JP2011094030A - ポリ乳酸樹脂組成物、ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法、成形品、携帯電話機用卓上ホルダー、携帯電話機の内部シャーシ部品、電子機器用筐体及び電子機器用内部部品 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂組成物、ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法、成形品、携帯電話機用卓上ホルダー、携帯電話機の内部シャーシ部品、電子機器用筐体及び電子機器用内部部品 Download PDF

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Abstract

【課題】成形サイクルが短く、ポリ乳酸樹脂の耐加水分解性が高く、且つこの耐加水分解性と成形品の剛性とのバランスに優れるポリ乳酸樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係るポリ乳酸樹脂組成物は、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を50〜98質量%、グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体を1〜20質量%、タルクを1〜30質量%含有することを特徴とする。このため、このポリ乳酸樹脂組成物を成形する際に成形サイクルを短縮化することができ、且つ、このポリ乳酸樹脂組成物から形成される成形品は高い剛性を有すると共に高い耐加水分解性を併せ持つようになる。
【選択図】なし

Description

本発明はポリ乳酸樹脂組成物、前記ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法、並びに前記ポリ乳酸樹脂組成物を成形して得られる成形品、携帯電話機用卓上ホルダー、携帯電話機の内部シャーシ部品、電子機器用筐体及び電子機器用内部部品に関する。
近年、地球温暖化の要因として、大気中における炭酸ガス濃度の上昇が指摘され、地球規模での炭酸ガス排出規制の必要性が唱えられている。炭酸ガス排出源としては、生物の呼吸、バクテリアによる腐敗・発酵などもあるが、石油資源に由来する物質の燃焼による部分が大きく、現状の大気中の炭酸ガスによる温度上昇現象は、人間による産業革命以後の石油資源を浪費した経済活動によってもたらされているといっても過言ではない。また、石油資源は有限な資源であり、将来的に枯渇することが予測される。
ところで、近年、カーボンニュートラルな材料として、成長過程で大気中の炭酸ガスを吸収、固定する植物資源の有効活用が注目されている。すなわち、植物の植生によって大気中の炭酸ガスの吸収を図る一方で、植物資源で石油資源の代替をはかるというものである。
プラスチック材料の分野においても、従来の石油を基礎原料とする材料から、バイオマスを利用した材料への転換が試みられている。バイオマスを利用したプラスチック材料は、当初は生分解性プラスチックとして注目を集めていたが、最近ではカーボンニュートラルな植物系プラスチックとしてその意義が見直されており、一部で実用化されている。代表的な植物系プラスチックの一つとして、ポリ乳酸樹脂が挙げられる。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂には成形サイクルが遅いという実用化上の最大の課題を有しているので、成形サイクルの短縮化が求められている。またポリ乳酸樹脂は加水分解しやすく、実用化できる程度の耐加水分解性の付与が求められている。またポリ乳酸樹脂は一般的に硬くて脆い材料であり、ポリ乳酸樹脂成形品の剛性の改善、すなわち引っ張り強度や引っ張り弾性率の向上も実用上必要とされていた。そこで、従来、このような問題を解決するための方策が種々検討されている。
例えば特許文献1では、成形サイクル短縮のため、ポリ乳酸樹脂組成物中に結晶化を促進するための結晶核剤を添加することが提案されている。また、特許文献2では、成形品の耐水性を高めると共に機械的強度を維持するために、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体アクリロニトリル−スチレン共重合体とグラフト共重合体と、熱可塑性樹脂とをポリ乳酸に代表される脂肪族ポリエステル樹脂に配合して化学的に結合した後、カルボジイミドを添加することが提案されている。また、特許文献3では、成形品の耐衝撃性を改善するための、ポリ乳酸樹脂組成物にエポキシ基を含有したゴム成分とフィブリル化フッ素樹脂を添加することが提案されている。
しかしながら、これらの従来の改善策においても、ポリ乳酸樹脂の耐加水分解性は必ずしも実用上充分ではなく、またこの耐加水分解性と成形品の引っ張り強度や引っ張り弾性率等の剛性のバランスに優れたポリ乳酸系の樹脂組成物は実現されていない。
国際公開第WO2005/097894号 特開2007−145937号公報 特開2008−291107号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、成形サイクルが短く、ポリ乳酸樹脂の耐加水分解性が高く、且つこの耐加水分解性と成形品の剛性とのバランスに優れるポリ乳酸樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は前記ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法、並びにこのポリ乳酸樹脂組成物から形成される成形品、携帯電話機用卓上ホルダー、電子機器用筐体及び電子機器用内部部品を提供することを目的とする。
本発明に係るポリ乳酸樹脂組成物は、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を50〜98質量%、グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体を1〜20質量%、タルクを1〜30質量%含有することを特徴とする。
このため、このポリ乳酸樹脂組成物を成形する際に成形サイクルを短縮化することができ、且つ、このポリ乳酸樹脂組成物から形成される成形品は高い剛性を有すると共に高い耐加水分解性を併せ持つようになる。
本発明においては、前記ステレオコンプレックス型ポリ乳酸のステレオ化度が90%以上であることが好ましい。この場合、ポリ乳酸樹脂組成物を成形する際に成形サイクルを更に短縮化することができる。
また、本発明においては、前記タルクの平均粒径が0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。この場合、成形品を強靱化することができる。
また、本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物がカルボジイミド化合物を含有することが好ましい。この場合、成形品の耐加水分解性が更に向上する。
また、本発明においは、ポリ乳酸樹脂組成物がポリカーボネート樹脂を含有することが好ましい。この場合、成形品の耐加水分解性が更に向上する。
また、本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物がABS樹脂を含有することが好ましい。この場合、成形品の耐加水分解性が更に向上する。
本発明に係るポリ乳酸樹脂組成物の製造方法は、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を50〜98質量%、グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体を1〜20質量%、タルクを1〜30質量%の割合で混合することを特徴とする。
本発明に係る成形品は、上記ポリ乳酸樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明に係る携帯電話機用卓上ホルダーは、上記ポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする。
本発明に係る携帯電話機の内部シャーシ部品は、上記ポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする。
本発明に係る電子機器用筐体は、上記ポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする。
本発明に係る電子機器用内部部品は、上記ポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする。
本発明によれば、ポリ乳酸樹脂組成物の成形サイクルを短縮し、成形品の耐加水分解性を向上し、更にこの成形品の耐加水分解性と剛性とのバランスを優れたものとすることができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本実施形態に係るポリ乳酸樹脂組成物は、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を50〜98質量%、グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体を1〜20質量%、タルクを1〜30質量%含有する。
ステレオコンプレックス型ポリ乳酸は、光学異性体であるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とが混合したものであり、これらが対となることでステレオコンプレックス結晶を生成している(Macromolecules 1987,20,904−906参照)。このステレオコンプレックス型ポリ乳酸は、ポリ−L−乳酸と比較して格段に高い融点を有する結晶性樹脂であり、ポリ−L−乳酸よりも格段に優れた特性が期待できる。
ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸は、実質的にそれぞれ下記式(1)で表されるL−乳酸単位およびD−乳酸単位からなる。
Figure 2011094030
ポリ−L−乳酸は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは99〜100モル%のL−乳酸単位から構成される。他の単位としては、D−乳酸単位、乳酸以外の単位が挙げられる。D−乳酸単位、乳酸以外の単位は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜1モル%である。
ポリ−D−乳酸は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは99〜100モル%のD−乳酸単位から構成される。他の単位としては、L−乳酸単位、乳酸以外の単位が挙げられる。L−乳酸単位、乳酸以外の単位は、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜1モル%である。
乳酸以外の単位としては、2個以上のエステル結合形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等由来の単位およびこれら種々の構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等由来の単位が例示される。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテオラメチレングリコール等の脂肪族多価アルコール等あるいはビスフェノールにエチレンオキシドが付加させたものなどの芳香族多価アルコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ステレオコンプレックスポリ乳酸は、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸の混合物であり、ステレオコンプレックス結晶を形成し得る。ポリ−L−乳酸の重量平均分子量は、好ましくは15万〜21万である。ポリ−D−乳酸の重量平均分子量は、好ましくは13万〜16万である。このように、重量平均分子量に差をつけることによって、ステレオコンプレックス化が容易となり、より高分子量の均一なステレオコンプレックスを形成し易くなる。
ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸は、公知の方法で製造することができる。例えば、L−またはD−ラクチドを金属重合触媒の存在下、加熱し開環重合させ製造することができる。また、金属重合触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を結晶化させた後、減圧下または不活性ガス気流下で加熱し固相重合させ製造することができる。さらに、有機溶媒の存在/非存在下で、乳酸を脱水縮合させる直接重合法で製造することができる。
重合反応は、従来公知の反応容器で実施可能であり、例えばヘリカルリボン翼等、高粘度用攪拌翼を備えた縦型反応器あるいは横型反応器を単独、または並列して使用することができる。また、回分式あるいは連続式あるいは半回分式のいずれでも良いし、これらを組み合わせてもよい。
重合開始剤としてアルコールを用いてもよい。かかるアルコールとしては、ポリ乳酸の重合を阻害せず不揮発性であることが好ましく、例えばデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノールなどを好適に用いることができる。
固相重合法では、前述した開環重合法や乳酸の直接重合法によって得られた、比較的低分子量の乳酸ポリエステルをプレポリマーとして使用する。プレポリマーは、そのガラス転移温度(Tg)以上融点(Tm)未満の温度範囲にて予め結晶化させることが、融着防止の面から好ましい形態と言える。結晶化させたプレポリマーは固定された縦型或いは横型反応容器、またはタンブラーやキルンの様に容器自身が回転する反応容器(ロータリーキルン等)中に充填され、プレポリマーのガラス転移温度(Tg)以上融点(Tm)未満の温度範囲に加熱される。重合温度は、重合の進行に伴い段階的に昇温させても何ら問題はない。また、固相重合中に生成する水を効率的に除去する目的で前記反応容器類の内部を減圧することや、加熱された不活性ガス気流を流通する方法も好適に併用される。
ステレオコンプレックス型ポリ乳酸におけるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸との割合は、質量比で90:10〜10:90の範囲であることが好ましく、75:25〜25:75の範囲であればより好ましく、60:40〜40:60の範囲であれば更に好ましく、またこの割合が50:50に近いほど好ましい。
また、このステレオコンプレックス型ポリ乳酸の重量平均分子量は、10万〜50万の範囲であることが好ましく、10万〜30万の範囲であれば更に好ましい。この重量平均分子量は、溶媒(移動相)としてクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められる、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
ステレオコンプレックスポリ乳酸は、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸からなりステレオコンプレックス結晶を形成していることが好ましい。ステレオコンプレックス結晶の含有率は、好ましくは80〜100%、より好ましくは95から100%である。本発明でいうステレオコンプレックスポリ乳酸は、示差走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程における融解ピークのうち、195℃以上の融解ピークの割合が好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。融点は、195〜250℃の範囲、より好ましくは200〜220℃の範囲である。融解エンタルピーは、20J/g以上、好ましくは30J/g以上である。具体的には、示差走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程における融解ピークのうち、195℃以上の融解ピークの割合が90%以上であり、融点が195〜250℃の範囲にあり、融解エンタルピーが20J/g以上であることが好ましい。
また、このステレオコンプレックス型ポリ乳酸のステレオ化度は、90%以上であることが好ましく、100%であれば更に好ましい。ステレオ化度(S)は、DSC測定において融点のエンタルピーを比較することによって下記式によって決定することができる。
S=[(ΔHms/ΔHms)/(ΔHmh/ΔHmh+ΔHms/ΔHms)]
(ただし、ΔHms=203.4J/g、ΔHmh=142J/g、ΔHmsはステレオコンプレックス融点の融解エンタルピー、ΔHmhはホモ結晶の融解エンタルピーである。)
ステレオコンプレックス型ポリ乳酸は、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを所定の質量比で共存させて混合することにより得ることができる。混合は溶媒の存在下でおこなうことができる。この溶媒としては、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸が溶解するものであれば特に制限されないが、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、フェノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、トリオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等を使用することができる。これらの溶媒を一種のみ用いることができ、また複数種の溶媒を併用することもできる。
また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを溶媒の非存在下で混合することでステレオコンプレックス型ポリ乳酸を得ることもできる。この場合、例えばポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを溶融混練する方法や、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸のうち一方を溶融させた後、これに他方を加えて混練する方法などを採用することができる。
また、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸として、ポリ−L−乳酸セグメントとポリ−D−乳酸セグメントが結合している構造を有するステレオブロックポリ乳酸も、好適に用いることができる。ステレオブロックポリ乳酸はポリ−L−乳酸セグメントとポリ−D−乳酸セグメントが分子内で結合してなる、ブロック重合体である。このようなブロック重合体は、たとえば、逐次開環重合によって製造する方法や、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を重合しておいてあとで鎖交換反応や鎖延長剤で結合する方法、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を重合しておいてブレンド後固相重合して鎖延長する方法、立体選択開環重合触媒を用いてラセミラクチドから製造する方法、など上記の基本的構成を持つ、ブロック共重合体であれば製造法によらず、用いることができる。しかしながら、逐次開環重合によって得られる高融点のステレオブロック重合体、固相重合法によって得られる重合体を用いることが製造の容易さからより好ましい。
ステレオコンプレックス型ポリ乳酸には、ステレオ化度を向上させるために特定の添加物を添加することが好ましい。そのような添加物としては、下記式(2)に示すリン酸金属塩が好ましい例として挙げられる。
Figure 2011094030
式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。RおよびRは、同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子または炭素原子数1〜12のアルキル基を表す。アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表す。Mとして、Na、K、Al、Mg、Caが挙げられ、特に、K、Na、Alを好適に用いることができる。nは、Mがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子または亜鉛原子のときは0を表し、Mがアルミニウム原子のときは1または2を表す。
これらのリン酸金属塩は、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸に対して、好ましくは質量割合で10ppmから2%、より好ましくは50ppmから0.5%、さらに好ましくは100ppmから0.3%用いることが好ましい。少なすぎる場合には、ステレオ化度を向上する効果が小さく、多すぎると樹脂自体を劣化させるので好ましくない。
また、ポリ乳酸組成物の耐熱性を向上させるために、さらにケイ酸カルシウムを添加することが好ましい。ケイ酸カルシウムとしては、例えば、六方晶を含むものを用いることができ、その粒子径は低いほうが好ましい。例えば、平均一次粒子径は0.2〜0.05μmの範囲であるとポリ乳酸組成物に適度に分散するので、ポリ乳酸組成物の耐熱性は良好なものとなる。また、添加量はポリ乳酸組成物を基準として、0.01〜1質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましいのは0.05〜0.5質量%の範囲である。多すぎる場合には、外観が悪くなりやすく、少なければ特段の効果を示さないので好ましくない。
また、ポリ乳酸組成物中のステレオコンプレックス型ポリ乳酸のカルボキシル末端基濃度が15eq/ton以下であることが好ましい。この範囲内にある時には、溶融安定性、湿熱耐久性が良好な組成物を得ることができる。15eq/ton以下にする場合には、具体的には、ポリエステルにおいて公知のカルボキシル末端基濃度の低減方法をいずれも採用することができ、例えば、末端封止剤の添加、具体的には、オキサゾリン類、エポキシ化合物等の添加や、モノカルボジイミド類、ジカルボジイミド類、ポリカルボジイミド類などの縮合剤の添加または、末端封止剤、縮合剤を添加せず、アルコール、アミンによってエステルまたはアミド化することもできる。
ポリ乳酸樹脂組成物中のステレオコンプレックス型ポリ乳酸の含有量は50〜98質量%の範囲とする。この含有量が50%未満の場合にはポリ乳酸樹脂組成物から形成された成形品の引張り強度や引張り弾性率等の剛性を改善することが難しく、98%を超える場合には高い耐加水分解性を実現することが難しくなる。
また、ポリ乳酸樹脂組成物は、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸に加えて、ポリ−L−乳酸を含有してもよい。ポリ−L−乳酸としては、上記ステレオコンプレックス型ポリ乳酸の製造に用いられるポリ−L−乳酸を使用することができ、また市販のものを適宜使用することができる。このポリ−L−乳酸の含有量は、ポリ乳酸樹脂全量に対して30質量%以下であることが好ましい。この含有量が30質量%を超えると、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を含有することによる成形品の剛性の改善や耐加水分解性の向上が充分に達成されなくなるおそれがある。このポリ−L−乳酸の分子量は特に制限されないが、物理的、熱的特性の面より、その重量平均分子量が1万以上、より好ましくは3万以上であることが好ましい。
ポリ乳酸樹脂組成物に含有されるグリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体は、グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの混合物である。この複合体におけるグリシジルメタクリレート及びシリコーンアクリル複合ゴムは、その全部若しくは一部がグリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとが共重合した重合体として存在していてもよい。
前記シリコーンアクリル複合ゴムは、アクリル酸アルキルからなるアクリル成分とシリル基末端ポリエーテルからなるシリコーン成分との重合体である。
前記アクリル酸アルキルとしては、具体的には、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−プロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸オクタデシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸クロロメチル、メタアクリル酸2−クロロエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタアクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルまたはメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記シリル基末端ポリエーテルとしては、末端にシリル基を有するポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリエーテルが用いられる。前記シリル基としては、具体的には、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、ブチルシリル基などのアルキルシリル基、3−クロロプロピルシリル基、3,3,3−トリフルオロプロピルシリル基などのハロゲン化アルキルシリル基、ビニルシリル基、アリルシリル基、ブテニルシリル基などのアルケニルシリル基、フェニルシリル基、トリルシリル基、ナフチルシリル基などのアリールシリル基、シクロペンチルシリル基、シクロヘキシルシリル基などのシクロアルキルシリル基、ベンジルシリル基、フェネチルシリル基などのアリール−アルキルシリル基などが挙げられる。このようなシリル基末端ポリエーテルは、一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
このグリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体は、多層構造を有していてもよい。この多層構造を有する複合体としては、例えば最内層(コア層)とそれを覆う1以上の層(シェル層)から構成され、且つ隣接し合った層が異種の重合体から構成される、いわゆるコアシェル型と呼ばれる構造を有するものが挙げられる。このコアシェル構造体は、例えばシリコーンアクリル複合ゴムのラテックスにグリシジルメタクリレートを添加し、グラフト重合させることで得ることができる。このようなグリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体としては、市販のものを適宜使用することができる。その具体例としては、グリシジルメタクリレートをシェルに含有するコアシェル構造体である三菱レイヨン株式会社製の商品名メタブレンS2200を挙げることができる。
ポリ乳酸樹脂組成物中のグリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体の含有量は、1〜20質量%の範囲内とするものであり、好ましくは3〜10質量%の範囲とする。この含有量が1%未満の場合には、成形品の耐加水分解性の向上が図れなくなり、また20質量%を超える場合には、ポリ乳酸樹脂組成物が混練時にゲル化してペレット化が困難になる等、加工性の点において難点が生じる。また、この含有量を3質量%以上とすることで成形品の耐加水分解性を説くに向上することができ、またこの含有量を10質量%以下とすることで組成物の粘度低下を特に抑制し、流動性の低下が抑制される。
ポリ乳酸樹脂組成物中に含有されるタルクとしては、樹脂成形材料のフィラー材として一般的に使用されているものを用いることができ、市販されている適宜のものを用いることができる。このタルクの平均粒径は、通常は0.1〜10μmの範囲内であることが好ましい。この平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計(日機装株式会社製のマイクロトラックMT3000IIシリーズなど)などを用いたレーザー回折散乱法により測定される値である。
ポリ乳酸樹脂組成物中のタルクの含有量は、1〜30質量%の範囲内とする。この含有量が1質量%未満の場合には成形品の引張り弾性率の向上を図ることができなくなり、またこの含有量が30%を超える場合にはポリ乳酸樹脂組成物の混練時にタルクの一部がスクリューに食い込まなくなるなどしてペレット化が困難になる等、加工性が低下すると共に、成形性も低下してしまう。また、このタルクの含有量は、好ましくは1〜15質量%の範囲とし、更に好ましくは3〜8質量%の範囲とする。この含有量が8質量%以下であると、複雑な形状の成形品を得る場合であってもウエルドの発生を充分に抑制することができ、またこの含有量が3質量%以上であると、タルクの添加の効果を特に発揮させることができる。
ポリ乳酸樹脂組成物は上記成分に加えて、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物を含有してもよい。この場合、これらの化合物が、ポリ乳酸樹脂のカルボキシル基末端の一部または全部と反応して封鎖する働きを発揮し、これにより、成形品の耐加水分解性が更に向上する。このため、成形品の高温高湿環境下での耐久性の向上を図ることができる。
前記ポリカルボジイミド化合物としては、例えばポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられる。また前記モノカルボジイミド化合物としては、例えばN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
このようなカルボジイミド化合物としては、市販のものを適宜使用することができる。その具体例としては、日清紡績株式会社製の商品名カルボジライトLA−1(ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド))等を挙げることができる。
カルボジイミド化合物を使用する場合、ポリ乳酸樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の含有量は0.1〜5質量%の範囲内とすることが好ましい。この含有量が0.1質量%未満では前記耐久性の向上はあまり期待できず、5質量%を超えると成形品の機械的強度が低下する傾向が現れる場合がある。
カルボジイミド化合物を使用する場合、ポリ乳酸樹脂組成物の調製時にステレオコンプレックス型ポリ乳酸とカルボジイミド化合物のみを予め混合してマスターバッチを調製すると、カルボジイミド化合物を使用することによる前記作用を効果的に発揮させることができる。
また、ポリ乳酸樹脂組成物はABS樹脂を含有してもよい。この場合、成形品の耐加水分解性を更に向上することができる。
前記ABS樹脂としては、市販のものを適宜使用することができる。ABS樹脂を使用する場合、ポリ乳酸樹脂組成物中のABS樹脂の含有量は、1〜20質量%の範囲内とすることが好ましい。この含有量が1質量%未満では成形品の耐加水分解性の向上はあまり期待できず、この含有量が20質量%を超えると樹脂成分全体に対するポリ乳酸樹脂の比率が下がってしまい、ポリ乳酸樹脂の特徴である生分解性が低下するおそれがある。
また、ポリ乳酸樹脂組成物はポリカーボネート樹脂を含有してもよい。この場合、成形品の耐加水分解性を更に向上することができる。
前記ポリカーボネート樹脂としては、市販のもの適宜使用することができる。ポリ乳酸樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂の含有量は1〜20質量%の範囲内とすることが好ましい。この含有量が1質量%未満では成形品の耐加水分解性の向上はあまり期待できず、この含有量が20質量%を超えると樹脂成分全体に対するポリ乳酸樹脂の比率が下がってしまい、ポリ乳酸樹脂の特徴である生分解性が低下するおそれがある。
またポリ乳酸樹脂組成物は、本発明の目的に反せず、その効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて結晶核剤、安定剤、顔料、染料、補強剤(マイカ、クレー、ガラス繊維等)、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤、無機および有機系抗菌剤等の公知の添加剤を配合することができる。これらの成分は、ポリ乳酸樹脂組成物の混練時に加えてもよく、また成形時等に加えてもよい。
ポリ乳酸樹脂組成物は、上記のような成分を混合、混練することによって調製することができる。またポリ乳酸樹脂組成物を必要に応じてペレット状に成形してもよい。前記混合、混練にあたっては、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール等を用いることができるが、中でも二軸押出機による溶融混練が好ましい。またこの混合、混練にあたっては、必要に応じて、サイドフィードなどにより樹脂やその他の添加剤を配合することもできる。
このポリ乳酸樹脂組成物を射出成形、ブロー成形、シート成形、真空成形などの適宜の成形方法に成形して、各種成形品を得ることができる。この場合、ポリ乳酸樹脂としてポリ−L−乳酸のみを用いる場合と比べて、成形サイクルを短縮することができる。
また、このようにして得られた成形品は、耐加水分解性が高く、且つ優れた剛性を有し、長期間の使用が想定される家電分野や建材、サニタリー分野など、広範囲の分野に使用することができる。
例えば、このポリ乳酸樹脂組成物は成形サイクルが短く、従来のABSと同じ成形加工性、特性を有することから、携帯電話機用卓上ホルダーの外装などの電子機器用筐体や、携帯電話機の内部シャーシ部品などの電子機器用内部部品を作製するために好適に用いることができる。
[製造例]
Dラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製、光学純度99%以上)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.006重量部、オクタデシルアルコール0.37重量部を加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて、190℃で2時間反応し、その後、エステル交換抑制剤(ジヘキシルホスホノエチルアセテートDHPA)0.01重量部を加えた後、減圧して残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリ−D−乳酸を得た。得られたポリ−D−乳酸の重量平均分子量は13万、ガラス転移点(Tg)60℃、融点は170℃であった。
このポリ−D−乳酸と、ポリ−L−乳酸(ネイチャーワークス社製の4042D、光学純度95%以上、融点150℃、重量平均分子量21万)とを、32mm径の二軸押出機(Coperion製、ZSK 32)を用い、シリンダー温度200℃〜250℃、回転数200rpmの条件で溶融混練を行い、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を得た。得られたステレオコンプレックス型ポリ乳酸の融点は213℃、ステレオ化度は100%であった。
[実施例1〜20、比較例1〜5]
各実施例及び比較例について、表1に示す成分を用い、樹脂成分については予め乾燥処理を施した上で、これらの成分をタンブラーで10分間混合した。得られた混合物を二軸押出機で、ダイス付近温度190℃、投入口付近温度200℃の条件で押し出してストランドを得た。このストランドを速やかに冷却槽で冷却した後、カッターで切断して、長さ2〜4mmのペレット状の樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を、除湿乾燥機にて120℃で4時間加熱することにより乾燥処理を施した後、100トン射出成形機及びISO準拠試験片金型(カラープレート、60mm×60mm×2mm、2個取り)を用い、シリンダーの温度をヘッド付近で230℃、材料投入口付近で220℃に設定すると共に、金型温度を110℃に設定して射出成形し、成形し、成形品を得た。
[成形サイクル評価]
各実施例及び比較例につき、樹脂組成物の射出成形時における、金型への樹脂組成物の射出後、金型から成形品を変形が生じることなく取り出すことが可能となるまでに要した保持時間(冷却時間)を測定し、これを成形サイクルの指標とした。
[引張り強度評価]
各実施例及び比較例で得られた成形品の引張り強度を、ISO 527に準拠して測定した。
[引張り弾性率評価]
各実施例及び比較例で得られた成形品の引張り弾性率を、ISO 527に準拠して測定した。
[シャルピー衝撃強度評価]
各実施例及び比較例で得られた成形品のシャルピー衝撃強度を、ISO 179(常温)に準拠して測定した。
[耐久性(耐加水分解性)評価]
各実施例及び比較例で得られた成形品を60℃、95%RHの雰囲気下に曝露した後、この成形品の引張り強度を、ISO 527に準拠して測定した。この試験を曝露時間を変化させて実行することで、曝露後の成形品の引張り強度が曝露前の成形品の引張り強度の80%以下に達する最短の曝露時間を特定し、これを耐久性の指標とした。
[評価結果]
以上の評価試験の結果を、各実施例及び比較例における配合組成と共に下記表1,2に示す。
Figure 2011094030
Figure 2011094030
表1,2に示される各成分の詳細は次の通りである。
・ポリ乳酸A:製造例で得られたステレオコンプレックス型ポリ乳酸。
・ポリ乳酸B:ポリ−L−乳酸(ネイチャワークス社製の品番Ingeo 4032D)。
・コアシェルゴム:グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体(三菱レイヨン株式会社製の商品名メタブレン S2200)。
・タルクA:竹原化学工業株式会社製の商品名TTタルク、平均粒径7μm。
・タルクB:林化成株式会社製の商品名タルクミクロンホワイト、平均粒径2.8μm。
・タルクC:林化成株式会社製の商品名タルカンパウダー、平均粒径10μm。
・カルボジイミド化合物:日清紡ケミカル株式会社製の商品名カルボジライトLA−1。
・ABS樹脂:日本エイアンドエル株式会社製の商品名クララスチック AT08。
・ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製の商品名ユーピロンH4000。
・結晶核剤A:日産化学工業株式会社製の商品名エコプロモート、平均粒径1.5μm。
・結晶核剤B:日産化学工業株式会社製の商品名エコプロモートNT、平均粒径0.2μm。
・結晶核剤C:日産化学工業株式会社製の商品名エコプロモートを湿式で粉砕した後、スプレードライを施すことにより得られた粉砕品、平均粒径0.1μm。
表1,2に示す結果から明らかなように、実施例1〜20では成形サイクルが短く、成形品の引張り強度が45MPa以上、引張り弾性率が2.8GPa以上であって剛性が高く、耐久性が250hr以上となって耐加水分解性に優れたものとなり、剛性と耐加水分解性がバランス良く高いものであった。
このうち、カルボジイミド化合物、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂のうち少なくとも一種を用いた実施例5〜10,18〜20では、耐久性が特に向上することが確認された。
尚、比較例3では樹脂組成物の調製時(混練時)にゲル化が生じたため、樹脂組成物をペレット化することができず、また比較例4では樹脂組成物の調製時(混練時)にタルクの一部がスクリューに食い込まずペレット化することができなかったため、評価をすることができなかった。

Claims (12)

  1. ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を50〜98質量%、グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体を1〜20質量%、タルクを1〜30質量%の範囲で含有することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 前記ステレオコンプレックス型ポリ乳酸のステレオ化度が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 前記タルクの平均粒径が0.1〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. カルボジイミド化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  5. ポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  6. ABS樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  7. ステレオコンプレックス型ポリ乳酸を50〜98質量%、グリシジルメタクリレートとシリコーンアクリル複合ゴムとの複合体を1〜20質量%、タルクを1〜30質量%の割合で混合することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
  9. 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする携帯電話機用卓上ホルダー。
  10. 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする携帯電話機の内部シャーシ部品。
  11. 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする電子機器用筐体。
  12. 請求項1乃至6のいずれかに記載のポリ乳酸樹脂を成形してなることを特徴とする電子機器用内部部品。
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