JP2011088083A - 鉄系基材を粉体塗膜で被覆する方法 - Google Patents

鉄系基材を粉体塗膜で被覆する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、鉄系基材を粉体塗膜で被覆する方法であって、当該粉体塗膜の低温での焼き付けが可能であり、かつ耐水性、耐光性、および耐熱性などの2次物性に優れる粉体塗膜が得られる方法を提供すること、を課題とする。
【解決手段】
鉄系基材を被覆する方法であって、
当該鉄系基材の表面を、
(a)ジルコニウム、チタン、およびハフニウムから選択される少なくとも一種、
(b)フッ素、および
(c)アミノ官能性化合物
を含有する化成処理剤
によって処理することにより、
化成処理層を形成する工程A、
当該化成処理層の上に、
酸価が23〜90mgKOH/gであるポリエステル樹脂、および
一般式I

(式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはHO−CH(R)−CH−を、Aは2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤
を含有する粉体塗料組成物を塗布する工程B、および
該粉体塗料組成物を焼き付けて硬化させる工程C、
を有することを特徴とする方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄系基材を粉体塗膜で被覆する方法に関する。
粉体塗料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂等をメインバインダーとし、必要により多価カルボン酸、メラミン樹脂およびブロックイソシアネート等の硬化剤を配合しているものが広く知られており、これらは、家電、自動車、建材等の多くの分野で使用されている。その中で、熱硬化性樹脂組成物を主体とする粉体塗料組成物は、一定温度以上、通常は180℃以上の高温での焼付条件が必要とされている。
このような高温焼付は、多量のエネルギーを必要とすることから、環境上好ましくない。
この問題を解決するため、特開2001−294805号公報には、後記の式で示されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤と樹脂固形分酸価が10〜100、軟化点が80〜150℃であるポリエステル樹脂とを主成分とする粒子を含有する粉体塗料組成物であって、その粒子の体積平均粒子径が5〜30μmであり、前記硬化剤の水酸基の当量数と前記ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比が、0.4〜1.3である粉体塗料組成物:

(式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基またはHOCH(R)CH−、Aは2価の炭化水素基を表す。)が提案されている。
この粉体塗料組成物を用いることにより、低温硬化性に優れ、高外観の塗膜を形成することができるが、鉄系基材を被覆するために、耐水性、耐光性、および耐熱性などの2次物性に優れる粉体塗膜を得る観点においては、なお、改良の余地があった。
粉体塗料により塗装される鉄系基材は、通常、粉体塗料による塗装に先立ち、耐食性、塗膜密着性等の性能を向上させる目的で、化成処理が施されている。塗膜の密着性や耐食性をより向上させることができ、有害金属であるクロムを用いず、また、排水処理における経済性、作業性に問題のあるリン酸亜鉛系処理剤によらない化成処理方法として、ジルコニウム化合物からなる金属表面処理剤を用いる方法が知られている(例えば、特許文献2)。
特開2001−294805号公報 特開2004−218070号公報
本発明は、前記の背景に鑑み、鉄系基材を粉体塗膜で被覆する方法であって、当該粉体塗膜の低温での焼き付けが可能であり、かつ耐水性、耐光性、および耐熱性などの塗膜への付加が大きくなる性能評価試験を含む2次物性に優に優れる粉体塗膜が得られる方法を提供すること、を目的とするものである。
本発明の一態様は、鉄系基材を被覆する方法であって、
当該鉄系基材の表面を、
(a)ジルコニウム、チタン、およびハフニウムから選択される少なくとも一種、
(b)フッ素、および
(c)アミノ官能性化合物
を含有する化成処理剤
によって処理することにより、
化成処理層を形成する工程A、
前記化成処理層の上に、酸価が30〜70mgKOH/gであるポリエステル樹脂、および一般式I
(式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはHO−CH(R)−CH−を、Aは2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料組成物を塗布する工程B、および
当該粉体塗料組成物を焼き付けて硬化させる工程C、
を有することを特徴とする方法である。
前記工程Cにおいて、好ましくは、前記粉体塗料組成物を130℃〜160℃の温度で焼き付けて硬化させる。
前記アミノ官能性化合物は、好ましくは、
アミノ官能性シランカップリング剤、その加水分解物、およびその縮合物、
ポリアリルアミン、
アミン変性エポキシ樹脂、ならびに
アミン変性フェノール樹脂
から選択される少なくとも1種である。
前記化成処理剤における前記アミノ官能性化合物の含有量は、好ましくは、前記化成処理剤の全質量に基づいて5〜5000ppmの範囲内である。
前記化成処理剤のpHは、好ましくは、2.5〜5.0である。
前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは、1,000〜150,000である。
前記鉄系基材は、好ましくは、冷熱圧延鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、ブリキ、ステンレス鋼からなる群から選ばれる、少なくとも1つである。
前記粉体組成物における、前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤と前記ポリエステル樹脂との質量比は、好ましくは、3/97〜10/90である。
前記粉体塗料組成物の体積平均粒子径は、好ましくは、20〜40μmである。
本発明の別の一態様は、前記の方法で被覆された鉄系基材である。
本発明の別の一態様は、前記の方法で被覆された鉄系基材を含有する物品である。
本明細書中、特に記載の無い限り、ppmは、mg/kgを意味する。
本発明の鉄系基材を被覆する方法によれば、粉体塗膜の低温での焼き付けが可能であり、かつ耐水性、耐光性、および耐熱性などの2次物性に優れる粉体塗膜が得られる。
また、本発明の「鉄系基材を被覆する方法」で被覆された鉄系基材、当該鉄系基材を含有する物品は、その塗膜が、耐水性、耐光性、および耐熱性などの2次物性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明の金属(具体的には、鉄系基材)を被覆する方法を詳細に説明する。
<工程A>
本発明の鉄系基材を被覆する方法は、
当該鉄系基材の表面を、
(a)ジルコニウム、チタン、およびハフニウムから選択される少なくとも一種、
(b)フッ素、および
(c)アミノ官能性化合物
を含有する化成処理剤
によって処理することにより、
化成処理層を形成する工程A、
を有する。
前記化成処理剤に用いられる「ジルコニウム、チタン、およびハフニウムから選択される少なくとも一種」は、化成皮膜(酸化物被膜)形成成分であり、基材にジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む化成皮膜が形成されることにより、基材の耐食性や耐磨耗性を向上させ、更に、塗膜との密着性を高めることができる。
例えば、ジルコニウムを含有する化成処理剤の場合、化成処理剤中のジルコニウムはフッ素と錯体を形成している。当該化成処理剤を用いて鉄系基材の表面処理を行うと、金属の溶解反応により化成処理剤中に溶出した金属イオンがZrF 2−のフッ素を引き抜くことにより、又、界面pHの上昇により、ジルコニウムの水酸化物又は酸化物が生成され、このジルコニウムの水酸化物又は酸化物が基材表面に析出していると考えられる。ただし、本発明はこのメカニズムを有するものに限定されない。前記化成処理剤を用いて表面処理を行うと、化学反応により強固に被処理物に付着した化成皮膜が得られるため、処理後水洗を行うこともできる。
前記ジルコニウムの供給源としては特に限定されず、例えば、KZrF、(NHZrF、HZrF等のフルオロジルコネート酸およびそれらの塩等の可溶性フルオロジルコネート等;フッ化ジルコニウム;酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記チタンの供給源としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属フルオロチタネート、(NHTiF等のフルオロチタネート;HTiF等のフルオロチタネート酸等の可溶性フルオロチタネート等;フッ化チタン;酸化チタン等を挙げることができる。
前記ハフニウムの供給源としては特に限定されず、例えば、HHfF等のフルオロハフネート酸;フッ化ハフニウム等を挙げることができる。
前記ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の供給源としては、皮膜形成能が高いことからZrF 2−、TiF 2−、HfF 2−からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する化合物が好ましい。
前記化成処理剤に含まれる「ジルコニウム、チタン及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種」の含有量は、前記化成処理剤の全質量に基づいて、金属換算で下限20ppm、上限10000ppmの範囲内であることが好ましい。前記含有量が前記下限未満の場合、化成皮膜の性能が不充分になる恐れがあり、一方、前記含有量が前記上限を超える場合と、それ以上の効果は望めず経済的に不利になる恐れがある。前記下限は50ppmがより好ましく、前記上限は2000ppmがより好ましい。前記下限は150ppmが更に好ましく、前記上限は500ppmが更に好ましい。
前記化成処理剤に含まれるフッ素は、基材のエッチング剤としての役割を果たすものである。前記フッ素の供給源としては特に限定されず、例えば、フッ素は、上述のジルコニウム源、チタン源及びハフニウム源としてのフッ素含有化合物に由来してもよい。また、フッ素の供給源としては、さらに、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化ホウ素酸、フッ化水素アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素ナトリウム等のフッ化物;ならびに、ヘキサフルオロケイ酸塩(例、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸亜鉛、ケイフッ化水素酸マンガン、ケイフッ化水素酸マグネシウム、ケイフッ化水素酸ニッケル、ケイフッ化水素酸鉄、ケイフッ化水素酸カルシウム)等の錯フッ化物等も挙げることができる。
前記化成処理剤に含まれるフッ素イオンの含有量(フリーフッ素)は、化成処理剤のpH等によって異なるが、前記化成処理剤の全質量に基づいて、下限20ppm、上限10000ppmの範囲内であることが好ましい。前記下限は50ppmがより好ましく、前記上限は2000ppmがより好ましい。前記下限は150ppmが更に好ましく、前記上限は700ppmが更に好ましい。なお、当該フッ素イオンの含有量は、フッ素イオンメーターにより測定することができる。
前記化成処理剤に含まれるアミノ官能性化合物は、分子中に少なくとも1つ(好ましくは、2つ以上)のアミノ官能基を有する化合物である。当該アミノ官能性化合物により、前記化成皮膜と、前記粉体塗料組成物から形成される塗膜の双方に作用することにより、両者の密着性が向上されると推測される。ただし、本発明はこのメカニズムを有するものに限定されない。
前記アミノ官能性化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、
アミノ官能性シランカップリング剤、その加水分解物、およびその縮合物、
ポリアリルアミン、
アミン変性エポキシ樹脂、ならびに
アミン変性フェノール樹脂が挙げられる。
前記アミノ基含有シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン等の公知のシランカップリング剤等を挙げることができる。市販されているアミノ基含有シランカップリング剤であるKBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−9103、KBM−573(以上信越化学工業株式会社製)、XS1003(チッソ株式会社製)等も使用することができる。
前記アミノ基含有シランカップリング剤の加水分解物は、従来公知の方法、例えば、前記アミノ基含有シランカップリング剤をイオン交換水に溶解し、任意の酸で酸性に調整する方法等により製造することができる。
前記アミノ基含有シランカップリング剤の縮合物としては特に限定されず、例えば、サイラエースS−330(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン;チッソ株式会社製)、サイラエースS−320(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン;チッソ株式会社製)等の市販の製品を、公知の方法により加水分解させ、縮合させて使用することができる。縮合物としては、KBP−90(信越化学工業株式会社製:有効成分32%)等の市販品を使用することもできる。
前記ポリアリルアミンとしては、下記式(1)で表される構成単位を有する水溶性樹脂である。好ましくは、前記ポリアリルアミンは、下記式(1)で表される構成単位のみから構成される水溶性樹脂である。

前記ポリアリルアミンとしては、例えば、PAAシリーズ(日東紡株式会社)を使用することができる。
そのなかで、PAA10C(ポリアリルアミン樹脂、分子量15000、日東紡株式会社)が好ましい。
前記アミン変性エポキシ樹脂としては特に限定されず、アミノ基を有するエポキシ骨格の樹脂であればよい。上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加型エポキシ樹脂、ビスフェノールFプロピレンオキサイド付加型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。なかでも、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールFエピクロルヒドリン型エポキシ樹脂がより好ましい。上記アミノ基としては特に限定されず、例えば、−NH基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノヒドロキシアミノ基、ジヒドロキシアミノ基、その他1級〜3級のアミンを有する化合物等を挙げることができる。上記骨格を形成するエポキシ樹脂にアミノ基を導入する反応としては特に限定されるものではなく、溶媒中でエポキシ樹脂とアミン化合物とを混合する方法等の通常の方法を挙げることができる。
前記アミン変性フェノール樹脂としては特に限定されず、アミノ基を有するフェノール骨格の樹脂であればよい。例えば、NPKシリーズ(住友ベークライト)を使用することができ、スミライトレジン−NPK−261(アミン変性フェノール樹脂、住友ベークライト)等が好適に用いられる。
前記アミノ官能性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記化成処理剤における前記アミノ官能性化合物の含有量は、化成処理剤の全質量に基づいて下限5ppm、上限5000ppmの範囲内であることが好ましい。5ppm未満であると、充分な塗膜密着性を有する皮膜を得ることができない恐れがある。5000ppmを超えると、それ以上の効果は望めず、経済的に不利になる恐れがある。前記下限は、10ppmがより好ましく、50ppmが更に好ましい。前記上限は、1000ppmがより好ましく、500ppmが更に好ましい。
前記化成処理剤は、実質的にリン酸イオンを含有しないものであることが好ましい。「実質的にリン酸イオンを含有しない」とは、リン酸イオンが化成処理剤中の成分として作用するほどは含まれていないことを意味する。本発明において使用する化成処理剤は、実質的にリン酸イオンを含有しないことから、環境負荷の原因となるリンを実質的に使用することがなく、リン酸亜鉛系処理剤を使用する場合に発生するリン酸鉄、リン酸亜鉛等のようなスラッジの発生を抑制することができる。
前記化成処理剤は、pHが下限2.5、上限5.0の範囲内であることが好ましい。pHが当該下限未満であると、エッチング過剰となり充分な皮膜形成ができなくなる恐れがある。一方、pHが当該上限を超えると、エッチングが不充分となり良好な皮膜が得られない恐れがある。前記下限は、3.0がより好ましく、前記上限は、4.5がより好ましい。前記化成処理剤のpHは、硝酸、硫酸等の酸性化合物、及び、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基性化合物を用いて調整することができる。
前記化成処理剤は、更に、密着性及び耐食性付与剤としてマグネシウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、スズイオン及び銅イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。前記密着性及び耐食性付与剤を含有させることにより、より良好な密着性及び耐食性を有する化成皮膜を得ることができる。
前記化成処理剤における前記マグネシウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン及び銅イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の含有量は、化成処理剤の全質量に基づいて、下限1ppm、上限5000ppmの範囲内であることが好ましい。前記含有量が前記下限未満であると、充分な効果が得られない恐れがある。前記含有量が前記上限を超えると、それ以上の効果の向上はみられず経済的に不利になる恐れがあり、および塗装後密着性が低下する恐れがある。前記下限は、25ppmがより好ましく、前記上限は、3000ppmがより好ましい。
前記化成処理剤は、前記成分の他に必要に応じて、任意の成分を併用するものであってもよい。使用することができる成分としては、シリカ等を挙げることができる。このような成分を添加することで、塗装後耐食性を向上させることが可能である。
本発明の工程Aにおける化成処理は、特に限定されるものではなく、通常の処理条件によって金属表面に化成処理剤を接触させることによって行うことができる。前記化成処理における処理温度は、下限20℃、上限70℃の範囲内であることが好ましい。前記下限は30℃であることがより好ましく、前記上限は50℃であることがより好ましい。前記化成処理における処理時間は、下限5秒、上限20分の範囲内であることが好ましい。前記下限は30秒がより好ましく、前記上限は2分がより好ましい。化成処理方法としては特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法、ロールコート法等を挙げることができる。
本発明の工程Aにおける化成処理においては、前記化成処理を行う前に、鉄系基材の表面に対して脱脂処理、脱脂後水洗処理を行ってもよい。前記化成処理後に化成後水洗処理を行ってもよく、行わなくてもよい。
前記脱脂処理は、基材表面に付着している油分や汚れを除去するために行われるものであり、無リン・無窒素脱脂洗浄液等の脱脂剤により、通常30〜55℃において数分間程度の浸漬処理を必要に応じて施してもよい。所望により、脱脂処理の前に、予備脱脂処理を行ってもよい。
前記脱脂後水洗処理は、脱脂処理後の脱脂剤を水洗するために、大量の水洗水によって1回又はそれ以上スプレー処理を行うことにより行うことができる。
前記化成後水洗処理は、その後の各種塗装後の密着性、耐食性等に悪影響を及ぼさないようにするために、好ましくは、1回又はそれ以上により行われるものである。この場合、最終の水洗は、純水で行われることが適当である。この化成後水洗処理においては、スプレー水洗又は浸漬水洗のどちらでもよく、これらの方法を組み合わせて水洗してもよい。
前記化成後水洗処理の後は、公知の方法に従って、必要に応じて乾燥され、その後、後記で説明する、工程Bの粉体塗料組成物の塗布を行う。
本発明の方法によって被覆される鉄系基材としては、SPCC鋼板(冷熱圧延鋼板)、SECCボンデ鋼板(電気亜鉛めっき鋼板)、SGCC(溶融亜鉛めっき鋼板)、SPTE(ブリキ)、ステンレス鋼からなる群から選ばれる材等を挙げることができる。前記ステンレス鋼としては、SUS304、SUS304L、SUS303、SUS316、SUS316Lなどを使用してもよい。
前記鉄系基材の前処理は特に限定されない。すなわち、前記鉄系基材としては、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼板等の亜鉛又は亜鉛系合金めっき鋼板等も挙げることができる。
本発明の塗装前処理方法により得られる化成皮膜は、皮膜量が化成処理剤に含まれる金属(ジルコニウム、チタン、ハフニウム)の合計量で下限0.1mg/m、上限500mg/mの範囲内であることが好ましい。当該合計量が上記下限未満であると、均一な化成皮膜が得られない恐れがある。一方、当該合計量が上記上限を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利になる恐れがある。前記下限は、5mg/mがより好ましく、前記上限は、200mg/mがより好ましい。
<工程B>
本発明の鉄系基材を被覆する方法は、前記工程Aで形成された化成処理層の上に、酸価が30〜70mgKOH/gであるポリエステル樹脂、および一般式I

(式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはHO−CH(R)−CH−を、Aは2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料組成物を塗布する工程Bを、更に有する。
前記ポリエステル樹脂は、酸価が30〜70mgKOH/gである。
本明細書中、ポリエステル樹脂の酸価は、当該ポリエステル樹脂の不揮発分1gの中和に必要な水酸化カリウムのmg数(mgKOH/g)を意味する。
本明細書中、ポリエステル樹脂の酸価はJIS K 0070に準拠した方法により決定することができる。
酸価が前記の範囲外である場合、塗膜の硬化性および耐食性が低下する恐れがある。
また、上記ポリエステル樹脂の軟化点は、好ましくは、80〜150℃であり、より好ましくは、90〜130℃である。上記軟化点が80℃より低い場合は、耐ブロッキング性が低下する恐れがあり、150℃より高い場合は、得られる塗膜の平滑性が低下する恐れがある。
一方、上記ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、好ましくは、1000〜150000であり、より好ましくは、3000〜70000であり、さらに好ましくは、4000〜50000である。上記重量平均分子量が小さすぎる場合には、得られる塗膜の性能および物性が低下する恐れがあり、一方、上記重量平均分子量が大きすぎる場合には、得られる塗膜の平滑性や外観が低下する恐れがある。
本明細書中、ポリエステル樹脂の軟化点はJIS K 2207に準拠した方法により決定することができる。また、本明細書中、当該重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレンを標準物質として決定することができる。
上記ポリエステル樹脂は、2種以上のポリエステル樹脂の複合物であってもよい。その場合、上記の物性値および特数値は、複合物全体としての値を意味する。
このようなポリエステル樹脂は、多価カルボン酸を主として含有する酸成分と、多価アルコールを主として含有するアルコール成分とを原料として通常の方法により縮重合することにより得ることができる。それぞれの成分および縮合重合の条件を選択することにより、上記の物性値および特数値を有するポリエステル樹脂を得ることができる。ここで、「主として」とは、全体の70モル%以上を占めることを意味する。
上記酸成分としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸およびこれらの無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類およびこれらの無水物、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類およびこれらの無水物、などを挙げることができる。その他に、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類ならびにこれらに対応するヒドロキシカルボン酸類、p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類等を挙げることができる。上記酸成分は2種以上であってもよい。中でも、イソフタル酸とテレフタル酸が、耐久性、物性、コストの点から好ましい。全酸成分中に占めるテレフタル酸とイソフタル酸の割合は70モル%以上、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは、80モル%以上が好適である。ここで、「酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸との合計の割合を70モル%以上」とは、これらを主原料として用いることを意味する。テレフタル酸とイソフタル酸含有量の上限については、ポリエステル樹脂の調製に使用する酸成分の全量をテレフタル酸及び/又はイソフタル酸としてもよい。また、耐候性を特に向上させたい場合は、全酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは、90モル%以上が好適である。ここで、「全酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を70モル%以上」とは、イソフタル酸を主原料として用いることを意味する。
上記アルコール成分としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等のジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等を挙げることができる。上記アルコール成分は2種以上であってもよい。
前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤は、一般式I

(式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはHO−CH(R)−CH−を、Aは2価の炭化水素基を表す。)で表される。
式中のRとしては、水素原子またはメチル基が、Rとしては、HOCH(R)CH−が、Aとしては炭素原子数2〜10(さらに好ましくは4〜8)のアルキレン基が好適である。
上記硬化剤は、公知の合成方法、具体的には、例えば、カルボン酸および/またはカルボン酸エステルと、β−ヒドロキシアルキルアミンとを、ナトリウムやカリウム等のアルコキシドの触媒の存在下で、反応させること等により得られる。
ここで用いるカルボン酸やカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等が挙げられる。
β−ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン等が挙げられる。
また、一般式Iで表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤は、市販品としても、入手可能である。このようなβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤としては、例えば、次式の化学構造を有する

プリミドXL552(EMS−PRIMD社)が挙げられる。
本発明の方法で用いられる粉体塗料組成物は、主成分として上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤と上記カルボン酸含有ポリエステル樹脂とを含む。ここで、「主成分として」とは、例えば、粉体塗料組成物全体に対する上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の含有量と上記カルボン酸含有ポリエステル樹脂の含有量との合計が、80質量%以上であることを意味する。
前記粉体組成物における、前記硬化剤の含有量の前記ポリエステル樹脂の含有量に対する質量比は、好ましくは、3/97〜10/90である。この範囲外では、塗膜の硬化性が不十分となる恐れがある。
上記硬化剤の水酸基の当量数と上記ポリエステル樹脂カルボキシル基の当量数との比は、好ましくは、0.4〜1.3が好ましい。この範囲外では、塗膜の硬化性が不十分となる恐れがある。
前記粉体組成物の粒子の体積平均粒子径は、20〜40μmであることが好ましい。体積平均粒子径が20μm未満であると、粉体塗料の搬送性が低下することにより、塗装作業性に問題が生じ、塗着効率の低下をきたす恐れがある。逆に、平均体積粒子径が40μmを超えると、塗膜の平滑性が低下し、塗膜外観が悪化する恐れがある。体積平均粒子径は、より好ましくは20〜30μmである。なお、上記体積平均粒子径は、粒度分析計(例えば、日機装社製、マイクロトラックHRA X−100)により測定することができる。
さらに、特に非平面部を有する複雑な形状の被塗装物に対して、均一な塗膜を形成するために、体積平均粒子径の1/5以下の粒子径の粒子を5質量%以下の割合で含むことが好ましい。
本発明の方法で用いられる粉体塗料組成物は、最低溶融粘度が60〜2000ポイズであることが好ましい。最低溶融粘度が高すぎる場合、良好な外観の塗膜が得られない恐れがあり、最低溶融粘度が高すぎる場合、上記の粒子径の効果が小さくなる恐れ、および溶融した塗膜のタレ性(sagging property)が悪化する恐れがある。
ここで、最低溶融粘度とは以下の測定により得られた粘度である:
被塗物を目標とする温度に到達するまで、1分間に10℃の速度で加熱し、その後、その目標温度に保持する条件で、塗膜の溶融粘度を経時的に測定し、そのときの最低の粘度を求め、それを最低溶融粘度とする。
最低溶融粘度の測定には、動的粘弾性測定による複素粘度を用いることが好ましい。
本発明の方法で用いられる粉体塗料組成物は、所望により、表面調整剤を含有してもよい。このような表面調整剤としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を1種または2種以上を原料として得られた、SP値が9.0以下、数平均分子量が300〜50000、好ましくは、1000〜30000で、ガラス転移温度が20℃未満、好ましくは、0℃以下のアクリル樹脂が、好適に用いられる。
SP値が高すぎる場合、9.0を超えると、上記ポリエステル樹脂のSP値と近似してくるため、塗着している粉体塗料が溶融して塗膜を形成する過程で、そのポリエステル樹脂との相溶性が高いことから、積極的に塗膜表面上に移行することが難しくなり、その結果塗膜表面でのフロー性向上に寄与することができないと考えられるからである。
ここで、SP値とは、溶解度パラメーターを言い、文献(SUH,CLARKE,J.P.S.A−1,5,1671〜1681(1967))には詳細に記載されており、その測定方法は、濁度法など当業者にとって周知の方法である。
また、ガラス転移温度(Tg)が20℃を超えると、良好な塗膜の外観が得られない恐れがある。そして、その数平均分子量が300未満であると、塗膜表面上に移行しても、フロー性に寄与する効果が小さくなり、50000を超えると塗膜表面上に移行することが難しくなる恐れがある。
本発明の方法で用いられる粉体塗料組成物における、上記表面調整剤としてのアクリル樹脂の量は、上記硬化剤と上記ポリエステル樹脂との合計100質量部に対して、0.01〜5質量部、好ましくは、0.05〜3質量部、さらに好ましくは、0.1〜2質量部である。アクリル樹脂の量が少なすぎると十分に表面調整を行うことができずに、外観不良の確率が高くなり、一方、アクリル樹脂の量が多すぎると、塗料のブロッキング性が低下する恐れがある。
本発明で用いられる粉体塗料組成物は、流動性付与剤として、無機微粒子、または有機微粒子を更に含有してもよい。このような微粒子を含有することにより、搬送性とブロッキング性をさらに向上させることができるからである。
上記無機微粒子としては、疎水性シリカ、親水性シリカや酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。この無機微粒子の市販品として、例えば、AEROSIL 130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSIL R−972、AEROSIL R−812、AEROSIL R−812S、二酸化チタンT−805、二酸化チタンP−25、Alminium Oxide C(日本アエロジル社製)、カープレックスFPS−1(塩野義製薬社製)等を例示することができる。上記無機粒子の添加量は、付与される効果と塗膜の平滑性および塗着効率の観点から、粉体塗料組成物全体100質量部に対して、好ましくは、0.05〜2質量部、より好ましくは、0.1〜1質量部である。添加量が少なすぎると効果が小さくなり、添加量が多すぎると塗膜の平滑性が低下したり、艶引けが発生したりする恐れがある。
一方、有機微粒子としては、粒子径が、0.001〜0.5μm、好ましくは、0.01〜0.5μmの非架橋の有機樹脂製粒子または、粒子径が、0.01〜2μm、好ましくは、0.01〜1μmの架橋の有機樹脂製粒子が好ましい。また、その有機樹脂としては、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができるが、アクリル樹脂が、工業的に生産することが容易である点から好ましい。
上記非架橋の有機樹脂粒子は、例えば乳化重合や懸濁重合により直接製造すること、または溶液重合もしくは塊重合等により樹脂を製造し、これを粉砕して分級することにより得られるものである。なお、上記非架橋の有機樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は、50〜150℃、好ましくは、70〜120℃の範囲にあることが好適である。非架橋の有機樹脂粒子を用いた場合、粉体塗料に熱が加えられるとこの有機樹脂微粒子自身もフローして外観の優れた塗膜が得られる。Tgが50℃未満では、貯蔵、輸送中などにおける粉体塗料の耐ブロッキング性能を十分に確保することが難しくなり、一方、Tgが150℃を超えるものはあまり実用性がない。上記非架橋の有機樹脂微粒子の平均粒径は、0.001〜0.5μm,好ましくは0.01〜0.5μmの範囲内が好ましい。またその添加量は、上記粉体塗料全体100質量部に対し0.05〜35質量部、好ましくは0.1〜10質量部程度である。これは、非架橋の有機樹脂微粒子の平均粒径とその添加量とが比例関係にあって、有機樹脂微粒子の工業的な製造の容易さから粒径の下限は約0.001μm程度で、その場合の粒子添加による効果発現には0.05質量%程度の添加量が必要であること、粒径が大になるにつれ、耐ブロッキング性を付与するために要する樹脂微粒子の添加量も増大すること、粒径が0.5μを超えると粉体塗料の流動性が悪くなり、塗装ガンによる粉体塗料の塗装時に、塗装ガン先端部分に粉体塗料粒子が付着して凝集しやすくなり、凝集粒子の飛散による塗膜のヘコミ等が生じ、高外観塗膜を得るとの発明目的が達成され難くなるので、粒径は最大0.5μに制限されること、その場合の添加量は粉体塗料に対して最大約35質量%まででなければならないことの知見に基づくものである。
非架橋のアクリル樹脂の製造に用いられているモノマーを例示すれば、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。
上記架橋した有機樹脂粒子は、三次元構造を有す有機樹脂の微粒子で、実質的に溶剤に溶解せず、また焼付け温度程度の加熱では溶融しないものである。
この架橋した有機樹脂粒子は、溶液重合や塊重合等により樹脂を製造し、これを粉砕して分級することにより得られるものであるが、乳化重合や懸濁重合により直接製造して得られたものや、非架橋の有機樹脂粒子形成後に架橋反応を行って得られたものであってもよい。
上記架橋した有機樹脂微粒子は平均粒子径が0.01〜2μmであることが好ましい。当該平均粒子径が2μmをこえると塗膜時にブツとなりやすく、一方、0.01μ未満のものではあまり効果がない。その量としては、上記粉体塗料全体100質量部に対して、0.05〜10質量部(さらに好ましくは、0.1〜5質量部)であることが好適である。この量が少なすぎると、耐ブロッキング性改良の効果が得られない恐れがあり、逆にこの量が多すぎると、外観が低下する恐れがある。
上記架橋した有機樹脂微粒子は、非架橋の有機樹脂粒子と同様に、ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等から得られたものが好ましいが、中でもアクリル樹脂が工業的に生産することが容易である点から好ましい。
このアクリル樹脂から得られた、架橋有機樹脂粒子は例えば架橋性アクリルモノマー1質量%以上と、その他のモノマーの混合物から得ることができる。架橋性アクリルモノマーとは、分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有するモノマーまたは、それぞれ相互に反応しうる官能基とラジカル重合可能な不飽和基とを有する少なくとも2種のモノマーを意味する。上記架橋性アクリルモノマーの量が1質量%未満であると、十分な架橋構造を得ることができず、焼付け時に粉体塗料に一部溶解、膨潤し、塗膜の平滑性を低下させる恐れがある。
上記の分子内に少なくとも2個のラジカル重合可能な不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基酸の重合性不飽和アルコールエステルおよび2個以上のビニル基で置換された芳香族化合物などが挙げられる。それらの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレートおよびジビニルベンゼン等がある。
相互に反応しうる官能基をそれぞれ担持する2種のラジカル重合可能な不飽和基を有するモノマーの組み合わせの例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーと、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとがある。相互に反応しうる官能基の組み合わせとしては、この他にもアミノ基とカルボン酸基、エポキシ基とカルボン酸またはその無水物等があり、上記相互に反応しうる官能基とはこれら組み合わせを広く包含するものである。
上記のその他のモノマーとしては、上記非架橋のアクリル樹脂の製造に用いられているモノマーを挙げることができる。
本発明で用いられる粉体塗料組成物は、必要により顔料および添加剤を含有していてもよい。
上記顔料の種類は特に限定されず、具体的には、二酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、各色のメタリック顔料、各色のパール顔料、金属粉末およびそれに表面処理を施したもの、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料などを挙げることができる。また、光沢を低下させるために、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、長石、ワラストナイト等の無機系艶消し剤や、有機微粒子からなる有機系の艶消し剤を含むことが好ましい。上記艶消し剤の体積平均粒子径は、3〜30μmであることが好ましい。
上記添加剤としては、例えば荷電制御剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤等が挙げられる。これらのものについては粉体塗料に通常用いられているものを使用することができる。
次に本発明で用いられる粉体塗料組成物の製造法を説明する。すなわち、上記のβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤と特定範囲の酸価および軟化点とを有する上記ポリエステル樹脂組成物とを主成分として得られた、特定粒子径を有する粒子によって、本発明で用いられる粉体塗料組成物が得られる。さらに、その粒子の粒子径に比べて、小さな粒子径である微粒子を流動性付与剤として添加しても得られる。
まず、上記粒子の主要構成成分である、上記のβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤と上記ポリエステル樹脂組成物および必要により、上記表面調整剤や、顔料、その他添加剤等の所定量を仕込んで、混合機により均一に混合する。その混合機としては、ヘンシェルミキサー、ボールミル、バンバリーミキサー等の一般的なものが用いられる。
次に得られた混合物を溶融混練する。ここでは、エクストルーダーや熱ロール等の混練機により加熱し、溶融する。次にこの溶融混練工程で得られたペレットをアトマイザーやジェットミル等の粉砕機を用いて粉砕する。また、上記成分を溶融混練して混合した後、得られた混合物をスプレードライ法により直接粉末状の粒子を得ることもできる。このようにして得られる本発明で用いられる粉体塗料組成物の体積平均粒子径は、好ましくは20〜40μmであり、巨大粒子や微小粒子を除去して粒度分布を調整するために分級を行った後の粒子を用いることが好ましい。
このようにして得られた粒子は、そのままで粉体塗料として利用できるが、更に上記微粒子を含有する粉体塗料としてもよい。
上記微粒子は、ペレット粉砕前に添加してもよく、粉砕後または、分級後の粒子に添加し、スーパーミキサー等の混合機により、攪拌混合してもよい。このような添加方法により、上記微粒子は、通常上記粒子の表面に付着した状態、およびその粒子の表面に若干埋めこまれた状態で、上記粉体塗料中に存在しているものと考えられる。
本発明で用いられる粉体塗料組成物は、被塗装物に対して塗布された後、加熱することにより塗膜を得ることができる。上記被塗装物としては、特に限定されず、具体的には、鉄板、鋼板、アルミニウム板等およびそれらを表面処理したもの等を挙げることができる。
上記塗布する方法としては、特に限定されず、スプレー塗装法、静電粉体塗装法、流動浸漬法等の当業者によってよく知られた方法を用いることができるが、塗着効率の点から、静電粉体塗装法が好適に用いられる。
本発明で用いられる粉体塗料組成物を塗布する際の塗装膜厚は、特に限定されないが、20〜100μmに設定することができる。
<工程C>
本発明の鉄系基材を被覆する方法は、前記工程Bで塗付された当該粉体塗料組成物を焼き付けて硬化させる工程Cを、更に有する。
当該粉体塗料組成物の焼き付けは、粉体塗料組成物の焼き付けに通常用いられる条件及び装置を用いることができる。更に、本発明の鉄系基材を被覆する方法においては、通常の紛体塗料組成物の焼き付け温度よりも低い温度でも、好適に粉体塗料組成物の焼き付けを行う事ができる。焼き付けに必要なエネルギーを削減する観点からは、焼き付け温度は低い方が好ましい。
しかし、焼き付け温度が低すぎる場合、良好な耐水性、耐光性、および耐熱性などの2次物性が得られない恐れがあるだけでなく、液体の塗料と異なり低温で焼付けた場合、平滑な塗膜を得ることが難しくなる傾向がある。これは、被塗物に付着した未硬化の塗膜が硬化反応を起こす前に樹脂成分が溶融することにより最終的に得られる塗膜の平滑性を維持できることが期待できるが、溶剤を含まない粉体塗料由来の未硬化の塗膜では溶剤による溶融性の付与が難しいからである。当該課題を解決するためには、粉体塗料に用いる樹脂成分の分子量やガラス転移温度を低下させる手法が考えられるが、これらの値を下げすぎた場合は、当該樹脂を含む粉体塗料の貯蔵安定性が低下する。このため、低温硬化性の確保と粉体塗料の貯蔵安定性確保は背反事象となる場合が多く、僅かに焼付け温度を低下させることは、技術上の大きな課題となる。
本発明では上記の課題を解決するために、化成処理に着目した結果、これまで知られていた粉体塗料の焼付け温度の下限をさらに低下させることに成功した。具体的には、当該焼き付け温度は好ましくは、130℃〜160℃、より好ましくは、130℃〜145℃である。特に、130℃〜145℃の焼き付け温度であれば、通常の溶剤系塗料用のオーブンを用いて、上記粉体塗料組成物の焼き付けを行うことが可能である。
本発明の鉄系基材を被覆する方法によれば、上記の、通常より低い焼き付け温度でも、良好な耐水性、耐光性、および耐熱性などの2次物性を有する塗膜が得られる。このように本願ではこれまで知られている粉体塗料の焼きつけ温度よりもかなり低い温度で焼き付けを実施しても、良好な耐水性、耐候性、耐熱性、塗膜外観などに代表される塗膜性能を確保することができた。この理由は定かではないが、金属基材の表面の化成処理剤に含まれる(a)〜(c)の何れかの成分が、工程Bに使用する粉体塗料の硬化反応に対して何らかの触媒作用などを奏した可能性が考えられる。また前記化成処理により形成された被膜の表面と前記粉体塗料から形成された塗膜の下面の層間で、密着を促進する何らかの効果が得られたものと考えられる。
焼き付け時間は、焼付け温度により適宜調整できるが、通常10〜120分、好ましくは、15〜60分である。
好ましくは、前記で詳述した好適な事項は、他の好適な事項と組み合わせて、用いられる。
本発明の「鉄系基材を被覆する方法」で被覆された鉄系基材もまた、本発明の一態様であり、当該鉄系基材を含有する物品もまた、本発明の一態様である。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1〜21、比較例1〜9>
[粉体塗料の製造]
(粉体塗料1)
CRYLCOAT2617−3(ダイセル・サイテック社製ポリエステル樹脂、酸価33、ガラス転移点温度62℃)100質量部と、
ファインディックA241(大日本インキ化学工業社製、エポキシ基含有ビニル系重合体、エポキシ当量600、軟化点109℃)を5質量部と、
エポトートYD−014(東都化成社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量950)5質量部と、
プリミドXL552(EMS−PRIMD社製β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤、水酸基当量84)5質量部と、
アクロナール4F(BASF社製、アクリル重合体、Tgが−55℃、溶解性パラメーターSPが9.3、数平均分子量が16500の表面調整剤)0.5質量部と、
ベンゾイン1質量部と、
タイペークCR−90(石原産業社製、ルチル型二酸化チタン顔料)65質量部と
を原料として、混合機スーパーミキサー(日本スピンドル社製)を用いて約3分間混合し、さらに溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約110℃で溶融混練した。
その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却した後、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粉砕し、得られた粉体を、気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を除去することによって、体積平均粒子径25μm、および体積平均粒子径の1/5以下の粒子径の粉体の含有量が2質量%である、粉体塗料を得た。
(粉体塗料2)
CRYLCOAT2617−3に換えてCRYLCOAT4420−0(ダイセル・サイテック社製ポリエステル樹脂、酸価50、ガラス転移点温度64℃)を使用したこと以外は、粉体塗料1と同様の製法にて、粉体塗料2を作成した。
(粉体塗料3)
CRYLCOAT2617−3に換えてCRYLCOAT2621−2(ダイセル・サイテック社製ポリエステル樹脂、酸価70、ガラス転移店温度62℃)を使用したこと以外は、粉体塗料1と同様の製法にて、粉体塗料3を作成した。
(粉体塗料4)
ファインディックM8020(大日本インキ化学工業社製、水酸基ポリエステル樹脂、水酸基価30、重量平均分子量は18000)85質量部と
ベスタゴンB−1530(デグサ・ヒュルス社製、ブロックイソシアネート硬化剤)15質量部と、
アクロナール4Fを0.5質量部と、
ベンゾインを1質量部と、
タイペークCR−90を50質量部と、
沈降性硫酸バリウム100を35質量部と
を原料として、混合機スーパーミキサー(日本スピンドル社製)を用いて約3分間混合し、さらに溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約110℃で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却した後、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粉砕し、得られた粉体を、気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を除去することによって、体積平均粒子径25μm、および体積平均粒子径の1/5以下の粒子径の粉体の含有量が2質量%である、粉体塗料を得た。
[アミン変性エポキシ樹脂(アミノ官能性化合物)の製造]
(AME−I)
AME−Iは、以下の方法により製造した。
攪拌機、冷却機、温度制御装置、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に液状エポキシ樹脂DER−331(ダウケミカル社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂)386質量部、ビスフェノールA114質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル56質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.06質量部を仕込んで固形分濃度90質量%の組成物とし、この反応容器を窒素ガスでパージしながら、145℃に昇温した後、3時間保温してエポキシ当量500、数平均分子量1000のビスフェノールA型エポキシ樹脂組成物を合成した。得られたビスフェノールA型エポキシ樹脂組成物にプロピレングリコールモノメチルエーテルを69質量部添加することにより固形分濃度80質量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂組成物とし、90℃に冷却した。
次に、90℃に冷却されたビスフェノールA型エポキシ樹脂組成物を625質量部(固形分として500質量部)に、アミノエチルエタノールアミンMIBKブロック体(アミノエチルエタノールアミン封鎖体)、236質量部を添加し、エポキシ1当量に対してアミン(メチルイソブチルケトンによって封鎖されたアミンを除く)1当量となるように配合した。更に、固形分濃度70質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルを119質量部添加した後、組成物の温度を115℃に調整して1時間保温して反応させ、その後放置により100℃に冷却して、モノケチミン(アミノエチルエタノールアミンMIBKブロック体)が付加したエポキシ樹脂を合成した。
次に、90質量%の酢酸66質量部と純水322質量部とを入れた容器をケミスターラーで攪拌しながら、得られたモノケチミン(アミノエチルエタノールアミンMIBKブロック体)が付加したエポキシ樹脂を970質量部滴下し、固形分濃度50質量%、中和率50%の樹脂組成物を合成し、更に純水を順次滴下することにより、固形分濃度10質量%の可溶性エポキシ樹脂溶液AME−Iを調製した(−NH及び/又は−NH 約0.2モル/樹脂100g)。
(AME−II)
AME−IIは、以下の方法により製造した。
エポキシ等量190のビスフェノールFエピクロルヒドリン型エポキシ化合物190質量部にジエタノールアミン30部、酢酸セロソルブ110部を加え、100℃で2時間反応させ、不揮発分70%のアミノ基含有水溶性エポキシ化合物AME−IIを得た。
[化成処理]
市販の冷間圧延鋼板(SPCC−SD、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)を基材として、下記および表1に記載の条件で、それぞれ化成処理した。
表1中、APSは、KBM−603(N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、有効濃度100%、信越化学工業株式会社製)を、
PAA10Cは、PAA10C(ポリアリルアミン樹脂、分子量15000、日東紡株式会社)を、
AME−Iは、上記に製造方法を記載するAME−I(アミン変性エポキシ樹脂)を、
AME−IIは、上記に製造方法を記載するAME−II(アミン変性エポキシ樹脂)を、および
NPK−261は、スミライトレジン−NPK−261(アミン変性フェノール樹脂、住友ベークライト)を示す。
また、表1中、FFはフッ素イオン濃度を示す。
(a)化成処理(ジルコニウム処理):実施例1〜21、比較例2〜3
脱脂処理:2質量%「サーフクリーナー53」(日本ペイント社製脱脂剤)の2質量%の水溶液で40℃、2分間スプレー処理した。
脱脂後水洗処理:水道水で30秒間スプレー処理した。
化成処理:表1の条件に調整した各化成処理液を用いて、基材を60秒間スプレー処理した。
化成処理液:ジルコンフッ化水素酸及び表1の密着促進剤(アミノ官能性化合物)を水道水に溶解させて、各化成処理液を調製した。KBM−603を用いた化成処理液の場合は、KBM−603を水道水に濃度が5質量%となるように溶解した後、室温にて3時間攪拌し、加水分解および縮合物を得てから用いた。化成処理液のpHは、水酸化ナトリウムを用いて調整した。化成処理液のトータルフッ素は、酸性フッ化ソーダを用いて、調整した。
化成後水洗処理:水道水で30秒間浸漬処理した。更にイオン交換水で10秒間スプレー処理した。その後、室温で風乾した後、粉体塗装を行った。
なお、皮膜量は、水洗処理後の冷延鋼板を電気乾燥炉において、80℃で5分間乾燥したうえで「XRF1700」(島津製作所製蛍光X線分析装置)を用いて、化成処理剤に含まれる金属の合計量として分析した。
(b)化成処理(リン酸亜鉛処理):比較例1、4〜9
市販の冷間圧延鋼板(SPCC−SD、日本テストパネル社製、70mm×150mm×0.8mm)を基材として、脱脂後水洗処理の後にサーフファイン5N−8M(日本ペイント社製)を用いて室温で30秒間表面調整を行い、サーフダインSD−5350(日本ペイント社製リン酸亜鉛系化成処理剤)を用いて35℃で2分間スプレー処理を行うことで化成処理を施したこと以外は実施例1と同様にして試験板を得た。
[紛体塗料の塗布および焼き付け]
化成処理を行った基板に、表1に記載の条件により、紛体塗料の塗布および焼き付けを行った。
粉体塗料は、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック株式会社製)を用いて印加電圧80kVで表面処理済の(30cm×40cm)の基材に塗装し、次いで、表1に記載の条件で焼き付けることにより塗板を作成した。
表1中、AVは酸価を、OHVは水酸基価を示す。なお、本明細書中、水酸基価は、JIS K0070に記載の方法で求められる水酸基価を意味する。
[試験]
得られた塗板(試験片)は下記の指定の評価方法に従い、試験を実施し評価を行った。結果を表1に示す。
(1)衝撃試験
JIS K5400 8.3.2に準拠したデュポン式で、下記の条件にて塗膜のワレ・はがれの有無を調べた。塗膜にワレ・はがれが観察されなかったものを、合格とした。
おもり:500g
撃ち型と受け台のサイズ:1/2インチ
落下距離:30cm
(2)塩水噴霧試験
得られた試験板に、素地まで達するクロスカットをいれた後、35℃に保たれた塩水噴霧試験器中で5%NaCl水溶液を500時間連続噴霧した。その後、カット部からのふくれ幅(片側錆幅)を測定した。
(3)耐水試験
各試験片を40℃の温水中に500時間浸漬した後、24時間放置し、次いで、各試験片の塗膜に、カッターにより1mmの間隔で縦横10本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープを貼付してはがし、100個のます目のうちの残存したます目をカウントした。
(4)耐湿試験
試験板を恒温恒湿試験機(湿度95%、温度50℃)に240時間放置した。次に、試験板を大気中で1時間放置後、各試験片の塗膜に、カッターにより1mmの間隔で縦横10本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープを貼付してはがし、100個のます目のうちの残存したます目をカウントした。

Claims (11)

  1. 鉄系基材を被覆する方法であって、
    当該鉄系基材の表面を、
    (a)ジルコニウム、チタン、およびハフニウムから選択される少なくとも一種、
    (b)フッ素、および
    (c)アミノ官能性化合物
    を含有する化成処理剤
    によって処理することにより、
    化成処理層を形成する工程A、
    前記化成処理層の上に、
    酸価が30〜70mgKOH/gであるポリエステル樹脂、および一般式I

    (式中、Rは、水素原子、メチル基またはエチル基を、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基またはHO−CH(R)−CH−を、Aは2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有する粉体塗料組成物を塗布する工程B、および
    当該粉体塗料組成物を焼き付けて硬化させる工程C、
    を有することを特徴とする方法。
  2. 前記工程Cにおいて、前記粉体塗料組成物を130℃〜160℃の温度で焼き付けて硬化させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アミノ官能性化合物が、
    アミノ官能性シランカップリング剤、その加水分解物、およびその縮合物、
    ポリアリルアミン、
    アミン変性エポキシ樹脂、ならびに
    アミン変性フェノール樹脂
    から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記化成処理剤における前記アミノ官能性化合物の含有量が前記化成処理剤の全質量に基づいて5〜5000ppmの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記化成処理剤のpHが2.5〜5.0であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ポリエステル樹脂の重量平均分子量が1,000〜150,000であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記鉄系基材は、冷熱圧延鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、ブリキ、ステンレス鋼からなる群から選ばれる、少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記粉体組成物における、前記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤と前記ポリエステル樹脂との質量比が、3/97〜10/90であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 粉体塗料組成物の体積平均粒子径が20〜40μmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で被覆された鉄系基材。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法で被覆された鉄系基材を含有する物品。
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