JP2014234378A - 有機珪素化合物、その製造方法、およびゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な構造を有する有機珪素化合物、及びその製造方法、及び該有機珪素化合物を含有するゴム組成物を提供する。【解決手段】テルペン残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物、特にテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合がシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物である有機珪素化合物、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。【選択図】なし
Description
本発明は、特定の構造を持つ有機珪素化合物、その製造方法、およびゴム組成物に関する。
近年、環境意識の高まりから低燃費性、制動性に優れた、いわゆる低燃費タイヤが普及しつつある。一般的に低燃費タイヤはシリカ配合ゴムとし発熱性を低減することで低燃費化を図っており、低燃費タイヤを使用する事により自動車走行時の燃料油の使用量を低減する事が可能となる。また省資源化の観点から低燃費性を維持した上でタイヤの耐摩耗性を向上させ、タイヤに使用するゴム量を低減する事が望まれている。一方、化石燃料の枯渇と天然資源の活用を背景として、低燃費タイヤに天然ゴム(NR)を使用する試みもなされている。耐摩耗性が重要視されるトラック・バス用タイヤにはNRが使用されているが、NRはシリカとの親和性が低く分散性が悪化することからNR配合においてはシリカを用いられることが少なく、従来から低燃費タイヤ用途で主に使用されているシランカップリング剤を用いても分散性は十分には改善されず、低燃費性と耐摩耗性を両立させることが難しいとされている。
上記の問題を解決すべく、様々な手法が提案されている。特許文献1では改質された天然ゴムの低燃費タイヤへの使用が提案されているが、改質によるコスト増や配合の自由度の面から問題がある。特許文献2ではテルペン樹脂の使用が提案されているが、本技術はシリカの分散性を根本的に向上させるものではない。特許文献3ではメルカプトシランの保護化が提案されているが、実用的には経済性や耐磨耗性などの観点から問題が多い。
本発明は上記の点に鑑み、新規な構造を有する有機珪素化合物、その製造方法、及びゴム組成物を提供する。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を持つ有機珪素化合物により、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、テルペン残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物、特にテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合がシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物である有機珪素化合物、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。
また、本発明は以下のように記載することができる。
項1. テルペン残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物。
項2. テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1に記載の有機珪素化合物。
(式[1]中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R1、R2、R3の少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、zは1〜3である。)
(式[2]中、R5は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R6、R7はそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR9−、−CR10R11−のいずれかであり、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素であり、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、zは1〜3である。)
項3. テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物を縮合成分として含む縮合物は、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物の縮合物、又はテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項2に記載の有機珪素化合物。
項4. 項1〜3に記載の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物に他の有機珪素化合物を含んでなる有機珪素化合物の混合物。
項5. 項4に記載の他の有機珪素化合物が、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
項6. エンチオール反応により製造されることを特徴とする項1又は2に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項7. 加硫反応により製造されることを特徴とする項1又は2に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項8. 光開始剤を用いることを特徴とする項6に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項9. 加硫促進剤を用いることを特徴とする項7に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項10. 光を照射することを特徴とする項6又は8に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項11. 更に加熱することを特徴とする項6〜10いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項12. 更に、溶媒を用いることを特徴とする項6〜11いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項13. 更に、加圧することを特徴とする項6〜12いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項14. ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、項1〜5いずれかに記載の有機珪素化合物および/または有機珪素化合物の混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
項15. 無機充填材がBET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする項14に記載のゴム組成物。
項16. 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする項14又は15に記載のゴム組成物。
項17. ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択されるゴムを10〜90重量%含有することを特徴とする項14〜16に記載のゴム組成物。
項18. 項14〜17いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
項19. 項18に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
項20. 項19に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
項1. テルペン残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物。
項2. テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1に記載の有機珪素化合物。
項3. テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物を縮合成分として含む縮合物は、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物の縮合物、又はテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項2に記載の有機珪素化合物。
項4. 項1〜3に記載の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物に他の有機珪素化合物を含んでなる有機珪素化合物の混合物。
項5. 項4に記載の他の有機珪素化合物が、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
項6. エンチオール反応により製造されることを特徴とする項1又は2に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項7. 加硫反応により製造されることを特徴とする項1又は2に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項8. 光開始剤を用いることを特徴とする項6に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項9. 加硫促進剤を用いることを特徴とする項7に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項10. 光を照射することを特徴とする項6又は8に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項11. 更に加熱することを特徴とする項6〜10いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項12. 更に、溶媒を用いることを特徴とする項6〜11いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項13. 更に、加圧することを特徴とする項6〜12いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項14. ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、項1〜5いずれかに記載の有機珪素化合物および/または有機珪素化合物の混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
項15. 無機充填材がBET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする項14に記載のゴム組成物。
項16. 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする項14又は15に記載のゴム組成物。
項17. ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択されるゴムを10〜90重量%含有することを特徴とする項14〜16に記載のゴム組成物。
項18. 項14〜17いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
項19. 項18に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
項20. 項19に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
本発明による有機珪素化合物は無機充填材と反応し、表面を疎水化した上でNRやIRと良好な親和性を示し、無機充填材の分散性を向上せしめることができ、本発明による有機珪素化合物を用いたゴム組成物は、加工性、低転がり抵抗性や耐摩耗性を向上させることが期待できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、テルペン残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物であり、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。
本発明は、テルペン残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物であり、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。
テルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物について説明する。該有機珪素化合物は、ヘミテルペン系化合物、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、またはそれらの誘導体といったテルペン化合物を由来とする残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を含有する化合物であり、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることが好ましい。
(式[1]中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R1、R2、R3の少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、zは1〜3である。)
(式[2]中、R5は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R6、R7はそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR9−、−CR10R11−のいずれかであり、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素であり、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、zは1〜3である。)
一般式[1]においては、R1、R2、R3はそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
またR1、R2、R3のうち少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数4〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[1]において、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
zは1〜3であり、1〜2である事が好ましい。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
またR1、R2、R3のうち少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは2〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数4〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[1]において、R4は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
zは1〜3であり、1〜2である事が好ましい。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[2]においては、R5は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[2]において、R6、R7は置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[2]において、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[2]において、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
zは1〜3であり、1〜2である事が好ましい。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
一般式[2]において、R6、R7は置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[2]において、R9、R10、R11は置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[2]において、R8は置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、置換もしくは無置換の芳香環を含んでいても良い炭素数1〜12の二価の炭化水素基が好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキレン基が特に好ましい。
zは1〜3であり、1〜2である事が好ましい。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物とは、具体的には以下の化合物群を例示することができる(Zは一般式[1]〜[2]で表される。)。
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物は、特に以下の化合物群のものが好ましい(式中、Zは一般式[1]〜[2]で表される。)。
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物、特に上記に具体的に記載された有機珪素化合物の製造方法は特に限定されることがないが、具体的には炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物と、一般式[1]〜[2]で示されるようなシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基を有する化合物を、エンチオール反応させる、又は加硫反応させることにより製造する方法を例示することができる。
炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物を具体的に例示すると、イソプレン、プレノール、3−メチル−3−ブテン−2−オール、チグリン酸等のヘミテルペン系化合物、リモネン、ミルセン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、カルベオール、α−ピネン、β−ピネン、1,8−p−メンタジエン−4−オール、2,8−p−メンタジエン−1−オール等のモノテルペン系化合物、ファルネソール、ノートカトン等のセスキテルペン系化合物、イソペンテニル二リン酸等のテルペン化合物の誘導体が挙げられる。中でも、炭素―炭素二重結合を分子内に2つ以上有するテルペン化合物が好ましく、イソプレン、リモネン、ミルセン、ゲラニオール、リナロール、テルピネン、テルピノレン、カルベオール、ファルネソール、ノートカトンなどがより好ましく、イソプレン、リモネン、ミルセン、リナロール、テルピネン、テルピノレンが特に好ましい。
エンチオール反応に用いるシラン化合物はメルカプト基を含むシラン化合物であり、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ((2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルトリ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)メトキシシラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)エトキシシラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ)メチルシラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)メチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物のようなメルカプトシランが例示され、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)エトキシシラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)メチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物が好ましく、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3,4−ジメルカプトブチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)エトキシシラン、3−メルカプトプロピルジ((2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)メチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物が特に好ましい。
加硫反応に用いるシラン化合物としては特に限定されないが、メルカプト基、(ポリ)スルフィド基、チオシアネート基といった硫黄を含むシラン化合物であり、上記のエンチオール反応に用いられるメルカプト基を含むシラン化合物が好ましく用いられるほか、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、β−エピチオプロピロキシプロピルトリメトキシシラン、β−エピチオプロピロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−エピチオブチルトリエトキシシランなどが例示され、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドとポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(ポリエチレングリコールの繰り返し単位は1〜8、アルキル基の炭素数は4〜18)との反応物、β−エピチオプロピロキシプロピルトリメトキシシラン、β−エピチオプロピロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−エピチオブチルトリエトキシシランが好ましい。
エンチオール反応及び加硫反応に用いるシラン化合物の使用量は、炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物に対して、0.2〜2.0モル当量であることが好ましく、0.3〜1.5モル当量であることがより好ましく、0.4〜1.3モル当量であることが特に好ましい。
エンチオール反応には光開始剤を用いても良い。光開始剤の種類に特に制限はないが、ラジカル型光開始剤、カチオン型光開始剤、アニオン型光開始剤などが例示でき、特にラジカル型光開始剤が好ましい。ラジカル型光開始剤としてはアルキルフェノン系光開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤などが好ましく、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ) −フェニル] −2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4− [4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル) −ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等のアルキルフェノン系光開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル) −フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光開始剤が挙げられる。
光開始剤の使用量は、炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物に対して、0.00001〜1.0モル当量であることが好ましく、0.0001〜0.5モル当量であることがより好ましく、0.001〜0.2モル当量であることが特に好ましい。
加硫反応には加硫促進剤を用いても良い。加硫促進剤の種類に特に制限はないが通常ゴム工業分野で用いる加硫促進剤を用いてよく、アルデヒド−アンモニア系加硫促進剤、アルデヒド−アミン系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、キサントゲン酸系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤などが例示できる。特にアニリンとブチルアルデヒドの縮合物、アニリンとヘプタアルデヒドの縮合物、アニリンとアセトアルデヒドおよびブチルアルデヒドの縮合物等のアルデヒド−アミン系加硫促進剤、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤、2―メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2―メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛等のチアゾール系加硫促進剤、N−エチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジ−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩系加硫促進剤、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤の使用量は、炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物に対して、0.0001〜1.0モル当量であることが好ましく、0.0005〜0.5モル当量であることがより好ましく、0.001〜0.2モル当量であることが特に好ましい。
エンチオール反応には光を照射しても良い。光の波長に特に制限はないが、10nm〜830nmなどが例示でき、特に180nm〜580nmが好ましい。
エンチオール反応及び加硫反応の反応条件には制限はないが、常圧〜100MPaの圧力下で行う。加圧条件で行う場合には、0.11〜10MPaの圧力下で行うことが好ましい。
エンチオール反応及び加硫反応において加熱を行う場合にあって、条件としては特に限定はされないが、40℃〜300℃であってよく、60℃〜250であることが好ましく、80℃〜200℃であることが特に好ましい。
エンチオール反応および加硫反応に用いる溶媒としては特に限定はされないが、非プロトン性溶媒が好ましく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、アセトンなどが例示され、これらが特に好ましい。
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物としては、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と(ポリ)スルフィド構造を含む基で付加された構造の化合物を加水分解後に縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良く、他の成分と縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良い。他の成分としては二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールが例示され、炭素数2〜60のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60の(ポリ)アルキルエーテルポリオールが好ましく、炭素数2〜30のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜30の(ポリ)アルキルエーテルポリオールがより好ましい。
本発明の二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示される。二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが例示される。
本発明のテルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物は他の有機珪素化合物と混合して用いても良い。他の有機珪素化合物としてはビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが好ましい。
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、一般式[3]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
(R12−O)3−Y(R12)Y−Si−R13−SX−R13−Si−(R12)Y(O−R12)3−Y・・・[3]
(式[3]中、R12は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R13は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、一般式[3]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
(R12−O)3−Y(R12)Y−Si−R13−SX−R13−Si−(R12)Y(O−R12)3−Y・・・[3]
(式[3]中、R12は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R13は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
他の有機珪素化合物を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−Z、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。
次に、本発明の有機珪素化合物及び/又は本発明の有機珪素化合物の縮合物を用いたゴム組成物について説明する。
本発明のゴム組成物としては、ゴム、無機充填材、本発明の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物を含有する。
本発明のゴム組成物に用いるゴムとしては特に限定はされないが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、各種アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、各種エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられ、ジエン系ゴムであることが好ましい。ゴムは単独、又は任意にブレンドして使用することができる。特に、NR、IR、SBRが好ましく、ブレンドする場合においてはNR、IR、SBRから選択されるゴムがゴム成分として10〜90重量%含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材としては、水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m2/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であり、水酸化アルミニウム、BET比表面積が20〜300m2/gである湿式シリカ、BET比表面積が50〜300m2/gである乾式シリカが好ましく、BET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることがより好ましく、BET比表面積が30〜250m2/gである湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムがより好ましい。
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材は、ゴム100重量部に対して、無機充填材は10〜150重量部を含有することが好ましく、20〜150重量部を含有することがより好ましく、20〜120重量部を含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物においては、無機充填材100重量部に対して、本発明の有機珪素化合物を1〜30重量部を含有することが好ましく、1〜25重量部を含有することがより好ましく、1〜20重量部を含有することが特に好ましい。
更に本発明のゴム組成物では他の有機珪素化合物を併用してもよく、他の有機珪素化合物としてはビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが好ましい。これらは無機充填材100重量部に対して0.1〜20重量部を配合することが好ましく、アミノ系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物を無機充填材100重量部に対して0.5〜15重量部を配合することがより好ましい。
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、一般式[3]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
(R12−O)3−Y(R12)Y−Si−R13−SX−R13−Si−(R12)Y(O−R12)3−Y・・・[3]
(式[3]中、R12は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R13は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
(R12−O)3−Y(R12)Y−Si−R13−SX−R13−Si−(R12)Y(O−R12)3−Y・・・[3]
(式[3]中、R12は独立して炭素数1〜18のアルキル基、CaH2a+1O−((CH2)bO)cで表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R13は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、Xは1〜9、Yは0、1、又は2の整数である。)
併用される他のシランカップリング剤を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。また本発明の有機珪素化合物、及び他のシランカップリング剤を併用する場合には、それらの合計重量が無機充填材100重量部に対し30重量部を超えないことが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造には、80〜250℃で混練することが好ましく、80〜200℃で混練することがより好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明においては、更に、架橋剤を含むことが好ましく、架橋剤は硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種であることが特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
上記架橋剤の含有量は、ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部含有することが好ましく、0.2〜15重量部含有することがより好ましく、0.5〜10重量部含有することが特に好ましい。
本発明のゴム組成物に架橋剤を添加後の組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、100℃以下で混練することが好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
本発明のゴム組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記の他に、通常ゴム工業で用いられる配合剤を使用できる。例えば、グアニジン系架橋促進剤、スルフェンアミド系架橋促進剤、亜鉛華などの架橋促進(助)剤、ステアリン酸などの加工助剤、チタネート系などのカップリング剤、フェニル-α-ナフチルアミンなどの老化防止剤、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの充填剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、スコーチ防止剤等を使用できる。
本発明のゴム組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、通常ゴム工業にて使用されるロール、加圧ニーダー、インターミキサー、バンバリーミキサーなどの各種混合機械を用いることが可能である。
このように調製された架橋用ゴム組成物は押出成形機、カレンダーロール、又はプレスにより意図する形状に成形し、好ましくは120〜230℃で、1分〜3時間加熱して架橋物を得る。また、架橋の際には金型を用いても良い。
本発明のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物はタイヤ(特にトレッド部分)、ベルト、防振ゴムなどの動的に使用されるゴム部品で好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
有機珪素化合物1の製造
磁気攪拌装置を備えた100mlに9.5g(40ミリモル)の3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)、10.4g(80ミリモル)のD−リモネン(ヤスハラケミカル株式会社製)、5.0gのトルエン(和光純薬工業株式会社製)、0.1g(0.48ミリモル)のイルガキュア184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASFジャパン株式会社製)を加えた。これを暗室内にて攪拌しながら、LightingcureLC6を用い、UV−Aの波長(400−315nm)で500mJ/cm2の強度にて50分間照射した。これを130℃、5mmHg条件下、衡量となるまで減圧濃縮し、無色透明の液体として14.5g(収率97%、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン基準)の有機珪素化合物1を得た。
磁気攪拌装置を備えた100mlに9.5g(40ミリモル)の3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)、10.4g(80ミリモル)のD−リモネン(ヤスハラケミカル株式会社製)、5.0gのトルエン(和光純薬工業株式会社製)、0.1g(0.48ミリモル)のイルガキュア184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASFジャパン株式会社製)を加えた。これを暗室内にて攪拌しながら、LightingcureLC6を用い、UV−Aの波長(400−315nm)で500mJ/cm2の強度にて50分間照射した。これを130℃、5mmHg条件下、衡量となるまで減圧濃縮し、無色透明の液体として14.5g(収率97%、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン基準)の有機珪素化合物1を得た。
ゴム組成物の製造
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は100℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は60rpm一定とした。配合はゴム125gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、30秒間混練した。次いで表1の配合(II)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(III)に示されるに示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを150℃で10分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。耐摩耗試験用テストピースは150℃で15分熱プレス架橋し、試験用サンプルを得た。なお試験に供したゴムは事前に60℃の12インチオープンロールで5分間素練りし、均質化したものを使用した。
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は100℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は60rpm一定とした。配合はゴム125gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、30秒間混練した。次いで表1の配合(II)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(III)に示されるに示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを150℃で10分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。耐摩耗試験用テストピースは150℃で15分熱プレス架橋し、試験用サンプルを得た。なお試験に供したゴムは事前に60℃の12インチオープンロールで5分間素練りし、均質化したものを使用した。
加工性試験
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、150℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応におけるトルクの上昇が全体の10%に達した時間(T10)、全体の90%に達した時間(T90)、その差(T90−T10)として記載する。
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、150℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応におけるトルクの上昇が全体の10%に達した時間(T10)、全体の90%に達した時間(T90)、その差(T90−T10)として記載する。
加工性試験2
未架橋シートを東洋精機製作所製ムーニー粘度計AM−3にセットし、JIS K6300に従い125℃にてL型ロータを用い、ML1+4とスコーチ時間(t5)を測定した。
未架橋シートを東洋精機製作所製ムーニー粘度計AM−3にセットし、JIS K6300に従い125℃にてL型ロータを用い、ML1+4とスコーチ時間(t5)を測定した。
引張試験
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。
動的粘弾性試験
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪10%、動振幅2%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪10%、動振幅2%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
磨耗性試験
JIS K6264に準拠した試験片(架橋シート)を作成し、アクロン磨耗試験機にて15°の傾斜角にて測定を行った。また負荷荷重は44.1N、試験片の回転速度は1分間に250回転とした。15°の測定においては、磨耗輪の回転数で500回転運転し、その時の重量減少とコンパウンドの比重から磨耗容量を測定し、それを2倍とする事で1000回あたりの磨耗量とした。
JIS K6264に準拠した試験片(架橋シート)を作成し、アクロン磨耗試験機にて15°の傾斜角にて測定を行った。また負荷荷重は44.1N、試験片の回転速度は1分間に250回転とした。15°の測定においては、磨耗輪の回転数で500回転運転し、その時の重量減少とコンパウンドの比重から磨耗容量を測定し、それを2倍とする事で1000回あたりの磨耗量とした。
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。
*1 KERILLA FACTORY製 SMR−CV60
*2 東ソーシリカ株式会社製 Nipsil AQ(BET比表面積215m2/g)
*3 東海カーボン製 シースト6
*4 日油株式会社製 ステアリン酸さくら
*5 大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
*6 ダイソー株式会社製 CABRUS−2
*7 ダイソー株式会社製 CABRUS−4
*8 堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
*9 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*10 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ
*11 細井化学工業株式会社製 コロイド硫黄
*1 KERILLA FACTORY製 SMR−CV60
*2 東ソーシリカ株式会社製 Nipsil AQ(BET比表面積215m2/g)
*3 東海カーボン製 シースト6
*4 日油株式会社製 ステアリン酸さくら
*5 大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
*6 ダイソー株式会社製 CABRUS−2
*7 ダイソー株式会社製 CABRUS−4
*8 堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
*9 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*10 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ
*11 細井化学工業株式会社製 コロイド硫黄
上記試験方法より得られた実施例及び比較例の試験結果を表2〜6に示す。
表2〜6に示されているように、カーボンブラックを配合した比較例1と実施例と比較すると、実施例は動的粘弾性特性、耐摩耗性の点で優れており、このゴム組成物をタイヤに適用した場合、低燃費性と耐摩耗性に優れるタイヤになると予測される。
また、シリカ、シランカップリング剤を配合した比較例2と実施例1、2を比較すると、実施例1、2はt5やT10が同等でありながらT90−T10が短い。これはスコーチ性が同等でありながら、シリカ配合の欠点の一つである加硫の遅さを改善することを示唆している。またML1+4も小さく加工性に優れる。更に、一般的に300%モジュラスと100%モジュラスの比が大きい方が有機珪素化合物とシリカの反応が効率よく進行している目安とされるが、この値も大きく優れている。動的粘弾性特性も実施例1、2では比較例2よりも小さく、低燃費性に優れる事が示唆され、更に、耐摩耗性についても優れ、タイヤの長寿命化を図れることが分かった。
また、シリカ、シランカップリング剤を配合した比較例2と実施例1、2を比較すると、実施例1、2はt5やT10が同等でありながらT90−T10が短い。これはスコーチ性が同等でありながら、シリカ配合の欠点の一つである加硫の遅さを改善することを示唆している。またML1+4も小さく加工性に優れる。更に、一般的に300%モジュラスと100%モジュラスの比が大きい方が有機珪素化合物とシリカの反応が効率よく進行している目安とされるが、この値も大きく優れている。動的粘弾性特性も実施例1、2では比較例2よりも小さく、低燃費性に優れる事が示唆され、更に、耐摩耗性についても優れ、タイヤの長寿命化を図れることが分かった。
本発明にある有機珪素化合物の混合物を使用する事により、動的特性、耐磨耗性、加工性に優れたゴム組成物および架橋物を提供することが出来る。従って、特にタイヤのトレッドや防振ゴム、ベルトなどの動的に使用されるゴム部品の製造には好適である。
Claims (20)
- テルペン残基、(ポリ)スルフィド構造、及び無機充填材と結合する基を分子内に含有することを特徴とする有機珪素化合物。
- テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と硫黄を含む基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機珪素化合物。
- テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と硫黄を含有する基で付加された構造の化合物を縮合成分として含む縮合物は、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と硫黄を含有する基で付加された構造の化合物の縮合物、又はテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基と硫黄を含有する基で付加された構造の化合物と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である請求項2に記載の有機珪素化合物。
- 請求項1〜3に記載の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物に他の有機珪素化合物を含んでなる有機珪素化合物の混合物。
- 請求項4に記載の他の有機珪素化合物が、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
- エンチオール反応により製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機珪素化合物の製造方法。
- 加硫反応により製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機珪素化合物の製造方法。
- 光開始剤を用いることを特徴とする請求項6に記載の有機珪素化合物の製造方法。
- 加硫促進剤を用いることを特徴とする請求項7に記載の有機珪素化合物の製造方法。
- 光を照射することを特徴とする請求項6又は8に記載の有機珪素化合物の製造方法。
- 更に加熱することを特徴とする請求項6〜10いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
- 更に、溶媒を用いることを特徴とする請求項6〜11いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
- 更に、加圧することを特徴とする請求項6〜12いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
- ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、請求項1〜5いずれかに記載の有機珪素化合物および/または有機珪素化合物の混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
- 無機充填材がBET比表面積20〜300m2/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項14に記載のゴム組成物。
- 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする請求項14又は15に記載のゴム組成物。
- ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)から選択されるゴムを10〜90重量%含有することを特徴とする請求項14〜16に記載のゴム組成物。
- 請求項14〜17いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
- 請求項18に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
- 請求項19に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
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