JP5514546B2 - メルカプト官能性シランおよびその調製のプロセス - Google Patents

メルカプト官能性シランおよびその調製のプロセス Download PDF

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Description

本開示は、メルカプト官能性シランおよびその調製に関する。これらのシランは、使用中の揮発性有機化合物(VOC)の生成を減少させるか、または排除して、充填剤入り弾性体物質の加工を助け、充填剤入り弾性体の最終用途の特性を高める。
メルカプトシラン、および充填剤入り弾性体のカップリング剤としてのその使用は、当分野で既知である。しかしながら、今までに既知のシランは、汎用の充填剤および弾性体と非常に反応しやすく、したがって、使いにくい。既知のシランが母体である弾性体への充填剤の最適なカップリングを達成するのに必要な濃度で用いられる場合、未硬化の充填剤入り弾性体では、典型的には短いスコーチ時間と、不十分な充填剤の分散を示す。時期尚早の架橋または高粘度化合物の生成を伴わないで、充填剤や他の成分と弾性体との混合、未硬化の弾性体の押し出し成形、これに続く製品の製作のためには、長いスコーチ時間(scorch time)が必要である。充填剤の良好な分散は、耐候性、摩耗、引裂き抵抗などのような充分な最終用途の特性を達成するために必要である。既知のシランは、これを作製し、使用するあいだに揮発性有機化合物(VOC)排出を起こすモノアルコールからも誘導される。
米国特許6,548,594号および6,849,754号は、C−C30のアルコキシ基を有するメルカプトシランのカップリング剤を記載する。これらの化合物はVOC排出の低減を提供するが、それらを有するゴムの加工およびカップリング剤としての性能には、改良の余地がある。
無機充填剤入り弾性体の調製の間にVOCを減少させる必要性に加えて、組成物の加工性を維持すると同時に、弾性体中の無機充填剤の分散を改善する必要もある。よりよい分散は、タイヤのような充填剤入り弾性体により作製された硬化された製品の性能を、転がり抵抗、発熱および摩耗の減少によって改善する。
有機シランのグリコール誘導体は、当分野で既知である。最近、本発明者らは、米国特許出願第11/358,550号、第11/358,818号、第11/358,369号、および第11/358,861号において、ブロックされたメルカプタン基および遊離のメルカプタン基の両方を有する有機官能性シランの混合物または有機官能性シランを使用して、充填剤入り弾性体のスコーチ(scorch)、VOC排出およびカップリング性能に取り組んだ。本発明者らは、米国特許出願第11/505,055号、第11/505,166号および第11/505,178号においても、分散したメルカプタン基および遊離のメルカプタン基の両方を有する有機官能性シランの混合物、または有機官能性シランを使用して、充填剤入り弾性体のスコーチ、VOC排出およびカップリング性能に取り組んだ。その上に本発明者らは、米国特許出願第11/104,103号において、アルカンジオキシシリル基を有する有機官能性シランのVOC排出に取り組んだ。米国特許出願第11/358,550号;第11/358,818号;第11/358,681号;第11/505,055号;第11/505,166号;第11/505,178号;および第11/104,103号は、参照により、総ての内容が本明細書に組み込まれる。
しかしながら、調製し、使用するあいだに充填剤入りの弾性体物質および弾性体製品からの低いVOC排出を維持すると同時に、有機官能性シランのカップリング性能を改善して、弾性体物質によりよい摩耗と強化特性とを付与する必要性は,依然として存在する。
一つの実施態様において、本発明は、一般式(1)のメルカプト官能性シランを供する:
[HSGSiZθβ[HSGSiZβ [HSGSiZβ X][HSGSiZβ (1)
式中:
、G、G、およびGの各々は、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの水素の置換によって誘導される二価の基からなる群から選択される1から30までの炭素原子を有するヒドロカルビレン基、または2から30の炭素原子と一つもしくはそれ以上のエーテル性の酸素(−O−)および/または硫黄(−S−)の原子とを有する二価の置換ヘテロ炭素であり;
Xの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、−R、(HO)d−1O−からなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、不飽和を有しても、または有さなくてもよい、水素、直鎖、環状または分岐のアルキル、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは、1から18までの炭素原子を有し、Gは、独立して、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する約4から約15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基であり、
βの各々は、二つのケイ素原子の間に架橋構造を形成し、[−OG(OH)d−2O−]0.5であり、ここで、Gの各々は、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基からなる群から独立して選択され;
θの各々は、ケイ素原子をもつ環状構造を形成し、独立して−OG(OH)d−2O−によって与えられ、ここで、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基からなる群から独立して選択され;
下付文字d、m、n、o、およびpの各々は、独立して整数であり、dは、第一の実施態様において2から6まで、第二の実施態様において2または3であり、そして第三の実施態様において2であり;mは0から20であり;nは0から18であり;oは0から20であり;そして、pは0から20であり;ただし、m+n+o+pは2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である。
ここに使用されるような「有機官能性シラン」の語句は、メルカプタン官能性を有する二量体の、オリゴマーの、または高分子のシランであり、そして近接するシラン単位が、ポリヒドロキシ含有化合物から誘導される架橋ジアルコキシシラン構造を介在して互いに結合されるシランの二量体、オリゴマーおよび/または重合体を意味すると理解されるものとする。
総ての範囲は、そのあいだに入る総てのサブ範囲を含むと理解される。群の構成要素のリストのすべては、群に属する任意の二つもしくはそれ以上の構成要素の組合せをさらに含有してよいこともまた理解されるだろう。
この発明に従って、一般式(1)のメルカプト官能性シランは、
a)一般式(2)、(3)、(4)、および(5)からなる群から選択される少なくとも一つのメルカプト官能性シラン:
(HS)−G−(SiX) (2)
(HS)−G−(SiX) (3)
(HS)−G−(SiX) (4)
(HS)−G−(SiX) (5)
〔式中:
、G、G、およびGの各々は、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの水素の置換によって誘導される1から30までの炭素原子を有するヒドロカルビレン基、または2から30の炭素原子と一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素(−O−)および/または硫黄(−S−)の原子とを有する二価のヘテロ炭素基であり;
Xの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、−Rからなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、不飽和を有しても、または有さなくてもよい、水素、直鎖、環状または分岐のアルキル、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは、1から18までの炭素原子を有し;ただし、Xのうちの少なくとも一つが、そして有利には二つが加水分解性基である、という条件である〕;
と、
b)一般式(6)の一つ以上のポリヒドロキシ含有化合物:
(OH) (6)
〔式中、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビル基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子のヘテロカルビル基であり、dは2から6までの整数である〕
と、をエステル交換反応条件下で反応させ、これによりメルカプト官能性シラン(1)を作製することを含有するプロセスによって調製される。
本発明の一つの特定の実施態様において、シラン反応物は、一般式(7)および(10)の少なくとも一つによって表わされるトリアルコキシシランである:
(HS)−G−(SiOR) (7)
(HS)−G−(SiOR) (8)
(HS)−G−(SiOR) (9)
(HS)−G−(SiOR) (10)
式中:
、G、G、およびGの各々は、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの水素の置換によって誘導される、1から12までの炭素原子を有するヒドロカルビレン基であり;
各々のRは、独立して上述の意味のうちの一つを有し、有利にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、またはsec−ブチル基である。
一つの実施態様において、シランの二量体、オリゴマーまたは重合体中で、二量体、オリゴマーまたは重合体の各々のシラン単位は、選択されたシラン単量体と一般式(11)の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物との反応から生成する架橋基を介在して近接するシラン単位に結合される:
(OH) (11)
式中、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビル基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する、4から15までの炭素原子のヘテロカルビル基であり、そしてdは2から6まで、より具体的には2から4まで、そして、なおより具体的には2の整数である。
一つの実施態様において、式(11)のポリヒドロキシ含有化合物は、一般式(12)および(13)の少なくとも一つのジオール(グリコール)である:
HO(RCROH (12)
HO(CR CR O)H (13)
式中、Rは、Rに関して上に列挙した構成要素のうちの一つによって独立して与えられ、fは2から15であり、そしてeは2から7である。
そのようなジオールの幾つかの代表的な非限定的例は、HOCHCHOH、HOCHCHCHOH、HOCHCHCHCHOH、HOCHCH(CH)CHOH、(CHC(OH)CHCH(OH)CH、CHCH(OH)CHCHOH、HOCHCHOCHCHOH、HOCHCHCHOCHCHCHOH、HOCHCH(CH)OCHCH(CH)OHのようなエーテル性酸素含有基を有するジオール、そしてHOCHCHOCHCHOCHCHOHのようなポリエーテル骨格を有するジオール、式(12)のジオールであり、ここで、Rは、水素またはメチルであり、そしてeは3から7であるである。
他の実施態様において、式(11)のポリヒドロキシ含有化合物は、一般式(14)のトリオールとテトロールのような、より高級なヒドロキシ官能性を有する:
(OH) (14)
式中、Gは、2から15までの炭素原子の置換ヒドロカルビル基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する、4から15までの炭素原子の置換ヘテロ炭素であり;そしてdは3から6までの整数である。
より高級なヒドロキシ官能性の化合物(14)の幾つかの非限定的例は、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、マンニトール、ガラクチコール、ソルビトール、およびそれらの組合せを含む。式(11)から(14)のポリヒドロキシ含有化合物の混合物もまたここで使用してよい。
上述の一般的な調製プロセスの一つの実施態様において、式(7)、(8)、(9)、および/または(10)の中から選択される少なくとも一つのメルカプト官能性トリアルコキシシランは、任意選択で、パラ−トルエンスルホン酸のようなエステル交換反応触媒の存在下で、式(11)の少なくとも一つのジオールでエステル交換されて、式(1)のメルカプト官能性シランを提供する。
一般的な調製プロセスの上述の実施態様の一つの適用において、式(7)、(8)、(9)、および(10)の少なくとも一つのメルカプトトリアルコキシシラン;
〔ここで、
、G、G、およびGの各々は、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの水素の置換によって誘導される、1から30までの炭素原子を有するヒドロカルビレン基であり、より具体的には1から6までの炭素原子の、なおより具体的には1から3までの炭素原子の、そしてさらにより具体的には3の炭素原子の直鎖または分岐のアルキレン基であり;
各々のRは、18までの炭素原子を有する、直鎖、環状および分岐のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立して選択される〕;
は、式(12)の少なくとも一つのジオールによりエステル交換され
〔ここで、
およびfの各々は、Rに関して上に列挙した構成要素の一つおよび水素によって独立して与えられ、そしてfは2から15であり、より具体的にはRの各々は、水素、および1から6までの炭素原子の直鎖または分岐のアルキル基からなる群から独立して選択され、fは約2から約6までの整数であり、さらに具体的には、Rの各々は、水素、および1から3までの炭素原子の直鎖または分岐のアルキル基からなる群から独立して選択され、そしてfは2から4までの整数であり、そしてより具体的にはRの各々は、水素、および1または2の炭素原子の直鎖アルキル基からなる群から独立して選択されるが、ただし、少なくとも一つのRはアルキル基であり、そしてfは2または3の整数である、という条件である〕、
任意選択で、たとえば非限定的な例としてパラ−トルエンスルホン酸のようなエステル交換反応触媒の存在下で、式(1)のメルカプト官能性シランを提供する:
[HSGSiZθβ[HSGSiZβ [HSGSiZβ X][HSGSiZβ (1)
ここで、G、G、G、およびGの各々は、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの、水素の置換によって誘導される、独立して1から30までの炭素原子を有するヒドロカルビレン基であり、より具体的には1から6までの炭素原子の、さらに具体的には1から3までの炭素原子の、そして、なおより具体的には3の炭素原子の直鎖または分岐のアルキレン基を有し;
βの各々は、二つのケイ素原子の間の架橋構造を形成し、独立して[−O(RCRO−]0.5であり、ここで、Rの各々は、Rに関して上に列挙した構成要素の中の一つによって独立して与えられ、fは2から15までであり、より具体的には、Rの各々は、水素、および1から6までの炭素原子の直鎖また分岐のアルキル基からなる群から独立して選択され、そしてfは2から6までの整数であり、さらに具体的にはRの各々は、水素、および1から3の炭素原子の直鎖また分岐のアルキル基からなる群から独立して選択され、そしてfは2から4までの整数であり、最も具体的にはRの各々は、水素、および1または2の炭素原子の直鎖アルキル基からなる群から独立して選択され、ただし、少なくとも一つのRはアルキル基であり、そしてfは2または3の整数である、という条件であり;
θの各々は、これはケイ素原子をもつ環状構造を形成するが、独立して−O(RCRO−であり、ここで、Rの各々は、Rに関して上に列挙した構成要素のうちの一つによって独立して与えられ、そしてfは2から15であり、より具体的にはRの各々は、水素、および1から6までの炭素原子の直鎖また分岐のアルキル基からなる群から独立して選択され、そしてfは2から6までの整数であり、さらに具体的にはRの各々は、水素、および1から3までの炭素原子の直鎖また分岐のアルキル基からなる群から独立して選択され、そしてfは2から4までの整数であり、最も具体的にはRの各々は、水素、および1または2の炭素原子の直鎖アルキル基からなる群から独立して選択され、ただし、少なくとも一つのRはアルキル基であり、そしてfは2または3の整数である、という条件であり;
Xの各々は、独立して−ORであり、ここで、Rの各々は、直鎖、環状および分岐の、18までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立して選択され;そして、
m、n、o、およびpの各々は、独立して整数であり、ここで、mは0から20までであり、より具体的には0から5までであり、さらに具体的には0から2までであり;nは具体的には0から18までであり、より具体的には0から4までであり、より具体的には0から2であり、そしてまだ具体的には1または2までであり;oは具体的には0から20までであり、より具体的には0から5までであり、さらに具体的には0から2までであり、そしてまだ具体的には1または2であり;pは具体的には0から約20までであり、より具体的には0から5までであり、さらに具体的には0から2までであり;ただし、m+n+o+pは2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である。
他の具体的な実施態様において、m、n、o、およびpの各々は、独立して整数であり、ここで、mは0から2までであり、nは0から2までであり、oは0から2までであり、そしてpは0から2であり、より具体的には、mは2から4までであり、nは0から2までであり、oは0から2までであり、そしてpは0であり、さらに具体的には、mは0であり、nは0から2までであり、oは0から2までであり、そしてpは2から4であり、まだ具体的には、mは2であり、nは0であり、oは0であり、そしてpは0であり、そして、なおより具体的には、mは0であり、nは0であり、oは0であり、そしてpは2である。
他の具体的な実施態様において、G、G、G、およびGの各々は、独立して1から6までの炭素原子の、二価で直鎖または分岐のアルキレン基であり、より具体的には1から4までの炭素原子、そしてずっと具体的には2または3の炭素原子である。
他の実施態様において、G、G、G、およびGは、1から30までの炭素原子を有する同一のヒドロカルビレン基であり、より具体的には約1から6までの炭素原子の同一で直鎖または分岐のアルキレン基であり、より具体的には1から4までの炭素原子の同一で直鎖または分岐のアルキレン基であり、そしてなお具体的には2または3の炭素原子の同一の直鎖アルキレン基である。
他の実施態様において、少なくとも一つのG、G、G、およびG基は、他のG、G、G、およびG基とは異なり、そしてG、G、G、およびGの各々は、独立して1から30までの炭素原子を有するヒドロカルビレン基であり、より具体的には1から6までの炭素原子の直鎖または分岐のアルキレン基であり、なお具体的には1から4までの炭素原子の直鎖または分岐のアルキレン基であり、そしてまだ具体的には2または3の炭素原子の直鎖アルキレン基である。
式(1)のメルカプト官能性シランおよびその混合物を調製するための反応条件は、かなり広く、そして約0℃から約150℃までの温度で、約0.1から約2,000mmHgまでの圧力で、任意選択で触媒および/または溶媒の存在下で、式(2)、(3)、(4)、および/または(5)のシランの個々のモル寄与を加算することにより決定されるシランと、式(6)のポリヒドロキシ含有化合物との、シリル基の1モル当たり式(6)の化合物の約0.3から約3モルまで、より具体的にはシリル基の1モル当たり式(6)の化合物の約0.5から約2モルまで、そしてなお具体的にはシリル基の1モル当たり式(6)の化合物の約1から約1.5モルまでのモル比を含む。
他の具体的な実施態様において、式(1)のメルカプト官能性および環状および/または架橋のジアルコキシシランが提供される:
[HSGSiZθβ[HSGSiZβ [HSGSiZβ X][HSGSiZβ (1)
式中:
、G、G、およびGの各々は、独立して1から約30までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの水素の置換によって誘導される基であり;
Xの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、RN−、−R、(HO)d−1O−、HO(CR O−、およびHO(CR CR O)−からなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、不飽和を有しても、または有さなくてもよい、水素、直鎖、環状または分岐のアルキル、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは、1から18までの炭素原子を有し、Gは、独立して2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基であり、Rは、Rに関して列挙した構成要素のうちの一つによって独立して与えられ、fは2から15であり、そしてeは2から7であり;
βの各々は、二つのケイ素原子の間に架橋構造を形成し、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(CR CR O)−]0.5および[−O(RCRO−]0.5からなる群から独立して選択され、ここで、Rの各々は、Rに関して上に列挙した構成要素のうちの一つによって独立して与えられ;そして、Gの各々は、2から15までの炭素原子の置換炭化水素基、または4から15までの炭素原子の、一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する置換ヘテロ炭素からなる群から独立して選択され;
θの各々は、ケイ素原子をもつ環状構造を形成し、−OG(OH)d−2O−,−O(CR CR O)−および−O(RCRO−によって独立して与えられ、ここで、Rの各々は、Rに関して上に列挙した構成要素の一つによって独立して与えられ;
下付文字d、e、f、m、n、o、およびpの各々は、独立して整数であり、ここで、dは2から6までであり、より具体的には2から4までであり、さらにより具体的には2であり;eは2から7までであり、より具体的には2から4までであり、そしてなお具体的には2であり;fは約2から15までであり、より具体的には2から4までであり、そしてなお具体的には3であり;mは0から20までであり、より具体的には0から5までであり、そしてなお具体的には1または2であり;nは0から18までであり、より具体的には0から4までであり、そしてなお具体的には1または2であり;oは0から20までであり、そして具体的には0から5までであり、そしてなお具体的には1から2であり;そして、pは0から20までであり、より具体的には0から5であり、そしてなお具体的には0から2までであり;ただし、m+n+o+pは2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件であり、そして、ただし、上記の式(1)のメルカプト官能性シランの各々は、少なくとも一つの加水分解性基、ZβまたはZθを含む、という追加の条件である。
[−OG(OH)d−2(O−)]0.5の構造は、第三の、またはそれ以上のシリル基とさらに反応させて、架橋のトリアルコキシシリル基、テトラアルコキシシリル基などを得てもよく、そして[−OG(OH)d−3(O−)1/3、[−OG(OH)d−4(O−)1/4などによって表わされることを認識されるだろう。
他の実施態様によると、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基を有するメルカプト官能性シランの調製のプロセスが供され、このプロセスは、式(2)、(3)、(4)、および(5)からなる群から選択される少なくとも一つのメルカプト官能性シランを配合し、:
(HS)−G−(SiX) (2)
(HS)−G−(SiX) (3)
(HS)−G−(SiX) (4)
(HS)−G−(SiX) (5)
〔ここで、G、G、G、G、およびXの各々は、上述の意味の一つを持ち、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件である〕
そしてこの混合物を有利にはエステル交換反応触媒の存在下で、一般式(6)の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換することを含有する。:
(OH) (6)
〔ここで、Gおよびdの各々は、上述の意味のうちの一つを持つ〕
他の実施態様において、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基を有するメルカプト官能性シランの調製のプロセスが供され、このプロセスは、式(2)、(3)、(4)、および(5)からなる群から選択される少なくとも一つのメルカプト官能性シランを配合し:
(HS)−G−(SiX) (2)
(HS)−G−(SiX) (3)
(HS)−G−(SiX) (4)
(HS)−G−(SiX) (5)
ここで、G、G、G、G、およびXの各々は、上述の意味の一つを持ち、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件であり;
そしてこの混合物を一般式(12)および(13)の一つもしくはそれ以上のジオールによりエステル交換することを含有し:
HO(RCROH (12)
HO(CR CR O)H (13)
ここで、R、eおよびfは、上述の意味のうちの一つを持つ。
式(1)のシランに関するここでの一つの実施態様において、「ジオール」および「二官能性アルコール」の用語は、一般式(12)の任意の構造を指す:
HO(RCROH (12)
式中、fおよびRは、ここに定義されるとおりである。これらの構造は、上述の式(11)の化合物に合致して二つの水素原子が−OHで置き換えられた炭化水素を含む。
式(1)のシランに関するここでの他の実施態様において、「ジアルコキシ」および「二官能性アルコキシ」は、二つのOH水素原子が除去されて二価のラジカルを与え、その構造が一般式(14)によって表わされる炭化水素系ジオールを指す。
−O(RCRO− (14)
式中、fとRは、ここに定義されるとおりである。
式(1)のシランに関するここでのさらに他の実施態様において、「環状ジアルコキシ」は、通例ジオールの場合でみられるように、二価の共通の炭化水素基に結合している二つの酸素原子によってケイ素原子で環化しているシランまたはシリル基を指す。一つの実施態様において、環状のジアルコキシ基は、Zθによって表わされ、これは環状構造の生成において重要である。さらに他の実施態様において、水素よりさらに立体的に障害のあるR基は、環状構造の生成を促進する。まださらなる実施態様において、式(12)のジオールにおけるfの値が2または3である場合も、そしてより具体的には3である場合も、環状構造の生成は促進される。
式(1)のシランに関するここでのさらに他の実施態様において、「架橋ジアルコキシ」は、二つの異なるケイ素原子がそれぞれ一つの酸素原子に結合し、これは次に、通例ジオールの場合のように二価の共通の炭化水素に結合しているシランまたはシリル基を指す。ここで架橋ジアルコキシ基は、Zβによって表わされる。
式(1)のシランに関するさらに他の実施態様において、「ヒドロキシアルコキシ」は、一価のラジカルを得るために一つのOHの水素原子を除去したシランまたはシリル基を指し、この基の構造は、一般式(15)、(16)および(17)によって表わされる。
(HO)d−1O− (15)
HO(RCRO− (16)
HO(CR CR O)− (17)
式中、G、e、f、およびRは、上に定義される。ここでのヒドロキシアルコキシ基は、Xによって表わされる。
式(1)のシランに関するここでのさらに他の実施態様において、「炭化水素系ジオール」の用語は、炭化水素構造の一部として二つのOH基を有するジオールを指す。他の実施態様において、これらの炭化水素系ジオールにはヘテロ原子(OH基中の酸素以外の)、特にエーテル基は存在しない。一つの実施態様において、酸素のようなヘテロ原子を有する炭化水素ジオールは、式(13)によって表わされる。
HO(CR CR O)−H (13)
他の実施態様において、これらのジオールは、環の大きさが8原子もしくはそれ以上であり、5原子または6原子を有する環よりも生成の可能性が低いため、シリル基により環状構造を形成する傾向に無い。
式(12)の構造は、二つのOH基に結合している特定の炭化水素基を接頭辞としてつけた「適切なジオール」または「グリコール」のいずれかでここでは呼ばれる。一つの具体的な実施態様において、式(12)の幾つかの非限定的例は、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールを含む。
式(14)の構造は、二つのOH基に結合した特定の炭化水素基を接頭辞としてつけ、適切なジアルコキシとしてここでは呼ばれ、例えばネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオールおよび2−メチル−2,4−ペンタンジオールのジオールは、ここではネオペンチルグリコキシ、1,3−ブタンジアルコキシ、2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ、および2−メチル−2,4−ペンタンジアルコキシのジアルコキシ基にそれぞれ対応する。
βに関して、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(RCRO−]0.5、および[−O(CR CR O)−]0.5の表記法は、式(1)のメルカプト官能性シランにおいて異なるシリル基に接続できる架橋ジアルコキシ基の半分を指す。これらの表記法は、ケイ素原子と連携して用いられるが、それらはジアルコキシ基の半分が関連のケイ素原子に結合していることを意味すると解釈される。このジアルコキシ基の他方の半分は、記載された全分子構造において他のどこかに存在するケイ素原子に結合していると理解される。それ故に、一つの実施態様において、[−OG(OH)d−2O−]0.5、[−O(RCRO−]0.5および[−O(CR CR O)−]0.5のジアルコキシ基は、この二つのケイ素原子が分子間に存在しても分子内に存在しても、二つの別個のケイ素原子をつなげる化学結合を仲介する。一つの実施態様において、[−O(RCRO−]0.5および[−O(CR CR O)−]0.5の場合に、(RCR基および(CR CR O)基が非対称であるならば、[−O(RCRO−]0.5および[−O(CR CR O)−]0.5の一方の端は、式(1)のシランの構造を完成するのに必要な二つのケイ素原子のどちらかに結合してよい。
なおさらなる実施態様において、式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(7)、(8)、(9)、および(10)のシランに関して、「アルキル」は、直鎖、分岐および環状のアルキル基を含む;「アルケニル」は、一つもしくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有する、任意の直鎖、分岐または環状のアルケニル基を含み、ここで、置換の位置は、この基の炭素−炭素二重結合で、または他の位置でのいずれかであってよい;「アリール基」は、非限定的例として一つの水素原子が取り除かれた任意の芳香族炭化水素の基を含む;「アラルキル」は、一つもしくはそれ以上の水素原子が同数で同じおよび/または異なるアリール(ここで定義されるように)置換基によって置換されている、前述の任意のアルキル基を含むが、これらに限定されない。アルキルの具体的な例は、メチル、エチル、プロピル、およびイソブチルを含むが、これらに限定されない。アルケニルの具体的な例は、ビニル、プロペニル、アリル、メタリル、エチリデニルノルボルナン、エチリデンノルボルニル、エチリデニルノルボルネン、およびエチリデンノルボルネニルを含むが、これらに限定されない。アリールの具体的な例は、トリル、キシリル、フェニル、およびナフタレニルを含むが、これらに限定されない。アラルキルの具体的な例は、ベンジルおよびフェネチルを含むが、これらに限定されない。
式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(7)、(8)、(9)、および(10)のシランに関するここでの他の実施態様において、「環状アルキル」、「環状アルケニル」は、アルキル基、アルケニル基によりさらに置換された、前述の環状構造と同様に、さらに二環式、三環式およびより高次の環状構造をも含む。「環状アルキル」、「環状アルケニル」の代表的な例は、ノルボルニル、ノルボルネニル、エチルノルボルニル、エチルノルボルネニル、エチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキセニル、シクロヘキシルシクロヘキシル、およびシクロドデカトリエニルを含むが、これらに限定されない。
ここでの他の実施態様において、シランは、式(1)によって記載され、ここで、G、G、G、およびGは、独立してC−C12アルキルの水素の置換によって誘導される二価の基であり;Xは、−Rおよび/または−ORであり、ここで、Rは、メチル、エチルおよび/または−O(RCROHであり;Zβは[−O(RCRO−]0.5であり、そしてZθは−O(RCRO−であり、ここで、Rは水素またはメチルであり、fは2または3であり、そしてm、n、o、およびpは0から2であり;ただし、m+n+o+pは2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である。
さらに他の実施態様において、シランは式(1)によって記載され、ここで、G、G、G、およびGは、独立してC−Cの直鎖アルキルの水素の置換によって誘導される二価の基であり;Xは−ORであり、ここで、Rはエチルまたは−O(RCROHであり;Zβは[−O(RCRO−]0.5であり、そしてZθは−O(RCRO−であり、ここで、Rは水素またはメチルであり、fは2または3であり、そしてm、n、o、およびpは0から2であり;ただし、m+n+o+pは2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である。
、G、G、およびGの幾つかの代表的な例は、1から30の炭素原子の分岐アルキレン基からなる群から選択されるが、これらに限定されず、そして:−CH(CHCH(CHCH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CH−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CH)CH−、および−CH(CHCH(CH)CH−;ジエチレンシクロヘキサン;フェニレン;非限定的な例として−CHCH(C)CHCH−、および−CHCH(C)CH(CH)−のようなジビニルベンゼンから誘導可能な任意の構造、であって、ここで、Cの表記は、二置換ベンゼン環を示す;非限定的な例として−CHCH(CH)(C)CH(CH)CH−のようなジプロペニルベンゼンから誘導可能な任意の構造であって、ここで、Cの表記は二置換ベンゼン環を示す;非限定的例として−CHCHCHCH(CH)−、−CHCHCH(CHCH)−および−CHCH(CHCHCH)−のようなピペリレンからの誘導可能な任意の構造、;任意の−CHCH−ノルボルニル−の異性体;非限定的な例として−CHCH[CHCHCH=C(CH]CHCH−、−CHCH[CHCHCH=C(CH]CH(CH)−、−CHC[CHCHCH=C(CH](CHCH)−、−CHCHCH[CHCHCH=C(CH]CH−、−CHCH(C−)(CH)[CHCHCH=C(CH]、および−CHCH[CH(CH)[CHCHCH=C(CH]]−のような、三置換C=Cを含むミルセンから誘導可能な、任意のモノ不飽和の構造、;ならびに、非限定的な例として−CHCH(CH=CH)CHCHCHC(CH−、−CHCH(CH=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHC(=CH−CH)CHCHCHC(CH]−、−CHC(=CH−CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHCHC(=CH)CHCHCHC(CH−、−CHCHC(=CH)CHCHCH[CH(CH]−、−CHCH=C(CHCHCHCHC(CH−、および−CHCH=C(CHCHCHCH[CH(CH]のような、三置換C=Cを欠くミルセンから誘導可能な任意のモノ不飽和の構造、;非限定的な例として−CH−、−CHCH−,−CHCHCH−、および−CHCHCHCHCHCHCHCH−のような、−(CH−、ここで、gは1から30までの整数であり、これは他の端でさらに置換された末端直鎖アルキルを表す;例えば−CH(CHCH(CH)−のような、それらのベータ置換類似物、ここで、iは好ましくは0から16である;非限定的例として−CHCH−メチルシクロヘキシル−、−CHCHC(CHCH−、−CHCH(CH)CH−のような、メチル置換アルキレン基、;−CHCH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH(CH)−、−CHC(CH)(CHCH)−、−CHCHCH(CH)CH−、−CHCHC(CH−、および−CHCH[CH(CH3)]−のような、イソプレンから誘導可能な任意の構造、;塩化メタリルから誘導可能な任意の構造;非限定的例として−CHCHCHCH−、−CHCHCH(CH)−および−CHCH(CHCH)−のような、ブタジエンから誘導可能な任意の構造;および、二つの水素原子を失うことによってノルボルナン、シクロヘキサンまたはシクロペンタンから得られる二価基;のような非限定的な例を含む。
さらに他の実施態様において、G、G、G、およびGは、−CHCHCH−であり、Xは−OCHCH(CH)CHOHであり、Zβは[−OCHCH(CH)CHO−]0.5であり、そしてZθは−OCHCH(CH)CHO−である。
さらに他の実施態様において、R基およびR基の幾つかの代表的な非限定的例は、水素、非限定的例としてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、オクテニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル、およびアリルのような、1から18、またはそれを超える炭素原子の分岐および直鎖のアルキルである。
一つの実施態様において、R基は、CからCまでのアルキルおよび水素から選択され、そしてR基は、水素、メチル、エチル、およびプロピルから選択される。
一つの他の実施態様において、Xの幾つかの具体的な非限定的例は、メトキシ、エトキシ、イソブトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、アセトキシ、オキシマト、ジオールから誘導される一価のヒドロキシアルコキシ基、−O(RCROHであり、ここで、Rおよびfは、ここに定義されるとおりであり、非限定的な例として2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ、3−ヒドロキシブトキシ、4−ヒドロキシ−2−メチルペント−2−オキシ、および4−ヒドロキシブト−1−オキシ、そして一般式(18)、(19)および(20)の一価のエーテルアルコキシ基がある:
(RO)d−1O− (18)
O(RCRO− (19)
O(CR CR O)− (20)
式中、Rは、1から18までの炭素原子を有する、直鎖、環状または分岐のアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され;そして、R、G、e、およびfは、ここに定義されるとおりである。一つの実施態様において、Xは、非限定的な例としてメチルおよびエチルのような、一価のアルキル基であってよい。
具体的な実施態様において、Xは、メトキシ、エトキシ、アセトキシ、メチル、エチル、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシ−2−メチルプロポキシ、3−ヒドロキシブトキシ、4−ヒドロキシ−2−メチルペント−2−オキシ、および4−ヒドロキシブト−1−オキシの非限定的な例のうちの一つである。
一つの実施態様において、ZβおよびZθの幾つかの具体的な非限定的例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、およびピナコールのようなジオールから誘導された二価のアルコキシ基である。他の実施態様において、ZβおよびZθの幾つかのより具体的な非限定的例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオールから誘導される二価のアルコキシ基である。
ここでの一つの具体的な実施態様において、ZβおよびZθは、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、および2−メチル−2,4−ペンタンジオール、そしてそれらの組合せから誘導される二価のアルコキシ基である。一つの実施態様において、ここでのシランの環状ジアルコキシ含量は、ゲル化へと導く過度の架橋を防ぐために、存在する全ジアルコキシ含量に関して、充分に高く保つべきである。ここでの一つの実施態様において、シランの環状ジアルコキシシリル含量は、シリル基の全濃度の約10から約100モルパーセントまで、具体的にはシリル基の全濃度の約25から約90モルパーセントまで、そしてより具体的にはシリル基の全濃度の約50から約70モルパーセントまでであってよい。ここでの他の実施態様において、式(1)の構造のXが大きければ過度の架橋を回避することもでき、例えばoおよびpが約1から約5までであるとき、および/または式(1)の構造の一部分、[HSGβ ]の数が小さいとき、具体的にはoが0および1であるとき、これが当てはまる。
さらに他の実施態様において、ここでのメルカプト官能性シランの幾つかの代表的な非限定的例は、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基およびメルカプト基を含むようなものであり、それらは:3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−1−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1,1−ジメチル−ブトキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−1−チオール;3−({3−[2−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−ビス−[3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ]−シラニル)−プロパン−1−チオール;3−[{3−[{3−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−1−メチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール;3−[[3−((3−ヒドロキシ−3−メチル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1−メチル−プロポキシ}−シラニルオキシ)−2−メチル−プロポキシ−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチルプロパン−1−オール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−ブチル)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−プロポキシ}−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−ブタン−1−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−フェニル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−3−ベンゼン−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−シクロヘキシル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1,1−ジメチル−ブトキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−シクロヘキサン−1−チオール);3−({3−[2−メルカプト−メチル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−ジエトキシ]−シラニル)−メタン−1−チオール;3−[{3−[{3−ビス−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2,2−ジメチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2,2−ジメチル−プロパン−1−オール;3−[[3−((3−ヒドロキシ−3−フェニル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−フェニル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−フェニル−1−プロポキシ}−シラニルオキシ)−2−フェニル−プロポキシ−(3−ヒドロキシ−2−フェニル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−フェニルプロパン−1−オール;3−[{3−[(メチル)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−メチル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール、およびそれらの組合せ、を含むが、これらに限定されない。
ここでのさらに他の実施態様において、これらのシラン組成物は、メルカプト官能性基および単官能性アルコキシ基をさらに含んでよいことが理解される。ここでのさらなる実施態様において、単官能性アルコキシ基だけを有するメルカプト官能性シランは、ここでのシランの調製において試薬として使用してよい。しかしながら、一つの実施態様において、このシランの加水分解で生成する単官能性アルコールが室温で高い蒸気圧を持っているとしたら、これらの単官能性アルコキシ基は、使用中にVOC排出に寄与すると理解される。さらなる実施態様において、高沸点の単官能性アルコキシ基の幾つかの非限定的例は、構造が一般式(20)によって表わされるアルコキシ基のようなものである。
O(CR CR O)− (20)
式中、R、R、およびeは、ここに定義されるとおりである。他の実施態様において、これらの環状および/または架橋のメルカプト官能性シラン(すなわち、環状および/または架橋のジアルコキシメルカプト官能性そしてシロキサンおよび/またはシラノール)の部分的な加水分解物および/または縮合物は、ここでシランによって包含されてもよく、この部分的な加水分解物および/または縮合物が、ここに記載したシランを製造するほとんどの方法の副生成物であるか、または、特に湿度の高い条件で、または調製から残存している残留水が調製後に完全には除去されない条件下で、貯蔵中に生じてしまうからであることがさらに理解される。
さらに、他の具体的な実施態様において、式(1)のシランの部分的から実質的な加水分解は、シロキサン結合、すなわちZβ=(−O−)0.5を有し、そしてここに記載されたシランによって包含されるシランを生成する;そして、より具体的な実施態様において、それらは、シランに関してここに記載された調製法に適切な化学量論的なまたは過剰の水を組み入れることによって意識的に調製され得る。一つの実施態様において、加水分解物とシロキサンとを包含するここでのシラン構造は、式(1)によって表わされる構造で記載され、式中、Zβ=(−O−)0.5および/またはXα=OH、は実質的であり(すなわち、ゼロより実質的に大きい)、例えば[−OG(OH)d−2O−]0.5に対する(−O−)0.5の比率は、具体的には1から99までであり、より具体的には1から20までであり、そしてさらに具体的には1から5まであるが、ただし、式(1)のシランは、少なくとも一つのZβ、すなわち[−OG(OH)d−2O−]0.5または少なくとも一つのZθ、すなわち−OG(OH)d−2O−を含む、という条件である。ここでの一つの実施態様において、ジオキシ架橋原子団[−O(RCRO−]0.5に対するシロキサン架橋基(−O−)0.5の比は、約0から約1までの範囲である。他の実施態様において、この比は約0から約0.2までの範囲である。さらなる実施態様において、この比は約0.05から約0.15までの範囲である。
他の実施態様において、ここでのメルカプト官能性シランは、この混合物を含めて、多孔質重合体、カーボンブラック、シリカのようなシリカ質の物質などのような微粒子担体に担持させてよく、その結果ゴム配合操作中にゴムに添加するための固体の形態になる。
さらなる実施態様において、式(1)のメルカプト官能性シランおよびそれの混合物らは、多数の具体的な実施態様が存在するここに記載の一般的な調製プロセスによって調製することができる。一般に、一つの実施態様において、式(1)のシランの一つまたは混合物を作製するプロセスは、式(2)、(3)、(4)、および(5)の一つもしくはそれ以上のアルコキシシランと、式(6)、(11)、(12)、および(13)の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物との間のエステル交換反応を含む。
一つの実施態様において、式(1)のメルカプト官能性シランを調製するプロセスは:
a)一般式(2)、(3)、(4)、および/または(5)の少なくとも一つのメルカプトシランを混合すること:式中、G、G、G、G、およびXの各々は、ここに定義されるとおりであり、ただし、Xの少なくとも一つは加水分解性基である、という条件である;そして、
b)この混合物を、G(OH)、HO(RCROHまたはHO(CR CR O)−Hの構造を有する少なくとも一つのジオールにより、任意選択で、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換すること;そして、生成するX−H基を除去すること;ここで、G、R、d、e、およびfの各々はここに定義されるとおりである;
を含有する。
一つの実施態様において、第一の反応は、エステル交換されるシリル基の1モル当たり、ジオールの約0.5モルから約3.0モルまでのモル比で、メルカプト官能性アルコキシシランの混合物をジオールと反応させることによって行ってよい。他の実施態様において、この比率は、トリアルコキシシリル基に対して約1.0から約2.5のまで範囲であってよい。さらに他の実施態様において、この比率は、トリアルコキシシリル基に対して約1.5から約2.0までの範囲であってよい。一つの実施態様において、反応は、圧力を約0.1から約2000mmHgまでの絶対圧の範囲で維持しながら、約0から約150℃まで、より具体的には約25℃から約100℃まで、そしてさらに具体的には約60℃から約80℃までの範囲で、およびこの間に入る総てのサブ範囲の温度で行ってよい。一つの実施態様において、温度は、約30℃から約90℃までの範囲、およびこの間に入る総てのサブ範囲であってよい。他の実施態様において、圧力は、約1から約80mmHgまでの絶対圧の範囲であってよい。当業者が認識するように、一つの実施態様において、過剰のジオールは、反応速度を増加させるのに用いてよいが、しかし、これがコストを増加させる条件下では必要ない。他の実施態様において、反応は、所望の反応温度および減圧下で、ジオールをメルカプト官能性アルコキシシランの混合物にゆっくりと添加することによって行ってよい。他の実施態様において、モノアルコールのような低沸点のX−H基が生成するので、蒸留サイクルによって反応混合物から取り除いてよく、そしてモノアルコールの除去は、反応を完結まで促進する助けになる。一つの実施態様において、任意選択で、反応はエステル交換反応触媒を用いて触媒されてよい。さらに他の実施態様において、適切なエステル交換触媒は、pKaが5.0未満である強いプロトン酸、スズ、鉄、チタンの錯体のような遷移金属錯体、および他の金属触媒である。一つの実施態様において、これらの反応に適切な触媒は、M. G. Voronkov、V. P. Mileshkevich and Yu. A. Yuzhelevskii著、「シロキサン結合、物理的性質および化学的変換(The Siloxane Bond, Physical Properties and Chemical Transformations)」、Consultants Bureau, a division of Plenum Publishing Company, New York (1978)、の第5章に開示されているが、これを参照により、総ての内容をここに編入する。さらなる実施態様において、強塩基は、メルカプト官能性基とジオールとの反応を促進し、そして硫化物を生成させるため、一般にはエステル交換反応触媒として不適当である。一つの実施態様において、酸または金属の触媒を約10ppmから約2重量パーセントまで、具体的には約20ppmから約1000ppmであり、そしてより具体的には約100ppmから約500ppmまでの範囲で使用してよい。
ここでのさらなる実施態様において、反応が完了した後、最終混合物は、任意選択で、緩衝液で処理してよい。一つの具体的な実施態様において、混合物の緩衝処理によって強いプロトン酸を中和すると、これによって混合物は金属に対する腐食性が低下し、そして長期的な生成物の安定性を増すだろう。さらなる具体的な実施態様において、緩衝処理は、当分野に既知の方法と化合物によって行ってよい。
一つの具体的な実施態様において、メルカプト官能性シラン(2)、(3)、(4)、および/または(5)のエステル交換反応の生成物は、低粘度の反応生成物によって示されるように、二量体そして別の環状および/または架橋のオリゴマーの生成に加えて、かなりの割合の単量体の物質を含有してよい。一つの具体的な実施態様において、単量体の割合は、約1から約99モルパーセントまで、より具体的には約10から約50モルパーセントまで、そしてさらに具体的には約15から約25モルパーセントまでである。
さらなる実施態様において、ここでのメルカプト官能性シラン組成物を作製するプロセスは、任意選択で、不活性溶媒を使用してよい。一つの具体的な実施態様において、溶媒は、希釈剤、担体、安定剤、還流助剤、または加熱剤として役に立つ。より具体的な実施態様において、一般に、反応に関与しないか、または調製のプロセスに悪影響を与えない不活性溶媒を使用してよい。一つの実施態様において、溶媒は、通常の条件下で液体であり、そして約150℃未満の沸点を有する。より具体的な実施態様において、適切な溶媒の幾つかの非限定的例は、トルエン、キシレン、ヘキサン、ブタン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、四塩化炭素、塩化メチレンのような芳香族または脂肪族の炭化水素、エーテル、非プロトン性、または塩素化炭化水素の溶媒、またそれらの組合せを含む。
ここでの一つの実施態様において、メルカプトアルコキシシランをポリヒドロキシ含有化合物によりエステル交換するプロセスは、連続的に行ってよい。もう一つの実施態様において、連続操作の場合にプロセスは:
a)薄膜型反応器において、式(2)、(3)、(4)、および/または(5)の少なくとも一つのシランの混合物を含有する薄膜型反応媒体を、式(6)の少なくとも一つのポリヒドロキシ含有化合物と、任意選択で、エステル交換反応触媒と共に反応させて、環状および/または架橋のジアルコキシ基そして副生成物のモノアルコールを含むメルカプト官能性シランを提供する;
b)反応を促進するために薄膜から副生成物のモノアルコールを蒸発させる;
c)任意選択で、凝縮によって副生成物のモノアルコールを回収する;
d)有機官能性シラン反応生成物を回収する;そして、
e)任意選択で、メルカプト官能性シラン生成物の貯蔵安定性を改善するために反応媒体を中和する;
を含有する。
ここでの一つの実施態様において、連続薄膜プロセスにおいて使用されるメルカプト官能性シランの混合物に対するポリヒドロキシ含有化合物のモル比は、非限定的な例としてジオール(グリコール)のようなポリヒドロキシ含有基により置き換えようとしているアルコキシ基の数に依存する。もう一つの具体的な実施態様において、理論上、モノアルコキシ基または別の加水分解性のX基の総てをエステル交換して置き換えるためには、アルコキシシリル基の1モル当たり、式(11)または(12)のジオールの約1.5モルというモル比が必要である。ここでの他の実施態様において、アルコキシシリル基の1モル当たり、ジオールの約0.5から約1.0モルまでのモル比を使用してよい。さらなる実施態様において、そして多くの場合、追加のジオールが望ましいが、これは幾つかの場合において、ジオールのヒドロキシ基のうちの一つだけがアルコキシシリル基と反応するからである。一つの実施態様において、シリル基と一回だけ反応するそれらのジオールは、式(1)においてXと定義される。さらなる実施態様において、「ヒドロキシアルコキシ」と呼ばれるジオールは、粘度を減少させ、そしてシランのゲル化を抑制する。さらに他の実施態様において、そして当業者が直ちに認識するように、反応速度を増加させるために過剰のジオールを用いてよい。
一つの具体的な実施態様において、薄膜を形成する方法は、当分野に既知のいずれの方法であってよい。より具体的な実施態様において、典型的な既知の装置は、流下液膜式蒸発器またはワイプト薄膜蒸発器を含むが、これらに限定されない。一つの具体的な実施態様において、最小膜厚および流速は、薄膜形成表面に対する最小濡れ比率に依存するだろう。他の具体的な実施態様において、最大膜厚および流速は、薄膜と装置に関するフラッディングポイント(flooding point)に依存するだろう。より具体的な実施態様において、アルコールは、薄膜を加熱することによって、薄膜の上方の圧力を低下させることによって、または両方の組合せによって薄膜から蒸発する。一つの実施態様において、穏やかな加熱と減圧は、ここに記載した構造を形成するために用いられる。まださらなる実施態様において、ここに記載したプロセスを実行するための最適温度および圧力(部分真空)は、プロセスで使用される具体的なメルカプト官能性シランのアルコキシ基およびジオールに依存するだろう。まださらなる実施態様において、その上に、任意選択で不活性溶媒がプロセスにおいて使用されるとしたら、この選択は、利用される最適な温度および圧力(部分真空)に影響を及ぼすだろう。一つの具体的な実施態様において、そのような溶媒の幾つかの非限定的例は、ここに列挙された溶媒を含む。ここでの一つの実施態様において、単官能性アルコールのような薄膜から蒸発した副生成物のX−Hは、標準的な部分真空を生ずる装置によって反応が進行している蒸留装置から除去され、そして他のプロセスへの供給用に凝縮され、収集され、そして再利用されてよい。一つの実施態様において、シラン生成物は、標準的な手段によって液相として反応が進行している蒸留装置から回収される。他の実施態様において、不活性溶媒を使用したとしたら、または補足的な精製が必要だとしたら、シラン生成物は、分離を達成する他の同様な蒸留装置または蒸留塔に供給してよい。さらに他の具体的な実施態様において、任意選択で、エステル交換された反応生成物を、生成物の保存性を向上させるために中和してよい。
一つのより具体的な実施態様において、プロトン性触媒をシランのジオールとのエステル交換反応を促進するために使用するのであれば、触媒を塩基により中和して生成物の安定性を改善することは有用であろう;しかしながら、プロトン性触媒を中和するためには、化学量論量の塩基だけが必要である;塩基がそれより多いと、望ましくない副反応を促進することになる。
さらに、他の実施態様において:
a)少なくとも一つの微粒子充填剤;および、
b)式(1)のシランを含有するメルカプト官能性シラン組成物;
を含有する自由流動性の充填剤組成物が提供される:
[HSGSiZθβ[HSGSiZβ [HSGSiZβ X][HSGSiZβ (1)
式中:
、G、G、およびGの各々は、独立して、アルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの水素の置換によって誘導される1から30までの炭素原子を有するヒドロカルビレン基、または2から30の炭素原子と一つもしくはそれ以上のエーテル性の酸素(−O−)および/または硫黄(−S−)の原子とを有する二価のヘテロ炭素であり;
Xの各々は、−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RNO−、−R、(HO)d−1O−からなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、水素、不飽和を有しても、または有さなくてもよい、直鎖、環状または分岐のアルキル、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは、1から18までの炭素原子を有し、Gは、独立して2から15までの炭素原子の置換ヒドロカルビレン基、または4から15までの炭素原子の、一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する置換ヘテロ炭素基であり;
βの各々は、二つのケイ素原子の間の架橋構造を形成し、[−OG(OH)d−2O−]0.5であり、ここで、Gの各々は、2から15までの炭素原子の置換ヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する、4から15までの炭素原子の置換ヘテロ炭素からなる群から独立して選択され;
θの各々は、ケイ素原子をもつ環状構造を形成し、独立して−OG(OH)d−2O−によって与えられ、ここで、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する、4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基からなる群から独立して選択され;
下付文字、d、m、n、o、およびpの各々は、独立して整数であり、ここで、dは2からまで6であり、より具体的には2または3であり、そしてより具体的には2であり;mは0から20までであり;nは具体的には0から18までであり;oは0から20までであり;pは0から20までであり;ただし、m+n+o+pは2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である。
ここでの他の実施態様において、非限定的な例としてタイヤ、工業製品、靴底部、ホース、シール、ガスケット、およびケーブル外被からなる群から選択される、製造の製品が提供され、それらの少なくとも一つの要素は、ここに記載したゴム組成物が硬化されたゴム組成物である。一つの実施態様において、ここでのシランおよび/またはシランの混合物は、ゴム製造の間に揮発性有機化合物(VOC)排出を著しく減少し、ゴム内での充填剤の分散を増加し、そして有機重合体と充填剤との間のカップリングを改善するための手段を提供する。
ここでの他の実施態様において、ここでのメルカプト官能性シラン系組成物は、弾性体樹脂(すなわち、ゴム)と充填剤との間のカップリング剤として有用である。一つの実施態様において、メルカプト官能性シラン組成物は、処理粘性が高く、充填剤の分散が望ましい水準以下であり、時期尚早の硬化(スコーチ;scorch)が起こり、そして臭気を持つ、というようなメルカプトシランの使用に典型的に関連した有害な副作用なしにメルカプタン基の高性能を利用できるという点でユニークである。さらに他の実施態様において、これらの長所は、メルカプタン基が、使用中にジオールまたはより高級なポリヒドロキシ含有化合物を発生する高沸点化合物の一部であるために得られる。さらに他の実施態様において、この非生産的な混合工程中に、環状および/または架橋のアルコキシシリル基は、充填剤と反応することができる。ここでの一つの実施態様において、メルカプトシラン組成物、自由流動性の充填剤組成物およびゴム組成物は、ここに記載したように、および/または当業者に既知の操作を用いて、硬化してよい。
他の具体的な実施態様において、メルカプト官能性シラン系組成物は、ゴムやタイヤの産業での広範囲の使用が見られる従来のカップリング剤を超える顕著な長所を備える。それらの従来のシランは、分子構造において、各ケイ素原子上に、三つのアルコキシ基、例えばエトキシ基を通常有するが、その結果、シランが充填剤にカップリングするゴム製造プロセスの間に、各シランの当量当たり、単純なモノヒドロキシアルコール、例えばエタノールの3モルまでを放出する。単純なモノアルコールの放出は大きな短所である。これはモノアルコールが可燃性であり、したがって火災の恐れがあるからであり、そして揮発性有機化合物(VOC)排出に非常に寄与し、したがって環境に対して潜在的に有害であるからである。
ここでの一つの具体的な実施態様において、ここに開示した任意のシランおよび/またはシラン混合物の利用は、削減されたVOC排出の結果となる。一つの実施態様において、ここに開示したシランまたはシランの混合物を含有する生成物/組成物からのVOC排出は、ここに開示したシランまたはシラン混合物を含まない同等の生成物/組成物におけるVOC排出より少なくなり得る。まださらなる実施態様において、削減されたVOC排出は、メルカプト官能性シランの重量の約30重量パーセント未満、より具体的にはメルカプト官能性シランの約10重量パーセント未満、そして最も具体的にはメルカプト官能性シランの約1重量パーセント未満を含む。一つの実施態様において、加水分解で生成する副生成物は、G(OH)、(HO)(CR OHおよびHO(CR CR O)OHであり、大気圧で180℃より高い沸点を持つことを要求されるので、VOC排出は削減される。
一つの実施態様において、ここに記載したメルカプト官能性シラン系組成物は、揮発性モノアルコールの排出をシラン当量当たり、モノアルコールの1モルだけ、1モル未満、そして実質的にゼロにさえ削減することによって先の問題をなくすか非常に緩和する。一つの具体的な実施態様において、メルカプト官能性シラン系組成物がこれを達成するが、これは、シランアルコキシ基がポリヒドロキシアルコール、例えばジオールから誘導された架橋基により置き換えられ、それ故そのようなポリヒドロキシアルコールは、放出されるモノアルコールの多くまたはほぼ総ての代わりにゴム製造プロセスの間に放出されるからである。まださらに具体的な実施態様において、ここでのメルカプト官能性シランの長所(そのような長所は高級なヒドロキシ官能性のポリヒドロキシ含有化合物により実現可能である)を、ジオールを用いて調製された、例えばゴム加工温度より高い沸点を持つシランを具体的に参照しながら記載すれば、メルカプト官能性シランは、ゴム製造プロセスの間に、例えばエタノールの場合のようにゴムから蒸発せずに、高い極性が原因でシリカ表面へ移動し、シリカのようなシリカ質の充填剤の表面に水素結合されてゴムによって保持される。他の実施態様において、シリカ表面上のジオールの存在は、後の硬化プロセスでエタノールでは得られない(ゴム配合プロセスの間の揮発性と発生とが原因で)さらなる長所に結びつき、ここでこの存在は、シリカ表面が硬化剤と結合するのを妨害し、これによって硬化を妨げる。ジオールに基づかない従来のシランは、シリカ結合に起因する硬化剤の損失を埋め合わせるために、より多くの硬化剤を必要とする。
他の実施態様において、硬化剤の添加に先立っておよび/または同時に、炭化水素系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物をゴム配合調合物に添加することは、特に硬化剤、および極性物質、例えばアミン、アミド、スルフェンアミド、チウラム、およびグアニジンであるが、これらに限定されないが、これの効率的な利用にとって長所である。さらに他の実施態様において、ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物を、シランカップリング剤と組み合せて、ジヒドロキシまたはポリヒドロキシから誘導されたシランの形態でも、または遊離のジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物としてでも、排他的に添加すれば、ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物の極性は、ゴム配合プロセスにとって利益になる。もう一つの実施態様において、この極性物質は、充填剤との双極子相互作用に起因して充填剤表面へ移動する傾向があり;これは極性物質を有機重合体マトリックス内で利用できなくさせる傾向にあり、ここで極性物質の機能は、自由流動性の充填剤組成物の分散と、硬化反応の加速または遅延とを含む。一つの実施態様において、炭化水素系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物は、シリカ表面に結合する傾向を妨げることによって硬化剤の機能を高め、それにより硬化剤をゴムマトリックス中へと追いやってその機能を遂行させる。他の実施態様において、炭化水素系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物は、それ自体の極性が強いのでそれ自身が充填剤表面に結合して、硬化剤が充填剤に結合する余地を少なくしてこのことを達成する。さらなる具体的な実施態様において、炭化水素系ジオールは、それ故に充填剤から硬化剤を遠ざける試薬として作用する。他の具体的な実施態様において、炭化水素系ジオールまたはポリヒドロキシ含有化合物の短鎖は、キレート効果によって機能をさらに高める。一つの実施態様において、Zθおよび/またはZβのジアルコキシド基の間の炭素原子の数は重要であり、それぞれ二価の基、−O(RCRO−および[−O(RCRO−]0.5によって定義され、ここで、fの各々は2または3である。より具体的な実施態様において、ジオールの二つのOH基の間の2または3の炭素原子のそれら鎖は、両方の酸素原子が式(1)のシランの同じケイ素原子に結合する場合、五員環または六員環の生成を促進する。より具体的な実施態様において、既知で、ここにキレート効果と呼ばれる、同じ中心への二元的な結合は、環状ジアルコキシシリル基の量を増加させて、ゲルの生成を抑制する。さらなる具体的な実施態様において、ゴム配合工程でシリカとの反応の後、放出されたジオールは、充填剤表面の金属またはケイ素原子をキレート化することができ、それによって硬化剤が充填剤に結合するのを防ぐ能力を高めるため、充填剤に対して高い親和性を持つ。さらなる具体的な実施態様において、ここに記載したシランおよび/またはシラン混合物の重要な長所は、シランカップリング処理の副生成物それ自身が、ゴム配合プロセス、生成するゴム組成物、および/または、このゴム組成物を用いた任意の製品、の価値を高める上で有益であるという点である。一つの実施態様において、それ故に、架橋および/または環状のジアルコキシ基を有するメルカプトシランは、充填剤の分散の容易さと完全性を高め、そしてこのプロセスの逆、すなわち充填剤の再集塊(reagglomeration)を遅らせる。
ここでの一つの実施態様において、(a)少なくとも一つのゴム成分、(b)少なくとも一つの微粒子充填剤、および(c)ここに記載した少なくとも一つのメルカプト官能性シラン、を含有するゴム組成物が提供される。
一つの実施態様において、ここに記載したシランの重要な長所は、シランカップリングのプロセスの副生成物が、ゴム配合プロセスと、生成するゴム組成物および/またはゴム組成物を使用する製造の任意の製品の価値とを高める上でそれ自身有用であるという点にある。
一つの実施態様において、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基を有するメルカプト官能性シランカップリング剤の少なくとも一つは、有機重合体に充填剤を配合する前に、配合の途中で、または配合した後に有機重合体と混合される。一つの実施態様において、これらのシランは、充填剤の分散を促進し、そして改善するので、このシランは有機重合体に充填剤を配合する前または配合の途中で添加される。より具体的な実施態様において、生成するゴム組成物におけるシランの全量は、有機重合体の100重量部当たり(phr)約0.05から約25重量部までが望ましい。他の実施態様において、自由流動性の充填剤組成物中のメルカプト官能性シランの量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約0.1から約70重量パーセントまでである。さらに他の実施態様において、自由流動性の充填剤組成物中のメルカプト官能性シランの量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約0.5から約20重量パーセントまでである。別の一つの実施態様において、自由流動性の充填剤組成物中の充填剤の量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約99.9から約30重量パーセントまでである。別の一つの実施態様において、自由流動性の充填剤組成物中の充填剤の量は、自由流動性の充填剤組成物の全重量に基づいて約99.5から約80重量パーセントまでである。他の実施態様において、ゴム中のシランの量は約0.2から10phrまでである。まだ他の実施態様において、ゴム中に存在するシランの量は約3から8phrまでである。一つの実施態様において、充填剤は、具体的には約5から約100phrまで、より具体的には約25から約80phrまで、そして最も具体的には約50から約70phrまでの範囲の量で使用してよい。
一つの実施態様において、実際上、硫黄加硫ゴム生成物は、典型的にはゴムおよび様々な成分を連続的な段階方法で熱機械的に混合し、続いて配合ゴムを成形し、硬化して加硫生成物を生成させることによって調製される。より具体的な実施態様において、最初に、ゴムおよび種々の成分の前述の混合用に、硫黄および硫黄加硫促進剤(まとめて「加硫剤」)を典型的には除外して、ゴムおよび種々のゴム配合成分が、通常適切なミキサー中で少なくとも一つの、そして、任意選択で(シリカを充填した低転がり抵抗タイヤの場合は)二つもしくはそれ以上の予備の熱機械的な混合段階で配合される。さらなる実施態様において、そのような予備の混合は、非生産的な混合(non−productive mixing)、または非生産的な混合の工程または段階と呼ばれる。より具体的な実施態様において、そのような予備混合は、通常具体的には約140℃から180℃まで、そしてより具体的には約150℃から約160℃までの範囲の温度で行われる。
一つの実施態様において、そのような予備の混合段階の後に続いて、しばしば生産的な混合段階と呼ばれる最終混合段階において、加硫剤と、場合により一つもしくはそれ以上の補足的な成分とが、典型的には50℃から130℃の範囲の温度でゴム配合物または組成物と混合されるが、この温度は、しばしばゴム組成物のスコーチ(scorching)と呼ばれる硫黄硬化性ゴムの時期尚早の硬化を防ぐかまたは遅らせるために、予備の混合段階の温度より低い。
他の実施態様において、しばしばゴム配合物または組成物と呼ばれるゴム混合物は、しばしば中間的なミル混合のプロセスの後で、またはプロセスの途中で、前述の種々の混合工程の間に、例えば約50℃もしくはそれ以下の温度に冷却される。
他の実施態様において、ゴムの成形および硬化が望まれる場合、ゴムは適切な鋳型に入れられ、少なくとも約130℃、そして約200℃にまで加熱され、ゴム混合物中のメルカプトシラン上のメルカプト基および別の遊離の硫黄源によってゴムの加硫を引き起こすことになる。
一つの実施態様において、熱機械的な混合によって、ゴム配合物またはゴムとゴム配合成分との組成物は、ゴム混合物へと高い煎断条件下で混合され、そこで混合物は、主としてゴム混合器中のゴム混合物内部のせん断と関連する摩擦とが原因で、混合の結果として自己加熱される。一つの実施態様において、混合と硬化のプロセスにおける種々の工程で、幾つかの化学反応が起りうる。
一つの実施態様において、第一の反応は比較的早い反応であり、充填剤と、環状および/または架橋のジアルコキシメルカプト官能性シランのアルコキシシリル基−SiXとの間で起こると考えられ、ここで、Xは加水分解性基、−SiZβまたはSiZθである。さらなる実施態様において、そのような反応は例えば約120℃のような比較的低い温度で起りうる。さらなる実施態様において、第二の反応は、より高い温度で、例えば約140℃を超える温度で、シランの硫黄含有部分と硫黄加硫性ゴムとの間に起こる反応と考えられる。
一つの実施態様において、他の硫黄源は、例えばSのような元素硫黄の形態で用いてよい。より具体的な実施態様において、硫黄供与体は、約140℃から約190℃までの範囲の温度で、遊離のまたは元素の硫黄を発生する硫黄含有化合物と考えられる。もっと具体的な実施態様において、そのような硫黄供与体は、非限定的な例として多硫化物のブリッジに少なくとも二つの接続した硫黄原子をもつ多硫化物の加硫促進剤であってよい。さらにより具体的な実施態様において、混合物に添加する遊離の硫黄源の量を、前述の環状および/または架橋のジアルコキシメルカプト官能性シラン組成物の添加から比較的独立した選択の問題として制御するまたは処理することができる。
それ故に、一つの実施態様において、例えば硫黄源の独立した添加は、それの添加量によって、およびゴム混合物への他の成分の添加に関する添加の順序によって対処してよい。
他の実施態様において、ゴム組成物は:
a)少なくとも一つの予備混合操作において、約140℃から約180℃までの温度で、そのような混合操作のために約1から約20分までの合計の混合時間で:
i)共役ジエン単独重合体、共役ジエン共重合体、および少なくとも一つの共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体からなる群から選択される少なくとも一つの硫黄加硫性ゴムの約100重量部、
ii)微粒子充填剤の約5から約100重量部、ここで、充填剤は、好ましくは0から約85重量パーセントまでのカーボンブラックを含む、および、
iii)充填剤重量に基づいて、請求項1に記載の式(1)の少なくとも一つのメルカプト官能性シランの約0.05から約20重量部;
、を熱機械的に混合する工程;
b)最終の熱機械的な混合工程において、ゴムを配合するのに充分な時間に約50℃から約130℃までの温度で、工程(a)からの混合物と0から5重量部の硬化剤とを配合する;および、
(c)任意選択で、約5から約60分までの間に約130から約200℃までの範囲の温度で、この混合物を硬化する工程;
の連続する工程を含有するプロセスによって調製される。
適切なゴム成分(a)(有機重合体)および充填剤は、当分野で周知であり、多数の文献に記載されており、その中の二つの例は、The Vanderbilt Rubber Handbook(バンダービルトゴムハンドブック); R.F. Ohm, ed.; R.T. Vanderbilt Company, Inc., Norwalk, CT; 1990、およびManual For The Rubber Industry(ゴム産業便覧); T. Kempermann, S. Koch, J. Sumner, eds.; Bayer AG, Leverkusen, Germany; 1993である。まださらなる実施態様において、適切なゴム成分(a)(有機重合体)の幾つかの代表的な非限定的例は、溶液法のスチレン−ブタジエンゴム(SSBR)、エマルジョン法のスチレン−ブタジエンゴム(ESBR)、天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、エチレン−プロピレン三元重合体(EPDM)、およびアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を含む。
一つの実施態様において、ゴム組成物成分(a)は、少なくとも一つのジエン系弾性体、またはゴムで構成される。もっと具体的な実施態様において、ゴムの調製に適した単量体は共役ジエンであり、非限定的例としてイソプレンおよび1,3−ブタジエンである;そして、非限定的例としてスチレンおよびアルファメチルスチレンのような適切なビニル芳香族化合物である;およびそれらの組合せである。それ故に、より具体的な実施態様において、ゴムは硫黄硬化性ゴムである。さらなる実施態様において、そのようなジエン系弾性体またはゴムは、非限定的な例としてシス−1,4−ポリイソプレンゴム(合成および/または天然の、そして好ましくは天然のゴム)、乳化重合により調製されたスチレン/ブタジエン共重合体ゴム、有機溶液重合により調製されたスチレン/ブタジエンゴム、3,4−ポリイソプレンゴム、イソプレン/ブタジエンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエン三元重合体ゴム、シス−1,4−ポリブタジエン、中ビニルポリブタジエンゴム(35〜50パーセントのビニル)、高ビニルポリブタジエンゴム(50〜75パーセントのビニル)、スチレン/イソプレン共重合体、乳化重合により調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元重合体ゴムおよびブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムの少なくとも一つから選択してよい。乳化重合により誘導されたスチレン/ブタジエン(ESBR)も、ジエン系ゴムとしてここでの使用に考慮され、例えば20から28パーセントの結合スチレンの比較的汎用のスチレン含量のジエン系ゴム、または幾つかの用途では中程度から比較的高い結合スチレン含量、すなわち30から45パーセントの結合スチレン含量を有するESBRである。もっと具体的な実施態様において、三元重合体中に2から40重量パーセントの結合アクリロニトリルを含む、乳化重合により調製されたスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル三元重合体ゴムも、ジエン系ゴムとしてここでの使用に考慮される。
他の実施態様において、溶液重合により調製されたSBR(SSBR)は、具体的には約5から約50重量パーセントまで、より具体的には約9から約36重量パーセントまで、そして最も具体的には約20から約30重量パーセントまでの範囲において結合スチレン含量を典型的に有する。より具体的な実施態様において、ポリブタジエン弾性体は、例えば少なくとも90重量パーセントのシス−1,4−含量を有することによって、簡便に特徴付けられる。
一つの実施態様において、適切な充填剤物質の幾つかの代表的な非限定的例は、シリカ(焼成シリカおよび沈降シリカ)、二酸化チタン、アルミノケイ酸塩、そしてアルミナのような金属酸化物、粘土とタルクとを含むシリカ質の物質、およびカーボンブラックを含む。より具体的な実施態様において、微粒子の沈降シリカも、そのような目的に、特にシランに関連してしばしば使用される。一つの実施態様において、充填剤は、シリカ単独であるか、または一つもしくはそれ以上の他の充填剤との組合せである。他の具体的な実施態様において、幾つかの場合には、シリカとカーボンブラックとの組合せは、タイヤの接地面を含む種々のゴム生成物用の充填剤を強化するために利用される。一つの実施態様において、アルミナは、単独でまたはシリカと組合せて使用してよい。「アルミナ」の用語は、酸化アルミニウム、またはAlとしてここで記載してよい。より具体的な実施態様において、充填剤は、水和したまたは無水の形態でよい。ゴム組成物におけるアルミナの使用は、既知であり、例えば米国特許5,116,886号および欧州特許631982号を参照のこと、そして、これらは参照により本明細書に編入される。
一つの実施態様は、ゴム組成物を調製するプロセスであり、これは、ここに記載したゴム組成物成分(a)、(b)および(c)の混合物のような、ゴム組成物を反応で生成する混合物に、ここに記載した有効な量の少なくとも一つのメルカプト官能性シラン組成物を添加することを含有する。一つの実施態様において、メルカプト官能性シラン組成物の有効な量は、ここに記載したように、ゴム組成物を反応で生成する混合物において、ゴム組成物を反応で生成する混合物の全重量に基づいて、メルカプト官能性シランの具体的には約0.2から約20まで、より具体的には、約0.5から約15まで、そして最も具体的には、約2から約10重量パーセントまでである。他の実施態様において、反応で生成する混合物は、ここに記載した充填剤をさらに含有し、ゴム組成物を反応で生成する混合物の全重量に基づいて、具体的には約2から約70まで、より具体的には約5から約50まで、そして最も具体的には約20から約40重量パーセントまでの量においてである。さらに他の実施態様において、反応で生成する混合物は、ここに記載したゴム成分(a)をさらに含有し、ゴム組成物を反応で生成する混合物の全重量に基づいて、具体的には約30から約98重量パーセントまで、より具体的には、約50から約95重量パーセントまで、そして最も具体的には約60から約80重量パーセントまでの量においてである。一つの実施態様において、ここに記載したゴム組成物は、ゴム組成物を反応で生成する混合物に関して記載された成分(a)、(b)および(c)の量を有してよい。
一つの実施態様において、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基を有するメルカプト官能性シラン組成物は、充填剤粒子と前もって混合または前もって反応させてもよいし、またはゴムと充填剤との加工の間にまたは混合段階の間にゴム混合物に添加してよい。他の実施態様において、シランおよび充填剤が、ゴムと充填剤との混合の間に、または加工段階の間にゴム混合物に別々に添加されるとしたら、環状および/または架橋のジアルコキシシリル基を有する有機官能性シラン組成物は、その場で充填剤に結合すると考えられる。
一つの実施態様において、加硫ゴム組成物は、妥当な高さのモジュラスおよび高い引き裂き抵抗に寄与するのに充分な量の充填剤を含むべきである。具体的な実施態様において、充填剤の合計重量は、約5から約100phrと少なくてよいが、しかしより具体的には約25から約85phrまで、そして最も具体的には約50から約70phrまでである。
一つの実施態様において、ここに使用される「充填剤」の用語は、弾性体に添加され、弾性体の量を増やすかまたは弾性体の網目を強化する物質を意味する。補強充填剤は、モジュラスがエラストマー組成物の有機重合体より高く、そして弾性体が変形したとき、有機重合体から応力を吸収することができる物質である。一つの実施態様において、充填剤は、ファイバー、微粒子およびシート状の構造を含み、そして無機鉱物、ケイ酸塩、シリカ、粘土、セラミックス、炭素、有機重合体、ケイソウ土から構成されてよい。一つの実施態様において、充填剤は、一緒に混合されるシランに対して実質的に不活性であってよく、またはそれらと反応性であってもよい。
一つの実施態様において、ここで用いられる「微粒子充填剤」の用語は、粒子または凝集体または集塊体を形成する粒子の集まりを意味する。一つの実施態様において、微粒子充填剤は、一緒に混合されるシランに対して実質的に不活性であってあってよく、またはそれらと反応性であってもよい。
一つの実施態様において、ここで使われる「担体」の用語は、高い吸着または吸収の能力を有し、そして自由流動性および乾性を維持しながら75パーセントまでの液体のシランを担持することができる、多孔性または大表面積の充填剤または有機重合体を意味する。一つの実施態様において、担体充填剤または担体重合体は、実質的にシランに対して不活性であり、そして弾性体組成物に添加されたとき、液体のシランを放出するかまたは排出することができる。
一つの実施態様において、本発明の充填剤は、液体のシランのための担体および弾性体のための補強充填剤として使用してよく、この際にメルカプト官能性シラン、そしてより具体的にはメルカプト官能性シラン(1)は、表面と反応するかまたは結合することができる。一つの実施態様において、担体として使用される充填剤は、本発明のメルカプトシランに対して非反応性であるべきである。一つの実施態様において、充填剤の非反応的な性質は、有機溶媒を使用して担持されたシランの50パーセントを超えて抽出されるメルカプトシランの能力によって説明される。一つの実施態様において、抽出手順は米国特許6,005,027号に与えられており、この特許を参照により、総ての内容をここに編入する。一つの実施態様において、担体は、多孔性の有機重合体、カーボンブラック、ケイソウ土、およびシリカを含むが、この例に限定されず、このシリカは、米国特許6,005,027号に記載されるように、105℃で測定した時と500℃で測定した時のシリカの3502cm−2の赤外吸光度の間で1.3未満の比較的小さい差によって特徴付けられる。一つの実施態様において、担体に担持させてよいメルカプト官能性シランの量は、0.1パーセントと70パーセントとの間である。他の実施態様においては、メルカプト官能性シランは、10パーセントと50パーセントとの間の濃度で担体上に担持される。さらに他の実施態様において、この充填剤は微粒子の充填剤である。
ここでの一つの実施態様において、ここでの有用な補強充填剤は、シランが充填剤の表面と反応性である充填剤を含む。一つの実施態様において、充填剤の代表的な例は、無機充填剤、シリカ質充填剤、シリカ(焼成シリカおよび/または沈降シリカ)のような金属酸化物、チタン、アルミノケイ酸塩およびアルミナ、粘土およびタルクなどを含むが、これらに限定されない。ここでの一つの実施態様において、微粒子の沈降シリカは、特にシリカが反応性の表面シラノールを有するときに、そのような目的に有用である。本発明の一つの実施態様において、メルカプト官能性シラン、より具体的にはメルカプト官能性シラン(1)を0.1から20パーセントと、80から99.9パーセントのシリカまたは別の補強充填剤との組合せは、タイヤ接地面を含む種々のゴム生成物を強化するために利用される。他の実施態様において、充填剤は、メルカプト官能性シラン、そしてより具体的にはメルカプト官能性シラン(1)を約0.5から約10パーセントまでと、約90から約99.5重量パーセントの微粒子充填剤とを含有する。他の実施態様において、アルミナは、単独でメルカプト官能性シランと共に、そしてより具体的にはメルカプト官能性シラン(1)共に、またはシリカとメルカプト官能性シランとの組合せで使用してよい。一つの実施態様において、アルミナ、の用語は、酸化アルミニウム、またはAlと記載することができる。さらなる実施態様において、充填剤は水和した形態でよい。
一つの実施態様において、充填剤は、カーボンブラックまたは有機重合体の場合のように、一緒に混合されるシランに実質的に不活性であってよく、または例えば金属ヒドロキシ表面の官能性を有する担体、例えば表面のシラノール官能性を有するシリカおよび他のシリカ質の微粒子の場合のようにそれらと反応性であってよい。
ここでの一つの実施態様において、沈降シリカは充填剤として利用される。より具体的な実施態様において、ここでのシリカ充填剤は、具体的には約40から約600m/gまでの範囲で、そしてより具体的に約50から約300m/gまでの範囲で、そして最も具体的には約100から約150m/gまでの範囲で、窒素ガスを使用して測定されたBET表面積を持つことによって特徴付けられる。他の具体的な実施態様において、表面積を測定するBET法は、Journal of the American Chemical Society, Volume 60, page 304 (1930)、に記載されており、これがここで用いた方法である。さらに他の具体的な実施態様において、シリカも、具体的には約100から約350まで、より具体的には約150から約300まで、そして最も具体的には約200から約250までの範囲でフタル酸ジブチル(DBP)吸収値を持つことによって特徴付けられる。もっと具体的な実施態様において、さらに言えば、有用なシリカ充填剤と同様に、前述のアルミナおよびアルミノケイ酸塩の充填剤も、約100から約220m/gまでの範囲でCTAB表面積を持つと予期される。もっと具体的な実施態様において、CTAB表面積は、pH9を持つ臭化セチルトリメチルアンモニウムによって評価される外部表面積である;この方法はASTM D 3849に記載されている。
水銀細孔度−比表面積(mercury porosity surface area)は、水銀圧入法によって測定された比表面積である。この技術において、水銀は、揮発性物質を除去するための熱処理の後に試料の細孔に浸透される。より具体的な実施態様において、測定条件は、100mgの試料を使用し;105℃および周囲の大気圧で2時間揮発物質を除去し;そして大気圧から2000barの範囲で圧力を測定する、と適切に記載できる。他のより具体的な実施態様において、そのような評価は、Winslow, et al., ASTM bulletin, p.39 (1959)に記載される方法、またはDIN 66133によって行ってよい;そのような評価に、CARLO−ERBA細孔計2000を使用してよい。一つの実施態様において、選び出されたシリカ充填剤の平均水銀細孔度比表面積は、具体的には約100から約300m/gまで、より具体的には約150から約275m/gまで、そして最も具体的には約200から約250m/gまでの範囲であるべきである。
一つの実施態様において、そのような水銀細孔度評価に従った、シリカ、アルミナおよびアルミノケイ酸塩に適切な細孔径分布は:細孔の5パーセントもしくはそれ以下が約10nmもしくはそれ以下の直径を有し;細孔の約60から約90パーセントまでが約10から約100nmまでの直径を有し;細孔の約10から約30パーセントまでが約100から約1,000nmまでの直径を有し;そして細孔の約5から約20パーセントまでが約1,000nmを超える直径を有する、とここでは考えられる。第二の実施態様において、電子顕微鏡法によって測定される、例えば約0.01から約0.05μmまでの範囲で平均究極粒径をシリカは持つと期待されるが、シリカ微粒子は、径がさらに小さいか、恐らくより大きくてもよい。一つの実施態様において、ここでの使用のために考慮することができる種々の市販シリカは、HI−SIL、特にHI−SIL 210および243の商標でPPG Industriesから入手できるシリカ;例えばZEOSIL 1165MPのRhone−Poulencから入手可能なシリカ;例えばVN2およびVN3などのDegussaから入手可能なシリカ、そして、例えばHUBERSIL−8745のHuberから入手可能なシリカである。
一つの実施態様において、シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩のようなシリカ質の充填剤と、さらにカーボンブラック補強顔料との両方を含むゴム組成物が、補強顔料としてシリカで主として強化されることが望まれる場合、より具体的にはカーボンブラックに対して、そのようなシリカ質の充填剤の重量比は、少なくとも3/1、そして好ましくは少なくとも10/1、それ故に3/1から30/1の範囲である。より具体的な実施態様において、充填剤は、約15から約95重量パーセンまでの沈降シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩と、これに対応して約5から約85重量パーセントまでのカーボンブラックを含有してよく、ここで、前記カーボンブラックは、約80から約150までの範囲でCTAB値を有する。一つの具体的な実施態様において、代替的に、充填剤は、約60から約95重量パーセントまでの前記シリカ、アルミナおよび/またはアルミノケイ酸塩と、これに対応して約40から約5重量パーセントまでのカーボンブラックを含有してよい。他の具体的な実施態様において、シリカ質の充填剤およびカーボンブラックは、前もって混合するか、加硫ゴムの製造中に一緒に混合してよい。
一つの実施態様において、ここでのゴム組成物は、様々な硫黄加硫性成分ゴムと、種々の一般に使用される添加物物質、例えば硫黄、活性剤、遅延剤および促進剤のような硬化助剤;油、例えば粘着付与樹脂などの樹脂、シリカ、可塑剤、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、酸化防止剤、およびオゾン劣化防止剤のような加工添加物;素練り促進剤;そして例えばカーボンブラックのような補強材などとを混合するような、ゴム配合技術において既知の方法によって配合されてよい。他の具体的な実施態様において、硫黄加硫性物質および硫黄硬化された物質(ゴム)の意図される使用に応じて、ここに言及した添加物は、選択されて、そして汎用の量で一般に使用される。
一つの実施態様において、加硫は、補足的な硫黄加硫剤の存在下で行ってよい。一つの具体的な実施態様において、適切な硫黄加硫剤の幾つかの非限定的例は、例えば元素硫黄(遊離の硫黄)、または非限定的例としてアミノジスルフィド、重合性ポリスルフィドまたは硫黄オレフィン付加物のような硫黄供与加硫剤を含み、これは最終の生産的ゴム組成物混合工程で汎用的に添加される。他の具体的な実施態様において、硫黄加硫剤(それらは当分野に一般的である)は、約0.4から約3phrまでの範囲の量で、またはある状況においては約8phrまでも、約1.5から約2.5phrまで、そしてある場合には、最も具体的には約2から約2.5phrまでの範囲の量で、生産的な混合段階で使用されるか、または添加される。
一つの実施態様において、加硫促進剤、すなわち補足的な硫黄供与体も使用してよい。一つの実施態様において、硫黄供与体は、非限定的な例としてベンゾチアゾール、アルキルチウラムジスルフィド、グアニジン誘導体、およびチオカルバマートなどであってよいことは認識される。他の具体的な例において、そのような代表的な促進剤は、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、ジフェニルグアニジン、ジチオカルバミン酸亜鉛、アルキルフェノールジスルフィド、ブチルキサントゲン酸亜鉛、N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N,N−ジフェニルチオ尿素、ジチオカルバミルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、亜鉛−2−メルカプトルイミダゾール、ジチオビス(N−メチルピペラジン)、ジチオビス(N−ベータ−ヒドロキエチルピペラジン)、ジチオビス(ジベンジルアミン)、およびそれらの組合せであるが、これらに限定されない。他の具体的な実施態様において、別の補足的な硫黄供与体は、例えばチウラム誘導体およびモルホリン誘導体を含む。より具体的な実施態様において、そのような供与体の典型は、例えばジモルホリンジスルフィド、ジモルホリンテトラスルフィド、テトラメチルチウラムテトラスルフィド、ベンゾチアジル−2,N−ジチオモルホリド、チオプラスト、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、ジスルフィドカプロラクタム、およびそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
一つの実施態様において、促進剤は、加硫に必要な時間および/または温度を制御するために使用され、そして加硫物の性質を改善する。一つの実施態様において、単一の促進剤系、すなわち一次促進剤を使用してよい。他の実施態様において、汎用的にそしてより具体的には、一次促進剤を約0.5から約4phrまで、好ましくは約0.8から約1.5phrまでの範囲の合計量で使用する。より具体的な実施態様において、一次および二次の促進剤の組合せは、加硫物を活性化し、そして加硫物の特性を改善する目的で二次促進剤と一緒により少ない量(例えば、約0.05から約3phrまで)で使用してよい。まださらなる実施態様において、遅延作用促進剤も使用してよい。またさらなる実施態様において、加硫遅延剤も使用してよい。一つの実施態様において、適切なタイプの促進剤は、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバマート、キサントゲン酸塩、およびそれらの組合せという非限定的例のようなものである。より具体的な実施態様において、一次促進剤はスルフェンアミドである。他の具体的な実施態様において、二次促進剤を使用するならば、二次促進剤は、より具体的にはグアニジン、ジチオカルバマートまたはチウラム化合物である。
一つの実施態様において、粘着付与剤樹脂の量の非限定的例は、使用するならば、約0.5から約10phrまで、通常約1から約5phrであってよい。一つの具体的な実施態様において、加工助剤の典型的な量は、約1から約50phrまでを含有する。他の具体的な実施態様において、そのような加工助剤は、芳香族、ナフテン酸および/またはパラフィンの加工オイル、およびそれらの組合せという非限定的例を含んでよい。一つのより具体的な実施態様において、酸化防止剤の典型的な量は、約1から約5phrまでである。一つの他の具体的な実施態様において、代表的な酸化防止剤は、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、その他に、例えばVanderbilt Rubber Handbook (1978)、344−346ページに開示された酸化防止剤という非限定的例を含む。また他の実施態様において、オゾン劣化防止剤の典型的な量は、約1から約5phrまでである。もう一つの実施態様において、脂肪酸の典型的な量は、使用するならば、非限定的な例としてステアリン酸を含んでよいが、約0.5から約3phrまでである。もう一つの実施態様において、酸化亜鉛の典型的な量は、約2から約5phrである。まだ他の具体的な実施態様において、ワックスの典型的な量は、約1から約5phrまでである。一つの実施態様において微結晶ワックスがしばしば使用される。他の実施態様において、素練り促進剤の典型的な量は、約0.1から約1phrまでである。まださらなる実施態様において、典型的な素練り促進剤は、例えばペンタクロロチオフェノール、ジベンズアミドジフェニルジスルフィドおよびそれらの組合せという非限定的な例を含む。
一つの実施態様において、ここに述べたゴム組成物は、種々の目的に使用してよい。一つの具体的な実施態様において、例えばゴム組成物は、種々のタイヤ配合物、靴底部、ホース、ケーブル外被、ガスケット、および他の工業製品という非限定的な例に使用してよい。より具体的な実施態様において、当業者に容易に明白なように、そのような物品は、種々の既知そして汎用の方法によって作り、形作り、成形し、硬化してよい。一つのより具体的な実施態様において、ここでのゴム組成物の一つの特に有用な用途は、タイヤ接地面の製造向けである。一つの実施態様において、ここでのゴム組成物から誘導されたタイヤ、タイヤ接地面または別の製品の長所は、既知で現在実用化されている技術のゴム配合物に比較してより少ない残存シランエトキシ基を含むゴム配合物から製造されている結果、寿命の間および使用中に少ししかVOCを排出しない点にある。より具体的な実施態様において、このことは、現在既知で実用化されている技術のメルカプトシランカップリング剤の配合物に比較してケイ素上のエトキシ基をほとんど含まないか、実質的に含まない、ジアルコキシ官能性シランカップリング剤を製造の際に使用したことの直接の結果である。一つの実施態様において、用いたカップリング剤のエトキシシラン基の欠如または減少は、製造の製品が生産された後でケイ素上の残存エトキシ基が少ないことに帰着し、このことから使用の間に製造の製品の水への接触による残存エトキシシラン基の加水分解によってエタノールが少ししか放出されないか、または放出されない。
ここに引用した参考文献を参照により、総ての内容をここに編入する。
本発明は、以下の実施例を参照することによって一層よく理解されよう。ここでは、部と百分率は特に示されなければ重量に基づく。
実施例1
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(General Electricから商品名Silquest A−1891で入手した、514.3グラム、2.16モル)、および2−メチル−1,3−プロパンジオール(Aldrichから購入、194.4グラム、2.16モル)を、磁気式撹拌機、短い凝縮器および受器フラスコを備えた1リットル丸底フラスコに入れた。Purolite(Rohm & Haasから購入、3.5グラム)を反応フラスコに加え、混合物を最初は60torrから約1torrの減圧下で約3時間、50℃に加熱した。エタノール(185グラム、4.02モル)を回収した。反応生成物は3.5マイクロメートル(3.5ミクロン)のパッドを通して加圧ろ過した。回収した生成物の重量は501.7グラムであった。GC/MSによって、3−({3−[2−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロピル}−ジエトキシ−シラニル)−プロパン−1−チオールおよび3−2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−1−チオールを含む複雑な混合物であることが分かった。
実施例2
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(General Electricから商品名Silquest A−1891で入手した、438.8グラム、1.84モル)、および2−メチル−1,3−プロパンジオール(Aldrichから購入、331.7グラム、3.68モル)を、磁気式撹拌機、短い凝縮器および受器フラスコを備えた1リットル丸底フラスコに入れた。硫酸(0.39グラム)を反応フラスコに添加し、混合物を最初は40torrから約1torr(全真空)の減圧下で約3.5時間、50℃に加熱した。エタノール(263グラム、5.71モル)を回収した。その後、反応生成物をナトリウムエトキシ(sodium ethoxy)の21%エタノール溶液1.44グラムで中和し、次に、1.5時間で低沸点成分を取り除いた。回収した生成物の重量は485.6グラムであった。GC分析によって、3−({3−[2−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロピル}−ジエトキシ−シラニル)−プロパン−1−チオールおよび高分子量の成分であることが分かった。
実施例3
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(General Electricから商品名Silquest A−1891で入手した、720.5グラム、3.02モル)、および2−メチル−1,3−プロパンジオール(Aldrichから購入、817.0グラム、9.07モル)を、磁気式撹拌機、短い凝縮器および受器フラスコを備えた3リットル丸底フラスコに入れた。硫酸(0.78グラム)を反応フラスコに添加し、混合物を最初は30torrから約10torrの減圧下で約3.5時間、約50℃に加熱した。エタノール(389.4グラム、8.5モル)を回収した。その後、反応生成物をナトリウムエトキシの21%エタノール溶液2.5グラムで中和し、次に、1時間で低沸点成分を取り除いた。回収した生成物の重量は1108.9グラムであった。
実施例4
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(100グラム、0.42モル)、および2−メチル−2,4−ペンタンジオール(50グラム、0.42モル)を、磁気式撹拌機、短い凝縮器および受器フラスコを備えた1リットル丸底フラスコに入れた。チタンイソプロポキシド(0.85グラム)を反応フラスコに添加し、混合物を最初は約370torrの減圧下で1時間、70℃に加熱した。2−メチル−1,3−プロパンジオール(18.9グラム、0.21モル)を添加して加熱した。
比較例5および6、そして実施例7、8、9、および10
プラーク状の硬化したゴム組成物を調製し、その物理的性質および力学的性質を測定し、荷重の影響を決定した。
下の表1に記載したように、典型的なシリカゴムSBR調合物を使用した。混合は1.7リットルのバンバリーミキサー(Banbury tangential mixer)で行った。
Figure 0005514546
単一の非生産的な混合物を調製するために用いた手順を下の表2に示す。
Figure 0005514546
単一の生産的な混合物を準備するための手順は、硫黄および促進剤(一次および二次)を、65〜70℃の二本ロールミルで表2に記載したように調製したマスターバッチに添加することを含む。シリカ充填剤、シランおよび油の総てを得られた混合物に組み入れ、ロータのrpmを上昇させて所要のシリル化温度を達成した。その後、混合物を8分間その温度に保持した。混合手順を上の表2に示す。
プラーク状の硬化されたゴム組成物の硬化および試験は、ASTM規格に基づいて行った。さらに、微小歪みの動的試験は、流動動的分析装置(Rheometrics Dynamic Analyzer;ARES−Rheometrics Inc.)上で行った。具体的な硬化手順、測定および測定手順は、以下のとおりであった:
硬化手順/測定 試験規格
ムーニー粘度およびスコーチ ASTM D1646
振動ディスクレオメトリー ASTM D2084
試験プラークの硬化 ASTM D3182
応力−歪み特性 ASTM D412
発熱性 ASTM D623
動的な機械的性質:
ペイン効果歪み掃引(Payne effect strain sweeps)は、10Hz、60℃で0.01%の動的歪振幅から、約25%のせん断歪振幅まで行った。動的パラメータ、G’initial、ΔG’、G’’max、tanδmaxは、小さな歪みでのゴム化合物の非線形応答から抽出した。幾つかの場合において、tanδの定常値は、35%(60℃で)の歪み振幅で15分間の動的な振動の後に測定した。動的性質の温度依存性は、さらに10Hzの周波数での小さな歪み振幅(1または2%)で約−80℃から+80℃まで測定した。ゴム配合物、比較例5および6(シランはSilquest A−1891シランである)、実施例7、8、9、および10(実施例3からのシラン)のレオロジー的性質、物理的性質および動的性質を表3に示す。
Figure 0005514546
実施例11、12、13、および14
ゴム配合物は、比較例5に記載した手順によって調製した。充填率は72パーセントであり、実施例11では二パス手順を用いた。データは、ゴムの性能に対する非生産的な混合温度の影響を示す。データを表4に示す。
Figure 0005514546
本発明は、多数の代表的な実施態様に関して記載されているが、当業者は、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更を行なってよく、そして等価物を、その要素に置き換えてよいことを理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに、特定の状況や物質を本発明の教示に適応させる多くの修正を行ってもよい。したがって、本発明は、ここに開示した特定の代表的な実施態様に限定されるのではない、と意図するものである。


Claims (21)

  1. 一般式(1)のメルカプト官能性シラン:
    [HSGSiZθβ[HSGSiZβ [HSGSiZβ X][HSGSiZβ (1)
    式中:
    、G、G、およびGの各々は、独立して、1から6までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であり;
    Xの各々は、RO−、RC(=O)O−、−R、および(HO)d−1O−からなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、水素、直鎖、環状または分岐のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは、1から18の炭素原子を有し、Gは、独立して、2から15までの炭素原子の炭化水素基であり;
    βの各々は、[−OG(OH)d−2O−]0.5であり、これはケイ素原子に結合している架橋ジアルコキシ基の半分を指し、かつ架橋ジアルコキシ基の他方の半分[−OG (OH) d−2 O−] 0.5 は全分子構造において他のどこかに存在する別のケイ素原子に結合し、そしてそれらジアルコキシ基が一緒になって二つのケイ素原子の間に架橋構造を形成し、ここで、Gの各々は、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基からなる群から独立して選択され;
    θの各々は、独立して−OG (OH) d−2 O−であり、ジアルコキシ基の2つの酸素原子によってケイ素原子に結合するジアルコキシ基であり、かつケイ素原子をもつ環状構造を形成、ここで、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基からなる群から独立して選択され;
    下付文字d、m、n、o、およびpの各々は、独立して整数であり、ここで、dは2もしくは3であり;mは0から20であり;nは0から18であり;oは0から20であり;そして、pは0から20であり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である。
  2. 、G、G、およびGの各々が、独立して、1から3までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であり;
    βの各々が、独立して[−O(RCRO−]0.5であり、これはケイ素原子に結合している架橋ジアルコキシ基の半分を指し、かつ架橋ジアルコキシ基の他方の半分[−O(R CR O−] 0.5 は全分子構造において他のどこかに存在する別のケイ素原子に結合し、そしてそれらジアルコキシ基が一緒になって二つのケイ素原子の間に架橋構造を形成し、ここで、Rの各々は、水素ならびに1から3までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基より選択され、そしてfは2から4までの整数であり;
    θの各々が、独立して、−O(RCRO−であり、ジアルコキシ基の2つの酸素原子によってケイ素原子に結合するジアルコキシ基であり、かつケイ素原子をもつ環状構造を形成し、ここで、Rの各々は、水素ならびに1から3までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基より選択され、そしてfは2から4までの整数であり;
    Xの各々が、独立して、−ORであり、ここで、Rの各々は、18までの炭素原子を有する、直鎖、環状および分岐のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立して選択され;そして、
    m、n、o、およびpの各々が、独立して整数であり、ここで、mは0から5までであり、nは具体的には0から4までであり、oは0から5までであり、そしてpは0から5までであり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である、請求項1に記載のメルカプト官能性シラン。
  3. の各々が、独立して、水素、または1もしくは2の炭素原子の直鎖のアルキル基であり、fが2から3であり;そして、mが0から2であり、nが0から2であり、oが0から2であり、そしてpが0から2であり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である、請求項2に記載のメルカプト官能性シラン。
  4. 、G、G、およびGの各々が、独立して、3の炭素原子であり、Rの各々が、独立して、水素、または1もしくは2の炭素原子の直鎖のアルキル基であり、そしてfが2または3であり;そして、mが0または1であり、nが1または2であり、oが1または2であり、そしてpが0または1であり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である、請求項3に記載のメルカプト官能性シラン。
  5. 、G、G、およびGの各々が、独立して、1から6までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であり;
    Xの各々が、RO−、−R、およびHO(CR O−からなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、水素およびC〜Cアルキルからなる群から独立して選択され、そして各々のRは水素、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より独立して選択され;
    βの各々が、独立して[−O(RCRO−]0.5 でありこれはケイ素原子に結合している架橋ジアルコキシ基の半分を指し、かつ架橋ジアルコキシ基の他方の半分[−O(R CR O−] 0.5 は全分子構造において他のどこかに存在する別のケイ素原子に結合し、そしてそれらジアルコキシ基が一緒になって二つのケイ素原子の間に架橋構造を形成し、ここで、Rの各々は、水素、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より独立して選択され;
    θの各々が、独立して−O(RCRO−であり、ジアルコキシ基の2つの酸素原子によってケイ素原子に結合するジアルコキシ基であり、かつケイ素原子をもつ環状構造を形成し、ここで、Rの各々は、水素、メチル、エチルおよびプロピルからなる群より独立して選択され;そして、
    下付文字f、m、n、o、およびpの各々が、独立して整数であり、fが2から4までであり、mが0から5までであり、nが0から4までであり、oが0から5までであり、そしてpが0から5までであり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である、
    請求項1に記載のメルカプト官能性シラン。
  6. fが2もしくは3であり、mが0から5であり、nが0から4であり、oが0から5であり、そしてpが0から5であり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である、請求項5に記載のメルカプト官能性シラン。
  7. fが3であり、mが1または2であり、nが1または2であり、oが1または2であり、そしてpが0から2であり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である、請求項6に記載のメルカプト官能性シラン。
  8. 3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−1−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1,1−ジメチル−ブトキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−1−チオール;3−({3−[2−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−イルオキシ]2−メチル−プロポキシ}−ビス−[3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ]−シラニル)−プロパン−1−チオール;3−[{3−[{3−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−1−メチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール;3−[[3−((3−ヒドロキシ−3−メチル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1−メチル−プロポキシ}−シラニルオキシ)−2−メチル−プロポキシ−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチルプロパン−1−オール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−ブチル)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−プロポキシ}−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−ブタン−1−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−フェニル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−3−ベンゼン−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−シクロヘキシル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1,1−ジメチル−ブトキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−シクロヘキサン−1−チオール);3−({3−[2−メルカプト−メチル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−ジエトキシ]−シラニル)−メタン−1−チオール;3−[{3−[{3−ビス−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2,2−ジメチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2,2−ジメチル−プロパン−1−オール;3−[[3−((3−ヒドロキシ−3−フェニル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−フェニル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−フェニル−1−プロポキシ}−シラニルオキシ)−2−フェニル−プロポキシ−(3−ヒドロキシ−2−フェニル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−フェニルプロパン−1−オール;3−[{3−[(メチル)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−メチル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オールからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載のメルカプト官能性シラン。
  9. メルカプト官能性シランを調製するプロセスであって:
    a)一般式(2)、(3)、(4)、および(5)からなる群から選択される少なくとも一つのメルカプト官能性シラン:
    (HS)−G−(SiX ) (2)
    (HS)−G−(SiX ) (3)
    (HS)−G−(SiX ) (4)
    (HS)−G−(SiX ) (5)
    〔式中:
    、G、G、およびGの各々は、独立して、1から6までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であり;
    の各々は、RO−、RC(=O)O−、−Rからなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、水素、または直鎖、環状または分岐のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立して選択され、ここで、各々は18までの炭素原子を有し、ただし、少なくとも一つのXは加水分解性基である、という条件である〕
    と、
    b)一般式(6)の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物:
    (OH) (6)
    〔式中、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基であり、そしてdは2から3までの整数である;〕
    とをエステル交換反応条件下で反応させ、これにより一般式(1)のメルカプト官能性シランを得ることを含有する、メルカプト官能性シランを調製するプロセス:
    [HSGSiZθβ[HSGSiZβ [HSGSiZβ X][HSGSiZβ (1)
    〔式中:
    、G、G、およびGの各々は、独立して、1から6までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であり;
    Xの各々は、RO−、RC(=O)O−、−R、(HO)d−1O−からなる群から独立して選択され、ここで、各々のRは、水素、不飽和を有しても、または有さなくてもよい、直鎖、環状または分岐のアルキル、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基からなる群から独立して選択され、ここで、水素以外の各々のRは、1から18までの炭素原子を有し、Gは、独立して2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基であり;
    βの各々は[−OG(OH)d−2O−]0.5であり、これはケイ素原子に結合している架橋ジアルコキシ基の半分を指し、かつ架橋ジアルコキシ基の他方の半分[−OG (OH) d−2 O−] 0.5 は全分子構造において他のどこかに存在する別のケイ素原子に結合し、そしてそれらジアルコキシ基が一緒になって二つのケイ素原子の間に架橋構造を形成し、ここで、Gの各々は、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基からなる群から独立して選択され;
    θの各々は独立して−OG(OH)d−2O−であり、−OG (OH) d−2 O−基の2つの酸素原子によってケイ素原子に結合するジアルコキシ基であり、かつケイ素原子をもつ環状構造を形成し、ここで、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基からなる群から独立して選択され;
    下付文字d、m、n、o、およびpの各々は、独立して整数であり、dは2もしくは3であり;mは0から20であり;nは0から18であり;oは0から20であり;そして、pは0から20であり;ただし、下付文字m、n、oおよびpの合計は2と等しいかもしくはそれ以上である、という条件である。〕
  10. 式(2)、(3)、(4)、および/または(5)のメルカプト官能性シランが、一般式(7)から(10)からなる群から選択される少なくとも一つのトリアルコキシシランである、請求項9に記載のプロセス:
    (HS)−G−(SiOR) (7)
    (HS)−G−(SiOR) (8)
    (HS)−G−(SiOR) (9)
    (HS)−G−(SiOR) (10)
    〔式中、
    、G、G、およびGの各々は、独立してアルキル、アルケニル、アリール、またはアラルキルの水素の置換によって誘導される、1から3までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキルであり;そして、
    各々のRは、水素、直鎖、環状および分岐のアルキル、アルケニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立して選択され、水素以外のRは1から18までの炭素原子を有する。〕
  11. 各々のRが、独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、またはsec−ブチル基である、請求項10に記載のプロセス。
  12. メルカプト官能性シラン(1)が、二量体、オリゴマーまたは重合体であり、ここで各シラン単位が、選択されたメルカプト官能性シラン単量体と、一般式(11)の一つもしくはそれ以上のポリヒドロキシ含有化合物との反応によって生成する架橋基を介在して近接するシラン単位に結合される、請求項9に記載のプロセス:
    (OH) (11)
    式中、Gは、2から15までの炭素原子のヒドロカルビレン基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の二価のヘテロ炭素基であり、そしてdは2から3までの整数である。
  13. ポリヒドロキシ含有化合物(11)が、一般式(12)および(13)の少なくとも一つのジオールである、請求項12に記載のプロセス:
    HO(RCROH (12)
    HO(CR CR O)H (13)
    式中、Rは、水素および1から3までの炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基より独立して選択され、fは2から15であり、そしてeは2から7である。
  14. ジオールが、HOCHCHOH、HOCHCHCHOH、HOCHCHCHCHOH、HOCHCH(CH)CHOH、(CHC(OH)CHCH(OH)CH、CHCH(OH)CHCHOH、HOCHCHOCHCHOH、HOCHCHCHOCHCHCHOH、HOCHCH(CH)OCHCH(CH)OH、HOCHCHOCHCHOCHCHOH、式(11)のジオール、または式(12)のジオールからなる群から選択される少なくとも一つの構成要素であり、ここで、Rは、水素またはメチルであり、そしてeは3から7である、請求項13に記載のプロセス。
  15. ポリヒドロキシ含有化合物(11)が、式(14)に一致する、請求項12に記載のプロセス:
    (OH) (14)
    式中、Gは、2から15までの炭素原子の置換ヒドロカルビル基、または一つもしくはそれ以上のエーテル性酸素原子を有する4から15までの炭素原子の置換ヘテロ炭素であり;そして、dは3である。
  16. ポリヒドロキシ含有化合物(14)が、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、および1,2,6−ヘキサントリオールからなる群から選択される少なくとも一つの構成要素である、請求項15に記載のプロセス。
  17. 生成物であるメルカプト官能性シラン(1)が、3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−1−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1,1−ジメチル−ブトキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−プロパン−1−チオール;3−({3−[2−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−ビス−[3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ]−シラニル)−プロパン−1−チオール;3−[{3−[{3−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−1−メチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オール;3−[[3−((3−ヒドロキシ−3−メチル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1−メチル−プロポキシ}−シラニルオキシ)−2−メチル−プロポキシ−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−メチルプロパン−1−オール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−ブチル)−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−プロポキシ}−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル−ブタン−1−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−フェニル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−3−ベンゼン−チオール;3−(2−{3−[2−(3−メルカプト−シクロヘキシル)−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−1,1−ジメチル−ブトキシ}−4,4,6−トリメチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イル)−シクロヘキサン−1−チオール);3−({3−[2−メルカプト−メチル)−5−メチル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−ジエトキシ]−シラニル)−メタン−1−チオール;3−[{3−[{3−ビス−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロピル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2,2−ジメチル−プロポキシ}−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2,2−ジメチル−プロパン−1−オール;3−[[3−((3−ヒドロキシ−3−フェニル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−{3−[2−(3−メルカプト−プロピル)−5−フェニル−[1,3,2]ジオキサシリナン−2−イルオキシ]−2−フェニル−1−プロポキシ}−シラニルオキシ)−2−フェニル−プロポキシ−(3−ヒドロキシ−2−フェニル−プロポキシ)−3−メルカプト−プロピル)−シラニル]−2−フェニルプロパン−1−オール;および3−[{3−[(メチル)−(3−ヒドロキシ−2−メチル−プロポキシ)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロポキシ}−メチル)−(3−メルカプト−プロピル)−シラニルオキシ]−2−メチル−プロパン−1−オールからなる群から選択される少なくとも一つの構成要素である、請求項9のプロセス。
  18. 前記シランが、微粒子と混合して存在するか、および/または微粒子に化学的に結合されている、請求項1に記載の式(1)のメルカプト官能性シランと微粒子とから主になる、自由流動性微粒子。
  19. 前記微粒子が、金属酸化物、シリカ質の物質およびカーボンブラックからなる群から選択される少なくとも一つの構成要素である、請求項18に記載の自由流動性微粒子。
  20. 前記金属酸化物が、シリカ、チタンおよびアルミナからなる群から選択される少なくとも一つの構成要素であり;そして、前記シリカ質の物質が、アルミノケイ酸塩、粘土およびタルクからなる群の少なくとも一つの構成要素である、請求項19に記載の自由流動微粒子。
  21. 前記微粒子が、シリカとカーボンブラックとの混合物、およびシリカとアルミナとの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの構成要素である、請求項19に記載の自由流動微粒子。
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