JP5173312B2 - ゴム組成物用添加剤、ゴム組成物及びこれを用いたタイヤ - Google Patents
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Description
そこで、タイヤの優れた低転がり抵抗(低転がり抵抗)を達成する主な要因となるゴム中へのカーボンブラックの分散性を向上させるために、ゴム分子とカーボンブラックとの化学結合を生じさせることが検討されている(例えば特許文献1及び2参照)。
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(I)で表されるゴム組成物用添加剤、
(2)(A)天然ゴム及び/又は合成ゴム100質量部に対して、(B)上記(1)に記載のゴム組成物用添加剤を0.05〜15質量部、及び(C)充填剤を20〜150質量部を配合してなるゴム組成物、
(3)さらに、(F)シランカップリング剤をシリカに対して1〜20質量%の割合で含む上記(2)に記載のゴム組成物、及び
(5)上記(2)又は(3)に記載のゴム組成物を部材として用いたタイヤ、
を提供するものである。
本発明のゴム組成物用添加剤は、下記一般式(I)で表されるものである。
本発明のゴム組成物用添加剤の製造方法は、その連結基(式(I)中のY)などに応じて適宜公知の合成方法から選択して行うことが可能であり、その製造方法は特に制限されないが、その一例としては、下記一般式(VI)で表される基を有するチオール又はその塩、あるいはアミン、ジアミンなどと、R1を含有するカルボン酸又はそのハロゲン化物との反応(以下、反応Aという。)が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、(A)天然ゴム及び/又は合成ゴム100質量部に対して、(B)本発明のゴム組成物用添加剤を0.05〜15質量部、及び(C)充填剤を20〜150質量部を配合してなるものである。
本発明のゴム組成物において、ゴム組成物用添加剤は、(A)成分100質量部に対して0.05〜15質量部の割合で配合されることを要し、0.1〜5質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。ゴム組成物用添加剤の含有量が上記の範囲内にあれば、該添加剤を配合した効果が十分に発揮され、配合量に見合った効果の向上がみられるので経済的に有利である。
合成ゴムとしては、特に制限なくジエン系ゴム、非ジエン系ゴムを用いることができるが、ジエン系ゴムが好ましい。ジエン系としては、ポリイソプレン合成ゴム(IR),ポリブタジエンゴム(BR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR),クロロプレンゴム(CR),ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。この(A)成分の天然ゴムや合成ゴムは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物は、(C)充填剤を含有するものであり、充填剤としては(D)無機充填剤及び(E)カーボンブラックが挙げられる。
本発明のゴム組成物における(C)充填剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、20〜150質量部の範囲であることを要し、20〜90質量部が好ましく、40〜75質量部がより好ましい。(C)充填剤の含有量が上記範囲内にあれば、補強性、及びその他のゴム物性に悪影響を与えることなく本発明の目的を達成することができる。
シリカは、狭義の二酸化珪素のみを示すものではなく、ケイ酸系充填剤を意味し、具体的には、無水ケイ酸の他に、含水ケイ酸,ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩を含む。
また、この金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物、及びそれらの水和物としては、例えば、γ−アルミナ,α−アルミナ等のアルミナ,アルミナ水和物,ギブサイト,バイヤライト等の水酸化アルミニウム,炭酸アルミニウム,水酸化マグネシウム,酸化マグネシウム,炭酸マグネシウム,タルク,アタパルジャイト,チタン白,チタン黒,酸化カルシウム,水酸化カルシウム,酸化アルミニウムマグネシウム,クレー,カオリン,パイロフィライト,ベントナイト,ケイ酸アルミニウム,ケイ酸マグネシウム,ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウムカルシウム,ケイ酸マグネシウムカルシウム,炭酸カルシウム,酸化ジルコニウム,水酸化ジルコニウム,炭酸ジルコニウム,各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが挙げられる。
(D)無機充填剤としては、上記に挙げたものを単独で、又は複数を併用して用いることができるが、シリカならびにアルミニウム金属,アルミニウム酸化物,水酸化物,炭酸化物及びそれらの水和物が好ましく、シリカであることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、好ましくはさらに(E)カーボンブラックを含有するものである。
カーボンブラックは、力学的性能を高め、加工性等を改善させるものである限り、I2吸着量、CTAB比表面積、N2吸着量、DBP吸着量等の範囲を適宜選択した公知のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの種類としては、例えば、SAF,ISAF−LS,HAF,HAF−HS等の公知のものを適宜選択して使用することができる。耐摩耗性を考慮すると、微粒子径のISAFやSAFが好ましい。また、カーボンブラックの粒径は、上記の(D)無機充填剤の粒径と同様である。
(C)充填剤としてカーボンブラックとシリカとを組み合わせて用いる場合は、カーボンブラックとシリカの混合比[カーボンブラック]/[シリカ]は、質量比で0.04〜6.0が好ましく、0.1〜2.0がより好ましく、0.15〜1.25がさらに好ましい。
本発明のゴム組成物においては、本発明の効果をさらに向上させる目的で、さらに(G)シランカップリング剤を含有させることが好ましい。(F)シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤の中から任意のものを用いることができるが、なかでも一般式(II):
で表される化合物、一般式(III):
で表される化合物、一般式(VI):
で表される化合物、及び一般式(V):
から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このようにして得られる本発明のゴム組成物は、タイヤの部材として用いることができ、部材としては特にトレッドやトレッドベースに好適に用いられる。空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階で、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
(評価方法)
(1)ムーニー粘度
各実施例及び比較例で得られた加硫系配合剤を混練した未加硫ゴム組成物(後述する温度165℃の加硫前のもの)のムーニー粘度(ML1+4)を、JIS K6300−1−2001に準拠して、ムーニー粘度計を用いて、余熱1分、測定4分、温度130℃にて測定し、対象物(比較例1及び3〜7)を100とした指数として第1表〜第6表に示した。ムーニー粘度の指数が小さいほど、加工性が優れていることを示す。
(2)スコーチ性
各実施例及び比較例で得られた加硫系配合剤を混練した未加硫ゴム組成物(後述する温度165℃の加硫前のもの)のムーニースコーチタイム(MST)を、JIS K6300−1−2001に準拠して、ムーニー粘度計を用いて、に対して、130℃でムーニー粘度を測定し、余熱を始めてからの値が最低値Vmより5単位上昇するまでの時間(ムーニースコーチタイム)を測定し、対象物(比較例1及び3〜7)を100とした指数として第1表〜第6表に示した。ムーニースコーチタイムの指数が大きいほど、加工安定性が良好であることを示す。
(3)tanδ
各実施例及び比較例で得られたゴム組成物のtanδの値を、上島製作所(株)製スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用いて、周波数52Hz、初期歪率10%、動歪率1%で、60℃における測定し、対象物(比較例1及び3〜7)を100とした指数として第1表〜第6表に示した。tanδの指数が小さいほど低発熱性であることを示す。
(4)転がり抵抗
各実施例及び比較例で得られたゴム組成物をトレッド部材として用い、一層構造のトレッドでタイヤサイズ225/45R17の空気入りタイヤを試作した。
各実施例などで試作したタイヤの空気圧を220kPaとし、3.92kNの荷重の作用下で、直径1700mmの回転ドラムを用いて80km/hの速度で回転させたときの転がり抵抗を、惰行法により測定し、対象物(比較例1及び3〜7)を100とした指数として第1表〜第6表に示した。転がり抵抗の指数が大きいほど、転がり抵抗は小さく良好であることを示す。
1Lの4つ口フラスコに、トルエン300ml、2−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩14.2g、トリエチルアミン22.3gを仕込み、氷冷した。ここに、オクタン酸クロリド17.0gを30分かけて滴下した後、室温に昇温し、室温にて終夜攪拌した。次いで、炭酸カリウム水溶液(10質量%)を加えて分配して、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥を行った後、溶媒をロータリーエバポレーターで留去したところ、下記化学式のオクタンチオ−S−酸−2−ジメチルアミノエチルが7.3g得られた。
合成例1において、2−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩のかわりに2−ジエチルアミノエタンチオール13.3gとし、トリエチルアミンの使用量を11.2gとした以外は、合成例1と同様にして、下記化学式のオクタンチオ−S−酸−2−ジエチルアミノエチル11.2gを得た。
合成例1において、2−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩のかわりに2−ピペリジノエタンチオール14.5gとし、オクタン酸クロリドのかわりにプロピオン酸クロリド9.67gとし、トリエチルアミンの使用量を11.2gとした以外は、合成例1と同様にして、下記化学式のプロパンチオ−S−酸−2−ピペラジノエチル6.2gを得た。
合成例1において、2−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩のかわりにN,N’−ジメチルエチレンジアミン26.4gとし、トリエチルアミンを用いなかった以外は、合成例1と同様にして、下記化学式のN−メチル−N−(2−メチルアミノエチル)オクタンアミド10.8gを得た。
合成例1において、2−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩のかわりにN,N’−ジメチルエチレンジアミン26.4gとし、オクタン酸クロリドのかわりにプロパン酸クロリド9.67gとし、トリエチルアミンを用いなかった以外は、合成例1と同様にして、下記化学式のN−メチル−N−(2−メチルアミノエチル)プロパンアミド9.0gを得た。
1Lの4つ口フラスコに、4硫化ナトリウム2.9gのメタノール溶液(5質量%)を仕込み、ジメチルアミノプロピルクロリド4.0gのメタノール溶液(30質量%)を滴下して、55℃でメタノール還流下で6時間反応させた。これを濾過、濃縮後、テトラヒドロフラン(THF)に溶解させて、可溶部を濃縮して、下記化学式で表されるビス(2−ジメチルアミノプロピル)テトラスルフィド1.4gを得た。
第1表〜第6表に示す各成分を、各表に示す配合割合で混合して、ゴム組成物を調製した。調製にはバンバリーミキサー及びロールミキサーを用いた。加硫は温度165℃で行い、加硫時間はキュラストT90値(分)×1.5倍で規定した。得られたゴム組成物を用いて、一層構造のトレッドでタイヤサイズ225/45R17の空気入りタイヤを試作した。
各実施例及び比較例で得られたゴム組成物(未加硫)について、ムーニー粘度、及びムーニースコーチタイムの評価を行った。また、試作したタイヤについて、転がり抵抗の評価を行った。これらの結果を第1表〜第6表に示す。
*2,「シースト7HM(商品名)」:東海カーボン(株)製
*3,「ニップシールAQ(商品名)」:東ソーシリカ(株)製
*4,「Si75(商品名)」:degussa社製
*5,「ノクラック6C(商標)」:大内新興化学工業(株)製
*6,「サンセラーNS(商標)」:三新化学工業(株)製
*7,「ノクセラーD(商標)」:大内新興化学工業(株)製
*10,「シーストKH(商品名)」:東海カーボン(株)製
*12,「NXTシラン(商標)」:モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製
Claims (11)
- 下記一般式(I)で表されるゴム組成物用添加剤。
- R1が、置換基を有してもよい炭素数1〜18のアルキル基,又はアルケニル基,あるいは置換基を有してもよい炭素数5〜18のシクロアルキル基であり、R2及びR3が、水素原子,置換基を有してもよい炭素数1〜18のアルキル基,又はアルケニル基,あるいは置換基を有してもよい炭素数5〜18のシクロアルキル基である請求項1に記載のゴム組成物用添加剤。
- Xが、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基である請求項1又は2に記載のゴム組成物用添加剤。
- (A)天然ゴム及び/又は合成ゴム100質量部に対して、(B)請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物用添加剤を0.05〜15質量部、及び(C)充填剤を20〜150質量部を配合してなるゴム組成物。
- 合成ゴムが、ジエン系ゴムである請求項4に記載のゴム組成物。
- (C)充填剤が、(D)無機充填剤及び/又は(E)カーボンブラックである請求項4又は5に記載のゴム組成物。
- (D)無機充填剤が、シリカを含む請求項6に記載のゴム組成物。
- さらに、(F)シランカップリング剤をシリカに対して1〜20質量%の割合で含む請求項7に記載のゴム組成物。
- (F)シランカップリング剤が、下記化学式(II):
で表される化合物、一般式(III):
で表される化合物、および一般式(IV):
で表される化合物
から選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載のゴム組成物。 - 請求項4〜9のいずれかに記載のゴム組成物を部材として用いたタイヤ。
- 部材が、トレッド及び/又はトレッドベースである請求項10に記載のタイヤ。
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