JP2012108485A - 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 トナーは、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および架橋構造を有するアクリル系樹脂からなる結着樹脂を含有するトナー粒子からなるトナーであって、前記架橋構造を有するアクリル系樹脂が、式(1):CH2 =CR1 −C(=O)O−Z−OC(=O)−CR2 =CH2 で表される架橋剤に由来の架橋部位を有することを特徴とする。式中、R1 、R2 は、各々、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、Zは、炭素数2〜90の炭化水素基を示す。炭化水素基は、エーテル結合、エステル結合、複素環および置換基を有していてもよい。
【選択図】 なし
Description
一方、画像形成装置の省エネルギー化、高速化および省スペース化を図るために、より一層の低温定着性に優れたトナーが望まれており、このようなトナーとして、シャープメルト性を有する結晶性ポリエステル樹脂を用いて結着樹脂の融点や溶融粘度を下げる方法が知られている。しかしながら、このようなトナーにおいては、機械的強度(耐ストレス性)や耐高温オフセット性が低下するなどの新たな問題が生じる。
このようなトナーにおいては、架橋構造を有するアクリル系樹脂が高弾性成分であるため、結晶性ポリエステル樹脂による低温定着性が維持されながら優れた耐高温オフセット性を得ることができる。
前記架橋構造を有するアクリル系樹脂が、
式(1):CH2 =CR1 −C(=O)O−Z−OC(=O)−CR2 =CH2
〔上記式中、R1 、R2 は、各々、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Zは、炭素数2〜90の炭化水素基を示す。ただし、当該炭化水素基は、エーテル結合、エステル結合、複素環および置換基を有していてもよい。〕
また、本発明のトナーにおいては、前記架橋構造を有するアクリル系樹脂が、前記一般式(1)中、Zが炭素数6〜12の直鎖アルキレン基であるものであること、または、Zが、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物またはビスフェノールAエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物に由来の基であるものであることが好ましい。
少なくともアクリル系重合性単量体および架橋剤を含む油相液を水系媒体中において分散させた状態で重合処理を行うことにより、架橋構造を有するアクリル系樹脂からなる架橋アクリル系樹脂微粒子を形成させる工程と、
水系媒体中において、非晶性ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂微粒子と、結晶性ポリエステル樹脂からなる結晶性ポリエステル樹脂微粒子と、前記架橋アクリル系樹脂微粒子とを凝集、融着させることによりトナー粒子を形成する工程とを含み、
前記架橋アクリル系樹脂微粒子を形成させるための架橋剤が、下記式(1)で表されるものであることを特徴とする。
式(1):CH2 =CR1 −C(=O)O−Z−OC(=O)−CR2 =CH2
〔上記式中、R1 、R2 は、各々、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Zは、炭素数2〜90の炭化水素基を示す。ただし、当該炭化水素基は、エーテル結合、エステル結合、複素環および置換基を有していてもよい。〕
本発明のトナーにおいて優れた機械的強度が得られる理由としては、結着樹脂内に特定の架橋剤に由来の架橋部位を有する、すなわち、当該特定の架橋剤における長鎖部分が導入されているために、この長鎖部分による可撓性が発揮されることによると推測される。
また、本発明のトナーの製造方法によれば、特定の架橋剤の作用によって非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂に対するアクリル系樹脂の親和性および相溶性が向上されるために、融着時に十分な進行が得られ、従って、製造上の負荷を低減させることができる。
本発明のトナーの製造方法は、少なくともアクリル系重合性単量体および長鎖部分を有する特定の架橋剤を含む油相液を水系媒体中において分散させた状態で重合処理を行うことにより、架橋構造を有するアクリル系樹脂(以下、「架橋アクリル系樹脂」ともいう。)からなる架橋アクリル系樹脂微粒子を形成させる工程と、水系媒体中において、非晶性ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂微粒子と、結晶性ポリエステル樹脂からなる結晶性ポリエステル樹脂微粒子と、前記架橋アクリル系樹脂微粒子とを凝集、融着させることによりトナー粒子を形成する工程とを経る方法である。
上記式(1)において、R1 、R2 は、各々、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。
また、Zは、炭素数2〜90の炭化水素基を示す。ただし、当該炭化水素基は、エーテル結合、エステル結合、複素環および置換基を有していてもよい。
基Zを構成する炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれの形態を有するものであってもよく、また、不飽和結合を有するものであっても有さないものであってもよい。
(1)ジアクリレート化合物
1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,12−ドデカンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールエタンジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレートなど、
(2)ジメタクリレート化合物
1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールエタンジメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレートなど、
(3)トリ(メタ)アクリレート化合物
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンエトキシトリアクリレートなど、
(4)テトラ(メタ)アクリレート化合物
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、N,N,N’,N’−テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのアクリル酸エステル、N,N,N’,N’−テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのメタクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレートなど、
(5)ヘキサ(メタ)アクリレート化合物
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなど。
(1−A)結晶性ポリエステル樹脂を合成し、当該結晶性ポリエステル樹脂による微粒子(以下、「結晶性ポリエステル樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を調製する結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、
(1−B)非晶性ポリエステル樹脂を合成し、当該非晶性ポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解または分散させた油相液を調製し、水系媒体中に油相液による油滴を形成させた後で有機溶媒を除去することにより、当該非晶性ポリエステル樹脂による微粒子(以下、「非晶性ポリエステル樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を調製する非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程、
(1−C)少なくともアクリル系重合性単量体および特定の架橋剤を含む油相液を水系媒体中において分散させた状態で重合処理を行うことにより、架橋アクリル系樹脂からなる架橋アクリル系樹脂微粒子を形成させる架橋アクリル系樹脂微粒子分散液調製工程、
(1−D)必要に応じて、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)非晶性ポリエステル樹脂微粒子、結晶性ポリエステル樹脂微粒子、架橋アクリル系樹脂微粒子および必要に応じて着色剤微粒子、離型剤による微粒子、荷電制御剤による微粒子などのトナー構成成分の微粒子を、水系媒体中で凝集、融着させてトナー粒子を形成する凝集・融着工程、
(3)得られるトナー粒子を水系媒体中より濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(4)洗浄処理されたトナー粒子の乾燥工程、
から構成され、必要に応じて
(5)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
この結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる結晶性ポリエステル樹脂を合成し、この結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に微粒子状に分散させて結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を調製する工程である。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定法(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂をいう。このような結晶性ポリエステル樹脂であれば、特に限定されず、例えば、結晶性ポリエステル樹脂による主鎖に他成分を共重合させた構造を有する樹脂について、この樹脂が上記のように明確な吸熱ピークを示すものであれば、本発明でいう結晶性ポリエステル樹脂に該当する。
ここに、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、吸熱ピークのピークトップの温度を示し、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて示差走査熱量分析によってDSC測定したものである。
具体的には、結晶性ポリエステル樹脂0.5mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。
結晶性ポリエステル樹脂におけるTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)が1,000未満である場合は、後述する凝集・融着工程において非晶性ポリエステル樹脂と相溶してしまうことにより、得られるトナー粒子が粒子全体として融点の低いものとなって耐ブロッキング性に劣るものとなるおそれがあり、50,000より大きい場合は、得られるトナーが低温定着性に劣るものとなるおそれがある。
芳香族ジカルボン酸の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂を形成するためのジカルボン酸成分全体を100構成モル%とした場合の20構成モル%以下とされることが好ましく、より好ましくは10構成モル%以下、特に好ましくは5構成モル%以下である。芳香族ジカルボン酸の使用量が20構成モル%以下とされることにより、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性を確保することができて製造されるトナーに優れた低温定着性が得られ、最終的に形成される画像に光沢性が得られると共に融点降下による画像保存性の低下が抑制され、さらに、当該結晶性ポリエステル樹脂を含む油相液を用いて油滴を形成させるときに、確実に乳化状態を得ることができる。
ジオール成分としては、脂肪族ジオールの中でも、主鎖を構成する炭素原子の数が2〜22である直鎖型の脂肪族ジオールを用いることがより好ましく、さらに、入手容易性や確実な低温定着性の発現、高い光沢性を有する画像が得られるという観点から、主鎖を構成する炭素原子の数が2〜14である直鎖型の脂肪族ジオールを用いることが特に好ましい。
用いる直鎖型の脂肪族ジオールの主鎖を構成する炭素原子の数が2〜22であることにより、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸が併用される場合においても低温定着性が阻害されるレベルの融点を有するポリエステル樹脂が形成されることがなく、製造されるトナーに十分な低温定着性が得られ、また、最終的に形成される画像に高い光沢性が得られる。
ジオール成分としては、分岐型の脂肪族ジオールを用いることもできるが、この場合、結晶性の確保の観点から、直鎖型の脂肪族ジオールと共に使用し、かつ、当該直鎖型の脂肪族ジオールの割合を高めにして使用することが好ましい。このように直鎖型の脂肪族ジオールの割合を高めにして使用することによって、結晶性が確保されて製造されるトナーに優れた低温定着性が確実に得られ、最終的に形成される画像において融点降下による画像保存性の低下が抑制され、さらには耐ブロッキング性が確実に得られる。
ジオール成分は、1種類のものに限定されるものではなく、2種類以上を混合して用いてもよい。
ジオール成分における二重結合を有するジオールの含有量は20構成モル%以下とされることが好ましく、より好ましくは2〜10構成モル%である。二重結合を有するジオールの含有量が20構成モル%以下であることにより、得られるポリエステル樹脂が融点の大幅に低減されたものとなることがなく、従って、フィルミングが発生するおそれが小さい。
ジオール成分とジカルボン酸成分との使用比率が上記の範囲にあることにより、所望の分子量を有する結晶性ポリエステル樹脂を確実に得ることができる。
水系媒体の使用量を上記の範囲とすることで、水系媒体中において油相液を所望の粒径に乳化分散させることができる。
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機化合物を挙げることができるが、得られるトナー母体粒子中より分散安定剤を除去する必要があることから、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面の視点からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられ、また、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も使用することができる。
また、分散安定性の向上のための樹脂微粒子としては、粒径が0.5〜3μmのものが好ましく、具体的には、粒径が1μmおよび3μmのポリメタクリル酸メチル樹脂微粒子、粒径が0.5μmおよび2μmのポリスチレン樹脂微粒子、粒径が1μmのポリスチレン−アクリロニトリル樹脂微粒子などが挙げられる。
有機溶媒の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、通常1〜300質量部、好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
油滴の分散径は60〜1000nmとされることが好ましく、さらに好ましくは80〜500nmである。
油滴の分散径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した体積基準のメジアン径である。この油滴の分散径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさによりコントロールすることができる。
また、分散安定剤を用いてトナー粒子を形成する場合は、有機溶媒の除去処理に加えて、酸やアルカリを添加して混合することにより、当該分散安定剤の除去処理も行う。
この非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる非晶性ポリエステル樹脂を得るための非晶性ポリエステル樹脂を合成し、この非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に微粒子状に分散させて非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を調製する工程である。
本発明において、非晶性ポリエステル樹脂とは、上記の結晶性ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂をいい、通常は融点を有さず、比較的高いガラス転移点温度(Tg)を有するものである。
また、この非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜220℃であることが好ましく、特に80〜150℃であることが好ましい。
ここに、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)、および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて測定したものである。具体的には、非晶性ポリエステル樹脂4.50mgをアルミニウム製パン「KITNO.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得し、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点温度(Tg)として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持する。
また、軟化点は、以下のように測定したものである。すなわち、まず、20℃、50%RHの環境下において、非晶性ポリエステル樹脂1.3gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成する。次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、非晶性ポリエステル樹脂の軟化点とした。
非晶性ポリエステル樹脂におけるTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)が3,000未満である場合は、得られるトナーが耐ブロッキング性に劣るものとなるおそれがあり、100,000より大きい場合は、得られるトナーが低温定着性が得られないものとなるおそれがある。
GPCによる分子量測定は、測定試料として非晶性ポリエステル樹脂のTHF可溶分を用いたことの他は結晶性ポリエステル樹脂の分子量測定と同様の方法によって行われる。
また、非晶性ポリエステル樹脂を形成すべき多価アルコール成分としては、2−ブチン−1,4ジオール、3−ブチン−1,4ジオール、9−オクタデゼン−7,12ジオールなどの不飽和多価アルコールなども用いることができる。
また、非晶性ポリエステル樹脂を形成すべき多価カルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;およびこれらの酸無水物または酸塩化物などの不飽和多価カルボン酸も用いることができる。
また、非晶性ポリエステル樹脂を形成すべき多価カルボン酸成分に、コーヒー酸などの重合性不飽和結合を有するモノカルボン酸を少量併用してもよい。
油滴の分散径は60〜1000nmとされることが好ましく、さらに好ましくは80〜500nmである。
油滴の分散径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した体積基準のメジアン径である。この油滴の分散径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさによりコントロールすることができる。
この架橋アクリル系樹脂微粒子分散液調製工程は、トナー粒子を構成する結着樹脂の材料となる架橋アクリル系樹脂を合成すると共に、この架橋アクリル系樹脂が水系媒体中に微粒子状に分散されてなる架橋アクリル系樹脂微粒子の分散液を調製する工程である。
乳化重合法においては、架橋アクリル系樹脂を形成するべきアクリル系重合性単量体および特定の架橋剤を含む油相液を水系媒体中において分散させた後、ラジカル重合開始剤を投入してアクリル系重合性単量体を特定の架橋剤の存在下において重合させることにより、架橋アクリル系樹脂微粒子が形成される。
架橋アクリル系樹脂におけるTHF不溶分は、トナー粒子中の架橋成分の含有量を示すものであって、これが0.5質量%未満である場合は、良好な耐高温オフセット性が得られないおそれがあり、50質量%を超える場合は、トナーの製造時に融着の進行が緩慢となるために製造負荷が大きくなるおそれがある。
架橋アクリル系樹脂におけるTHF可溶分の重量平均分子量(Mw)が50,000未満である場合は、得られるトナーに良好な耐高温オフセット性が得られないおそれがあり、1,000,000より大きい場合は、得られるトナーが定着を阻害されるものとなるおそれがある。
GPCによる分子量測定は、測定試料として架橋アクリル系樹脂のTHF可溶分を用いたことの他は結晶性ポリエステル樹脂の分子量測定と同様の方法によって行われる。
また、この架橋アクリル系樹脂の軟化点は、80〜200℃であることが好ましく、特に110〜180℃であることが好ましい。
架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定されるものである。
この着色剤微粒子分散液調製工程は、トナー粒子として着色剤を含有するものを所望する場合に必要に応じて行う工程であって、着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて着色剤微粒子の分散液を調製する工程である。
着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、染料、有機顔料などの公知のものを任意に使用することができ、具体的には、有機顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15;3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤微粒子は、分散した状態で体積基準のメジアン径が10〜300nmとされることが好ましく、さらに好ましくは100〜200nm、特に好ましくは100〜150nmである。
着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定されるものである。
この凝集・融着工程は、架橋アクリル系樹脂微粒子の分散液と、結晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液と、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液と、必要に応じて、着色剤微粒子の分散液と、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー粒子構成成分の分散液とを添加、混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径および粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナー粒子を形成する工程である。
界面活性剤としては、特に限定されずに公知の種々のものを用いることができるが、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩;オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどの脂肪酸塩などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。
また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレノキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。
以上の界面活性剤は、所望に応じて、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、この凝集・融着工程における非晶性ポリエステル樹脂微粒子の反応系への添加割合は、最終的に得られるトナー粒子中における含有量が15〜98質量%となる割合とされることが好ましい。これが15質量%より少ない場合は、得られるトナーが帯電特性や耐ブロッキング性に劣るものとなるおそれがあり、98質量%よりも多い場合は、得られるトナーが十分な低温定着性を得られないものとなるおそれがある。
また、この凝集・融着工程における結晶性ポリエステル樹脂微粒子および非晶性ポリエステル樹脂微粒子の反応系への相対的な添加割合は、質量比で1:99〜40:60であることが好ましく、より好ましくは10:90〜40:60である。結晶性ポリエステル樹脂微粒子が過多である場合は、得られるトナーが耐熱保管性に劣ったものとなるおそれがあり、結晶性ポリエステル樹脂微粒子が過少である場合は得られるトナーに十分な低温定着性が得られないおそれがある。
また例えば、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程(1−A)または結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液調製工程(1−B)または架橋アクリル系樹脂微粒子分散液調製工程(1−C)において非晶性ポリエステル樹脂または結晶性ポリエステル樹脂と内添剤とを分子レベルで混在させてこれを用いることによりトナー粒子中に導入することもできる。
離型剤としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの低分子量ポリオレフィン類;合成エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油などの植物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの鉱物、石油系ワックス;これらの変性物などが挙げられる。
離型剤の添加量は、最終的に得られるトナー粒子中における結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜25質量部、好ましくは3〜15質量部となる量とされる。
荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
荷電制御剤の添加量は、最終的に得られるトナー粒子中における結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部となる量とされる。
この濾過・洗浄工程では、得られたトナー粒子の分散液を冷却し、この冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離してトナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。具体的な固液分離および洗浄の方法としては、遠心分離法、ヌッチェなどを使用する減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用する濾過法などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。
この乾燥工程では、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理が施される。この乾燥工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。なお、乾燥処理されたトナー粒子中の水分量は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。
・試料加熱温度:110℃
・試料加熱時間:1分
・窒素ガス流量:150ml/分
・試薬:対極液(陰極液);ハイドラナール クーロマット CG−K(HYDRANAL(R)−Coulomat CG−K)、発生液(陽極液);ハイドラナール クーロマット AK(HYDRANAL(R)−Coulomat AK)
この外添剤添加工程は、乾燥処理されたトナー粒子に、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、荷電制御剤や種々の無機微粒子、有機微粒子、および滑剤などの外添剤を添加する工程であって、必要に応じて行われる。外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
無機微粒子としては、シリカ、チタニア、アルミナなどの無機酸化物粒子の使用が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤などによって疎水化処理されていることが好ましい。
この外添剤の添加量は、トナー中に0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%であることが好ましい。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
本発明のトナーは、以上のような製造方法によって得られるものであって、具体的には、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および架橋アクリル系樹脂からなる結着樹脂を含有するトナー粒子からなるトナーであって、架橋アクリル系樹脂が、上記式(1)で表される特定の架橋剤に由来の架橋部位を有することを特徴とする。
以上のような製造方法によって得られた本発明のトナーは、10%変形強度が9〜50MPaである機械的強度を有することが好ましい。
この10%変形強度は、微小圧縮試験機「MCT−W201」(島津製作所社製)を用いて圧縮試験モードで測定される値である。
また、本発明のトナーは、そのガラス転移点温度(Tg)が30〜60℃、特に35〜54℃であることが好ましく、また、軟化点が70〜140℃、特に80〜137℃であることが好ましい。
ここに、ガラス転移点温度(Tg)および軟化点は、測定試料をトナーとしたことの他は上記と同様の方法によって測定されるものである。
以上のような製造方法によって得られるトナー粒子は、その粒径が体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましい。このトナー粒子の粒径は、凝集・融着工程における凝集剤の濃度や有機溶剤の添加量、または融着時間、さらにはポリエステル樹脂の組成によって制御することができる。体積基準のメジアン径が3〜8μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着し定着オフセットを発生させる付着力の大きいトナー粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
また、トナーの粒度分布は、CV値が16〜35であることが好ましく、さらに好ましくは18〜22である。
CV値は、下記式(x)によって求められるものである。ただし、算術平均粒径とは25,000個のトナー粒子について、体積基準の粒子径xの平均値であり、この算術平均粒径は「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)によって測定されたものである。
式(x):CV値(%)={(標準偏差)/(算術平均粒径)}×100
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメジアン径とする。
また、以上のような製造方法によって得られるトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.945〜0.995である。
この平均円形度が0.930〜1.000の範囲にあることにより、記録材に転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
式(y):
円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
以上のようなトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
キャリアとしては、その体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜60μmのものがより好ましい。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアとしては、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることが好ましい。被覆用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂など使用することができる。
以上のようなトナーは、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。画像形成方法としては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば像担持体上に静電的に形成された静電潜像を、現像装置において現像剤を摩擦帯電部材によって帯電させることにより顕在化させてトナー像を得、このトナー像を記録材に転写し、その後、記録材上に転写されたトナー像を接触加熱方式の定着処理によって記録材に定着させることにより、可視画像が得られる。
また、以上のようなトナーは、優れた機械的強度を有することから、高速現像による現像工程を含む画像形成方法にも好適である。なお、高速現像による現像工程とは、A4サイズの用紙に対して、印字率5%にて毎分60ページ以上の出力を行う場合における現像工程をいう。
このようなトナーにおいて優れた機械的強度が得られる理由としては、結着樹脂内に特定の架橋剤に由来の架橋部位を有する、すなわち、当該特定の架橋剤における長鎖部分が導入されているために、この長鎖部分による可撓性が発揮されることによると推測される。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、
多価カルボン酸
・フマル酸:4.2質量部
・テレフタル酸:78質量部
多価アルコール
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物:152質量部
・2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物:48質量部
を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4 を、多価カルボン酸全量に対して0.006質量%となる量を投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、非晶性ポリエステル樹脂〔A〕を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂〔A〕は、重量平均分子量(Mw)が2,700、ガラス転移点(Tg)が63℃、軟化点が95℃であった。非晶性ポリエステル樹脂〔A〕の分子量、ガラス転移点(Tg)および軟化点は、上述の通りに測定した。
撹拌動力を与えるアンカー翼の備えられた反応容器に、メチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを添加し、その後、上記の非晶性ポリエステル樹脂〔A〕をハンマーミルで粗粉砕したものを徐々に添加して撹拌し、溶解または分散させて油相を得た。次いで、撹拌されている油相に希アンモニア水溶液を適量滴下して、さらに、この油相をイオン交換水に滴下して転相乳化させた後、エバポレータで減圧しながら脱溶剤を行うことにより、非晶性ポリエステル樹脂微粒子の分散液を得、さらに、この分散液にイオン交換水を追加して固形分(非晶性ポリエステル樹脂微粒子)が40質量%となるよう調整することにより、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕における非晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、182nmであった。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた反応容器に、
多価カルボン酸
・1,10−ドデカン二酸:200質量部
多価アルコール
・1,9−ノナンジオール:140質量部
を仕込み、反応系の温度を1時間かけて190℃に上昇させ、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4 を、多価カルボン酸全量に対して0.006質量%となる量を投入し、さらに、生成される水を留去しながら反応系の温度を同温度から6時間かけて240℃に上昇させ、さらに240℃に維持した状態で6時間脱水縮合反応を継続して重合反応を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂〔B〕を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂〔B〕は、重量平均分子量(Mw)が2,900、融点が65℃であった。結晶性ポリエステル樹脂〔B〕の分子量および融点は、上述の通りに測定した。
非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液の調製例A1において、非晶性ポリエステル樹脂〔A〕の代わりに結晶性ポリエステル樹脂〔B〕を用いたことの他は同様にして、固形分(結晶性ポリエステル樹脂微粒子)が40質量%である結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B1〕を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B1〕における結晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、207nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けたセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBS)2gをイオン交換水740gに溶解させた活性剤溶液を添加し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。
一方で、
スチレン:295質量部
アクリル酸:52質量部
1,9−ノナンジオールジアクリレート:40質量部
n−オクチルメルカプタン:0.8質量部
を混合し、80℃に加湿して溶解させ、単量体溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記2つの加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。次いで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)3.3gをイオン交換水350gに溶解させた溶液を添加して80℃にて3時間加熱、撹拌することにより、架橋アクリル系樹脂微粒子の分散液を得、さらに、この分散液にイオン交換水を追加して固形分(架橋アクリル系樹脂微粒子)が20質量%となるよう調整することにより、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕における架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、125nmであった。
また、この架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕を固液分離し軟化点を測定したところ、161.3℃であった。
また、この架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕を固液分離し、テトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、160,300であった。THF不溶分(ゲル分)は、架橋アクリル系樹脂微粒子の固形分全量の20.2質量%であった。
脱イオン水195質量部にアニオン界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製)5質量部を混合溶解させ、C.I.Pigment Red 122(クラリアントジャパン社製)50質量部を入れてホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間分散させることにより、固形分(マゼンタ着色剤微粒子)が20質量%であるマゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕を得た。
得られたマゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕におけるマゼンタ着色剤微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、185nmであった。
脱イオン水195質量部にアニオン性界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製)5質量部およびパラフィンワックス「FNP92」(融点91℃、日本精蝋社製)50質量部を入れて60℃に加熱し、「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)にて十分に分散させた後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理することにより、固形分(離型剤微粒子)が20質量%である離型剤微粒子分散液〔W〕を得た。
得られた離型剤微粒子分散液〔W〕における離型剤微粒子の体積基準のメジアン径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)によって測定したところ、170nmであった。
非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕:1,195質量部
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B1〕:190質量部
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕:735質量部
マゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕:200質量部
離型剤微粒子分散液〔W〕:380質量部
アニオン性界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製):8質量部
イオン交換水:300質量部
を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に1.0質量%の硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した。
次いで、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)で分散させながら、47℃まで昇温させ、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定しながら、凝集粒子の体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.0に調整した。さらに液温度90℃で3時間にわたって加熱撹拌した後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、その後、撹拌を停止して、トナー粒子を作製した。
生成させたトナー粒子を固液分離し、15Lのイオン交換水による洗浄を4回繰り返し、その後、40℃の温風で乾燥し、トナー粒子〔1〕によるトナー〔1X〕を得た。トナー〔1X〕におけるトナー粒子〔1〕の体積基準のメジアン径(D50)は6.55μm、平均円形度は0.964であった。
得られたトナー〔1X〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去する外添剤処理を施した。これをトナー〔1〕とする。
トナー〔1〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は7.1質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は50.9質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C1において、1,9−ノナンジオールジアクリレートの代わりに1,10−デカンジオールジアクリレートを使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C2〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C2〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は143nm、軟化点は154.8℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は155,200であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の14.5質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C1において、1,9−ノナンジオールジアクリレート40質量部の代わりにビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物ジアクリレート30質量部を使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C3〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C3〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は118nm、軟化点は135.2℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は158,100であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の7.7質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C1において、1,9−ノナンジオールジアクリレート40質量部の代わりに1,9−ノナンジオールジメタクリレート30質量部を使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C4〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C4〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は131nm、軟化点は148.8℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は161,200であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の9.8質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C1において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBSの添加量を4gとし、1,9−ノナンジオールジアクリレート40質量部の代わりにドデカプロピレングリコールエチレンオキサイド6モル付加物ジメタクリレート48質量部を使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C5〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C5〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は85nm、軟化点は178.4℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は150,500であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の45.1質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C5において、ドデカプロピレングリコールエチレンオキサイド6モル付加物ジメタクリレート48質量部の代わりにビスフェノールAエチレンオキサイド10モル付加物ジアクリレート47質量部を使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C6〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C6〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は80nm、軟化点は167.0℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は143,300であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の45.7質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C1において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBSの添加量を1.2gとし、1,9−ノナンジオールジアクリレート40質量部の代わりに2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート43質量部を使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C7〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C7〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は175nm、軟化点は152.3℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は87,300であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の24.9質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C1において、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:DBSの添加量を1.0gとし、1,9−ノナンジオールジアクリレート40質量部の代わりに1,6−ヘキサンジオールジアクリレート7質量部を使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C8〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C8〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は193nm、軟化点は112.0℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は123,300であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の0.7質量%であった。
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液の調製例C1において、1,9−ノナンジオールジアクリレートの代わりにジビニルベンゼンを使用したことの他は同様にして、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C9〕を得た。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C9〕について、上記と同様にして測定した架橋アクリル系樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は138nm、軟化点は140.3℃、THF可溶分の重量平均分子量(Mw)は164,300であり、THF不溶分の含有量は固形分全量の7.1質量%であった。
得られた架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕〜〔C9〕の物性を表1に示す。
トナーの製造例1において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕735質量部の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C2〕840質量部を使用したことの他は同様にして、トナー〔2〕を得た。
トナー〔2〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は5.4質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は53.7質量%であった。
トナーの製造例1において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕735質量部の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C3〕460質量部を使用したことの他は同様にして、トナー〔3〕を得た。
トナー〔3〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は4.0質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は23.5質量%であった。
トナーの製造例3において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C3〕の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C4〕を使用したことの他は同様にして、トナー〔4〕を得た。
トナー〔4〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は4.1質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は28.2質量%であった。
非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕:1,015質量部
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔B1〕:190質量部
架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C5〕:2230質量部
マゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕:200質量部
離型剤微粒子分散液〔W〕:380質量部
アニオン性界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製):8質量部
イオン交換水:300質量部
を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に1.0質量%の硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した。
次いで、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)で分散させながら、47℃まで昇温させ、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定しながら、凝集粒子の体積基準のメジアン径(D50)が6.3μmになった時点で、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液〔A1〕180質量部を添加し、非晶性ポリエステル樹脂微粒子が上記凝集粒子に付着、融着するまで加熱撹拌してシェル層を形成させた。その後、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.0に調整した。さらに液温度90℃で3時間にわたって加熱撹拌した後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、その後、撹拌を停止して、トナー粒子を作製した。
生成させたトナー粒子を固液分離し、15Lのイオン交換水による洗浄を4回繰り返し、その後、40℃の温風で乾燥し、トナー粒子〔5〕によるトナー〔5X〕を得た。トナー〔5X〕におけるトナー粒子〔5〕の体積基準のメジアン径(D50)は6.61μm、平均円形度は0.963であった。
得られたトナー〔5X〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去する外添剤処理を施した。これをトナー〔5〕とする。
トナー〔5〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は19.2質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は81.4質量%であった。
トナーの製造例5において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C5〕2230質量部の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C4〕460質量部を使用したことの他は同様にして、トナー〔6〕を得た。
トナー〔6〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は4.6質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は23.4質量%であった。
トナーの製造例1において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕735質量部の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C6〕1800質量部を使用したことの他は同様にして、トナー〔7〕を得た。
トナー〔7〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は18.8質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は86.0質量%であった。
トナーの製造例1において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕735質量部の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C7〕375質量部を使用したことの他は同様にして、トナー〔8〕を得た。
トナー〔8〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は5.3質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は48.1質量%であった。
トナーの製造例8において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C7〕の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C8〕を使用したことの他は同様にして、トナー〔9〕を得た。
トナー〔9〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は2.3質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は2.7質量%であった。
トナーの製造例1において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C1〕735質量部の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C5〕2230質量部を使用したことの他は同様にして、トナー〔10〕を得た。
トナー〔10〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は21.5質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は83.8質量%であった。
トナーの製造例3において、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C3〕の代わりに、架橋アクリル系樹脂微粒子分散液〔C9〕を使用したことの他は同様にして、トナー〔11〕を得た。
トナー〔11〕における結着樹脂に由来するTHF不溶分の含有量は3.8質量%、うちアクリル系樹脂に由来する成分の含有量は22.9質量%であった。
このトナー〔1〕〜〔11〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記トナーの濃度が6質量%になるよう混合することにより、現像剤〔1〕〜〔11〕を調製した。
現像剤〔1〕〜〔11〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、A4(坪量80g/m2 )普通紙を縦送りで搬送し、紙先端から20mmの位置に搬送方向に垂直な方向に伸びる5mm幅のベタ帯画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
低温オフセットによる画像汚れ、高温オフセットによる画像汚れが目視観察にて確認された定着実験における定着温度を、それぞれ、低温オフセットの温度、高温オフセットの温度として測定した。結果を表2に示す。
現像剤〔1〕〜〔11〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、A4(坪量80g/m2 )普通紙上に、トナー付着量11mg/10cm2 のベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
各定着温度に係る定着実験において得られたプリント物を、折り機で前記ベタ画像に荷重をかけるように折り、これに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、折り目を下記の評価基準に示す5段階にランク付けし、ランク3となる定着実験における定着温度を、下限定着温度とした。結果を表2に示す。
−評価基準−
ランク5:全く折れ目なし。
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり。
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり。
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり。
ランク1:大きな剥離あり。
トナー〔1〕〜〔11〕について、微小圧縮試験機「MCT−W201」(島津製作所社製)を用い、圧縮試験モードにてトナー粒子の10%変形強度を求めた。具体的には、温度21〜23℃、相対湿度45〜65%RHに管理された測定環境下において、最大試験荷重9.8mN、負荷速度0.89mN/secの測定条件で、個数平均粒径が±20%の範囲内にある任意のトナー粒子10個について、トナー粒子の変位量が10%となる圧縮荷重を各々測定し、このうちの最も大きい2個の測定値および最も小さい2個の測定値を除いた合計6個の測定値の算術平均値を、10%変形強度とした。本発明においては、10%変形強度が9〜50MPaの範囲であれば、実用上問題がなく、合格と判断した。結果を表2に示す。
Claims (6)
- 非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および架橋構造を有するアクリル系樹脂からなる結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーであって、
前記架橋構造を有するアクリル系樹脂が、
下記式(1)で表される架橋剤に由来の架橋部位を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
式(1):CH2 =CR1 −C(=O)O−Z−OC(=O)−CR2 =CH2
〔上記式中、R1 、R2 は、各々、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Zは、炭素数2〜90の炭化水素基を示す。ただし、当該炭化水素基は、エーテル結合、エステル結合、複素環および置換基を有していてもよい。〕 - 前記架橋構造を有するアクリル系樹脂が、前記一般式(1)中、R1 、R2 が、各々、水素原子またはメチル基であり、Zが、炭素数6〜40の炭化水素基であるものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記架橋構造を有するアクリル系樹脂が、前記一般式(1)中、Zが炭素数6〜12の直鎖アルキレン基であるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記架橋構造を有するアクリル系樹脂が、前記一般式(1)中、Zが、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物またはビスフェノールAエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物に由来の基であるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および架橋構造を有するアクリル系樹脂からなる結着樹脂を含有するコア粒子と、当該コア粒子の外周面を被覆する、非晶性ポリエステル樹脂よりなるシェル層とよりなる、コア−シェル構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂および架橋構造を有するアクリル系樹脂を有する結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
少なくともアクリル系重合性単量体および架橋剤を含む油相液を水系媒体中において分散させた状態で重合処理を行うことにより、架橋構造を有するアクリル系樹脂からなる架橋アクリル系樹脂微粒子を形成させる工程と、
水系媒体中において、非晶性ポリエステル樹脂からなる非晶性ポリエステル樹脂微粒子と、結晶性ポリエステル樹脂からなる結晶性ポリエステル樹脂微粒子と、前記架橋アクリル系樹脂微粒子とを凝集、融着させることによりトナー粒子を形成する工程とを含み、
前記架橋アクリル系樹脂微粒子を形成させるための架橋剤が、下記式(1)で表されるものであることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
式(1):CH2 =CR1 −C(=O)O−Z−OC(=O)−CR2 =CH2
〔上記式中、R1 、R2 は、各々、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Zは、炭素数2〜90の炭化水素基を示す。ただし、当該炭化水素基は、エーテル結合、エステル結合、複素環および置換基を有していてもよい。〕
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