JP5482594B2 - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
従来から、シャープメルト性の高い樹脂、具体的には結晶性ポリエステル樹脂を結着樹脂としてトナーに用いることが低温定着に効果的な方法の1つとして知られており、さらに、結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合に生じる耐高温オフセット性や耐熱保管性に劣るという問題を解消するために、高温下における弾性に優れた架橋構造を有するポリエステル樹脂を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、一般に、重合法を採用することによって小粒径のトナーを製造することができることが知られている。
然るに、重合法によって架橋構造を有するポリエステル樹脂を含有するトナーを作製することは困難である。
すなわち、ポリエステル樹脂は脱水縮合反応により生成するため、水中で十分に反応を進めることが困難である。これに対する施策として、予め脱水縮合反応により生成したポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解し、転相乳化法などによって水系媒体中に分散させて乳化液を得、これによってトナー粒子を造粒する方法が提案されているが、このような方法によっても、架橋構造を有するポリエステル樹脂は有機溶媒に溶解/分散し難く、溶解/分散に多大なエネルギーを要するために、やはり困難である、という問題がある。
(a)重合性不飽和二重結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂を、有機溶媒中に溶解または分散させる油相液調製工程、
(b)水系媒体中に前記油相液による油滴を形成させる油滴の水系分散液調製工程、
(c)前記油滴の水系分散液にラジカル重合開始剤を添加し、架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂を含む油滴を生成させる架橋構造形成工程、
(d)有機溶媒を除去してトナー粒子を形成させる有機溶媒除去工程
を経ることを特徴とする。
本発明の静電荷像現像用トナーに製造方法においては、前記油滴の水系分散液調製工程において調製される水系分散液における油滴の分散径が、60〜1000nmであることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂(以下、「架橋非晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)、および結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子からなるトナーを製造する方法であって、
重合性不飽和二重結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂(以下、「不飽和非晶性ポリエステル樹脂」ともいう。)、および結晶性ポリエステル樹脂を、有機溶媒中に溶解または分散させる油相液調製工程、
水系媒体中に前記油相液による油滴を形成させる油滴の水系分散液調製工程、
油滴の水系分散液にラジカル重合開始剤を添加し、架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂を含む油滴を生成させる架橋構造形成工程、
有機溶媒を除去してトナー粒子を形成させる有機溶媒除去工程を経ることを特徴とする方法である。
(1−A)結晶性ポリエステル樹脂を合成する結晶性ポリエステル樹脂合成工程、
(1−B)不飽和非晶性ポリエステル樹脂を合成する不飽和非晶性ポリエステル樹脂合成工程、
(2)結晶性ポリエステル樹脂、不飽和非晶性ポリエステル樹脂、および必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤などのトナー構成成分の混合組成物を有機溶媒中に溶解または分散させた油相液を調製する油相液調製工程、
(3)水系媒体中に油相液による油滴を形成させる油滴の水系分散液調製工程、
(4)油滴の水系分散液にラジカル重合開始剤を添加し、架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂を含む油滴を生成させる架橋構造形成工程、
(5)有機溶媒を除去してトナー粒子を形成させる有機溶媒除去工程、
(6)得られるトナー粒子を水系媒体中より濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(7)洗浄処理されたトナー粒子の乾燥工程、
から構成され、必要に応じて
(8)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
この結晶性ポリエステル樹脂合成工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる結晶性ポリエステル樹脂を合成する工程である。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定法(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂をいう。このような結晶性ポリエステル樹脂であれば、特に限定されず、例えば、結晶性ポリエステル樹脂による主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂について、この樹脂が上記のように明確な吸熱ピークを示すものであれば、本発明でいう結晶性ポリエステルに該当する。
ここに、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定したものである。
具体的には、結晶性ポリエステル樹脂0.5mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。
芳香族ジカルボン酸の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジカルボン酸成分全体を100構成モル%とした場合の20構成モル%以下とされることが好ましく、より好ましくは10構成モル%以下、特に好ましくは5構成モル%以下である。芳香族ジカルボン酸の使用量が20構成モル%以下とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られ、最終的に形成される画像に光沢性が得られると共に融点降下による画像保存性の低下が抑制され、さらに、当該結晶性ポリエステル樹脂を含む油相液を用いて油滴を形成させるときに、確実に乳化状態を得ることができる。
ジオール成分としては、脂肪族ジオールの中でも、主鎖を構成する炭素原子の数が2〜22である直鎖型の脂肪族ジオールを用いることがより好ましく、さらに、入手容易性や確実な低温定着性の発現、高い光沢性を有する画像が得られるという観点から、主鎖を構成する炭素原子の数が2〜14である直鎖型の脂肪族ジオールを用いることが特に好ましい。
用いる直鎖型の脂肪族ジオールの主鎖を構成する炭素原子の数が2〜22であることにより、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸が併用される場合においても低温定着性が阻害されるレベルの融点を有するポリエステル樹脂が形成されることがなく、製造されるトナーに十分な低温定着性が得られ、また、最終的に形成される画像に高い光沢性が得られる。
ジオール成分としては、分岐型の脂肪族ジオールを用いることもできるが、この場合、結晶性の確保の観点から、直鎖型の脂肪族ジオールと共に使用し、かつ、当該直鎖型の脂肪族ジオールの割合を高めにして使用することが好ましい。このように直鎖型の脂肪族ジオールの割合を高めにして使用することによって、結晶性が確保されて製造されるトナーに優れた低温定着性が確実に得られ、最終的に形成される画像において融点降下による画像保存性の低下が抑制され、さらには耐ブロッキング性が確実に得られる。
ジオール成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
ジオール成分における二重結合を有するジオールの含有量は20構成モル%以下とされることが好ましく、より好ましくは2〜10構成モル%である。二重結合を有するジオールの含有量が20構成モル%以下であることにより、得られるポリエステル樹脂が融点の大幅に低減されたものとなることがなく、従って、フィルミングが発生するおそれが小さい。
ジカルボン酸成分とジオール成分との使用比率が上記の範囲にあることにより、所望の分子量を有する結晶性ポリエステル樹脂を確実に得ることができる。
この不飽和非晶性ポリエステル樹脂合成工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる架橋非晶性ポリエステル樹脂を得るための不飽和非晶性ポリエステル樹脂を合成する工程である。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂とは、上記の結晶性ポリエステル樹脂以外のポリエステルをいい、通常は融点を有さず、比較的高いガラス転移点温度(Tg)を有するものである。
少なくともいずれかに重合性不飽和二重結合が含有されてなる多価ジオールと多価ジカルボン酸とは、(1)全部または一部が重合性不飽和二重結合を有する多価アルコールと、全く重合性不飽和二重結合を有さない多価カルボン酸、(2)全く重合性不飽和二重結合を有さない多価アルコールと、全部または一部が重合性不飽和二重結合を有する多価カルボン酸、(3)全部または一部が重合性不飽和二重結合を有する多価カルボン酸と、全部または一部が重合性不飽和二重結合を有する多価カルボン酸、のいずれかの組み合わせをいう。
また、この不飽和非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜220℃であることが好ましく、特に80〜150℃であることが好ましい。
ここに、不飽和非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)、および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて測定したものである。具体的には、不飽和非晶性ポリエステル樹脂4.50mgをアルミニウム製パン「KITNO.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得し、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点温度(Tg)として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持する。
また、軟化点は、以下のように測定したものである。すなわち、まず、20℃、50%RHの環境下において、不飽和非晶性ポリエステル樹脂1.3gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成する。次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、不飽和非晶性ポリエステル樹脂の軟化点とした。
GPCによる分子量測定は、測定試料として不飽和非晶性ポリエステル樹脂を用いたことの他は結晶性ポリエステル樹脂の分子量測定と同様の方法によって行われる。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂の不飽和二重結合を多価アルコールから導入する場合は、不飽和非晶性ポリエステル樹脂を形成すべき多価アルコールとして、重合性不飽和二重結合を有する多価アルコール、具体的には、2−ブチン−1,4ジオール、3−ブチン−1,4ジオール、9−オクタデゼン−7,12ジオールなどのアルケンジオールなどを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂の不飽和二重結合を多価カルボン酸から導入する場合は、不飽和非晶性ポリエステル樹脂を形成すべき多価カルボン酸として、重合性不飽和二重結合を有する多価カルボン酸、具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;およびこれらの酸無水物または酸塩化物;コーヒー酸などの不飽和芳香族カルボン酸などを挙げることができ、特に、優れたラジカル重合性を示すことから、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸を用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この油相液調製工程は、結晶性ポリエステル樹脂、不飽和非晶性ポリエステル樹脂、および必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤などのトナー構成成分の混合組成物を有機溶媒中に溶解または分散させた油相液を調製する工程である。
すなわち、得られるトナーにおいて、結着樹脂が少なくとも結晶性ポリエステル樹脂および架橋非晶性ポリエステル樹脂を含めばよく、必要に応じて、重合性不飽和二重結合を有さない非晶性ポリエステル樹脂やその他の樹脂が含まれて構成されていてもよい。
有機溶媒の使用量は、結着樹脂を形成する成分100質量部に対して、通常1〜300質量部、好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができ、具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15;3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの低分子量ポリオレフィン類;合成エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油などの植物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの鉱物、石油系ワックス;これらの変性物などが挙げられる。
この油相液における離型剤の含有量は、最終的に得られるトナー粒子中における結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜25質量部、好ましくは3〜15質量部となる量とされる。
荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
この油相液における荷電制御剤の添加量は、最終的に得られるトナー粒子中における結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部となる量とされる。
この油滴の水系分散液調製工程は、上記のように調製した油相液を、転相乳化法などによって水系媒体中に分散させる工程である。
水系媒体の使用量を上記の範囲とすることで、水系媒体中において油相液を所望の粒径に乳化分散させることができる。
油滴の分散径は60〜1000nmとされることが好ましく、さらに好ましくは80〜500nmである。
油滴の分散径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した体積基準のメジアン径である。この油滴の分散径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさによりコントロールすることができる。
油滴の分散径が60〜1000nmの範囲とされることにより、架橋反応が生じる油滴の表面積が好ましい大きさとなり、低温定着性と耐高温オフセット性とを高いレベルで両立して得ることができる。
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機化合物を挙げることができるが、得られるトナー母体粒子中より分散安定剤を除去する必要があることから、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面の視点からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられ、また、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も使用することができる。
また、分散安定性の向上のための樹脂微粒子としては、粒径が0.5〜3μmのものが好ましく、具体的には、粒径が1μmおよび3μmのポリメタクリル酸メチル樹脂微粒子、粒径が0.5μmおよび2μmのポリスチレン樹脂微粒子、粒径が1μmのポリスチレン−アクリロニトリル樹脂微粒子などが挙げられる。
この架橋構造形成工程は、油滴の水系分散液にラジカル重合開始剤を添加して、不飽和非晶性ポリエステル樹脂の重合性不飽和二重結合をラジカル重合反応させて架橋構造を形成することにより高弾性成分である架橋非晶性ポリエステル樹脂を生成させる工程である。
ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する油溶性重合開始剤などを挙げることができ、また、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩無水物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]など水溶性アゾ開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などの水溶性重合開始剤を挙げることができる。これら1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この有機溶媒除去工程は、油滴の水系分散液調製工程を行った後、当該油滴における有機溶媒を除去する工程である。この工程は、所望の全ての架橋構造の形成後を含むタイミングにおいて行われればよく、架橋反応のコントロールなどの観点から、複数回に分けて行ってもよい。具体的には、例えば、ラジカル重合開始剤の投入前にある程度の有機溶媒を除去して油滴中のポリエステル濃度を高めておき、その状態でラジカル重合開始剤を投入して架橋反応を行い、所望の全ての架橋構造の形成後に、最終的に有機溶媒を除去してトナー粒子を形成する方法を挙げることができる。
また、分散安定剤を用いてトナー粒子を形成する場合は、有機溶媒の除去処理に加えて、酸やアルカリを添加して混合することにより、当該分散安定剤の除去処理も行う。
本発明のトナーの製造方法においては、上記の有機溶媒除去工程の後に、トナー粒子の形状を制御する形状制御工程を行ってもよい。
この形状制御工程は、得られたトナー粒子の分散液を、ミクロンオーダーのフィルター通過処理やアニュラー型連続撹拌ミルなどの撹拌操作により、トナー粒子の長短軸比が所定範囲の値になるように、トナー粒子の形状を制御することにより、トナー粒子を所望の形状に成形する工程である。
トナー粒子の形状制御処理を行う具体的方法としては、例えば、ギャップやフィルター、細孔を通過させる方法や高速回転などによりトナー粒子に遠心力を付与して形状を制御する方法などが挙げられる。また、トナー粒子の具体的な形状制御処理装置としては、前述のアニュラー型連続湿式撹拌ミルの他に、ピストン型高圧式均質化機、インラインスクリューポンプなどが挙げられる。
所望の形状のトナー粒子は、例えば形状の制御に係る処理の処理時間、処理温度、および処理速度などの因子を制御することにより、実現される。
このようにして、トナー粒子の形状が制御され、所定範囲の長短軸比を有するトナー粒子が製造される。
なお、この形状制御工程は、上記の有機溶媒除去工程の前、具体的には、架橋構造形成工程と有機溶媒除去工程との間に行ってもよい。
この濾過・洗浄工程では、得られたトナー粒子の分散液を冷却し、この冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離してトナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。具体的な固液分離および洗浄の方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用する減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用する濾過法などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。
この乾燥工程では、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理が施される。この乾燥工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。なお、乾燥処理されたトナー粒子中の水分量は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。
・試料加熱温度:110℃
・試料加熱時間:1分
・窒素ガス流量:150ml/分
・試薬:対極液(陰極液);ハイドラナール クーロマット CG−K(HYDRANAL(R)−Coulomat CG−K)、発生液(陽極液);ハイドラナール クーロマット AK(HYDRANAL(R)−Coulomat AK)
この外添剤添加工程は、乾燥処理されたトナー粒子に、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、荷電制御剤や種々の無機微粒子、有機微粒子、および滑剤などの外添剤を添加する工程であって、必要に応じて行われる。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。
この外添剤の添加量は、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%であることが好ましい。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
ここに、ガラス転移点温度(Tg)および軟化点は、測定試料をトナーとしたことの他は上記と同様の方法によって測定されるものである。
以上のような製造方法によって得られるトナー粒子は、その粒径が体積基準のメディアン径で3〜8μmであることが好ましい。このトナー粒子の粒径は、架橋非晶性ポリエステル樹脂形成工程において形成させる油滴の粒径や分散安定剤の量などによって制御することができる。体積基準のメジアン径が3〜8μmであることにより、静電潜像に忠実なドット再現が可能となり、細線再現性やハーフトーン画質を向上することができる。
また、トナーの粒度分布は、CV値が16〜35であることが好ましく、さらに好ましくは18〜22である。
CV値は、下記式(x)によって求められるものである。ただし、算術平均粒径とは25,000個のトナー粒子について、体積基準の粒子径xの平均値であり、この算術平均粒径は「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)によって測定されるものである。
式(x):CV値(%)={(標準偏差)/(算術平均粒径)}×100
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメディアン径とする。
また、以上のような製造方法によって得られるトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.945〜0.995である。
この平均円形度が0.930〜0.995の範囲にあることにより、記録材に転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
式(y):
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
以上のようなトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
キャリアとしては、その体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜60μmのものがより好ましい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアとしては、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂などを使用することができる。
以上のようなトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電させることにより顕在化させてトナー像を得、このトナー像を記録材に転写し、その後、記録材上に転写されたトナー像を接触加熱方式の定着処理によって記録材に定着させることにより、可視画像が得られる。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、
多価カルボン酸
・フマル酸:4.2質量部
・テレフタル酸:78質量部
多価アルコール
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物:152質量部
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物:48質量部
を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4 を、多価カルボン酸全量に対して0.006質量%となる量を投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A〕を得た。
得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A〕は、数平均分子量(Mn)が3,100、ガラス転移点(Tg)が63℃であった。不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A〕の分子量、ガラス転移点(Tg)は、上述の通りに測定した。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、
多価カルボン酸
・1,10−ドデカン二酸:200質量部
多価アルコール
・1,9−ノナンジオール:140質量部
を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4 を、多価カルボン酸全量に対して0.006質量%となる量を投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂〔B〕を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂〔B〕は、数平均分子量(Mn)が2,900、融点が65℃であった。結晶性ポリエステル樹脂〔B〕の分子量および融点は、上述の通りに測定した。
(油相液調製工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた反応槽に、酢酸エチル450質量部、不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A〕267質量部、結晶性ポリエステル樹脂〔B〕37質量部、銅フタロシアニンブルー4質量部、カーボンブラック4質量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート15質量部を、温度70℃で2時間にわたって撹拌することにより、トナー組成物からなる油相液〔1〕を得た。
(油滴の水系分散液調製工程)
一方、別の反応槽に、イオン交換水600質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3質量部を入れ、「TKホモミキサーMarkII 2.5型」(プライミクス株式会社製)によって、温度70℃において12000rpmで撹拌しながら、トナー組成物からなる油相液〔1〕を投入し、30分間撹拌することによって水系分散液〔1〕を得た。油滴の分散径(体積基準のメジアン径)は230nmであった。なお、油滴の分散径は、上述の通りに測定した。以下において同じである。
(架橋構造形成工程および有機溶媒除去工程)
その後、撹拌装置、温度センサー、精留管および窒素導入装置を取り付けた別の反応槽に40℃まで冷却した水系分散液〔1〕を投入し、50mmHgの減圧下で酢酸エチルを380質量部留去させ、常圧に戻した後、温度70℃まで昇温し、過硫酸カリウム6.3質量部をイオン交換水42質量部に溶解させた開始剤水溶液を投入し、粒子が体積基準のメジアン径で5.5μmまで成長した時点でリン酸三カルシウム60質量部とドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部を添加して2時間反応を行った。その後、40℃まで冷却し、50mmHgの減圧下で酢酸エチルを除去し、さらに、35%濃塩酸120質量部を添加してトナー粒子表面のリン酸三カルシウムを溶出させた。
(濾過・洗浄・乾燥工程)
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子〔1〕によるトナー〔1X〕を得た。
トナー〔1X〕におけるトナー粒子〔1〕の体積基準のメディアン径は5.2μm、平均円形度は0.964であった。
(外添剤添加工程)
得られたトナー〔1X〕100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)0.6質量部および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により回転翼周速35mm/sec、32℃で20分間混合した後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去する外添剤処理を施すことにより、トナー〔1〕を製造した。
トナーの製造例1において、不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A〕の代わりに、下記の不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A2〕〜〔A5〕を用いたことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔5〕を得た。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂の合成例Aにおいて、多価カルボン酸として
・イタコン酸:2.4質量部
・テレフタル酸:36質量部
・イソフタル酸:5.2質量部
を用いたことの他は同様にして、不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A2〕を得た。
得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A2〕は、数平均分子量(Mn)が2,900、ガラス転移点(Tg)が66℃であった。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂の合成例Aにおいて、多価カルボン酸および多価アルコールとして
多価カルボン酸
・テレフタル酸:37質量部
・イソフタル酸:6質量部
多価アルコール
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物:71質量部
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物45:19質量部
・2−ブチン−1,4−ジオール:71質量部
を用いたことの他は同様にして、不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A3〕を得た。
得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A3〕は、数平均分子量(Mn)が3,200、ガラス転移点(Tg)が65℃であった。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂の合成例Aにおいて、多価カルボン酸として
・マレイン酸:9.8質量部
・テレフタル酸:36質量部
を用いたことの他は同様にして、不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A4〕を得た。
得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A4〕は、数平均分子量(Mn)が3,500、ガラス転移点(Tg)が61℃であった。
不飽和非晶性ポリエステル樹脂の合成例Aにおいて、多価カルボン酸として
・イタコン酸:5.8質量部
・テレフタル酸:36質量部
・イソフタル酸:5.2質量部
を用いたことの他は同様にして、不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A5〕を得た。
得られた不飽和非晶性ポリエステル樹脂〔A5〕は、数平均分子量(Mn)が4,400、ガラス転移点(Tg)が59℃であった。
トナーの製造例1において、油滴の分散径(体積基準のメジアン径)を表1に示した値に制御したことの他は同様にして、トナー〔6〕〜〔10〕を製造した。
トナーの製造例1と同様にして水系分散液〔1〕を得、架橋構造形成工程および有機溶媒除去工程に代えて、以下のような操作を行った。
すなわち、撹拌装置、温度センサー、精留管および窒素導入装置を取り付けた別の反応槽に40℃まで冷却した水系分散液〔1〕を投入し、50mmHgの減圧下で酢酸エチルを除去し、常圧に戻した後、温度80℃まで昇温し、粒子が体積基準メディアン径で5.5μmまで成長した時点でリン酸三カルシウム60質量部とドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部を添加し2時間反応を行った。その後、40℃まで冷却し50mmHgの減圧下で酢酸エチルを除去し、さらに、35%濃塩酸120質量部を添加してトナー粒子表面のリン酸三カルシウムを溶出させた。
その後、トナーの製造例1の濾過・洗浄・乾燥工程および外添剤添加工程と同様の工程を経ることにより、比較用のトナー〔11〕を得た。
重量平均粒径50μmのマンガン・マグネシウムフェライトに、シリコーン樹脂(オキシム硬化タイプ、トルエン溶液)を固形分として85質量部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(カップリング剤)を10質量部、アルミナ粒子(粒子径100nm)を3質量部、カーボンブラック2質量部よりなるコート剤をスプレーコートし、190℃において6時間焼成し、その後、常温に戻し、樹脂コーティング型のキャリアを得た。樹脂コートの平均膜厚は0.2μmであった。
以上のように製造したキャリア94質量部と、上記のように製造したトナー〔1〕〜〔10〕および比較用のトナー〔11〕の各々6質量部とをV型混合機で混合処理することにより、現像剤〔1〕〜〔10〕および比較用の現像剤〔11〕のそれぞれを製造した。なお、混合処理は、トナー帯電量が20〜23μC/gとなった時点で混合を停止し、一旦、ポリエチレンポットに排出した。
現像剤〔1〕〜〔11〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、未定着画像を形成したA4(坪量80g/m2 )普通紙を縦送りで搬送し、5℃刻みで定着温度を変更して定着させ、低温側、高温側で定着オフセットによる画像汚れの発生する温度を調べた。未定着画像は、搬送方向に対して垂直に5mm幅のベタ帯画像および20mm幅のハーフトーン画像を形成したものとした。
低温側における定着オフセットによる画像汚れ、高温側における定着オフセットによる画像汚れが観察された定着温度を、それぞれ、低温オフセット温度、高温オフセット温度とした。結果を表1に示す。
現像剤〔1〕〜〔11〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、A4(坪量80g/m2 )普通紙上に、トナー付着量11mg/10cm2 のベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
各定着温度に係る定着実験において得られたプリント物を、折り機でベタ画像部分に面圧で100kPaをかけて折り、この折り目部分に0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、限度見本を参照して、折り目部分の状態を下記の評価基準に示す5段階にランク付けし、ランク3となる定着実験における定着温度を、下限定着温度とした。結果を表1に示す。
−評価基準−
ランク5:折り目部分に剥離が全くない。
ランク4:折り目に従った剥離が一部ある。
ランク3:折り目に従った剥離が細かい線状にある。
ランク2:折り目に従った剥離が太い線状にある。
ランク1:大きな剥離あり。
Claims (3)
- 少なくとも架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂からなる結着樹脂を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
(a)重合性不飽和二重結合を含有する非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂を、有機溶媒中に溶解または分散させる油相液調製工程、
(b)水系媒体中に前記油相液による油滴を形成させる油滴の水系分散液調製工程、
(c)前記油滴の水系分散液にラジカル重合開始剤を添加し、架橋構造を有する非晶性ポリエステル樹脂を含む油滴を生成させる架橋構造形成工程、
(d)有機溶媒を除去してトナー粒子を形成させる有機溶媒除去工程
を経ることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記油滴の水系分散液調製工程において調製される水系分散液における油滴の分散径が、60〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法によって得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
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