JP5193321B2 - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、並びに、レリーフ印刷版及びその製版方法 - Google Patents
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Description
また、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版としては、特許文献1〜3に記載されたものが知られている。
<1> (成分A)式(I)で表される基、及び、式(II)で表される基を有し、かつ、数平均分子量が5,000以上50万以下である樹脂を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物、
<3> 前記成分A中の式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比((I)/(II))が0.3以上1.5以下である、<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<4> 前記成分A中の式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比((I)/(II))が0.4以上1.0以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<5> 前記成分Aが、カーボネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエステル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<6> (成分B)シリカ粒子を更に含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<7> 前記成分Bの数平均粒子径が0.01μm以上10μm以下である、<6>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<8> (成分C)アルコール交換反応触媒を更に含有する、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<9> (成分D)ラジカル重合開始剤を更に含有する、<1>〜<8>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<10> (成分E)重量平均分子量が5,000未満の重合性不飽和基を有する化合物を更に含有する、<1>〜<9>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<11> (成分F)重量平均分子量が5,000未満の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を更に含有する、<1>〜<10>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<12> (成分G)700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を更に含有する、<1>〜<11>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<13> 支持体上に、<1>〜<12>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<14> 前記レリーフ形成層が光及び/又は熱により架橋されている、<13>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<15> 前記レリーフ形成層が熱により架橋されている、<13>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、
<16> (1)<1>〜<12>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレーザー彫刻用樹脂組成物層を形成する工程、(2)該レーザー彫刻用樹脂組成物層を光及び/又は熱により架橋して、架橋されたレリーフ形成層を形成する工程、及び、(3)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、をこの順に有することを特徴とするレリーフ印刷版の製版方法、
<17> 前記工程(2)が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である、<16>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<18> <16>又は<17>に記載の製版方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版、
<19> 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である、<18>に記載のレリーフ印刷版。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、下記式(I)で表される基、及び、下記式(II)で表される基を有し、かつ、数平均分子量が5,000以上50万以下である樹脂を含有することを特徴とする。
また、本発明において、「(メタ)アクリル基」は、アクリル基及び/又はメタクリル基を意味する。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸等についても同様である。
中でも、適切な支持体上に設けられるレリーフ形成層の形成に適用することが好ましい態様である。
成分A中に式(I)で表される基(アクリレート基、又は、メタクリレート基)が存在することによって、重合性不飽和二重結合による架橋と、式(II)で表される基が有する加水分解性シラノール基との架橋の双方が形成され、高い架橋密度が得られる。その結果、膜物性が向上し、耐剥離性が向上するとともに、リンス性も向上すると考えられる。
また、後述するように、成分Aにおいて、ポリマー化した後に式(I)で表される基、及び、式(II)で表される基を導入可能であり、ポリウレタンやポリエステルなどのように重合時に水酸基を有する単量体を使用する場合や、酸性又は塩基性官能基を有する単量体と共重合させるような場合であっても、容易に式(I)で表される基及び式(II)で表される基を導入することができる。
以下、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物に含有される成分について説明する。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分A)式(I)で表される基、及び、式(II)で表される基を有し、かつ、数平均分子量が5,000以上50万以下である樹脂(バインダーポリマー)(以下、成分Aともいう。)を含有する。
前記式(II)中、Xは、−S−又は−N(R0)−を表し、R0は水素原子又はアルキル基を表す。R0が表すアルキル基は、炭素数1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4であることがより好ましく、炭素数1〜3であることが更に好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。R0は、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
前記Xは、−S−又は−NH−であることが好ましく、−S−であることが最も好ましい。
R3がアルコキシ基である場合、炭素数1〜15のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが更に好ましく、エトキシ基又はメトキシ基であることが特に好ましい。
R3がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としてはF原子、Cl原子、Br原子、I原子が例示されるが、Cl原子又はBr原子であることが好ましく、Cl原子であることがより好ましい。
R3がアルキル基である場合、R3は炭素数1〜30のアルキル基であり、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが更に好ましい。
R3のうち、少なくとも1つはアルコキシ基又はハロゲン原子であり、少なくとも2つがアルコキシ基又はハロゲン原子であることが好ましく、3つがアルコキシ基又はハロゲン原子であることが更に好ましく、3つがアルコキシ基であることが最も好ましい。すなわち、−Si(R3)3は、トリアルコキシシリル基であることが特に好ましい。
数平均分子量は、5,000以上30万以下であることが好ましく、15,000以上20万以下であることがより好ましく、3万以上10万以下であることが更に好ましい。
なお、本発明における数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
なお、カーボネート樹脂とはカーボネート結合を有する樹脂であり、ウレタン樹脂とはウレタン結合を有する樹脂であり、アクリル樹脂とは(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する単量体単位を有する樹脂であり、エステル樹脂とはエステル結合を有する樹脂である。
前記官能基平均数比((I)/(II))は、0.3以上1.5以下であることがより好ましく、0.4以上1.0以下であることが更に好ましい。
官能基平均数比は、式(I)で表される基に対して、付加反応させる化合物の量を制御することにより調整することができる。
変換率={1−(変換後重合性不飽和基の平均数/変換前重合性不飽和基の平均数)}×100
また、官能基平均数比((I)/(II))は、以下の式で与えられる。
官能基平均数比((I)/(II))=変換後重合性不飽和基の平均数/(変換前重合性不飽和基の平均数−変換後重合性不飽和基の平均数)
また、本発明において、式(I)で表される基を式(II)で表される基に変換するために使用される前記アミン類としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業(株))、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903、信越化学工業(株))、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602、信越化学工業(株))、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−603、信越化学工業(株))、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−603、信越化学工業(株))が例示できる。
これらの化合物の末端のヒドロキシ基に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。更に、末端のヒドロキシ基又はイソシアナト基を、式(I)で表される基を導入するために用いることもできる。
シロキサン結合とはケイ素(Si)と酸素(O)とが交互に結合した分子構造を意味する。
前記シロキサン結合を有する樹脂における主鎖及び/又は側鎖は、下記平均組成式(1)で表されるシリコーン化合物を含むことが好ましい。
RpQrXsSiO(4-p-r-s)/2 (1)
式(1)中、Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはアリール基で置換された炭素数1〜30(置換前の炭素数)のアルキル基、ハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基又はその塩を含む一価の基、スルホ基又はその塩を含む一価の基、及び、ポリオキシアルキレン基よりなる群から選ばれた1種又は2種以上の炭化水素基を表し、
Q及びXはそれぞれ独立に、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはアリール基で置換された炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基又はその塩を含む一価の基、スルホ基又はその塩を含む一価の基、及び、ポリオキシアルキレン基よりなる群から選ばれた1種又は2種以上の炭化水素基を表し、p、r及びsは、0<p<4、0≦r<4、0≦s<4、及び、(p+r+s)<4を満たす数である。
シリコーンオイルとしてはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度のオルガノポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状シロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、及び、シリコーンゴムの環状シロキサン溶液、トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシケイ酸の環状シロキサン溶液、ステアロキシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーンなどが挙げられる。
これらシリコーンオイルの中でも、反応性を有するシリコーンオイルが好ましい。例としてモノアミン変性シリコーンオイル、ジアミン変性シリコーンオイル、特殊アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、脂環式エポキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、ハイドロジェン変性シリコーンオイル、アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ・アラルキル変性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイルシリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、側鎖アミノ・両末端メトキシ変性シリコーンオイル、ジオール変性シリコーンオイルが挙げられる。これら反応性を有するシリコーンオイルを用いることで、樹脂へのシロキサン結合の導入が容易となる。
シロキサン結合を樹脂の側鎖部分へ導入する場合、反応性を有するシリコーンオイルの中でも片末端変性シリコーンオイルや側鎖変性シリコーンオイルが好ましい。例えば、片末端ジオール変性シリコーンオイル、側鎖モノアミン変性シリコーンオイル、側鎖ジアミン変性シリコーンオイル、側鎖エポキシ変性シリコーンオイル、側鎖カルビノール変性シリコーンオイル、側鎖カルボキシ変性シリコーンオイル、側鎖アミノ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、側鎖エポキシポリエーテル変性シリコーンオイル、側鎖エポキシ・アラルキル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
反応性を有するシリコーンオイルの中でも、反応性、臭いや刺激性などの取扱い性の観点から、両末端カルビノール変性シリコーンオイルや片末端ジオール変性シリコーンオイルが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分B)シリカ粒子を含有することが好ましい。
本発明において、前記シリカ粒子は、数平均粒子径が、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。数平均粒子径が上記範囲であればべとつきを低減でき、印刷版原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。また、シリカ粒子は、多孔質微粒子又は無孔質超微粒子であることが好ましい。
成分Bの数平均粒子径は、0.01μm〜10μmであることが好ましく、0.5μm〜8μmであることがより好ましく、1μm〜5μmであることが更に好ましい。
ここで、粒子の数平均粒子径は、顕微鏡観察により測定した長径の値の平均値をいう。具体的には、顕微鏡の視野に少なくとも50個程度の粒子が入るように倍率を調整し、該粒子の長径を測長する。測長機能を有する顕微鏡を用いることが好ましいが、カメラを用いて撮影した写真を基に寸法を測ってもよい。
多孔質微粒子とは粒子中に細孔容積が0.1ml/g以上の微小細孔を有する微粒子、又は、微小な空隙を有する微粒子と定義する。多孔質微粒子を含有することでレリーフ形成層表面を所望の表面粗さにする際に加工が容易となる。該加工の例として切削、研削や研摩などが挙げられる。多孔質微粒子により所望の表面粗さにする際の加工中に生じるカスなどのべとつきが低減し、レリーフ形成層表面を精密に加工することが容易となる。
多孔質微粒子の数平均粒子径は0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上8μm以下、更に好ましくは1μm以上5μm以下である。数平均粒子径が上記範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
多孔質微粒子の球状度合を規定する指標として、真球度を定義する。本実施の形態における真球度とは、多孔質微粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値D1の、投影図形が完全に入る円の最小値D2の比(D1/D2)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。好ましい多孔質微粒子の真球度は0.5以上1.0以下、より好ましくは0.7以上1.0以下である。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。多孔質微粒子としては、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の多孔質微粒子の真球度が0.5以上である。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に前記D1及びD2を測定するが、写真をスキャナー等のデジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウェアを用いてデータ処理することが好ましい。
更に多孔質微粒子の表面をシランカップリンング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化又は疎水性化した粒子を用いることもできる。これらの多孔質微粒子は1種類もしくは2種類以上のものを選択できる。
本実施の形態における無孔質超微粒子とは、細孔容積が0.1ml/g未満の粒子と定義する。無孔質超微粒子の数平均粒子径は、1次粒子を対象とする数平均粒子径であり、10nm以上500nm以下が好ましい。より好ましくは10nm以上100nm以下である。この範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、レリーフ印刷版原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
成分Bの含有量が上記範囲内であると、印刷版原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくべとつきを低減できるので好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分C)アルコール交換反応触媒を含有することが好ましい。
アルコール交換反応触媒とは、成分Aにおける加水分解性シリル基と、ヒドロキシ基との反応を促進しうるものを表し、酸又は塩基触媒、及び、金属錯体触媒が好ましく例示できる。
具体的には、有機酸又は無機酸類としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸、ヘテロポリ酸、無機固体酸などが挙げられ、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、酢酸、が好ましく、熱架橋後の膜強度の観点から特に好ましくはメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、である。
第三級アミン類及びイミダゾール類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン類、トリブチルアミン類、トリペンチルアミン類、トリヘキシルアミン類、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン類、ジメチルブチルアミン類、ジメチルペンチルアミン類、ジメチルヘキシルアミン類、ジエチルプロピルアミン類、ジエチルブチルアミン類、ジエチルペンチルアミン類、ジエチルヘキシルアミン類、ジプロピルブチルアミン類、ジプロピルペンチルアミン類、ジプロピルヘキシルアミン類、ジブチルペンチルアミン類、ジブチルヘキシルアミン類、ジペンチルヘキシルアミン類、メチルジエチルアミン、メチルジプロピルアミン類、メチルジブチルアミン類、メチルジペンチルアミン類、メチルジヘキシルアミン類、エチルジプロピルアミン類、エチルジブチルアミン類、エチルジペンチルアミン類、エチルジヘキシルアミン類、プロピルジブチルアミン類、プロピルジペンチルアミン類、プロピルジヘキシルアミン類、ブチルジペンチルアミン類、ブチルジヘキシルアミン類、ペンチルジヘキシルアミン類、メチルエチルプロピルアミン類、メチルエチルブチルアミン類、メチルエチルヘキシルアミン類、メチルプロピルブチルアミン類、メチルプロピルヘキシルアミン類、エチルプロピルブチルアミン類、エチルブチルペンチルアミン類、エチルブチルヘキシルアミン類、プロピルブチルペンチルアミン類、プロピルブチルヘキシルアミン類、ブチルペンチルヘキシルアミン類、トリビニルアミン、トリアリルアミン、トリブテニルアミン類、トリペンテニルアミン類、トリヘキセニルアミン類、ジメチルビニルアミン、ジメチルアリルアミン、ジメチルブテニルアミン類、ジメチルペンテニルアミン類、ジエチルビニルアミン、ジエチルアリルアミン、ジエチルブテニルアミン類、ジエチルペンテニルアミン類、ジエチルヘキセニルアミン類、ジプロピルビニルアミン類、ジプロピルアリルアミン類、ジプロピルブテニルアミン類、メチルジビニルアミン、メチルジアリルアミン、メチルジブテニルアミン類、エチルジビニルアミン、エチルジアリルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロオクチルアミン、トリシクロペンテニルアミン、トリシクロヘキセニルアミン、トリシクロペンタジエニルアミン、トリシクロヘキサジエニルアミン類、ジメチルシクロペンチルアミン、ジエチルシクロペンチルアミン、ジプロピルシクロペンチルアミン類、ジブチルシクロペンチルアミン類、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ジプロピルシクロヘキシルアミン類、ジメチルシクロペンテニルアミン類、ジエチルシクロペンテニルアミン類、ジプロピルシクロペンテニルアミン類、ジメチルシクロヘキセニルアミン類、ジエチルシクロヘキセニルアミン類、ジプロピルシクロヘキセニルアミン類、メチルジシクロペンチルアミン、エチルジシクロペンチルアミン、プロピルシクロペンチルアミン類、メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、プロピルシクロヘキシルアミン類、メチルジシクロペンテニルアミン類、エチルジシクロペンテニルアミン類、プロピルジシクロペンテニルアミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルトルイジン類、N,N−ジメチルナフチルアミン類、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジエチルトルイジン類、N,N−ジエチルナフチルアミン類、N,N−ジプロピルアニリン類、N,N−ジプロピルベンジルアミン類、N,N−ジプロピルトルイジン類、N,N−ジプロピルナフチルアミン類、N,N−ジビニルアニリン、N,N−ジアリルアニリン、N,N−ジビニルトルイジン類、N,N−ジアリルアニリン、ジフェニルメチルアミン、ジフェニルエチルアミン、ジフェニルプロピルアミン類、ジベンジルメチルアミン、ジベンジルエチルアミン、ジベンジルシクロヘキシルアミン、ジベンジルビニルアミン、ジベンジルアリルアミン、ジトリルメチルアミン類、ジトリルエチルアミン類、ジトリルシクロヘキシルアミン類、ジトリルビニルアミン類、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリ(トリル)アミン類、トリナフチルアミン類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルトリレンジアミン類、N,N,N’,N’−テトラエチルトリレンジアミン類、N−メチルピロール、N−メチルピロリジン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピロール、N−メチルピロリジン、N−エチルイミダゾール、N,N′−ジエチルピペラジン、N−エチルピペリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、キノリン、キナゾリン、キヌクリジン、N−メチルピロリドン、N−メチルモルホリン、N−エチルピロリドン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルアニソール、N,N−ジエチルアニソール、N,N−ジメチルグリシン、N,N−ジエチルグリシン、N,N−ジメチルアラニン、N,N−ジエチルアラニン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノチオフェン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。熱架橋後の膜強度の観点から、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンが好ましく、特に好ましくは、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エンである。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分D)ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
ラジカル重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリーアミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリーヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリーオクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−ターシャリーブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
レーザー彫刻用樹脂組成物中の(成分D)ラジカル重合開始剤の含有量は、固形分全重量に対し0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量を0.01重量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ、架橋性レリーフ形成層の架橋が速やかに行われる。また、含有量を10重量%以下とすることで他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分E)重量平均分子量が5,000未満の重合性不飽和基を有する化合物(以下、成分Eともいう。)を含有することが好ましい。
成分Eは、成分Aとの希釈のし易さから数平均分子量は2,000未満が好ましく、低揮発性など取扱いの観点から100以上が好ましい。
本実施の形態において、成分Eの含有量は特に制限されないが、成分A100重量部に対して好ましくは20重量部以上300重量部以下であり、より好ましくは50重量部以上250重量部以下である。成分Eの含有量が20重量部以上であると、樹脂組成物の硬化物であるレリーフ印刷版原版及びレリーフ印刷版が十分な機械的強度が得られる傾向にあり、300重量部以下であると、樹脂組成物の硬化物であるレリーフ印刷版原版及びレリーフ印刷版の硬化収縮が低減される傾向にある。
該誘導体として、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基などを有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、フルオレン基などを有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、グリシジル基等を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化合物などが挙げられる。
1分子中の重合性不飽和基の数が上記範囲内であると、成分Aとの架橋性に優れる。
本発明のレリーフ彫刻用樹脂組成物は、(成分F)重量平均分子量が5,000未満の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物(以下、成分Fともいう。)を含有することが好ましい。
成分Fにおける「加水分解性シリル基」とは、加水分解性基を含むシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、ハロゲン基、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は下記式(1)で表されるものが好ましい。
R1〜R3が一価の有機基を表す場合の好ましい有機基としては、種々の有機溶媒への溶解性を付与できる観点から、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。
上記式(1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、特にアルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基である。
また、ハロゲン原子として、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子が挙げられ、より好ましくはCl原子である。
上記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、式(1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であるのが好ましい。特に3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
上記アリールオキシ基としては、具体的には、例えば、フェノキシ基などを挙げることができる。アリールオキシ基の結合したアリールオキシシリル基としては、例えば、トリフェノキシシリル基などのトリアリールオキシシリル基を挙げることができる。
上記特定構造を有する連結基を含む成分Fの代表的な合成方法を以下に示す。
スルフィド基を含む連結基を有する成分F(以下、適宜、スルフィド連結基含有成分Fと称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Fと硫化アルカリの反応、メルカプト基を有する成分Fとハロゲン化炭化水素の反応、メルカプト基を有する成分Fとハロゲン化炭化水素基を有する成分Fの反応、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Fとメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Fとメルカプタン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Fとメルカプト基を有する成分Fの反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とメルカプト基を有する成分Fの反応、ケトン類とメルカプト基を有する成分Fの反応、ジアゾニウム塩とメルカプト基を有する成分Fの反応、メルカプト基を有する成分Fとオキシラン類との反応、メルカプト基を有する成分Fとオキシラン基を有する成分Fの反応、メルカプタン類とオキシラン基を有する成分Fの反応、及び、メルカプト基を有する成分Fとアジリジン類との反応等から選択される合成法のいずれかにより合成される。
イミノ基を含む連結基を有する加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物(以下、適宜、イミノ連結基含有成分Fと称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する成分Fとハロゲン化炭化水素の反応、アミノ基を有する成分Fとハロゲン化炭化水素基を有する成分Fの反応、ハロゲン化炭化水素基を有する成分Fとアミン類の反応、アミノ基を有する成分Fとオキシラン類との反応、アミノ基を有する成分Fとオキシラン基を有する成分Fの反応、アミン類とオキシラン基を有する成分Fの反応、アミノ基を有する成分Fとアジリジン類との反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Fとアミン類の反応、エチレン性不飽和二重結合を有する成分Fとアミノ基を有する成分Fの反応、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とアミノ基を有する成分Fの反応、アセチレン性不飽和三重結合を有する化合物とアミノ基を有する成分Fの反応、イミン性不飽和二重結合を有する成分Fと有機アルカリ金属化合物の反応、イミン性不飽和二重結合を有する成分Fと有機アルカリ土類金属化合物の反応、及び、カルボニル化合物とアミノ基を有する成分Fの反応等から選択される合成法のいずれかにより合成される。
ウレイレン基を含む連結基を有する加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種を有する化合物(以下、適宜、ウレイレン連結基含有成分Fと称する。)の合成法は特には限定されないが、具体的には、例えば、アミノ基を有する成分Fとイソシアン酸エステル類の反応、アミノ基を有する成分Fとイソシアン酸エステルを有する成分Fの反応、及び、アミン類とイソシアン酸エステルを有する成分Fの反応等から選択される合成法のいずれかにより合成される。
(F−1)シランカップリング剤
以下、本発明における成分Fとして好適な(F−1)シランカップリング剤について説明する。
本発明においては、Si原子に、アルコキシ基又はハロゲン基が少なくとも1つ直接結合した官能基をシランカップリング基と呼び、このシランカップリング基を分子中に1つ以上有している化合物をシランカップリング剤と称する。シランカップリング基は、Si原子にアルコキシ基又はハロゲン原子が2つ以上直接結合したものが好ましく、3つ以上直接結合したものが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、成分Fにおける加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種、好ましくは、(F−1)シランカップリング剤におけるシランカップリング基が、成分A中の反応性官能基、例えば、水酸基(−OH)であれば、この水酸基とアルコール交換反応を起こし、架橋構造を形成する。その結果、バインダーポリマーの分子同士がシランカップリング剤を介して3次元的に架橋される。
本発明における好ましい態様である(F−1)シランカップリング剤においては、Si原子に直接結合している官能基として、アルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも1つ以上の官能基を有することが必須であり、化合物の取り扱いやすさの観点からは、アルコキシ基を有するものが好ましい。
ここで、アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましい。より好ましくは炭素数1〜15のアルコキシ基、特に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基である。
また、ハロゲン原子として、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、好ましくはCl原子及びBr原子が挙げられ、より好ましくはCl原子である。
シランカップリング基が2つ以上ある場合には、シランカップリング基同士が連結基で連結されていることが好ましい。連結基としては、ヘテロ原子や炭化水素などの置換基を有してもよい二価以上の有機基が挙げられ、彫刻感度が高い点ではヘテロ原子(N、S、O)を含む態様が好ましく、特に好ましくはS原子を含む連結基である。
このような観点からは、本発明におけるシランカップリング剤として、アルコキシ基としてメトキシ基又はエトキシ基、なかでも、メトキシ基がSi原子に結合したシランカップリング基を分子内に2個有し、且つ、これらシランカップリング基が、ヘテロ原子(特に好ましくはS原子)を含むアルキレン基を介して結合している化合物が好適である。より具体的には、スルフィド基を含む連結基を有するものが好ましい。
また、シランカップリング基同士を連結する連結基の他の好ましい態様として、オキシアルキレン基を有する連結基が挙げられる。連結基がオキシアルキレン基を含むことで、レーザー彫刻後の彫刻カスのリンス性が向上する。オキシアルキレン基としては、好ましくはオキシエチレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基が複数連結されたポリオキシエチレン鎖である。ポリオキシエチレン鎖におけるオキシエチレン基の総数としては、2〜50が好ましく、3〜30がより好ましく、4〜15が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物中に含まれる成分Fの含有量は、固形分換算で、0.1重量%〜80重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1重量%〜40重量%の範囲であり、最も好ましくは5重量%〜30重量%である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分G)700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤(以下、成分G、又は、単に「光熱変換剤」ともいう。)を含有することが好ましい。
即ち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)好ましく用いられる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースや高熱伝導性物質、を加えることがより好ましい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。高熱伝導性物質は、熱伝達を補助する目的で添加され、熱伝導性物質としては、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい導電性ポリマーとしては、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェンが挙げられる。
また、共増感剤を用いることで、レーザー彫刻用樹脂組成物を光硬化させる際の感度を更に向上させることができる。
更に、組成物の製造中又は保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが好ましい。
レーザー彫刻用樹脂組成物の着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
更に、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化皮膜の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、前記のような成分を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
本発明において「レリーフ形成層」とは、熱により硬化した層をいい、熱により架橋した層であることが好ましい。
レリーフ形成層は、前記本発明に係るレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層である。レーザー彫刻用樹脂組成物として架橋性樹脂組成物を用いると、架橋性のレリーフ形成層が得られる。本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版としては、成分Aによる架橋構造に加えて、更に、成分B、成分D、成分E、及び、成分Fを含有することで更なる架橋性の機能を付与したレリーフ形成層を有するものが好ましい。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に使用しうる支持体について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。スリーブ状とした場合の好ましい支持体については以下に詳述する。
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料は、レリーフ形成層が架橋された後において接着力を強固にするものであればよく、レリーフ形成層が架橋される前も接着力が強固であることが好ましい。ここで、接着力とは支持体/接着層間及び接着層/レリーフ形成層間の接着力の両者を意味する。
接着層/レリーフ形成層の接着力は、接着層/レリーフ形成層から接着層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層に使用しうる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。
レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、鹸化度60〜99モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物(レーザー彫刻用樹脂組成物)を調製し、このレリーフ形成層用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体表面や版胴上に、溶融押し出しする方法が挙げられる。また、支持体上に形成する場合には、レリーフ形成層用塗布液組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
レリーフ形成層をスリーブ状とする場合、当初からレリーフ形成層自体を円筒状に成形してもよく、また、まずシート状に成型したのち、円筒状支持体や版胴上に固定することで円筒状とすることもできる。円筒状支持体への固定方法には特に制限はなく、例えば、両面に接着層、粘着層などが形成された粘着テープによる固定、又は、接着剤層を介する固定などを行うことができる。
本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製版方法は、(1)本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を光(活性光線の照射)及び/又は熱(加熱)により架橋する工程、及び(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むことが好ましい。本発明のレリーフ印刷版原版を用いて、このような製版方法により、レリーフ層を有するレリーフ印刷版を製版することができる。本発明のレリーフ印刷版原版が、支持体を備える場合、このようなレリーフ層は、支持体表面に形成され、これを印刷装置に適用して印刷を行う。
工程(3): 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程(リンス工程)。
工程(4): 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程(乾燥工程)。
工程(5): 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程(後架橋工程)。
工程(1)レリーフ形成層の架橋において、光により架橋する工程と、熱により架橋する工程とが併用される場合には、これらの工程は、互いに同時工程でも別時工程としてもよい。
重合開始剤はラジカル発生剤であることが好ましく、該ラジカル発生剤は、ラジカルを発生するきっかけが光か熱かによって、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。
活性光線の照射は、レリーフ形成層全面に行うのが一般的である。活性光線としては可視光、紫外光又は電子線が挙げられるが、紫外光が最も一般的である。レリーフ形成層の支持体等、レリーフ形成層を固定化するための基材側を裏面とすれば、表面に活性光線を照射するだけでもよいが、用いられる支持体が活性光線を透過する透明なフィルムであれば、更に裏面からも活性光線を照射することも好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、架橋性レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
工程(1)が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加え得る。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤として使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
具体的には、架橋されたレリーフ形成層に対して形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。赤外レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、感光層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち彫刻がなされる。このとき、レリーフ形成層中の光熱変換剤によっても露光領域が発熱するため、この光熱変換剤により発生した熱もまた、この除去性を促進する。
レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
なかでも光熱変換剤の極大吸収波長に対応した赤外レーザーで彫刻する場合に、前述の光熱変換剤からの発熱が効率よく行われるために、より高感度かつシャープなレリーフ層が得られる。
彫刻に用いられる赤外レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましく用いられ、なかでも、以下に詳述するファイバー付き半導体赤外線レーザーが特に好ましく用いられる。
一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。ビーム径の制御は、結像レンズ、特定の光ファイバーを用いて行われる。ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため本発明における画像形成には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、本発明のレリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法に好適に使用しうるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本願出願人が提出した特願2008−15460号明細書、特願2008−58160号明細書に詳細に記載され、これを本発明に係るレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
GaAsのバンドギャップが室温で860nmであるため、860nm未満の領域では、一般的に、活性層がAlGaAs系のものが用いられる。一方、860nm以上では半導体活性層材料がInGaAs系のものが用いられる。一般にAlは酸化されやすいため、InGaAs系材料を活性層に持つ半導体レーザーの方がAlGaAs系より信頼性が高いため860nm〜1,200nmが好ましい。
更に実用的な半導体レーザーとしては、活性層材料のみならずクラッド材料の組成なども考慮すると、InGaAs系材料を活性層に持つ半導体レーザーでは、更に好ましい態様としては、波長が900nm〜1100nmの範囲において、より高出力で高信頼なものが得られやすい。従って波長900nm〜1100nmのInGaAs系の材料を活性層に持つファイバー付き半導体レーザーを用いることにより、本発明の効果である低コスト、高生産性を達成し易い。
安価で高生産で、且つ、画質の良好なレーザー彫刻レリーフ印刷システムを実現するためには、本発明に規定するようなレーザー彫刻用樹脂組成物を用いたレリーフ形成層を備えたレリーフ印刷版原版を用いるとともに、前記の如き特定波長の半導体レーザーであって、且つ、ファイバー付き半導体レーザーを用いることが好ましい。
彫刻表面にリンス工程(3)を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる工程(4)を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる工程(5)を追加してもよい。追加の架橋工程(5)(後架橋処理)を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
樹脂の平均分子量は、GPC法で求めた数平均分子量Mnを採用した。具体的には、樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて、分子量既知のポリスチレンで換算して求めた。高速GPC装置(日本国、東ソー(株)製、商標、HLC−8020)とポリスチレン充填カラム(商標:TSKgel GMHXL;日本国、東ソー(株)製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)で展開して測定した。カラムの温度は40℃に設定した。GPC装置に注入する試料としては、樹脂濃度が1wt%のTHF溶液を調製し、注入量10μlとした。また、検出器としては、樹脂紫外吸収検出器を使用し、モニター光として254nmの光を用いた。
成分Aの分子内に存在する重合性不飽和基の平均数は、未反応の低分子成分を液体クロマトグラフ法を用いて除去した後、核磁気共鳴スペクトル法(NMR法、Bruker Biospin社製、商標「Avance 600」)を用いて分子構造解析し求めた。例えば「1.7官能」とは、分子内に存在する重合性不飽和基の平均数が1.7個であることを意味する。
また、成分Aにおける前記式(I)で表される基の前記式(II)で表される基への変換率は
変換率=100−{(変換後重合性不飽和基の平均数/変換前重合性不飽和基の平均数)×100}
で定義される。したがって、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は
官能基平均数比(I)/(II)=変換後重合性不飽和基の平均数/(変換前重合性不飽和基の平均数−変換後重合性不飽和基の平均数)
で定義される。
印刷機のシリンダーとの内径を調整するために、内径152.905mm、外径175.187mm、幅1,000mmのクッションブリッジスリーブ(独、AKL社製、商標「OptiFlex−Cushion Bridge」、PU50)を用いた。それぞれクッションブリッジスリーブのASKER−C硬度はPU50は78であった。
樹脂の支持体として繊維強化プラスチック製スリーブ(独、AKL社製、商標「OptiFlex−Basic」)を用いた。内径は175.18mm、外径は175.88mm、幅1000mmであった。該支持体上にレーザー彫刻印刷原版用樹脂組成物をドクターブレードで塗工し、130℃で60分間保持し硬化させ印刷原版を得た。硬化後の印刷周長が560mmとなるように印刷原版の最外面を研削、研磨で調整した。ドクターブレードで調節し、印刷性評価用のレーザー彫刻印刷原版を作成した。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、レーザー照射による彫刻は、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。レーザー彫刻用印刷版原版を、炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
以下の項目でレリーフ印刷版の性能評価を行った。結果は、表1に併記した。
(5−1)彫刻深さ
レリーフ印刷版原版が有するレリーフ形成層をレーザー彫刻して得られたレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。彫刻深さが大きいことは、彫刻感度が高いことを意味する。結果は、表1に示した。
レーザー彫刻した版をpH9.8に調整したアルカリ水に浸漬し、彫刻部を歯ブラシ(ライオン社製、クリニカハブラシ フラット)で10回こすった。その後、光学顕微鏡でレリーフ層の表面におけるカスの有無を確認した。
カスがないものを◎、殆どないものを○、少し残存しているものを△、カスが除去できていないものを×とした。結果は、表1に示した。
得られたレリーフ印刷版を印刷機(ITM−4型、(株)伊予機械製作所製)にセットし、インクとして、水性インキ アクアSPZ16紅(東洋インキ製造(株)製)を希釈せずに用いて、印刷紙として、フルカラーフォームM 70(日本製紙(株)製、厚さ100μm)を用いて印刷を継続し、ハイライト1〜10%を印刷物で確認した。印刷されない網点が生じたところを刷了とし、刷了時までに印刷した紙の長さ(メートル)を指標とした。数値が大きいほど耐刷性に優れると評価する。
結果は、表1に示した。
上記耐刷性の評価において、印刷開始から500m及び1,000mにおける印刷物上のベタ部におけるインキの付着度合い(着肉性)を目視で比較した。
濃度ムラなく均一なものを○、ムラがあるものを×、○と×の中間の程度を○に近い順に○△、△、△×として、5段階で評価した。結果は、表1に示した。
レリーフ印刷版原版の膜の剥がれやすさを下記方法で評価した。該評価による剥離耐性が高いとレリーフ印刷版原版が外力を加えられた際に支持体又はクッション層から剥離することがなく、良好に取り扱うことができる。
剥離耐性は、テープ剥離試験による剥離面積として評価した。すなわち、レリーフ印刷版原版の塗布面をJIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。セロハンテープ(「CT24」、ニチバン(株)製)を用い、指の腹でフィルムに密着させた後、剥離した。判定は、剥離面積率(膜全面積に対する剥離面積の割合)で、○:<10%、△:10〜30%、×:>30%とした。結果は、表1に示した。
[製造例1]
温度計、撹拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに信越化学工業(株)製、両末端型カルビノール変性反応性シリコーンオイルである、「KF−6003」(数平均分子量5,100、OH価22.0)を413.72gとトリレンジイソシアナート11.05gを加え、80℃加温下で約3時間反応させた後、2−アクリロイルオキシイソシアネート4.99gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である樹脂を調製した。更に、エポミンSP−006(ポリエチレンイミン、(株)日本触媒製)0.03gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)4.9gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で2時間撹拌することで、(A)化合物(A−1)を得た。得られた化合物(A−1)及び(A−1)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率70%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.42であり、樹脂(A−1)の数平均分子量は21,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた2Lのセパラブルフラスコに旭化成(株)製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL T4672」(数平均分子量2,059、OH価54.5)1318gとトリレンジイソシアナート76.8gを加え、80℃加温下で約3時間反応させた後、2−アクリロイルオキシイソシアネート47.8gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である樹脂を調製した。更に、トリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)0.05gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)55gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で2時間撹拌することで、(A)化合物(A−2)を得た。得られた化合物(A−2)及び(A−2)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率80%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.25であり、樹脂(A−2)の数平均分子量は11,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2,082、OH価53.9)396.67gと、旭化成ケミカルズ(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTPA−100」(商標)(数平均分子量600、NCO23%、イソシアナト基平均数fn3.3)28.4gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて撹拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−アクリロイルオキシイソシアネート26.9gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である樹脂を調製した。更に、エポミンSP−006(ポリエチレンイミン、(株)日本触媒製)0.14gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)26.2gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で2時間撹拌することで、(A)化合物(A−3)を得た。得られた化合物(A−3)及び(A−3)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率70%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.42であり、樹脂(A−3)の数平均分子量は9,500であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた500mlのセパラブルフラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール160.01g入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。ジエチレングリコールモノメチルエーテル94.10g、メタクリル酸43.10g、V−601 1.84gの1−メトキシ−2−プロパノール160.01g溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。室温まで反応溶液を冷却した後、グリシジルメタクリレート80g、p−メトキシフェノール0.43g、テトラエチルアンモニウムブロミド2.17gを加え、再び90℃まで加熱し、8時間撹拌し、側鎖にメタクリル基を含有する樹脂を調製した。更に、DBU(ジアザビシクロウンデセン)0.31gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)58.9gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で5時間撹拌し、(A)化合物(A−4)を得た(1−メトキシ−2−プロパノール溶液)。得られた化合物(A−4)及び(A−4)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率60%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.66であり、樹脂(A−4)の数平均分子量は26,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた500mlのセパラブルフラスコに下記ジオ−ル化合物(1)26.0g(0.10モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート25.5g(0.102モル)、ジブチル錫ジラウリレート0.1gを添加し、100℃にて、8時間加熱撹拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミド100ml及びメチルアルコール200mlにて希釈し30分撹拌した。更に、DBU(ジアザビシクロウンデセン)0.05gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)13.7gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で5時間撹拌し、水で再沈殿し、乾燥した後、MEK(メチルエチルケトン)80gに溶解することで(A)化合物(A−5)(MEK溶液)を得た。得られた化合物(A−5)及び(A−5)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率70%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.42であり、樹脂(A−3)の数平均分子量は36,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2,082、OH価53.9)396.67gと、旭化成ケミカルズ(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTPA−100」(商標)(数平均分子量600、NCO23%、イソシアナト基平均数fn3.3)28.4gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて撹拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−アクリロイルオキシイソシアネート26.9gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である樹脂を調製した。更に、エポミンSP−006(ポリエチレンイミン、(株)日本触媒製)0.1gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)16.8gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で2時間撹拌することで、(A)化合物(A−6)を得た。得られた化合物(A−6)及び(A−6)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率45%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は1.2であり、樹脂(A−6)の数平均分子量は10,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに旭化成ケミカルズ(株)製ポリカーボネートジオール「PCDL T4672」(商標)(数平均分子量2,082、OH価53.9)396.67gと、旭化成ケミカルズ(株)製ヘキサメチレンジイソシアネート無黄変型ポリイソシアネート「デュラネートTPA−100」(商標)(数平均分子量600、NCO23%、イソシアナト基平均数fn3.3)28.4gを加え、40℃加温下で約1時間、80rpmにて撹拌させた後、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.2g添加し3時間反応させた。次に、2−アクリロイルオキシイソシアネート26.9gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である樹脂を調製した。更に、エポミンSP−006(ポリエチレンイミン、(株)日本触媒製)0.07gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)11.2gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で2時間撹拌することで、(A)化合物(A−7)を得た。得られた化合物(A−7)及び(A−7)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率30%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は2.3であり、樹脂(A−7)の数平均分子量は9,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた500mlのセパラブルフラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール160.01gを入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。ジエチレングリコールモノメチルエーテル94.10g、メタクリル酸43.10g、V−601 1.84gの1−メトキシ−2−プロパノール160.01g溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。室温まで反応溶液を冷却した後、グリシジルメタクリレート40g、p−メトキシフェノール0.22g、テトラエチルアンモニウムブロミド1.09gを加え、再び90℃まで加熱し、8時間撹拌し、側鎖にメタクリル基を含有する樹脂を調製した。更に、DBU(ジアザビシクロウンデセン)0.16gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)29.5gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で5時間撹拌することで、(A)化合物(A−8)を得た(1−メトキシ−2−プロパノール溶液)。得られた化合物(A−8)及び(A−8)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率60%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.66であり、樹脂(A−8)の数平均分子量は30,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた500mlのセパラブルフラスコに2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸8.2g(0.05モル)、前記ジオ−ル化合物(1)13.0g(0.05モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート25.5g(0.102モル)、ジブチル錫ジラウリレート0.1gを添加し、100℃にて、8時間加熱撹拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミド100ml及びメチルアルコール200mlにて希釈し30分撹拌した。更に、DBU(ジアザビシクロウンデセン)0.03gを入れ、KBM−803(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)6.9gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、室温下で5時間撹拌し、水で再沈殿し、乾燥した後、MEK66gに溶解することで(A)化合物(A−9)(MEK溶液)を得た。水で再沈殿することで(A)化合物(A−9)を得た。得られた化合物(A−9)及び(A−9)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率72%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.38であり、樹脂(A−9)の数平均分子量は33,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに信越化学工業(株)製、両末端型カルビノール変性反応性シリコーンオイルである、「KF−6003」(数平均分子量5,100、OH価22.0)を413.72gとトリレンジイソシアナート11.05gを加え、80℃加温下で約3時間反応させた後、2−アクリロイルオキシイソシアネート4.99gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である樹脂を調製した。更に、DBU(ジアザビシクロウンデセン)0.06gを入れ、KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)4.5gを室温下で30分かけて撹拌しながら滴下した。滴下後、70℃で4時間撹拌することで、(A)化合物(A−10)を得た。得られた化合物(A−10)及び(A−10)の前駆体の構造は、1H NMRにより同定した。このとき変換率70%、式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比(I)/(II)は0.42であり、樹脂(A−10)の数平均分子量は20,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた500mlのセパラブルフラスコにポリプロピレングリコール(平均分子量2,000)100.0g(0.05モル)をN,N−ジメチルアセトアミド300mlに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート9.6g(0.055モル)、ジブチル錫ジラウリレート0.2gを添加し、100℃にて、8時間加熱撹拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミド300ml及びメチルアルコール600mlにて希釈し30分撹拌した。これを水で再沈殿し、乾燥した後、MEK134gに溶解することで比較用化合物(AC−1)(MEK溶液)を得た。樹脂(AC−1)の数平均分子量は31,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた1Lのセパラブルフラスコに信越化学工業(株)製、両末端型カルビノール変性反応性シリコーンオイルである、「KF−6003」(数平均分子量5,100、OH価22.0)を413.72gとgとトリレンジイソシアナート11.05gを加え、80℃加温下で約3時間反応させた後、2−アクリロイルオキシイソシアネート4.99gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である比較用化合物化合物(AC−2)を得た。樹脂(AC−2)の数平均分子量は19,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた2Lのセパラブルフラスコに旭化成(株)製ポリカーボネートジオールである、商標「PCDL T4672」(数平均分子量2,059、OH価54.5)1318gとトリレンジイソシアナート76.8gを加え、80℃加温下で約3時間反応させた後、2−アクリロイルオキシイソシアネート47.8gを添加し、更に約3時間反応させて、末端がアクリル基である比較用化合物化合物(AC−3)を得た。樹脂(AC−3)の数平均分子量は10,000であった。
温度計、撹拌機、還流器を備えた500mlのセパラブルフラスコに、1−メトキシ−2−プロパノール130g入れ、窒素気流下、70℃まで加熱した。ジエチレングリコールモノメチルエーテル94.10g、KBM−503(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製)124.3g、V−601 1.84gの1−メトキシ−2−プロパノール130g溶液を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に2時間撹拌した。側鎖にアルコキシシリル基を含有する樹脂(AC−4)を調製した(1−メトキシ−2−プロパノール溶液)。樹脂(AC−4)の数平均分子量は56,000であった。
成分A:A−1 100部
成分B:商標「サイロスフェアC−1504」 15.4部
(富士シリシア化学(株)製、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5重量%、吸油量290ml/100g、添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。)
成分C:DBU(ジアザビシクロウンデセン) 0.5部
成分D:PBE 0.5部
(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂(株)製商標「パーブチルE」))
以上の成分を添加して25℃にて30分間撹拌し、液状の樹脂組成物を作製した後、前記の方法で支持体へ該樹脂組成物を成型することでレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分A:A−1 100部
成分B:商標「サイロスフェアC−1504」 15.4部
(富士シリシア化学(株)製、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5重量%、吸油量290ml/100g、添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。)
成分C:DBU(ジアザビシクロウンデセン) 0.5部
成分D:PBE 0.5部
(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、日本油脂(株)製、商標「パーブチルE」)
成分G:ケッチェンブラックEC600JD 10部
(カーボンブラック、ライオン(株)製、表1ではCB−1と表記する)
以上の成分を添加して25℃にて30分間撹拌し、液状の樹脂組成物を作製した後、前記の方法で支持体へ該樹脂組成物を成型することでレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分A:A−1 100部
成分B:商標「サイロスフェアC−1504」 15.4部
(富士シリシア化学(株)製、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5重量%、吸油量290ml/100g、添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。)
成分C:DBU(ジアザビシクロウンデセン) 0.5部
成分D:PBE 0.5部
(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、日本油脂(株)製、商標「パーブチルE」)
成分E:下記E−1 30部
成分G:ケッチェンブラックEC600JD 10部
(カーボンブラック、ライオン(株)製)
以上の成分を添加して25℃にて30分間撹拌し、液状の樹脂組成物を作製した後、前記の方法で支持体へ該樹脂組成物を成型することでレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分A:A−1 100部
成分B:商標「サイロスフェアC−1504」 15.4部
(富士シリシア化学(株)製、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5重量%、吸油量290ml/100g、添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。)
成分C:DBU(ジアザビシクロウンデセン) 0.5部
成分D:PBE 0.5部
(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、日本油脂(株)製、商標「パーブチルE」)
成分F:下記F−1 70部
成分G:ケッチェンブラックEC600JD 10部
(カーボンブラック、ライオン(株)製)
以上の成分を添加して25℃にて30分間撹拌し、液状の樹脂組成物を作製した後、前記の方法で支持体へ該樹脂組成物を成型することでレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分A:A−1 100部
成分B:商標「サイロスフェアC−1504」 15.4部
(富士シリシア化学(株)製、数平均粒子径4.5μm、比表面積520m2/g、平均細孔径12nm、細孔容積1.5ml/g、灼熱減量2.5重量%、吸油量290ml/100g、添加した多孔質球状シリカであるサイロスフェアC−1504の真球度は、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、ほぼ全ての粒子が0.9以上であった。)
成分C:DBU(ジアザビシクロウンデセン) 0.5部
成分D:PBE 0.5部
(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、日本油脂(株)製、商標「パーブチルE」)
成分E:下記E−1 30部
成分F:下記F−1 70部
成分G:ケッチェンブラックEC600JD 10部
(カーボンブラック、ライオン(株)製)
以上の成分を添加して25℃にて30分間撹拌し、液状の樹脂組成物を作製した後、前記の方法で支持体へ該樹脂組成物を成型することでレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−2を100部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−3を100部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−4(1−メトキシ−2−プロパノール溶液)を220部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−5(MEK溶液)を220部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−6を100部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−7を100部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−8(1−メトキシ−2−プロパノール溶液)を220部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−9(MEK溶液)を220部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aとして、A−10を100部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aの代わりに、AC−1(MEK溶液)を220部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aの代わりに、AC−2を100部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aの代わりに、AC−3を100部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aの代わりに、AC−4(1−メトキシ−2−プロパノール溶液)を220部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
成分Aの代わりに、AC−2を50部、及び、AC−4(1−メトキシ−2−プロパノール溶液)を110部使用した以外は実施例5と同様にしてレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を作製し、これに対してレーザー彫刻を行った。
前記の方法で各評価を行った結果を表1に示した。
Claims (19)
- 前記成分A中の式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比((I)/(II))が0.1以上4以下である、請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記成分A中の式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比((I)/(II))が0.3以上1.5以下である、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記成分A中の式(I)で表される基と式(II)で表される基の官能基平均数比((I)/(II))が0.4以上1.0以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記成分Aが、カーボネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエステル樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- (成分B)シリカ粒子を更に含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 前記成分Bの数平均粒子径が0.01μm以上10μm以下である、請求項6に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- (成分C)アルコール交換反応触媒を更に含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- (成分D)ラジカル重合開始剤を更に含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- (成分E)重量平均分子量が5,000未満の重合性不飽和基を有する化合物を更に含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- (成分F)重量平均分子量が5,000未満の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を更に含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- (成分G)700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
- 支持体上に、請求項1〜12のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を備えるレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- 前記レリーフ形成層が光及び/又は熱により架橋されている、請求項13に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- 前記レリーフ形成層が熱により架橋されている、請求項13に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
- (1)請求項1〜12のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレーザー彫刻用樹脂組成物層を形成する工程、
(2)該レーザー彫刻用樹脂組成物層を光及び/又は熱により架橋して、架橋されたレリーフ形成層を形成する工程、及び、
(3)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、をこの順に有することを特徴とする
レリーフ印刷版の製版方法。 - 前記工程(2)が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である、請求項16に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 請求項16又は17に記載の製版方法により製造された、レリーフ層を有するレリーフ印刷版。
- 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である、請求項18に記載のレリーフ印刷版。
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