JP2013230585A - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 - Google Patents

レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レリーフ層の強度、耐刷性及び有機溶剤耐性に優れたフレキソ印刷版が得られるレーザー彫刻用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(成分A)式(I)で表される部分構造を有する樹脂を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物。R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、L1はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、R1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、R6は水素原子又は一価の有機基を表し、pは0〜6の整数を表し、qは1又は2を表し、rは0〜6の整数を表し、p+q+rは3〜7の整数であり、波線部分は他の構造との結合位置を表す。
Figure 2013230585

【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法に関する。
レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。この方式では、フレキソ原版に直接レーザーを照射し、光熱変換によりレリーフ形成層に熱分解及び揮発を生じさせ、凹部を形成する。直彫りCTP方式は、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができる。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、又は、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をすることなども可能である。この方式に用いられるレーザーは高出力の炭酸ガスレーザーが用いられることが一般的である。炭酸ガスレーザーの場合、全ての有機化合物が照射エネルギーを吸収して熱に変換できる。一方、安価で小型の半導体レーザーが開発されてきているが、これらは可視及び近赤外光であるため、上記レーザー光を吸収して熱に変換することが必要となる。
また、特許文献1〜3には、特定の構造を有する樹脂の製造方法が記載されている。
特許第3639859号公報 特開2008−81738号公報 特開2005−226051号公報
本発明の目的は、レリーフ層の強度、耐刷性及び有機溶剤耐性に優れたフレキソ印刷版が得られるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の解決手段<1>、<6>〜<8>、<11>、<12>及び<14>〜<16>により解決された。好ましい実施形態である<2>〜<5>、<9>、<10>及び<13>と共に以下に記載する。
<1>(成分A)式(I)で表される部分構造を有する樹脂を含有することを特徴とするレーザー彫刻用樹脂組成物、
Figure 2013230585
(式中、R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、L1はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、R1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、R6は水素原子又は一価の有機基を表し、pは0〜6の整数を表し、qは1又は2を表し、rは0〜6の整数を表し、p+q+rは3〜7の整数であり、波線部分は他の構造との結合位置を表す。)
<2>上記式(I)表される部分構造が、ラクトン環を有する化合物とアミノ基を2以上有する化合物との開環反応により形成した構造である、上記<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<3>上記式(I)で表される部分構造が、下記式(II)で表される部分構造である、上記<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
Figure 2013230585
(式中、R1〜R5及びR7〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、L3は二価の連結基を表し、R1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、R7〜R11及びL2は2以上が結合して環を形成していてもよく、R6及びR12はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の有機基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、p1及びp2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、q1及びq2はそれぞれ独立に、1又は2を表し、r1及びr2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、p1+q1+r1は3〜7の整数であり、p2+q2+r2は3〜7の整数である。)
<4>(成分B)架橋剤を更に含有する、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<5>(成分C)光熱変換剤を更に含有する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物、
<6>上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<7>上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版、
<8>上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<9>上記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を更に含む、上記<8>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<10>上記架橋工程が、上記レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る工程である、上記<9>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法、
<11>上記<6>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層、又は、上記<7>に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版における架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程、を含むフレキソ印刷版の製版方法、
<12>上記<11>に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたレリーフ層を有するフレキソ印刷版、
<13>上記レリーフ層の厚さが、0.05mm以上10mm以下である、上記<12>に記載のフレキソ印刷版、
<14>上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物より形成されたレーザー彫刻用膜、
<15>上記<14>に記載のレーザー彫刻用膜を架橋したレーザー彫刻用架橋膜、
<16>上記<14>に記載のレーザー彫刻用膜、又は、上記<15>に記載のレーザー彫刻用架橋膜をレーザー彫刻して得られたパターン。
本発明によれば、レリーフ層の強度、耐刷性及び有機溶剤耐性に優れたフレキソ印刷版が得られるレーザー彫刻用樹脂組成物、上記レーザー彫刻用樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版原版及びその製造方法、並びに、フレキソ印刷版及びその製版方法を提供することができた。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
また、「(成分A)式(I)で表される部分構造を有する樹脂」等を単に「成分A」等ともいう。
「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等と同義であり、以下同様とする。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
(レーザー彫刻用樹脂組成物)
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、(成分A)式(I)で表される部分構造を有する樹脂を含有することを特徴とする。
Figure 2013230585
(式中、R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、L1はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、R1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、R6は水素原子又は一価の有機基を表し、pは0〜6の整数を表し、qは1又は2を表し、rは0〜6の整数を表し、p+q+rは3〜7の整数であり、波線部分は他の構造との結合位置を表す。)
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、レーザー彫刻が施されるフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層用途以外にも、特に限定なく、他の用途にも広範囲に適用することができる。例えば、以下に詳述する凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷版原版のレリーフ形成層のみならず、表面に凹凸や開口部を形成する他の材形、例えば、凹版、孔版、スタンプ等、レーザー彫刻により画像形成される各種印刷版や各種成形体の形成に適用することができる。
中でも、適切な支持体上に設けられるレリーフ形成層の形成に適用することが好ましい態様である。
なお、本明細書では、フレキソ印刷版原版の説明に関し、成分Aを含有し、レーザー彫刻に供する画像形成層としての、表面が平坦な層であり、かつ未架橋の架橋性層をレリーフ形成層と称し、上記レリーフ形成層を架橋した層を架橋レリーフ形成層と称し、これをレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層をレリーフ層と称する。
以下、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成成分について説明する。
(成分A)式(I)で表される部分構造を有する樹脂
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分A)上記式(I)で表される部分構造を有する樹脂を含有する。成分Aを含有することにより、レリーフ層の強度、耐刷性及び有機溶剤耐性に優れたフレキソ印刷版が得られる。
上記式(I)で表される部分構造は、ラクトン環を有する化合物とアミノ基を2以上有する化合物との開環反応により形成した構造であることが好ましい。上記態様であると、上記式(I)で表される部分構造を容易に形成することができる。
ラクトン環を有する化合物、及び、アミノ基を2以上有する化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。例えば、成分Aとしては、ラクトン環を有する樹脂とアミノ基を2以上有する化合物とを開環反応させて合成してもよいし、ラクトン環及びエチレン性不飽和結合を有する化合物とアミノ基を2以上有する化合物とを開環反応させて得た後、得られたエチレン性不飽和化合物を重合し合成してもよい。
また、ラクトン環を有する化合物、及び、アミノ基を2以上有する化合物はそれぞれ、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
また、成分Aが有する上記式(I)で表される部分構造の数は、2以上であることが好ましい。
上記式(I)におけるR1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、R6は水素原子又は一価の有機基を表す。
上記R1〜R6における一価の有機基の例としては、炭素数1〜20であることが好ましく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、−CORc(Rcはアルキル基又はアリール基を表す。)、−SO2Rd(Rdはアルキル基又はアリール基を表す。)又はそれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記一価の有機基におけるアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基を挙げることができる。置換基として、例えば、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
上記一価の有機基におけるアルキル基として、シクロアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、多環でもよく、環内に酸素原子を有していてもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などを挙げることができる。
上記一価の有機基におけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。
上記一価の有機基におけるアラルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基が挙げられる。
上記一価の有機基におけるアルコキシ基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基などが挙げられる。
上記一価の有機基におけるケイ素原子含有基は、ケイ素が含有されていれば特に制限されないが、シリルオキシ基(トリメチルシリルオキシ、トリエチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)が好ましい。
上記一価の有機基におけるアルケニル基は、上記アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。炭素数2〜12が好ましく、更に炭素数2〜6が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基が好ましい。
上記一価の有機基におけるアルキニル基は、上記アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基の任意の位置に3重結合を有する基が挙げられる。炭素数2〜12が好ましく、更に炭素数2〜6が好ましい。例えば、エチニル基、プロパルギル基が好ましい。
1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の有機基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
6は、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
1における二価の連結基は、上記R1〜R6における一価の有機基から水素原子を1つ除いた基が好ましく例示できる。
1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、例えば、R1〜R5及びL1は2以上が結合して脂肪族環を形成していることが好ましい。
pは0〜6の整数を表し、0〜4の整数であることが好ましい。
qは1又は2を表し、1であることが好ましい。
rは0〜6の整数を表し、0〜4の整数であることが好ましい。
p+q+rは3〜7の整数であり、3〜5の整数であることが好ましい。
p、q及びrが上記態様であると、レリーフ層の強度により優れ、また、上記式(I)で表される部分構造を容易に形成することができる。
また、上記式(I)で表される部分構造が、下記式(II)で表される部分構造であることが好ましい。
Figure 2013230585
(式中、R1〜R5及びR7〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、L3は二価の連結基を表し、R1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、R7〜R11及びL2は2以上が結合して環を形成していてもよく、R6及びR12はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の有機基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、p1及びp2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、q1及びq2はそれぞれ独立に、1又は2を表し、r1及びr2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、p1+q1+r1は3〜7の整数であり、p2+q2+r2は3〜7の整数である。)
式(II)のR1〜R12における一価の有機基は、式(I)のR1〜R6における一価の有機基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(II)のL1及びL2における二価の連結基は、式(I)のL1における二価の連結基と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(II)のR1〜R5及びR7〜R11はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の有機基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(II)のR6及びR12はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(II)のL1及びL2における二価の連結基はそれぞれ独立に、上記R1〜R12における一価の有機基から水素原子を1つ除いた基が好ましく例示できる。
式(II)のR1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、例えば、R1〜R5及びL1は2以上が結合して脂肪族環を形成していることが好ましい。
式(II)のR7〜R11及びL2は2以上が結合して環を形成していてもよく、例えば、R1〜R5及びL1は2以上が結合して脂肪族環を形成していることが好ましい。
式(II)のp1及びp2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、0〜4の整数であることが好ましい。
式(II)のq1及びq2はそれぞれ独立に、1又は2を表し、1であることが好ましい。
式(II)のr1及びr2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、0〜4の整数であることが好ましい。
式(II)のp1+q1+r1は3〜7の整数であり、3〜5の整数であることが好ましい。
式(II)のp2+q2+r2は3〜7の整数であり、3〜5の整数であることが好ましい。
p1、q1、r1、p2、q2及びr2が上記態様であると、レリーフ層の強度により優れ、また、上記式(II)で表される部分構造を容易に形成することができる。
式(II)のL3における二価の連結基は、アルキレン基(炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)、酸素原子、イオウ原子、二価のスルホン基、エステル結合、ケトン基、アミド基、及び、これらを2以上組み合わせた基などが挙げられる。アルキレン基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、ハロゲン原子、メトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。
これらの中でも、アルキレン基、又は、ポリアルキレンオキシアルキル基であることが好ましく、ポリアルキレンオキシアルキル基であることが特に好ましい。
また、成分Aは、下記式(III)で表される部分構造を有する樹脂であることが特に好ましい。
Figure 2013230585
(式(III)中、R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、tは2以上の整数を表す。)
また、式(III)におけるtは、2〜200の整数であることが好ましく、10〜100の整数であることがより好ましい。
上記式(I)表される部分構造を形成するラクトン環を有する化合物としては、ラクトン環を少なくとも1つ有している以外に特に制限はないが、下記に示すラクトン環を含む構造を有する化合物であることが好ましい。
上記ラクトン環を有する化合物におけるラクトン環を含む構造としては、5〜7員環のラクトン構造を含むことが好ましく、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環している構造を含むことがより好ましく、LC1−1〜LC1−17のいずれかで表されるラクトン環を含む構造であることが更に好ましい。また、ラクトン環を有する化合物におけるラクトン構造は、主鎖に直接結合していてもよい。中でも、ラクトン構造としてはLC1−1、LC1−4、LC1−5、LC1−6、LC1−13、LC1−14、又は、LC1−17が特に好ましい。上記態様であると、迅速な硬化が実現できる。
Figure 2013230585
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが好ましく挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、酸分解性基がより好ましく挙げられる。
2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb2)は、同一でも異なっていてもよく、また、複数存在する置換基(Rb2)同士が結合して環を形成してもよい。
上記ラクトン環を有する化合物は、ラクトン環を有するラジカル重合性モノマー又はその重合物(樹脂)が好ましく、ラクトン環を有するエチレン性不飽和化合物又はその重合物(樹脂)がより好ましい。
ラクトン環を有する樹脂としては、下記式(AII’)で表されるモノマー単位を含有することが好ましい。
Figure 2013230585
式(AII’)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。中でも、Rb0は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。Vは、LC1−1〜LC1−17よりなる群から選ばれたラクトン構造から水素原子を1つ除いた基を表す。
式(AII’)で表されるモノマー単位の具体例として、以下に示すモノマー単位が挙げられる。下記式中、Rxは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2013230585
Figure 2013230585
Figure 2013230585
上記具体例の中でも、特に好ましいモノマー単位としては、下記のモノマー単位が挙げられる。最適なラクトン基を選択することにより、膜強度、耐刷性が良好となる。なお、下記式中、Rxは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
Figure 2013230585
ラクトン環を有する化合物やラクトン環を有するモノマー単位は、通常、光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、95以上のものがより好ましい。
ラクトン環を有する樹脂における式(AII’)で表されるモノマー単位以外のラクトン環を有するモノマー単位の含有率は、複数種類含有する場合は合計して樹脂中の全モノマー単位に対し、15〜60mol%が好ましく、20〜50mol%がより好ましく、30〜50mol%が更に好ましい。
上記アミノ基を2以上有する化合物としては、アミノ基を2〜6つ有する化合物であることが好ましく、アミノ基を2〜5つ有する化合物であることがより好ましく、アミノ基を2つ有する化合物であることが特に好ましい。
また、上記アミノ基を2以上有する化合物におけるアミノ基は、無置換のアミノ基及び/又は1置換のアミノ基であることが好ましく、無置換のアミノ基であることがより好ましい。
また、上記アミノ基を2以上有する化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013230585
(式中、RAはそれぞれ独立に、水素原子又は一価の有機基を表し、RBは二価以上の連結基を表し、Lは2以上の整数を表す。)
Aにおける一価の有機基の例としては、炭素数1〜20であることが好ましく、具体的には、酸の作用により分解しアルカリ可溶性基を生じる基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ケイ素原子含有基、−CORc(Rcはアルキル基若しくはアリール基)、−SO2Rd(Rdはアルキル基、アリール基若しくはo−キノンジアジド基)、又は、それらを組み合わせた基などが挙げられる。中でも、RAは、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
Bは、脂肪族基を有する基、脂環基を有する基、芳香族基を有する基、ケイ素原子を含有する基などが挙げられる。成分A中に複数存在するRBは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Lは2以上の整数を表し、2〜6の整数であることが好ましく、2〜4の整数であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。上記態様であると、インキ着肉性により優れ、柔軟なレリーフ層が得られる。
Bについての脂肪族基を有する基としては、複数の脂肪族基が単結合又は二価の連結基を介して連結して、RBとしての脂肪族基を有する二価の基を形成していてもよく、アミノ基と脂肪族基とが二価の連結基を介して連結していてもよい。
上記二価の連結基としては、アルキレン基(炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)、酸素原子、イオウ原子、2価のスルホン基、エステル結合、ケトン基、アミド基などが挙げられる。アルキレン基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、ハロゲン原子、メトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。
Bについての脂肪族基多価アミン成分の具体例としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、ポリメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリアルキレンオキシ鎖を有するジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、2,5−ジメチルピペラジン、N,N’−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン、ピペラジンなどの脂肪族ポリアミン類が挙げられる。
膜の経時安定性、架橋膜柔軟性特性の観点から、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、p−キシレンジアミン、ポリメチレンジアミン、ポリアルキレンオキシ鎖を有するジアミンが特に好ましい。
Bの脂環基を有する基としては、炭素数3〜20の二価の脂環基が好ましく、シクロペンチレンル基、シクロヘキシレンル基などの単環のシクロアルキレンル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチレン基、ノルボルニレンル基、テトラシクロデカニレンル基、テトラシクロドデカニレンル基、アダマンチレンル基などの多環のシクロアルキレンル基などを挙げることができる。
Bについての脂環基を有する二価の基としては、上記脂環基そのものであってもよいが、複数の脂環基がアルキレン基(炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)で連結して、RBとしての脂環基を有する2価の基を形成していてもよく、ジアミン成分中のアミノ基と脂環基とがアルキレン基で連結していてもよい。
脂環基を有する二価の基を構成し得る上記脂環基、アルキレン基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、ハロゲン原子などが挙げられる。
弾性率特性の観点から、特に好ましいRBを核とする脂環基構造をもつジアミン成分としては、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン成分、cis−1,4−シクロヘキサンジアミン成分、trans−1,4−シクロヘキサンジアミン成分、1,4−シクロヘキサンジアミン成分(cis、trans混合物)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)成分及びその3,3’−ジメチル置換体、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン成分、1,3−ジアミノアダマンタン成分、3,3’−ジアミノ−1,1’−ビアダマンチル成分テル、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(シクロヘキシルアミン)成分が挙げられる。
Bの芳香族基を有する基としては、炭素数5〜16の芳香族基であることが好ましく、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。また、上記芳香族基は窒素原子、酸素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよく、例えば、二価のベンゾオキサゾール基などが挙げられる。
Bについての芳香族基を有する二価の基としては上記芳香族基そのものであってもよいが、複数の芳香族基が単結合ないしは二価の連結基を介して連結して、RBとしての芳香族基を有する二価の基を形成していてもよく、ジアミン成分中のアミノ基と芳香族基とが二価の連結基を介して連結していてもよい。
上記二価の連結基としては、アルキレン基(炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基など)、酸素原子、イオウ原子、二価のスルホン基、エステル結合、ケトン基、アミド基、及び、これらを2以上結合した基などが挙げられる。
芳香族基を有する二価の基を構成し得る上記芳香族基、アルキレン基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としてアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、ハロゲン原子、メトキシ基などのアルコキシ基、シアノ基、フェニル基などのアリール基などが挙げられる。
Bを核とする芳香族ジアミン成分の具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン成分、p−フェニレンジアミン成分、2,4−トリレンジアミン成分、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル成分、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン成分、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン成分、3,3’−ジアミノジフェニルメタン成分、4,4’−ジアミノジフェニルメタン成分、3,4’−ジアミノジフェニルメタン成分、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド成分、3,3’−ジアミノジフェニルケトン成分、4,4’−ジアミノジフェニルケトン成分、3,4’−ジアミノジフェニルケトン成分、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン成分、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン成分、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン成分、1,4−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン成分、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン成分、1,5−ジアミノナフタレン成分、2,6−ジアミノナフタレン成分、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン成分、5(又は6)−アミノ−1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン成分、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド成分、4,4’−ジアミノアゾベンゼン成分、4,4’−ジアミノジフェニル尿素成分、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル成分、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン成分、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン成分、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン成分、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン成分、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン成分、4,4’−ビス[4−(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノビフェニル成分、4,4’−ジアミノベンゾフェノン成分、フェニルインダンジアミン成分、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル成分、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分、o−トルイジンスルホン成分、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン成分、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン成分、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド成分、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン成分、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン成分、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン成分、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノベンズアニリド成分、4−アミノフェニル−4’−アミノフェニルベンゾエート成分、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート成分、2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール−5−イルアミン、4,4”−ジアミノ−p−ターフェニル成分等、及びこれら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基又は原子によって置換された構造が挙げられる。
特に好ましい芳香族ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン成分、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル成分、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン成分、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン成分、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン成分、4,4’−ジアミノビフェニル成分、4,4’−ジアミノベンゾフェノン成分、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル成分、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル成分、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン成分、o−トルイジンスルホン成分、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン成分、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン成分、4,4’−ジ(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノベンズアニリド成分、4−アミノフェニル−4’−アミノフェニルベンゾエート成分、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール−5−イルアミン成分、4,4”−ジアミノ−p−ターフェニル成分が挙げられる。上記態様であると、良好な靭性を有し、応力が低い性の膜が得られる。
また、上記ジアミン成分には水酸基が置換されていてもよい。このようなビスアミノフェノール成分としては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン成分、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン成分、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン成分、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン成分、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン成分、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン成分、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル成分、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル成分、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン成分、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン成分、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン成分などが挙げられる。これらのビスアミノフェノール成分は単独あるいは混合して使用してもよい。
また、RBを核とするジアミン成分としてシリコーンジアミン成分とすることができる。この例としては、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン成分、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサン成分、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン成分、ビス(γ−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン成分、1,4−ビス(γ−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン成分、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン成分、ビス(γ−アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン成分等が挙げられる。
シリコーンジアミン成分として、下記式(1−1)で表される構造も挙げることができる。
Figure 2013230585
上記式(1−1)において、RA5及びRA6は二価の有機基を表し、RA7及びRA8は一価の有機基を表す。複数のRA7は互いに同一であっても異なっていてもよい。複数のRA8は互いに同一であっても異なっていてもよい。また、上記式(1−1)における波線部分は、他の構造との結合位置を表す。
A5及びRA6で表される二価の有機基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、炭素数6〜20のフェニレン基、炭素数3〜20の二価の脂環基又はこれらを組み合わせて構成される基を表す。RA7及びRA8で表される一価の有機基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表す。
このようなシロキサンジアミンとしては、ジメチルシロキサン系両末端アミンであるアミノ変性反応性シリコーンオイルである、信越化学工業(株)製X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B、東レダウコーニングシリコーン(株)製BY16−853、BY16−853Uなどが市販品として挙げられる。
アミノ基を2以上有する化合物は、ポリアルキレンオキシ鎖を有するジアミンであることが好ましく、ポリプロピレンオキシ鎖及び/又はポリエチレンオキシ鎖を有するジアミンであることがより好ましい。
アミノ基を2以上有する化合物の分子量、重量平均分子量Mw又は数平均分子量Mnは、300〜20,000であることが好ましく、400〜10,000であることがより好ましく、900〜10,000であることが更に好ましく、1,500〜5,000であることが特に好ましい。上記範囲であると、レリーフ層のTgをより下げることができ、インキ着肉性により優れ、柔軟なレリーフ層が得られる。
ポリアルキレンオキシ鎖を有するジアミンは、下記式(2)で表されるポリアルキレンオキシ鎖を有するジアミンであることが好ましい。
Figure 2013230585
(式(2)中、RA1は単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を表し、RA2はそれぞれ独立に、炭素数2〜20の二価の炭化水素基を表し、RA3は炭素数2〜20の二価の炭化水素基を表し、nAは1以上の整数を表す。)
式(2)のRA1における炭素数1〜20の二価の炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。また、上記二価の炭化水素基の炭素数は、1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
また、式(2)のRA1は、単結合又は炭素数1〜20の二価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基であることがより好ましい。
式(2)のRA2及びRA3における炭素数2〜20の二価の炭化水素基はそれぞれ独立に、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。また、上記二価の炭化水素基の炭素数はそれぞれ独立に、2〜8であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、2又は3であることが特に好ましい。
また、式(2)のRA2及びRA3はそれぞれ独立に、炭素数2〜20の二価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基及び/又はプロピレン基であることが特に好ましい。
式(2)のnAは、1以上の整数であり、1〜500の整数であることが好ましく、3〜500の整数であることがより好ましく、5〜100の整数であることが更に好ましい。
上記式(2)で表されるポリアルキレンオキシ鎖を有するジアミンとしては、市販されているものとしては、例えば、ハンツマン(HUNTSMAN)社製ジェファーミンD−230、ジェファーミンD−400、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
ラクトン環を有する化合物と、アミノ基を2以上有する化合物とを反応させると、ラクトンが開環し、アミド結合及び水酸基が生成し、架橋が形成される。
また、式(I)で表される部分構造を有する樹脂を含有することにより、アミド結合−水酸基間の水素結合ネットワークにより高強度な膜を得ることができる。
更に、ラクトンの開環で生じた水酸基間をシランカップリング架橋すると、水酸基はアミド結合の近傍に位置するため、アミド結合とシランカップリング部位とが近傍に位置する。これによりポリマー架橋点の必然的なドメイン化が達成され、更に高強度な膜が得られる。
成分Aの重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算値として、1,000〜1,000,000であることが好ましく、2,000〜500,000であることがより好ましく、3,000〜500,000であることが特に好ましい。重量平均分子量を上記範囲とすることにより、靭性の高い架橋膜が得られる。
分散度(分子量分布、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。分子量分布の小さいものほど、有効鎖の密度が均一化し、破断伸びに優れた膜が得られる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物における成分Aの含有量は、樹脂組成物の全固形分に対し、30〜99質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましい。なお、組成物の固形分量とは、組成物中の溶媒を除いた量である。
また、成分Aは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、成分A以外の他の樹脂を併用してもよい。成分A以外のバインダーポリマーとしては、特開2011−136455号公報に記載されている非エラストマーや、特開2010−208326号公報に記載されている不飽和基含有ポリマー等が例示される。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、成分Aをバインダーポリマー(樹脂成分)の主成分として含有することが好ましく、他のバインダーポリマーを含有する場合、成分Aを含むバインダーポリマー全体に対する含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。なお、上限は特に限定されないが、他のバインダーポリマーを含有する場合、99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることが更に好ましい。
(成分B)架橋剤
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分B)架橋剤を含有することが好ましい。
本発明において、架橋剤は、成分Aと結合し架橋構造を形成するものでもよく、また、成分B同士が結合し架橋構造を形成するものでもよく、特に限定されない。
なお、(成分B)架橋剤は、成分A以外の化合物である。
成分Bは、低分子量化合物であることが好ましく、分子量が100〜5,000であることが好ましく、200〜4,000であることがより好ましく、300以上3,000未満であることが更に好ましく、300以上2,000未満であることが特に好ましい。分子量が上記範囲内であると、得られるレリーフ層が耐刷性に優れる。
レーザー彫刻用樹脂組成物の設計においては、分子量の比較的大きい化合物(成分A)と分子量の比較的小さい化合物(成分B)を組み合わせることは、硬化後に優れた機械的物性を示す組成物を製造するのに効果的である。低分子化合物のみで樹脂組成物を設計すると、硬化物の収縮が大きくなり、硬化に時間がかかるなどの問題が発生する。また、高分子化合物のみで樹脂組成物を設計すると、硬化が進まず、優れた物性を示す硬化物を得ることができない。従って、本発明においては、分子量の大きな成分Aと分子量の小さな成分Bとを組み合わせて用いることが好ましい。
成分Bとしては、(成分B−1)重量平均分子量が5,000未満の重合性不飽和基を有する化合物、(成分B−2)多官能イソシアネート化合物、(成分B−3)重量平均分子量が5,000未満の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物が例示される。これらの中でも、成分Bは、成分B−1及び/又は成分B−3を含むことが好ましく、成分B−3を含むことが特に好ましい。
以下、それぞれについて説明する。
(成分B−1)重量平均分子量が5,000未満の重合性不飽和基を有する化合物
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分B−1)重量平均分子量が5,000未満の重合性不飽和基を有する化合物(以下、成分B−1ともいう。)を含有することが好ましい。
成分B−1は、成分Aとの希釈のしやすさから数平均分子量は2,000未満が好ましく、低揮発性など取扱いの観点から100以上が好ましい。
成分B−1の含有量は、特に制限されないが、成分A100質量部に対して、20〜300質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることがより好ましい。成分B−1の含有量が20質量部以上であると、樹脂組成物の硬化物であるレリーフ印刷版原版及びレリーフ印刷版が十分な機械的強度が得られる傾向にあり、300質量部以下であると、樹脂組成物の硬化物であるレリーフ印刷版原版及びレリーフ印刷版の硬化収縮が低減される傾向にある。
重合性不飽和基としては、ラジカル重合性不飽和基であることが好ましく、エチレン性不飽和基であることがより好ましく、(メタ)アクリルオキシ基であることが更に好ましい。
成分B−1の具体例としては、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、並びに、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体等が挙げられる。その種類の豊富さ、価格、等の観点から(メタ)アクリル酸及びその誘導体がより好ましい。
上記誘導体として、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン基、ビシクロアルケン基などを有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、フルオレン基などを有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、グリシジル基等を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化合物などが挙げられる。
成分B−1は、1分子中に、少なくとも1つの重合性不飽和基を有し、2〜6個の重合性不飽和結合基を有することがより好ましく、2〜4個の重合性不飽和結合基を有することが更に好ましい。
1分子中の重合性不飽和基の数が上記範囲内であると、成分Aとの架橋性に優れる。
成分B−1は、分子内に(メタ)アクリルオキシ基を1つ以上有する化合物であれば特に限定されないが、反応速度と硬化均一性の観点から、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、2〜4であることが特に好ましい。
成分B−1の具体例としては例えば(メタ)アクリル酸及びその誘導体が挙げられる。
上記化合物の誘導体の例としては、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基などの脂環式の骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、フルオレニル基などの芳香族の骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、テトラヒドロフルフリル基、アリル基、グリシジル基が結合した(メタ)アクリル酸エステル、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、(アルキル/アリルオキシ)ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。また、窒素原子、硫黄原子等をヘテロ原子として含有した複素芳香族化合物であっても構わない。例えば、印刷版用の感光性樹脂組成物においては、印刷インキの溶媒であるアルコールやエステル等の有機溶媒による膨潤を押さえるために、成分B−1が長鎖脂肪族、脂環式又は芳香族の骨格を有する化合物を含むことが好ましい。なお、上記長鎖脂肪族骨格や、脂環式骨格は、ヘテロ元素を含んでいてもよく、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が例示できる。
更に印刷版の反撥弾性を高めるためには、印刷版用感光性樹脂に関する公知の技術知見(例えば、特開平7−239548号公報に記載されているメタクリルモノマーなど)を利用して成分B−1を適宜選択することができる。
本発明の樹脂組成物における成分B−1は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(成分B−2)多官能イソシアネート化合物
本発明において、成分Bとして(成分B−2)多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましい。成分B−2を使用すると、成分Aの上記式(I)で表される部分構造における水酸基と、成分B−2のイソシアナト基とを反応させ、架橋構造を形成することができ、膜の強度及び耐刷性に優れたフレキソ印刷版を得ることができる。
多官能イソシアネート化合物としては、イソシアナト基を2以上有する化合物であれば特に制限はないが、イソシアナト基を2つ有するジイソシアネート化合物が好ましく例示できる。
ジイソシアネート化合物としては、下記式(5)で表される化合物が好ましい。
OCN−Liso−NCO (5)
上記式(5)中、Lisoは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。必要に応じ、Lisoは、イソシアネート基と反応しない他の官能基、例えば、エステル結合、ウレタン結合、アミド基、ウレイド基を有していてもよい。
成分B−2としては、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香脂肪族、芳香族ジイソシアネート化合物が例示できる。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
脂環式ジイソシアネート化合物としては、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ジイソシアネート化合物としては、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等を挙げることができる。
芳香族ジイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−ト、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシネ−ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネ−トなどを挙げることができる。
成分B−2としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートダイマー化合物を含有するジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン環及びイソシアヌレート環含有変性体が挙げられる。
また、成分B−2は、1種単独、又は、組み合わせて使用することができる。
(成分B−3)重量平均分子量が5,000未満の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物
本発明における成分Bとしては、(成分B−3)重量平均分子量が5,000未満の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を用いることが好ましい。成分B−3を使用すると、成分Aの上記式(I)で表される部分構造における水酸基と、成分B−3の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基とを反応させ、架橋構造を形成することができ、膜の強度及び耐刷性に優れたフレキソ印刷版を得ることができる。
本発明のレリーフ彫刻用樹脂組成物は、(成分B−3)重量平均分子量が5,000未満の加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物を含有することが好ましい。
成分B−3における「加水分解性シリル基」とは、加水分解性基を含むシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、ハロゲン基、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。このような加水分解性シリル基又はシラノール基は、下記式(S1)で表される基が好ましい。
Figure 2013230585
上記式(S1)中、RS1〜RS3はそれぞれ独立に、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基からなる群より選択される加水分解性基、ヒドロキシ基、水素原子、又は、一価の有機基を表す。ただし、RS1〜RS3の少なくともいずれか1つは、アルコキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、及び、イソプロペノキシ基よりなる群から選択された加水分解性基、又は、ヒドロキシ基を表す。
S1〜RS3が一価の有機基を表す場合の好ましい有機基としては、種々の有機溶媒への溶解性を付与できる観点から、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。
上記式(S1)中、ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子が特に好ましい。
アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜15のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基が更に好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基が特に好ましい。
また、ハロゲン原子として、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点で、Cl原子及びBr原子が好ましく、Cl原子がより好ましい。
本発明における成分B−3は、上記式(S1)で表される基を少なくとも1つ以上有する化合物であることが好ましく、少なくとも2つ以上有する化合物であることが好ましい。特に加水分解性シリル基を少なくとも2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。すなわち、分子内にケイ素原子を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。化合物中に含まれるケイ素原子の数は2以上6以下が好ましく、2又は3が最も好ましい。
上記加水分解性基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、式(S1)中における加水分解性基の総個数は2又は3の範囲であるのが好ましく、3つの加水分解性基がケイ素原子に結合していることが特に好ましい。加水分解性基がケイ素原子に2個以上結合するときは、それらは互いに同一であっても、異なっていてもよい。
上記アルコキシ基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基などを挙げることができる。アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジメトキシシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシシリル基を挙げることができる。これらの各アルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよいし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
上記アリールオキシ基としては、具体的には、例えば、フェノキシ基などを挙げることができる。アリールオキシ基の結合したアリールオキシシリル基としては、例えば、トリフェノキシシリル基などのトリアリールオキシシリル基を挙げることができる。
本発明における成分B−3の好ましい例としては、複数の上記式(S1)で表される基が連結基を介して結合している化合物が挙げられ、このような連結基としては、効果の観点からスルフィド基、イミノ基又はウレイレン基を含んで構成される連結基が好ましい。
成分B−3の合成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。一例として、特開2011−136429号公報の段落0019〜0021に記載の方法が挙げられる。
本発明における成分B−3としては、シランカップリング剤を用いることが好ましい。
以下、本発明における成分B−3として好適なシランカップリング剤について説明する。
本発明においては、Si原子に、アルコキシ基又はハロゲン基が少なくとも1つ直接結合した官能基をシランカップリング基と呼び、このシランカップリング基を分子中に1つ以上有している化合物をシランカップリング剤と称する。シランカップリング基は、Si原子にアルコキシ基又はハロゲン原子が2つ以上直接結合したものが好ましく、3つ以上直接結合したものが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、成分B−3における加水分解性シリル基及びシラノール基の少なくとも1種、好ましくは、シランカップリング剤におけるシランカップリング基が、成分A中の反応性官能基、例えば、水酸基(−OH)であれば、この水酸基とアルコール交換反応を起こし、架橋構造を形成する。その結果、バインダーポリマーの分子同士がシランカップリング剤を介して3次元的に架橋される。
本発明における好ましい態様であるシランカップリング剤においては、Si原子に直接結合している官能基として、アルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも1つ以上の官能基を有することが必須であり、化合物の取り扱いやすさの観点からは、アルコキシ基を有するものが好ましい。
ここで、アルコキシ基としては、リンス性と耐刷性の観点から炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜15のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基が特に好ましい。
また、ハロゲン原子として、F原子、Cl原子、Br原子、I原子が挙げられ、合成のしやすさ及び安定性の観点から、Cl原子及びBr原子が好ましく、Cl原子がより好ましい。
本発明におけるシランカップリング剤は、膜の架橋度と柔軟性のバランスを良好に保つ観点で、上記シランカップリング基を分子内に1〜10個含むことが好ましく、1〜5個含むことがより好ましく、2〜4個含むことが特に好ましい。
シランカップリング基が2つ以上ある場合には、シランカップリング基同士が連結基で連結されていることが好ましい。連結基としては、ヘテロ原子や炭化水素などの置換基を有してもよい二価以上の有機基が挙げられ、彫刻感度が高い点ではヘテロ原子(N、S、O)を含む態様が好ましく、S原子を含む連結基が特に好ましい。
このような観点からは、本発明におけるシランカップリング剤として、アルコキシ基としてメトキシ基又はエトキシ基、中でも、メトキシ基がSi原子に結合したシランカップリング基を分子内に2個有し、かつ、これらシランカップリング基が、ヘテロ原子(特に好ましくはS原子)を含むアルキレン基を介して結合している化合物が好適である。より具体的には、スルフィド基を含む連結基を有するものが好ましい。
また、シランカップリング基同士を連結する連結基の他の好ましい態様として、オキシアルキレン基を有する連結基が挙げられる。連結基がオキシアルキレン基を含むことで、レーザー彫刻後の彫刻カスのリンス性が向上する。オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基であることが好ましく、オキシエチレン基が複数連結されたポリオキシエチレン鎖であることがより好ましい。ポリオキシエチレン鎖におけるオキシエチレン基の総数としては、2〜50が好ましく、3〜30がより好ましく、4〜15が特に好ましい。
本発明に適用しうる成分B−3の具体例としては、特開2011−136429号公報の段落0025〜0034に記載のものが挙げられる。
成分B−3は、適宜合成して得ることも可能であるが、市販品を用いることがコストの面から好ましい。成分B−3としては、例えば、信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ(株)、チッソ(株)等から市販されているシラン製品、シランカップリング剤などの市販品がこれに相当するため、本発明の組成物に、これら市販品を、目的に応じて適宜選択して使用してもよい。
本発明におけるシランカップリング剤として、上記化合物の他、1種のシランを用いて得られた部分加水分解縮合物、及び2種以上のシランを用いて得られた部分共加水分解縮合物を用いることができる。以下、これらの化合物を「部分(共)加水分解縮合物」と称することがある。
このような部分(共)加水分解縮合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリス(メトキシプロポキシ)シラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、シアノエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシラン又はアセチルオキシシラン、エトキサリルオキシシラン等のアシロキシシランからなるシラン化合物から選択される1種以上を前駆体として用いて得られた部分(共)加水分解縮合物を挙げることができる。
これらの部分(共)加水分解縮合物前駆体としてのシラン化合物の中でも、汎用性、コスト面、膜の相溶性の観点から、ケイ素上の置換基としてメチル基及びフェニル基から選択される置換基を有するシラン化合物であることが好ましく、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい前駆体として例示される。
この場合、部分(共)加水分解縮合物としては、上記したようなシラン化合物の2量体(シラン化合物2モルに水1モルを作用させてアルコール2モルを脱離させ、ジシロキサン単位としたもの)〜100量体、より好ましくは2〜50量体、更に好ましくは2〜30量体としたものが好適に使用できるし、2種以上のシラン化合物を原料とする部分(共)加水分解縮合物を使用することも可能である。
なお、このような部分(共)加水分解縮合物はシリコーンアルコキシオリゴマーとして市販されているものを使用してもよく(例えば、信越化学工業(株)などから市販されている。)、また、常法に基づき、加水分解性シラン化合物に対し当量未満の加水分解水を反応させた後に、アルコール、塩酸等の副生物を除去することによって製造したものを使用してもよい。製造に際しては、前駆体となる原料の加水分解性シラン化合物として、例えば、上記したようなアルコキシシラン類やアシロキシシラン類を使用する場合は、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、トリエチルアミン等のアルカリ性有機物質等を反応触媒として部分加水分解縮合すればよく、クロロシラン類から直接製造する場合には、副生する塩酸を触媒として水及びアルコールを反応させればよい。
本発明の樹脂組成物における成分B−3は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物中に含まれるB−3の含有量は、固形分換算で、0.1〜80質量%の範囲であることが好ましく、1〜40質量%の範囲であることがより好ましく、5〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。
本発明において、成分Bは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
成分Bの樹脂組成物中の含有量は、全固形分に対し、0.1〜80質量%であることが好ましく、1〜60質量%であることがより好ましく、5〜40質量%であることが更に好ましい。成分Bの含有量が上記範囲内であると、破断性と耐刷性に優れたレリーフ形成層が得られる。
本発明において、成分Aと成分Bとの好ましい組み合わせとしては、以下の1.〜7.の組み合わせが例示できる。
1.成分A:主鎖末端にエチレン性不飽和基を有する重合体、成分B:(メタ)アクリレート化合物
2.成分A:主鎖末端にエチレン性不飽和基を有する重合体、成分B:シランカップリング剤)
3.成分A:主鎖末端に水酸基を有する重合体、成分B:(メタ)アクリレート化合物
4.成分A:主鎖末端に水酸基を有する重合体、成分B:多官能イソシアネート化合物
5.成分A:主鎖末端に水酸基を有する重合体、成分B:シランカップリング剤
6.成分A:主鎖末端にアルコキシシリル基を有する重合体、成分B:(メタ)アクリレート化合物
7.成分A:主鎖末端にアルコキシシリル基を有する重合体、成分B:シランカップリング剤
本発明において、上記の成分Aと成分Bとの組み合わせの中で、上記1.又は5.の組み合わせが、架橋性に優れた樹脂組成物が得られるので特に好ましい。
(メタ)アクリレート化合物及びシランカップリング剤は、架橋剤同士による架橋反応により、レリーフ形成層を硬化させることができる。従って、成分Bが(メタ)アクリレート化合物又はシランカップリング剤である場合には、成分Aと成分Bとの反応性は必ずしも必要ではない。一方、成分Bが多官能イソシアネート化合物である場合、成分Aにイソシアナト基との反応性基が必要となる。上記の4.の態様では、水酸基がイソシアナト基と反応して架橋構造を形成する。
成分Aと成分Bの樹脂組成物における含有量の比は、成分A:成分B(質量比)が90:10〜10:90であることが好ましく、80:20〜20:80であることがより好ましく、60:40〜40:60であることが更に好ましい。
以下、成分A及び成分B以外に、本発明の樹脂組成物が含有しうる各種成分について説明する。
(成分C)光熱変換剤
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分C)光熱変換剤を更に含有することが好ましい。本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて製造したレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
本発明の樹脂組成物における成分Cは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レーザー彫刻用樹脂組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、上記樹脂組成物の固形分全質量に対し、0.01〜30質量%が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、無機粒子を含有していてもよい。
無機粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、多孔質粒子、無孔質粒子等が挙げられる。
<シリカ粒子>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、シリカ粒子を含有することが好ましい。
本発明において、上記シリカ粒子は、数平均粒子径が、0.01〜10μmであることが好ましい。数平均粒子径が上記範囲であればべとつきを低減でき、印刷版原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。また、シリカ粒子は、多孔質微粒子又は無孔質超微粒子であることが好ましい。
シリカ粒子の数平均粒子径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.5〜8μmであることがより好ましく、1〜5μmであることが更に好ましい。
ここで、粒子の数平均粒子径は、顕微鏡観察により測定した長径の値の平均値をいう。具体的には、顕微鏡の視野に少なくとも50個程度の粒子が入るように倍率を調整し、上記粒子の長径を測長する。測長機能を有する顕微鏡を用いることが好ましいが、カメラを用いて撮影した写真を基に寸法を測ってもよい。
<多孔質粒子>
多孔質粒子とは、粒子中に細孔容積が0.1ml/g以上の微小細孔を有する粒子、又は、微小な空隙を有する粒子と定義する。多孔質粒子を含有することでレリーフ形成層表面を所望の表面粗さにする際に加工が容易となる。上記加工の例として切削、研削や研摩などが挙げられる。多孔質粒子により所望の表面粗さにする際の加工中に生じるカスなどのべとつきが低減し、レリーフ形成層表面を精密に加工することが容易となる。
多孔質粒子は、比表面積が10m2/g以上1,500m2/g以下、平均細孔径が1nm以上1,000nm以下、細孔容積が0.1ml/g以上10ml/g以下、吸油量が10ml/100g以上2,000ml/100g以下であることが好ましい。比表面積は−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる。また細孔容積及び平均細孔径の測定には、窒素吸着法を用いる。吸油量の測定は、JIS−K5101にて行う。多孔質粒子の比表面積が上記範囲内であれば、例えば印刷原版にレーザーによる彫刻にて画像部を形成する場合に、除去した分解物を吸収するのに好適である。
多孔質粒子の数平均粒子径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.5〜8μmであることがより好ましく、1〜5μmであることが更に好ましい。数平均粒子径が上記範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、印刷原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
多孔質粒子の形状は、特に限定するものではなく、球状、扁平状、針状、無定形、又は、表面に突起のある粒子などを使用することができる。特に耐磨耗性の観点からは、少なくとも70%の粒子の真球度が0.5〜1の範囲の球状粒子であることが好ましい。
多孔質粒子の球状度合を規定する指標として、真球度を定義する。本発明における真球度とは、多孔質粒子を投影した場合に投影図形内に完全に入る円の最大値D1の、投影図形が完全に入る円の最小値D2の比(D1/D2)で定義する。真球の場合、真球度は1.0となる。多孔質粒子の真球度は、0.5〜1.0が好ましく、0.7〜1.0がより好ましい。0.5以上であれば、印刷版としての耐磨耗性が良好である。真球度1.0は、真球度の上限値である。多孔質粒子としては、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上の多孔質粒子の真球度が0.5以上である。真球度を測定する方法としては、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真を基に測定する方法を用いることができる。その際、少なくとも100個以上の粒子がモニター画面に入る倍率において写真撮影を行うことが好ましい。また、写真を基に上記D1及びD2を測定するが、写真をスキャナー等のデジタル化する装置を用いて処理し、その後画像解析ソフトウェアを用いてデータ処理することが好ましい。
また、粒子の内部が空洞になっている粒子やシリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体などを使用することも可能である。特に限定するものではないが、例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等を挙げることができる。また、層状粘土化合物のように、層間に数nmから数百nmの空隙が存在するものについては、細孔径を定義できないため、本実施の形態においては層間に存在する空隙の間隔を細孔径と定義する。
更に多孔質粒子の表面をシランカップリンング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物で被覆し表面改質処理を行い、より親水性化又は疎水性化した粒子を用いることもできる。これらの多孔質粒子は1種類又は2種類以上のものを選択できる。
<無孔質粒子>
無孔質粒子とは、細孔容積が0.1ml/g未満の粒子と定義する。無孔質粒子の数平均粒子径は、1次粒子を対象とする数平均粒子径であり、10nm以上500nm以下が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましい。この範囲であれば、切削、研削、研磨工程においてべとつきを低減でき、レリーフ印刷版原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくレーザー彫刻によりパターン形成が可能である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中における無機粒子の含有量は、特に制限されないが、全固形分に対して、1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが最も好ましい。無機粒子の含有量が上記範囲内であると、印刷版原版の表面粗さへの影響が少なく、印刷画像に欠損が生じることなくべとつきを低減できる。
<アルコール交換反応触媒>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、アルコール交換反応触媒を含有することが好ましい。
アルコール交換反応触媒とは、例えば、成分Aにおける水酸基と、成分B−3におけるアルコキシシリル基との反応を促進しうるものを表し、酸又は塩基触媒、及び、金属錯体触媒が好ましく例示できる。
また、アルコール交換反応触媒は、成分A及び成分B−3と併用することが好ましい。
アルコール交換反応触媒の種類は特に限定されないが、有機酸又は無機酸類、有機塩基又は無機塩基類、及び、それらの塩が挙げられる。
具体的には、有機酸又は無機酸類としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸、ヘテロポリ酸、無機固体酸などが挙げられ、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、酢酸が好ましく、熱架橋後の膜強度の観点から、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸が特に好ましい。
有機塩基又は無機塩基類、及び、それらの塩としては、第三級アミン類及びイミダゾール類、無機塩基、第四級アンモニウム塩類、並びに、第四級ホスホニウム塩類が例示できる。
第三級アミン類及びイミダゾール類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン類、トリブチルアミン類、トリペンチルアミン類、トリヘキシルアミン類、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン類、ジメチルブチルアミン類、ジメチルペンチルアミン類、ジメチルヘキシルアミン類、ジエチルプロピルアミン類、ジエチルブチルアミン類、ジエチルペンチルアミン類、ジエチルヘキシルアミン類、ジプロピルブチルアミン類、ジプロピルペンチルアミン類、ジプロピルヘキシルアミン類、ジブチルペンチルアミン類、ジブチルヘキシルアミン類、ジペンチルヘキシルアミン類、メチルジエチルアミン、メチルジプロピルアミン類、メチルジブチルアミン類、メチルジペンチルアミン類、メチルジヘキシルアミン類、エチルジプロピルアミン類、エチルジブチルアミン類、エチルジペンチルアミン類、エチルジヘキシルアミン類、プロピルジブチルアミン類、プロピルジペンチルアミン類、プロピルジヘキシルアミン類、ブチルジペンチルアミン類、ブチルジヘキシルアミン類、ペンチルジヘキシルアミン類、メチルエチルプロピルアミン類、メチルエチルブチルアミン類、メチルエチルヘキシルアミン類、メチルプロピルブチルアミン類、メチルプロピルヘキシルアミン類、エチルプロピルブチルアミン類、エチルブチルペンチルアミン類、エチルブチルヘキシルアミン類、プロピルブチルペンチルアミン類、プロピルブチルヘキシルアミン類、ブチルペンチルヘキシルアミン類、トリビニルアミン、トリアリルアミン、トリブテニルアミン類、トリペンテニルアミン類、トリヘキセニルアミン類、ジメチルビニルアミン、ジメチルアリルアミン、ジメチルブテニルアミン類、ジメチルペンテニルアミン類、ジエチルビニルアミン、ジエチルアリルアミン、ジエチルブテニルアミン類、ジエチルペンテニルアミン類、ジエチルヘキセニルアミン類、ジプロピルビニルアミン類、ジプロピルアリルアミン類、ジプロピルブテニルアミン類、メチルジビニルアミン、メチルジアリルアミン、メチルジブテニルアミン類、エチルジビニルアミン、
エチルジアリルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロオクチルアミン、トリシクロペンテニルアミン、トリシクロヘキセニルアミン、トリシクロペンタジエニルアミン、トリシクロヘキサジエニルアミン類、ジメチルシクロペンチルアミン、ジエチルシクロペンチルアミン、ジプロピルシクロペンチルアミン類、ジブチルシクロペンチルアミン類、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、ジプロピルシクロヘキシルアミン類、ジメチルシクロペンテニルアミン類、ジエチルシクロペンテニルアミン類、ジプロピルシクロペンテニルアミン類、ジメチルシクロヘキセニルアミン類、ジエチルシクロヘキセニルアミン類、ジプロピルシクロヘキセニルアミン類、メチルジシクロペンチルアミン、エチルジシクロペンチルアミン、プロピルシクロペンチルアミン類、メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、プロピルシクロヘキシルアミン類、メチルジシクロペンテニルアミン類、エチルジシクロペンテニルアミン類、プロピルジシクロペンテニルアミン類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルトルイジン類、N,N−ジメチルナフチルアミン類、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチルベンジルアミン、N,N−ジエチルトルイジン類、N,N−ジエチルナフチルアミン類、N,N−ジプロピルアニリン類、N,N−ジプロピルベンジルアミン類、N,N−ジプロピルトルイジン類、N,N−ジプロピルナフチルアミン類、N,N−ジビニルアニリン、N,N−ジアリルアニリン、N,N−ジビニルトルイジン類、N,N−ジアリルアニリン、ジフェニルメチルアミン、ジフェニルエチルアミン、ジフェニルプロピルアミン類、ジベンジルメチルアミン、ジベンジルエチルアミン、ジベンジルシクロヘキシルアミン、ジベンジルビニルアミン、ジベンジルアリルアミン、ジトリルメチルアミン類、ジトリルエチルアミン類、ジトリルシクロヘキシルアミン類、ジトリルビニルアミン類、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリ(トリル)アミン類、トリナフチルアミン類、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルトリレンジアミン類、N,N,N’,N’−テトラエチルトリレンジアミン類、N−メチルピロール、N−メチルピロリジン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピロール、N−メチルピロリジン、N−エチルイミダゾール、N,N′−ジエチルピペラジン、N−エチルピペリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、キノリン、キナゾリン、キヌクリジン、N−メチルピロリドン、N−メチルモルホリン、N−エチルピロリドン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルアニソール、N,N−ジエチルアニソール、N,N−ジメチルグリシン、N,N−ジエチルグリシン、N,N−ジメチルアラニン、N,N−ジエチルアラニン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノチオフェン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヘキサメチレンテトラミンなどが挙げられる。
熱架橋後の膜強度の観点から、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンが好ましく、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エンが特に好ましい。
無機塩基類としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属酸化物が挙げられる。中でも、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドが好ましく、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシドがより好ましい。
第四級アンモニウム塩類としては、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。中でも、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイドが好ましく、テトラエチルアンモニウムブロマイドがより好ましい。
第四級ホスホニウム塩類としては、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロマイド、デシルトリメチルホスホニウムクロライド、デシルトリメチルホスホニウムブロマイドなどが挙げられる。中でも、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイドがより好ましく、テトラエチルホスホニウムブロマイドがより好ましい。
塩基性化合物と酸性化合物とでは、塩基性化合物を用いた方が、反応が円滑に進行するので好ましい。
アルコール交換反応触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。含有量は、特に限定はなく、用いる加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を有する化合物等の特性に応じて適宜選択すればよい。
<ラジカル重合開始剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。中でも、成分B−1とラジカル重合開始剤とを併用することがより好ましい。
ラジカル重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。
本発明において、好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、彫刻感度と、レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した際にレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物がより好ましく、(c)有機過酸化物が特に好ましい。
上記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に挙げられている化合物を好ましく用いることができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
(c)有機過酸化物
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
なお、本発明においては、上記(c)有機過酸化物が本発明における重合開始剤として、膜(レリーフ形成層)の架橋性の観点から好ましく、更に、予想外の効果として、彫刻感度向上の観点で特に好ましいことを本発明者は見い出した。
本発明におけるラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
レーザー彫刻用樹脂組成物中のラジカル重合開始剤の含有量は、固形分全質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量を0.01質量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ、架橋性レリーフ形成層の架橋が速やかに行われる。また、含有量を10質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
<可塑剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有してもよい。なお、本発明において、成分Aを含有することにより、得られるレリーフ層は柔軟性に優れるため、可塑剤を添加しなくてもよい。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、アジピン酸ビスブトキシエチル等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)等を好ましく用いられる。
これらの中でも、アジピン酸ビスブトキシエチルが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物における可塑剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
柔軟な膜物性を保つ観点から、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物中に可塑剤の含有量は、全固形分濃度の50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、添加しないことが特に好ましい。
<溶媒>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製する際に、溶媒を用いることが好ましい。
溶媒としては、有機溶媒を用いることが好ましい。
非プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく例示できる。
<その他の添加剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、公知の各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版)
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第1の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。
また、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の第2の実施態様は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を架橋した架橋レリーフ形成層を有する。
本発明において「レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版」とは、レーザー彫刻用樹脂組成物からなる架橋性を有するレリーフ形成層が、架橋される前の状態、並びに、光及び/若しくは熱により硬化された状態の両方又はいずれか一方のものをいう。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、熱架橋した架橋レリーフ形成層を有するものであることが好ましい。
本発明において「レリーフ形成層」とは、架橋される前の状態の層をいい、すなわち、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、必要に応じ、乾燥が行われていてもよい。
本発明において「架橋レリーフ形成層」とは、上記レリーフ形成層を架橋した層をいう。上記架橋は、光及び/又は熱により行われることが好ましい。また、上記架橋は樹脂組成物が硬化される反応であれば特に限定されず、成分A同士の反応による架橋構造を含む概念であるが、成分Aが他の成分と反応して架橋構造を形成していてもよい。また、重合性化合物を用いる場合には、上記架橋には、重合性化合物の重合による架橋も含まれる。
レリーフ形成層又は架橋レリーフ形成層を有する印刷版原版をレーザー彫刻することにより「フレキソ印刷版」が作製される。
また、本発明において「レリーフ層」とは、フレキソ印刷版におけるレーザーにより彫刻された層、すなわち、レーザー彫刻後の上記レリーフ形成層又はレーザー彫刻後の上記架橋レリーフ形成層をいう。
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、上記のような成分を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。(架橋)レリーフ形成層は、支持体上に設けられることが好ましい。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版は、必要により更に、支持体と(架橋)レリーフ形成層との間に接着層を、また、(架橋)レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
<レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、上記本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層であり、架橋性の層である。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版によるフレキソ印刷版の作製態様としては、レリーフ形成層を架橋させて架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版とした後、架橋レリーフ形成層(硬質のレリーフ形成層)をレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成してフレキソ印刷版を作製する態様であることが好ましい。レリーフ形成層を架橋することにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するフレキソ印刷版を得ることができる。
レリーフ形成層は、レリーフ形成層用の上記の如き成分を有するレーザー彫刻用樹脂組成物を、シート状又はスリーブ状に成形することで形成することができる。レリーフ形成層は、通常、後述する支持体上に設けられるが、製版、印刷用の装置に備えられたシリンダーなどの部材表面に直接形成したり、そこに配置して固定化したりすることもでき、必ずしも支持体を必要としない。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
<支持体>
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
<接着層>
レリーフ形成層を支持体上に形成する場合、両者の間には、層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に用いることができる材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面への傷や凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面又は架橋レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PETのようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。保護フィルムは、剥離可能であることが好ましい。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。
(レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法)
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用塗布液組成物から溶媒を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。あるいは、レーザー彫刻用樹脂組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して樹脂組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
中でも、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含む製造方法であることが好ましく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることがより好ましく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、並びに、上記レリーフ形成層を熱架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、を含む製造方法であることが更に好ましい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることによって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
<層形成工程>
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含むことが好ましい。
レリーフ形成層の形成方法としては、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、必要に応じて、このレーザー彫刻用樹脂組成物から溶媒を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法や、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を調製し、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して溶媒を除去する方法が好ましく例示できる。
レーザー彫刻用樹脂組成物は、例えば、成分A及び任意成分を適当な溶媒に溶解させることによって製造することができる。
レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版における(架橋)レリーフ形成層の厚さは、架橋の前後において、0.05〜10mmが好ましく、0.05〜7mmがより好ましく、0.05〜3mmが更に好ましい。
<架橋工程>
本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法は、上記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を含む製造方法であることが好ましい。
レリーフ形成層が光重合開始剤を含有する場合には、光重合開始剤のトリガーとなる活性光線をレリーフ形成層に照射することで、レリーフ形成層を架橋することができる。
光は、レリーフ形成層全面に行うことが好ましい。光(「活性光線」ともいう。)としては可視光、紫外光、及び電子線が挙げられるが、紫外光が最も好ましい。レリーフ形成層の支持体等、レリーフ形成層を固定化するための基材側を裏面とすれば、表面に光を照射するだけでもよいが、支持体が活性光線を透過する透明なフィルムであれば、更に裏面からも光を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
レリーフ形成層が熱重合開始剤を含有する場合には(上記の光重合開始剤が熱重合開始剤にもなり得る。)、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
レリーフ形成層の架橋方法としては、レリーフ形成層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋の方が好ましい。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
上記架橋工程が、光により架橋する工程である場合は、活性光線を照射する装置が比較的高価であるものの、印刷版原版が高温になることがないので、印刷版原版の原材料の制約がほとんどない。
上記架橋工程が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加えることが好ましい。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤が使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
(フレキソ印刷版及びその製版方法)
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、本発明のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層又は架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻する彫刻工程を含むことが好ましく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、及び、上記レリーフ形成層又は上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むことがより好ましく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、上記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、及び、上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むことが更に好ましく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程、上記レリーフ形成層を熱架橋し架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程、及び、上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程、を含むことが特に好ましい。
本発明のフレキソ印刷版は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層を架橋及びレーザー彫刻して得られたレリーフ層を有するフレキソ印刷版であり、本発明のフレキソ印刷版の製版方法により製版されたフレキソ印刷版であることが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版は、水性インキを印刷時に好適に使用することができる。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法における層形成工程及び架橋工程は、上記レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法における層形成工程及び架橋工程と同義であり、好ましい範囲も同様である。
<彫刻工程>
本発明のフレキソ印刷版の製版方法は、上記レリーフ形成層又は上記架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻する彫刻工程を含むことが好ましい。
彫刻工程は、上記層形成工程で形成された上記レリーフ形成層又は上記架橋工程で架橋された架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、レリーフ形成層又は架橋された架橋レリーフ形成層に対して、所望の画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成することが好ましい。また、所望の画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層又は架橋レリーフ形成層に対して走査照射する工程が好ましく挙げられる。
この彫刻工程には、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、架橋レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、レリーフ形成層又は架橋レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度でレリーフ形成層又は架橋レリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
彫刻工程に用いられる赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましい。特に、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が好ましく用いられる。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率かつ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、本発明における彫刻工程には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会等に記載されている。
また、本発明のフレキソ印刷版原版を用いたフレキソ印刷版の製版方法に好適に用いることができるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これを本発明に係るフレキソ印刷版の製版に使用することができる。
本発明のフレキソ印刷版の製版方法では、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
上記工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じてレリーフ形成層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
本発明に用いることができるリンス液のpHは、9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましく、13.5以下であることがより好ましく、13.2以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。
リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
本発明に用いることができるリンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。
また、リンス液は、水以外の溶媒として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶媒を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
以上のようにして、支持体等の任意の基材表面にレリーフ層を有するフレキソ印刷版が得られる。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05〜10mmが好ましく、0.05〜7mmがより好ましく、0.05〜3mmが特に好ましい。
また、フレキソ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、25℃において、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
本発明のフレキソ印刷版は、フレキソ印刷機による水性インキでの印刷に特に好適であるが、凸版用印刷機による水性インキ、油性インキ及びUVインキ、いずれのインキを用いた場合でも、印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。本発明のフレキソ印刷版は、リンス性に優れており彫刻カスの残存がなく、かつ、得られたレリーフ層が弾性に優れるため、水性インキ転移性及び耐刷性に優れ、長期間にわたりレリーフ層の塑性変形や耐刷性低下の懸念がなく、印刷が実施できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
なお、実施例におけるポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
<ポリマー1の合成>
窒素気流下3つ口フラスコにPGMEA(ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)74.15部を入れ80℃に加熱した。これにアクリル酸2−メトキシエチル142.58部、γ−ブチロラクトンアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名:GBLA)16.30部、開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)2.763gをPGMEA296.58部に溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間反応させた。続いてV−601(和光純薬工業(株)製)0.533部を加え、90℃で2時間反応させた。放冷してポリマー1(Mw49,000、Mw/Mn2.34)の溶液を得た。
<ポリマー2の合成>
窒素気流下3つ口フラスコにPGMEA30.37部を入れ80℃に加熱した。これにブレンマーPME−100(日油(株)製)57.64部、γ−ブチロラクトンメタクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名:GBLMA)7.44部、開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)0.806部をPGMEA121.50部に溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間反応させた。続いてV−601(和光純薬工業(株)製)0.161部を加え、90℃で2時間反応させた。放冷してポリマー2(Mw56,000、Mw/Mn1.90)の溶液を得た。
<ポリマー3の合成>
窒素気流下3つ口フラスコにシクロヘキサノン46.53部を入れ80℃に加熱した。これにメタクリル酸ドデシル85.48部、ノルボルナンラクトンメタクリレート(ダイセル化学工業(株)製)14.22部、開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)4.605部をシクロヘキサノン186.12部に溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間反応させた。続いてV−601(和光純薬工業(株)製)0.921部を加え、90℃で2時間反応させた。放冷してポリマー3(Mw15,100、Mw/Mn2.37)の溶液を得た。
<ポリマー4の合成>
窒素気流下3つ口フラスコにシクロヘキサノン22.74部を入れ80℃に加熱した。これに10,10-dimethyl-3,7,9,11-tetraoxa-4-oxotricyclo[6.4.0.02,6]undec-5-yl 2-methylprop-2-enoate(特開2006−276444号公報に記載の方法で合成した。)28.43部、開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)2.303部をシクロヘキサノン90.96部に溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間反応させた。続いてV−601(和光純薬工業(株)製)0.461部を加え、90℃で2時間反応させた。放冷してポリマー4(Mw5,100、Mw/Mn1.69)の溶液を得た。
<比較ポリマーR1の合成>
素気流下3つ口フラスコにPGMEA34.10部を入れ80℃に加熱した。これにブレンマーPME−100(日油(株)製)66.25部、グリシジルメタクリレート6.82g、開始剤V−601(和光純薬工業(株)製)0.921部をPGMEA136.41部に溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間反応させた。続いてV−601(和光純薬工業(株)製)0.184部を加え、90℃で2時間反応させた。放冷してポリマーR1(Mw50,000、Mw/Mn1.86)の溶液を得た。
他のポリマーについても、表1に記載の原料、開始剤及び溶媒に変更した以外は、上記と同様にして合成した。なお、上記した以外のラクトン環を有するモノマーについては、特開2003−2882号公報に記載の方法で合成した。
Figure 2013230585
(実施例1)
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、ポリマー1溶液を133.33部、ジェファーミンD−2000(下記構造のポリエーテルアミン、ハンツマン社製)5.28部を加え、撹拌しながら80℃で5時間反応させた。放冷後、この溶液20.79部に、(成分B)架橋剤としてKBE−3026(信越化学工業(株)製)を1.69部、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)を0.17部、(成分C)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1部、を添加し、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用樹脂組成物1)を得た。
Figure 2013230585
2.レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で1時間、その後100℃で1時間、更に120℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、厚さがおよそ1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版1を作製した。
3.フレキソ印刷版の作製
架橋後のレリーフ形成層(架橋レリーフ形成層)に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻した。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、レーザー照射による彫刻を、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、およそ1mmであった。
(実施例2〜13、比較例1及び3)
実施例1で用いた成分A、成分B及び添加剤を、下記表2に記載の成分A、成分B及び添加剤に変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋性レリーフ形成層用塗布液(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)をそれぞれ調製し、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版をそれぞれ作製した。
これらのフレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さはそれぞれ、およそ1mmであった。
(実施例14)
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、γ−ブチロラクトンメタクリレートの30質量%PGMEA溶液を20.0部、ジェファーミンD−2000 7.05部を加え、撹拌しながら80℃で5時間反応させた。放冷後、(成分B)架橋剤としてKBE−3026(信越化学工業(株)製)を10部及びブレンマーPDE−200を10部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(商品名:パーブチルZ、日油(株)製)を0.5部、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)を1.50部、(成分C)光熱変換剤としてケッチェンブラックEC600JD(カーボンブラック、ライオン(株)製)を1部添加して、流動性のある架橋性レリーフ形成層用塗布液14(レーザー彫刻用樹脂組成物14)を得た。
2.レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、70℃のオーブン中で1時間、その後100℃で1時間、更に120℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋し、厚さがおよそ1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版1を作製した。
3.フレキソ印刷版の作製
架橋後のレリーフ形成層(架橋レリーフ形成層)に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻した。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、レーザー照射による彫刻を、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。炭酸ガスレーザー彫刻機で、出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方のベタ部分をラスター彫刻した。
フレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、およそ1mmであった。
(実施例15、16、比較例2)
実施例14で用いた成分A、成分B及び添加剤を、下記表2に記載の成分A、成分B及び添加剤に変更した以外は、実施例14と同様にして、架橋性レリーフ形成層用塗布液(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)をそれぞれ調製し、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版をそれぞれ作製した。
これらのフレキソ印刷版が有するレリーフ層の厚さはそれぞれ、およそ1mmであった。
〔性能評価〕
実施例1〜16、及び、比較例1〜3で得られたレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版及びフレキソ印刷版についてそれぞれ、以下の項目でフレキソ印刷版の性能評価を行い、結果を表2に示す。なお、炭酸ガスレーザーで彫刻を行った場合の評価結果と、半導体レーザーで彫刻を行った場合の評価結果は、同じであった。
<膜の破断強度>
各実施例及び比較例のレーザー彫刻用樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化膜(レリーフ層)について、破断強度を次のようにして測定した。
引張り試験機として、(株)島津製作所製Shimadzu AGSH5000を用い、試験片形状はJIS規格記載のダンベル型(横幅の平均:2.25cmとして入力し測定した。)に加工して測定した。測定環境は、温度:約21℃、湿度:60%、引張速度:2mm/分とした。数値が大きいほど、レリーフ層の強度に優れる。結果は、表2に示した。
<耐刷性>
得られたレリーフ印刷版を印刷機(ITM−4型、(株)伊予機械製作所製)にセットし、インクとして、水性インキ アクアSPZ16紅(東洋インキ製造(株)製)を希釈せずに用いて、印刷紙として、フルカラーフォームM 70(日本製紙(株)製、厚さ100μm)を用いて印刷を継続し、ハイライト1〜10%を印刷物で確認した。印刷されない網点が生じたところを刷了とし、刷了時までに印刷した紙の長さ(メートル)を指標とした。数値が大きいほど耐刷性に優れると評価する。
結果は、表2に示した。
<有機溶剤耐性>
得られたレリーフ印刷版を1cm×1cmにカットし質量を測定した。これを溶剤インクであるXS−716 507 原色藍(DICグラフィックス(株)製)に24時間静置浸漬させた。その後、印刷版を取り出し、表面をキムワイプで拭い、質量を測定した。膨潤率を(浸漬後の質量/浸漬前の質量)×100として、この値が100〜120を有機溶剤耐性がA、120を超える場合をBとした。
結果は、表2に示した。
Figure 2013230585
なお、各実施例及び比較例で使用した成分A、成分B、及び、添加剤の詳細は以下の通りである。
(成分A)
・ポリマー1〜11、R1:上記合成例を参照
・ポリマーR2:ポリエスター TP290(飽和ポリエステル樹脂、日本合成化学工業(株)製)
・ジェファーミンD−2000:前述した化合物(ハンツマン社製)
・ジェファーミンD−4000:下記化合物、Mw=4,000(ハンツマン社製)
・ジェファーミンT−3000:下記化合物、Mw=3,000(ハンツマン社製)
Figure 2013230585
・X−22−161A:両末端にアミノ基を有するポリジメチルシリコーン、アミノ基当量800g/mol(信越化学工業(株)製)
(成分B)
・S−32:シランカップリング剤、下記式で表される化合物
Figure 2013230585
・KBE−3026:1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、信越化学工業(株)製、二官能シランカップリング剤
・HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
・D−110N:タケネートD−110N(脂肪族ポリイソシアネート化合物、三井化学(株)製)
・コロネートHX:ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製)
・PDE−200:ブレンマーPDE−200、ポリエチレングリコールジメタクリレート(日油(株)製)
(添加剤)
・パーブチルZ:重合開始剤、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日油(株)製)
・DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
・PGM−ST:商品名スノーテックス PGM−ST(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾル、シリカゾル20質量%分散液)(日産化学工業(株)製)(実施例7における添加量は、DBU0.17部以外に、PGM−STを組成物全体の3質量%となるように添加した。)
・PL−2L−PGME:商品名PL−2L−PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散シリカゾル、シリカゾル25質量%分散液)(扶桑化学工業(株)製)(実施例9における添加量は、DBU0.17部以外に、PL−2L−PGMEを組成物全体の3質量%となるように添加した。)

Claims (16)

  1. (成分A)式(I)で表される部分構造を有する樹脂を含有することを特徴とする
    レーザー彫刻用樹脂組成物。
    Figure 2013230585
    (式中、R1〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、L1はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、R1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、R6は水素原子又は一価の有機基を表し、pは0〜6の整数を表し、qは1又は2を表し、rは0〜6の整数を表し、p+q+rは3〜7の整数であり、波線部分は他の構造との結合位置を表す。)
  2. 前記式(I)表される部分構造が、ラクトン環を有する化合物とアミノ基を2以上有する化合物との開環反応により形成した構造である、請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  3. 前記式(I)で表される部分構造が、下記式(II)で表される部分構造である、請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
    Figure 2013230585
    (式中、R1〜R5及びR7〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表し、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表し、L3は二価の連結基を表し、R1〜R5及びL1は2以上が結合して環を形成していてもよく、R7〜R11及びL2は2以上が結合して環を形成していてもよく、R6及びR12はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の有機基を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、p1及びp2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、q1及びq2はそれぞれ独立に、1又は2を表し、r1及びr2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、p1+q1+r1は3〜7の整数であり、p2+q2+r2は3〜7の整数である。)
  4. (成分B)架橋剤を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  5. (成分C)光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋した架橋レリーフ形成層を有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を形成する層形成工程を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  9. 前記レリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る架橋工程を更に含む、請求項8に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  10. 前記架橋工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋し、架橋レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得る工程である、請求項9に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版の製造方法。
  11. 請求項6に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版におけるレリーフ形成層、又は、請求項7に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版における架橋レリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程、を含むフレキソ印刷版の製版方法。
  12. 請求項11に記載のフレキソ印刷版の製版方法により製造されたレリーフ層を有するフレキソ印刷版。
  13. 前記レリーフ層の厚さが、0.05mm以上10mm以下である、請求項12に記載のフレキソ印刷版。
  14. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物より形成されたレーザー彫刻用膜。
  15. 請求項14に記載のレーザー彫刻用膜を架橋したレーザー彫刻用架橋膜。
  16. 請求項14に記載のレーザー彫刻用膜、又は、請求項15に記載のレーザー彫刻用架橋膜をレーザー彫刻して得られたパターン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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