいずれかであり、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素であり、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、vは0〜3である。)
原料となる有機珪素化合物は、ヘミテルペン系化合物、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、ジテルペン系化合物といったテルペン系化合物、又はそれらの誘導体といったテルペン化合物を由来とするテルペン残基を分子内に持ち、そのテルペン残基には二重結合が含まれており、かつ無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物である。無機充填材と結合する基はアルコキシ基、アシロキシ基、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール誘導体、ヒドロキシ基、(アルキル)アミノアルコキシ基、ハロゲンなどが結合したシリル基、シラザン、シラトランなどが挙げられる。
該有機珪素化合物は、ヘミテルペン系化合物、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、又はそれらの誘導体といったテルペン化合物を由来とする残基、及び無機充填材と結合する基を含有する化合物であり、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示される基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることが好ましい。
一般式[1]においては、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜6であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
またR1、R2、R3のうち少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜6であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数4〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[1]において、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
vは0〜3であり、0〜2である事が好ましい。
なおvが0の時は、例えばテルペン系化合物をヒドロシリル化する事により合成でき、vが1以上の時は、例えばテルペン系化合物とメルカプト基を含有するシラン化合物をエンチオール反応により合成できるが、合成方法はこれらの方法に限定されるものではない。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
またR1、R2、R3のうち少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜6であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数4〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[1]において、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
vは0〜3であり、0〜2である事が好ましい。
なおvが0の時は、例えばテルペン系化合物をヒドロシリル化する事により合成でき、vが1以上の時は、例えばテルペン系化合物とメルカプト基を含有するシラン化合物をエンチオール反応により合成できるが、合成方法はこれらの方法に限定されるものではない。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[2]においては、R5は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜4、cは1〜6であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[2]において、R6、R7は置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[2]において、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[2]において、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
vは0〜3であり、0〜2である事が好ましい。
なおvが0の時は、例えばテルペン系化合物をヒドロシリル化する事により合成でき、vが1以上の時は、例えばテルペン系化合物とメルカプト基を含有するシラン化合物をエンチオール反応により合成できるが、合成方法はこれらの方法に限定されるものではない。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[2]において、R6、R7は置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[2]において、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[2]において、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
vは0〜3であり、0〜2である事が好ましい。
なおvが0の時は、例えばテルペン系化合物をヒドロシリル化する事により合成でき、vが1以上の時は、例えばテルペン系化合物とメルカプト基を含有するシラン化合物をエンチオール反応により合成できるが、合成方法はこれらの方法に限定されるものではない。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
テルペン残基中に含まれる二重結合の数に特に限定は無いが、例えば1〜5箇所であり、1〜3箇所である事が好ましい。また二重結合が複数箇所存在する場合、共役二重結合であってもよく非共役二重結合であってもよい。
二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物とは、具体的には以下の化合物群を例示することができるが、これらに限定されるものではない(Zは一般式[1]〜[2]で表される。)。
二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物は、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物の縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物と二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物、他の有機珪素化合物、二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物を例示できる。
縮合反応に用いる二価以上のアルコールとしては、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが例示され、(ポリ)エチレングリコールとしてはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどが例示される。
他の有機珪素化合物は特に限定はされないが、ビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、(ハロゲン化)炭化水素系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが好ましい。
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系有機珪素化合物としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明の(ハロゲン化)炭化水素系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが例示される。
他の有機珪素化合物を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−Z、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。
縮合反応の条件に特に限定はないが、減圧下での加熱反応などにより製造しても良い。減圧度は0.1〜100hPa、加熱温度は60〜200℃で反応を行って良く、反応は1分〜24時間で反応を行って良い。
また触媒を添加しても良く、触媒としてはテトラブトキシチタン、テトラエトキシチタンなどのアルコキシチタン類、塩化亜鉛、塩化銅などのハロゲン化金属類、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸などが例示される。触媒の添加量も特に制限はないが、例えば原料となる含硫黄有機珪素生成物に対し0.01〜10モル%の触媒を添加しても良い。
また触媒を添加しても良く、触媒としてはテトラブトキシチタン、テトラエトキシチタンなどのアルコキシチタン類、塩化亜鉛、塩化銅などのハロゲン化金属類、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸などが例示される。触媒の添加量も特に制限はないが、例えば原料となる含硫黄有機珪素生成物に対し0.01〜10モル%の触媒を添加しても良い。
硫化剤は、前述した原料となる有機珪素化合物である二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物同士を結合させる、もしくは原料となる有機珪素化合物中にエピスルフィド基のような環状チオエーテル構造が得られるような硫化剤である。有機珪素化合物と硫化剤の反応により得られる含硫黄有機珪素生成物は、無機充填材と反応する基、テルペン残基、硫黄を含む含硫黄有機珪素生成物となる。
硫化剤は硫黄、硫化水素、多硫化水素、多硫化ナトリウム、多硫化カリウム、多硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラム系化合物、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、エチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ジブチルキサントゲン酸亜鉛、ジブチルキサントゲンジスルフィド等のザンテート系化合物、メタンチオール、エタンチオール、tert‐ノニルメルカプタン、tert‐ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する炭化水素、ジメチルジスルフィド等のポリスルフィド基を有する炭化水素、下記式[3]又は[4]で示される有機珪素化合物から選択される少なくとも一種である。
(式中、R12はそれぞれ独立して炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R13は炭素数1〜9の二価の炭化水素基、xは2〜6、Yは0、1、又は2の整数である。)
R12は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
R13は炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基が特に好ましい。
xは2〜5であることが好ましく、Yは0、又は1の整数であることが好ましい。
(式中、R14はそれぞれ独立して炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R15は炭素数1〜9の二価の炭化水素基、R16は水素又はCO−CZH2Z+1にて表される一価の基、xは1〜6、Yは0、1、又は2、Zは1〜17の整数である。)
R14は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
R15は炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基が特に好ましい。
xは2〜5であることが好ましく、Yは0、又は1の整数であることが好ましく、Zは1〜8の整数であることが好ましい。
R12は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
R13は炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基が特に好ましい。
xは2〜5であることが好ましく、Yは0、又は1の整数であることが好ましい。
R14は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
R15は炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基が特に好ましい。
xは2〜5であることが好ましく、Yは0、又は1の整数であることが好ましく、Zは1〜8の整数であることが好ましい。
硫化剤としては、硫黄、硫化水素、多硫化水素、多硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム、チウラム系化合物、ザンテート系化合物、メルカプト基を有する炭化水素、ポリスルフィド基を有する炭化水素、式[3]又は[4]で示される有機珪素化合物が好ましく、硫黄、硫化水素、多硫化水素、多硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム、チウラム系化合物、式[3]又は[4]で示される有機珪素化合物が特に好ましい。
本含硫黄有機珪素生成物の製造においては、硫化剤をテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物に対して、0.5〜20モル当量であることが好ましく、0.8〜10モル当量であることがより好ましく、1〜5モル当量であることが特に好ましい。
本含硫黄有機珪素生成物は、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させることにより得られる。反応方法としては、加熱、光照射、電子線照射などが例示されるが、加熱反応が好ましい。
加熱温度としては、60℃〜240℃が例示され、80℃〜200℃が好ましく、120℃〜200℃が特に好ましい。
加熱温度としては、60℃〜240℃が例示され、80℃〜200℃が好ましく、120℃〜200℃が特に好ましい。
本含硫黄有機珪素生成物の製造には、反応促進剤を用いても良く、反応促進剤の種類に特に制限はないが例えば通常ゴム工業分野で用いる加硫促進剤を用いてよく、アルデヒド−アンモニア系、アルデヒド−アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、キサントゲン酸系、ジチオカルバミン酸塩系、チウラム系などが例示でき、これらの他、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類が例示できる。特にアニリンとブチルアルデヒドの縮合物、アニリンとヘプタアルデヒドの縮合物、アニリンとアセトアルデヒド及びブチルアルデヒドの縮合物等のアルデヒド−アミン系、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等のグアニジン系、2―メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2―メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛等のチアゾール系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジ−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩系、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸塩系が好ましい。
反応促進剤の使用量は、テルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物に対して、0.0001〜1.0モル当量であることが好ましく、0.0005〜0.5モル当量であることがより好ましく、0.001〜0.2モル当量であることが特に好ましい。
本含硫黄有機珪素生成物の製造には、加圧条件下にて行っても良く、例えば0.11〜10MPaの加圧条件下にて反応を行って良く、0.2〜5MPaの加圧条件が好ましい。
本発明の含硫黄有機珪素生成物の製造には、溶媒を用いても良く、用いる溶媒としては特に限定はされないがハロゲンを含まない溶媒であることが好ましい。具体的にはヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、エタノール、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、アセトン、メチルエチルケトンなどが好ましく例示される。
本発明の含硫黄有機珪素生成物は他の有機珪素化合物と混合して用いても良い。混合される他の有機珪素化合物は特に限定はされないが、ビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、(ハロゲン化)炭化水素系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが好ましい。
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系有機珪素化合物としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明の(ハロゲン化)炭化水素系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが例示される。
他の有機珪素化合物を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−Z、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。本発明の含硫黄有機珪素生成物との混合割合としては、他の有機珪素化合物の含有量として1〜80重量%が好ましく、5〜50重量%がさらに好ましく、20〜50重量%が特に好ましい。
次に、本発明の含硫黄有機珪素生成物を用いたゴム組成物について説明する。
本発明のゴム組成物としては、ゴム、無機充填材、本発明の含硫黄有機珪素生成物を含有する。
本発明のゴム組成物に用いるゴムとしては特に限定はされないが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、各種アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、各種エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられ、ジエン系ゴムであることが好ましい。ゴムは単独、又は任意にブレンドして使用することができる。特に、NR、IR、SBRが好ましく、ブレンドする場合においてはNR、IR、SBRから選択されるゴム種がゴム成分として、10重量%以上(10〜90重量%であってもよい)含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材としては、水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m2/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であり、水酸化アルミニウム、BET比表面積が20〜300m2/gである湿式シリカ、BET比表面積が50〜300m2/gである乾式シリカが好ましく、BET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることがより好ましく、BET比表面積が30〜250m2/gである湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムがより好ましい。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材は、ゴム100重量部に対して、無機充填材は10〜150重量部を含有することが好ましく、20〜150重量部を含有することがより好ましく、20〜120重量部を含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物においては、無機充填材100重量部に対して、本発明の含硫黄有機珪素生成物を1〜30重量部を含有することが好ましく、1〜25重量部を含有することがより好ましく、1〜20重量部を含有することが特に好ましい。
更に本発明のゴム組成物では他の有機珪素化合物を併用してもよく、他の有機珪素化合物としてはビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが好ましい。これらは無機充填材100重量部に対して0.1〜20重量部を配合することが好ましく、アミノ系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物を無機充填材100重量部に対して0.5〜15重量部を配合することがより好ましい。
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系有機珪素化合物としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが特に好ましい。
併用される他の有機珪素化合物を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。また本発明の有機珪素生成物、及び他の有機珪素化合物を併用する場合には、それらの合計重量が無機充填材100重量部に対し30重量部を超えないことが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造には、80〜250℃で混練することが好ましく、80〜200℃で混練することがより好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明においては、更に、架橋剤を含むことが好ましく、架橋剤は硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種であることが特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
上記架橋剤の含有量は、ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部含有することが好ましく、0.2〜15重量部含有することがより好ましく、0.5〜10重量部含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物に架橋剤を添加後の組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、100℃以下で混練することが好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明のゴム組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記の他に、通常ゴム工業で用いられる配合剤を使用できる。例えば、グアニジン系架橋促進剤、スルフェンアミド系架橋促進剤、亜鉛華などの架橋促進(助)剤、ステアリン酸などの加工助剤、チタネート系などのカップリング剤、フェニル-α-ナフチルアミンなどの老化防止剤、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの充填剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、スコーチ防止剤等を使用できる。
本発明のゴム組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、通常ゴム工業にて使用されるロール、加圧ニーダー、インターミキサー、バンバリーミキサーなどの各種混合機械を用いることが可能である。
このように調製された架橋用ゴム組成物は押出成形機、カレンダーロール、又はプレスにより意図する形状に成形し、好ましくは120〜230℃で、1分〜3時間加熱して架橋物を得る。また、架橋の際には金型を用いても良い。
本発明のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物はタイヤ(特にトレッド部分)、ベルト、防振ゴムなどの動的に使用されるゴム部品で好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
有機珪素化合物の製造
磁気攪拌装置を備えた100mlのナスフラスコに23.8g(100ミリモル)の3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)、27.2g(200ミリモル)のD−リモネン(ヤスハラケミカル株式会社製)、0.22g(1.1ミリモル)のイルガキュア184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASFジャパン株式会社製)を暗室内にて加えた。これを暗室内にて攪拌しながら、LightingcureLC6を用い、UV−A(400−315nm)の波長で500mJ/cm2の強度にて4時間照射した。これを130℃、666.6Pa条件下、衡量となるまで減圧濃縮し、無色透明の液体として36.0g(収率96%、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン基準)の有機珪素化合物1を得た。
磁気攪拌装置を備えた100mlのナスフラスコに23.8g(100ミリモル)の3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)、27.2g(200ミリモル)のD−リモネン(ヤスハラケミカル株式会社製)、0.22g(1.1ミリモル)のイルガキュア184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASFジャパン株式会社製)を暗室内にて加えた。これを暗室内にて攪拌しながら、LightingcureLC6を用い、UV−A(400−315nm)の波長で500mJ/cm2の強度にて4時間照射した。これを130℃、666.6Pa条件下、衡量となるまで減圧濃縮し、無色透明の液体として36.0g(収率96%、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン基準)の有機珪素化合物1を得た。
含硫黄有機珪素生成物1の製造
磁気攪拌装置を備えた50mlナスフラスコに7.49g(20ミリモル)の有機珪素化合物1、0.80g(25ミリモル)の硫黄(鶴身化学工業株式会社製)を加えた。これを攪拌しながらオイルバスにて180℃に加熱し2.5時間反応させ、橙色透明の液体として8.24g(収率99%、有機珪素化合物1基準)の含硫黄有機珪素生成物1を得た。また本含硫黄有機珪素生成物を−10℃の冷凍庫にて1週間保管し、硫黄が析出してこない事を確認した。
磁気攪拌装置を備えた50mlナスフラスコに7.49g(20ミリモル)の有機珪素化合物1、0.80g(25ミリモル)の硫黄(鶴身化学工業株式会社製)を加えた。これを攪拌しながらオイルバスにて180℃に加熱し2.5時間反応させ、橙色透明の液体として8.24g(収率99%、有機珪素化合物1基準)の含硫黄有機珪素生成物1を得た。また本含硫黄有機珪素生成物を−10℃の冷凍庫にて1週間保管し、硫黄が析出してこない事を確認した。
含硫黄有機珪素生成物2の製造
磁気攪拌装置を備えた50mlナスフラスコに7.49g(20ミリモル)の有機珪素化合物1、1.28g(40ミリモル)の硫黄(鶴身化学工業株式会社製)を加えた。これを攪拌しながらオイルバスにて180℃に加熱し2.5時間反応させ、赤橙色透明の液体として8.69g(収率99%、有機珪素化合物1基準)の含硫黄有機珪素生成物2を得た。また本含硫黄有機珪素生成物を−10℃の冷凍庫にて1週間保管し、硫黄が析出してこない事を確認した。なお本含硫黄有機珪素生成物は強い腐卵臭がしたため、窒素にて1時間バブリングを行った。
磁気攪拌装置を備えた50mlナスフラスコに7.49g(20ミリモル)の有機珪素化合物1、1.28g(40ミリモル)の硫黄(鶴身化学工業株式会社製)を加えた。これを攪拌しながらオイルバスにて180℃に加熱し2.5時間反応させ、赤橙色透明の液体として8.69g(収率99%、有機珪素化合物1基準)の含硫黄有機珪素生成物2を得た。また本含硫黄有機珪素生成物を−10℃の冷凍庫にて1週間保管し、硫黄が析出してこない事を確認した。なお本含硫黄有機珪素生成物は強い腐卵臭がしたため、窒素にて1時間バブリングを行った。
含硫黄有機珪素生成物3の製造
磁気攪拌装置を備えた50mlナスフラスコに7.49g(20ミリモル)の有機珪素化合物1、1.28g(40ミリモル)の硫黄(鶴身化学工業株式会社製)、0.08g(0.3ミリモル)のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業株式会社製)を加えた。これを攪拌しながらオイルバスにて150℃に加熱し2時間反応させ、褐色の液体として8.58g(収率98%、有機珪素化合物1基準)の含硫黄有機珪素生成物3を得た。また本含硫黄有機珪素生成物を−10℃の冷凍庫にて1週間保管し、硫黄が析出してこない事を確認した。
磁気攪拌装置を備えた50mlナスフラスコに7.49g(20ミリモル)の有機珪素化合物1、1.28g(40ミリモル)の硫黄(鶴身化学工業株式会社製)、0.08g(0.3ミリモル)のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(大内新興化学工業株式会社製)を加えた。これを攪拌しながらオイルバスにて150℃に加熱し2時間反応させ、褐色の液体として8.58g(収率98%、有機珪素化合物1基準)の含硫黄有機珪素生成物3を得た。また本含硫黄有機珪素生成物を−10℃の冷凍庫にて1週間保管し、硫黄が析出してこない事を確認した。
ゴム組成物の製造
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は100℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は60rpm一定とした。配合はゴム125gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、30秒間混練した。次いで表1の配合(II)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(III)に示されるに示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを150℃で15分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。なお試験に供したゴムは事前に60℃の12インチオープンロールで5分間素練りし、均質化したものを使用した。
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は100℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は60rpm一定とした。配合はゴム125gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、30秒間混練した。次いで表1の配合(II)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(III)に示されるに示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを150℃で15分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。なお試験に供したゴムは事前に60℃の12インチオープンロールで5分間素練りし、均質化したものを使用した。
加工性試験
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、150℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応における最少トルク、最大トルク、トルクの上昇が全体の90%に達した時間(T90)を測定した。
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、150℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応における最少トルク、最大トルク、トルクの上昇が全体の90%に達した時間(T90)を測定した。
機械強度試験
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。硬度はJIS K6253に準拠してタイプAデュロメーター硬さ試験を行った。
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。硬度はJIS K6253に準拠してタイプAデュロメーター硬さ試験を行った。
動的粘弾性試験
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪10%、動振幅1%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪10%、動振幅1%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。
*1 KERILLA FACTORY製 SMR−CV60
*2 東ソーシリカ株式会社製 Nipsil AQ(BET比表面積215m2/g)
*3 日油株式会社製 ステアリン酸さくら
*4 大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
*5 堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
*6 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*7 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ
*8 細井化学工業株式会社製 コロイド硫黄
*1 KERILLA FACTORY製 SMR−CV60
*2 東ソーシリカ株式会社製 Nipsil AQ(BET比表面積215m2/g)
*3 日油株式会社製 ステアリン酸さくら
*4 大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
*5 堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
*6 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*7 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ
*8 細井化学工業株式会社製 コロイド硫黄
上記試験方法より得られた実施例及び比較例の試験結果を表2〜4に示す。
表2〜4に示されているように、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物を含有するゴム組成物を用いた比較例1と二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物を含有するゴム組成物を用いた実施例1,2を比較すると、コンパウンドの最小トルクはほぼ同等でありながら実施例1,2では最大トルクが大きく上昇しており、またモジュラス、強度、硬度も向上している。更に実施例1,2は比較例1と比較して、動的粘弾性特性の点でも優れており、このゴム組成物をタイヤに適用した場合、強度や低燃費性に優れるタイヤになると予測される。
また、比較例1と比較して実施例1,2では、T90が早くなっており、シリカ配合の欠点の一つである加硫の遅さを改善することから、生産性向上に繋がる可能性を示唆している。
また、比較例1と比較して実施例1,2では、T90が早くなっており、シリカ配合の欠点の一つである加硫の遅さを改善することから、生産性向上に繋がる可能性を示唆している。
本発明にある有機珪素化合物の混合物を使用する事により、動的特性や強度に優れたゴム組成物及び架橋物を提供することが出来る。従って、特にタイヤのトレッドや防振ゴム、ベルトなどの動的に使用されるゴム部品の製造には好適である。
Claims (17)
- 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させて得られる含硫黄有機珪素生成物。
- 有機珪素化合物が二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物、又はその有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物である請求項1に記載の含硫黄有機珪素生成物。
- 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物を縮合成分として含む縮合物は、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物の縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物と二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物、二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と反応する基として一般式[1]又は[2]で示される基を含有する有機珪素化合物、他の有機珪素化合物、二価以上のアルコール、又は(ポリ)エチレングリコールとの縮合物である請求項2に記載の含硫黄有機珪素生成物。
- 硫化剤が硫黄、硫化水素、多硫化水素、多硫化ナトリウム、多硫化カリウム、多硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、チウラム系化合物、ザンテート系化合物、メルカプト基を有する炭化水素、ポリスルフィド基を有する炭化水素、下記式[3]又は[4]で示される有機珪素化合物から選択される少なくとも1種である請求項1〜3いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物。
- 請求項1〜4いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物と他の有機珪素化合物との混合物。
- 請求項5に記載の他の有機珪素化合物が、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする混合物。
- 二重結合を含むテルペン残基及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物と、硫化剤を反応させることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
- 60℃〜240℃にて加熱することを特徴とする請求項7に記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
- 更に、反応促進剤を使用することを特徴とする請求項7又は8に記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
- 更に、加圧することを特徴とする請求項7〜9いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物の製造方法。
- ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、請求項1〜6いずれかに記載の含硫黄有機珪素生成物、及び/又は混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
- 無機充填材がBET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ、及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項11に記載のゴム組成物。
- 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする請求項11又は12に記載のゴム組成物。
- ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択される少なくとも1種以上のゴム種を10重量%以上含有することを特徴とする請求項11〜13いずれかにに記載のゴム組成物。
- 請求項11〜14いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
- 請求項15に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
- 請求項16に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
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