JP2001219664A - 平版印刷用原板 - Google Patents

平版印刷用原板

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JP2001219664A
JP2001219664A JP2000030682A JP2000030682A JP2001219664A JP 2001219664 A JP2001219664 A JP 2001219664A JP 2000030682 A JP2000030682 A JP 2000030682A JP 2000030682 A JP2000030682 A JP 2000030682A JP 2001219664 A JP2001219664 A JP 2001219664A
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light
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Application number
JP2000030682A
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English (en)
Inventor
Satoshi Hoshi
聡 星
Kokichi Waki
幸吉 脇
Keizo Ogawa
恵三 小川
Shingo Ishimaru
信吾 石丸
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】現像処理を必要としないで、高感度で露光量ラ
チチュードが広く簡易に製版できて、直接に印刷機に装
着して製版することも可能であって、しかも耐刷性にす
ぐれ、印刷面上の印刷汚れも少ないヒートモード型の平
版印刷用原板を提供すること。 【解決手段】支持体上に光熱変換剤を含有する疎水性層
又は金属薄膜層を第一の層として設け、さらに光を熱に
変換することに伴い層形成物質を飛散除去するか又は除
去可能に脆化する光熱変換性金属微粒子を含有する親水
性の層を第二の層として設けた平版印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現像不要で耐刷性
に優れた平版印刷用原板に関する。より詳しくは、ヒー
トモードの画像記録によって製版できて、かつディジタ
ル信号に基づいた走査露光による画像記録も可能であ
り、しかも現像することなく印刷機に装着して製版・印
刷することが可能な平版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とからなる。このような平版印刷版用原板と
しては、従来から、親水性支持体上に親油性の感光性樹
脂層を設けたPS版が広く用いられている。
【0003】一方、画像情報をコンピュータを用いて電
子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く
普及してきていることで、このようなディジタル化技術
に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるように
なってきている。これに伴い、レーザ光のような高収斂
性の輻射線にディジタル化された画像情報を担持してこ
の光で原板を走査露光し、リスフィルムを介することな
く、直接印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレー
ト技術が注目されている。したがって、この目的に適応
した印刷版用原板を得ることが重要な技術課題となって
いる。
【0004】デジタル化技術に組み込みやすい走査露光
による印刷版の製造方法として、最近、半導体レーザ、
YAGレーザ等の固体レーザで高出力のものが安価に入
手できるようになってきたことから、特にこれらのレー
ザを画像記録手段として用いる製版方法が有望視される
ようになっている。従来方式の製版方法では、感光性原
板に低〜中照度の像様露光を与えて光化学反応による原
板面の像様の物性変化によって画像記録を行っている
が、高出力レーザを用いた高パワー密度の露光を用いる
方法では、露光領域に瞬間的な露光時間の間に大量の光
エネルギーを集中照射して、光エネルギーを効率的に熱
エネルギーに変換し、その熱により化学変化、相変化、
形態や構造の変化などの熱変化を起こさせ、その変化を
画像記録に利用する。つまり、画像情報はレーザー光な
どの光エネルギーによって入力されるが、画像記録は熱
エネルギーによる反応によって記録される。通常、この
ような高パワー密度露光による発熱を利用した記録方式
はヒートモード記録と呼び、光エネルギーを熱エネルギ
ーに変えることを光熱変換と呼んでいる。
【0005】ヒートモード記録手段を用いる製版方法の
大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベルの光
では感光せず、また高照度露光によって記録された画像
は定着が必須ではないことにある。つまり、画像記録に
ヒートモード感材を利用すると、露光前には室内光に対
して安全であり、露光後にも画像の定着は必須ではな
い。従ってヒートモード記録を利用すれば、コンピュー
タ・トゥ・プレート方式にも展開し易い平版印刷版用原
板を得ることも可能となると期待される。
【0006】ヒートモード記録に基づく平版印刷版の好
ましい製造法の一つとして、親水性の基板上に疎水性の
画像記録層を設け、画像状にヒートモード露光し、疎水
性層の溶解性・分散性を変化させ、必要に応じて湿式現
像により非画像部を除去する方法が提案されている。こ
のような原板の例として、例えば、特公昭46ー279
19号公報には、親水性支持体上に、熱により溶解性が
向上するいわゆるポジ作用を示す記録層、具体的には糖
類やメラミンホルムアルデヒド樹脂等の特定の組成を有
する記録層を設けた原板をヒートモード記録することに
よって、印刷版を得る方法が開示されている。この開示
技術をはじめ、開示されているヒートモード記録の簡易
製版技術は、一般に感熱性が十分でないため、ヒートモ
ード走査露光に対しては、感度がはなはだ不十分であ
り、したがって照射部と非照射部の疎水性/親水性のデ
ィスクリミネーション、即ち、識別性も小さく、それら
が実用上の制約であった。ディスクリミネーションが乏
しければ、機上現像方式の製版を行うことは実質的に困
難である。
【0007】その解決の手段として、高出力のレーザー
光の照射によって熱の作用によって照射部の画像層を熱
飛散させて除去する(アブレーションと呼ばれる)方法
も例えば、WO98/40212号、WO98/347
96号及び特開平6−199064号公報には、遷移金
属酸化物コロイドを含む親水性層を親油性画像記録層の
上に設けた重層構成層を基板上に設けた、現像すること
なく製版することが可能な平版印刷原板が開示されてい
る。この方法は、たしかに完全に熱飛散が行われた照射
領域と非照射領域との識別性は大きいが、飛散物による
装置の汚れ、印刷面の汚れが装置の稼働と印刷品質を損
なう上に、しばしば照射光の熱が画像記録層の深部に及
ばず、支持体に近い画像層底部が飛散しないで残る残膜
という現象があり、残膜があれば本来の識別性が発揮さ
れず印刷品質を低下させる。上記したようにヒートモー
ドの光照射による画像形成を利用すると現像処理が不要
となって製版過程が簡易となる利点を有するが、従来の
開示技術では、光照射部の熱による極性変化を利用する
方式でも、光照射部の熱飛散除去を利用する方式でも、
照射部と非照射部との識別性が不足していること、とく
に印刷汚れが起こり易いことが解決されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】画像部と非画像部の十
分な識別性は、印刷品質や耐刷性の向上に直結する基本
的な重要特性であり、したがって識別性と製版作業の簡
易性を併せ有する製版方法、とりわけ、識別性が高く、
感度が十分で、現像処理が不要で、かつヒートモードで
製版できる方法の開発が望まれている。
【0009】さらに、本発明者らの研究によれば、上記
ヒートモ−ドの光照射、とくにレーザー光照射による層
形成物質を熱飛散除去させる画像形成の場合、支持体へ
の熱拡散が速いと照射領域の層形成物質の除去効果が不
十分となり、これを回避するために光照射量を増やすと
層形成物質の熱飛散による装置や印刷版の汚染が増大す
る。したがって、少ないエネルギーで画像形成を可能に
することによって装置や印刷版の汚染を抑止しながら、
識別性の向上とラチチュードの拡大を図ることも望まれ
ている。
【0010】本発明の目的は、ヒートモードの製版方式
の前記した欠陥を解決して性能向上を図ることである。
すなわち、本発明の目的は、現像処理を必要としない
で、高感度で露光量ラチチュードが広く簡易に製版でき
て、直接に印刷機に装着して製版することも可能な、し
かも耐刷性にすぐれ、印刷面上の印刷汚れも少ないヒー
トモード型の平版印刷用原板を提供することにある。と
くに、本発明の目的は、レーザー光による走査型の画像
露光方式によって、容易に製版できて、画像部と非画像
部との識別性に優れ、しかも画像露光量に対するラチチ
ュードも広いヒートモード型の平版印刷用原板を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に対して光熱変換剤として金属微粒子を含有する親水
性層の下に光熱変換性の疎水層を設けることにより、よ
り少ない露光エネルギーで照射領域の層形成物質が熱飛
散して画像形成が可能となり、感度とラチチュードを改
善することができることを見いだして、さらに研究を重
ね本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以
下の通りである。
【0012】1.支持体上に光熱変換剤を含有する疎水
性層を設け、該疎水性層の上に光照射に伴い照射領域の
層形成物質を飛散除去するか又は除去可能に脆化する光
熱変換性金属微粒子を含有する親水性層を設けたことを
特徴とする平版印刷用原板。
【0013】2.親水性層中の光熱変換性金属微粒子
が、周期律表の第8族又は第1B族の金属元素から選ば
れる単体又は合金の金属微粒子であることを特徴とする
上記1に記載の平版印刷用原板。
【0014】3.親水性層中の光熱変換性金属微粒子の
表面に、親水性基と金属吸着性基とを各少なくとも1個
有する有機硫黄化合物が吸着していることを特徴とする
上記1又は2に記載の平版印刷用原板。
【0015】4.疎水性表面を有するかあるいは疎水性
層が設けられた支持体上に金属薄膜層を設け、さらに光
照射に伴い照射領域の層形成物質を熱飛散除去するか又
は除去可能に脆化する光熱変換性金属微粒子を含有する
親水性層を設けたことを特徴とする平版印刷用原板。
【0016】5.光熱変換性金属微粒子を含有する親水
性層の上にさらに水可溶性の保護層が設けられているこ
とを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の平版印刷
用原板。
【0017】上記本発明の平版印刷用原板の親水性層に
含まれる光熱変換剤は、結着樹脂に分散された光熱変換
機能を有する金属微粒子である。この金属微粒子は、光
熱変換性すなわち光エネルギーを吸収して熱エネルギー
に変える性質を有しているので、照射光のエネルギーが
十分に大きいと、金属微粒子は周囲の結着剤すなわち像
形成物質を熱飛散させて除去するか、あるいは熱飛散は
しないまでも脆化して印刷時に湿し水ローラーかインキ
ローラーによって擦られる際に機械的に除去可能とする
ので、結果として照射領域の層形成物質が像様に除去さ
れて疎水性の支持体あるいは支持体に接した疎水性層が
露出して像様疎水性領域を形成する。
【0018】このような照射領域の層形成物質を熱除去
する方式の印刷用原板にレーザー光などで描画する場合
には、支持体への熱拡散速度が速く記録が親水性の表層
に偏り、親水性層全体が熱飛散除去されず、かつ印刷時
にインキローラーや湿し水ローラーで擦られても除去可
能とならないことがあり、印刷汚れや耐刷性の低下を起
こすことがある。それを回避する目的でレーザー光を強
くすると層生成物質の熱飛散による光学系の汚染や、印
刷版の汚れを起こすなどの問題を生じる。本発明では、
光熱変換性の金属微粒子を含有する親水性層の下に光熱
変換剤を含有する疎水性層又は光熱変換性の疎水性金属
薄膜層を設けることによってこの問題は解決する。すな
わち、本発明の方法では、疎水性層又は疎水性薄膜から
の熱供給があるので、描画用のレーザー光の強度を適当
に抑制して熱飛散を抑えて、かつ親水性層の深部までが
画像記録に利用できる。さらに、疎水性層又は疎水性薄
膜が熱伝導のバリア層となり、親水性層から支持体への
熱の逃散が防止できて感光度が上がる。また、支持体が
金属支持体(たとえばアルミニウム板)の場合には、特
に熱の逃散の防止効果が大きい。さらに、支持体及び親
水性層と親和性のある結着剤を選択することによって層
間の密着性を良くして耐刷性を向上できる。
【0019】また、金属微粒子を含有する親水性層の表
面を親水性基と金属吸着基とをそれぞれ少なくとも1個
有する有機硫黄化合物で処理することにより、金属微粒
子に有機硫黄化合物が吸着され、親水性層の親水性が向
上する。像様の光照射により金属微粒子は熱飛散して除
去されるので、照射領域では有機硫黄化合物の作用も消
失する。その結果、非照射領域の親水性と照射領域の疎
水性の差がより大きくなり識別性が一層向上する。識別
性の増大によって印刷品質と耐刷性がさらに向上する。
【0020】また、親水性層の上に水可溶性の保護層を
設けることにより、原板が製品形態で輸送されたり、保
管されたりする際、あるいは使用前の取り扱いの際、環
境の雰囲気の影響によって疎水性化したり、温湿度の影
響を受けたり、あるいは機械的な傷など又は汚れなどの
影響を受けたりすることが防止される。水可溶性の保護
層は、印刷の初期の段階で湿し水に溶解して洗い去られ
るので、保護層の除去のための付加的な操作は不要であ
る。
【0021】このように支持体上と親水性層の間に設け
られた光熱変換剤を含有する疎水性層或いは光熱変換性
の金属薄膜層(それらを第一の層と呼ぶこともある)
は、発熱層として親水性層の熱飛散の補強と熱の逃散の
バリアー層として機能して、本発明の目的達成の鍵とな
っているが、この疎水性層或いは金属薄膜層自体も熱飛
散除去されてもよく、またその熱飛散除去が不完全であ
ってもこの層又は薄膜は疎水性であってインキ受容性で
あるので、印刷汚れなどの印刷品質への悪影響をもたら
すことはない。したがって描画用のレーザー光の強度を
抑制できて熱飛散による装置の汚染や印刷面の汚れを少
なくできるほか、レーザー光強度のラチチュードも拡大
される。さらに、本発明の平版印刷原板を用いた製版工
程は、現像処理を必要としない簡易なものである。
【0022】また、本発明の平版印刷用原板に熱線を像
様照射する際には、照射領域の親水性層は、熱飛散除去
されてもよいが、湿し水ローラー及びインキローラーの
少なくとも一方でこすることによって除去される程度に
脆化すればよく、その程度の照射であれば、熱飛散によ
る露光装置の汚れや印刷版の汚れが防止できて好都合で
ある。
【0023】本発明の平版印刷用原板とその製版過程を
図1の模式図によってさらに説明する。図1は、本発明
の平版印刷原板を用いて刷版を作製する過程を示す模式
図である。図1の左側に示した本発明の印刷原板1は、
支持体2とその上に設けられた光熱変換剤を含有する疎
水性層3、さらに疎水性層3上に塗設された表面が親水
性層4からなり、親水性層4には光熱変換に伴って発熱
する金属微粒子、例えば金属銀微粒子5が含有されてい
る。光熱変換剤を含有する疎水性層3は、光熱変換性の
金属薄膜層であってもよい。図1の右側に示した印刷版
11は、左側の原板1の上方に矢印で示したレーザー光
6の照射によって銀の微粒子5が吸収光を熱に変換して
周囲の結着剤とともに熱飛散し、疎水性層もある程度熱
飛散した結果、親水性層と疎水性層(少なくとも一部)
が消滅して被照射領域に疎水性領域を形成していること
を示している。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。なお、本明細書においては、支持体
上の光熱変換剤を含有する疎水性層を単に「疎水性層」
と呼び、疎水性層及び同じ機能をもつ疎水性の金属薄膜
を併せて「第一の層」と呼ぶこともある。また、光熱変
換性金属粒子を含有する親水性層を単に「親水性層」又
は「第二の層」と称することもある。
【0025】〔親水性層〕親水性表面を有する親水性層
に含まれる光熱変換剤としては、親水性層の結着樹脂に
分散しうる金属微粒子が用いられる。本発明の効果を発
揮するためには、光熱変換剤である金属微粒子を含んだ
親水性層が上記の熱融解を引き起こすに足る光吸収能を
有している必要がある。その必要な光吸収能は、照射光
の分光波長領域中に透過濃度が0.3以上となる分光吸
収領域を有することである。なお、親水性層の透過濃度
は、国際規格 ISO5-3 及び ISO5-4 に準拠して測定した
値である。
【0026】(金属微粒子)次に、光熱変換性の金属微
粒子について述べる。本発明の金属微粒子に用いられる
金属としては、光熱変換性で光照射によって熱融着する
金属微粒子であればいずれの金属微粒子でもよいが、好
ましい微粒子を構成する金属は、第8族及び第1B族か
ら選ばれる単一金属又は合金であり、好ましくは、C
u、Ag、Au、Pt、Pd、Ir及びRhの単一金属
又は合金であり、さらに好ましくは、Cu、Ag、A
u、Pt及びPdである。本発明の金属コロイドは、分
散安定剤を含む水溶液に上記の金属塩又は金属錯塩の水
溶液を添加し、さらに還元剤を添加して金属コロイドと
したのち、不要な塩を除去することによって得られる。
本発明に用いる分散安定剤には、クエン酸、シュウ酸な
どのカルボン酸及びその塩、PVP,PVA,ゼラチ
ン、アクリル樹脂などのポリマーなどを用いることがで
きる。
【0027】本発明に用いる還元剤としては、FeSO
4 やSnSO4 などの卑金属塩、水素化ほう素化合物、
ホルマリン、デキストリン、ブドウ糖、ロッセル塩、酒
石酸、チオ硫酸ナトリウム、次亜燐酸塩などがある。本
発明に用いられる金属コロイドの平均粒子サイズは、1
〜50nmであるが、好ましくは、1〜20nm、さら
に好ましくは、1〜10nmである。その分散度は多分
散でもよいが、変動係数が30%以下の単分散の方が好
ましい。本発明において用いられる塩類除去の方法とし
ては、限外濾過によるほかに、コロイド分散系にメタノ
ール/水またはエタノール/水を添加して自然沈降又は
遠心沈降させて、その上澄み液を除去する方法がある。
【0028】以上に述べた金属単体及び合金の微粒子
は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効
果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性で
かつ粒子への吸着性あるいは反応性を有する有機硫黄化
合物が好ましい。また、界面活性剤で表面処理したり、
保護コロイド性の親水性皮膜を設けたり、表面をシリケ
ート処理することができる。シリケート処理としては、
70℃の珪酸ナトリウム(3%)水溶液に30秒浸漬す
る方法が好ましく用いられる。
【0029】第二の層中に含まれる光熱変換性でかつ光
熱変換によって極性変換する金属微粒子の含有量は、固
形の構成成分の2質量%以上であり、これらの微粒子を
単一の層構成成分とする場合は、実質的に100質量%
である。第二の層が金属微粒子を分散した親水性結着樹
脂からなる場合には、金属微粒子の含有量は2〜95質
量%であり、好ましくは5〜90質量%である。2質量
%未満では発熱量が不足し、95質量%を越えると膜強
度が低下する。
【0030】(光熱変換性金属微粒子を含む親水性層の
構成)以上に、第二の層に含有される光熱変換剤である
金属微粒子について述べた。つぎにこれを含んだ親水性
層すなわち第二の層の構成について述べる。本発明の光
熱変換性金属微粒子を含む親水性層の構成は、光熱変換
剤である金属微粒子が結着樹脂に分散した層構成であ
り、好ましくは表面が親水性の金属微粒子が親水性の結
着樹脂に分散した層構成である。とくに親水性の結着樹
脂が、親水性高分子結着樹脂又は親水性のゾルゲル変換
系結着樹脂であることが好ましく、そのなかでも高い親
水性を有する結着樹脂としてポリシロキサンゲル組織を
形成する性質を有するゾルゲル変換系結着樹脂が好まし
い。以下に第二の層の親水性結着樹脂について説明す
る。
【0031】<ゾルゲル変換系の親水性結着剤>本発明
の第二の層のとくに好ましい結着剤は、以下に述べるゾ
ルゲル変換系結着樹脂である。本発明に好ましく適用で
きるゾルゲル変換が可能な系は、多価元素から出ている
結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時に
多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有していて
これらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であ
って、アルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態で
あり、脱水縮合が進行するのに伴って網目状の樹脂構造
が強固となる。また、樹脂組織の親水性度が変化する性
質に加えて、水酸基の一部が固体微粒子に結合すること
によって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化さ
せる働きをも併せ持っている。ゾルゲル変換を行う水酸
基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、ア
ルミニウム、珪素、チタン及びジルコニウムなどであ
り、これらはいずれも本発明に用いることができるが、
以下はもっとも好ましく用いることのできるシロキサン
結合によるゾルゲル変換系について説明する。アルミニ
ウム、チタン及びジルコニウムを用いるゾルゲル変換
は、下記の説明の珪素をそれぞれの元素に置き換えて実
施することができる。
【0032】すなわち、とくに好ましく用いられるのは
ゾルゲル変換が可能な、少なくとも1個のシラノール基
を有するシラン化合物を含んだ系である。
【0033】以下に、ゾルゲル変換を利用する系につい
てさらに説明する。ゾルゲル変換によって形成される無
機親水性結着樹脂は、好ましくはシロキサン結合及びシ
ラノール基を有する樹脂であり、本発明の平版印刷版用
原板の第二の層は、少なくとも1個のシラノール基を有
するシラン化合物を含んだゾルの系である塗布液を、塗
布後の経時の間に、シラノール基の加水分解縮合が進ん
でシロキサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進行する
ことによって形成される。また、このゾルゲル変換によ
って形成される層は、膜強度、柔軟性などの物理的性能
の向上や、塗布性の改良などを目的として、後述する有
機親水性ポリマーや架橋剤などを添加することも可能で
ある。ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、下記一般
式(I)で、また少なくとも1個のシラノール基を有す
るシラン化合物は、下記一般式(II)で示される。ま
た、第二の層に含まれる物質系は、必ずしも一般式(I
I)のシラン化合物単独である必要はなく、一般には、
シラン化合物が部分加水重合したオリゴマーからなって
いてもよく、あるいは、シラン化合物とそのオリゴマー
の混合組成であってもよい。
【0034】
【化1】
【0035】上記一般式(I)のシロキサン系樹脂は、
下記一般式(II)で示されるシラン化合物の少なくとも
1種を含有する分散液からゾル−ゲル変換によって形成
され、一般式(I)中のR01〜R03の少なくとも一つは
水酸基を表し、他は下記一般式(II)中の記号のR0
びYから選ばれる有機残基を表わす。
【0036】一般式(II) (R0nSi(Y)4-n 一般式(II)中、R0は水酸基、炭化水素基又はヘテロ
環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原子、−O
1、−OCOR2、又は、−N(R3)(R4)を表す
(R1、R2は、各々炭化水素基を表し、R3、R4は同じ
でも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表
す)。nは0、1、2又は3を表わす。
【0037】一般式(II)中のR0の炭化水素基又はヘ
テロ環基とは、例えば炭素数1〜12の置換されてもよ
い直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基、ドデシル基等;これらの基に置換される基として
は、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原
子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スル
ホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR′基(R′は、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、プロペニル
基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノ
エチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブロ
モエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシ
プロピル基、ベンジル基等を示す)、
【0038】−OCOR''基(R''は、前記R'と同一
の内容を表わす)、−COOR''基、−COR''基、−
N(R''')( R''' )(R''' は、水素原子又は前記
R'と同一の内容を表わし、各々同じでも異なってもよ
い)、−NHCONHR''基、−NHCOOR''基、−
Si(R'')3 基、−CONHR''' 基、−NHCO
R''基、等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基
中に複数置換されてもよい)、炭素数2〜12の置換さ
れてもよい直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えば、
ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、
ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル
基等、これらの基に置換される基としては、前記アルキ
ル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ
る)、炭素数7〜14の置換されてもよいアラルキル基
(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプ
ロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基
等;これらの基に置換される基としては、前記アルキル
基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又複
数置換されてもよい)、
【0039】炭素数5〜10の置換されてもよい脂環式
基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基、ノルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置
換される基としては、前記アルキル基の置換基と同一の
内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭
素数6〜12の置換されてもよいアリール基(例えばフ
ェニル基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキル
基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又、
複数置換されてもよい)、又は、窒素原子、酸素原子、
イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有す
る縮環してもよいヘテロ環基(例えば該ヘテロ環として
は、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン
環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリ
ジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾー
ル環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒド
ロフラン環等で、置換基を含有してもよい。置換基とし
ては、前記アルキル基中の置換基と同一の内容のものが
挙げられ、又複数置換されてもよい)を表わす。
【0040】一般式(II) 中のYの−OR1基、−OC
OR2基又は−N(R3)(R4)基の置換基としては、
例えば以下の置換基を表わす。−OR1基において、R1
は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプ
チル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル
基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メ
トキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル
基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メ
トキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオ
キサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシク
ロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベン
ジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
【0041】−OCOR2基において、R2は、R1と同
一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されても
よい芳香族基(芳香族基としては、前記R中のアリール
基で例示したと同様のものが挙げられる)を表わす。又
−N(R3)(R4)基において、R3、R4は、互いに同
じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜
10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−O
1基のR1と同様の内容のものが挙げられる)を表わ
す。より好ましくは、R3とR4の炭素数の総和が16個
以内である。一般式(II)で示されるシラン化合物の具
体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定
されるものではない。
【0042】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロピルシラ
ン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラ−n−ブトキ
シシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロム
シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルト
リt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチ
ルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラ
ン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリ
クロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−
プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリク
ロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−へキ
シルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシ
ラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へ
キシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロル
シラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリ
メトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−
デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−
ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、
n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシル
トリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシ
ラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n
−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、
【0043】フェニルトリクロルシラン、フェニルトリ
ブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメトキシジエ
トキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブ
ロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニル
ジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェ
ニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラ
ン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジ
メトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ト
リエトキシヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、ト
リメトキシヒドロシラン、イソプロポキシヒドロシラ
ン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロル
シラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプ
ロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリ
フルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロ
ピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラ
ン、
【0044】トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタア
クリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタ
アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−
ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げ
られる。
【0045】本発明の親水性層の無機親水性結着樹脂形
成に用いる一般式(II)で示されるシラン化合物ととも
に、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等のゾル−ゲル変換
の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化合物を併用する
ことができる。用いられる金属化合物として、例えば、
Ti(OR'')4(R''はメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、TiC
4、Zn(OR'')2、Zn(CH3COCHCOC
32、Sn(OR'')4、Sn(CH3COCHCOC
34、Sn(OCOR'')4、SnCl4、Zr(O
R'')4、Zr(CH3COCHCOCH34、Al(O
R'')3、Al(CH3COCHCOCH33等が挙げら
れる。
【0046】更に、一般式(II)で示されるシラン化合
物、更には併用する前記の金属化合物の加水分解及び重
縮合反応を促進するために、酸性触媒又は塩基性触媒を
併用することが好ましい。触媒は、酸あるいは塩基性化
合物をそのままか、あるいは水またはアルコールなどの
溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触
媒、塩基性触媒という)を用いる。そのときの濃度につ
いては特に限定しないが、濃度が濃い場合は加水分解、
重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の濃い塩
基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場
合があるため、塩基性触媒の濃度は1N(水溶液での濃
度換算)以下が望ましい。
【0047】酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に
限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場
合には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよ
うな元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性
触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫
酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、
蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表され
る構造式のRを他元素または置換基によって置換した置
換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸な
ど、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニ
ア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類など
が挙げられる。
【0048】以上述べたように、ゾル−ゲル法によって
作成される第二の層は、本発明の平版印刷版用原版にと
くに好ましい。上記のゾル−ゲル法のさらに詳細は、作
花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社
(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法によ
る機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(19
92年)等の成書等に詳細に記述されている。
【0049】<親水性高分子化合物>本発明の平版印刷
版用原版の親水性層に含有される結着樹脂として、上記
のゾルゲル変換系結着樹脂のほかに、親水性層としての
適度な強度と表面の親水性を付与する水酸基、を有する
有機高分子化合物を用いることができる。具体的には、
ポリビニルアルコール(PVA),カルボキシ変性PV
A等の変性PVA,澱粉及びその誘導体、カルボキシメ
チルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズのような
セルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピ
ロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン
−マレイン酸共重合体、アルギン酸及びそのアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、ポリア
クリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリ(エチレンオキサイ
ド)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、
ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリ
コールジアクリレート系ポリマー、N−ビニルカルボン
酸アミドポリマー等の水溶性樹脂が挙げられる。
【0050】又、上記水酸基を有する有機高分子化合物
を架橋し、硬化させる耐水化剤としては、グリオキザー
ル、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデ
ヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN
−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂な
どのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−
ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合
物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリアミド・ポリアミン・エピクロ
ロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂
などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオ
グリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアク
リル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物な
どのポリカルボン酸類、ほう酸、チタニルスルフェー
ト、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋
剤、変成ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。
そのほか、塩化アンモニウム、シランカップリング剤、
チタネートカップリング剤などの架橋触媒を併用でき
る。
【0051】本発明において、上記水酸基を有する有機
高分子化合物中でも、好ましくはゼラチンを主として使
用される。ゼラチンは誘導タンパク質の一種であるが、
いずれのコラーゲンから製造されたゼラチンでも、特に
限定されるることなく使用することができる。好ましく
は、淡色、透明、無味、無臭の外観を示すものがよい。
更には、写真乳剤用ゼラチンが、水溶液とした場合の粘
度、ゲルのゼリー強度等の物性が一定の範囲内にあるこ
とからより好ましい。
【0052】また、ゼラチンを結着樹脂として用いた親
水性層は、ゼラチン硬化性化合物を併用し、該層を硬化
して、耐水性良好なものとするのが好ましい。ゼラチン
硬化性化合物としては、従来、公知の化合物を用いるこ
とができる。例えば、T.H.James 「The theory of the
Photographic Process」第2章 セクションIII ,Macmi
llan Publishinng Co. Innc. (1977年刊)、リサー
チ・ディスクロージャー誌NO.17643,P26
(1970年12月発行)等に記載されている。
【0053】好ましくは、スクシンアルデヒド、グルタ
ルアルデヒド、アジポアルデヒドのジアルデヒド類、ジ
ケトン類(例えば、2,3−ブタンジオン、2,5ーヘ
キサンジオン、3−ヘキセン−2,5−ジオン、1,2
−シクロペンタンジオン等)、電子吸引基を隣接結合し
た二重結合を2個以上有する活性オレフィン化合物等が
挙げられる。
【0054】ゼラチン硬化性化合物は、ゼラチン100
質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。より
好ましくは、0.8〜10質量部である。この範囲にお
いて、得られた親水性層は、膜強度が保持され、耐水性
を示すと同時に、画像の記録層の親水性を阻害しない。
【0055】結着剤としての親水性有機高分子化合物と
ゾルゲル変換系樹脂とは、均一混合できる場合には混合
して用いてもよく、また単独で用いてもよい。
【0056】(親水性層へのその他の添加成分)親水性
層中には、上記した金属微粒子及び親水性結着樹脂のほ
かに、親水性の程度の制御、記録層の物理的強度の向
上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の
向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上などの種々
の目的の化合物を添加することができる。これらの添加
物には、例として以下のものが挙げられる。
【0057】<親水性ゾル状粒子>親水性層に添加でき
る無機微粒子としては、酸化チタン、含水酸化チタン、
酸化亜鉛、水酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシ
ウム、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムなどが
挙げられ、より好ましくは、ゾル状に分散した酸化チタ
ン、含水酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化鉄、シリカ、ア
ルミナ、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物であ
る。これらは光熱変換性ではなくても皮膜の強化及び表
面粗面化による界面接着性の向上などに用いることがで
きる。これらの無機微粒子を親水性層中に添加する場合
には、その含有量は、固形の構成成分の1〜70質量
%,好ましくは5.0〜50質量%である。。
【0058】上記のシリカゾルは、表面に多くの水酸基
を持ち、内部はシロキサン結合(−Si−O−Si)を
構成している。粒子径1〜100nmのシリカ超微粒子
が、水もしくは、極性溶媒中に分散したであり、コロイ
ダルシリカとも称されているものである。具体的には、
加賀美敏郎、林瑛監修「高純度シリカの応用技術」第3
巻、(株)シーエムシー(1991年)に記載されてい
る。
【0059】又アルミナゾルは、5〜200nmのコロ
イドの大きさをもつアルミナ水和物(ベーマイト系)
で、水中の陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオ
ン等のハロゲン原子イオン、酢酸イオン等のカルボン酸
アニオン等)を安定剤として分散されたものである。
【0060】上記親水性ゾル状粒子は、平均粒径が10
〜50nmのものが好ましいが、より好ましい平均粒径
は10〜40nmのものである。これら親水性ゾル状粒
子は、いずれも、市販品として容易に入手できる。
【0061】親水性ゾル状粒子(単にシリカ粒子という
こともある)の粒径が上記範囲内にあると、結着樹脂内
に光熱変換剤としての金属微粒子とも安定に分散して、
親水性層の膜強度を充分に保持し、しかもレーザー光等
により露光して製版し、印刷版として印刷すると、非画
像部への印刷インクの付着汚れを生じない極めて親水性
に優れたものになるという効果を発現する。また、本発
明に使用する上記金属微粒子と併用してもよいシリカ粒
子の存在割合は100/0〜30/70の質量比(金属
微粒子/シリカ粒子)であり、好ましくは100/0〜
40/60の質量比である。また、金属微粒子及び親水
性ゾル状粒子を親水性層に添加する場合、その合計の添
加量は、親水性層の固形物成分の2〜95質量%であ
り、好ましくは5〜85質量%である。
【0062】<有機高分子化合物>上記した目的のため
に、とくに親水性の調節や親水性層の強度、該記録層中
の他の成分の相互溶解性の改善などのために、親水性層
中に有機高分子化合物を添加することができる。添加す
る有機高分子化合物としては、例えば、ポリ塩化ビニ
ル、ポリビニルアセテート、ポリビニルフェノール、ポ
リビニルハロゲン化フェノール、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポ
リアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポ
リカーボネート、エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク、又はレゾールフェノール類とアルデヒド又はケトン
との縮合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、シ
リコーン樹脂などが挙げられる。
【0063】本発明の親水性層に用いられる有機高分子
化合物は、水性エマルジョンから構成されたものが好ま
しく用いられる。水性エマルジョンとは、微小なポリマ
粒子と、必要に応じて該粒子を分散安定化する保護剤と
からなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマー懸濁水
溶液のことである。本発明に用いられる水性エマルジョ
ンの具体例としては、ビニル系ポリマーラテックス(ポ
リアクリレート系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニ
ル系など)、共役ジエン系ポリマーラテックス(メタク
リル酸メチル−ブタジエン系、スチレン−ブタジエン
系、アクリロニトリル−ブタジエン系、クロロプレン系
など)及びポリウレタン樹脂などが挙げられる。
【0064】有機高分子化合物を親水性層に添加する場
合、その添加量は具体的には、親水性層の固形物に対し
て1〜20質量%が適当であり、2〜10質量%が好ま
しい。
【0065】<界面活性剤>本発明の平版印刷版用原板
の親水性層中には、印刷条件に対する安定性を拡げるた
め、ノニオン系及びアニオン系界面活性剤のほか、特開
平2−195356号公報に記載されているようなカチ
オン界面活性剤、含フッ素界面活性剤、及び特開昭59
−121044号及び特開平4−13149号公報に記
載されている両性界面活性剤を添加することができる。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチ
レンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリル
エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルアリー
ルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピ
レンブロックコポリマー類、さらにポリオキシエチレン
・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの端末のヒ
ドロキシル基に炭素数5〜24の脂肪族基がエーテル結
合した複合ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、
同じくアルキル置換アリール基がエーテル結合した複合
ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル類、ソ
ルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレー
ト、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパル
ミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオ
レートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレ
ンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビ
タントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン
トリオレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル類などが挙げられる。
【0066】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
やN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商
品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。アニオン系活性剤の具体例としては、アルキルスル
ホン酸類、アリールスルホン酸類、脂肪族カルボン酸
類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキルナフタ
レンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸とホルムアル
デヒドの縮合型のもの、炭素数9〜26の脂肪族スルホ
ン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類、ラウリルポリ
オキシエチレン硫酸、セチルポリオキシエチレンスルホ
ン酸、オレイルポリオキシエチレンホスホン酸などのポ
リオキシエチレン含有硫酸やポリオキシエチレン含有燐
酸などが挙げられる。カチオン活性剤の具体例として
は、ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルア
ンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニ
ウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウ
ムクロライドなどが挙げられる。
【0067】親水性層には、場合によりさらに、上記の
界面活性剤の添加量の範囲内でフッ素系の界面活性剤を
用いることもできる。具体的にはパーフルオロアルキル
基を有する界面活性剤が好ましく、カルボン酸、スルホ
ン酸、硫酸エステル及びリン酸エステルのいづれかを有
するアニオン型の界面活性剤、又は、脂肪族アミン、第
4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性剤、
又はベタイン型の両性界面活性剤、又は、ポリオキシ化
合物の脂肪族エステル、ポリアルキレンオキシド縮合
型、ポリエチレンイミン縮合型のようなノニオン型界面
活性剤などが挙げられる。上記界面活性剤の画像形成層
全固形物中に占める割合は、0.05〜15質量%が好
ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0068】〔疎水性層〕次に、疎水性層について説明
する。本発明の平版印刷用原版に用いられる疎水性層
は、前記したようにレーザー光照射により熱飛散性ある
いはこすりを加えたときの除去性、すなわちアブレーシ
ョン性を向上させて光感度を高くする目的で、支持体と
親水性の親水性層との間に設けられる。疎水性層は、レ
ーザー光によって熱的に飛散可能で、かつ疎水性のもの
であれば、いずれの物質の層でも良いが、好ましい疎水
性層は、(1)光熱変換性の金属又は金属化合物薄膜及
び(2)光熱変換性剤を含有している疎水性層とくに熱
可塑性で疎水性の高分子層である。以下これらの疎水性
層についてさらに説明する。
【0069】(光熱変換性の金属又は金属化合物薄膜)
疎水性層が金属薄膜の場合、その金属は遷移金属、イン
ジウム、錫、アンチモン、タリウム、テルル、鉛、ビス
マス、アルミニウム、カリウム、ゲルマニウム、テルル
などの金属あるいはこれらの合金が望ましい。遷移金属
とは原子番号21から30のスカンジウムから亜鉛、原
子番号39から48のイットリウムからカドミウム、原
子番号72から80のハフニウムから水銀、原子番号5
7から71のランタノイド系希土類金属などの任意の遷
移金属の化合物を用いることができる。なお、一般に亜
鉛、カドミウム、水銀は電子殻がとりうる構造が多いの
で遷移金属に含ませる場合と含ませない場合があるが、
本発明ではこれらの元素も本発明の効果が認められるの
で遷移金属に含めている。中でもチタン、亜鉛、鉄、コ
バルト、ニッケル、銅、錫、テルル、インジウム、バナ
ジウム、ビスマス、銀及びジルコニウムが望ましい。特
に500℃以下の融点の錫、テルル、ビスマス、亜鉛が
望ましい。金属薄膜の疎水性層の膜厚は10nm〜1μ
mが望ましい。中でも50nm〜500nmが特に望ま
しい。
【0070】疎水性層が金属化合物薄膜の場合、好まし
い金属化合物は、無機金属酸化物、無機金属窒化物及び
金属硫化物が挙げられる。
【0071】好ましい無機金属酸化物としては、遷移金
属の酸化物及び周期律表の2〜8族の金属元素の酸化物
である。遷移金属酸化物には鉄、コバルト、クロム、マ
ンガン、チタン、ニッケル、モリブデン、テルル、ニオ
ブ、イットリウム、ジルコニウム、ビスマス、ルテニウ
ム、バナジウム、銀などの酸化物が含まれる。また、必
ずしも遷移金属に含めない分類法もあるが、亜鉛、水
銀、カドミウムの酸化物も本発明に用いることができ
る。これらの中では、FeO,Fe2 3 ,Fe
34 ,CoO,Cr2 3 ,TiO,MnO2 ,Zr
2 ,Bi2 3 ,CuO,CuO2 ,AgO,Pb
O,PbO2 、VOx (x=1〜5)がとくに好ましい
金属酸化物の例として挙げられる。
【0072】無機金属窒化物には、TiNx (x=1.
0〜2.0)、SiNx (x=1.0〜2.0)、Al
x (x=1.0〜2.0)などが挙げられる。TiN
x (x=1.0〜2.0)としては、青銅色のTiNや
褐色のTiNx (x=1.3)が挙げられる。SiNx
(x=1.0〜2.0)としては、Si2 3 ,Si
N,Si3 4 が挙げられる。また、AlNx (x=
1.0〜2.0)にはAlNなどを挙げることができ
る。
【0073】光熱変換性微粒子が金属硫化物からなる場
合、好ましい金属硫化物は、遷移金属などの重金属硫化
物である。中でも好ましい硫化物には鉄、コバルト、ク
ロム、マンガン、ニッケル、モリブデン、テルル、スト
ロンチウム、錫、銅、銀、鉛、カドミウムの硫化物が挙
げられ、とりわけ、硫化銀、硫化第一鉄、硫化第一錫及
び硫化コバルトが好ましい。金属化合物薄膜の疎水性層
の膜厚は10nm〜1μmが望ましい。中でも50nm
〜500nmが特に望ましい。
【0074】これらの金属又は金属薄膜は、真空蒸着、
スパッタリング、イオンプレーティングなどの公知の方
法で支持体上に設けられる。金属薄膜の形成には、減圧
下で金属を加熱して支持体上に蒸着させる。また、金属
酸化物及び金属窒化物の薄膜形成には、アルゴン/酸素
雰囲気、アルゴン/窒素雰囲気などを選択してREスパ
ッタリングを行うなどによって膜形成を行うことができ
る。金属硫化物の薄膜は、金属硫化物の鋳塊から金属薄
膜の作製と同様の方法で蒸着させて得られる。
【0075】(光熱変換物質を含有する疎水性層)金属
又は金属化合物薄膜以外の疎水性層としては、疎水性で
かつ熱可塑性である樹脂を結着剤として光熱変換性剤を
分散して含有する薄層であり、レーザービーム光を熱に
変換する物質を含有してレーザー光に対する光熱変換感
度を高めた層が好ましい。結着剤である疎水性でかつ熱
可塑性を有する樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂、塩化
ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラー
ル樹脂、ニトロセルロース、ポリアクリレート、ポリメ
タクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ
スチレン、塩化ビニル樹脂−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化
ビニル−樹脂ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル
−アクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビ
ニリデン−アクリロニトリル共重合体、などがあげられ
る。
【0076】疎水性樹脂が水性エマルジョンから構成さ
れているものも用いることができる。水性エマルジョン
とは、微小なポリマー粒子と、必要に応じて該粒子を分
散安定化する保護剤とからなる粒子を水中に分散させた
疎水性ポリマー懸濁水溶液のことである。用いられる水
性エマルジョンの具体例としては、ビニル系ポリマーラ
テックス(ポリアクリレート系、酢酸ビニル系、エチレ
ン−酢酸ビニル系など)、共役シエン系ポリマーラテッ
クス(メタクリル酸メチル−ブタジエン系、スチレン−
ブタジエン系、アグリロニトリル−プブタジエン系、ク
ロロプレン系など)及びポリウレタン樹脂などが挙げら
れる。
【0077】熱可塑性樹脂の疎水性層に含有させる光熱
変換性の物質としては、金属及び金属酸化物粒子、顔料
粒子、及び染料が好ましい。金属及び金属酸化物粒子と
しては、前記した薄膜として用いる金属及び金属化合物
の中から選択される粒子化して熱可塑性樹脂に分散しう
るものを用いることができ、とくに鉄、銀、白金、金、
パラジウムの金属微粒子が好ましい。
【0078】そのほか、TiOx (x=1.0〜2.
0)、SiOx (x=0.6〜2.0)、AlOx (x
=1.0〜2.0)、銅、銀及び錫のアジド化物などの
金属アジド化合物も好ましい。
【0079】これら熱可塑性樹脂に含有させることがで
きる上記の各金属酸化物、窒化物及び硫化物は、いずれ
も公知の製造方法によって得られる。また、チタンブラ
ック、鉄黒、モリブデン赤、エメラルドグリーン、カド
ミウム赤、コバルト青、紺青、ウルトラマリンなどの名
称で市販されているものも多い。
【0080】上記の金属化合物及び金属のほかに、カー
ボンブラック、黒鉛(グラファイト)、骨炭(ボーンブ
ラック)などの非金属単体粒子や各種の有機、無機顔料
も光熱変換性微粒子として熱可塑性樹脂に含有させるこ
とができる。また、粒子形態ではない光熱変換性の染料
も樹脂層中に添加することができる。
【0081】疎水性層には、光熱変換性の色素を上記し
た他の光熱変換剤とともに、又は単独で添加してもよ
い。光熱変換剤として含有される色素は、照射光の分光
波長領域に光吸収域を有し、かる結着樹脂に分散されう
る固体微粒子状の顔料及び照射光の分光波長領域に光吸
収域を有し、かつ結着樹脂に染着性の、又は非染着性で
分子分散性の染料を用いることができる。好ましい固体
微粒子状、染着性及び分子分散性の色素は、IR(赤外
線)吸収剤であり、具体的には、ポリメチン色素、シア
ニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジイ
ンモニウム色素、フタロシアニン化合物、トリアリール
メタン色素、金属ジチオレンから選ばれる染料である。
これらのうち更に好ましいものとしては、ポリメチン色
素、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色
素、ジインモニウム色素、フタロシアニン化合物であ
り、その中でも合成適正の観点からポリメチン色素、シ
アニン色素、フタロシアニン化合物がもっとも好まし
い。
【0082】さらに市販染料や顔料であって、粒子形態
で、あるいは分子分散の形態で樹脂中に添加できる顔料
及び染料には、コバルトグリーン(C.I.7733
5),エメラルドグリーン(C.I.77410),フ
タロシアニンブル−(C.I.74100),銅フタロ
シアニン(C.I.74160),ウルトラマリン
(C.I.77007),紺青(C.I.7751
0),コバルト紫(C.I.77360),パリオジェ
ン赤310(C.I.71155),パーマネントレッ
ドBL(C.I.71137),ペリレン赤(C.I.
71140),ローダミンレーキB(C.I.4517
0:2),ヘリオボルドーBL(C.I.1483
0),ライトファーストレッドトーナーR(C.I.1
2455),ファーストスカーレットVD、リゾールフ
ァーストスカーレットG(C.I.12315),パー
マネントブラウンFG(C.I.12480),インダ
ンスレンブリリアントオレンジRK(C.I.5930
0),赤口黄鉛(C.I.77601),ハンザイエロ
ー10G(C.I.11710),チタンイエロー
(C.I.77738),亜鉛黄(C.I.7795
5),クロムイエロー(C.I.77600)なども挙
げられるほか、静電記録用トナーに用いられる各種の顔
料も好ましく用いることができる。
【0083】疎水性層中には、上記した樹脂及び光熱変
換剤のほかに、層を構成する組成物相互の分散性の向
上、塗布性の向上、親水性層との接着性向上などの理由
で、種々の目的の化合物を添加することができる。これ
らの添加物には、例として以下のものが挙げられる。
【0084】親水性層に添加することができるものとし
て記載したものが、疎水性層にも使用することができ
る。その添加量も親水性層に関して記載した範囲と同じ
である。
【0085】本発明において、これらの赤外線吸収剤を
用いる場合、その添加量は、疎水性層の全固形分中、1
質量%以上であり、好ましくは2質量%以上、特に好ま
しくは5質量%以上で用いられる。赤外線吸収剤の含有
量が1質量%未満であると感度が低くなってしまう。添
加量の上限は、結着剤中に安定に分散している限り制約
はないが、全固形分の95質量%であり、好ましい添加
量は50質量%以下である。
【0086】疎水性層中に含まれる光熱変換性の微粒子
の含有量は、固形の構成成分の2質量%以上であり、光
熱変換性の微粒子を単一の層構成成分とする場合は、実
質的に100質量%である。画像形成層が光熱変換性の
微粒子を分散した疎水性媒質からなる場合には、微粒子
の含有量は、2〜95質量%であり、好ましくは、5〜
90質量%である。2質量%以下では発熱量が不足し、
95質量%以上では膜強度が低下する。熱可塑性樹脂の
疎水性層の膜厚は0.01〜10μmが望ましい。中で
も0.1〜5.0μmが好ましい。
【0087】〔水可溶性の保護層〕水可溶性の保護層
は、本発明の平版印刷原板の表面が親水性であるので、
原板が製品形態で輸送されたり、保管されたりする際、
あるいは使用前の取り扱いの際、環境の雰囲気の影響に
よって疎水性化したり、温湿度の影響を受けたり、ある
いは機械的な傷など又は汚れなどの影響を受けやすいこ
とに鑑みて、これを防止するために、親水性の平版印刷
用原板の表面保護層として機能する。水可溶性の保護層
は、印刷の初期の段階で湿し水に溶解して洗い去られる
ので、特に除去の手間をかける必要はなく、印刷の支障
にはならない。以下水溶性層の保護層に含有される成分
について説明する。
【0088】<水溶性高分子>水可溶性層に含有される
水溶性高分子は、水可溶性層の結着樹脂として機能す
る。水溶性高分子としては、例えば水酸基、カルボキシ
ル基、塩基性窒素含有基等の基を十分に有する高分子が
挙げられる。具体的には、ポリビニルアルコール(PV
A)、カルボキシ変性PVA等の変性PVA、アラビア
ガム、ポリアクリルアミド及びその共重合体、アクリル
酸共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共
重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレ
ン/無水マレイン酸共重合体、焙焼デキストリン、酸素
分解デキストリン、酵素分解エーテル化デキストリン、
澱粉及びその誘導体、カルボキシメチルセルローズ、カ
ルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ、ヒドロ
キシエチルセルローズのようなセルロース誘導体、カゼ
イン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−
クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、
アルギン酸及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩又はアンモニウム塩、ポリアクリル酸、ポリ(エチレ
ンオキサイド)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエス
テル樹脂、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、N−ビ
ニルカルボン酸アミドポリマー等が挙げられる。なかで
も、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシ変性
PVA等の変性PVA、アラビアガム、ポリアクリルア
ミド、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、ポリビニ
ルピロリドン、アルギン酸及びそのアルカリ金属塩の使
用が好ましい。
【0089】塗布液中の上記水溶性樹脂の含有量は、3
〜25質量%が適当であり、好ましい範囲は10〜25
質量%である。なお、本発明においては上記水溶性樹脂
を2種以上混合使用してもよい。
【0090】<水可溶性層の保護層が含有する他の成分
>塗布液中には、そのほかに種々の界面活性剤を添加し
てもよい。使用できる界面活性剤としてはアニオン界面
活性剤又はノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン
界面活性剤としては脂肪族アルコール硫酸エステル塩
類、脂酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レプリン酸、有機スル
ホン酸などがあり、鉱酸としては硝酸、硫酸、燐酸等が
有用である。鉱酸、有機酸又は無機塩等の少なくとも1
種もしくは2種以上併用してもよい。用いられる界面活
性剤としては、前記した親水性層に用いられる界面活性
剤と同様なものを用いることができる。界面活性剤は水
可溶性層の全固形分当たり、好ましくは0.01〜1質
量%であり、更に好ましくは0.05〜0.5質量%で
ある。
【0091】上記成分の他必要により湿潤剤としてグリ
セリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール
等の低級多価アルコールも使用することができる。これ
ら湿潤剤の使用量は表面保護層中に0.1〜5.0質量
%となる量が適当であり、好ましい範囲は0.5〜3.
0質量%となる量である。以上の他に本発明の平版印刷
用原板の表面保護層の塗布液には、防腐剤などを添加す
ることができる。例えば安息香酸及びその誘導体、フェ
ノール、ホルマリン、デヒドロ酢酸ナトリウム等を0.
005〜2.0質量%の範囲で添加できる。塗布液には
消泡剤を添加することもできる。好ましい消泡剤には有
機シリコーン化合物が含まれ、その添加量は0.000
1〜0.1質量%の範囲が好ましい。
【0092】また、水溶性の保護層には、光熱変換剤を
添加してもよい。この場合、親水性層の金属微粒子の光
照射による熱飛散(又は熱による脆化)の感度がさらに
高まるので、好ましい結果が得られる。光熱変換剤とし
ては、疎水性層に添加してもよい光熱変換剤として前記
したものを前記した添加量の範囲で使用することができ
る。
【0093】〔支持体〕つぎに親水性層を塗設する支持
体について述べる。支持体には、寸度的に安定な板状物
が用いられる。本発明に用いることができる支持体とし
ては、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、
金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、
ステンレス鋼等)、プラスチックフィルム(例えば、二
酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セル
ロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セ
ルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネー
ト、ポリビニルアセタール等)、上記の金属がラミネー
ト又は蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等が
含まれる。
【0094】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、アルミニウム、又は印刷版上で腐食しにくいSUS
鋼板であり、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価
であるアルミニウム板が好ましい。好適なアルミニウム
板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分と
し、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウ
ムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィル
ムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、
ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜
鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の
異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明に
おいて特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであ
るが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困
難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その
組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素
材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本
発明で用いられる支持体の厚みはおよそ0.05mm〜
0.6mm程度、好ましくは0.1mm〜0.4mm、
特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0095】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂
処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理
は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗
面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法
及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われ
る。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨
法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用
いることができる。化学的方法としては、特開昭54−
31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミ
ニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。ま
た、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸など
の酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法が
ある。また、特開昭54−63902号に開示されてい
るように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用すること
ができる。このような粗面化方法のうち、特に特開昭5
5−137993号公報に記載されているような機械的
粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法が、感
脂性画像の支持体への接着力が強いので好ましい。上記
の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中
心線表面粗さ(Ra)が0.3〜1.0μmとなるよう
な範囲で施されることが好ましい。粗面化されたアルミ
ニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリ
ウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がさ
れ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高
めるために陽極酸化処理が施される。
【0096】アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電
解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、ク
ロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電
解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽
極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるの
で一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1
〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜6
0A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の
範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、
1.0〜5.0g/m2 、特に1.5〜4.0g/m2
であることが好ましい。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2
より少ないと耐刷性が不十分であったり、傷が付き易く
なる。
【0097】これらの陽極酸化処理の内でも、とくに英
国特許第1,412,768号公報に記載されている硫
酸中で高電流密度で陽極酸化する方法及び米国特許第
3,511,661号公報に記載されている燐酸を電解
浴として陽極酸化する方法が好ましい。
【0098】支持体上に疎水性層が設けられるので、必
要であれば、支持体表面を疎水性化することが望まし
い。支持体表面の疎水性化処理は、たとえばシランカッ
プリング剤や、場合によってはチタンカップリング剤を
含んだ下塗り液を塗布することによって行われる。シラ
ンカップリング剤はおもに一般式(RO)3 SiR’
(R,R’はアルキル基や置換アルキル基)で表され、
RO基は加水分解してOH基となって支持体表面とエー
テル結合で結合し、R’基がインキを受容する疎水性の
表面を提供する。
【0099】シランカップリング剤としては、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−メタクロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリコキシドキシピロピルトリ
メトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトトリメトキシシラン、γ−ウレイド
プロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)−(β−アミノプロチル)ジメトキシシランなどが
挙げられる。
【0100】親水性層との密着性を確保するためには、
プラスチック支持体は塗布の前に公知の方法で帯電処理
が施される。
【0101】〔塗布〕上記した親水性層、疎水性層、保
護層は、それぞれ各構成成分を混合し、調整された塗布
液を支持体上に、従来公知の塗布方法のいずれかを用い
て、塗布・乾燥し、塗布層を形成する。塗布する方法と
しては、公知の種々の方法を用いることができるが、例
えば、バーコター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0102】本発明の平版印刷版用原板の親水性層中に
は、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、前述
した各種界面活性剤を添加することができる。塗布助剤
としての好ましい添加量は、親水性層全固形物分に対
し、0.01〜1質量%であり、更に好ましくは0.0
5〜0.5質量%である。塗布、乾燥後に得られる親水
性層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般
的な平版印刷版用原板についていえば、0.1〜30g
/m2が好ましく、0.3〜10g/m2がより好まし
い。
【0103】疎水性層の塗布量(固形分)も、構成によ
って異なるが、一般的な平版印刷版用原板についていえ
ば、0.1〜10g/m2が好ましく、0.3〜5g/
2がより好ましい。保護層塗布量(固形分)も、構成
によって異なるが、一般的な平版印刷版用原板について
いえば、0.1〜5g/m2が好ましく、0.2〜3g
/m2がより好ましい。塗布は、通常、疎水性層、親水
性層、保護層の順序で行われる。
【0104】〔有機硫黄化合物処理〕上記塗布工程で親
水性層が形成された平版印刷版用原板の親水性層を、カ
ルボキシル基、水酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフ
ィン基、リン酸基、硝酸基、ハライド基等の親水性基と
下記の各一般式のR1の説明に示すハロゲン化銀へ吸着
する金属吸着基とを合わせ持つ有機硫黄化合物で処理す
ると、この硫黄化合物が親水性層に含有されている光熱
変換性物質としての金属微粒子に吸着されて親水性層の
親水性が向上する。像様光の照射領域の金属微粒子は、
熱融着層を形成するので有機硫黄化合物の効果は失わ
れ、有機硫黄化合物による処理を行わなかったときと同
様に疎水性である。その結果、非照射領域の親水性と照
射領域の疎水性の差がより大きくなり識別性が一層高く
なる好ましい硫黄化合物は、次の一般式(A)〜一般式
(D)で示される。
【0105】 RSM 一般式(A) RSR 一般式(B) RSSR 一般式(C)
【0106】
【化2】
【0107】上記一般式(A)、一般式(B)及び一般
式(C)において、Mは、水素原子、アルカリ金属原
子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基を表し、R
はXnR1を示す。ここにXは、OH、CO2M、N
2、SO3M、SO4M、SO2M及びアミノ基から選択
される水溶性基であり、Mは前記と同義である。nは、
1〜4の整数である。R1はXで表される水溶性基で置
換された、炭素数が1〜12、好ましくは1〜8の、ア
ルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、
アルキルアミノ基及びヘテロ環基を表す。
【0108】R1がヘテロ環基の場合、好ましいヘテロ
環基はイミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール
基、ピラゾール基、イソチアゾール基、インダゾール
基、トリアゾール基、テトラゾール基、チアジアゾール
基、イミダゾリン基、オキサゾリン基、チアゾリン基、
ピラゾリン基、イソチアゾリン基、インダゾリン基、チ
アゾリジン基などのアゾール基、ピラジル基、ピペラジ
ル基、ピペリジル基、ピリダジン基、ピロロ基、ピリジ
ル基、モルホリノ基、チアジノ基などを挙げることがで
きる。また、R1基は、R’基を置換基として有しても
よく、R’基はR1基と同義である。また、2つのR1
が結合して環を形成してもよい。同一分子内に複数のR
1基やR’基が含まれる場合、R1基同士、R’基同士あ
るいはR1基とR’基とは、同じでも異なってもよい。
上記一般式(B)及び(C)における同一分子内の2つ
のRは、上記のRの定義に従うかぎり、互いに同じであ
っても異なってもよい。
【0109】一般式(D)において、R2及びR3基は、
チオカルボニル基と結合しており、それぞれRと同義で
ある。また、各一般式において、分子中に2個以上のR
基、R2基及びR3基を有する場合、それらは同じでも異
なってもよい。以下に上記一般式(A)〜(D)の化合
物の具体例を示す。
【0110】
【化3】
【0111】
【化4】
【0112】
【化5】
【0113】上記有機硫黄化合物による処理は、該有機
硫黄化合物を含む溶液に印刷用原板を浸漬して行われ
る。有機硫黄化合物を含む溶液の有機硫黄化合物の濃度
は、その化合物の溶解度以下の任意の濃度を選ぶことが
できるが、通常10-5〜101mo1/L、好ましくは
10-4〜100mo1/L、より好ましくは10-3〜1
-1mol/Lの水溶液を用いて30秒〜10分程度、
好ましくは30秒から3分程度の浸漬処理を行う。その
際、温度は室温でよいが、温水としてもよく、また溶液
に適当な撹拌を加えることが好ましい。また有機硫黄化
合物の溶液の溶媒には通常水が用いられるが、メタノー
ル、エタノール、アセトンなど水と混和性の有機溶剤が
混合された水性溶媒でもよい。
【0114】〔製版方法〕次に、この平版印刷版用原板
の製版方法について説明する。この平版印刷版用原板
は、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体
レーザー又は半導体レーザー、キセノン放電灯などの高
照度フラッシュ光や赤外線ランプ露光などの光熱変換型
の露光も用いることができる。
【0115】画像の書き込みは、面露光方式、走査方式
のいずれでもよい。前者の場合は、赤外線照射方式や、
キセノン放電灯の高照度の短時間光を原板上に照射して
光・熱変換によって熱を発生させる方式である。赤外線
灯などの面露光光源を使用する場合には、その照度によ
っても好ましい露光量は変化するが、通常は、印刷用画
像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm2
の範囲であることが好ましく、0.1〜1J/cm2
範囲であることがより好ましい。支持体が透明である場
合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することも
できる。その露光時間は、0.01〜1msec、好ま
しくは0.01〜0.1msecの照射で上記の露光強
度が得られるように露光照度を選択するのが好ましい。
照射時間が長い場合には、熱エネルギーの生成速度と生
成した熱エネルギーの拡散速度の競争関係から露光強度
を増加させる必要が生じる。
【0116】後者の場合には、赤外線成分を多く含むレ
ーザー光源を使用して、レーザービームを画像で変調し
て原板上を走査する方式が行われる。レーザー光源の例
として、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、ヘ
リウムカドミウムレーザー、YAGレーザーを挙げるこ
とができる。レーザー出力が0.1〜300Wのレーザ
ーで照射をすることができる。また、パルスレーザーを
用いる場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは
2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。この場
合の露光量は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が
0.1〜10J/cm2の範囲であることが好ましく、
0.3〜1J/cm2の範囲であることがより好まし
い。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持
体を通して露光することもできる。
【0117】画像露光された印刷原板は、印刷機に装着
して印刷を行うこともできる。また、印刷機に印刷原板
を装着しておいて、レーザーによる画像状の走査露光を
行って機上で平版印刷版を形成させることもできる。即
ち、本発明の平版印刷版用原板を使用する製版方法で
は、特に現像処理を経ることなく平版印刷版を製版し得
る。
【0118】
【実施例】以下実施例に基づき、本発明を具体的に説明
するが、本発明が実施例により限定されて解釈されるこ
とはない。
【0119】実施例1 <親水性Agコロイドの調製方法1>クエン酸ナトリウ
ム水溶液(32質量%)560mlを撹拌しながら、硫
酸第一鉄水溶液(30質量%)100m1を添加した。
均一に混合した後、激しく撹拌しながら、硝酸銀水溶液
(10質量%)100mlを30秒以内に添加終了する
ように添加した。約10分後に撹拌を停止した。出来上
がったAgコロイド中の不要な塩類を除去するために、
限外濾過装置で蒸留水を加えながら塩類を除去した。限
外濾過装置は米国 Amicon 社製のCH2PRS型を用
い、フィルターはSIY30(カットオフ分子量30,
000)を用いた。水洗は、電気伝導度が約50μS/
cmになるまで行った。水洗後、Ag濃度が6質量%に
なるように調整した。Agコロイドの平均粒子サイズは
8nmであった。
【0120】実施例2 <親水性Agコロイドの調整方法2>実施例1と同様に
調製、水洗したAgコロイドを、銀濃度が6.9wt%
になるように調整した。このAgコロイド100mlを
撹拌しながら、メルカプト化合物M−2水溶液(10質
量%)を15ml添加した。
【0121】実施例3 <支持体及び金属薄膜層>表面コロナ処理を施した厚み
180μmのPETベースを支持体として使用し、その
支持体上に30nmの厚みにTiO金属層を蒸着した。
蒸着は日本電子(株)製の真空蒸着装置を用いてチタン
金属を400℃に加熱し、ガス圧10-3mmHgで酸素
分圧3%の条件で行った。
【0122】<親水性層の塗設>次いで、下記組成から
なる水系塗布液をペイントシェーカーで10分間分散し
て調製し、このTiO金属薄膜層を設けた180μmP
ETベース上に、バーコーターにて、乾燥膜重量が3.
0g/m2になるように塗布を行い、次いでオーブンに
て100℃で10分間乾燥した。 (親水性層塗布液組成) 酸化チタン粉末(和光純薬(株)製、ルチル型平均粒子径0.2μm) 3.1g PVA117(クラレ(株)製)10質量%水溶液 3.5g コロイダルシリカ分散物20質量%水溶液 1.5g 実施例1で調製した銀コロイド水溶液(6質量%) 15.0g ゾルゲル調製液 2.4g 水 7.7g ここに使用したゾルゲル調製液は、下記の組成をもつ。 (ゾルゲル調製液:室温、2時間熟成) テトラエトキシシラン 15.0g エタノール 30.0g 0.1モル/リットル硝酸 4.5g 銀コロイド含有印刷版の反射光学濃度は1.20であっ
た(測定は、国際規格ISO5に定められた光学系を持
つ濃度計(X−RITE濃度計)に中性色全可視光域フ
ィルターを使用)。また、このようにして作製した印刷
原板表面の水滴接触角を測定したところ、拡張濡れを示
し、非常に親水性の高い表面であった。
【0123】<画像形成>レーザービームの走査型露光
装置としてPEARLsetter74(Presst
ek社製)を用いて露光し、露光部の金属薄膜層および
親水性層を熱飛散すなわちアブレーションさせることに
より疎水性のPET表面を露出させ、その後現像処理す
ることなく、製版した。
【0124】<印刷>印刷機にRYOBI−3200M
CDを用い、湿し水にEU−3(富士写真フイルム
(株)製)の1vol%水溶液を用い、インキはGEO
S(N)墨を用いた。はじめに、湿し水で30回転ロー
ルアップ(ならし運転)を行い、次いでインクを供給し
て印刷を開始し、10,000枚まで印刷汚れがなく、
高品質な印刷物が得られた。なお、金属薄膜層を設けな
い印刷用原版と比較すると、印刷スタート時のインク着
肉性に差が認められ、本発明の印刷用原板は、より少な
い印刷枚数で網点部及びベタ部着肉が均一となり、良好
な印刷物が得られた。
【0125】実施例4 実施例3のTiO金属薄膜層の代わりにSnとSnSを
共蒸着させた厚さ70nmの金属/金属化合物薄膜層を
下層として設け、その上に実施例3と同じ親水性の上層
を塗設した。このようにして作製した印刷原板の反射光
学濃度は1.18であった(測定方法、手段も実施例3
と同じくX−RITE濃度計と中性色全可視光域フィル
ターを使用)。また、水滴による表面接触角は拡張濡れ
を示し、非常に親水性が高い表面であった。さらに、実
施例3と同様にして印刷版を作製して印刷したところ、
10,000枚まで印刷汚れがなく、高品質な印刷物が
得られた。
【0126】実施例5 下記組成の塗布液を調整し、実施例3で用いた表面コロ
ナ処理PETベース上に、1.0g/m2厚の光熱変換
剤を含む疎水性層を設けた。その上に、実施例3と同じ
酸化チタン粒子を分散させた親水性の上層を設けた。
【0127】 (疎水性層塗布液組成) ブチラール樹脂(BM−S、積水化学(株)製)10質量%溶液 59.0g カーボンブラック水分散物(固形分21%) 13.5g メチルエチルケトン 62.7g このようにして作製した印刷用原板の反射光学濃度は
1.22であった(測定方法、手段も実施例3と同
じ)。また、水滴による表面接触角は拡張濡れを示し、
非常に親水性の高い表面であった。印刷を実施したとこ
ろ、10,000枚まで印刷汚れかなく、高品質な印刷
物が得られた。
【0128】実施例6 実施例3で作製した感光性印刷用原板を、下記処方にし
たがって調製した水溶液に1分間浸漬した後、水洗、乾
燥して表面親水化処理を行った。 (親水化処理液組成) メルカプト化合物M−2(HS(CH23SO3Na) 0.178g 水 1リットル この原板表面の水滴による表面接触角は拡張濡れを示
し、非常に親水性の高い表面を与えた。また、実施例3
と同様に画像形成して印刷版を作製し、印刷評価を行っ
たところ、10,000枚まで印刷汚れかなく、高品質
な印刷物が得られた。さらに、水幅適性を評価するた
め、水目盛り値を小さくして湿し水供給量を絞っていっ
たところ、実施例3に記載の印刷版の場合の湿し水量の
下限よりもさらに30%少ない湿し水量においても汚れ
のない良好な印刷物か得られ、非常に水幅の広い、刷り
易さの向上した刷版であることが判明した。
【0129】実施例7 実施例3記載の銀コロイド水溶液を実施例2で作製した
ものに置き換えた他は、実施例3と同様に印刷原板を作
製し、PEARLsetterで画像形成した後、印刷
を実施した。その結果、10,000枚まで印刷汚れが
なく、高品質な印刷物が得られた。さらに、水幅適性を
評価するため、水目盛り値を小さくして湿し水供給量を
絞っていったところ、実施例3に記載の印刷版の場合の
湿し水量の下限よりもさらに30%少ない湿し水量にお
いても汚れのない良好な印刷物が得られ、非常に水幅の
広い、刷り易さの向上した刷版であることが判明した。
【0130】実施例8 実施例3の親水性の上層の酸化チタン粒子の代わりにシ
リカ粉末(サイリシア310、富士シリシア化学(株)
製、平均粒子径1.4μm)を使用した以外は、実施例
3の操作を繰り返した。印刷用原板の表面親水性度及び
印刷試験結果ともに実施例と実質的に同じであった。
【0131】実施例9 <アルミニウム支持体の作製>99.5質量%アルミニ
ウムに、銅を0.01質量%、チタンを0.03質量
%、鉄を0.3質量%、ケイ素を0.1質量%含有する
JISA105のアルミニウム材の厚み0.24mm圧
延板を、400メッシュのバミストン(共立窯業製)の
20質量%水性懸濁液と、回転ナイロンブラシ(6,1
0−ナイロン)とを用いてその表面を砂目立てした後、
よく水で洗浄した。次に、10質量%水酸化ナトリウム
水溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、
流水で水洗した。更に、20質量%硝酸で中和してか
ら、水洗浄した。得られたアルミニウム板を1.0質量
%%硝酸水溶液(硝酸アルミニウム0.5質量%含有)
中で、陽極時電圧12.7ボルト、陽極時電気量に対す
る陰極時電気量の比が0.9、陽極時電気量160クロ
ーン/dm2の条件の矩形波交番波形の電流を用いて電
解粗面化処理を行った。得られた基板の表面粗さは、
0.6μm(Ra表示)であった。 この処理に続い
て、40℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に30
秒間浸漬して、エッチングした後、水洗した。次に、5
5℃、30質量%の硫酸水溶液中に1分間浸漬した。さ
らに、35℃の硫酸20質量%水溶液(アルミニウム
0.8質量%含有)中で直流電流を用いて、陽極酸化皮
膜質量が2.5g/dm2となるように陽極酸化処理を
行った。これを水洗、乾燥して支持体を作製した。
【0132】<印刷原板の作製>実施例5と同様の光熱
変換剤含有疎水性層塗布液を調整し、上記の陽極酸化ア
ルミニウム支持体上に、塗布量1.0g/m2(固形分
基準)の疎水性層を作成した。その上に、実施例3と同
じ酸化チタン粒子を分散させた親水性の上層を設けた。
このようにして作製した印刷用原板の反射光学濃度は
1.20であった(測定方法、手段も実施例1と同
じ)。また、水滴による表面接触角は拡張濡れを示し、
非常に親水性の高い表面であった。
【0133】<画像形成及び印刷〉実施例3と同様にレ
ーザー露光により画像形成したのち、後処理することな
くそのまま印刷を実施したところ、50,000枚まで
印刷汚れがなく、高品質な印刷物が得られた。
【0134】実施例10 実施例3に記載の親水性層塗布液を下記組成のPVA硬
膜系の親水性層の塗布液に置き換えた他は、実施例9と
同様にアルミニウムを支持体とした印刷原板を作製し
た。 <親水性層塗布液組成> 酸化チタン粉末(和光純薬(株)製、ルチル型平均粒子径0.2μm) 3.1g PVA117(クラレ(株)製)10質量%水溶液 10.1g シリカゲル分散物20質量%水溶液 6.0g グリオキザール 0.8g 実施例1で調製した銀コロイド水溶液(6質量%) 15.0g 界面活性剤K(注参照)5質量%水溶液 0.3g 水 13.7g 注)界面活性剤K:ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニルエーテル (エチレンオキシ基の平均数:8.5) このようにして作製した印刷用原板の反射光学濃度は
1.16であった(測定方法、手段も実施例1と同
じ)。また、水滴による表面接触角は拡張濡れを示し、
非常に親水性の高い表面であった。
【0135】<画像形成及び印刷>実施例3と同様にレ
ーサー露光により画像形成したのち、後処理することな
くそのまま印刷を実施したところ、50,000枚まで
印刷汚れがなく、高品質な印刷物が得られた。
【0136】実施例11〜15 <その他の金属コロイド>実施例3において、親水性層
用の塗布液として親水性Agコロイド(6質量%)に代
えて、親水性Auコロイド(6質量%;平均粒子サイズ
7nm)(実施例11)、親水性Pdコロイド(6質量
%;平均粒子サイス5nm)(実施例12)、親水性P
tコロイド(6質量%;平均粒子サイズ5nm)(実施
例13)、親水性Ag/Pd(質量比=9/1)コロイ
ド(6質量%;平均粒子サイズ7nm)(実施例1
4)、親水性Ag/Au(質量比=5/5)コロイド
(6質量%;平均粒子サイズ7nm)(実施例15)を
それぞれ用いる以外は、実施例3と同様に印刷原版を作
製して、レーザー露光により画像形成した後、後処理す
ることなく印刷を行った。金属コロイド分散物はポリビ
ニルピロリドン(PVP)又はポリビニルアルコール
(PVA)を分散剤として各金属イオンからなる無機ハ
ロ錯塩をNaBH4で還元して調製した。いずれの場合
も、印刷開始の10枚目で網点部およびベタ部の着肉は
均一で、非画像部の地汚れもなく良好な印刷物を得た。
さらに、50,000部まで印刷汚れがなく、高品質な
印刷物が得られた。
【0137】比較例1〜2 実施例3において、親水性層用の塗布液としてAgコロ
イド6質量%水溶液に代えて、カーボンブラック水分散
物20質量%溶液(比較例1)、下記構造式からなる水
溶性染料2質量%水溶液(比較例2)をそれぞれ用いる
以外は、実施例3と同様に印刷原板を作製して、レーザ
ー露光により画像形成したのち、後処理することなく印
刷を行った。いずれの場合も印刷開始の10枚目で網点
部およびベタ部の着肉は均一であったが、非画像部の地
汚れが発生し、良好な印刷物が得られなかった。特に、
本発明の金属微粒子を用いた印刷原板が、非常に水幅の
広い、刷り易さの向上した刷版であるのに対して、比較
例では湿し水量を水負け領域まで増やしても地汚れが解
消せず、水幅適性が全く無い刷りにくい版であることが
判明した。
【0138】
【化6】
【0139】
【発明の効果】本発明のヒートモード型の平版印刷用原
板は、現像処理を必要としないで、簡易に製版でき、直
接に印刷機に装着して製版することが可能であり、しか
も耐刷性にすぐれ、印刷面上の印刷汚れも少ない。とく
に、レーザー光による走査型の画像露光方式によって、
高感度で十分広い光量ラチチュードの基に容易に製版で
きて、画像部と非画像部との識別性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の典型的な平版印刷用原板及びそれを用
いた製版過程を示す模式図である。
【符号の説明】
1.平版印刷用原板 2.支持体 3.疎水性層(第一の層) 4.親水性層(第二の層) 5.金属銀微粒子 6.レーザー光 11.印刷版
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/36 G03F 7/36 (72)発明者 小川 恵三 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 石丸 信吾 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA01 AA04 AA12 AB03 AC08 AD01 BH01 BH04 CB51 CC11 CC20 DA03 DA36 DA37 FA10 2H096 AA06 BA20 CA05 EA04 EA23 2H114 AA04 AA22 AA24 AA30 BA01 BA10 DA04 DA05 DA39 DA43 DA44 DA50 DA51 DA52 DA53 DA60 DA75 DA79 EA02 EA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に光熱変換剤を含有する疎水性
    層を設け、該疎水性層の上に、光照射に伴い照射領域の
    層形成物質を熱飛散除去するか又は除去可能に脆化する
    光熱変換性金属微粒子を含有する親水性層を設けたこと
    を特徴とする平版印刷用原板。
  2. 【請求項2】 親水性層中の光熱変換性金属微粒子が、
    周期律表の第8族又は第1B族の金属元素から選ばれる
    単体又は合金の金属微粒子であることを特徴とする請求
    項1に記載の平版印刷用原板。
  3. 【請求項3】 親水性層中の光熱変換性金属微粒子の表
    面に、親水性基と金属吸着性基とを少なくとも各1個有
    する有機硫黄化合物が吸着していることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の平版印刷用原板。
  4. 【請求項4】 疎水性表面を有するかあるいは疎水性層
    が設けられた支持体上に金属薄膜層を設け、該金属薄膜
    層の上に光照射に伴い照射領域の層形成物質を熱飛散除
    去するか又は除去可能に脆化する光熱変換性金属微粒子
    を含有する親水性層を設けたことを特徴とする平版印刷
    用原板。
  5. 【請求項5】 光熱変換性金属微粒子を含有する親水性
    層の上にさらに水可溶性の保護層が設けられていること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷
    用原板。
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