JP2011090022A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多価アルコール及び多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂であって、多価アルコールが不飽和多価アルコールを含むか、あるいは多価カルボン酸が不飽和多価カルボン酸を含むポリエステル樹脂を、水系媒体中に分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する工程と、ラジカル重合開始剤をポリエステル樹脂粒子分散液に添加し、ラジカル重合反応させ、得られたポリエステル樹脂粒子の分散液を調整する工程と、を含む。
【選択図】なし
Description
従来、低温定着を可能とするためには、よりシャープメルト性の高い結着樹脂をトナーに用いることが、効果的な方法の1つとして知られている。ポリエステル樹脂はそのような特性を持つ結着樹脂として優れている。
ポリエステル樹脂をトナー用結着樹脂として用いる場合、架橋剤により架橋を進め高温での弾性率を付与するのが一般的である。それにより定着でのホットオフセットを防止し、過度な光沢が出ないよう制御している。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、短時間で効率良く、ポリエステル樹脂の架橋が進み、従来のポリエステル用架橋剤を用いなくても、高温で十分な弾性率が確保され、オフセットや光沢過多の問題を解消し、しかも折り目部分のトナー剥離すなわち定着強度不足のないトナーを得ることができるトナーの製造方法を提供することを目的としている。
前記多価アルコールが不飽和多価アルコールを含むか、あるいは前記多価カルボン酸が不飽和多価カルボン酸を含むポリエステル樹脂を、水系媒体中に分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する工程と、
ラジカル重合開始剤を前記ポリエステル樹脂粒子分散液に添加し、ラジカル重合反応させ、得られたポリエステル樹脂粒子の分散液を調整する工程と、を含むことを特徴とするトナーの製造方法が提供される。
メカニズムは以下のように推察している。
本発明では、多価アルコール及び多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂を水系媒体中に分散し、前記ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する工程を設ける。このとき、ポリエステル樹脂の比表面積が拡大する。
ラジカル重合開始剤を前記ポリエステル樹脂粒子分散液に添加したときには、ラジカル重合開始剤は、水系媒体中を比較的自由に移動できるため、ポリエステル樹脂粒子の表面をラジカルがアタックする頻度すなわちアタックする確率が高まる。
さらに、ポリエステル樹脂自体に水和を促進する架橋剤を添加する必要が無くなったため、帯電の湿度依存性が縮小し、湿度による現像・転写特性の変動が改善され、画像・画質が安定する。
本発明のトナーの製造方法は、多価アルコール及び多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂であって、前記多価アルコールが不飽和多価アルコールを含むか、あるいは前記多価カルボン酸が不飽和多価カルボン酸を含むポリエステル樹脂を、水系媒体中に分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する工程と、ラジカル重合開始剤を前記ポリエステル樹脂粒子分散液に添加した後、ラジカル重合反応させ、得られた重合体とポリエステル樹脂とを含む樹脂粒子の分散液を調整する工程と、前記重合体とポリエステル樹脂とを含む樹脂粒子の分散液と、着色剤粒子の分散液とを混合し、前記樹脂粒子及び着色剤粒子を凝集してトナー粒子を形成する工程と、を含む。
〈結着樹脂〉
結着樹脂としてはポリエステル樹脂が用いられる。本願のポリエステル樹脂は、公知の2価以上のアルコール成分と、公知の2価以上のカルボン酸成分とが用いられる。
アルコール成分としては、例えば1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。これらのアルコール成分は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2価以上のアルコール成分として、不飽和アルコールを用いると本発明の反応を進める上で好ましく用いられる。
不飽和アルコールとしては、アルケンジオール、具体的には2−ブチン−1,4ジオールのほか、3−ブチン−1,4ジオールを9−オクタデゼン−7,12ジオールなどを用いれば、本発明の効果が得られる。
併用して良い多価カルボン酸成分としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等が用いられ、好ましくは、カルボン酸成分として、ベンゼンジカルボン酸、飽和カルボン酸が用いられる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、コーヒー酸などの不飽和ヒドロキシカルボン酸モノマーをポリエステル用モノマーとしてハイブリッド化を促進してもよい。
〈重合性モノマー〉
重合性モノマーとしては、例えばスチレン、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ジエチルアミノエチル、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタアクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタアクリル酸誘導体等のビニル系モノマーが挙げられる。これらのビニル系モノマーは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料等の公知の着色剤を任意に用いることができる。
黒の着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックの他、マグネタイト、フェライト等の磁性粉を用いることができる。
カラーの着色剤としては、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15;3、同60、同76等の顔料が挙げられる。また、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82,同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95等の染料を挙げることができる。また、これらを混合してもよい。酸金属塩又はベンジル酸金属錯体等が挙げられる。
以下、本発明の製造方法について、具体例を挙げる。
(1)多価アルコール及び多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂を水系媒体中に分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する工程
ポリエステル樹脂を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、水系媒体中に分散機を用いて乳化分散させた後、脱溶剤処理をしてもよい。若しくは、溶剤を用いずに120℃以上の温度下で分散させてもよい。もしくは、特開2006-337995公報に開示されているように、ドデシルベンゼンスルフォン酸などの強酸とともに水系媒体中で多価アルコールおよび多価カルボン酸の液滴を形成したのち、縮合させてなるポリエステル樹脂粒子分散液を作製してもよい。ポリエステル樹脂粒子は、体積基準のメディアン径として、50〜400nmであることが好ましい。生産設備に余裕があれば、ポリエステル樹脂粒子分散液を作製する際に、ポリエステル樹脂(溶液)にあらかじめ、離型剤、着色剤、荷電制御剤などのトナー内部添加剤を含有、分散させておいてもよい。
ここで、水系媒体とは、界面活性剤などの分散剤を含む水をいうが、アルコールやケトン類など有機溶剤を50%未満、水に溶解されていてもよい。
なお、ポリエステル樹脂は、多価アルコールが不飽和多価アルコールを含むか、あるいは多価カルボン酸が不飽和多価カルボン酸を含むものとする。ラジカル重合性が高く好ましいのは、不飽和多価カルボン酸であるフマル酸、イタコン酸である。
上記(1)のポリエステル樹脂粒子分散液に、重合開始剤を添加し、ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子の分散液を調整する。このとき、重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤を添加してもよい。
以上(1)および(2)が本発明のトナー製造方法における必須の工程である。
この段階で、ポリエステル樹脂粒子分散液からポリエステル樹脂粒子を固液分離し、ポリエステル樹脂を乾燥させた上、公知の混練・粉砕法でトナーを製造することも可能であるが、粒度分布がシャープな小径トナーを得るためには、後述する(3)〜(7)の工程を経ることが好ましい。
機械的エネルギーによって油滴分散を行うが、その分散機としては特に限定されるものではなく、高速回転するローターを備えた攪拌装置クレアミックス(エムテクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、キャビトロン、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等を用いることができる。
凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これら塩類のアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられる。また、これら塩類のアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。このうち、特に好ましいのはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムである。前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。凝集剤としては、アルコール、テトラヒドロフラン、ケトンなどの水溶性のある有機溶剤を用いることも可能である。ポリエステル樹脂粒子分散液の調整時に、ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解させる工程を経る場合は、ポリエステル樹脂粒子に5〜20%程度の有機溶剤を残存させておけば、凝集剤の添加量をごく微量にするか、省くことができるが、トナー粒子として所望の粒径まで凝集した後に脱溶剤する工程が必要になる。
(6)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程
(7)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
必要に応じて、疎水性シリカ、金属酸化物粒子などの外添剤と(6)の工程で得られたトナー粒子と乾式混合する。
<非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)の作製>
(多価カルボン酸単量体)
フマル酸:2.1質量部
テレフタル酸:36質量部
イソフタル酸:5.2質量部
5-スルホイソフタル酸:0.66質量部
(多価アルコール単量体)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物 :76質量部 分子量=460
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物 :24質量部 分子量=404
攪拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、上記多価カルボン酸単量体及び多価アルコール成分を仕込み、1時間を要して190℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)4(多価カルボン酸単量体全量に対し、0.003質量%)を投入した。
更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに6時間脱水縮合反応を継続し重合を行い、非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)の樹脂の分子量をGPCにて測定したところ、数平均分子量3100(東ソー社製 HLC−8 120GPC、スチレン標準物質で換算)であった。また、示差走査熱量計(パーキンエルマー製 Diamond DSC:昇温速度10℃/min)にて得られた樹脂の熱特性を測定した結果、Tgは63℃であった。
多価カルボン酸単量体分を下記に変更したこと以外、前記非結晶性ポリエステル樹
脂(A−1)の作製と同様にして、非結晶性ポリエステル樹脂(A−2)を作製した
。数平均分子量2900、Tgは66℃であった。
(多価カルボン酸単量体)
イタコン酸:2.4質量部
テレフタル酸:36質量部
イソフタル酸:5.2質量部
5-スルホイソフタル酸:0.66質量部
多価カルボン酸単量体及び多価アルコール単量体分を下記に変更したこと以外、前記非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)の作製と同様にして、非結晶性ポリエステル樹脂(A−3)を作製した。数平均分子量3200、Tgは65℃であった。
(多価カルボン酸単量体)
テレフタル酸:37質量部
イソフタル酸:6質量部
5-スルホイソフタル酸:0.64質量部
(多価アルコール単量体)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物 :71質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物 :19質量部
2−ブチン−1,4−ジオール(不飽和多価アルコール):71質量部
多価カルボン酸単量体分を下記に変更したこと以外、前記非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)の作製と同様にして、非結晶性ポリエステル樹脂(A−4)を作製した。数平均分子量3500、Tgは61℃であった。
(多価カルボン酸単量体)
マレイン酸:9.8質量部
テレフタル酸:36質量部
多価カルボン酸単量体分を下記に変更したこと以外、前記非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)の作製と同様にして、非結晶性ポリエステル樹脂(A−5)を作製した。数平均分子量4400、Tgは59℃であった。
(多価カルボン酸単量体)
イタコン酸:5.8質量部
テレフタル酸:36質量部
イソフタル酸:5.2質量部
多価カルボン酸単量体分を下記に変更し、不飽和多価カルボン酸も不飽和多価アルコールも用いなかったこと以外、前記非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)の作製と同様にして、非結晶性ポリエステル樹脂(A−6)を作製した。数平均分子量3500、Tgは 54℃であった。
(多価カルボン酸単量体)
コハク酸:1.0質量部
テレフタル酸:36質量部
<非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液の調製>
得られた非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100質量部の速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37質量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で160℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記溶融状態の非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)と同時にキャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に移送した。キャビトロンCD1010を回転子の回転速度が60Hz,圧力が5kg/cm2の条件で運転し、体積基準のメディアン径が218nm、固形分量が30質量部の非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂(A−2)も<結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液の調製>と同様の方法で非結晶性ポリエステル樹脂(A−2)分散液を得た。体積基準のメディアン径が176nmであった。
非結晶性ポリエステル樹脂(A−3)も<結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液の調製>と同様の方法で非結晶性ポリエステル樹脂(A−3)分散液を得た。体積基準のメディアン径が235nmであった。
非結晶性ポリエステル樹脂(A−4)も<結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液の調製>と同様の方法で非結晶性ポリエステル樹脂(A−4)分散液を得た。体積基準のメディアン径が240nmであった。
非結晶性ポリエステル樹脂(A−5)も<結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液の調製>と同様の方法で非結晶性ポリエステル樹脂(A−5)分散液を得た。体積基準のメディアン径が190nmであった。
比較用非結晶性ポリエステル樹脂(A−6)も<結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液の調製>と同様の方法で非結晶性ポリエステル樹脂(A−6)分散液を得た。体積基準のメディアン径が210nmであった。
<離型剤分散液1の調製>
・クエン酸トリベヘネートワックス(融点83.2℃):60部
・イオン性界面活性剤(ネオゲン RK、第一工業製薬):5部
・イオン交換水:240部
以上の成分を混合した溶液を95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均径240nm、固形分量20質量%の離型剤分散液1を得た。
<ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1の調製>
上記で得られた「非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液」 1450重量部と「離型剤分散液1」 650重量部とイオン交換水1250重量部に、過硫酸カリウム10.3質量部をイオン交換水210質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、2時間にわたり加熱攪拌を行って重合を行い、重合終了後、28℃に冷却して「ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1」を作製した。「ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1」を固液分離し、ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子1の重量平均分子量を特定したところ28700であった。なお、テトラヒドロフラン不溶分、すなわちゲル分はラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子1(の固形分)に対し、6.4%であった。ゲル分を固体C13NMRで分析したところ、定量比較は困難であったものの、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(A−1)の固形分より、3級炭素のピークが上昇していることが確認された。
ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1の調製において「非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液」を「非結晶性ポリエステル樹脂(A−2)分散液」、「非結晶性ポリエステル樹脂(A−3)分散液」に変更したこと以外、前記ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1の作製と同様にして、ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液2〜3を作製した。分子量はそれぞれ26300、27900であった。ゲル分は、それぞれ5.8%、4.2%であった。それぞれゲル分を固体C13NMRで分析したところ、ラジカル重合開始剤を添加する前のポリエステル樹脂に比較し、3級炭素のピークが上昇していることが確認された。
ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1の調製において「結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液」を「非結晶性ポリエステル樹脂(A−4)分散液」、「非結晶性ポリエステル樹脂(A−5)分散液」に変更したこと以外、前記ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1の作製と同様にして、ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液4〜5を作製した。分子量はそれぞれ24400、26700であった。ゲル分は、それぞれ4.5%、6.0%であった。ゲル分を固体C13NMRで分析したところ、ラジカル重合開始剤を添加する前のポリエステル樹脂に比較し、3級炭素のピークが上昇していることが確認された。
ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1の調整において「非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)分散液」を「非結晶性ポリエステル樹脂(A−6)分散液」に変更した以外、前記ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1の作製と同様にして、比較用ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液6を作製した。分子量は16400で、ゲル分は存在しなかった。ゲル分を固体C13NMRで分析したところ、ラジカル重合開始剤を添加する前のポリエステル樹脂に比較し、3級炭素のピークは検出されなかった。
なお、ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液4〜5及び比較用ポリエステル樹脂粒子分散液6の分散粒子径は、非結晶性ポリエステル樹脂(A−1)〜(A−6)分散液と変化がなかった。
<着色剤微粒子分散液1の作製>
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌、溶解し、C.I.Pigment Blue 15:3;25質量部を徐々に添加し、次いで、「クリアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック杜製)を用いて分散して体積基準のメディアン径が158nmである着色剤微粒子1を含有する着色剤微粒子分散液1を得た。
なお、体積基準のメディアン径は「MICROTRAC UPA 150」(HONEYWELL社製)により下記の測定条件で測定したものである。
[測定条件]
・サンプル屈折率:1.59
・サンプル比重:1.05(球状粒子換算)
・溶媒屈折率:1.33
・溶媒粘度:30℃にて0.797、20℃にて1.002
・測定セルにイオン交換水を入れ、ゼロ点調整を行った。
<トナー1の製造>
コア用樹脂として「ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1」400質量部(固形分換算)、イオン交換水1500質量部、「着色剤粒子分散液1」165質量部を、温度計、冷却管、窒素導入装置、及び、撹拌装置を設けたセパラブルフラスコに投入した。さらに、系内の温度を30℃に保った状態で水酸化ナトリウム水溶液(25質量%)を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物54.3質量部をイオン交換水54.3質量部に溶解させた水溶液を添加し、その後、系内の温度を60℃に昇温させて、ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子と着色剤粒子の凝集反応を開始した。
粒子の体積基準におけるメディアン径(D50)が6μmになるまで攪拌を継続した。さらに、温度を60℃に保ち1時間攪拌を継続し、イミノカルボン酸化合物(9−2)を20.1質量部添加した。
フロー式粒子像分析装置「FPIA-2100」(シスメックス社製)w用いてトナー粒子の円形度を測定したところ、この時点でのトナー粒子の円形度が0.951であった。温度を85℃として4時間攪拌を継続し、トナー粒子の円形度が0.976に達したところで6℃/分の条件で30℃まで冷却し、反応を完結させた。
次いで、生成したトナー粒子分散液をバスケット型遠心分離機「MARK III型」(型式番号60×40)(松本機械製作社製)で固液分離して、トナーのウェットケーキを形成した。以後、ろ液の電気伝導度の値が15μS/cm以下になるまでトナーの洗浄と固液分離を繰り返した。
次いで、ウェットケーキを気流式乾燥機「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%になるまでを乾燥処理した。なお、乾燥処理は40℃、20%RHの気流を吹き付けて行った。乾燥したトナーを24℃に放冷し、トナー100質量部に対し、疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサーで混合した。回転翼の周速24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩を通過させた。得られたトナーを「トナー1」とする。
トナー1の製造において、「ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液1」を「ラジカル重合反応させたポリエステル樹脂粒子分散液2〜5」及び「比較用ポリエステル樹脂粒子分散液6」に変更したこと以外、上記トナー1の製造と同様にしてトナー2〜トナー6を作製した。
作製されたトナー1〜6のそれぞれに、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径が60nmのフェライトキャリアを混合し、各トナーの現像剤を調製した。各現像剤におけるトナーの濃度が6質量%となるように混合した。
各トナー1〜トナー6の現像剤を、市販の複合機コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)に搭載した。そして、下記の各項目について評価試験を行い、その結果を下記の表1に示した。
<折り目定着性>
折り目定着性(強度)は、加熱ローラ表面温度を170℃にした時の用紙上の折り目におけるトナー画像の定着率を評価した。具体的には、トナーの定着画像を内面に向けて折り曲げた時、折り曲げ部分におけるトナー剥がれの程度を定着率として評価した。
測定方法は、べた画像部(画像濃度が0.8)を画像面を内側にして折り、3回指で擦った後、画像を開いて「JKワイパー(株式会社クレシア製)」で3回ふき取り、べた画像の折り目個所の折り曲げ前後の画像濃度から下記式により算出した値である。
定着率(%)=(折り曲げ後画像濃度)/(折り曲げ前画像濃度)×100
得られた定着率から、下記の様に折り目定着強度を評価し、80%以上を合格とした。
評価基準
優良:各温度で折り目の定着率が90〜100%となった。
良好:各温度で折り目の定着率が80〜90%未満となった。
不合格:折り目の定着率が80%未満となるものがあった。
キャリア19gとトナー1gを20mlガラス製容器に入れ、毎分200回、振り角度45度、アーム50cmで20分間、下記の二つの環境(低温低湿環境、高温高湿環境)で振った後、ブローオフ法で帯電量を測定した。
低温低湿環境:10℃、10%RH雰囲気に設定
高温高湿環境:30℃、85%RH雰囲気に設定
低温低湿環境での帯電量と高温高湿環境での帯電量の差により、下記のようにランク評価した。
優良:2μC/g未満(優良)
良好:2μC/g〜8μC/g未満(良好)
実用可:8μC/g〜12μC/g未満(実用可)
不合格:12μC/g以上(実用不可)
L/L環境(10℃、15%RH)およびH/H環境(30℃、85%RH)においてC/W比20%の画像で100000枚の連続ランニングを行った後、画像白地部と感光体上のカブリを目視観察した。転写紙は明度92、厚さ80g/m2光沢紙を用いた。
良好◎:画像濃度低下およびカブリはいずれも発生していなかった
実用可○:画像濃度低下および/またはカブリは20倍のルーペで若干確認されるが、実用上問題のないレベルであった。
不合格×:画像濃度低下およびカブリが発生し、実用上問題があった。
定着ローラ温度を5℃刻みに変化可能に評価機を改造し、ホットオフセット発生温度を調べた。厚さ80g/m2光沢紙を用い210℃でホットオフセットが発生しなければ合格とする。
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き35μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
(トナー凝集率(%))=(篩上の残存トナー質量(g))/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行った。
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が20質量%以下(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20%を超える(トナーの耐熱保管性が悪く使用不可)
Claims (2)
- 多価アルコール及び多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂であって、
前記多価アルコールが不飽和多価アルコールを含むか、あるいは前記多価カルボン酸が不飽和多価カルボン酸を含むポリエステル樹脂を、水系媒体中に分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する工程と、
ラジカル重合開始剤を前記ポリエステル樹脂粒子分散液に添加し、ラジカル重合反応させ、得られたポリエステル樹脂粒子の分散液を調整する工程と、を含むことを特徴とするトナー製造方法。 - 前記ポリエステル樹脂粒子の分散液と、着色剤粒子の分散液とを混合し、前記ポリエステル樹脂粒子及び着色剤粒子を凝集してトナー粒子を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1のトナー製造方法。
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