JP2018049168A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】静電荷像現像用トナーにおいて、十分な低温定着性および耐ホットオフセット性を維持しつつ、画像ノイズ(カブリ)の発生を抑制すると共に、耐ドキュメントオフセット性を向上させる手段を提供する。【解決手段】本発明によれば、結着樹脂および離型剤を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は、主成分としての非晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂と、を含み、前記ビニル樹脂は、下記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位を含み、前記離型剤は、融点が65〜90℃であり、エステルワックスを含む、静電荷像現像用トナーが提供される。上記一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、nは8〜30の整数である。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。
近年、高速化、省エネルギーの観点から、以前よりも少ないエネルギーでトナー画像を定着するため、低温定着性に優れるトナーが求められている。トナーの定着温度を低くするためには、トナーを構成する結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を低くすることが必要である。
このようなトナーの低温定着化を図るため、ポリエステル樹脂を結着樹脂の主成分として含むトナーが提案されている。ポリエステル樹脂は、軟化点が比較的低いという特性を有することから、トナーの低温定着性を確保する点で有利である。一方で、近年における印刷物の多様化や高画質化の要請に伴い、低温定着性のみならず、その他の特性もまた向上させることができる技術が求められている。この点、上記のようなポリエステル樹脂を結着樹脂の主成分とするトナーでは、定着ニップ部で過剰に溶融したトナー粒子が定着部材へ移行するホットオフセット等が生じやすいという問題がある。そこで、特許文献1では、耐ホットオフセット性等を向上させることができる技術として、ポリエステル樹脂を含む結着樹脂に加え、スチレン(メタ)アクリル樹脂粒子(ビニル樹脂粒子)および炭化水素系ワックスを含有する技術が提案されている。
特開2015−148724号公報
しかしながら、特許文献1に係る技術では、画像ノイズ(カブリ)が発生するなどの画質低下や、耐ドキュメントオフセット性を十分に確保できずトナーが裏移りするという問題があった。
そこで本発明は、静電荷像現像用トナーにおいて、十分な低温定着性および耐ホットオフセット性を維持しつつ、画像ノイズ(カブリ)の発生を抑制すると共に、耐ドキュメントオフセット性を向上させる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、上記目的が以下の構成により達成されることを見出した。
1.結着樹脂および離型剤を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は、主成分としての非晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂と、を含み、前記ビニル樹脂は、下記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位を含み、前記離型剤は、融点が65〜90℃であり、エステルワックスを含む、静電荷像現像用トナー:
上記一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、nは8〜30の整数である;
2.前記離型剤の融点は、70〜80℃である、上記1.に記載の静電荷像現像用トナー;
3.前記離型剤は、酸価が1mgKOH/g以下である、上記1.または2.に記載の静電荷像現像用トナー;
4.前記ビニル樹脂中の前記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位の含有量が0.1〜5.0質量%である、上記1.〜3.のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー;
5.前記一般式(1)中のnが10〜18の整数である、上記1.〜4.のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー;
6.前記ビニル樹脂の重量平均分子量は、30,000〜200,000である、上記1.〜5.のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー;
7.前記結着樹脂中の前記ビニル樹脂の含有量が3〜20質量%である、上記1.〜6.のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー;
8.前記ビニル樹脂は、酸価が1〜30mgKOH/gである、上記1.〜7.のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー;
9.前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有する、上記1.〜8.のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂が主成分としての非晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂とを含み、当該ビニル樹脂が特定の二官能(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構成単位を含む。また、本発明に係る静電荷像現像用トナーは、さらに、融点が特定の範囲内にある離型剤を含み、当該離型剤はエステルワックスを含む。これらの成分を含むことにより、本発明に係る静電荷像現像用トナーによれば、十分な低温定着性および耐ホットオフセット性を維持しつつ、画像ノイズ(カブリ)の発生を抑制すると共に、耐ドキュメントオフセット性を向上させる手段が提供される。
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂および離型剤を含む静電荷像現像用トナーであって、上記結着樹脂は、主成分としての非晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂と、を含み、上記ビニル樹脂は、上記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位を含み、上記離型剤は、融点が65〜90℃であり、エステルワックスを含む。
本発明に係るトナーは、上記各成分を含むことにより、十分な低温定着性および耐ホットオフセット性を維持しつつ、画像ノイズ(カブリ)の発生を抑制すると共に、耐ドキュメントオフセット性を向上させることができる。本発明のトナーにより上記効果が得られるメカニズムは不明であるが、以下のように考えられる。
本発明に係るトナーに含まれる非晶性ポリエステル樹脂は、比較的高いガラス転移温度(Tg)を維持したまま、軟化点を下げることができるという特性を有する。したがって、結着樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を主成分として含むことにより、本発明に係るトナーは熱溶融しやすく、低温定着性が良好に維持される。
加えて、上記非晶性ポリエステル樹脂と共に、結着樹脂に含まれるビニル樹脂は、ポリエステル樹脂と比較して、弾性が高く、高温でも弾性が低下しにくいという特性を有する。特に、本発明に係るビニル樹脂は、一般式(1)で表される単量体により架橋されるため、弾性がさらに高くなる。したがって、結着樹脂がこのようなビニル樹脂をさらに含むことにより、本発明に係るトナーは加熱定着の際、結着樹脂の過剰な可塑化が抑制され、十分な耐ホットオフセット性が得られる。また、ビニル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂との相溶性が低いため、非晶性ポリエステル樹脂による低温定着性の向上効果を損なうことなく、ビニル樹脂による耐ホットオフセット性の向上効果もまた損なわれないという利点もある。
また、本発明者らは、画像ノイズ(カブリ)の発生を抑制するための検討の過程において、ワックスの種類に着目した。その結果、エステルワックスを用いることで、画像ノイズの発生が抑制されることを見出した。
一般に、エステルワックスおよび炭化水素系ワックスは、いずれも、トナー粒子表面に露出することで、トナーの帯電性を低下させる傾向がある。特許文献1に開示された技術では、ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と共に、離型剤として炭化水素系ワックスを使用しているが、炭化水素系ワックスは、比較的極性が低いため、極性の高いポリエステル樹脂との親和性が低い。よって、トナー粒子表面に炭化水素系ワックスが露出しやすく、トナー粒子の帯電不良や感光体汚染を引き起こしてしまい、画像ノイズ(カブリ)の発生や、画質低下の原因となると推測される。
一方、本発明に係るトナーは、離型剤としてエステルワックスを含む。エステルワックスは、炭化水素系ワックスと比較して非晶性ポリエステル樹脂との親和性が高い。また、非晶性ポリエステル樹脂と共に含まれるビニル樹脂は、エステルワックスとの親和性がさらに高い。加えて、本発明において用いられるビニル樹脂は、(メタ)アクリレート基に由来するエステル基および適度な長さの直鎖アルキレン基(−(CH−;n=8〜30の整数)を有する上記一般式(1)で表される単量体(本明細書中、単に「架橋剤」とも称することがある)に由来する構成単位を含む。したがって、ビニル樹脂中に存在するエステル基および適度な長さの直鎖アルキレン基と、エステルワックスとの親和性が高まることから、エステルワックスとビニル樹脂との親和性がさらに向上する。その結果、トナー粒子表面へのエステルワックスの露出が抑制され、画像ノイズ(カブリ)の抑制効果が向上する。
以上より、本発明のトナーによれば、非晶性ポリエステル樹脂による低温定着性を維持しつつ、離型剤(エステルワックス)のトナー粒子表面への露出が抑制されることにより、画像ノイズ(カブリ)の抑制効果が得られる。しかし、一方で、離型剤がトナー粒子の内部に取り込まれている場合、加熱定着の際、離型剤が画像表面に滲み出しにくく、定着画像が積み重なった際に画像剥離がしにくくなり、トナーが裏移りすることがある。
このような問題点に対し、本発明者らがさらに検討を行ったところ、融点が65〜90℃である離型剤を用いることにより、良好な耐ドキュメントオフセット性が得られることを見出した。かかる理由は、適度な範囲の融点を有する離型剤を用いることにより、加熱定着の際、当該離型剤は画像表面に滲み出しやすくなっているためであると考えられる。
なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は上記メカニズムに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナー(本明細書中、単に「トナー」とも称することがある)は、ビニル樹脂および主成分としての非晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、特定の離型剤とを含む。
[結着樹脂]
本発明に係るトナー(トナー粒子)に含まれる結着樹脂は、主成分としての非晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂とを含む。
≪非晶性ポリエステル樹脂≫
非晶性ポリエステル樹脂は、トナーに含まれる結着樹脂の主成分である。ここで、「主成分」とは、トナーが含有する結着樹脂の中で最も含有割合が高い樹脂であることを意味する。非晶性ポリエステル樹脂は、結着樹脂全体に対して、50〜96質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましく、60〜85質量%であることが特に好ましく、60〜75質量%であることが最も好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。このとき、ガラス転移温度(Tg)が、30〜80℃であることが好ましく、特に40〜64℃であることが好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱量分析装置(DSC)により測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。また、非晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体は、結晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体とは異なるため、たとえば、NMR等の分析によって結晶性ポリエステル樹脂と区別することができる。さらに、上記ガラス転移温度は、当業者であれば、樹脂の組成によって制御することが可能である。
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。非晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の非晶性ポリエステル樹脂が用いられうる。
非晶性ポリエステル樹脂の調製に用いられる多価カルボン酸および多価アルコールの例としては、特に制限されないが、以下が挙げられる。
(多価カルボン酸)
多価カルボン酸としては、不飽和脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸、およびこれらの誘導体を用いると好ましい。非晶性の樹脂を形成することができるのであれば、飽和脂肪族多価カルボン酸を併用してもよい。
上記不飽和脂肪族多価カルボン酸としては、たとえば、メチレンコハク酸、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸、炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸:3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸、4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸、アコニット酸などの不飽和脂肪族トリカルボン酸;4−ペンテン−1,2,3,4−テトラカルボン酸などの不飽和脂肪族テトラカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。
上記芳香族多価カルボン酸としては、たとえば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−フェニレン二酢酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸)、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ヘミメリット酸などの芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸;メリト酸などの芳香族ヘキサカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。
上記多価カルボン酸は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、帯電性やトナー強度の観点から、不飽和脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコールおよびこれらの誘導体を用いることが好ましく、非晶性の樹脂を形成することができれば、飽和脂肪族多価アルコールを併用してもよい。
上記不飽和脂肪族多価アルコールとしては、たとえば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオール、9−オクタデセン−7,12−ジオールなどの不飽和脂肪族ジオールなどが挙げられ、また、これらの誘導体を用いることもできる。
上記芳香族多価アルコールとしては、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、1,3,5−ベンゼントリオール、1,2,4−ベンゼントリオール、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられ、また、これらの誘導体を用いることもできる。これらの中でも、特に熱特性を適正化しやすいという観点から、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物などのビスフェノールA化合物を用いることが好ましい。
また、3価以上の多価アルコールの炭素数は特に制限されないが、特に、熱特性を適正化させやすいことから、炭素数は3〜20であると好ましい。
上記多価アルコールは、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を製造することができる。
製造の際に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素を含む化合物;アルミニウム、亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。入手容易性等を考慮すると、酸化ジブチルスズ、オクチル酸スズ、ジオクチル酸スズ、これらの塩や、テトラノルマルブチルチタネート(オルトチタン酸テトラブチル)、テトライソプロピルチタネート(チタンテトライソプロポキシド)、テトラメチルチタネートなどを用いることが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重縮合(エステル化)の温度は特に限定されるものではないが、150〜250℃であることが好ましい。また、重縮合(エステル化)の時間は特に限定されるものではないが、0.5〜15時間であることが好ましい。重縮合中には、必要に応じて反応系内を減圧にしてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、5,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、5,000〜50,000の範囲内であることがより好ましい。上記重量平均分子量(Mw)が5,000以上であれば、トナーの耐熱保管性を向上させることができ、100,000以下であれば、低温定着性をより向上させることができる。また、同樹脂の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、1,500〜25,000の範囲内であることが好ましい。上記重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
さらに、非晶性ポリエステル樹脂は、酸価が5〜50mgKOH/gであることが好ましい。このような範囲内とすることにより、非晶性ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エステルワックスが均一に分散しやすくなる。よって、エステルワックスがトナー粒子の表面に露出しにくくなることから、画像ノイズ(カブリ)の発生が抑制される。なお、非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、実施例に記載の方法により測定することができる。
≪ビニル樹脂≫
結着樹脂は、上記非晶性ポリエステル樹脂と共に、ビニル樹脂を含む。本発明に係るビニル樹脂は、下記一般式(1)で表される単量体(架橋剤)由来の構成単位を有する重合体である。
上記一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、nは8〜30の整数である。
ビニル樹脂は、一般に、非晶性ポリエステル樹脂と比較して、エステルワックスに対する親和性が高い。加えて、本発明のトナーに用いられるビニル樹脂は、上記一般式(1)の末端に含まれる(メタ)アクリレート基に由来する構成単位と、エステルワックスに含まれるエステル基との構造の類似性から、エステルワックスに対してさらに高い親和性を有する。さらに、上記一般式(1)で表される単量体は、適度な鎖長を有する直鎖アルキレン基を含む。よって、構造の類似性により、直鎖アルキレン基を含むエステルワックスと、該ビニル樹脂との親和性がさらに高まる。
したがって、以上より、本発明のトナーにおいては、非晶性ポリエステル樹脂やビニル樹脂が均一に微分散化することができ、エステルワックスは、ビニル樹脂の近傍でドメインを形成することができる。その結果、エステルワックスのトナー粒子の表面への露出が抑制され、帯電不良や感光体汚染が軽減され、画像ノイズ(カブリ)の発生が抑制される。
また、上記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位を含むことにより、架橋構造によるトナーの高弾性化も可能となる。したがって、本発明のトナーは、低温定着性を維持しつつ、ホットオフセットの抑制が可能となる。
一般式(1)で表される単量体の例としては、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,15−ペンタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,17−ヘプタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18−オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,19−ノナデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,20−エイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,21−ヘンエイコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,22−ドコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,23−トリコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,24−トテラコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,25−ペンタコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,26−ヘキサコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,27−ヘプタコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,28−オクタコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,29−ノナコサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,30−トリアコンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
上記一般式(1)中のnは8〜30の整数である。nが8未満の場合、エステルワックスとビニル樹脂との親和性が十分に得られず、エステルワックスがトナー粒子の表面に露出しやすくなり、画像ノイズ(カブリ)が発生しやすくなる。一方、nが30を超える場合、一般式(1)中の(メタ)アクリレート基に由来する構成単位と、エステルワックス中のエステル基との親和性による効果が十分に得られず、エステルワックスとビニル樹脂との親和性が低下する。したがって、画像ノイズ(カブリ)が発生しやすくなる。また、nが30を超えると、ビニル樹脂の極性が低くなることから、極性の高い非晶性ポリエステル樹脂との親和性が低くなり、結着樹脂中のビニル樹脂の分散性が低下する。したがって、トナーの高弾性化が不十分となり、耐ホットオフセット性が低下する。
上記一般式(1)で表される単量体の中でも、nが10〜25の整数である単量体が好ましく、nが10〜18の整数である単量体がより好ましく、nが10〜15の整数である単量体が特に好ましい。すなわち、ビニル樹脂は、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,15−ペンタデカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種に由来する構成単位を含んでいると特に好ましい。このような単量体を用いてビニル樹脂を調製することにより、画像ノイズ(カブリ)の発生を抑制する効果や耐ホットオフセット性をより一層向上させることができる。
上記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位を有するビニル樹脂とは、少なくとも上記一般式(1)で表される単量体を重合させることにより得られる樹脂である。当該ビニル樹脂は、上記一般式(1)で表される単量体に加え、その他のビニル単量体をさらに用いて得られたものであってもよい。このとき、ビニル樹脂を構成する単量体の全量に対し、上記一般式(1)で表される単量体の含有量は、0.05〜10.0質量%であると好ましく、0.1〜5.0質量%であるとより好ましく、0.2〜3.0質量%であると特に好ましく、0.3〜2.0質量%であると最も好ましい。すなわち、ビニル樹脂の全構成単位に対し、一般式(1)で表される単量体由来の構成単位の含有量は、0.05〜10.0質量%であると好ましく、0.1〜5.0質量%であるとより好ましく、0.2〜3.0質量%であると特に好ましく、0.3〜2.0質量%であると最も好ましい。一般式(1)で表される単量体由来の構成単位の含有割合を上記範囲内とすることにより、低温定着性および耐ホットオフセット性を向上させ、これと同時に画像ノイズ(カブリ)およびドキュメントオフセットの発生を抑制する効果が向上する。なお、上記ビニル樹脂の構成成分(構成単位)および各構成成分(各構成単位)の含有量(割合)は、たとえばNMR測定、メチル化反応Py−GC/MS測定により特定することができる。
(その他のビニル単量体)
ビニル樹脂の形成には、上記一般式(1)で表される単量体の他、下記のものから選択される1種または2種以上が用いられうる。
(1)スチレン単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンおよびこれらの誘導体など。
(2)(メタ)アクリル酸エステル単量体
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル(n−ブチル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの誘導体など。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸双方を包含する。
スチレンアクリル重合セグメントは、上記の単量体に加え、以下の単量体をさらに用いて形成されていてもよい。
(3)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど:
(4)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど:
(5)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど:
(6)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなど:
(7)その他の単量体
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体など。
また、単量体として、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基を有するビニル単量体を用いることが好ましい。具体的には、以下のものがある。
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。また、スルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。さらに、リン酸基を有する単量体としてはアシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
なかでも、「その他のビニル単量体」(上記一般式(1)で表される単量体以外の、ビニル樹脂を構成する単量体)としては、上記「(1)スチレン単量体」および/または「(2)(メタ)アクリル酸エステル単量体」に記載されたものが好適に用いられる。すなわち、ビニル樹脂としては、アクリル樹脂やスチレン−アクリル共重合体樹脂が好ましい。
ビニル樹脂の製造方法は、特に制限されず、上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を用い、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行う方法が挙げられる。また、分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、たとえば、n−オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
ビニル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が25〜70℃である非晶性樹脂であることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が35〜65℃である非晶性樹脂であることがより好ましい。なお、ビニル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、ビニル樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量は、大きいほど、高温下における弾性が高くなるため、ホットオフセットを効果的に抑制することができる。具体的には、ビニル樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)で10,000〜300,000であることが好ましく、30,000〜200,000であることがより好ましく、50,000〜150,000であることが特に好ましい。上記範囲内とすることにより、低温定着性を維持しつつ、耐ホットオフセット性を向上させることができる。また、同様の観点から、数平均分子量(Mw)で5,000〜100,000であることが好ましく、9,000〜55,000であることがより好ましく、15,000〜30,000であることが特に好ましい。なお、ビニル樹脂の分子量(重量平均分子量および数平均分子量)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
結着樹脂中のビニル樹脂の含有量は、低温定着性および耐ホットオフセット性を良好に維持しつつ、画像ノイズ(カブリ)およびドキュメントオフセットの発生を抑制する効果を向上させるという観点から、3〜40質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
ビニル樹脂の酸価は、0.1〜50mgKOH/gであることが好ましく、1〜30mgKOH/gであることがより好ましく、5〜20mgKOH/gであることが特に好ましい。ビニル樹脂の酸価が大きくなるにつれ、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂との親和性が向上するため、ビニル樹脂が大きなドメインを形成しにくくなり、均一に微分散化される。一方、ビニル樹脂の酸価が小さくなるにつれ、ビニル樹脂の親水性が比較的低くなることから、疎水性の高いエステルワックスがビニル樹脂近傍に存在しやすくなる。以上より、ビニル樹脂の酸価を上記範囲内とすることで、ビニル樹脂が微分散化されると共に、その近傍にエステルワックスが存在しやすくなる。その結果、耐ホットオフセット性が向上すると共にエステルワックスの露出が抑制され、画像ノイズ(カブリ)の発生が抑制される。
なお、ビニル樹脂の酸価は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記酸価は、分子構造主鎖の末端等にカルボキシ基やスルホ基等の酸性基を導入する等の手法により、任意に調整することができる。
≪その他の樹脂≫
本発明のトナーにおいて、結着樹脂には、上記で説明した非晶性ポリエステル樹脂およびビニル樹脂以外に、他の樹脂が含まれていてもよい。なかでも、本発明のトナーに含まれる結着樹脂は、結晶性樹脂を含んでいると好ましい。結晶性樹脂を含むことにより、加熱定着時、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性樹脂とが相溶し、低温定着性を向上させることができる。よって、本発明に係るトナーは、高速プロセス(例えば、線速400〜650mm/sのフルカラー高速プロセス)においても、良好な低温定着性を得ることができる。
結晶性樹脂としては、結晶性を有する樹脂であれば特に制限はなく、本技術分野における従来公知の結晶性樹脂を用いることができる。その具体例としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリエーテル樹脂等が挙げられる。結晶性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
なかでも結晶性樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂は、上記非晶性ポリエステル樹脂に対して親和性が良好であるためトナー中での分散性が良好となる上に、定着時のシャープメルト性をより向上させることができるので、低温定着性がより良好となる。
結晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂であって、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性樹脂の融点(Tc)は、55〜90℃であると好ましく、70〜88℃であるとより好ましい。結晶性樹脂の融点が上記範囲内であれば、十分な低温定着性が得られる。結晶性樹脂の融点(Tc)は、示差熱量分析装置(DSC)により測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。また、上記融点は、当業者であれば、樹脂の組成によって制御することが可能である。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる。結晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の結晶性ポリエステル樹脂が用いられうる。
結晶性ポリエステル樹脂の形成に用いられる多価カルボン酸および多価アルコールの例としては、特に制限されないが、以下が挙げられる。
(多価カルボン酸)
上記多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いてもよい。さらに、これらの低級アルキルエステルや酸無水物を用いることもできる。上記多価カルボン酸は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどの脂肪族ジオールを挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。また、これらの誘導体を用いてもよい。上記多価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記多価カルボン酸の価数、上記多価アルコールの価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
上記単量体を用いた結晶性ポリエステル樹脂の形成方法は特に制限されず、公知のエステル化触媒を利用して、上記多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合する(エステル化する)ことにより当該樹脂を形成することができる。具体的には、上記≪非晶性ポリエステル樹脂≫の項にて説明した触媒や重縮合条件が適用できる。
結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリエステル樹脂)の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、1,500〜30,000の範囲内であることが好ましく、3,000〜25,000の範囲内であることがより好ましい。また、結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリエステル樹脂)の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、5,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であれば、低温定着性をより向上させることができる。上記数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
結着樹脂中の結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリエステル樹脂)の含有量は、1〜30質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。結晶性樹脂の含有量が上記範囲であれば、低温定着性、耐熱性、および帯電性のバランスに優れたトナーとなる。
さらに、結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリエステル樹脂)は、酸価が5〜50mgKOH/gであることが好ましい。このような範囲内とすることにより、結晶性樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂やビニル樹脂に対して均一に分散しやすくなる。よって、低温定着性がさらに向上する。
なお、結晶性樹脂(好ましくは結晶性ポリエステル樹脂)の酸価は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[離型剤]
本発明のトナーは、融点が65〜90℃である離型剤を含む。このように、適度な融点を有する離型剤は、加熱定着の際、定着画像表面への滲み出しが容易となる。よって、加熱定着時はトナー粒子中に埋もれていた離型剤が容易に滲み出すため、耐ドキュメントオフセット性にも優れる。
離型剤の融点が65℃未満の場合、トナーの保管時や、トナーが画像形成装置内に装てんされた状態にある時等において、離型剤の一部が溶融し、トナー粒子表面へ滲み出すことにより、画像ノイズが生じてしまい、実用的な観点から好ましくない。また、融点が低いと、画像表面において離型剤が結晶化しきれず、溶融した状態となり、耐ドキュメントオフセット性が悪化する。一方、離型剤の融点が90℃を超える場合、加熱定着時に離型剤の溶融が十分でないために画像表面へ滲み出しにくく、耐ドキュメントオフセット性が低下する。また、融点が高いと、低温定着性も低下する。
特に低温定着性や耐ドキュメントオフセット性をバランスよく向上させるという観点から、離型剤の融点は、70〜80℃であると好ましい。また、かような範囲であれば、高速プロセスにおいても、離型剤が画像表面に十分に滲み出すため、定着分離性に優れると共に、画像表面の微細な荒れが抑制される。したがって、耐ドキュメントオフセット性に優れ、トナーの裏移りが抑制される。なお、離型剤の融点は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明のトナーに含まれる離型剤は、エステルワックスを含む。エステルワックスは、上記ビニル樹脂との親和性が高く、ビニル樹脂を含むトナー粒子中での分散性が向上する。よって、トナー粒子表面へのエステルワックスの露出が抑制されることから、耐ドキュメントオフセット性を向上させることができる。本発明に係るトナーは、上述のように、帯電時はエステルワックスが表面に露出していないため、帯電性に優れ、画像ノイズ(カブリ)を抑制することができると共に、耐ドキュメントオフセット性にもまた優れる。
離型剤に含まれるエステルワックスの具体例としては、たとえば、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート(ベヘン酸ベヘニル)、ステアリルステアレート(ステアリン酸ステアリル)、ベヘニルステアレート、ステアリルベヘネート、ブチルステアレート、プロピルオレエート、ステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸モノグリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ソルビタンモノステアレート、コレステリルステアレート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどが挙げられる。これらエステルワックスは、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
これらの中でも、上記離型剤の好ましい融点を考慮すると、具体的には、離型剤は、ベヘニルベヘネート、ステアリルステアレート、ベヘニルステアレート、ステアリルベヘネートおよびペンタエリスリトールテトラベヘネートからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
また、離型剤は、上記の中でも、モノエステルワックスを含んでいると好ましい。モノエステルワックスは、上記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位との親和性が高いため、ビニル樹脂との親和性がさらに向上する。その結果、エステルワックスがトナー粒子表面に露出することが抑制され、画像ノイズ(カブリ)の抑制効果が高くなる。
さらに、離型剤は、酸価が3mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることがより好ましく、0.5mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
離型剤の酸価が小さいと離型剤の極性が低くなるため、非晶性ポリエステル樹脂との親和性が低くなり、加熱定着時に、離型剤が画像表面へ滲み出しやすくなる。よって、離型剤の酸価が上記範囲であると、耐ドキュメントオフセット性を向上させることができる。なお、上記酸価の下限値は特に制限されず、0mgKOH/gである。また、離型剤の酸価は、実施例に記載の方法により測定することができる。
離型剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。離型剤の含有割合が上記の範囲であれば、十分な低温定着性を維持しつつ、耐ドキュメントオフセット性をさらに向上させることができる。
なお、本発明に係る離型剤は、エステルワックス以外の他の種類の離型剤(アミド系ワックス等)を含んでもよい。この場合、離型剤は、エステルワックスを主成分とすると好ましい。ここで、「主成分」とは、トナーが含有する離型剤の中で最も含有割合が高い成分であることを意味する。離型剤中のエステルワックスの含有量は、50質量%以上であると好ましく、80質量%以上であると好ましい。しかしながら、ビニル樹脂の分散性を向上させ、低温定着性、耐ドキュメントオフセット性を向上させるという観点から、該離型剤はエステルワックスのみからなることが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーは、着色剤を含んでもよい。着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、またはランプブラックなどが使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、またはコバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、またはマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などを用いることができる。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、または同60などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。
[荷電制御剤]
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩など、公知の種々の化合物を用いることができる。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部となる量である。
[トナーの平均円形度]
低温定着性を向上させるという観点から、本発明のトナーの平均円形度は0.920〜1.000であることが好ましく、0.940〜0.995であることがより好ましい。ここで、上記平均円形度は「FPIA−2100」(シスメックス株式会社製)を用いて測定した値である。
具体的には、トナーを界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数4000個の適正濃度で測定を行う。円形度は下記式で計算される。
円形度=(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、測定した全粒子数で割った算術平均値である。
[トナーの体積平均粒子径]
トナーの体積平均粒子径は、体積基準のメジアン径(D50)で、3〜10μmであることが好ましい。体積基準のメジアン径を上記範囲とすることにより、細線の再現性や、画像の高画質化が達成できると共に、トナーの消費量を、大粒径トナーを用いた場合に比して削減することができる。また、トナー流動性も確保することができる。ここで、トナーの体積基準のメジアン径(D50)は、たとえば、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター株式会社製)」に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
トナーの体積基準のメジアン径は、後述のトナーの製造時の凝集・融着工程における凝集剤の濃度や溶剤の添加量、または融着時間、さらには樹脂成分の組成等によって制御することができる。
[トナー粒子の構造]
なお、本発明のトナーは、単層構造を有するものであってもよいしコアシェル構造を有するものであってもよい。該コアシェル構造は、シェル層がコア粒子を完全に被覆している形態のみならず、コア粒子の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル層を構成するシェル樹脂の一部がコア粒子中にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、シェル層が組成の異なる樹脂を含む2層以上の多層構造を有するものであってもよい。
また、本発明のトナーは、画像ノイズ(カブリ)の抑制や、耐ドキュメントオフセット性を良好にするという観点から、離型剤が、トナー粒子表面に露出しない状態で、かつ、トナー粒子の表面近傍に存在していることが好ましい。本発明のトナーにおいて、エステルワックスを含む離型剤は、ビニル樹脂近傍に存在することとなるため、ビニル樹脂もまた、トナー粒子の表面近傍に存在していることが好ましい。すなわち、本発明のトナーは、少なくとも2層(内側層および外表層)以上の積層構造を有するトナー粒子を含み、外側層(表面層)が、ビニル樹脂と、エステルワックスを含む離型剤と、を含んでいると好ましい。当該態様において、外側層は、主成分としての非晶性ポリエステル樹脂をさらに含んでいてもよい。また、本発明の効果をさらに高めるため、上記ビニル樹脂のドメインが、非晶性ポリエステル樹脂のマトリクス中に分散されていると好ましい。
[外添剤]
本発明に係るトナーは、帯電性能や流動性、またはクリーニング性を向上させる観点から、その表面に公知の無機微粒子や有機微粒子などの粒子、滑剤等を外添剤として添加することが好ましい。外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよく、具体的には、たとえば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子およびチタニア微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、またはチタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸亜鉛微粒子などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。また、滑剤としては、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。これら外添剤は、耐熱保管性および環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸またはシリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであってもよい。外添剤は、単独でもまたは2種以上混合したものでも用いることができる。
上記の中でも、外添剤として、シリカ微粒子、アルミナ微粒子およびチタニア微粒子などの無機酸化物微粒子が好ましく用いられる。なお、上記外添剤微粒子の数平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から算出することができる。
外添剤の添加量(2種以上使用する場合は、その合計量)は、外添剤を含むトナー全体の質量を100質量%として、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
以下、本発明において用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーの製造方法は、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法など公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、粒子径の均一性、形状の制御性等の観点から、乳化凝集法を採用することが好ましい。以下、乳化凝集法について説明する。
<乳化凝集法>
乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子(以下、「結着樹脂粒子」ともいう)の分散液を、離型剤の粒子(以下、「離型剤粒子」ともいう)の分散液と混合し、所望の粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に着色剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
乳化凝集法により静電荷像現像用トナーを製造する場合、好ましい実施形態による製造方法は、
(a)非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、ビニル樹脂粒子分散液および離型剤粒子分散液を調製する工程(以下、調製工程とも称する)
(b)非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、ビニル樹脂粒子分散液および離型剤粒子分散液を混合して凝集・融着させる工程(以下、凝集・融着工程とも称する)
を含む。
以下、工程(a)〜(b)、およびこれらの工程以外に任意で行われる工程(c)〜(i)について詳述する。
(a)調製工程
工程(a)は、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程、ビニル樹脂粒子分散液調製工程、および離型剤粒子分散液調製工程があり、また、必要に応じて、結晶性樹脂粒子分散液調製工程、着色剤粒子分散液調製工程などを含む。
(a−1)非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程は、結着樹脂を構成する非晶性ポリエステル樹脂を合成し、この非晶性ポリエステル樹脂を水性媒体中に微粒子状に分散させて非晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液を調製する工程である。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法は上記記載したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液は、たとえば、溶剤を用いることなく、水系媒体中において分散処理を行う方法、あるいは非晶性ポリエステル樹脂を酢酸エチルやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶解させて溶液とし、分散機を用いて当該溶液を水系媒体中に乳化分散させた後、脱溶剤処理を行う方法などが挙げられる。
本発明において、「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものをいい、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール系有機溶剤を使用することが好ましい。好ましくは、水系媒体として水のみを使用する。
非晶性ポリエステル樹脂がその構造中にカルボキシ基を含む場合、当該カルボキシ基をイオン解離させて、水相に安定に乳化させて乳化を円滑に進めるためにアンモニア、水酸化ナトリウムなどを添加してもよい。さらに、水系媒体中には、分散安定剤が溶解されていてもよく、また油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
分散安定剤としては、公知のものを使用することができ、たとえば、リン酸三カルシウムなどのように酸やアルカリに可溶性のものを使用することが好ましく、または環境面の視点からは、酵素により分解可能なものを使用することが好ましい。界面活性剤としては、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。また、分散安定性の向上のための樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリスチレン−アクリロニトリル樹脂粒子などが挙げられる。
このような上記分散処理は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、分散機としては、特に限定されるものではなく、ホモジナイザー、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、高圧衝撃式分散機アルティマイザー、乳化分散機などが挙げられる。
分散の際には、溶液を加熱することが好ましい。加熱条件は特に限定されるものではないが、通常60〜200℃程度である。
このように準備された非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液中の非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径(体積基準のメジアン径)は、60〜1000nmが好ましく、80〜500nmであることがより好ましい。なお、この体積平均粒子径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさなどによって制御することができる。
また、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液における非晶性ポリエステル樹脂粒子の含有量は、分散液全体に対して10〜50質量%の範囲が好ましく、15〜40質量%の範囲がより好ましい。このような範囲であると、粒度分布の広がりを抑制し、トナー特性を向上させることができる。
(a−2)ビニル樹脂粒子分散液調製工程
ビニル樹脂粒子分散液調製工程では、ビニル樹脂の水系分散液を準備する。水系媒体中でたとえば乳化重合を行い、ビニル樹脂を得た場合には、重合反応後の液をそのままビニル樹脂粒子分散液として用いることができる。
または、単離したビニル樹脂を必要に応じて粉砕した後、界面活性剤の存在下、超音波分散機などを用いて水系媒体中にビニル樹脂を分散させる方法を用いることもできる。前記水系媒体および前記界面活性剤の具体例は、上記(a−1)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
ビニル樹脂粒子分散液中のビニル樹脂粒子の体積平均粒子径(体積基準のメジアン径)は、60〜1000nmが好ましく、80〜500nmの範囲内にあることが好ましい。なお、この体積平均粒子径は、重合時の機械的エネルギーの大きさなどによってコントロールすることができる。
ビニル樹脂粒子分散液におけるビニル樹脂粒子の含有量は、分散液全体に対して10〜50質量%の範囲とすることが好ましく、15〜40質量%の範囲とすることがより好ましい。このような範囲であると、粒度分布の広がりを抑制し、トナー特性を向上させることができる。
(a−3)離型剤粒子分散液調製工程
離型剤粒子分散液調製工程は、離型剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて離型剤粒子の分散液を調製する工程である。
当該水系媒体は上記(a−1)で説明したとおりであり、この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
離型剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、このような分散機としては、特に限定されるものではなく、上記(a−1)において説明したものを用いることができる。
離型剤粒子分散液中の離型剤粒子の体積平均粒子径(体積基準のメジアン径)は、10〜300nmの範囲内にあることが好ましい。
離型剤粒子分散液における離型剤粒子の含有量は、分散液全体に対して10〜50質量%の範囲とすることが好ましく、15〜40質量%の範囲とすることがより好ましい。このような範囲であると、ホットオフセット防止および分離性確保の効果が得られる。
(a−4)結晶性樹脂粒子分散液調製工程
結晶性樹脂粒子分散液調製工程は、トナーとして結晶性樹脂を含有するものを所望する場合に必要に応じて行う工程であって、結晶性樹脂粒子分散液調製工程は、結着樹脂を構成する結晶性樹脂を合成し、この結晶性樹脂を水性媒体中に微粒子状に分散させて結晶性樹脂粒子の分散液を調製する工程である。
結晶性樹脂の製造方法は上記のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
また、分散液の調製方法は、上記(a−1)で説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
結晶性樹脂粒子分散液中の結晶性樹脂粒子の体積平均粒子径(体積基準のメジアン径)は、60〜1000nmが好ましく、70〜500nmの範囲内にあることが好ましい。なお、この体積平均粒子径は、乳化分散時の機械的エネルギーの大きさなどによってコントロールすることができる。
また、結晶性樹脂粒子分散液における結晶性樹脂粒子の含有量は、分散液全体に対して10〜50質量%の範囲が好ましく、15〜40質量%の範囲がより好ましい。このような範囲であると、粒度分布の広がりを抑制し、トナー特性を向上させることができる。
(a−5)着色剤粒子分散液調製工程
着色剤粒子分散液調製工程は、トナーとして着色剤を含有するものを所望する場合に必要に応じて行う工程であって、着色剤を水性媒体中に微粒子状に分散させて着色剤粒子の分散液を調製する工程である。
当該水系媒体は上記(a−1)で説明したとおりであるため、ここでは説明を省略する。この水系媒体中には、分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤や樹脂粒子などが添加されていてもよい。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用した分散機で行うことができ、このような分散機としては、特に限定されるものではなく、上記(a−1)において説明したものを用いることができる。
着色剤粒子分散液中の着色剤粒子の体積平均粒子径(体積基準のメジアン径)は、10〜300nmの範囲内であることが好ましい。
着色剤粒子分散液における着色剤の含有量は、分散液全体に対して10〜50質量%の範囲とすることが好ましく、15〜40質量%の範囲とすることがより好ましい。このような範囲であると、色再現性確保の効果がある。
(b)凝集・融着工程
この凝集・融着工程は、水系媒体中で前述の非晶性ポリエステル樹脂粒子、ビニル樹脂粒子、離型剤粒子、および必要に応じて結晶性樹脂粒子、着色剤粒子を凝集させ、凝集させると同時にこれら粒子を融着させる工程である。
この工程では、まず、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、ビニル樹脂粒子分散液、離型剤粒子分散液、および必要に応じて結晶性樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液を混合し、水性媒体中にこれら粒子を分散させる。
次に、凝集剤を添加した後、非晶性ポリエステル樹脂粒子およびビニル樹脂粒子のガラス転移点以上の温度で加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩や第2族の金属の塩などの金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、二価または三価の金属塩を用いることが特に好ましい。これら凝集剤は1種単独でも、または2種以上を組み合わせても用いることができる。
前記凝集剤の使用量は、特に制限されないが、トナー粒子を構成する結着樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.3〜4.5質量部である。
凝集工程においては、凝集剤を添加した後、凝集用樹脂粒子分散液の加熱をできるだけ速やかに開始することが好ましい。この理由は明確ではないが、放置時間の経過によって粒子の凝集状態が変動して、得られるトナー粒子の粒径分布が不安定になったり、表面性が変動したりする問題が発生するおそれがあるからである。放置時間は、通常30分以内とされ、好ましくは10分以内である。
また、凝集工程においては、凝集剤を添加した後、加熱により速やかに昇温させることが好ましく、昇温速度は0.05℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は、特に限定されないが、急速な融着の進行による粗大粒子の発生を抑制する観点から15℃/分以下とすることが好ましい。さらに、凝集用分散液が所望の温度に到達した後、当該凝集用分散液の温度を一定時間、好ましくは体積平均粒子径(体積基準のメジアン径)が4.5〜7.0μmになるまで保持して、融着を継続させることが肝要である。
本発明のトナーの凝集・融着工程は、特に、以下の手順で行われると好ましい。すなわち、(I)非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、および必要に応じて結晶性樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液を混合し、(II)凝集剤を添加し、凝集を進行させると同時に樹脂粒子同士を融着させ、(III)非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、ビニル樹脂粒子分散液、離型剤粒子分散液をさらに添加する。このような手順で凝集・融着工程を行うことにより、離型剤が露出せず、かつ、ビニル樹脂および離型剤がトナー粒子の表面近傍に存在する形態を有するトナー粒子を得ることができる。
(e)熟成工程
この工程は、必要に応じて行われるものであって、当該熟成工程においては、凝集・融着工程によって得られた会合粒子を熱エネルギーにより所望の形状になるまで熟成させてトナー粒子を形成させる熟成処理が行われる。
熟成処理は、具体的には、会合粒子が分散された系を加熱撹拌し、会合粒子の形状を所望の円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度、加熱時間などを調整することにより、行われる。
(f)冷却工程
この工程は、トナー粒子の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理の条件としては、1〜20℃/分の冷却速度で冷却することが好ましい。冷却処理の具体的な方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法などを例示することができる。
(g)濾過・洗浄工程
この工程は、冷却されたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離し、固液分離によって得られたトナーケーキ(ウェット状態にあるトナー粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去して洗浄する工程である。
固液分離には、特に限定されずに、遠心分離法、ヌッチェなどを使用して行う減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用して行う濾過法などを用いることができる。
(h)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥する工程であり、一般的に行われる公知のトナー粒子の製造方法における乾燥工程に従って行うことができる。
具体的には、トナーケーキの乾燥に使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
(i)外添剤の添加工程
この工程は、トナー粒子に対して外添剤を添加する場合に必要に応じて行う工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、サンプルミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
<現像剤>
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面をシリコーン樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積基準のメジアン径は、20〜100μmであることが好ましく、25〜80μmであることがより好ましい。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパテック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
二成分現像剤は、上記のキャリアとトナーとを、混合装置を用いて混合することにより作製することができる。混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合器等が挙げられる。
本発明に係る二成分現像剤を作製する際のトナーの配合量は、キャリアとトナーとの合計100質量%に対して、1〜10質量%であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例においては、特記しない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味し、各操作は、室温(25℃)で行われた。また、なお、樹脂のガラス転移温度、融点、重量平均分子量、および数平均分子量、離型剤の融点ならびに樹脂および離型剤の酸価は、下記の方法により測定した。
≪非晶性樹脂のガラス転移温度および結晶性樹脂の融点≫
非晶性ポリエステル樹脂およびビニル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定した。まず、測定試料(樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、「ダイヤモンドDSC」のサンプルホルダーにセットした。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。そして、昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/分で200℃から0℃まで冷却する冷却過程、および昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によってDSC曲線を得た。この測定によって得られたDSC曲線に基づいて、その第2昇温過程における第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度(Tg)とした。
また、結晶性樹脂の融点は、上記と同様にして得られたDSC曲線に基づいて、その第2昇温過程における結晶性樹脂に由来する吸熱ピーク(半値幅が15℃以内である吸熱ピーク)のピークトップの温度を融点(Tc)とした。
≪樹脂の重量平均分子量および数平均分子量≫
各樹脂のGPCによる分子量(重量平均分子量および数平均分子量)は、以下のようにして測定した。すなわち、装置「HLC−8120GPC」(東ソー株式会社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ−M3連」(東ソー株式会社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流した。測定試料(樹脂)は、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させた。当該溶液の調製は、超音波分散機を用いて、室温にて5分間処理を行うことにより行った。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出した。単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成された検量線に基づいて、測定試料の分子量分布を算出した。上記検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
≪離型剤の融点≫
示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。具体的には、試料をアルミニウム製パンKITNo.B0143013に封入し、熱分析装置Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させた。1回目の加熱時には室温(25℃)から、2回目の加熱時には0℃から、それぞれ10℃/分の昇温速度で150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/分の降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持した。この2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を、離型剤の融点とした。
≪樹脂および離型剤の酸価≫
(試薬の準備)
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶解し、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を調製した。JIS特級水酸化カリウム7gをイオン交換水5mLに溶解し、エチルアルコール(95体積%)を加えて1リットルとした。炭酸ガスに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を調製した。標定はJIS K0070−1966の記載に従った。
(本試験)
粉砕した試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(体積比2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解した。次いで、指示薬として調製したフェノールフタレイン溶液を数滴加えて、調製した水酸化カリウム溶液を用いて滴定した。なお、滴定の終点は指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとした。
(空試験)
試料を用いない(すなわち、トルエン/エタノール(体積比2:1)の混合溶液のみとする)こと以外は、上記本試験と同様の操作を行った。
(酸価の算出)
本試験と空試験の滴定結果を下記式(1)に代入して酸価を算出した。
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製>
[製造例1:非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製]
≪非晶性ポリエステル樹脂(A1)の作製≫
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物 :40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物:60モル部
・テレフタル酸ジメチル :60モル部
・フマル酸ジメチル :15モル部
・ドデセニルコハク酸無水物 :20モル部
・トリメリット酸無水物 : 5モル部
撹拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマーのうちフマル酸ジメチルおよびトリメリット酸無水物以外の単量体と、ジオクチル酸スズを上記モノマーの合計100質量部に対して0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、フマル酸ジメチルおよびトリメリット酸無水物を加え、1時間反応させた。温度を220℃まで5時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂(A1)は、重量平均分子量が35,000、数平均分子量が8,000、ガラス転移温度(Tg)が59℃、酸価が16.2mgKOH/gであった。
≪非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)の調製≫
次に、得られた非晶性ポリエステル樹脂(A1)を、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。イオン交換水80質量%、非晶性ポリエステル樹脂(A1)の濃度が20質量%の組成比となるように非晶性ポリエステル樹脂分散液を調製した。このとき、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm、熱交換器による加熱140℃、の条件でキャビトロンを運転した。その後、上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が20質量%となるように調整し、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラック(登録商標、以下同じ)UPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、160nmであった。
<非晶性ビニル樹脂粒子分散液の調製>
[製造例2:非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1)の調製]
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ラウリル硫酸ナトリウム5.0質量部と、イオン交換水2500質量部とを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
次いで、過硫酸カリウム(KPS)15.0質量部をイオン交換水287質量部に溶解させた溶液を添加し、液温を80℃とした。さらに、スチレン(St)900.0質量部、n−ブチルアクリレート(BA)282.0質量部及びアクリル酸(AA)12.0質量部、1,10−デカンジオールジアクリレート6.0質量部およびn−オクチルメルカプタン8.1質量部からなる単量体混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃において2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合させ、非晶性ビニル樹脂分散液を得た。上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が30質量%となるように調整し、非晶性ビニル樹脂(B1)粒子の分散液(b1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)をマイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、130nmであった。
非晶性ビニル樹脂(B1)は、ガラス転移温度(Tg)が50℃、重量平均分子量(Mw)が80,000、数平均分子量(Mn)が22,000、酸価が10.0mgKOH/gであった。
[製造例3〜17:非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b2)〜(b16)の調製]
非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1)の調製において、単量体混合液として表1に記載の一般式(1)の単量体を用い、かつ各単量体の使用量(質量部)を変更したこと以外は同様にして、非晶性ビニル樹脂(B2)〜(B16)粒子の分散液(b2)〜(b16)を調製した。得られた非晶性ビニル樹脂(B2)〜(B16)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および酸価は、表1に記載の通りであった。また、これらの非晶性ビニル樹脂(B2)〜(B16)のガラス転移温度(Tg)は、40〜65℃の範囲内であった。
<結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製>
[製造例18:結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製]
≪結晶性ポリエステル樹脂(C1)の作製≫
・ドデカン二酸 :50モル部
・1,9−ノナンジオール :50モル部
撹拌器、温度計、コンデンサーおよび窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマーを入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した。次いで、チタンテトラブトキサイド(Ti(O−n−Bu))を上記モノマーの合計100質量部に対して0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間撹拌し反応させた後、温度をさらに210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間撹拌し反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(C1)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂(C1)は、重量平均分子量が23,000、数平均分子量が6,500、酸価が19.1mgKOH/g、融点が73.2℃であった。
≪結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)の調製≫
次に、得られた結晶性ポリエステル樹脂(C1)を、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)を高温高圧型に改造した分散機を用いて分散した。イオン交換水80質量%、結晶性ポリエステル樹脂(C1)の濃度が20質量%の組成比となるように結晶性ポリエステル樹脂分散液を調製した。このとき、アンモニアによりpHを8.5に調整し、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5Kg/cm、熱交換器による加熱140℃、の条件でキャビトロンを運転した。その後、上記分散液にイオン交換水を加えて固形分量が20質量%となるように調整し、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1)を調製した。この分散液の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)にて測定したところ、190nmであった。
[製造例19:離型剤粒子分散液(W1)の調製]
・エステルワックス
(融点が74℃、酸価が0.1mgKOH/gである、ベヘン酸ベヘニルを主成分とするエステルワックス) :100質量部
・アニオン性界面活性剤
(第一工業製薬製ネオゲン(登録商標)RK):10質量部
・イオン交換水 :400質量部
上記の材料を混合し80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックス(登録商標、以下同じ)T50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15質量%に調整して離型剤粒子分散液(W1)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、220nmであった。
[製造例20:離型剤粒子分散液(W2)の調製]
離型剤粒子分散液(W1)の調製において、離型剤を、融点が67℃、酸価が0.1mgKOH/gである、ステアリン酸ステアリルを主成分とするエステルワックスに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液(W2)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、180nmであった。
[製造例21:離型剤粒子分散液(W3)の調製]
離型剤粒子分散液(W1)の調製において、離型剤を、融点が84℃、酸価が0.1mgKOH/gである、ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステルを主成分とするエステルワックスに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液(W3)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、290nmであった。
[製造例22:離型剤粒子分散液(W4)の調製]
離型剤粒子分散液(W1)の調製において、離型剤を、融点が71℃、酸価が2.4mgKOH/gである、ベヘン酸ベヘニルを主成分とするエステルワックスに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液(W4)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、180nmであった。
[製造例23:離型剤粒子分散液(W5)の調製]
離型剤粒子分散液(W1)の調製において、離型剤を、融点が63℃、酸価が10mgKOH/gである、アジピン酸ジステアリルを主成分とするエステルワックスに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液(W5)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、220nmであった。
[製造例24:離型剤粒子分散液(W6)の調製]
離型剤粒子分散液(W1)の調製において、離型剤を、融点が95℃、酸価が101mgKOH/gである、末端カルボン酸合成エステル系ワックスを主成分とするエステルワックスに変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液(W6)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、310nmであった。
[製造例25:離型剤粒子分散液(W7)の調製]
離型剤粒子分散液(W1)の調製において、離型剤を、融点が75℃、酸価が0mgKOH/gである、パラフィンワックス(炭化水素系ワックス)に変更した以外は同様にして、離型剤粒子分散液(W7)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、150nmであった。
<着色剤粒子分散液の調製>
[製造例26:ブラック着色剤粒子分散液(1)の調製]
・カーボンブラック
(キャボット社製、リーガル(登録商標)330) :100質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンSC) :15質量部
・イオン交換水 :400質量部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス、IKA社製)により10分間予備分散した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(スギノマシン製)を用い、圧力245MPaで30分間分散処理を行いブラック着色剤粒子の水系分散液を得た。得られた分散液にさらに、イオン交換水を添加して、固形分が15質量%となるように調整することによりブラック着色剤粒子分散液(1)を調製した。この分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)を、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
<トナーの作製>
[実施例1:トナー(1)の作製]
≪凝集・融着工程および熟成工程≫
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) :1200質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1) :192質量部
・ブラック着色剤分散液(1) :160質量部
・イオン交換水 :1500質量部
温度計、pH計および撹拌器を備えた4リットルの反応容器に上記の材料を入れ、温度25℃下に1.0%硝酸を添加してpHを3.0に調整した。その後、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)にて3,000rpmで分散しながら、濃度2%の硫酸アルミニウム(凝集剤)水溶液100質量部を30分かけて添加した。滴下終了後、10分間撹拌し、原料と凝集剤を十分に混合した。
その後、反応容器に撹拌器およびマントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌されるように撹拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにコールターマルチサイザー3(アパーチャー径50μm、ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定した。体積基準のメジアン径が5.0μmになったところで温度を保持し、予め混合しておいた
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) :480質量部
・非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1) :144質量部
・離型剤粒子分散液(W1) :256質量部
の混合液を20分間かけて投入した。
次いで、50℃に30分間保持した後、反応容器に、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)20%液を8部添加した後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを9.0に制御した。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で85℃まで昇温し、85℃で保持した。
≪冷却工程≫
その後、「FPIA−2100」を用い形状係数が0.960になった時点で降温速度10℃/分で冷却し、トナー粒子分散液(1)を得た。
≪濾過・洗浄工程および乾燥工程≫
その後、濾過し、イオン交換水で充分洗浄した。次いで、40℃にて乾燥して、トナー粒子(1)を得た。得られたトナー粒子(1)は、体積基準のメジアン径は6.0μm、平均円形度は0.961であった。
≪外添剤の添加工程≫
得られたトナー粒子(1)100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1.6質量部および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm)0.6質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/secで20分間混合し、体積基準のメジアン径が6.0μmであるトナー(1)を得た。なお、上記各外添剤の数平均一次粒子径は、上記の方法により求めた。
なお、表2−1に、トナー粒子(1)に含まれるビニル樹脂について、ビニル樹脂を構成する構成単位の全量に対する、一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位の含有量(含有割合)を示す(「ビニル樹脂中の含有量」の項目)。当該値は、原料として用いた単量体の質量比により算出され、NMR測定による値と一致することを確認した。
[実施例2〜5:トナー(2)〜(5)の作製]
実施例1において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1)を非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b2)〜(b5)にそれぞれ変更した以外は同様にして、トナー(2)〜(5)を得た。
[実施例6〜8:トナー(6)〜(8)の作製]
実施例5において、離型剤粒子分散液(W1)を離型剤粒子分散液(W2)〜(W4)にそれぞれ変更した以外は同様にして、トナー(6)〜(8)をそれぞれ得た。
[実施例9〜17:トナー(9)〜(17)の作製]
実施例1において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1)を非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b6)〜(b12)、(b15)および(b16)にそれぞれ変更した以外は同様にして、トナー(9)〜(17)を得た。
[実施例18〜19:トナー(18)〜(19)の作製]
実施例5において、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1)および非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b5)の使用量を表2−1に記載の値となるようにそれぞれ変更した以外は同様にして、トナー(18)〜(19)を得た。なお、表中の「トナー中含有量」の項目は、外添剤を含まないトナーの質量を100質量%としたときの当該樹脂の含有割合を示す。
[比較例1:トナー(20)の作製]
実施例5において、
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) :1200質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1) :192質量部
・ブラック着色剤分散液(1) :160質量部
・イオン交換水 :1500質量部

・非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b5) :800質量部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(c1) :192質量部
・ブラック着色剤分散液(1) :160質量部
・イオン交換水 :1900質量部
に変更し、また、
・非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1) :144質量部

・非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b5) :144質量部
に変更した以外は同様にして、トナー(20)を得た。
[比較例2〜3:トナー(21)〜(22)の作製]
実施例1において、非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1)を非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b13)〜(b14)にそれぞれ変更した以外は同様にして、トナー(21)〜(22)を得た。
[比較例4:トナー(23)の作製]
実施例1において、
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) :480質量部
・非晶性ビニル樹脂粒子分散液(b1) :144質量部
・離型剤粒子分散液(W1) :256質量部
の混合液を、
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(a1) :696質量部
・離型剤粒子分散液(W1) :256質量部
の混合液に変更した以外は同様にしてトナー(23)を得た。
[比較例5〜7:トナー(24)〜(26)の作製]
実施例5において、離型剤粒子分散液(W1)を離型剤粒子分散液(W5)〜(W7)にそれぞれ変更した以外は同様にしてトナー(24)〜(26)を得た。
<現像剤の作製>
上記実施例および比較例で得られた各トナーに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径40μmのフェライトキャリアを、トナー粒子濃度が6質量%となるように添加して混合することにより、現像剤をそれぞれ作製した。
<評価>
[低温定着性]
複写機「bizhub PRO(登録商標)C6501」(コニカミノルタ株式会社製)において、定着装置を、ニップ領域での圧力およびプロセス速度(ニップ時間)を変更できるように改造し、さらに、定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲内で変更することができるように改造した。当該複写機に上記各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
トナーから製造した現像剤をそれぞれ用いて、常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)の環境下にて、A4サイズの厚紙「mondi Color Copy 350g/m」(mondi社製)上に対し、トナー付着量が8g/mのベタ画像を出力する定着実験を行った。このとき、定着装置のニップ圧が238kPa、ニップ時間が25ミリ秒(プロセス速度480mm/s)の条件で、設定する定着温度を100℃から200℃まで5℃ずつ昇温するよう変更しながら繰り返し行った。
各定着温度の定着実験において得られたプリント物を、上記ベタ画像に荷重をかけるように折り機で折り、0.35MPaの圧縮空気を吹き付けた。折り目部分を、下記評価基準にしたがってランク評価した。
ランク3以上の定着実験のうち、最も定着温度の低い定着実験における定着温度を定着下限温度とした。この定着下限温度を、下記評価基準にしたがって低温定着性を評価し、ランク2以上を合格とした。評価結果を下記表3に示す。
(折り目のランク基準)
5:全く折れ目なし
4:一部折れ目に従った剥離あり
3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり
2:折れ目に従った太い線状の剥離あり
1:折れ目に従った大きな剥離あり。
(定着温度の評価基準)
4:下限定着温度が120℃以下
3:下限定着温度が120℃を超えて125℃以下
2:下限定着温度が125℃を超えて130℃以下
1:下限定着温度が130℃を超える。
[耐ホットオフセット性]
上記[低温定着性]の評価に用いた複写機と同様に改造した複写機に、上記の各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
トナーから製造した現像剤をそれぞれ用いて、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下にて、A4サイズの普通紙「Jペーパー(64g/m)」(コニカミノルタ株式会社製)上に対し、トナー付着量が8g/mのベタ画像を出力する定着実験を行った。このとき、定着装置のニップ圧が238kPa、ニップ時間が25ミリ秒(プロセス速度480mm/s)の条件で、設定する定着温度を100℃から200℃まで5℃ずつ昇温するよう変更しながら繰り返し行った。
ベタ画像のホットオフセット(H.O.)を目視で評価し、下記評価基準にしたがって耐ホットオフセット性を評価した。ランク2以上を合格とした。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
4:200℃以下でホットオフセットなし
3:190℃を超え200℃以下でホットオフセット発生
2:180℃を超え190℃以下でホットオフセット発生
1:180℃以下でホットオフセット発生。
[画像ノイズ(カブリ濃度)]
複写機「bizhub PRO(登録商標)C6501」(コニカミノルタ株式会社製)に上記の各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
「CFペーパー(80g/m)」(コニカミノルタ株式会社製)について、まず印字されていない白紙についてマクベス反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、白紙濃度とした。
次に、高湿環境下(温度30℃、相対湿度80%RH)において、A4サイズの普通紙「CFペーパー(80g/m)」(コニカミノルタ株式会社製)に対し、印字率5%の帯状ベタ画像を形成する印刷を10万枚行った。10万枚目のベタ画像の白地部分について、同様に20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、この平均濃度から白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。下記評価基準にしたがってカブリ濃度を評価し、ランク2以上を合格とした。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
4:カブリ濃度が0.002以下
3:カブリ濃度が0.002を超えて0.005以下
2:カブリ濃度が0.005を超えて0.010以下
1:カブリ濃度が0.010を超えている。
[ドキュメントオフセット性]
上記[低温定着性]の評価に用いた複写機と同様に改造した複写機に、上記の各トナーから製造した現像剤をそれぞれ装填した。
トナーから製造した現像剤それぞれについて、常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)の環境下にて、A4サイズの普通紙「CFペーパー(80g/m)」(コニカミノルタ株式会社製)に対し、トナー付着量が8g/mのベタ画像を連続して10枚出力した。このとき、定着装置のニップ圧を238kPa、ニップ時間を25ミリ秒(プロセス速度480mm/s)、定着温度を150℃とした。
次いで、大理石テーブル上に、出力した10枚のプリント物をそのまま揃えて置き、重ねた部分に対して19.6kPa(200g/cm)の圧力が加わるようにおもりを載せた。この状態で温度50℃、相対湿度50%RHの環境下に3日間放置した後、重ね合わせたプリント物を剥離し、トナー画像上における画像欠損、紙裏の非画像部への裏移りの度合いを以下に示す基準にしたがって耐ドキュメントオフセット性を評価した。ランク3以上を合格とした。評価結果を下記表3に示す。
(評価基準)
5:画像部、非画像部ともに全く画像欠損や画像移行が見られない
4:画像部の画像欠損はないが、紙裏の非画像部にわずかに画像移行が見られる
3:画像部の画像欠損は殆どなく許容できるレベルであるが、紙裏の非画像部に若干の移行が見られる
2:画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生し、また紙裏の非画像部への移行もところどころ見られる
1:画像部の定着画像が剥がれて、画像欠損が激しく、また紙裏の非画像部へ明らかな画像の移行が見られる。
上記表3の結果より、本発明に係るトナーを用いた場合、低温定着性および耐ホットオフセット性を良好に維持しつつ、画像ノイズ(カブリ)を抑制することができ、また、耐ドキュメントオフセット性にも優れることが示された。
一方、本発明に係る一般式(1)の単量体を含むビニル樹脂を含まず、エステルワックスを含むトナー(比較例2〜4)は、画像ノイズ(カブリ)が発生する等、良好な結果は得られなかった。また、比較例5〜6の結果より、エステルワックスの融点もまた本発明の効果に大きく影響することが示された。

Claims (9)

  1. 結着樹脂および離型剤を含む静電荷像現像用トナーであって、
    前記結着樹脂は、主成分としての非晶性ポリエステル樹脂と、ビニル樹脂と、を含み、
    前記ビニル樹脂は、下記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位を含み、
    前記離型剤は、融点が65〜90℃であり、エステルワックスを含む、静電荷像現像用トナー:
    上記一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、nは8〜30の整数である。
  2. 前記離型剤の融点は、70〜80℃である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記離型剤は、酸価が1mgKOH/g以下である、請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記ビニル樹脂中の前記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位の含有量が0.1〜5.0質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記一般式(1)中のnが10〜18の整数である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記ビニル樹脂の重量平均分子量は、30,000〜200,000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記結着樹脂中の前記ビニル樹脂の含有量が3〜20質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記ビニル樹脂は、酸価が1〜30mgKOH/gである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 前記結着樹脂が結晶性樹脂を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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