JP2011173368A - レリーフ印刷版の製版方法及びレリーフ印刷版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バインダーポリマーを含有し、膜厚が0.1mm以上のレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版の露光領域を、レーザーを用いた露光により彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程、及び、前記レリーフ層の前記露光領域を含む版面にカス除去材を接触させつつ押圧して、彫刻により発生した前記露光領域のカスを除去するカス除去工程、を含むことを特徴とするレリーフ印刷版の製版方法。
【選択図】なし
Description
<1>バインダーポリマーを含有し、膜厚が0.1mm以上のレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版の露光領域を、レーザーを用いた露光により彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程、及び、前記レリーフ層の前記露光領域を含む版面にカス除去材を接触させつつ押圧して、彫刻により発生した前記露光領域のカスを除去するカス除去工程、を含むことを特徴とするレリーフ印刷版の製版方法、
<2>前記カス除去工程では、加熱処理を行うことなく前記版面に前記カス除去材を接触させつつ押圧して、前記カスを除去する、上記<1>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<3>前記レリーフ形成層が、熱架橋による架橋構造を有するレリーフ形成層である、上記<1>又は<2>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<4>前記バインダーポリマーのガラス転移温度が20℃以上である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<5>前記彫刻工程では、前記露光領域を、波長が700〜1,300nmのファイバー付き半導体レーザーを用いた露光により彫刻する、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<6>前記レリーフ形成層が、光熱変換剤を更に含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<7>前記光熱変換剤が、700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な顔料及び/又は染料である、上記<6>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<8>前記光熱変換剤が、700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な顔料である、上記<7>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<9>前記700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な顔料がカーボンブラックである、上記<8>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<10>前記カーボンブラックが、吸油量150ml/100g未満のカーボンブラックである、上記<9>に記載のレリーフ印刷版の製版方法、
<11>上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のレリーフ印刷版の製版方法により作製されたことを特徴とするレリーフ印刷版。
なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り「A以上B以下」を意味する。すなわち、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。
また、本発明におけるカス除去工程では、カスを除去すべきレリーフ印刷版を加熱する加熱処理を行わなくてもよく、また、洗浄液などの液体を用いなくてよい。従って、本発明によれば、カス除去工程を簡便なものとすることができる。
本発明のレリーフ印刷版の製版方法は、バインダーポリマーを含有し、膜厚が0.1mm以上のレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版を使用する。本発明のレリーフ印刷版の製版方法において、予め製造されたレリーフ印刷版原版を使用してもよいし、直前に製造したレリーフ印刷版原版を使用してもよく、特に限定されない。
該レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層は、下記式(I)で表される基を有するポリマー(バインダーポリマー)を含有することが好ましい。
−M(R1)(R2)n (I)
(式(I)中、R1はOR3又はハロゲン原子を表し、MはSi、Ti又はAlを表し、MがSiであるときnは2であり、MがTiであるときnは2であり、MがAlであるときnは1であり、n個あるR2はそれぞれ独立に炭化水素基、OR3又はハロゲン原子を表し、R3は水素原子又は炭化水素基を表す。)
また、該レリーフ形成層は、支持体上に形成されていることが好ましい。
なお、以下の説明において、レーザー彫刻に供する、表面が平坦な画像形成層をレリーフ形成層と称し、これにレーザー彫刻して表面に凹凸を形成した層をレリーフ層と称する。
なお、上記の樹脂組成物層は、支持体上に形成することが好ましい。
−M(R1)(R2)n (I)
(式(I)中、R1はOR3又はハロゲン原子を表し、MはSi、Ti又はAlを表し、MがSiであるときnは2であり、MがTiであるときnは2であり、MがAlであるときnは1であり、n個あるR2はそれぞれ独立に炭化水素基、OR3又はハロゲン原子を表し、R3は水素原子又は炭化水素基を表す。)
式(I)中、R1はOR3又はハロゲン原子を表し、R3は水素原子又は炭化水素基を表し、該炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数7〜37のアラルキル等が例示される。これらの中でもR3としては、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。すなわち、R1はメトキシ基又はエトキシ基であることが特に好ましい。
R2としては、OR3又はハロゲン原子であることが好ましく、OR3であることがより好ましい。
また、MがTiであるとき、nは2である。MがTiであるとき、複数存在するR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、特に限定されない。
MがAlであるとき、nは1を表す。
これらの中でも、式(I)で表される基を有する化合物と、該化合物と反応し得る原子及び/又は基を有するポリマーとを反応させることによって、ポリマー(I)とすることが好ましい。
また、上記の式(I)で表される基を有するモノマーと共重合されるその他のモノマーとしては特に限定されないが、ポリマー(I)が、後述するように水不溶かつ炭素数1〜4のアルコールに可溶であることが好ましい点や、非エラストマーであることが好ましいという観点から、アクリルモノマー及びビニルブチラール等が好ましい。
以下、レリーフ形成層の形成に用い得るレーザー彫刻用樹脂組成物の構成成分について説明する。
なお、以下の説明において、本発明の特に好ましい態様である、(成分A)式(I)で表される基をポリマーに導入可能な化合物(以下、化合物(I)ともいう。)と、(成分B)該化合物(I)と反応し得る原子及び/又は基を有するポリマーとを反応させることによって、ポリマー(I)を得る態様を中心に説明する。
〔(成分A)化合物(I)〕
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分A)下記式(I)で表される基をポリマーに導入可能な化合物(化合物(I))を含有することが好ましい。
−M(R1)(R2)n (I)
(式(I)中、R1はOR3又はハロゲン原子を表し、MはSi、Ti又はAlを表し、MがSiであるときnは2であり、MがTiであるときnは2であり、MがAlであるときnは1であり、n個あるR2はそれぞれ独立に炭化水素基、OR3又はハロゲン原子を表し、R3は水素原子又は炭化水素基を表す。)
なお、前記化合物(I)は、ポリマーとの反応により上記式(I)で表される基をポリマーに導入するものでもよく、反応前から上記式(I)で表される基を有し、ポリマーに上記式(I)で表される基を導入するものでもよい。
MがSiであるとき、式(I)で表される基を有する化合物(化合物(I))として、シランカップリング剤を使用することも可能である。なお、シランカップリング剤とは、アルコキシシリル基などの無機成分と反応可能な基と、メタクリロイル基などの有機成分と反応可能な基を有し、無機成分と有機成分とを結合可能な化合物である。なお、チタンカップリング剤、アルミネート系カップリング剤も同様である。
化合物(I)がビニル基、エポキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メルカプト基、アミノ基等の反応性基を有し、該反応性基でポリマーと反応し、これによりポリマーに式(I)で表される基が導入されることも好ましい。
前記化合物(I)としては、式(I)で表される基を複数有する化合物も好ましく用いられる。このような場合、式(I)で表される基の一部とポリマーとが反応することで、ポリマーに式(I)で表される基を導入することができる。例えば、化合物(I)のR1基、及び、場合によりR2基が、ポリマー中の該化合物と反応し得る原子及び/又は基(例えば、水酸基(−OH))と反応(例えば、アルコール交換反応)する。また、式(I)で表される基の複数がポリマーと結合することにより、化合物(I)は架橋剤としても機能し、架橋構造を形成することができる。
このような化合物(I)としては、式(I)で表される基を複数有する化合物であり、2〜6個の式(I)構造を有する化合物であることが好ましく、特に2〜3個の式(I)構造を有する化合物であることが好ましい。
以下の一般式で示す化合物が好ましいものとして挙げられるが、本発明はこれらの化合物に制限されるものではない。
その他、チタンカップリング剤としては、味の素ファインテクノ(株)製プレンアクト、マツモトファインケミカル(株)製チタンテトライソプロポキシド、日本曹達(株)製チタニウム−I−プロポキシビス(アセチルアセトナート)チタンが例示され、アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが例示される。
化合物(I)は、分子量が100〜10,000の化合物が好ましく、100〜8,000の化合物がより好ましく、100〜5,000の化合物がさらに好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物に含まれる化合物(I)の含有量は、固形分換算で0.1〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40重量%であり、さらに好ましくは5〜30重量%である。
化合物(I)と反応し得る原子及び/又は基を有するポリマー(以下、適宜特定ポリマーともいう。)は、水不溶、かつ、炭素数1〜4のアルコールに可溶のバインダーポリマーであることが好ましい。
化合物(I)と反応し得る原子及び/又は基としては特に限定されないが、エチレン性不飽和結合、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、ヒドロキシル基(−OH)が例示され、これらの中でも、ヒドロキシル基(−OH)が好ましく例示される。
本発明の好ましい態様では、特定ポリマーの熱的な分子運動が抑制された状態の中に光熱変換剤が存在すると特定ポリマーへの熱伝達と熱分解が効果的に起こるものと考えられ、このような効果によって彫刻後に出たカスが室温付近にて固形化し易いものと推定される。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる。)を環状アセタール化することにより得られる化合物である。また、ポリビニルアセタール誘導体は、前記ポリビニルアセタールを変性させたり、他の共重合成分を加えたものである。
ポリビニルアセタール中のアセタール含量(原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数を100%とし、アセタール化されるビニルアルコール単位のモル%)は、30〜90%が好ましく、50〜85%がより好ましく、55〜78%が特に好ましい。
ポリビニルアセタール中のビニルアルコール単位としては、原料の酢酸ビニルモノマーの総モル数に対して、10〜70モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、22〜45モル%が特に好ましい。
また、ポリビニルアセタールは、その他の成分として、酢酸ビニル単位を有していてもよく、その含量としては0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%がさらに好ましい。ポリビニルアセタール誘導体は、さらに、その他の共重合単位を有していてもよい。
ポリビニルアセタールとしては、ポリビニルブチラール、ポリビニルプロピラール、ポリビニルエチラール、ポリビニルメチラールなどが挙げられ、中でもポリビニルブチラール(以下、PVBと称する。)が好ましい。
ポリビニルブチラールは、通常、ポリビニルアルコールをブチラール化して得られるポリマーである。また、ポリビニルブチラール誘導体を用いてもよい。
ポリビニルブチラール誘導体の例として、水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基等の酸基に変性した酸変性PVB、水酸基の一部を(メタ)アクリロイル基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性した変性PVB、水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入した変性PVB等が挙げられる。
ポリビニルアセタールの分子量としては、彫刻感度と皮膜性のバランスを保つ観点で、重量平均分子量として5,000〜800,000であることが好ましく、より好ましくは8,000〜500,000である。さらに、彫刻カスのリンス性向上の観点からは、50,000〜300,000であることが特に好ましい。
PVBとしては、市販品としても入手可能であり、その好ましい具体例としては、アルコール溶解性(特にエタノール溶解性)の観点で、積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズ、「エスレックK(KS)」シリーズ、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」が好ましい。更に好ましくは、アルコール溶解性(特にエタノール)の観点で積水化学工業(株)製の「エスレックB」シリーズと電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」であり、特に好ましくは「エスレックB」シリーズでは、「BL−1」、「BL−1H」、「BL−2」、「BL−5」、「BL−S」、「BX−L」、「BM−S」、「BH−S」、電気化学工業(株)製の「デンカブチラール」では「#3000−1」、「#3000−2」、「#3000−4」、「#4000−2」、「#6000−C」、「#6000−EP」、「#6000−CS」、「#6000−AS」である。
PVBを特定ポリマーとして用いてレリーフ形成層を製膜する際には、溶媒に溶かした溶液をキャストし乾燥させる方法が、膜の表面の平滑性の観点で好ましい。
本発明における特定ポリマーとして用い得るアクリル樹脂としては、公知のアクリル単量体を用いて得られるアクリル樹脂であって、分子内にヒドロキシル基を有するものであれば用いることができる。
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の合成に用いられるアクリル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類であって分子内にヒドロキシル基を有するものが好ましい。この様な単量体の具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、ウレタン基やウレア基を有するアクリル単量体を含んで構成される変性アクリル樹脂も好ましく使用することができる。
これらの中でも、水性インキ耐性の観点で、ラウリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなど脂肪族環状構造を有する(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
好ましいノボラック樹脂としては、例えばフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい。)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
特定ポリマーとして、ヒドロキシル基を側鎖に有するエポキシ樹脂を用いることも可能である。好ましい具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの付加物を原料モノマーとして重合して得られるエポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で、数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
本発明における特定ポリマーに含まれるヒドロキシル基の含有量は、前記いずれの態様のポリマーにおいても、0.1〜15mmol/gであることが好ましく、0.5〜7mmol/gであることがより好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物には特定ポリマーを1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることができるバインダーの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算)は、5,000〜1,000,000であることが好ましく、8,000〜750,000であることがより好ましく、10,000〜500,000であることがさらに好ましい。
本発明に用い得るレーザー彫刻用樹脂組成物における特定ポリマーの好ましい含有量は、塗膜の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、全固形分中、2〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜60重量%である。
化合物(I)のR1基や、R2基(ただし、R2基がハロゲン原子又は−OR3である場合に限る。)が、共存する特定ポリマー中のヒドロキシル基(−OH)等とアルコール交換反応を起こし、結果的に特定ポリマーの分子同士が化合物(I)により3次元的に架橋される。また、ポリマー内に式(I)で表される基が導入される。その結果、(I)レーザー彫刻により発生する彫刻カスの除去効果、及び、(II)樹脂組成物を製膜したときの膜の弾性が向上し、塑性変形しにくくなるという効果が得られる。(I)レーザー彫刻により発生する彫刻カスの除去効果は、化合物(I)が3次元的に架橋していることにより彫刻カスになった場合、カス中の無機性が高まる事により固形化効果を示していると推定する。(II)膜弾性の向上は、本発明において、樹脂組成物をレリーフ形成層に適用した場合、形成された印刷版のインキ転移性及び耐刷性が向上するという効果をもたらす。
また、特定ポリマー同士が化合物(I)を介して直接架橋されることで、分子内に三次元架橋構造が形成されてゴム弾性発現の要件を満たし、見かけ上ゴムのような挙動を示す結果として、(II)膜弾性向上効果が得られるものと考えられる。従って、本発明において前記樹脂組成物を製膜してレリーフ形成層を作製した場合、それにより得られるレリーフ層の膜弾性が向上し、長期間にわたる印刷において繰り返し印圧がかかった状態でも、塑性変形が抑制されて、優れたインク転移性を実現するとともに耐刷性も良化したものと推定される。
樹脂組成物において化合物(I)と特定ポリマーとの反応が進行し、架橋構造が形成されたことの確認は、以下の方法で行うことができる。
架橋後の膜について“固体13C−NMR”を用いて同定可能である。
特定ポリマー中のOH基などの化合物(I)と反応し得る原子及び/又は基に直接結合した炭素原子は、化合物(I)との反応前後で電子的な環境が変化するので、これに伴いピークの位置が変化する。未反応のOH基などの化合物(I)と反応し得る原子及び/又は基に直接結合した炭素原子由来のピークと、化合物(I)と反応してアルコキシ基になった炭素原子のピーク同士の強度を、反応前後で比較することで、実際にアルコール交換反応が進行していること及びおおよその反応率を知ることができる。なお、ピークの位置の変化の程度は、用いる特定ポリマーの構造により異なるため、この変化は相対的な指標である。
また、他の方法として、反応前後の膜を溶剤に浸漬して膜の外観の変化を目視観察する方法が挙げられ、この方法によっても反応(架橋反応)の進行を知ることが可能である。
具体的には、樹脂組成物を製膜して、該膜をアセトン中に室温で24時間浸漬し外観を目視観察すると、架橋構造が形成されてない場合や、架橋構造が形成されてもわずかな場合は膜がアセトンに溶解し、外観を留めない程度に変形するか、又は、溶解して目視で固形物が確認できない状態になるが、架橋構造を有する場合には、膜が不溶化して膜の外観がアセトン浸漬前の状態を留めたままとなる。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物を調製する際に用いる溶媒は、化合物(I)と特定ポリマーとの反応を速やかに進行させる観点で、主として非プロトン性の有機溶媒を用いることが好ましい。より具体的には、非プロトン性の有機溶媒/プロトン性有機溶媒=100/0〜50/50(重量比)で用いることが好ましい。より好ましくは100/0〜70/30、更に好ましくは100/0〜90/10である。
非プロトン性の有機溶媒の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドである。
プロトン性有機溶媒の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールである。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物には、(成分A)化合物(I)と(成分B)特定ポリマーとの反応を促進するため、(成分C)アルコール交換反応触媒を含有することが好ましい。
(成分C)アルコール交換反応触媒は、一般に用いられる反応触媒であれば、限定なく適用できる。
以下、代表的なアルコール交換反応触媒である(成分C−1)酸或いは塩基性触媒、及び、(成分C−2)金属錯体触媒について順次説明する。
触媒としては、酸、或いは塩基性化合物をそのまま用いるか、或いは水又は有機溶剤などの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒と称する。)を用いる。溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。
酸性触媒或いは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素又は置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸、リン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。膜中でのアルコール交換反応を速やかに進行させる観点で、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウム p−トルエンスルホネート、リン酸、ホスホン酸、酢酸が好ましく、特に好ましくは、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸である。
本発明においてアルコール交換反応触媒として用いられる(成分C−2)金属錯体触媒は、好ましくは、周期律表の2A、3B、4A及び5A族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素化合物から構成されるものである。
さらに、構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Baなどの2A族元素、Al、Gaなどの3B族元素,Ti、Zrなどの4A族元素及びV、Nb及びTaなどの5A族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい(オルトチタン酸エチルなど)。
これらは水系塗布液での安定性及び加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジ(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
樹脂組成物における(成分C)アルコール交換反応触媒の含有量は、(成分B)特定ポリマーに対して、0.01〜20重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましい。
〔(成分B−2)併用ポリマー〕
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物には、上記(成分B)特定ポリマーに加え、ヒドロキシル基を有しないポリマーなど(成分B)特定ポリマーに包含されない公知のポリマーを併用することができる。以下、このようなポリマーを(成分B−2)併用ポリマーと称する。
(成分B−2)併用ポリマーは、前記(成分B)特定ポリマーとともに、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される主成分を構成するものであり、(成分B)特定ポリマーに包含されない一般的な高分子化合物を適宜選択し、1種又は2種以上を併用して用いることができる。特に、レリーフ形成版原版を印刷版原版に用いる際は、レーザー彫刻性、インキ受与性、彫刻カス分散性などの種々の性能を考慮して選択することが必要である。
このようなポリマーとして、主鎖に炭素−炭素不飽和結合を含むポリマーとしては、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
このように、レリーフ印刷版の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じた併用ポリマーを選択し、当該併用ポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用した場合、バインダーポリマーの含有量を5重量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、80重量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
本発明においては、レリーフ形成層中に架橋構造を形成する観点から、これを形成するために、レーザー彫刻用樹脂組成物には、(成分D)重合性化合物を含有することが好ましい。
ここで用い得る重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは2〜6個有する化合物の中から任意に選択することができる。
本発明において、レリーフ形成層は、膜中に架橋構造を有することが好ましいことから、多官能モノマーが好ましく使用される。これらの多官能モノマーの分子量は、200〜2,000であることが好ましい。
単官能モノマー及び多官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)と多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
このように分子内に硫黄原子を有する重合性化合物としては、彫刻感度向上の観点から、特に、2つ以上のエチレン性不飽和結合を有し、そのうち2つのエチレン性不飽和結合間を連結する部位に炭素−硫黄結合を有する重合性化合物(以下、適宜、「含硫黄多官能モノマー」と称する。)を用いることが好ましい。
また、含硫黄多官能モノマーにおける2つのエチレン性不飽和結合間を連結する炭素−硫黄結合を含有する連結基としては、−C−S−、−C−SS−、−NH(C=S)O−、−NH(C=O)S−、−NH(C=S)S−、及び−C−SO2−から選択される少なくとも1つのユニットであることが好ましい。
一方、分子内に含まれるエチレン性不飽和部位の数は2つ以上であれば特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができるが、架橋膜の柔軟性の観点で、2個〜10個が好ましく、2個〜6個がより好ましく、2個〜4個がさらに好ましい。
また、本発明における含硫黄多官能モノマーは単独で用いてもよいが、分子内に硫黄原子を持たない多官能重合性化合物や単官能重合性化合物との混合物として用いてもよい。
彫刻感度の観点からは、含硫黄多官能モノマー単独で用いる、又は、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様が好ましく、より好ましくは、含硫黄多官能モノマーと単官能エチレン性モノマーとの混合物として用いる態様である。
また、レリーフ形成層中の含硫黄多官能モノマーをはじめとする(成分D)重合性化合物の総含有量は、架橋膜の柔軟性や脆性の観点から、不揮発性成分に対して、10重量%〜60重量%が好ましく、15重量%〜45重量%の範囲がより好ましい。
なお、含硫黄多官能モノマーと他の重合性化合物とを併用する場合、全重合性化合物中の含硫黄多官能モノマーの量は、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分E)重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は公知のものを制限なく使用することができる。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
重合開始剤としては、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別することができる。本発明では、架橋度を向上させる観点から、熱重合開始剤が好ましく用いられる。このことにより、彫刻後に発生するカスの性状が固形化しやすいと推定する。熱重合開始剤としては、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物が好ましく用いられる。特に、以下に示す化合物が好ましい。
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’4,4’−テトラ−(ターシャリーブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(ターシャリーアミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(ターシャリーヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(ターシャリーオクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−ターシャリーブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が例示できる。
本発明に用い得るラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
レリーフ形成層中の(成分E)重合開始剤の含有量は、レリーフ形成層の固形分全重量に対し0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。重合開始剤の含有量を0.01重量%以上とすることで、これを添加した効果が得られ、架橋性レリーフ形成層の架橋が速やかに行われる。また、含有量を10重量%以下とすることで他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、(成分F)光熱変換剤を含有することが好ましい。光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することで、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。ゆえに、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
前記光熱変換剤は、800〜1,200nmに吸収を有する顔料及び染料から選択される1種以上の光熱変換剤であることがより好ましい。
また、前記光熱変換剤は、顔料であることが好ましい。
なお、DBP吸油量(DBP吸収量)の測定は、JIS K6217−4に従って行われる。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、ポリマーに対して相溶性のよいものである必要がある。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、クエン酸トリブチル等や、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)が好ましく用いられる。
本発明においてレーザー彫刻用樹脂組成物は、彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースや高熱伝導性物質、を加えることがより好ましい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。高熱伝導性物質は、熱伝達を補助する目的で添加され、熱伝導性物質としては、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい。導電性ポリマーとしては、特に共役ポリマーが好ましく、具体的には、ポリアニリン、ポリチオフェンが挙げられる。
また、共増感剤を用いることで、レーザー彫刻用樹脂組成物を光硬化させる際の感度をさらに向上させることができる。
さらに、組成物の製造中或いは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが好ましい。
レーザー彫刻用樹脂組成物の着色を目的として染料若しくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させることができる。
さらに、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化皮膜の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
レリーフ形成層は、前記レーザー彫刻用樹脂組成物からなる層である。レーザー彫刻用樹脂組成物として化合物(I)及び該化合物(I)と反応し得るポリマーを含む樹脂組成物を用いる。本発明において、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版としては、熱架橋による架橋構造を有するレリーフ形成層を有するものが好ましく、(成分A)化合物(I)と(成分B)特定ポリマーとによる架橋構造及び式(I)で表される基の導入に加えて、さらに(成分D)重合性化合物及び(成分E)重合開始剤を含有することでさらなる熱架橋による架橋性の機能を付与したレリーフ形成層を有するものがより好ましい。
以下、主としてレリーフ形成層をシート状にした場合を例に挙げて説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版に使用し得る支持体について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
また、架橋性のレーザー彫刻用樹脂組成物を塗布し、裏面(レーザー彫刻を行う面と反対面であり、円筒状のものも含む。)から光又は熱などで硬化させて作成されたレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版においては、硬化したレーザー彫刻用樹脂組成物の裏面側が支持体として機能するため、必ずしも支持体は必須ではない。
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。接着層に使用し得る材料(接着剤)としては、例えば、I.Skeist編、「Handbook of Adhesives」、第2版(1977)に記載のものを用いることができる。
レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムの厚さは、25〜500μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)のようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はマット化されていてもよい。レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物(レーザー彫刻用樹脂組成物を含有)を調製し、このレリーフ形成層用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。或いはレリーフ形成層用塗布液組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることによって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、まず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
また、ここでいう「架橋」とは、ポリマー同士を連結する架橋反応を含む概念であり、また、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物同士の重合反応やポリマーと重合性化合物の反応によるレリーフ形成層の硬化反応をも含む概念である。
本発明において、レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製版方法は、(2)レリーフ印刷版原版を露光により彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程、及び(3)彫刻後のレリーフ層の版面からカス除去材によりカスを除去するカス除去工程を含む。
レリーフ形成層は、(成分A)化合物(I)、(成分B)特定ポリマー、好ましくは、さらに、他のバインダーポリマー、光熱変換剤、重合開始剤、及び重合性化合物を含むものであり、工程(1)は重合開始剤の作用で重合性の化合物をポリマー化し、成分Aと成分Bとの架橋構造に加え、さらに高密度に架橋を形成して、レリーフ形成層を、硬化されたレリーフ形成層とする工程であることが好ましい。
工程(1)で、熱により架橋する工程を行う場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加え得る。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤が使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
具体的には、レリーフ形成層の露光領域に対して形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。赤外レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、感光層中の分子は分子切断或いはイオン化されて選択的な除去、すなわち彫刻がなされる。このとき、レリーフ形成層中の光熱変換剤によっても露光領域が発熱するため、この光熱変換剤により発生した熱もまた、この除去性を促進する。
レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は浅く或いはショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも光熱変換剤の極大吸収波長に対応した赤外レーザーで彫刻する場合に、前述の光熱変換剤からの発熱が効率よく行われるために、より高感度かつシャープなレリーフ層が得られる。
彫刻に用いられる赤外レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー又は半導体レーザーが好ましく用いられ、中でも、以下に詳述するファイバー付き半導体赤外線レーザーが特に好ましく用いられる。
一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率かつ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。ビーム径の制御は、結像レンズ、特定の光ファイバーを用いて行われる。ファイバー付き半導体レーザーは、さらに光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため本発明における画像形成には有効である。さらに、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、実用レーザー技術 電子通信学会 等に記載されている。
また、レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法に好適に使用し得るファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本願出願人による特開2009−172658号公報、特開2009−214334号公報に詳細に記載され、これをレリーフ印刷版の製版に使用することができる。
GaAsのバンドギャップが室温で860nmであるため、860nm未満の領域では、一般的に、活性層がAlGaAs系のものが好ましく用いられる。一方、860nm以上では半導体活性層材料がInGaAs系のものが用いられる。一般にAlは酸化されやすいためInGaAs系材料を活性層に持つ半導体レーザーの方がAlGaAs系より信頼性が高いため860〜1,200nmが好ましい。
さらに実用的な半導体レーザーとしては、活性層材料のみならずクラッド材料の組成なども考慮すると、InGaAs系材料を活性層に持つ半導体レーザーでは、更に好ましい態様としては、波長が900〜1,100nmの範囲において、より高出力で高信頼なものが得られやすい。従って波長900〜1,100nmのInGaAs系の材料を活性層に持つファイバー付き半導体レーザーを用いることにより、本発明の効果であるカス除去が達成し易い。特にCO2レーザーは、高出力で彫刻を行うので彫刻中に熱が多く発生し易く、発生したカスが熱により溶融され易い。これに対し半導体レーザーで彫刻する場合、CO2レーザーに比べて低エネルギーで彫刻するため、熱の影響がなく、カスも固形状を維持し易く、カス除去性に有利であると推定される。
<カス除去材>
工程(3)において用い得るカス除去材の主成分としては、ポリエステル、セルロース、ナイロン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ビニロン、レーヨン、キュプラ、ポリウレタン、羊毛、ガラス、靭皮繊維、葉脈繊維などが挙げられる。中でも、ポリエステル、ナイロンが好ましく、ポリエステルがより好ましい。
前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、等が挙げられる。中でも、PET、PTTが好ましく、PETがより好ましい。
これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
具体的には、市販のクッションテープ、例えばデュプロフレックス5.1、デュプロフレックス5.1プラス(ローマン社製)、PU発泡基材両面テープ233(共同技研化学(株)製)、フォームテープ#1100(不二紙化工業(株)製)等がある。
カス除去材と版材との接触には、あらゆる手段を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、硬度が低いゴムローラを用いることができる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の膜厚(厚さ)は、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.1〜10mmが好ましく、0.1〜7mmがより好ましく、0.1〜3mmが更に好ましい。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(成分B)特定ポリマーとして「デンカブチラール#3000−2」(電気化学工業(株)製、ポリビニルブチラール誘導体 Mw=9万)40重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート47重量部を入れ、撹拌しながら70℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。その後、溶液を40℃にし、さらに可塑剤としてトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート15重量部、重合性化合物(単官能体)としてブレンマーLMA(日油(株)製)8重量部、(成分E)重合開始剤としてパーブチルZ(日油(株)製)1.6重量部、(成分F)光熱変換剤としてカーボンブラック(ショウブラック N110、キャボットジャパン(株)製、DBP吸油量115ml/100g)1.5重量部、を添加して30分間撹拌した。その後、(成分A)化合物(I)(S−15)(以下に、構造を示す。商品名、KBE−846として信越化学工業(株)より入手可能)15重量部及び(成分C)触媒としてリン酸0.4重量部、を添加し、40℃で10分間撹拌した。この操作により、流動性のあるレリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用樹脂組成物)を得た。
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られたレリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、90℃のオーブン中で3時間乾燥させて、厚さが約1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1を作製した。
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、Nipol BR1220L(日本ゼオン(株)製、ブタジエンゴム)50重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン47重量部を入れ、撹拌し、ポリマーを溶解させた。その後、重合性化合物(2官能体)として1,6−ヘキサジオール−ジアクリレート10重量部、(成分E)重合開始剤としてパーブチルZ(日油(株)製)1.6重量部、光熱変換剤としてカーボンブラック(ショウブラックN110、キャボットジャパン(株)製、DBP吸油量115ml/100g)1.0重量部を添加して30分間撹拌した。この操作により、流動性のあるレリーフ形成層用塗布液2(レーザー彫刻用樹脂組成物)を得た。
レリーフ形成層用塗布液2を使用した以外はレリーフ印刷版原版1と同様にして、レリーフ印刷版原版2を作製した。
1.レーザー彫刻用樹脂組成物の調製
−不飽和ポリウレタンの製造−
温度計及び撹拌機を備えた1Lのセパラブルフラスコに、数平均分子量2,500のポリオキシエチレン(EO)−ポリオキシプロピレン(PO)ブロック共重合体ジオール(EO/POモル比1/4)51重量部、数平均分子量3,000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)33.9重量部、触媒としてジブチルチンスズジラウレート0.003重量部、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.1重量部を入れ、撹拌混合した。この際、系内の水分量を400ppmに調整した。次に、トリレンジイソシアネート6重量部を外温40℃で撹拌しながら滴下添加し、その後徐々に外温を上昇させ80℃において5時間反応させた。さらに、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート4重量部を添加し、2時間反応させることによって不飽和ポリウレタンを得た。この不飽和ポリウレタンのGPCによるポリスチレン換算数平均分子量は22,500であった。
上記のように製造した不飽和ポリウレタン65重量部に対し、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレート13重量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレート20重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート2重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.6重量部、ベンゾフェノン1重量部、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール0.05重量部を混合し、感光性樹脂組成物であるレリーフ形成層用塗布液3(レーザー彫刻用樹脂組成物)を得た。
厚さ180μmのPETフィルム上に調製したレリーフ形成層用塗布液3を厚さ1.5mmのシート状に成形し、感光性樹脂層を得た。次いで、メタルハライドタンプ(アイグラフィックス(株)製、商標「M056−L21」)から出てくる光を、大気中で感光性樹脂層が露出している面から照射して感光性樹脂層を硬化させた。こうして、感光性樹脂層を硬化させてなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版3を作製した。照射したエネルギー量は、4000mJ/cm2であった。なお、このエネルギー量は、UV−35−APRフィルターで測定した照度を時間積分した値である。
厚さが0.06mmのレリーフ形成層を設けている以外は、レリーフ印刷版原版2と同様にレリーフ印刷版原版4を作製した。
厚さが0.2mmのレリーフ形成層を設けている以外は、レリーフ印刷版原版2と同様にレリーフ印刷版原版5を作製した。
上記各レリーフ印刷版原版について、レリーフ形成層上の保護フィルムを剥離した後、レリーフ形成層に対し、以下の2種のレーザーにより彫刻した。
炭酸ガスレーザー彫刻機として、高品位CO2レーザーマーカML−9100シリーズ((株)キーエンス製)を用いた。ベタ部の彫刻は、炭酸ガスレーザー彫刻機でレーザー出力:12W、ヘッド速度:200mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方に巾100μmの凹線を100μmおきに彫刻した。また、凹細線の彫刻は、炭酸ガスレーザー彫刻機でレーザー出力:12W、ヘッド速度:1500mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方に巾100μmの凹線を1mmおきに彫刻した。
半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備したレーザー記録装置を用いた。ベタ部の彫刻は、半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方に巾100μmの凹線を100μmおきに彫刻した。また、凹細線の彫刻は、半導体レーザー彫刻機でレーザー出力:2.5W、ヘッド速度:409mm/秒、ピッチ設定:2,400DPIの条件で、1cm四方に巾50μmの凹線を1mmおきに彫刻した。
レリーフ印刷版原版1〜5を彫刻して得られたレリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、それぞれ約1mm、約1mm、約1.5mm、約0.06mm、約0.2mmであった。
実施例1〜10及び比較例1では、1mm厚のSUS板に前記方法にて彫刻した各版材を載置した後、表1に示すカス除去材を版の表面に置き、ゴムローラで荷重500gfで版と並行にカス除去材を5回押さえた。その後、カス除去材を版表面からゆっくりはがした。
また、熱を併用する場合は、版を100℃のオーブンに1分入れた後、前記方法と同様にカスを除去した。
比較例2では、カス除去剤を用いたカス除去工程に代えて、版上に蒸留水を10cc垂らし、ブラシ(クリニカ歯ブラシ ふつう、ライオン(株)製)を用いて荷重200gfにて10回こすった。
<カス除去性>
カス除去材を用いたカス除去工程を経た版の表面を×100のマイクロスコープ((株)キーエンス製)で観察し、版上の取れ残りカスを評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
× :版全面に付着している
△ :版画像凸部に僅かにカスが残っており、また、画像底部(凹部)にカスが残っている
○△:版画像凸部に僅かにカスが残っており、また、画像底部(凹部)に僅かにカスが残っている
○ :画像底部(凹部)に僅かにカスが残っているのみである
○◎:まったく版上にカスが残っていない
クッションテープ(デュプロフレックス5.1):材料:ポリエチレン発泡体、接着剤;アクリル系、粘着力;13N/25mm、厚み;0.55mm
マスキングテープNO.720(日東電工(株)製):粘着力;3.6N/25mm、厚さ;0.1mm
システムクロスフリース:材料;ポリエステル、粘着力;0N/25mm、厚さ;3.5mm
ニューRDガーゼ:材料;レーヨン100%、粘着力;0N/25mm
Claims (11)
- バインダーポリマーを含有し、膜厚が0.1mm以上のレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版の露光領域を、レーザーを用いた露光により彫刻してレリーフ層を形成する彫刻工程、及び、
前記レリーフ層の前記露光領域を含む版面にカス除去材を接触させつつ押圧して、彫刻により発生した前記露光領域のカスを除去するカス除去工程、を含むことを特徴とする
レリーフ印刷版の製版方法。 - 前記カス除去工程では、加熱処理を行うことなく前記版面に前記カス除去材を接触させつつ押圧して、前記カスを除去する、請求項1に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記レリーフ形成層が、熱架橋による架橋構造を有するレリーフ形成層である、請求項1又は2に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記バインダーポリマーのガラス転移温度が20℃以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記彫刻工程では、前記露光領域を、波長が700〜1,300nmのファイバー付き半導体レーザーを用いた露光により彫刻する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記レリーフ形成層が、光熱変換剤を更に含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記光熱変換剤が、700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な顔料及び/又は染料である、請求項6に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記光熱変換剤が、700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な顔料である、請求項7に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記700〜1,300nmの波長の光を吸収可能な顔料がカーボンブラックである、請求項8に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 前記カーボンブラックが、吸油量150ml/100g未満のカーボンブラックである、請求項9に記載のレリーフ印刷版の製版方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のレリーフ印刷版の製版方法により作製されたことを特徴とする
レリーフ印刷版。
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